説明

加圧流動床プラントの停止制御方法

【課題】 加圧流動床プラントを停止する際の作業時間を短縮するとともに、動力費を低減することが可能な加圧流動床プラントの停止制御方法を提供する。
【解決手段】 発電機の負荷が所定値まで減少したら、非常用温水タンクヒータを停止させ、ボイラ消火冷却工程におけるガスタービン運転中にベッドマテリアル循環冷却を行い、ガスタービン解列工程後にタービン軸受冷却水の温度をガスタービン解列工程よりも低温に設定し、給水系統の給水温度が所定温度まで降下したら給水ポンプを停止させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加圧流動床ボイラを備えた発電プラントを停止させる際の停止制御方法に関し、特に、ボイラ設備に負担をかけることなく早期にボイラを停止することが可能な加圧流動床プラントの停止制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、加圧流動床ボイラを備えた発電プラントでは、プラントを停止してもボイラ内部に燃料が残留しているため、諸設備を冷却する必要がある。また、急速な冷却を行うと冷却管等に負担がかかり、冷却管等が破損するおそれがある。
【0003】
したがって、設備点検等のためにボイラを停止するには、ボイラ設備に負担をかけないように徐々に冷却を行わなければならず、ボイラ停止処理に長時間を要していた。さらに、冷却工程においては冷却水を循環させるために動力が必要であり、ボイラ停止処理に長時間を要すれば、それだけ動力費が嵩んでしまう。
【0004】
そこで、従来より、加圧流動床ボイラを備えた発電プラントを停止させる際の停止制御方法が種々提案されている。
例えば、特開2000−213306号公報「加圧流動床複合発電プラント」(特許文献1)に、加圧流動床複合発電プラントの停止時に、低温排熱回収熱交換器、高温排熱回収熱交換器出口の復水、および給水のスチーミングを防止して、プラントの信頼性を向上するとともに、停止時の所内動力を低減するための技術が提案されている。
【0005】
この特許文献1に記載された「加圧流動床複合発電プラント」は、空気圧縮機と、加圧流動床ボイラと、加圧流動床ボイラの高温ガスにより駆動されるガスタービンと、加圧流動床ボイラの蒸気により駆動される複数の蒸気タービンと、復水器から加圧流動床ボイラに給水を供給する復水ポンプおよび給水ポンプと、給水を加熱する給水加熱器および高温・低温排熱回収熱交換器と、脱気器とからなる加圧流動床複合発電プラントにおいて、プラント通常停止時/緊急停止時に空気圧縮機の出口からガスタービン入口弁までの空気および高温ガスをガスタービン出口配管に排出する高温ガス排出配管と、高温ガス排出弁とを設けたものである。
【0006】
また、特開平11−159305号公報「加圧流動床複合発電プラント」(特許文献2)に、プラントの起動停止時および緊急停止時に排ガス熱交換器廻りで発生するフラッシュを充分防止し、安定運転を確保するとともに、機器保護および信頼性の向上を図ることができる技術が提案されている。
【0007】
この特許文献2に記載された「加圧流動床複合発電プラント」は、蒸気を発生させる加圧流動床ボイラと、この加圧流動床ボイラで発生した蒸気により駆動される蒸気タービンと、加圧流動床ボイラからの排ガスにより駆動されるガスタービンと、蒸気タービンの復水器から加圧流動床ボイラへ給水する給水系統を備え、給水系統に、給水を加熱する排ガス熱交換器、給水加熱器および脱気器が設けられている加圧流動床複合発電プラントにおいて、給水系統に、脱気器で生じた排ガス熱交換器の置換水を、排ガス熱交換器へ供給するための置換水供給系統を設けるとともに、この置換水供給系統にポンプおよび流量を調整するための調整弁を設けたものである。
【0008】
【特許文献1】特開2000−213306号公報
【特許文献2】特開平11−159305号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上述したように、ボイラ停止時に急速な冷却を行うと、ボイラ設備に負担をかけ、最悪の場合にはボイラ設備を破損させてしまうおそれがある。このため、上記特許文献1および特許文献2に記載された技術を含めて、従来の加圧流動床プラントの停止制御方法では、ボイラの停止処理に長時間を要することが前提となっていた。
この点、設備点検等のためにボイラを停止する際に、ボイラの停止処理に要する時間を短縮することができれば、ボイラの運転再開を早めることができるとともに、ボイラの停止処理に関連した動力費を低減することができる。
【0010】
本発明は、上述した事情に鑑み提案されたもので、加圧流動床プラントを停止する際の作業時間を短縮するとともに、動力費を低減することが可能な加圧流動床プラントの停止制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の加圧流動床プラントの停止制御方法は、上述した目的を達成するため、以下の特徴点を備えている。
すなわち、本発明の加圧流動床プラントの停止制御方法は、加圧流動床ボイラを備えた発電プラントを停止させるための方法であって、ボイラ消火冷却工程におけるガスタービン運転中に、ベッドマテリアル循環冷却を行うことを特徴とするものである。
【0012】
また、前記加圧流動床プラントの停止制御方法において、発電機の負荷が所定値まで減少したら、非常用温水タンクヒータを停止させることが好ましい。
また、前記加圧流動床プラントの停止制御方法において、ガスタービン解列工程後に、タービン軸受冷却水の温度を前記ガスタービン解列工程よりも低温に設定することが好ましい。
【0013】
また、前記加圧流動床プラントの停止制御方法において、給水系統の給水温度が所定温度まで降下したら、給水ポンプを停止させることが好ましい。この際、給水ポンプの停止は、ボイラ温度と給水温度とが一致した時点で行うことが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明の加圧流動床プラントの停止制御方法によれば、ボイラ設備に負担をかけることなく、加圧流動床プラントを停止する際の作業時間を短縮することができる。また、ボイラの停止処理が短縮されるため、冷却水を循環させるための動力費を低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、図面を参照して、本発明に係る加圧流動床プラントの停止制御方法の実施形態を説明する。
図1〜図3は、本発明の実施形態に係る加圧流動床プラントの停止制御方法の手順を示すタイムテーブル、図4は、本発明の実施形態に係る加圧流動床プラントの停止制御方法において給水ポンプの停止タイミングを示す説明図、図5は、本発明の実施形態に係る加圧流動床プラントの停止制御方法を適用する発電プラントの概略構成を示す説明図である。
【0016】
<発電プラント>
本発明の実施形態に係る加圧流動床プラントの停止制御方法を適用する発電プラントは、加圧流動床複合発電方式(PFBC:Pressurized Fluidized Bed Combustion Combined Cyde)を採用した発電プラントであり、圧力容器内に収納した流動床ボイラから発生する蒸気で蒸気タービンを駆動し、さらにボイラの排ガスでガスタービンを駆動するようになっている。
【0017】
この発電プラントは、コンプレッサからの燃焼空気でボイラ内を加圧状態に保ちながら、石灰石を流動媒体(BM:ベッドマテリアル)とする流動層内にCWP(Coal Water Paste:石炭と石灰石と水とを混ぜた燃料)を投入することにより、CWPを効率よく燃焼させることができる。また、流動媒体に石灰石を採用することにより火炉内で脱硫することができるので、硫黄酸化物(SOx)の発生を低く抑えることができる。さらに、流動層燃焼は、燃焼温度が低く抑えられる(約860℃)ため、窒素酸化物(NOx)の発生を低く抑えることができる。
【0018】
以下、本実施形態を適用する発電プラントを具体的に説明する。
本実施形態を適用する発電プラントは、図5に示すように、2つのボイラ10,20を備えており、ボイラ10,20の火炉11,21内にCWPを投入して燃焼させ、熱交換により発生した蒸気を高圧タービン31、中圧タービン32、および低圧タービン33に導いて各タービンを回転させることにより、発電機41を駆動して電力を発生させる。低圧タービン33を回転させた後の蒸気は、復水器50により復水され、再びボイラ10,20内へ導かれる。
【0019】
また、ボイラ10,20内で発生した高圧ガスをガスタービン34に導いてガスタービン34を回転させることにより、発電機42を駆動して電力を発生させる。さらに、高圧ガスは、ガスタービン34に同軸に連結されたコンプレッサ35を駆動して、燃焼空気をボイラ10,20へ供給するようになっている。
【0020】
ボイラ10,20へ燃料を供給する燃料供給系統は、石炭を供給する石炭ホッパ61と、石炭ホッパ61から供給される石炭を粗粉砕する粗粉砕機62と、粗粉砕機62で粉砕された石炭粉を分級する分級機63と、分級機63で分級された石炭粉を中継する中継ホッパ64と、粗粉砕機62で粉砕された石炭粉に水を混入しながらさらに粉砕する微粉砕機65と、石灰石を供給する石灰石ホッパ66と、水、粗粉砕機62で粉砕された石炭粉、微粉砕機65で水を混入しながら粉砕された石炭ペースト、および石灰石を混練する混練機67と、混練機67で混練されたCWPを一時貯留する燃料タンク68と、燃料タンク68から火炉11,21内へCWPを送出する燃料ポンプ69とを備えている。
【0021】
2機のボイラ10,20は、それぞれ圧力容器12,22と、圧力容器12,22内に収容された火炉11,21とを備えており、火炉11,21内には水・蒸気配管71が挿通されている。水・蒸気配管71は、まずB火炉21内に導かれて熱交換が行われ、続いてA火炉11、汽水分離器72、A火炉11、B火炉21、A火炉11の順で引き回された後、高圧タービン31へ導かれる。
【0022】
高圧タービン31は、水・蒸気配管71から供給される蒸気により回転する。高圧タービン31を回転させた後の蒸気は、再びB火炉21に導かれて再熱され、中圧タービン32に導かれて中圧タービン32を回転させ、さらに低圧タービン33に導かれて低圧タービン33を回転させる。高圧タービン31、中圧タービン32、および低圧タービン33には、同軸に発電機41が接続されており、各タービン31,32,33が回転することにより発電機41が駆動されて発電が行われる。
【0023】
低圧タービン33を回転させた蒸気は、復水器50に導かれて復水される。復水器50内には、冷却水配管51が配設されている。この冷却水配管51には、深層取水した海水が導かれ、この海水は復水器50内で熱交換を行った後に、再び海中に放流される。
【0024】
復水器50の下流側には、復水ポンプ73、第1給水加熱器74a、第2給水加熱器74b、第3給水加熱器74c、脱気器75、給水ポンプ76、第5給水加熱器74d、第6給水加熱器74eが配設されており、復水の加熱および脱気を行うようになっている。また、復水器50とボイラ10,20との間の復水配管77は、後に詳述する排ガス系統に設けられた2つの排熱回収交換器91,93を通過し、排ガスとの間で熱交換を行うようになっている。
【0025】
A火炉11およびB火炉21の上部には排ガス配管81が連通接続されており、各火炉11,21内で発生した高圧ガスをガスタービン34へ供給するようになっている。また、各火炉11,21とガスタービン34との間には、脱硝を行うための無触媒脱硝装置82a,82b、煤塵を除去するための1次サイクロン83および2次サイクロン84が配設されている。なお、1次サイクロン83および2次サイクロン84で収集した煤塵は、灰ホッパ85,86を経て灰処理装置へ送出される。
【0026】
ガスタービン34には、発電機42およびコンプレッサ35が同軸に接続されており、ガスタービン34が回転することにより、発電機42を駆動して発電を行うとともに、コンプレッサ35を駆動して燃焼空気をボイラ10,20内へ送り込むようになっている。
また、ガスタービン34およびコンプレッサ35の起動用として起動用モータ43が取り付けられている。
【0027】
ガスタービン34を回転させた後の排ガスは、第1の排熱回収交換器91、脱硝を行うための脱硝装置92、第2の排熱回収交換器93、バグフィルタ94を経て、煙突95より大気中へ放散される。
【0028】
A火炉11およびB火炉21には、BMを回収するためのBMタンク13,23が連通接続されている。なお、図5に示す例では、BMタンク13,23を各ボイラ10,20毎に1機ずつ設けているが、BMタンク13,23を各ボイラ10,20毎に2機ずつ設けてもよい。また、各ボイラ10,20の上部には非常用温水タンク14が配設されている。この非常用温水タンク14は、ボイラ給水系統が停止した際に、ボイラ10,20内の残燃料が燃焼することにより水壁管等が損傷することを防止するための装置で、水頭圧によりボイラ10,20へ給水するようになっている。
【0029】
A火炉11およびB火炉21の下部には、各火炉11,21内に析出した塵芥を回収するための塵芥回収管101が接続されており、回収された塵芥は灰ホッパ102,103を経て灰処理装置へ送出される。また、A火炉11およびB火炉21には、ボイラ10,20の起動時に各火炉11,21内を加熱するための軽油が供給されるようになっている。
【0030】
<加圧流動床プラントの停止制御手順>
図1〜図4を参照して、本発明の実施形態に係る加圧流動床プラントの停止制御方法の手順を説明する。
加圧流動床プラントでは、定期的にボイラ10,20の内部点検、ガスタービン34の内部点検、1次サイクロン83および2次サイクロン84の内部点検等が行われる。これらの点検作業を行うには、煙道に通じるマンホールを開放し、作業員が設備内部に立ち入らなければならないため、ボイラ10,20、ガスタービン34、1次サイクロン83、2次サイクロン84等が冷却されている必要がある。
【0031】
加圧流動床プラントを停止するには、図1〜図3に示すように、第1の減負荷工程、第2の減負荷工程、ボイラ消火冷却工程、ガスタービン(GT)解列工程、強制冷却/保管薬注操作工程、補機停止工程が、この順に実施される。
【0032】
本発明の実施形態に係る加圧流動床プラントの停止制御方法では、発電機41,42の負荷が所定値まで減少したら、非常用温水タンク14のヒータを停止させ、ボイラ消火冷却工程におけるガスタービン34の運転中にベッドマテリアル循環冷却(BM循環冷却)を行い、ガスタービン34の解列工程後にタービン軸受冷却水の温度をガスタービン34の解列工程よりも低温に設定し、給水系統の給水温度が所定温度まで降下したら給水ポンプ76を停止させることにより、プラントの停止時間を短縮している。
【0033】
以下、これらの停止制御手順を具体的に説明する。
<BM循環冷却の開始時期>
プラント停止中は、BMタンク13,23内にBMが存在し、保有熱により例えば700〜800℃程度まで温度上昇することがある。また、BMの供給ラインおよび抜出ラインには遮断弁が存在しない。
【0034】
したがって、BMタンク13,23の保有熱が煙風道へ流れ出し、冷却に時間がかかる。さらに、BM温度が400℃以上である場合には、CO等の有害ガスが発生するおそれがあり、炉内作業環境を適正なものとするため早期に冷却を行う必要がある。
【0035】
この点、従来のプラント停止制御手順では、ガスタービン34の停止後のN2循環冷却時にBM循環冷却を行っていたが、このタイミングにおける空気源は窒素ガス循環ファンであるため空気量が少なく、冷却に時間がかかる要因となっていた。
【0036】
そこで、本実施形態では、ボイラ消火冷却工程におけるガスタービン34の運転中にBM循環冷却を行うことにより、コンプレッサ35からの豊富な風量により、BMの冷却時間を短縮している。具体的には、火炉層高が最低必要レベルである約0.6mに達した時点で、ガスタービン34の運転を続行しながら、コンプレッサ35から送風される空気によりボイラ10,20内でBMを流動させて、BMタンク13,23とボイラ10,20との間でBMを循環させることにより、BMの循環冷却を行う。なお、BM循環冷却工程では、GTサージング防止のため、火炉層高が約0.6m以下にならないような制御を行うことが必要である。
【0037】
なお、BM循環冷却を開始する火炉層高は、上述した基準に限定されるものではなく、ボイラ10,20を含むプラントの規模等に応じて適宜変更して実施することができる。
このような手順でBM循環冷却を行うことにより、BMタンク13,23の温度を早期に300℃以下にまで下げることができた。
【0038】
<非常用温水タンクのヒータ電源オフ>
ボイラ建屋屋上には非常用温水タンク14が設置されている。この非常用温水タンク14は、ボイラ屋上からの水頭圧によりボイラ10,20へ給水する冷却水を貯蔵するためのタンクである。すなわち、ボイラ給水系統が停止した場合に、ボイラ10,20に供給される燃料は遮断されるが、ボイラ10,20内で残留燃料が燃焼し、水壁管等の焼損を防止するために、非常用温水タンク14から冷却水が供給されるようになっている。
【0039】
通常運転時には、給水ポンプ76によりボイラ10,20への給水が行われているが、何らかの原因で給水系統が停止すると、ボイラ10,20内へ水が供給されずに過熱状態となってしまう。そこで、非常用温水タンク14から冷却水を供給してボイラ10,20の加熱を防止している。この非常用温水タンク14では、過冷却によるチューブ損傷を防止するため、ヒータ(図示せず)を用いて内部に貯蔵した冷却水を約300℃に加温している。
【0040】
プラントが停止すると、非常用温水タンク14に貯蔵された冷却水がボイラ10,20内へ供給されるが、約300℃に加温された冷却水をボイラ10,20内へ供給したのでは、ボイラ冷却の妨げとなる。
そこで、本実施形態では、発電機負荷が通常運転時の約50%(例えば125MW出力)となった時点で、非常用温水タンク14のヒータ電源をオフとすることにより、ボイラ設備に過冷却等の影響が無い範囲で、冷却水温度を下げボイラ冷却を促進している。
【0041】
なお、非常用温水タンク14のヒータ電源をオフとするタイミングは、上述した基準に限定されるものではなく、ボイラ10,20を含むプラントの規模等に応じて適宜変更して実施することができる。
<給水ポンプの早期停止>
従来のプラント停止制御手順では、強制冷却/保管薬注操作工程が終了し、補機停止工程に入る際に給水ポンプ76を停止させていた。
【0042】
しかしながら、図4に示すように、ボイラ温度および給水温度は時間の経過とともに徐々に下降してゆくが、ボイラ温度が約70℃となった時点で給水温度も約70℃となり、それ以降はボイラ温度よりも給水温度の方が高い状態が続いている。すなわち、ボイラ温度が70℃に到達した以降は、給水によりボイラ10,20を加温していることになる。
そこで、本実施形態では、給水系統の給水温度が所定温度(例えば約70℃)まで降下したら給水ポンプ76を停止させることにより、冷却時間を短縮している。
【0043】
なお、給水ポンプ76を停止するボイラ温度は、上述した基準に限定されるものではなく、ボイラ10,20を含むプラントの規模等に応じて適宜変更して実施することができる。
【0044】
<軸受冷却水温度設定変更>
プラント停止中には、窒素ガス循環ファン(図示せず)を用いてボイラ冷却系統(1次サイクロン83、2次サイクロン84等)に空気を循環させて冷却を行っている。この窒素ガス循環ファンの上流側には窒素ガス循環クーラ(図示せず)が配設されており、窒素ガス循環ファンにより循環させられる空気と軸受冷却水との間で熱交換を行って冷却効果を高めている。
【0045】
そこで、本実施形態では、N2循環冷却工程において、通常運転時には約30℃に設定されている軸受冷却水の温度を適正な値(例えば27℃)に設定することにより、ボイラ10,20の冷却時間を短縮している。
なお、軸受冷却水の設定温度は、上述した基準に限定されるものではなく、ボイラ10,20を含むプラントの規模等に応じて適宜変更して実施することができる。
【0046】
<停止操作時間>
従来の加圧流動床プラントの停止制御方法では、停止操作が終了するまでにST解列から約110時間かかっていた。
これに対して、本発明の実施形態に係る加圧流動床プラントの停止制御方法によれば、図1〜図3に示すように、停止操作が終了するまでにST解列から約56時間とすることができた。
【0047】
すなわち、本発明の実施形態に係る加圧流動床プラントの停止制御方法を採用することにより、停止操作に要する時間を従来の約半分に短縮することができるため、点検作業の開始時期を早めることができる。また、ボイラ10,20の運転再開も早まり、ボイラ10,20の停止処理に関連した動力費を低減することができる。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明は、主として、加圧流動床ボイラ10,20を備えた発電プラントを停止させる際の停止制御方法として使用することができるが、加圧流動床ボイラ10,20を備えたプラントであれば発電プラント以外のプラントにも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の実施形態に係る加圧流動床プラントの停止制御方法の手順を示すタイムテーブルである。
【図2】本発明の実施形態に係る加圧流動床プラントの停止制御方法の手順を示すタイムテーブルである。
【図3】本発明の実施形態に係る加圧流動床プラントの停止制御方法の手順を示すタイムテーブルである。
【図4】本発明の実施形態に係る加圧流動床プラントの停止制御方法において給水ポンプの停止タイミングを示す説明図である。
【図5】本発明の実施形態に係る加圧流動床プラントの停止制御方法を適用する発電プラントの概略構成を示す説明図である。
【符号の説明】
【0050】
10,20 ボイラ
11,21 火炉
12,22 圧力容器
13,23 BMタンク
14 非常用温水タンク
31 高圧タービン
32 中圧タービン
33 低圧タービン
34 ガスタービン
35 コンプレッサ
41,42 発電機
43 起動用モータ
50 復水器
51 冷却水配管
61 石炭ホッパ
62 粗粉砕機
63 分級機
64 中継ホッパ
65 微粉砕機
66 石灰石ホッパ
67 混練機
68 燃料タンク
69 燃料ポンプ
71 水・蒸気配管
72 汽水分離器
73 復水ポンプ
74a〜74e 給水加熱器
75 脱気器
76 給水ポンプ
77 復水配管
81 排ガス配管
82a,82b 無触媒脱硝装置
83 1次サイクロン
84 2次サイクロン
85,86 灰ホッパ
91,93 排熱回収交換器
92 脱硝装置
94 バグフィルタ
95 煙突
101 塵芥回収管
102,103 灰ホッパ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
加圧流動床ボイラを備えた発電プラントを停止させるための方法であって、
ボイラ消火冷却工程におけるガスタービン運転中に、ベッドマテリアル循環冷却を行うことを特徴とする加圧流動床プラントの停止制御方法。
【請求項2】
発電機の負荷が所定値まで減少したら、非常用温水タンクヒータを停止させることを特徴とする請求項1に記載の加圧流動床プラントの停止制御方法。
【請求項3】
ガスタービン解列工程後に、タービン軸受冷却水の温度を前記ガスタービン解列工程よりも低温に設定することを特徴とする請求項1または2に記載の加圧流動床プラントの停止制御方法。
【請求項4】
給水系統の給水温度が所定温度まで降下したら、給水ポンプを停止させることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の加圧流動床プラントの停止制御方法。
【請求項5】
前記給水ポンプの停止は、ボイラ温度と給水温度とが一致した時点で行われることを特徴とする請求項4に記載の加圧流動床プラントの停止制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−100621(P2007−100621A)
【公開日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−293088(P2005−293088)
【出願日】平成17年10月6日(2005.10.6)
【出願人】(000211307)中国電力株式会社 (6,505)
【Fターム(参考)】