説明

加湿焼却灰溶融炉

【課題】小型化が容易で形状,大きさの設計自由度が高く、低コストで運転することができる加湿焼却灰溶融炉を提供する。
【解決手段】加湿焼却灰溶融炉10は、加湿焼却灰を乾燥し、一次溶融を行うための円筒立型の一次溶融炉12と、一次溶融炉12にて生成した一次溶融物を二次溶融するための円筒立型の二次溶融炉14と、二次溶融炉14にて生成した二次溶融物を高圧水で破砕、冷却、固化するための冷却水槽16を具備する。一次溶融炉12は、原料ホッパー22と、加湿焼却灰を加熱乾燥させるための加熱バーナー23と、乾燥焼却灰を一次溶融するための一次溶融バーナー24を有し、二次溶融炉14は、一次溶融炉12から排出される一次溶融物を受けるためのルツボ32と、ルツボ32において一次溶融物を完全溶融するための二次溶融バーナー33を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゴミの焼却処理等において生成する加湿焼却灰を溶融するための溶融炉に関する。
【背景技術】
【0002】
一般廃棄物の処理方法としては、一般廃棄物を焼却して灰化させ、こうして生成する焼却灰を埋立地等に輸送して土壌基礎とする方法が広く採用されている。ところが、近年では、焼却灰に含まれる金属成分によって土壌汚染が発生する等の理由で埋立地の造成は困難となっている。そのため、焼却灰を埋め立てに利用するにしても、土壌汚染が起こらないような形態にまで処理する必要がある。また、焼却灰の資源としての有効利用できれば、より好ましい。
【0003】
そこで、近時、焼却灰を溶融してスラグ状とし、これを固化させる処理が行われるようになっており(例えば、特許文献1参照)、このような処理に用いられる焼却灰溶融炉としては、例えば、旋回溶融炉がある(例えば、特許文献2,3参照)。
【0004】
旋回溶融炉は、炉底に溶融スラグの排出口が設けられ、炉の上部に燃焼排ガスの排出口が設けられた堅型の炉であって、炉下部に配置された粉体吹き込みノズルから焼却灰等の被処理物を空気と共に吹き込み、燃料バーナーから燃料を噴射し、炉内に旋回流を形成させながら可燃分を燃焼させ、無機成分を溶融してスラグにするように構成されており、こうして生成した溶融スラグが旋回流によって生じた遠心力によって炉の内壁に付着し、壁面を伝わって流下し、炉下部の排出口から排出される。
【0005】
しかしながら、従来の旋回溶融炉では、被処理物はその表面が溶融しただけであっても、炉壁に付着してしまうと未溶解部分を含んだまま炉壁を伝わって流下してしまうおそれがある。そのため、有害金属等が溶融されないまま溶融スラグに混入するおそれがある。そのようなスラグは、安心して資源として再利用することができない。
【0006】
一方、このような不完全溶融の問題が発生しないようにするためには、炉本体での燃焼処理に大きなエネルギーが必要とされることとなり、運転コストが高くなるという問題が生じる。特に、焼却灰は一定の水分を含んでいるので、このような加湿焼却灰を溶融するための熱の一部は水分を蒸発させるために用いられる。そのため、被処理物を完全に溶融させるためには、より大きなエネルギーが必要とされることとなる。
【0007】
また、従来の旋回溶融炉では、燃焼ガスが炉の上部から排出されるが、この燃焼ガスには未燃焼分が含まれることが一般的であり、そのために炉本体の上部には未燃焼分を燃焼させるための二次燃焼室が設けられている。このような構成では、二次燃焼室の運転のための燃料が必要となり、また、この二次燃焼室で発生する熱は炉本体での被処理物の溶融には用いられず、熱効率の低い構成であるため、運転コストが嵩むという問題もある。
【特許文献1】特開平9−60829号公報
【特許文献2】特開平11−294734号公報
【特許文献3】特開平11−159729号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであり、加湿焼却灰を溶融ムラなく完全に溶融することができ、しかも、熱効率が高く、運転コストの低い加湿焼却灰溶融炉を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によれば、加湿焼却灰を乾燥し、一次溶融と二次溶融の二段階で溶融する加湿焼却灰溶融炉であって、
加湿焼却灰を乾燥し、一次溶融を行うための一次溶融炉と、該一次溶融炉の下側に該一次溶融炉と一体的に設けられ、該一次溶融炉にて生成した一次溶融物を二次溶融するための二次溶融炉と、を具備し、
前記二次溶融炉は、上端開口部から前記一次溶融物が流入し、下端開口部から二次溶融物を排出する二次溶融炉本体と、前記一次溶融物を受けるために前記二次溶融炉本体の内部に配設されたルツボ部と、前記ルツボ部において前記一次溶融物を二次溶融するための二次溶融バーナーと、を有し、
前記二次溶融では、前記一次溶融物が前記ルツボ部に一時的に滞留されることによって溶融のための時間が確保され、溶融ムラのない完全溶融が行われることを特徴とする加湿焼却灰溶融炉が提供される。
【0010】
この加湿焼却灰溶融炉による二次溶融では、一次溶融物は、二次溶融バーナーから供給される熱と一次溶融炉から供給される熱により完全溶融される構成とすることが好ましい。
【0011】
また、加湿焼却灰溶融炉のより好ましい構成としては、一次溶融炉と二次溶融炉をともに円筒立型とし、この一次溶融炉は、その上端開口部からガスを導入可能で、その下端開口部から一次溶融物を排出する一次溶融炉本体と、この一次溶融炉本体に加湿焼却灰を供給するための加湿焼却灰供給部と、一次溶融炉本体の内部において旋回した熱風を発生させて、その熱風により一次溶融炉本体の内部に供給された加湿焼却灰を乾燥させるように、一溶融炉本体の内壁に沿って熱風を放出する加熱バーナーと、乾燥した焼却灰を一次溶融するための一次溶融バーナーとを有する構成である。加熱バーナーは複数備えていることが好ましく、その場合、複数の加熱バーナーは、一次溶融炉本体に鉛直方向で位置をずらして設ける。炉内からの排ガスの排出は二次溶融炉から行うことが好ましく、そのために排気ダクトを二次溶融炉に設ける。
【0012】
また、加湿焼却灰溶融炉には、二次溶融炉から排出される二次溶融物を固化させるための冷却水槽を二次溶融炉の下側に設けることが好ましい。冷却水槽は、二次溶融炉から排出される二次溶融物に高圧水を供給して溶融物を破砕冷却する高圧水噴射機構を備えた構造とすることが好ましい。また、冷却水槽に沈下した破砕固化物を連続的に外部に排出するための破砕固化物排出機構を設けることが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明の加湿焼却灰溶融炉によれば、二次溶融炉において一次溶融物を滞留させてさらに溶融するために、加湿焼却灰を完全に溶融することができる。これにより、有害金属等は溶融スラグを冷却して得られる固化物中で化学的に安定な状態とすることができるので、この固化物を安心して使用することができる。また本発明の加湿焼却灰溶融炉は、熱利用効率が高く、低コストで運転することができる。
【0014】
なお、本発明の加湿焼却灰溶融炉により処理されて得られる破砕固化物は、例えば、道路の路盤材として、また小石や砂の代用品として、さらにはコンクリート製品や耐火物材料等の資源として、有効に利用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。図1に加湿焼却灰溶融炉の概略構造を表した垂直断面図を示す。この加湿焼却灰溶融炉10は、加湿焼却灰を乾燥し、生成した乾燥焼却灰の溶融を二段階で行うものであり、以下、最初の溶融処理を「一次溶融」と呼び、この一次溶融にて生成した一次溶融物を完全に溶融するために行われる次段階の溶融処理を「二次溶融」と呼ぶこととする。
【0016】
加湿焼却灰溶融炉10は、加湿焼却灰を乾燥し、一次溶融を行うための一次溶融炉12と、一次溶融炉12にて生成した一次溶融物を二次溶融するために一次溶融炉12の下側に一次溶融炉12と一体的に設けられた二次溶融炉14と、二次溶融炉14から排出される二次溶融物(溶融スラグ)を固化させるために二次溶融炉14に下側に設けられ冷却水槽16とを備えている。
【0017】
一次溶融炉12は、円筒立型でその上端開口部21aからガス(通常は空気)が導入可能であり、その下端開口部21bから一次溶融物を排出する一次溶融炉本体21と、一次溶融炉本体21に加湿焼却灰を供給するための加湿焼却灰供給部たる原料ホッパー22と、一次溶融炉本体21の内部に供給された加湿焼却灰を加熱乾燥させるための加熱バーナー23と、乾燥焼却灰を一次溶融するための一次溶融バーナー24とを有している。
【0018】
一次溶融炉本体21は、鋼板製の外筒25の内壁に耐火・耐熱性の築炉材26が貼り付けられた構造を有している。一次溶融炉本体21の大きさや形状(内外径や高さ)は、所望する処理能力を考慮して設計される。上端開口部21aには、その開口率を調整することができるようなシャッター機構を設けてもよく、このようなシャッター機構は、一次溶融炉本体21内の気流制御に寄与する。
【0019】
原料ホッパー22は一次溶融炉本体21の上位部に設けられており、原料ホッパー22から一次溶融炉本体21の内部に供給された加湿焼却灰は、加熱バーナー23によって加熱されながら、一次溶融炉本体21内を降下する。原料ホッパー22は、図1では1カ所にしか示されていないが、例えば、2カ所以上に設けてもよい。
【0020】
加熱バーナー23は、鉛直方向にずらして、例えば、3本配置されている(図1では2本のみを図示している)。加熱バーナー23から供給される熱によっては、加湿焼却灰は溶融することがないよう、加熱バーナー23の能力を設定する。図2に加熱バーナー23の配置形態を模式的に示す。前述の通り、3本の加熱バーナー23は鉛直方向においてずらして配置されているが、図2では、これらを同一平面で示している。
【0021】
加熱バーナー23は、例えば、ガスや重油等を燃料として用いるものであり、加熱バーナー23からは熱風が放出される。加熱バーナー23は、この熱風が一次溶融炉本体21の内部において旋回するように、換言すれば一次溶融炉本体21内において炉壁に沿って流れることで旋回流となるように、一次溶融炉本体21に配設されている。
【0022】
このような構成により、一次溶融炉本体21の上部から下部に至るにつれて流速が衰えることなく、かつ、温度が低下することのない旋回流を発生させることができる。原料ホッパー22から一次溶融炉本体21の内部に供給された加湿焼却灰は、この旋回流に巻き込まれて加熱乾燥されるが、このとき加湿焼却灰は、一次溶融炉本体21の内部において、単純に落下することなく一次溶融炉本体21の内部を旋回しながら落下するので、移動距離および加熱時間が長くなり、これによって加湿焼却灰の乾燥を確実に行うことができる。しかも、一次溶融炉本体21の高さを低く抑えることが可能となるので、一次溶融炉11を小型化することができる。
【0023】
なお、加湿焼却灰を一次溶融炉本体21の内壁に沿うように原料ホッパー22から供給すると、加湿焼却灰を旋回流に乗せやすくなり、好ましい。
【0024】
一次溶融バーナー24は、一次溶融炉本体21の下部に、例えば、3本配設することができる。一次溶融バーナー24から放出される熱風が一次溶融炉本体21の内部に乱流を発生させることのないように、一次溶融バーナー24は、一次溶融炉本体21の下端開口部21bに向けて、かつ、一次溶融炉本体21の壁面に沿って熱風が放出されるように配置されている。乾燥焼却灰は、この一次溶融バーナー24からの加熱により溶融し、こうして生成する一次溶融物は、二次溶融炉14へと降下する。一次溶融物は、完全に溶融されたものでなくともよい。
【0025】
この一次溶融物の生成には、加熱バーナー23から放出された熱風の熱も利用されるため、加熱バーナー23による熱は有効に利用される。また、加熱バーナー23により生じた旋回流および一次溶融バーナー24による熱風は、一次溶融物を二次溶融炉14へ落下させるために利用される。
【0026】
二次溶融炉14は、円筒立型で、その上端開口部31aは一次溶融炉本体21の下端開口部21bと連通し、その下端開口部31bから二次溶融物を排出する二次溶融炉本体31と、一次溶融炉12から排出される一次溶融物を受けるためのルツボ32と、ルツボ32において一次溶融物を完全溶融するための二次溶融バーナー33とを有している。
【0027】
二次溶融炉本体31は、一次溶融炉本体21と同様に、鋼板製の外筒35の内壁に耐火・耐熱性の築炉材36が貼り付けられた構造を有している。ルツボ32としては、二次溶融物への耐食性が良好な材料からなるもの(例えば、築炉材36と同じ材質からなるものや、耐食性セラミックスからなるもの)が好適に用いられる。一次溶融炉12から二次溶融炉14へと落下した一次溶融物は、ルツボ32に受け止められて、そこで一定時間滞留し、二次溶融バーナー33による加熱によって完全溶融する。こうして生成する二次溶融物はルツボ32からオーバーフローし、下端開口部31bを通して冷却水槽16へと落下する。
【0028】
二次溶融バーナー33は、ルツボ32からオーバーフローする二次溶融物に固体成分が含まれることがないように、ルツボ32の上面中心部に向けて熱風を放射するように配置することが好ましく、例えば、3本の二次溶融バーナー33を等間隔で放射状に配設することにより、ルツボ32の上面全体を均一に加熱し、固体成分の残存を防止することができる。
【0029】
このように二次溶融炉本体31の内部にルツボ32を設けることにより、固形分を含まない二次溶融物を生成させることができる。これにより、加湿焼却灰に含まれる有害金属等は、後に二次溶融物を固化してなる固化物において化学的に安定な状態とすることができる。そのため、このような固化物を安心して、各種の資材や素材として用いることができる。なお、例えば、加湿焼却灰に重金属が含まれている場合には、このような重金属はルツボ32からオーバーフローすることなく、ルツボ32の底部に沈んで貯留されることがある。このような物質は、定期的なメンテナンスにおいて、除去し、分別処理することができる。
【0030】
二次溶融物の生成には、二次溶融バーナー33による熱風の熱に加えて、一次溶融炉12で生成した加熱バーナー23による旋回流が有する熱および一次溶融バーナー24による熱風の熱も利用される。すなわち、加湿焼却灰溶融炉10では、一次溶融炉12で発生した熱が二次溶融炉14でも有効に利用されるために、熱利用効率が高く、これにより運転コスト(つまり、バーナーの燃料コスト)を低く抑えることができる。
【0031】
二次溶融炉14には、二次溶融物の生成に利用された後の熱風を外部に排出するための排気ダクト34が設けられている。図3はこの排気ダクト34の概略構成を示す水平断面図である。排気ダクト34は、二次溶融炉14内に乱流が発生しないように、二次溶融炉本体31の側壁の複数箇所(図3では3カ所)に排気口34aを設けてここから排気を行い、二次溶融炉本体31を囲繞するように設けられた環状管34bで各排気を集めて、直管34cを通じて外部に排気される構造となっている。この排気ダクト34を通して外部に排出された排ガスは、図示しないフィルター等を備えたガス処理施設へ送られ、そこでクリーンガスへと処理されて、大気放出される。なお、このとき、排ガスの熱を利用した給湯等を行えば、さらに熱利用効率を高めることができる。
【0032】
冷却水槽16には、二次溶融炉14から排出される二次溶融物を高圧水により冷却破砕するために、冷却水槽16の上部中心に向けて所定の水圧で冷却水を噴射する高圧水噴射ノズル41が設けられている。また、冷却水槽16の下端には、水平方向に直線的な水流を生じさせて、その水流の力で冷却破砕された破砕固化物を連続的に外部に排出する固化物排出装置44が設けられている。冷却水槽16内に供給される冷却水量と、破砕固化物の排出に利用されて冷却水槽16から排出される水量とのバランスを取ることにより、冷却水槽16内には、一定量の水が貯留される。
【0033】
この高圧水噴射ノズル41から噴射される高圧水は、この冷却水槽16内に貯留される水の水面よりも高い位置において、二次溶融物を冷却破砕する。こうして生成する小片状の破砕固化物は、冷却水槽16内に貯留された水に落下し、そこでさらに冷却されて、冷却水槽16の底に沈降する。
【0034】
高圧水による二次溶融物の破砕を補助するために、冷却水槽16の中心部に円錐形の突起部42を設けることも好ましい。落下する二次溶融物は突起部42によって円錐状に拡げられるので、高圧水による二次溶融物の破砕が容易となる。
【0035】
冷却水槽16には、貯留される水の温度を一定に保持するために、チラー(循環冷却装置)43が取り付けられている。これにより、二次溶融物の冷却条件を一定に保持することができ、経時的に冷却破砕物の大きさ等にばらつきが生じることを防止することができる。
【0036】
冷却水槽16に沈降した破砕固化物は、小片化されており、また大きさも一定であるので、一定の強さの水流により定常的に容易に回収することができる。
【0037】
破砕固化物は、その排出に利用された水のみが流れ落ちるような底板を備えた容器に回収され、一方、この容器において分離された水は再び循環ポンプ等で、冷却水槽16からの破砕固化物の搬出に利用することができる。
【0038】
加湿焼却灰溶融炉10は、その処理能力を考慮した大きさに設計することができ、小型化も容易である。また、加湿焼却灰溶融炉10の構造は簡単なので、安価に製造することができるという利点もある。
【0039】
以上、本発明の実施の形態および実施例について説明したが、本発明はこのような形態に限定されるものではなく、本発明の技術思想の範囲内で種々変形して実施可能である。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の一実施形態である加湿焼却灰溶融炉の概略垂直断面図。
【図2】図1に示す加湿焼却灰溶融炉の概略水平断面図。
【図3】図1に示す加湿焼却灰溶融炉の別の概略水平断面図。
【符号の説明】
【0041】
10…加湿焼却灰溶融炉、12…一次溶融炉、14…二次溶融炉、16…冷却水槽、21…一次溶融炉本体、21a…上端開口部、21b…下端開口部、22…原料ホッパー、23…加熱バーナー、24…一次溶融バーナー、25…外筒、26…築炉材、31…二次溶融炉本体、31a…上端開口部、31b…下端開口部、32…ルツボ、33…二次溶融バーナー、34…排気ダクト、34a…排気口、34b…環状管、34c…直管、35…外筒、36…築炉材、41…高圧水噴射ノズル、42…突起部、43…チラー(循環冷却装置)、44…固化物排出装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
加湿焼却灰を乾燥し、一次溶融と二次溶融の二段階で溶融する加湿焼却灰溶融炉であって、
加湿焼却灰を乾燥し、一次溶融を行うための一次溶融炉と、
該一次溶融炉の下側に該一次溶融炉と一体的に設けられ、該一次溶融炉にて生成した一次溶融物を二次溶融するための二次溶融炉と、を具備し、
前記二次溶融炉は、
上端開口部から前記一次溶融物が流入し、下端開口部から二次溶融物を排出する二次溶融炉本体と、
前記一次溶融物を受けるために前記二次溶融炉本体の内部に配設されたルツボ部と、
前記ルツボ部において前記一次溶融物を二次溶融するための二次溶融バーナーと、を有し、
前記二次溶融では、前記一次溶融物が前記ルツボ部に一時的に滞留されることによって溶融のための時間が確保され、溶融ムラのない完全溶融が行われることを特徴とする加湿焼却灰溶融炉。
【請求項2】
前記二次溶融では、前記一次溶融物は、前記二次溶融バーナーから供給される熱と前記一次溶融炉から供給される熱により完全溶融されることを特徴とする請求項1に記載の加湿焼却灰溶融炉。
【請求項3】
前記一次溶融炉と前記二次溶融炉はともに円筒立型であり、
前記一次溶融炉は、
その上端開口部からガスを導入可能であり、その下端開口部から一次溶融物を排出する一次溶融炉本体と、
前記一次溶融炉本体に加湿焼却灰を供給するための加湿焼却灰供給部と、
前記一次溶融炉本体の内部において旋回した熱風を発生させて、該熱風により該一次溶融炉本体の内部に供給された加湿焼却灰を乾燥させるように、前記一溶融炉本体の内壁に沿って熱風を放出する加熱バーナーと、
乾燥した焼却灰を一次溶融するための一次溶融バーナーとを有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の加湿焼却灰溶融炉。
【請求項4】
前記加熱バーナーを複数具備し、これら複数の加熱バーナーは、前記一次溶融炉本体に鉛直方向で位置をずらして設けられていることを特徴とする請求項3に記載の加湿焼却灰溶融炉。
【請求項5】
前記二次溶融炉は、前記熱風が前記二次溶融に利用された後にこれを排ガスとして外部に排出するための排気ダクトをさらに具備することを特徴とする請求項3または請求項4に記載の加湿焼却灰溶融炉。
【請求項6】
前記二次溶融炉から排出される二次溶融物を固化させるための冷却水槽が前記二次溶融炉に下側に設けられ、
前記冷却水槽は、前記二次溶融炉から排出される二次溶融物に高圧水を供給して該二次溶融物を破砕冷却するための高圧水噴射機構を具備することを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の加湿焼却灰溶融炉。
【請求項7】
前記冷却水槽において沈降した破砕固化物を連続的に外部に排出するための破砕固化物排出機構をさらに具備することを特徴とする請求項6に記載の加湿焼却灰溶融炉。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−170785(P2007−170785A)
【公開日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−372758(P2005−372758)
【出願日】平成17年12月26日(2005.12.26)
【出願人】(503465487)株式会社ブイエスディー (7)
【Fターム(参考)】