説明

制御装置およびプログラム

【課題】処理装置の消費電力を低減可能な制御装置およびプログラムを提供する。
【解決手段】実施形態の制御装置は、受信部と判定部と特定部と決定部と指示部と送信部とを備える。受信部は、電圧を個別に制御可能な複数の要素を含んで構成される処理装置に対して割り込み処理の実行を要求する割り込み要求を受信する。判定部は、複数の要素の各々の状態を判定する。特定部は、判定部による判定結果に基づき、要素ごとに、電力の供給を受けて当該要素が動作可能な状態を示す稼動モードへ移行するのに要する時間を示す起動時間を特定する。決定部は、各要素の起動時間の差に基づいて、要素ごとに、電力供給を開始するタイミングを示す開始タイミングを決定する。指示部は、各要素に電力を供給するための電源部に対して、決定部により決定された開始タイミングに従って電力供給を実行するように指示する。送信部は、割り込み要求を処理装置へ送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、制御装置およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、処理装置(例えばプロセッサ)に対して割り込み処理の実行を要求する割り込み要求を受け付けるたびに、その受け付けた割り込み要求に対応する割り込み処理を処理装置に実行させる技術が知られている。このような技術では、処理装置が何の処理も実行しないアイドル状態において割り込み要求を受け付けた場合、処理装置は、アイドル状態から、割り込み処理を実行可能なアクティブ状態に遷移する。そして、処理装置は当該割り込み処理を実行した後、再びアイドル状態に遷移する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】“ARM926EJ-S テクニカルリファレンスマニュアル 12.1.1”http://www.jp.arm.com/document/manual/mdl.cgi
【非特許文献2】“i.MX51 EVK Supply Current Measurements.”http://www.freescale.com/webapp/sps/site/prod_summary.jsp?code=i.MX515&fpsp=1&tab=Documentation_tab”
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、処理装置の消費電力を低減させる方法の一例として、アイドル状態においては、処理装置へ供給する電力を減らして節電状態(スリープ状態)に移行させるといった方法が考えられる。この場合は、割り込み要求を受け付けたときに、処理装置に対する電力供給が再開される。そして、処理装置が動作可能な状態へ移行してから、割り込み処理が実行される。しかしながら、電力供給が再開されてから、処理装置を構成する複数の要素の各々が動作可能な状態へ移行するまでに要する時間(起動時間)は、要素ごとに異なる。したがって、各要素に対する電力供給を一斉に開始すると、起動時間が短い要素は、動作可能な状態への移行を完了しても、起動時間が長い要素が動作可能な状態へ移行するまで待機状態となり、その間の消費電力が無駄になるという問題がある。本発明が解決しようとする課題は、処理装置の消費電力を低減可能な制御装置およびプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の制御装置は、受信部と判定部と特定部と決定部と指示部と送信部とを備える。受信部は、電圧を個別に制御可能な複数の要素を含んで構成される処理装置に対して割り込み処理の実行を要求する割り込み要求を受信する。判定部は、複数の要素の各々の状態を判定する。特定部は、判定部による判定結果に基づき、要素ごとに、電力の供給を受けて当該要素が動作可能な状態を示す稼動モードへ移行するのに要する時間を示す起動時間を特定する。決定部は、各要素の起動時間の差に基づいて、要素ごとに、電力供給を開始するタイミングを示す開始タイミングを決定する。指示部は、各要素に電力を供給するための電源部に対して、決定部により決定された開始タイミングに従って電力供給を実行するように指示する。送信部は、割り込み要求を処理装置へ送信する。
【0006】
また、実施形態のプログラムは、受信ステップと、判定ステップと、特定ステップと、決定ステップと、指示ステップと、送信ステップとをコンピュータに実行させるためのプログラムである。受信ステップは、複数のデバイスを含んで構成される処理装置に対して割り込み処理の実行を要求する割り込み要求を受信する。判定ステップは、複数の要素の各々の状態を判定する。特定ステップは、判定ステップによる判定結果に基づき、要素ごとに、電力の供給を受けて当該要素が動作可能な状態を示す稼動モードへ移行するのに要する時間を示す起動時間を特定する。決定ステップは、各要素の起動時間の差に基づいて、要素ごとに、電力供給を開始するタイミングを示す開始タイミングを決定する。指示ステップは、各要素に電力を供給するための電源部に対して、開始タイミングに従って電力供給を実行するように指示する。送信ステップは、割り込み要求を処理装置へ送信する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】第1実施形態の制御装置の一例を示すブロック図。
【図2】第1実施形態の判定部の一例を示すブロック図。
【図3】第1実施形態の判定部の一例を示すブロック図。
【図4】第1実施形態の第1記憶部に記憶されるデータの一例を示す図。
【図5】第1実施形態の開始タイミングの決定方法の一例を説明するための図。
【図6】第1実施形態の制御装置の処理動作の一例を示すフローチャート。
【図7】第2実施形態の制御装置の一例を示すブロック図。
【図8】第2実施形態のトリガー部の一例を示すブロック図。
【図9】第2実施形態の第2記憶部に記憶される情報の一例を示す図。
【図10】第2実施形態の第2記憶部に記憶される情報の一例を示す図。
【図11】第2実施形態の第2記憶部に記憶される情報の一例を示す図。
【図12】第2実施形態の第3記憶部に記憶される許可条件の一例を示す図。
【図13】第2実施形態の第3記憶部に記憶される許可条件の一例を示す図。
【図14】第2実施形態の制御部が実行する許可処理の一例を示すフローチャート。
【図15】第2実施形態の開始タイミングの決定方法の一例を説明するための図。
【図16】第2実施形態の制御装置の一例を示すブロック図。
【図17】第3実施形態の供給能力検出部の一例を示すブロック図。
【図18】第3実施形態の供給能力検出部の一例を示すブロック図。
【図19】第3実施形態の第3記憶部に記憶される許可条件の一例を示す図。
【図20】変形例の制御装置の一例を示すブロック図。
【図21】変形例の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態の制御装置100の概略構成の一例を示すブロック図である。制御装置100は、複数のデバイス1〜デバイスnの各々から、処理装置120に対して割り込み処理の実行を要求する割り込み要求を受信し、その受信した割り込み要求を処理装置120へ送信する。デバイスは、処理装置120に対して外部からデータを入力する機能、および、処理装置120から外部へデータを出力する機能のうちの少なくとも一方を有する装置であり、例えばキーボード、HDD、ネットワークインタフェース装置、タイマー装置などが挙げられる。処理装置120は、例えばCPU(Central Processing Unit)121やメモリ122などを含んで構成され得る。
【0009】
本実施形態の処理装置120は、何の処理も実行しないアイドル状態の場合は、節電状態(スリープ状態)へ移行し、処理装置120を構成する複数の要素への電力供給が減らされる。要素は、電圧を個別に制御可能な対象である。上記の要素には、電圧を個別に制御可能な部品や部品内の区画などが含まれる。例えばCPU121、メモリ122、CPU121を含むSOC(システムオンチップ)の中の1区画などが要素となり得る。また、電圧の制御には、電圧のオンとオフを切り替える制御も含まれる。なお、上述のデバイスが、処理装置120を構成する要素でもある場合もあり得る。本実施形態では、制御装置100は、割り込み要求を受信した場合、処理装置120を構成する複数の要素(CPU121、メモリ122等)の各々の現在の状態に基づいて、要素ごとに、電力の供給を受けて当該要素が動作可能な状態を示す稼動モードへ移行するのに要する時間を示す起動時間を特定する。そして、制御装置100は、各要素の起動時間の差に基づいて、要素ごとに、当該要素を稼動モードへ移行させるための電力供給を開始するタイミングを示す開始タイミングを決定する。そして、制御装置100は、処理装置120を構成する複数の要素の各々に電力を供給するための電源部130に対して、決定した開始タイミングに従って電力供給を実行するように指示する。以下、具体的な内容を説明する。なお、本実施形態の電源部130は、制御装置100の制御の下、処理装置120を構成する各要素に対して、不図示のバッテリの電力を供給する。
【0010】
図1に示すように、制御装置100は、受信部10と、判定部20と、第1記憶部30と、特定部40と、決定部50と、指示部60と、送信部70とを有する。ここでは、制御装置100の各部(10、20、30、40、50、60、70)は、半導体集積回路で構成される。なお、これに限らず、制御装置100の各部のうちの一部がソフトウェアにより実現されてもよい。例えば第1記憶部30がハードウェアで構成され、制御装置100に搭載されたCPUが制御プログラムを実行することにより、受信部10、判定部20、特定部40、決定部50、指示部60および送信部70の機能が実現される構成であってもよい。
【0011】
受信部10は、複数のデバイス1〜デバイスnの各々から、割り込み要求を受信する。判定部20は、処理装置120を構成する複数の要素(CPU121、メモリ122等)の状態を判定する。本実施形態では、各要素の状態を示すモードの一例として、当該要素が動作可能な状態を示す「稼動モード」と、当該要素の動作が停止している状態であって、稼動モードよりも消費電力量が節減された状態を示す「休止モード」とが設定される。この例では、「稼動モード」には、要素が動作可能な状態で待機している状態、および、要素が実際に動作している状態の両方が含まれる。
【0012】
例えば図2に示すように、判定部20は、状態検出部22を含んで構成されてもよい。図2の例では、状態検出部22は、特定部40からの要求に応じて、処理装置120を構成する複数の要素の各々にアクセス、または信号線などをモニタすることで、当該要素が稼動モードおよび休止モードのうちの何れであるのかを検出(判定)する。
【0013】
また、例えば図3に示すように、判定部20は、状態受信部24と保持部26とを含んで構成されてもよい。図3の例では、処理装置120を構成する各要素は、稼動モードから休止モードへ変化したとき、または、休止モードから稼動モードへ変化したときに、状態の変化を知らせる状態変化信号を状態受信部24へ送信する。状態受信部24は、各要素から受信した状態変化信号から、当該要素が稼動モードなのか休止モードなのかを判定する。そして、状態受信部24は、各要素の状態(稼動モードまたは休止モード)を示す状態情報を保持部26に保持させる。保持部26に保持される状態情報は、状態受信部24が上述の状態変化信号を受信するたびに更新される。図3の例では、特定部40は、保持部26に保持された状態情報を読み出すことで、各要素の状態を把握することができる。なお、状態変化信号は、各デバイスが個別に送ってもよいし、CPU121が一括して送ってもよい。
【0014】
再び図1に戻って説明を続ける。第1記憶部30は、要素ごとに、当該要素の状態を示すモードと、電力の供給を受けて稼動モードへ移行するのに要する時間を示す起動時間とを対応付けて記憶する。図4は、第1記憶部30に記憶されたデータの一例を示す図である。図4の例では、メモリ122の「稼動モード」に対応する起動時間は「0」であり、メモリ122の「休止モード」に対応する起動時間はT1である。また、図4の例では、CPU121の「稼動モード」に対応する起動時間は「0」であり、CPU121の「休止モード」に対応する起動時間はT2(ここでは、一例としてT1>T2)である。
【0015】
特定部40は、判定部20による判定結果に基づき、処理装置120を構成する複数の要素(CPU121、メモリ122等)ごとに、当該要素の起動時間を特定する。より具体的には、特定部40は、処理装置120を構成する要素ごとに、当該要素の現在のモード(状態)に対応する起動時間を第1記憶部30から読み出すことで、各要素の起動時間を特定する。
【0016】
決定部50は、処理装置120を構成する複数の要素(CPU121、メモリ122等)の各々の起動時間の差に基づいて、要素ごとに、当該要素を稼動モードに移行させるための電力供給を開始するタイミングを示す開始タイミングを決定する。より具体的には、決定部50は、複数の要素のうち起動時間が最も長い要素を示す基準要素の起動時間と他の要素の起動時間との差に応じて、他の要素の開始タイミングが、基準要素の開始タイミングに比べて遅くなるように、各要素の開始タイミングを決定する。例えば、CPU121およびメモリ122のモードが休止モードであり、CPU121の起動時間がT2、メモリ122の起動時間がT1であると特定された場合を想定する。この場合、上記基準要素はメモリ122となる。そして、図5に示すように、決定部50は、メモリ122の起動時間T1とCPU121の起動時間T2との差に応じて、CPU121の開始タイミングYがメモリ122の開始タイミングXよりも遅くなるように、各要素の開始タイミングを決定する。図5の例では、決定部50は、各要素が稼動モードへの移行を完了する時刻(以下、「復帰完了時刻」と呼ぶ)が同じ時刻Zとなるように、各要素の開始タイミングを決定するので、CPU121の開始タイミングYは、メモリ122の開始タイミングXよりも、メモリ122の起動時間T1とCPU121の起動時間T2との差に相当する時間T1−T2だけ遅くなる。
【0017】
指示部60は、電源部130に対して、決定部50により決定された開始タイミングに従って電力供給を実行するように指示する。本実施形態では、決定部50は、各要素の開始タイミングに到達するたびに、電力供給を開始すべき要素を特定する特定信号を指示部60へ送るので、指示部60は、決定部50からの特定信号を受信するたびに、当該特定信号で特定された要素を稼動モードへ移行させるための電力供給を開始することを指示する復帰信号を電源部130へ送信する。例えば図5の例では、開始タイミングXに到達したときに、決定部50は、電力供給を開始すべき要素としてメモリ122を特定する特定信号を指示部60へ送るので、当該特定信号を受信した指示部60は、メモリ122の復帰信号を電源部130へ送信する。そして、その復帰信号を受信した電源部130は、メモリ122が稼動モードへ移行するように、メモリ122に対する電力供給を開始する。
【0018】
なお、本実施形態では、決定部50は、各要素の開始タイミングに到達するたびに、電力供給を開始すべき要素を特定する特定信号を指示部60へ送っているが、これに限らず、例えば決定部50は、各要素の開始タイミングを予め指示部60へ通知しておき、指示部60は、各要素の開始タイミングに到達するたびに、当該要素の復帰信号を電源部130へ送信してもよい。要するに、指示部60は、電源部130に対して、決定部50により決定された開始タイミングに従って電力供給を実行するように指示するものであればよい。
【0019】
送信部70は、受信部10で受信した割り込み要求を処理装置へ送信する。本実施形態では、処理装置120を構成する各要素(CPU121、メモリ122等)が稼動モードへの移行を完了するまで、受信した割り込み要求は制御装置100で保持され、各要素が稼動モードへの移行を完了したときに、送信部70は、それまで保持されていた割り込み要求を処理装置120へ送信する。なお、割り込み要求を保持する方法は任意である。例えば受信した割り込み要求を不図示のメモリに一時的に記憶してもよいし、受信した割り込み要求に対応するプログラムを起動することで当該割り込み要求を保持してもよい。
【0020】
なお、処理装置120が割り込み要求を受信した場合に、電源部130による電力供給が開始される構成とすることもできる。この構成では、上述の復帰信号の代わりに、割り込み信号を送信することもできる。また、割り込み要求を受信しても電源部130による電力供給が開始されない構成においては、上述の復帰信号の送信と同時、または、復帰信号の送信後であって復帰完了時刻よりも前の時点で、割り込み要求を処理装置120へ送信してもよい。
【0021】
ここで、図5の例では、処理装置120を構成する複数の要素のうち、起動時間が最長の要素(図5の例ではメモリ122)の終点に対応する時刻Zが、各要素の復帰完了時刻である。図5の例では、時刻Zに到達したときに、決定部50は、各要素の復帰完了時刻に到達したことを送信部70に通知する。そして、その通知を受けた送信部70は、保持されていた割り込み要求を処理装置120へ送信する。
【0022】
次に、本実施形態の制御装置100の動作例を説明する。図6は、本実施形態の制御装置100の処理動作の一例を示すフローチャートである。図6に示すように、まず受信部10で割り込み要求を受信した場合(ステップS1の結果:YES)、判定部20は、処理装置120を構成する複数の要素(CPU121、メモリ122等)の各々の状態を判定する(ステップS2)。より具体的には以下のとおりである。判定部20が図2の構成の場合、特定部40は、状態検出部22に対して、処理装置120を構成する各要素の状態を通知することを要求する。この要求を受けた状態検出部22は、処理装置120を構成する各要素にアクセスして当該要素の状態を検出(判定)し、その検出結果を特定部40へ通知する。特定部40は、状態検出部22から通知された検出結果から、処理装置120を構成する各要素が稼動モードおよび休止モードのうちの何れであるかを判断する。また、判定部20が図3の構成の場合、特定部40は、保持部26に保持された状態情報を読み出し、その読み出した状態情報から、処理装置120を構成する各要素が稼動モードおよび休止モードのうちの何れであるかを判断する。
【0023】
次に、特定部40は、処理装置120を構成する複数の要素のうち、ステップS2で休止モードであると判定された要素が存在するか否かを判断する(ステップS3)。休止モードであると判定された要素が存在しない場合(ステップS3の結果:NO)、処理装置120を構成する全ての要素は、直ちに動作可能な状態であるので、送信部70は、ステップS1で受信した割り込み要求を処理装置120へ送信する(ステップS8)。
【0024】
一方、休止モードであると判定された要素が存在する場合(ステップS3の結果:YES)、特定部40は、処理装置120を構成する各要素の起動時間を特定する(ステップS4)。より具体的には、特定部40は、要素ごとに、当該要素の現在のモードに対応する起動時間を第1記憶部30から読み出すことで、各要素の起動時間を特定する。次に、決定部50は、各要素の起動時間の差に基づいて、各要素の開始タイミングを決定する(ステップS5)。各要素の開始タイミングの決定方法は上述したとおりである。
【0025】
次に、各要素の開始タイミングに到達すると、指示部60は、当該要素の復帰信号を電源部130へ送信する(ステップS6)。復帰信号の送信方法は上述したとおりである。次に、決定部50は、復帰完了時刻に到達したと判断した場合(ステップS7の結果:YES)、送信部70に対して復帰完了時刻に到達したことを通知する。そして、その通知を受けた送信部70は、ステップS1で受信した割り込み要求を処理装置120に対して送信する(ステップS8)。以上で制御装置100による処理が終了する。
【0026】
以上に説明したように、本実施形態では、制御装置100は、割り込み要求を受信すると、処理装置120を構成する複数の要素の各々の現在の状態に基づいて、各要素の起動時間を特定する。そして、制御装置100は、各要素の起動時間の差に基づいて、稼動モードへ移行させるための電力供給を開始するタイミング(開始タイミング)を要素ごとに決定する。より具体的には、制御装置100は、基準要素の起動時間と他の要素の起動時間との差に応じて、他の要素の開始タイミングが、基準要素の開始タイミングに比べて遅くなるように、各要素の開始タイミングを決定するので、各要素の開始タイミングが同じ場合に比べて、無駄な消費電力を低減できるという有利な効果を奏する。さらに、本実施形態では、制御装置100は、各要素の復帰完了時刻が揃うように、各要素の開始タイミングを決定するので、起動時間の短い要素は、稼動モードへの移行を完了した後、他の要素が稼動モードへの移行を完了するまで待たされることはない。したがって、無駄な消費電力を一層低減できる。
【0027】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について説明する。第2実施形態では、制御装置100は、処理装置120が処理を実行しているアクティブ状態(稼動状態)の場合は、受信した割り込み要求を処理装置120へ送信する一方、処理装置120が何の処理も実行していないアイドル状態の場合は、所定の条件が成立したときにのみ、受信した割り込み要求を処理装置120へ送信する。以下、具体的な内容を説明する。なお、第1実施形態と共通する部分については、同一の符号を付して適宜に説明を省略する。
【0028】
図7は、第2実施形態の制御装置100の概略構成の一例を示すブロック図である。図7に示すように、制御装置100は、トリガー部80と、第2記憶部81と、第3記憶部82と、許可部83とをさらに備える点で第1実施形態と相違する。
【0029】
トリガー部80は、一定の条件が成立したときに、許可部83を起動させる。図8は、トリガー部80の構成の一例を示すブロック図である。図8に示すように、トリガー部80は、トリガー送信部84を含んで構成される。トリガー送信部84は、CPU121から、処理装置120の状態が変化したことを通知されたときに、許可部83を起動させるためのトリガー信号を許可部83へ送信する。CPU121は、処理装置120がアクティブ状態からアイドル状態に変化したとき、または、アイドル状態からアクティブ状態に変化したときに、状態の変化を知らせるための状態変化信号をトリガー送信部84へ通知する。
【0030】
また、トリガー送信部84は、少なくとも1つの時刻を示すタイマー情報が示す時刻に到達するたびに、トリガー信号を許可部83へ送信する。タイマー情報は、外部のタイマー情報管理部90が備えるメモリ(不図示)に記憶される。タイマー情報管理部90は、タイマー情報が示す時刻に到達するたびに、当該時刻に到達したことを知らせるためのタイマー信号をトリガー送信部84へ通知する。なお、この例では、タイマー情報管理部90は、制御装置100の外部に設けられているが、これに限らず、タイマー情報管理部90が制御装置100に搭載されていてもよい。
【0031】
さらに、トリガー送信部84は、受信部10から、割り込み要求を受信したことを通知されたときに、トリガー信号を許可部83へ送信する。受信部10は、デバイス1〜デバイスnから割り込み要求を受信したときに、割り込み要求を受信したことを知らせるための受信信号をトリガー送信部84へ通知する。以上より、本実施形態のトリガー部80は、CPU121から状態変化信号を受信したとき、タイマー情報管理部90からタイマー信号を受信したとき、受信部10から受信信号を受信したときのうちの何れかを契機として許可部83を起動させる。
なお、ここでは、トリガー送信部84は、上述の状態変化信号、タイマー信号、および、受信信号の各々に応じて、トリガー信号の送信の可否を決定しているが、例えば状態変化信号、タイマー信号、および、受信信号のうちの何れか1つ、または、任意の2つの信号に応じて、トリガー信号の送信の可否を決定してもよい。要するに、トリガー送信部84は、上述の状態変化信号、タイマー信号、および、受信信号のうちの少なくとも1つの信号に応じて、トリガー信号の送信の可否を決定することができる。
【0032】
図7に戻って説明を続ける。本実施形態の判定部20は、上述した機能に加えて、処理装置120がアクティブ状態なのかアイドル状態なのかを判定する。本実施形態では、上述の稼動モードは、要素が動作している状態を示すアクティブモードと、要素が動作可能な状態で待機している状態を示すスタンバイモードとに分けられて設定され、判定部20は、各要素のモードに基づいて、処理装置120がアクティブ状態(稼動状態)なのかアイドル状態なのかを判定する。
【0033】
第2記憶部81は、受信部10で受信した割り込み要求を記憶する。図9は、第2記憶部81に記憶される情報の一例を示す図である。図9の例において、「キーボード」は、キーボードの入力により発生した割り込み要求を示し、「ネットワーク」は、通信インタフェース装置のパケット送受信により発生した割り込み要求を示す。また、例えば図10に示すように、第2記憶部81は、各デバイスに対応するビットを記憶することもできる。例えば「キーボード」に対応するビットが「1」の場合は、キーボードの入力により発生した割り込み要求が第2記憶部81に保持されていることを示す。要するに、第2記憶部81は、割り込み要求を識別するための情報を記憶するものであればよい。なお、割り込み要求が第2記憶部81に記憶され続ける時間長を示す記憶時間に基づいて後述の許可条件が判定される場合は、図11に示すように、第2記憶部81は、割り込み要求と、当該割り込み要求を受信した時刻(到着時刻)とを対応付けて記憶する。また、例えば割り込み要求の送信元のデバイスの種類と、当該デバイスの記憶時間とに基づいて許可条件が判定される場合には、個々の割り込み要求について到着時刻を記憶する必要があるが、割り込み要求の送信元のデバイスの種類は問わずに、記憶時間のみに基づいて許可条件が判定される場合には、最初に到着した割り込み要求の到着時刻だけを記憶してもよい。
【0034】
第3記憶部82は、割り込み要求の送信が許可される条件を示す許可条件を記憶する。図12は、第3記憶部82に記憶される許可条件の一例を示す。図12の例では、許可条件は、割り込み要求が第2記憶部81に記憶され続ける時間長を示す記憶時間が100msを超えることである。図12の例では、第2記憶部81に複数の割り込み要求が記憶されている場合は、最初に記憶された割り込み要求の記憶時間が100msを超えた時点で、許可条件が成立する。
【0035】
なお、これに限らず、第3記憶部82に記憶される許可条件の種類は任意である。例えば第3記憶部82は図13の許可条件を記憶することもできる。図13の例では、第3記憶部82は、2つの条件を記憶しており、2つの条件のうち何れかの条件が成立すれば、許可条件は成立する。つまり、2つの条件の論理和に基づいて、許可条件の成立の可否を判定している。なお、これに限らず、例えば2つの条件の論理積に基づいて、許可条件の成立の可否を判定してもよい。また、論理和および論理積を取るべき条件の数や種類も任意である。図13の例では、上段の条件は、記憶時間が100msを超えて、かつ、第2記憶部81に記憶された割り込み要求の数が4つを超えることである。一方、下段の条件は、キーボードの入力により発生した割り込み要求が割り込み第2記憶部81に記憶されていることである。
【0036】
許可部83は、上述のトリガー信号を受けて動作を開始する。許可部83は、割り込み要求を処理装置120へ送信することを許可するか否かを決定する許可処理を実行する。
【0037】
図14は、許可部83が実行する許可処理の一例を示すフローチャートである。まず許可部83は、処理装置120がアクティブ状態であるか否かを判断する(ステップS11)。
処理装置120がアクティブ状態(稼動状態)であると判断された場合(ステップS11の結果:YES)、許可部83は、第2記憶部81に記憶された割り込み要求を処理装置120へ送信することを許可する許可信号を決定部50へ送信する(ステップS12)。また、許可部83は、受信部10で割り込み要求を受信したことを契機として動作を開始した場合は、当該受信した割り込み要求を処理装置120へ送信することを許可する許可信号を決定部50へ送信する。そして、許可処理は終了して許可部83の動作は停止する。
【0038】
一方、処理装置120がアイドル状態であると判断された場合(ステップS11の結果:NO)、許可部83は、受信部10で割り込み要求を受信したことを契機として動作を開始したのか否かを確認する。つまりは、許可部83は、受信部10で割り込み要求を受信したのか否かを確認する(ステップS13)。
【0039】
ステップS13の結果が肯定の場合、許可部83は、第3記憶部82に記憶された許可条件を参照して、許可条件が成立しているか否かを判断する(ステップS14)。本実施形態では、第3記憶部82は、図12に示す許可条件を記憶しているものとする。ステップS14の結果が肯定の場合、許可部83は、第2記憶部82に記憶された割り込み要求、および、受信部10で受信した割り込み要求を処理装置120へ送信することを許可する許可信号を決定部50へ送信する(ステップS15)。そして、許可処理は終了して許可部83の動作は停止する。
【0040】
上述のステップS14の結果が否定の場合、許可部83は、受信部10で受信した割り込み要求を第2記憶部81に登録し(ステップS16)、登録した割り込み要求の記憶時間の計測を開始する。なお、上述のステップS14においては、受信部10で受信した割り込み要求を第2記憶部81に登録せずに、許可条件の成立の可否を判断しているが、これに限らず、受信部10で受信した割り込み要求を第2記憶部81に登録したうえで、許可条件の成立の可否を判断してもよい。
【0041】
そして、許可部83は、第2記憶部81に最初に記憶された割り込み要求の記憶時間が100msを超えるときの時刻(図12の許可条件が成立するときの時刻)と、次にタイマー情報が示す時刻との比較結果に応じて、タイマー情報を設定する(ステップS17)。より具体的には、許可部83は、割り込み要求の記憶時間が100msを超えるときの時刻の方が、次にタイマー情報が示す時刻よりも早い場合は、割り込み要求の記憶時間が100msを超えるときの時刻を、次にタイマー情報が示す時刻として設定する。そして、その設定したタイマー情報をタイマー情報管理部90に通知する。これにより、次にタイマー情報が示す時刻に到達したときは、同時に許可条件が成立することになる。ステップS17が完了すると許可処理は終了して許可部83の動作は停止する。
【0042】
一方、上述のステップS13の結果が否定の場合も、許可部83は、許可条件が成立しているか否かを判断する(ステップS18)。そして、ステップS18の結果が肯定の場合は、処理は上述のステップS15に移行する。ステップS18の結果が否定の場合は、許可処理は終了して許可部83の動作は停止する。
【0043】
本実施形態では、決定部50が、許可部83からの許可信号を受信したことを契機として、図6の処理動作が行われる。この場合、図6のステップS2から処理が開始されるが、以降の内容は第1実施形態と同様であるので、詳細な説明は省略する。
【0044】
なお、許可部83は、第2記憶部81に最初に記憶された割り込み要求の記憶時間が100msを超えるときの時刻(記憶時間が所定値を超えて許可条件が成立するときの時刻)を予め決定部50に通知しておき、決定部50は、処理装置120を構成する各要素の開始タイミングが、その通知された時刻よりも前になるように、各要素の開始タイミングを決定することもできる。この場合は、決定部50が、許可部83から上述の時刻(記憶時間が所定値を超えて許可条件が成立するときの時刻)の通知を受けたことを契機として、図6の処理動作(ステップS2以降の処理動作)が行われる。例えば図15に示すように、決定部50は、第2記憶部81に最初に記憶された割り込み要求の記憶時間が100msを超えるときの時刻tkが、各要素の復帰完了時刻となるように、各要素の開始タイミングを決定することもできる。なお、図15の例は、図6のステップS2において、CPU121およびメモリ122が休止モードであると判定された場合を想定している。
【0045】
(第3実施形態)
第3実施形態では、処理装置120、制御装置100および各デバイスが搭載された装置(例えばPCなどの端末装置)の電源の供給能力がしきい値を超えることを許可条件として採用している点で第2実施形態と相違する。以下、具体的な内容を説明する。なお、第2実施形態と共通する部分については、同一の符号を付して適宜に説明を省略する。
【0046】
図16は、第3実施形態の制御装置100の概略構成の一例を示すブロック図である。制御装置100は、供給能力検出部85をさらに備える点で第2実施形態と相違する。供給能力検出部85は、電源部130の電力供給能力を検出する。本実施形態では、供給能力検出部85は、電源部130の電源である不図示のバッテリに残存する電荷の総量(バッテリ残量と呼ぶ)を検出する。例えば図17に示すように、供給能力検出部85は、バッテリ残量検出部86を含んで構成されてもよい。図17の例では、バッテリ残量検出部86は、許可部83からの要求に応じて、不図示のバッテリにアクセスしてバッテリ残量を検出し、その検出したバッテリ残量を許可部83へ通知する。
【0047】
また、例えば図18に示すように、供給能力検出部85は、バッテリ残量受信部87と保持部88とを含んで構成されてもよい。図18の例では、バッテリ残量受信部87は、不図示のバッテリからバッテリ残量を受信し、その受信したバッテリ残量を保持部88に保持させる。保持部88に保持されるバッテリ残量は、バッテリ残量受信部87がバッテリ残量を受信するたびに更新される。許可部83は、保持部88に保持されたバッテリ残量を読み出すことで、バッテリ残量を把握することができる。
【0048】
図19は、第3実施形態の第3記憶部82に記憶される許可条件の一例を示す図である。図19の例では、第3記憶部82は、4つの条件を記憶しており、4つの条件のうち何れかの条件が成立すれば、許可条件は成立する。図19の例では、第1段目の条件は、電源の種類がDC電源(直流電源)であることである。第2段目の条件は、バッテリ残量が50%を超えることである。第3段目の条件は、バッテリ残量が20%を超えて、かつ、記憶時間が100msを超えることである。第4段目の条件は、バッテリ残量が5%を超えるとともに、記憶時間が200msを超え、かつ、第2記憶部81に記憶された割り込み要求の数が3つを超えることである。
【0049】
次に、図14を参照しながら、許可部83が実行する許可処理について説明する。供給能力検出部85が図17の構成の場合、図14のステップS14およびステップS18の各々において、許可部83は、供給能力検出部85に対して、バッテリ残量を通知することを要求する。この要求を受けたバッテリ残量検出部86は、不図示のバッテリにアクセスしてバッテリ残量を検出し、その検出したバッテリ残量を許可部83へ通知する。許可部83は、バッテリ残量検出部86から通知されたバッテリ残量、第2記憶部81に記憶された割り込み要求の記憶時間および割り込み要求の数に基づいて、第3記憶部82に記憶された許可条件が成立しているか否かを判断する。
【0050】
また、供給能力検出部85が図18の構成の場合、図14のステップS14およびステップS18の各々において、許可部83は、保持部88に保持されたバッテリ残量を読み出し、その読み出したバッテリ残量、第2記憶部81に記憶された割り込み要求の記憶時間および割り込み要求の数に基づいて、第3記憶部82に記憶された許可条件が成立しているか否かを判断する。その他の処理の内容は第2実施形態と同様であるので詳細な説明は省略する。
【0051】
なお、許可部83は、供給能力検出部85で検出されたバッテリ残量が所定の基準値を下回っていた場合は、受信した割り込み要求を第2記憶部81に登録せず、処理装置120へ送信することも許可せずに廃棄することもできる。
【0052】
(変形例)
以上、本発明の実施形態を説明したが、上述の各実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0053】
(1)変形例1
処理装置120を構成する要素の種類や数は任意である。例えば、処理装置120を構成する要素として、各種の情報を表示する機能を有する表示部が含まれてもよい。また、処理装置120を構成する各要素のモードの種類は任意である。例えば上述の「休止モード」は、要素の消費電力量に応じて、複数のモードに細分化されて設定されてもよい。また、上述の「稼動モード」は、要素が実際に動作している状態を示すアクティブモードと、要素が動作可能な状態で待機している状態を示すスタンバイモードとに分けられて設定されてもよい。そして、各モードに対応する起動時間が予め設定される。要するに、処理装置120を構成する要素ごとに、当該要素のモードと、起動時間とが対応付けられて第1記憶部30に記憶されていればよい。
【0054】
(2)変形例2
例えば制御装置100は、受信部10で受信した割り込み要求の種類に応じて、起動する要素を絞り込むこともできる。例えば受信した割り込み要求により実行を要求された割り込み処理においてメモリ122が不要である場合は、制御装置100は、電源部130に対して、メモリ122への電力供給の実行を指示しない。すなわち、決定部50は、処理装置120を構成する複数の要素のうち、受信した割り込み要求により実行を要求された割り込み処理に用いられる要素の開始タイミングを決定する一方、他の要素(割り込み処理に不要な要素)の開始タイミングは決定しないこともできる。
【0055】
(3)変形例3
受信部10で受信する割り込み要求の出力元は任意であり、上述のデバイス1〜デバイスnに限られるものではない。例えばデバイス1〜デバイスnの各々の状態を定期的にポーリングし、割り込み処理の実行の契機となる状態変化を検出した場合に、当該割り込み処理の実行を要求する信号(つまりは割り込み要求)を出力するポーリング部が制御装置100に設けられ、当該ポーリング部が割り込み要求の出力元となる構成であってもよい。要するに、受信部10が受信する割り込み要求は、外部から出力される割り込み要求であってもよいし、内部から出力される割り込み要求であってもよい。
【0056】
(4)変形例4
図20に示すように、上述の供給能力検出部85は、第1実施形態における制御装置100内に設けられてもよい。供給能力検出部85が図17の構成の場合、受信部10で割り込み要求を受信すると、決定部50は、バッテリ残量検出部86に対して、バッテリ残量を通知することを要求する。この要求を受けたバッテリ残量検出部86は、バッテリにアクセスしてバッテリ残量を検出し、その検出したバッテリ残量を決定部50へ通知する。
また、供給能力検出部85が図18の構成の場合、受信部10で割り込み要求を受信すると、決定部50は、保持部88に保持されたバッテリ残量を読み出す。決定部50は、供給能力検出部85で検出されたバッテリ残量が所定の基準値を下回っていた場合は、受信した割り込み要求を、処理装置120へ送信しないことを決定する。要するに、電源部130の電力供給能力が所定の基準値を下回る状態で受信した割り込み要求は、処理装置120へ送信されずに廃棄される。
【0057】
(5)変形例5
上述の第3記憶部82に記憶される許可条件は任意である。例えば、割り込み要求の数が2つであることを許可条件とすることもできる。以下では、第2記憶部81に割り込み要求が存在しない状態の下、第2実施形態の制御装置100に対して、ある割り込み要求(第1の割り込み要求と呼ぶ)が送信された後に、他の割り込み要求(第2の割り込み要求と呼ぶ)が送信される場合を例に挙げて説明する(併せて図14参照)。
【0058】
まず、受信部10で第1の割り込み要求を受信したとき、許可部83は動作を開始して上述の許可処理を実行する。ここでは、処理装置120はアイドル状態とする。したがって、図14のステップS11の結果は否定、ステップS13の結果は肯定となり、処理はステップS14に移行する。この段階では、第2記憶部81に記憶された割り込み要求は存在せず、第1の割り込み要求を受信したのみであるので、割り込み要求の数は「1」となり、上述の許可条件(割り込み要求の数は2つ)は成立せずに、処理はステップS16に移行する。なお、処理装置120がアクティブ状態の場合(図14のステップS11の結果が肯定の場合)、許可部83は、第1の割り込み要求を処理装置120へ送信することを許可する許可信号を決定部50へ送信する(図14のステップS12)。
【0059】
ステップS16において、許可部83は、受信部10で受信した割り込み要求1を第2記憶部81に登録する。この例では、図13のステップS17の処理は行われずに、許可処理は終了して許可部83の動作は停止する。
【0060】
その後、受信部10で第2の割り込み要求を受信したとき、許可部83は動作を開始して上述の許可処理を実行する。上記と同様に、処理装置120はアイドル状態とする。したがって、ステップS11の結果は否定、ステップS13の結果は肯定となり、処理はステップS14に移行する。ここでは、第2記憶部81に第1の割り込み要求が記憶され、受信部10で第2の割り込み要求を受信したので、割り込み要求の数は「2」となり、上述の許可条件は成立する。したがって、処理はステップS15に移行し、許可部83は、受信した第2の割り込み要求と、第2記憶部81に記憶された第1の割り込み要求とを処理装置120へ送信することを許可する許可信号を決定部50へ送信する。なお、処理装置120がアクティブ状態の場合(図14のステップ11の結果が肯定の場合)も、許可部83は、受信した第2の割り込み要求と、第2記憶部81に記憶された第1の割り込み要求とを処理装置120へ送信することを許可する許可信号を決定部50へ送信する(図14のステップS12)。
【0061】
(6)変形例6
例えば割り込み要求ごとに、許可条件が成立する記憶時間(しきい値時間と呼ぶ)が個別に設定されてもよい。いま、キーボードの入力により発生する割り込み要求1に対応するしきい値時間がt1に設定され、マウスの入力により発生する割り込み要求2に対応するしきい値時間がt2(<t1)に設定される場合を想定する。ここでは、第2記憶部81に記憶された何れかの割り込み要求の記憶時間が、当該割り込み要求に対応するしきい値時間を越えることが許可条件であるとする。
【0062】
以下では、第2記憶部81に割り込み要求が存在しない状態の下、第2実施形態の制御装置100に対して、上述の割り込み要求1が送信された後に、上述の割り込み要求2が送信される場合を例に挙げて説明する(併せて図14参照)。まず、受信部10で割り込み要求1を受信したとき、制御装置100は動作を開始して上述の許可処理を実行する。ここでは、処理装置120はアイドル状態とする。このため、図14のステップS11の結果は否定、ステップS13の結果は肯定となり、処理はステップS14に移行する。この段階では、第2記憶部81に割り込み要求は存在しないので、上述の許可条件は成立せずに、処理はステップS16に移行する。なお、処理装置120がアクティブ状態の場合(図14のステップ11の結果が肯定の場合)、許可部83は、受信した割り込み要求1を処理装置120へ送信することを許可する許可信号を決定部50へ送信する(図14のステップS12)。
【0063】
ステップS16において、許可部83は、受信部10で受信した割り込み要求1を第2記憶部81に登録する。この例では、第2記憶部81には、割り込み要求と、当該割り込み要求のしきい値時間とが対応付けられて記憶される。次に、許可部83は、割り込み要求1の記憶時間が、対応するしきい値時間t1を越えるときの時刻と、次にタイマー情報が示す時刻との比較結果に応じて、タイマー情報を設定する(ステップS17)。ここでは、割り込み要求1の記憶時間が、対応するしきい値時間t1を越えるときの時刻の方が、次にタイマー情報が示す時刻よりも早いものとする。したがって、許可部83は、割り込み要求1の記憶時間が、対応するしきい値時間t1を越えるときの時刻、つまりは、現在の時刻から時間長t1を経過した時点での時刻を、次にタイマー情報が示す時刻として設定する。そして、許可処理が終了して許可部83の動作は停止する。
【0064】
その後、受信部10で割り込み要求2を受信したとき、許可部83は動作を開始して上述の許可処理を実行する。上記と同様に、処理装置120はアイドル状態とする。したがって、ステップS11の結果は否定、ステップS13の結果は肯定となり、処理はステップS14に移行する。ここでは、第2記憶部81に割り込み要求1が記憶されているが、割り込み要求1の記憶時間は、当該割り込み要求1に対応するしきい値時間t1を経過していないものとする。このため、許可条件は成立せずに、処理はステップS16に移行する。なお、処理装置120がアクティブ状態の場合(ステップ11の結果が肯定の場合)、許可部83は、受信した割り込み要求2と、第2記憶部81に記憶された割り込み要求1とを処理装置120へ送信することを許可する許可信号を決定部50へ送信する(図14のステップS12)。
【0065】
ステップS16において、許可部83は、受信部10で受信した割り込み要求2を第2記憶部81に登録する。次に、許可部83は、割り込み要求2の記憶時間が、対応するしきい値時間t2を越えるときの時刻と、次にタイマー情報が示す時刻、つまりは、割り込み要求1の記憶時間がしきい値時間t1を越えるときの時刻との比較結果に応じて、タイマー情報を設定する(ステップS17)。ここでは、図21に示すように、割り込み要求2の記憶時間がしきい値時間t2を越えるときの時刻Txの方が、割り込み要求1の記憶時間がしきい値時間t1を越えるときの時刻Tyよりも早いものとする。したがって、許可部83は、図21に示す時刻Txを、次にタイマー情報が示す時刻として設定する。その後、時刻Txに到達したときに、同時に許可条件が成立する。
【0066】
(7)変形例7
例えば処理装置120のアイドル状態が継続する時間長を示すアイドル時間が所定値を超えることを許可条件とすることもできる。この場合、例えば処理装置120がアイドル状態に遷移した時刻を記憶する記憶装置が設けられ、特定部40は、処理装置120がアクティブ状態(稼動状態)からアイドル状態に遷移したことを検知した場合、その時刻を記憶装置に書き込む。一例として、アイドル時間が100ms以上であることを許可条件とすることもできる。この変形例によれば、処理装置120が既に十分な時間にわたってアイドル状態を継続し、十分な省電力効果が得られている場合には、割り込み要求の到着とともに直ちに許可信号を出力することができる。
【0067】
(8)変形例8
上述の各実施形態では、電源部130の電源はバッテリで構成されているが、これに限らず、電源の種類は任意である。例えば電源が太陽電池などで構成されてもよい。
【0068】
上述の第3実施形態において、電源が太陽電池などで構成されている場合は、太陽電池の発電電圧や発電電流などを用いて許可条件を設定することもできる。要するに、電源の供給能力がしきい値を超えることを許可条件として採用するものであればよい。
【符号の説明】
【0069】
10 受信部
20 判定部
22 状態検出部
24 状態受信部
26 保持部
30 第1記憶部
40 特定部
50 決定部
60 指示部
70 送信部
80 トリガー部
81 第2記憶部
82 第3記憶部
83 許可部
84 トリガー送信部
85 供給能力検出部
86 バッテリ残量検出部
87 バッテリ残量受信部
88 保持部
90 タイマー情報管理部
100 制御装置
120 処理装置
121 CPU
122 メモリ
130 電源部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電圧を個別に制御可能な複数の要素を含んで構成される処理装置に対して割り込み処理の実行を要求する割り込み要求を受信する受信部と、
前記複数の要素の各々の状態を判定する判定部と、
前記判定部による判定結果に基づき、前記要素ごとに、電力の供給を受けて当該要素が動作可能な状態を示す稼動モードへ移行するのに要する時間を示す起動時間を特定する特定部と、
各前記要素の前記起動時間の差に基づいて、前記要素ごとに、電力供給を開始するタイミングを示す開始タイミングを決定する決定部と、
各前記要素に電力を供給するための電源部に対して、前記決定部により決定された前記開始タイミングに従って電力供給を実行するように指示する指示部と、
前記割り込み要求を前記処理装置へ送信する送信部と、を備える、
ことを特徴とする制御装置。
【請求項2】
前記決定部は、前記複数の要素のうち前記起動時間が最も長い前記要素を示す基準要素の前記起動時間と、他の前記要素の前記起動時間との差に応じて、他の前記要素の前記開始タイミングが、前記基準要素の前記開始タイミングよりも遅くなるように、各前記要素の前記開始タイミングを決定する、
ことを特徴とする請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記決定部は、各前記要素が前記稼動モードへの移行を完了する時刻が揃うように、各前記要素の前記開始タイミングを決定する、
ことを特徴とする請求項2に記載の制御装置。
【請求項4】
前記要素ごとに、当該要素の状態を示すモードと、前記起動時間とを対応付けて記憶する第1記憶部をさらに備え、
前記特定部は、前記要素ごとに、当該要素の前記モードに対応する前記起動時間を前記第1記憶部から読み出すことで、各前記要素の前記起動時間を特定する、
ことを特徴とする請求項1に記載の制御装置。
【請求項5】
前記送信部は、各要素が前記稼動モードへの移行を完了したときに、受信した前記割り込み要求を前記処理装置へ送信する、
ことを特徴とする請求項1に記載の制御装置。
【請求項6】
前記決定部は、前記複数の要素のうち、受信した前記割り込み要求により実行を要求された前記割り込み処理に用いられる前記要素の前記開始タイミングを決定する一方、他の前記要素の前記開始タイミングは決定しない、
ことを特徴とする請求項1に記載の制御装置。
【請求項7】
前記電源部の電力供給能力を検出する供給能力検出部をさらに備え、
前記電源部の電力供給能力が所定の基準値を下回る状態で受信した前記割り込み要求は、前記処理装置へ送信されずに廃棄される、
ことを特徴とする請求項1に記載の制御装置。
【請求項8】
前記割り込み要求を記憶する第2記憶部と、
前記判定部により、前記処理装置が何の処理も実行していないアイドル状態であると判定され、所定の条件が成立しない場合は、前記受信部で受信した前記割り込み要求を前記記憶部に登録し、前記所定の条件が成立した場合もしくは前記処理装置が稼動状態であると判定された場合は、前記第2記憶部に記憶された前記割り込み要求を前記処理装置へ送信することを許可する許可部と、をさらに備える、
ことを特徴とする請求項1に記載の制御装置。
【請求項9】
前記所定の条件は、前記割り込み要求が前記第2記憶部に記憶され続ける時間長を示す記憶時間が所定値を超えることである、
ことを特徴とする請求項8に記載の制御装置。
【請求項10】
前記所定の条件は、前記アイドル状態が継続する時間長を示すアイドル時間が所定値を超えることである、
ことを特徴とする請求項8に記載の制御装置。
【請求項11】
前記決定部は、各前記要素の前記開始タイミングが、前記記憶時間が前記所定値を超える時刻よりも前になるように、各前記要素の前記開始タイミングを決定する、
ことを特徴とする請求項9に記載の制御装置。
【請求項12】
前記決定部は、前記記憶時間が前記所定値を超える時刻に到達したときに、各前記要素が前記稼動モードへの移行を完了するように、各前記要素の前記開始タイミングを決定する、
ことを特徴とする請求項10に記載の制御装置。
【請求項13】
電圧を個別に制御可能な複数の要素を含んで構成される処理装置に対して割り込み処理の実行を要求する割り込み要求を受信する受信ステップと、
前記複数の要素の各々の状態を判定する判定ステップと、
前記判定ステップによる判定結果に基づき、前記要素ごとに、電力の供給を受けて当該要素が動作可能な状態を示す稼動モードへ移行するのに要する時間を示す起動時間を特定する特定ステップと、
各前記要素の前記起動時間の差に基づいて、前記要素ごとに、電力供給を開始するタイミングを示す開始タイミングを決定する決定ステップと、
各前記要素に電力を供給するための電源部に対して、前記開始タイミングに従って電力供給を実行するように指示する指示ステップと、
前記割り込み要求を前記処理装置へ送信する送信ステップと、をコンピュータに実行させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2013−69110(P2013−69110A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−207133(P2011−207133)
【出願日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】