説明

加熱調理器

【課題】下ヒーターの表面温度が500℃以上に加熱されている時、食材の脂が下ヒーター上に滴下すると、発火し下の受け皿に溜まった脂に点火して食材が燃えてしまうこと。また、下ヒーターが400℃以下では食材に焦げ目が付き難く、調理時間が長く掛かること。
【解決手段】下ヒーター25の発熱部の一部を筐体21の外部に出し、下ヒーター25の発熱部の一部に温度センサー29を設けた構成とすることにより、運転時、下ヒーター25の表面温度を食材の脂が滴下しても発火しなく、しかもできるだけ食材に焦げ目が付くような温度に保つ加熱調理器を提供することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は庫内に入れた食材を上下発熱体により上下両面から焼く加熱調理器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の加熱調理器はグリルまたはフィッシュロースターと呼ばれ、筐体中に上ヒーター、下ヒーター、受け皿、焼き網を設け、筐体内に設けた温度センサーで上下ヒーターの制御や調理の出来上がりを検知したり、タイマーで調理時間を設定をしている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図7は、特許文献1に記載された従来の加熱調理器を示すものである。図7に示すように、食材を加熱する調理庫1と、食材を載せる焼き網15と、上部発熱体2と、下部発熱体3と、排気通路と、この排気通路に設けられた浄化装置12と、浄化装置12を加熱する触媒ヒータ4と、排気通路に連結した排気ファン16と、調理庫内の温度を検出する温度検出手段5と、制御手段7と、食材から発生した脂等を溜める受け皿9で構成されている。
【特許文献1】特開2001−258761号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記従来の構成では、庫内の温度を検知して、上ヒーターと下ヒーターの制御を行っており、各ヒーターの表面温度をある温度幅に収めることができない。従って、運転時下ヒーターは500℃以上に上昇したり、400℃以下になりながら制御される。このように、従来の加熱調理器では、下ヒーターの表面温度が500℃以上に加熱されている時、食材の脂が下ヒーター上に滴下すると、発火し下の受け皿に溜まった脂に点火して食材が燃えてしまう場合がある。また。下ヒーターが400℃以下では食材に焦げ目が付き難く、調理時間が長く掛かる。
【0005】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、運転時、下ヒーターの表面温度を食材の脂が滴下しても発火しなく、しかもできるだけ食材に焦げ目が付くような温度に保つ加熱調理器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記従来の課題を解決するために、本発明の加熱調理器は、筐体中に上ヒーター、下ヒーター、受け皿、焼き網を設け、前記下ヒーターの発熱部の一部を前記筐体の外部に出し、前記下ヒーターの発熱部の一部に温度センサーを設けた構成とすることによって、運転時、下ヒーターの表面温度を食材の脂が滴下しても発火しなく、しかもできるだけ食材に焦げ目が付くような温度に保つ加熱調理器を提供することができる。
【発明の効果】
【0007】
本発明の加熱調理器は、下ヒーターの表面温度を食材の脂が滴下しても発火しなく、しかもできるだけ食材に焦げ目が付くような温度に保つことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
第1の発明は、筐体中に上ヒーター、下ヒーター、受け皿、焼き網を設け、前記下ヒーターの発熱部の一部を前記筐体の外部に出し、前記下ヒーターの発熱部の一部に温度センサーを設けた構成とすることにより、運転時、下ヒーターの表面温度を食材の脂が滴下しても発火しなく、しかもできるだけ食材に焦げ目が付くような温度に保つ加熱調理器を提供することができる。
【0009】
第2の発明は、下ヒーターの発熱部の一部に蓄熱部材を固定し、前記蓄熱部材に温度センサーを設けた構成とすることにより、下ヒーターからの熱を安定して温度センサーに伝達し、下ヒーターの表面温度を正確に制御できる。
【0010】
第3の発明は、下ヒーターの発熱部の一部を仕切り板で囲み、前記仕切り板で囲んだ空間に温度センサーを設けた構成とすることにより、温度センサー周囲の温度変化を安定して検知できる。
【0011】
第4の発明は、筐体中に上ヒーター、下ヒーター、受け皿、焼き網を設け、前記下ヒーター端子付近の発熱部の一部を前記筐体の外部に出し、前記下ヒーター端子付近の発熱部の一部に蓄熱部材を固定し、前記蓄熱部材に温度センサーを設けた構成とすることにより、運転時、下ヒーターの表面温度を食材の脂が滴下しても発火しなく、しかもできるだけ食材に焦げ目が付くような温度に保つ加熱調理器を提供することができる。
【0012】
第5の発明は、蓄熱部材を複数の板材としたことにより、下ヒーターへの蓄熱部材の固定が容易に行え、かつ、下ヒーターからの熱を安定して温度センサーに伝達し、下ヒーターの表面温度を正確に制御できる。
【0013】
第6の発明は、筐体中に上ヒーター、下ヒーター、受け皿、焼き網を設け、前記下ヒーターの発熱部の一部に蓄熱部材を固定し、周囲を断熱部材で囲み、前記蓄熱部材に温度センサーを設けた構成とすることにより、運転時、下ヒーターの表面温度を食材の脂が滴下しても発火しなく、しかもできるだけ食材に焦げ目が付くような温度に保つ加熱調理器を提供することができる。
【0014】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0015】
(実施の形態1)
図1から図6は、本発明の第1の実施の形態における加熱調理器を示す図である。
【0016】
図1または図2において、21は加熱調理器の筐体である。筐体21の前面はドア22が設けられ、ドア22にはハンドル23が付いている。筐体21内には、上ヒーター24、下ヒーター25、受け皿26が設置され、受け皿26の上には食材を載せる焼き網27が載置される。下ヒーター25の発熱部の内、筐体21の後ろ壁面に近い部分は屈曲して筐体21の外部に出た状態にあり、筐体21の外部に出た下ヒーター25aには蓄熱部材28が固定され、蓄熱部材28には温度センサー29が取り付けられている。筐体21の後方の上面には排気通路30が設けられ、排気通路30には触媒31を備え、触媒31は上ヒーター24で加熱される。排気通路30は排気ファン32の吸気口32aに連結している。筐体21の前方下面には空気取り入れ口33を備え、外気は空気取り入れ口33から筐体内を通り、排気通路30に至り、排気口34から排出される。
【0017】
図3において、筐体21の外部に出た下ヒーター25aには蓄熱部材28が設けられ、蓄熱部材28には温度センサー29が取り付けられている。筐体21の外部に出た下ヒーター25aは仕切り板35で囲まれた空間36内にあり、空間36内に温度センサー37が設置してある。図4において、下ヒーター25の端子付近の発熱部の一部25bに蓄熱部材28を固定し、前記蓄熱部材28に温度センサー29を設けた。図5において、筐体21の外部に出た下ヒーター25aには蓄熱部材28が固定されるが、蓄熱部材28は上蓄熱部材28aと下蓄熱部材28bで構成され、下ヒーター25aは上蓄熱部材28aと、下蓄熱部材28bで挟まれビス38で固定される。蓄熱部材28には温度センサー29が取り付けられている。図6において、下ヒーター25aには蓄熱部材28を固定し、蓄熱部材28には温度センサー29が取り付けられ、その周囲を断熱材39で囲まれている。
【0018】
以上のように構成された加熱調理器について、以下その動作、作用を説明する。
【0019】
まず、食材を焼き網27に載せて調理を開始すると、食材は上ヒーター24、下ヒーター25で加熱され、同時に触媒30は上ヒーターで加熱され高温に保たれる。加熱時に発生する臭いや油煙は排気ファン32で吸引されて、触媒31を通過する際に酸化浄化されて、排気口34から排出される。下ヒーター25は、筐体21の外部に出た部分に設けた蓄熱部材28の温度を温度センサー29で検知し、筐体21内の下ヒーター25の表面温度が約450℃から約500℃の範囲になるように制御する。制御方法としては、位相制御、duty制御等により下ヒーター25の発熱量を制御する方法がある。筐体21の外部に出た部分に設けた蓄熱部材28の温度を温度センサー29で検知するのは、上ヒーター24の影響を除くためである。筐体21内の下ヒーター25の発熱部に蓄熱部材28を取り付け、蓄熱部材28に温度センサー29を固定して蓄熱部材28の温度を検知する場合は、上ヒーター24により、筐体21内の雰囲気温度の上昇に伴って蓄熱部材28の温度も上昇し、下ヒーター25の温度を正確に制御することができない。食材に含まれる脂は加熱時、百数十度になり、食材の表面が弾けて脂が細かい粒状になった場合でも筐体21内の雰囲気温度は二百数十度になる。このような温度の脂が下ヒーター25に滴下した場合、下ヒーター25の表面温度が五百数十度以上にならないと発火することはない。
【0020】
以上のように、本実施の形態においては、下ヒーター25の発熱部の一部に温度センサー29を設け、下ヒーター25の表面温度を約450℃から約500℃の範囲で制御することにより、食材の油が下ヒーター25上に滴下しても発火をしない加熱調理器とすることができる。
【0021】
図3に示すように、下ヒーター25aは仕切り板35で囲まれた空間36内にあり、空間36内に設けた温度センサー37により下ヒーター25の表面温度を制御する場合も、前記内容と同様に上ヒーター24の影響をなくして、下ヒーター25の表面温度を所定の温度範囲に制御することができる。図4に示すように、下ヒーター25の端子付近の発熱部の一部25bに蓄熱部材28を固定し、蓄熱部材28に温度センサー29を設けることにより、下ヒーター25の形状は従来と同じであり、蓄熱部材28の配置の容易である。
【0022】
図5に示すように、下ヒーター25aは上蓄熱部材28aと、下蓄熱部材28bで挟まれビス38で固定される。このように、蓄熱部材を複数の板材としたことにより、下ヒーターへ25の蓄熱部材28の固定が容易に行える。図6に示すように、下ヒーター25aには蓄熱部材28を固定し、蓄熱部材28には温度センサー29が取り付けられ、その周囲を断熱材39で囲まれている構成にすることにより、上ヒーター24の影響をなくして、下ヒーター25の表面温度を所定の温度範囲に制御することができる。
【産業上の利用可能性】
【0023】
以上のように、本発明にかかる加熱調理器は、下ヒーターの発熱部の一部に温度センサーを設けた構成により下ヒーターの表面温度を食材の脂が滴下しても発火しなく、しかもできるだけ食材に焦げ目が付くような温度に保つことができるので、ロースタや電子レンジ、オーブンレンジ、オーブンあるいはグリラーなどの用途にも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の実施の形態1における加熱調理器の断面図
【図2】同平断面図
【図3】同要部の斜視図
【図4】本発明の別構成の実施の形態における加熱調理器の断面図
【図5】同要部の斜視図
【図6】本発明の別構成の実施の形態における加熱調理器の断面図
【図7】従来の加熱調理器を示す斜視図
【符号の説明】
【0025】
21 筐体
24 上ヒーター
25 下ヒーター
26 受け皿
27 焼き網
28 蓄熱部材
29 温度センサー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体中に上ヒーター、下ヒーター、受け皿、焼き網を設け、前記下ヒーターの発熱部の一部を前記筐体の外部に出し、前記下ヒーターの発熱部の一部に温度センサーを設けた構成の加熱調理器。
【請求項2】
下ヒーターの発熱部の一部に蓄熱部材を固定し、前記蓄熱部材に温度センサーを設けた請求項1に記載の加熱調理器。
【請求項3】
下ヒーターの発熱部の一部を仕切り板で囲み、前記仕切り板で囲んだ空間に温度センサーを設けた請求項1に記載の加熱調理器。
【請求項4】
筐体中に上ヒーター、下ヒーター、受け皿、焼き網を設け、前記下ヒーター端子付近の発熱部の一部を前記筐体の外部に出し、前記下ヒーター端子付近の発熱部の一部に蓄熱部材を固定し、前記蓄熱部材に温度センサーを設けた加熱調理器。
【請求項5】
蓄熱部材を複数の板材とした請求項2または請求項4に記載の加熱調理器。
【請求項6】
筐体中に上ヒーター、下ヒーター、受け皿、焼き網を設け、前記下ヒーターの発熱部の一部に蓄熱部材を固定し、周囲を断熱部材で囲み、前記蓄熱部材に温度センサーを設けた加熱調理器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−93319(P2008−93319A)
【公開日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−281078(P2006−281078)
【出願日】平成18年10月16日(2006.10.16)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】