説明

前成形体冷却装置

【課題】 前成形体を充分効果的に冷却することができ、そしてまた未だ充分に冷却されていない状態で隣接して搬送されている前成形体が相互に接触して局部的に損傷せしめられることが充分に抑制乃至防止される前成形体冷却装置を提供する。
【解決手段】 所定搬送径路(42、142)を通して搬送されている前成形体(34、134)に、霧を吹き付け、次いで冷却液流を吹き付け、そして更に気体流を吹き付けるように構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、後にブロー成形を加えて容器にせしめられる前成形体を冷却するための前成形体冷却装置に関する。
【背景技術】
【0002】
飲料用容器として合成樹脂製容器が広く実用に供されているが、かような合成樹脂製容器は、当業者には周知の如く、適宜の合成樹脂から圧縮成形或いは射出成形によって前成形体(一般に「プリフォーム」とも称されている)を形成し、次いで前成形体にブロー成形を加えることによって形成されている。前成形体は、通常、円筒形状の口頸部とこの口頸部に続く有底円筒乃至円錐台筒形状のブロー成形部とを有し、口頸部の下端には環状フランジが形成されている。
【0003】
圧縮成形或いは射出成形され成形型から、相当高温(例えば100℃程度)の前成形体を取り出す場合がある。この場合には、前成形体同士の溶着或いは相互接触による損傷等を防止するために、例えば60℃程度まで冷却することが必要である。下記特許文献1及び2には、成形型から取り出された前成形体を所定搬送径路を通して搬送する間に、前成形体に空気流を吹き付けることによって前成形体を冷却する前成形体冷却装置が開示されている。
【特許文献1】特開平7−171888号公報
【特許文献2】特開平8−103948号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
而して、前成形体に空気流を吹き付けて前成形体を冷却する従来の前成形体冷却装置には、前成形体を充分効果的に冷却することができず、例えば前成形体を100℃程度から60℃程度まで冷却するのに1.5乃至2分を要する、という問題がある。冷却に要する時間が長いと、前成形体の冷却のための必要搬送長さが必然的に長くなり、冷却装置が大型になるという問題も付随する。
【0005】
更に、従来の前成形体冷却装置には、未だ充分に冷却されていない状態で隣接して搬送されている前成形体が相互に接触して前成形体が局部的に損傷せしめられてしまう、という問題もある。
【0006】
本発明は上記事実に鑑みてなされたものであり、その第一の技術的課題は、前成形体を充分効果的に冷却することができる、新規且つ改良された前成形体冷却装置を提供することである。
【0007】
本発明の第二の技術的課題は、未だ充分に冷却されていない状態で隣接して搬送されている前成形体が相互に接触して局部的に損傷せしめられることが充分に抑制乃至防止される、新規且つ改良された前成形体冷却装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第一の局面によれば、所定搬送径路を通して搬送されている前成形体に冷却液流を吹き付けるように構成することによって上記第一の技術的課題が達成される。
【0009】
即ち、本発明の第一の局面によれば、上記第一の技術的課題を達成する前成形体冷却装置として、冷却域を含む搬送径路を通して前成形体を搬送するための搬送手段と、該冷却域を通して搬送される前成形体に冷却液流を吹き付ける冷却液流吹き付け手段と、を具備することを特徴とする前成形体冷却装置が提供される。
【0010】
好ましくは、該搬送径路は該冷却域の下流に配置された乾燥域を含み、該乾燥域を通して搬送される前成形体に気体流を吹き付ける気体流吹き付け手段が配設されている。好適実施形態においては、前成形体は口頸部とブロー成形部とを含んでおり、口頸部は筒形状で且つ下端には環状フランジが形成されており、ブロー成形部は口頸部の下端に続く有底筒形状であり、該搬送手段は横方向に間隔をおいて配設された一対のコンベヤ手段から構成されており、該一対のコンベヤ手段の各々は無端チェーンを有し、該無端チェーンの搬送走行部の上面上に前成形体の環状フランジを懸架して前成形体を搬送する。該冷却液流吹き付け手段は前成形体のブロー成形部に横方向両側から冷却液流を吹き付ける。好ましくは、該冷却液流吹き付け手段は横方向両側において搬送方向に配列された複数個の冷却液流吹き付けノズルから構成されている。該冷却液流吹き付けノズルの各々は前成形体のブロー成形部の上端部に冷却液流を指向せしめるのが好適である。冷却液流は水流でよい。該気体流吹き付け手段は前成形体のブロー成形部に横方向両側から気体流を吹き付けるのが好都合である。該気体流吹き付け手段は横方向両側において搬送方向に配列された複数個の気体流吹き付けノズルから構成されているのが好適である。該気体流吹き付けノズルの各々は前成形体のブロー成形部に気体流を指向せしめるが、搬送方向下流側に位置する該気体流吹き付けノズルの気体流指向高さは搬送方向上流側に位置する気体流吹き付けノズルの気体流指向高さより低くせしめられているのが好適である。気体流は空気流でよい。
【0011】
本発明の第二の局面によれば、前成形体を冷却するに先立って前成形体に霧を吹き付けることによって上記第二の技術的課題が達成される。
【0012】
即ち、本発明の第二の局面によれば、上記第二の技術的課題を達成する前成形体冷却装置として、上流端に配置された噴霧域を含む搬送径路を通して前成形体を搬送するための搬送手段と、該噴霧域を通して搬送される前成形体に霧を吹き付ける霧吹き付け手段とを具備し、前成形体は口頸部とブロー成形部とを含んでおり、口頸部は筒形状で且つ下端には環状フランジが形成されており、ブロー成形部は口頸部の下端に続く有底筒形状であり、該搬送手段は横方向に間隔をおいて配設された一対のコンベヤ手段から構成されており、該一対のコンベヤ手段の各々は無端チェーンを有し、該無端チェーンの搬送走行部の上面上に前成形体の環状フランジを懸架して前成形体を搬送し、該霧吹き付け手段は前成形体のブロー成形部に霧を吹き付ける、ことを特徴とする前成形体冷却装置が提供される。
【0013】
霧は水を霧化したものでよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明の第一の局面によって提供される前成形体冷却装置においては、冷却域を通して搬送される前成形体に冷却液流が吹き付けられ、これによって前成形体が効果的に冷却される。
【0015】
本発明の第二の局面によって提供される前成形体冷却装置においては、前成形体の冷却に先立って前成形体に霧が吹き付けられ、その理由は必ずしも明らかではないが、未だ充分に冷却されていない状態で隣接して搬送されている前成形体が相互に接触して局部的に損傷せしめられることが充分に抑制乃至防止される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、添付図面を参照して、本発明に従って構成された前成形体冷却装置の好適実施形態について、更に詳細に説明する。
【0017】
図1乃至図3を参照して説明すると、本発明に従って構成された図示の前成形体冷却装置は搬送手段2を具備しており、この搬送手段2は横方向(図1において上下方向、図3において左右方向)に間隔をおいて配設された一対のコンベヤ手段4a及び4bから構成されている。一対のコンベヤ手段4a及び4bの各々は、搬送方向(図1及び図1において左右方向、図3において紙面に垂直な方向)に離隔して配設された駆動ホイール6a及び6b並びに従動ホイール8a及び8bを含んでいる。駆動ホイール6a及び6b並びに従動ホイール8a及び8bは実質上鉛直(図1において紙面に垂直な方向、図3において上下方向)に延びる中心軸線を中心として回転自在に装着されており、駆動ホイール6a及び6bは電動モータ10a及び10bに駆動連結されている。駆動ホイール6a及び6bと従動ホイール8a及び8bとには無端チェーン12a及び12bが巻き掛けられている。無端チェーン12a及び12bの各々は、走行方向に配列され且つ相互に旋回自在に連結された多数のチェーン部材14a及び14b(図3)から構成されている。図3に図示する如く、駆動ホイール6a及び6bと従動ホイール8a及び8bとの間には、搬送方向に平行に延在せしめられている一対の静止部材16a及び16bが固定されている。そして、かかる一対の静止部材16a及び16bには上側案内部材18a及び18bと下側案内部材20a及び20bとが固定されている。一対の静止部材16a及び16bを超えて横方向に突出せしめられている上側案内部材18a及び18bの両側縁には下方に突出する案内レール部22a及び22bが形成されている。一対の静止部材16a及び16bを超えて横方向に突出せしめられている下側案内部材20a及び20bの両側縁には上方に突出する案内レール部24a及び24bが形成されている。上記チェーン部材14a及び14bの各々は被案内部26a及び26bと懸架部28a及び28bとを有する。被案内部26a及び26bには、上側案内部材16a及び16bの案内レール部22a及び22bに係合せしめられる上側被案内溝30a及び30bと下側案内部材20a及び20bの案内レール部24a及び24bに係合せしめられる下側被案内溝32a及び32bが形成されている。懸架部28a及び28bは被案内部26a及び26bの内側縁下端から下方に延び、次いで横方向内側に延びている。
【0018】
図3には冷却すべき前成形体34も図示されている。ポリエチレンテレフタレートの如き適宜の合成樹脂から圧縮成形或いは射出成形によって形成することができる前成形体34は、口頸部36とこの口頸部36の下端に続く有底ブロー成形部38とを有する。図示の前成形体34における口頸部36は円筒形状であり、その下端には円環形状のフランジ40が形成されている。ブロー成形部38の主部は下方に向かって外径が若干減少する逆円錐台筒形状である。
【0019】
図1乃至図3を参照して説明を続けると、電動モータ10a及び10bが付勢されると、無端チェーン12a及び12bは図1に矢印40a及び40bで示す方向に回転駆動される。無端チェーン12a及び12bにおける横方向内側走行部が搬送走行部として機能し、横方向外側走行部は戻り走行部である。図3に明確に図示するとおり、前成形体34は、その円環状フランジ40が無端チェーン12a及び12bの搬送走行部に懸架され、更に詳しくはチェーン部材14a及び14bの懸架部28a及び28b上に懸架され、無端チェーン12a及び12bの移動に付随して矢印40a及び40bで示す方向に搬送される。図1から明確に理解されるとおり、図示の実施形態においては、搬送手段2を構成するコンベヤ手段4aとコンベヤ手段4bとは搬送方向に幾分変位せしめられており、コンベヤ手段4aの上流端部はコンベヤ手段4bと協働せず、コンベヤ手段4bの下流端部はコンベヤ手段4aと協働しない。図1に二点鎖線で簡略に図示する如く、コンベヤ手段4aの上流端部は、その上流側に配設されている搬送手段の一対のコンベヤ手段の一方の下流端部と協働し、コンベヤ手段4bの下流端部は、その下流側に配設されている搬送手段の一対のコンベヤ手段の一方の上流端部と協働し、かくして上流側に配設されている搬送手段から搬送手段2に冷却すべき前成形体34が搬入され、搬送手段2によって搬送され、そして下流側に配設されている搬送手段に搬出される。後の説明から明確に理解される如く、前成形体34は搬送手段2によって搬送される間に効果的に冷却される。
【0020】
図1から明確に理解されるとおり、一対のコンベヤ手段4a及び4b間には前成形体34の搬送径路42が規定される。そして、図示の実施形態においては、前成形体34の搬送径路42は、搬送方向に順次に配列された噴霧域44、冷却域46及び乾燥域48を含んでいる。噴霧域44には霧吹き付け手段50が配設され、冷却域46には冷却液流吹き付け手段52が配設され、乾燥域48には気体流吹き付け手段54が配設されている。
【0021】
図1、図2及び図4に図示する如く、霧吹き付け手段50は、前成形体34の搬送径路42の片側に配列された複数個、図示の場合は5個、の霧吹き付けノズル56から構成されている。霧吹き付けノズル56の各々は、図1から明確に理解される如く、搬送径路42に向かって若干上流側に傾斜せしめて配置されている。霧吹き付けノズル56の各々には上水でよい水の供給源(図示していない)が接続されており、霧吹き付けノズル56の各々は供給される水を霧化して、先端に形成されている単一の噴射孔58から霧を噴出して搬送径路42を通して搬送される前成形体34のブロー成形部38に吹き付ける。前成形体34のブロー成形部38に付着した粒子が集合して滴状になるのを回避し、そしてまた前成形体34のブロー成形部38が点在領域で冷却されてその表面が斑点状に或いは凹凸状になってしまうのを回避するために、霧を構成する粒子の径は1乃至5μm、特に1乃至3μm、であるのが好適である。
【0022】
図1乃至図3と共に図5を参照することによって明確に理解される如く、図示の実施形態においては、冷却液流吹き付け手段52は、前成形体34の搬送径路42の両側に配列された複数個、図示の場合は各側に夫々24個、の冷却液流吹き付けノズル60から構成されている。冷却液流吹き付けノズル60の各々も、図1から理解される如く、搬送径路42に向かって若干上流側に向かって傾斜せしめて配置されている。図5に明確に図示する如く、冷却液流吹き付けノズル60の各々は、搬送方向に配列された複数個の噴射孔62を有する。冷却液流吹き付けノズル60の各々には冷却液供給源(図示していない)が接続されており、冷却液流吹き付けノズル60は供給された冷却液をその複数個の噴出孔62ら冷却液流として噴出して、搬送径路42を通して搬送される前成形体34のブロー成形部38に吹き付ける。冷却液は25℃程度の上水でよい。冷却液流の吹き付け部位は、前成形体34のブロー成形部38の上端部であるのが好適である。
【0023】
図1乃至図3と共に図6を参照して説明を続けると、図示の実施形態における気体流吹き付け手段54は、前成形体34の搬送径路42の両側に配列された複数個、図示の場合は各側に4個、の気体流吹き付けノズル64から構成されている。気体流吹き付けノズル部材の各々も、図1から理解される如く、搬送径路42に向かって若干上流側に傾斜せしめて配置されている。図2を参照することによって理解される如く、気体流吹き付けノズル64の配設高さは、前成形体34のブロー成形部38に付着している冷却液は下方に流動する等に鑑み、下流に向かって漸次低くせしめられている。更に詳述すれば、最上流の気体流吹き付けノズル64は前成形体34のブロー成形部38の上端部に対向せしめて配置されており、その下流側に位置する気体流吹き付けノズル64は前成形体34のブロー成形部38の上下方向中間より幾分の上方の部位に対向せしめて配置されており、その更に下流に位置する気体流吹き付けノズル64は前成形体34のブロー成形部38の上下方向中間より幾分下方に対向せしめて配置されており、最下流の気体流吹き付けノズル64は前成形体34のブロー成形部38の下端部に対向して配置されている。図6から明確に理解される如く、気体流吹き付けノズル64の各々は搬送方向に細長く延在する1個の噴射孔66を有する。気体流吹き付けノズル64の各々には気体供給源(図示していない)が接続されており、気体流吹き付けノズル64は供給された気体をその噴射孔66から気体流として噴出して、搬送径路42を通して搬送される前成形体34のブロー成形部38に吹き付ける。気体は常温の不活性ガス或いは空気でよい。
【0024】
上述したとおりの前成形体冷却装置の作用を要約して説明すると、次のとおりである。
一対のコンベヤ手段4a及び4bによって前成形体34が搬送される際に、噴霧域44においては、霧吹き付け手段50よって前成形体34のブロー成形部38に霧が吹き付けられる。本発明者等の経験によれば、前成形体34のブロー成形部38に霧を吹き付けると、引き続いて搬送される前成形体34の間隔を比較的小さく設定し、そしてまた前成形体34の搬送速度を比較的高速にせしめても、隣接する前成形体34のブロー成形部38が接触して損傷せしめられることが効果的に抑制乃至防止される。その理由は必ずしも明確ではないが、ブロー成形部38が霧に覆われることによって隣接する前成形体34のブロー成形部38同士の過剰な接触が抑制される故である、と本発明者等は推定している。
【0025】
前成形体34が冷却域46を通って搬送される際には、冷却液流吹き付け手段52によって前成形体34のブロー成形部38の上端部に冷却液流が吹き付けられ、かかる冷却液流がブロー成形部38上を流下し、かくして前成形体34が充分効果的に冷却される。次いで、前成形体34が乾燥域48を通して搬送される際には、気体流吹き付け手段54によって前成形体34のブロー成形部38の上端部から下端部に向けて漸次気体流が吹き付けられ、これによってブロー成形部38に付着していた冷却液体が効果的に吹き飛ばされ、ブロー成形部38が乾燥される。
【0026】
図7乃至図10は、本発明に従って構成された前成形体冷却装置の変形実施形態を図示している。図7及び図8に図示する如く、この変形実施形態も一対のコンベヤ手段104a及び104bから構成された搬送手段102を具備している。かかる搬送手段102は図1及び図2に図示する搬送手段2と実質上同一でよく、一対のコンベヤ手段104a及び104b間には前成形体134の搬送径路142が規定されている。前成形体134は図3に図示する前成形体34と実質上同一である。かかる搬送径路142は冷却域146とこの冷却域146の下流に配置された乾燥域148を含んでいるが、噴霧域を含んでいない(従って、図7乃至図10に図示する実施形態においては霧吹き付け手段が配設されていない)。冷却域146には冷却液流吹き付け手段152が配設され、乾燥域148には気体流吹き付け手段154が配設されている。
【0027】
図7乃至図9を参照することによって明確に理解される如く、冷却液流吹き付け手段152は、前成形体134の搬送径路142の両側に配列された複数個、図示の場合は各側に夫々4個、の冷却液流吹き付けノズル160から構成されている。冷却液流吹き付けノズル160の各々は搬送径路142に平行に延在する前面を有し、この前面には搬送径路142に沿って細長く延びる1個の噴射孔162が形成されている。冷却液流吹き付けノズル160の各々には冷却液供給源(図示していない)が接続されており、冷却液流吹き付けノズル160は供給された冷却液をその複数個の噴出孔162から冷却液流として噴出して、搬送径路142を通して搬送される前成形体134のブロー成形部に吹き付ける。冷却液は25℃程度の上水でよい。冷却液流の吹き付け部位は、前成形体134のブロー成形部の上端部であるのが好適である。
【0028】
図7及び図8と共に図10を参照して説明を続けると、気体流吹き付け手段154は、前成形体134の搬送径路142の両側に配列された複数個、図示の場合は各側に6個、の気体流吹き付けノズル164−1乃至164−6から構成されている。気体流吹き付けノズル164−1、164−2、164−4及び164−5の各々は実質上水平に配設されている。一方、気体流吹き付けノズル164−3及び164−6の各々は、搬送方向に比較的長く延在せしめられていると共に、搬送方向下流に向かって下方に傾斜せしめられている。更に詳述すると、図10を参照することによって明確に理解される如く、気体流吹き付けノズル164−3は、気体流吹き付けノズル164−2に隣接して且つこれと実質上同高に位置する上流端から気体流吹き付けノズル164−4の下方に位置する下流端まで搬送方向下流に向かって下方に傾斜して延びている。気体流吹き付けノズル164−6は、気体流吹き付けノズル164−5に隣接して且つこれと実質上同高に位置する上流端から搬送方向下流に向かって下方に傾斜して延びている。気体流吹き付けノズル164−1乃至164−6の各々は搬送径路142に平行に延在する前面を有し、この前面には搬送径路142に沿って細長く延びる1個の噴出孔166が形成されている。気体流吹き付けノズル164−1、164−2、164−4及び164−5の噴射孔166は前成形体134のブロー成形部の上流端に対向せしめて配置されており、気体流吹き付けノズル164−3及び164−6の噴射孔166は、前成形体134のブロー成形部の上端部に対抗する上流端から前成形体134のブロー成形部の下端部に対向する下流端まで搬送方向に向かって下方に傾斜せしめられている。気体流吹き付けノズル164−1乃至164−6の各々には気体供給源(図示していない)が接続されており、気体流吹き付けノズル164−1乃至164−6は供給された気体をその噴射孔166から気体流として噴出して、搬送径路142を通して搬送される前成形体134のブロー成形部に吹き付ける。気体は常温の空気でよい。
【0029】
図7乃至図10に図示する前成形体冷却装置においては、一対のベルトコンベヤ手段104a及び104bの搬送走行部によって前成形体134が矢印140a及び140bで示す方向に搬送される。そして、前成形体134が冷却域146を通って搬送される際には、冷却液流吹き付け手段152によって前成形体134のブロー成形部の上端部に冷却液流が吹き付けられ、かかる冷却液流がブロー成形部上を流下し、かくして前成形体134が充分効果的に冷却される。次いで、前成形体134が乾燥域148を通して搬送される際には、気体流吹き付け手段154によって前成形体134のブロー成形部の上端部から下端部に向けて漸次気体流が吹き付けられ、これによってブロー成形部に付着していた冷却液体が効果的に吹き飛ばされ、ブロー成形部が乾燥される。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明に従って構成された前成形体冷却装置の好適実施形態を示す簡略平面図。
【図2】図1の前成形体冷却装置の簡略正面図。
【図3】図1の前成形体冷却装置の横断面図。
【図4】図1の前成形体冷却装置における霧吹き付けノズル部材を示す部分斜面部。
【図5】図1の前成形体冷却装置における冷却液流吹き付けノズル部材を示す部分斜面図。
【図6】図1の前成形体冷却装置における気体流吹き付けノズル部材を示す部分斜面図。
【図7】本発明に従って構成された前成形体冷却装置の変形実施形態を示す簡略平面図。
【図8】図7の前成形体冷却装置の簡略正面図。
【図9】図7の前成形体冷却装置における冷却液流吹き付けノズル部材を示す部分斜面図。
【図10】図7の前成形体冷却装置における気体流吹き付けノズル部材を示す部分斜面図。
【符号の説明】
【0031】
2:搬送手段
4a:コンベヤ手段
4b:コンベヤ手段
34:前成形体
36:前成形体の口頸部
38:前成形体のブロー成形部
40:前成形体の環状フランジ
42:搬送径路
44:噴霧域
46:冷却域
48:乾燥域
50:霧吹き付け手段
52:冷却液流吹き付け手段
54:気体流吹き付け手段
56:霧吹き付けノズル
60:冷却液流吹き付けノズル
64:気体流吹き付けノズル
102:搬送手段
104a:コンベヤ手段
104b:コンベヤ手段
134:前成形体
142:搬送径路
146:冷却域
148:乾燥域
152:冷却液吹き付け手段
154:気体流吹き付け手段
160:冷却液吹き付けノズル
164−1乃至164−6:気体流吹き付けノズル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷却域を含む搬送径路を通して前成形体を搬送するための搬送手段と、該冷却域を通して搬送される前成形体に冷却液流を吹き付ける冷却液流吹き付け手段と、を具備することを特徴とする前成形体冷却装置。
【請求項2】
該搬送径路は該冷却域の下流に配置された乾燥域を含み、該乾燥域を通して搬送される前成形体に気体流を吹き付ける気体流吹き付け手段が配設されている、請求項1記載の前成形体冷却装置。
【請求項3】
前成形体は口頸部とブロー成形部とを含んでおり、口頸部は筒形状で且つ下端には環状フランジが形成されており、ブロー成形部は口頸部の下端に続く有底筒形状であり、
該搬送手段は横方向に間隔をおいて配設された一対のコンベヤ手段から構成されており、該一対のコンベヤ手段の各々は無端チェーンを有し、該無端チェーンの搬送走行部の上面上に前成形体の環状フランジを懸架して前成形体を搬送し、
該冷却液流吹き付け手段は前成形体のブロー成形部に横方向両側から冷却液流を吹き付ける、
請求項1又は2記載の前成形体冷却装置。
【請求項4】
該冷却液流吹き付け手段は横方向両側において搬送方向に配列された複数個の冷却液流吹き付けノズルから構成されている、請求項3記載の前成形体冷却装置。
【請求項5】
該冷却液流吹き付けノズルの各々は前成形体のブロー成形部の上端部に冷却液流を指向せしめる、請求項3又は4記載の前成形体冷却装置。
【請求項6】
冷却液流は水流である、請求項1から4までのいずれかに記載の前成形体冷却装置。
【請求項7】
前成形体は口頸部とブロー成形部とを含んでおり、口頸部は筒形状で且つ下端には環状フランジが形成されており、ブロー成形部は口頸部の下端に続く有底筒形状であり、
該搬送手段は横方向に間隔をおいて配設された一対のコンベヤ手段から構成されており、該一対のコンベヤ手段の各々は無端チェーンを有し、該無端チェーンの搬送走行部の上面上に前成形体の環状フランジを懸架して前成形体を搬送し、
該気体流吹き付け手段は前成形体のブロー成形部に横方向両側から気体流を吹き付ける、請求項1又は2記載の前成形体冷却装置。
【請求項8】
該気体流吹き付け手段は横方向両側において搬送方向に配列された複数個の気体流吹き付けノズルから構成されている、請求項7記載の前成形体冷却装置。
【請求項9】
該気体流吹き付けノズルの各々は前成形体のブロー成形部に気体流を指向せしめるが、搬送方向下流側に位置する該気体流吹き付けノズルの気体流指向高さは搬送方向上流側に位置する気体流吹き付けノズルの気体流指向高さより低くせしめられている、請求項8記載の前成形体冷却装置。
【請求項10】
気体流は空気流である、請求項1又は7乃至9のいずれかに記載の前成形体冷却装置。
【請求項11】
該搬送手段は該冷却域の上流に配置された噴霧域を含み、該噴霧域を通して搬送される前成形体のブロー成形部に霧を吹き付ける霧吹き付け手段が配設されている、請求項2から10までのいずれかに記載の前成形体冷却装置。
【請求項12】
霧は水を霧化したものである、請求項11記載の前成形体冷却装置。
【請求項13】
上流端に配置された噴霧域を含む搬送径路を通して前成形体を搬送するための搬送手段と、該噴霧域を通して搬送される前成形体に霧を吹き付ける霧吹き付け手段とを具備し、
前成形体は口頸部とブロー成形部とを含んでおり、口頸部は筒形状で且つ下端には環状フランジが形成されており、ブロー成形部は口頸部の下端に続く有底筒形状であり、
該搬送手段は横方向に間隔をおいて配設された一対のコンベヤ手段から構成されており、該一対のコンベヤ手段の各々は無端チェーンを有し、該無端チェーンの搬送走行部の上面上に前成形体の環状フランジを懸架して前成形体を搬送し、
該霧吹き付け手段は前成形体のブロー成形部に霧を吹き付ける、
ことを特徴とする前成形体冷却装置。
【請求項14】
霧は水を霧化したものである、請求項13記載の前成形体冷却装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−248010(P2006−248010A)
【公開日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−66918(P2005−66918)
【出願日】平成17年3月10日(2005.3.10)
【出願人】(000003768)東洋製罐株式会社 (1,150)
【Fターム(参考)】