説明

制御装置及び制御装置の制御方法

【課題】
ホストユニットの負担を軽減し、制御の処理速度の向上を図ることができる制御装置及び制御装置の制御方法を提供することにある。
【解決手段】
ホストユニットがホスト側制御OSを有すると共に、サブユニットがタスクの内容をプログラムステップ単位で保存するプログラムステップ記憶手段とサブ側制御OSとを有し、ホスト側制御OSが、タスクのプログラムステップをプログラムステップ記憶手段に送り、サブ側制御OSがプログラムステップ記憶手段に保存されたプログラムステップを順次実行していくことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、産業用に用いられる制御装置及び制御装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、産業用機械やロボット制御システムとして、パーソナルコンピュータ(PC)を使用した制御装置が幅広く利用されている。従来の制御装置では、装置全体のコントローラとなるPCに、専用の制御機能を有する制御ボードや各種機能を実現する機能ボードを有するサブユニットが、拡張バスを介して接続されている。
【0003】
従来の制御装置では、任意の制御目的を達成すべくPCから制御ボートに対して適宜制御コマンドが発行され、制御ボードは、これらの制御コマンドを実行し、機能ボードを動作させ、具体的にはアクチュエータ等を駆動することにより、所要の制御動作を実行する。また、これら制御動作の中には、アクチュエータ等の動作状態や異常等に関する情報が、制御ボードからPCへアンサーバックされるモードも含まれている。尚、PCとサブユニットとの間の通信は、特許文献1に示されるように、拡張バスにより行われている。
【特許文献1】特開平11−149308号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の制御装置では、ホストユニットであるPC上で、制御のためのプログラムが動作しており、PCが直接制御ボードを動作させたり、PCが直接制御ボードの情報を取得してプログラムの動作に反映させていたため、制御のスピードがホストユニットの動作速度に依存してしまい処理速度の向上が図れない。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、ホストユニットの負担を軽減し、制御の処理速度の向上を図ることができる制御装置及び制御装置の制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の制御装置は、ホストユニットがホスト側制御OSを有すると共に、サブユニットがタスクの内容をプログラムステップ単位で保存するプログラムステップ記憶手段とサブ側制御OSとを有し、ホスト側制御OSが、タスクのプログラムステップをプログラムステップ記憶手段に送り、サブ側制御OSがプログラムステップ記憶手段に保存されたプログラムステップを順次実行していくことを特徴とする。
【0007】
請求項2記載の制御装置は、ホスト側制御OSが、タスクのプログラムステップを実行させるための各種条件を付加されたプログラムステップをプログラムステップ記憶手段に送ることを特徴とする。
【0008】
請求項3記載の制御装置は、ホストユニットに通信可能に接続された複数のサブユニットを備え、ホスト側制御OSが、タスクのプログラムステップをプログラムステップ記憶手段に送るにあたり、プログラムステップの次に実行されるプログラムステップが別のサブユニットで実行されるものである場合、別のサブユニットのプログラムステップ記憶手段に送るべきプログラムステップの前に、先に実行されるプログラムステップの終了を待つ待ちプログラムステップを付加して、一連のプログラムステップを各サブユニットのプログラムステップ記憶手段に送ることを特徴とする。
【0009】
請求項4記載の制御装置は、サブユニットのサブ側制御OSが、待ちプログラムステップがプログラムステップ記憶手段に保存されているか否かを判断し、待ちプログラムステップが保存されている場合、プログラムステップの実行に先立ち、待ちプログラムステップが待ち対象とする直前のプログラムステップが保存されているサブユニットに対し、直前のプログラムステップが終了した時にプログラムステップ終了の旨を送るように指示することを特徴とする。
【0010】
請求項5記載の制御装置は、ホストユニットとサブユニットとが、IEEE1394シリアルバスで複数接続されていることを特徴とする。
【0011】
請求項6記載の制御装置の制御方法は、ホストユニットのホスト側制御OSが、サブユニットが実行するタスクの内容を、プログラムステップ単位でサブユニットのプログラムステップ記憶手段に送り、サブ側制御OSがプログラムステップ記憶手段に保存されたプログラムステップを順次実行していくことを特徴とする。
【0012】
請求項7記載の制御装置の制御方法は、ホスト側制御OSが、タスクのプログラムステップを実行させるための各種条件を付加されたプログラムステップをプログラムステップ記憶手段に送ることを特徴とする。
【0013】
請求項8記載の制御装置の制御方法は、複数のサブユニットがホストユニットに通信可能に接続される場合、ホスト側制御OSが、タスクのプログラムステップをプログラムステップ記憶手段に送るにあたり、プログラムステップの次に実行されるプログラムステップが別のサブユニットで実行されるものである場合、別のサブユニットのプログラムステップ記憶手段に送るべきプログラムステップの前に、先に実行されるプログラムステップの終了を待つ待ちプログラムステップを付加して、一連のプログラムステップを各サブユニットのプログラムステップ記憶手段に送ることを特徴とする。
【0014】
請求項9記載の制御装置の制御方法は、サブユニットのサブ側制御OSが、待ちプログラムステップがプログラムステップ記憶手段に保存されているか否かを判断し、待ちプログラムステップが保存されている場合、プログラムステップの実行に先立ち、待ちプログラムステップが待ち対象とする直前のプログラムステップが保存されているサブユニットに対し、直前のプログラムステップが終了した時にプログラムステップ終了の旨を送るように指示することを特徴とする。
【0015】
請求項10記載の制御装置の制御方法は、ホストユニットとサブユニットとが、IEEE1394シリアルバスで複数接続されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
請求項1及び請求項6の発明によれば、ホスト側制御OSが、タスクのプログラムステップをプログラムステップ記憶手段に送り、サブ側制御OSがプログラムステップ記憶手段に保存されたプログラムステップを順次実行していくことから、制御をサブユニットに任せることができ、ホストユニットの負担を軽減し、制御の処理速度の向上を図ることができる。
【0017】
請求項2及び請求項7の発明によれば、ホスト側制御OSが、タスクのプログラムステップを実行させるための各種条件を付加されたプログラムステップをプログラムステップ記憶手段に送ることから、その条件を把握したサブユニットはその条件に基づきプログラムステップを実行すればよく、プログラムステップの実行毎にホストユニットとサブユニットが通信を行う必要がなく、ホストユニットの負担を軽減し、制御の処理速度の向上を図ることができる。
【0018】
請求項3及び請求項8の発明によれば、ホスト側制御OSが、タスクのプログラムステップをプログラムステップ記憶手段に送るにあたり、プログラムステップの次に実行されるプログラムステップが別のサブユニットで実行されるものである場合、別のサブユニットのプログラムステップ記憶手段に送るべきプログラムステップの前に、先に実行されるプログラムステップの終了を待つ待ちプログラムステップを付加して、一連のプログラムステップを各サブユニットのプログラムステップ記憶手段に送ることから、ホストユニットが全体の制御の進捗を把握する必要がなく、各プログラムステップの待ち状態から実行へ移行する管理を、各サブユニットが独自に行うことができ、ホストユニットの負担を軽減し、制御の処理速度の向上を図ることができる。
【0019】
請求項4及び請求項9の発明によれば、サブユニットのサブ側制御OSが、待ちプログラムステップがプログラムステップ記憶手段に保存されているか否かを判断し、待ちプログラムステップが保存されている場合、プログラムステップの実行に先立ち、待ちプログラムステップが待ち対象とする直前のプログラムステップが保存されているサブユニットに対し、直前のプログラムステップが終了した時にプログラムステップ終了の旨を送るように指示することから、サブユニットをまたがるプログラムステップの移行をホストユニットが管理する必要がなく、ホストユニットの負担を軽減し、制御の処理速度の向上を図ることができる。
【0020】
請求項5及び請求項10の発明によれば、ホストユニットとサブユニットとが、IEEE1394シリアルバスで複数接続されていることから、効率的な通信が可能で、より一層制御の処理速度の向上を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の形態について図面を参照しながら具体的に説明する。本発明の形態における制御装置は、産業用機械やロボット制御システムを制御するためのものである。図1は、本発明に係る制御装置の一例を示す構成図である。図2は、同制御装置のユーザープログラムの構成を示す説明図である。図3は、同制御装置のタスクのプログラムステップの転送を示す説明図である。図4は、同制御装置のタスクが複数のサブユニットで実行される場合を示す説明図である。図5は、同制御装置のタスクのプログラムステップの転送を示すフローチャートである。図6は、同制御装置のプログラムステップの実行手順を示す説明図である。図7は、同制御装置の単一のサブユニットで複数のタスクを実行する場合を示す説明図である。図8は、同制御装置の複数のサブユニットで複数のタスクを実行する場合を示す説明図である。
【0022】
図1や図2に示すように、制御装置100は、パーソナルコンピュータ(PC)等のコントローラからなるホストユニット4と、制御を司る制御ボード12,22,32と制御目的に応じて各種機能を実装した機能ボード16a〜36cとからなるサブユニット1〜Nとを有している。ホストユニット4は、中央演算装置(CPU)やメモリを備え、そのCPUは、PCとしてのOS(オペレーティングシステム)が動作すると共に、産業用機械やロボット制御システムとしての各種の制御を司るホスト側制御OSが動作している。また、ホストユニット4のメモリには、制御装置100の具体的な制御の内容であるユーザープログラムが保存され、そのユーザープログラムは、タスクの内容をプログラムステップ単位で保存している。
【0023】
サブユニット1〜Nは、それぞれ制御ボード12,22,32、機能ボード16a〜36c等を有している。制御ボード12,22,32は、それぞれのサブユニット1〜Nの動作を司る中央演算装置(CPU)やメモリを有している。そして、メモリは、サブユニット1〜Nがタスクの内容をプログラムステップ単位で保存するプログラムステップ記憶手段(バッファ1〜バッファN)となっている。尚、本実施の形態では、プログラムステップ記憶手段であるバッファ1〜Nは、タスクの種類に応じて、別々の領域を確保し、例えばバッファ1〜バッファ50としている。また、制御ボード12,22,32では、サブ側制御OSが動作している。機能ボード16a〜36cは、それぞれがバス14,24,34を介して制御ボード12,22,32に接続されている。そして、それぞれの機能ボード16a〜36cは、制御目的に応じた各種機能が実装されている。その機能とは、例えば、アクチュエータや駆動軸を動かす機能であったり、各種センサの情報を取得する機能であったり、各種信号のレベルを読み込むA/D機能であったりする。
【0024】
ホストユニット4と各サブユニット1〜Nは、互いにケーブル6,8で接続されている。図1等では、ホストユニット4とサブユニット1とがケーブル6で接続され、各サブユニット1〜Nがケーブル8でカスケード接続されているが、特に接続の形態にこだわるものではない。また、接続の通信形態によって制限されるものでもなく、シリアル方式やパラレル方式など、任意である。また、制御装置100の基本構成としては、1つのホストユニット4とサブユニットとなるが、サブユニットの数は、図でNと示した通り任意である。
【0025】
次に、このように構成された制御装置100の動作を説明する。まず、図3に示すように、制御装置100の動作の開始にあたり、ホスト側制御OSが、サブユニット1に対してタスクをプログラムステップ単位で送り、サブ側制御OSが受け取ったタスクをバッファ1にプログラムステップ単位で保存していく。具体的には、図3に示すように、タスク1のプログラムステップ1が、バッファ1に、タスク1のプログラムステップ1として保存され、バッファ1にタスク1のプログラムステップ2、プログラムステップ3と随時保存されていく。尚、図3はタスクが1つの場合を示しているが、図7では、複数ある場合の例を示している。尚、図3及び図7では、タスクを実行させるサブユニットが1つ(サブユニット1)に限られた場合を示しているが、タスクを実行させたいサブユニットが、他のサブユニット(2〜N)のいずれかである場合もある。さらに、1つのタスクを複数のサブユニットで実行させたい場合の例は、後述する。尚、タスクのプログラムステップを、バッファに送る手段としては、例えばDLL(Dynamic Link Library)を用いる。
【0026】
そして、サブユニット1のバッファ1にタスク1のプログラムステップが保存されると、サブユニット1は、タスク1のプログラムステップ1から順次実行していく。尚、具体的なタスク1の実行はサブユニット1で行っていくが、例えば他のサブユニット2〜Nの機能ボード26a〜36cに指令を出したり状態を読み込んだりする必要がある場合には、随時他のサブユニット2〜Nと通信を行うようにする。また、ホストユニット4の求めに応じて、現在実行されているタスクの状態を、サブユニット1はホストユニット4に伝えるような場合もある。すなわち、ホストユニット4や各サブユニット1〜Nとの間では、適宜通信が行われている。
【0027】
次に、図4に示すように、1つのタスクが複数のサブユニット1〜Nで実行される場合について説明する。1つのタスクを複数のサブユニット1〜Nで実行する場合には、ホストユニット4から各サブユニット1〜Nへタスクを送るにあたって、ホスト側制御OSが、図5に示すフローチャートの動作を行う。具体的には、図4に示すように、ホストユニット4に保存されているタスク1のプログラムステップ1から送る時に、図5に示すように、まず、送ろうとする直前のプログラムステップの動作するサブユニットが変更になったか否かを確認する(S101)。変更になっていない場合には(S101−NO)、送信先のサブユニットの番号を記憶した上で(S103)、プログラムステップを該当のサブユニットに送るようにする(S104)。
【0028】
もし、直前のプログラムステップから実行させるサブユニットが変更になっている場合には(S101−YES)、直前のプログラムステップが実行されるのを待ってそのプログラムステップを実行するようにするための待ちプログラムステップを発行し新たなサブユニットにその待ちユニットを送信(S102)した後、送信先のサブユニットの番号を記憶した上で(S103)、プログラムステップを該当のサブユニットに送るようにする(S104)。
【0029】
この図5に示すフローチャートにより、タスク1が各サブユニット1〜Nに送られた様子を示す図が、図4であり。図4とはタスクの内容が異なるが、ホストユニット4からサブユニット1〜Nでタスク1が実行されていく様子を示したのが、図6である。尚、各サブユニット1〜Nのサブ側制御OSは、プログラムステップの実行に先立ち、バッファ1〜50に保存されたプログラムステップに、待ちプログラムステップがあるか否かの確認を行う。そして、もし待ちプログラムステップが保存されている場合には、その待ちプログラムステップが終了を待っているプログラムステップが実行されるサブユニットに対して、該当するプログラムステップが終了した後に、自身のサブユニットに対して終了を送信してもらうように指示するようにする。
【0030】
このような予めの準備の後、各サブユニット1〜Nのサブ側制御OSは、各バッファのプログラムステップを開始する。図6に示すタスクの動作を説明すると、サブユニット1は、プログラムステップ1から順次プログラムステップを実行する。それに対し、サブユニット2は、プログラムステップ4の待ちプログラムステップが最初にあるので、プログラムステップ4の待ちプログラムステップを実行し、プログラムステップ4の待ち状態となる。同様にサブユニットNも、プログラムステップ6の待ちプログラムステップが最初にあるので、プログラムステップ6の待ちプログラムステップを実行し、プログラムステップ6の待ち状態となる。
【0031】
そして、サブユニット1のプログラムステップが順次実行され、プログラムステップ4が終了すると、サブユニット1のサブ側制御OSは、サブユニット2に対して、プログラムステップ4が終了した旨を送信する。プログラムステップ4の終了を受け取ったサブユニット2は、プログラムステップ4の待ちプログラムステップを抜けて、プログラムステップ5を実行する。この間、サブユニット1は、プログラムステップ8の待ちプログラムステップを実行し、待ちの状態となる。そして、プログラムステップ6が終了すると、サブユニット2のサブ側制御OSは、サブユニットNに対して、プログラムステップ6が終了した旨を送信する。プログラムステップ6の終了を受け取ったサブユニットNは、プログラムステップ6の待ちプログラムステップを抜けて、プログラムステップ7を実行する。同様に、プログラムステップ8が終了すると、サブユニットNのサブ側制御OSは、サブユニット1に対して、プログラムステップ8が終了した旨を送信する。プログラムステップ8の終了を受け取ったサブユニット1は、プログラムステップ8待ちプログラムステップを抜けて、プログラムステップ9を実行する。このようにして、実質的に制御が実行されるサブユニットが随時切り替わりながら、タスクが実行されていく。
【0032】
尚、図4では、タスクがタスク1だけの場合を図示したが、図7同様に、複数のタスクが実行される場合もあり、その様子を示すのが図8である。
【0033】
以上のように、本実施の形態の制御装置100によれば、ホスト側制御OSが、タスクのプログラムステップをプログラムステップ記憶手段に送り、サブ側制御OSがプログラムステップ記憶手段に保存されたプログラムステップを順次実行していくことから、制御をサブユニットに任せることができ、ホストユニットの負担を軽減し、制御の処理速度の向上を図ることができる。
【0034】
また、ホスト側制御OSが、タスクのプログラムステップをプログラムステップ記憶手段でバッファに送るにあたり、プログラムステップの次に実行されるプログラムステップが別のサブユニットで実行されるものである場合、別のサブユニットのプログラムステップ記憶手段に送るべきプログラムステップの前に、先に実行されるプログラムステップの終了を待つ待ちプログラムステップを付加して、一連のプログラムステップを各サブユニットのプログラムステップ記憶手段に送ることから、ホストユニット4が全体の制御の進捗を把握する必要がなく、各プログラムステップの待ち状態から実行へ移行する管理を、各サブユニットが独自に行うことができ、ホストユニットの負担を軽減し、制御の処理速度の向上を図ることができる。そして、プログラム作成者も、プログラムの作成や動作確認にあたって、現在どこのプログラムステップが動作しているかを強く意識する必要がなく、また割り込みのように、突発的に他のプログラムステップに動作が移行してしまい、現在動作しているプログラムステップの動作状況を把握しにくいといった煩雑さを回避することができる。
【0035】
さらに、サブユニット1〜Nのサブ側制御OSが、待ちプログラムステップがバッファに保存されているか否かを判断し、待ちプログラムステップが保存されている場合、プログラムステップの実行に先立ち、待ちプログラムステップが待ち対象とする直前のプログラムステップが保存されているサブユニットに対し、直前のプログラムステップが終了した時にプログラムステップ終了の旨を送るように指示することから、サブユニットをまたがるプログラムステップの移行をホストユニット4が管理する必要がなく、ホストユニット4の負担を軽減し、制御の処理速度の向上を図ることができる。また、このサブユニット1〜Nの通信は、サブ側制御OSが独自に行うことから、プログラム作成者がプログラム作成時に、待ちユニットの挿入や管理のための記述をする必要がなく、効率的なプログラムの作成が可能である。すなわち、プログラム作成者は、制御の機能のみを実現する最低限のコマンドを組み合わせることで、ユーザープログラムを作成すればよく、作業効率が向上すると共に、記述の間違えを抑えることもできる。
【0036】
尚、ホストユニット4及びサブユニット1〜Nの接続に関しては、特に制限されるものではないが、IEEE1394シリアルバスで複数接続することにより、効率的な通信が可能で、より一層制御の処理速度の向上を図ることができる。
【0037】
尚、ホスト側制御OSによってホストユニット4からサブユニット1〜Nに送られるタスクのプログラムステップであるが、単に各機能ボード16a〜36cを機能させるコマンドだけではなく、そのプログラムステップを実行させるための各種条件を付加することも可能である。例えば、1つの軸を駆動させるコマンドを記述し、その軸に係るどのセンサがONになった場合に駆動を止めるかといった条件を、1つのプログラムステップの中に条件として記述することができる。このように、プログラムステップに条件を記述することで、その条件を把握したサブユニット1〜Nはその条件に基づきプログラムステップを実行すればよく、プログラムステップの実行毎にホストユニット4とサブユニット1〜Nが通信を行う必要がなく、ホストユニットの負担を軽減し、制御の処理速度の向上を図ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0038】
以上のように、ホストユニットの負担を軽減し、制御の処理速度の向上を図ることができる制御装置及び制御装置の制御方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明に係る制御装置の一例を示す構成図である。
【図2】同制御装置のユーザープログラムの構成を示す説明図である。
【図3】同制御装置のタスクのプログラムステップの転送を示す説明図である。
【図4】同制御装置のタスクが複数のサブユニットで実行される場合を示す説明図である。
【図5】同制御装置のタスクのプログラムステップの転送を示すフローチャートである。
【図6】同制御装置のプログラムステップの実行手順を示す説明図である。
【図7】同制御装置の単一のサブユニットで複数のタスクを実行する場合を示す説明図である。
【図8】同制御装置の複数のサブユニットで複数のタスクを実行する場合を示す説明図である。
【符号の説明】
【0040】
100・・・制御装置
4・・・・・ホストユニット
6・・・・・ケーブル
8・・・・・ケーブル
12・・・・制御ボード
14・・・・バス
16a・・・機能ボード
16b・・・機能ボード
16c・・・機能ボード
22・・・・制御ボード
24・・・・バス
26a・・・機能ボード
26b・・・機能ボード
26c・・・機能ボード
32・・・・制御ボード
34・・・・バス
36a・・・機能ボード
36b・・・機能ボード
36c・・・機能ボード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パーソナルコンピュータ等のコントローラからなるホストユニットと、制御を司る制御ボードと制御目的に応じて各種機能を実装した機能ボードとからなるサブユニットとを有し、該ホストユニットと該サブユニットとが通信可能に接続された制御装置において、
該ホストユニットがホスト側制御OSを有すると共に、該サブユニットがタスクの内容をプログラムステップ単位で保存するプログラムステップ記憶手段とサブ側制御OSとを有し、
該ホスト側制御OSが、該タスクのプログラムステップを該プログラムステップ記憶手段に送り、該サブ側制御OSが該プログラムステップ記憶手段に保存された該プログラムステップを順次実行していくことを特徴とする制御装置。
【請求項2】
前記ホスト側制御OSが、前記タスクのプログラムステップを実行させるための各種条件を付加された該プログラムステップを前記プログラムステップ記憶手段に送ることを特徴とする請求項1記載の制御装置。
【請求項3】
前記ホストユニットに通信可能に接続された複数の前記サブユニットを備え、
前記ホスト側制御OSが、前記タスクのプログラムステップを前記プログラムステップ記憶手段に送るにあたり、
該プログラムステップの次に実行される該プログラムステップが別の該サブユニットで実行されるものである場合、該別のサブユニットのプログラムステップ記憶手段に送るべきプログラムステップの前に、先に実行される該プログラムステップの終了を待つ待ちプログラムステップを付加して、一連の該プログラムステップを各サブユニットのプログラムステップ記憶手段に送ることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の制御装置。
【請求項4】
前記サブユニットのサブ側制御OSが、前記待ちプログラムステップが前記プログラムステップ記憶手段に保存されているか否かを判断し、該待ちプログラムステップが保存されている場合、前記プログラムステップの実行に先立ち、該待ちプログラムステップが待ち対象とする直前の該プログラムステップが保存されている該サブユニットに対し、該直前のプログラムステップが終了した時にプログラムステップ終了の旨を送るように指示することを特徴とする請求項3記載の制御装置。
【請求項5】
前記ホストユニットと前記サブユニットとが、IEEE1394シリアルバスで複数接続されていることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載の制御装置。
【請求項6】
パーソナルコンピュータ等の電子計算機からなるホストユニットと、制御を司る制御ボードと制御目的に応じて各種制御機能を実装した制御ボードとからなるサブユニットとを有し、該ホストユニットと該サブユニットとが通信可能に接続された制御装置の制御方法において、
該ホストユニットのホスト側制御OSが、該サブユニットが実行するタスクの内容を、プログラムステップ単位で該サブユニットのプログラムステップ記憶手段に送り、
該サブ側制御OSが該プログラムステップ記憶手段に保存された該プログラムステップを順次実行していくことを特徴とする制御装置の制御方法。
【請求項7】
前記ホスト側制御OSが、前記タスクのプログラムステップを実行させるための各種条件を付加された該プログラムステップを前記プログラムステップ記憶手段に送ることを特徴とする請求項6記載の制御装置の制御方法。
【請求項8】
複数の前記サブユニットが前記ホストユニットに通信可能に接続される場合、
前記ホスト側制御OSが、前記タスクのプログラムステップを前記プログラムステップ記憶手段に送るにあたり、
該プログラムステップの次に実行される該プログラムステップが別の該サブユニットで実行されるものである場合、該別のサブユニットのプログラムステップ記憶手段に送るべきプログラムステップの前に、先に実行される該プログラムステップの終了を待つ待ちプログラムステップを付加して、一連の該プログラムステップを各サブユニットのプログラムステップ記憶手段に送ることを特徴とする請求項6又は請求項7記載の制御装置の制御方法。
【請求項9】
前記サブユニットのサブ側制御OSが、前記待ちプログラムステップが前記プログラムステップ記憶手段に保存されているか否かを判断し、該待ちプログラムステップが保存されている場合、前記プログラムステップの実行に先立ち、該待ちプログラムステップが待ち対象とする直前の該プログラムステップが保存されている該サブユニットに対し、該直前のプログラムステップが終了した時にプログラムステップ終了の旨を送るように指示することを特徴とする請求項8記載の制御装置の制御方法。
【請求項10】
前記ホストユニットと前記サブユニットとが、IEEE1394シリアルバスで複数接続されていることを特徴とする請求項6〜請求項9のいずれかに記載の制御装置の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−258790(P2009−258790A)
【公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−103745(P2008−103745)
【出願日】平成20年4月11日(2008.4.11)
【出願人】(591051852)株式会社エヌエステイー (13)
【Fターム(参考)】