説明

創傷治療用デバイスならびに創傷パッドの製造方法

低減圧力を用いて創傷を治療するためのデバイスであって、当該デバイスは、ポンプ(7)と、創傷(1)からの滲出液を収集するためにポンプに接続されたリザーバ(6)と、ポンプ(7)が創傷を低減圧力にさらすことを可能とするためにリザーバを創傷(1)と接続するためのリザーバ(6)への吸入口、創傷キャビティ内に配置される創傷パッド(2)および創傷および創傷パッドを覆うシーリング(3)とを具備してなる。創傷パッド(2)は、軟質な疎水性シリコーンゲルが完全に含浸させられたオープンセルポリウレタンフォームからなり、かつ、フォームは、40%圧縮状態で、ISO3386‐1に基づいて測定したとき、1.0〜6.0kPaの硬さを有する。本発明はまた、吸収部材と共に使用される、そうした創傷パッドに関する。さらに本発明は創傷パッドを製造するための方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、低減圧力を用いて創傷を治療するためのデバイスに関するものであり、当該デバイスは、
低減圧力を付与できるポンプと、
創傷から滲出液を収集するために上記ポンプに対して接続されたリザーバと、
ポンプが、創傷を低減圧力にさらすことを可能とするために、リザーバを創傷と接続するためのリザーバへの吸入口、創傷キャビティ内に配置される創傷パッドおよび創傷および創傷パッドを覆うシーリングと、を具備してなる。本発明はまた創傷を治療するためのデバイスに関し、当該デバイスは、創傷キャビティ内に配置される創傷パッドと、創傷からの滲出液を収集するための吸収部材と、創傷、創傷パッドおよび吸収部材を覆うシーリングとを具備してなる。さらに本発明は、軟質な疎水性シリコーンゲルが完全に含浸させられたオープンセルポリウレタンフォームからなる創傷パッドを製造するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
さまざまな創傷、たとえば感染創傷、糖尿病創傷、とこずれ、あるいは深い創傷の治療のための、さまざまな方法が以前から知られている。
【0003】
負圧を用いた、たとえば手術創傷あるいはその他の液体排出創傷の排液は、数十年にわたって使用されてきた標準的な治療である。こうした用途のための手動式吸引ポンプの例は特許文献1に開示されている。
【0004】
上記文献には、オープンセルフォーム、好ましくはポリウレタンフォームからなる弾性的に圧縮可能なボディの形態のポンプが開示されている。当該ボディはまた、創傷から排出された滲出液用のキャニスターとしても機能する。ポンプは、48時間以上、15〜80mmHgの負圧を保持する能力を有することが記載されている。排出チューブは、創傷キャビティ内に穿孔端部を用いて配置されており、かつ、チューブを介してポンプに対して接続されている。
【0005】
類似のデバイスが特許文献2に開示されている。当該文献には特に、負圧は、創傷からの創傷流体を排出することに加えて、創傷の縁を互いに押圧し、これによって急速な組織の組織肉芽形成および創傷の治癒を刺激することが記載されている。二つの上記文献は、それゆえ、創傷の真空治療が創傷の治癒を促進することを教示している。
【0006】
真空治療、低減圧力での治療および負圧を用いた治療との語句は、文献中では、代替的に使用されている。本願明細書中でこの用語のいずれかを使用する場合、当該用語は常に、標準大気圧以下の圧力での治療に関する。
【0007】
深い創傷の治療はまた、古くから、創傷に対して洗浄液体を付与し、その後、注入された液体および洗浄前に創傷内に存在していた膿および細菌を排出することによって行われていた。そうしたデバイスの実例は特許文献3および4に開示されている。
【0008】
負圧下、すなわち大気圧以下の圧力での創傷の連続かつ間欠的治療の効果の大規模な研究が、ロシアの研究所において1980年台に行われた。ある人物は、真空治療の助けによって、治り難く通常はゆっくりと治癒する創傷が、従来の治療に比べて、かなり早期に治癒することを確証することができた。
【0009】
ある人物は、とりわけ、低減圧力での治療は著しい抗菌作用を実現することを示すことができた。上記ロシアの研究は非特許文献1のいくつかの記事において説明されている。
【0010】
上記学術誌からの関連する記事は以下のとおりである。
1)Kostiuchenok他、1986年9月、18〜21ページ
2)Davydov他、1986年9月、66〜70ページ
3)Usupov他、1987年4月、42〜45ページ
4)Davydov他、1988年10月、48〜52ページ
5)Davydov他、1991年2月、132〜135ページ
【0011】
非特許文献2には、真空治療は組織肉芽形成および(従来の治療では非常に治り難い)創傷の収縮を促進することが記載されている。
【0012】
創傷の真空治療はまた、特許文献5〜9に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】米国特許第3,742,952号明細書
【特許文献2】米国特許第4,525,166号明細書
【特許文献3】米国特許第5,385,494号明細書
【特許文献4】米国特許第4,382,441号明細書
【特許文献5】米国特許第4,969,880号明細書
【特許文献6】米国特許第5,645,081号明細書
【特許文献7】米国特許第5,636,643号明細書
【特許文献8】米国特許第6,855,135号明細書
【特許文献9】国際公開第2006/025848号パンフレット
【非特許文献】
【0014】
【非特許文献1】ロシア医学学術誌Vestnik Khirurgii
【非特許文献2】Chariker他著、学術誌Contemporary Surgery、No.34、1989年6月
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
創傷の真空治療用のこれまでに知られたデバイスは、あらゆる観点から満足できるものではなかった。たとえば、特許文献6は、オープンセルフォームの形態の創傷パッドを開示している。細胞の成長は組織がフォームの空隙内へと成長できる場合に刺激されるが、形成された組織が空隙内で固着してパッドを創傷から剥がす際に傷付くリスクが存在すると考えられる。ひどく、深い創傷において使用するための創傷パッドの改善が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明によって、冒頭に述べたタイプの改良デバイスが実現された。本発明に基づくデバイスは、創傷パッドが、軟質な疎水性シリコーンゲルが完全に含浸させられたオープンセルポリウレタンフォームからなり、かつ、当該フォームは、40%圧縮状態で、ISO3386‐1に基づいて測定したとき、1.0〜6.0kPaの硬さを有するものであることを特徴とする。
【0017】
一実施形態によれば、本発明はさらに、フレームの密度が、ISO845に基づいて測定したとき、20〜40kg/m、好ましくは25〜35kg/mであることを特徴とする。
【0018】
一実施形態によれば、本発明はさらに、25%伸長状態におけるフォームが、付録A(Appendix A)において説明された方法に基づいて測定されたとき、6kPaよりも高いぬれ弾性、および13kPaよりも高い乾燥弾性を有することを特徴とする。
【0019】
一実施形態によれば、本発明はさらに、シリコーンゲルが、オープンセルフォームのパッドの断面にわたって均一に配分されていることを特徴とする。
【0020】
一実施形態によれば、本発明はさらに、オープンセルフォームには、JEOL、モデルJXA−8600などの、Energy Dispersive Spectrometerを備えたElectron Probe Micro Analyser(EPMA/EDS) を用いて撮影した写真を観察することによって認められるようにシリコーンゲルが完全に含浸させられていることを特徴とする。
【0021】
一実施形態によれば、本発明はさらに、セルの直径は、Visiocell SS‐T.013.4Eに基づいて測定した場合に、500〜1800μm、たとえば1100〜1500μmであることを特徴とする。このタイプのフォームは、たとえばBelgian firm Recticelによって販売されている。
【0022】
進歩的コンセプトは創傷キャビティ内に配置されることを意図された特殊な創傷パッドである。本発明はまた、低減圧力を使用することなく創傷を治療するためのデバイスに関する。変形すなわち低減圧力を使用しない実施形態によれば、創傷キャビティ内に配置される創傷パッドと、創傷からの滲出液を収集するための吸収部材と、創傷、創傷パッドおよび吸収部材を覆うシーリングとを具備してなるデバイスは、創傷パッドが軟質な疎水性シリコーンゲルが完全に含浸させられたオープンセルポリウレタンフォームからなり、かつ、フォームは40%圧縮状態においてISO3386‐1に基づいて測定した場合に1.0〜6.0kPaの硬さを有するものであることを特徴とする。
【0023】
一実施形態によれば、上記フォームはさらに、セルの直径が、Visiocell SS‐T.013.4Eに基づいて測定した場合に、500〜1800μm、たとえば1100〜1500μmであることを特徴とする。
【0024】
本発明はまた、創傷パッドを製造するための方法に関する。本発明に基づく当該方法は、未硬化状態のシリコーンゲルがフォームからなるウエブの一面に塗布され、シリコーンゲルが塗布されたウエブは一対のプレスロールを経てプロセスペーパーからなる二つのウエブ間に供給され、このプレスロール間で、シリコーンゲルが塗布されたフォームはフォームの全断面にわたってゲルを配分するために圧迫され、フォームウエブからの余分なシリコーンゲルが付着したプロセスペーパーからなる二つのウエブがフォームウエブから分離させられ、フォームウエブは、その後、シリコーンゲルの硬化のために加熱されることを特徴とする。
【0025】
一実施形態によれば、本方法はさらに、シリコーンゲルの硬化は、熱風炉内で、約100℃の温度で、約1〜5分間、好ましくは約3分間、行われることを特徴とする。
【0026】
一実施形態によれば、本方法はさらに、プレスロール間の圧力は約5barであり、この圧力は最適な含浸のために調整可能であり、フォームウエブの完全な含浸の調整はプロセスペーパーからなる二つのウエブを点検することによって行われ、これらの両ペーパーウエブは、フォームウエブが完全に含浸させられたとき、シリコーンゲルによってコートされることを特徴とする。
【0027】
以下、図示する実施形態を参照して、本発明について、さらに詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】使用中の本発明に基づくデバイスの第1実施形態の概略斜視図である。
【図2】図1のデバイスの部品の分解図である。
【図3】図1および図2のデバイスの細部の分解図である。
【図4a】吸入チューブにおけるワンウェイバルブの第1実施例の概略図である。
【図4b】吸入チューブにおけるワンウェイバルブの第1実施例の概略図である。
【図5a】吸入チューブにおけるワンウェイバルブの第2実施例の概略図である。
【図5b】吸入チューブにおけるワンウェイバルブの第2実施例の概略図である。
【図6】本発明に基づくデバイスの第2実施形態の概略図である。
【図7】本発明に基づくデバイスの第3実施形態の概略図である。
【図8】本発明に基づく創傷パッドの製造方法の概略図である。
【図9】本発明に基づく含浸フォームの一例の電子顕微鏡イメージである。
【図10】図9と同様の図であるが、断面にわたるシリコーンゲルの分配を示している。
【発明を実施するための形態】
【0029】
図1は、使用中の、本発明に基づくデバイスを示している。創傷1は大まかに示している。創傷キャビティ内には、たとえばオープンセルフォームからなる創傷パッド2が配置されている。プラスチックフィルム3はシーリングとして機能すると共に、創傷および創傷パッドを被覆する。プラスチックフィルムは、創傷の周囲で患者の皮膚に対して貼り付けられる。当該フィルムには小さな孔が創傷上に配置され、かつ、アダプター4が、創傷および創傷パッドを、吸入チューブ5を用いて、リザーバ6に接続するために配置されている。リザーバは吸引ポンプに接続されるが、これは7で大まかに示されている。ポンプは電動ポンプであってもよく、これは約10〜25kPaのリザーバおよび創傷内の低減圧力を付与できる。
【0030】
アダプター4およびシーリング3の構成および機能は、本願の同時係属スウェーデン国特許出願第0701546-4号明細書に詳しく説明されている。これらの部品を詳しく説明する代わりに当該出願を引用したが、その内容は本明細書中に組み込まれる。アダプター4は吸引チューブ5と、ルアーロック接続部8を用いて接続される。
【0031】
本発明に基づくデバイスは、創傷の治癒を促進するために、創傷を低減圧力にさらすよう構成されている。本発明に基づくデバイスは、漏れインジケータ9を備えるが、これは、リザーバ内の圧力が所定の圧力を上回ったかどうかを知らせるよう構成されている。図1には、リザーバからの排出チューブ11上のルアーロック接続部の雌部分10が示されている。吸引ポンプ7に接続可能でありかつフレキシブルなプラスチック素材、たとえばPVCから製造される排出チューブ11は、ロッククリップ12を備える。ロッククリップは、排出チューブが吸引ポンプに接続されているときには開放状態であり、そして、吸引ポンプがデバイスから分離させられるときにはユーザーあるいは看護人によって閉塞することができる。
【0032】
図2を参照してリザーバ6について説明する。リザーバは第1の圧縮可能要素20を含むが、これは圧縮後に弾性的に拡張するよう構成されている。要素20は相互接続された空洞を含む。「相互接続された空洞」との語句は、空気が完全に要素を通過できることを意味する。この第1の要素の目的は、吸引源が切り離された後に数時間にわたって低減圧力を保持できる容積を創出することである。好適な素材は、オープンセルフォーム、たとえばEurocel130の商品名で販売されているポリエーテルポリオールベースの高密度ポリウレタンフォームであるが、これは、極めて弾力性に富み、ISO845に基づいて測定した場合に110〜130kg/mの密度を有する。図2に基づく実施形態では、第1の要素は、下側部材201および二つの分離した上側部材202および203からなる。リザーバ6はまた第2の要素を含むが、それは、その自重の数倍の量の創傷流体を吸収でき、しかも物理的な圧力下でそれを保持する。好適な素材は、Pilotbond DT360という商品名の吸収素材である。この素材は繊維状ウエブの形態で供給され、図では参照数字21を用いて示されている。図2に基づく実施形態では、上記超吸収ウエブのいくつかの層が第1の要素20の対向する主面上に設けられている。
【0033】
リザーバはカバー内に収容されているが、これは、比較的硬質な素材からなる底板22と、この底板に接合されたプラスチックフィルム23とを具備してなる。好適なプラスチックフィルムの例は、150μmの厚みのポリウレタンフィルムである。プラスチックフィルム23は、液体が吸収された際に超吸収材が膨張することを可能とするために、空のリザーバにとって必要であるものに関して余分な素材を伴って配置されている。図2に示すように、プラスチックフィルム23および超吸収性ウエブは、第1の要素の二つの上側部材202,203間の中央部分において押し潰されている。こうした構造によって、リザーバは中央ヒンジ204を得るが、これは、ユーザーの丸みを帯びた体の一部分の上でのリザーバの取り付けを容易なものとする。底板22は、図示する実施形態では、デバイスの他の部品のためのシャーシとして機能するよう構成されている。底板用の素材の例はポリウレタンラバーである。だが、底板に関する素材の選定は重要なことではない。図示する実施形態では、漏れインジケータ9は底板上に配置されている。吸入チューブ5は、漏れインジケータの下方の底板のチャネル内でリザーバ内へと延在しており、かつ、ワンウェイバルブ24で終端をなしているが、これは、気体および液体が創傷からリザーバへ向かう方向に流れることを可能とするよう構成されている。
【0034】
第1の要素20(これは、図示する実施形態では、オープンセルPURフォームである)は、通気性がある液密層25内に収容されている。この層は第1の要素の周りでパウチを形成しているが、このパウチは、排出チューブ11がリザーバに入り込むリザーバの端部においてのみ開放状態である。排出チューブ11はポケット26を介してリザーバ内に入り込み、かつ、パウチ内に挿入され、かつ、その自由端部110が当該パウチの底240に近接した状態でパウチ内で延在している。通気性がある液密パウチ内で排出チューブを配置した目的は、上記ワンウェイバルブ24を経てリザーバに流入する創傷からの液体が排出チューブを経て吸い出されるのを妨げることである。
【0035】
第3の要素(これは高い液体拡散能力を有し、かつ、図示する実施形態では二つの部分からなる)は、リザーバの大部分にわたって、リザーバによって吸収された液体を広げるよう構成されている。上記部品の一方は上側部品202と第1の要素の下側部品201のちょうど対向する部分を取り囲み、かつ、他方は、上側部品203と下側部品201のちょうど対向する部分を取り囲む。液体を拡散する第3の要素は、図2に示すように、パウチ25の外側に配置されている。
【0036】
超吸収性素材からなる上記第2の要素21は、第1の要素の両主面上に複数層に配置されている。第2の要素は、第3の要素およびパウチ25の外側に配置されており、そしてこれによって、上記液体拡散要素によって、そしてさらに通気性を有する液密パウチ25によって、第1の要素から分離させられている。超吸収性層は、貫通孔210を備えたワンウェイバルブ24の直ぐ前方に存在する。ワンウェイバルブ24を経てリザーバ内に吸引された創傷からの液体は、当該孔210を通過し、そして、液体が超吸収性要素によって吸い取られる前にリザーバの全体にわたって液体を効果的に拡散する液体拡散要素に達する。この要素は、その自重の数倍の量の創傷流体を吸収できるが、液体拡散能力は低い。拡散要素27の使用はそれゆえこの機能のために重要である。超吸収性素材のウエブ、第2の要素21は、それらが液体を吸収するときに膨張する。プラスチックフィルム23は、空のリザーバにとって必要なものに関して余分な素材を伴って配置されているので、超吸収材は、カバー内の利用可能な容積が完全に使用されるまで、液体が吸収されるときに自由に膨張できる。圧縮可能な第1の要素は、超吸収性素材が液体で飽和状態となった後に、まず液体を吸収する。排出チューブの自由端部110は液密パウチ25の底250に近接している。液体は、開口251を経てのみパウチ内に流入できる。したがって、液体が自由端部110を経て排出チューブに流入することはあり得ない。安全のために、超吸収材からなる部片31が排出チューブ11内に設けられている。上述したように超吸収性ウエブからなる部片を使用することができる。対にされそしてその後排出チューブ内に挿入された上記ウエブの長尺片は、液体のための効果的なバリアを形成する。超吸収材は膨張し、そして液体がポンプに達するのを阻止する。
【0037】
本発明に基づくデバイスが患者の創傷上で使用される場合、ポンプは、リザーバおよび創傷内に、低減圧力、すなわち大気圧以下の圧力を創出する。第1の圧縮可能な要素は、この低減圧力によって押し潰される。
【0038】
低減圧力を用いた創傷治療の間、もし、ポンプを切り離すことを望む場合、これは、治療に悪影響を与えることなく行える。チューブクリップ12は、ポンプを切り離す前に閉じられる。圧縮された第1の要素、オープンセルフォームは、ポンプが切り離されたとき、リザーバおよび創傷内の低減圧力を維持する。システムは漏れを生じるが、これは、圧縮された要素の弾性的膨張によって補償される。リザーバは、上述したように、たとえば、低減圧力が少なくとも10時間にわたって許容可能なレベルで維持されるような寸法とすることができる。許容可能なレベルは、負圧が60mmHg以上である。真空治療中の好適な負圧は、大気圧下約120〜130mmHgである。システムが10時間にわたって満足に機能するような寸法とされる場合、負圧は、この時間の間、60mmHg以下に低下すべきではない。
【0039】
ポケット26は、底板22上に配置されており、かつ、それを経て排出チューブおよびチューブクリップをポケット内に挿入できる開口260を備える。
【0040】
創傷の真空治療に伴う一つの重要な問題は、上述したように、空気漏れのために創傷内で意図した低減圧力を維持するのが極めて困難なことである。
【0041】
漏れインジケータ9が、リザーバ内の圧力が所定の圧力を上回ったかどうかを示すために配置されている。漏れインジケータは底板22上に固定されている。チャネル30が、リザーバの内部をインジケータ内の空間と接続している。
【0042】
漏れインジケータの実施形態の構成および機能について、図3の分解図を参照して説明する。
【0043】
漏れインジケータ9はベースプレート910を備えたハウジング91を具備してなるが、これは、図2に示すように、底板22上に固定されている。底板のチャネル30が、リザーバの内部をハウジング91の内部と接続している。
【0044】
ハウジングの内部には膜92が配置されているが、これは、上記チャネル30を介して、リザーバの内部とつながった空間を覆っており、かつ、ハウジングの周囲内壁に対してその周面920の周りでシールされている。ボウル状上面を備えた基礎プレート93が底板22上に配置されている。膜92の下方の空間を上記チャネル30を介してリザーバの内部と接続するための孔931が基礎プレート93に配されている。スプリング94が膜の下の上記空間内に配置されている。このスプリングは基礎プレート93と膜92との間に固定されている。スプリングは、膜が図3に示すようにドーム形状である場合に、それが無負荷状態にあるように配置されている。
【0045】
指示ボタン95がロッド921を介して膜92に連結されているが、これは、膜の中央に設けられており、かつ、それがただ膜の大部分をカバーするような小さなサイズの断面を有する。指示ボタンは、ハウジング91とは明確に異なる色が付与された底部951を具備してなる。指示ボタンは中間色の上端部952を有し、かつ、ハウジングの開口911を経てボタンが上向きに移動するのを制限するよう構成されたフック953を備える。
【0046】
漏れインジケータが、リザーバ内の圧力が所定の圧力を上回ったかどうかを示すために配置されている。スプリングは、この空間、すなわちハウジング内の膜の下方の空間内の圧力と、大気圧に抗して、協働するように配置されており、これによって、上記空間内の圧力が上記所定の圧力以下であるときには上記スプリングは圧縮状態に置かれ、かつ、ガスバリア内の圧力が上記所定の圧力を上回ったことを知らせるためにハウジング91の上記周壁の外側で指示ボタンが可視状態となるように伸張する。
【0047】
膜の好適な素材の例はPUR/EVOH/PURからなる80μm厚のフィルムであり、このものではエチレンビニルアルコール(EVOH)がガスバリアを形成する。そうしたフィルムはEpurex LPT9036という商品名で販売されている。好適なスプリングは、Lesjofors Stockholms Fjader AB社から入手可能なスプリングNo.1128である。
【0048】
図4aは、吸入チューブにおけるワンウェイバルブの第1実施例をどのように製造できるかを示している。吸入チューブの外径よりも大きな内径を有するチューブ40が、まず、吸入チューブの上を前進させられる。吸入チューブの外径はたとえば約2mmである。厚手のチューブと比べた場合のそうした薄手のチューブの利点は、曲げが、チューブを通る気体および液体の輸送をブロックする折り曲げ部を生じるという実際的なリスクを伴わずに、チューブを急激に曲げることができるということである。一面側をシリコーンゲルでコートされた薄いポリウレタンフィルム41は、ゲルがゲルに接した状態で端部50にわたって二重に折り曲げられる。フィルム41は好ましくは20μmの厚みを有し、かつ、張り付け時には20×20mmのサイズ、すなわち扱いやすいサイズを有する、折り曲げられたフィルムは、チューブ5の上に10mmかつ外側に10mmだけ、端部50の周りに貼り付けられ、そして破線42に沿って切断される。フィルムは、折り曲げられたフィルムは、距離A(好ましくは約5mm)だけチューブの端部の外側に、そして約4mmの距離Bだけ側方に延在するように切断される。チューブ40は、続いて、チューブが、図4bに示すようにフィルム上に配置されるよう、すなわち切断されたフィルムの両端の外側に約同じ距離だけ突出するように、切断されたフィルムの上を前進させられる。好適なシリコーンゲルの例は、Dow-Corning Q7‐22という商品名でDow Corning社によって販売されている疎水性シリコーンゲルである。フィルム41上に塗布された40g/mの厚みのシリコーンゲル層は意図された目的のために機能する。形成されたワンウェイバルブは以下のように機能する。
【0049】
低減圧力が吸引ポンプによって生じたとき、チューブ5の端部の外側に距離Aだけ延在するフィルムの一部によって形成されたバルブ膜は、空気および創傷からの液体の吸引を可能とする開放チャネルを形成する。リザーバ内の圧力が創傷内の圧力よりも高い場合、創傷滲出液が創傷へと吸い戻されるリスクはない。バルブ膜、すなわちチューブ5の端部の外側に延在するフィルム部分によって形成されたチャネルは一緒に押し潰され、そして、薄いフィルムによって形成されたチャネルの外側の圧力がチャネル内の圧力よりも高くなったときチャネルを閉鎖する。チャネル壁の内面上のシリコーンゲルは互いに密着し、密封シールを形成する。外側チューブ40は、上記フィルム部分によって形成されたチャネルの周りでシールドとして機能し、そして膜を形成するフィルム部分は、創傷とリザーバとの間の空気圧によってのみ影響を受ける。すなわち、ワンウェイバルブ周りの物理的圧力は外側チューブ40によって除去される。ワンウェイバルブは、リザーバ内の圧力が創傷内の圧力を下回るまで低減されたときに再び開く。上記ワンウェイバルブ24はまた図2に示されている。
【0050】
図5aおよび図5bに代替ワンウェイバルブを示す。
【0051】
ワンウェイバルブ240は、二つの主面243,244を備え、かつ、その周縁241の周りで閉じられ、かつ、チューブからバッグへのバッグ導入口を形成するためにチューブ端の周りでシールされたバッグの形態を有する。バッグは、上記面の一方243上に開口242を有する。ワンウェイバルブは、創傷からの気体および液体が上記バッグ導入口を経てバッグ内に流入すること、およびバッグの周囲の圧力が創傷におけるよりも低くなったときに上記バッグ開口を経て出て行くことを可能とするために、二つの主面が互いにある距離を置いた状態では開放されている。ワンウェイバルブは、バッグの周りの圧力が創傷におけるよりも高くなった場合に上記バッグ開口の周りで上記主面243,244が互いに押し付けられることで閉じられる。ワンウェイバルブ240は図5bにおいて断面で示されている。
【0052】
シールド400(これは図4aおよび図4bに基づく実施形態におけるチューブ40と同じ役割を果たす)は図5bにのみ大まかに示されており、その中で、創傷とリザーバとの間の圧力差のみに影響されてバッグが自由に膨張できる空間を画定する。シールドは相対的に形状安定性を有し、使用中にリザーバに生じ得る大きさの物理的圧力に耐えるべきである。バッグは、好ましくは、約20μmの厚みを備えたPURフィルムから形成され、そしてバッグの内面を形成する側が40g/mの厚みの疎水性シリコーンゲル層によってコートされている。図5bにおいて、シリコーンゲル層は246で示されている。図4aおよび図4bに基づく実施形態におけるように、対向する主面上のシリコーンゲル層は互いに密着し、そして主面242および243が互いに押圧されたとき開口の周囲に密封シールを形成する。
【0053】
図6に基づく実施形態では、図1におけるものと同じ部品に対応する部品には同じ参照数字を付与している。図6に基づく実施形態におけるリザーバ6は排出チューブを欠いており、そして外部ポンプには接続されていない。リザーバの残部は、図示するように、カバー内に、たとえばプラスチックフィルム23内に第2のワンウェイバルブ60が配置されていることを除いて、図2に関して説明されるように形成されている。
【0054】
第1の要素20は、図6に基づく実施形態では、上記吸引ユニットとして機能するよう構成され、そして手で押圧したときに低減圧力を付与することができる。第2のワンウェイバルブ60は、圧迫中に上記吸引ユニットから気体が流れ出ることを可能とするが、逆方向には流れ出ないようにするために、カバー内に配置されている。
【0055】
好ましい実施形態では、第1の要素はオープンセルフォームであるが、これはヒンジ204を有し、それに沿ってフォームを折り曲げることができ、そして第2および第3の要素およびカバーはこの折り曲げを許容するよう配置されている。ヒンジは、リザーバを二つの部分に物理的に分割するよう配置されており、そしてリザーバは、圧縮可能な第1の要素の手動圧迫を容易なものとするために当該ヒンジに沿って折り曲げることができる。
【0056】
創傷キャビティを用いて創傷を処置する場合、キャビティを創傷パッドによって満たすことが治癒のために重要である。さらに、創傷流体が吸収され、そして創傷パッド内で保持されるのを回避するために、そうした創傷パッドは疎水性を有することが重要である。そうした創傷パッドのさらなる要件は、パッドが創傷組織に対して張り付かないことである。これは、既存のパッド、たとえばガーゼに付随する深刻な問題であり、パッドを交換する際に創傷が傷付くことがある。この問題は、食塩水でガーゼを湿らせることによって、ある程度は回避できる。既存の創傷パッド、たとえばガーゼに付随するさらなる欠点は、繊維の毛羽立ちである。抜けた繊維は創傷に張り付くが、これは今度は炎症を引き起こすことがある。
【0057】
オープンセルフォームを創傷パッドとして使用することは早くから知られていた。オープンセル高分子フォームの使用は、たとえば上述した特許文献7に開示されている。本発明に基づく創傷パッドは、フォームに軟質な疎水性シリコーンゲルを完全に含浸させたことによって著しく改善されている。シリコーンゲルを使用した利点は、含浸オープンセル創傷パッドは、シリコーンゲルを含まないオープンセルフォームからなる創傷パッドに比べて、創傷からより容易に剥がすことができることである。フォームにシリコーンゲルが含浸させられていることが、すなわちシリコーンゲルがフォームの隅々まで配分されていることが重要である。細胞の成長、すなわち創傷の治癒のためには、細胞がオープンセルフォームの空隙内へと成長できることが有利である。既存のオープンセルフォームが抱えている欠点は、成長中の細胞はフォームの空隙内に固着することがあり、パッドを剥がすときに治癒が妨害されるというものである。こうしたリスクは、フォームに疎水性シリコーンゲルを完全に含浸させた場合に排除される。シリコーンゲルを含まないフォームと比較した、シリコーンゲルが含浸させられたフォームのさらなる利点は、含浸フォームによって、創傷流体が創傷パッド内に溜まり、創傷へと漏れ戻るリスクが実質的に排除されることである。シリコーンゲルをフォームパッドに完全に含浸させたことによる他の利点は、パッドからフォーム粒子が剥がれ、創傷に張り付くリスクが実質的に排除されることである。シリコーンゲルは構造体を強化する。シリコーンゲルが存在しない場合には、パッドが創傷キャビティ内にフィットするようにカットされた場合にフォームの破片が分離するというリスクが生じる。
【0058】
好適なフォームの例は、ポリエステルあるいはポリエーテルベースの網状フォームである。
【0059】
好適なシリコーンゲルの例は、二成分、すなわちWacker Elastosil 45554 PartAおよびWacker Elastosil 45554 PartBからなるゲルである。こうした製品はWackerによって上記商品名で販売されている。
【0060】
フォームは、それが創傷面を過度に押圧せず、かつ、患者を傷付けないよう十分に柔らかく、ただし、それは、創傷キャビティがフォームによって支持されるように十分な剛性を有していなければならない点が重要である。フォームの硬さは、40%圧縮状態においてISO3386‐1に基づいて測定した場合に、好ましくは1.0〜6.0kPa、さらに好ましくは1.5〜5.0kPaであるべきである。
【0061】
フォームの密度は、ISO845に基づいて測定した場合に、20〜40kg/m、より好ましくは25〜35kg/mである。フォームはまた、創傷キャビティを満たすことを意図された創傷パッドとして都合よく振舞うために、ある程度の弾力性を有している必要がある。好ましくは、フォームは、付録Aに記載した方法に従って測定した場合に、25%伸びにおいて、ぬれ試験サンプルの(測定された力1.5Nを表面積(0.015m×0.015m)625 !0−6で割って得た)6kPaよりも高いぬれ弾力性を、そして(測定された力1.5Nを表面積(0.015m×0.015m)625 !0−6で割って得た)13kPaよりも高い乾燥弾力性を有する。
【0062】
オープンセルフォームの好適なセル直径は、Visiocell SS‐T.013.4Eに基づいて測定した場合に、500〜1800μm、好ましくは1100〜1500μmである。この種のフォームは、たとえば、Bslgian firm Recticelによって販売されている。
【0063】
本デバイスについて、負圧での、すなわち電動あるいは手動ポンプの使用を伴う創傷治療に関連付けて説明してきた。
【0064】
だが、進歩的なコンセプトは、特殊なオープンセルフォームであり、これはシリコーンゲルが完全に含浸させられている。図7に大まかに示すように、創傷パッド2は吸収部材70と一緒に創傷内で使用できるが、これは、(シリコーンゲルが完全に含浸させられた)オープンセル創傷パッド2を経て創傷から創傷液体を吸い出す。シーリングフィルム3が吸収部材の上に配置され、そして創傷の周りで皮膚に張り付けられている。
【0065】
図8には、オープンセルフォームの完全な含浸のための方法に関する実施例が示されている。
【0066】
オープンセルフォームからなるウエブ82は、ペーパーのロール84から供給されるペーパーウエブ83上に輸送される。シリコーンゲル81が、未硬化状態で、オープンセルフォームからなるウエブ82の片面上にノズル85を用いて塗布される。シリコーンゲルが塗布されたウエブ82はプロセスペーパー、ペーパーウエブ83およびペーパーロール87からのさらなるペーパーウエブ86からなる二つのウエブ間に、プレスロール88および89の対を経て供給される。ペーパーウエブ86は、使用後、ロール870上に巻き上げられ、かつ、ペーパーウエブ83は、使用後、ロール840上に巻き上げられる。二つのペーパーウエブは親水性であり、シリコーンゲルを吸収できる。フォームウエブからの余分なシリコーンゲルはフォームウエブから除去されることが重要である。この処理によって、完全にシリコーンゲルが含浸させられたフォームが得られるが、このものでは、ゲルはフォームの隅々まで均一に配分されている。フォームウエブはその後、シリコーンゲルの硬化のために加熱される。シリコーンの硬化は、約1〜5分間、好ましくは約3分間、約100℃の温度で熱風炉内で行える。
【0067】
プレスロール間の圧力は約5barであり、この圧力は最適な含浸のために調整可能である。フォームウエブの完全な含浸の制御は、プロセスペーパーからなる二つのウエブを観察することによって実施できる。両ペーパーウエブは、フォームウエブが完全に含浸させられたとき、シリコーンゲルによってコートされる。
【0068】
プレスロールを通過するウエブの速度は、約2〜5m/min、好ましくは約3m/minである。
【0069】
オープンセルフォームへのシリコーンゲルの完全な含浸を調整する確実な方法は、略称EPMA/EDSとして知られたEnergy Dispersive Specytometer型のElectron Probe Micro Analyser を用いて写真を撮り、そして電子顕微鏡写真を観察することである。当該デバイスの原理は、サンプル中に存在する成分を特定するためにX線量子のエネルギーを測定することである。そうした器機の例はJEOL、モデルJXA−8600である。
【0070】
図9は、上述したタイプの含浸フォームの、そうした器機を用いて撮影した電子顕微鏡写真である。図10は同様の写真を示してるが、オープンセルフォーム内のシリコーンゲルの配分を示すエネルギーによるものである。図10に明瞭に示されているように、シリコーンゲルはフォームの断面全体にわたって配分されている。
【0071】
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された範囲内で、さまざまな変更が可能である。
【0072】
上記説明および特許請求の範囲の記載において、硬さ、密度および伸びに関する全ての値は、無含浸フォームに関して与えられたものである。
【0073】
密度は、含浸によって最も影響を受ける一つのパラメータである。密度は、完全に含浸させられた後には、約2倍になり得る。
【0074】
硬さ、伸び、そしておそらくプアサイズは、含浸による影響をほとんど受けない。
【0075】
付録A(APPENDIX A)
試験方法
引張り力および伸び
1 基準方法
ASTM D 882‐02
偏差:力は異なる伸びにおいて、さらにフィルム以外の材料に関して測定される。
2 目的
異なる伸びにおいて引張り力を測定する。
3 原理
特定サイズの帯片が規定の伸びまで伸長させられる。
4 試験片の準備
必要材料 全幅および少なくとも30cmが好ましい。
測定の回数 5片
準備 材料の全幅から試験片を打ち抜く。
25×200mmポンチを使用する。
調整 少なくとも4時間、23±2℃かつ(50±2)%RHで行う。
5 設備
プレス、関連するパンチプレートを備えた25×20mmの成形パンチ
引張り試験機、アライアンス
6 手順
運転調整
ゲージ長 100mm
クロスヘッド速度 42mm/分
力が測定される伸び、2、5、10、15、20あるいは25%伸びを選択する。
引張り試験機の上側クランプ内に試験片を配置する。
それが垂直に垂れ下がっていることを確認する。
続いて、それを下側クランプに固定する。試験片が引き伸ばされていないことを確認する。
引張り試験機を始動させる。
7 計算
試験片の厚みを測定する。m単位で断面積を計算する。選択された伸びにおけるN単位の力の平均値および標準偏差を計算する。kPa単位での結果を得るために試験サンプルの断面積で力を割る。
9 報告
方法および偏差
材料および起源
サンプル呼称
測定の回数
選択された伸びに関する平均値および標準偏差
【符号の説明】
【0076】
1 創傷
2 創傷パッド
3 プラスチックフィルム
4 アダプター
5 吸入チューブ
6 リザーバ
7 吸引ポンプ
8 ルアーロック接続部
9 漏れインジケータ
10 雌部分
11 排出チューブ
12 ロッククリップ
20 第1の圧縮可能要素
22 底板
23 プラスチックフィルム
24 ワンウェイバルブ
25 パウチ
26 ポケット
27 拡散要素
30 チャネル
31 超吸収材からなる部片
40 チューブ
60 ワンウェイバルブ
70 吸収部材
81 シリコーンゲル
82 ウエブ
83 ペーパーウエブ
84 ロール
85 ノズル
86 ペーパーウエブ
87 ロール
88,89 プレスロール
91 ハウジング
92 膜
93 基礎プレート
94 スプリング
95 指示ボタン
110 自由端部
201 下側部材
202,203 上側部材
204 中央ヒンジ
210 貫通孔
240 ワンウェイバルブ
241 周縁
242 開口
243,244 主面
246 シリコーンゲル層
250 底
251 開口
260 開口
400 シールド
840 ロール
870 ロール
910 ベースプレート
911 開口
920 周面
921 ロッド
931 孔
951 底部
952 上端部
953 フック

【特許請求の範囲】
【請求項1】
低減圧力を用いて創傷を治療するためのデバイスであって、
前記デバイスは、
低減圧力を付与することができるポンプ(7)と、
創傷(1)からの滲出液を収集するために前記ポンプに接続されたリザーバ(6)と、
前記ポンプ(7)が、前記創傷を低減圧力にさらすことを可能とするために、前記リザーバを前記創傷(1)と接続するための前記リザーバ(6)への吸入口、創傷キャビティ内に配置される創傷パッド(2)、および創傷および前記創傷パッドを覆うシーリング(3)と、を具備してなり、
前記創傷パッド(2)は、軟質な疎水性シリコーンゲルが完全に含浸させられたオープンセルポリウレタンフォームからなり、かつ、前記フォームは、40%圧縮状態で、ISO3386‐1に基づいて測定したとき、1.0〜6.0kPaの硬さを有するものであることを特徴とするデバイス。
【請求項2】
前記フォームの硬さは1.5〜5.0kPaであることを特徴とする請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記フレームの密度は、ISO845に基づいて測定したとき、20〜40kg/m、たとえば25〜35kg/mであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のデバイス。
【請求項4】
25%伸長状態における前記フォームは、付録A(Appendix A)において説明された方法に基づいて測定されたとき、6kPaよりも高いぬれ弾性および13kPaよりも高い乾燥弾性を有することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項5】
前記シリコーンゲルは、オープンセルフォームの前記パッドの断面にわたって均一に配分されていることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項6】
前記オープンセルフォームには、JEOL、モデルJXA−8600などの、Energy Dispersive Spectrometerを備えたElectron Probe Micro Analyser(EPMA/EDS) を用いて撮影した写真を観察することによって認められるように、シリコーンゲルが完全に含浸させられていることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項7】
前記セルの直径は、Visiocell SS‐T.013.4Eに基づいて測定した場合に、500〜1800μm、たとえば1100〜1500μmであることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項8】
創傷を治療するためのデバイスであって、
前記デバイスは、
創傷キャビティ内に配置される創傷パッド(2)と、
創傷(1)からの滲出液を収集するための吸収部材(70)と、
前記創傷、前記創傷パッド(2)および前記吸収部材(70)を覆うシーリング(3)と、を具備してなり、
前記創傷パッド(2)は、軟質な疎水性シリコーンゲルが完全に含浸させられたオープンセルポリウレタンフォームからなり、前記フォームは、40%圧縮状態においてISO3386‐1に基づいて測定した場合に1.0〜6.0kPaの硬さを有するものであることを特徴とするデバイス。
【請求項9】
前記フォームは1.5〜5.0kPaの硬さを有することを特徴とする請求項8に記載のデバイス。
【請求項10】
前記セルの直径は、Visiocell SS‐T.013.4Eに基づいて測定した場合に、500〜800μm、たとえば1100〜1500μmであることを特徴とする請求項8または請求項9に記載のデバイス。
【請求項11】
請求項1ないし請求項10のいずれか1項に記載の創傷パッドを製造するための方法であって、
未硬化状態のシリコーンゲル(81)が、前記フォームからなるウエブ(82)の一面に塗布され、
シリコーンゲルが塗布された前記ウエブは、一対のプレスロール(88,89)を経てプロセスペーパーからなる二つのウエブ(83,86)間に供給され、このプレスロール間で、シリコーンゲルが塗布された前記フォームは、フォームの全断面にわたって前記ゲルを配分するために圧迫され、
前記フォームウエブからの余分なシリコーンゲルが付着したプロセスペーパーからなる前記二つのウエブ(83,86)が前記フォームウエブから分離させられ、
前記フォームウエブは、その後、前記シリコーンゲルの硬化のために加熱されることを特徴とする創傷パッドの製造方法。
【請求項12】
前記シリコーンゲルの硬化は、熱風炉内で、約100℃の温度で、約1〜5分間、好ましくは約3分間、行われることを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記プレスロール(88,89)間の圧力は約5barであり、
前記圧力は最適な含浸のために調整可能であり、
前記フォームウエブの完全な含浸の調整は、プロセスペーパーからなる前記二つのウエブ(83,86)を点検することによって行われ、これらの両ペーパーウエブは、前記フォームウエブが完全に含浸させられたとき、シリコーンゲルによってコートされることを特徴とする請求項11または請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記プレスロールを通過する前記ウエブの速度は、約2〜5m/min、好ましくは約3m/minであることを特徴とする請求項11に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4a】
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【図4b】
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【図5a】
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【図5b】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2011−516199(P2011−516199A)
【公表日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−503939(P2011−503939)
【出願日】平成21年4月7日(2009.4.7)
【国際出願番号】PCT/SE2009/050364
【国際公開番号】WO2009/126102
【国際公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【出願人】(507226709)メンリッケ・ヘルス・ケア・アーベー (30)
【Fターム(参考)】