説明

制御された放出デバイスおよび方法

【課題】リザーバー内容物の制御された放出および曝露のためのデバイスおよび方法を提供する。
【解決手段】デバイス50は、電気的伝導性材料から形成されたリザーバーキャップ58a、58b,58c、58dであって、リザーバー内容物56がこのデバイス50から外にとることを防止し、このデバイス50の外側の分子への曝露を防止する、リザーバーキャップに接続された電気的入力配線および電気的出力配線62aを備え、その結果、リザーバーキャップを通しての、入力配線および出力配線62aを介しての電流の印加の際に、リザーバーキャップが破壊され、リザーバー内容物56を放出または曝露する。このリザーバー内容物56は、放出のための薬物分子を含む放出系を備え得るか、または二次的なデバイス(例えば、センサ)を備え得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の背景)
本発明は、(薬物のような)分子、(センサのような)ミクロサイズの二次デバイス、またはその組み合わせの制御された曝露または放出のためのデバイスおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
すべてがSantini Jrらによる、米国特許第5,797,898号、同第6,551、838号、および同第6,527,762号は、複数の、代表的には数百から数千のリザーバーを有するマイクロチップ送達デバイスを開示し、そこでは、各リザーバーは、リザーバー内容物の上にリザーバー上に位置決めされるリザーバーキャップを有している。各リザーバー中の、例えば、所定量の化学的分子(例えば、薬物)またはより小さなデバイスであり得る内容物は、リザーバーキャップの制御された除去によって選択的に放出または曝される。リザーバー開放機構は、例えば、電気化学的酸化または機械的破壊による崩壊であり得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
マイクロチップまたはその他のデバイス中のマイクロリザーバーの制御された開放、すなわち、能動化のための新規かつ改良された技法を提供することが所望され得る。例えば、この能動化技法は、好ましくは、操作のためのその位置または環境とは独立に効率的に稼動し得る。さらに、この能動化技法は、望ましくは、例えば、(例えば、リザーバーキャップでの)デバイスの表面汚染が、その放出性能に最小、または全く影響しないように頑丈であり得る。十分に頑丈または強硬な能動化法は、そうでなければ、能動化を妨げ得る付与されたコーティングと適合され得る。このようなコーティングは、デバイス強度、生体適合性、生体安定性、および/または気密性を増大するために添加され得る。
【0004】
さらに、マイクロチップデバイスの特定のリザーバーが目的のように活性化されたことを決定するための便利な手段をもつことが有利であり得る。すなわち、開放されていることが意図されるリザーバーは、事実開放していることである。このような確認技法は、リザーバーからの薬物分子またはその他の内容物の放出を証明するために高度に有益であり得、信頼性があり、かつ一貫した操作を確実にする。さらに、特に、能動デバイスが多くのリザーバーを有する場合、リザーバーの各々を電気的にアドレスするための単純化された手段を提供することが所望され得る。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(発明の要旨)
リザーバー内容物の制御された放出または曝露のためのデバイスおよび方法が提供される。1つの局面では、このデバイスは、電気的伝導性材料から形成されるリザーバーキャップであって、このリザーバーキャップは、リザーバー内容物をデバイスから通過することを防ぎ、そしてリザーバー内容物を、デバイスの外側の分子に曝すことを防ぐ、リザーバーキャップ;このリザーバーキャップに接続された電気的入力配線;およびこのリザーバーキャップに接続された電気的出力配線を含み;この入力配線および出力配線を経由する、このリザーバーキャップを通る電流の通過に際し、このリザーバーキャップは、上記リザーバー内容物を放出または曝すために破壊される。
【0006】
このリザーバーキャップおよび配線は、電気的に伝導性の材料を含む。この電気的に伝導性の材料は、単一成分または複数成分金属または半導体であり得る。適切な材料の代表的な例は、金、白金、チタン、白金−イリジウム、ニッケル−チタン、金−ケイ素、および電気的伝導性を増加する不純物をドープしたケイ素を含む。1つの実施形態では、このリザーバーキャップは、薄い金属膜または半導体膜の形態である。別の実施形態では、リザーバーキャップは、異なる金属、半導体、またはその組み合わせの複数層の形態である。
【0007】
1つの実施形態では、リザーバーキャップおよび伝導性配線は、同一材料から形成され、そしてリザーバーキャップの温度は、印加された電流の下で局所的に増加する。なぜなら、このリザーバーキャップは、基板より熱伝導性が少ない媒体中に懸濁されているからである。あるいは、このリザーバーキャップおよび伝導性配線は、同一材料から形成され、そしてリザーバーキャップは、電流流れの方向でより小さな断面積を有している。このリザーバーキャップを通る電流密度における増加は、局所的加熱の増加を引き起こす。電流密度を増加するための1つの技法は、リザーバーキャップの幅に対する配線の幅の比を、好ましくは2:1またはそれ以上に増加しながら、同じ厚みを有する配線およびリザーバーキャップを製作することである。増加した電流密度はまた、配線の厚みより小さな厚みをもつリザーバーキャップを製作することによって達成され得る。その他の実施形態では、リザーバーキャップは、配線を形成する材料とは異なる材料から形成され、ここで、リザーバーキャップを形成する材料は、配線を形成する材料とは、異なる電気抵抗性、熱拡散性、熱伝導性、および/またはより低い融解温度を有している。これら実施形態の種々の組み合わせが採用され得る。
【0008】
別の局面では、リザーバー内容物の制御された放出または曝露のためのデバイスが提供され:基板;この基板中の複数のリザーバー;複数のリザーバー中に位置決めされる、分子、二次デバイス、または両方;各リザーバーを隔離し、リザーバー内のリザーバー内容物を隔離するために各リザーバーを覆うリザーバーキャップであって、各々が電気的に伝導性の材料を含むリザーバー;上記リザーバーキャップに電気的に接続される一対の伝導性配線であって、電気的入力配線および電気的出力配線を含む対;および上記伝導性配線の対を経由して、各リザーバーキャップを通って、リザーバーキャップを局所的に加熱し、このリザーバーキャップが破壊そしてそれ故リザーバーを開放するために有効な量で、電流を印加するための電源を備える。
【0009】
別の局面では、デバイスは、破壊されたリザーバーキャップの配線間の開放電気的回路を検出するための電気的コンポーネントまたはシステムを含み、リザーバー開放を確認する。
【0010】
1つの実施形態では、このバデイスは、基板上で二次元アレイに位置決めされた少なくとも4つのリザーバーまたはそれ以上を備え、例えば、ここで、リザーバーキャップの入力配線は、アレイの行によって並行に電気的に接続され、そしてリザーバーキャップの出力配線は、アレイの列によって並行に接続されている。この実施形態はまた、単純化された入力/出力(I/O)要求を提供する。
【0011】
1つの実施形態では、リザーバー内容物は、放出のための薬物分子を含む放出システムを備える。別の実施形態では、リザーバー内容物は、センサまたはセンサコンポーネントのような二次デバイスを備える。
【0012】
必要に応じて、リザーバーキャップ、配線、またはその両方は、電気的に伝導性の材料に加え、二酸化ケイ素のような誘電性材料の保護または構造的支持層をさらに備え得る。
【0013】
種々の実施形態において、上記デバイスは、移植可能な薬物送達システムのサブコンポーネントであり得る。このようなデバイスは、さらに、生理的状態の指標であるセンサ、身体への電気的刺激を提供するための電極、カテーテル、ポンプ、またはそれらの組み合わせを備え得る。1つの実施形態では、上記デバイスは、マイクロチップデバイスの一部である。
【0014】
別の局面では、分子の制御された送達のための方法が提供される。1つの実施形態では、工程は、予め選択された位置に、分子の制御された放出を提供するデバイスを位置決めすることであって、このデバイスは、送達のための分子、および送達のための上記分子が、このデバイスから通過して出ることを防ぐ電気的に伝導性の材料から形成されるリザーバーキャップを有していること;および上記リザーバーキャップに電気的に接続されている電気的入力配線および電気的出力配線を経由して、上記リザーバーキャップを通じて電流を印加することであって、リザーバーキャップを破壊し、予め選択された位置に上記デバイスから外に向かって上記分子が通過することを可能にすることを含む。1つの実施形態では、この部位は、上記分子が放出される必要のある患者の内部である。
【0015】
別の局面では、リザーバー内容物の制御された曝露のための方法が提供される。1つの実施形態では、工程は、リザーバー内容物の制御された曝露を提供するデバイスを予め選択された位置に位置決めすることであって、このデバイスは、リザーバー内容物、およびリザーバー内容物の、予め選択された位置にあるデバイスの外側の分子への曝露を防ぐ、電気的に伝導性の材料から形成されるリザーバーキャップを有すること;および上記リザーバーキャップに電気的に接続されている電気的入力配線および電気的出力配線を経由して、上記リザーバーキャップを通じて電流を印加することであって、リザーバーキャップを破壊し、予め選択された位置で上記分子に上記リザーバー内容物を曝すことを含む。1つの実施形態では、この部位は、患者の内部であり、そして上記リザーバー内容物は、生理的状態を感知するためのセンサまたはセンサコンポーネントを含む。
【0016】
別の実施形態では、分子または二次デバイスの制御された曝露または放出のためのデバイスを製作するための方法が提供される。1つの実施形態では、この方法の工程は(i)基板中に複数のリザーバーを形成すること;(ii)上記リザーバーの各々を、電気的に伝導性のリザーバーキャップでキャップすること;(iii)このリザーバーをリザーバー内容物で充填すること;(iv)各リザーバーキャップと作動可能な接続で電気的入力配線および電気的出力配線を形成すること;および(v)この入力配線および出力配線を経由して、各リザーバーキャップを通じて、上記リザーバーキャップを破壊し、そしてそれ故上記リザーバーを開放するに有効な量で、電流を選択的に通過し得る電流供給源および分与手段を提供することを含む。したがって、本発明は、以下を提供する。
(1) リザーバー内容物の制御された放出または曝露のためのデバイスであって、以下:
電気的伝導性の材料から形成されたリザーバーキャップであって、該リザーバーキャップは、該リザーバー内容物が該デバイスから外に通ることを防止し、そして該リザーバー内容物が、該デバイスの外側の分子に接触することを防止する、リザーバーキャップ;
該リザーバーキャップに接続された電気的入力配線;ならびに
該リザーバーキャップに接続された電気的出力配線であって、その結果、該入力配線および出力配線を解する、該リザーバーキャップを通しての電流の印加の際に、該リザーバーキャップが破壊されて、該リザーバー内容物を放出または曝露する、電気的出力配線、を備える、デバイス。
(2) 前記電流を印加するための電力源をさらに備える、項目1に記載のデバイス。
(3) 前記リザーバーキャップを通しての電流の印加が、該リザーバーキャップの温度を、前記配線の温度と比較して優先的に増加させる、項目1または2に記載のデバイス。
(4) 前記リザーバーキャップが、前記配線を形成する材料の融点とは異なる融点を有する材料から形成されている、項目1または2に記載のデバイス。
(5) 前記リザーバーキャップおよび配線が、同じ材料から形成されており、そして該リザーバーキャップが、該電流の流れの方向においてより小さい断面積を有する、項目1または2に記載のデバイス。
(6) 前記配線および前記リザーバーキャップが、同じ厚さを有し、そして該配線の幅対該リザーバーキャップの幅の比が、2:1以上である、項目5に記載のデバイス。
(7) 前記リザーバーキャップが、前記配線の厚さより小さい厚さを有する、項目5に記載のデバイス。
(8) 前記配線の厚さ対前記リザーバーキャップの厚さの比が、2:1以上である、項目7に記載のデバイス。
(9) 前記リザーバーキャップが、前記配線を形成する材料とは異なる材料から形成されている、項目1または2に記載のデバイス。
(10) 前記リザーバーキャップが、前記配線を形成する材料とは異なる抵抗を有する材料から形成されている、項目9に記載のデバイス。
(11) 前記リザーバーキャップが、前記配線を形成する材料とは異なる熱拡散率または熱伝導性を有する材料から形成されている、項目9に記載のデバイス。
(12) 前記リザーバーキャップが、金属膜を備える、項目1〜11のいずれか1項に記載のデバイス。
(13) 前記金属膜が、金、白金、チタン、銅、アルミニウム、銀、金/ケイ素合金、金/ゲルマニウム合金、白金/イリジウム、ニッケル/チタン、およびケイ化白金からなる群より選択される金属を含む、項目12に記載のデバイス。
(14) 前記リザーバーキャップが、複数の金属の層または複数の金属および半導体の層を備える、項目1〜12のいずれか1項に記載のデバイス。
(15) 前記リザーバーキャップ、前記配線、または両方の少なくとも一部分の上の、誘電性材料の1つ以上の層をさらに備える、項目1〜14のいずれか1項に記載のデバイス。
(16) 前記誘電性材料が、酸化物、窒化物、炭化物、ダイヤモンド、フルオロカーボンフィルム、またはこれらの組み合わせを含む、項目15に記載のデバイス。
(17) 前記リザーバー内容物が、基板内に提供された2つ以上のリザーバー内に位置する、項目1〜16のいずれか1項に記載のデバイス。
(18) 前記リザーバー内容物が、少なくとも1つの治療剤または予防剤を含有する、項目1〜17のいずれか1項に記載のデバイス。
(19) 項目2に記載のデバイスであって、さらに、以下:
基板;
該基板内の複数のリザーバーであって、該複数のリザーバー内に、分子、二次デバイス、またはこれらの両方を含む前記リザーバー内容物が配置される、複数のリザーバー、
を備える、デバイス。
(20) 前記基板内に、二次元アレイに配置された4つ以上のリザーバーを備える、項目19に記載のデバイス。
(21) 前記リザーバーキャップへの前記入力配線が、前記アレイの行によって並列に電気的に接続されており、そして該リザーバーキャップからの前記出力配線が、該アレイの列によって並列に電気的に接続されている、項目20に記載のデバイス。
(22) 破壊されたリザーバーキャップの配線間の開電気回路を検出してリザーバーの開放を確認するための、電気的コンポーネントまたはシステムをさらに備える、項目19に記載のデバイス。
(23) 前記リザーバー内容物が、薬物分子を含む放出系を含有する、項目19〜22のいずれか1項に記載のデバイス。
(24) 各リザーバーキャップを通る電流の前記印加を制御するための作動手段をさらに備える、項目19〜23のいずれか1項に記載のデバイス。
(25) 前記作動手段が、マイクロプロセッサまたは状態マシンを備える、項目24に記載のデバイス。
(26) 前記作動手段が、意図されないリザーバーの開放を排除するために効果的な、能動電気コンポーネントを備える、項目24に記載のデバイス。
(27) 前記能動電気コンポーネントが、ダイオードまたはトランジスタを備える、項目26に記載のデバイス。
(28) 前記基板が、ディスク、円筒、または球からなる群より選択される形状である、項目19〜27のいずれか1項に記載のデバイス。
(29) 前記誘電材料が、前記リザーバーキャップと前記基板との間に介在されて、該リザーバーキャップを該基板から熱的に隔離する、項目19〜28のいずれか1項に記載のデバイス。
(30) 移植可能な薬物送達デバイスの部分コンポーネントである、項目1〜29のいずれか1項に記載のデバイス。
(31) 生理学的状態を指標可能な少なくとも1つのセンサ、身体に電気刺激を生じるための少なくとも1つの電極、カテーテル、ポンプ、またはこれらの組み合わせをさらに備える、項目30に記載のデバイス。
(32) マイクロチップデバイスの一部分である、項目1〜30のいずれか1項に記載のデバイス。
(33) 移植可能なカテーテルの一部分である、項目1〜30のいずれか1項に記載のデバイス。
(34) 分子の制御された送達のための方法であって、以下:
予め選択された位置でデバイスを位置決めする工程であって、該デバイスは、分子の制御された放出を提供し、該デバイスは、送達のための分子、および電気伝導性材料から形成されたリザーバーキャップを有し、該リザーバーキャップは、該送達のための分子が該デバイスから外に通ることを防止する、工程;ならびに
電流を、該リザーバーキャップを通して、電気的入力配線および電気的出力配線を介して印加する工程であって、該配線は、該リザーバーキャップに電気的に接続されており、該印加によって、該リザーバーキャップを破壊して、該分子が該デバイスから外向きに、該予め選択された位置へと通ることを可能にする、工程、
を包含する、方法。
(35) 前記分子が、薬物分子を含有する送達系を構成する、項目34に記載の方法。
(36) 前記リザーバーキャップを通しての前記電流の印加が、該リザーバーキャップの温度を、前記配線の温度と比較して優先的に増加させる、項目34に記載の方法。
(37) 分子の制御された送達のための方法であって、以下:
予め選択された位置に、項目1〜33のいずれか1項に記載のデバイスを配置する工程であって、該リザーバーが、送達のための分子を含む、工程;ならびに
該リザーバーキャップを通して、前記電気的入力配線および前記電気的出力配線を介して電流を印加し、該リザーバーキャップを破壊して、該分子を、該デバイスから外向きに、該予め選択された位置へと通すことを可能にする、工程、
を包含する方法。
(38) リザーバー内容物の制御された曝露のための方法であって、以下:
予め選択された位置にデバイスを配置する工程であって、該デバイスは、リザーバー内容物の制御された曝露を提供し、該デバイスは、リザーバー内容物、および電気的伝導性材料から形成されたリザーバーキャップを有し、該リザーバーキャップは、該選択された位置での、該リザーバー内容物の、該デバイスの外側の分子への曝露を防止する、工程;ならびに
該リザーバーキャップを通して、電気的入力配線および電気的出力配線を介して電流を印加する工程であって、該配線は、該リザーバーキャップに電気的に接続されており、該印加によって、該リザーバーキャップを破壊し、該予め選択された位置で、該リザーバー内容物を、該分子に曝露する、工程、
を包含する、方法。
(39) 前記リザーバー内容物が、センサまたはセンサコンポーネントを備える、項目38に記載の方法。
(40) リザーバー内容物の制御された曝露のための方法であって、以下:
選択された位置に、項目1〜33のいずれか1項に記載のデバイスを配置する工程であって、該リザーバー内容物が、二次デバイスを備える、工程;ならびに
該リザーバーキャップを通して、前記電気的入力配線および前記電気的出力配線を介して、電流を印加し、該リザーバーキャップを破壊して、該予め選択された位置において、該二次デバイスを分子に曝露する、工程、
を包含する、方法。
(41) 分子または二次デバイスの制御された曝露または放出のためのデバイスを製造する方法であって、以下:
基板内に複数のリザーバーを形成する工程;
該リザーバーの各々を、電気的伝導性のリザーバーキャップでキャップする工程;
各リザーバーキャップと、電気的入力配線および電気的出力配線との作動可能な接続を形成する工程;ならびに
電流の供給および分配手段を提供する工程であって、該手段は、各リザーバーチップを通して、該入力配線および出力配線を介して、該リザーバーキャップを破壊するために充分な量で、電流を選択的に十押すことが可能である、工程、
を包含する、方法。
(42) 前記配線および前記リザーバーキャップが、同じ工程において同じ材料から形成される、項目41に記載の方法。
(43) 前記リザーバーキャップ、前記配線、またはこれらの両方を、誘電性材料でコーティングする工程をさらに包含する、項目41または42に記載の方法。
(44) 前記基板上に誘電性材料の層を形成する工程をさらに包含し、該誘電性材料は、前記リザーバーキャップと該基板との間に介在されて、該リザーバーキャップを該基板から熱的に隔離する、項目41または42に記載の方法。
(45) 前記リザーバーに前記リザーバー内容物を充填する工程をさらに包含する、項目41〜44のいずれか1項に記載の方法。
(46) 前記リザーバー内容物が、薬物分子を含有する放出系を含む、項目45に記載の方法。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1のA〜Bは、リザーバーキャップと配線が同一材料から形成されるデバイスの一部分の1つの実施形態の断面図(図1A)および平面図(図1B)を示す。
【図2】図2のA〜Bは、リザーバーキャップと配線が同一材料から形成され、そして配線の幅がリザーバーキャップの幅より大きいデバイスの一部分の1つの実施形態の断面図(図2A)および平面図(図2B)を示す。
【図3】図3のA〜Bは、リザーバーキャップと配線が同一材料から形成され、そして配線の厚みがリザーバーキャップの厚みより大きいデバイスの一部分の1つの実施形態の断面図(図3A)および平面図(図3B)を示す。
【図4】図4のA〜Bは、リザーバーキャップと配線が異なる材料から形成されるデバイスの一部分の1つの実施形態の断面図(図4A)および平面図(図4B)を示す。
【図5】図5のAは、入力配線が行によって並行に接続され、そして出力配線が列によって並行に接続される矩形行列で整列された4つのリザーバーをもつデバイスの1つの実施形態の平面図であり、そして図5のBは、図5A中の線A−Aに沿ってとった断面図であり、導体の列および配線が、それらが重複する場所で互いからどのように絶縁されているのかを示す。
【図6】図6は、リザーバーキャップが誘電性材料によって基板から熱的に隔離されているデバイスの一部分の1つの実施形態の断面図である。
【図7】図7のAは、誘電性材料によって熱的に隔離されたリザーバーキャップをもつデバイスの一部分の別の実施形態の斜視/断面図(図7A)であり、そして図7Bは、図7Aの線B−Bに沿ってとった断面図であり、同じ実施形態を示す。
【図8】図8は、4つのリザーバーのアレイ、各リザーバーを覆い各リザーバー内のリザーバー内容物を隔離するためのリザーバーキャップ、このリザーバーキャップに電気的に接続される一対の伝導性配線、および各リザーバーキャップを通じて電流を印加するための電源を有するデバイスの1つの実施形態の一部分の斜視/断面図である。
【図9】図9のAは、球形形状、および本明細書に記載のような電熱的アブレーションを用いて活性化/開放され得るリザーバーキャップによって覆われる薬物含有リザーバーのアレイを有する、移植可能な医療用デバイスの1つの実施形態の斜視図である。図9のBは、このデバイスの上部ケースの内部の平面図であり、そして図9Cは、この上部ケースの一部分の断面図である。
【図10】図10は、遠位端部分に薬物含有リザーバーを有するカテーテルを含む移植可能な医療用デバイスの1つの実施形態の斜視図である。
【図11】図11のAは、本明細書に記載のような電熱的アブレーションを用いて活性化/開放され得るリザーバーキャップによって覆われる薬物含有リザーバーのアレイを有するカテーテルの遠位端部分の1つの実施形態の平面図である。図11のBは、図11のAに示されるデバイスの線B/Bに沿ってとった断面図であり、そして図11Cは、線C/Cに沿ってとったこのデバイスの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
(発明の詳細な説明)
電熱的アブレーションリザーバー開放デバイス、システム、および方法が、制御されたリザーバー開放のために開発された。一般に、このデバイスは、リザーバー内容物の放出または曝露が所望されるまで開放をブロックするためにリザーバー開口の上に位置決めされ、そして熱発生器として機能するリザーバーキャップを有する。電流を用いて、このリザーバーキャップを破壊し、リザーバーを開放するに有効な量でリザーバーキャップの局所加熱を提供する。本明細書で用いられるとき、用語「破壊」は、リザーバーキャップ構造を破らせる、および/または相変化(例えば、融解または蒸発)に起因するリザーバーキャップの構造的一体性の損失する電気的に誘導される熱ショックをいい、そのいずれかまたは両方は、リザーバーキャップを通じて流れる電流の結果としてリザーバーキャップ内の熱の発生により引き起こされる。いずれの理論にも束縛されることはなく、この加熱は、リザーバーキャップに、融解(または気化)、熱ショック、および/または熱膨張の係数における不一致による分解を引き起こし、それによって、このリザーバーキャップをリザーバー上から置換し、そして/またはリザーバーキャップを通る開口部を生成する。この能動化機構は、例えば、リザーバーの外表面に取り付けられた、別個の抵抗ヒーター要素には依存しない。(この破壊プロセスは、従来の単純な電気ヒューズを加熱し、そして、次に、それを通る電流の過剰量の通過に際し分解する(例えば、焼き尽くす)プロセスに類似している。)
本明細書で用いられるとき、リザーバーキャップを参照する用語「局所加熱」は、このリザーバーキャップに局所的である有意な温度上昇をいう(例えば、リザーバーキャップの中間点が最も熱い点であり得る)。この温度上昇は、デバイス中で生じる2つの現象:熱発生および熱損失から起こる。好ましい実施形態では、この局所加熱および破壊は、非常に迅速に、10〜50μsのオーダーで生じ、これは、周辺環境中、またはリザーバーキャップ内容物中に熱がほとんど通過しないことを可能にし、それによって、リザーバーを取り囲む環境中の任意の温度増加を最小にするか、またはリザーバーキャップを正に取り囲む領域への任意の温度増加を制限する。
【0019】
本明細書で用いられるとき、用語「備える」、「包含する」、「含む」およひ「含有する」は、そうでないことが明瞭に示されていなければ、開放的な、非制限的用語であることが意図される。
【0020】
(開放システムコンポーネントおよびデバイス)
本明細書に記載の上記開放、または能動化、システムおよびデバイスは、例えば、参考として本明細書中に援用される、米国特許第5,797,898号、同第6,551,838号、同第6,527,762号中、および米国特許出願公開第2002/0099359号および同第2003/0010808号中に記載のマイクロチップデバイスのような移植可能な薬物送達デバイスを含む種々のデバイスとともに用いられ得るか、または組み込まれ得る。いくつかの実施形態では、この能動化放出デバイスおよびシステムは、別のデバイスのサブコンポーネントである。例えば、それは、患者の生理学的状態の指標であるセンサ、患者の身体への電気的刺激を提供する電極、ポンプ、カテーテル、またはそれらの組み合わせをさらに含む移植可能な薬物送達デバイスの一部であり得る。
【0021】
(基板およびリザーバー)
基板は、リザーバーが形成される構造的本体(例えば、デバイスの部分)であり、例えば、それは、エッチングされ、機械加工され、または成形されたリザーバーを含む。リザーバーは、ウェル、コンテナーである。当業者に公知の、MEMS法、微小成形、および微細加工技法を用いて、種々の材料から基板/リザーバーが製作され得る。例えば、米国特許第6,123,861号および米国特許出願公開第2002/0107470号を参照のこと。適切な基板材料の例は、金属、セラミック、半導体、および分解性および非分解性ポリマーを含む。基板材料の生体適合性が、代表的には、インビボデバイス適用のために好ましい。この基板、またはその一部分は、使用前に、生体適合性材料(例えば、ポリ(エレチングリコール)、ポリテトラフルオロエレチン様材料、不活性セラミック、チタンなど)でコート、カプセル化、または他の様式でその中に含まれ得る。
【0022】
この基板は、可撓性または剛直性であり得る。1つの実施形態では、この基板は、マイクロチップデバイスのための支持として供される。1つの実施形態では、この基板は、ケイ素から形成される。
【0023】
この基板は、種々の形状、または成形表面を有し得る。それは、例えば、平坦または湾曲している放出側面(すなわち、リザーバーキャップを有する領域)を有し得る。この基板は、例えば、ディスク、円筒形、または球状から選択される形状であり得る。例えば、以下に記載される、図9、11を参照のこと。1つの実施形態では、この放出側面は、湾曲した組織表面に一致する形状であり得る。これは、その組織表面への治療薬剤の局所送達のために特に有利であり得る。別の実施形態では、背側面(放出側面の遠位)は、取り付け表面に一致する形状である。
【0024】
この基板は、1つの材料のみからなり得るか、または、コンポジットもしくは複数の積層材料であり得、すなわち、一緒に結合されている同一または異なる基板材料のいくつかの層から構成され得る。
【0025】
1つの実施形態では、この基板は、(少なくともリザーバーデバイスの使用の時間の間)送達される分子に対し、および周辺のガスまたは液体(例えば、水、血液、電解質またはその他の溶液)に対して不透過性である。
【0026】
別の実施形態では、この基板は、時間の規定された期間に亘り、生体適合性成分に分解または溶解する強い材料から作製される。生体適合性ポリマーの例は、ポリ(乳酸)、ポリ(グリコール酸)、およびポリ(乳酸−co−グリコール酸)、ならびに分解性ポリ(無水物−co−イミド)を含む。
【0027】
基板厚みは、本明細書に記載の能動化システムを用い、特定のデハイスおよび適用に依存して変動し得る。例えば、デバイスの厚みは、約10μmから数センチメートルまで変動し得る(例えば、500μm)。合計の基板厚みおよびリザーバー容量は、基板材料のウェーハーまたは層を一緒に結合することにより増加され得る。デバイス厚みは、各リザーバーの容量に影響し得るか、および/または基板上に取り込まれ得るリザーバーの最大数に影響し得る。基板およびリザーバーのサイズおよび数は、特定の適用のために必要なリザーバー内容物の量および容量を収容するように選択され得るが、製造の制限または総デバイスサイズ制限(例えば、患者中への移植のため)のようなその他の束縛もまた、関係し得る。例えば、インビボ適用のためのデバイスは、最小侵襲手順を用いて移植されるに十分小さくあり得る。インビトロ適用のためのデバイスは、代表的には、サイズ制限がより少ない。
【0028】
基板は、1、2、または好ましくは多数のリザーバーを有し得る。種々の実施形態では、数十、数百、または数千のリザーバーが、基板を横切ってアレイとされる。例えば、移植可能な薬物送達デバイスの1つの実施形態は、250と750との間のリザーバーを含み、ここで、各リザーバーは、放出のための単一用量の薬物を含み、これは、例えば、数ヶ月から2年に亘って毎日放出され得る。幾分頻繁な投薬スケジュール、およびより短いまたはより長い処置持続時間も勿論可能である。
【0029】
1つの実施形態では、リザーバーは、500μL以下(例えば、250μL未満、100μL未満、50μL未満、25μL未満、10μL未満など)、および約1nLより大きい(例えば、5nLより大きい、10nLより大きい、約25nLより大きい、約50nLより大きい、約1μLより大きいなど)容量を有する。
【0030】
(リザーバー内容物)
リザーバー内容物は、その放出または曝露が所望されるとき、選択される時点までリザーバーの外側の環境を隔離(例えば、それから保護)される必要がある、本質的に任意の目的物または材料である。種々の実施形態では、このリザーバー内容物は、(所定量の)分子、二次デバイス、またはそれらの組み合わせを含む。触媒またはセンサのような、特定のリザーバー内容物の適正な機能は、一般に、リザーバーからの放出を必要とせず;むしろ、それらの意図された機能、例えば、触媒または感知は、リザーバーキャップの開放後、リザーバーの外側の環境へのリザーバー内容物の曝露に際して生じる。従って、この触媒分子または感知コンポーネントは放出され得るか、または開放リザーバー内に固定化されたままであり得る。薬物分子のようなその他のリザーバー内容物は、しばしば、デバイスから通過するため、およびインビボの部位に送達され、患者に対する治療効果を奏するためにリザーバーから放出される必要があり得る。しかし、これらの薬物分子は、特定のインビトロ適用のためには保持され得る。
【0031】
(分子)
リザーバー内容物は、本質的に、任意の天然分子または合成分子、有機分子または無機分子、あるいはこれらの混合物を含有し得る。これらの分子は、本質的に任意の形態(例えば、純粋な固体または液体、ゲルまたはヒドロゲル、溶液、エマルジョン、スラリー、あるいは懸濁液)であり得る。目的の分子は、開いたリザーバーからの放出の速度および/または時間を制御または増強するために、他の材料と混合され得る。種々の実施形態において、これらの分子は、固体混合物の形態であり得、非晶質および結晶性の混合粉末、モノリシック固体混合物、凍結乾燥された粉末、および固体の相互貫入網目構造が挙げられる。他の実施形態において、これらの分子は、液体を含有する形態であり、例えば、溶液、エマルジョン、コロイド懸濁液、スラリー、またはゲル混合物(例えば、ヒドロゲル)である。
【0032】
インビボ適用について、化学分子は、治療剤、予防剤、または診断剤であり得る。本明細書中で使用される場合、用語「薬物」は、任意の治療剤または予防剤(例えば、活性成分)を包含する。薬物は、低分子、高分子(すなわち、巨大分子)、またはこれらの組み合わせを含み得、生物活性効果を有する。1つの実施形態において、高分子薬物は、タンパク質またはペプチドである、種々の実施形態において、薬物は、アミノ酸、核酸、オリゴヌクレオチド、多糖類、および合成有機分子から選択され得る。1つの実施形態において、薬物は、ヌクレオシド、ヌクレオチド、ならびにこれらのアナログおよび結合体である。薬物の代表的な例としては、鎮痛薬、麻酔薬、抗血管新生分子、抗生物質、抗体、抗腫瘍薬、酸化防止剤、抗ウイルス剤、化学療法剤、遺伝子送達ベクター、免疫調節因子、イオンチャンネル調節因子、代謝産物、糖、向精神薬、ワクチン、ビタミンが挙げられる。診断剤の例は、造影剤のような画像化剤である。
【0033】
1つの実施形態において、薬物は、タンパク質薬物である。適切な型のタンパク質の例としては、糖タンパク質、酵素(例えば、タンパク質分解酵素)、ホルモン(例えば、LHRH、ステロイド、コルチコステロイド)、抗体、サイトカイン(例えば、α−インターフェロン、β−インターフェロン、またはγ−インターフェロン)、インターロイキン(例えば、IL−2)、およびインスリンが挙げられる。1つの例示的な実施形態において、薬物は、ビスホスホネートである。別の例示的な実施形態において、薬物は、副甲状腺ホルモン(例えば、ヒト副甲状腺ホルモン(例えば、hPTH(1−84)またはhPTH(1−34))である。なおさらなる実施形態において、薬物は、ナトリウム利尿活性を有するペプチド(例えば、BNP)である。なお別の実施形態において、薬物は、カルシトニンである。さらなる実施形態において、薬物は、利尿薬、血管拡張薬、強心薬、抗不整脈薬、Caチャンネル遮断薬、抗アドレナリン作用性/交感神経遮断薬、およびレニンアンギオテンシン系アンタゴニストから選択される。
【0034】
1つの実施形態において、薬物は、VEGFインヒビター、VEGF抗体、VEGF抗体フラグメント、または別の抗血管新生薬である。例としては、アプタマー(例えば、MACUGENTM(Pfizer/Eyetech)(ペガプタニブナトリウム(pegaptanib sodium)またはLUCENTISTM(Gentech/Novartis)(RhuFab VEGF、またはラニビズマブ(ranibizumab))が挙げられる。これらは、脈絡膜の血管新生の予防において使用され得、これは、加齢性黄斑変性または糖尿病性網膜症の処置において有用である。
【0035】
種々の実施形態において、放出のための薬物分子は、PEG化され得る。PEG化は、生物活性分子のインビボでの寿命を延長させるための当該分野において公知の技術であり、例えば、生物活性分子を、PEGまたは別のオリゴマーもしくはポリマーの安定化剤と付着させることによる。例えば、MACUGENTMは、約50KDの分子量を有するオリゴヌクレオチドであり、このうちの約40KDは、PEG分子に付着している。本明細書中に記載される制御放出デバイスは、このような分子を送達し得る。しかし、有利なことに、本明細書中に記載される制御放出デバイスは、生物活性分子をPEG化する必要性を除き得る。なぜなら、この生物活性分子は、必要とされる際に、そして必要とされる場合に、放出され得るからである。すなわち、これらのデバイスは、正確かつ有効な量の薬物を所望の時点で送達し得、延長された期間にわたって身体内でこの生物活性分子の一定のレベルを維持するために、この薬物を修飾する必要性(これは、費用がかかり得、そして/または達成することが困難であり得る)を回避するからである。
【0036】
1つの実施形態において、薬物は、プロスタグランジン、プロスタサイクリン、または末梢血管疾患の処置において有効な別の薬物である。
【0037】
1つの実施形態において、デバイスは、薬物を、それを必要とする患者に前進的に送達するために使用される。別の実施形態において、マイクロチップの構築および患者内への配置は、有効用量の全身送達のためには強力過ぎ得る薬物の局所放出または局部放出を可能にする。1つのリザーバーまたは1つのデバイス内のリザーバー内容物は、単一の薬物、または2つ以上の薬物の組み合わせを含み得、そしてこれらのリザーバー内容物は、薬学的に受容可能なキャリアをさらに含み得る。
【0038】
これらの分子は、米国特許第5,797,898号において教示されるような「放出系」の一部分として提供され得、その分解特性、溶解特性、または拡散特性は、その分子の放出速度を制御するための方法を提供し得る。この放出系は、1つ以上の薬学的賦形剤を含有し得る。適切な薬学的に受容可能な賦形剤としては、非経口投与のために認可されたほとんどのキャリアが挙げられ、種々の水溶液(例えば、生理食塩水、リンガー液、ハンクス液、およびグルコース、ラクトース、ブドウ糖、エタノール、グリセロール、アルブミンなどの水溶液)が挙げられる。他の賦形剤および希釈剤の例としては、炭酸カルシウムおよび糖が挙げられる。他の賦形剤が、薬物を懸濁液中に維持するために、リザーバー充填、安定性、または放出の補助として、使用され得る。薬物の特性に依存して、このような賦形剤は、水性であっても非水性であってもよく、疎水性であっても親水性であってもよく、極性であっても非極性であってもよく、プロトン性であっても非プロトン性であってもよい。このような賦形剤は、一般に、低い反応性を有する。例えば、Kneppらに対する米国特許第6,264,990号を参照のこと。この放出系は、必要に応じて、安定化剤、酸化防止剤、抗菌剤、防腐剤、緩衝剤、界面活性剤、ならびに分子をリザーバーからインビボで貯蔵および放出するために有用な他の添加剤を含有する。
【0039】
この放出系は、例えば、治療効果を増強するために必要とされるような、より連続的または一定の放出プロフィール(例えば、脈動)または一定した結晶レベルを提供し得る。脈動放出は、個々のリザーバーからか、複数のリザーバーからか、またはこれらの組み合わせで達成され得る。例えば、各リザーバーが単一のパルスのみを提供する場合、複数のパルス(すなわち、脈動放出)は、いくつかのリザーバーの各々からの単一のパルス放出を一時的に時差性にすることによって、達成される。あるいは、複数のパルスは、単一のリザーバーから、放出系のいくつかの層および他の材料を組み込むことによって、達成され得る。連続的な放出は、長期間にわたって分子を分解するか、溶解するか、または拡散を可能にする放出系を組み込むことによって、達成され得る。さらに、連続的な放出は、分子のいくつかのパルスを迅速な連続で放出すること(音楽のデジタル記憶および再生と類似の、「デジタル」放出)によって、近似され得る。本明細書中に記載される能動放出系は、単独でか、または当該分野において公知の受動放出系(例えば、米国特許第5,797,898号に記載されるような)と組み合わせて使用され得る。例えば、リザーバーキャップは、本明細書中に記載されるように、電熱アブレーションによって除去されて、能動放出系を曝露し得、これは、リザーバーキャップが能動的に除去された後にのみ、能動放出を開始する。あるいは、所定の基板は、受動放出リザーバーと能動放出リザーバーとの両方を備え得る。
【0040】
インビトロ適用について、少量(ミリグラムからナノグラム)の1つ以上の分子の制御された放出が必要とされる場合(例えば、分析化学または医学的診断の分野において)、分子は、広範な分子のいずれかであり得る。分子は、pH緩衝剤、診断試薬、および複雑な反応(例えば、ポリメラーゼ連鎖反応または他の拡散増幅手順)における試薬として有効であり得る。種々の他の実施形態において、放出されるべき分子は、香料または香水、色素または他の着色剤、甘味料または他の濃厚な矯味矯臭剤、あるいは種々の他の化合物である。なお他の実施形態において、リザーバーは、固定された分子を含む。例としては、反応に関与し得る任意の化学種が挙げられ、試薬、触媒(例えば、酵素、金属、およびゼオライト)、タンパク質、核酸、多糖類、細胞、およびポリマー、ならびに診断試薬として機能し得る有機分子または無機分子が挙げられる。
【0041】
(二次デバイス)
本明細書中において使用される場合、別段指示されない限り、用語「二次デバイス」は、リザーバー内に配置され得る任意のデバイスまたはそのコンポーネントを包含する。1つの実施形態において、二次デバイスは、センサまたはその感知コンポーネントである。本明細書中において使用される場合、「感知コンポーネント」としては、ある部位における化学種もしくはイオン種、エネルギー、または1つ以上の物理特性(例えば、pH、圧力)の存在、非存在、または変化を測定または分析する際に利用される、コンポーネントが挙げられる。センサの型としては、バイオセンサ、化学センサ、物理センサ、または光学センサが挙げられる。本明細書中に記載されるリザーバーの内部で/リザーバーと共に使用するために適合され得るバイオセンサの例としては、米国特許第6,486,588号;同第6,475,170号;および同第6,237,398号において教示されるものが挙げられる。二次デバイスは、さらに、米国特許第6,551,838号に記載されている。
【0042】
感知コンポーネントの例としては、ある部位における化学種、もしくはイオン種、エネルギー(もしくは光)、または1つ以上の物理特性(例えば、pH、圧力)の存在、非存在、または変化を測定または分析する際に利用される、コンポーネントが挙げられる。1つの実施形態において、デバイスは、患者(例えば、ヒトまたは他の哺乳動物)における移植のために提供され、そしてリザーバー内容物は、この患者における生理学的状態を示す少なくとも1つのセンサを備える。例えば、センサは、血液、血漿、間質液、または患者の他の体液中に存在する、グルコース、尿、カルシウム、またはホルモンの濃度をモニタリングし得る。
【0043】
一次デバイスの内部に位置付けられた二次デバイスを用いて取得されたデータを受信し、そしてそれらを解析するための選択肢が、いくつか存在する。デバイスは、局所マイクロプロセッサまたは遠隔制御によって、制御され得る。バイオセンサ情報は、活性化の時間および型を決定するための入力を、ヒトの介入に、またはその組み合わせを提供し得る。例えば、移植可能な薬物送達系(または他の制御放出/制御リザーバー曝露系)の作動は、オンボードのマイクロプロセッサ(すなわち、移植可能なデバイスのパッケージ内)によって制御される。このデバイスからの出力信号が、必要である場合、適切な回路によって馴化された後に、マイクロプロセッサによって必要とされる。分析およびプロセシングの後に、出力信号は、書き込み可能なコンピュータメモリチップに記憶され得、そして/または移植可能なデバイスから遠隔の位置へと送信され得る(例えば、無線により)。電力は、バッテリによって局所的に、またはワイヤレス伝達によって遠隔的に、移植可能デバイスに供給され得る。例えば、米国特許出願番号2002/0072784を参照のこと。
【0044】
1つの実施形態において、放出のための薬物分子およびセンサ/感知コンポーネントを含む、リザーバー内容物を有するデバイスが提供される。例えば、センサまたは感知コンポーネントは、リザーバー内に配置され得るか、またはデバイス基板に付着され得る。センサは、例えば、マイクロプロセッサを介してデバイスと作動可能に通信し、薬物放出変数(投薬量および頻度、放出の時間、有効な放出速度、薬物または薬物の組み合わせの選択などが挙げられる)を制御または改変し得る。センサまたは感知コンポーネントは、インビボでの移植部位における種または特性を検出し(または検出せず)、そしてさらに、信号を、デバイスから、制御放出のために使用されるマイクロプロセッサへと中継し得る。このような信号は、薬物の放出に対するフィードバックを提供し得、そして/または薬物の放出を精密に制御し得る。別の実施形態において、このデバイスは、1つ以上のバイオセンサ(これらは、使用のために必要とされるまで、リザーバー内に密封され得る)を備え、これらのバイオセンサは、患者の身体内の信号を検出および/または測定し得る。
【0045】
本明細書中において使用される場合、用語「バイオセンサ」とは、目的の分析物の化学的特性を電気信号に変換する感知デバイス、および電気的信号を直接的または間接的に(例えば、機械的エネルギーまたは熱エネルギーを電気信号に変換することによって)測定する電極を包含する。例えば、このバイオセンサは、種々のインビボ位置における固有の電気信号(EKG、EEG、または他の神経シグナル)、圧力、温度、pH、または組織構造体に対する負荷を測定し得る。次いで、バイオセンサからの電気信号が、例えば、マイクロプロセッサ/制御器によって測定され得、これが次いで、この情報を、遠隔制御器、別の局所制御器またはその両方に伝達し得る。例えば、このシステムは、患者の生命徴候、または移植物の環境(例えば、薬物濃度)に関する情報を中継または記録するために使用され得る。
【0046】
(リザーバーキャップおよび電気的配線)
リザーバーキャップは、電気的入力配線および電気的出力配線に、作動可能に(すなわち、電気的に)接続されて、リザーバーキャップを通る電流の流れを容易にする。有効量の電流が配線およびリザーバーキャップを通して印加される場合、このリザーバーキャップの温度は、抵抗加熱に起因して局所的に上昇し、そしてリザーバーキャップ内で発生される熱は、このリザーバーキャップが伝熱的にアブレーション(すなわち、破壊)されるために十分な温度まで上昇する。
【0047】
本明細書中において使用される場合、「リザーバーキャップ」とは、リザーバーの内容物をこのリザーバーの外側の環境から分離するために適切な、膜、薄膜、または他の構造体をいう。このキャップは、一般に、リザーバーの開口部にわたって自己支持するが、支持構造体(例えば、梁、メッシュなど)が、リザーバーキャップに内部または上に構築され得る。次いで、リザーバーキャップを選択的に除去することによって、このリザーバーの内容物が環境に曝露される。本明細書中において使用される場合、用語「環境」とは、リザーバーの外側の環境をいい、移植部位の生物学的流体および組織、ならびに本明細書中に記載される作動水ステムを組み込むデバイスの保存またはインビトロでの使用の間に存在する空気、流体、粒子が挙げられる。
【0048】
リザーバーキャップおよび配線は、電気伝導性の材料を含む。リザーバーキャップは、既知の電気抵抗を提供するように選択される、種々の材料から作製され得る。電気抵抗Rは、以下の式によって表され得る:
R=ρl/wt 式1 ここで、ρは、材料の低効率であり、wは、導体の幅であり、tは、導体の厚さであり、そしてlは、導体の長さである。
【0049】
配線(すなわち、トレース)は、代表的に、それらの電気抵抗を最小にするように作製される。従って、配線の長さおよび抵抗率は、望ましくは、最小化され、一方で、厚さおよび幅は、望ましくは、最大にされる。1つの実施形態において、配線は、金から構成される。他の特定のトレース形成材料としては、白金、銅、アルミニウム、および銀が挙げられる。
【0050】
リザーバーキャップの特性は、同様に規定される。このキャップの電気抵抗は、その幾何学的形状によって制御され得るが、その物理的特性は、デバイスの電力効率を増加させるべきである。一般に、電気抵抗性の材料が選択され、その結果、最適な量の電力が、リザーバーキャップにおいて、熱に変換される。効率のピークは、非常に低い抵抗率のリザーバーキャップと非常に高い抵抗率のリザーバーキャップとの、2つの比較的低い抵抗率の構成の間で生じる。非常に低い抵抗率のリザーバーキャップは、単位電力あたり小さい温度増加を生じる。なぜなら、抵抗加熱の発生が制限されるからである。対照的に、非常に高い抵抗率のリザーバーキャップは、デバイスを通る電流の量を減少させ、従ってまた、単位電力あたり小さい温度増加を生じる。これらの両極端の間に、好ましい効率の領域が存在する。他の重要な物理的特性は、温度拡散率、熱伝導性、および融解温度である。低い温度拡散率および伝導性を有するリザーバーキャップは、リザーバーキャップに熱を保持し、このキャップを破壊するために、低いエネルギーがこのリザーバーキャップにおいて発生することを必要とする。さらに、より低い融解温度を有する材料から構成され、その材料が配線を形成するリザーバーキャップは、このキャップを破壊するために、低いエネルギーを必要とする。さらなるパラメータとしては、降伏強度および破壊強度、ならびに熱膨張係数のような、物理的特性が挙げられる。
【0051】
いくつかの実施形態において、リザーバーキャップを通しての、このキャップに接続された入力配線および出力配線を介する電流の印加は、リザーバーキャップの温度を、配線の温度と比較して優先的に上昇させる。
【0052】
適切なリザーバーキャップ材料の代表的な例としては、当該分野において公知であるような、金、銅、アルミニウム、白金、白金、チタン、パラジウム、種々の合金(例えば、Au/Si、Au/Ge、Pt−Ir、Ni−Ti、Pt−Si、SS 304、SS 316)、および不純物をドープされて電気伝導性を増加されたケイ素が挙げられる。1つの実施形態において、リザーバーキャップは、薄い金属箔の形態である。別の実施形態において、リザーバーキャップの電気伝導性材料は、ホウ素をドープされたケイ素である。
【0053】
1つの実施形態において、リザーバーキャップは、複数の層構造体の一部分である。1つの実施形態において、リザーバーキャップは、複数の金属層(例えば、白金/チタン/白金の多層/積層構造体)から作製される。例えば、頂部層および低部層は、リザーバーキャップ上の接着層(代表的に、リザーバーキャップの一部分のみを覆う)として選択されて、リザーバーキャップが、リザーバー開口の周りの基板領域と、誘電性上層との両方と接着/結合することを確実にし得る。1つの特定の例において、この構造体は、チタン/白金/チタン/白金/チタンであり、ここで、頂部層および底部層は、接着層として働き、そして白金層は、主要な中心のチタン層に、余分の安定性および保護を提供する。これらの層の厚さは、例えば、中心のチタン層については約300nm、白金層の各々については約15nm、そして接着チタン層については約10nmと15nmとの間であり得る。
【0054】
金属配線は、標準的な沈着技術を使用して、リザーバーキャップに接続され得る。他の実施形態において、配線およびリザーバーキャップは、同じ材料から、同じプロセス工程で製造される。
【0055】
(設計構成)
電流が印加される場合にリザーバーキャップの温度を局所的に上昇させるための、いくつかの適切なアプローチが存在する。
【0056】
1つの実施形態において、作動システムは、リザーバーキャップの各々への伝導性配線を備え、ここで、これらの配線およびキャップは、同じ材料から形成される(例えば、同じプロセス工程の間に)。この実施形態の1つの例は、図1Aおよび1Bに示されており、これらは、単純化のために、基板部分における1つのみのリザーバーを示す(本明細書中には示されないが、基板、すなわちデバイスは、2つ以上のリザーバーを有し得る)。具体的には、このデバイスは、リザーバー12を有する基板10を備え、このリザーバーは、リザーバーキャップ16によって閉じられる。基板の表面上に適用される伝導性材料14が、リザーバーキャップ16、入力配線18、および出力配線20を形成する。リザーバーキャップを破壊するために、リザーバーキャップの温度は、リザーバーキャップが基板より熱伝導性が低い媒体と接触される(例えば、デバイスが配置される)場合に、伝導性材料を通して電流を印加することによって、局所的に上昇する。等しい量の熱が、配線およびリザーバーキャップにおいて発生するが、配線において発生する熱は、基板内に分散し、そしてこの基板を通って分散する。リザーバーキャップが懸濁される媒体が基板より熱伝導性が低い場合、リザーバーキャップの温度は、配線と比較して、優先的に上昇する(例えば、基板が、配線の下の熱だめとして働く)。
【0057】
別の実施形態において、リザーバーキャップおよび配線は、異なる幅または厚さを有し、リザーバーキャップの局所的加熱を引き起こす。1つのバージョンにおいて、リザーバーのキャップおよび配線は、同じ厚さを有し、そしてリザーバーキャップは、配線より小さい幅を有する。このバージョンの例は、図2Aおよび2Bに示されており、これらの図は、リザーバーキャップ16によって閉じられたリザーバー12を有する基板10を示す。基板の表面に適用された伝導性材料14は、リザーバーキャップ16、入力配線18、および出力配線20を形成し、ここで、リザーバーキャップ(W)を形成する伝導性材料の部分は、配線を形成する伝導性材料の部分の幅(W)よりかなり幅が小さい。好ましくは、配線の幅:キャップの幅は、2:1以上である(W:W≧2:1)。別のバージョンにおいて、リザーバーキャップは、配線より小さい厚さを有する。このバージョンの例は、図3Aおよび3Bに示されており、これらの図は、リザーバーキャップ16によって閉じられたリザーバー12を有する基板10を示す。基板の表面に適用された伝導性材料14は、リザーバーキャップ16、入力配線18、および出力配線20を形成し、ここで、伝導性材料の、リザーバーキャップを形成する部分の厚さ(H)は、伝導性材料の、配線を形成する部分の幅(H)よりかなり小さい。好ましくは、配線の厚さ:キャップの厚さは、2:1以上である(すなわち、H:H≧2:1)。これらの「首状の」設計は、配線を横切り、そしてリザーバーキャップを通しての電流の印加の際に、リザーバーキャップの局所的な加熱を引き起こす、これは、配線に対するリザーバーキャップの電流の方向での断面積の減少から生じる、増加した電流密度に起因する。
【0058】
なお別の実施形態において、リザーバーキャップは、配線を形成する材料とは異なる材料から形成され得る。これらの材料は、他の様式で破壊されるより低い電力で、リザーバーキャップの破壊を促進する材料特性を利用するように選択され得る(例えば、融解による破壊については、低いTが望ましく、または熱ショックによる破壊については、脆い材料が望ましくあり得る)。1つのバージョンにおいて、リザーバーキャップは、最適な料の電力がリザーバーキャップ内で熱に変換されるような電気抵抗を有する材料を使用して、作製される。別のバージョンにおいて、リザーバーキャップは、配線を形成する材料の融点とは異なる(すなわち、より高いかまたはより低い)融点を有する材料から形成され得る。例えば、配線は、金(これは、約1064℃で融解する)から形成され得、そしてリザーバーキャップは、金とケイ素との交渉複合材料(これは、約363℃で融解する)から形成され得る。なお別のバージョンにおいて、リザーバーキャップは、配線より低い温度拡散率または熱伝導率を有する材料から形成されて、リザーバーキャップに熱を保持し得る。例えば、配線は、金(これは、約300W/m・Kの熱伝導率を有する)から形成され得、そしてリザーバーキャップは、チタン(これは、約20W/m・Kの熱伝導率を有する)から形成され得る。これらの実施形態の種々の組み合わせが、使用され得る。この実施形態の一例は、図4Aおよび4Bに示されており、これらの図は、リザーバーキャップ16によって閉じられたリザーバー12を有する基板10を示す。伝導性材料14およびリザーバーキャップ材料22は、基板の表面に適用され、そしてリザーバーキャップ16、入力配線18、および出力配線20を形成する。入力配線18および出力配線20は、リザーバーキャップ16を構成するリザーバーキャップ材料22に電気的に接続される。
【0059】
電気効率は、リザーバーキャップを基板から熱的に隔離することによって、改善され得る。基板への熱の損失の量を減少させることによって、リザーバーキャップを熱的に破壊するための電気エネルギーの量が減少される。熱的な隔離を達成するための1つの方法は、リザーバーキャップを、誘電性材料の棚上に製造することである。この棚は、リザーバーキャップを支持するための構造体として働き、同時に、基板への熱損失を大いに減少させる。図6および7を参照のこと。この誘電性材料の全体的な厚さの例示的な値は、0.1μm〜10μmの範囲である。次いで、誘電性材料は、デバイスの作動の前に、すぐ下にあるリザーバーキャップから除去される。適切な誘電性材料の例としては、二酸化ケイ素、窒化ケイ素、および炭化ケイ素が挙げられる。
【0060】
1つの実施形態において、誘電性材料(例えば、窒化ケイ素または二酸化ケイ素)は、基板上に沈着される。リザーバーは、湿式異方性エッチングのような方法によって、基板に形成される。次いで、リザーバーキャップおよび配線が、沈着および選択的エッチングによって、形成される。次いで、誘電性材料が、選択的方法(例えば、レーザー誘導化学エッチング)によって、リザーバーキャップのすぐ下で除去され、図6に示されるような構成を与え、この図は、リザーバーキャップ16によって覆われたデバイスリザーバー12を示し、これは、誘電性材料層13によって、基板10から熱的に隔離され、かつ電気的に絶縁されている。別の実施形態において、窒化ケイ素のような誘電性材料は、ケイ素基板上に沈着される。次いで、この材料は、将来のリザーバーキャップの位置において選択的に除去される。次いで、二酸化ケイ素(「サーマルオキシド」)は、基板上で熱的に成長される。この工程は、珪素基板との化学反応を包含するので、サーマルオキシドは、窒化珪素が除去された領域にのみ存在する。次いで、リザーバーがエッチングされ、そしてリザーバーキャップおよび配線が、上記のように形成される。次いで、サーマルオキシドは、窒化ケイ素以外のものを選択的なエッチング工程において、リザーバーキャップの下から除去される。この型のエッチング工程の例は、緩衝化されたフッ化水素酸への浸漬である。このプロセスは、上記プロセスより優れた利点を有する。なぜなら、このプロセスは、誘電性材料を各リザーバーキャップの下から引き続いて除去することを必要としないからである。すなわち、このプロセスは、誘電性材料が、基板上の全てのリザーバーキャップから、1回のエッチング工程で除去されることを可能にする。なお別の実施形態において、窒化ケイ素のような誘電性材料が、基板上に沈着される。次いで、この材料は、将来のリザーバーキャップの位置で部分的に除去される。次いで、リザーバーがエッチングされ、そしてリザーバーキャップおよび配線が、上記のように形成される。次いで、誘電性材料が、時限式リアクティブイオンエッチング(RIE)のような方法によって、基板の裏から薄くされる。この工程は、リザーバーキャップの底部が露出するまで実施され、図7A〜Bに示されるような構成を与える。これらの図は、リザーバー12(底部内側表面11を有する)を備える基板10を備えるデバイスの一部分を示し、ここで、リザーバーキャップ16は、このリザーバーを覆い、そして入力配線18および出力配線20と集積して形成されており、そして誘電性材料の層13が、リザーバーキャップ/配線を形成する伝導性材料と基板との間に介在する。
【0061】
なお別の実施形態において、これらのサーマルオキシドの層が、窒化ケイ素の沈着の前に、ケイ素基板上で成長される。次いで、これらのリザーバーが、深リアクティブイオンエッチングの方法によって、基板の裏からエッチングすることによって、形成される。このエッチング工程は、二酸化ケイ素ではないものを選択的であり、そしてサーマルオキシド層で停止する。次いで、サーマルオキシドが、緩衝化されたフッ化水素酸中への浸漬によって、除去され得る。なお別の実施形態において、リザーバーキャップは、半導体または金属の材料と共に、誘電性材料の複合スタックによって支持され、さらなる構造的支持を提供する。この複合スタックの全厚さの例示的な値は、0.1μm〜100μmの範囲である。このスタックの頂部層は、望ましくは、電気絶縁体であり、リザーバーキャップと支持棚との間での電流の流れを防止する。
【0062】
(他の特徴)
さらなる実施形態において、配線および/またはリザーバーキャップが、別の材料によって、カプセル化されるか、または部分的にかもしくは完全に少なくとも片側で、多層構造体が提供される。例としては、結晶性構造またはアモルファス構造のいずれかを有する、ポリマー不動態層(例えば、PTFE、パリレン)、ならびに酸化物、炭化物、および窒化物の誘電体が挙げられる。
【0063】
1つの実施形態において、この他の材料は、誘電性材料(例えば、二酸化ケイ素)である。誘電性層の組成および寸法は、活性化エネルギーが、リザーバーキャップと誘電性層との両方を破壊するために十分であるように選択される。誘電性層は、リザーバーキャップおよび配線を環境から熱的に隔離し得、これによって、リザーバーキャップにおける、電気エネルギーの熱エネルギーへの変換の効率が増加され得る。さらに、誘電性材料は、保護的障壁として働き得、リザーバーキャップと環境との間、および/またはリザーバーキャップとリザーバー内容物との間での、望ましくない接触または反応(例えば、酸化)を減少させるか、または排除する。いくつかの実施形態において、誘電性材料は、リザーバーキャップ材料を不動態化し得る。他の実施形態において、誘電性材料は、強度、生体適合性、生体安定性、および/または空気遮断性を増加させ得る。1つの実施形態において、リザーバーキャップと接触した誘電性材料は、リザーバーキャップに対する機械的支持を提供する構造体を作製するように、形成またはパターン化される。
【0064】
1つの実施形態において、このデバイスは、基板において二次元アレイに位置決めされた、少なくとも4つ以上のリザーバーを備える。例えば、これらのリザーバーは、正方形の行列上に、基板において配列され得、リザーバーキャップの入力側は、行によって平行に電気的に接続され、そしてリザーバーキャップの出力側は、列によって平行に電気的に接続される。この実施形態の1つの例は、図5Aおよび5Bに示されており、これらの図は、行32aおよび32bならびに列34aおよび34bを形成する、導体材料14を示す。導体材料14はまた、入力配線18、出力配線20、およびリザーバーキャップ16を形成する。相互接続された行および列をなお使用する代替の設計において、リザーバーキャップは、配線(または導体材料の行もしくは列)とは異なる材料から形成される。絶縁材料30が、列および行の交点に提供されて、回路の短絡を防止する。図5Bに示されるように、絶縁材料は、列の上側表面と行の下側表面との間に提供され得る。この実施形態は、I/O要求が有意に低下した、行列アドレスされるアレイ(matrix−addressed array)を提供する。
【0065】
図5Aおよび5Bに示されるように、電気伝導性リザーバーキャップは、アレイの行と列との間の電気的接続を形成する。指定された行および列に電圧/電流を印加して、リザーバーキャップを行と列との交点において活性化する場合、これらの接続は、電流を、他のリザーバーキャップに通して流す。任意のアドレスされていないキャップ(すなわち、特定の時点で開くように選択されていないリザーバー)を通る電流の大きさは、アドレスされているリザーバーキャップ(すなわち、特定の時点で開くように選択されたリザーバー)に対するその接近、ならびにリザーバーキャップおよび入力/出力配線(配線、行および列)の抵抗率のような要因に依存する。リザーバーキャップが破壊されると入力配線と出力配線との間の開回路が作製される場合、アドレスされていないリザーバーキャップを通る電流が増加する。アドレスされたキャップの位置に依存して、アドレスされていないキャップを通る電流は、このキャップが破壊されるために十分に増加し得る。この問題は、アドレスされたリザーバーキャップが、行または列における最後から2番目のキャップである場合に最も起こりやすい。なぜなら、その行または列における最後のキャップを通る意図されない電流が、比較的大きいからである。意図されない破壊の問題は、例えば、さらなる伝導性経路を備えるように設計を変更することによって、防止され得る。例えば、さらなる行およびさらなる列がアレイに追加され得、そして接続要素が、交点の各々において追加され得る。これらは、リザーバーキャップと同じ材料から作製され得るが、リザーバーを覆って位置しない。これらのさらなる導体の目的は、作動可能なリザーバーキャップがその行または列における最後のキャップになり、従って、比較的大きい意図されない電流にさらされることを防ぐことである。別のアプローチにおいて、リザーバーキャップの不注意な破壊は、破壊されるが、入力配線と出力配線との間に開回路を作製しない(すなわち、本質的に同じ電気抵抗を保持する)キャップを使用することによって、防止され得る。しかし、この構成は、抵抗測定によってリザーバーの開放を確認することを妨げ得る。
【0066】
行におけるアドレスされていないリザーバーキャップを通る電流の通過が望ましくない適用が存在し得る。例えば、リザーバー内の薬物分子は、温度感受性であり得、そして発生する熱がこれらの分子の安定性に影響を与え得る。整流要素(例えば、ダイオード)の、各リザーバーキャップとシリアルの接続での追加が、意図されない電流を排除するために使用され得る(このような特徴は、例えば、米国特許第4,089,734号の図6、および米国特許第6,403,403号の図1に示されている)。ダイオードは、半導体結合ダイオード、またはSchottkyバリアダイオードであり得る。ケイ素基板が、制御放出デバイスにおいて使用される場合、この基板および整流要素は、集積して形成され得る。半導体に不純物を導入してその導電率および多数の電荷キャリア(例えば、拡散またはイオンインプランテーション)を改変するプロセス、ならびに半導体接点のための金属を作製するプロセスは、周知である。これらは、マイクロチップ製造プロセスに組み込まれ得る。あるいは、リザーバーキャップの特異的な作動は、可溶性リンクのメモリアレイについて米国特許第4,209,894号に記載されるように、各リザーバーキャップとのトランジスタの集積化によって達成され得る。1つの実施形態において、このような行列アプローチは、トランジスタを用いて達成される。トランジスタがマイクロチップ基板上に組み込まれる場合、他の能動電子コンポーネント(例えば、マルチプレックススイッチ)もまた、必要に応じて、マイクロチップに組み込まれ得る。
【0067】
1つの実施形態において、トランジスタ論理が、デマルチプレクサを構築するために使用され、ここで、いくつかの導体に保有されるバイナリー信号がデコードされ、そして活性化信号を特定のリザーバーに経路付けるために使用される。別の実施形態において、トランジスタ論理は、シフトレジスタを構築するために使用され、ここで、単一の導体上の一連のパルスがデコードされ、そして活性化信号を特定のリザーバーに経路付けるために使用される。
【0068】
マイクロチップ上の半導体コンポーネントの集積化は、マイクロチップから外部エレクトロニクスへの接続の数を大いに減少させる。例えば、個々にアドレスされる400のリザーバーを備えるマイクロチップは、400の相互接続、およびリターン電流のための1つの共通接続を必要とする。行列アドレシングアプローチを使用することによって、相互接続の数が40に減少され、この40のうち、20が行接続であり、20が列接続である。集積化されたデマルチプレクサを使用することによって、相互接続の数は12に減少され、これは、9のアドレシング入力(9桁の二進数は、400を超えるリザーバーをアドレスするために使用され得る)、活性化信号入力、ならびに電源接続および接地接続から構成される。集積化されたシフトレジスタを使用することによって、シリアル入力、クロック信号、ならびに電源接続および接地接続のみが必要とされる。この例において、半導体集積化は、必要とされる相互接続の数を2桁減少させる。
【0069】
(電力源および活性化手段)
制御された放出または曝露のためのデバイスは、電流を、電気的入力配線、電気的出力配線、およびこれらの間に接続されたリザーバーキャップに通して、このリザーバーキャップを破壊するために有効な量で印加するための、電力の供給源を備える。電力は、バッテリまたは(バイオ)燃料電池によって局所的にか、あるいは例えば、米国特許出願番号2002/0072784に記載されるように、無線伝達によって、リザーバー開放システムに供給され得る。電力源の選択のための基準としては、小さい大きさ、充分な電力容量、活性化手段と一体化される能力、蓄電される能力、および蓄電が必要とされる前の時間の長さが挙げられる。バッテリは、別個に製造され得るか、または送達デバイスに組み込まれ得る。
【0070】
電流を制御し、そして電源から送達するために必要とされる、ハードウェア、電気コンポーネント、およびソフトウェアは、本明細書中で、「活性化手段」と称され得る。活性化手段は、リザーバーの開放を容易にし、そして制御する。活性化手段は、代表的にマイクロプロセッサを備える。1つの実施形態において、リザーバー開放システムの作動は、オンボード(例えば、移植可能なデバイス)のマイクロプロセッサによって、制御される。別の実施形態において、単純な状態マシンが使用される。なぜなら、このマシンは代表的に、マイクロプロセッサより単純であり、より小さく、そして/または低い電力を使用するからである。
【0071】
例えば、1つの実施形態において、マイクロチップ薬物送達デバイスは、そこに配置されたリザーバーの二次元アレイを有する基板、これらのリザーバーに含まれる薬物分子を含有する放出系、リザーバーの各々を覆う、電気伝導性材料を含むかまたはこの材料から構成されるリザーバーキャップ、各リザーバーキャップに接続された1対の伝導性配線(すなわち、入力配線および出力配線)、電力の供給源(例えば、バッテリまたはコンデンサ)、ならびに電源からリザーバーキャップを通り、配線を介して電流を選択的に方向付けるための活性化手段を備える。この電源は、リザーバーキャップを破壊し、従って、選択されたリザーバーを開き、そして送達のために、例えば、移植部位へと、薬物分子を放出するめに効果的な電流を提供する。
【0072】
活性化手段は、一般に、入力源、マイクロプロセッサ、タイマー、デマルチプレクサ(またはマルチプレクサ)を備える。1つの実施形態において、タイマーおよび(デ)マルチプレクサの回路構造は、製造の間、設計され得、そして基板の表面上に直接組み込まれ得る。
【0073】
これらのマイクロプロセッサは、電力を、示されるように、例えば、EPROM(消去可能なプログラム可能なリードオンリーメモリ)、遠隔制御器、またはバイオセンサによって、特定のリザーバーキャップに方向付ける。種々の実施形態において、マイクロプロセッサは、予め選択された時点で、または信号もしくは測定されたパラメータの1つ以上に応答して、リザーバーキャップの破壊を開始するようにプログラムされる。例えば、リザーバーが開かれるべき時刻、およびリザーバーの位置またはアドレスを含む、プログラムされた一連の事象は、使用者によって、EPROMに記憶される。曝露または放出のための時刻が、タイマーによって示されるように達成されると、マイクロプロセッサは、特定のリザーバーのアドレス(位置)に対応する信号を、デマルチプレクサに送信する。デマルチプレクサは、入力(すなわち、電流)を、マイクロプロセッサによってアドレスされたリザーバーに経路決定する。他の例において、リザーバーキャップの破壊は、別のデバイスからの信号の受信(例えば、遠隔制御器または無線方法による)に応答するか、またはバイオセンサのようなセンサを使用する特定の状態の検出に応答する。
【0074】
マイクロプロセッサの選択基準は、小さい大きさ、低い電力要求、およびメモリソース、信号受信器、またはバイオセンサから、マルチプレクサを通して送達デバイスの特定のリザーバーへの、電力の方向についてのアドレスへの出力を変換する能力である。マイクロプロセッサ(例えば、メモリソース、信号受信器またはバイオセンサ)への入力の源の選択は、マイクロチップデバイスの特定の適用、およびデバイス作動が予めプログラムされているか、遠隔手段によって制御されているか、もしくはその環境からのフィードバックによって制御されているか(すなわち、バイオフィードバック)に依存する。
【0075】
必要に応じて、活性化手段は、出力信号を提供し得る。デバイスからの出力信号は、必要であれば適切な回路構造によって条件付けされた後に、マイクロプロセッサによって獲得される。文政および処理の後に、出力信号は、書き込み可能なメモリチップに記憶され得、そして/またはマイクロチップデバイスもしくは他の制御送達デバイスから離れて、遠隔の位置に送信され得る(例えば、無線によって)。
【0076】
任意の実施形態において、リザーバーキャップへの電流は、リザーバー開口部での気泡形成(これは、防止されなければ、リザーバーキャップの破壊の後に電流経路が残り(すなわち、完全な開回路ではない)、そして電流がリザーバーキャップの残りの部分を通って流れ続ける場合にいくつかの場合において生じる)を防止することが必要である場合に、リザーバーキャップの破壊の直後に遮断するように設計され得る。代替の実施形態において、リザーバーキャップの破壊後に、部分的な回路(例えば、リザーバー開口部の周囲の周り)が残ることが望ましくあり得る。
【0077】
1つの実施形態において、リザーバーデバイス/開放システムは、開電気回路を規定してリザーバーの破壊を確認するために、電気的コンポーネントまたはシステムを、破壊されるべきリザーバーキャップの配線の間に備える。
【0078】
電源、マイクロプロセッサ、EPROM、タイマー、(デ)マルチプレクサ、および他のコンポーネントの製造、大きさおよび位置は、特定の適用の要件に依存する。1つの実施形態において、メモリ、タイマー、マイクロプロセッサ、および(デ)マルチプレクサの回路構造は、マイクロチップの表面に直接集積化される。そのバッテリは、このマイクロチップの他方の面に取り付けられ、そしてバイアまたは細いワイヤによって、このデバイス回路に接続される。しかし、いくつかの場合において、メモリ、タイミング、処理、およびデマルチプレクシングのための、別個の、予め作製されたコンポーネントチップを使用することが可能である。1つの実施形態において、これらのコンポーネントは、マイクロチップデバイスの背面に、バッテリと共に取り付けられる。別の実施形態において、コンポーネントチップおよびバッテリは、例えば、マルチチップモジュール(MCM)およびハイブリッド回路パッケージにおいてなされる場合と同様に、マイクロチップデバイスの前面または隣に配置される。使用される予め作製されるチップの大きさおよび型は、マイクロチップデバイスの全体の寸法およびリザーバーの数、ならびに適用のために必要とされる制御の複雑さに依存する。
【0079】
(代表的な実施形態)
本明細書中に記載されるリザーバー開放システムおよび方法を使用するために作製され得るデバイスの多数の実施形態は、以下の非限定的な図示および説明を参照して、理解され得る。
【0080】
図8は、本明細書中に記載される電熱アブレーション放出系を利用するデバイスの1つの実施形態の一部分を示す。デバイス50は、基板52を備え、これは、4つのリザーバーを有し、これらのうちの2つのみ(54aおよび54b)が(断面で)示されている。リザーバーキャップ58a、58b、58c、および58dは、リザーバーを覆い、そして各リザーバー内に貯蔵/隔離されているリザーバー内容物56を隔離する。シーリング層80は、リザーバーキャップの遠位でリザーバーを収容する場合(リザーバーの底部表面が側壁と一体的に形成されている位置(例えば、リザーバーが基板内に形成されるが、基板を通って延びない場合)、およびリザーバーの充填が、リザーバーを覆ってのリザーバーキャップの適用の前に行われる場合は、別個のシーリング層が必要とはされないことが、注目される)。各リザーバーキャップは、電気的に接続されて、1対の配線と集積して形成される:リザーバーキャップ58aは、入力配線(これは示されていない)および出力配線62aに接続され、リザーバーキャップ58bは、入力配線60bおよび出力配線62bに接続され、リザーバーキャップ58cは、入力配線60cおよび出力配線62cに接続され、そしてリザーバーキャップ58dは、入力配線60dおよび出力配線62dに接続される。これらの配線は、リザーバーキャップの各々を通しての電流の印加のために、電力の供給源70に接続される。表面72は、絶縁体である。
【0081】
1つの実施形態において、本明細書中に記載されるリザーバー開放デバイス/方法は、皮下薬物送達のための移植可能な医療デバイスに組み込まれて、薬物を皮下領域に放出し、この薬物は次いで、局所的な組織内または体液を含む構造体内(例えば、心臓血管系、リンパ系、呼吸系、消化系、中枢神経系(脳脊髄液)、非尿生殖器系、または眼が挙げられる)に拡散する。このデバイスを用いて、薬物は、これらの組織もしくは構造体または構造体内の流体の1つ以上を措置するために投与され得るか、あるいはこれらの組織または構造体を通して、遠位の処置位置または細胞結合部位に移送され得る。
【0082】
別の実施形態において、本明細書中に記載されるリザーバー開放デバイス/方法は、薬物の供給源(例えば、リザーバー)と目的の特定の流体含有構造体との間の直接の連絡を提供し、その結果、薬物が放出される場合、この薬物が皮下領域と接触することなく流体に入る、移植可能な医療デバイスに組み込まれる。これは、例えば、皮下空間での放出が炎症、刺激、他の組織損傷/不全を引き起こすか、または流体含有構造体に非常にゆっくりと拡散するのでこの流体内で効果的な濃度に達成しない(例えば、クリアランス機構に起因して)場合に、薬物を投与するために有用であり得る。例えば、このデバイスは、治療剤を1つ以上の体腔または組織管腔(鞘内空間、頭蓋内空間、腹/腹腔空間(例えば、癌治療、子宮内膜症治療のため)、胸部空間(例えば、肺癌の処置における薬物の局所的投与のため)、心膜内空間(例えば、心膜炎、不整脈を処置するため)、腎臓空間、または肝臓空間が挙げられる)に直接放出し得る。例えば、基板は、流体含有構造体に適合する形状(例えば、血管内に位置するための管状、膀胱内に浮遊するための丸い浮力のあるもの、または眼に適合するように湾曲したもの)を有し得る。リザーバーキャップを作動させるために必要とされる制御回路および電源は、流体含有構造体の外側または内側の制御モジュールに位置し得る。制御モジュールが流体含有構造体の外側に位置する場合、リザーバーキャップに接続するために、導電体が使用され得る。
【0083】
図10は、目的の組織管腔または構造体に挿入され得、そして1つ以上の薬物含有リザーバー84が内部に(例えば、カテーテルの遠位部分83に)作製された、カテーテル82を備える医療デバイス80の1つの実施形態を示す。このカテーテルの本体は、例えば、ソフトリソグラフィーまたは当該分野において公知の他の技術を使用して、リザーバーが作製される基板として働く。例えば、数十個または数百個の微小リザーバーが、カテーテル本体の周囲に、遠位先端部分においてアレイ状に配置され得る。これらのリザーバーは、伝導性のリザーバーキャップによって空気遮断的にシールされ、これらのリザーバーキャップは、電源に電気的に接続されており、そして本明細書中に記載されるような伝熱アブレーションによって外され得る。有利なことに、電源および制御ハードウェア86は、カテーテル85の近位端に位置し得、その結果、これらは、送達部位でフィットされる必要も配置される必要もない。電気トレースが、カテーテル本体内に構築され得るか、またはカテーテル本体の内側表面もしくは外側表面に支持され得る。米国特許出願番号2002/0111601を参照のこと。この米国特許出願は、カテーテル型の移植可能な医療デバイスの1つの実施形態を開示したが、このデバイスは、本明細書中に記載される伝熱アブレーションシステムとは異なるリザーバー開放技術を利用する。図11A〜Cは、リザーバー92が基板/カテーテル本体94を有するカテーテル先端部分90を示し、ここで、リザーバーは、治療剤95を含み、そして伝導性リザーバーキャップ96で覆われており、これらのリザーバーキャップの各々は、それぞれ、入力電気配線98および出力電気配線99に接続されている。
【0084】
必要に応じて、カテーテルは、近位端部と遠位端部との間に延びる、内部流体通路を有し得る。この流体通路は、注入ポンプおよびリザーバー(例えば、治療流体を含む再充填可能なリザーバー)と連絡し得、その結果、このデバイスは、治療流体を、この通路を通して送達部位へと送達し得る。1つの実施形態において、このポンプは、皮下ポケットにおいて腹側に配置され、そしてカテーテルは、脊椎の鞘内空間内に挿入され、皮膚の下をくぐり、そしてポンプに接続される。このような実施形態は、例えば、慢性疼痛の管理において、または痙性治療のために、使用され得る。薬物含有リザーバーのマイクロアレイは、(i)カテーテルの本体の表面もしくは内部に提供され得るか、(ii)カテーテルの近位短に位置する基盤デバイス内に提供され得、そしてマイクロアレイ開口部を横切ってポンピングされる注入流体中に薬物を放出して、流体/薬物混合物を形成し、この混合物は、カテーテルの流体通路を通してポンピングされ得るか、または(iii)これらの組み合わせであり得る。
【0085】
1つの実施形態において、カテーテルの遠位先端部分は、薬物放出の所望性または必要性を示す患者の状態を検出するための、1つ以上の生物学的センサを備える。これらのセンサは、カテーテル本体の先端部分から延び得るか、またはこの先端部分の表面上にあり得るか、あるいは1つ以上のリザーバー内に配置され得る。1つのバージョンにおいて、このデバイスは、インビボの第一の部位での移植のための遠位端部分のセンサを有する1つのカテーテル、およびインビボの第二の部位での移植のための遠位端部分に薬物含有リザーバーを有する第二のカテーテルを備え得る。これらのカテーテルの近位端は、インビボの第三の部位で、制御ハードウェアに接続される。例えば、EKG信号が、制御モジュールに伝達され得、ここで、この信号は分析され、冠状脈の虚血の発生を認識し得る。このような情報を使用して、種々の循環と直接連絡する薬物送達システムから種々の循環内への血栓崩壊性薬剤の放出を判断し得る。血栓崩壊剤は、現在、静脈内注射によって送達される。なぜなら、これらは、皮下領域に放出され得ないからである。別の例において、センサは、患者の脚部または腕部の脈拍をモニタリングする。このようなセンサを使用して、領域への血管拡張薬の放出(代表的には、動脈を通り、脈拍が減衰した場合に循環を改善する)を判断し得る。この設計は、末梢血管疾患に罹患する患者を処置する際に、価値がある。なぜなら、これらの患者は、実用的な送達系が利用可能ではないので、現在、血管拡張薬を用いて処置されるからである。
【0086】
なお別の実施形態において、薬物含有リザーバーは、流体含有組織構造体の外側に位置する。この構成は、(i)リザーバー(開いた場合)と組織構造体との間での流体連絡を提供する、1つ以上のチャネル、および(ii)体液が作動前に薬物と接触することを防止するためにリザーバーキャップを備える。このチャネルには、異なる流体が満たされえ、これらの流体は、薬物と適合性であり、その結果、リザーバーキャップが作動される場合、この流体は、流体含有構造体内への薬物の放出を容易にし得る。
【0087】
図9A〜Cは、球形状の移植可能デバイスの1つの実施形態を示す。デバイス100は、上部ケース部分102および下部ケース部分104を備える。これらの半球状部分は、シール106において一緒に接合されて、球状のケースを形成する。ケース部分102、106は、内部にリザーバー118が形成される基盤として働く。各部分は、チタンまたは(空気遮断性が必要とされない場合には)ポリマーから作製され得る。電極対108が、このケースを貫通し、入力配線112、出力配線114、およびリザーバーキャップ110(これは、このケースの外側表面上に位置する)を、制御エレクトロニクスおよび電源システム(包括して120)(これらは、ケースの内側に位置する)に、作動可能に接続する。このリザーバーリザーバー118Aおよびリザーバーシール116によって示されるように基板内にのみ存在し得るか、またはこのリザーバーは、リザーバー118Bおよびリザーバーシール/延長部分116bによって示されるように、基板を越えてケース内に延びる補充部分を備え得る。代替の実施形態(これは、図示されない)において、リザーバーは、基板全部を通って延びない(例えば、リザーバーの充填およびシールが、ケースの外側の同じ側から実施される実施形態において)。可能なバリエーションを説明するのみの目的で、配線112Aおよび114A、ならびにリザーバーキャップ110Aは、同じ材料から形成されるが、配線112Bおよび114Bは、リザーバーキャップ110Bとは異なる材料から形成される。
【0088】
(製造方法)
デバイスの特定のコンポーネント(例えば、基板、リザーバー、およびリザーバー内容物)を微細加工し、そして組み立てる基本的な方法は、当該分野において公知であり、特に、米国特許第5,797,898号;米国特許第6,123,861号;米国特許出願公開番号2002/0107470;および米国特許出願公開番号2002/051776(これらは、その全体が本明細書中に参考として援用される)に記載される方法である。これらの基本的なデバイスコンポーネントは、本明細書中に記載される電気配線および電気抵抗リザーバーキャップ、ならびに電気的に誘導される熱作動手段を備えるように適合される。
【0089】
1つの実施形態において、ソフトリソグラフィー、微小コンタクトプリンティングなどが使用される。例えば、これらの技術は、配線およびリザーバーキャップを、非平面の基板に形成するために有用であり得る。例えば、米国特許第6,180,239号;同第5,951,881号;同第6,355,198号;および同第6,518,168号を参照のこと。
【0090】
(リザーバーキャップおよび電気配線の製造)
1つの実施形態において、リザーバーキャップおよび配線は、同じ材料から同時に製造される。すなわち、これらは、集積して形成される。例えば、リザーバーキャップおよび配線は、当該分野において公知のフォトリソグラフィーおよび薄膜沈着技術を使用して形成され得る。あるいは、配線およびリザーバーキャップは、予め製造され得、次いで、基板が、リザーバー開口部を横切って設置され得る。
【0091】
他の実施形態において、リザーバーキャップは、配線の衛生および取り付けとは別個の工程において形成される。例えば、リザーバーキャップは、フォトリソグラフィーおよび薄膜沈着技術を使用して、基板上に形成され得、次いで、リザーバーの充填の前または後のいずれかに、配線が、リザーバーと電気的に接触して、基板に追加され得る。これらの配線はまた、リザーバーキャップの形成の前または後に形成され得、ここで、両方が、デバイスの充填の前に形成される。この後者のアプローチは、例えば、薬物の保護を増強するために有用であり得る。
【0092】
1つの例において、リザーバーキャップは、以下のように形成される:フォトレジストが、リザーバーが絶縁材料または誘電性材料の薄膜によって覆われている基板表面上に、リザーバーキャップの形状にパターン化される。このフォトレジストは、リザーバーの覆われた開口部のすぐ上の領域がフォトレジストによって覆われずに残るように、そしてリザーバーキャップの形状で現像される。材料の薄膜が、蒸着、スパッタリング、化学蒸着、溶媒キャスティング、スリップキャスティング、コンタクトプリンティング、スピンコーティング、または当該分野において公知の他の薄膜沈着技術のような方法によって、基板上に沈着される。フィルム沈着の後に、フォトレジストは、基板から剥がされる。これによって、フォトレジストによって覆われていない領域を除いて、沈着したフィルムが除去される(リフトオフ技術)。これにより、基板の表面上に、リザーバーキャップの形状の材料が残る。代替の方法は、材料をデバイスの表面全体にわたって沈着させる工程、紫外(UV)または赤外(IR)フォトリソグラフィーを使用して、この薄膜の頂部にフォトレジストをパターン付けし、その結果、このフォトレジストが、リザーバーキャップの形状でリザーバーの上に載る、工程;およびプラズマ、イオンビーム、または化学エッチング技術を使用して、マスクされていない材料をエッチングする工程を包含する。次いで、フォトレジストが剥がされ、リザーバーを覆う薄膜キャップが残る。リザーバーキャップ材料の代表的なフィルム厚さは、0.05μmと数ミクロンとの間である。
【0093】
リザーバーキャップが配線と同じ材料である場合、配線−リザーバーキャップ層は連続的であり、そして接続も界面も存在しない。リザーバーキャップと配線とが類似しない組成である場合、界面/接続は、金属間接合である。電源への接続は、伝統的なIC手段、フリップチップ、ワイヤ結合、はんだ付けなどによってなされ得る。
【0094】
接着剤層が、基板とリザーバーキャップおよび配線との間の接着を確実にするために、必要であり得る。接着剤層のいくつかの例は、チタン、クロム、およびアルミニウムである。接着剤層を使用するための技術は、当該分野において周知である。
【0095】
(誘電性コーティング)
いくつかの実施形態において、絶縁材料または誘電性材料は、化学蒸着(CVD)、電子線蒸発またはイオンビーム蒸発、スパッタリング、あるいはスピンコーティングのような方法によって、リザーバーキャップ、配線、またはデバイスの表面全体を覆って沈着され、このデバイスを保護するか、または生物安定性/生体適合性を増強する。このような材料の例としては、酸化物、窒化物、炭化物、ダイヤモンドまたはダイヤモンド様材料、あるいはフルオロカーボンフィルムが挙げられる(いくつかの適切な材料は、米国特許出願番号2003/0080085に記載されている(例えば、ナノクリスタルダイヤモンド))。1つの実施形態において、外側層は、単一層、あるいはケイ素酸化物(SiO)、珪素窒化物(SiN)またはケイ素炭化物(SiC)の組み合わせを含む多層/積層構造体を含む。1つの実施形態において、フォトレジストは、誘電体の頂部でパターン付されて、この誘電体が、各リザーバーを覆うリザーバーキャップ上を除いてエッチングされることから保護する。誘電性材料は、物理的または化学的エッチング技術によってエッチングされ得る。このフィルムの目的は、リザーバーキャップおよび配線を、これらが周囲の環境に曝露される必要がない全ての領域において、腐食、分解、または溶解から保護し、電気的に活性なコンポーネントをインビボ環境からシールドし、そしてデバイス材料の生体安定性を増強することである。
【0096】
いくつかの実施形態において、絶縁材料(例えば、ケイ素窒化物(SiN)またはケイ素酸化物(SiO)は、基板と配線との間に、CVD、電子栓蒸発またはイオンビーム蒸発、スパッタリング、あるいはスピンコーティングのような方法によって、沈着される。このフィルムの目的は、基板が電気伝導体である場合に、任意の電気的に活性な配線と基板との間での電気的接触を防止することである。このような電気伝導性絶縁層はまた金属トレースの層の間に沈着される(例えば、リザーバーキャップの行列アドレシングを利用するデバイスにおいてのように、金属トレースが互いの頂部にスタックされなければならない場合)。
【0097】
(パッケージ)
本明細書中に記載される、伝熱アブレーション開放技術を組み込むデバイスは、特定の適用(例えば、患者に移植されるため)について必要とされるように、パッケージまたはシールされ得る。1つの実施形態において、このデバイスは、基板を、パッケージ構造体の1つ以上の表面に溶接することによって、空気遮断シールされる。用語「パッケージ構造体」とは、基板またはリザーバーキャップの放出面のみを露出させるように、基板、制御エレクトロニクス、および電力要素(例えば、バッテリまたは電力の無線伝達を受信するためのデバイス)を収容するための、エンクロージャー、ケーシング、または他の収容デバイスをいう。
【0098】
(伝熱アブレーションによるリザーバー開放システム/デバイスの使用)
本明細書中に記載される制御放出/曝露デバイスおよびシステムは、広範な種々の適用において使用され得る。好ましい適用としては、薬物の制御送達、生体感知、またはこれらの組み合わせが挙げられる。これらの適用のいくつかのための実施形態は、上記例示的な実施形態に記載されており、そして他の実施形態は、以下に詳述される。
【0099】
1つの実施形態において、マイクロチップデバイス(これは、本明細書中に記載される伝熱アブレーションリザーバー下方デバイスを備える)が、局所的、局部的、または全身的な制御薬物送達のために、患者(例えば、ヒトまたは他の脊椎動物)への移植のために提供される。1つの実施形態において、マイクロチップデバイスは、標準的な技術または最小侵襲性移植技術を使用して、インビボで移植され得る。このようなマイクロチップデバイスは、薬物の正確な量、速度、および/または送達の時間を非常に精密に制御する必要がある薬物療法のために特に有用である。例示的な薬物送達的用途しては、強力な分子(例えば、ホルモン(例えば、PTH)、ステロイド、サイトカイン、化学療法剤、ワクチン、遺伝子送達ベクター、抗VEGFアプタマー、および特定の鎮痛剤)の送達が挙げられる。
【0100】
他の実施形態において、本明細書中に記載される伝熱アブレーションリザーバー開放デバイスは、種々の他の型および設計の移植可能なデバイス(例えば、米国特許出願公開番号2002/0111601に記載されるカテーテルおよび電極)に組み込まれる。別の例において、このデバイスは、別の医療デバイスに組み込まれ得、ここで、本発明のデバイスおよびシステムは、薬物をキャリア流体内に放出し、次いで、この流体が、例えば、米国特許第6,491,666号に示されるように、所望の投与部位に流れる。
【0101】
これらのデバイスは、インビボ、インビトロ、および市販の診断の多数の適用を有する。これらのデバイスは、正確に計量された量の分子を送達することが可能であり、従って、インビトロでの適用(例えば、分析化学、薬物発見、および医学的診断)、ならびに生物学的適用(例えば、細胞培養物への因子の送達))のために有用である。なお他の非医学的適用において、これらのデバイスは、香料、色素、または他の有用な化学物質の制御放出のために使用される。分子の制御放出のため、および二次デバイスの制御された曝露および放出のためにデバイスを使用する他の方法は、米国特許第5,797,898号;同第6,123,861号;同第6,527,762号;同第6,491,666号;同第6,551,838号、ならびに米国特許出願公開番号2002/0072784;同2002/0107470;同2002/0151776;同2002/0099359;および同2003/0010808に記載されている。
【0102】
本明細書中で引用される刊行物は、参考として援用される。本明細書中に記載される方法およびデバイスの改変およびバリエーションは、前出の詳細な説明から、当業者に明らかである。このような改変およびバリエーションは、添付の特許請求の範囲の範囲内であることが意図される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書に記載の発明。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−195721(P2009−195721A)
【公開日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−103479(P2009−103479)
【出願日】平成21年4月21日(2009.4.21)
【分割の表示】特願2004−568295(P2004−568295)の分割
【原出願日】平成15年8月15日(2003.8.15)
【出願人】(501228004)マイクロチップス・インコーポレーテッド (12)
【Fターム(参考)】