説明

制御回路、通信システムおよび制御方法

【課題】受信装置の省電力化を図ること。
【解決手段】制御回路130は、光信号を送信する送信装置110と、送信装置110によって送信された光信号をデジタルコヒーレント受信する受信装置120と、を含む通信システム100制御回路である。取得部131は、受信装置120によって受信される光信号の累積波長分散を取得する。波長制御部132は、送信装置110によって送信される光信号の波長を、取得部131によって取得された累積波長分散が所定の条件を満たす波長に設定する。省電力制御部133は、波長制御部132によって光信号の波長が設定された場合に受信装置120を省電力化させる制御を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御回路、通信システムおよび制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、伝送トラフィックの増加に伴い、40[Gbit/s]以上の伝送容量を持つ光伝送システム導入の要求が高まっている。これに対して、従来のNRZ(Non Return to Zero)変調方式に比べて、周波数利用効率、OSNR(Optical Signal Noise Ratio:光信号雑音比)耐力、非線形性耐力などに優れた様々な変調方式が検討されている。
【0003】
たとえば、高分散耐力、高PMD(Polarization Mode Dispersion:偏波モード分散)耐力、狭スペクトルといった特長を持つDQPSK(Differential Quadrature Phase−Shift Keying)変調方式が検討されている。
【0004】
DQPSK変調方式などの更なる特性(OSNR耐力、波長分散耐力)の改善を実現する技術として、コヒーレント受信とデジタル信号処理を組み合わせたデジタルコヒーレント受信方式が検討されている(たとえば、下記特許文献1参照。)。また、デジタルコヒーレント受信方式のデジタルコヒーレント受信機において実現される分散モニタが知られている(たとえば、下記特許文献2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第7315575号明細書
【特許文献2】特開2010−130698号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した従来のデジタルコヒーレント受信機は消費電力が大きいという問題がある。たとえば、デジタルコヒーレント受信機のデジタル変換器(ADC:Analog/Digital Converter)やデジタル信号処理部(Digital Signal Processor)は特に消費電力が大きい。このため、たとえば従来の直接検波方式(たとえば10[Gbit/s])の光受信機と比較してデジタルコヒーレント受信機は数倍(たとえば7倍)の消費電力となる。
【0007】
開示の制御回路、通信システムおよび制御方法は、上述した問題点を解消するものであり、受信装置の省電力化を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、開示技術は、光信号を送信する送信装置と、前記送信装置によって送信された光信号をデジタルコヒーレント受信する受信装置と、を含む通信システムの制御方法において、前記受信装置によって受信される光信号の累積波長分散を取得し、前記送信装置によって送信される光信号の波長を、取得した前記累積波長分散が所定の条件を満たす波長に設定し、前記光信号の波長を設定した場合に前記受信装置を省電力化させる制御を行う。
【発明の効果】
【0009】
開示の制御回路、通信システムおよび制御方法によれば、受信装置の省電力化を図ることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、実施の形態1にかかる通信システムの一例を示す図である。
【図2】図2は、実施の形態2にかかる通信システムの一例を示す図である。
【図3】図3は、デジタルコヒーレント受信機の一例を示す図である。
【図4】図4は、波長分散の補償処理の一例を示す図である。
【図5】図5は、実施の形態2にかかる制御装置による制御処理の一例を示すフローチャートである。
【図6−1】図6−1は、経路設定の変更手順の一例を示す図(その1)である。
【図6−2】図6−2は、経路設定の変更手順の一例を示す図(その2)である。
【図6−3】図6−3は、経路設定の変更手順の一例を示す図(その3)である。
【図7】図7は、光信号の累積波長分散とPAPRとの関係を示すグラフである。
【図8】図8は、光信号の波長と累積波長分散との関係を示すグラフである。
【図9】図9は、累積波長分散とビット数の減少に起因するQ値ペナルティとの関係を示すグラフである。
【図10】図10は、実施の形態3にかかる通信システムの一例を示す図である。
【図11】図11は、実施の形態3にかかる制御装置による制御処理の一例を示すフローチャートである。
【図12】図12は、実施の形態4にかかる通信システムの一例を示す図である。
【図13】図13は、実施の形態4にかかる制御装置による制御処理の一例を示すフローチャートである。
【図14】図14は、実施の形態5にかかる通信システムの一例を示す図である。
【図15】図15は、実施の形態5にかかる制御装置による制御処理の一例を示すフローチャートである。
【図16】図16は、実施の形態6にかかる通信システムの一例を示す図である。
【図17】図17は、実施の形態6にかかる制御回路による制御処理の一例を示すフローチャート(その1)である。
【図18】図18は、実施の形態6にかかる制御回路による制御処理の一例を示すフローチャート(その2)である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に添付図面を参照して、開示技術の好適な実施の形態を詳細に説明する。
【0012】
(実施の形態1)
図1は、実施の形態1にかかる通信システムの一例を示す図である。図1に示すように、実施の形態1にかかる通信システム100は、送信装置110と、受信装置120と、制御回路130と、を備えている。送信装置110は、伝送路101を介して光信号を送信する。また、送信装置110は、制御回路130による制御によって、送信する光信号の波長を変化させる。
【0013】
送信装置110が送信する光信号の変調方式には、たとえば、PSK(Phase Shift Keying)、DPSK(Differential PSK)、QPSK(Quadrature PSK)、DQPSK(Differential QPSK)などの位相変調方式を用いることができる。また、送信装置110が送信する光信号は、偏波多重された光信号であってもよい。
【0014】
受信装置120は、送信装置110によって伝送路101を介して送信された光信号をデジタルコヒーレント受信する。たとえば、受信装置120は、光信号の複素振幅を示す信号を抽出する光受信器と、光受信器によって抽出された信号をデジタル信号に変換するデジタル変換器と、デジタル変換器によって変換された信号をデジタル処理するデジタル処理部と、を備える。
【0015】
受信装置120の光受信器は、たとえば、光信号を局発光と混合する光回路と、光回路によって混合された光信号を光電変換する光電変換部と、を備える。また、受信装置120のデジタル処理部は、受信した光信号の累積波長分散をモニタしてもよい。また、受信装置120のデジタル処理部は、デジタル変換器によって変換された信号の波形歪(たとえば波長分散)をデジタルフィルタ処理により低減してもよい。
【0016】
制御回路130は、取得部131と、波長制御部132と、省電力制御部133と、を備えている。取得部131は、受信装置120によって受信される光信号の累積波長分散を取得する。たとえば、取得部131は、受信装置120によってモニタされた累積波長分散を示す分散情報を受信装置120から取得する。取得部131は、取得した分散情報を波長制御部132へ出力する。
【0017】
波長制御部132は、送信装置110によって送信される光信号の波長を、取得部131から出力された分散情報が示す累積波長分散が所定の条件を満たす波長に設定する。たとえば、波長制御部132は、送信装置110によって送信される光信号の波長を、累積波長分散の量が所定値以下になる波長に設定する。
【0018】
具体的には、波長制御部132は、送信装置110によって送信される光信号の波長を変化させつつ累積波長分散を監視し、累積波長分散の量が所定値以下になったときに送信装置110によって送信されていた光信号の波長を設定する。波長制御部132は、送信装置110によって送信される光信号の波長を累積波長分散が所定の条件を満たす波長に設定した場合に、省電力制御を行うべき旨の指示信号を省電力制御部133へ出力する。
【0019】
また、波長制御部132は、送信装置110によって送信される光信号に設定する波長に応じて、受信装置120の局発光の波長を設定してもよい。たとえば、波長制御部132は、送信装置110によって送信される光信号に設定する波長と同一の波長、または送信装置110によって送信される光信号に設定する波長からわずかに変化させた波長を、受信装置120の局発光の波長として設定する。
【0020】
これにより、波長が変更された光信号を受信装置120が受信することができる。ただし、受信装置120は、送信装置110によって送信される光信号の波長の変更を波長モニタなどで検出し、検出結果に基づいて局発光の波長を設定する構成としてもよい。この場合は、波長制御部132は、受信装置120の局発光の波長を設定しなくてもよい。
【0021】
省電力制御部133は、波長制御部132から指示信号が出力されると、受信装置120を省電力化させる制御を行う。具体的には、省電力制御部133は、受信装置120のデジタル変換器およびデジタル処理部の少なくともいずれかを省電力化させる制御を行う。たとえば、省電力制御部133は、受信装置120のデジタル変換器のビット数(分解能)を減少させることによってデジタル変換器を省電力化する。デジタル変換器のビット数は、たとえばデジタル変換における離散化(標本化および量子化の少なくともいずれか)の解像度である。または、省電力制御部133は、受信装置120のデジタルフィルタ処理のフィルタ段数を減少させることによってデジタル変換器を省電力化してもよい。
【0022】
また、省電力制御部133は、取得部131から出力される分散情報を取得し、取得した分散情報が示す累積波長分散に基づいて受信装置120を省電力化させる制御を行ってもよい。たとえば、累積波長分散とビット数とを対応付ける対応情報(たとえば関係式またはテーブル)を制御回路130のメモリに記憶しておく。そして、省電力制御部133は、累積波長分散に対応するビット数を対応情報から取得し、取得したビット数を受信装置120のデジタル変換器の各デジタル変換器に設定する。
【0023】
または、累積波長分散とフィルタ段数とを対応付ける対応情報(たとえば関係式またはテーブル)を制御回路130のメモリに記憶しておく。そして、省電力制御部133は、累積波長分散に対応するフィルタ段数を対応情報から取得し、取得したフィルタ段数を受信装置120のデジタルフィルタ処理に設定する。
【0024】
制御回路130は、たとえば、受信装置120に設けられる。この場合は、波長制御部132は、所定の条件を満たす波長に設定すべき旨の制御信号を送信装置110へ送信することによって、送信装置110によって送信される光信号の波長を設定する。この場合は、送信装置110および制御回路130は、互いに制御信号を送受信するための任意の通信方式(光通信や電気通信など)の通信インターフェースを備える。
【0025】
または、制御回路130は、送信装置110に設けられてもよい。この場合は、省電力制御部133は、省電力化すべき旨の制御信号を受信装置120へ送信することによって、受信装置120を省電力化させる。また、取得部131は、受信装置120から分散情報を受信する。この場合は、受信装置120および制御回路130は、互いに制御信号を送受信するための任意の通信方式の通信インターフェースを備える。
【0026】
または、制御回路130は、送信装置110および受信装置120と異なる通信装置に設けられてもよい。この場合は、波長制御部132は、所定の条件を満たす波長に設定すべき旨の制御信号を送信装置110へ送信することによって、送信装置110によって送信される光信号の波長を設定する。また、省電力制御部133は、省電力化すべき旨の制御信号を受信装置120へ送信することによって、受信装置120を省電力化させる。また、取得部131は、受信装置120から累積波長分散を示す分散情報を受信する。この場合は、送信装置110、受信装置120および制御回路130は、互いに制御信号や分散情報を送受信するための任意の通信方式の通信インターフェースを備える。
【0027】
このように、実施の形態1にかかる通信システム100によれば、送信装置110が送信する光信号の波長を、受信装置120が受信する光信号の累積波長分散が所定の条件を満たす波長に設定することができる。そして、受信装置120が受信する光信号の累積波長分散が所定の条件を満たす状態で受信装置120を省電力化させることができる。これにより、伝送品質の低下を抑えつつ受信装置120の省電力化を図ることができる。
【0028】
(実施の形態2)
図2は、実施の形態2にかかる通信システムの一例を示す図である。図2に示すように、実施の形態2にかかる通信システム200は、デジタルコヒーレント方式の送受信機と直接検波方式の送受信機とが波長多重によって混在した通信システムである。具体的には、通信システム200は、デジタルコヒーレント送信機211と、直接検波送信機212#1〜212#m(m=1,2,3,…)と、光クロスコネクト213と、多重化器214と、伝送路221と、中継器222と、伝送路223と、多重分離器231と、光クロスコネクト232と、デジタルコヒーレント受信機233と、直接検波受信機234#1〜234#mと、制御装置240と、を備えている。
【0029】
デジタルコヒーレント送信機211(Digital Coherent TX)は、図1に示した送信装置110の一例である。デジタルコヒーレント送信機211は、レーザダイオード211aと、駆動部211b,211cと、変調器211dと、を備えている。レーザダイオード211a(LD:Laser Diode)は、光を生成して変調器211dへ出力する。また、レーザダイオード211aは、出力する光の波長を、制御装置240による制御によって変化させる。
【0030】
駆動部211b,211cのそれぞれは、データ信号(電気信号)を変調器211dへ出力する。変調器211dは、レーザダイオード211aから出力された光を、駆動部211b,211cから出力されたデータ信号によって変調する。変調器211dは、変調した光信号を光クロスコネクト213へ出力する。変調器211dには、たとえばMZ型(マッハツェンダ型)のLN(LiNbO3:ニオブ酸リチウム)変調器や半導体変調器を用いることができる。
【0031】
直接検波送信機212#1(Direct Detection TX)は、レーザダイオード212aと、駆動部212bと、変調器212cと、を備えている。レーザダイオード212a(LD)は光を生成して変調器212cへ出力する。また、レーザダイオード212aは、出力する光の波長を、制御装置240による制御によって変化させる。駆動部212bは、データ信号(電気信号)を変調器212cへ出力する。
【0032】
変調器212cは、レーザダイオード212aから出力された光を、駆動部212bから出力されたデータ信号によって変調する。変調器212cは、変調した光信号を光クロスコネクト213へ出力する。変調器212cには、たとえばMZ型のLN変調器や半導体変調器を用いることができる。直接検波送信機212#2〜212#mはそれぞれ直接検波送信機212#1と同様の構成を備えている。デジタルコヒーレント送信機211および直接検波送信機212#1〜212#mは、互いに異なる波長の光信号を出力する。
【0033】
光クロスコネクト213(OXC:Optical Cross−Connect)は、複数の入力ポートおよび複数の出力ポートを有する第一光クロスコネクトである。光クロスコネクト213の複数の入力ポートには、デジタルコヒーレント送信機211によって送信された光信号と、デジタルコヒーレント送信機211によって送信された光信号とは波長が異なる光と、が入力される。具体的には、光クロスコネクト213の複数の入力ポートには、デジタルコヒーレント送信機211から送信された光信号と、直接検波送信機212#1〜212#mから出力された各光信号と、が入力される。
【0034】
光クロスコネクト213の複数の入力ポートへ入力された各光信号は、それぞれ光クロスコネクト213の複数の出力ポートのいずれかから出力される。また、光クロスコネクト213における各光信号の経路は制御装置240によって制御される。光クロスコネクト213の複数の出力ポートから出力された各光は、それぞれ多重化器214の各入力ポートのいずれかへ入力される。
【0035】
多重化器214(MUX)は、光クロスコネクト213の複数の出力ポートにそれぞれ接続され、各波長に対応する(波長依存性のある)複数の入力ポートを有する。また、多重化器214は、複数の入力ポートへ入力された各光信号を波長多重する。多重化器214は、波長多重した波長多重光を出力する。多重化器214から出力された波長多重光は、伝送路221、中継器222および伝送路223を介して多重分離器231へ伝送される。中継器222は、多重化器214から伝送路221を介して伝送された波長多重光を中継し、伝送路223を介して多重分離器231へ送信する。
【0036】
多重分離器231(DEMUX)は、多重化器214から伝送路221、中継器222および伝送路223を介して伝送された波長多重光を波長多重分離する。多重化器214は、各波長に対応する複数の出力ポートを有する。伝送路223は、波長多重分離により得られた各光信号を、それぞれの光信号の波長に対応する出力ポートから出力する。
【0037】
光クロスコネクト232(OXC)は、多重分離器231の各出力ポートから出力された各光信号が入力される複数の入力ポートを有する。また、光クロスコネクト232は、デジタルコヒーレント受信機233に接続された出力ポートを含む複数の出力ポートを有する第二光クロスコネクトである。
【0038】
光クロスコネクト232の複数の入力ポートへ入力された各光信号は、それぞれ光クロスコネクト232の複数の出力ポートのいずれかから出力される。また、光クロスコネクト232における各光信号の経路は制御装置240によって制御される。光クロスコネクト232の複数の出力ポートから出力された各光は、それぞれデジタルコヒーレント受信機233および直接検波受信機234#1〜234#mのいずれかへ出力される。
【0039】
デジタルコヒーレント受信機233(Digital Coherent RX)は、図1に示した受信装置120の一例である。デジタルコヒーレント受信機233は、レーザダイオード233aと、レシーバ233bと、デジタル変換部233cと、デジタル処理部233dと、を備えている。レーザダイオード233a(LD)は、局発光を生成してレシーバ233bへ出力する局発光発振器(LO:Local Oscillator)である。また、レーザダイオード233aは、出力する局発光の波長を制御装置240による制御によって変化させる。
【0040】
レシーバ233bは、光信号の複素振幅を示す信号を抽出する光受信器である。具体的には、レシーバ233bには、レーザダイオード233aから出力された局発光と、光クロスコネクト232から出力された光信号と、が入力される。レシーバ233bは、光信号を局発光と混合し、混合した光信号を光電変換する。レシーバ233bは、電気信号に変換した信号をデジタル変換部233cへ出力する。
【0041】
デジタル変換部233cは、レシーバ233bから出力された信号をデジタル信号に変換する。デジタル変換部233cは、デジタル信号に変換した信号をデジタル処理部233dへ出力する。また、デジタル変換部233cは、制御装置240の制御によってデジタル変換のビット数(分解能)を変化させる。
【0042】
デジタル処理部233d(DSP)は、デジタル変換部233cから出力された信号をデジタル処理により受信する。たとえば、デジタル処理部233dは、デジタル変換部233cから出力された信号に基づいて受信信号の波形歪補償などを行って受信信号を復調する。また、デジタル処理部233dは、分散モニタ233eの機能を有する。分散モニタ233eは、デジタル変換部233cから出力された信号に基づくデジタル処理により、デジタルコヒーレント受信機233が受信した光信号の累積波長分散をモニタし、モニタした累積波長分散を示す分散情報を制御装置240へ送信する。
【0043】
デジタルコヒーレント受信機のデジタル処理部において実現される分散モニタについては、たとえば上記特許文献2に記載されている。直接検波受信機234#1〜234#m(Direct Detection RX)のそれぞれは、光クロスコネクト232から出力された光信号を直接検波方式によって受信する。
【0044】
制御装置240は、図1に示した制御回路130を備える通信装置の一例である。制御装置240は、デジタルコヒーレント受信機233の分散モニタ233eから送信された分散情報を受信する。また、制御装置240は、デジタルコヒーレント送信機211のレーザダイオード211aの波長を、受信した分散情報が示す累積波長分散が所定の条件を満たす波長に設定するようにデジタルコヒーレント送信機211へ制御信号を送信する。
【0045】
また、制御装置240は、デジタルコヒーレント受信機233のレーザダイオード233aの波長を、レーザダイオード211aに設定させた波長に応じた波長に設定させる。また、制御装置240は、デジタルコヒーレント送信機211のレーザダイオード211aの波長を設定した場合に、デジタル変換部233cのビット数を減少させることによってデジタル変換部233cを省電力化する制御を行う。
【0046】
なお、通信システム200は、デジタルコヒーレント送信機211およびデジタルコヒーレント受信機233を複数含んでいてもよい。また、通信システム200において、たとえば中継器222および伝送路223を省いてもよい。この場合は、多重化器214から出力された波長多重光は、伝送路221を介して多重分離器231へ伝送される。
【0047】
図3は、デジタルコヒーレント受信機の一例を示す図である。ここでは、デジタルコヒーレント受信機233が受信する光信号は、Iチャネル(実部成分:In phase)およびQチャネル(虚部成分:Quadrature phase)を含む2つの光信号が偏波多重された光信号(計4チャネル)であるとする。図3に示すように、デジタルコヒーレント受信機233のレシーバ233bは、スプリッタ311と、偏波ビームスプリッタ312と、90度ハイブリッド回路321,322と、光電変換部331〜334と、を備えている。
【0048】
スプリッタ311は、レーザダイオード233aから出力された局発光を分岐(パワー分岐)し、分岐した各局発光をそれぞれ90度ハイブリッド回路321,322へ出力する。偏波ビームスプリッタ312(PBS:Polarization Beam Splitter)は、光クロスコネクト232から出力された光信号を偏波多重分離する。偏波ビームスプリッタ312は、偏波多重分離により得られた各光信号をそれぞれ90度ハイブリッド回路321,322へ出力する。
【0049】
90度ハイブリッド回路321,322のそれぞれは、スプリッタ311から出力された局発光と、偏波ビームスプリッタ312から出力された光信号と、を混合する光回路である。90度ハイブリッド回路321は、混合により得られた各チャネルの光信号をそれぞれ光電変換部331,332へ出力する。90度ハイブリッド回路322は、混合により得られた各チャネルの光信号をそれぞれ光電変換部333,334へ出力する。
【0050】
光電変換部331,332(O/E)のそれぞれは、90度ハイブリッド回路321から出力された光信号を光電変換する。光電変換部331,332のそれぞれは、変換した信号をデジタル変換部233cへ出力する。光電変換部333,334(O/E)のそれぞれは、90度ハイブリッド回路322から出力された光信号を光電変換する。光電変換部333,334のそれぞれは、変換した信号をデジタル変換部233cへ出力する。
【0051】
デジタル変換部233cは、デジタル変換器341〜344(ADC)を備えている。デジタル変換器341〜344は、それぞれ光電変換部331〜334から出力された信号をデジタル信号に変換する。デジタル変換器341〜344のそれぞれは、デジタル信号に変換した信号をデジタル処理部233dへ出力する。また、デジタル変換部233cは、制御装置240からの制御によって、デジタル変換器341〜344のビット数を減少させる。
【0052】
デジタル処理部233dは、波形歪補償部351と、周波数位相同期部352と、識別復調部353と、を備えている。波形歪補償部351は、デジタル変換部233cから出力された各信号の波形歪を補償する。波形歪補償部351が補償する波形歪は、たとえば、光伝送路の波長分散、偏波変動、偏波モード分散などによる光信号の波形歪である。波形歪補償部351は波形歪を補償した各信号を周波数位相同期部352へ出力する。
【0053】
周波数位相同期部352は、波形歪補償部351から出力された各信号の周波数および位相を同期させて識別復調部353へ出力する。識別復調部353は、周波数位相同期部352から出力された各信号を復調し識別する。これにより、デジタルコヒーレント受信機233へ入力された光信号を受信することができる。識別復調部353は、各信号の識別結果を出力する。
【0054】
図4は、波長分散の補償処理の一例を示す図である。図4に示す波長分散補償回路400は、図3に示した波形歪補償部351によって行われる分散補償の処理を模擬的に示す回路である。波長分散補償回路400は、フィルタの段数がnのFIR(Finite Impulse Response:有限インパルス応答)フィルタである。具体的には、波長分散補償回路400は、遅延部411〜413,…,41nと、乗算部420〜423,…,42nと、加算部430と、係数設定部440と、を備えている。波長分散補償回路400へ入力された信号は、遅延部411および乗算部420へ入力される。
【0055】
遅延部411は、入力された信号を遅延量τだけ遅延させて遅延部412および乗算部421へ出力する。遅延部412は、遅延部411から出力された信号を遅延量τだけ遅延させて遅延部413および乗算部422へ出力する。遅延部413は、遅延部412から出力された信号を遅延量τだけ遅延させて後段の遅延部および乗算部423へ出力する。遅延部41nは、前段の遅延部から出力された信号を遅延量τだけ遅延させて乗算部42nへ出力する。
【0056】
乗算部420は、入力された信号に係数C0を乗算して加算部430へ出力する。乗算部421は、遅延部411から出力された信号に係数C1を乗算して加算部430へ出力する。乗算部422は、遅延部412から出力された信号に係数C2を乗算して加算部430へ出力する。乗算部423は、遅延部413から出力された信号に係数C3を乗算して加算部430へ出力する。乗算部42nは、遅延部41nから出力された信号に係数Cnを乗算して加算部430へ出力する。
【0057】
加算部430は、乗算部420〜423,…,42nから出力された各信号を加算して出力する。係数設定部440は、たとえば分散モニタ233e(図2参照)によってモニタされ波長分散に基づいて、乗算部420〜423,…,42nによって乗算される係数C0〜Cnを設定する。これにより、波長分散補償回路400へ入力された信号の波長分散を小さく(補償)することができる。波長分散補償回路400においては、フィルタの段数nが大きいほど大きな波長分散の補償が可能となる。
【0058】
図5は、実施の形態2にかかる制御装置による制御処理の一例を示すフローチャートである。ここでは、通信システム200は、デジタルコヒーレント送信機211およびデジタルコヒーレント受信機233を複数含んでいるとする。制御装置240は、たとえば、デジタルコヒーレント送信機211およびデジタルコヒーレント受信機233の各組を対象として図5に示す各ステップを実行する。
【0059】
まず、制御装置240は、対象のデジタルコヒーレント送受信機(デジタルコヒーレント送信機211およびデジタルコヒーレント受信機233)の設定波長を選択する(ステップS501)。つぎに、制御装置240は、ステップS501によって選択された設定波長が、対象のデジタルコヒーレント送受信機とは別のデジタルコヒーレント送受信機に設定済みであるか否かを判断する(ステップS502)。
【0060】
ステップS502において、別のデジタルコヒーレント送受信機に設定済みである場合(ステップS502:Yes)は、制御装置240は、ステップS501によって選択された設定波長とは別の設定波長の候補があるか否かを判断する(ステップS503)。別の設定波長の候補がない場合(ステップS503:No)は、制御装置240は、一連の処理を終了する。この場合は、デジタル変換部233cのビット数は変更されない。別の設定波長の候補がある場合(ステップS503:Yes)は、制御装置240は、ステップS501へ戻り、別の設定波長の候補を選択する。
【0061】
ステップS502において、別のデジタルコヒーレント送受信機に設定済みでない場合(ステップS502:No)は、制御装置240は、ステップS504へ移行する。すなわち、制御装置240は、対象のデジタルコヒーレント送受信機の波長を、ステップS501によって選択された設定波長に変更する(ステップS504)。具体的には、制御装置240は、対象のデジタルコヒーレント送信機211のレーザダイオード211aと、対象のデジタルコヒーレント受信機233のレーザダイオード233aと、の各波長を変更する。なお、設定波長が別のデジタルコヒーレント送受信機に設定済みでない場合には、設定波長が直接受信方式の光送受信機に設定されている場合も含まれる。この場合は、制御装置240は、対象のデジタルコヒーレント送受信機に設定した波長が設定されていた直接受信方式の光送受信機の波長を他の波長に設定する制御を行ってもよい。
【0062】
つぎに、制御装置240は、光クロスコネクト213,232の経路設定を変更する(ステップS505)。具体的には、制御装置240は、対象のデジタルコヒーレント送信機211から出力される光信号が、多重化器214の入力ポートのうちの変更後の設定波長に対応する入力ポートへ入力されるように光クロスコネクト213の経路設定を変更する。また、制御装置240は、多重分離器231の出力ポートのうちの変更後の設定波長に対応する出力ポートから出力される光信号が、対象のデジタルコヒーレント受信機233へ入力されるように光クロスコネクト232の経路設定を変更する。
【0063】
つぎに、制御装置240は、対象のデジタルコヒーレント受信機233が受信する光信号の累積波長分散が所定値(たとえば±500[ps/nm])以下か否かを判断する(ステップS506)。具体的には、制御装置240は、対象のデジタルコヒーレント受信機233の分散モニタ233eから出力される分散情報が示す累積波長分散が所定値以下か否かを判断する。累積波長分散が所定値以下でない場合(ステップS506:No)は、制御装置240は、ステップS503へ移行する。
【0064】
ステップS506において、累積波長分散が所定値以下である場合(ステップS506:Yes)は、制御装置240は、対象のデジタルコヒーレント受信機233のデジタル変換器のビット数を減少させ(ステップS507)、一連の処理を終了する。ステップS507において、制御装置240は、対象のデジタルコヒーレント受信機233のデジタル変換部233cのデジタル変換器341〜344のビット数を減少させる。
【0065】
以上の各ステップにより、デジタルコヒーレント送信機211が送信する光信号の波長を、デジタルコヒーレント受信機233が受信する光信号の累積波長分散が所定値以下になる波長に設定することができる。そして、デジタルコヒーレント受信機233が受信する光信号の累積波長分散が所定値以下になる状態でデジタルコヒーレント受信機233を省電力化させることができる。
【0066】
図6−1〜図6−3は、経路設定の変更手順の一例を示す図である。図6−1〜図6−3において、図2に示した部分と同様の部分については同一の符号を付して説明を省略する。図5に示した制御処理の前においては、図6−1に示すように、レーザダイオード211a,233aが波長λ1に設定され、レーザダイオード212aが波長λ2に設定されているとする。
【0067】
また、光クロスコネクト213は、デジタルコヒーレント送信機211から出力される波長λ1の光信号を、多重化器214の波長λ1に対応する入力ポート611へ入力するように設定されている。また、光クロスコネクト213は、直接検波送信機212#1から出力される波長λ2の光信号を、多重化器214の波長λ2に対応する入力ポート612へ入力するように設定されている。
【0068】
また、光クロスコネクト232は、多重分離器231の波長λ1に対応する出力ポート621から出力される波長λ1の光信号をデジタルコヒーレント受信機233へ出力するように設定されている。また、光クロスコネクト232は、多重分離器231の波長λ2に対応する出力ポート622から出力される波長λ2の光信号を直接検波受信機234#1へ出力するように設定されている。
【0069】
つぎに、図5に示したステップS504によって、図6−2に示すように、レーザダイオード211a,233aが波長λ2に設定されたとする。このとき、波長λ2はレーザダイオード212aに設定されていた波長であるため、制御装置240は、レーザダイオード212aの波長をたとえば波長λ1に設定する。これにより、デジタルコヒーレント送信機211および直接検波送信機212#1からの各光信号が同一波長となることを回避することができる。
【0070】
つぎに、図5に示したステップS505によって、図6−3に示すように、光クロスコネクト213が、デジタルコヒーレント送信機211からの波長λ2の光信号を、多重化器214の波長λ2に対応する入力ポート612へ入力するように設定される。また、光クロスコネクト213が、直接検波送信機212#1からの波長λ1の光信号を、多重化器214の波長λ1に対応する入力ポート611へ入力するように設定される。
【0071】
また、光クロスコネクト232が、多重分離器231の波長λ1に対応する出力ポート621から出力される波長λ1の光信号を直接検波受信機234#1へ出力するように設定される。また、光クロスコネクト232が、多重分離器231の波長λ2に対応する出力ポート622から出力される波長λ2の光信号をデジタルコヒーレント受信機233へ出力するように設定される。
【0072】
これにより、波長多重方式の通信システム200においてデジタルコヒーレント送信機211が送信する光信号の波長を変更しても、デジタルコヒーレント送信機211が送信する光信号をデジタルコヒーレント受信機233へ伝送することができる。
【0073】
図7は、光信号の累積波長分散とPAPRとの関係を示すグラフである。図7において、横軸は、デジタルコヒーレント受信機233が受信する光信号の累積波長分散[ps/nm]を示している。また、縦軸は、デジタルコヒーレント受信機233が受信する光信号(伝送波形)のPAPR(Peak−to−Average Power Ratio:ピーク電力対平均電力比)を示している。PAPR特性700は、デジタルコヒーレント受信機233が受信する光信号の累積波長分散に対するPAPRの特性を示している。
【0074】
PAPR特性700に示すように、累積波長分散が0に近いほどPAPRが減少する。特に、累積波長分散が±800[ps/nm]の範囲においてはPAPRが大きく減少する。デジタルコヒーレント受信方式において、PAPRが大きい受信信号を正確に受信するにはデジタル変換器のビット数を大きくし、分解能を上げる必要がある。しかし、デジタル変換器のビット数を大きくするとそれに伴い、消費電力も増加する。
【0075】
図8は、光信号の波長と累積波長分散との関係を示すグラフである。図8において、横軸は、デジタルコヒーレント送信機211によって送信される光信号の波長を示している。また、縦軸は、デジタルコヒーレント送信機211が送信し、デジタルコヒーレント受信機233が受信する光信号の累積波長分散を示している。累積波長分散特性800は、光信号の波長に対する累積波長分散の特性の一例を簡略化して示している。
【0076】
累積波長分散特性800に示すように、デジタルコヒーレント送信機211によって送信される光信号の波長が異なると、デジタルコヒーレント受信機233が受信する光信号の累積波長分散も異なる。したがって、デジタルコヒーレント送信機211によって送信される光信号の波長を制御することで、デジタルコヒーレント受信機233が受信する光信号の累積波長分散を抑えることが可能である。
【0077】
たとえば、デジタルコヒーレント送信機211によって送信される光信号の波長を波長範囲801に設定することで、デジタルコヒーレント受信機233が受信する光信号の累積波長分散を±500[ps/nm]の範囲に抑えることができる。これにより、デジタルコヒーレント受信機233が受信する光信号のPAPR(図7参照)を抑えることができるため、デジタル変換器のビット数を減少させても伝送品質の低下を抑えることができる。このため、デジタルコヒーレント受信機233の低消費電力化を図ることができる。
【0078】
なお、デジタルコヒーレント受信方式ではデジタル処理によって大きな累積波長分散を補償することができる。このため、従来、デジタルコヒーレント受信方式においては、累積波長分散は大きな問題とならず、光信号の波長配置については考慮されていなかった。これに対して、通信システム200においては、光信号の波長を制御して光信号の累積波長分散を抑えることで、消費電力を抑えることができる。
【0079】
図9は、累積波長分散とビット数の減少に起因するQ値ペナルティとの関係を示すグラフである。図9において、横軸は、デジタルコヒーレント受信機233が受信する光信号の累積波長分散[ps/nm]を示している。また、縦軸は、デジタル変換器341〜344のビット数を5ビットから4ビットに減少させることに起因するQ値ペナルティ[dB]を示している。Q値ペナルティ特性900は、累積波長分散に対するQ値ペナルティの特性を示している。
【0080】
光信号の累積波長分散が増加すると、光信号のPAPRも増加するため、Q値ペナルティ特性900に示すように、ビット数の減少に起因するQ値ペナルティが増加する。これに対して、デジタルコヒーレント送信機211によって送信される光信号の波長を制御し、光信号の累積波長分散の量をたとえば500[ps/nm]以下に抑えると、ビット数の減少に起因するQ値ペナルティを0.2[dB]以下に抑えることができる。したがって、デジタルコヒーレント受信機233における受信品質の低下を抑えつつ、デジタル変換器341〜344のビット数を減少させ、デジタルコヒーレント受信機233の低消費電力化を図ることができる。たとえばフラッシュ型のデジタル変換器の場合は、ビット数を1ビット減少させることによって消費電力をたとえば半減させることが可能である。
【0081】
このように、実施の形態2にかかる通信システム200によれば、デジタルコヒーレント送信機211が送信する光信号の波長を、デジタルコヒーレント受信機233が受信する光信号の累積波長分散の量が所定値以下になる波長に設定することができる。そして、受信装置120が受信する光信号の累積波長分散の量が所定値以下になる状態でデジタル変換器341〜344のビット数を減少させることができる。これにより、伝送品質の低下を抑えつつデジタルコヒーレント受信機233の省電力化を図ることができる。
【0082】
(実施の形態3)
図10は、実施の形態3にかかる通信システムの一例を示す図である。図10において、図2に示した部分と同様の部分については同一の符号を付して説明を省略する。図10に示すように、実施の形態3にかかる通信システム200は、図2に示した光クロスコネクト213,232、多重化器214および多重分離器231に代えて、光カプラ1011,1021を備えている。
【0083】
光カプラ1011は、デジタルコヒーレント送信機211および直接検波送信機212#1〜212#mから出力された各光信号を合波する第一光カプラである。デジタルコヒーレント送信機211および直接検波送信機212#1〜212#mから出力された各光信号は互いに波長が異なり、光カプラ1011により波長多重される。光カプラ1011は、合波した波長多重光を出力する。光カプラ1011から出力された波長多重光は、伝送路221、中継器222および伝送路223を介して光カプラ1021へ伝送される。
【0084】
光カプラ1021は、光カプラ1011から伝送路221、中継器222および伝送路223を介して伝送された波長多重光を分岐(パワー分岐)する第二光カプラである。光カプラ1021は、分岐した各波長多重光をそれぞれデジタルコヒーレント受信機233および直接検波受信機234#1〜234#mへ出力する。デジタルコヒーレント受信機233および直接検波受信機234#1〜234#mのそれぞれは、光カプラ1021から出力された波長多重光に含まれる各波長の光信号のいずれかを抽出して受信する。
【0085】
ここでは、通信システム200を、図2に示した光クロスコネクト213,232、多重化器214および多重分離器231に代えて光カプラ1011,1021を備える構成としたが、このような構成に限らない。たとえば、通信システム200を、図2に示した光クロスコネクト213、多重化器214および多重分離器231に代えて光カプラ1011を備える構成としてもよい。この場合は、制御装置240は、光クロスコネクト232についての経路設定(たとえば図6−3参照)を行う。また、通信システム200を、図2に示した光クロスコネクト232、多重分離器231に代えて光カプラ1021を備える構成としてもよい。この場合は、制御装置240は、光クロスコネクト213についての経路設定(たとえば図6−3参照)を行う。
【0086】
図11は、実施の形態3にかかる制御装置による制御処理の一例を示すフローチャートである。制御装置240は、たとえば、デジタルコヒーレント送信機211およびデジタルコヒーレント受信機233の各組を対象として図11に示す各ステップを実行する。図11に示すステップS1101〜S1104は、図5に示したステップS501〜S504と同様である。ステップS1104のつぎに、制御装置240は、ステップS1105へ移行する。ステップS1105,S1106は、図5に示したステップS506,S507と同様である。このように、実施の形態3にかかる通信システム200によれば、光カプラ1011,1021を用いて波長多重方式を実現することで、たとえば図2,図6−3に示した光クロスコネクト213,232の経路設定処理を省くことができる。
【0087】
(実施の形態4)
図12は、実施の形態4にかかる通信システムの一例を示す図である。図12において、図2に示した部分と同様の部分については同一の符号を付して説明を省略する。図12に示すように、デジタルコヒーレント受信機233のデジタル処理部233dは、波形歪補償部351(図3参照)の機能を有する。波形歪補償部351は、たとえば図4に示した波長分散補償回路400の機能を有するデジタルフィルタである。
【0088】
制御装置240は、デジタルコヒーレント送信機211が送信する光信号の波長を、デジタルコヒーレント受信機233が受信する光信号の累積波長分散の量が所定値以下になる波長に設定するとともに、波形歪補償部351のフィルタの段数を減少させる。たとえば、制御装置240は、図4に示した波長分散補償回路400が示す処理において、フィルタの段数nを減少させる。これにより、波形歪補償部351における処理量を低減し、デジタルコヒーレント受信機233の省電力化を図ることができる。
【0089】
図13は、実施の形態4にかかる制御装置による制御処理の一例を示すフローチャートである。制御装置240は、たとえば、デジタルコヒーレント送信機211およびデジタルコヒーレント受信機233の各組を対象として図13に示す各ステップを実行する。図13に示すステップS1301〜S1306は、図5に示したステップS501〜S506と同様である。ステップS1306のつぎに、制御装置240は、波形歪補償部351のフィルタの段数を減少させ(ステップS1307)、一連の処理を終了する。
【0090】
このように、実施の形態4にかかる通信システム200によれば、デジタルコヒーレント送信機211が送信する光信号の波長を、デジタルコヒーレント受信機233が受信する光信号の累積波長分散の量が所定値以下になる波長に設定することができる。そして、受信装置120が受信する光信号の累積波長分散の量が所定値以下になる状態で波形歪補償部351のフィルタの段数を減少させることができる。これにより、伝送品質の低下を抑えつつデジタルコヒーレント受信機233の省電力化を図ることができる。
【0091】
(実施の形態5)
図14は、実施の形態5にかかる通信システムの一例を示す図である。図14において、図2に示した部分と同様の部分については同一の符号を付して説明を省略する。図14に示すように、デジタルコヒーレント受信機233のデジタル処理部233dは、波形歪補償部351の機能を有する。波形歪補償部351は、たとえば図4に示した波長分散補償回路400の機能を有するデジタルフィルタ処理である。制御装置240は、デジタル変換部233cのデジタル変換器341〜344のビット数を減少させるとともに、波形歪補償部351のフィルタの段数を減少させる。
【0092】
図15は、実施の形態5にかかる制御装置による制御処理の一例を示すフローチャートである。制御装置240は、たとえば、デジタルコヒーレント送信機211およびデジタルコヒーレント受信機233の各組を対象として図15に示す各ステップを実行する。図15に示すステップS1501〜S1507は、図5に示したステップS501〜S507と同様である。ステップS1507のつぎに、制御装置240は、波形歪補償部351のフィルタの段数を減少させ(ステップS1508)、一連の処理を終了する。
【0093】
このように、実施の形態5にかかる通信システム200によれば、デジタルコヒーレント送信機211が送信する光信号の波長を、デジタルコヒーレント受信機233が受信する光信号の累積波長分散の量が所定値以下になる波長に設定することができる。そして、受信装置120が受信する光信号の累積波長分散の量が所定値以下になる状態でデジタル変換器341〜344のビット数を減少させることができる。また、受信装置120が受信する光信号の累積波長分散の量が所定値以下になる状態で波形歪補償部351のフィルタの段数を減少させることができる。これにより、伝送品質の低下を抑えつつデジタルコヒーレント受信機233の省電力化を図ることができる。
【0094】
(実施の形態6)
図16は、実施の形態6にかかる通信システムの一例を示す図である。図16において、図2に示した部分と同様の部分については同一の符号を付して説明を省略する。図16に示すように、実施の形態6にかかる通信システム1600は、通信装置1610および通信装置1620を含んでいる。通信装置1610および通信装置1620は、互いに対向し光信号を送受信する。具体的には、通信装置1610,1620のそれぞれは、デジタルコヒーレント送信機211と、デジタルコヒーレント受信機233と、分岐部1611と、波長モニタ1612と、制御回路1613と、を備えている。
【0095】
通信装置1610,1620のそれぞれのデジタルコヒーレント送信機211は、対向する(他方の)通信装置へ光信号を送信する。たとえば、通信装置1610のデジタルコヒーレント送信機211は、伝送路1601を介して通信装置1620へ光信号を送信する。通信装置1620のデジタルコヒーレント送信機211は、伝送路1602を介して通信装置1610へ光信号を送信する。通信装置1610,1620のそれぞれのレーザダイオード211aは、制御回路1613の制御によって光の波長を変化させる。
【0096】
通信装置1610,1620のそれぞれの分岐部1611は、対向する通信装置から送信された光信号を分岐し、分岐した各光信号をデジタルコヒーレント受信機233および波長モニタ1612へ出力する。通信装置1610,1620のそれぞれのデジタルコヒーレント受信機233は、分岐部1611から出力された光信号を受信する。通信装置1610,1620のそれぞれのレーザダイオード233aは、制御回路1613の制御によって局発光の波長を変化させる。
【0097】
通信装置1610,1620のそれぞれのデジタル変換部233cは、制御回路1613の制御によってデジタル変換器341〜344のビット数を減少させる。通信装置1610,1620のそれぞれの分散モニタ233eは、モニタした累積波長分散を示す分散情報を制御回路1613へ出力する。通信装置1610,1620のそれぞれの波長モニタ1612は、分岐部1611から出力された光信号の波長をモニタし、モニタした波長を示す波長情報を制御回路1613へ出力する。
【0098】
通信装置1610,1620のそれぞれの制御回路1613は、図1に示した制御回路130の一例である。制御回路1613は、分散モニタ233eから出力される分散情報が示す累積波長分散と、波長モニタ1612から出力される波長情報が示す波長と、に基づいて、レーザダイオード211a,233aの波長およびデジタル変換部233cのビット数を制御する。
【0099】
具体的には、制御回路1613は、分散情報が示す累積波長分散が所定の条件を満たさない場合に、レーザダイオード211aの波長を、波長情報が示す波長とは異なる波長に設定する。また、制御回路1613は、分散情報が示す累積波長分散が所定の条件を満たす場合に、レーザダイオード211aの波長を、波長情報が示す波長に設定するとともに、デジタル変換部233cのビット数を低下させる。
【0100】
図17は、実施の形態6にかかる制御回路による制御処理の一例を示すフローチャート(その1)である。通信装置1610の制御回路1613は、たとえば図17に示す各ステップを繰り返し実行することによって通信装置1610の各構成を制御する。まず、制御回路1613は、デジタルコヒーレント送信機211によって送信される光信号の波長(レーザダイオード211aの波長)を初期値に設定する(ステップS1701)。
【0101】
つぎに、制御回路1613は、通信装置1620から受信する光信号の波長を波長モニタ1612から取得する(ステップS1702)。つぎに、制御回路1613は、ステップS1702によって取得された波長が、前回のステップS1702によって取得された波長から変化したか否かを判断する(ステップS1703)。波長が変化していない場合(ステップS1703:No)は、制御回路1613は、ステップS1702へ戻る。波長が変化した場合(ステップS1703:Yes)は、制御回路1613は、ステップS1702によって取得された波長が、デジタルコヒーレント送信機211によって送信される光信号の波長と一致するか否かを判断する(ステップS1704)。
【0102】
ステップS1704において、波長が一致しない場合(ステップS1704:No)は、制御回路1613は、ステップS1705へ移行する。具体的には、制御回路1613は、デジタルコヒーレント送信機211によって送信される光信号の波長(レーザダイオード211aの波長)を、ステップS1702によって取得された波長に設定し(ステップS1705)、ステップS1702へ戻る。
【0103】
ステップS1704において、波長が一致する場合(ステップS1704:Yes)は、制御回路1613は、レーザダイオード233aから出力される局発光の波長を、ステップS1702によって取得された波長に設定する(ステップS1706)。つぎに、制御回路1613は、通信装置1620から受信する光信号の累積波長分散を分散モニタ233eから取得する(ステップS1707)。
【0104】
つぎに、制御回路1613は、ステップS1707によって取得された累積波長分散が所定値以下か否かを判断する(ステップS1708)。累積波長分散が所定値以下である場合(ステップS1708:Yes)は、制御回路1613は、デジタル変換部233cのデジタル変換器341〜344のビット数を減少させ(ステップS1709)、一連の処理を終了する。累積波長分散が所定値以下でない場合(ステップS1708:No)は、制御回路1613は、レーザダイオード211aについて変更する波長の候補があるか否かを判断する(ステップS1710)。
【0105】
ステップS1710において、波長の候補がない場合(ステップS1710:No)は、制御回路1613は、一連の処理を終了する。波長の候補がある場合(ステップS1710:Yes)は、制御回路1613は、デジタルコヒーレント送信機211によって送信される光信号の波長を通信装置1620と異なる波長に変更し(ステップS1711)、一連の処理を終了する。具体的には、制御回路1613は、レーザダイオード211aの波長を、ステップS1702によって取得された波長とは異なる波長に変更する。
【0106】
図18は、実施の形態6にかかる制御回路による制御処理の一例を示すフローチャート(その2)である。通信装置1620の制御回路1613は、たとえば図18に示す各ステップを繰り返し実行することによって通信装置1620の各構成を制御する。まず、制御回路1613は、通信装置1620が受信する光信号の波長を波長モニタ1612から取得する(ステップS1801)。つぎに、制御回路1613は、ステップS1801によって取得された波長が、前回のステップS1801によって取得された波長から変化したか否かを判断する(ステップS1802)。
【0107】
ステップS1802において波長が変化していない場合(ステップS1802:No)は、制御回路1613は、ステップS1801へ戻る。波長が変化した場合(ステップS1802:Yes)は、制御回路1613は、レーザダイオード233aから出力される局発光の波長を、ステップS1801によって取得された波長に設定する(ステップS1803)。つぎに、制御回路1613は、通信装置1610から通信装置1620が受信する光信号の累積波長分散を分散モニタ233eから取得する(ステップS1804)。
【0108】
つぎに、制御回路1613は、ステップS1804によって取得された累積波長分散が所定値以下であるか否かを判断する(ステップS1805)。累積波長分散が所定値以下である場合(ステップS1805:Yes)は、制御回路1613は、デジタル変換部233cのデジタル変換器のビット数を減少させる(ステップS1806)。つぎに、制御回路1613は、デジタルコヒーレント送信機211によって送信される光信号の波長(レーザダイオード211aの波長)を、ステップS1801によって取得された波長に設定し(ステップS1807)、一連の処理を終了する。
【0109】
ステップS1805において、累積波長分散が所定値以下でない場合(ステップS1805:No)は、波長モニタ1612は、レーザダイオード211aについて変更する波長の候補があるか否かを判断する(ステップS1808)。レーザダイオード211aについて変更する波長の候補は、ステップS1801によって取得された波長とは異なる波長とする。波長の候補がない場合(ステップS1808:No)は、制御回路1613は、一連の処理を終了する。
【0110】
ステップS1808において波長の候補がある場合(ステップS1808:Yes)は、制御回路1613は、デジタルコヒーレント送信機211によって送信される光信号の波長を通信装置1610と異なる波長に変更し(ステップS1809)、一連の処理を終了する。具体的には、制御回路1613は、レーザダイオード211aの波長を、ステップS1801によって取得された波長とは異なる波長に変更する。
【0111】
図17および図18に示した各ステップを繰り返すことにより、通信装置1610,1620のそれぞれの制御回路1613は、受信信号の累積波長分散が所定値を超える場合に、送信波長を受信波長とは異なる波長に設定することができる。これにより、通信装置1610,1620のそれぞれの送信波長を、通信装置1610,1620のそれぞれの受信信号の累積波長分散が所定値以下になる波長に設定することができる。
【0112】
これにより、通信装置1610,1620のそれぞれは、波長を設定すべき旨の制御信号を送受信しなくても、送信波長を累積波長分散が所定値以下になる波長に設定することができる。また、通信装置1610,1620のそれぞれの送信波長が、通信装置1610,1620のそれぞれの受信信号の累積波長分散が所定値以下になる波長に設定された場合にデジタルコヒーレント受信機233を省電力化させることができる。
【0113】
このように、実施の形態6にかかる通信システム1600によれば、通信装置1610,1620の間の双方向の通信について実施の形態2と同様の効果を得ることができる。また、通信装置1610,1620のそれぞれは、たとえば波長を設定すべき旨の制御信号を送受信しなくても、送信波長を累積波長分散が所定値以下になる波長に設定することができる。このため、簡単な構成によって、伝送品質の低下を抑えつつデジタルコヒーレント受信機233の省電力化を図ることができる。
【0114】
また、実施の形態6にかかる通信システム1600と、上述した各実施の形態にかかる通信システム200を組み合わせてもよい。たとえば、通信システム1600の通信装置1610,1620において、制御回路1613は、波形歪補償部351のフィルタ段数を減少させることでデジタルコヒーレント受信機233を省電力化してもよい。
【0115】
以上説明したように、制御回路、通信システムおよび制御方法によれば、受信装置の省電力化を図ることができる。上述した各実施の形態に関しさらに以下の付記を開示する。
【0116】
(付記1)光信号を送信する送信装置と、前記送信装置によって送信された光信号をデジタルコヒーレント受信する受信装置と、を含む通信システムの制御回路において、
前記受信装置によって受信される光信号の累積波長分散を取得する取得部と、
前記送信装置によって送信される光信号の波長を、前記取得部によって取得された累積波長分散が所定の条件を満たす波長に設定する波長制御部と、
前記波長制御部によって前記光信号の波長が設定された場合に前記受信装置を省電力化させる制御を行う省電力制御部と、
を備えることを特徴とする制御回路。
【0117】
(付記2)前記受信装置は、
前記光信号の複素振幅を示す信号を抽出する光受信器と、
前記光受信器によって抽出された信号をデジタル信号に変換するデジタル変換器と、
前記デジタル変換器によって変換された信号をデジタル処理するデジタル処理部と、
を備え、
前記省電力制御部は、前記デジタル変換器および前記デジタル処理部の少なくともいずれかを省電力化させる制御を行うことを特徴とする付記1に記載の制御回路。
【0118】
(付記3)前記光受信器は、
前記光信号を局発光と混合する光回路と、
前記光回路によって混合された光信号を光電変換する光電変換部と、
を備え、
前記波長制御部は、前記送信装置によって送信される光信号に設定する波長に応じて前記局発光の波長を設定することを特徴とする付記2に記載の制御回路。
【0119】
(付記4)前記省電力制御部は、前記デジタル変換器の分解能を低下させることを特徴とする付記2または3に記載の制御回路。
【0120】
(付記5)前記デジタル処理部は、前記デジタル変換器によって変換された信号の波形歪をデジタルフィルタ処理により低減し、
前記省電力制御部は、前記デジタルフィルタ処理のフィルタ段数を減少させることを特徴とする付記2〜4のいずれか一つに記載の制御回路。
【0121】
(付記6)前記波長制御部は、前記送信装置によって送信される光信号の波長を、前記累積波長分散の量が所定値以下になる波長に設定することを特徴とする付記1〜5のいずれか一つに記載の制御回路。
【0122】
(付記7)前記受信装置に設けられる制御回路であって、
前記波長制御部は、前記所定の条件を満たす波長に設定すべき旨の制御信号を前記送信装置へ送信することによって前記送信装置によって送信される光信号の波長を設定することを特徴とする付記1〜6のいずれか一つに記載の制御回路。
【0123】
(付記8)前記送信装置に設けられる制御回路であって、
前記省電力制御部は、省電力化すべき旨の制御信号を前記受信装置へ送信することによって前記受信装置を省電力化させることを特徴とする付記1〜7のいずれか一つに記載の制御回路。
【0124】
(付記9)前記送信装置および前記受信装置とは異なる通信装置に設けられる制御回路であって、
前記波長制御部は、前記所定の条件を満たす波長に設定すべき旨の制御信号を前記送信装置へ送信することによって前記送信装置によって送信される光信号の波長を設定し、
前記省電力制御部は、省電力化すべき旨の制御信号を前記受信装置へ送信することによって前記受信装置を省電力化させることを特徴とする付記1〜8のいずれか一つに記載の制御回路。
【0125】
(付記10)前記デジタル処理部は、前記累積波長分散をモニタし、
前記取得部は、前記デジタル処理部によってモニタされた累積波長分散を取得することを特徴とする付記2に記載の制御回路。
【0126】
(付記11)前記省電力制御部は、前記累積波長分散に基づいて前記受信装置を省電力化させる制御を行うことを特徴とする付記1〜10のいずれか一つに記載の制御回路。
【0127】
(付記12)前記通信システムは、
前記送信装置によって送信された光信号および前記光信号とは波長が異なる光が入力される複数の入力ポートと、複数の出力ポートと、を有する第一光クロスコネクトと、
前記複数の出力ポートにそれぞれ接続され各波長に対応する複数の入力ポートを有し、前記複数の入力ポートへ入力された各光を波長多重する多重化器と、
を含み、
前記波長制御部は、設定した波長に対応する前記多重化器の入力ポートへ前記光信号が入力されるように前記第一光クロスコネクトの経路を設定することを特徴とする付記1〜11のいずれか一つに記載の制御回路。
【0128】
(付記13)前記通信システムは、
前記多重化器によって波長多重された波長多重光を波長多重分離する多重分離器と、
前記多重分離器によって波長多重分離された各光が入力される複数の入力ポートと、前記受信装置に接続された出力ポートを含む複数の出力ポートと、を有する第二光クロスコネクトと、
を含み、
前記波長制御部は、前記設定した波長に対応する前記多重分離器の出力ポートから出力される前記光信号が前記受信装置へ出力されるように前記第二光クロスコネクトの経路を設定することを特徴とする付記12に記載の制御回路。
【0129】
(付記14)前記通信システムは、
前記送信装置によって送信された光信号および前記光信号とは波長が異なる光を合波する第一光カプラと、
前記第一光カプラによって合波された波長多重光を分岐する第二光カプラと、
を含み、
前記受信装置は、前記第二光カプラによって分岐された各波長多重光のいずれかを受信することを特徴とする付記1〜13のいずれか一つに記載の制御回路。
【0130】
(付記15)光信号を送信する送信装置と、
前記送信装置によって送信された光信号をデジタルコヒーレント受信する受信装置と、
前記送信装置によって送信される光信号の波長を、前記受信装置によって受信される光信号の累積波長分散が所定の条件を満たす波長に設定するとともに前記受信装置を省電力化させる制御を行う制御回路と、
を含むことを特徴とする通信システム。
【0131】
(付記16)互いに光信号を送受信する複数の通信装置を含む通信システムにおいて、
前記複数の通信装置のそれぞれは、
前記複数の通信装置のうちの他方の通信装置へ光信号を送信する送信装置と、
前記他方の通信装置によって送信された光信号をデジタルコヒーレント受信する受信装置と、
前記受信装置によって受信される光信号の累積波長分散が所定の条件を満たさない場合に、前記送信装置によって送信される光信号の波長を前記受信される光信号とは異なる波長に設定し、前記累積波長分散が前記所定の条件を満たす場合に、前記送信される光信号の波長を前記受信される光信号の波長に設定するとともに前記受信装置を省電力化させる制御を行う制御回路と、
を備えることを特徴とする通信システム。
【0132】
(付記17)光信号を送信する送信装置と、前記送信装置によって送信された光信号をデジタルコヒーレント受信する受信装置と、を含む通信システムの制御方法において、
前記受信装置によって受信される光信号の累積波長分散を取得し、
前記送信装置によって送信される光信号の波長を、取得した前記累積波長分散が所定の条件を満たす波長に設定し、
前記光信号の波長を設定した場合に前記受信装置を省電力化させる制御を行う、
ことを特徴とする制御方法。
【符号の説明】
【0133】
100,200,1600 通信システム
110 送信装置
120 受信装置
130,1613 制御回路
131 取得部
132 波長制御部
133 省電力制御部
211 デジタルコヒーレント送信機
211a,212a,233a レーザダイオード
211b,211c,212b 駆動部
211d,212c 変調器
212 直接検波送信機
213,232 光クロスコネクト
214 多重化器
221,223,1601,1602 伝送路
222 中継器
231 多重分離器
233 デジタルコヒーレント受信機
233b レシーバ
233c デジタル変換部
233d デジタル処理部
233e 分散モニタ
234 直接検波受信機
240 制御装置
311 スプリッタ
312 偏波ビームスプリッタ
321,322 90度ハイブリッド回路
331〜334 光電変換部
341〜344 デジタル変換器
351 波形歪補償部
352 周波数位相同期部
353 識別復調部
400 波長分散補償回路
411〜413,41n 遅延部
420〜423,42n 乗算部
430 加算部
440 係数設定部
611,612 入力ポート
621,622 出力ポート
700 PAPR特性
800 累積波長分散特性
801 波長範囲
900 Q値ペナルティ特性
1011,1021 光カプラ
1610,1620 通信装置
1611 分岐部
1612 波長モニタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光信号を送信する送信装置と、前記送信装置によって送信された光信号をデジタルコヒーレント受信する受信装置と、を含む通信システムの制御回路において、
前記受信装置によって受信される光信号の累積波長分散を取得する取得部と、
前記送信装置によって送信される光信号の波長を、前記取得部によって取得された累積波長分散が所定の条件を満たす波長に設定する波長制御部と、
前記波長制御部によって前記光信号の波長が設定された場合に前記受信装置を省電力化させる制御を行う省電力制御部と、
を備えることを特徴とする制御回路。
【請求項2】
前記受信装置は、
前記光信号の複素振幅を示す信号を抽出する光受信器と、
前記光受信器によって抽出された信号をデジタル信号に変換するデジタル変換器と、
前記デジタル変換器によって変換された信号をデジタル処理するデジタル処理部と、
を備え、
前記省電力制御部は、前記デジタル変換器および前記デジタル処理部の少なくともいずれかを省電力化させる制御を行うことを特徴とする請求項1に記載の制御回路。
【請求項3】
前記光受信器は、
前記光信号を局発光と混合する光回路と、
前記光回路によって混合された光信号を光電変換する光電変換部と、
を備え、
前記波長制御部は、前記送信装置によって送信される光信号に設定する波長に応じて前記局発光の波長を設定することを特徴とする請求項2に記載の制御回路。
【請求項4】
前記省電力制御部は、前記デジタル変換器の分解能を低下させることを特徴とする請求項2または3に記載の制御回路。
【請求項5】
前記デジタル処理部は、前記デジタル変換器によって変換された信号の波形歪をデジタルフィルタ処理により低減し、
前記省電力制御部は、前記デジタルフィルタ処理のフィルタ段数を減少させることを特徴とする請求項2〜4のいずれか一つに記載の制御回路。
【請求項6】
前記波長制御部は、前記送信装置によって送信される光信号の波長を、前記累積波長分散の量が所定値以下になる波長に設定することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一つに記載の制御回路。
【請求項7】
前記通信システムは、
前記送信装置によって送信された光信号および前記光信号とは波長が異なる光が入力される複数の入力ポートと、複数の出力ポートと、を有する第一光クロスコネクトと、
前記複数の出力ポートにそれぞれ接続され各波長に対応する複数の入力ポートを有し、前記複数の入力ポートへ入力された各光を波長多重する多重化器と、
を含み、
前記波長制御部は、設定した波長に対応する前記多重化器の入力ポートへ前記光信号が入力されるように前記第一光クロスコネクトの経路を設定することを特徴とする請求項1〜6のいずれか一つに記載の制御回路。
【請求項8】
光信号を送信する送信装置と、
前記送信装置によって送信された光信号をデジタルコヒーレント受信する受信装置と、
前記送信装置によって送信される光信号の波長を、前記受信装置によって受信される光信号の累積波長分散が所定の条件を満たす波長に設定するとともに前記受信装置を省電力化させる制御を行う制御回路と、
を含むことを特徴とする通信システム。
【請求項9】
互いに光信号を送受信する複数の通信装置を含む通信システムにおいて、
前記複数の通信装置のそれぞれは、
前記複数の通信装置のうちの他方の通信装置へ光信号を送信する送信装置と、
前記他方の通信装置によって送信された光信号をデジタルコヒーレント受信する受信装置と、
前記受信装置によって受信される光信号の累積波長分散が所定の条件を満たさない場合に、前記送信装置によって送信される光信号の波長を前記受信される光信号とは異なる波長に設定し、前記累積波長分散が前記所定の条件を満たす場合に、前記送信される光信号の波長を前記受信される光信号の波長に設定するとともに前記受信装置を省電力化させる制御を行う制御回路と、
を備えることを特徴とする通信システム。
【請求項10】
光信号を送信する送信装置と、前記送信装置によって送信された光信号をデジタルコヒーレント受信する受信装置と、を含む通信システムの制御方法において、
前記受信装置によって受信される光信号の累積波長分散を取得し、
前記送信装置によって送信される光信号の波長を、取得した前記累積波長分散が所定の条件を満たす波長に設定し、
前記光信号の波長を設定した場合に前記受信装置を省電力化させる制御を行う、
ことを特徴とする制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6−1】
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【図6−2】
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【図6−3】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2012−129656(P2012−129656A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−277437(P2010−277437)
【出願日】平成22年12月13日(2010.12.13)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】