説明

刷版供給装置

【課題】画像記録装置に刷版を供給する刷版供給装置において、刷版供給中にカセットへの刷版の装填を行う。
【解決手段】刷版供給装置11は、刷版9を収納するカセット8、カセット収納部2、カセット収納部2の上方に位置する装填カセット保持部3、カセット収納部2に隣接するカセット昇降機構4、並びに、カセット昇降機構4の上方に位置する供給カセット保持部5および刷版供給機構6を備える。刷版供給装置11では、供給カセット保持部5がカセット収納部2と装填カセット保持部3との間の搬送経路上に存在しない。これにより、供給カセット保持部5から画像記録装置へ刷版9が供給される間であっても、他のカセット8を装填カセット保持部3へと搬送して刷版9を装填したり、装填カセット保持部3のカセット8をカセット収納部2に収納することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像記録装置に刷版を供給する刷版供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、画像記録装置には、刷版を画像記録装置に供給する刷版供給装置が隣接して設けられる場合がある。特許文献1に開示される印刷版枚葉供給装置は、複数枚の印刷版が積層された複数のカセットを収納するカセットストック部、および、カセットストック部に隣接して配置されるカセット移動機構を備える。カセットストック部では、カセットが複数段に積み重ねられており、カセット移動機構では、昇降台が上下方向に移動する。
【0003】
印刷版自動露光装置に印刷版を搬送する際には、昇降台が搬送予定のカセットに対応する位置に移動し、カセットが昇降台に載置される。昇降台は、カセット移動機構の上方に設けられた枚葉搬送機構に向かって所定位置まで上昇し、枚葉搬送機構によりカセット内の印刷版が1枚ずつ取り出されて印刷版自動露光装置に搬送される。また、空のカセットに印刷版を装填する際には、カセットストック部から空のカセットが昇降台に載置され、カセットストック部の上方に設けられた装填スペースに移動される。
【0004】
特許文献1の第2の実施の形態に係る印刷版枚葉供給装置では、カセットへの印刷版の装填中に、他のカセットから印刷版を印刷版自動露光装置に搬送することが可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3897256号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献1では、カセットの印刷版が枚葉搬送機構により取り出される間、昇降台は当該カセットを保持している。そのため、装填スペースにカセットを移動する前に昇降台上のカセットをカセットストック部に戻す必要があり、効率よく動作することができない。
【0007】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、画像記録装置にカセット内の刷版が供給される間においても、刷版装填位置にて他のカセットに刷版を装填したり、当該他のカセットを刷版装填位置からカセット収納部に収納することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の発明は、画像記録装置に刷版を供給する刷版供給装置であって、刷版を収納する複数のカセットと、前記複数のカセットを上下に配列して収納するカセット収納部と、前記カセット収納部に隣接して配置され、前記カセット収納部との間でカセットの受け渡しが行われるとともに前記カセットを昇降するカセット昇降機構と、前記カセット昇降機構との間でカセットの受け渡しが行われて前記カセットを保持する供給カセット保持部と、前記供給カセット保持部に保持されたカセットから、前記画像記録装置に刷版を供給する刷版供給機構とを備え、前記供給カセット保持部にカセットが保持された状態において、前記カセット昇降機構とカセットに刷版が装填される刷版装填位置との間のカセットの受け渡し、および、前記カセット昇降機構と前記カセット収納部との間のカセットの受け渡しが可能である。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の刷版供給装置であって、前記供給カセット保持部が、前記カセット収納部の上方に位置する。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の刷版供給装置であって、前記刷版装填位置が、前記カセット昇降機構の昇降経路上に位置する、または、前記カセット昇降機構の上方に位置する。
【0011】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の刷版供給装置であって、前記刷版装填位置に、カセットを保持する装填カセット保持部をさらに備え、前記カセット昇降機構がカセットを前記装填カセット保持部に渡した後に、前記カセットから離間する。
【0012】
請求項5に記載の発明は、請求項3または4に記載の刷版供給装置であって、前記刷版装填位置が前記供給カセット保持部の位置よりも高く、前記刷版装填位置にてカセットが配置された状態において、前記カセット昇降機構と前記供給カセット保持部との間のカセットの受け渡し、および、前記カセット昇降機構と前記カセット収納部との間のカセットの受け渡しが可能である。
【0013】
請求項6に記載の発明は、請求項1に記載の刷版供給装置であって、前記刷版装填位置が、前記カセット収納部の上方に位置し、前記供給カセット保持部が、前記カセット昇降機構の上方に配置され、前記供給カセット保持部の位置が前記刷版装填位置よりも高い。
【0014】
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の刷版供給装置であって、前記刷版装填位置にカセットが配置された状態において、前記カセット昇降機構と前記供給カセット保持部との間のカセットの受け渡し、および、前記カセット昇降機構と前記カセット収納部との間のカセットの受け渡しが可能である。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、画像記録装置にカセット内の刷版が供給される間においても、刷版装填位置にて他のカセットに刷版を装填したり、当該他のカセットを刷版装填位置からカセット収納部に収納することができる。請求項2の発明では、刷版装填位置を自由に設定することができ、請求項3および6の発明では、刷版供給装置の占有面積を小さく抑えることができる。
【0016】
請求項4の発明では、カセットに刷版を装填する際に、カセット昇降機構に強い力が加わることを防止することができる。請求項5および7の発明では、刷版をカセットに装填中に供給カセット保持部のカセットを交換することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】第1の実施の形態に係る画像記録システムを示す平面図である。
【図2】刷版供給装置の左側面図である。
【図3】刷版供給装置の正面図である。
【図4】第2の実施の形態に係る刷版供給装置の正面図である。
【図5】他の例に係る刷版供給装置の正面図である。
【図6】さらに他の例に係る刷版供給装置の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る刷版供給装置を有する画像記録システム10を示す平面図である。画像記録システム10は、PS版(presensitized plate)等の刷版上に画像を記録する画像記録装置12、画像記録装置12に刷版を供給する刷版供給装置11、および、刷版上に記録された画像を処理液により現像する現像装置13を備える。
【0019】
図2は刷版供給装置11の左側面図であり、画像記録装置12および現像装置13も示している。図3は、刷版供給装置11の正面図であり、図2および図3では、刷版供給装置11の外装カバー22を二点鎖線にて示している。刷版供給装置11は、複数の刷版9を収納する複数のカセット8、カセット収納ユニット111(図3参照)、および、刷版9を画像記録装置12に供給する刷版供給ユニット112を備える。カセット8はトレイ状であり、カセット8毎に同一サイズまたは必要により異なるサイズの刷版9がそれぞれ複数枚ずつ収納される。図3に示すように、カセット収納ユニット111は、複数のカセット8を収納するカセット収納部2、および、カセット収納部2の上方に位置し、刷版9が装填されるカセット8を保持する装填カセット保持部3を備える。
【0020】
カセット収納部2は、複数のスライド機構21を備え、スライド機構21は図3における左右方向に伸びる支持レール211およびスライド駆動部(図示省略)を備える。カセット収納部2内では、複数のカセット8が、複数の支持レール211上に支持されることにより上下方向に配列され、スライド駆動部により支持レール211に沿って図3の左方向に移動可能となっている。カセット収納部2では、例えば、一番上の段のカセット8の高さ(すなわち、カセット8と床面との間の距離)は685mmであり、一番下の段のカセット8の高さは265mmである。
【0021】
装填カセット保持部3は、スライド機構21と同様の構造のスライド機構31を有し、支持レール311によりカセット8が支持される。装填カセット保持部3からカセット収納部2の底部までの高さはおよそ800mmである。
【0022】
図2および図3に示すように、刷版供給ユニット112は、カセット収納部2に対して水平方向に隣接して配置されたカセット昇降機構4、カセット昇降機構4の上方に位置する供給カセット保持部5、および、供給カセット保持部5の上方に位置する刷版供給機構6を備える。供給カセット保持部5の位置は、装填カセット保持部3(図3参照)の位置、すなわち、刷版装填位置よりも上下方向において高い。刷版供給機構6は、下方に向かって伸びる2つのアーム61を有し、アーム61はエア吸着により刷版9を吸着保持する。
【0023】
カセット昇降機構4は、カセット8が載置されるカセット載置台41、上下に伸びる複数のボールネジ42、および、カセット載置台41を上下方向に案内する複数のガイド部43(図3参照)を備える。カセット昇降機構4では、ボールネジ42に取りつけられたナット421を上下方向に移動することにより、ナット421上のカセット載置台41がガイド部43に沿って昇降する。
【0024】
刷版供給装置11が画像記録装置12に刷版9を供給する際には、まず、図3に示すカセット載置台41が、所望のサイズの刷版9が収容されたカセット8と(ほぼ)同じ高さに位置する。次に、カセット8がスライド機構21によりカセット載置台41に向かって水平に押し出され、カセット載置台41に載置される。カセット8を保持したカセット載置台41は上昇し、供給カセット保持部5との間にてカセット8の受け渡しが行われる。カセット8の受け渡し後、カセット載置台41は供給カセット保持部5から離間する。
【0025】
供給カセット保持部5では、カセット8内の刷版9が刷版供給機構6のアーム61により吸着保持され、図2に細線にて示すように、アーム61が画像記録装置12に向かって移動するとともに回転する。刷版9は、表裏が反転されつつ画像記録装置12内の図示省略の搬送ローラに挟み込まれて記録部121へと搬送され、記録部121にて刷版9に光が照射されることにより画像が記録される。
【0026】
刷版9の供給と画像の記録が必要な回数だけ行われると、カセット載置台41が上方に移動し、供給カセット保持部5との間にてカセット8の受け渡しが行われる。カセット8を保持したカセット載置台41は、カセット8が収納されていた位置まで下降し、カセット8が、図3に示す支持レール211に沿ってカセット収納部2に戻される。
【0027】
続いて、他のサイズの刷版9が画像記録装置12(図2参照)へ供給される場合、カセット載置台41は当該他のサイズの刷版9が収納されたカセット8と同じ高さまで移動し、カセット収納部2とカセット載置台41との間にてカセット8の受け渡しが行われる。そして、上述の流れと同様に、カセット載置台41が上昇し、供給カセット保持部5との間にてカセット8の受け渡しが行われ、カセット8が供給カセット保持部5に保持されつつ刷版9が刷版供給機構6により画像記録装置12へと供給される。
【0028】
刷版供給装置11では、画像記録装置12への刷版9の供給に並行してカセット8に対して刷版9の装填(補充)が可能とされている。具体的には、供給カセット保持部5にカセット8が保持された後、カセット載置台41は装填対象となるカセット8が収納されている位置まで下降する。以下、本実施の形態において、刷版9の装填が行われるカセット8を「装填カセット8a」といい、供給カセット保持部5に保持されたカセット8を「供給カセット8b」という。
【0029】
カセット載置台41に装填カセット8aが載置されると、カセット載置台41は装填カセット保持部3と同じ高さまで上昇し、装填カセット8aがスライド機構31により引き込まれて支持レール311上に支持される。装填カセット保持部3では、作業者により装填カセット8aの上方から刷版9が装填される。装填カセット保持部3の高さはおよそ800mmであることから、作業者が姿勢を大きく変えることなく刷版9の装填作業が容易に行われる。なお、刷版9の装填は、ロボット等の搬送機構により行われてもよい(以下の他の実施の形態においても同様)。
【0030】
装填カセット8aに刷版9が十分に装填されると、装填カセット8aはスライド機構31により支持レール311に沿って押し出されてカセット載置台41上に載置される。カセット載置台41は装填カセット8aが収納されていた位置と同じ高さまで下降し、カセット載置台41からカセット収納部2へと装填カセット8aが戻される。他のカセット8にも刷版9の装填が必要な場合は、同様の動作が繰り返される。
【0031】
その後、供給カセット8bから画像記録装置12への刷版9の供給が終了すると、カセット載置台41は供給カセット保持部5まで上昇し、供給カセット保持部5との間にて供給カセット8bの受け渡しが行われる。カセット載置台41は下降し、供給カセット8bがカセット収納部2に戻される。
【0032】
以上に説明したように、刷版供給装置11では、供給カセット保持部5に供給カセット8bが保持された状態において、カセット昇降機構4と装填カセット保持部3との間の装填カセット8aの受け渡し、および、カセット昇降機構4とカセット収納部2との間の装填カセット8aの受け渡しが可能とされる。
【0033】
また、刷版供給装置11では、装填カセット8aへの刷版9の装填中において、画像記録装置12への刷版9の供給が終了した場合には、上記と同様の動作にて供給カセット8bがカセット昇降機構4を介してカセット収納部2内に戻されてもよい。さらに、カセット収納部2内のカセット8がカセット昇降機構4を介して供給カセット保持部5に渡されてもよい。このように、刷版供給装置11では、装填カセット保持部3にカセット8が配置された状態において、カセット昇降機構4と供給カセット保持部5との間、および、カセット昇降機構4とカセット収納部2との間にて他のカセット8の受け渡しが可能とされる。
【0034】
以上、第1の実施の形態について説明したが、刷版供給装置11では、カセット昇降機構4の上方に供給カセット保持部5が位置し、かつ、供給カセット保持部5の位置が装填カセット保持部3よりも高いため、供給カセット保持部5がカセット収納部2と装填カセット保持部3との間の搬送経路上に存在しない。このため、画像記録装置12への刷版9の供給中であっても、装填カセット8aに刷版9を装填したり、その後、装填カセット8aをカセット昇降機構4により移動させてカセット収納部2に収納することができる。その結果、刷版供給装置11を効率よく稼働させることができる。特に、同じサイズの刷版9を連続して画像記録装置12に供給する場合に、稼働効率を向上することができる。
【0035】
また、装填カセット保持部3もカセット収納部2と供給カセット保持部5との間の搬送経路上に存在しないため、刷版9の装填中であっても、供給カセット8bを交換することができる。
【0036】
カセット収納部の各段のカセットに直接刷版を装填する従来の刷版供給装置では、カセットをカセット収納部の側面から引き出すため、刷版供給装置と他の機器との間にスペースを設ける必要がある。また、従来の刷版供給装置では、最下段のカセットの位置が低いため、刷版の装填も困難となる。これに対し、刷版供給装置11では、装填カセット保持部3がカセット収納部2の上方に設けられ、刷版9の装填が容易に行われ、供給カセット保持部5がカセット昇降機構4の上方に設けられることから、刷版供給装置11の占有面積が小さく抑えられる。
【0037】
図4は、第2の実施の形態に係る刷版供給装置11aを示す図であり、図3に対応する。刷版供給装置11aは、複数のカセット8、カセット搬送ユニット113、および、刷版供給ユニット114を備える。刷版供給ユニット114では、刷版供給機構6の下方にカセット収納部2が設けられ、刷版供給機構6とカセット収納部2との間に、供給カセット保持部5aが設けられる。供給カセット保持部5aは水平方向に伸びる支持レール51および図示省略のスライド駆動部を備える。
【0038】
カセット搬送ユニット113では、カセット収納部2と水平方向に隣接する位置にカセット昇降機構4が設けられ、カセット昇降機構4の上方に、図3の装填カセット保持部3とは異なる構造の装填カセット保持部3aが設けられる。装填カセット保持部3aは刷版供給装置11aの外装カバー22内に位置し、供給カセット保持部5aの上下方向における位置よりも高い。他の構造は、図3の刷版供給装置11と同様であり、同様の構成には同符号を付している。
【0039】
刷版供給装置11aによる画像記録装置12(図1および図2参照)への刷版9の供給の流れは、第1の実施の形態とほぼ同様であり、まず、カセット載置台41が、所望のサイズの刷版9が収納されているカセット8と同じ高さまで移動し、スライド機構21により支持レール211に沿ってカセット8が押し出されてカセット載置台41に載置される。次に、カセット載置台41が上昇し、カセット載置台41が供給カセット保持部5aの支持レール51と同じ高さに位置する。カセット8はスライド駆動部により支持レール51に沿って引き込まれ、供給カセット保持部5aに保持される。
【0040】
供給カセット保持部5aでは、図2と同様に、刷版9が刷版供給機構6のアーム61により吸着保持されて記録部121へと搬送される。刷版9の供給および画像の記録が必要な回数だけ行われると、図4に示すカセット載置台41と供給カセット保持部5aとの間にてカセット8の受け渡しが行われ、カセット載置台41が下降してカセット8がカセット収納部2に戻される。他のサイズの刷版9が画像記録装置12へとさらに供給される場合、上述の流れと同様の動作が行われる。
【0041】
一方、画像記録装置12への刷版9の供給に並行してカセット8に刷版9の装填が行われる場合、供給カセット保持部5aにカセット8が保持された状態で、カセット載置台41は装填対象となるカセット8が収納されている位置まで下降し、カセット載置台41にカセット8が載置される。カセット載置台41は装填カセット保持部3aまで上昇し、カセット載置台41と装填カセット保持部3aとの間にてカセット8の受け渡しが行われる。カセット8の受け渡し後、カセット載置台41は装填カセット保持部3aから離間する。これにより、刷版9の装填時に、カセット昇降機構4、特に、ナット421に強い力が加わることが防止される。
【0042】
装填カセット保持部3aでは、作業者により外装カバー22の上部に設けられた扉が開けられてカセット8内に刷版9が装填される。カセット8に刷版9が十分に装填されて扉が閉じられると、カセット載置台41が装填カセット保持部3aに向かって上昇し、カセット8がカセット載置台41に渡される。カセット載置台41はカセット8が収納されていた位置と同じ高さまで下降し、カセット載置台41からカセット収納部2へとカセット8が戻される。以上に説明したように、刷版供給装置11aでは、供給カセット保持部5aにカセット8が保持された状態においても、カセット昇降機構4と装填カセット保持部3aとの間のカセット8の受け渡し、および、カセット昇降機構4とカセット収納部2との間のカセット8の受け渡しが可能とされる。
【0043】
刷版供給装置11aでは、刷版9の装填中に、供給カセット保持部5a上のカセット8から画像記録装置12(図2参照)への刷版9の供給が終了した場合、カセット8がカセット昇降機構4を介してカセット収納部2内に戻されてもよい。さらに、カセット収納部2内のカセット8がカセット昇降機構4を介して供給カセット保持部5aに渡されてもよい。このように、装填カセット保持部3aにカセット8が配置された状態において、カセット昇降機構4と供給カセット保持部5aとの間、および、カセット昇降機構4とカセット収納部2との間にて他のカセット8の受け渡しが可能とされる。
【0044】
第2の実施の形態においても、カセット昇降機構4の上方に装填カセット保持部3aが位置し、供給カセット保持部5aがカセット収納部2と装填カセット保持部3aとの間の搬送経路上に存在しない。このため、画像記録装置12への刷版9の供給中であっても、カセット8に刷版9を装填したり、装填カセット保持部3aのカセット8をカセット昇降機構4によりカセット収納部2に収納することができる。
【0045】
また、装填カセット保持部3aの位置が供給カセット保持部5aよりも高く、装填カセット保持部3aもカセット収納部2と供給カセット保持部5aとの間の搬送経路上に存在しないため、刷版9の装填中においても、供給カセット保持部5aのカセット8をカセット昇降機構4を用いて他のカセット8と交換することができる。さらに、装填カセット保持部3aがカセット昇降機構4の上方に設けられ、供給カセット保持部5aがカセット収納部2の上方に設けられることにより、刷版供給装置11aの占有面積が小さく抑えられる。
【0046】
図5は、第2の実施の形態の他の例に係る刷版供給装置11bを示す図である。刷版供給装置11bは、装填カセット保持部3bがカセット昇降機構4のカセット収納部2とは反対側に設けられる。装填カセット保持部3bは、スライド機構31およびスライド機構31が載置される載置台33を備え、床面からスライド機構31までの高さはおよそ800mmである。図5では、載置台33を二点鎖線にて示している。他の構造は図4の刷版供給装置11aと同様である。また、画像記録装置12への刷版9の供給動作も刷版供給装置11aと同様である。
【0047】
カセット8に刷版9の装填が行われる際には、カセット収納部2からカセット載置台41にカセット8が載置され、カセット載置台41はスライド機構31と同じ高さまで必要に応じて移動し、カセット8がスライド機構31により装填カセット保持部3bへと引き込まれる。カセット8には、作業者により刷版9が上方から装填される。装填カセット保持部3bの高さはおよそ800mmであることから、作業者が姿勢を大きく変えることなく刷版9の装填作業が容易に行われる。カセット8に刷版9が十分に装填されると、カセット8はスライド機構31によりカセット載置台41に押し出され、カセット昇降機構4を介してカセット収納部2へと戻される。
【0048】
刷版供給装置11bにおいても、画像記録装置12への刷版9の供給中に、カセット8に刷版9を装填したり、装填カセット保持部3bのカセット8をカセット収納部2に収納することができる。また、刷版供給装置11bでは、装填カセット保持部3bの高さを自由に設計することができる。
【0049】
図6は、さらに他の例に係る刷版供給装置11cを示す図である。刷版供給装置11cは、図4に示す刷版供給装置11aとほぼ同じであり、装填カセット保持部3aが、図4に示すものよりも下方に設けられる点で相違する。すなわち、刷版供給装置11cでは、装填カセット保持部3aがカセット昇降機構4の昇降経路上に位置する。他の構造は、図4の刷版供給装置11aと同様であり、画像記録装置12への刷版9の供給動作も刷版供給装置11aと同様である。ただし、カセット昇降機構4がカセット8をカセット収納部2から供給カセット保持部5aへと移動する間、装填カセット保持部3aは昇降経路上から退避している。
【0050】
カセット8に刷版9の装填が行われる際には、カセット載置台41に装填対象となるカセット8が載置され、カセット載置台41が装填カセット保持部3aと同じ高さまで移動する。カセット載置台41と装填カセット保持部3aとの間にてカセット8の受け渡しが行われると、装填カセット保持部3aでは、外装カバー22の正面に設けられた図示省略の扉が開けられ、カセット8に刷版9が装填される扉が閉じられる。その後、カセット8は、装填カセット保持部3aからカセット載置台41に渡され、カセット収納部2へと戻される。
【0051】
刷版供給装置11cにおいても、図4と同様に、刷版9の供給中に、カセット8に刷版9を装填したり、刷版装填後のカセット8をカセット収納部2に収納することができる。装填カセット保持部3aがカセット昇降機構4の昇降経路上に位置することにより、刷版供給装置11aの占有面積が小さく抑えられる。また、刷版供給装置11cでは、装填カセット保持部3aの高さを自由に設計することができる。
【0052】
なお、図4ないし図6に示す第2の実施の形態に係る刷版供給装置11a〜11cに示したように、刷版供給装置では、供給カセット保持部5aをカセット収納部2の上方に設けることにより、装置設計において装填カセット保持部3,3a,3bの位置、すなわち、刷版装填位置の自由度が向上される。
【0053】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、様々な変更が可能である。例えば、上記実施の形態では、カセット昇降機構4と供給カセット保持部5,5aとの間、および、カセット昇降機構4とカセット収納部2との間のカセット8の受け渡しは、他の搬送機構が介在することにより間接的に行われてもよい。カセット昇降機構4と装填カセット保持部3,3a,3bとの間のカセット8の受け渡しも間接的に行われてもよい。カセット8を受け渡しする機構として、カセット載置台41にカセット8を水平方向にスライドさせる機構が設けられてもよい。
【0054】
図4および図6に示す刷版供給装置11aでは、装填カセット保持部3aが、カセット載置台41を下方から支持した状態にて、刷版9が装填されてもよい。この場合、刷版装填時におけるナット421への衝撃を防止するために、ナット421がカセット載置台41から離間することが好ましい。ボールネジ機構が十分な剛性を有する場合は、装填カセット保持部3aが省かれ、カセット載置台41が装填カセット保持部3aを兼ねてもよい。
【0055】
カセット昇降機構4では、カセット載置台41の昇降が、ボールネジ42およびナット421を利用した機構以外の他の機構により行われてもよい。装填カセット保持部3,3a,3bでは、カセット8は強固に保持されるのではなく、単に載置されるのみであってもよい。
【符号の説明】
【0056】
2 カセット収納部
3,3a,3b 装填カセット保持部
4 カセット昇降機構
5,5a 供給カセット保持部
6 刷版供給機構
8 カセット
9 刷版
11,11a,11b 刷版供給装置
12 画像記録装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像記録装置に刷版を供給する刷版供給装置であって、
刷版を収納する複数のカセットと、
前記複数のカセットを上下に配列して収納するカセット収納部と、
前記カセット収納部に隣接して配置され、前記カセット収納部との間でカセットの受け渡しが行われるとともに前記カセットを昇降するカセット昇降機構と、
前記カセット昇降機構との間でカセットの受け渡しが行われて前記カセットを保持する供給カセット保持部と、
前記供給カセット保持部に保持されたカセットから、前記画像記録装置に刷版を供給する刷版供給機構と、
を備え、
前記供給カセット保持部にカセットが保持された状態において、前記カセット昇降機構とカセットに刷版が装填される刷版装填位置との間のカセットの受け渡し、および、前記カセット昇降機構と前記カセット収納部との間のカセットの受け渡しが可能であることを特徴とする刷版供給装置。
【請求項2】
請求項1に記載の刷版供給装置であって、
前記供給カセット保持部が、前記カセット収納部の上方に位置することを特徴とする刷版供給装置。
【請求項3】
請求項2に記載の刷版供給装置であって、
前記刷版装填位置が、前記カセット昇降機構の昇降経路上に位置する、または、前記カセット昇降機構の上方に位置することを特徴とする刷版供給装置。
【請求項4】
請求項3に記載の刷版供給装置であって、
前記刷版装填位置に、カセットを保持する装填カセット保持部をさらに備え、
前記カセット昇降機構がカセットを前記装填カセット保持部に渡した後に、前記カセットから離間することを特徴とする刷版供給装置。
【請求項5】
請求項3または4に記載の刷版供給装置であって、
前記刷版装填位置が前記供給カセット保持部の位置よりも高く、
前記刷版装填位置にてカセットが配置された状態において、前記カセット昇降機構と前記供給カセット保持部との間のカセットの受け渡し、および、前記カセット昇降機構と前記カセット収納部との間のカセットの受け渡しが可能であることを特徴とする刷版供給装置。
【請求項6】
請求項1に記載の刷版供給装置であって、
前記刷版装填位置が、前記カセット収納部の上方に位置し、
前記供給カセット保持部が、前記カセット昇降機構の上方に配置され、
前記供給カセット保持部の位置が前記刷版装填位置よりも高いことを特徴とする刷版供給装置。
【請求項7】
請求項6に記載の刷版供給装置であって、
前記刷版装填位置にカセットが配置された状態において、前記カセット昇降機構と前記供給カセット保持部との間のカセットの受け渡し、および、前記カセット昇降機構と前記カセット収納部との間のカセットの受け渡しが可能であることを特徴とする刷版供給装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−73803(P2011−73803A)
【公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−224354(P2009−224354)
【出願日】平成21年9月29日(2009.9.29)
【出願人】(000207551)大日本スクリーン製造株式会社 (2,640)
【Fターム(参考)】