説明

制御装置および方法

【課題】簡単な操作のみで、車両のエンジンのスタートができるようにする。
【解決手段】例えば、ECUは、シフト位置が「P」からそれ以外に移動したと判定した場合(ステップS1YES)、携帯電子キー11の認証を行うための「リクエスト」をLFで送信する(ステップS2)。ECUは、「アンサ」としてのUHFを受信した場合(ステップS3YES)、エンジン始動許可信号を出力する(ステップS4)。これにより、エンジン始動処理は終了となり、エンジン始動許可信号の出力を受けて、車両のエンジンはスタートする。本発明は、車両の盗難防止システムに適用可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御装置および方法に関し、特に、簡単な操作のみで、車両のエンジンのスタートができるようになった制御装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の車両の盗難防止システムは、車両に搭載されたECU(Electronic Control Unit:電子制御装置)と、その車両を運転するユーザが携帯する携帯電子キーとから構成されている(例えば特許文献1や2参照)。
【0003】
この場合、ECUは、携帯電子キーと認証通信を行い、その認証に成功すると、例えば車両のエンジンのスタートのために必要な処理を実行する。
【特許文献1】特開2003−20835号公報
【特許文献2】特開平09−279917号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このエンジンのスタートを行うためには、従来、ユーザ(運転者)は、キーシリンダの操作やエンジンスタート用のスイッチの押下操作等の煩雑な操作が必要であった。このため、より一段と簡単な操作でエンジンのスタートを行いたいという要望が近年挙げられてる状況である。
【0005】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、簡単な操作のみで、車両のエンジンのスタートができるようにするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一側面の制御装置は、シフトレバーの位置に応じた駆動または停止の動作を行う車両に搭載される制御装置において、前記シフトレバーが、停止を示す第1の位置からその他の位置に移動した場合に、前記車両の駆動源の稼動を許可する制御を行う制御部を備える。
【0007】
制御装置は、例えば車両に搭載されたECU等により構成される。シフトレバーの停止を示す第1の位置としては、例えば、いわゆるパーキング位置(「P」と表示された位置)等を採用できる。また、例えば、車両が乗用車等の場合、駆動源としてはエンジン等を採用できる。
【0008】
これにより、シフトレバーの位置に応じた駆動または停止の動作を行う車両について、その駆動源の稼動の許可を制御できる。特に、シフトレバーの位置に応じて、駆動源の稼動の許可を制御できる。これにより、ユーザ(運転者)は、運転に必要不可欠なシフト操作を行うだけで、従来必要であったキーシリンダの操作やスイッチの押下操作等を行うことなく、駆動源の稼動(例えばエンジンのスタート等)が実現できるようになる。また、これにより、キーシリンダの操作やスイッチの押下操作等を行うために必要な機器やユニットを削減できるため、システム全体のコストを低減できるようになる。
【0009】
この制御装置は、前記車両を運転する運転者により携帯される携帯無線通信装置と無線通信を行う固定無線通信部をさらに備え、前記制御部は、前記シフトレバーが、停止を示す位置からその他の位置に移動した場合に、さらに、前記固定無線通信部と前記携帯無線通信装置との無線通信を制御することで、前記携帯無線通信装置の認証を行い、その認証に成功したとき、前記駆動源の稼動を許可し、その認証に失敗したとき、前記駆動源の稼動を禁止する制御を行うことができる。
【0010】
携帯無線通信装置は、例えば、携帯電子キー等により構成される。固定無線通信部は、例えばECUに搭載される通信部等、具体的には例えば、LF用送信部およびその送信アンテナ、並びに、UHF用受信部およびその受信アンテナ等から構成される。
【0011】
これにより、車両の盗難防止等を図ることができるようになる。
【0012】
前記車両には、電力消費要素に対して電力を供給する電力供給部が搭載されており、前記シフトレバーの位置として、前記電力供給部からの電力の供給を示す第2の位置がさらに設けられており、前記シフトレバーが前記第2の位置に移動したとき、前記電力供給部からの電力の供給が開始される
【0013】
電力供給部は、例えば、車両に搭載されたバッテリー、および、そのバッテリーを入力電源として、必要な電圧変換や電圧の安定化処理等を行う回路等から構成される。
【0014】
これにより、従来キーシリンダの操作により行っていたACC電源の供給動作を、シフト操作でできるようになる。また、これに伴い、キーシリンダ等が削減できるため、システム全体のコストを低減できるようになる。
【0015】
本発明の一側面の制御方法は、上述した本発明の一側面の制御装置に対応する方法である。
【発明の効果】
【0016】
以上のごとく、本発明によれば、シフトレバーの位置に応じた駆動または停止の動作を行う車両について、その駆動源の稼動の許可を制御できる。特に、シフトレバーの位置に応じて、駆動源の稼動の許可を制御できる。これにより、ユーザ(運転者)は、運転に必要不可欠なシフト操作を行うだけで、従来必要であったキーシリンダの操作やスイッチの押下操作等を行うことなく、駆動源の稼動(例えばエンジンのスタート等)が実現できるようになる。また、これにより、キーシリンダの操作やスイッチの押下操作等を行うために必要な機器やユニットを削減できるため、システム全体のコストを低減できるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
図1は、本発明が適用される制御システムの一実施の形態としての車両エンジンスタートシステムの構成例を示している。
【0018】
図1の例では、車両エンジンスタートシステムは、携帯電子キー11乃至モータ17を含むように構成されている。
【0019】
携帯電子キー11は、主に車両を運転するユーザにより携帯され、車両のドアの開閉や、車両のエンジンスタート等を行うために使用される。
【0020】
ECU(Electronic Control Unit:電子制御装置)12乃至モータ17は、車両に搭載される。
【0021】
図1の例では、ECU12は、LF用送信部51、UHF用受信部53、および制御部55を含むように構成されている。
【0022】
また、ECU12の制御部55には、ドアノブセンサ13とシフト位置検出部14とが接続されている。
【0023】
ドアノブセンサ13は、例えば、車両のドアノブを操作するためにこのドアノブまたはその付近に接近又は接触したユーザの身体(例えば手や指)を検出するセンサ、例えば近接スイッチとして構成される。ここで、ドアノブセンサ13の代わりに、或いはドアノブセンサ13に加えて、他のセンサ(例えば、ドアノブ作動センサ)を設けてもよい。ドアノブ作動センサは、ドアノブが引かれると検出信号を出力するなんらかのセンサである。
【0024】
また、シフト位置検出部14は、シフトレバー15が存在する位置(以下シフト位置と称する)を検出し、その検出結果を制御部55に通知する。
【0025】
なお、シフト位置検出部14による検出手法や、その検出結果の通知手法(出力手法)は特に限定されない。即ち、その検出手法や通知手法は設計者等が任意に選択可能なものであり、選択された検出手法や通知手法に適するようにシフト位置検出部14を構成すればよい。
【0026】
例えば、所定のシフト位置にシフトレバー15が存在するときには、ON状態(またはOFF状態)となり、それ以外のときには、OFF状態(またはON状態)となるスイッチとしてシフト位置検出部14を構成することができる。このスイッチは、全てのシフト位置に対して設けてもよいが、制御部55の制御処理で着目されるシフト位置に対してのみ設けてもよい。例えば制御部55の制御処理が、後述する図2の例のエンジン始動処理に限る場合には、シフト位置としては、ステップS1でいう「P」(パーキング位置の意)の検出のみ行えればよいので、「P」に対するスイッチのみが存在すれば足りる。
【0027】
また例えば、シフトレバー15の距離や角度その他の物理量を検出するセンサとして、シフト位置検出部14を構成することもできる。この場合、そのセンサは、検出物理量をそのまま出力するに留め、制御部55が、その検出物理量に基づいてシフト位置を認識するようにしてもよい。或いは、そのセンサが、検出物理量からシフト位置に換算した上で、そのシフト位置を制御部55に出力するようにしてもよい。
【0028】
このようなシフトレバー15のシフト位置としては、例えば本実施の形態では、従来と同様に、パーキング位置(以下、単に「P」と称する)、リバース位置(以下、単に「R」と称する)、ニュートラル位置(以下、単に「N」と称する)、ドライブ位置(以下、単に「D」と称する)、ロー位置(以下、単に「1」と称する)、および、セカンド位置(以下、単に「2」と称する)が存在する。
【0029】
即ち、ユーザは、シフトレバー15を操作して、適切なシフト位置に移動させることで、車両の運転を行うことができる。ただし、この車両の運転を行うためには、先ずエンジンをスタートさせなければならない。この場合、上述したように、従来、ユーザは、シフトレバー15が「P」であることを確認して、メカニカルキーをキーシリンダに差し込んで回す、或いは、エンジンスタート用のプッシュスイッチを押下する等の操作を行う必要があった。即ち、ユーザは、このような操作によりエンジンをスタートさせた後に、シフトレバー15を「P」からそれ以外の位置(例えば「1」等)に移動させる操作を行い、図示せぬアクセルを足で踏み込む等する操作を行うことで、車両を発進させていた。
【0030】
これに対して、本実施の形態では、シフトレバー15のシフト位置が「P」から他の位置(例えば「1」等)に移動すると、その移動がシフト位置検出部14により検出されて、制御部55の制御に基づいて、携帯電子キー11に対する認証処理が行われた後、エンジン始動許可信号が制御部55から出力される。これにより、車両のエンジンがスタートする。即ち、ユーザにとっては、シフトレバー15のシフト位置を「P」から他の位置(例えば「1」等)に移動させる操作以外の操作は一切行わずに、エンジンがスタートすることになる。
【0031】
このように、本実施の形態では、運転に必要不可欠なシフト操作のみでエンジンがスタートするため、ユーザの明確な意思を反映しつつ、従来の操作は省略できる、即ち上述したキーシリンダの操作やプッシュスイッチの押下操作は省略できる、という効果を奏することが可能になる。
【0032】
また、キーシリンダの操作やプッシュスイッチの押下操作が省略できるということは、これらの操作に必要な機器やユニットを削減できる、という効果を奏することも可能になる。
【0033】
なお、このようなエンジンをスタートさせるためのECU12の処理の詳細例については、図2のフローチャートを参照して後述する。
【0034】
さらに、本実施の形態では、従来のキーシリンダに存在していた「OFF」、「ACC」、および「ON」等も、シフト位置として存在する。これにより、従来、メカニカルキーをキーシリンダに差し込んで回して、「OFF」、「ACC」、および「ON」のうちの何れかの位置に移動させる操作によって実現されていた各種動作を、シフトレバー15のシフト位置を対応する位置に移動させる操作で実現可能になる。具体的には例えば、ユーザが、シフトレバー15のシフト位置を「ACC」に移動させると、その移動がシフト位置検出部14により検出されて、ACC電源供給部16からいわゆるACC電源の供給が開始される。
【0035】
なお、図1の例では、ACC電源の供給開始のためには、シフト位置検出部14による「ACC」の検出が必要となっているが、シフト位置検出部14自体がACC電源からの電力供給を受けて動作するように構成されている場合には、シフトレバー15の「ACC」の位置にメカニカルスイッチ等を設け、かかるスイッチとACC電源供給部16とを直接配線する等して、シフトレバー15のシフト位置が「ACC」に移動したときにACC電源供給部16からACC電源の供給が開始されるようにしてもよい。
【0036】
また、ECU12の制御部55には、LF用送信部51が接続されている。このLF用送信部51にはまたアンテナ52が接続されている。即ち、LF用送信部51は、制御部55から提供された情報、例えば、携帯電子キー11を認証するための「リクエスト」等を、LF(Low Frequency)の形態でアンテナ52から送信する。
【0037】
また、ECU12の制御部55には、UHF用受信部53が接続されている。このUHF用受信部53にはまたアンテナ54が接続されている。即ち、UHF用受信部53は、携帯電子キー11からUHF(Ultra High Frequency)の形態で送信されてくる情報、例えば上述した「リクエスト」に対する「アンサ」を、アンテナ54を介して受信して適当な形態に変換した上で制御部55に提供する。
【0038】
なお、本明細書で用いている語句「リクエスト」とは、固定無線通信装置(本実施の形態ではECU12)から送信される無線信号であって、通信圏内に存在する携帯無線通信装置(本実施の形態では携帯電子キー11)がこの「リクエスト」を受信したことに基づいて、携帯無線通信装置が信号を送信するようにさせる機能を有する無線信号である。また、語句「アンサ」とは、前記「リクエスト」を受信したことに基づいて、携帯無線通信装置から送信される無線信号である。「アンサ」の機能は、単に受信した事を示す機能であっても良いし、固定無線通信装置に対して何らかの動作を要求または実施させるものでも良い。「アンサ」には、各無線通信装置のID、携帯無線通信装置の位置情報、車両や固定無線通信装置に対する動作を求めるコードなどが含まれてもよい。
【0039】
さらにまた、ECU12の制御部55には、モータ17が接続されている。モータ17は、車両ドアの錠装置の駆動源であるモータ、即ちドアロックアクチュエータである。
【0040】
制御部55は、図示はしないが例えば、各種情報を記憶する記憶部と、ECU12全体の制御や必要な情報処理を行うマイクロコンピュータ等を含むように構成される。ここで、図示せぬ記憶部は、例えば書き込み消去可能な不揮発性のメモリ、より具体的には例えば、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-only Memory)よりなる。
【0041】
この制御部55が、上述したエンジンをスタートさせるための制御処理(以下、エンジン始動処理)の実行を制御する。なお、エンジン始動処理の詳細については、図2を参照して後述する。
【0042】
また、制御部55は、ドアノブセンサ13の検出信号が入力されると、アンテナ52から「リクエスト」を送信する。そして携帯電子キー11からの「アンサ」を受信できた場合には、モータ58を駆動してドアの解錠を行う。
【0043】
ACC電源供給部16は、車両に搭載されたバッテリー(図示省略)を入力電源として、必要な電圧変換や電圧の安定化処理等を行う回路を有するものであり、ECU12の電力消費要素に基本的に常に電源供給を行っている。ここに、電力消費要素とは、図1の例では、LF用送信部51、UHF用受信部53、および制御部55のことをいう。また、上述したように、シフト位置検出部14等も電力消費要素となり得る場合もある。
【0044】
また、図1の例の携帯電子キー11は、アンテナ71乃至制御部75を含むように構成されている。
【0045】
LF用受信部72は、アンテナ71に受信されたLFを、適当な形態の情報に変換して制御部75に提供する。ここに、アンテナ74にLFの形態で受信される情報としては、例えば、上述したECU12からの「リクエスト」等が存在する。
【0046】
UHF用送信部73は、制御部75から提供された情報を、UHFの形態でアンテナ74から送信する。ここに、制御部75から提供された情報としては、例えば、ECU12に対する「アンサ」等が存在する。
【0047】
制御部75は、図示はしないが例えば、各種情報を記憶する記憶部と、携帯電子キー11全体の制御や必要な情報処理を行うマイクロコンピュータ等を含むように構成される。ここで、図示せぬ記憶部は、例えば書き込み消去可能な不揮発性のメモリ、より具体的には例えば、EEPROMよりなる。
【0048】
その他、携帯電子キー11には、例えば電池が設けられており、この電池により、携帯電子キー11の電力消費要素に基本的に常に電源供給が行われている。ここに、電力消費要素とは、図1の例では、LF用受信部72、UHF用送信部73、および制御部75のことをいう。また、必要に応じて、携帯電子キー11には、上述したメカニカルキーが着脱可能なように設けられる。
【0049】
次に、図2のフローチャートを参照して、図1のECU12によるエンジン始動処理の一例について説明する。
【0050】
ステップS1において、ECU12は、シフト位置が「P」からそれ以外に移動したか否かを判定する。
【0051】
即ち、シフトレバー15のシフト位置は、シフト位置検出部14により検出されて、ECU12の制御部55に提供される。そこで、制御部55は、このシフト位置検出部14の検出結果に基づいて、シフトレバー15のシフト位置を常時把握している。
【0052】
ユーザが、シフトレバー15を「P」にした後それ以外の位置(例えば「1」等)に移動する操作を行うまでの間、ステップS1の処理でNOであると判定されて、ステップS1の判定処理が再度実行される。
【0053】
そして、ユーザが、シフトレバー15を「P」にした後それ以外の位置(例えば「1」等)に移動する操作を行うと、ステップS1の処理でYESであると判定されて、処理はステップS2に進む。
【0054】
ステップS2において、ECU12は、携帯電子キー11の認証を行うための「リクエスト」をLFで送信する。
【0055】
ステップS3において、ECU12は、携帯電子キー11から「アンサ」としてのUHFを受信したか否かを判定する。
【0056】
携帯電子キー11から「アンサ」が送信されてこない場合、ステップS3の処理でNOであると判定されて、エンジン始動処理は終了となる。この場合、車両のエンジンはスタートしない。
【0057】
これに対して、携帯電子キー11から「アンサ」が送信されてきた場合、ステップS3の処理でYESであると判定されて、処理はステップS4に進む。ステップS4において、ECU12は、エンジン始動許可信号を出力する。これにより、エンジン始動処理は終了となり、エンジン始動許可信号の出力を受けて、車両のエンジンはスタートする。
【0058】
以下、ユーザ(運転者)の操作の視点に立って、エンジン始動処理についてさらに説明する。
【0059】
即ち、先ず、ユーザは、車両の運転席に座り、図示せぬフットブレーキを踏む。この時、図示せぬパーキングブレーキの状態はON状態となっており、シフトレバー15のシフト位置は「P」となっており、図示せぬアクセルの開度は0%となっている。
【0060】
この間、ECU12においては、ステップS1の処理ではNOであると判定される、といったループ処理が実行されている。
【0061】
次に、ユーザは、シフトレバー15の図示せぬシフトボタンを押して、そのシフト位置を「P」からそれ以外の位置(例えば「1」等)に移動させる。
【0062】
すると、ECU12においては、ステップS1の処理でYESであると判定され、ステップS2乃至S3の処理で、携帯電子キー11の認証が行われ、その認証が成功すると、ステップS4の処理で、エンジン始動許可信号がECU12から出力される。これにより、エンジンがスタートする。
【0063】
このように、ユーザにとっては、シフトレバー15のシフト位置を「P」から他の位置(例えば「1」等)に移動させる操作を行うだけで、ECU12側でエンジン始動処理が実行されて、エンジンがスタートすることになる。
【0064】
即ち、本実施の形態では、運転に必要不可欠なシフト操作のみでエンジンがスタートするため、ユーザの明確な意思を反映しつつ、従来の操作、即ち上述したキーシリンダの操作やプッシュスイッチの押下操作は省略できる、という効果を奏することが可能になる。
【0065】
また、キーシリンダの操作やプッシュスイッチの押下操作が省略できるということは、これらの操作に必要な機器やユニットを削減できる、という効果を奏することも可能になる。
ところで、上述した一連の処理(或いはそのうちの一部分の処理)、例えば上述した図2のフローチャートのうちの少なくとも一部に従った処理は、ハードウエアにより実行させることもできるし、ソフトウエアにより実行させることもできる。
【0066】
一連の処理(或いはそのうちの一部分の処理)をソフトウエアにより実行させる場合には、ECU12若しくはその一部分は、例えば、図3に示されるようなコンピュータで構成することができる。
【0067】
図3において、CPU(Central Processing Unit)101は、ROM(Read Only Memory)102に記録されているプログラム、または記憶部108からRAM(Random Access Memory)103にロードされたプログラムに従って各種の処理を実行する。RAM103にはまた、CPU101が各種の処理を実行する上において必要なデータなども適宜記憶される。
【0068】
CPU101、ROM102、およびRAM103は、バス104を介して相互に接続されている。このバス104にはまた、入出力インタフェース105も接続されている。
【0069】
入出力インタフェース105には、キーボード、マウスなどよりなる入力部106、ディスプレイなどよりなる出力部107、ハードディスクなどより構成される記憶部108、および、モデム、ターミナルアダプタなどより構成される通信部109が接続されている。通信部109は、インターネットを含むネットワークを介して他の装置との通信処理を行う。さらにまた、通信部109は、図示せぬアンテナを介して携帯電子キー11との間の送受信処理も行う。即ち、通信部109は、上述した「リクエスト」を携帯電子キー11に送信したり、また、携帯電子キー11からの「アンサ」を受信する。
【0070】
入出力インタフェース105にはまた、必要に応じてドライブ110が接続され、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、或いは半導体メモリなどよりなるリムーバブルメディア111が適宜装着され、それらから読み出されたコンピュータプログラムが、必要に応じて記憶部108にインストールされる。
【0071】
一連の処理をソフトウエアにより実行させる場合には、そのソフトウエアを構成するプログラムが、専用のハードウエアに組み込まれているコンピュータ、または、各種のプログラムをインストールすることで、各種の機能を実行することが可能な、例えば汎用のパーソナルコンピュータなどに、ネットワークや記録媒体からインストールされる。
【0072】
このようなプログラムを含む記録媒体は、図3に示されるように、装置本体とは別に、ユーザにプログラムを提供するために配布される、プログラムが記録されている磁気ディスク(フロッピディスクを含む)、光ディスク(CD−ROM(Compact Disk-Read Only Memory),DVD(Digital Versatile Disk)を含む)、光磁気ディスク(MD(Mini-Disk)を含む)、もしくは半導体メモリなどよりなるリムーバブルメディア(パッケージメディア)111により構成されるだけでなく、装置本体に予め組み込まれた状態でユーザに提供される、プログラムが記録されているROM102や、記憶部108に含まれるハードディスクなどで構成される。
【0073】
なお、本明細書において、記録媒体に記録されるプログラムを記述するステップは、その順序に沿って時系列的に行われる処理はもちろん、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的あるいは個別に実行される処理をも含むものである。
【0074】
また、本発明が適用されるシステムは、上述した車両に搭載されるシステムのみならず、シフト操作により駆動と停止の動作が行われる物体、例えば乗物や機器等に搭載されたシステムであれば足りる。なお、ここに、システムとは、複数の処理装置や処理部により構成される装置全体を表すものである。
【0075】
例えば、上述したECU12は、シフトレバー15を有する車両(四輪車や二輪車)に搭載されたが、その他例えば、小型飛行機などの乗物、機械、機器、建造物又は設備などに搭載可能である。また、認証後の動作は、上述した例ではエンジンのスタート等が採用されたが、その他例えば、エンジン以外の搭載物の稼働又はその稼働許可などの各種動作を採用することができる。ここに、エンジン以外の搭載物としては、例えば、モータ等の駆動源、トランスミッションなどの駆動機構、エアコン、オーディオ、ナビゲーションシステム、照明等があり得る。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】本発明が適用される制御システムとしての車両のエンジンスタートシステムの構成例を示す図である。
【図2】図1のECUが実行する処理のうちのエンジン始動処理の一例を説明するフローチャートである。
【図3】本発明が適用される制御システムの一構成要素をコンピュータで構成した場合における、そのコンピュータのハードウエア構成例を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0077】
11 携帯電子キー
12 ECU
13 ドアノブセンサ
14 シフト位置検出部
15 シフトレバー
16 ACC電源供給部
17 モータ
51 LF用送信部
52 アンテナ
53 UHF用受信部
54 アンテナ
55 制御部
71 アンテナ
72 LF用受信部
73 UHF用送信部
74 アンテナ
75 制御部
101 CPU
102 ROM
103 RAM
104 バス
105 入出力インタフェース
106 入力部
107 出力部
108 記憶部
109 通信部
110 ドライブ
111 リムーバブルメディア

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シフトレバーの位置に応じた駆動または停止の動作を行う車両に搭載される制御装置において、
前記シフトレバーが、停止を示す第1の位置からその他の位置に移動した場合に、前記車両の駆動源の稼動を許可する制御を行う制御部
を備える制御装置。
【請求項2】
前記車両を運転する運転者により携帯される携帯無線通信装置と無線通信を行う固定無線通信部をさらに備え、
前記制御部は、前記シフトレバーが、停止を示す位置からその他の位置に移動した場合に、さらに、前記固定無線通信部と前記携帯無線通信装置との無線通信を制御することで、前記携帯無線通信装置の認証を行い、その認証に成功したとき、前記駆動源の稼動を許可し、その認証に失敗したとき、前記駆動源の稼動を禁止する制御を行う
請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記車両には、電力消費要素に対して電力を供給する電力供給部が搭載されており、
前記シフトレバーの位置として、前記電力供給部からの電力の供給を示す第2の位置がさらに設けられており、
前記シフトレバーが前記第2の位置に移動したとき、前記電力供給部からの電力の供給が開始される
請求項1に記載の制御装置。
【請求項4】
シフトレバーの位置に応じた駆動または停止の動作を行う車両に搭載される制御装置の制御方法において、
前記シフトレバーが、停止を示す第1の位置からその他の位置に移動した場合に、前記車両の駆動源の動作を開始させる制御を行う
制御方法

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−19536(P2009−19536A)
【公開日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−181714(P2007−181714)
【出願日】平成19年7月11日(2007.7.11)
【出願人】(000002945)オムロン株式会社 (3,542)
【Fターム(参考)】