説明

剥離紙付きラベルおよびラベルプリンタ

【課題】ラベルの残量表示を行う。
【解決手段】剥離紙の表面ラベル個体が貼着され、裏面にはバーコードが剥離紙の始端側から所定長だけに印刷されたラベルが使用される。印字モードに移行する前に、バーコード情報の読み取りモードとなる。読み取りモードでは剥離紙を空送りしながらバーコード情報が読み取られてその値が表示される。2度読み取った印字可能枚数情報の照合結果が一致したときはその情報を表示部に表示する。そして、ラベル個体への印字処理が終了するたびに印字可能枚数の更新処理が行われて、ラベルの残量が表示される。減算処理結果が表示されることで、これから何枚印字できるか、あるいは既にラベル個体を何枚印字したかを知ることができる。剥離紙の終端側に貼着された最終のラベル個体が検知されると、剥離紙付きラベル(ロール紙)を交換すべき表示がなされ、ロール紙の交換を促す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、剥離紙付きラベルおよびそのラベル個体への印字を行うラベルプリンタに関する。
【0002】
詳しくは、ラベル印字可能枚数を示す枚数情報を、剥離紙の一の面にバーコード情報として予め印刷することで、このバーコード情報を印字可能なラベルの残量枚数表示として活用できるようにしたものである。
【0003】
また、剥離紙付きラベルに印刷されたバーコード情報から、ラベルの印字枚数情報を取得すると共に、取得した印字枚数情報を残量枚数として表示し、ラベル印字の都度残量枚数を減算表示することで、印字できるラベル枚数を確認できるようにしたものである。
【背景技術】
【0004】
各種商品のラベルを始めとしてスーパーマーケットなどの食品売り場における商品のラベル、出荷票、現品票、製品メーカなどでの部品ラベルなど、あらゆる産業分野において、日常業務としてラベルプリンタと称される、ラベルに印字するプリンタが活躍している。
【0005】
このラベルプリンタに使用されるラベルとしては通常、剥離紙付きのラベルが使用される。図8はこの剥離紙付きのラベル10の一例を示すもので、これは帯状をなす剥離紙(台紙)12の一の面例えば表面に、一列に所定の間隔(ラベル間隔)Wを以て複数枚のラベル個体14が貼着されたものである。
【0006】
剥離紙付きラベル10は通常ロール状に巻かれ、包装紙に包んだ状態で購入する。包装紙には、ラベル枚数(印字可能枚数)が表示されているのが一般的である。ラベルプリンタによっては、その表示部に、ラベル枚数を表示できる機能が付加されたものがあるので、このような表示機能付きのラベルプリンタにあっては、包装紙に印刷されたラベル枚数を入力することで、セットした剥離紙付きラベル10で印字できるラベル枚数が何枚であるかを確認できるようにしている。
【0007】
しかし、この方法ではラベル枚数の入力ミスが発生するおそれがあるので、剥離紙12の裏面にラベル枚数情報を印刷した剥離紙付きラベルが考案されている(例えば、特許文献1)。
【0008】
この剥離紙付きラベルは、剥離紙の裏面にラベルの印字可能枚数情報が、識別情報として剥離紙の始端から終端に至るまで、所定間隔で印刷されている。ラベルプリンタでは、この印字可能枚数情報を読み取って表示することで、印字できるラベル枚数を確認できるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平9−240121号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところで、特許文献1に開示されたプリンタにあっては、印字可能枚数をラベル使用の都度リアルタイムに表示できる特徴がある。ラベルへの印字処理の都度、印字可能枚数を更新して表示するためには、ラベル貼着位置と対峙する剥離紙の裏面に、内容の異なる識別情報を順次印刷しておかなければならない。
【0011】
しかし、そうするためには剥離紙の始端から終端まで間欠的ではあるが、残量枚数に関連した識別情報を印刷しなければならないので、剥離紙への印刷処理が面倒であると共に、剥離紙付きラベルのコストアップを招来する。
【0012】
少しでもコストダウンを図るため、例えば所定枚数ごとに残量枚数に関連した識別情報を印刷することも考えられるが、そうした場合でも、数mもある剥離紙の全長に対してラベル貼着位置に関連させて所定間隔ごとに印刷するのは非常に面倒な作業を伴うため、充分なコストダウンを期待できない。
【0013】
そこで、この発明はこのような従来の課題を解決したものであって、特にラベルの総数のみ示す情報を、剥離紙の始端側から終端に亘り所定間隔で同一パターンのバーコード情報として印刷したものであり、また読み取った総数情報を表示すると共に、ラベル印字に同期して総数を減算表示することで、コストダウンを図りながら印字可能枚数を正確に表示できるようにしたものである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上述の課題を解決するため、請求項1に記載したこの発明に係る剥離紙付きラベルは、ロール状に巻かれたラベル用剥離紙の一の面に貼着されたラベル個体と、上記剥離紙の他の面にその始端側から終端に亘り所定間隔で印刷された、上記ラベル個体の関連情報を示す同一パターンのバーコードとを有し、上記関連情報には上記剥離紙に貼着された上記ラベル個体の総数の情報が含まれることを特徴とする。
【0015】
また、請求項2に記載したこの発明に係るラベルプリンタは、ロール状に巻かれたラベル用剥離紙の一の面に貼着されたラベル個体と、上記剥離紙の他の面にその始端側から終端に亘り所定間隔で同一パターンで印刷された、上記ラベル個体の総数の情報を含むバーコード情報を読み取るバーコードセンサと、上記バーコード情報を読み取り、読み取ったバーコード情報に含まれるラベル個体の総数を表示すると共に、ラベル印字の都度上記ラベル個体の総数を減算表示する残量枚数制御部とを有することを特徴とする。
【0016】
この発明では、剥離紙の一の面(例えば表面)に所定の間隔で複数のラベル個体が貼着されている。他の面(裏面)にはバーコードが剥離紙の始端側から終端に亘り印刷されている。
【0017】
バーコード情報は、ラベルに関連した各種の情報であって、ラベルのサイズ、ラベル紙の種類、印字濃度などである。さらにこのバーコード情報には、剥離紙に貼着されたラベル個体の総数、つまり印字可能枚数(最大枚数)を示す情報が含まれる。
【0018】
剥離紙の始端側から終端に亘り同一パターンで複数個のバーコードが印刷される。
【0019】
ラベルプリンタにあっては、印字モードに移行する前に、バーコード情報の読み取りを行う読み取りモードが用意されている。読み取りモードでは剥離紙が空送りされる。剥離紙をラベル所定枚数分(2〜3枚分)空送りしながらバーコード情報が読み取られ、内部メモリにその情報が保存される。剥離紙を元の位置(印字初期位置)に戻すときにもバーコード情報の読み取り処理が行われる。
【0020】
そして、2度読み取った印字可能枚数情報を照合する。照合結果が一致したときはその情報を表示部に表示する。そして、ラベル個体への印字処理が終了するたびに印字可能枚数の更新処理が行われる。減算処理結果が表示されることで、これから何枚印字できるか、あるいは既にラベル個体を何枚印字したかを知ることができる。印字枚数を表示することもできる。
【0021】
剥離紙の終端側に貼着された最終のラベル個体が検知されると、剥離紙付きラベル(ロール紙)を交換すべき表示がなされ、ロール紙の交換を促す。
【発明の効果】
【0022】
この発明では、剥離紙の一方の面に剥離紙の始端側から終端に亘り所定間隔で印刷された、ラベルの総数を示す情報を有する同一パターンのバーコードを印刷した剥離紙付きラベルを提供する。また、ラベルの総数情報を含むバーコードを読み取り、ラベル印字ごとに減算表示して印字可能枚数を表示するラベルプリンタを提供する。
【0023】
バーコードは、もちろん剥離紙の始端側から終端側まで印刷されたものであってもよい。この場合においても、バーコード情報はラベルの種別ごとの固定情報が印刷される。剥離紙付きラベルへのバーコード情報の印刷は輪転式印刷が可能であるため安価な印刷コストで製造することができる。
【0024】
また、このラベルプリンタによれば、バーコード情報に含まれる印字可能枚数をラベルプリンタに表示することで、印字可能枚数を確認できる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】この発明に係るラベルプリンタの一例を示す要部の系統図である。
【図2】印字ヘッドとラベル検知手段との配置関係を示す側面図である。
【図3】印字ヘッドとラベル検知手段との配置関係を示す平面図である。
【図4】この発明に係る剥離紙付きラベルの構成例を示す表裏面の図である(その1)。
【図5】この発明に係る剥離紙付きラベルの構成例を示す表裏面の図である(その2)。
【図6】印字可能枚数の検出処理例を示すフローチャートである。
【図7】残量表示処理例を示すフローチャートである。
【図8】剥離紙付きラベルの従来例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
続いて、この発明に係る剥離紙付きラベルおよびラベルプリンタの一実施例を図面を用いて詳細に説明する。
【実施例1】
【0027】
図1は、この発明に係るラベルプリンタ20の要部の系統図である。図4および図5はこの発明に係る剥離紙付きラベル10の要部の一例を示す。まず、図4および図5を参照して剥離紙付きラベル10を説明する。
【0028】
剥離紙付きラベル10は剥離紙12と、その一の面のこの例では表面12aに貼着された複数のラベル個体14とで構成される。剥離紙12は帯状をなす台紙であって、この例では半透明なフィルムが使用される。
【0029】
ラベル個体14は感熱紙であり、品質の違った数種類の感熱紙が用意されている。これには、上質感熱紙、光沢感熱紙、熱転写用アート紙などが含まれる。両面接着剤が塗布されたこのラベル個体14は剥離紙12に貼着されている。ラベル個体14は型抜きされて生成される。したがってラベル個体14は一定間隔Wを置いて剥離紙12の長手方向に配列されたものとなる。
【0030】
この例では、ラベル個体14のサイズは1種類のみ用意されている。貼付すべき商品によってラベル個体14に印字すべき情報量の過多が発生するが、情報量の過多は印字すべきライン数や印字間隔などによって調整される。ラベル個体14が1種類であることから、後述するラベルプリンタに剥離紙付きラベル10がセットされると、最後のラベル個体14への印字が終了するまでは剥離紙付きラベル10は交換されない。つまり使い切りである。もちろん、このような使用例に限られないことは言うまでもない。
【0031】
この例では、ラベル個体14の一部に印刷エリア14aが確保され、ここに個別情報が予め印刷されている。図4Aの場合は、ラベル個体14の下側に印刷エリア14aが確保され、ここに所定の情報が印刷される。所定の情報とは個別識別情報であって、例えば商品の提供者(製造元、販売元など)の法人名や、その住所、電話番号などのように、商品の提供者側の情報が考えられる。
【0032】
印刷エリア14a以外のエリア14bが実際に印字できる印字エリアとなる。印字エリア14bには、パックされた商品の品名、原材料名、賞味期限など、その商品に関する情報(印字レイアウト情報)が印字される。
【0033】
一方、剥離紙12の他の面(裏面)12bのほぼ中央部には、その長手方向に沿って図4Bに示すようにバーコード82が所定の間隔で印刷されている。バーコード82は剥離紙12の始端側から所定長Lだけ印刷される。所定長Lとしては任意の長さに設定することができるが、この例ではラベル個体数にして3〜5枚分に相当する長さだけ印刷される。バーコード82に換算すると、2〜3個分である。バーコード82に含まれる情報は全て同じであるので、同じパターンで印刷される。同一パターンでの印刷およびバーコード82の印刷長が比較的短いので、印刷コストが安い。したがって、剥離紙付きラベル10のローコスト化を達成できる。
【0034】
バーコードは、もちろん剥離紙の始端側から終端側まで印刷されたものであってもよい。この場合においても、バーコード情報はラベルの種別ごとの固定情報が印刷される。剥離紙付きラベルへのバーコード情報の印刷は輪転式印刷が可能であるため安価な印刷コストで製造することができる。
【0035】
また、この例では、バーコード82に先だって識別情報80が印刷されている。識別情報80はバーコード82の存在を予め認識させるための目印として使用される。識別情報80としては特定の図形や文字、記号などを使用することができる。場合によっては、剥離紙付きラベル10の提供者(製造元や販売元)を識別できるロゴなどを使用することもでき、その場合にはこの剥離紙付きラベル10が純正であることを表示するマークとしても機能することになる。
【0036】
バーコード82は棒状マークを配列した一次元バーコードや、二次元バーコード(二次元コード)などが考えられる。情報量が少ない場合は一次元バーコードで充分である。バーコード82には二値化された各種の情報が収められている。各種情報とは、一例を説明するならば、ラベル個体のサイズ、ラベル用紙の種類などである。これらの情報の他に、剥離紙12に貼着されたラベル個体14の枚数(印字可能枚数)である。
【0037】
印字可能枚数は、提供された剥離紙付きラベル10の最大枚数である。印字可能枚数は50〜200枚程度の範囲内で、数種類用意されている。その印字可能枚数に相当する情報がバーコード情報に含まれている。
【0038】
図5は剥離紙付きラベル10の他の例である。図4と相違するのは、印刷エリア14aの位置だけであり、図5Aのようにこの場合の印刷エリア14aはラベル個体14の上側の所定エリアとなっている。この例の場合でも、剥離紙12の裏面12bには、剥離紙12の始端側より所定長Lに亘り、識別情報80とバーコード82がそれぞれ所定間隔で印刷されている。
【0039】
このように構成された剥離紙付きラベル10を用いて所定の情報が印字される。
【0040】
図1はこの発明に係るラベルプリンタ20の一例を示す要部の系統図であって、ラベルの残量表示機能を有する。
【0041】
図1において、モータ、この例ではステッピングモータ22によって、プラテンローラ24が駆動され、図2および図3にも示すように、このプラテンローラ24に圧接された剥離紙付きラベル10に対して所定の方向aに所定速度で走行力が付与される。剥離紙付きラベル10はステッピングモータ22によって1ピッチずつ順次紙送りされる。
【0042】
プラテンローラ24には剥離紙付きラベル10を介して印字ヘッド(この例ではライン状をなす感熱ヘッド)26が圧接され、印字ヘッド26に上述した印字レイアウト情報を供給することによって、レイアウト情報がラベル個体14に印字される。
【0043】
印字ヘッド26より所定の間隔Laだけ先行する位置にラベル個体14の検知手段30が配置されている。検知手段30としては、透過型の検知手段が使用される。そのため、図示するように剥離紙付きラベル10を挟んで一方には発光素子(発光ダイオード等)30aが配され、他方には受光素子(受光ダイオード)30bが配されてラベル個体14の検知手段30が構成される。透過率の違いからラベル個体14の貼着位置が検出される。
【0044】
検知手段30に近接した位置であって、検知手段30よりも先行する位置には、バーコードセンサ34が配置される。バーコードセンサ34は剥離紙12の裏面12b側にこの剥離紙12と所定の間隙を隔てて配置される。したがって、バーコードセンサ34は反射型センサが使用される。反射型センサも発光素子と受光素子が同一筐体内に収容されたものが使用され、反射率の違いからバーコード情報が読み取られる。
【0045】
剥離紙12の裏面12bにはバーコード82などが印刷されているため、図4あるいは図5に示すようにバーコードセンサ34は、バーコード82のほぼ中央部付近をセンスできるような位置(中央部付近)に配置される。これに対して、検知手段30(30a,30b)は、バーコード82および印刷エリア14aはセンスせず、ラベル個体14のみをセンスできるような位置に配置される。例えば、ラベル個体14の右端部寄りに配置する。そのため、印刷エリア14aは多少左寄りに設けられている。バーコードセンサ34は、検知手段30よりも後行する位置に配置することもできる。
【0046】
ラベルプリンタ20には印字ヘッド26よりも出口側に剥離紙付きラベル10、より具体的には剥離紙12を切断するカッタ手段32が配される。カッタ手段32は剥離紙付きラベル10を挟むように上刃32aと下刃32bが配されたもので、上刃32a、下刃32bのいずれか一方または双方を上下動させることで剥離紙12の切断処理が行われる。
【0047】
上述した剥離紙付きラベル10に対する一連の印字処理は、データ処理部40の制御の下で行われる。データ処理部40はコンピュータが使用され、ラベルプリンタ20の全体の制御を司るCPU42を始めとして、印字処理を行うに必要な制御プログラムが格納されたメモリ手段(ROM)44、ワーキング用のメモリ手段(RAM)45などでデータ処理部40が構成される。このデータ処理部40では、上述した印字処理時に、印字位置を制御する処理も併せて行われる。
【0048】
また受光素子30bで得たセンサ出力がI−V変換部46に供給されて電流電圧変換されたのち、データ処理部40に設けられた二値化処理部48で二値化される。同様に、バーコードセンサ34で取得したセンサ出力に対するI−V変換部47も設けられており、データ処理部40に設けられた二値化処理部49で二値化処理が行われる。
【0049】
データ処理部40で生成された印字データは印字データ出力部50を介して印字ヘッド26に供給される。このときデータ処理部40ではステッピングモータ22に対する駆動信号(ライン駆動信号)が生成され、この駆動信号に同期してプラテンローラ24が回転駆動されて1ラインずつ印字処理がなされる。剥離紙付きラベル10に対するカッタ処理信号もデータ処理部40で生成されるが、これについての詳細は割愛する。
【0050】
データ処理部40には、印字データなどを入力するための入力部(キーボード)52、入力印字データを表示する表示部(LCD等)54、入力した印字データ等をストアするメモリ手段56やラベル切れなどのときに使用するランプ、ブザーなどの警告手段58が関連付けられている。
【0051】
メモリ手段56はメモリフラッシュやカード状メモリ素子等、着脱できるリムーバブルメモリ手段などを利用できる。リムーバブルメモリ手段をメモリ手段56として使用する場合には、そのメモリ情報は印字情報としても利用することができる。データ処理部40にはさらにこの例ではUSB端子72が設けられ、印字レイアウト情報を作成する端末装置70との間での情報の授受が行われる。
【0052】
このようにCPU構成のこのデータ処理部40では、二値化処理、ラベル個体14の端面検出処理、ラベル走行制御処理、ラベルの残量表示処理などが実行されることになる。したがって、このデータ処理部40は残量枚数制御部としても機能することは明らかである。
【0053】
さて、上述したようにバーコード情報の中には、セットされたラベルの印字可能枚数を示す情報が含まれている。この印字可能枚数情報を読み取って印字可能枚数を表示すると共に、ラベル個体14への印字処理に併せて印字可能枚数の更新処理が行われる。そのため、ラベルプリンタ20にあっては、印字モードに移る前、換言すれば新品の剥離紙付きラベル10がプリンタ本体にセットされた段階で、バーコードを読み取るための読み取りモードが実行される。
【0054】
バーコード情報の読み取りモードは、剥離紙12を所定長だけ空送りしながらバーコード82の情報が読み取られる。剥離紙12を戻して、セットされた初期状態に戻すときもバーコード情報が読み取られる。そのため、剥離紙付きラベル10がセットされると、図6に示すような印字可能枚数の検知処理が自動的に実行される。
【0055】
図6を参照して説明する。まず、新品の剥離紙付きラベル(ロール紙)10がセットされたか、または交換されたかがチェックされる(ステップ90)。剥離紙付きラベル10のセットまたは交換は、プリンタ本体のロール紙収納蓋(図示はしない)の開閉を検知することで実現できる。以下は剥離紙付きラベル10がセットされたときを基準にして説明する。
【0056】
剥離紙付きラベル10がセットされたときは、剥離紙12を所定長だけ空送りしながら、バーコード82の読み取り処理が行われる(ステップ91)。
【0057】
剥離紙12はラベル個体14を基準にすると所定枚数分(例えば3〜5枚分)空送りされる。この所定枚数分はバーコード82にして2〜3個分である。空送りしながらバーコード情報が読み取られ、このバーコード情報よりラベルの印字可能枚数を示す情報が抽出されて、内部メモリ(メモリ手段)56にその情報が保存される(ステップ92)。
【0058】
空送りが終了すると、今度は剥離紙12を元の位置(印字初期位置)に戻す逆送処理が行われ、この逆送処理中にもバーコード情報の読み取り処理が行われる(ステップ93,94)。
【0059】
そして、2度読み取った印字可能枚数情報を照合する(ステップ95)。照合結果が一致したときはその情報を保存すると共に、印字枚数を表示部54に表示する(ステップ96)。その後、印字モードの待機状態に遷移する(ステップ97)。
【0060】
これに対して、2度の印字可能枚数情報が一致しなかったときは、再度バーコード82の読み取り処理およびその照合処理が行われる。この再処理は2〜3回程度行われる。ディフォルト値として「2」がセットされているときは、再処理が2度目かどうかが判別され(ステップ95,98)、2度目であるときは、ステップ91に遷移して、上述した読み取り処理と照合処理が行われ、それでも一致しなかったときは、エラー表示を行う(ステップ98,99)。エラー表示は「再度ロール紙をセットし直して下さい」のようなメッセージが考えられる。エラー表示をしてから印字モードの待機状態に遷移することで、印字可能枚数の検出制御処理が終了する(ステップ99,97)。
【0061】
印字モードになると、印字レイアウト情報の存在を確認して、指定された枚数分の印字処理が行われる。これに同期してラベルの残量表示処理が行われる。この残量表示処理は印字可能枚数の更新処理である。
【0062】
図7はこの残量表示処理例を示す。まず、初期値として印字可能枚数(初期値)が表示される(ステップ101)。次に、ラベル印字処理をチェックし、ラベル個体14への印字処理がなされたときは(ステップ102)、この印字処理に同期して印字可能枚数の更新処理が行われる(ステップ103)。この更新処理は印字可能枚数の減算処理である。減算処理としてカウンタを使用する場合には、印字可能枚数を初期値としてセットしてからのカウントダウン処理である。 この更新処理によって、これから何枚印字できるか、あるいは既にラベル個体を何枚印字したかを知ることができる。表示部54に印字した枚数を表示したり、同時に印字可能枚数の初期値をそのまま表示しておくことで、印字済みのラベル枚数などを簡単に確認できる。
【0063】
そして、最終のラベル個体14への印字が検知されると(ステップ104)、印字可能枚数は「0」表示となり、剥離紙付きラベル(ロール紙)10を交換すべき表示がなされて残量表示処理が終了する(ステップ105)。交換を促す表示としては、例えば「剥離紙付きラベルを交換して下さい」のような表示が考えられる。
【0064】
上述した実施例では、新品の剥離紙付きラベル10をセットしてからの印字可能枚数の表示処理について説明した。剥離紙付きラベル10を使い切ったときは、プリンタ本体から外し、新品に交換する。このときは、メモリ手段56の印字可能枚数情報を削除(クリア)すると共に、表示部54に表示された表示内容をリセットすることで、上述したと同じような表示処理が可能になる。枚数の異なる剥離紙付きラベルがセットされる可能性があるからである。
【0065】
なお、剥離紙12に印刷されたバーコード82が2次元バーコードの場合には、ラベル個体14の検知手段30としてスキャナーが使用されることになる。
【実施例2】
【0066】
上述した実施例1では、同じ種類の剥離紙付きラベルを使用する場合について説明したが、サイズの異なる剥離紙付きラベルがセットされたときも同様な印字可能枚数および残量表示処理が可能である。
【0067】
また、既に途中まで使用されている、新品ではない剥離紙付きラベルがセットされる場合がある。この場合にはバーコードから印字可能枚数の残量に関する情報を読み取ることができないので、ユーザに対しては、入力部52を使用して、セットしようとする剥離紙付きラベル10のロール径を入力するように促す。そして、ロール紙の芯部の直径を予めメモリ手段56に保存しておく。データ処理部40では入力されたロール径と芯部の直径から印字可能枚数を算出して、これを表示する。ロール径が判れば、大凡これから印字できるラベル個体14の枚数を算出できるからである。直前まで表示されていた残量表示はリセットされる。
【0068】
ロール径による残量表示の場合には表示部54に表示された印字可能枚数および残量表示枚数は概算値であることを示す情報も併せて表示する。例えば、「おおよそ」のような文字を表示数値の前もしくは後ろに表示することで、ユーザの注意を促す。このような処理を行えば、既に使用された剥離紙付きラベルであってもその概算値を正式な残量枚数として誤認されるおそれはない。
【0069】
なお、上述した実施例はあくまでもこの発明の一例にすぎないので、この発明の思想を逸脱することなく、種々の変形、変更が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0070】
この発明は物流業界、製品メーカ、スーパーマーケット等で使用されているラベルプリンタに適用できる。
【符号の説明】
【0071】
10・・・剥離紙付きラベル、12・・・剥離紙、14・・・ラベル個体、12a・・・表面、12b・・・裏面、14a・・・印刷エリア、14b・・・印字エリア、20・・・ラベルプリンタ、22・・・ステッピングモータ、26・・・印字ヘッド、30・・・検知手段、34・・・バーコードセンサ、40・・・データ処理部、42・・・CPU、W・・・ラベル間隔、80・・・識別情報、82・・・バーコード、L・・・バーコード印刷長

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロール状に巻かれたラベル用剥離紙の一の面に貼着されたラベル個体と、
上記剥離紙の他の面にその始端側から終端に亘り所定間隔で印刷された、上記ラベル個体の関連情報を示す同一パターンのバーコードとを有し、
上記関連情報には上記剥離紙に貼着された上記ラベル個体の総数の情報が含まれる
ことを特徴とする剥離紙付きラベル。
【請求項2】
ロール状に巻かれたラベル用剥離紙の一の面に貼着されたラベル個体と、
上記剥離紙の他の面にその始端側から終端に亘り所定間隔で同一パターンで印刷された、上記ラベル個体の総数の情報を含むバーコード情報を読み取るバーコードセンサと、
上記バーコード情報を読み取り、読み取ったバーコード情報に含まれるラベル個体の総数を表示すると共に、ラベル印字の都度上記ラベル個体の総数を減算表示する残量枚数制御部とを有する
ことを特徴とするラベルプリンタ。
【請求項3】
上記バーコード読み取りタイミングは、印字処理前である
ことを特徴とする請求項2記載のラベルプリンタ。
【請求項4】
上記剥離紙を空送りしながら上記バーコードの読み取りが行われる
ことを特徴とする請求項2記載のラベルプリンタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−255581(P2009−255581A)
【公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−175644(P2009−175644)
【出願日】平成21年7月28日(2009.7.28)
【分割の表示】特願2005−346080(P2005−346080)の分割
【原出願日】平成17年11月30日(2005.11.30)
【出願人】(000006301)マックス株式会社 (1,275)
【Fターム(参考)】