説明

加熱装置及びこれを組み込んだ家具、壁体

【課題】加熱装置単体での使用性を損なうことなく収納家具等に組み込んだときのマッチングが良好な加熱装置を提供する。
【解決手段】加熱室3を開閉する扉4と、加熱手段を制御する制御5部と、加熱手段の駆動を制御する操作部6とを備え、前記操作部6は半透明部材の内側に静電スイッチを設けて構成するとともに半透明部材のタッチによって発光しかつスイッチ操作が受付状態となる構成としてあり、操作部は通常外部から視認することができず、収納家具等に組み込んだ時の家具等とのマッチングがよいものとなるとともに、使用者が使用すべく半透明部材にタッチすれば操作部が発光してスイッチング操作が受け付け状態となるからこれまでの装置と同様に使用でき、使用性を損なうこともない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はヒータやマイクロ波等によって被加熱物を加熱する加熱装置に関し、特に収納家具等に組み込んで使用する場合に好適な加熱装置及びこれを組み込んだ家具、壁体に関する。
【背景技術】
【0002】
一般にヒータやマイクロ波等によって被加熱物を加熱する加熱装置、例えば高周波加熱装置は装置本体の表面に加熱手段等の操作部が設けてある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図9はこのような高周波加熱装置を示し、装置本体51の前面に加熱室52を開閉する扉53とともに加熱手段(図示せず)を操作する操作部54が設けてあり、この操作部54を操作して各種の加熱調理を行うようになっていた。
【特許文献1】特開平10−132285号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら上記従来の加熱装置はその操作部54が常に外部から視認できる状態となっており、加熱装置単体で使用するときは問題ないものの、収納家具等に組み込んで使用する場合にはこれを組み込んだ家具とのマッチングが悪いという課題があった。
【0005】
本発明はこのような課題を解決したもので、装置単体での使用性を損なうことなく収納家具等に組み込んだときのマッチングを良好な加熱装置の提供を目的としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は上記目的を達成するため、加熱室と、前記加熱室内の被加熱物を加熱する加熱手段と、前記加熱室を開閉する扉と、前記加熱手段を制御する制御部と、前記加熱手段の駆動を制御する操作部とを備え、前記操作部は半透明部材の内側に静電スイッチを設けて構成するとともに前記半透明部材のタッチによって発光しかつスイッチ操作が受付状態となる構成としてある。
【0007】
これによって操作部は通常外部から視認することができず、収納家具等に組み込んだ時の家具等とのマッチングがよいものとなるとともに、使用者が使用するときには操作部が発光してスイッチング操作が受け付け状態となるからこれまでの装置と同様に使用でき、使用性を損なうこともない。
【発明の効果】
【0008】
本発明は通常は操作部が視認できず使用時には従来と同様に操作部が視認できて操作できるから、使用性を損なうことなく装置単独使用時はもちろん、収納家具等に組み込んで使用するときの外観をすっきりとしたものにでき、かつ、非使用時は家具とのマッチングが良好なものとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
第1の発明は、加熱室と、前記加熱室内の被加熱物を加熱する加熱手段と、前記加熱室を開閉する扉と、前記加熱手段を制御する制御部と、前記加熱手段の駆動を制御する操作部とを備え、前記操作部は半透明部材の内側に静電スイッチを設けて構成するとともに前記半透明部材のタッチによって発光しかつスイッチ操作が受付状態となる構成としてあり、操作部は通常外部から視認することができず、収納家具等に組み込んだ時の家具等との
マッチングがよいものとなるとともに、使用者が使用すべく半透明部材にタッチすれば操作部が発光してスイッチング操作が受け付け状態となるからこれまでの装置と同様に使用でき、使用性を損なうこともない。
【0010】
第2の発明は、第1の発明において扉は半透明部材で形成して加熱室を構成する機器本体の前面に開閉自在に配置するとともに、この機器本体の加熱室前面上部は扉と同様半透明部材からなる前板で覆い、当該前板に操作部を設けた構成としてあり、機器本体全体の前面が半透明部材で構成されるから見た目にスッキリとしたものにできる。
【0011】
第3の発明は、第2の発明において機器本体は加熱室内の熱気を排気する排気用ファンと排気口を備え、前記排気口を扉と前板との間に開口させた構成としてあり、聞き本体の前面に細長い一条の開口が臨区ことに成るから排気性能を維持しつつ良好な概観を保つことができる。
【0012】
第4の発明は、第1の発明の透明部材に複数のスイッチ操作表示部を設け、このスイッチ操作部に触れることによってスイッチ操作部が発光するとともに静電スイッチが受け付け状態となり、当該スイッチ操作部のタッチによって制御を開始する構成としてあり、スイッチ操作部が当該スイッチ操作部を発光させる操作スイッチになるとともに制御部に制御信号を送信するスイッチともなり、構成の簡素化がはかれる。
【0013】
第5の発明は、加熱室と、前記加熱室内の被加熱物を加熱する加熱手段と、前記加熱室を開閉する扉と、前記加熱手段を制御する制御部と、前記加熱手段の駆動を制御する操作部とを備え、前記操作部は半透明部材の内側に静電スイッチを設けて構成するとともに前記扉の開閉によって発光しかつスイッチ操作が受付状態となる構成としてあり、操作部は通常外部から視認することができず、収納家具等に組み込んだ時の家具等とのマッチングがよいものとなるとともに、使用者が使用すべく扉を開けば操作部が発光してスイッチング操作が受け付け状態となるからこれまでの装置と同様に使用でき、使用性を損なうこともない上に、扉を開かなければ操作部がスイッチ操作の受付状態とならないから誤って操作部に触れてしまって加熱が開始されてしまうという誤動作を未然防止することもできる。
【0014】
第6の発明は、加熱室と、前記加熱室内の被加熱物を加熱する加熱手段と、前記加熱室を開閉する扉と、前記加熱手段を制御する制御部と、前記加熱手段の駆動を制御する操作部と、人体検出手段とを備え、前記操作部は半透明部材の内側に静電スイッチを設けて構成するとともに前記人体検出手段が人体を検出すると発光しかつスイッチ操作が受付状態となる構成としてあり、操作部は通常外部から視認することができず、収納家具等に組み込んだ時の家具等とのマッチングがよいものとなるとともに、使用者が使用すべく装置本体に近づけばこれを検出して自動的に操作部が発光しスイッチング操作が受け付け状態となるからこれまでの装置と同様に使用でき、使用性を損なうこともない上に、操作部に触れる等の操作を必要とせず、使い勝手のよいものと成る。
【0015】
第7の発明は、上記1〜6いずれかの発明の扉は加熱室内を透視可能な窓部を備えるとともに操作部はこの窓部と略同一面とした構成としてあり、扉と操作部を一体的なものに認識されるようになり、家具等に組み込んだときの家具とのマッチングをより一層良好なものとすることができる。
【0016】
第8の発明は、上記1〜7いずれかの発明の扉窓部及び操作部の半透明部材をハーフミラー処理した構成としてあり、家具等に組み込んだときの家具とのマッチングを更に良好なものとすることができる。
【0017】
第9の発明は、上記1〜8のいずれかの発明の加熱装置を組み込んだ収納家具であり、また、第10の発明は上記1〜8のいずれかの発明の加熱装置を組み込んだ壁体である。
【0018】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0019】
(実施の形態1)
図において、1は収納家具、2はこの収納家具1に組み込んだ加熱装置で、ヒータあるいは高周波あるいはスチーム等の加熱手段(図示せず)によって被加熱物を加熱する加熱室3が設けてある。4は前記加熱室3を開閉する扉で、金属枠に窓部4aを設けて構成してあり、この窓部4aは耐熱性ガラス等にスモーク処理を施して構成してある。5は前記加熱手段を制御する制御部で、装置本体の適所に設けてある。6は前記装置本体の扉上方に位置する前板に組み込んだ操作部で、前記制御部5を介して前記加熱手段等を制御するものである。
【0020】
この操作部6は半透明部材7の内側に静電スイッチ8を設けて構成するとともに前記半透明部材7のスイッチ操作表示部9のタッチによって発光しかつスイッチ操作が受付状態となるように構成してある。すなわち、10は操作部枠、11はこの操作部枠10内に設けたプリント基板で、制御部品とともに各種制御を制御部5に指示する静電スイッチ8が設けてあり、この静電スイッチ8は操作部枠10に設けた開口13から前面に臨ませてある。この各静電スイッチ8の前面を覆う如く両面テープ等の接着手段16を介して操作部枠10の前面に前記半透明部材7が装着してあり、これはスモーク処理したハーフミラーで構成してある。9は前記各静電スイッチ8に対応させて前記半透明部材7に形成したスイッチ操作表示部で、前記制御部5はこのスイッチ操作表示部9に使用者が触れることによって当該スイッチ操作表示部9の全部を発光させて外部から視認できるようにするとともにスイッチング操作を受け付け状態とするように構成してある。18はスイッチング操作表示部9を発光させて外部から視認できるようにするためのLED等からなる発光手段である。
【0021】
したがって、この加熱装置の操作部6は、通常、前記スイッチ操作表示部9が外部からまったく視認できず、使用者がスイッチ操作表示部9に触れてそれに対応する発光手段18が発光することにより始めて当該スイッチ操作表示部9が視認できるようにしてある。
【0022】
上記構成から明らかなようにこの加熱装置では、操作部6のスイッチ操作表示部9が通常は外部から視認できず、よって加熱装置全体があたかも収納家具1の一部と見える程度にマッチングしたものとなる。
【0023】
そして使用者がスイッチ操作表示部9の少なくともいずれかひとつに触れると各スイッチ操作表示部9に対応する発光手段18が発光しスイッチ操作表示部9が操作部6に現れるとともに、これら各スイッチ操作表示部9はスイッチ操作受付状態となる。これによって使用者は希望する調理を行うべく必要なスイッチ操作表示部9にタッチすればそのスイッチ操作信号が制御部5に送信されて当該スイッチ操作表示部9に割り当てられた制御を行うことになる。
【0024】
このときこの実施の形態ではスイッチ操作表示部9が当該スイッチ操作表示部9を発光させるスイッチと同スイッチ操作表示部9に対応する静電スイッチ8のスイッチング操作を受付状態、すなわち、静電スイッチ8からの信号を制御部5に送信可能とするスイッチを兼用する構成としてあるから、構成も簡単なものとすることができ、安価に提供することができるものである。
【0025】
また、図6に示すようにこの実施の形態では、機器本体に加熱室3内の熱気を排気する排気ファン22が組み込んであり、この排気ファン22からの空気は機器本体内を冷却した後その熱気は加熱室外側部に設けた排気ダクト23を通って機器本体の操作部を組み込んだ前板6と扉4との間に設けた排気口24から排気されるように構成してある。この排気口24は前板6と扉4との間にあって一条の線のように形成してあり、外観上すっきりとしたものにしてある。
【0026】
(実施の形態2)
上記実施の形態1では操作部6のスイッチ操作表示部9に触れたときにスイッチ操作表示部9が視認できてスイッチ操作可能な状態になるように構成したが、これは図7に示すように扉4の開成によって作動するスイッチ19あるいは扉ハンドルに設けたタッチスイッチによって行うようにしてもよく、また、図8に示すように装置本体の適所に組み込んだ赤外線センサー等の人体検知手段21が人体を検知したときに行うようにしてもよいものである。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の実施の形態1における加熱装置を収納家具に組み込んだ状態の斜視図
【図2】同加熱装置の扉を開成した時の斜視図
【図3】同加熱装置の操作部の発光時を示す正面図
【図4】同加熱装置の操作部の分解斜視図
【図5】同加熱装置の操作部の断面図
【図6】同加熱装置の断面図
【図7】(a)は他の実施形態における加熱装置の斜視図、(b)は同断面図
【図8】(a)はさらに他の実施形態における加熱装置の斜視図、(b)は同断面図
【図9】従来の加熱装置を示す斜視図
【符号の説明】
【0028】
1 収納家具
2 加熱装置
3 加熱室
4 扉
4a 窓部
5 制御部
6 操作部
7 半透明部材
8 静電スイッチ
9 スイッチ操作表示部
18 発光手段
22 排気ファン
23 排気ガイド
24 排気口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱室と、前記加熱室内の被加熱物を加熱する加熱手段と、前記加熱室を開閉する扉と、前記加熱手段を制御する制御部と、前記加熱手段の駆動を制御する操作部とを備え、前記操作部は半透明部材の内側に静電スイッチを設けて構成するとともに前記半透明部材のタッチによって発光しかつスイッチ操作が受付状態となる加熱装置。
【請求項2】
扉は半透明部材で形成して加熱室を構成する機器本体の前面に開閉自在に配置するとともに、この機器本体の加熱室前面上部は扉と同様半透明部材からなる前板で覆い、当該前板に操作部を設けた請求項1記載の加熱装置。
【請求項3】
機器本体は加熱室内の熱気を排気する排気用ファンと排気口を備え、前記排気口を扉と前板との間に開口させた請求項2記載の加熱装置。
【請求項4】
半透明部材に複数のスイッチ操作表示部を設け、このスイッチ操作部に触れることによってスイッチ操作部が発光するとともに静電スイッチが受け付け状態となり、当該スイッチ操作部のタッチによって制御を開始する請求項1〜3のいずれか1項記載の加熱装置。
【請求項5】
加熱室と、前記加熱室内の被加熱物を加熱する加熱手段と、前記加熱室を開閉する扉と、前記加熱手段を制御する制御部と、前記加熱手段の駆動を制御する操作部とを備え、前記操作部は半透明部材の内側に静電スイッチを設けて構成するとともに前記扉の開閉または扉のハンドルにタッチすることによって発光しかつスイッチ操作が受付状態となる加熱装置。
【請求項6】
加熱室と、前記加熱室内の被加熱物を加熱する加熱手段と、前記加熱室を開閉する扉と、前記加熱手段を制御する制御部と、前記加熱手段の駆動を制御する操作部と、人体検出手段とを備え、前記操作部は半透明部材の内側に静電スイッチを設けて構成するとともに前記人体検出手段が人体を検出すると発光しかつスイッチ操作が受付状態となる加熱装置。
【請求項7】
扉は加熱室内を透視可能な窓部を供えるとともに操作部はこの窓部と略同一面とした請求項1〜6のいずれか1項記載の加熱装置。
【請求項8】
扉窓部及び操作部の半透明部材をハーフミラーで構成したことを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項記載の加熱装置。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1項記載の加熱装置を組み込んだ収納家具。
【請求項10】
請求項1〜8のいずれか1項記載の加熱装置を組み込んだ壁体。

【図6】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−333372(P2007−333372A)
【公開日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−96247(P2007−96247)
【出願日】平成19年4月2日(2007.4.2)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】