説明

制御対象認識装置

【課題】 自車の走行の障害とならない停止物を対象とする不必要な車両制御が行われるのを防止する。
【解決手段】 反射レベルが閾値以上で前回まで制御対象であると認識されていたゲートが、今回制御対象であると認識されなくなったとき、そのゲートを実際に検知されたものと見なして外挿手段が所定回数(5回)を限度に外挿(○参照)するものにおいて、ゲートが静止物であり、かつゲートの前回(タイム4)検知時の反射レベルおよび今回(タイム5)検知時の反射レベルから予測した次回(タイム6)検知時の反射レベルが検知閾値未満(□参照)である場合には、外挿手段が外挿を行う回数の限度を前記5回から2回に減少させるので、自車の接近に伴って反射レベルが急激に低下して制御対象でないと推定されるゲートの外挿回数を減らし、該ゲートに対する不必要な車両制御が行われるのを防止して運転者の違和感を解消することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、送信手段により送信されて受信手段により受信された反射波のうち検知閾値以上の反射レベルを有する反射波に基づいて物体を検知し、その物体の検知結果に基づいて自車の制御対象を認識する制御対象認識装置に関する。
【背景技術】
【0002】
レーダー装置で検知していた障害物が一時的に検知されなくなったとき、記憶手段に記憶されているそれ以前の障害物の情報に基づいて、それ以後の障害物の情報を所定時間の間推測し、推測した情報に基づいて自車が障害物に接触する可能性を判断するものが、下記特許文献1により公知である。
【0003】
また本出願人の出願に係る特願2006−211839号(平成18年8月3日出願)の第2実施例には、自車前方に存在する潜り抜け可能な低いゲートや先行車等の停止物に対する衝突を回避するために自動減速や警報を行うものにおいて、ターゲットである停止物が検知されなくなったときに、それ以後5回に亘って外挿処理(検知されなくなったターゲットの将来の位置等を予測し、検知されているものとして処理すること)を行うことにより、ターゲットが一時的に検知不能になった場合でも衝突を回避するための自動減速や警報が支障なく行えるようにしたものが提案されている。
【特許文献1】特開平6−174847号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
次に、図7〜図11に基づいて、上記特願2006−211839号で提案されたものの課題を説明する。尚、図7〜図11において、●は実データを示し、○は外挿データを示している。
【0005】
図7(A)はタイム1の状態を示すもので、自車の前方に停止物である潜り抜け可能な低いゲートが存在し、その前方に停止物である停止車両が存在するとする。この場合、自車は潜り抜け可能なゲートと衝突する可能性はないため、停止車両に対する衝突回避制御だけを行うことが望ましい。
【0006】
自車に搭載したレーダー装置から電磁波を前方に送信し、ゲートおよび停止車両からの反射波の反射レベルを検知閾値と比較し、反射波の反射レベルが検知閾値以上の停止物を自動制動や警報等の衝突回避制御の対象とする。図7(A)の場合は自車に近いゲートのの反射レベルが検知閾値以上になっているが、その距離が衝突回避制御の作動エリア外であるため、自動制動や警報等の衝突回避制御は行われない。また停止車両は距離が遠いために反射波の反射レベルが検知閾値未満であり、停止車両に対する衝突回避制御は当然行われない。
【0007】
図7(B)のタイム4になると、ゲートの反射波の反射レベルに加えて停止車両の反射波の反射レベルも検知閾値以上になるが、それらの距離が衝突回避制御の作動エリア外であるため、ゲートおよび停止車両に対する自動制動や警報等の衝突回避制御は行われない。
【0008】
図8(C)のタイム5になると、自車がゲートに更に近づくことで、レーダー装置の電磁波の大部分がゲートの内側を素通りすることで、ゲートの反射波の反射レベルが低下するが、まだ検知閾値以上の反射レベルであるため、図7(B)のタイム4の状態が継続される。
【0009】
図8(D)のタイム6になると、自車がゲートに更に近づいて反射波の反射レベルが検知閾値未満になってゲートがロスト(検知不能)状態になるため、ゲートの位置を予測する第1回目の外挿処理が行われる。このときも、外挿されたゲートおよび停止車両の距離が衝突回避制御の作動エリア外であるため、ゲートおよび停止車両に対する自動制動や警報等の衝突回避制御は行われない。
【0010】
図9(E)のタイム7になると、ゲートが依然としてロスト状態であるため、ゲートの位置を予測する第2回目の外挿処理が行われる。このときも、外挿されたゲートおよび停止車両の距離が衝突回避制御の作動エリア外であるため、ゲートおよび停止車両に対する自動制動や警報等の衝突回避制御は行われない。
【0011】
図9(F)のタイム8になると、ゲートが依然としてロスト状態であるため、ゲートの位置を予測する第3回目の外挿処理が行われる。この場合には、外挿されたゲートの距離が衝突回避制御の作動エリア内に入るため、ゲートとの衝突を回避するために自動制動や警報等の衝突回避制御が実行される。しかしながら、元々ゲートは潜り抜け可能な停止物であるために衝突回避制御は不必要であり、不必要な衝突回避制御が実行されてしまうことになる。
【0012】
このとき、衝突回避制御が自動制動ではなく警報であり、運転者が警報を無視して自車を前進させ、図10(G)のタイム11になると、停止車両が衝突回避制御の作動エリア内に入るため、停止車両に対する自動制動や警報等の衝突回避制御が実行される。
【0013】
図10(H)のタイム12になると、停止車両が依然として衝突回避制御の作動エリア内で検知されるため、衝突回避制御はそのまま継続される。
【0014】
図11(I)のタイム13になると、自車が停止車両に更に接近するため、停止車両がレーダー装置の検知エリアから側方に外れて反射レベルが検知閾値未満になり、1回目の外挿処理が行われる。そして、この1回目の外挿データに基づいて衝突回避制御はそのまま継続される。
【0015】
図11(J)のタイム14になると、2回目の外挿処理が行われ、この2回目の外挿データに基づいて衝突回避制御はそのまま継続される。
【0016】
このように、従来のものは、障害物がロストしている間に外挿処理が一律に5回まで連続して行われる。従って、潜り抜け可能な低いゲートのような停止物に対して外挿処理が5回まで連続して行われてしまうと、図9(F)のタイム8で過剰な衝突回避制御が実行されてしまう場合があり、ドライバーに違和感を与える可能性があった。
【0017】
本発明は前述の事情に鑑みてなされたもので、自車の走行の障害とならない停止物を対象とする不必要な車両制御が行われるのを防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上記目的を達成するために、請求項1に記載された発明によれば、所定の時間間隔で所定の検知エリアに向けて電磁波を送信する送信手段と、送信手段が送信した電磁波が物体に反射された反射波を受信する受信手段と、前記受信手段により受信された反射波のうち検知閾値以上の反射レベルを有する反射波に基づいて物体を検知する物体検知手段と、前記物体検知手段の検知結果に基づいて自車および物体の相対関係を算出する相対関係算出手段と、前記相対関係算出手段により前回算出された相対関係に基づいて今回の相対関係を予測する相対関係予測手段と、前記相対関係予測手段により今回予測された相対関係を前記相対関係算出手段により今回算出された相対関係と比較することで、前回検知された物体および今回検知された物体が同一物体であることを判定する同一性判定手段と、前記同一性判定手段により同一物体であると判定された回数が所定回数に達した物体を制御対象物体であると認識する制御対象物体認識手段と、前記制御対象物体認識手段により前回まで制御対象であると認識されていた物体が、今回制御対象であると認識されなくなったとき、前記相対関係予測手段により予測された物体を実際に検知されたものと見なして所定回数を限度に外挿する外挿手段と、前記制御対象であると認識された物体が静止物であるか否かを判定する静止物判定手段と、前記制御対象であると認識された物体の前回検知時の反射レベルおよび今回検知時の反射レベルから次回検知時の反射レベルを予測する反射レベル予測手段とを備え、前記外挿手段は、前記物体が静止物であり、かつ前記予測された反射レベルが前記検知閾値未満の場合に、外挿を行う回数の限度を減少させることを特徴とする制御対象認識装置が提案される。
【0019】
また請求項2に記載された発明によれば、請求項1の構成に加えて、前記外挿手段は、自車の車速の増加に応じて外挿を行う回数の限度を減少させることを特徴とする制御対象認識装置が提案される。
【0020】
また請求項3に記載された発明によれば、所定の時間間隔で所定の検知エリアに向けて電磁波を送信する送信手段と、送信手段が送信した電磁波が物体に反射された反射波を受信する受信手段と、前記受信手段により受信された反射波のうち検知閾値以上の反射レベルを有する反射波に基づいて物体を検知する物体検知手段と、前記物体検知手段の検知結果に基づいて自車および物体の相対関係を算出する相対関係算出手段と、前記相対関係算出手段により前回算出された相対関係に基づいて今回の相対関係を予測する相対関係予測手段と、前記相対関係予測手段により今回予測された相対関係を前記相対関係算出手段により今回算出された相対関係と比較することで、前回検知された物体および今回検知された物体が同一物体であることを判定する同一性判定手段と、前記同一性判定手段により同一物体であると判定された回数が所定回数に達した物体を制御対象物体であると認識する制御対象物体認識手段と、前記制御対象物体認識手段により前回まで制御対象であると認識されていた物体が、今回制御対象であると認識されなくなったとき、前記相対関係予測手段により予測された物体を実際に検知されたものと見なして所定回数を限度に外挿する外挿手段と、前記相対関係に基づいて前記車両を制御するとともに、制御対象物体であると認識された物体が実際に検知されている物体か外挿された物体かに応じて該制御の内容を変更する車両制御手段と、前記制御対象であると認識された物体が静止物であるか否かを判定する静止物判定手段と、前記制御対象であると認識された物体の前回検知時の反射レベルおよび今回検知時の反射レベルから次回検知時の反射レベルを予測する反射レベル予測手段とを備え、前記外挿手段は、前記物体が静止物であり、かつ前記予測された反射レベルが前記検知閾値未満の場合に、今回制御対象であると認識された物体を外挿物体とするとともに、前記車両制御手段は、前記外挿物体に対する車両制御を前記実際に検知されている物体に対する車両制御よりも弱くすることを特徴とする制御対象認識装置が提案される。
【0021】
また請求項4に記載された発明によれば、所定の時間間隔で所定の検知エリアに向けて電磁波を送信する送信手段と、送信手段が送信した電磁波が物体に反射された反射波を受信する受信手段と、前記受信手段により受信された反射波のうち検知閾値以上の反射レベルを有する反射波に基づいて物体を検知する物体検知手段と、前記物体検知手段の検知結果に基づいて自車および物体の相対関係を算出する相対関係算出手段と、前記相対関係算出手段により前回算出された相対関係に基づいて今回の相対関係を予測する相対関係予測手段と、前記相対関係予測手段により今回予測された相対関係を前記相対関係算出手段により今回算出された相対関係と比較することで、前回検知された物体および今回検知された物体が同一物体であることを判定する同一性判定手段と、前記同一性判定手段により同一物体であると判定された回数が所定回数に達した物体を制御対象物体であると認識する制御対象物体認識手段と、前記制御対象物体認識手段により前回まで制御対象であると認識されていた物体が、今回制御対象であると認識されなくなったとき、前記相対関係予測手段により予測された物体を実際に検知されたものと見なして所定回数を限度に外挿する外挿手段と、前記相対関係に基づいて前記車両を制御するとともに、制御対象物体であると認識された物体が実際に検知されている物体か外挿された物体かに応じて該制御を行うタイミングを変更する車両制御手段と、前記制御対象であると認識された物体が静止物であるか否かを判定する静止物判定手段と、前記制御対象であると認識された物体の前回検知時の反射レベルおよび今回検知時の反射レベルから次回検知時の反射レベルを予測する反射レベル予測手段とを備え、前記外挿手段は、前記物体が静止物であり、かつ前記予測された反射レベルが前記検知閾値未満の場合に、今回制御対象であると認識された物体を外挿物体とするとともに、前記車両制御手段は、前記外挿物体に対する車両制御を前記実際に検知されている物体に対する車両制御よりも行われにくくすることを特徴とする制御対象認識装置が提案される。
【発明の効果】
【0022】
請求項1の構成によれば、制御対象物体認識手段により前回まで制御対象であると認識されていた物体が、今回制御対象であると認識されなくなったとき、相対関係予測手段により予測された物体を実際に検知されたものと見なして外挿手段が所定回数を限度に外挿する際に、その物体が静止物であり、かつ物体の前回検知時の反射レベルおよび今回検知時の反射レベルから予測した次回検知時の反射レベルが検知閾値未満である場合には、外挿手段が外挿を行う回数の限度を減少させるので、反射レベルが急激に低下して制御対象でないと推定される物体の外挿回数を減らし、該物体に対する不必要な車両制御が行われるのを防止して運転者の違和感を解消することができる。
【0023】
また請求項2の構成によれば、外挿手段は自車の車速の増加に応じて外挿を行う回数の限度を減少させるので、自車の車速が高い場合における外挿中に外挿データが自車に急激に接近しても、不必要な車両制御が行われるのを防止することができる。
【0024】
また請求項3の構成によれば、制御対象物体認識手段により前回まで制御対象であると認識されていた物体が、今回制御対象であると認識されなくなったとき、相対関係予測手段により予測された物体を実際に検知されたものと見なして外挿手段が所定回数を限度に外挿する際に、その物体が静止物であり、かつ物体の前回検知時の反射レベルおよび今回検知時の反射レベルから予測した次回検知時の反射レベルが検知閾値未満である場合には、つまり物体の反射レベルが急激に低下していて該物体が制御対象とならない場合に、外挿手段は今回制御対象であると認識された物体を外挿物体とし、本来は実データとなるべき今回制御対象であると認識された物体のデータを外挿データとして取り扱うため、その外挿物体に対する車両制御が実際に検知されている物体に対する車両制御よりも弱められて過剰な車両制御が行われるのを防止することができる。
【0025】
また請求項4の構成によれば、制御対象物体認識手段により前回まで制御対象であると認識されていた物体が、今回制御対象であると認識されなくなったとき、相対関係予測手段により予測された物体を実際に検知されたものと見なして外挿手段が所定回数を限度に外挿する際に、その物体が静止物であり、かつ物体の前回検知時の反射レベルおよび今回検知時の反射レベルから予測した次回検知時の反射レベルが検知閾値未満である場合には、つまり物体の反射レベルが急激に低下していて該物体が制御対象とならない場合に、外挿手段は今回制御対象であると認識された物体を外挿物体とし、本来は実データとなるべき今回制御対象であると認識された物体のデータを外挿データとして取り扱うため、その外挿物体に対する車両制御が実際に検知されている物体に対する車両制御よりも遅らされて過剰な車両制御が行われるのを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本発明の実施の形態を添付の図面に基づいて説明する。
【0027】
図1〜図11は本発明の実施の形態および従来例を示すもので、図1は制御対象認識装置の電子制御ユニットのブロック図、図2は従来例の作用を説明するタイムチャート、図3は実施の形態の作用を説明するタイムチャート、図4はメインフローチャートを示す図、図5は前回ターゲットと引継ぎサブフローチャートを示す図、図6は前回ターゲット処理サブフローチャートを示す図、図7は従来例の作用説明図(タイム1およびタイム4)、図8は従来例の作用説明図(タイム5およびタイム6)、図9は従来例の作用説明図(タイム7およびタイム8)、図10は従来例の作用説明図(タイム11およびタイム12)、図11は従来例の作用説明図(タイム13およびタイム14)である。
【0028】
図1に示すように、本実施の形態の制御対象認識装置は、電磁波を送信する送信手段Raと、その電磁波が物体に反射された反射波を受信する受信手段Rbとを備えたレーダー装置Rで検知した先行車に対して自車が追従走行する際に、自車と先行車との車間距離が所定値以下になって衝突の可能性が高まる場合や、路上に存在する停止物との衝突が避けられない場合に、自動制動により自車を制動する衝突防止システムSと、運転者に自発的な制動を促す警報ユニットWとを作動させるようになっている。レーダー装置R、衝突防止システムSおよび警報ユニットWに接続された電子制御ユニットUは、物体検知手段M1と、相対関係算出手段M2と、相対関係予測手段M3と、同一性判定手段M4と、制御対象物体認識手段M5と、外挿手段M6と、静止物判定手段M7と、反射レベル予測手段M8と、車両制御手段M9とを備える。
【0029】
物体検知手段M1は、レーダー装置Rの受信手段Rbが受信した反射波の反射レベルを所定の検知閾値と比較し、反射レベルが検知閾値以上の物体をだけ検知する。相対関係算出手段M2は、物体検知手段M1での検知結果に基づいて自車および物体の相対位置や相対速度等の相対関係を算出する。相対関係予測手段M3は、相対関係算出手段M2で算出した今回の相対関係から次回の相対関係を予測する。同一性判定手段M4は、今回算出された実際の相対関係と今回予測された推定の相対関係とを比較することで、前回検知された物体と今回検知された物体との同一性を判定する。制御対象物体認識手段M5は、異なる物体を同一物体であると誤認するのを避けるために、同一性判定手段M4により所定回数続けて同一物体であると判定された物体だけを、最終的に制御対象(自動ブレーキや警報の対象)となる物体であると判定する。
【0030】
外挿手段M6は、制御対象物体認識手段M5が前回まで制御対象であると認識していた物体が、今回制御対象であると認識されなくなったとき、例えば、物体検知手段M1が制御対象をロストしたとき、所定回数(実施の形態では5回)に亘り、ロストした制御対象が継続して認識されているものと仮定して、外挿データを過去の制御対象のデータ(相対位置や相対速度)から推定して外挿する。つまり認識されなくなったデータを、認識されているのものと仮定し、外挿データとして出力する。これにより、ノイズ等の影響で制御対象を一時的に認識できなくなっても、それまでの制御を中断することなく継続することができる。もちろん、認識されなくなった制御対象が再び認識され、かつ再び認識された制御対象と外挿データとの同一性が確認されれば、外挿データは再び実データに引き継がれる。
【0031】
外挿手段M6による外挿処理の通常の最大回数は5回であり、5回の外挿処理を行った後も実データに引き継がれない場合、例えば、制御対象が進路を変更して自車の前方からいなくなったような場合には、5回の外挿処理の後に外挿データは消滅する。また外挿処理の最大回数は通常は5回であるが、以下の第1、第2の二つの条件が整うと外挿処理の最大回数は実質的に2回(後述する仮外挿データを含めると3回)に減少する。
【0032】
第1の条件は、制御対象が静止物であることである。静止物判定手段6は、制御対象が自車の速度に近い速度で自車に接近するとき、その制御対象を静止物であると判定することができる。第2の条件は、制御対象の反射レベルに関するものである。反射レベル予測手段M8は、制御対象の前回の反射レベルと今回の反射レベルとから次回の反射レベルを予測する。外挿手段M6は、制御対象が静止物であり、かつ予測した次回の反射レベルが検知閾値未満であるとき、最大外挿回数を5回から2回に減少させる。このとき、予測した次回の反射レベルが検知閾値未満であるとき、今回の制御対象の反射レベルが閾値以上であっても、その今回の制御対象のデータは外挿データ(仮外挿データ)として取り扱われる。従って、仮外挿データを外挿データと見做すと、最大外挿回数が5回から3回(そのうち1回は仮外挿データ)に減少することになる。
【0033】
そして車両制御手段M9は、制御対象の実データあるいは外挿データが自車前方のシステム作動領域に入ると、その制御対象に自車が衝突しないように衝突防止システムSや警報ユニットWの作動を制御する。
【0034】
つまり、従来例では、停止物をロストした場合に、外挿データを5回まで挿入しているが、本実施の形態では、潜り抜けられる低いゲートのような停止物にをロストした場合には、外挿データの挿入回数を最大3回(そのうち1回は仮外挿データ)に制限し、不必要な自動制動や警報が実行されて運転者に違和感を与えるのを防止する。
【0035】
図2は外挿回数が最大5回の従来例を示すタイムチャートであり、前記図7〜図11で説明した低いゲートと停止車両とを検知する場合に対応している。ここで●は反射レベルが検知閾値以上の実データ、○は反射レベルが検知閾値未満の外挿データである。また各タイムは、図7〜図11の各タイムに対応している。
【0036】
タイム1〜タイム5ではゲートの反射レベルが検知閾値以上であるため、実データとされるが、タイム6以後ではゲートの反射レベルが検知閾値未満になるため、外挿データとされ、その外挿処理はタイム11の手前まで最大5回継続される。この外挿データの反射レベルは、外挿となる直前の大きさに設定される。時間の経過に伴ってゲートの位置が次第に近づき、タイム8でゲートの外挿データがシステムの作動エリアに入ると、本来必要のないゲートに対する衝突防止のための自動制動や警報が実行されてしまう問題がある。
【0037】
また自車の前方の停止車両は、タイム4〜タイム12で連続して実データとして検知され、タイム13以降で検知領域の側方に外れて外挿データとなり、その外挿データは最大5回(3回のみ図示)連続して挿入される。タイム11において停止車両の実データがシステム作動エリアに入るので、その時点で停止車両を対象とする本来必要である自動制動や警報が開始される。
【0038】
図3は外挿回数が最大3回になる実施の形態を示すタイムチャートである。
【0039】
先ずタイム4の実データとタイム5の実データとから、タイム6のデータ(□参照)を予測する。その予測は、タイム4の実データからタイム5の実データへの変化率に基づいて行われる。このようにして予測されたタイム6のデータ(□参照)が、停止物に対する検知閾値未満である場合には、タイム5の実データを強制的に仮外挿データとし、それに続く外挿データの最大挿入回数を2回に制限する。即ち、タイム5の仮外挿データを含めて、外挿データの最大個数は3回になる。タイム5のデータを仮外挿データと呼ぶのは、その反射レベルが検知閾値以上であるのに、外挿データとするからである。
【0040】
よって最後の外挿データはタイム7のものになり、そしてタイム7の外挿データは停止物に対する衝突防止システムSの作動エリアの外側にあるため、不必要な衝突防止システムSの作動が回避されて運転者の違和感を解消することができる。そしてタイム8でゲートが衝突防止システムSの作動エリアの内側に入っても、その時には外挿データは存在しないため、衝突防止システムSが不必要な作動をして運転者に違和感を与えることはない。
【0041】
一方、停止車両のタイム11およびタイム12の実データからタイム13のデータ(□参照)を予測しても、その予測データは検知位置以上であるため、タイム12の実データを仮外挿データにする処理や、外挿回数を減少させる処理は行われない。タイム13でデータが検知閾値未満になると、タイム13以降で5回を限度として外挿データの挿入が行われる。そして従来例と同様に、タイム11において停止車両の実データがシステム作動エリアに入るので、その時点で停止車両を対象とする本来必要な自動制動や警報が開始される。
【0042】
最大の外挿回数が通常の5回になるか、それを減少させた3回になるかは、前回データおよび今回データから予測した次回データの反射レベルが、検知閾値以上であるか未満であるかによって決定される。ゲートのような物体は、自車が接近するとレーダー装置Rの電磁波が素通りして反射レベルが急激に低下し、前回データおよび今回データから予測した次回データの反射レベルが検知閾値未満になり易く、逆に停止車両のような物体は、自車が接近してもレーダー装置Rの電磁波が素通りしないので反射レベルが急激に低下することがなく、前回データおよび今回データから予測した次回データの反射レベルが検知閾値以上になり易いのである。
【0043】
また前回制御対象であると認識されたゲートの反射レベルと今回制御対象であると認識されたゲートの反射レベルとから該ゲートの次回の反射レベルを予測し、その反射レベルが検知閾値未満の場合に、つまりゲートの反射レベルが急激に低下していて該ゲートが制御対象とならない場合に、今回制御対象であると認識されたゲートの実データを強制的に外挿データとするので、後述するように外挿データが狭い外挿データのシステム作動エリアに入るまで車両制御が行われることがなくなり、かつ車両制御の強さが弱められるので、不必要な車両制御が行われるのを一層確実に防止することができる。
【0044】
次に、上記作用を図4〜図6のフローチャートに基づいて更に詳細に説明する。
【0045】
図4のメインフローのステップS1で車速やヨーレート等の車両データを入手し、ステップS2でレーダー装置Rで検知したターゲットの反射レベル、距離、左右位置、相対速を算出し、それを今回ターゲットメモリに記憶する。続くステップS3で後述する前回ターゲットと引継ぎサブフローを実行し、更にステップS4で後述する前回ターゲット処理サブフローを実行する。
【0046】
続くステップS5で今回ターゲットメモリに記憶された、出力フラグ=1(衝突防止システムSによる制御対象)のターゲットを電子制御ユニットUに出力する。このとき、外挿カウンタ値も出力する。続くステップS6で今回ターゲットメモリのデータを前回ターゲットメモリに移動し、ステップS7で車両情報とレーダ検知ターゲットデータとから衝突予測を行う。その結果、ステップS8で衝突の可能性があるターゲットが存在し、かつステップS9で外挿カウンタのカウント値が1以上のターゲットが存在し、かつステップS10で「外挿データのシステム作動エリア」内にあれば、ステップS11で1/2アシスト制御を実行し、外挿カウンタのカウント値が1以上のターゲットが存在しなければ、ステップS12でフルアシスト制御を実行する。
【0047】
このように、電子制御ユニットUの処理で、外挿データも車両制御の対象とするが、外挿データの場合に1/2アシスト制御とすることで、実データに比べて精度が低い外挿データに応じた車両制御を実行することができる。1/2アシスト制御とは、車両制御の強さをフルアシスト制御よりも弱めることを意味しており、例えば、自動制動を行う場合には、その制動力の減速度をフルアシスト時よりも低く設定したり、フルアシスト時に自動制動および警報を併用する場合には、自動制動を行わずに警報のみを行うことに相当する。
【0048】
また上記「外挿データのシステム作動エリア」とは、図7〜図11に示す静止物に対するシステム作動エリアを自車に近い部分と自車から遠い部分とに二分割し、そのうち自車に近い部分として定義される。実データの場合は、システム作動エリアの内部に存在すればフルアシスト制御が実行されるが、外挿データの場合は、システム作動エリアのうちの自車に近い部分(つまり「外挿データのシステム作動エリア」)に存在する場合に限り、1/2アシスト制御が実行される。これにより、実データに比べて信頼性が低い外挿データの場合には自車に接近するまで車両制御が行われ難くし、不要な車両制御による運転者の違和感を解消することができる。
【0049】
図5は図4のフローチャートのステップS3(前回ターゲットと引継ぎサブフロー)の内容を示すものである。
【0050】
先ずステップS21で今回ターゲットを今回ターゲットメモリから呼び出し、ステップS22で前回ターゲットと引継ぎを確認する。この引継ぎは、自車位置に対する前回ターゲットの相対位置を基準とし、それに前回ターゲットの相対速度を考慮して今回ターゲットの相対位置を推定し、その推定位置の近傍に今回ターゲットが存在すれば、今回ターゲットが前回ターゲットと同一物であると推定され、この処理が所定回数連続した場合に両ターゲットが同一物であるとして引継がれる。
【0051】
続くステップS23で今回ターゲットが前回ターゲットを引継いだ同一物である場合、ステップS24でそのターゲットが停止物であるか移動物であるかを判断する。具体的には、「自車速」+「相対速」が−10kmから10kmの範囲にあれば、つまりターゲットが「自車速」±10kmの速度で自車に接近していれば、そのターゲットが停止物であると判断してステップS25に移行する。ステップS25で前回ターゲットの反射レベルと今回ターゲットの反射レベルとから、次回のターゲットの反射レベルを予測する。そしてステップS26で前記予測した次回の反射レベルが検知閾値以上であれば、ステップS27で外挿カウンタを0に設定し、ステップS29で出力フラグを「1」にセットする。一方、前記ステップS26で前記予測した次回の反射レベルが検知閾値未満であれば、ステップS28で外挿カウンタ=0とせずに、それよりも3だけ多い外挿カウンタ=3に設定した後、ステップS29で出力フラグを「1」にセットする。
【0052】
前記ステップS24の答がNOでそのターゲットが移動物である場合には、前記ステップS25およびステップS26をスキップし、前記ステップS27で外挿カウンタ=0にセットする。また前記ステップS23で今回ターゲットが前回ターゲットを引継いだものでなければ、つまり新規に検知されたターゲットであれば、ステップS30で外挿カウンタ=0にセットし、ステップS31で出力フラグを「0」にセットする。
【0053】
そしてステップS32で全ての今回ターゲットを呼び出すまで、前記ステップS21〜ステップS31を繰り返す。
【0054】
出力フラグが「1」にセットされた今回ターゲットは、図4のフローチャートのステップS5で電子制御ユニットUに出力され、衝突防止システムSの制御対象となる。また今回ターゲットが前回ターゲットを引継いだものでないために信頼性が低い場合には(前記ステップS23でNOの場合)、出力フラグが「0」にクリアされるため、その今回ターゲットに基づく車両制御が実行されることはない。
【0055】
図6は図4のフローチャートのステップS4(前回ターゲット処理サブフロー)の内容を示すものである。
【0056】
先ずステップS41で前回ターゲットを前回ターゲットメモリから呼び出し、ステップS42で前記呼び出した前回ターゲットが今回ターゲットに引継いだターゲットでなければ、つまり外挿されたターゲットである場合には、ステップS43で外挿カウンタを1インクリメントする。ステップS44で外挿カウンタのカウント値が5以下であれば、ステップS45で前回データから今回データを予測し、つまりターゲットの前回位置から今回位置を予測し、ステップS46でそのターゲットが衝突防止システムSの制御対象になるように出力フラグを「1」にセットする。続くステップS47で予測した今回データを今回ターゲットデータに記憶するとともに、外挿カウンタのカウント値も記憶する。
【0057】
前記ステップS42で前記呼び出した前回ターゲットが今回ターゲットに引継いだターゲットである場合と、前記ステップS44で外挿カウンタのカウント値が5を超えた場合と、前記ステップS47を通過した場合とには、ステップS48で全ての前回ターゲットを呼び出すまで、前記ステップS41〜ステップS47を繰り返す。
【0058】
ところで、前記ステップS26で推定した反射レベルが検知閾値以上の場合は、前記ステップS27で外挿カウンタ=0にセットするので、外挿処理を5回行っても外挿カウンタ>5にならないため、外挿処理の回数は最大で5回になる。それに対し、前記ステップS26で推定した反射レベルが検知閾値未満の場合は、前記ステップS28で外挿カウンタを=3にセットするので、外挿処理を3回行うと外挿カウンタ>5になってしまうため、外挿処理の回数は最大で2回に制限される。尚、仮外挿処理を加えれば、その回数は最大で3回に制限される。
【0059】
これにより、ゲートのような潜り抜け可能な停止物に対しては外挿処理の回数を通常の5回から2回(仮外挿処理を加えれば3回)に減少させることで、衝突の可能性がない障害物に対して衝突防止システムSが過剰に反応して運転者に違和感を与えるのを防止することができる。
【0060】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明はその要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更を行うことが可能である。
【0061】
例えば、通常の外挿回数および減少した外挿回数は実施の形態に限定されず、任意に設定可能である。一例を挙げると、自車の車速が増加するのに応じて、反射レベルが検知閾値未満の場合の外挿処理の回数を通常の3回から2回、1回と減少させることができる。これにより、車速が高いために、外挿をやめる前に外挿データがシステム作動エリアに入ってしまい、過剰な車両制御が行われて運転者に違和感を与えるのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】制御対象認識装置の電子制御ユニットのブロック図
【図2】従来例の作用を説明するタイムチャート
【図3】実施の形態の作用を説明するタイムチャート
【図4】メインフローチャートを示す図
【図5】前回ターゲットと引継ぎサブフローチャートを示す図
【図6】前回ターゲット処理サブフローチャートを示す図
【図7】従来例の作用説明図(タイム1およびタイム4)
【図8】従来例の作用説明図(タイム5およびタイム6)
【図9】従来例の作用説明図(タイム7およびタイム8)
【図10】従来例の作用説明図(タイム11およびタイム12)
【図11】従来例の作用説明図(タイム13およびタイム14)
【符号の説明】
【0063】
M1 物体検知手段
M2 相対関係算出手段
M2 相対関係予測手段
M4 同一性判定手段
M5 制御対象物体認識手段
M6 外挿手段
M7 静止物判定手段
M8 反射レベル予測手段
M9 車両制御手段
Ra 送信手段
Rb 受信手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の時間間隔で所定の検知エリアに向けて電磁波を送信する送信手段(Ra)と、
送信手段(Ra)が送信した電磁波が物体に反射された反射波を受信する受信手段(Rb)と、
前記受信手段(Rb)により受信された反射波のうち検知閾値以上の反射レベルを有する反射波に基づいて物体を検知する物体検知手段(M1)と、
前記物体検知手段(M1)の検知結果に基づいて自車および物体の相対関係を算出する相対関係算出手段(M2)と、
前記相対関係算出手段(M2)により前回算出された相対関係に基づいて今回の相対関係を予測する相対関係予測手段(M3)と、
前記相対関係予測手段(M3)により今回予測された相対関係を前記相対関係算出手段(M2)により今回算出された相対関係と比較することで、前回検知された物体および今回検知された物体が同一物体であることを判定する同一性判定手段(M4)と、
前記同一性判定手段(M4)により同一物体であると判定された回数が所定回数に達した物体を制御対象物体であると認識する制御対象物体認識手段(M5)と、
前記制御対象物体認識手段(M5)により前回まで制御対象であると認識されていた物体が、今回制御対象であると認識されなくなったとき、前記相対関係予測手段(M3)により予測された物体を実際に検知されたものと見なして所定回数を限度に外挿する外挿手段(M6)と、
前記制御対象であると認識された物体が静止物であるか否かを判定する静止物判定手段(M7)と、
前記制御対象であると認識された物体の前回検知時の反射レベルおよび今回検知時の反射レベルから次回検知時の反射レベルを予測する反射レベル予測手段(M8)と、
を備え、
前記外挿手段(M6)は、前記物体が静止物であり、かつ前記予測された反射レベルが前記検知閾値未満の場合に、外挿を行う回数の限度を減少させることを特徴とする制御対象認識装置。
【請求項2】
前記外挿手段(M6)は、自車の車速の増加に応じて外挿を行う回数の限度を減少させることを特徴とする、請求項1に記載の制御対象認識装置。
【請求項3】
所定の時間間隔で所定の検知エリアに向けて電磁波を送信する送信手段(Ra)と、
送信手段(Ra)が送信した電磁波が物体に反射された反射波を受信する受信手段(Rb)と、
前記受信手段(Rb)により受信された反射波のうち検知閾値以上の反射レベルを有する反射波に基づいて物体を検知する物体検知手段(M1)と、
前記物体検知手段(M1)の検知結果に基づいて自車および物体の相対関係を算出する相対関係算出手段(M2)と、
前記相対関係算出手段(M2)により前回算出された相対関係に基づいて今回の相対関係を予測する相対関係予測手段(M3)と、
前記相対関係予測手段(M3)により今回予測された相対関係を前記相対関係算出手段(M2)により今回算出された相対関係と比較することで、前回検知された物体および今回検知された物体が同一物体であることを判定する同一性判定手段(M4)と、
前記同一性判定手段(M4)により同一物体であると判定された回数が所定回数に達した物体を制御対象物体であると認識する制御対象物体認識手段(M5)と、
前記制御対象物体認識手段(M5)により前回まで制御対象であると認識されていた物体が、今回制御対象であると認識されなくなったとき、前記相対関係予測手段(M3)により予測された物体を実際に検知されたものと見なして所定回数を限度に外挿する外挿手段(M6)と、
前記相対関係に基づいて前記車両を制御するとともに、制御対象物体であると認識された物体が実際に検知されている物体か外挿された物体かに応じて該制御の内容を変更する車両制御手段(M9)と、
前記制御対象であると認識された物体が静止物であるか否かを判定する静止物判定手段(M7)と、
前記制御対象であると認識された物体の前回検知時の反射レベルおよび今回検知時の反射レベルから次回検知時の反射レベルを予測する反射レベル予測手段(M8)と、
を備え、
前記外挿手段(M6)は、前記物体が静止物であり、かつ前記予測された反射レベルが前記検知閾値未満の場合に、今回制御対象であると認識された物体を外挿物体とするとともに、前記車両制御手段(M9)は、前記外挿物体に対する車両制御を前記実際に検知されている物体に対する車両制御よりも弱くすることを特徴とする制御対象認識装置。
【請求項4】
所定の時間間隔で所定の検知エリアに向けて電磁波を送信する送信手段(Ra)と、
送信手段(Ra)が送信した電磁波が物体に反射された反射波を受信する受信手段(Rb)と、
前記受信手段(Rb)により受信された反射波のうち検知閾値以上の反射レベルを有する反射波に基づいて物体を検知する物体検知手段(M1)と、
前記物体検知手段(M1)の検知結果に基づいて自車および物体の相対関係を算出する相対関係算出手段(M2)と、
前記相対関係算出手段(M2)により前回算出された相対関係に基づいて今回の相対関係を予測する相対関係予測手段(M3)と、
前記相対関係予測手段(M3)により今回予測された相対関係を前記相対関係算出手段(M2)により今回算出された相対関係と比較することで、前回検知された物体および今回検知された物体が同一物体であることを判定する同一性判定手段(M4)と、
前記同一性判定手段(M4)により同一物体であると判定された回数が所定回数に達した物体を制御対象物体であると認識する制御対象物体認識手段(M5)と、
前記制御対象物体認識手段(M5)により前回まで制御対象であると認識されていた物体が、今回制御対象であると認識されなくなったとき、前記相対関係予測手段(M3)により予測された物体を実際に検知されたものと見なして所定回数を限度に外挿する外挿手段(M6)と、
前記相対関係に基づいて前記車両を制御するとともに、制御対象物体であると認識された物体が実際に検知されている物体か外挿された物体かに応じて該制御を行うタイミングを変更する車両制御手段(M9)と、
前記制御対象であると認識された物体が静止物であるか否かを判定する静止物判定手段(M7)と、
前記制御対象であると認識された物体の前回検知時の反射レベルおよび今回検知時の反射レベルから次回検知時の反射レベルを予測する反射レベル予測手段(M8)と、
を備え、
前記外挿手段(M6)は、前記物体が静止物であり、かつ前記予測された反射レベルが前記検知閾値未満の場合に、今回制御対象であると認識された物体を外挿物体とするとともに、前記車両制御手段(M9)は、前記外挿物体に対する車両制御を前記実際に検知されている物体に対する車両制御よりも行われにくくすることを特徴とする制御対象認識装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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