制振システム
【課題】煩雑な演算を行うことなく簡易な構成で生活振動から地震による振動までの広い範囲の振動を減衰することができる制振システムを適用することを目的とする。
【解決手段】緊急地震速報を受信した場合に、ダンパの減衰レベルを地震モードに切換る(100〜102)と共に、震度情報に応じた減衰力になるようにダンパの減衰力を調整する(103)。そして、余震を含む地震が終了すると考えられる期間経過後に、生活振動減衰レベルに戻す(104〜106)。
【解決手段】緊急地震速報を受信した場合に、ダンパの減衰レベルを地震モードに切換る(100〜102)と共に、震度情報に応じた減衰力になるようにダンパの減衰力を調整する(103)。そして、余震を含む地震が終了すると考えられる期間経過後に、生活振動減衰レベルに戻す(104〜106)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制振システムにかかり、特に、減衰の調整が可能な制振装置を備えた制振システムに関する。
【背景技術】
【0002】
建築物の地震等による揺れを低減させる技術として、ダンパやアクチュエータを用いて振動を減衰する種々の技術が提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1に記載の技術では、風揺れに対応した制御力を演算する第1の演算部と、長周期地震動に対応した制御力を演算する第2の演算部と、第1の演算部または第2の演算部に切り替える制御モード切替手段を備えて、地震動検出手段によって地震動が検出された場合に、制御モード切替手段が演算部を切り替えを行うことで、第2の演算部によって長周期地震動に対応した制御力を演算し、この制御力に応じて、建物の揺れを抑制する制振機構をコントロールすることが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−155899号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、所謂アクティブ制振を適用しているため、振動を減衰させるために、錘を建物の揺れを打ち消す方向にストロークさせる大きなエネルギが必要とされると共に、制御力の演算が煩雑となり、改善の余地がある。
【0006】
本発明は、上記事実を考慮して成されたもので、煩雑な演算を行うことなく簡易な構成で生活振動から地震による振動までの広い範囲の振動を減衰することができる制振システムを適用することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために請求項1に記載の建物は、生活振動を減衰する減衰力、及び地震の震度に応じて予め定めた減衰力に調整可能とされ、制振ユニット住宅の振動を減衰して制振する制振装置と、前記減衰力の調整を行う調整手段と、予測震度を含む緊急地震速報を受信する受信手段と、前記受信手段によって前記緊急地震速報を受信した場合に、前記生活振動を減衰する減衰力から前記予測震度に基づく震度応じた減衰力になるように前記調整手段を制御する制御手段と、を備えることを特徴としている。
【0008】
請求項1に記載の発明によれば、制振ユニット住宅の振動を減衰する制震装置では、生活振動を減衰する減衰力、及び地震の震度に応じて予め定めた減衰力に調整可能とされている。
【0009】
調整手段では、制震装置の減衰力の調整が行われ、受信手段では、予測震度を含む緊急地震速報が受信される。
【0010】
そして、制御手段では、受信手段によって緊急地震速報を受信した場合に、生活振動を減衰する減衰力から予測震度に基づく震度に応じた減衰力になるように調整手段が制御される。
【0011】
すなわち、地震振動だけではなく生活振動についても減衰することができる。また、地震振動を減衰する際には、震度に応じて予め定めた減衰力に調整するため、制御力の演算等の煩雑な演算を行うことなく簡易な構成で振動を抑制することができる。従って、煩雑な演算を行うことなく簡易な構成で生活振動から地震による振動までの広い範囲の振動を減衰することができる。
【0012】
なお、請求項2に記載の発明のように、地震の終了を検出する検出手段を更に備えて、制御手段が、検出手段によって地震の終了を検出してから所定期間後に、生活振動を減衰する減衰力に戻すように調整手段を更に制御するようにしてもよい。これによって地震が終了した場合には生活振動を減衰する減衰力に戻すことができる。また、地震の終了後所定期間後に生活振動を減衰する減衰力に戻すようにしたことにより、余震などによって減衰力の調整が頻繁に行われることを防止することができ、必要以上の制御を防止することができる。
【0013】
請求項3に記載の発明は、生活振動を減衰する生活振動減衰レベルと地震による振動を減衰する地震振動減衰レベルとに減衰レベルが切換可能とされ、制振ユニット住宅の振動を減衰して制振する制震装置と、前記制震装置の前記減衰レベルを切り換える切換手段と、地震の発生及び地震の終了を検出する検出手段と、前記検出手段によって地震の発生が検出された場合に、前記生活振動減衰レベルから前記地震振動減衰レベルになるように前記切換手段を制御し、前記検出手段によって地震の終了が検出されてから所定期間後に、前記生活振動減衰レベルに戻すように、前記切換手段を制御する制御手段と、を備えることを特徴としている。
【0014】
請求項3に記載の発明によれば、制振ユニット住宅の振動を減衰する制震装置では、生活振動を減衰する生活振動減衰レベルと地震による振動を減衰する地震振動減衰レベルとに減衰レベルが切換可能とされている。
【0015】
切換手段では、制震装置の減衰レベルの切換が行われ、検出手段では、地震の発生及び地震の終了が検出される。
【0016】
そして、制御手段では、検出手段によって地震の発生が検出された場合に、生活振動減衰レベルから地震振動減衰レベルになるように切換手段が制御され、検出手段によって地震の終了が検出されてから所定期間後に、生活振動減衰レベルに戻すように、切換手段が制御される。
【0017】
すなわち、地震振動だけではなく生活振動についても減衰することができる。また、生活振動減衰レベルと地震振動減衰レベルの2レベルに減衰力を調整可能とすることにより、煩雑な演算を行うことなく簡易な構成で振動を抑制することができる。従って、煩雑な演算を行うことなく簡易な構成で生活振動から地震による振動までの広い範囲の振動を減衰することができる。さらには、地震の終了後所定期間後に生活振動レベルに戻すようにしたことにより、余震などによって減衰レベルの切換が頻繁に行われることを防止することができ、必要以上の制御を防止することができる。
【0018】
請求項4に記載の発明は、生活振動を減衰する減衰力、及び地震による振動に応じて予め定めた減衰力に調整可能とされ、制振ユニット住宅の振動を減衰して制振する制震装置と、前記減衰力の調整を行う調整手段と、地震による振動を検出する検出手段と、前記検出手段によって地震による振動が検出された場合に、前記生活振動を減衰する減衰力から前記検出手段によって検出された地震による振動に応じた減衰力になるように前記調整手段を制御する制御手段と、を備えることを特徴としている。
【0019】
請求項4に記載の発明によれば、制振ユニット住宅の振動を減衰する制震装置では、生活振動を減衰する減衰力、及び地震による振動に応じた予め定めた減衰力に調整可能とされている。
【0020】
調整手段では、制震装置の減衰力の調整が行われ、検出手段では、地震による振動が検出される。
【0021】
そして、制御手段では、検出手段によって地震による振動が検出された場合に、生活振動を減衰する減衰力から検出手段によって検出された地震による振動に応じた減衰力になるように調整手段が制御される。
【0022】
すなわち、地震振動だけではなく生活振動についても減衰することができる。また、地震振動を減衰する際には、検出した振動に応じて予め定めた減衰力に調整するため、制御力の演算等の煩雑な演算を行うことなく簡易な構成で振動を抑制することができる。従って、煩雑な演算を行うことなく簡易な構成で生活振動から地震による振動までの広い範囲の振動を減衰することができる。
【0023】
なお、請求項5に記載の発明のように、緊急地震速報を受信する受信手段を更に備えて、制御手段が、受信手段によって緊急地震速報を受信した場合、または検出手段によって地震による振動が検出された場合に、調整手段を制御するようにしてもよい。
【0024】
また、請求項6に記載の発明のように、検出手段が地震の終了を更に検出し、制御手段が、検出手段によって地震の終了を検出してから所定期間後に、生活振動を減衰する減衰力に戻すように、調整手段を更に制御するようにしてもよい。これによって、地震が終了した場合には生活振動を減衰する減衰力に戻すことができる。また、地震の終了後所定期間後に生活振動を減衰する減衰力に戻すようにしたことにより、余震などによって減衰力の調整が頻繁に行われることを防止することができ、必要以上の制御を防止することができる。
【0025】
さらに、請求項7に記載の発明のように、制震装置を複数有すると共に、各々の制震装置の変位量を検出する変位量検出手段を更に備えて、制御手段が、検出手段によって検出された地震による振動に応じた減衰力になるように調整手段を制御する際に、変位量検出手段によって検出された各々の制震装置の変位量に応じてねじれ応答を抑制する減衰力となるように、調整手段を制御するようにしてもよい。これによって、ねじれ応答も抑制することができる。
【発明の効果】
【0026】
以上説明したように本発明によれば、煩雑な演算を行うことなく簡易な構成で生活振動から地震による振動までの広い範囲の振動を減衰することができる制振システムを適用することができる、という効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の実施の形態に係わる制振システムが適用される建物の概略を示す図である。
【図2】本発明の実施の形態に係わる制振装置の概略構成を示す図である。
【図3】本発明の第1実施形態に係わる制振システムの概略構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の実施の形態に係わる制振システムにおける制振プログラムで行うダンパの制御を説明するための図である。
【図5】本発明の第1実施形態に係わる制振装置において制振プログラムを実行した場合の処理の流れを表すフローチャートである。
【図6】本発明の第1実施形態に係わる制振システムの変形例における制振プログラムで行うダンパの制御を説明するための図である。
【図7】本発明の第1実施形態に係わる制振システムの変形例において制振プログラムを実行した場合の処理の流れを示すフローチャートである。
【図8】本発明の第2実施形態に係わる制振システムの構成を示すブロック図である。
【図9】本発明の第2実施形態に係わる制振システムにおける制振プログラムで行うダンパの制御を説明するための図である。
【図10】本発明の第2実施形態に係わる制振システムにおいて制振プログラムを実行した場合の処理の流れを表すフローチャートである。
【図11】本発明の第2実施形態に係わる制振システムの変形例において制振プログラムを実行した場合の処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態の一例を詳細に説明する。図1は、本発明の実施の形態に係わる制振システムが適用される建物の概略を示す図である。
【0029】
本発明の実施の形態に係わる制振システムが適用される建物10は、複数個(図1では8個)の建物ユニット12からなるユニット建物の住宅を一例として説明するが、ユニット建物に限定されるものではなく、他の構造の建物を適用するようにしてもよい。
【0030】
なお、説明の便宜上、建物ユニット12の各部材に名称付けをしておく。建物ユニット12は、4本の柱14と、互いに平行に配置された長短二組の天井大梁16、18と、これらの天井大梁16、18に対して上下に平行に配置された長短二組の床大梁20、22とを備えており、梁の端部を天井と床の仕口に溶接することによりラーメン構造として構成されている。但し、ユニット構成は上記に限られることなく、他の箱形の架構構造としてもよい。
【0031】
本実施の形態では、天井大梁16、18、及び床大梁20、22に、断面コ字形状のチャンネル鋼(溝形鋼)が用いられている。
【0032】
建物ユニット12は、矩形枠状に組まれた天井フレーム24と床フレーム26とを備えており、これらの間に4本の柱14が立設される構成となっている。天井フレーム24は四隅に天井仕口部(柱)27を備えており、この天井仕口部27に長さの異なる天井大梁16、18の長手方向の端部が溶接されている。
【0033】
同様に、床フレーム26は四隅に床仕口部(柱)28を備えており、この床仕口部28に長さの異なる床大梁20、22の長手方向の端部が溶接されている。
【0034】
そして、上下に対向して配置された天井仕口部27と床仕口部28との間に、柱14の上下端部が溶接により剛接合されて及びボルトにより仮固定されて建物ユニット12が構成される。
【0035】
次に、本発明の実施の形態に係わる制振装置について説明する。図2は、本発明の実施の形態に係わる制振装置の概略構成を示す図である。
【0036】
図1、2に示すように、本発明の実施の形態に係わる制振装置30は、天井大梁16と床大梁22との間に設けられている。なお、床大梁20と天井大梁18との間に設けるようにしてもよい。
【0037】
本実施の形態の制振装置30は、以下に説明する、第1の延材32、ダンパ34、第2の延材36から構成されている。なお、制振装置30の構成は、一例として説明するが、これに限定されるものではなく、他の構成としてもよい。
【0038】
図2に示すように、床大梁22の上面には、制振装置30を構成する第1の延材32が設置されている。
【0039】
第1の延材32は、鉛直方向に伸びる鋼製の第1の柱部材38、及び第1の柱部材38に対して傾斜する第2の柱部材40を備えている。第2の柱部材40の上端は、第1の柱部材38の側面上側に溶接されている。なお、第1の延材32の形状は他の形状であってもよい。
【0040】
第1の柱部材32の下端には、床大梁22に取り付けるためのフランジ板42が溶接されている。なお、第2の柱部材40の下端にも同様にフランジ板42が溶接されている。
【0041】
なお、図2では省略するが、床大梁22の内部には、鋼板で形成された枠形のブラケットが挿入されており、ブラケットの上面は床大梁22の上側部分、ブラケットの下面は床大梁22の下側板部分に密着して床大梁を補強している。
【0042】
フランジ板42、床大梁22の上側板部分、及びブラケットの上部は、図示しないボルトで互いに連結されており、床大梁22の下側板部分、及びブラケットの下部は、基礎44に固定されたアンカーボルトで固定されている。
【0043】
第1の柱部材38の上端付近の側面には、第1のダンパ取付部材46が固定されており、天井大梁16の下面には、第2の延材36が固定されている。
【0044】
なお、天井大梁16と、第1の柱部材38との間には、間隙が設けられているものとする。
【0045】
第1のダンパ取付部材46と第2の延材36との間にはダンパ34が水平に配置されており、ダンパ34は、一端がピン46Aを介して第1のダンパ取付部材46に連結され、他端が第2の延材36に連結されている。
【0046】
ダンパ34は、第1のダンパ取付部材46と第2の延材36との相対変位(床大梁22の軸方向、及び天井大梁16の軸方向の相対変位であって、図2の矢印A方向の相対変位。)時に減衰力を発生する。例えば、ダンパ34は、ダンパ34内部に設けたオリフィスをオイルが通過することによって振動を減衰させるもの(自動車のショックアブソーバー等のオイルダンパ)を適用するようにしてもよいし、地震による揺れを回転運動に変換し、ダンパ34の内部に設けた回転体の周囲の粘性体(例えば、シリコーンオイル)の抵抗によって振動を減衰させるものを適用するようにしてもよい。なお、ダンパ34は、図2の矢印A方向の相対変位時減衰力を発生するものであれば、オイルダンパや粘弾性ダンパ等の周知のダンパ(例えば、速度依存型のダンパ等のダンパ)を用いることができる。
【0047】
なお、制振装置30は、建物10の建築後に後付可能としてもよい。例えば、制振パネルとしてパネル内に制振部材などの制振装置を設けてパネル交換等によって後付可能とすることができる。
【0048】
また、本実施の形態では、ダンパ34は減衰力を調整可能とされている。詳細には、生活振動を減衰する生活振動減衰レベルの生活振動モードと、地震による振動を減衰する地震振動減衰レベルの地震モードとに切換可能とされている。生活振動減衰レベルと地震振動減衰レベルへの切換は、例えば、流量調整可能なオリフィス等を適用して、オリフィスの流量を調整するためのモータ等アクチュエータを駆動することによってダンパ34の減衰力を調整して減衰レベルの切換を行う。すなわち、生活振動減衰レベルの場合には、通常の生活で発生する微振動を減衰する減衰力のレベルに設定され、地震振動減衰レベルは、地震による震動を減衰する減衰力のレベルに設定されている。
【0049】
なお、生活振動減衰レベルは、微少レベルの振動に対して最適な減衰力を設定したものである。
【0050】
また、以下の説明では、減衰レベルの「切換」と、減衰力の「調整」とで異なる表現(「切換」または「調整」)を用いるが、減衰レベルの切換と減衰力の調整の何れの場合も具体的な変更方法は、上述したように、オリフィスなどの流量を調整するためのモータ等のアクチュエータを駆動することによって減衰力を変更するもので、減衰力を変更する点では同じ意味である。
(第1実施形態)
続いて、本発明の第1実施形態に係わる制振システム50の構成について説明する。図3は、本発明の第1実施形態に係わる制振システムの概略構成を示すブロック図である。
【0051】
本発明の第1実施形態に係わる制振システム50は、パーソナルコンピュータ(PC)52を含んで構成されている。PC52は、CPU54、ROM56、RAM58、及び入出力ポート60を備えている。これらがアドレスバス、データバス、及び制御バス等の各種バスを介して互いに接続されている、入出力ポート60には、各種の入出力機器として、ディスプレイ62、マウス64、キーボード66、ハードディスク(HD)68、及び各種ディスク(例えば、CD−ROMやDVD等)72から情報の読み出しを行うディスクドライブ70が各々接続されている。
【0052】
入出力ポート60には、ダンパ34の減衰力を調整するための減衰力調整モータ80が接続されており、PC52が減衰力調整モータ80の駆動を制御することによってダンパ34の減衰力調整が可能とされている。
【0053】
さらに、入出力ポート60には、インターネット等のネットワーク82が接続されており、外部の機器と情報の授受が可能とされている。本実施形態では、ネットワーク82には、緊急地震速報を発信するサーバ84が接続されており、ネットワーク82を介してサーバ84から発信される緊急地震速報をPC52が受信するようになっている。サーバ84としては、例えば、気象庁や他の情報機関等に設けられたコンピュータを適用することができ、地震の発生を予測して、予測した地震に関する情報(例えば、地震発生予測地域や予測震度等)を緊急地震速報として発信するものを適用することができる。
【0054】
また、PC52のHDD68には、建物10の振動を減衰させるための制振プログラムがインストールされている。本実施形態における制振プログラムは、図4に示すように、通常時(常時)は生活振動減衰レベルの生活振動モードとして、緊急地震速報を受信したときに(地震発生時)、減衰力調整モータ80を制御して減衰レベルを生活振動減衰レベルから地震振動減衰レベルに切り換えて地震モードへ移行するように制震装置30の減衰力を制御する。そして、所定期間経過後(地震終了から所定期間経過)後に生活振動モードに戻すようになっている。
【0055】
なお、制振プログラムをPC52にインストールするには、幾つかの方法があるが、例えば、制振プログラムをセットアッププログラムと共にCD−ROMやDVD等に記憶しておき、ディスクドライブ72にディスクをセットし、CPU54に対してセットアッププログラムを実行することによりHDD68に制振プログラムをインストールするようにしてもよいし、公衆電話回線やネットワーク74を介してPC52と接続される他の情報処理機器と通信することで、HDD68に制振プログラムをインストールするようにしてもよい。
【0056】
次に、上述の制振プログラムを実行した場合の処理の流れについて説明する。図5は、本発明の第1実施形態に係わる制振装置30において制振プログラムを実行した場合の処理の流れを表すフローチャートである。なお、制振プログラムは、例えば、制振装置30を設置時に起動し、緊急地震速報を常時監視するものとして説明する。
【0057】
まずステップ100では、ネットワーク82を介して緊急地震速報を受信したか否か判定され、該判定が肯定されるまで待機してステップ102へ移行する。
【0058】
ステップ102では、生活振動モードから地震モードへ切換が行われてステップ104へ移行する。すなわち、減衰力調整モータ80の駆動が制御されて、ダンパ34の減衰力が生活振動減衰レベルから地震振動減衰レベルになるように減衰力が調整される。
【0059】
ステップ104では、所定期間経過したか否かが判定される。例えば、余震を含む地震が終了すると考えられる期間経過したか否かを判定し、該判定が肯定されるまで待機してステップ106へ移行する。なお、所定期間は、震度によって余震の発生などが異なるため、例えば、緊急地震速報に含まれる予測震度に応じて変更するようにしてもよい(例えば、震度1〜3までは1時間、震度4、5は半日、震度6以上は1ヶ月等)。
【0060】
ステップ106では、生活振動モードに切り換えられてステップ108へ移行する。すなわち、減衰力調整モータ80の駆動が制御されて、ダンパ34の減衰力が地震振動減衰レベルから生活振動減衰レベルになるように減衰力が調整される。
【0061】
ステップ108では、システムのオフ指示が行われたか否かが判定される。該判定は、電源オフの指示等が行われたか否かを判定し、該判定が否定された場合にはステップ100に戻って上述の処理が繰り返され、判定が肯定されたところで一連の制振プログラムを終了する。
【0062】
このように、本実施形態では、緊急地震速報を受信したときに、ダンパ34の減衰力を生活振動減衰レベルから地震振動減衰レベルになるようにダンパ34の減衰力を調整するので、地震による振動を制振するだけではなく、生活振動についても適切な減衰力で振動を抑制することができる。
【0063】
また、本実施形態では、パッシブ制振を利用しているため、アクティブ制振に比べて制御量の演算等が煩雑とならず、簡易な構成で適切な振動抑制を行うことができる。
【0064】
次に、第1実施形態の変形例について説明する。第1実施形態では、生活振動モードと地震モードに切り換える構成としたが、図6に示すように、地震が発生して地震モードに切り換える際に、地震規模に応じた減衰力にダンパ34を更に調整するようにしてもよい。例えば、図6では、地震モードにおいて、ハード、標準、ソフトの3段階に減衰力を調整可能とした例を示す。すなわち、緊急地震速報に予測振動としての震度情報が含まれるため、地震振動減衰レベルに調整する際に、震度情報に応じて減衰力を調整する。
【0065】
ここで、第1実施形態の変形例の制振システムで行われる処理について説明する。図7は、本発明の第1実施形態に係わる制振システム50の変形例において制振プログラムを実行した場合の処理の流れを示すフローチャートである。なお、第1実施形態と同一処理については同一符号を付して説明する。
【0066】
ステップ100では、ネットワーク82を介して緊急地震速報を受信したか否か判定され、該判定が肯定されるまで待機してステップ102へ移行する。
【0067】
ステップ102では、生活振動モードから地震モードへ切換が行われてステップ103へ移行する。すなわち、減衰力調整モータ80の駆動が制御されて、ダンパ34の減衰力が生活振動減衰レベルから地震振動減衰レベルになるように減衰力が調整される。
【0068】
ステップ103では、緊急地震速報に含まれる震度情報(予測震度)に応じた減衰力になるようにダンパ34の減衰力が調整されてステップ104へ移行する。すなわち、減衰力調整モータ80が制御されて、震度毎に予め定めた減衰力に調整され、震度に応じた制振が可能となる。
【0069】
ステップ104では、所定期間経過したか否かが判定される。例えば、余震を含む地震が終了すると考えられる期間経過したか否かを判定し、該判定が肯定されるまで待機してステップ106へ移行する。なお、所定期間は、震度によって余震の発生などが異なるため、例えば、緊急地震速報に含まれる予測震度に応じて変更するようにしてもよい(例えば、震度1〜3までは1時間、震度4、5は半日、震度6以上は1ヶ月等)。
【0070】
ステップ106では、生活振動モードに切り換えられてステップ108へ移行する。すなわち、減衰力調整モータ80の駆動が制御されて、ダンパ34の減衰力が地震振動減衰レベルから生活振動減衰レベルになるように減衰力が調整される。
【0071】
ステップ108では、システムのオフ指示が行われたか否かが判定される。該判定は、電源オフの指示等が行われたか否かを判定し、該判定が否定された場合にはステップ100に戻って上述の処理が繰り返され、判定が肯定されたところで一連の制振プログラムを終了する。
【0072】
このように、第1実施形態の変形例では、震度規模に応じて減衰力を調整するようにしたので、第1実施形態よりも適切な減衰力で振動を抑制することが可能となる。
(第2実施形態)
続いて、本発明の第2実施形態に係わる制震システムの構成について説明する。図8は、本発明の第2実施形態に係わる制振システム51の構成を示すブロック図である。なお、第1実施形態と同一構成については同一符号を付して詳細な説明を省略する。
【0073】
第1実施形態では、生活振動モードと地震モードに切換可能としたパッシブ制振方式の制振システムを例に挙げて説明したが、第2実施形態では、地震モードへ移行した時に、地震の振動量に応じて減衰力を調整するセミアクティブ方式を適用する例を説明する。
【0074】
第2実施形態では、地震の振動量に応じてダンパ34の減衰力を調整するために、第1実施形態の構成に対して、振動量検出センサ86を更に備えている以外は、基本的には、第11実施形態と同一構成とされている。すなわち、図8に示すように、第2実施形態に係わる制振システム51では、入出力ポート60に振動量検出センサ86が第1実施形態に対して更に接続された構成とされており、振動量検出センサ86による検出結果がPC52に入力されるようになっている。
【0075】
振動量検出センサ86としては、建物10の振動量を検出するが、ダンパ34のストロークを検出するものであってもよい。また、加速度センサを代用するようにしてもよい。
【0076】
また、PC52のHDD68には、上記実施形態と同様に、建物10の振動を減衰させるための制振プログラムがインストールされているが、本実施形態では、図9に示すように、通常時(常時)は生活振動減衰レベルの生活振動モードとして、緊急地震速報を受信したときや振動量検出センサ86によって所定値以上の振動を検出したときに、減衰力調整モータ80を制御して減衰レベルを生活振動減衰レベルから地震振動減衰レベルに切り換えて地震モードへ移行させるが、地震振動減衰レベルへ移行する際には、振動量に応じて減衰力を変化させるセミアクティブ制御が行われる。そして、上記実施形態と同様に、所定期間経過後(地震終了から所定期間経過)後に生活振動モードに戻すようになっている。
【0077】
ここで、第2実施形態に係わる制振システム51において制振プログラムを実行した場合の処理について説明する。図10は、本発明の第2実施形態に係わる制振システム51において制振プログラムを実行した場合の処理の流れを表すフローチャートである。なお、制振プログラムは、上記実施形態と同様に、制振装置30を設置時に起動し、緊急地震速報を常時監視するものとして説明する。
【0078】
まずステップ200では、地震の発生か否かが判定される。該判定は、振動量検出センサ86によって所定値以上の振動量が検出されたか否かを判定し、該判定が肯定されるまで待機してステップ202へ移行する。なお、地震の発生か否かの判定は、第1実施形態のように、緊急地震速報を受信したか否かを判定してもよい。
【0079】
ステップ202では、生活振動モードから地震モードへ切換が行われてステップ204へ移行する。すなわち、減衰力調整モータ80の駆動が制御されて、ダンパ34の減衰力が生活振動減衰レベルから地震振動減衰レベルになるように減衰力が調整される。
【0080】
ステップ204では、振動量検出センサ86によって検出された振動量が取得されてステップ206へ移行する。
【0081】
ステップ206では、振動量に応じて減衰力調整が行われてステップ208へ移行する。すなわち、振動量に応じて予め定めた減衰力になるように減衰力調整モータ80の駆動が制御されて、ダンパ34の減衰力が調整され、振動に応じた制振が可能となる。
【0082】
ステップ208では、地震が終了したか否かが判定される。該判定は、振動量検出センサ86によって検出された振動量が予め定めた値以下になって数分以上経過したか否かを判定し、該判定が否定された場合にはステップ204に戻って上述の処理が繰り返され、判定が肯定された場合にはステップ210へ移行する。なお、地震が終了したか否かの判定は、震度計を更に備えて、気象庁震度階において震度ゼロの無感の数値を適用して、0.8[gal]以下になったか否かを判定するようにしてもよい。
【0083】
ステップ210では、所定期間経過したか否かが判定される。例えば、余震を含む地震が終了すると考えられる期間経過したか否かを判定し、該判定が肯定されるまで待機してステップ212へ移行する。なお、所定期間は、震度によって余震の発生などが異なるため、例えば、緊急地震速報に含まれる予測震度に応じて変更するようにしてもよい(例えば、震度1〜3までは1時間、震度4、5は半日、震度6以上は1ヶ月等)。
【0084】
ステップ212では、生活振動モードに切り換えられてステップ214へ移行する。すなわち、減衰力調整モータ80の駆動が制御されて、ダンパ34の減衰力が地震振動減衰レベルから生活振動減衰レベルになるように減衰力が調整される。
【0085】
ステップ214では、システムのオフ指示が行われたか否かが判定される。該判定は、電源オフの指示等が行われたか否かを判定し、該判定が否定された場合にはステップ200に戻って上述の処理が繰り返され、判定が肯定されたところで一連の制振プログラムを終了する。
【0086】
このように、本実施形態では、地震の発生を検出したときに、ダンパ34の減衰力を生活振動減衰レベルから地震振動減衰レベルになるようにダンパ34の減衰力を調整するので、地震による振動を西進するだけではなく、生活振動についても適切な減衰力で振動を抑制することができる。
【0087】
また、本実施形態では、セミアクティブ制振を利用しているため、アクティブ制振に比べて制御量の演算等が煩雑とならず、簡易な構成で適切な振動抑制を行うことができる。
【0088】
さらには、地震の震動に応じて減衰力調整を行うようにしているため、第1実施形態よりもさらに適切な減衰力で振動を抑制することが可能となる。
【0089】
続いて、第2実施形態の変形例について説明する。第2実施形態では、地震モードへ移行した時に、地震の振動量に応じて減衰力を調整するセミアクティブ方式を適用して減衰力を調整するようにしたが、変形例では、振動量に応じて減衰力を調整する際に、建物10に設けられた全ての制震装置30のダンパ34の減衰力を同じ減衰力に調整するのではなく、それぞれの振動量に応じて建物10のねじれ応答を抑制するように減衰力を制御するようにしたものである。
【0090】
すなわち、変形例の振動量検出センサ86は、建物10に設けられた複数の制振装置30のダンパ34毎のストローク量を検出し、各ダンパ34のストローク量を振動量としてPC52に入力するものとして説明する。
【0091】
ここで、第2実施形態の変形例の制振システム51で行われる処理について説明する。図11は、本発明の第2実施形態に係わる制振システム51の変形例において制振プログラムを実行した場合の処理の流れを示すフローチャートである。なお、第2実施形態と同一処理についは同一符号を付して説明する。
【0092】
まずステップ200では、地震の発生か否かが判定される。該判定は、振動量検出センサ86によって所定値以上の振動量が検出されたか否かを判定し、該判定が肯定されるまで待機してステップ202へ移行する。なお、地震の発生か否かの判定は、第1実施形態のように、緊急地震速報を受信したか否かを判定してもよい。
【0093】
ステップ202では、生活振動モードから地震モードへ切換が行われてステップ204へ移行する。すなわち、減衰力調整モータ80の駆動が制御されて、ダンパ34の減衰力が生活振動減衰レベルから地震振動減衰レベルになるように減衰力が調整される。
【0094】
ステップ204では、振動量検出センサ86によって検出された振動量が取得されてステップ205へ移行する。
【0095】
ステップ205では、ねじれ応答を抑制するように減衰力が算出されてステップ207へ移行する。すなわち、建物10の各通りに設けられた制振装置30のダンパ34のストローク量(振動量)に基づいて、建物10のねじれ応答を抑制するように、各ダンパ34の減衰力が算出される。例えば、ダンパ34の減衰力調整が3段階調整(ハード、標準、ソフト)可能な場合には、各ダンパ34の振動量を3つに分けて、振動量が大きいダンパ34については減衰力をハードとし、振動量が中間のダンパ34については減衰力を標準とし、振動量が小さいダンパ34については減衰力をソフトとして、各ダンパ34で連携してねじれ応答を抑制するように減衰力を算出する。
【0096】
ステップ207では、算出減衰力に各ダンパ34が調整されてステップ208へ移行する。すなわち、決定された減衰力になるように各ダンパ34の減衰力調整モータ80の駆動が制御されて、各ダンパ34の減衰力が調整される。これによって、振動に応じた制振が可能となると共に、各ダンパ34の連携によりねじれ応答も抑制することができる。
【0097】
ステップ208では、地震が終了したか否かが判定される。該判定は、振動量検出センサ86によって検出された振動量が予め定めた値以下になって数分以上経過したか否かを判定し、該判定が否定された場合にはステップ204に戻って上述の処理が繰り返され、判定が肯定された場合にはステップ210へ移行する。なお、地震が終了したか否かの判定は、震度計を更に備えて、気象庁震度階において震度ゼロの無感の数値を適用して、0.8[gal]以下になったか否かを判定するようにしてもよい。
【0098】
ステップ210では、所定期間経過したか否かが判定される。例えば、余震を含む地震が終了すると考えられる期間経過したか否かを判定し、該判定が肯定されるまで待機してステップ212へ移行する。なお、所定期間は、震度によって余震の発生などが異なるため、例えば、緊急地震速報に含まれる予測震度に応じて変更するようにしてもよい(例えば、震度1〜3までは1時間、震度4、5は半日、震度6以上は1ヶ月等)。
【0099】
ステップ212では、生活振動モードに切り換えられてステップ214へ移行する。すなわち、減衰力調整モータ80の駆動が制御されて、ダンパ34の減衰力が地震振動減衰レベルから生活振動減衰レベルになるように減衰力が調整される。
【0100】
ステップ214では、システムのオフ指示が行われたか否かが判定される。該判定は、電源オフの指示等が行われたか否かを判定し、該判定が否定された場合にはステップ200に戻って上述の処理が繰り返され、判定が肯定されたところで一連の制振プログラムを終了する。
【0101】
このように、第2実施形態の変形例では、地震のときに、建物10の全ての制振装置30を同じ減衰力に調整するのではなく、各ダンパ34のストローク量に応じてねじれ応答を抑制するように減衰力を調整するようにしたので、地震の際の建物10のねじれ応答を抑制することができる。
【0102】
なお、第1実施形態及びその変形例では、緊急地震速報を受信して生活振動モードから地震モードへ切り換えるようにダンパ34の減衰力を調整するようにしたが、第2実施形態のように振動量検出センサ86等を備えて、緊急地震速報の代わりに振動の検出をトリガとして減衰力を調整するようにしてもよい。また、第1実施形態に振動量検出センサ86を備える場合には、第2実施形態のように、地震の終了を振動量の検出結果に基づいて判定して地震の終了を判定した場合に、所定期間経過後に生活振動モードに戻すようにしてもよい。
【0103】
また、第2実施形態では、地震モードへ移行したときに、振動量に応じてダンパ34の減衰力を調整するようにしたが、振動量ではなく、ダンパ34の変位速度を検出可能として、変位速度に応じて各ダンパ34の減衰力を調整するようにしてもよい。
【0104】
また、上記の実施の形態において、建物10のリフォームにより構造性能値に変動が合った場合に、減衰力の初期値(例えば、標準等)を設定変更可能とするようにしてもよい。例えば、増築等によって建物全体の重量、剛性、耐力が増えて、固有周期が大きくなった場合(重量に比べて剛性や耐力の増え方が少ない)、減衰力設定を大きくしたり、固有周期が小さくなった場合(重量に比べて剛性や耐力の増え方が大きい)、減衰力設定を小さくしたりすることができる。
【0105】
また、上記の実施の形態において、緊急地震速報に応じてダンパ34の減衰力を切り換える場合には、震源からの距離に応じて減衰力を決定する決定手段を備えるようにしてもよい。また、他のモードからセミアクティブ制御に切り換えて、定常化させるまでの時間を異なるようにするモードを設けるようにしてもよい。例えば、震源からの距離が遠い場合には、近い場合に比べて、定常化させるまでの時間を長く設定することもできる。また、モード切換時に少なくとも1つのダンパ34において、減衰力大から減衰力小に移行する際に、震源からの距離が遠い場合には近い場合に比べて、当該移行の時間を長く設定するように減衰力(の変動制御)を決定する手段を設けてもよい。
【0106】
さらに、現状のモードから移行後のモード(例えば、生活振動モードから地震モード)に変わる場合等において、同様にダンパ34の減衰力を切り換える際に、震源からの距離が遠い場合には大→中→小の順に切り換え、震源から近い場合には大→小の順に切り換えて、距離に応じて段階的に変化させながら目的のモードに対応する減衰力になるように制御してもよい。この場合には、距離の遠近の判定を行う判定手段を設けてもよい。
【符号の説明】
【0107】
10 建物
30 制振装置
34 ダンパ
50、51 制振システム
52 パーソナルコンピュータ
80 減衰力調整モータ
82 ネットワーク
84 サーバ
86 振動量検出センサ
【技術分野】
【0001】
本発明は、制振システムにかかり、特に、減衰の調整が可能な制振装置を備えた制振システムに関する。
【背景技術】
【0002】
建築物の地震等による揺れを低減させる技術として、ダンパやアクチュエータを用いて振動を減衰する種々の技術が提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1に記載の技術では、風揺れに対応した制御力を演算する第1の演算部と、長周期地震動に対応した制御力を演算する第2の演算部と、第1の演算部または第2の演算部に切り替える制御モード切替手段を備えて、地震動検出手段によって地震動が検出された場合に、制御モード切替手段が演算部を切り替えを行うことで、第2の演算部によって長周期地震動に対応した制御力を演算し、この制御力に応じて、建物の揺れを抑制する制振機構をコントロールすることが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−155899号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、所謂アクティブ制振を適用しているため、振動を減衰させるために、錘を建物の揺れを打ち消す方向にストロークさせる大きなエネルギが必要とされると共に、制御力の演算が煩雑となり、改善の余地がある。
【0006】
本発明は、上記事実を考慮して成されたもので、煩雑な演算を行うことなく簡易な構成で生活振動から地震による振動までの広い範囲の振動を減衰することができる制振システムを適用することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために請求項1に記載の建物は、生活振動を減衰する減衰力、及び地震の震度に応じて予め定めた減衰力に調整可能とされ、制振ユニット住宅の振動を減衰して制振する制振装置と、前記減衰力の調整を行う調整手段と、予測震度を含む緊急地震速報を受信する受信手段と、前記受信手段によって前記緊急地震速報を受信した場合に、前記生活振動を減衰する減衰力から前記予測震度に基づく震度応じた減衰力になるように前記調整手段を制御する制御手段と、を備えることを特徴としている。
【0008】
請求項1に記載の発明によれば、制振ユニット住宅の振動を減衰する制震装置では、生活振動を減衰する減衰力、及び地震の震度に応じて予め定めた減衰力に調整可能とされている。
【0009】
調整手段では、制震装置の減衰力の調整が行われ、受信手段では、予測震度を含む緊急地震速報が受信される。
【0010】
そして、制御手段では、受信手段によって緊急地震速報を受信した場合に、生活振動を減衰する減衰力から予測震度に基づく震度に応じた減衰力になるように調整手段が制御される。
【0011】
すなわち、地震振動だけではなく生活振動についても減衰することができる。また、地震振動を減衰する際には、震度に応じて予め定めた減衰力に調整するため、制御力の演算等の煩雑な演算を行うことなく簡易な構成で振動を抑制することができる。従って、煩雑な演算を行うことなく簡易な構成で生活振動から地震による振動までの広い範囲の振動を減衰することができる。
【0012】
なお、請求項2に記載の発明のように、地震の終了を検出する検出手段を更に備えて、制御手段が、検出手段によって地震の終了を検出してから所定期間後に、生活振動を減衰する減衰力に戻すように調整手段を更に制御するようにしてもよい。これによって地震が終了した場合には生活振動を減衰する減衰力に戻すことができる。また、地震の終了後所定期間後に生活振動を減衰する減衰力に戻すようにしたことにより、余震などによって減衰力の調整が頻繁に行われることを防止することができ、必要以上の制御を防止することができる。
【0013】
請求項3に記載の発明は、生活振動を減衰する生活振動減衰レベルと地震による振動を減衰する地震振動減衰レベルとに減衰レベルが切換可能とされ、制振ユニット住宅の振動を減衰して制振する制震装置と、前記制震装置の前記減衰レベルを切り換える切換手段と、地震の発生及び地震の終了を検出する検出手段と、前記検出手段によって地震の発生が検出された場合に、前記生活振動減衰レベルから前記地震振動減衰レベルになるように前記切換手段を制御し、前記検出手段によって地震の終了が検出されてから所定期間後に、前記生活振動減衰レベルに戻すように、前記切換手段を制御する制御手段と、を備えることを特徴としている。
【0014】
請求項3に記載の発明によれば、制振ユニット住宅の振動を減衰する制震装置では、生活振動を減衰する生活振動減衰レベルと地震による振動を減衰する地震振動減衰レベルとに減衰レベルが切換可能とされている。
【0015】
切換手段では、制震装置の減衰レベルの切換が行われ、検出手段では、地震の発生及び地震の終了が検出される。
【0016】
そして、制御手段では、検出手段によって地震の発生が検出された場合に、生活振動減衰レベルから地震振動減衰レベルになるように切換手段が制御され、検出手段によって地震の終了が検出されてから所定期間後に、生活振動減衰レベルに戻すように、切換手段が制御される。
【0017】
すなわち、地震振動だけではなく生活振動についても減衰することができる。また、生活振動減衰レベルと地震振動減衰レベルの2レベルに減衰力を調整可能とすることにより、煩雑な演算を行うことなく簡易な構成で振動を抑制することができる。従って、煩雑な演算を行うことなく簡易な構成で生活振動から地震による振動までの広い範囲の振動を減衰することができる。さらには、地震の終了後所定期間後に生活振動レベルに戻すようにしたことにより、余震などによって減衰レベルの切換が頻繁に行われることを防止することができ、必要以上の制御を防止することができる。
【0018】
請求項4に記載の発明は、生活振動を減衰する減衰力、及び地震による振動に応じて予め定めた減衰力に調整可能とされ、制振ユニット住宅の振動を減衰して制振する制震装置と、前記減衰力の調整を行う調整手段と、地震による振動を検出する検出手段と、前記検出手段によって地震による振動が検出された場合に、前記生活振動を減衰する減衰力から前記検出手段によって検出された地震による振動に応じた減衰力になるように前記調整手段を制御する制御手段と、を備えることを特徴としている。
【0019】
請求項4に記載の発明によれば、制振ユニット住宅の振動を減衰する制震装置では、生活振動を減衰する減衰力、及び地震による振動に応じた予め定めた減衰力に調整可能とされている。
【0020】
調整手段では、制震装置の減衰力の調整が行われ、検出手段では、地震による振動が検出される。
【0021】
そして、制御手段では、検出手段によって地震による振動が検出された場合に、生活振動を減衰する減衰力から検出手段によって検出された地震による振動に応じた減衰力になるように調整手段が制御される。
【0022】
すなわち、地震振動だけではなく生活振動についても減衰することができる。また、地震振動を減衰する際には、検出した振動に応じて予め定めた減衰力に調整するため、制御力の演算等の煩雑な演算を行うことなく簡易な構成で振動を抑制することができる。従って、煩雑な演算を行うことなく簡易な構成で生活振動から地震による振動までの広い範囲の振動を減衰することができる。
【0023】
なお、請求項5に記載の発明のように、緊急地震速報を受信する受信手段を更に備えて、制御手段が、受信手段によって緊急地震速報を受信した場合、または検出手段によって地震による振動が検出された場合に、調整手段を制御するようにしてもよい。
【0024】
また、請求項6に記載の発明のように、検出手段が地震の終了を更に検出し、制御手段が、検出手段によって地震の終了を検出してから所定期間後に、生活振動を減衰する減衰力に戻すように、調整手段を更に制御するようにしてもよい。これによって、地震が終了した場合には生活振動を減衰する減衰力に戻すことができる。また、地震の終了後所定期間後に生活振動を減衰する減衰力に戻すようにしたことにより、余震などによって減衰力の調整が頻繁に行われることを防止することができ、必要以上の制御を防止することができる。
【0025】
さらに、請求項7に記載の発明のように、制震装置を複数有すると共に、各々の制震装置の変位量を検出する変位量検出手段を更に備えて、制御手段が、検出手段によって検出された地震による振動に応じた減衰力になるように調整手段を制御する際に、変位量検出手段によって検出された各々の制震装置の変位量に応じてねじれ応答を抑制する減衰力となるように、調整手段を制御するようにしてもよい。これによって、ねじれ応答も抑制することができる。
【発明の効果】
【0026】
以上説明したように本発明によれば、煩雑な演算を行うことなく簡易な構成で生活振動から地震による振動までの広い範囲の振動を減衰することができる制振システムを適用することができる、という効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の実施の形態に係わる制振システムが適用される建物の概略を示す図である。
【図2】本発明の実施の形態に係わる制振装置の概略構成を示す図である。
【図3】本発明の第1実施形態に係わる制振システムの概略構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の実施の形態に係わる制振システムにおける制振プログラムで行うダンパの制御を説明するための図である。
【図5】本発明の第1実施形態に係わる制振装置において制振プログラムを実行した場合の処理の流れを表すフローチャートである。
【図6】本発明の第1実施形態に係わる制振システムの変形例における制振プログラムで行うダンパの制御を説明するための図である。
【図7】本発明の第1実施形態に係わる制振システムの変形例において制振プログラムを実行した場合の処理の流れを示すフローチャートである。
【図8】本発明の第2実施形態に係わる制振システムの構成を示すブロック図である。
【図9】本発明の第2実施形態に係わる制振システムにおける制振プログラムで行うダンパの制御を説明するための図である。
【図10】本発明の第2実施形態に係わる制振システムにおいて制振プログラムを実行した場合の処理の流れを表すフローチャートである。
【図11】本発明の第2実施形態に係わる制振システムの変形例において制振プログラムを実行した場合の処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態の一例を詳細に説明する。図1は、本発明の実施の形態に係わる制振システムが適用される建物の概略を示す図である。
【0029】
本発明の実施の形態に係わる制振システムが適用される建物10は、複数個(図1では8個)の建物ユニット12からなるユニット建物の住宅を一例として説明するが、ユニット建物に限定されるものではなく、他の構造の建物を適用するようにしてもよい。
【0030】
なお、説明の便宜上、建物ユニット12の各部材に名称付けをしておく。建物ユニット12は、4本の柱14と、互いに平行に配置された長短二組の天井大梁16、18と、これらの天井大梁16、18に対して上下に平行に配置された長短二組の床大梁20、22とを備えており、梁の端部を天井と床の仕口に溶接することによりラーメン構造として構成されている。但し、ユニット構成は上記に限られることなく、他の箱形の架構構造としてもよい。
【0031】
本実施の形態では、天井大梁16、18、及び床大梁20、22に、断面コ字形状のチャンネル鋼(溝形鋼)が用いられている。
【0032】
建物ユニット12は、矩形枠状に組まれた天井フレーム24と床フレーム26とを備えており、これらの間に4本の柱14が立設される構成となっている。天井フレーム24は四隅に天井仕口部(柱)27を備えており、この天井仕口部27に長さの異なる天井大梁16、18の長手方向の端部が溶接されている。
【0033】
同様に、床フレーム26は四隅に床仕口部(柱)28を備えており、この床仕口部28に長さの異なる床大梁20、22の長手方向の端部が溶接されている。
【0034】
そして、上下に対向して配置された天井仕口部27と床仕口部28との間に、柱14の上下端部が溶接により剛接合されて及びボルトにより仮固定されて建物ユニット12が構成される。
【0035】
次に、本発明の実施の形態に係わる制振装置について説明する。図2は、本発明の実施の形態に係わる制振装置の概略構成を示す図である。
【0036】
図1、2に示すように、本発明の実施の形態に係わる制振装置30は、天井大梁16と床大梁22との間に設けられている。なお、床大梁20と天井大梁18との間に設けるようにしてもよい。
【0037】
本実施の形態の制振装置30は、以下に説明する、第1の延材32、ダンパ34、第2の延材36から構成されている。なお、制振装置30の構成は、一例として説明するが、これに限定されるものではなく、他の構成としてもよい。
【0038】
図2に示すように、床大梁22の上面には、制振装置30を構成する第1の延材32が設置されている。
【0039】
第1の延材32は、鉛直方向に伸びる鋼製の第1の柱部材38、及び第1の柱部材38に対して傾斜する第2の柱部材40を備えている。第2の柱部材40の上端は、第1の柱部材38の側面上側に溶接されている。なお、第1の延材32の形状は他の形状であってもよい。
【0040】
第1の柱部材32の下端には、床大梁22に取り付けるためのフランジ板42が溶接されている。なお、第2の柱部材40の下端にも同様にフランジ板42が溶接されている。
【0041】
なお、図2では省略するが、床大梁22の内部には、鋼板で形成された枠形のブラケットが挿入されており、ブラケットの上面は床大梁22の上側部分、ブラケットの下面は床大梁22の下側板部分に密着して床大梁を補強している。
【0042】
フランジ板42、床大梁22の上側板部分、及びブラケットの上部は、図示しないボルトで互いに連結されており、床大梁22の下側板部分、及びブラケットの下部は、基礎44に固定されたアンカーボルトで固定されている。
【0043】
第1の柱部材38の上端付近の側面には、第1のダンパ取付部材46が固定されており、天井大梁16の下面には、第2の延材36が固定されている。
【0044】
なお、天井大梁16と、第1の柱部材38との間には、間隙が設けられているものとする。
【0045】
第1のダンパ取付部材46と第2の延材36との間にはダンパ34が水平に配置されており、ダンパ34は、一端がピン46Aを介して第1のダンパ取付部材46に連結され、他端が第2の延材36に連結されている。
【0046】
ダンパ34は、第1のダンパ取付部材46と第2の延材36との相対変位(床大梁22の軸方向、及び天井大梁16の軸方向の相対変位であって、図2の矢印A方向の相対変位。)時に減衰力を発生する。例えば、ダンパ34は、ダンパ34内部に設けたオリフィスをオイルが通過することによって振動を減衰させるもの(自動車のショックアブソーバー等のオイルダンパ)を適用するようにしてもよいし、地震による揺れを回転運動に変換し、ダンパ34の内部に設けた回転体の周囲の粘性体(例えば、シリコーンオイル)の抵抗によって振動を減衰させるものを適用するようにしてもよい。なお、ダンパ34は、図2の矢印A方向の相対変位時減衰力を発生するものであれば、オイルダンパや粘弾性ダンパ等の周知のダンパ(例えば、速度依存型のダンパ等のダンパ)を用いることができる。
【0047】
なお、制振装置30は、建物10の建築後に後付可能としてもよい。例えば、制振パネルとしてパネル内に制振部材などの制振装置を設けてパネル交換等によって後付可能とすることができる。
【0048】
また、本実施の形態では、ダンパ34は減衰力を調整可能とされている。詳細には、生活振動を減衰する生活振動減衰レベルの生活振動モードと、地震による振動を減衰する地震振動減衰レベルの地震モードとに切換可能とされている。生活振動減衰レベルと地震振動減衰レベルへの切換は、例えば、流量調整可能なオリフィス等を適用して、オリフィスの流量を調整するためのモータ等アクチュエータを駆動することによってダンパ34の減衰力を調整して減衰レベルの切換を行う。すなわち、生活振動減衰レベルの場合には、通常の生活で発生する微振動を減衰する減衰力のレベルに設定され、地震振動減衰レベルは、地震による震動を減衰する減衰力のレベルに設定されている。
【0049】
なお、生活振動減衰レベルは、微少レベルの振動に対して最適な減衰力を設定したものである。
【0050】
また、以下の説明では、減衰レベルの「切換」と、減衰力の「調整」とで異なる表現(「切換」または「調整」)を用いるが、減衰レベルの切換と減衰力の調整の何れの場合も具体的な変更方法は、上述したように、オリフィスなどの流量を調整するためのモータ等のアクチュエータを駆動することによって減衰力を変更するもので、減衰力を変更する点では同じ意味である。
(第1実施形態)
続いて、本発明の第1実施形態に係わる制振システム50の構成について説明する。図3は、本発明の第1実施形態に係わる制振システムの概略構成を示すブロック図である。
【0051】
本発明の第1実施形態に係わる制振システム50は、パーソナルコンピュータ(PC)52を含んで構成されている。PC52は、CPU54、ROM56、RAM58、及び入出力ポート60を備えている。これらがアドレスバス、データバス、及び制御バス等の各種バスを介して互いに接続されている、入出力ポート60には、各種の入出力機器として、ディスプレイ62、マウス64、キーボード66、ハードディスク(HD)68、及び各種ディスク(例えば、CD−ROMやDVD等)72から情報の読み出しを行うディスクドライブ70が各々接続されている。
【0052】
入出力ポート60には、ダンパ34の減衰力を調整するための減衰力調整モータ80が接続されており、PC52が減衰力調整モータ80の駆動を制御することによってダンパ34の減衰力調整が可能とされている。
【0053】
さらに、入出力ポート60には、インターネット等のネットワーク82が接続されており、外部の機器と情報の授受が可能とされている。本実施形態では、ネットワーク82には、緊急地震速報を発信するサーバ84が接続されており、ネットワーク82を介してサーバ84から発信される緊急地震速報をPC52が受信するようになっている。サーバ84としては、例えば、気象庁や他の情報機関等に設けられたコンピュータを適用することができ、地震の発生を予測して、予測した地震に関する情報(例えば、地震発生予測地域や予測震度等)を緊急地震速報として発信するものを適用することができる。
【0054】
また、PC52のHDD68には、建物10の振動を減衰させるための制振プログラムがインストールされている。本実施形態における制振プログラムは、図4に示すように、通常時(常時)は生活振動減衰レベルの生活振動モードとして、緊急地震速報を受信したときに(地震発生時)、減衰力調整モータ80を制御して減衰レベルを生活振動減衰レベルから地震振動減衰レベルに切り換えて地震モードへ移行するように制震装置30の減衰力を制御する。そして、所定期間経過後(地震終了から所定期間経過)後に生活振動モードに戻すようになっている。
【0055】
なお、制振プログラムをPC52にインストールするには、幾つかの方法があるが、例えば、制振プログラムをセットアッププログラムと共にCD−ROMやDVD等に記憶しておき、ディスクドライブ72にディスクをセットし、CPU54に対してセットアッププログラムを実行することによりHDD68に制振プログラムをインストールするようにしてもよいし、公衆電話回線やネットワーク74を介してPC52と接続される他の情報処理機器と通信することで、HDD68に制振プログラムをインストールするようにしてもよい。
【0056】
次に、上述の制振プログラムを実行した場合の処理の流れについて説明する。図5は、本発明の第1実施形態に係わる制振装置30において制振プログラムを実行した場合の処理の流れを表すフローチャートである。なお、制振プログラムは、例えば、制振装置30を設置時に起動し、緊急地震速報を常時監視するものとして説明する。
【0057】
まずステップ100では、ネットワーク82を介して緊急地震速報を受信したか否か判定され、該判定が肯定されるまで待機してステップ102へ移行する。
【0058】
ステップ102では、生活振動モードから地震モードへ切換が行われてステップ104へ移行する。すなわち、減衰力調整モータ80の駆動が制御されて、ダンパ34の減衰力が生活振動減衰レベルから地震振動減衰レベルになるように減衰力が調整される。
【0059】
ステップ104では、所定期間経過したか否かが判定される。例えば、余震を含む地震が終了すると考えられる期間経過したか否かを判定し、該判定が肯定されるまで待機してステップ106へ移行する。なお、所定期間は、震度によって余震の発生などが異なるため、例えば、緊急地震速報に含まれる予測震度に応じて変更するようにしてもよい(例えば、震度1〜3までは1時間、震度4、5は半日、震度6以上は1ヶ月等)。
【0060】
ステップ106では、生活振動モードに切り換えられてステップ108へ移行する。すなわち、減衰力調整モータ80の駆動が制御されて、ダンパ34の減衰力が地震振動減衰レベルから生活振動減衰レベルになるように減衰力が調整される。
【0061】
ステップ108では、システムのオフ指示が行われたか否かが判定される。該判定は、電源オフの指示等が行われたか否かを判定し、該判定が否定された場合にはステップ100に戻って上述の処理が繰り返され、判定が肯定されたところで一連の制振プログラムを終了する。
【0062】
このように、本実施形態では、緊急地震速報を受信したときに、ダンパ34の減衰力を生活振動減衰レベルから地震振動減衰レベルになるようにダンパ34の減衰力を調整するので、地震による振動を制振するだけではなく、生活振動についても適切な減衰力で振動を抑制することができる。
【0063】
また、本実施形態では、パッシブ制振を利用しているため、アクティブ制振に比べて制御量の演算等が煩雑とならず、簡易な構成で適切な振動抑制を行うことができる。
【0064】
次に、第1実施形態の変形例について説明する。第1実施形態では、生活振動モードと地震モードに切り換える構成としたが、図6に示すように、地震が発生して地震モードに切り換える際に、地震規模に応じた減衰力にダンパ34を更に調整するようにしてもよい。例えば、図6では、地震モードにおいて、ハード、標準、ソフトの3段階に減衰力を調整可能とした例を示す。すなわち、緊急地震速報に予測振動としての震度情報が含まれるため、地震振動減衰レベルに調整する際に、震度情報に応じて減衰力を調整する。
【0065】
ここで、第1実施形態の変形例の制振システムで行われる処理について説明する。図7は、本発明の第1実施形態に係わる制振システム50の変形例において制振プログラムを実行した場合の処理の流れを示すフローチャートである。なお、第1実施形態と同一処理については同一符号を付して説明する。
【0066】
ステップ100では、ネットワーク82を介して緊急地震速報を受信したか否か判定され、該判定が肯定されるまで待機してステップ102へ移行する。
【0067】
ステップ102では、生活振動モードから地震モードへ切換が行われてステップ103へ移行する。すなわち、減衰力調整モータ80の駆動が制御されて、ダンパ34の減衰力が生活振動減衰レベルから地震振動減衰レベルになるように減衰力が調整される。
【0068】
ステップ103では、緊急地震速報に含まれる震度情報(予測震度)に応じた減衰力になるようにダンパ34の減衰力が調整されてステップ104へ移行する。すなわち、減衰力調整モータ80が制御されて、震度毎に予め定めた減衰力に調整され、震度に応じた制振が可能となる。
【0069】
ステップ104では、所定期間経過したか否かが判定される。例えば、余震を含む地震が終了すると考えられる期間経過したか否かを判定し、該判定が肯定されるまで待機してステップ106へ移行する。なお、所定期間は、震度によって余震の発生などが異なるため、例えば、緊急地震速報に含まれる予測震度に応じて変更するようにしてもよい(例えば、震度1〜3までは1時間、震度4、5は半日、震度6以上は1ヶ月等)。
【0070】
ステップ106では、生活振動モードに切り換えられてステップ108へ移行する。すなわち、減衰力調整モータ80の駆動が制御されて、ダンパ34の減衰力が地震振動減衰レベルから生活振動減衰レベルになるように減衰力が調整される。
【0071】
ステップ108では、システムのオフ指示が行われたか否かが判定される。該判定は、電源オフの指示等が行われたか否かを判定し、該判定が否定された場合にはステップ100に戻って上述の処理が繰り返され、判定が肯定されたところで一連の制振プログラムを終了する。
【0072】
このように、第1実施形態の変形例では、震度規模に応じて減衰力を調整するようにしたので、第1実施形態よりも適切な減衰力で振動を抑制することが可能となる。
(第2実施形態)
続いて、本発明の第2実施形態に係わる制震システムの構成について説明する。図8は、本発明の第2実施形態に係わる制振システム51の構成を示すブロック図である。なお、第1実施形態と同一構成については同一符号を付して詳細な説明を省略する。
【0073】
第1実施形態では、生活振動モードと地震モードに切換可能としたパッシブ制振方式の制振システムを例に挙げて説明したが、第2実施形態では、地震モードへ移行した時に、地震の振動量に応じて減衰力を調整するセミアクティブ方式を適用する例を説明する。
【0074】
第2実施形態では、地震の振動量に応じてダンパ34の減衰力を調整するために、第1実施形態の構成に対して、振動量検出センサ86を更に備えている以外は、基本的には、第11実施形態と同一構成とされている。すなわち、図8に示すように、第2実施形態に係わる制振システム51では、入出力ポート60に振動量検出センサ86が第1実施形態に対して更に接続された構成とされており、振動量検出センサ86による検出結果がPC52に入力されるようになっている。
【0075】
振動量検出センサ86としては、建物10の振動量を検出するが、ダンパ34のストロークを検出するものであってもよい。また、加速度センサを代用するようにしてもよい。
【0076】
また、PC52のHDD68には、上記実施形態と同様に、建物10の振動を減衰させるための制振プログラムがインストールされているが、本実施形態では、図9に示すように、通常時(常時)は生活振動減衰レベルの生活振動モードとして、緊急地震速報を受信したときや振動量検出センサ86によって所定値以上の振動を検出したときに、減衰力調整モータ80を制御して減衰レベルを生活振動減衰レベルから地震振動減衰レベルに切り換えて地震モードへ移行させるが、地震振動減衰レベルへ移行する際には、振動量に応じて減衰力を変化させるセミアクティブ制御が行われる。そして、上記実施形態と同様に、所定期間経過後(地震終了から所定期間経過)後に生活振動モードに戻すようになっている。
【0077】
ここで、第2実施形態に係わる制振システム51において制振プログラムを実行した場合の処理について説明する。図10は、本発明の第2実施形態に係わる制振システム51において制振プログラムを実行した場合の処理の流れを表すフローチャートである。なお、制振プログラムは、上記実施形態と同様に、制振装置30を設置時に起動し、緊急地震速報を常時監視するものとして説明する。
【0078】
まずステップ200では、地震の発生か否かが判定される。該判定は、振動量検出センサ86によって所定値以上の振動量が検出されたか否かを判定し、該判定が肯定されるまで待機してステップ202へ移行する。なお、地震の発生か否かの判定は、第1実施形態のように、緊急地震速報を受信したか否かを判定してもよい。
【0079】
ステップ202では、生活振動モードから地震モードへ切換が行われてステップ204へ移行する。すなわち、減衰力調整モータ80の駆動が制御されて、ダンパ34の減衰力が生活振動減衰レベルから地震振動減衰レベルになるように減衰力が調整される。
【0080】
ステップ204では、振動量検出センサ86によって検出された振動量が取得されてステップ206へ移行する。
【0081】
ステップ206では、振動量に応じて減衰力調整が行われてステップ208へ移行する。すなわち、振動量に応じて予め定めた減衰力になるように減衰力調整モータ80の駆動が制御されて、ダンパ34の減衰力が調整され、振動に応じた制振が可能となる。
【0082】
ステップ208では、地震が終了したか否かが判定される。該判定は、振動量検出センサ86によって検出された振動量が予め定めた値以下になって数分以上経過したか否かを判定し、該判定が否定された場合にはステップ204に戻って上述の処理が繰り返され、判定が肯定された場合にはステップ210へ移行する。なお、地震が終了したか否かの判定は、震度計を更に備えて、気象庁震度階において震度ゼロの無感の数値を適用して、0.8[gal]以下になったか否かを判定するようにしてもよい。
【0083】
ステップ210では、所定期間経過したか否かが判定される。例えば、余震を含む地震が終了すると考えられる期間経過したか否かを判定し、該判定が肯定されるまで待機してステップ212へ移行する。なお、所定期間は、震度によって余震の発生などが異なるため、例えば、緊急地震速報に含まれる予測震度に応じて変更するようにしてもよい(例えば、震度1〜3までは1時間、震度4、5は半日、震度6以上は1ヶ月等)。
【0084】
ステップ212では、生活振動モードに切り換えられてステップ214へ移行する。すなわち、減衰力調整モータ80の駆動が制御されて、ダンパ34の減衰力が地震振動減衰レベルから生活振動減衰レベルになるように減衰力が調整される。
【0085】
ステップ214では、システムのオフ指示が行われたか否かが判定される。該判定は、電源オフの指示等が行われたか否かを判定し、該判定が否定された場合にはステップ200に戻って上述の処理が繰り返され、判定が肯定されたところで一連の制振プログラムを終了する。
【0086】
このように、本実施形態では、地震の発生を検出したときに、ダンパ34の減衰力を生活振動減衰レベルから地震振動減衰レベルになるようにダンパ34の減衰力を調整するので、地震による振動を西進するだけではなく、生活振動についても適切な減衰力で振動を抑制することができる。
【0087】
また、本実施形態では、セミアクティブ制振を利用しているため、アクティブ制振に比べて制御量の演算等が煩雑とならず、簡易な構成で適切な振動抑制を行うことができる。
【0088】
さらには、地震の震動に応じて減衰力調整を行うようにしているため、第1実施形態よりもさらに適切な減衰力で振動を抑制することが可能となる。
【0089】
続いて、第2実施形態の変形例について説明する。第2実施形態では、地震モードへ移行した時に、地震の振動量に応じて減衰力を調整するセミアクティブ方式を適用して減衰力を調整するようにしたが、変形例では、振動量に応じて減衰力を調整する際に、建物10に設けられた全ての制震装置30のダンパ34の減衰力を同じ減衰力に調整するのではなく、それぞれの振動量に応じて建物10のねじれ応答を抑制するように減衰力を制御するようにしたものである。
【0090】
すなわち、変形例の振動量検出センサ86は、建物10に設けられた複数の制振装置30のダンパ34毎のストローク量を検出し、各ダンパ34のストローク量を振動量としてPC52に入力するものとして説明する。
【0091】
ここで、第2実施形態の変形例の制振システム51で行われる処理について説明する。図11は、本発明の第2実施形態に係わる制振システム51の変形例において制振プログラムを実行した場合の処理の流れを示すフローチャートである。なお、第2実施形態と同一処理についは同一符号を付して説明する。
【0092】
まずステップ200では、地震の発生か否かが判定される。該判定は、振動量検出センサ86によって所定値以上の振動量が検出されたか否かを判定し、該判定が肯定されるまで待機してステップ202へ移行する。なお、地震の発生か否かの判定は、第1実施形態のように、緊急地震速報を受信したか否かを判定してもよい。
【0093】
ステップ202では、生活振動モードから地震モードへ切換が行われてステップ204へ移行する。すなわち、減衰力調整モータ80の駆動が制御されて、ダンパ34の減衰力が生活振動減衰レベルから地震振動減衰レベルになるように減衰力が調整される。
【0094】
ステップ204では、振動量検出センサ86によって検出された振動量が取得されてステップ205へ移行する。
【0095】
ステップ205では、ねじれ応答を抑制するように減衰力が算出されてステップ207へ移行する。すなわち、建物10の各通りに設けられた制振装置30のダンパ34のストローク量(振動量)に基づいて、建物10のねじれ応答を抑制するように、各ダンパ34の減衰力が算出される。例えば、ダンパ34の減衰力調整が3段階調整(ハード、標準、ソフト)可能な場合には、各ダンパ34の振動量を3つに分けて、振動量が大きいダンパ34については減衰力をハードとし、振動量が中間のダンパ34については減衰力を標準とし、振動量が小さいダンパ34については減衰力をソフトとして、各ダンパ34で連携してねじれ応答を抑制するように減衰力を算出する。
【0096】
ステップ207では、算出減衰力に各ダンパ34が調整されてステップ208へ移行する。すなわち、決定された減衰力になるように各ダンパ34の減衰力調整モータ80の駆動が制御されて、各ダンパ34の減衰力が調整される。これによって、振動に応じた制振が可能となると共に、各ダンパ34の連携によりねじれ応答も抑制することができる。
【0097】
ステップ208では、地震が終了したか否かが判定される。該判定は、振動量検出センサ86によって検出された振動量が予め定めた値以下になって数分以上経過したか否かを判定し、該判定が否定された場合にはステップ204に戻って上述の処理が繰り返され、判定が肯定された場合にはステップ210へ移行する。なお、地震が終了したか否かの判定は、震度計を更に備えて、気象庁震度階において震度ゼロの無感の数値を適用して、0.8[gal]以下になったか否かを判定するようにしてもよい。
【0098】
ステップ210では、所定期間経過したか否かが判定される。例えば、余震を含む地震が終了すると考えられる期間経過したか否かを判定し、該判定が肯定されるまで待機してステップ212へ移行する。なお、所定期間は、震度によって余震の発生などが異なるため、例えば、緊急地震速報に含まれる予測震度に応じて変更するようにしてもよい(例えば、震度1〜3までは1時間、震度4、5は半日、震度6以上は1ヶ月等)。
【0099】
ステップ212では、生活振動モードに切り換えられてステップ214へ移行する。すなわち、減衰力調整モータ80の駆動が制御されて、ダンパ34の減衰力が地震振動減衰レベルから生活振動減衰レベルになるように減衰力が調整される。
【0100】
ステップ214では、システムのオフ指示が行われたか否かが判定される。該判定は、電源オフの指示等が行われたか否かを判定し、該判定が否定された場合にはステップ200に戻って上述の処理が繰り返され、判定が肯定されたところで一連の制振プログラムを終了する。
【0101】
このように、第2実施形態の変形例では、地震のときに、建物10の全ての制振装置30を同じ減衰力に調整するのではなく、各ダンパ34のストローク量に応じてねじれ応答を抑制するように減衰力を調整するようにしたので、地震の際の建物10のねじれ応答を抑制することができる。
【0102】
なお、第1実施形態及びその変形例では、緊急地震速報を受信して生活振動モードから地震モードへ切り換えるようにダンパ34の減衰力を調整するようにしたが、第2実施形態のように振動量検出センサ86等を備えて、緊急地震速報の代わりに振動の検出をトリガとして減衰力を調整するようにしてもよい。また、第1実施形態に振動量検出センサ86を備える場合には、第2実施形態のように、地震の終了を振動量の検出結果に基づいて判定して地震の終了を判定した場合に、所定期間経過後に生活振動モードに戻すようにしてもよい。
【0103】
また、第2実施形態では、地震モードへ移行したときに、振動量に応じてダンパ34の減衰力を調整するようにしたが、振動量ではなく、ダンパ34の変位速度を検出可能として、変位速度に応じて各ダンパ34の減衰力を調整するようにしてもよい。
【0104】
また、上記の実施の形態において、建物10のリフォームにより構造性能値に変動が合った場合に、減衰力の初期値(例えば、標準等)を設定変更可能とするようにしてもよい。例えば、増築等によって建物全体の重量、剛性、耐力が増えて、固有周期が大きくなった場合(重量に比べて剛性や耐力の増え方が少ない)、減衰力設定を大きくしたり、固有周期が小さくなった場合(重量に比べて剛性や耐力の増え方が大きい)、減衰力設定を小さくしたりすることができる。
【0105】
また、上記の実施の形態において、緊急地震速報に応じてダンパ34の減衰力を切り換える場合には、震源からの距離に応じて減衰力を決定する決定手段を備えるようにしてもよい。また、他のモードからセミアクティブ制御に切り換えて、定常化させるまでの時間を異なるようにするモードを設けるようにしてもよい。例えば、震源からの距離が遠い場合には、近い場合に比べて、定常化させるまでの時間を長く設定することもできる。また、モード切換時に少なくとも1つのダンパ34において、減衰力大から減衰力小に移行する際に、震源からの距離が遠い場合には近い場合に比べて、当該移行の時間を長く設定するように減衰力(の変動制御)を決定する手段を設けてもよい。
【0106】
さらに、現状のモードから移行後のモード(例えば、生活振動モードから地震モード)に変わる場合等において、同様にダンパ34の減衰力を切り換える際に、震源からの距離が遠い場合には大→中→小の順に切り換え、震源から近い場合には大→小の順に切り換えて、距離に応じて段階的に変化させながら目的のモードに対応する減衰力になるように制御してもよい。この場合には、距離の遠近の判定を行う判定手段を設けてもよい。
【符号の説明】
【0107】
10 建物
30 制振装置
34 ダンパ
50、51 制振システム
52 パーソナルコンピュータ
80 減衰力調整モータ
82 ネットワーク
84 サーバ
86 振動量検出センサ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生活振動を減衰する減衰力、及び地震の震度に応じて予め定めた減衰力に調整可能とされ、制振ユニット住宅の振動を減衰して制振する制振装置と、
前記減衰力の調整を行う調整手段と、
予測震度を含む緊急地震速報を受信する受信手段と、
前記受信手段によって前記緊急地震速報を受信した場合に、前記生活振動を減衰する減衰力から前記予測震度に基づく震度に応じた減衰力になるように前記調整手段を制御する制御手段と、
を備えた制振システム。
【請求項2】
地震の終了を検出する検出手段を更に備え、前記制御手段が、前記検出手段によって地震によって地震の終了を検出してから所定期間後に、前記生活振動を減衰する減衰力に戻すように、前記調整手段を更に制御する請求項1に記載の制振システム。
【請求項3】
生活振動を減衰する生活振動減衰レベルと地震による振動を減衰する地震振動減衰レベルとに減衰レベルが切換可能とされ、制振ユニット住宅の振動を減衰して制振する制震装置と、
前記制震装置の前記減衰レベルを切り換える切換手段と、
地震の発生及び地震の終了を検出する検出手段と、
前記検出手段によって地震の発生が検出された場合に、前記生活振動減衰レベルから前記地震振動減衰レベルになるように前記切換手段を制御し、前記検出手段によって地震の終了が検出されてから所定期間後に、前記生活振動減衰レベルに戻すように、前記切換手段を制御する制御手段と、
を備えた制振システム。
【請求項4】
生活振動を減衰する減衰力、及び地震による振動に応じて予め定めた減衰力に調整可能とされ、制振ユニット住宅の振動を減衰して制振する制震装置と、
前記減衰力の調整を行う調整手段と、
地震による振動を検出する検出手段と、
前記検出手段によって地震による振動が検出された場合に、前記生活振動を減衰する減衰力から前記検出手段によって検出された地震による振動に応じた減衰力になるように前記調整手段を制御する制御手段と、
を備えた制振システム。
【請求項5】
緊急地震速報を受信する受信手段を更に備え、前記制御手段が、前記受信手段によって前記緊急地震速報を受信した場合、または前記検出手段によって地震による振動が検出された場合に、前記調整手段を制御する請求項4に記載の制振システム。
【請求項6】
前記検出手段が地震の終了を更に検出し、前記制御手段が、前記検出手段によって地震の終了を検出してから所定期間後に、前記生活振動を減衰する減衰力に戻すように、前記調整手段を更に制御する請求項4又は請求項5に記載の制振システム。
【請求項7】
前記制震装置を複数有すると共に、各々の前記制震装置の変位量を検出する変位量検出手段を更に備え、前記制御手段が、前記検出手段によって検出された地震による振動に応じて予め定めた減衰力になるように前記調整手段を制御する際に、前記変位量検出手段によって検出された各々の前記制震装置の変位量に応じてねじれ応答を抑制する減衰力となるように、前記調整手段を制御する請求項4〜6の何れか1項に記載の制振システム。
【請求項1】
生活振動を減衰する減衰力、及び地震の震度に応じて予め定めた減衰力に調整可能とされ、制振ユニット住宅の振動を減衰して制振する制振装置と、
前記減衰力の調整を行う調整手段と、
予測震度を含む緊急地震速報を受信する受信手段と、
前記受信手段によって前記緊急地震速報を受信した場合に、前記生活振動を減衰する減衰力から前記予測震度に基づく震度に応じた減衰力になるように前記調整手段を制御する制御手段と、
を備えた制振システム。
【請求項2】
地震の終了を検出する検出手段を更に備え、前記制御手段が、前記検出手段によって地震によって地震の終了を検出してから所定期間後に、前記生活振動を減衰する減衰力に戻すように、前記調整手段を更に制御する請求項1に記載の制振システム。
【請求項3】
生活振動を減衰する生活振動減衰レベルと地震による振動を減衰する地震振動減衰レベルとに減衰レベルが切換可能とされ、制振ユニット住宅の振動を減衰して制振する制震装置と、
前記制震装置の前記減衰レベルを切り換える切換手段と、
地震の発生及び地震の終了を検出する検出手段と、
前記検出手段によって地震の発生が検出された場合に、前記生活振動減衰レベルから前記地震振動減衰レベルになるように前記切換手段を制御し、前記検出手段によって地震の終了が検出されてから所定期間後に、前記生活振動減衰レベルに戻すように、前記切換手段を制御する制御手段と、
を備えた制振システム。
【請求項4】
生活振動を減衰する減衰力、及び地震による振動に応じて予め定めた減衰力に調整可能とされ、制振ユニット住宅の振動を減衰して制振する制震装置と、
前記減衰力の調整を行う調整手段と、
地震による振動を検出する検出手段と、
前記検出手段によって地震による振動が検出された場合に、前記生活振動を減衰する減衰力から前記検出手段によって検出された地震による振動に応じた減衰力になるように前記調整手段を制御する制御手段と、
を備えた制振システム。
【請求項5】
緊急地震速報を受信する受信手段を更に備え、前記制御手段が、前記受信手段によって前記緊急地震速報を受信した場合、または前記検出手段によって地震による振動が検出された場合に、前記調整手段を制御する請求項4に記載の制振システム。
【請求項6】
前記検出手段が地震の終了を更に検出し、前記制御手段が、前記検出手段によって地震の終了を検出してから所定期間後に、前記生活振動を減衰する減衰力に戻すように、前記調整手段を更に制御する請求項4又は請求項5に記載の制振システム。
【請求項7】
前記制震装置を複数有すると共に、各々の前記制震装置の変位量を検出する変位量検出手段を更に備え、前記制御手段が、前記検出手段によって検出された地震による振動に応じて予め定めた減衰力になるように前記調整手段を制御する際に、前記変位量検出手段によって検出された各々の前記制震装置の変位量に応じてねじれ応答を抑制する減衰力となるように、前記調整手段を制御する請求項4〜6の何れか1項に記載の制振システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−219577(P2012−219577A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−89180(P2011−89180)
【出願日】平成23年4月13日(2011.4.13)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年4月13日(2011.4.13)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】
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