説明

制御装置

【課題】簡易な構成により、ジンバル空間安定性能を向上させることができる制御装置を提供することを目的とする。
【解決手段】制御回路6は、カメラが搭載される構造物に設けられた角速度検出器が検出する角速度信号に基づいて、カメラの視軸を安定させるためのフィードバック制御を行うフィードバック回路と、当該の制御装置への通電が開始された後、カメラの視軸の方向を指示する角速度指令が前記フィードバック回路に入力され始めるまでの間において計測された角速度信号の値を補正値としてフィードバック回路へ入力される角速度信号から減算するドリフト補正器50と、角速度指令が0である期間が一定期間継続する間におけるジンバルの移動体に対する角度の変化を検出し、その角度に基づいた補正値をフィードバック回路へ入力される角速度信号から減算するドリフト補正器54とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、移動体に搭載されるカメラの視軸を安定化させるためのジンバルを制御する制御装置に関し、特に、簡易な構成により、ジンバル空間安定性能を向上させることができる制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
カメラをヘリコプタ等の移動体に搭載して映像を撮影する場合、機体の動揺や振動により映像がぶれるのを防止するため、カメラをジンバルと呼ばれる空間安定化装置に固定させることが一般的に行われている。ジンバルは、角速度検出器を用いて空間に対するカメラの視軸の角速度を検出し、これを制御ループによって補正することにより、カメラの視軸を安定化させる装置である。
【0003】
ところが、ジンバルが備える小型の角速度検出器は、一般的にドリフトが大きく、例えば、100度/時間程度の視軸のズレを生じさせる。特許文献1では、この問題を解決するため、慣性空間の姿勢角度を測定するためのAHRS(Attitude Heading Reference Systems)を移動体本体に備えさせ、これを用いて、角速度検出器の制御ループの外部に、ドリフトを打ち消すための角度補正ループを設ける技術が開示されている。
【0004】
【特許文献1】特開平7−280570号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1において開示されている技術は、非常に高価な装置であるAHRSを必要とするため、システムのコストを大きく上昇させてしまうという問題がある。また、座標変換等の複雑な演算処理を必要とするため、制御回路の回路規模が大きくなり、これもシステムのコストを上昇させる要因となる。
【0006】
この発明は、上述した従来技術による問題点を解消するためになされたものであり、簡易な構成により、ジンバル空間安定性能を向上させることができる制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、本発明の一つの態様では、移動体に搭載されるカメラの視軸を安定化させるためのジンバルを制御する制御装置であって、前記カメラが搭載される構造物に設けられた角速度検出器が検出する角速度信号に基づいて、前記カメラの視軸を安定させるためのフィードバック制御を行うフィードバック回路と、当該の制御装置への通電が開始された後、前記カメラの視軸の方向を指示する角速度指令が前記フィードバック回路に入力され始めるまでの間において計測された前記角速度信号の値を補正値として記憶し、その記憶している補正値を前記フィードバック回路へ入力される前記角速度信号から減算する補正手段とを備えたことを特徴とする。
【0008】
この発明の態様によれば、フィードバック回路によるジンバルの安定化制御が開始される前に角速度検出器の角速度信号のドラフト成分を検出し、これを補正値としてフィードバック回路に入力される角速度信号から減算することとしたので、簡易な構成により、ジンバル空間安定性能を向上させることができる。
【0009】
また、本発明の他の態様では、上記の発明の態様において、前記角速度検出器の現在の表面温度に対応する補正値から、前記補正手段が前記補正値を計測した時点における前記角速度検出器の表面温度に対応する補正値を控除した補正値を前記フィードバック回路へ入力される前記角速度信号から減算する第2の補正手段を備えたことを特徴とする。
【0010】
この発明の態様によれば、角速度検出器の表面温度を測定し、この表面速度に応じた補正値から、ジンバルの安定化制御が開始される前に検出された分の補正値に含まれているはずの補正量を除外した補正値を、フィードバック回路に入力される角速度信号から減算することとしたので、簡易な構成により、ジンバル空間安定性能を向上させることができる。
【0011】
また、本発明の他の態様では、上記の発明の態様において、前記角速度指令が0である期間が一定期間継続する間における前記ジンバルの前記移動体に対する角度の変化を検出し、該角度に基づいた補正値を前記フィードバック回路へ入力される前記角速度信号から減算する第3の補正手段を備えたことを特徴とする。
【0012】
この発明の態様によれば、ジンバルへの操作指令が停止している期間におけるジンバルの動きを計測することにより、フィードバック回路に起因するドリフト量を計測し、このドリフト量に相当する補正値をフィードバック回路に入力される角速度信号から減算することとしたので、簡易な構成により、ジンバル空間安定性能を向上させることができる。
【0013】
なお、本発明の構成要素、表現または構成要素の任意の組合せを、方法、装置、システム、コンピュータプログラム、記録媒体、データ構造などに適用したものも本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0014】
本発明の一つの態様によれば、フィードバック回路によるジンバルの安定化制御が開始される前に角速度検出器の角速度信号のドラフト成分を検出し、これを補正値としてフィードバック回路に入力される角速度信号から減算することとしたので、簡易な構成により、ジンバル空間安定性能を向上させることができるという効果を奏する。
【0015】
また、本発明の一つの態様によれば、角速度検出器の表面温度を測定し、この表面速度に応じた補正値から、ジンバルの安定化制御が開始される前に検出された分の補正値に含まれているはずの補正量を除外した補正値を、フィードバック回路に入力される角速度信号から減算することとしたので、簡易な構成により、ジンバル空間安定性能を向上させることができるという効果を奏する。
【0016】
また、本発明の一つの態様によれば、ジンバルへの操作指令が停止している期間におけるジンバルの動きを計測することにより、フィードバック回路に起因するドリフト量を計測し、このドリフト量に相当する補正値をフィードバック回路に入力される角速度信号から減算することとしたので、簡易な構成により、ジンバル空間安定性能を向上させることができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下に添付図面を参照して、本発明に係る制御装置の好適な実施の形態を詳細に説明する。
【実施例】
【0018】
まず、2軸シンバルの場合を例にしてジンバルの構造について説明する。図1は、ジンバルの構造を示す図である。同図に示すように、ジンバル1は、機体取り付け部2と、AZ軸回りを回転するAZ部3と、AZ部3とともにAZ軸回りを回転しながらEL軸の回りを回転するEL部4とから構成され、カメラはEL部4に搭載される。
【0019】
カメラの視軸を上記2軸回りにトルカで回転駆動することにより、オペレータは、撮影中の画像を見ながらジョイステックを操作して視軸を任意方向に指向させたることができる。また、EL部4に設けられた角速度検出器の検出信号を用いた制御ループによって、カメラの視軸を上記2軸回りにトルカで回転駆動することにより、機体動揺中に視軸を空間に対し一定方向に指向させることができる。
【0020】
次に、ジンバル1を制御するための従来の制御回路について説明する。ここでは、角速度検出器の角速度制御ループの外部に別の制御ループを設けない例を示す。図8は、従来の制御回路の構成の一例を示す図である。
【0021】
同図に示す制御回路5は、ジンバル1のトルクモータ30を駆動するアンプ29に入力される角速度指令から、ジンバル1のEL部4に設けられた角速度検出器21が検出した信号に基づく補正値を減算器27で減算することにより、カメラの視軸を空間に対し一定方向に指向させるためのフィードバック制御を行う回路である。
【0022】
制御回路5は、角速度検出器21が検出した信号に含まれるドリフト成分を補正するために、角速度検出器21が検出した信号に対し、一定のドリフト補正値24を減算器25で減算し、また、角速度検出器21の表面温度を計測する温度センサ22の検出値を用いて、角速度検出器21の温度に対するドリフト成分をドリフト補正器23で補正する。ドリフト補正器23は、予め温度試験により表面温度毎のドリフト量を計測して作成された温度補正デ−タ参照テーブルと、温度センサ22の検出値とを照合して補正量を決定する回路である。
【0023】
なお、AZ軸演算器26は、カメラの視軸が垂直方向に近くなるほど角速度検出器21において検出される信号が小さくなるのを補正するための回路であり、補償器28は、アンプ29に入力される角速度指令を安定化させる回路である。
【0024】
しかしながら、この従来の制御回路5では、ドリフト補正器23のドリフトの影響を十分に除去することができなかった。一定のドリフト補正値24による補正と、温度センサ22の検出値に基づくドリフト補正器23の補正では、多様な要因で生じる実際の運用環境での角速度検出器21のドリフト成分を除去するには精度が不足していたためである。
【0025】
このため、従来は、角速度検出器21のドリフト成分を適切に除去するため、運用時に調整用のコマンド等をもちいて、ドリフト補正値24を再調整する対応が必要であり、オペレータに大きな負担がかかっていた。
【0026】
また、制御回路5等が実現する角速度制御ループにも、カメラの視軸のドリフトを発生させる要因があった。AZ軸演算器26は、検出角度成分をAZ軸回り成分に変換するために、角速度検出器21の検出値に1/cosEL(ELはEL軸周りの視軸角度)を乗じる演算を行うが、これにより、例えば、ELが−60度の場合には、角速度検出器21のドリフト成分が2倍に増長されてしまう。
【0027】
また、一旦、角速度検出器21のドリフト成分がジンバル1のアンプ29まで到達してしまうと、そのドリフト成分は、しばらくの間、角速度制御ループに影響を与えることになる。また、補償器28は、通常、PIDと呼ばれる補償器からなるが、積分要素Iの大小や演算偏差によりオフセット成分が発生し、視軸ドリフトの要因となる。また、アンプ29の指令と電流出力応答内のDCオフセット成分が、視軸ドリフトの要因となる。また、機体取り付け部2の振動と視軸方向によるアンバランストルク、環境温度、機械共振、風雨等による外乱トルクも視軸ドリフトの要因となる。
【0028】
次に、本実施例に係る制御回路について説明する。図2は、本実施例に係る制御回路6の構成を示す図である。なお、図8と同様の部分には同一の符号を付している。
【0029】
制御回路6は、ジンバル1のトルクモータ30を駆動するアンプ29に入力される角速度指令から、ジンバル1のEL部4に設けられた角速度検出器21が検出した信号に基づく補正値を減算器27で減算することにより、カメラの視軸を空間に対し一定方向に指向させるためのフィードバック制御を行う回路である。
【0030】
制御回路6は、角速度検出器21が検出した信号に含まれるドリフト成分を補正するために、ドリフト補正器50と、ドリフト補正器51とを有する。また、角速度制御ループに起因するカメラの視軸のドリフトを補正するために、ドリフト補正器54を有する。
【0031】
ドリフト補正器50は、角速度検出器21単体のドリフト成分を補正するための処理部である。ドリフト補正器50は、制御回路6に通電が開始されてから角速度制御ループによる制御が開始される前の期間において角速度検出器21によって検出される角速度信号の値を記憶しておき、角速度制御ループによる制御の開始後に、その値を角速度検出器21単体のドリフト成分として、角速度検出器21によって検出される角速度信号から減算する。
【0032】
このように、角速度制御ループによる制御が開始される前の視軸に変化が無いはずの期間に検出される角速度信号を自動的に記憶することにより、オペレータがコマンド等を用いてドリフト補正値24を再調整していた作業が不要となる。
【0033】
ドリフト補正器51は、角速度制御ループの開始後、ドリフト補正器50によって補正された角速度信号から、角速度検出器21の温度変化によるドリフト成分をさらに除去する処理部である。ドリフト補正器51は、ドリフト補正器23と同様に、予め温度試験により作成された温度補正デ−タ参照テーブルと、角速度検出器21に設けられた温度センサ22の検出値とを照合して補正量を決定する。
【0034】
ただし、補正対象の角速度信号には、ドリフト補正器50による補正が既に施されており、ドリフト補正器50が補正量を決定した時点における角速度検出器21の温度変化によるドリフト成分が既に減算されているため、ドリフト補正器51は、この分の補正量をオフセットして補正を行う。
【0035】
ドリフト補正器54は、角速度制御ループの開始後、角速度制御ループに起因するドリフト成分を補正するための処理部である。具体的には、ドリフト補正器54は、角速度指令値が0の状態が一定時間継続するとき、すなわち、ジンバル1の動きが一定時間停止しているはずのときに、ジンバル1の機体取り付け部2に設けられた対機体角度検出器53を用いてジンバル1の対機体角度の変化を観測することにより、角速度制御ループに起因するドリフト成分を計測し、計測したドリフト成分を減算器52において角速度信号から減算させる。
【0036】
このように、角速度制御ループに起因するドリフト成分を動的に計測し、補正することにより、様々な要因によって大きさが変化するドリフト成分を精度良く除去することが可能になる。
【0037】
図3は、ドリフト補正器50の詳細な構成を示す図である。ドリフト補正器50は、角速度制御ループによる制御が開始されているか否かを示す制御ON/OFF信号を使い、切換え器78によって、制御OFF時には、角速度検出器21において検出された角速度信号を入力信号とし、制御ON時には、入力0信号を入力信号とする。
【0038】
そして、低域ローパスフィルタ71を通過させた入力信号を低周波ドリフト信号として処理器75に入力させ、高域ローパスフィルタ72を通過させた入力信号を動揺判定用の速度信号として処理器75に入力させる。また、高域ローパスフィルタ72を通過した入力信号をさらに積分器73を通過させ、動揺判定用のドリフト角度信号として処理器75に入力させる。そして、制御ONとなったタイミングで、処理器175は、角速度信号に対する補正値を決定する。
【0039】
処理器175は、低周波ドリフト信号と、速度信号と、ドリフト角度信号と基づいて補正値の決定を行う処理部である。図4は、処理器175による補正値の決定論理を示すフローチャートである。同図に示すように、処理器175は、入力された速度信号の絶対値が所定のドリフト判定値以下であり(ステップS101肯定)、かつ、入力されたドラフト角度の絶対値が所定のドリフト判定値に計測時間を乗じたもの以下であれば(ステップS102肯定)、低周波ドラフト信号の値を補正値と決定する(ステップS103)。
【0040】
一方、上記のいずれかの条件に該当しない場合は(ステップS101否定、もしくは、ステップS102否定)、何らかの理由によって動揺が発生し、角速度検出器21において検出された角速度信号にその動揺の成分が含まれていると判断されるため、低周波ドラフト信号の値を用いずに、メモリ74に記憶されている補正初期値を補正値と決定する(ステップS104)。
【0041】
処理器175は、決定した補正値を減算器77で減算した角速度信号を出力するとともに、処理器175からの演算完了信号に遅延76をかけた信号がメモリ74に到達するタイミングで、メモリ74に補正値を補正初期値として書き込む。
【0042】
図5は、ドリフト補正器51の詳細な構成を示す図である。ドリフト補正器51は、角速度検出器21の表面温度を検出する温度センサ22の検出値に基づいて、角速度検出器21の温度に対するドリフト成分を補正する。ドリフト補正器50による角速度信号の補正にも、角速度検出器21の温度に対するドリフト成分の補正が含まれているため、ドリフト補正器51は、この分を差し引いて補正を行う。
【0043】
差分演算器90は、角速度制御ループによる制御が開始されたときに、角速度検出器21の表面温度を温度補正デ−タ参照テーブルと照合して、制御開始時点での補正値を取得する。そして、差分演算器91は、制御ONとなっている間、角速度検出器21の表面温度を、制御開始時点での補正値の分だけオフセットさせた温度補正デ−タ参照テーブルと照合して、その時点における補正値を決定して、決定した補正値を減算器92において減算させる。
【0044】
図6は、ドリフト補正器54の詳細な構成を示す図である。ドリフト補正器54においては、角速度指令値に基づいて、角速度指令値が0の状態かどうかを判定器107が判定し、角速度指令値が0になったと判定された時点の時刻である開示時刻と、その時点において対機体角度検出器53により検出された検出角度である開始角度とを設定器105が記憶する。
【0045】
そして、検出角度は、設定器105に記憶されている開始角度を除算されて、変化角度として処理器103に入力される一方、微分器(S)100と、ローパスフィルタ(LPF)101と、最大速度検出器102を通過して、最大検出角速度として処理器103に入力される。そして、判定器104は、設定器105に記憶されている開始時刻と現在時刻とを比較してドラフト計測時間が経過したか否かを判定し、ドラフト計測時間が経過したと判定した時点で、補正値の判定を実行するための判定実行信号を処理器103へ送信する。
【0046】
図7は、処理器103による補正値の決定論理を示すフローチャートである。同図に示すように、処理器103は、変化角度をドラフト計測時間で割った値の絶対値が所定のドリフト判定値以下であり(ステップS201肯定)、かつ、最大検出角速度の絶対値が所定のドリフト判定値以下であれば(ステップS202肯定)、変化角度をドラフト計測時間で割った値を補正値と決定する(ステップS203)。
【0047】
一方、上記のいずれかの条件に該当しない場合は(ステップS201否定、もしくは、ステップS202否定)、何らかの理由によって動揺が発生し、対機体角度検出器53において検出された検出角度にその動揺の成分が含まれていると判断されるため、検出角度を用いずに、メモリ106に記憶されている補正初期値を補正値と決定する(ステップS204)。
【0048】
処理器103は、決定した補正値を出力するとともに、判定器104が送信した判定実行信号に遅延109をかけた信号がメモリ106に到達するタイミングで、メモリ106に補正値を補正初期値として書き込む。
【0049】
上述してきたように、本実施例では、角速度検出器21と対機体角度検出器53を使い、制御OFF時と制御ON時にそれぞれ積極的に計測可能なドリフト量を算出し、動揺有無を判定した後、適切な補正値を自動的に反映させているため、従来現地で実施されていた機体静止状態でのドリフト計測・反映を実行することなく、簡易な構成で、ジンバル空間安定性能を向上させることができる。
【0050】
(付記1)移動体に搭載されるカメラの視軸を安定化させるためのジンバルを制御する制御装置であって、
前記カメラが搭載される構造物に設けられた角速度検出器が検出する角速度信号に基づいて、前記カメラの視軸を安定させるためのフィードバック制御を行うフィードバック回路と、
当該の制御装置への通電が開始された後、前記カメラの視軸の方向を指示する角速度指令が前記フィードバック回路に入力され始めるまでの間において計測された前記角速度信号の値を補正値として記憶し、その記憶している補正値を前記フィードバック回路へ入力される前記角速度信号から減算する補正手段と
を備えたことを特徴とする制御装置。
【0051】
(付記2)前記補正手段は、当該の制御装置への通電が開始された後、前記カメラの視軸の方向を指示する角速度指令が前記フィードバック回路に入力され始めるまでの間に動揺が検出された場合に、前回その期間に動揺が検出されなかったときの補正値を前記フィードバック回路へ入力される前記角速度信号から減算することを特徴とする付記1に記載の制御装置。
【0052】
(付記3)前記角速度検出器の現在の表面温度に対応する補正値から、前記補正手段が前記補正値を計測した時点における前記角速度検出器の表面温度に対応する補正値を控除した補正値を前記フィードバック回路へ入力される前記角速度信号から減算する第2の補正手段を備えたことを特徴とする付記1または2に記載の制御装置。
【0053】
(付記4)前記角速度指令が0である期間が一定期間継続する間における前記ジンバルの前記移動体に対する角度の変化を検出し、該角度に基づいた補正値を前記フィードバック回路へ入力される前記角速度信号から減算する第3の補正手段を備えたことを特徴とする付記1〜3のいずれか1つに記載の制御装置。
【0054】
(付記5)前記第3の補正手段は、前記期間が一定期間継続しなかった場合に、前回その期間に一定期間継続したときの補正値を前記フィードバック回路へ入力される前記角速度信号から減算することを特徴とする付記1に記載の制御装置。
【産業上の利用可能性】
【0055】
以上のように、本発明に係る制御装置は、移動体に搭載されるカメラの視軸を安定化させるためのジンバルの制御に有用であり、特に、簡易な構成により、ジンバル空間安定性能を向上させることが必要な場合に適している。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】ジンバルの構造を示す図である。
【図2】本実施例に係る制御回路の構成を示す図である。
【図3】ドリフト補正器50の詳細な構成を示す図である。
【図4】処理器175による補正値の決定論理を示すフローチャートである。
【図5】ドリフト補正器51の詳細な構成を示す図である。
【図6】ドリフト補正器54の詳細な構成を示す図である。
【図7】処理器103による補正値の決定論理を示すフローチャートである。
【図8】従来の制御回路の構成の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0057】
1 ジンバル
2 機体取り付け部
3 AZ部
4 EL部
5、6 制御回路
21 角速度検出器
22 温度センサ
23 ドリフト補正器
24 ドリフト補正値
25 減算器
26 AZ軸演算器
27 減算器
28 補償器
29 アンプ
30 トルクモータ
50、51、54 ドリフト補正器
52 減算器
53 対機体角度検出器
71 低域ローパスフィルタ
72 高域ローパスフィルタ
73 積分器
74 メモリ
75 処理器
76 遅延
77 減算器
78 切換え器
90 差分演算器
91 差分演算器
92 減算器
100 微分器
101 ローパスフィルタ
102 最大速度検出器
103 処理器
104、107 判定器
105 設定器
106 メモリ
109 遅延
175 処理器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体に搭載されるカメラの視軸を安定化させるためのジンバルを制御する制御装置であって、
前記カメラが搭載される構造物に設けられた角速度検出器が検出する角速度信号に基づいて、前記カメラの視軸を安定させるためのフィードバック制御を行うフィードバック回路と、
当該の制御装置への通電が開始された後、前記カメラの視軸の方向を指示する角速度指令が前記フィードバック回路に入力され始めるまでの間において計測された前記角速度信号の値を補正値として記憶し、その記憶している補正値を前記フィードバック回路へ入力される前記角速度信号から減算する補正手段と
を備えたことを特徴とする制御装置。
【請求項2】
前記角速度検出器の現在の表面温度に対応する補正値から、前記補正手段が前記補正値を計測した時点における前記角速度検出器の表面温度に対応する補正値を控除した補正値を前記フィードバック回路へ入力される前記角速度信号から減算する第2の補正手段を備えたことを特徴とする請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記角速度指令が0である期間が一定期間継続する間における前記ジンバルの前記移動体に対する角度の変化を検出し、該角度に基づいた補正値を前記フィードバック回路へ入力される前記角速度信号から減算する第3の補正手段を備えたことを特徴とする請求項1または2に記載の制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−232944(P2008−232944A)
【公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−75302(P2007−75302)
【出願日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】