説明

加圧装置および加圧装置の制御方法

【課題】長時間の連続した加圧ができ、かつ、被加圧物への負荷変動を低減できる加圧装置および加圧装置の制御方法を提供する。
【解決手段】加圧手段30と、プランジャポンプ50と、加圧手段30とプランジャポンプ50との間の作動油の流れを開放する第1状態と、加圧手段30とプランジャポンプ50との間の作動油の流れを遮断する第2状態とを切り換え可能なシャットオフバルブ61と、シャットオフバルブ61の加圧手段30側の作動油の圧力を測定する第1圧力測定手段71と、シャットオフバルブ61のプランジャポンプ50側の作動油の圧力を測定する第2圧力測定手段72とを備える。シャットオフバルブ61で加圧を中断し、プランジャポンプ50に作動油を補充し、加圧を再開できるので、長時間の連続した加圧ができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加圧装置および加圧装置の制御方法に関する。さらに詳しくは、油圧回路にプランジャポンプを備えた超高圧発生装置等の加圧装置および加圧装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
超高圧発生装置は、ダイヤモンドや新物質を合成するための合成装置、物質の超高圧下での現象を解明するための実験設備等として用いられる。
地球内部の物質の高圧下での挙動を解明する実験に関して説明すると、地球の内部の物質は、地球内部であるゆえ、高温・高圧下の状態に曝されている。したがって、地球内部の構造を解明するためには、地上において、地球内部相当の高温、高圧の清水圧力場を疑似的に作り出す必要がある。そのための実験装置として、超高圧発生装置が使用される。超高圧発生装置により物質(被加工物)を高温、高圧の状態にするためには、長時間にわたる精密な昇圧、加圧維持、減圧を行う必要がある。
【0003】
ところが、超高圧発生装置において圧力を調整するための油圧回路のバルブやシリンダには油漏れがあるため、長時間にわたる精密な昇圧、加圧維持、減圧を行うには、常に少量の圧油を供給し続ける必要がある。そこで、少量の圧油を供給し続けるために油圧回路にプランジャポンプを備えた超高圧発生装置が知られている。
プランジャポンプは、直動機構により精密な油の吐出、制御が可能である。その一方、プランジャポンプのストロークは限られているため、長時間の連続した加圧ができないという問題がある。
プランジャポンプがストローク端に達した場合、一旦加圧を中断し、プランジャポンプに作動油を補充し、中断していた加圧を再開することが行われる。この加圧再開時に油圧変動が大きいと被加圧物への負荷変動が起こり、加圧がうまくいかなくなるという問題がある。
【0004】
そこで、従来のプランジャポンプを備えた超高圧発生装置は、プランジャポンプのストロークの制約内で使用しているものや、複数個のプランジャポンプを切り換えてストロークの制約を補っているものがある(特許文献1)。
しかるに、プランジャポンプをストロークの制約内で使用すると、長時間の連続した加圧ができないという問題がある。
また、複数個のプランジャポンプを切り換えると、切り換え時に被加圧物への負荷変動が起こるという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平6−330851号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記事情に鑑み、長時間の連続した加圧ができ、かつ、被加圧物への負荷変動を低減できる加圧装置および加圧装置の制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1発明の加圧装置は、作動油の供給により被加工物を加圧する加圧手段と、シリンダと、該シリンダ内を摺動可能なプランジャと、該シリンダまたは該プランジャを駆動する駆動機構とを有し、該駆動機構により該シリンダまたは該プランジャを駆動することにより前記加圧手段に該シリンダ内の作動油を供給するプランジャポンプと、前記加圧手段と前記プランジャポンプとの間の作動油の流れを開放する第1状態と、前記加圧手段と前記プランジャポンプとの間の作動油の流れを遮断する第2状態とを切り換え可能なシャットオフバルブと、前記シャットオフバルブの前記加圧手段側の作動油の圧力を測定する第1圧力測定手段と、前記シャットオフバルブの前記プランジャポンプ側の作動油の圧力を測定する第2圧力測定手段と、を備えることを特徴とする。
第2発明の加圧装置は、第1発明において、さらに、前記シャットオフバルブの第1状態と第2状態とを切り換え可能な制御手段を備え、該制御手段は、前記プランジャポンプが作動油を補充している間は、前記シャットオフバルブを第2状態にさせることを特徴とする。
第3発明の加圧装置は、第2発明において、さらに、前記第1圧力測定手段の測定値と、前記第2圧力測定手段の測定値とを監視する油圧監視手段を備え、前記制御手段は、前記プランジャポンプが作動油を補充した後に、前記油圧監視手段が前記第1圧力測定手段の測定値と前記第2圧力測定手段の測定値とが略一致したことを検出したときに、前記シャットオフバルブを第1状態にさせることを特徴とする。
第4発明の加圧装置は、作動油の供給により被加工物を加圧する加圧手段と、シリンダと、該シリンダ内を摺動可能なプランジャと、該シリンダまたは該プランジャを駆動する駆動機構とを有し、該駆動機構により該シリンダまたは該プランジャを駆動することにより前記加圧手段から該シリンダ内に作動油を吸引するプランジャポンプと、前記加圧手段と前記プランジャポンプとの間の作動油の流れを開放する第1状態と、前記加圧手段と前記プランジャポンプとの間の作動油の流れを遮断する第2状態とを切り換え可能なシャットオフバルブと、前記シャットオフバルブの前記加圧手段側の作動油の圧力を測定する第1圧力測定手段と、前記シャットオフバルブの前記プランジャポンプ側の作動油の圧力を測定する第2圧力測定手段と、を備えることを特徴とする。
第5発明の加圧装置は、第4発明において、さらに、前記シャットオフバルブの第1状態と第2状態とを切り換え可能な制御手段を備え、該制御手段は、前記プランジャポンプが作動油を排出している間は、前記シャットオフバルブを第2状態にさせることを特徴とする。
第6発明の加圧装置は、第5発明において、さらに、前記第1圧力測定手段の測定値と、前記第2圧力測定手段の測定値とを監視する油圧監視手段を備え、前記制御手段は、前記プランジャポンプが作動油を排出した後に、前記油圧監視手段が前記第1圧力測定手段の測定値と前記第2圧力測定手段の測定値とが略一致したことを検出したときに、前記シャットオフバルブを第1状態にさせることを特徴とする。
第7発明の加圧装置は、第1、第2、第3、第4、第5または第6発明において、さらに、前記第1圧力測定手段の測定値と、前記第2圧力測定手段の測定値とを監視する油圧監視手段と、該油圧監視手段の監視結果に基づき視覚信号および/または聴覚信号を出力する視聴覚信号出力手段とを備え、前記視聴覚信号出力手段は、前記油圧監視手段が前記第1圧力測定手段の測定値と前記第2圧力測定手段の測定値とが略一致したことを検出したときに、前記視覚信号および/または前記聴覚信号を出力することを特徴とする。
第8発明の加圧装置の制御方法は、作動油の供給により被加工物を加圧する加圧手段と、シリンダと、該シリンダ内を摺動可能なプランジャと、該シリンダまたは該プランジャを駆動する駆動機構とを有し、該駆動機構により該シリンダまたは該プランジャを駆動することにより前記加圧手段に該シリンダ内の作動油を供給するプランジャポンプと、前記加圧手段と前記プランジャポンプとの間の作動油の流れを開放する第1状態と、前記加圧手段と前記プランジャポンプとの間の作動油の流れを遮断する第2状態とを切り換え可能なシャットオフバルブと、を備える加圧装置の制御方法であって、前記プランジャポンプが作動油を補充している間は、前記シャットオフバルブを第2状態にすることを特徴とする。
第9発明の加圧装置の制御方法は、第8発明において、前記プランジャポンプが作動油を補充した後に、前記シャットオフバルブの前記プランジャポンプ側の作動油の圧力を上昇させ、前記シャットオフバルブの前記加圧手段側の作動油の圧力と、前記シャットオフバルブの前記プランジャポンプ側の作動油の圧力とが略一致したときに、前記シャットオフバルブを第1状態にすることを特徴とする。
第10発明の加圧装置の制御方法は、作動油の供給により被加工物を加圧する加圧手段と、シリンダと、該シリンダ内を摺動可能なプランジャと、該シリンダまたは該プランジャを駆動する駆動機構とを有し、該駆動機構により該シリンダまたは該プランジャを駆動することにより前記加圧手段から該シリンダ内に作動油を吸引するプランジャポンプと、前記加圧手段と前記プランジャポンプとの間の作動油の流れを開放する第1状態と、前記加圧手段と前記プランジャポンプとの間の作動油の流れを遮断する第2状態とを切り換え可能なシャットオフバルブと、を備える加圧装置の制御方法であって、前記プランジャポンプが作動油を排出している間は、前記シャットオフバルブを第2状態にすることを特徴とする。
第11発明の加圧装置の制御方法は、第10発明において、前記プランジャポンプが作動油を排出した後に、前記シャットオフバルブの前記プランジャポンプ側の作動油の圧力を上昇させ、前記シャットオフバルブの前記加圧手段側の作動油の圧力と、前記シャットオフバルブの前記プランジャポンプ側の作動油の圧力とが略一致したときに、前記シャットオフバルブを第1状態にすることを特徴とする。
第12発明の加圧装置の制御方法は、第8、第9、第10または第11発明において、さらに、視覚信号および/または聴覚信号を出力する視聴覚信号出力手段を備える加圧装置の制御方法であって、前記シャットオフバルブの前記加圧手段側の作動油の圧力と前記シャットオフバルブの前記プランジャポンプ側の作動油の圧力とが略一致したときに、前記視聴覚信号出力手段から前記視覚信号および/または前記聴覚信号を出力することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
第1発明によれば、シャットオフバルブで加圧を中断し、プランジャポンプに作動油を補充し、加圧を再開できるので、ストロークに限りが有るプランジャポンプでも長時間の連続した加圧ができる。また、第1側圧力測定手段と第2圧力測定手段とで圧力監視を行うことで、加圧中断から再開までの処理を、加圧装置を構成する機器の最高速度で動作させることができ、加圧中断から再開までの時間を短くできる。
第2発明によれば、シャットオフバルブで加圧を中断し、プランジャポンプに作動油を補充し、加圧を再開できるので、ストロークに限りが有るプランジャポンプでも長時間の連続した加圧ができる。
第3発明によれば、シャットオフバルブは、第1圧力測定手段の測定値と第2圧力測定手段の測定値とが略一致したときに、加圧手段とプランジャポンプとの間の作動油の流れを開放するので、加圧再開時の被加圧物への負荷変動を低減できる。
第4発明によれば、シャットオフバルブで減圧を中断し、プランジャポンプから作動油を排出し、減圧を再開できるので、ストロークに限りが有るプランジャポンプでも長時間の連続した減圧ができる。また、第1側圧力測定手段と第2圧力測定手段とで圧力監視を行うことで、減圧中断から再開までの処理を、加圧装置を構成する機器の最高速度で動作させることができ、減圧中断から再開までの時間を短くできる。
第5発明によれば、シャットオフバルブで減圧を中断し、プランジャポンプから作動油を排出し、減圧を再開できるので、ストロークに限りが有るプランジャポンプでも長時間の連続した減圧ができる。
第6発明によれば、シャットオフバルブは、第1圧力測定手段の測定値と第2圧力測定手段の測定値とが略一致したときに、加圧手段とプランジャポンプとの間の作動油の流れを開放するので、減圧再開時の被加圧物への負荷変動を低減できる。
第7発明によれば、視聴覚信号を基に、作業員がシャットオフバルブを切り換えれば、第1圧力測定手段の測定値と第2圧力測定手段の測定値とが略一致したときに、加圧手段とプランジャポンプとの間の作動油の流れを開放するので、加圧・減圧再開時の被加圧物への負荷変動を低減できる。
第8発明によれば、シャットオフバルブで加圧を中断し、プランジャポンプに作動油を補充し、加圧を再開できるので、ストロークに限りが有るプランジャポンプでも長時間の連続した加圧ができる。
第9発明によれば、シャットオフバルブは、加圧手段側の作動油の圧力と、プランジャポンプ側の作動油の圧力とが略一致したときに、加圧手段とプランジャポンプとの間の作動油の流れを開放するので、加圧再開時の被加圧物への負荷変動を低減できる。
第10発明によれば、シャットオフバルブで減圧を中断し、プランジャポンプから作動油を排出し、減圧を再開できるので、ストロークに限りが有るプランジャポンプでも長時間の連続した減圧ができる。
第11発明によれば、シャットオフバルブは、加圧手段側の作動油の圧力と、プランジャポンプ側の作動油の圧力とが略一致したときに、加圧手段とプランジャポンプとの間の作動油の流れを開放するので、減圧再開時の被加圧物への負荷変動を低減できる。
第12発明によれば、視聴覚信号を基に、作業員がシャットオフバルブを切り換えれば、シャットオフバルブの加圧手段側の作動油の圧力と、プランジャポンプ側の作動油の圧力とが略一致したときに、加圧手段とプランジャポンプとの間の作動油の流れを開放するので、加圧・減圧再開時の被加圧物への負荷変動を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の一実施形態に係る超高圧発生装置の油圧回路図である。
【図2】同超高圧発生装置の概略正面図である。
【図3】被加圧物への加圧力の時系列変化を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
つぎに、本発明の実施形態を図面に基づき説明する。
まず、図2に基づき、本実施形態に係る超高圧発生装置Aの全体構造を説明する。なお、超高圧発生装置Aは、特許請求の範囲に記載の加圧装置に相当する。
図2において符号10は超高圧発生装置Aのフレームを示している。このフレーム10には、その中心部に中空な空間12が設けられており、この空間12内に6個のアンビル20が配置されている。各アンビル20は、先端部分が截頭四角錐状に形成されたものであり、図2において、空間12の中心を基準として上下、左右、前後に配置されており、先端面に囲まれた部分には、中心部に試料体を埋設した葉ろう石(パイロフィライト)や半焼結酸化マグネシウム(MgO)等の被加圧物Wが配置される加圧空間11が形成されている。そして、6つのアンビル20は、互いに対向するアンビル20の先端面同士が互いに平行となるように配設されている。つまり、6つのアンビル20は、その先端面に囲まれた加圧空間11が立方体(正六面体)となるように配置されているのである。これら6つのアンビル20によって、加圧空間11内に配置された被加工物Wが加圧される。
なお、アンビル20の数は6個に限られず、また、その先端部の形状も截頭四角錐状に限られない。アンビル20を1つとして1軸プレスとしても良いし、2以上のアンビル20を用いてもよい。また、アンビル20の先端面に囲まれた加圧空間11は、必ずしも正多面体でなくてもよく、被加工物Wの形状に合わせて被加工物Wを加圧することができる空間となっていればよい。
【0011】
6つのアンビル20は、その基端にそれぞれ油圧シリンダ30が連結されている。なお、アンビル20および油圧シリンダ30は、特許請求の範囲に記載の加圧手段に相当する。
油圧シリンダ30は全て同じ構成を有しており、隣接するアンビル20同士が互いに直交する方向に移動するように配置されている。具体的には、加圧空間11の上下に位置するアンビル20の移動方向は、左右および前後に位置するアンビル20の移動方向と直交し、かつ、左右に位置するアンビル20の移動方向は、前後に位置するアンビル20の移動方向と直交するように配置されているのである。
なお、アンビル20の数が6個、つまり、加圧空間11が立方体となる場合にはアンビル20の移動方向は直交させる必要があるが、アンビル20の数が6個でない場合には、アンビル20の移動方向を隣接するアンビル20の移動方向と直交させる必要はない。アンビル20の数が6個以外であれば、加圧空間11の各面に垂直、言い換えれば、各アンビル20の先端面に垂直にあって、かつ、加圧空間11の中心を通過する軸に沿った方向にアンビル20を移動させることができるように油圧シリンダ30を配設すればよい。
【0012】
油圧シリンダ30は、中空である筒状のシリンダ31とシリンダ31の内周を摺動可能なピストンロッド32とから構成されており、シリンダ31は、フレーム10を穿孔するなどしてフレーム10と一体として形成されている。ピストンロッド32は両ロッドタイプで、加圧空間11側に設けられたロッドの一端には、アンビル20が取り付けられている。また、図1に示すように、油圧シリンダ30は、シリンダ31とピストン32とによって形成される、ピストン側油室33とロッド側油室34とを有している。なお、油圧シリンダ30のシリンダ31は、必ずしもフレーム10と一体として形成されるのではなく、フレーム10と別体とすることもできる。また、ピストンロッド32は両ロッドタイプ以外のタイプでもよい。
【0013】
つぎに、図1に基づき、油圧シリンダ30を動作させる油圧回路について説明する。なお、図1は、6つのアンビル20のうちの1つのアンビル20に連結された油圧シリンダ30の油圧回路を示している。他のアンビル20に連結された油圧シリンダ30の油圧回路も同様の構成である。
図1に示すように、油圧シリンダ30のピストン側油室33には、給排管41が接続されており、ロッド側油室34には後述する切換弁Vに接続された給排管42が接続されている。給排管41は途中で分岐しており、一方が切換弁Vに接続された給排管41a、他方が後述するプランジャポンプ50に接続された給排管41bとなっている。また、作動油が蓄えられたタンクT1内の作動油を吐出する油圧ポンプPに接続された給排管43と、作動油が蓄えられたタンクT2と切換弁Vとを接続する給排管44と、プランジャポンプ50と後述する切換弁63とを接続する給排管45とが設けられている。給排管43は途中で分岐しており、一方が切換弁Vに接続された給排管43a、他方が切換弁63に接続された給排管43bとなっている。
【0014】
切換弁Vは、4ポート3位置の方向制御弁であって、油圧ポンプPの吐出油をピストン側油室33に送るI位置と、ピストン側油室33およびロッド側油室34をタンクT2と接続する中立位置IIと、油圧ポンプPの吐出油をロッド側油室34に送るIII位置とを選択的に切り換えできるようになっている。
切換弁VをI位置にし、油圧ポンプPの吐出した圧油をピストン側油室33に供給すると、ピストンロッド32が右方に移動するので、アンビル20を加圧空間11に向けて接近させることができる。また、切換弁VをIII位置にし、油圧ポンプPの吐出した圧油をロッド側油室34に供給すると、ピストンロッド32が左方に移動するので、アンビル20を加圧空間11から離間させることができる。
【0015】
給排管41bと給排管45との間にはプランジャポンプ50が介装されている。プランジャポンプ50は、中空である筒状のシリンダ52と、フレーム等に固定されると共にシリンダ52の内部で相対的に摺動可能なプランジャ53と、シリンダ52に接続されてシリンダ52を駆動するボールねじ駆動等の直動機構51とを備えており、直動機構51でシリンダ52をプランジャ53に対して往復運動させることにより、シリンダ52内の作動油をピストン側油室33へ供給し、ピストン側油室33内の作動油を排出するポンプである。プランジャポンプ50は、直動機構51の動作を制御することにより精密な作動油の吐出制御が可能である。
このプランジャポンプ50により、ピストン側油室33に作動油を供給したり排出したりすることで、油圧シリンダ30における長時間にわたる精密な昇圧、加圧維持、減圧を行うことができる。
【0016】
なお、直動機構51によりシリンダ52を往復運動させる構成に限らず、シリンダ52をフレーム等に固定すると共に直動機構51をプランジャ53に接続し、プランジャ53をシリンダ52に対して往復運動させる構成としてもよい。また、直動機構51はボールねじ駆動に限らず、他の直線駆動手段、例えばリニアモータ等を用いてもよい。
【0017】
また、ピストン側油室33とプランジャポンプ50との間の給排管41bにはシャットオフバルブ61が介装され、プランジャポンプ50と切換弁63との間の給排管45にはシャットオフバルブ62が介装されている。シャットオフバルブ61、62は、2ポート2位置の制御弁であって、作動油の流れを開放するI位置と、作動油の流れを遮断するII位置とを選択的に切り換えることができるようになっている。ここで、シャットオフバルブ61がI位置の状態が、特許請求の範囲に記載の第1状態に相当し、シャットオフバルブ61がII位置の状態が、特許請求の範囲に記載の第2状態に相当する。
油圧シリンダ30側のシャットオフバルブ61をI位置にすると、プランジャポンプ50からピストン側油室33に作動油を給排出することができ、II位置にすると、ピストン側油室33とプランジャポンプ50との間の作動油の流れを遮断できる。また、油圧ポンプP側のシャットオフバルブ62をI位置にすると、油圧ポンプPからプランジャポンプ50へ作動油を補充でき、II位置にすると、プランジャポンプ50への作動油の補充を停止できる。
【0018】
また、給排管43bと給排管45との間に切換弁63が介装されている。この切換弁63は、4ポート2位置の方向制御弁であって、プランジャポンプ50内の作動油をタンクT3に排出するI位置と、油圧ポンプPの吐出油をプランジャポンプ50に送るII位置とを選択的に切り換えることができるようになっている。
【0019】
さらに、給排管41には油圧シリンダ30のピストン側油室33とシャットオフバルブ61との間に加圧側圧力計71が介装されており、給排管41bにはシャットオフバルブ61とプランジャポンプ50との間にポンプ側圧力計72が介装されている。したがって、加圧側圧力計71はシャットオフバルブ61の油圧シリンダ30側の油圧を測定することができ、ポンプ側圧力計72はシャットオフバルブ61のプランジャポンプ50側の油圧を測定することができる。
なお、加圧側圧力計71が特許請求の範囲に記載の第1圧力測定手段に相当し、ポンプ側圧力計72が特許請求の範囲に記載の第2圧力測定手段に相当する。
【0020】
また、給排管41aにはパイロットチェック弁64が介装されており、給排管42にはパイロットチェック弁65が介装されている。パイロットチェック弁64は、切換弁V側から送られてくる作動油は通過させ、その逆向きで送られてくる作動油は、パイロットチェック弁65と切換弁Vとの間の給排管42内の作動油が所定の油圧以下である場合は遮断する。同様に、パイロットチェック弁65は、切換弁V側から送られてくる作動油は通過させ、その逆向きで送られてくる作動油は、パイロットチェック弁64と切換弁Vとの間の給排管41a内の作動油が所定の油圧以下である場合は遮断する。
【0021】
また、超高圧発生装置Aには、各部材の動作を制御する制御装置Sが設けられている。制御装置Sは、油圧ポンプPからの作動油の送り出し、シャットオフバルブ61,62の位置の切り換え、切換弁63、Vの位置の切り換え、直動機構51の動作等を制御する。この制御装置Sは特許請求の範囲に記載の制御手段に相当する。
なお、タンクT1,T2,T3は一般的には同一のタンクであるが、これらを別々のタンクとしてもよい。
【0022】
つぎに、本実施形態に係る超高圧発生装置Aによる被加圧物Wの加圧方法を説明する。図3に示すように、被加圧物に対して加圧する前の準備、昇圧、加圧維持、減圧を行う場合を例に説明する。なお、昇圧にかかる時間t1、加圧維持時間t2、減圧にかかる時間t3は、それぞれ数時間から数十時間という長時間である。準備にかかる時間t0はt1〜t3に比べ、短くなる。
【0023】
まず、6つのアンビル20の先端面に囲まれた加圧空間11に被加圧物Wを配置する。ついで、切換弁VをI位置にし、油圧ポンプPの吐出した作動油をピストン側油室33に供給すると、その油圧によりパイロットチェック弁65が開放され、ロッド側油室34の作動油がタンクT2に返送される。これによりアンビル20を加圧空間11に向けて接近させ、各アンビル20の先端面を被加圧物Wに接触、または接触する手前まで近づける。各アンビル20の先端面が被加圧物Wに接触、または接触する手前まで近づいたときに、切換弁VをII位置にすれば、被加圧物Wにほとんど加圧力が加わらない状態でアンビル20を停止させることができる(準備工程)。ここで、アンビル20の先端面が被加工物Wに接触する手前まで近づくとは、アンビル20の位置と被加工物Wの大きさとに基づいて、アンビル20の先端面と被加工物Wの表面との間に所定の距離がある状態のことである。
このように、被加圧物Wを加圧しない範囲では、油圧ポンプPで油圧シリンダ30を作動させるので、油圧シリンダ30の動作を速くできる。また、後述のごとく、プランジャポンプ50が作動油を補充・排出する回数を少なくできる。
【0024】
なお、上記の準備工程においては、シャットオフバルブ61をI位置、II位置のどちらでも構わないが、II位置であれば油圧ポンプPから供給される作動油がプランジャポンプ50に送られず、油圧シリンダ30のみへ送られるので、油圧シリンダ30の動作をより速くできる。
同様に、シャットオフバルブ62および切換弁63はI位置、II位置のどちらでも構わないが、油圧ポンプPから供給される作動油が油圧シリンダ30のみへ送られるような位置にしておくと、油圧シリンダ30の動作をより速くできる。
逆に、シャットオフバルブ61、62および切換弁63を、油圧ポンプPから供給される作動油をプランジャポンプ50に送られるような位置にすれば、プランジャポンプ50内への作動油を補充することができる。
【0025】
全てのアンビル20の先端面が被加圧物Wに接触したら、または全てのアンビル20の先端面と被加工物Wとの間が所定距離になったら、昇圧工程が開始される。
まず、シャットオフバルブ62をII位置にし、油圧ポンプPからプランジャポンプ50への作動油の供給を遮断する。また、シャットオフバルブ61をI位置にし、プランジャポンプ50から油圧シリンダ30のピストン側油室33への作動油の流れを開放する。
そして、プランジャポンプ50により油圧シリンダ30のピストン側油室33へ作動油を供給し、被加圧物Wへの加圧力を昇圧する。このとき、パイロットチェック弁64,65によりプランジャポンプ50側の油圧回路と切換弁VおよびポンプP側の油圧回路とが遮断されているため、プランジャポンプ50により発生する油圧が切換弁VおよびポンプPに伝達されることがない。
プランジャポンプ50は直動機構51によりシリンダ52を直動させることでプランジャ53が作動油を押し出すため、精密な作動油の吐出制御が可能であるから、長時間をかけて除々に昇圧できる。
【0026】
プランジャポンプ50のプランジャ53がストローク端に達すると、それ以上は昇圧ができなくなる。本実施形態のように、昇圧にかかる時間t1が数時間から数十時間という長時間である場合には、昇圧の途中でストローク端に達する。この場合、プランジャポンプ50に作動油を補充する必要がある。
プランジャポンプ50に作動油を補充するためには、まず、シャットオフバルブ61をII位置にし、油圧シリンダ30のピストン側油室33とプランジャポンプ50との間の作動油の流れを遮断する。これにより、作動油の補充中でも油圧シリンダ30のピストン側油室33の内圧、すなわち加圧力を維持することができる。つぎに、シャットオフバルブ62をI位置にすると共に、切換弁63をI位置にし、プランジャポンプ50内の圧力を開放する。なお、シャットオフバルブ62および切換弁63の切り換えは同時に行ってもよいし、シャットオフバルブ62を切り換えた後に切換弁63を切り換えても良いし、切換弁63を切り換えた後にシャットオフバルブ62を切り換えても良い。つぎに、切換弁63をII位置にし、油圧ポンプPからプランジャポンプ50へ作動油を供給する。このとき、プランジャポンプ50の直動機構51を動作させ、プランジャポンプ50内に作動油を吸引する。
【0027】
プランジャポンプ50に作動油を補充した後、シャットオフバルブ62をII位置にし、油圧ポンプPからプランジャポンプ50への作動油の供給を遮断する。
つぎに、プランジャポンプ50の直動機構51を動作させ、プランジャポンプ50の内圧を昇圧させる。このとき、制御装置Sは加圧側圧力計71とポンプ側圧力計72とで圧力監視を行い、ポンプ側圧力計72で測定された油圧が加圧側圧力計71で測定された油圧と略一致したときに、シャットオフバルブ61をI位置にし、油圧シリンダ30とプランジャポンプ50との間の作動油の流れを開放する。すなわち、シャットオフバルブ61の油圧シリンダ30側の油圧とプランジャポンプ50側の油圧とが略一致したときに、油圧シリンダ30のピストン側油室33とプランジャポンプ50との間の作動油の流れが開放されるのである。
なお、制御装置Sは特許請求の範囲に記載の油圧監視手段にも相当する。制御装置Sにより加圧側圧力計71とポンプ側圧力計72とで測定した圧力を監視してもよいし、制御装置Sとは別の圧力監視装置を設けてもよい。
【0028】
このように、加圧側圧力計71、ポンプ側圧力計72およびシャットオフバルブ61を、制御装置Sに接続すれば、その制御装置Sでポンプ側圧力計72で測定された油圧が加圧側圧力計71で測定された油圧と略一致しているか否かを監視し、一致したと判断したときに、制御装置Sによりシャットオフバルブ61のソレノイドを動作させ、位置を切り換えることができる。したがって、自動的にシャットオフバルブ61の切り換えができる。
【0029】
また、ポンプ側圧力計72で測定された油圧と加圧側圧力計71で測定された油圧とが略一致したときに、音(聴覚信号)や光(視覚信号)等の視聴覚信号を出力する視聴覚信号出力装置Mによって視聴覚信号を発し、その視聴覚信号を基に、作業員がシャットオフバルブ61を切り換えるようにしてもよい。視聴覚信号出力装置Mは、例えば、警告音を発するブザー、点灯と消灯とを切り換え可能なランプ・LED、文字や図形を表示可能なモニター等が挙げられる。視聴覚信号装置Mは、聴覚信号または視覚信号のどちらか一方のみを出力しても良いし、聴覚信号および視覚信号の両方を出力しても良い。視聴覚信号装置Mは必ずしも要するのではなく、制御装置Sが自動的にシャットオフバルブ61を切り換える場合は、省略しても良い。
また、油圧監視装置を設けずに、加圧側圧力計71とポンプ側圧力計72とが測定した測定値をそれぞれ表示する表示装置を設け、表示装置に表示された測定値が略一致したら、作業員がシャットオフバルブ61を切り換えるようにしても良い。
【0030】
なお、シャットオフバルブ61をI位置にするのは、ポンプ側圧力計72で測定された油圧と加圧側圧力計71で測定された油圧とが完全に一致した場合に限らず、ポンプ側圧力計72で測定された油圧と加圧側圧力計71で測定された油圧との差が所定値以内に収まった場合に、シャットオフバルブ61をI位置にしても良い。
【0031】
その後、プランジャポンプ50により油圧シリンダ30のピストン側油室33へ作動油を供給し、昇圧を再開する。
なお、再びプランジャポンプ50がストローク端に達した場合には、上記と同様の工程でプランジャポンプ50に作動油を補充し、再び昇圧を開始させる。
【0032】
以上のごとく、シャットオフバルブ61で昇圧を中断し、プランジャポンプ50に作動油を補充し、昇圧を再開できるので、ストロークに限りが有るプランジャポンプでも長時間の連続した昇圧ができる。また、シャットオフバルブ61は、シャットオフバルブ61の油圧ポンプ30側の油圧とプランジャポンプ50側の油圧とが略一致したときに、油圧シリンダ30とプランジャポンプ50との間の作動油の流れを開放するので、昇圧再開時の被加圧物Wへの負荷変動を低減できる。
【0033】
さらに、制御装置Sにより加圧側圧力計71とポンプ側圧力計72とで測定した圧力の監視を行うので、昇圧中断から再開までの処理を超高圧発生装置Aを構成する機器、例えばプランジャポンプ50や油圧ポンプP等の最高速度で動作させることができ、昇圧中断から再開までの時間を短くできる。
【0034】
つぎに、目的の加圧力まで昇圧が完了すると、その加圧力を維持する加圧維持工程(図3におけるt2)が開始される。
加圧維持工程では、理想的には油圧シリンダ30のピストン側油室33に圧油を供給する必要はないが、実際には、油圧シリンダ30のシリンダ31とピストンロッド32とのシールの隙間や、切換弁V等において油漏れがあるため、除々に油圧シリンダ30のピストン側油室33の内圧が下がってくる。これを補うために、プランジャポンプ50で油圧シリンダ30のピストン側油室33に常に少量の圧油を供給し続ける必要がある。
【0035】
この加圧維持工程においても、油圧シリンダ30を動作させる油圧回路の動作は昇圧工程とほぼ同様であり、プランジャポンプ50から油圧シリンダ30のピストン側油室33に供給する作動油の量が少量となるだけである。
また、加圧維持工程が長時間である場合には、プランジャポンプ50がストローク端に達する場合がある。この場合にも、昇圧工程の場合と同様にプランジャポンプ50に作動油を補充し、再びプランジャポンプ50から油圧シリンダ30への作動油の供給を開始させる。このときのプランジャポンプ50、シャットオフバルブ61、62、切換弁63、加圧側圧力計71およびポンプ側圧力計72の動作も昇圧工程の場合と同様である。
【0036】
そのため、ストロークに限りが有るプランジャポンプでも長時間の連続した加圧維持ができる。また、シャットオフバルブ61は、シャットオフバルブ61の油圧シリンダ30側の油圧とプランジャポンプ50側の油圧とが略一致したときに、油圧シリンダ30とプランジャポンプ50との間の作動油の流れを開放するので、加圧再開時の被加圧物Wへの負荷変動を低減できる。
さらに、加圧側圧力計71とポンプ側圧力計72とで圧力監視を行うので、加圧中断から再開までの処理を超高圧発生装置Aを構成する機器の最高速度で動作させることができ、加圧中断から再開までの時間を短くできる。
【0037】
つぎに、加圧維持工程が完了すると、その加圧力を減圧する減圧工程(図3におけるt3)が開始される。
まず、シャットオフバルブ62をII位置にし、油圧ポンプPからプランジャポンプ50への作動油の供給を遮断する。また、シャットオフバルブ61をI位置にし、プランジャポンプ50から油圧シリンダ30への作動油の流れを開放する。
そして、プランジャポンプ50により油圧シリンダ30のピストン側油室33から作動油を吸引し、被加圧物Wへの加圧力を減圧する。このとき、プランジャポンプ50は精密な作動油の吸引制御が可能であるから、長時間をかけて除々に減圧できる。
【0038】
プランジャポンプ50が作動油を限界まで吸引すると、それ以上は減圧ができなくなる。この場合、プランジャポンプ50から作動油を排出する必要がある。
プランジャポンプ50から作動油を排出するためには、まず、シャットオフバルブ61をII位置にし、油圧シリンダ30のピストン側油室33とプランジャポンプ50との間の作動油の流れを遮断する。これにより、プランジャポンプ50内の作動油を排出中でも油圧シリンダ30のピストン側油室33の内圧、すなわち加圧力を維持することができる。つぎに、切換弁63をI位置にするとともに、シャットオフバルブ62をI位置にして、プランジャポンプ50の直動機構51を動作させ、プランジャポンプ50から作動油をタンクT3へ排出する。なお、シャットオフバルブ62および切換弁63の切り換えは同時に行ってもよいし、シャットオフバルブ62を切り換えた後に切換弁63を切り換えても良いし、切換弁63を切り換えた後にシャットオフバルブ62を切り換えても良い。
【0039】
プランジャポンプ50から作動油を排出した後、シャットオフバルブ62をII位置にし、作動油の排出を停止する。
つぎに、プランジャポンプ50の直動機構51を動作させ、プランジャポンプ50の内圧を昇圧させる。このとき、制御装置Sにより加圧側圧力計71とポンプ側圧力計72とで測定した圧力の監視を行い、ポンプ側圧力計72で測定された油圧が加圧側圧力計71で測定された油圧と略一致したときに、シャットオフバルブ61をI位置にし、油圧シリンダ30のピストン側油室33とプランジャポンプ50との間の作動油の流れを開放する。
【0040】
その後、プランジャポンプ50により油圧シリンダ30のピストン側油室33から作動油を排出し、減圧を再開する。
なお、再びプランジャポンプ50が作動油を限界まで吸引した場合には、上記と同様の工程でプランジャポンプ50から作動油を排出し、再び減圧を開始させる。
【0041】
以上のごとく、ストロークに限りが有るプランジャポンプ50でも長時間の連続した減圧ができる。また、シャットオフバルブ61は、シャットオフバルブ61の油圧シリンダ30側の油圧とプランジャポンプ50側の油圧とが略一致したときに、油圧シリンダ30とプランジャポンプ50との間の作動油の流れを開放するので、減圧再開時の被加圧物Wへの負荷変動を低減できる。
さらに、制御装置Sにより加圧側圧力計71とポンプ側圧力計72とで計測する圧力を監視するので、減圧中断から再開までの処理を超高圧発生装置Aを構成する機器の最高速度で動作させることができ、減圧中断から再開までの時間を短くできる。
【0042】
減圧完了後は、切換弁VをIII位置にし、油圧ポンプPの吐出した作動油をロッド側油室34に供給すると、その油圧によりパイロットチェック弁64が開放され、ピストン側油室33の作動油がタンクT2に返送される。これによりアンビル20を加圧空間11から離間させる。その後、加圧空間11から被加圧物Wを取り出す。
【0043】
(他の実施形態)
上記実施形態では、油圧シリンダ30のピストン側油室33の減圧工程において、プランジャポンプ50により油圧シリンダ30のピストン側油室33から積極的に作動油を排出させているが、油圧回路の油漏れによる減圧の速度によっては、プランジャポンプ50による減圧を行わなくてもよい。また、油圧回路の油漏れによる減圧の速度が目的とする減圧の速度よりも速い場合には、プランジャポンプ50により油圧シリンダ30のピストン側油室33に作動油を供給し、減圧の速度を下げる制御を行う必要がある。この様な場合には、プランジャポンプ50により油圧シリンダ30のピストン側油室33から作動油を吸引する必要はなく、逆にプランジャポンプ50により油圧シリンダのピストン側油室33へ作動油を供給することで減圧の速度を制御する。
【0044】
また、上記実施形態ではプランジャポンプ50の他に油圧ポンプPを設けたが、油圧ポンプPを設けずプランジャポンプ50のみを設ける構成としてもよい。この場合、タンクT1,T2、切換弁V,63、給排管41a,42,43,43a,43b,44も設ける必要はない。そして、被加圧物Wを加圧しない範囲においても、プランジャポンプ50で油圧シリンダ30を作動させればよい。
【符号の説明】
【0045】
30 油圧シリンダ
50 プランジャポンプ
61、62 シャットオフバルブ
71 加圧側圧力計
72 ポンプ側圧力計

【特許請求の範囲】
【請求項1】
作動油の供給により被加工物を加圧する加圧手段と、
シリンダと、該シリンダ内を摺動可能なプランジャと、該シリンダまたは該プランジャを駆動する駆動機構とを有し、該駆動機構により該シリンダまたは該プランジャを駆動することにより前記加圧手段に該シリンダ内の作動油を供給するプランジャポンプと、
前記加圧手段と前記プランジャポンプとの間の作動油の流れを開放する第1状態と、前記加圧手段と前記プランジャポンプとの間の作動油の流れを遮断する第2状態とを切り換え可能なシャットオフバルブと、
前記シャットオフバルブの前記加圧手段側の作動油の圧力を測定する第1圧力測定手段と、
前記シャットオフバルブの前記プランジャポンプ側の作動油の圧力を測定する第2圧力測定手段と、を備える
ことを特徴とする加圧装置。
【請求項2】
さらに、前記シャットオフバルブの第1状態と第2状態とを切り換え可能な制御手段を備え、
該制御手段は、前記プランジャポンプが作動油を補充している間は、前記シャットオフバルブを第2状態にさせる
ことを特徴とする請求項1記載の加圧装置。
【請求項3】
さらに、前記第1圧力測定手段の測定値と、前記第2圧力測定手段の測定値とを監視する油圧監視手段を備え、
前記制御手段は、前記プランジャポンプが作動油を補充した後に、前記油圧監視手段が前記第1圧力測定手段の測定値と前記第2圧力測定手段の測定値とが略一致したことを検出したときに、前記シャットオフバルブを第1状態にさせる
ことを特徴とする請求項2記載の加圧装置。
【請求項4】
作動油の供給により被加工物を加圧する加圧手段と、
シリンダと、該シリンダ内を摺動可能なプランジャと、該シリンダまたは該プランジャを駆動する駆動機構とを有し、該駆動機構により該シリンダまたは該プランジャを駆動することにより前記加圧手段から該シリンダ内に作動油を吸引するプランジャポンプと、
前記加圧手段と前記プランジャポンプとの間の作動油の流れを開放する第1状態と、前記加圧手段と前記プランジャポンプとの間の作動油の流れを遮断する第2状態とを切り換え可能なシャットオフバルブと、
前記シャットオフバルブの前記加圧手段側の作動油の圧力を測定する第1圧力測定手段と、
前記シャットオフバルブの前記プランジャポンプ側の作動油の圧力を測定する第2圧力測定手段と、を備える
ことを特徴とする加圧装置。
【請求項5】
さらに、前記シャットオフバルブの第1状態と第2状態とを切り換え可能な制御手段を備え、
該制御手段は、前記プランジャポンプが作動油を排出している間は、前記シャットオフバルブを第2状態にさせる
ことを特徴とする請求項4記載の加圧装置。
【請求項6】
さらに、前記第1圧力測定手段の測定値と、前記第2圧力測定手段の測定値とを監視する油圧監視手段を備え、
前記制御手段は、前記プランジャポンプが作動油を排出した後に、前記油圧監視手段が前記第1圧力測定手段の測定値と前記第2圧力測定手段の測定値とが略一致したことを検出したときに、前記シャットオフバルブを第1状態にさせる
ことを特徴とする請求項5記載の加圧装置。
【請求項7】
さらに、前記第1圧力測定手段の測定値と、前記第2圧力測定手段の測定値とを監視する油圧監視手段と、
該油圧監視手段の監視結果に基づき視覚信号および/または聴覚信号を出力する視聴覚信号出力手段とを備え、
前記視聴覚信号出力手段は、前記油圧監視手段が前記第1圧力測定手段の測定値と前記第2圧力測定手段の測定値とが略一致したことを検出したときに、前記視覚信号および/または前記聴覚信号を出力する
ことを特徴とする請求項1、2、3、4、5または6記載の加圧装置。
【請求項8】
作動油の供給により被加工物を加圧する加圧手段と、
シリンダと、該シリンダ内を摺動可能なプランジャと、該シリンダまたは該プランジャを駆動する駆動機構とを有し、該駆動機構により該シリンダまたは該プランジャを駆動することにより前記加圧手段に該シリンダ内の作動油を供給するプランジャポンプと、
前記加圧手段と前記プランジャポンプとの間の作動油の流れを開放する第1状態と、前記加圧手段と前記プランジャポンプとの間の作動油の流れを遮断する第2状態とを切り換え可能なシャットオフバルブと、を備える加圧装置の制御方法であって、
前記プランジャポンプが作動油を補充している間は、前記シャットオフバルブを第2状態にする
ことを特徴とする加圧装置の制御方法。
【請求項9】
前記プランジャポンプが作動油を補充した後に、
前記シャットオフバルブの前記プランジャポンプ側の作動油の圧力を上昇させ、
前記シャットオフバルブの前記加圧手段側の作動油の圧力と、前記シャットオフバルブの前記プランジャポンプ側の作動油の圧力とが略一致したときに、前記シャットオフバルブを第1状態にする
ことを特徴とする請求項8記載の加圧装置の制御方法。
【請求項10】
作動油の供給により被加工物を加圧する加圧手段と、
シリンダと、該シリンダ内を摺動可能なプランジャと、該シリンダまたは該プランジャを駆動する駆動機構とを有し、該駆動機構により該シリンダまたは該プランジャを駆動することにより前記加圧手段から該シリンダ内に作動油を吸引するプランジャポンプと、
前記加圧手段と前記プランジャポンプとの間の作動油の流れを開放する第1状態と、前記加圧手段と前記プランジャポンプとの間の作動油の流れを遮断する第2状態とを切り換え可能なシャットオフバルブと、を備える加圧装置の制御方法であって、
前記プランジャポンプが作動油を排出している間は、前記シャットオフバルブを第2状態にする
ことを特徴とする加圧装置の制御方法。
【請求項11】
前記プランジャポンプが作動油を排出した後に、
前記シャットオフバルブの前記プランジャポンプ側の作動油の圧力を上昇させ、
前記シャットオフバルブの前記加圧手段側の作動油の圧力と、前記シャットオフバルブの前記プランジャポンプ側の作動油の圧力とが略一致したときに、前記シャットオフバルブを第1状態にする
ことを特徴とする請求項10記載の加圧装置の制御方法。
【請求項12】
さらに、視覚信号および/または聴覚信号を出力する視聴覚信号出力手段を備える加圧装置の制御方法であって、
前記シャットオフバルブの前記加圧手段側の作動油の圧力と前記シャットオフバルブの前記プランジャポンプ側の作動油の圧力とが略一致したときに、前記視聴覚信号出力手段から前記視覚信号および/または前記聴覚信号を出力する
ことを特徴とする請求項8、9、10または11記載の加圧装置の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−237419(P2012−237419A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−107959(P2011−107959)
【出願日】平成23年5月13日(2011.5.13)
【出願人】(502235326)住友重機械テクノフォート株式会社 (122)
【Fターム(参考)】