説明

加入者側装置

【課題】ユーザの使用状況に応じてLEDの低消費電力化を実施する。
【解決手段】局側装置2との論理リンク状態を検出するPON制御部10と、下位ネットワーク側装置7との接続状態を検出する接続状態検出部12と、PON制御部により検出された局側装置との論理リンク状態及び接続状態検出部により検出された下位ネットワーク側装置との接続状態に基づいて、LEDを発光させるLED部15と、局側装置または下位ネットワーク側装置との間で送受信されるユーザデータの有無を検出するトラフィック監視部10aと、トラフィック監視部により検出されたユーザデータの送受信の有無及び接続状態検出部により検出された下位ネットワーク側装置との接続状態に基づいて、LED部により発光されるLEDの輝度を制御する電流制御部14とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、局側装置及び下位ネットワークと接続して通信を行う加入者側装置において、局側装置との論理リンク状態または下位ネットワークとの接続状態等をLED(Light Emitting Diode)により報知する加入者側装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
FTTH(Fiber To The Home)等の光アクセスサービスをユーザに提供する手法の一つとして、パッシブ光ネットワーク(PON:Passive Optical Network)システムがある。このPONシステムでは、複数の加入者側装置(ONU:Optical Network Unit)が局側装置(OLT:Optical Line Terminal)及び伝送路(光ファイバ)を共有する形態をとることで、光ファイバを用いた高速アクセスサービスを安価で提供することが可能であり、現在では、各家庭にこのONUが普及している。
【0003】
近年、各家庭の光熱費低減や環境についての関心が高まっており、家電製品に対する低消費電力化のニーズが高まってきており、各ユーザ宅に設置されるONUに対しても低消費電力化が求められている。
【0004】
そこで、ONUに対する低消費電力化の施策として、ONUに接続されているOLTとの論理リンク状態または下位ネットワーク側装置(TE:Terminal Equipment)との接続状態を検出して、低消費電力化を実施するように構成したONUがある(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
この特許文献1に開示されるONUは、OLTとの間で光信号を送受信する光送受信部と、OLTとの間の論理リンクの確立を制御する論理リンク確立制御部、物理層として機能する物理層機能部(PHY:PHYsical layer)とを備えたONUにおいて、光送受信部への光信号の入力有無、論理リンク確立制御部により論理リンクが確立されているか否か及びPHYとTEとの接続有無のうちの少なくとも1つを判定する判定処理部と、判定処理部による判定結果に基づいて論理リンク確立制御部の消費電力を制御する第1の制御部と、判定処理部による判定結果に基づいてPHYの消費電力を制御する第2の制御部とを備えており、ONUとOLTまたはTEとの接続状態を監視して、低消費電力化モードに設定することにより、効率よく消費電力を抑制するものである。
【0006】
また、ONUから送信すべき情報の有無を判別して送信情報が有る場合には電源からONUへ電力を供給し、送信情報が無くなった場合には電源から光通信装置への電力供給を停止するように構成したONUもある(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008−113193号公報
【特許文献2】特開平08−256105号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
一方、ONUでは、OLT及びTEとの接続が確立されEthernet(登録商標。以下省略する。)通信が開始された後、このOLTとの論理リンク状態またはTEとの接続状態等をユーザが視認できるようにするために、LEDを用いて外部に報知するように構成されている。
しかしながら、特許文献1,2に開示されたONUでは、このLEDの輝度に対する制御は行われておらず、ユーザがONUを使用していない間に、LEDが無駄な電力を消費している状態で放置される場合があるという課題がある。
【0009】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、ユーザのONUの使用状況に応じて、OLTとの論理リンク状態またはTEとの接続状態等を報知するLEDの低消費電力化を実施することができる加入者側装置を得ることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明に係る加入者側端末は、局側装置及び下位ネットワーク側装置と接続して通信を行う加入者側装置において、局側装置との論理リンク状態を検出するPON制御部と、下位ネットワーク側装置との接続状態を検出する接続状態検出部と、PON制御部により検出された局側装置との論理リンク状態及び接続状態検出部により検出された下位ネットワーク側装置との接続状態に基づいて、LEDを発光させるLED部と、局側装置または下位ネットワーク側装置との間で送受信されるユーザデータの有無を検出するトラフィック監視部と、トラフィック監視部により検出されたユーザデータの送受信の有無及び接続状態検出部により検出された下位ネットワーク側装置との接続状態に基づいて、LED部により発光されるLEDの輝度を制御する電流制御部とを備えたものである。
【発明の効果】
【0011】
この発明によれば、上記のように構成したので、加入者側装置のユーザデータの送受信の有無及び下位ネットワーク側装置との接続状態に応じて、LEDの輝度を制御することで、ユーザが加入者側装置を使用していない間にはLEDの輝度を下げるように制御することができ、効率よくLEDの消費電力を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】この発明の実施の形態1に係る光ネットワークシステムの構成を示す図である。
【図2】この発明の実施の形態1における待機情報収集判定部の構成を示す図である。
【図3】この発明の実施の形態1における低消費電力化モードと通常モードの場合分けを示す図である。
【図4】この発明の実施の形態1における電流制御部の構成を示す図である。
【図5】この発明の実施の形態1に係るONUによる動作を示すフローチャートである。
【図6】この発明の実施の形態1に係るONUの動作を示すタイミングチャートである。
【図7】この発明の実施の形態2に係る光ネットワークシステムの構成を示す図である。
【図8】この発明の実施の形態2における電流制御部の構成を示す図である。
【図9】この発明の実施の形態2に係るONUの動作状態によるLEDの制御を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、この発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
実施の形態1.
図1はこの発明に係る実施の形態1に係る光ネットワークシステムの構成を示す図であり、本発明をGE−PON(Gigabit Ethernet−Passive Optical Network)システムに適用した場合について示している。
図1に示すように、GE−PONシステムは、上位ネットワーク1に接続されるOLT(局側装置)2と、ユーザ宅側の終端装置であり、OLT2と通信を行う複数のONU(加入者側装置)3と、OLT2及び複数のONU3とを接続する光スプリッタ4と、OLT2と光スプリッタ4とを接続する媒体である基幹光ファイバケーブル5と、ONU3と光スプリッタ4とを接続する媒体である支線光ファイバケーブル6と、ONU3に接続される外部機器であるTE(下位ネットワーク側装置)7と、ONU3とTE7とを接続する媒体であるLAN(Local Area Network)ケーブル8とにより構成されている。
なお、TE7は、HGW(Home Gate Way)、VoIP-TA(Voice over Internet Protocol−Telephone Adapter)またはPC(Personal Computer)等により構成される。
【0014】
このGE−PONシステムは、GE−PONシステムの規格であるIEEE802.3ahに規定された手順に従い、上位ネットワーク1からのEthernet信号をOLT2及びONU3を介して各TE7に送信し、また、各TE7からのEthernet信号をONU3及びOLT2を介して上位ネットワーク1に送信する。
【0015】
また、図1に示すように、ONU3は、光送受信器9、PON制御部10、PHY11、LANコネクタ(接続状態検出部)12、待機情報収集判定部13、電流制御部14及びLED部15から構成される。
【0016】
光送受信器9は、OLT2とONU3との間での光信号の送受信を行うものである。この光送受信器9は、OLT2から送信された光信号を電気信号に変換してPON制御部10に送信し、また、PON制御部10から送信された電気信号を光信号に変換してOLT2に送信する。
【0017】
PON制御部10は、光送受信器9から送信された電気信号に対してIEEE802.3ahに規定された処理を実行することにより得られる信号をPHY11に送信し、また、PHY11から送信された電気信号に対してIEEE802.3ahに規定された処理を実行することにより得られる信号を光送受信器9に送信することにより、OLT2との論理リンクを確立するものである。
また、このPON制御部10は、OLT2との論理リンクの確立状態に基づいて、LED部15のLEDを発光させるための発光信号を電流制御部14に送信する。
さらに、PON制御部10はクロック信号を待機情報収集判定部13に送信する。
【0018】
また、PON制御部10は、ユーザデータの送受信の有無を検出するためのトラフィック監視部10aを備えている。このトラフィック監視部10aは、OLT2との論理リンクの確立後にPON制御部10が光送受信器9もしくはPHY11に信号を送信する際に、ユーザデータの送受信の有無を検出するものである。このトラフィック監視部10aにより検出されたユーザデータの送受信の有無を示すユーザデータ有無検出信号は待機情報収集判定部13に送信される。
【0019】
PHY11は、ONU3の物理層として機能するものである。このPHY11は、PON制御部10から送信された信号をEthernet信号に変換してLANコネクタ12に送信し、また、LANコネクタ12から送信されたEthernet信号をPON制御部10が処理できるインタフェースの信号に変換してPON制御部10に送信する。
【0020】
LANコネクタ12は、LANケーブル8を介してONU3とTE7とを接続するものである。このLANコネクタ12は、PHY11から送信されたEthernet信号をTE7に送信し、また、TE7から送信されたEthernet信号をPHY11に送信する。また、このLANコネクタ12は、RJ(Registered Jack)−45のポート形状に形成され、LANケーブル8の物理的な接続を検出することで、ONU3がLANケーブル8を介してTE7と接続されたことを検出する機能を有している。このLANコネクタ12により検出されたLANケーブル8が接続されているか否かを示すLANケーブル接続検出信号は待機情報収集判定部13に送信される。
また、LANコネクタ12は、LANケーブル8を介したTE7との接続状態に基づいて、LED部15のLEDを発光させるための発光信号をPHY11を介して電流制御部14に送信する。
【0021】
待機情報収集判定部13は、トラフィック監視部10aから送信されたユーザデータ有無検出信号及びLANコネクタ12から送信されたLANケーブル接続検出信号に基づいて、電流制御部14の動作モードを決定するものである。この待機情報収集判定部13の詳細については後述する。
【0022】
電流制御部14は、LED部15に送信する発光信号の電流値を制御するものであり、段階的に電流値を低くする低消費電力化モードと一定の電流値で流し続ける通常モードの2つの動作モードを有している。電流制御部14は、待機情報収集判定部13により決定された動作モードに設定し、PON制御部10またはPHY11から送信された発光信号の電流値を制御する。この電流制御部14により電流値が制御された発光信号はLED部15に送信される。この電流制御部14の詳細については後述する。
【0023】
LED部15は、OLT2及びTE7との接続が確立されEthernet通信が開始された後のOLT2との論理リンク状態及びLANケーブル8を介したTE7との接続状態等をLEDを発光することにより報知するものである。このLED部15は、電流制御部14から送信された発光信号の電流値に応じた輝度でLEDを発光する。
【0024】
図2はこの発明の実施の形態1における待機情報収集判定部13の構成を示す図である。また、図3はこの発明の実施の形態1における低消費電力化モードと通常モードの場合分けを示す図である。
図2に示すように、待機情報収集判定部13は、論理積部16、カウンタ部17、第1〜n閾値出力部18、第1〜n比較部19、第1〜nラッチ部20及び立ち上がり検出部21から構成される。
【0025】
論理積部16は、PON制御部10から送信されたユーザデータ有無検出信号と、LANコネクタ12から送信されたLANケーブル接続検出信号との論理積を算出するものである。
ここで、ユーザデータの送受信がある場合のユーザデータ有無検出信号をHighとし、LANケーブル8がLANコネクタ12に接続されている場合のLANケーブル接続検出信号をHighとすると、論理積部16から出力される信号はHighとなる。また、ユーザデータ有無検出信号がLow(ユーザデータの送受信なし)及び/またはLANケーブル接続検出信号がLow(LANケーブル8が未接続)の場合では、論理積部16から出力される信号はLowとなる。
このように論理積部16によってユーザデータ有無検出信号及びLANケーブル接続検出信号の論理積を算出することにより、図3に示すように、ユーザデータの送受信の有無状態及びLANケーブル8の接続状態に応じた低消費電力化モードと通常モードの場合分けを行うことができる。
この論理積部16により算出された信号はカウンタ部17に送信される。
【0026】
カウンタ部17は、論理積部16から送信された信号に基づいて、PON制御部10から送信されたクロック信号をカウントするものである。このカウンタ部17は、論理積部16から受信した信号がLowの場合にクロック信号をカウントし、信号がHighの場合にはクロック信号をカウントしない。このカウンタ部17によりカウントされたカウント数を示す信号は第1〜n比較部19に送信される。
【0027】
第1〜n比較部19は、カウンタ部17によりカウントされたカウント数と、それぞれの比較部19に対応して設けられる閾値出力部18から送信された閾値とを比較するものである。この第1〜n比較部19は、カウント数と閾値が一致する場合には一定時間Highの信号を、対応して設けられるラッチ部20に送信する。
なお、第1〜n比較部19に対応して設けられる第1〜n閾値出力部18は、それぞれ異なる閾値を有している。
【0028】
第1〜nラッチ部20は、対応する比較部19から送信された信号に基づいて、この信号がHighである場合には、Highの信号を出力するものである。この第1〜nラッチ部20により出力された信号は電流制御部14に送信される。
【0029】
立ち上がり検出部21は、論理積部16から送信された信号に基づいて、カウンタ部17、第1〜n比較部19及び第1〜nラッチ部20をリセットさせるものである。この立ち上がり検出部21は、論理積部16から送信された信号がHighである場合には、カウンタ部17、第1〜n比較部19及び第1〜nラッチ部20をリセットさせるためのリセット信号をカウンタ部17、第1〜n比較部19及び第1〜nラッチ部20に送信する。
【0030】
図4はこの発明の実施の形態1における電流制御部14の構成を示す図である。
図4に示すように、電流制御部14は、切り替え接続可能な第1〜n経路を有する第1,2セレクタ部22により構成される。
この第1,2セレクタ部22は、第1〜nラッチ部20から送信された信号の組み合わせに基づいて、第1〜n経路の中の1つの経路と接続して、PON制御部10またはPHY11から送信された発光信号をLED部15に送信するものである。なお、第1,2セレクタ部22が切り替え接続を行う第1〜n経路には、それぞれ異なる抵抗値を有する抵抗R1、R2、R3・・・、Rnが接続され、これによりLED部15に送信する発光信号の電流値を制御する。
【0031】
次に、上記のように構成されたONU3の動作について説明する。
図5はこの実施の形態1のONU3の動作を示すフローチャートであり、以下、このフローチャートに従って説明する。
図5に示すように、ONU3によるLED輝度制御処理では、まず、ONU3を起動する(ステップST1)。すなわち、ユーザによる不図示の電源の投入に従い、ONU3を起動する。
【0032】
次いで、PON制御部10のトラフィック監視部10aはユーザデータの送受信があるかを判断する(ステップST2)。すなわち、トラフィック監視部10aは、PON制御部10から光送受信器9またはPHY11に信号が送信される際に、ユーザデータの送受信があるか否かを判断する。
【0033】
このステップST2において、トラフィック監視部10aは、ユーザデータがないと判断した場合には(ステップST2“NO”)、次いで、ユーザデータの送受信がないことを通知する(ステップST3)。すなわち、トラフィック監視部10aは、ユーザデータの送受信がないことを示すユーザデータ有無検出信号を待機情報収集判定部13に送信する。
【0034】
次いで、待機情報収集判定部13は低消費電力化モードに設定させる(ステップST4)。すわなち、待機情報収集判定部13は、電流制御部14の動作モードを低消費電力化モードに設定させることを決定し、電流制御部14は、動作モードを低消費電力化モードに設定する。
【0035】
一方、ステップST2において、トラフィック監視部10aがユーザデータの送受信があると判断した場合には(ステップST2“YES”)、次いで、LANコネクタ12はLANケーブル8が接続されているかを判断する(ステップST5)。すなわち、LANコネクタ12は、LANケーブル8がLANコネクタ12に接続されているか否かを判断する。
【0036】
このステップST5において、LANコネクタ12は、RANケーブル8がLANコネクタ12に接続されていないと判断した場合には(ステップST5“NO”)、次いで、LANケーブル8が未接続であることを通知する(ステップST6)。すなわち、LANコネクタ12は、LANケーブル8が未接続であることを示すLANケーブル接続検出信号を待機情報収集判定部13に送信する。
【0037】
次いで、待機情報収集判定部13は低消費電力化モードに設定させる(ステップST7)。すわなち、待機情報収集判定部13は、電流制御部14の動作モードを低消費電力化モードに設定させることを決定し、電流制御部14は、動作モードを低消費電力化モードに設定する。
【0038】
一方、ステップST5において、LANコネクタ12は、LANケーブル8がLANコネクタ12に接続されていると判断した場合には(ステップST5“YES”)、次いで、LANケーブル8が接続されていることを通知する(ステップST8)。すなわち、LANコネクタ12は、LANケーブル8が接続されていることを示すLANケーブル接続検出信号を待機情報収集判定部13に送信する。
【0039】
次いで、待機情報収集判定部13は通常モードに設定させる(ステップST9)。すわなち、待機情報収集判定部13は、電流制御部14の動作モードを通常モードに設定させることを決定し、電流制御部14は、動作モードを通常モードに設定する。
【0040】
次いで、電流制御部14は発光信号を制御する(ステップST10)。すなわち、電流制御部14は、PON制御部10またはPHY11から送信された発光信号の電流値を制御する。ここで、電流制御部14は、動作モードを低消費電力化モードに設定した場合には、発光信号の電流値を段階的に低くするように制御を行い、動作モードを通常モードに設定した場合には、発光信号の電流値を一定のまま流すように制御を行う。この電流制御部14により電流値が制御された発光信号はLED部15に送信される。
【0041】
次いで、LED部15はLEDを発光する(ステップST11)。すなわち、LED部15は、電流制御部14から送信された発光信号の電流値に応じた輝度でLEDを発光する。
その後、シーケンスはステップST2の処理に戻り、上述した処理を繰り返す。
【0042】
図6はこの発明の実施の形態1に係るONU3の動作を示すタイミングチャートであり、図6(a)はトラフィック監視部10aから送信されるユーザデータ有無検出信号、図6(b)はLANコネクタ12から送信されるLANケーブル接続検出信号、図6(c)はLED部15に流れる電流を示している。
図6に示すように、ユーザデータ有無検出信号がHigh(ユーザデータの送受信あり)かつLANケーブル接続検出信号がHigh(LANケーブル8が接続)の場合には、電流制御部14は動作モードを通常モードに設定して一定の電流値A1をLED部15に流し続ける。しかしながら、ユーザデータ有無検出信号がLow(ユーザデータの送受信なし)及び/またはLANケーブル接続検出信号がLow(LANケーブル8が未接続)の場合には、電流制御部14は動作モードを低消費電力化モードに設定して電流を段階的に下げて(電流値A2,A3,A4,・・・)に下げてLED部15に流す。
なお、図6(c)に示す、時間t1〜t4は第1〜n閾値出力部18の閾値に依存し、また、電流値A1〜A4は電流が流れる経路に接続される抵抗の抵抗値に依存する。
【0043】
以上のように、この発明の実施の形態1によれば、ONU3のユーザデータの送受信の有無及びLANケーブル8を介したTE7の接続状態に応じて、LEDの輝度を制御するように構成したので、ユーザがONU3を使用している間はLEDを一定の輝度で発光させ、ONU3を使用していない間はLEDの輝度を段階的に下げるように制御することで、例えば、ユーザがONU3を使用せず就寝する場合にLEDの輝度を落とすことが可能となり、夜間にLEDがまぶしいといった問題を軽減するができ、また、効率よくLEDの消費電力を抑制することができる。
【0044】
また、動作モードを低消費電力モードに移行した際にLEDを急に消灯した場合、低消費電力化モードに移行したことをユーザが認識できず、LEDが故障したと誤解される恐れがあるが、この発明の実施の形態1に係るONU3では、動作モードを低消費電力化モードに移行した際にLEDの輝度を段階的に下げるように構成したので、低消費電力化モードに移行したことをユーザに認識させることができ、LEDが故障したと誤解されることを防ぐことができる。
【0045】
なお、この発明の実施の形態1に係るONU3では、トラフィック監視部10aから送信されたユーザデータ有無検出信号及びLANコネクタ12から送信されたLANケーブル接続検出信号に基づいてLEDの輝度を制御するように構成したが、トラフィック監視部10aから送信されたユーザデータ有無検出信号のみに基づいてLEDの輝度を制御するように構成してもよく、また、LANコネクタ12から送信されたLANケーブル接続検出信号のみに基づいてLEDの輝度を制御するように構成しても良い。
【0046】
実施の形態2.
図7はこの発明に係る実施の形態1に係る光ネットワークシステムの構成を示す図であり、本発明をGE−PONシステムに適用した場合について示している。また、図8はこの発明の実施の形態2における電流制御部14の構成を示す図である。
図7に示す実施の形態2におけるONU3の構成は、図1に示す実施の形態1におけるONU3の構成に、外部インタフェース部23を追加したものであり、その他の構成は同様であり、同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0047】
図7,8に示すように、外部インタフェース部23は、電流制御部14に接続され、外部から物理的に操作されることによりONU3の動作状態を変更するものである。例えば、外部インタフェース部23は、ONU3の外部に不図示のボタンを有し、ユーザによりボタンが押下されることにより、ONU3の動作状態を変更するように構成されている。この外部インタフェース部23によるONU3の動作状態を変更する状態信号は、電流制御部14の第1,2セレクタ部22に送信される。
【0048】
図9はこの発明の実施の形態2に係るONU3の動作状態によるLEDの制御を示す図である。
外部インタフェース23は、ユーザによりボタンが押下されることにより、図9に示すように、ONU3の動作状態を状態A、状態B及び状態Cの3状態に変更するように構成されている。なお、ONU3が起動した際には、ONU3は状態Aに設定されるものとする。
【0049】
ここで、外部インタフェース部23は、ユーザによりボタンが押下された場合には、ONU3の動作状態を状態Aから状態Bに変更し、LED部15に電流を流さない(LEDを消灯する)ことを示す状態信号を第1,2セレクタ部22に送信する。この状態信号を受信した第1,2セレクタ部22は、PON制御部10またはPHY11から発光信号が送信された場合にもLED部15に電流を流さないように動作する。
【0050】
また、外部インタフェース部23は、ユーザによりボタンがもう1度押下された場合には、ONU3の動作状態を状態Bから状態Cに変更し、通常モードで動作することを示す状態信号を第1,2セレクタ部22に送信する。この状態信号を受信した第1,2セレクタ部22は、ユーザデータ有無検出信号及びLANケーブル接続検出信号の状態に関わらず、通常モードに設定して動作する。
【0051】
また、外部インタフェース部23は、ユーザによりボタンがさらにもう1度押下された場合には、ONU3の動作状態を状態Cから状態Aに変更し、ユーザデータ有無検出信号がHighかつLANケーブル接続検出信号がHighの場合には通常モードに設定し、それ以外の条件の場合には低消費電力化モードに設定することを示す状態信号を第1,2セレクタ部22に送信する。この状態信号を受信した第1,2セレクタ部22は、上述した実施の形態1の動作と同様の動作を行う。
【0052】
なお、外部インタフェース部23は、ユーザによりボタンがさらにもう1度押下された場合には、ONU3の動作状態を状態Cから状態Aに変更し、以後、ユーザによるボタンの押下の度にONU3の動作状態を変更する。
【0053】
以上のように、この発明の実施の形態2によれば、ユーザによる操作に従い、ONU3の動作状態を変更する外部インタフェース部23を設けるように構成したので、実施の形態1における効果に加えて、例えば、ユーザデータの送受信が行われている場合でも、LEDの輝度を下げるようにONU3の動作状態を変更することができ、ユーザの意図したLEDの輝度に変更することができる。
【符号の説明】
【0054】
1 上位ネットワーク、2 OLT(局側装置)、3 ONU(加入者側装置)、4 光スプリッタ、5 基幹光ファイバケーブル、6 支線光ファイバケーブル、7 TE(下位ネットワーク側装置)、8 LANケーブル、9 光送受信器、10 PON制御部、10a トラフィック監視部、11 PHY、12 LANコネクタ(接続状態検出部)、13 待機情報収集判定部、14 電流制御部、15 LED部、16 論理積部、17 カウンタ部、18 第1〜n閾値出力部、19 第1〜n比較部、20 第1〜nラッチ部、21 立ち上がり検出部、22 第1,2セレクタ部、23 外部インタフェース部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
局側装置及び下位ネットワーク側装置と接続して通信を行う加入者側装置において、
前記局側装置との論理リンク状態を検出するPON制御部と、
前記下位ネットワーク側装置との接続状態を検出する接続状態検出部と、
前記PON制御部により検出された局側装置との論理リンク状態及び前記接続状態検出部により検出された下位ネットワーク側装置との接続状態に基づいて、LEDを発光させるLED部と、
前記局側装置または前記下位ネットワーク側装置との間で送受信されるユーザデータの有無を検出するトラフィック監視部と、
前記トラフィック監視部により検出されたユーザデータの送受信の有無及び前記接続状態検出部により検出された下位ネットワーク側装置との接続状態に基づいて、前記LED部により発光されるLEDの輝度を制御する電流制御部と
を備えたことを特徴とする加入者側装置。
【請求項2】
局側装置及び下位ネットワーク側装置と接続して通信を行う加入者側装置において、
前記局側装置との論理リンク状態を検出するPON制御部と、
前記下位ネットワーク側装置との接続状態を検出する接続状態検出部と、
前記PON制御部により検出された局側装置との論理リンク状態及び前記接続状態検出部により検出された下位ネットワーク側装置との接続状態に基づいて、LEDを発光させるLED部と、
前記局側装置または前記下位ネットワーク側装置との間で送受信されるユーザデータの有無を検出するトラフィック監視部と、
前記トラフィック監視部により検出されたユーザデータの送受信の有無に基づいて、前記LED部により発光されるLEDの輝度を制御する電流制御部と
を備えたことを特徴とする加入者側装置。
【請求項3】
局側装置及び下位ネットワーク側装置と接続して通信を行う加入者側装置において、
前記局側装置との論理リンク状態を検出するPON制御部と、
前記下位ネットワーク側装置との接続状態を検出する接続状態検出部と、
前記PON制御部により検出された局側装置との論理リンク状態及び前記接続状態検出部により検出された下位ネットワーク側装置との接続状態に基づいて、LEDを発光させるLED部と、
前記接続状態検出部により検出された下位ネットワーク側装置との接続状態に基づいて、前記LED部により発光されるLEDの輝度を制御する電流制御部と
を備えたことを特徴とする加入者側装置。
【請求項4】
外部からの操作に従い、自機の動作状態を変更する外部インタフェース部を備え、
前記電流制御部は、前記外部インタフェース部によって変更された動作状態に基づいて、前記LED部により発光されるLEDの輝度を制御する
ことを特徴とする請求項1から請求項3のうちいずれか1項記載の加入者側装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−66784(P2011−66784A)
【公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−217073(P2009−217073)
【出願日】平成21年9月18日(2009.9.18)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】