説明

削岩装置、ドリルビット交換装置およびドリルビット交換方法

本発明は、削岩装置、ドリルビット交換装置、およびドリルビットを交換する方法に関する。送りビーム(5)の前部はリテーナ(14)と、これに連結されたドリルビット交換装置(15)とを有する。ドリルビット(14)を交換する際に、ドリルビット(12)とドリルロッド(11)の間の連結部が開かれると、送りビームに固定された標準的なリテーナが利用される。交換装置はまた、ドリルビットを格納するマガジン(16)と、ドリルビットをリテーナおよびマガジンの間で移送する移送装置(18)とを有する。


【発明の詳細な説明】
【発明の背景】
【0001】
本発明はドリルビット交換装置に関するものであり、これによって削岩機と連結された工具のドリルビットを交換することができる。ドリルビット交換装置はマガジンを有し、その中に交換されるドリルビットが格納される。交換装置はさらに転送装置を有し、これによってドリルビットはマガジンから穿孔中心部へ送られたり、送り戻されたりする。
【0002】
さらに本発明は、かかるドリルビット交換装置を装備した削岩装置およびドリルビットを交換する方法に関するものである。
【0003】
本発明の主題は本願の独立請求項の前段にてより詳細に説明される。
【0004】
削岩において、削岩機はそれに連結された工具とともに用いられるが、工具はその長手方向の軸を中心として回転され、さらに工具を介して穿孔される岩盤に対して衝撃パルスが送られ、岩盤が砕け、穿孔が形成される。工具は1つ以上のドリルビットと、その最も外側の端部に連結された交換可能なドリルビットとを有していてもよい。典型的には、ドリルビットの先端には穿孔される岩盤を貫通する複数のビットボタンが装備されている。ドリルビットは、これに対して穿孔中に非常に大きな負荷が掛かるので、摩耗し、時には損傷もする。したがって、ドリルビットを時々交換して、穿孔の質と効率を確保する必要がある。操作者によるドリルビットの手動交換は困難であり、遅く、さらに悪いことには危険でもある。したがってドリルビットの交換を機械化するためにドリルビット交換装置が開発されてきている。しかしながら、現在の方式はユーザーの要求を完全には満足させていない。
【0005】
米国特許第4065845号公報では、ドリルビットをマガジン内の空間に格納するドリルビット交換装置を開示しているが、マガジンはドリルビットの形状および寸法を限定している。加えて、この交換装置にはドリルビットをマガジンに対して押し付ける液圧式シリンダを有するそれ自身のリテーナが装備されている。これがマガジンに対して余分な負荷を引き起こす。
【発明の簡単な説明】
【0006】
本発明は、新規で改良された削岩装置とドリルビット交換装置とを得ることを目的とする。別の目的は、新規で改良されたドリルビット交換方法を提供することである。
【0007】
本発明の削岩装置は、ドリルビット交換装置が送りビームに固定されたリテーナへ配設されていること、およびドリルビットの連結ねじ部を回して開閉するときにドリルビットがリテーナによって保持されるよう配設されることを特徴とする。
【0008】
本発明の交換装置は、ドリルビットが送りビームに固定された標準的なリテーナに配設されることを特徴とする。
【0009】
本発明の方法は、送りビームへ固定され送りビームの長手方向に定位置を有するリテーナをドリルビットの保持に使用することと、リテーナに配設されマガジンおよび移送装置を有するドリルビット交換装置を用いてドリルビットを取り扱うことを特徴とする。
【0010】
本発明の概念は、ドリルビット交換装置にそれ自身のリテーナは装備せず、交換装置を削岩装置の基本リテーナへ配設し、これによってドリルビットを標準的なリテーナで保持することにある。基本リテーナは送りビームへ固定され、その位置は送りビームの長手方向に固定される。
【0011】
本発明は、ドリルビット交換装置はそれ自身の別個のリテーナを装備せず、標準的なリテーナを本発明において使用することができるという利点を提供する。したがって、交換装置の構造は簡易であり、さまざまなリテーナを装備した送りビームに、さらには既存の基本リテーナを装備した送りビームへさえも取り付けることができる。加えて、マガジンに対するリテーナの作動によって負荷が生じないことによりマガジンを構造上比較的軽くすることができる。
【0012】
一実施例の概念は、送りビームの長手方向のリテーナおよびマガジンの相対位置が削岩装置の作動中一定であることにある。さらに、移送装置はドリルビットをマガジンと穿孔中心部との間で送りビームの横断方向へ移送するよう配設されている。本実施例の利点は、交換装置の動きが単純であることにある。加えて、交換装置の移送運動が送りビームの横断方向である場合、交換装置を送りビームの先端が岩盤に接触しているとき、または送りビームの前の何らかの他の障害物に近接しているときにも使用することができることにある。
【0013】
一実施例の概念は、交換すべきドリルビットを、このドリルビットがリテーナで把持される前には、常に穿孔中心部の所定の軸方向位置に配置しておくことにある。このようにして、ドリルビットが把持される位置を選択することができる。
【0014】
一実施例の概念は、リテーナのジョーは交換すべきドリルビットの枠部の外面をドリルビットの前部の作動部分から所定の距離を置いたところで把持することにある。このようにして、リテーナがどのような状態においても確実にドリルビットの重要な先端部を傷つけないようにすることができる。加えて、フレーム部を把持することによってドリルビットは確実にジョーの間で真直ぐになり、これによってドリルロッドおよびドリルビットの連結を難なく行うことが可能となる。
【0015】
一実施例の概念は、削岩装置は少なくとも1つの機械式停止部材を有し、これに対してドリルビットが、ドリルビットがリテーナのジョーで把持される前に、押し付けられるよう配設していることにある。停止部材はリテーナのジョーの前の、ジョーから所定の軸方向の距離のところに備えることができる。
【0016】
一実施例の概念は、停止部材はスライド部品であることにある。停止部材は少なくとも1つのアクチュエータによって穿孔中心部の横断方向に動くよう配設される。スライドの利点はその軸方向の寸法を非常に小さくすることができることにある。加えて、スライドを頑丈に支持することができる。
【0017】
一実施例の概念は、ドリルビットにおける連結穴が移送および格納中に作用を受けることにある。その結果ドリルビットの外観および外寸がその取扱装置に影響を及ぼすことはない。
【0018】
一実施例の概念は、別個のドリルビットホルダが移送および格納中にそれぞれのドリルビットの内側に配設されることにある。ドリルビットホルダは一種の独立した移送格納用アダプタであり、交換が容易である。さらに、ドリルビットホルダはさまざまな寸法のドリルビットに合わせるよう調節可能にすることができる。
【0019】
一実施例の概念は、ドリルビットホルダはアームと、その第1の端部の一部に把持部とを有し、この把持部には移送装置の把持部材を連結することができ、さらに把持部からドリルビットホルダをマガジンへ容易に脱着可能に取り付けることができることにある。
【0020】
一実施例の概念は、ドリルビットホルダが少なくとも2つの支持部品を有し、これらは自身をドリルビットの連結用ねじ部で支持するよう配設されることにある。支持部品間の間隔はそれぞれの取り扱われるドリルビットの寸法に従って調節可能である。
【0021】
一実施例の概念は、外寸または形状が互いに異なる少なくとも2つの異なるドリルビットをドリルビット交換装置によって同時に格納し取り扱うことにある。その結果、広範でさまざまなドリルビットを、特殊な穿孔状況用でもマガジン内に格納することができる。
【0022】
一実施例の概念は、移送装置はドリルビットを線形運動のみを利用して移送するよう配設されることにある。
【0023】
一実施例の概念は、移送装置がドリルビットをマガジンから穿孔中心部へ横方向に移送したり、戻したりする少なくとも1つの第1の移送装置を有することにある。移送装置はドリルビットを穿孔中心部の軸方向に移送する少なくとも1つの第2の移送装置を有している。このとき、マガジンおよびリテーナは軸方向に見てさまざまな位置にあってもよい。
【0024】
一実施例の概念は、マガジンをリテーナと同軸上の位置に配設し、これによって、交換されるドリルビットをマガジンからリテーナへ移送装置のたった一回の横断方向の線形運動だけを用いて移送するよう配設することにある。このとき、ドリルビットはリテーナのジョー内の所望の位置に定着し、停止部材に対する穿孔中心部方向の動きをもって配置される必要がない。そうしないで、ドリルロッドから取り外すべきドリルビットはジョーによって把持される前に送り装置によって停止部材に対して配置され、ドリルビットは移送のために正しい軸方向位置に配置される。マガジンとリテーナ間における正確で単純な線形移送運動を計らうことは容易である。移送装置は第1の移送装置および第2の移送装置を有していてもよい。第1の移送装置は横断方向の移送運動用であり、第2の移送装置はピン状のドリルビットホルダを動かしてドリルビットへ出し入れするよう配設されてもよい。
【0025】
一実施例の概念は、マガジンを回転軸に対して回転可能な円盤状構造にしていることにある。マガジンはドリルビットホルダ用の複数の留め穴を有していてもよい。マガジンはさらに、1つの交換ステーションを有し、交換ステーションへ各固定用穴を向けるようにしてもよい。
【0026】
一実施例の概念は、リテーナはドリルビットの外面を両側から押圧するよう配設された少なくとも2つのジョーを有することにある。
【図面の簡単な説明】
【0027】
添付の図面を参照して、本発明のいくつかの実施例をさらに詳細に説明する。
【図1】リテーナと、これに連結したドリルビット交換装置とを装備した穿孔装置を有する削岩リグの概略的側面図である。
【図2a】ないし
【図2c】ドリルビットの概略的斜視図であり、さらに図2bはドリルビット内の穴の把持も示す。
【図3】リテーナおよびこれに接続されたマガジンを送りビームの先端部から見た概略図である。
【図4】ドリルビット交換装置および停止装置の構造を送りビームの先端から見た概略図である。
【図5】リテーナに加えてドリルビット交換装置の構造および作動を示す概略的上面図である。 これらの図において、本発明のいくつかの実施例は明瞭にするために簡略化して示される。図面において、同様の部分には同じ参照番号が付される。
【発明の詳細な説明】
【0028】
図1に示す削岩リグ1は、可動キャリア2を有し、可動キャリア2の上に1つ以上の穿孔ブーム3を備え、穿孔ブーム3はそれぞれの最外端部に穿孔装置4を有している。穿孔装置4は送りビーム5を備え、送りビーム5は送り装置7によって穿孔方向Aおよび逆方向Bに動かすことができる削岩機6を支持している。同図において、破線は穿孔線、すなわち穿孔中心部Cを示す。削岩機6は、削岩機6へ連結された工具9に対して衝撃パルスを与える衝撃装置8を有していてもよい。さらに削岩機6は、工具9をその長手方向の軸を中心として回転させる回転装置10を有していてもよい。穿孔中、工具9は穿孔中心部Cにあり、また交換可能なドリルビット12をその最外端部に有するドリルロッド11を備えていてもよい。さらに、延長ロッド穿孔として知られる穿孔においては、複数のドリルロッド11が連続して連結され、深い穴13を穿孔する。岩盤を穿孔するとき、ドリルビット12のビットボタンもしくは相当する岩盤を切削する部品は摩耗し、また損傷も受ける可能性もあり、このためドリルビット12は穿孔中に交換される。さらに、さまざまな穿孔状況およびさまざまな穿孔条件用のいろいろな特殊ビットを用いて削岩および穿孔の質を向上させることができる。ドリルビット12は典型的にはねじ連結部によりドリルロッド11へ連結される。
【0029】
送りビーム5の先端部に、すなわち、穿孔方向Aに見て送りビーム5の最外端部には、ジョー、もしくは相当する保持部材を有するリテーナ14があり、これで交換可能なドリルビット12を、少なくとも削岩機6の回転装置10によってドリルロッド11とドリルビット12との間のねじ連結部が開閉されている間は、動かないよう押さえることができる。リテーナ14は、保持されている工具9が穿孔中心部Cに位置するように置かれる。リテーナ14は典型的には、ドリルロッド11を交換するか、または連続して連結して1つの延長ロッド組立体とする際、ドリルロッド11を保持するのに利用される。本発明において、リテーナ14はドリルビット12の交換にも利用される。基本リテーナ14は送りビーム5と固定され、送りビーム5の一部をなす。したがって、送りビーム5上におけるリテーナ14の位置は穿孔装置の作動中不変を保つ。このようなリテーナ14の構造は頑丈にすることができ、その作動に必要な運動を単純にすることができる。リテーナ14の構造はさまざまな様式で構築されてよい。
【0030】
送りビーム5の先端部上には、リテーナ14と連結して、ドリルビット交換装置15も配設されている。ドリルビット交換装置15は必要な数の、一般的には5ないし10本のドリルビットを中に格納可能なマガジン16を有する。マガジン16は回転円盤状であってもよく、その中にはドリルビット12を格納するスペースが作られている。あるいは、マガジン16はチェーンマガジンもしくは他の適した構造であってもよい。ドリルビット交換装置15はさらに、1つ以上の停止部材17を有していてもよく、停止部材17によってドリルビット12を穿孔中心部C内の所定の軸方向位置に機械的に停止させることができる。停止部材17を、例えばスライドにすることも可能であり、スライドをリテーナ14の前側から穿孔中心部Cへ押し込むことができ、さらにスライドの削岩機6側の表面に対しては、ドリルビット12が交換のためリテーナ14で動かないように固定される前に、ドリルビット12の先端部が押し付けられる。またさらに、ドリルビット交換装置15は1つ以上の移送装置18を有し、これによってドリルビット12をマガジン16からリテーナ14へ、またはその反対に移送することができる。しかしながら、交換装置15は自らのリテーナを持たない。なぜならば、すでに送りビーム5上にある基本リテーナ14を利用することが本概念であるからである。
【0031】
図2aないし図2cはさまざまなドリルビット12を示す。これらの図からわかるように、ドリルビット12は外面的に全く異なっている。図2aのドリルビット12は螺旋状の溝19を枠部12aの外周上に有する一方で、図2bのドリルビット12では枠部12aは滑らかなシリンダである。さらに、図2cにおいて、枠部12aは溝付きショルダ20を備え付けている。さまざまなドリルビット12の外観は互いに全く大きく異なり得るので、ドリルビット12をそれらの枠部2aで取り扱うのは困難であり、自在な把持部もしくは同様のものを創出することが求められている。他方、ドリルビット12の先端にある先端部もしくは機構部12bを把持することは回避する必要がある。なぜならば、それはドリルビットの最も重要な部分であり、しかも硬質であるが壊れやすいドリルボタン21を備え付けているからである。しかしながら、ドリルビット12は、ドリルロッド11の連結部を正常に受け入れるよう配設されたドリルビットの枠部12a内の穴23へ押し込むことが可能な適切なピン状のドリルビットホルダ22によって取り扱うことができる。このようなそれぞれのドリルビットホルダ22があるために、ドリルビット12はマガジン16内にあったとしても、また移送中であったとしても、機構部12bを損傷するおそれなく取り扱うことが可能となる。注目すべきは、リテーナ14の前部の停止部材17に対するドリルビット12の位置決めを制御し、十分に遅い移動速度で行うことである。加えて、ドリルビット12に対して作用する負荷は穿孔方向Aに、すなわち通常の穿孔中と同じ方向にかかる。したがって、ドリルビット12および鋼製ボタン21は、たとえ位置決めが物理的障害物に対して行われたとしても、損傷は受けない。
【0032】
図3は、送りビーム5の先端部に配置されたリテーナ14およびドリルビット交換装置15の構造および作動を非常に簡略化して示す。リテーナ14は、保持用ジョー25もしくは同等のものを備え付けたアーム24を有していてもよい。これらのアーム24を、例えば圧力媒体シリンダであり得るアクチュエータ27を用いて回転軸26に対して回転させることができる。図3の状態において、ジョー25は開いた状態にあり、交換されるドリルビット12は移送装置18によってマガジン16から穿孔中心部へ運ばれて、停止装置28の機械式停止部材17に押しつけられて配置されている。停止装置28は圧力媒体シリンダ、もしくは他の適切なアクチュエータを有していてもよく、これによって停止部材17を横断方向Dに穿孔中心部へ、またそこから離して移送することができる。交換されるドリルビット12が穿孔中心部の所定の軸方向位置にある場合、ジョー25を閉じてもよい。次に、移送装置18を穿孔中心部から離して移送し、ドリルロッドを保持されているドリルビットへ連結することができる。
【0033】
図3はまた、マガジン16を、回転軸29に対して回転して必要なドリルビット12を選択することが可能な円盤もしくは回転装置にしてもよいことを示している。マガジン16にはまた、例えば穴または同種のもの等である固定点30を配して、ここに図2bおよび図5に示すドリルビットホルダ22を配設してもよい。図3はさらに、交換装置15に自らのフレーム31を配し、これへマガジン16と、停止装置28と、移送装置18とを支持させてもよいことを示している。また、交換装置15を剛性の締め付け具で送りビーム5へ頑丈に固定してもよい。
【0034】
図4は、他の方式を示すが、停止部材17はスライドであり、停止装置28は穿孔中心部への横断方向Dのスライドの動きを制御する制御面33付きのフレーム32を有している。さらに、停止装置28のアクチュエータ34は、例えば歯車伝動装置によってスライドを動かすよう配設されたモータでもよい。スライド式停止装置の利点は、軸方向に少しのスペースしか取らないので、リテーナ14の前側へ配置し易いことにある。
【0035】
図5は、リテーナ14へ配設された他のドリルビット交換装置15を示す。交換装置15は一種のマニピュレータである移送装置18を有していてもよい。移送装置18は、締付け部品35によって互いに連結された第1の移送装置18aおよび第2の移送装置18bを有していてもよい。第1の移送装置18aは、第2の移送装置18bおよびこれに連結された把持部材36を横断方向Eに線形に動かせるよう配設され、ドリルビット12がマガジン16とリテーナ14のジョー25の間で移送できるようにする。第2の移送装置18bはドリルビットホルダ22を動かしてドリルビットの穴23へ入れたり、穴から出したりするよう配設される。ドリルビットホルダ22は長尺状の部品であり、その第1の端部は把持部38を有していてもよく、把持部38に対して移送装置18の把持部材36は取り付けられ、把持部38によってドリルビットホルダ22はマガジン16へ固定される。さらに、ドリルビットホルダ22は1つのアームを有していてもよく、アームには2つ以上の支持部品40aおよび40bが配設され、支持部品はドリルビット12の穴23の内側にある場合に自身を連結ねじ部41で支持するよう寸法決めされている。さらに、最後尾の第1の支持部品40aは、自身をドリルビット12の後面部で支持しドリルビット12を軸方向に支持するショルダ46、フランジもしくは同様なものを有してもよい。第2の移送装置18bによってドリルビットホルダ22が穴23へ押し込まれると、第1の支持部品40aはドリルビット12の後部と接触して定着するが、アーム39と頑丈に連結されている第2の支持部品40bはドリルビット12の先端部の方へさらに進むことさえできる。その結果、支持部品40aおよび40bは互いに一定の間隔をとって定着し、これによってドリルビット12は穴23の両面によってしっかりと支持される。間隔の離れた支持部品40aおよび40bは、ドリルビット12を確実に真っ直ぐの状態に保つようにする。ビットホルダ22は調節ねじ等の調節用部材45を有していてもよく、調節用部材45によって支持部品40a、40b間の方向Hにおける最大間隔を調節することができる。同時に、調節用部材45は把持部38と第1の支持部品40aとの間の方向Hにおける間隔に影響を及ぼす。ドリルビット12はその後部でショルダ46によって支持されるので、ドリルビットホルダ22の調節によってさまざまな長さのドリルビット12の先端部をマガジン16内の同じ位置にセットすることができる。マガジンがリテーナ14では軸方向に配置され、さらにドリルビット12の先端部がマガジン16内で水平に配置されている場合、マガジン16とリテーナ12の間の移送を第1の移送装置18aの単純な横方向の線形運動Eによって行うことができる。
【0036】
ドリルビット12がジョー25の間で押圧されている場合、第2の移送装置18bはドリルビットホルダ22を後方へ、すなわち、逆方向Bへ引くのに用いられ、これによって支持部品40a、40bは互いに接し合って、穴23から出る。次に、ドリルビットホルダ22は第1の移送装置18aによって穿孔中心部Cから離れて移送され、ドリルロッド11はドリルビット12へ連結され、その後に停止部材17およびジョー25が開く。それから、通常の穿孔を開始することができる。ドリルビットホルダ22はドリルロッド11へ連結される前にドリルビット12から取り外され、これによってドリルロッドホルダ22がドリルビット12の実際の締付けに関与することはなくなるが、移送および格納中は補助器具として働く。したがって、ドリルビットホルダ22は穿孔中工具に連結されない。
【0037】
図5は、リテーナ14のジョー25をアクチュエータ34として働く圧力媒体シリンダのピストンロッド42へ配設し、これによって、リテーナ14の構造を非常に単純化し得ることを示している。ジョー25は横断方向Jに動くことができる。ジョー25はドリルビットの枠部12aを両側で押圧する。ドリルビットの機構部12bはリテーナにより生じる力を受けない。ドリルビット12が枠部12aにおいてジョー25で把持されると、ドリルビット12もより適切に穿孔中心部Cに対して平行を保ち、これによって連結作業は容易になる。
【0038】
図5はさらに、ドリルロッド11はドリルビット12の交換の間に穿孔中心部Cにおいて逆方向Bに移送されることを示す。ドリルロッド11の先端部には連結ねじ部44付きの連結部43を装備し、連結ねじ部44は、ドリルロッド11を穿孔方向に送ると同時に削岩機6の回転装置10によりドリルロッド11をその長手方向の軸を中心に回転させることによって、リテーナ14内のドリルビット12の内部ねじ部に連結することができる。ドリルロッド11へ連結されたドリルビット12を取り外すと、停止部材17は閉ざされ、ドリルビット12は停止部材17に対して押し付けられる。このようにして、ドリルビット12は移送装置18およびリテーナ14に対して常に正しく配置される。
【0039】
注目すべきことには、ドリルビットホルダ22の支持部品40a、40bにドリルビットの穴23を把持する手段を備えて、たとえ送りビーム5が下方に向いたとしても、ドリルビット12がホルダ22から外れないようにすることができる。支持部品40aおよび40bはゴムもしくは同様の弾性材料で作られた留め輪などの摩擦部品を備えていてもよい。さらに、ドリルビットホルダ22は、圧力媒体もしくは機械的運動の影響下で膨張してドリルビット12の穴23の内部表面を押圧する膨張部を備えていてもよい。
【0040】
図3ないし図5に示す停止装置28による以外の何らかの方法でリテーナ14内におけるドリルビット12を位置決めすることも可能である。例えば、センサを配設して、穿孔中心部Cにおけるドリルビット12の軸方向の位置を監視し、これによって、ドリルビット12をセンサから受信したデータに基づいて正しい位置へ移動させることができる。しかし、図3ないし図5で説明したような機械的障害物に対するドリルビットの停止は、構造上は単純で、信頼性があり、送り装置7の正確な制御を必要としない。
【0041】
場合によっては、本願に説明した特徴を他の特徴に関係なくそれ自体で用いることができる。他方、本願に説明した特徴を組み合わせて、必要に応じてさまざまな組合せを提供することもできる。
【0042】
図面およびこれらに関連した説明は本発明の概念を説明することのみを意図したものである。本発明は請求項の範囲内で細部にわたって変化し得る。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
送りビーム(5)と、
削岩機(6)と、
送りビーム(5)上で削岩機(6)を穿孔方向(A)および逆方向(B)へ移動させる送り装置(7)と、
前記送りビーム(5)に固定され、前記送りビーム(5)の先端部において少なくとも前記送りビームの長手方向から見て位置が固定されたリテーナ(14)と、
ドリルビット(12)を格納するマガジン(16)、および該ドリルビット(12)を該マガジン(16)と穿孔中心部(C)の間で移送させる移送装置(18)を有するドリルビット交換装置(15)とを含む削岩装置において、
前記ドリルビット交換装置(15)は前記送りビーム(5)に固定されたリテーナ(14)に配設され、
前記ドリルビット(12)は、該ドリルビット(12)およびドリルロッド(12)間の連結ねじ部(41、44)を回して開閉するときに前記リテーナ(14)によって保持されるように配設されることを特徴とする削岩装置。
【請求項2】
請求項1に記載の削岩装置において、
前記リテーナ(14)とマガジン(16)の送りビーム(5)の長手方向における相対位置は該削岩装置の作動中不変であり、
前記移送装置(18)は前記ドリルビット(12)を送りビーム(5)の横断方向に移送するよう配設されることを特徴とする削岩装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の削岩装置において、
前記リテーナ(14)は、前記ドリルビット(12)の外面を押圧するよう配設された少なくとも2つのジョー(25)を含むことを特徴とする削岩装置。
【請求項4】
前記請求項のいずれかに記載の削岩装置において、
該削岩装置(4)は少なくとも1つの開閉可能な停止部材(17)を含み、該停止部材に対して前記ドリルビット(12)は、前記リテーナ(14)の前記ジョー(25)によって把持される前に押し付けられるよう配設され、
前記停止部材(17)は、前記リテーナ(14)の前記ジョー(25)の前に該ジョー(25)から所定の軸方向の距離(L)をとって配置されることを特徴とする削岩装置。
【請求項5】
請求項4に記載の削岩装置において、
前記停止部材(17)は、少なくとも1つのアクチュエータ(34)によって前記穿孔中心部(C)の横断方向(D)に動くよう配設されているスライド部品であることを特徴とする削岩装置。
【請求項6】
前記請求項のいずれかに記載の削岩装置において、
前記ドリルビット交換装置(15)は取り扱われる前記ドリルビット(12)の内面へ支持可能な複数の別個のドリルビットホルダ(22)を含み、
それぞれのドリルビット(12)は格納および移送中はドリルビットホルダ(22)に連結されることを特徴とする削岩装置。
【請求項7】
請求項5に記載の削岩装置において、
前記ドリルビットホルダ(22)はアーム(39)と、第1の端部上に把持部(38)とを含み、該把持部に対して前記移送装置(18)の把持部材(36)は連結可能であり、前記把持部から前記ドリルビットホルダ(22)は前記マガジン(16)に対して容易に脱着可能に取付け可能であり、
前記アーム(39)は、前記ドリルビット(12)の内側連結ねじ部(41)に自身を支持するよう配設される少なくとも2つの支持部品(40a、40b)を有することを特徴とする削岩装置。
【請求項8】
前記請求項のいずれかに記載の削岩装置において、
前記移送装置(18)は横断方向(E)の線形運動で前記ドリルビット(12)を前記マガジン(16)から前記穿孔中心部(C)へ移送したり戻したりする少なくとも1つの第1の移送装置(18a)を含むことを特徴とする削岩装置。
【請求項9】
削岩装置の送りビーム上に配設可能であって、
複数のドリルビット(12)を格納するマガジン(16)と、
ドリルビット(12)を前記マガジン(16)と穿孔中心部(C)の間で移送する移送装置(18)とを含むドリルビット交換装置において、
該ドリルビット交換装置(15)は送りビーム(5)に固定された標準的なリテーナ(14)に配設されることを特徴とするドリルビット交換装置。
【請求項10】
請求項9に記載のドリルビット交換装置において、前記移送装置(18)は前記ドリルビット(12)を送りビーム(5)の横断方向に移送するよう配設されることを特徴とするドリルビット交換装置。
【請求項11】
削岩装置においてドリルビットを交換する方法であって、
前記削岩装置(4)は送りビーム(5)と、該送りビーム(5)上で送り装置(7)によって動かされる削岩機と、該削岩機(6)に属する回転装置(8)と、少なくとも1つのドリルロッド(11)およびこれと連結したドリルビット(12)を有する工具(9)とを含み、
複数の交換可能なドリルビット(12)をマガジン(16)へ格納し、
前記ドリルロッド(11)およびドリルビット(12)間のねじ連結部を回転装置により穿孔中心部(C)において前記ドリルロッドをその長手方向の軸を中心として回転させることで取り外し、
移送装置(18)によって穿孔中心部(C)から前記マガジン(16)内へ前記取り外したドリルビット(12)を運搬し、
前記移送装置(18)によって新規のドリルビット(12)を前記マガジンから取り出し、これを前記穿孔中心部(C)へ移送し、
前記ドリルロッド(11)の連結ねじ部(44)を前記新規のドリルビット(12)の連結ねじ部(41)に、前記穿孔中心部(C)において前記ドリルロッド(11)をその長手方向の軸を中心として前記回転装置(8)により回転させることで連結し、
前記ドリルビット(12)に対して前記ドリルロッド(11)を連結したり取り外したりする場合、前記ドリルビット(12)を前記穿孔中心部(C)において動かないように保持することを含む方法において、該方法は、
前記送りビーム(5)へ固定され該送りビーム(5)の長手方向において定位置を有するリテーナを使用して前記ドリルビット(12)を保持し、
前記リテーナ(14)へ配設され前記マガジン(16)および移送装置(18)を有するドリルビット交換装置(15)を使用して前記ドリルビット(12)を取り扱うことを特徴とする方法。
【請求項12】
請求項11に記載の方法において、
前記送りビーム(5)の横断方向の動きを用いてドリルビット(12)を前記マガジン(16)と穿孔中心部(C)の間で移送することを特徴とする方法。
【請求項13】
請求項11または12に記載の方法において、
前記ドリルビット(12)を前記リテーナ(14)によって把持する前に、前記交換されるドリルビット(12)を常に前記穿孔中心部(C)の所定の軸方向位置に配置することを特徴とする方法。
【請求項14】
請求項13に記載の方法において、
前記穿孔中心部(C)において前記ドリルロッド(11)から取り外される前記ドリルビット(12)を、前記リテーナ(14)とドリルビット(12)の相対位置を決める位置を有する機械式停止部材(17)に対して押し付けることを特徴とする方法。
【請求項15】
請求項11ないし14のいずれかに記載の方法において、
前記ドリルビット(12)の前部にある機構部(12b)から所定の距離(L)をとって、前記交換されるドリルビット(12)のフレーム部(12a)の外面を前記リテーナ(14)のジョー(25)によって把持することを特徴とする方法。
【請求項16】
請求項11ないし15のいずれかに記載の方法において、
移送および格納中はそれぞれのドリルビット(12)の内側に別個のドリルビットホルダ(22)を配設することを特徴とする方法。
【請求項17】
請求項16に記載の方法において、
ピン状の前記ドリルビットホルダ(22)を前記ドリルビット内の穴(23)の内部連結ねじ部(41)へ支持することを特徴とする方法。
【請求項18】
請求項11ないし17のいずれかに記載の方法において、
外寸および形状が互いに異なる少なくとも2つの異なるドリルビット(12)を前記ドリルビット交換装置(15)によって格納し、取り扱うことを特徴とする方法。


【図1】
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【図2a】
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【図2b】
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【図2c】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2011−525575(P2011−525575A)
【公表日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−514075(P2011−514075)
【出願日】平成21年6月12日(2009.6.12)
【国際出願番号】PCT/FI2009/050508
【国際公開番号】WO2009/156574
【国際公開日】平成21年12月30日(2009.12.30)
【出願人】(506286478)サンドビク マイニング アンド コンストラクション オサケ ユキチュア (70)
【氏名又は名称原語表記】SANDVIK MINING AND CONSTRUCTION OY
【Fターム(参考)】