説明

加熱調理システム

【課題】 加熱調理装置本体に読取装置を設けることなく被加熱物に付されたコードに含まれる加熱条件を読み取って加熱を行うことを既存の構成を利用して低コストで実現することができるようにした加熱調理システムを提供する。
【解決手段】 電子レンジ2は、携帯電話機3から加熱情報を赤外線信号により受信可能に構成される。携帯電話機3は、食品29に付されたQRコード30をカメラ機能で読取り、食品情報を抽出する。食品情報に対応する電子レンジ2の加熱条件が加熱情報としてデータサーバ4bに記憶されている。携帯電話機3によりインターネット5を介して加熱情報を取得し、これを赤外線信号で電子レンジ2に送信する。電子レンジ2には、食品29の加熱情報が提供されるので、適切な加熱条件で加熱をすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加熱調理器に対して、食品などの被加熱物の加熱条件をコード化したデータを読み取ることで設定可能とした構成の加熱調理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
加熱調理器である例えば電子レンジにおいては、被加熱物の加熱条件を手動で設定することに代えて、赤外線センサや重量センサなどを用いて被加熱物の温度や重量を検出して適切な加熱条件を自動的に設定するものが供されている。しかし、上記のように赤外線センサや重量センサを用いて自動的に加熱条件を設定するものでは、被加熱物の容器も同時に加熱されることから、必ずしも被加熱物に対する適切な加熱が行えない場合も生ずる。
【0003】
そこで、被加熱物の容器に販売者側が加熱条件を記載したラベルに、読取器により読み取り可能なコード化した情報を付すことで、使用者が手動で設定することなく読取器により読み取った加熱条件のデータを調理機器に読み込ませることで自動的に加熱条件を設定することができるものが供されている。
このようなものとして、例えば特許文献1に示されるものがある。このものは、電子レンジの加熱室の天井部に読み取り用のカメラを設け、加熱室内に収容された被加熱物に付された加熱条件をデータとして含むコードを読み取るようにしたものである。
【0004】
なお、カメラでコードに書かれた情報を読み取って利用することは、例えば特許文献2に示されるように、カメラ付き携帯電話機にも用いられており、読み取った情報に基づいてインターネットのサイトにアクセスすることができるように設定されたものである。
【特許文献1】特許第3588333号公報
【特許文献2】特開2004−350041号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記した特許文献1に示される電子レンジでは、天井に設けられたカメラで加熱室の底面に置かれた被加熱物に付されたコードを読み取る場合に、加熱室内のどこに置かれていてもそのコードを正確に読み取るには、視野が広く且つ解像度が高いカメラを設ける必要がある。加えて、カメラ非使用時に、カメラを加熱中の熱や汚れから保護するためのシャッターを設ける必要があり、電子レンジ本体にコード読み取り用のカメラを設けることは、構造が複雑になると共にコストが高くつくという不具合がある。
【0006】
また、電子レンジに一体にカメラを設けない構成を想定した場合には、そのための読取装置を別途に設ける必要がある。この場合、前述したようにカメラ付き携帯電話機により読み取ることが考えられるが、従来のカメラ付き携帯電話機ではコードを読み取ってウェブサイトを閲覧することはできても、その他の目的で使用するようには作られていない。
【0007】
本発明は、上記事情を考慮してなされたもので、その目的は、加熱調理装置本体に読取装置を設けることなく被加熱物に付されたコードに含まれる加熱条件を読み取って加熱を行うことを既存の構成を利用して低コストで実現することができるようにした加熱調理システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1記載の加熱調理システムは、携帯端末装置および加熱調理装置から構成され、前記携帯端末装置は、食品情報を含んだコードを撮影可能な撮像手段と、この撮像手段により撮影された画像データから前記コードを識別する識別手段と、この識別手段により識別された前記コードを復号する復号手段と、この復号手段により復号された前記コードの情報から前記食品情報を抽出する食品情報抽出手段と、この食品情報抽出手段により抽出された前記食品情報から被加熱物の加熱情報を取得する加熱情報取得手段と、この加熱情報取得手段により得られた前記加熱情報を前記加熱調理装置に送信する加熱情報送信手段とを備え、前記加熱調理装置は、前記被加熱物を加熱する加熱手段と、前記加熱情報を受信可能な加熱情報受信手段と、この加熱情報受信手段により受信された前記加熱情報に基づいて前記加熱手段による前記被加熱物の加熱を制御する加熱制御手段とを備えたことに特徴を有する。
【0009】
このように構成すると、被加熱物の容器や包装に予め食品情報をコード化して付しておき、加熱調理を行う場合に、このコードを携帯端末装置の撮像手段により撮影すると、携帯端末装置側では、撮影された画像データから識別手段によりコードが識別され、識別されたコードが復号手段により復号される。次に、復号された情報から食品情報抽出手段により食品情報が抽出されて、さらに、抽出された食品情報から加熱情報取得手段により加熱情報が取得される。そして、取得された加熱情報は加熱情報送信手段により加熱調理装置の加熱情報受信手段に送信される。一方、加熱調理装置側では、携帯端末装置の加熱情報送信手段から送信された加熱情報が、加熱調理装置の加熱情報受信手段により受信されると、加熱制御手段は、受信された被加熱物に対応した加熱情報に基づいて加熱手段による被加熱物の加熱を制御することができる。
【発明の効果】
【0010】
請求項1記載の加熱調理システムによれば、食品に付されたコードから食品情報を得ることや情報を送信することは、コードの読取機能と信号送信機能を有する既存の携帯電話機を利用して行うことができる。
これにより、携帯端末装置としては、既存の携帯電話機に、食品情報抽出手段と加熱条件取得手段を備えるのみでよく、一方、加熱調理装置としても、加熱条件を受信するための加熱条件受信手段を備えるのみでよいので、加熱調理装置本体に読取装置を設けることなく被加熱物に付されたコードに含まれる加熱条件を読み取って加熱を行うことを既存の構成を利用して低コストで実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
(第1の実施形態)
以下、本発明の第1の実施形態について図1ないし図9を参照して説明する。図1は、加熱調理システムの全体的構成を概略的に示した図である。加熱調理システム1は、電子レンジ2(加熱調理装置に相当)と、携帯電話機3(携帯端末装置に相当)と、アプリケーションサーバ4a(アプリケーション提供手段に相当)と、データサーバ4b(加熱情報提供手段に相当)とを備えて構成されている。電子レンジ2は、携帯電話機3から加熱情報を受信可能に構成されている。携帯電話機3は、電子レンジ2から機種情報を読取可能に構成されていると共に、食品29に付されたQRコード30(図6参照)から食品情報を読取可能に構成されている。このQRコード30は、2次元コードの1つとして普及されつつあるもので、白黒のドットパターンを2次元的に配置してなるコードである。電子レンジ2および携帯電話機3の構成については後述する。アプリケーションサーバ4aは、インターネット5を介して携帯電話機3によるアクセスが可能に構成されていると共に、後述する機種情報抽出処理、食品情報抽出処理、加熱情報取得処理および加熱情報変換処理のプログラムが格納されている。また、データサーバ4bは、インターネット5を介して携帯電話機3によるアクセスが可能に構成されていると共に、被加熱物としての食品のデータである食品情報とその加熱条件を示す加熱情報とが対応付けられた状態で格納されている。具体的に説明すると、例えば食品情報=「C弁当」に対応付けられて、加熱情報=「500W120秒」が格納されている。
【0012】
次に、上記した電子レンジ2および携帯電話機3の構成について図2ないし図5を参照して説明する。図2は、電子レンジ2の外観を示した図である。電子レンジ2の本体6内部には前面が開放された矩形箱状の加熱室7が設けられており、この加熱室7の前面開口部は回動可能に取付けられた扉8によって開閉されるようになっている。扉8の下部には操作パネル9が設けられていて、これには、操作部10、表示部11および赤外線信号受信部12(加熱情報受信手段に相当)が備えられている。操作部10は、加熱開始キーや調理モード選択キーなどを含む複数の操作キー10aを備えて構成されている。また、操作パネル9の上部左側には、QRコード13が付されていて、このQRコード13には、電子レンジ2の機種情報(本実施形態では、「A社製Bタイプ 最大出力1000W」とする)がコード化されている。
【0013】
図3(a)、(b)は、携帯電話機3の外観を示した図である。携帯電話機3は、第1の本体部3aと第2の本体部3bとがヒンジ部3cで連結され、折り畳み可能に構成されている。図3(a)は、第1の本体部3aと第2の本体部3bとが開かれた状態を示し、図3(b)は、第1の本体部3aと第2の本体部3bとが折り畳まれた状態を示している。図3(a)に示すように、第1の本体部3aには、通話ボタンや撮影ボタンなどを含む複数の操作ボタン14aからなる操作部14とマイク部15とが備えられていると共に、第2の本体部3bには、メイン表示部16と赤外線信号送信部17(加熱情報送信手段に相当)とスピーカー部18とが備えられている。さらに、第2の本体部3bには、図3(b)に示すように、カメラ部19(撮像手段に相当)とサブ表示部20とが備えられている。
【0014】
次に、電子レンジ2および携帯電話機3の電気的構成について図4および図5を参照して説明する。図4は、電子レンジ2の電気的な構成を機能ブロックとして示した図である。電子レンジ用制御回路21には、上記した操作部10、表示部11および赤外線信号受信部12が接続されていると共に、マイクロ波加熱装置22(加熱手段に相当)、ヒータ加熱装置23(加熱手段に相当)、赤外線温度センサ24およびブザー報知装置25が接続されている。
【0015】
電子レンジ用制御回路21(加熱制御手段に相当)は、マイクロコンピュータを中心としてROM,RAMなどを備えて構成されていて、制御プログラムを実行することにより、マイクロ波加熱装置22やヒータ加熱装置23の加熱制御のみならず電子レンジ2の動作全般を制御する。
【0016】
操作部10の操作キー10aが操作されると、これに対応して加熱を開始させる旨の信号や設定された調理モードの情報などが電子レンジ用制御回路21に検出される。表示部11は、電子レンジ用制御回路21から受信した調理モードの情報などを表示する。赤外線信号受信部12は、受信した赤外線信号を電子レンジ用制御回路21に出力する。マイクロ波加熱装置22は、導波管(図示せず)を通してマイクロ波を加熱室7へ供給することにより、加熱室7内の被加熱物をレンジ調理する。ヒータ加熱装置23は、加熱室7内に熱風を循環させたり輻射熱を発生させることにより、加熱室7内の被加熱物をオーブン加熱またはグリル加熱する。赤外線温度センサ24は、加熱室7内の被加熱物の温度を検出して電子レンジ用制御回路21に出力する。ブザー報知装置25は、電子レンジ用制御回路21から信号(例えば調理が終了した旨の信号)を受信するとブザー音を発して、調理が終了した旨を報知する。
【0017】
図5は、携帯電話機3の電気的な構成を機能ブロックとして示した図である。携帯電話機用制御回路26には、上記した操作部14、マイク部15、メイン表示部16、赤外線信号送信部17、スピーカー部18、カメラ部19およびサブ表示部20が接続されていると共に、通信部27と記憶部28(機種情報記憶手段に相当)が接続されている。
【0018】
携帯電話機用制御回路26(識別手段、復号手段、機種情報抽出手段、食品情報抽出手段、加熱情報取得手段および加熱情報変換手段に相当)は、マイクロコンピュータを中心としてROM,RAMなどを備えて構成されていて、制御プログラムを実行することにより携帯電話機3の動作全般を制御する。ここで、携帯電話機用制御回路26は、後述する機種情報抽出処理、食品情報抽出処理、加熱情報取得処理および加熱情報変換処理のプログラムを実行することにより、機種情報抽出手段、食品情報抽出手段、加熱情報取得手段および加熱情報変換手段の機能を担うものである。
【0019】
操作部14の操作ボタン14aが操作されると、これに対応する操作信号が携帯電話機用制御回路26に検出される。マイク部15は、入力された音声を信号に変換して携帯電話機用制御回路26に出力する。メイン表示部16は、例えば液晶ディスプレイから構成され、携帯電話機3が開かれている状態において、携帯電話機用制御回路26から与えられる表示信号に対してこれを表示する。
【0020】
赤外線信号送信部17は、携帯電話機用制御回路26から入力された信号を赤外線信号として外部に送信する。スピーカー部18は、携帯電話機用制御回路26から入力された信号を音声に変換して外部に出力する。カメラ部19は、例えばCCDカメラから構成され、撮影した画像データを携帯電話機用制御回路26に出力する。サブ表示部20は、例えば液晶ディスプレイから構成され、携帯電話機3が折り畳まれている状態において、携帯電話機用制御回路26から与えられる表示信号に対してこれを表示する。
通信部27は、所定の通信プロトコルに基づいて、インターネット5との接続や、携帯電話回線との通信処理を行う。記憶部28は、例えば不揮発性メモリから構成され、後述する機種情報を含め各種の情報を記憶する。
【0021】
また、被加熱物である食品29(図1参照)には、図6に示すように、そのパッケージ上にQRコード30が付されていて、このQRコード30には、食品29の食品情報(C弁当)がコード化されている。
【0022】
次に、本実施形態の作用について図7ないし図9を参照して説明する。まず、食品29の加熱調理を行うに当たって電子レンジ2の機種情報を抽出する場合の携帯電話機用制御回路26の制御内容を、図7を用いて説明する。電子レンジ2のQRコード13がカメラ部19により撮影されると(ステップS1)、携帯電話機用制御回路26は、撮影された画像データからQRコード13を識別する(ステップS2)。次に、携帯電話機用制御回路26は、識別したQRコード13を復号し(ステップS3)、復号した情報からアプリケーションサーバ4aのURL(Uniform Resource Locator)を抽出する(ステップS4)。そして、携帯電話機用制御回路26は、抽出したURLを元に通信部27を介してアプリケーションサーバ4aに接続し(ステップS5)、アプリケーションサーバ4aから上記したプログラムをダウンロードする(ステップS6)。続いて、機種情報抽出処理を実行して復号した情報から機種情報(A社製Bタイプ 最大出力1000W)を抽出する(ステップS7)。最後に、携帯電話機用制御回路26は、抽出した機種情報(A社製Bタイプ 最大出力1000W)を記憶部28に記憶する(ステップS8)。
【0023】
次に、食品29の加熱調理を行う場合の携帯電話機用制御回路26の制御内容を、図8を用いて説明する。食品29に付されたQRコード30がカメラ部19により撮影されると(ステップS11)、携帯電話機用制御回路26は、撮影された画像データからQRコード30を識別する(ステップS12)。次に、携帯電話機用制御回路26は、識別したQRコード30を復号し(ステップS13)、食品情報抽出処理を実行することにより復号した情報から食品情報(C弁当)を抽出する(ステップS14)。そして、上記した機種情報(A社製Bタイプ 最大出力1000W)を記憶部28から読み込む(ステップS15)。続いて、携帯電話機用制御回路26は、加熱情報取得処理を実行することにより、インターネット5を介してデータサーバ4bに接続(ステップS16)して食品情報(C弁当)に対応した加熱情報(500W120秒)を取得する(ステップS17)。次に、携帯電話機用制御回路26は、加熱情報変換処理を実行することにより、上記した機種情報(最大出力1000W)に基づいて、取得した加熱情報(500W120秒)を当該機種に最適な加熱情報(1000W60秒、機種対応加熱情報に相当)に変換する(ステップS18)。そして、変換した加熱情報(1000W60秒)を、赤外線信号送信部17を介して電子レンジ2に送信する(ステップS19)。
【0024】
次に、食品29の加熱調理を行う場合の電子レンジ用制御回路21の制御内容を、図9を用いて説明する。電子レンジ用制御回路21は、操作部10を介して加熱情報の設定が行われたか否かを監視し(ステップS21)、設定が行われたと判断すると(ステップS21で「YES」)、設定された加熱情報を表示部11に表示する(ステップS22)。一方、設定が行われていないと判断すると(ステップS21で「NO」)、赤外線信号受信部12を介して携帯電話機3から加熱情報が受信されたか否かを監視する(ステップS23)。そして、加熱情報が受信されたと判断すると(ステップS23で「YES」)、受信した加熱情報(この場合、1000W60秒)を表示部11に表示する(ステップS22)。一方、加熱情報が受信されていないと判断すると(ステップS23で「NO」)、再び、操作部10を介して加熱情報の設定が行われたか否かを監視する(ステップS21)。
【0025】
電子レンジ用制御回路21は、上記したステップS22にて加熱情報を表示した後は、加熱開始の操作が行われたか否か(操作部10から加熱を開始させる旨の信号が入力されたか否か)を監視する(ステップS24)。そして、加熱開始の操作が行われたと判断すると(ステップS24で「YES」)、設定された加熱情報(この場合、1000W60秒)に基づいて食品29の加熱調理を実行する(ステップS25)。一方、加熱開始の操作が行われていないと判断すると(ステップS24で「NO」)、再び加熱開始の操作が行われたか否かを監視する(ステップS24)。
【0026】
以上に説明したように本実施形態によれば、食品29に付されたQRコード30から食品情報を得ることや情報を送信することは、コードの読取機能と信号送信機能を有する既存の携帯電話機3を利用して行うことができる。
これにより、携帯電話機3としては、既存の携帯電話機に、機種情報抽出処理、食品情報抽出処理、加熱情報取得処理および加熱情報変換処理のプログラムを備えるのみでよく、一方、電子レンジ2としても、加熱情報を受信するための赤外線信号受信部12を備えるのみでよいので、電子レンジ2に読取装置を設けることなく食品29に付されたQRコード30に含まれる情報に基づいて加熱情報を取得し加熱を行うことを既存の構成を利用して低コストで実現することができる。
【0027】
また、加熱情報をデータサーバ4bから取得するように構成したので、加熱情報をデータサーバ4bにおいて一括して管理することができ、加熱情報を容易に変更することができる。これにより、食品29についての加熱情報を、夏は温めの加熱情報(例えば、上記した加熱時間マイナス10秒)、冬は熱めの加熱情報(例えば、上記した加熱時間プラス10秒)に変更して、季節に適した食品29の加熱情報を取得することができる。また、食品29を出荷した後においても、加熱情報を変更することができる。
【0028】
さらに、得られた食品情報を機種情報に対応した機種対応加熱情報に変換するように構成したので、その機種の性能をより有効に活用することができる。例えば、本実施形態では、データサーバ4bから取得された加熱情報(500W120秒)を、この機種に対応した機種対応加熱情報(1000W60秒)に変換して使用することにより、最大出力1000Wという性能を有効に活用することができると共に、変換前の加熱情報で加熱した場合と同一の熱量を半分の時間で得ることができ、加熱時間を短縮することができる。
【0029】
機種情報抽出処理、食品情報抽出処理、加熱情報取得処理および加熱情報変換処理のプログラムは、アプリケーションサーバ4aからダウンロードして既存の携帯電話機に容易に備えることができる。また、このプログラムをアプリケーションサーバ4aで一括して管理でき、プログラムのバージョンアップや仕様変更なども容易に行うことができる。
加熱情報を赤外線信号として送受信するように構成したので、電子レンジ2の動作中に発生する微弱な電波の影響を受けることなく加熱情報の送受信を行うことができる。また、赤外線通信とすることにより送受信を安価な構成で実現することができる。
【0030】
抽出した機種情報を記憶部28に記憶するように構成したので、一旦、機種情報を抽出しておけば、加熱調理を行う度に機種情報を読み取る必要がない。
尚、本実施形態は、取得した加熱情報を機種情報に基づいて変換して使用するものであるが、図8のステップS19において変換前と変換後の双方の加熱情報を送信し、図9のステップS22において変換前と変換後の双方の加熱情報を表示することにより、ユーザが何れかの加熱情報を選択できるように構成してもよい。
【0031】
(第2の実施形態)
以下、本発明の第2の実施形態について、図10を参照して説明する。尚、上記した第1の実施形態に記載したものと同一部分については説明を省略し、以下、異なる部分についてのみ説明する。上記した第1の実施形態に記載したものにおいて、データサーバ4b(図1参照)は、加熱情報が食品情報に対応付けられて格納されているものであったが、この第2の実施形態においては、データサーバ4bは、加熱情報が食品情報のみならず機種情報にも対応付けられて格納されている。具体的に説明すると、例えば、食品情報=「C弁当」と機種情報=「A社製Bタイプ 最大出力1000W」に対応付けられて、加熱情報=「1000W60秒」 が格納されている。
【0032】
そして、携帯電話機3には、上記した第1の実施形態に記載したものと同様にして、機種情報抽出処理、食品情報抽出処理および加熱情報取得処理のプログラムがダウンロードされている。また、機種情報抽出処理により抽出された電子レンジ2の機種情報(A社製Bタイプ 最大出力1000W)が記憶部28に記憶されている。
【0033】
次に、第2の実施形態の作用について、図10を参照して説明する。図10は、食品29の加熱調理を行う場合の携帯電話機用制御回路26の制御内容を示したフローチャートである。食品29に付されたQRコード30がカメラ部19により撮影されると(ステップS31)、携帯電話機用制御回路26は、撮影された画像データからQRコード30を識別する(ステップS32)。次に、携帯電話機用制御回路26は、識別したQRコード30を復号し(ステップS33)、食品情報抽出処理を実行することにより復号した情報から食品情報(C弁当)を抽出する(ステップS34)。そして、上記した機種情報(A社製Bタイプ 最大出力1000W)を記憶部28から読み込む(ステップS35)。続いて、携帯電話機用制御回路26は、加熱情報取得処理を実行することにより、データサーバ4bに接続(ステップS36)して食品情報(C弁当)と機種情報(A社製Bタイプ 最大出力1000W)に対応した加熱情報(1000W60秒、機種対応加熱情報に相当)を取得する(ステップS37)。そして、取得した機種対応加熱情報(1000W60秒)を、赤外線信号送信部17を介して電子レンジ2に送信する(ステップS38)。
【0034】
電子レンジ2は機種対応加熱情報(1000W60秒)を受信すると、上記した第1の実施形態に記載したものと同様にして、この機種対応加熱情報に基づいて食品29の加熱調理を実行する。
【0035】
以上に説明したように第2の実施形態においても、食品29に付されたQRコード30から食品情報を得ることや情報を送信することは、コードの読取機能と信号送信機能を有する既存の携帯電話機を利用して行うことができ、第1の実施形態に記載したものと同様に、電子レンジ2に読取装置を設けることなく食品29に付されたQRコード30に含まれる情報に基づいて加熱情報を取得し加熱を行うことを既存の構成を利用して低コストで実現することができる。
【0036】
また、データサーバ4bから機種対応加熱情報を取得するように構成したので、データサーバ4bにおいて、食品情報のみならず機種情報をも関連付けて木目細かく、しかも、容易に加熱情報を設定、変更することができる。
【0037】
(その他の実施形態)
尚、本発明は、上記し且つ図面に示す実施形態に限定されるものではなく、次のように変形または拡張することができる。
【0038】
記憶部28に機種情報を記憶している場合であっても、新たに機種情報が取得された場合には、その機種情報に基づいて加熱情報を変換する構成であってもよい。また、抽出した機種情報を記憶せず、加熱調理を行う度に機種情報を抽出する構成であってもよい。
機種情報抽出処理や加熱情報変換処理のプログラムは必要に応じて備えればよく、機種情報に基づいて加熱情報を変換しない構成であってもよい。また、加熱情報変換処理のプログラムを電子レンジ2に備え、電子レンジ2において加熱情報を変換する構成であってもよい。
【0039】
加熱情報の送受信は、赤外線信号によるものではなく、例えばBluetooth(登録商標)を利用した電波信号によるものであってもよい。
アプリケーションサーバ4aのURLや機種情報がコード化されているQRコード13は、例えば電子レンジ2の取扱説明書やカタログなどに付しておいてもよい。
また、データサーバ4bのURLは、予めプログラムに組み込んでおく構成であってもよいし、コードから抽出する構成であってもよい。
上記した各プログラムを予め携帯電話機3に組み込んでおく構成であってもよい。
【0040】
食品情報と共に加熱情報もQRコード30にコード化することにより、データサーバ4bを設けない構成であってもよい。また、コードはQRコードに限らず、他の2次元コードであってもよいし、バーコードなどであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の第1の実施形態を示す全体構成図
【図2】電子レンジの外観斜視図
【図3】携帯電話機の外観斜視図
【図4】電子レンジの電気的構成を示す機能ブロック図
【図5】携帯電話機の電気的構成を示す機能ブロック図
【図6】QRコードを付した食品の外観図
【図7】機種情報を抽出する場合の携帯電話機用制御回路の制御内容を示すフローチャート
【図8】加熱調理を行う場合の携帯電話機用制御回路の制御内容を示すフローチャート
【図9】加熱調理を行う場合の電子レンジ用制御回路の制御内容を示すフローチャート
【図10】本発明の第2の実施形態を示す図8相当図
【符号の説明】
【0042】
図面中、1は加熱調理システム、2は電子レンジ(加熱調理装置)、3は携帯電話機(携帯端末装置)、4aはアプリケーションサーバ(アプリケーション提供手段)、4bはデータサーバ(加熱情報提供手段)、12は赤外線信号受信部(加熱情報受信手段)、17は赤外線信号送信部(加熱情報送信手段)、19はカメラ部(撮像手段)、21は電子レンジ用制御回路(加熱制御手段)、22はマイクロ波加熱装置(加熱手段)、23はヒータ加熱装置(加熱手段)、26は携帯電話機用制御回路(識別手段、復号手段、機種情報抽出手段、食品情報抽出手段、加熱情報取得手段、加熱情報変換手段)、28は記憶部(機種情報記憶手段)を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯端末装置および加熱調理装置から構成され、
前記携帯端末装置は、
食品情報を含んだコードを撮影可能な撮像手段と、
この撮像手段により撮影された画像データから前記コードを識別する識別手段と、
この識別手段により識別された前記コードを復号する復号手段と、
この復号手段により復号された前記コードの情報から前記食品情報を抽出する食品情報抽出手段と、
この食品情報抽出手段により抽出された前記食品情報から被加熱物の加熱情報を取得する加熱情報取得手段と、
この加熱情報取得手段により得られた前記加熱情報を前記加熱調理装置に送信する加熱情報送信手段とを備え、
前記加熱調理装置は、
前記被加熱物を加熱する加熱手段と、
前記加熱情報を受信可能な加熱情報受信手段と、
この加熱情報受信手段により受信された前記加熱情報に基づいて前記加熱手段による前記被加熱物の加熱を制御する加熱制御手段とを備えたことを特徴とする加熱調理システム。
【請求項2】
請求項1に記載の加熱調理システムにおいて、
前記加熱情報取得手段は、前記食品情報に含まれている前記加熱情報を取得するように構成されていることを特徴とする加熱調理システム。
【請求項3】
請求項1または2に記載の加熱調理システムにおいて、
前記携帯端末装置から通信網を介して接続可能に設けられ、前記食品情報を受信すると、これに対応した前記加熱情報を提供する加熱情報提供手段を備え、
前記加熱情報取得手段は、前記食品情報に対応した前記加熱情報を前記加熱情報提供手段から取得するように構成されていることを特徴とする加熱調理システム。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかに記載の加熱調理システムにおいて、
前記携帯端末装置から通信網を介して接続可能に設けられ、前記食品情報抽出手段および前記加熱情報取得手段をアプリケーションソフトウェアとして提供するアプリケーション提供手段を備え、
前記携帯端末装置は、前記食品情報抽出手段および前記加熱情報取得手段について前記アプリケーション提供手段から提供を受けたものであることを特徴とする加熱調理システム。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれかに記載の加熱調理システムにおいて、
前記加熱情報送信手段は、前記加熱情報を赤外線信号として送信するように構成され、
前記加熱情報受信手段は、前記加熱情報を赤外線信号として受信するように構成されていることを特徴とする加熱調理システム。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれかに記載の加熱調理システムにおいて、
前記携帯端末装置は、
前記撮像手段が撮影した機種情報を含んだコードについて前記復号手段により復号された情報から機種情報を抽出する機種情報抽出手段と、
前記加熱情報取得手段により取得した前記加熱情報を前記機種情報抽出手段により抽出された前記機種情報に基づいて機種対応加熱情報に変換する加熱情報変換手段とを備え、
前記加熱情報送信手段は、前記加熱情報変換手段により変換された前記機種対応加熱情報を前記加熱情報受信手段に送信することを特徴とする加熱調理システム。
【請求項7】
請求項6に記載の加熱調理システムにおいて、
前記携帯端末装置は、前記機種情報抽出手段により抽出された前記機種情報を記憶する機種情報記憶手段を備え、
前記加熱情報変換手段は、前記機種情報記憶手段に記憶された前記機種情報に基づいて前記加熱情報を変換することを特徴とする加熱調理システム。
【請求項8】
請求項1ないし5のいずれかに記載の加熱調理システムにおいて、
前記携帯端末装置から通信網を介して接続可能に設けられ、前記加熱調理装置の機種情報および前記食品情報を受信すると、その機種に対応した機種対応加熱情報を提供する加熱情報提供手段を備え、
前記携帯端末装置は、
前記撮像手段が撮影した機種情報を含んだコードについて前記復号手段により復号された情報から機種情報を抽出する機種情報抽出手段を備え、
前記加熱情報取得手段は、前記加熱情報提供手段から、前記食品情報抽出手段により抽出された前記食品情報および前記機種情報抽出手段により抽出された前記機種情報に基づいて前記機種対応加熱情報を取得することを特徴とする加熱調理システム。
【請求項9】
請求項6ないし8のいずれかに記載の加熱調理システムにおいて、
前記携帯端末装置から通信網を介して接続可能に設けられ、前記機種情報抽出手段および前記加熱情報変換手段をアプリケーションソフトウェアとして提供するアプリケーション提供手段を備え、
前記携帯端末装置は、前記機種情報抽出手段および前記加熱情報変換手段について前記アプリケーション提供手段から提供を受けたものであることを特徴とする加熱調理システム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−275489(P2006−275489A)
【公開日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−99582(P2005−99582)
【出願日】平成17年3月30日(2005.3.30)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(502285664)東芝コンシューママーケティング株式会社 (2,480)
【出願人】(503376518)東芝家電製造株式会社 (2,436)
【Fターム(参考)】