説明

制御装置及び制御方法

【課題】制御上の無駄時間が生じていたとしても、簡易な構成で、制御を開始してから制御対象を目標値に設定するまでの整定時間を短縮することができる制御装置及び制御方法を提供する。
【解決手段】制御装置は、第1の温度センサ2から検出された第1の値を取得する第1の取得部12と、第1の温度センサ2に比して制御対象物の近くに配置された第2の温度センサ3から検出された第2の値を取得する第2の取得部13と、前記第2の値と予め設定された目標値とを比較した比較結果に応じて、入力値を前記第1の値と前記第2の値とで切り替える切り替え部17と、目標値と入力値の偏差に基づいて前記制御対象物の状態を制御するPID制御部16と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御装置及び制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体素子や液晶表示素子等のマイクロデバイスはマスク上に形成されたパターンを基板(感光基板)上に転写するいわゆるフォトリソグラフィの手法により製造される。このフォトリソグラフィ工程で使用される露光装置は、マスクを支持して2次元移動するマスクステージと基板を支持して2次元移動する基板ステージとを有し、マスク上に形成されたパターンをマスクステージ及び基板ステージを逐次移動しながら投影光学系を介して基板に転写するものである。露光装置としては、基板上にマスクのパターン全体を同時に転写する一括型露光装置と、マスクステージと基板ステージとを同期走査しつつマスクのパターンを連続的に基板上に転写する走査型露光装置との2種類が主に知られている。いずれの露光装置においてもマスクと基板との相対位置を高精度に一致させてマスクパターンの転写を行うことが要求されるため、マスクステージ及び基板ステージの位置決め精度は露光装置の最も重要な性能の一つである。
【0003】
従来より、上記基板ステージ及びマスクステージ(以下、両者を総称してステージという)の駆動源としてリニアモータが用いられているが、リニアモータからの発熱はステージ位置決め精度に影響を及ぼす。例えば、リニアモータからの発熱が周囲の部材・装置を熱変形させたり、ステージの位置検出に用いられる光干渉式測長計の光路上における空気温度を変化させて測定値に誤差を生じさせる。従って、リニアモータのコイルを効果的に冷却し、リニアモータの温度を一定に保つ必要がある。
【0004】
このため、従来の露光装置は、リニアモータの温度を検出する温度センサと温度制御装置とを備え、温度センサの検出結果に基づいて温度制御装置がフィードバック制御を行ってリニアモータの温度を一定に保っていた。しかし、例えば液冷式の温度制御装置を備える露光装置を例に挙げると、温度制御された冷媒をリニアモータ等の発熱源近傍に引き込むための配管は、露光装置の大きさや露光装置内部のスペースの制限からその径が制限される。また、任意の部品を配管に使用することができる訳ではないため、配管内部の圧力が制限されて流量等も限られる。更に、温度制御を行う上では温度制御装置が極力発熱源の近くに配置されることが望ましいが、装置構成上の制限から必ずしもこのような構成をとることはできない。よって、以上の装置構成上の制約により制御上の無駄時間(例えば、温度制御された冷媒が、配管を通ってリニアモータまで到達してリニアモータの温度が下降を開始するまでに要する時間)が多くなってしてしまう。このため、温度制御装置が制御を開始してからリニアモータの温度が目標温度に設定されるまでの整定時間が比較的長くなる。そこで、特許文献1に記載された技術では、フィードフォワード制御を用いてリニアモータの温度を制御している。これにより、迅速にリニアモータの温度変化が抑えられるため、制御上の無駄時間が多い場合であっても高い精度でリニアモータの温度を目標とする温度に設定することができる。
【特許文献1】国際公開第WO2003/081648号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載された技術では、フィードフォワード制御で行う適切な制御量を算出する伝達関数は、予めシミュレーションや実験等で求める必要があり、同定するには手間と長時間を要する、という問題がある。
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、その目的は、制御上の無駄時間が生じていたとしても、簡易な構成で、制御を開始してから制御対象物の状態を目標値に設定するまでの整定時間を短縮することができる制御装置及び制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は上記の課題を解決するためになされたものであり、本発明の一態様は、第1のセンサから検出された第1の値を取得する第1の取得部と、前記第1のセンサに比して制御対象物の近くに配置された第2のセンサから検出された第2の値を取得する第2の取得部と、前記第2の値と予め設定された目標値とを比較した比較結果に応じて、入力値を前記第1の値と前記第2の値とで切り替える切り替え部と、前記目標値と前記切り替え部によって切り替えられた入力値の偏差に基づいて前記制御対象物の状態を制御する制御部と、を備える制御装置である。
この発明によれば、制御装置は、第2の値が目標値から離れている場合には、第2の値をすみやかに目標値に近づけるために入力値を第1の値に切り替え、第2の値が目標値近傍になると、微調整を行うために入力値を第2の値に切り替えることができる。これにより、無駄時間が多い制御対象物の状態を制御する場合において、簡易な構成で、整定時間を短縮することができる。
【0007】
また、本発明の一態様は、上記の制御装置において、前記切り替え部は、前記第2の値から前記目標値を引いた値が第1の所定値よりも大きい場合又は前記目標値から前記第2の値を引いた値が第2の所定値よりも大きい場合には、入力値を前記第2の値とし、前記第2の値から前記目標値を引いた値が前記第1の所定値より小さい場合又は前記目標値から前記第2の値を引いた値が前記第2の所定値より小さい場合には、入力値を前記第1の値とする。
この発明によれば、制御装置は、第2の値が目標値から離れている場合には、第2の値をすみやかに目標値に近づける制御を行い、第2の値が目標値近傍になると、微調整を行う制御をする。これにより、無駄時間が多い制御対象物の状態を制御する場合において、簡易な構成で、整定時間を短縮することができる。
【0008】
また、本発明の一態様は、上記の制御装置において、前記切り替え部は、前記第2の値から前記目標値を引いた値が前記第1の所定値よりも大きい場合でかつ前記第1の値が前記目標値よりも小さい場合又は、前記目標値から前記第2の値を引いた値が前記第2の所定値よりも大きい場合でかつ前記第1の値が前記目標値よりも大きい場合には、入力値を前記第2の値とする。
仮に、第2の値が目標値より大きく第1の値が目標値より小さい場合に、入力値を第1値とすると、制御部は温度を上げるよう制御することになる。しかしながら、制御対象物近傍の状態を検出する第2の値が目標値より大きいため、当該制御によって制御対象物の状態が目標値から離れてしまう。同様に、第2の値が目標値より小さく第1の値が目標値より大きい場合に、入力値を第1の値とすると、制御部は温度を下げるよう制御することになる。しかしながら、制御対象物近傍の状態を検出する第2の値が目標値より小さいため、当該制御によって制御対象物の状態が目標値から離れてしまう。この発明によれば、制御装置は、第2の値が目標値より大きく第1の値が前記目標値より小さい場合又は、第2の値が目標値より小さく第1の値が目標値より大きい場合には、入力値を第2の値に切り替えるため、第1の値が入力値となってしまうことで制御対象物の状態が目標値から離れてしまうことがない。これにより、入力値を切り替えることによる誤制御を防ぐことができる。
【0009】
また、本発明の一態様は、上記の制御装置において、前記切り替え部により入力値が前記第1の値に切り替えられた場合に前記第2の値と前記第1の値の差を表わす予め設定されたオフセット値を前記目標値に加算する加算部を備え、前記制御部は、前記切り替え部により入力値が前記第1の値とされた場合には、前記加算部により前記オフセット値が加算された目標値に基づいて制御する。
この発明によれば、制御装置は、定常状態において第1の値と第2の値に差(オフセット値に相当)がある場合でも精度を向上させて制御することができる。
【0010】
また、本発明の一態様は、上記の制御装置において、前記制御対象物の状態は、温度、湿度、気圧の少なくともいずれか1つである。
この発明によれば、制御装置は、温度、湿度、気圧の少なくともいずれか1つを制御することができるが、これらに限定されるものはない。
【0011】
また、本発明の一態様は、第1のセンサから検出された第1の値を取得するステップと、前記第1のセンサに比して制御対象物の近くに配置された第2のセンサから検出された第2の値を取得するステップと、前記第2の値と予め設定された目標値とを比較した比較結果に応じて、入力値を前記第1の値と前記第2の値とで切り替えるステップと、前記目標値と前記切り替えられた入力値の偏差に基づいて前記制御対象物の状態を制御するステップと、を有する制御方法である。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、制御装置は、制御対象物の近くに配置された第2のセンサから検出された第2の値と予め設定された目標値とを比較した比較結果に応じて、制御に用いる入力値を切り替える。このため、制御装置は、第2の値が目標値から離れている場合には、第2の値をすみやかに目標値に近づけるために入力値を第1の値に切り替え、第2の値が目標値近傍になると、微調整を行うために入力値を第2の値に切り替えることができる。これにより、無駄時間が多い制御対象物の状態を制御する場合において、簡易な構成で、整定時間を短縮することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について詳しく説明する。
図1は、本発明の実施形態による制御システムの構成を示す概略図である。
本実施形態における制御装置1は、露光装置のステージの駆動源であるリニアモータ4(制御対象物)の温度を制御するTCU(Temperature Control Unit;温度制御器)である。なお、リニアモータ4は、コイルユニットと磁石ユニットとを備えているが、図1では磁石ユニットを省略して示している。ここで、制御装置1とリニアモータ4は比較的離れた(例えば、約3メートル)位置に配置されている。制御装置1には、制御装置1近傍の温度を検出する第1の温度センサ2(第1のセンサ)が冷媒用の配管に直付けされている。一方、リニアモータ4の後述する冷媒の入口近傍には、リニアモータ4近傍の温度を検出する第2の温度センサ3(第2のセンサ)が設置されている。本実施形態では、この第2の温度線センサ3で検出された値が、リニアモータ4自身の温度を表すものとする。
【0014】
リニアモータ4は、所謂ムービングマグネット型のリニアモータであり、複数のコイル41を含んで構成される。リニアモータ4の駆動の際には、少なくとも1つのコイル41に駆動電流が供給されるため、そのコイル41が発熱する。この発熱が周囲に伝わるのを防ぐために、リニアモータ4には、制御装置1から熱を吸収するための冷媒が配管5を通って供給される。制御装置1は、リニアモータ4に供給する冷媒の温度を調節することにより、リニアモータ4の温度を制御する。このとき、制御装置1とリニアモータ4が離れた位置に配置されているため、制御装置1が冷媒の温度を調節してから冷媒がリニアモータ4まで到達してリニアモータ4の温度が下降を開始するまでに、いくらかの時間遅れが発生する。本実施形態では、この時間遅れが制御上の無駄時間である。
【0015】
図2は、本実施形態における制御装置1の構成を示すブロック図である。
制御装置1は、設定部11と、第1の取得部12と、第2の取得部13と、PID制御部16(制御部)と、切り替え部17と、を含んで構成される。
設定部11は、リニアモータ4の目標温度TGT(目標値)を設定する。第1の取得部12は、第1の温度センサ2から検出された温度T1(第1の値)を取得して、切り替え部17に出力する。第2の取得部13は、第2の温度センサ3から検出された温度T2(第2の値)を取得して、切り替え部17に出力する。
【0016】
切り替え部17は、目標温度TGTと入力された温度T2及びT1に基づいて、PID制御部16に入力する入力値を切り替える。ここで、切り替え部17は、判定部14と、スイッチ15と、を含んで構成される。判定部14は、目標温度TGTと入力された温度T2及びT1に基づいて、PID制御部16に入力する入力値をT1にするかT2にするかを判定する。判定方法の詳細については後述する。スイッチ15は、判定部14の判定結果に従って、PID制御部16への入力値を切り替える。PID制御部16は、リニアモータ4に供給する冷媒の温度を調節することにより、制御対象物の状態であるリニアモータ4の温度を制御する。具体的には、PID制御部16は、目標温度TGTと入力された入力値との偏差に基づいて、比例項、積分項、および微分項を所定比率で足し合わせるPID制御を行う。
【0017】
図3は、本実施形態の判定部14における入力値の判定処理の流れの一例を表わすフローチャートである。判定部14には、予め定数Aが設定されている。
まず、ステップS1では、判定部14は、下記条件1を満たすか否かを判定する。
(条件1)TGT−A<T2<TGT+A
条件1は、リニアモータ4近傍の温度T2と目標温度TGTの差が定数Aより小さいことである。つまり、T2が目標温度TGTから所定の範囲(定数A)内であることを条件としている。条件1を満たす場合には、ステップS2へ進む。一方、条件1を満たさない場合には、ステップS3へ進む。次のステップS2では、判定部14は、入力値をT2と判定して処理を終了する。つまり、制御装置1は、リニアモータ4近傍の温度T2が目標温度TGT近傍になると、リニアモータ4近傍の温度T2を制御の入力値とすることにより、リニアモータ4の温度を微調整する。
【0018】
ステップS3では、判定部14は、下記条件2を満たすか否かを判定する。
(条件2)T1<TGTかつT2≧TGT+A
条件2は、制御装置1近傍の温度T1が目標温度TGTより小さくリニアモータ4近傍の温度T2が目標温度TGT+A以上であることである。条件2を満たす場合、仮にPID制御部16への入力値をT1とすると、入力されたT1の値が目標温度TGTより小さいため、PID制御部16は温度を上げるよう制御することになる。しかしながら、実際のリニアモータ4の温度であるT2の値は目標温度TGTより大きいため、当該制御によってリニアモータ4の温度が目標温度TGTから離れてしまう。このため、条件2を満たす場合には、ステップS2へ進んで、判定部14は入力値をT2と判定する。これにより、T1が入力値となってしまうことでリニアモータ4の温度が目標値から離れてしまうことがない。一方、条件2を満たさない場合には、ステップS4へ進む。
【0019】
ステップS4では、判定部14は、下記条件3を満たすか否かを判定する。
(条件3)T2≦TGT−AかつT1>TGT
条件3は、制御装置1近傍の温度T1が目標温度TGTより大きくリニアモータ4近傍の温度T2が目標温度TGT−A以下であることである。条件3を満たす場合、仮にPID制御部16への入力値をT1とすると、入力されたT1の値が目標温度TGTより大きいため、PID制御部16は温度を下げるよう制御することになる。しかしながら、実際のリニアモータ4の温度であるT2の値は目標温度TGTより小さいため、当該制御によってリニアモータ4の温度が目標温度TGTから離れてしまう。このため、条件3を満たす場合には、ステップS2へ進んで、判定部14は入力値をT2と判定する。これにより、入力値がT1に切り替わることでリニアモータ4の温度が目標値から離れてしまうことがない。一方、条件3を満たさない場合には、次のステップS5へ進む。次のステップS5では、判定部14は、入力値をT1と判定して処理を終了する。つまり、制御装置1は、リニアモータ4近傍の温度T2が目標温度TGTから離れている場合であって、条件2及び条件3を満たさない場合には、制御装置1近傍の温度T1を制御の入力値とすることにより、リニアモータ4の温度を目標温度TGTにすみやかに近づける制御を行う。
なお、判定部におけるT1、T2と目標温度TGT、あるいは目標速度と所定値Aとの大小関係の比較において、等号の成分をどちらにどの不等式に含ませるかについては、実際の制御結果等に基づいて適宜を設定することができる。
【0020】
図4は、本実施形態における制御装置1を用いてリニアモータ4の温度制御をした結果を表わすグラフである。この図に示すグラフの縦軸が温度、横軸が時間である。また、目標温度TGTは24℃、T2及びT1の制御開始前の値は25℃である。
この図において、符号aを付した曲線は、制御装置1近傍の温度が目標温度TGTになるように制御した場合の第1の温度センサ2の検出温度T1を示している。曲線aにおける整定時間は、約170秒である。符号bを付した曲線は、第2の温度センサ3の検出温度T2に基づいて、リニアモータ4の温度が目標温度TGTになるようにPID制御した場合の検出温度T2を示している。曲線bにおける整定時間は、約310秒である。曲線aでは制御装置1から近い場所を温度制御しているので制御開始直後から検出温度T1は下降を始めるが、曲線bでは、制御装置1から遠い場所を制御しているので、温度制御を開始してからリニアモータ4の温度が実際に下降し始めるまでにいくらかの時間遅れ(この図に示す例では約20秒)が発生する。そのため、曲線bでは、温度制御を開始してから20秒間温度変化がなく、20秒経過後にようやく下降を開始する。また、曲線bでは、制御装置1から遠い場所を制御しているので制御装置1の動作がリニアモータ4の温度に実際に反映されるまでに時間遅れがあることから、制御装置1の操作量がこの時間遅れも含めて余分に積分されるので、一旦検出温度T2が目標温度TGTに到達しても既に配管5に供給された冷媒温度は低いままであるため、逆に目標温度TGTよりも大きく低下してしまうアンダーシュートが起こってしまう。このように、曲線aに比べて曲線bは整定時間が長くなっている。ただし、曲線aでは前述のような課題が生じてしまう。
【0021】
曲線c,dは、本実施形態における制御装置1を用いてリニアモータ4の温度が目標温度TGTになるように制御した場合の第2の温度センサ3の検出温度T2を示している。曲線cは、制御装置1がA=0.07で制御した場合の温度変化を示している。一方、曲線dは、制御装置1がA=0.05で制御した場合の温度変化を示している。曲線c,dにおける整定時間は、約180秒である。制御装置1を用いた制御では、T2が目標温度TGTから定数A以上離れている場合には、検出温度T1に基づいてPID制御を行っている。制御装置1が冷媒を配管5に供給してからT1が下降を開始するまでに発生する時間遅れは少ないため(曲線c,dでは示されない)、T1の温度変化と温度制御するタイミングにずれがなくなり、曲線bで生じたアンダーシュートを防ぐことができる。これにより、この図に示すとおり、制御装置1を用いた制御では、従来と比べて整定時間が短くなっており、制御装置1近傍を制御する場合と変わらない時間で遠くに配置されているリニアモータ4の温度を制御することができる。
【0022】
このように、本実施形態によれば、制御装置1は、目標温度TGTとT2の差が定数A以上である場合には、制御装置1近傍の温度T1に基づいてPID制御を行う。また、制御装置1は、目標温度TGTとT2の差が定数A未満の場合には、リニアモータ4入口近傍の温度T2に基づいてPID制御を行う。このため、制御装置1は、T2が目標温度から離れている場合には、T2をすみやかに目標温度に近づける制御を行い、T2が目標値近傍になると、微調整を行う制御をする。これにより、比較的無駄時間が多いリニアモータ4の温度を制御する場合において、簡易な構成で、整定時間を短縮することができる。
また、制御装置1は、目標温度TGTとT2の差が定数A以上であっても、条件2又は条件3を満たす場合には、T2に基づいてPID制御を行う。従って、T1が入力値となってしまうことでリニアモータ4の温度が目標温度TGTから離れてしまうことがない。これにより、入力値を切り替えることによる誤制御を防ぐことができる。
【0023】
次に、この発明の第2の実施形態による制御装置について説明する。
図5は、本実施形態における制御装置6の構成を示すブロック図である。
第1の温度センサ2の検出温度T1と第2の温度センサ3の検出温度T2は、定常状態において温度差(オフセット値B)を持つことが多い。このため、本実施形態における制御装置6は、このオフセット値Bを考慮して制御を行う。ここで、オフセット値Bは、定常状態におけるT1からT2を減算した値であり、予め制御装置6に設定されている。なお、オフセット値Bは、負の数となることもありうる。
【0024】
本実施形態における制御装置6は、設定部61と、第1の取得部62と、第2の取得部63と、PID制御部66と、切り替え部67と、オフセット加算部68と、を含んで構成される。切り替え部67は、判定部64と、スイッチ65と、を含んで構成される。
オフセット加算部68は、判定部64により入力値がT1と判定されると、設定部61により設定された目標温度TGTにオフセット値Bを加算して、PID制御部66に出力する。PID制御部66は、入力値がT1の場合には、オフセット値Bが加算された目標温度TGT+Bに基づいてPID制御を行う。他の構成は第1の実施形態と同様なので説明を省略する。
【0025】
このように、本実施形態によれば、制御装置6は、入力値がT1の場合には、オフセット値Bが加算された目標温度TGT+Bに基づいてPID制御を行う。これにより、定常状態において、T1とT2に温度差(オフセット値Bに相当)がある場合でも精度を向上させて制御することができる。
【0026】
以上、図面を参照してこの発明の実施形態について詳しく説明してきたが、具体的な構成は上述のものに限られることはなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲内において様々な設計変更等をすることが可能である。
例えば、前記所定値(A)は、目標値(TGT)の上下で等しい差分となるように設定したが、目標値よりもプラスの側とマイナスの側とで異なる差分となるように設定してもよい。この場合、目標値よりもプラスの側では第1の所定値A1を設定し、前記目標値よりもマイナスの側では第2の所定値A2(|A1|<|A2|または|A1|>|A2|)を設定してもよい。
また、本実施形態においては、制御装置1,6は、露光装置のリニアモータを温度制御したが、これに限られることはなく、例えば、温度制御が行われるものであれば、載置台や計測装置、製造装置(加工装置)等でも適用可能である。
なお、本実施形態においては、制御装置1,6は温度を制御したが、湿度や気圧などの他の時間遅れが発生するものを制御対象物の状態としてもよい。
なお、本実施形態においては、PID制御部16,66は、それぞれの入力値に対して最適な制御ゲインを用いてPID制御を行ってもよい。
【0027】
続いて、上記の制御装置1が前述のように露光装置のリニアモータの温度を制御する場合について、図6を参照して説明する。
図6には、本発明の一実施形態の露光装置100の全体構成が概略的に示されている。この露光装置100は、ステップ・アンド・スキャン方式の投影露光装置である。
この露光装置100は、光源及び照明光学系を含む照明系110、ペリクルフレーム装置PFが装着されたレチクルRを駆動するレチクルステージ装置112、投影光学系PL、ウエハ(感光基板)Wが載置されるウエハステージWST、オフアクシス方式のアライメント検出系AS、及びワークステーションなどのコンピュータから成り、装置全体を統括制御する主制御装置120等を備えている。
照明系110は、例えば特開2001−313250号公報(対応する米国特許出願公開2003/0025890号明細書)などに開示されるように、光源、オプティカルインテグレータ等を含む照度均一化光学系、ビームスプリッタ、リレーレンズ、可変NDフィルタ、レチクルブラインド等(いずれも不図示)を含んで構成されている。ここで、照明光ILとしては、一例としてArFエキシマレーザ光(波長193nm)が用いられている。
【0028】
レチクルステージ装置112は、照明系110の下方に配置されている。レチクルステージ装置112は、照明系110の下方に所定間隔をあけて配置された、レチクルステージ定盤116の上方(+Z側)に載置されている。
レチクルステージ定盤116は、例えば不図示の4本の脚によって床面上で略水平に支持されている。このレチクルステージ定盤116は、概略板状の部材から成り、そのほぼ中央には、照明光ILを通過させるためのX軸方向を長手方向とする矩形開口がZ軸方向に連通状態で形成されている。このレチクルステージ定盤116の上面がレチクルステージRSTの移動面とされている。
レチクルステージRSTは、レチクルステージ定盤116の上面(移動面)の上方に浮上支持されている。このレチクルステージRST上には、レチクルRが、真空吸着により固定されている。レチクルステージRSTは、レチクルステージ駆動系134により、投影光学系PLの光軸AXに垂直なXY平面内で2次元的に(X軸方向、Y軸方向及びXY平面に直交するZ軸回りの回転方向(θz方向)に)微少駆動可能であるとともに、レチクルステージ定盤116上をY軸方向に指定された走査速度で駆動可能となっている。レチクルステージ駆動系134には、その駆動力を発生させるリニアモータとこのリニアモータの温度を制御するために前述のような制御装置1が設けられている。
レチクルステージRSTのXY平面内での位置は、レチクルレーザ干渉計156によって、移動鏡150を介して常時検出されている。レチクルステージRSTの位置情報(又は速度情報)は、主制御装置120に送られ、主制御装置120ではその位置情報(又は速度情報)に基づきレチクルステージ駆動系134を介してレチクルステージRSTの駆動制御を行う。
【0029】
投影光学系PLは、レチクルステージRSTの−Z側に配置され、その光軸AXの方向がZ軸方向とされている。投影光学系PLは、例えば、両側テレセントリックな縮小系であり、不図示の複数のレンズエレメントから構成されている。この投影光学系PLとしては、投影倍率βが例えば1/4、1/5、1/8などのものが使用されている。このため、上述のようにして、照明光(露光光)ILによりレチクルR上の照明領域が照明されると、レチクルRに形成されたパターンが投影倍率βで縮小された像(部分倒立像)が、表面にレジスト(感光剤)が塗布されたウエハW上の露光領域に投影され転写される。
ウエハステージWSTは、投影光学系PLの−Z側で、不図示のベース上に配置され、その上面にウエハホルダ125が載置されている。ウエハステージWSTは、モータ等を含むウエハステージ駆動部124により走査方向(Y軸方向)及び走査方向に垂直な非走査方向(X軸方向)に同期移動される。そして、このウエハステージWSTによって、ウエハWをレチクルRに対して相対走査して、ウエハW上の各ショット領域を走査露光する動作と、次のショットの露光のための走査開始位置(加速開始位置)まで移動する動作とを繰り返すステップ・アンド・スキャン動作が実行される。ウエハステージ駆動部124は、例えば前述のようなリニアモータで構成されている。これらのリニアモータも、前述のような制御装置1によって所定の温度に制御されるようになっている。
ウエハステージWSTのXY平面内での位置は、ウエハレーザ干渉計158によって、移動鏡170を介して常時検出されている。ウエハステージWSTの位置情報(又は速度情報)は、主制御装置120に送られ、主制御装置120ではその位置情報(又は速度情報)に基づきウエハステージ駆動部124を介してウエハステージWSTの駆動制御を行う。ウエハステージWSTは、ウエハステージ駆動部24によりZ軸方向、θx方向(X軸回りの回転方向:ピッチング方向)、θy方向(Y軸回りの回転方向:ローリング方向)及びθz方向(Z軸回りの回転方向:ヨーイング方向)にも微小駆動される。
アライメント検出系ASは、投影光学系PLの側面に配置されている。このアライメント検出系ASの詳細な構成は、例えば、特開平9−219354号公報に開示されている。
【0030】
更に、露光装置100には、ウエハW表面の露光領域内部及びその近傍の領域のZ軸方向(光軸AX方向)の位置を検出するための斜入射方式のフォーカス検出系(焦点検出系)の一つである、多点フォーカス位置検出系(121,122)が設けられている。この多点フォーカス位置検出系(121,122)の詳細な構成等については、例えば、特開平6−283403号公報に開示されている。
さらに、本実施形態の露光装置100では、図示は省略されているが、レチクルRの上方に、投影光学系PLを介してレチクルR上のレチクルマークと基準マーク板のマークとを同時に観察するための露光波長を用いたTTR(Through The Reticle)アライメント
光学系から成る一対のレチクルアライメント系が設けられている。これらのレチクルアライメント系としては、例えば特開平7−176468号公報などに開示されるものと同様の構成のものが用いられている。
【0031】
上述のように構成された本実施形態の露光装置100によると、通常のスキャニングステッパと同様に、レチクルステージ112にレチクルRを保持させた後に、レチクルアライメント、アライメント系ASのベースライン計測、並びにEGA(エンハンスト・グローバル・アライメント)方式のウエハアライメント等の所定の準備作業が行われた後、ステップ・アンド・スキャン方式の露光動作が行なわれる。
このように、本実施形態では、熱源となるレチクルステージ駆動系134やウエハステージ駆動部124が有するリニアモータに、上述した制御装置1が設けられているため、簡易な構成で制定時間を短縮することが可能となる。
【0032】
以上、添付図面を参照しながら本発明に係る好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。上述した例において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
例えば、制御装置1による温度制御用の媒体として液体を用いる構成としたが、これに限定されるものではない。例えば、気体を用いる構成としてもよい。この場合の媒体としては、空気(エア)の他に、光化学的に不活性な窒素ガスや、アルゴンガス、ネオンガス等を用いることができる。
上記実施形態の基板としては、半導体デバイス製造用の半導体ウエハのみならず、ディスプレイデバイス用のガラス基板や、薄膜磁気ヘッド用のセラミックウエハ、あるいは露光装置で用いられるマスクまたはレチクルの原版(合成石英、シリコンウエハ)等が適用される。
また、本発明が適用される露光装置の光源には、KrFエキシマレーザ(248nm)、ArFエキシマレーザ(193nm)、Fレーザ(157nm)等のみならず、g線(436nm)及びi線(365nm)を用いることができる。さらに、投影光学系の倍率は縮小系のみならず等倍および拡大系のいずれでもよい。また、上記実施形態では、屈折型の投影光学系を例示したが、これに限定されるものではない。
【0033】
また、本発明が適用される露光装置には、投影光学系と基板との間に局所的に液体を満たし、該液体を介して基板を露光する、所謂液浸露光装置にも適用することができる。液浸露光装置については、国際公開第99/49504号パンフレットに開示されている。さらに、本発明は、特開平6−124873号公報、特開平10−303114号公報、米国特許第5,825,043号などに開示されているような露光対象の基板の表面全体が液体中に浸かっている状態で露光を行う液浸露光装置にも適用可能である。
また、上述の各実施形態においては、投影光学系PLを備えた露光装置を例に挙げて説明してきたが、投影光学系PLを用いない露光装置及び露光方法に本発明を適用することができる。このように投影光学系PLを用いない場合であっても、露光光はレンズ等の光学部材を介して基板に照射され、そのような光学部材と基板との間の所定空間に液浸空間が形成される。
また、本発明が適用される露光装置は、基板ステージ(ウエハステージ)が複数設けられるツインステージ型の露光装置にも適用できる。ツインステージ型の露光装置の構造及び露光動作は、例えば特開平10−163099号公報及び特開平10−214783号公報(対応米国特許6,341,007号、6,400,441号、6,549,269号及び6,590,634号)、特表2000−505958号(対応米国特許5,969,441号)或いは米国特許6,208,407号に開示されている。更に、本発明を本願出願人が先に出願した特願2004−168481号のウエハステージに適用してもよい。
また、ウエハステージが複数設けられるのではなく、特開平11−135400号公報や特開2000−164504号公報に開示されているように、基板を保持する基板ステージと基準マークが形成された基準部材や各種の光電センサを搭載して、露光に関する情報を計測する計測ステージとをそれぞれ備えた露光装置にも本発明を適用することができる。
【0034】
露光装置100としては、マスクとしてのレチクルRと、基板としてのウエハWとを同期移動してマスクのパターンを走査露光するステップ・アンド・スキャン方式の走査型露光装置(スキャニングステッパ)の他に、マスクと基板とを静止した状態でマスクのパターンを一括露光し、基板を順次ステップ移動させるステップ・アンド・リピート方式の投影露光装置(ステッパ)にも適用することができる。
さらに、ステップ・アンド・リピート方式の露光において、第1パターンと基板とをほぼ静止した状態で、投影光学系を用いて第1パターンの縮小像を基板上に転写した後、第2パターンと基板とをほぼ静止した状態で、投影光学系を用いて第2パターンの縮小像を第1パターンと部分的に重ねて基板上に一括露光してもよい(スティッチ方式の一括露光装置)。また、スティッチ方式の露光装置としては、基板上で少なくとも2つのパターンを部分的に重ねて転写し、ウエハを順次移動させるステップ・アンド・スティッチ方式の露光装置にも適用できる。
露光装置100の種類としては、基板に半導体素子パターンを露光する半導体素子製造用の露光装置に限られず、液晶表示素子製造用又はディスプレイ製造用の露光装置、薄膜磁気ヘッド、撮像素子(CCD)、マイクロマシン、MEMS、DNAチップ、あるいはレチクル又はマスクなどを製造するための露光装置などにも広く適用できる。
【0035】
なお、上述の実施形態においては、光透過性の基板上に所定の遮光パターン(又は位相パターン・減光パターン)を形成した光透過型マスクを用いたが、このマスクに代えて、例えば米国特許第6,778,257号公報に開示されているように、露光すべきパターンの電子データに基づいて透過パターン又は反射パターン、あるいは発光パターンを形成する電子マスク(可変成形マスクとも呼ばれる)を用いてもよい。
また、例えば国際公開第2001/035168号パンフレットに開示されているように、干渉縞を基板上に形成することによって、基板上にライン・アンド・スペースパターンを露光する露光装置(リソグラフィシステム)にも本発明を適用することができる。
また、例えば特表2004−519850号公報(対応米国特許第6,611,316号)に開示されているように、2つのマスクのパターンを、投影光学系を介して基板上で合成し、1回の走査露光によって基板上の1つのショット領域をほぼ同時に二重露光する露光装置などにも本発明を適用することができる。また、プロキシミティ方式の露光装置、ミラープロジェクション・アライナーなどにも本発明を適用することができる。
【0036】
以上のような、本実施形態の露光装置100は、各種サブシステムを、所定の機械的精度、電気的精度、光学的精度を保つように、組み立てることで製造される。これら各種精度を確保するために、この組み立ての前後には、各種光学系については光学的精度を達成するための調整、各種機械系については機械的精度を達成するための調整、各種電気系については電気的精度を達成するための調整が行われる。各種サブシステムから露光装置への組み立て工程は、各種サブシステム相互の、機械的接続、電気回路の配線接続、気圧回路の配管接続等が含まれる。各種サブシステムの露光装置への組み立て工程が終了したら、総合調整が行われ、露光装置全体としての各種精度が確保される。なお、露光装置の製造は温度およびクリーン度等が管理されたクリーンルームで行うことが望ましい。
【0037】
次に、本発明の実施形態による露光装置及び露光方法をリソグラフィ工程で使用したマイクロデバイスの製造方法の実施形態について説明する。図7は、マイクロデバイス(ICやLSI等の半導体チップ、液晶パネル、CCD、薄膜磁気ヘッド、マイクロマシン等)の製造例のフローチャートを示す図である。
まず、ステップS10(設計ステップ)において、マイクロデバイスの機能・性能設計を行い、その機能を実現するためのパターン設計を行う。引き続き、ステップS11(マスク製作ステップ)において、設計した回路パターンを形成したマスク(レチクル)を製作する。一方、ステップS12(ウエハ製造ステップ)において、シリコン等の材料を用いてウエハを製造する。
次に、ステップS13(ウエハ処理ステップ)において、ステップS10〜ステップS12で用意したマスクとウエハを使用して、後述するように、リソグラフィ技術等によってウエハ上に実際の回路等を形成する。次いで、ステップS14(デバイス組立ステップ)において、ステップS13で処理されたウエハを用いてデバイス組立を行う。このステップS14には、ダイシング工程、ボンティング工程、及びパッケージング工程(チップ封入)等の工程が必要に応じて含まれる。最後に、ステップS15(検査ステップ)において、ステップS14で作製されたマイクロデバイスの動作確認テスト、耐久性テスト等の検査を行う。こうした工程を経た後にマイクロデバイスが完成し、これが出荷される。
【0038】
また、半導体素子等のマイクロデバイスだけではなく、光露光装置、EUV露光装置、X線露光装置、及び電子線露光装置等で使用されるレチクル又はマスクを製造するために、マザーレチクルからガラス基板やシリコンウエハ等ヘ回路パターンを転写する露光装置にも本発明を適用できる。ここで、DUV(深紫外)やVUV(真空紫外)光等を用いる露光装置では、一般的に透過型レチクルが用いられ、レチクル基板としては石英ガラス、フッ素がドープされた石英ガラス、蛍石、フッ化マグネシウム、又は水晶等が用いられる。また、プロキシミティ方式のX線露光装置や電子線露光装置等では、透過型マスク(ステンシルマスク、メンブレンマスク)が用いられ、マスク基板としてはシリコンウエハ等が用いられる。なお、このような露光装置は、WO99/34255号、WO99/50712号、WO99/66370号、特開平11−194479号、特開2000−12453号、特開2000−29202号等に開示されている。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の第1の実施形態による制御システムの構成を示す概略図である。
【図2】本実施形態における制御装置の構成を示すブロック図である。
【図3】本実施形態の判定部における処理の流れの一例を表わすフローチャートである。
【図4】本実施形態における制御装置を用いてリニアモータの温度制御をした結果を表わすグラフである。
【図5】第2の実施形態における制御装置の構成を示すブロック図である。
【図6】本発明に係る露光装置の概略的な構成図である。
【図7】マイクロデバイスの製造工程の一例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0040】
1,6…制御装置 2…第1の温度センサ 3…第2の温度センサ 4…リニアモータ 11,61…設定部 12,62…第1の取得部 13,63…第2の取得部 14,64…判定部 15,65…スイッチ 16,66…PID制御部 16,67…切り替え部 68…オフセット加算部 100…露光装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のセンサから検出された第1の値を取得する第1の取得部と、
前記第1のセンサに比して制御対象物の近くに配置された第2のセンサから検出された第2の値を取得する第2の取得部と、
前記第2の値と予め設定された目標値とを比較した比較結果に応じて、入力値を前記第1の値と前記第2の値とで切り替える切り替え部と、
前記目標値と前記切り替え部によって切り替えられた入力値の偏差に基づいて前記制御対象物の状態を制御する制御部と、
を備える制御装置。
【請求項2】
前記切り替え部は、前記第2の値から前記目標値を引いた値が第1の所定値よりも大きい場合又は前記目標値から前記第2の値を引いた値が第2の所定値よりも大きい場合には、入力値を前記第2の値とし、前記第2の値から前記目標値を引いた値が前記第1の所定値より小さい場合又は前記目標値から前記第2の値を引いた値が前記第2の所定値より小さい場合には、入力値を前記第1の値とする請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記切り替え部は、前記第2の値から前記目標値を引いた値が前記第1の所定値よりも大きい場合でかつ前記第1の値が前記目標値よりも小さい場合又は、
前記目標値から前記第2の値を引いた値が前記第2の所定値よりも大きい場合でかつ前記第1の値が前記目標値よりも大きい場合には、
入力値を前記第2の値とする請求項2に記載の制御装置。
【請求項4】
前記切り替え部により入力値が前記第1の値に切り替えられた場合に前記第2の値と前記第1の値の差を表わす予め設定されたオフセット値を前記目標値に加算する加算部を備え、
前記制御部は、前記切り替え部により入力値が前記第1の値とされた場合には、前記加算部により前記オフセット値が加算された目標値に基づいて制御する
請求項1から3いずれか1の項に記載の制御装置。
【請求項5】
前記制御対象物の状態は、温度、湿度、気圧の少なくともいずれか1つである請求項1から4いずれか1の項に記載の制御装置。
【請求項6】
第1のセンサから検出された第1の値を取得するステップと、
前記第1のセンサに比して制御対象物の近くに配置された第2のセンサから検出された第2の値を取得するステップと、
前記第2の値と予め設定された目標値とを比較した比較結果に応じて、入力値を前記第1の値と前記第2の値とで切り替えるステップと、
前記目標値と前記切り替えられた入力値の偏差に基づいて前記制御対象物の状態を制御するステップと、
を有する制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−265890(P2009−265890A)
【公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−113913(P2008−113913)
【出願日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】