説明

加熱調理器

【課題】突出した部分を設けることなく且つデザイン上の制約を受けることなく、調理における設定対象の内容を手動により変更することを、直感的で容易な操作により行う。
【解決手段】調理における設定対象の内容を手動により変更するための操作部6を、円周方向に配設され静電容量の変化に応じて動作する複数のタッチスイッチ10〜17と、これら複数のタッチスイッチ10〜17を操作するために円周方向に形成された円周操作部18とから構成するとともに、使用者が前記円周操作部18を円周方向に移動しながら接触することに応じて複数のタッチスイッチ10〜17から入力される信号を検知し、この検知結果に基づいて操作部6の操作方向を判断する制御回路を備え、突出した部分を不要とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、調理における設定対象の内容を手動により変更するための機能を備えた加熱調理器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、調理における設定対象(例えば調理時間など)の内容を手動により変更するための手段として、操作パネルに回動可能な操作つまみを設けた加熱調理器が主流となっている(例えば、特許文献1参照)。このものによれば、使用者は、操作つまみの回動方向や回動量に応じて設定対象の内容を変更することができ、操作が直感的で容易である。
また、このような操作つまみではなく、光センサを利用した構成も考えられている。例えば特許文献2に記載の加熱調理器は、操作パネル内部に複数の光センサを円周方向に配列して設け、これら複数の光センサにより使用者の操作を検知し、設定対象の内容を変更するようにしている。
【特許文献1】特開平11−83024号公報
【特許文献2】特開平8−43131号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、近年では、加熱調理器の前面下部に加熱庫を開閉する扉を枢設し、この扉の前面に操作パネルを設けたものが供されている。このような構成の加熱調理器において、上記特許文献1のように操作パネルに操作つまみを設けると、当該操作つまみが扉の前面から突出した状態となる。そのため、扉を開いたときに操作つまみと設置台との間で障害物(例えば食品や調理器具など)を挟んだりぶつけてしまう場合があり、操作つまみや操作パネルが破損するおそれがある。
【0004】
また、上記特許文献2のように操作パネル内部に光センサを設けた構成であれば、使用者により操作される部分が扉の前面から突出しない状態となることから、上記のような破損のおそれはなくなる。しかしながら、光センサに対向する位置に当該光センサの光を透過させるための透過部を設ける必要があることから、当該透過部によって加熱調理器の外観が損なわれるおそれがありデザイン上の制約を受ける。
【0005】
本発明は、上記した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、突出した部分を設けることなく且つデザイン上の制約を受けることなく、調理における設定対象の内容を手動により変更することを、直感的で容易な操作により行うことができる加熱調理器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の加熱調理器は、調理における設定対象の内容を手動により変更するための操作手段を備えた加熱調理器において、前記操作手段を、円周方向に配設され静電容量の変化に応じて動作する複数のタッチスイッチと、これら複数のタッチスイッチを操作するために円周方向に形成された円周操作部とから構成するとともに、使用者が前記円周操作部を円周方向に移動しながら接触することに応じて前記複数のタッチスイッチから入力される信号を検知し、この検知結果に基づいて前記操作手段の操作方向を判断する判断手段を備え、前記判断手段により判断された前記操作手段の操作方向に応じて前記設定対象の内容を変更するように構成されていることに特徴を有する。
【発明の効果】
【0007】
本発明の加熱調理器によれば、調理における設定対象の内容を手動により変更するための操作手段を、円周方向に配設され静電容量の変化に応じて動作する複数のタッチスイッチと、これら複数のタッチスイッチを操作するために円周方向に形成された円周操作部とから構成し、突出した部分を不要とした。しかも、このような静電容量式のタッチスイッチを用いたことにより、光を透過させるための透過部を設ける必要がなくデザイン上の制約もない。
【0008】
また、使用者が操作手段を操作する際に円周操作部を円周方向に移動しながら接触すると、操作手段の操作方向が判断手段により判断され、判断された操作方向に応じて設定対象の内容が変更される。従って、使用者は円周操作部を円周方向になぞるという直感的で容易な操作により、調理における設定対象の内容を手動により変更することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
(第1の実施形態)
以下、本発明の第1の実施形態について図1〜図6を参照して説明する。
図1に示すように、加熱調理器としての電子レンジ1の外郭を構成する矩形状のキャビネット2内には、前面が開口した矩形状の加熱庫3が設けられており、当該加熱庫3内に調理物を収容して調理可能となっている。キャビネット2の前面下部には、加熱庫3の開口を開閉する扉4が上下方向に回動可能に枢設されていている。この扉4の前面下部には、操作パネル5が設けられている。
【0010】
この操作パネル5には、調理における設定対象(例えば調理時間、調理温度、調理メニューを順序付けした順列)の内容を手動により変更したり変更後の設定対象の内容を確定するための操作部6(操作手段に相当)、調理における設定対象の内容や調理の進行状況などを表示する表示器7、調理の開始を指示するための調理開始指示キー8、設定対象の内容の変更の取り消しや調理の停止を指示するための取り消し指示キー9が設けられている。
【0011】
次に操作部6の構成について図2を参照しながら説明する。
操作部6は、全体として円形状をなしており、円周方向に配列された複数のタッチスイッチ10〜17と、当該タッチスイッチ10〜17に沿って円周方向に形成された円周操作部18と、当該円周操作部18の内側に設けられた確定キー19とから構成されている。
【0012】
このうち、タッチスイッチ10〜17の構成は同じであるので、例えばタッチスイッチ10を代表して説明する。タッチスイッチ10は、入力部20と電極部21とを併せて構成されている。入力部20は、操作部6の前面を構成する樹脂プレート22(図3参照)の一部を、円周方向に沿って複数(この場合8個)に分割して形成したものであり、使用者が操作する際に接触する領域となるものである。入力部20は、それぞれ扇形状をなしており、これら複数の入力部20が円周方向に配置されることで、円環状の円周操作部18が構成されている。
【0013】
電極部21は、入力部20より一回り小さい扇形状をなしており、入力部20の背面に取り付けられている。これにより、電極部21は、円周操作部18の背面側において、環状となるように且つそれぞれが絶縁状態となるように円周方向に配設される。また、入力部20においてこれら複数の電極部21が配設された部分が、タッチスイッチ10〜17の検知範囲として構成される。
【0014】
円周操作部18は、その外周部と内周部との間の寸法が、タッチスイッチ10〜17の外周部と内周部との間の寸法すなわちタッチスイッチ10〜17の検知範囲よりも一回り小さくなっており、当該円周操作部18が複数のタッチスイッチ10〜17の検知範囲内に設けられた構成となっている。また、円周操作部18の内周部及び外周部には、それぞれ操作部6の前方に僅かに突出(例えば0.5mm程度)する円環状の凸部23,24(図3参照)が設けられている。これら凸部23,24は樹脂プレート22に一体的に形成されている。前記円周操作部18は、実質的にはこれら凸部23と凸部24で囲われた部分である。
【0015】
確定キー19は、入力部25と電極部26とを併せて構成されている。入力部25は、樹脂プレート22の一部(円周操作部18の内側部)に形成されたものであり、円形状をなしている。電極部26は、入力部25より一回り小さい円形状をなしており、入力部25の背面において前記電極部21とは絶縁状態となるように取り付けられている。
【0016】
また、操作部6の上方には、左右方向に配置された補助キー27,28が設けられている。これら補助キー27,28は、それぞれ入力部29と電極部30とを併せて構成されている。入力部29は、樹脂プレート22の一部(操作部6の上方部)に形成されたものであり、矩形状をなしている。電極部30は、入力部29より一回り小さい矩形状をなしており、入力部29の背面において前記電極部21とは絶縁状態となるように取り付けられている。
【0017】
次に電気的構成について図4を参照して説明する。この図4においては電子レンジ1に関する概略的な電気的構成を示している。図4において、制御回路31(判断手段、時間検知手段に相当)はマイクロコンピュータを含んで構成されている。この制御回路31には、加熱制御部32及びタッチ検知回路33が接続されている。前記加熱制御部32は、マグネトロンや熱風ヒータ(何れも図示せず)などを制御する。
【0018】
前記タッチ検知回路33は、並列接続された8個の回路部34から構成されている。8個の回路部34はそれぞれ8個のタッチスイッチ10〜17に対応しており、所定周波数の発振信号を出力する発振回路35の出力端子に直列接続されたコンデンサ36、ダイオード37、アナログスイッチ38から構成されている。前記コンデンサ36と前記ダイオード37の間には電極部21が接続導体39を介して接続されており、前記ダイオード37とアナログスイッチ38の間は抵抗40及びチャージコンデンサ41を介してアースされている。前記アナログスイッチ38の出力端子は制御回路31のA/D入力ポートに接続されている。前記アナログスイッチ38の制御端子は制御回路31の出力ポートのデジット出力により制御されるようになっている。
【0019】
発振回路35の出力電流は、コンデンサ36、ダイオード37を介してチャージコンデンサ41を充電する。チャージコンデンサ41の電圧は、アナログスイッチ38の制御端子に印加されている制御信号が「HI」のとき前記制御回路31のA/D入力ポートに印加されるようになっている。
【0020】
尚、図4に示す回路34aは、ダイオード37、アナログスイッチ38、抵抗40、チャージコンデンサ41からなる回路を示している。また、前記制御回路31には、表示器7が接続されているとともに、図示はしないが、確定キー19及び補助キー27,28がそれぞれ前記タッチスイッチ10〜17と同様の構成にて接続されている。
【0021】
上記構成において、使用者が、例えば、調理における設定対象を変更すべくタッチスイッチ10〜17の入力部20に触れると、入力部20とこれに対向する電極部21との間で等価的にコンデンサ部42が形成されているから、タッチ検知回路33において、発振回路35の出力が人体を介して大地に流れるため、チャージコンデンサ41の電圧が低下する。これによりタッチスイッチ10〜17のコンデンサ部42の静電容量変化が検知される。このチャージコンデンサ41の電圧の低下が検知信号として出力されることになり、これにより、制御回路31はタッチスイッチ10〜17の入力部20が入力操作されたことを判断する。この場合、チャージコンデンサ41の電圧が低下している時間がタッチスイッチ10〜17の入力時間となる。
【0022】
このような構成により、タッチスイッチ10〜17は、使用者の接触操作(タッチ操作)に伴う静電容量の変化に応じて動作する静電容量式のタッチスイッチとして機能する。そして、制御回路31はタッチスイッチ10〜17からの入力に応じて調理における設定対象の内容を変更する。尚、確定キー19や補助キー27,28が操作された場合も、各入力部に対応するタッチ検知回路(図示せず)が同様に作用するようになっており、これら確定キー19,補助キー27,28は静電容量式のタッチスイッチとして機能する。また、前記調理開始指示キー8及び取り消し指示キー9も、静電容量式のタッチスイッチで構成されており、タッチスイッチ10〜17と同様の構成にて制御回路31に接続されている。
【0023】
次に、本実施形態の作用について図5及び図6を参照しながら説明する。
使用者が円周操作部18を例えばタッチスイッチ10から時計回り方向になぞる(移動しながら接触する)と、これに伴って、制御回路31は、タッチスイッチ10から入力される信号(図5中Aで示す波形参照)を検知し、続いて、タッチスイッチ11から入力される信号(Bで示す波形参照)を検知する。この場合、タッチスイッチ10に続いて信号を検知したタッチスイッチ11が、当該タッチスイッチ10の時計回り方向に配列されていることから、制御回路31は、円周操作部18が時計回り方向に操作されたと判断し(判断手段に相当)、調理における設定対象の内容を増加(例えば、調理時間を30秒から40秒に増加)させる。
【0024】
一方、使用者が円周操作部18を例えばタッチスイッチ10から反時計周り方向になぞると、これに伴って、制御回路31は、タッチスイッチ10から入力される信号を検知し、続いて、タッチスイッチ17から入力される信号を検知する。この場合、タッチスイッチ10に続いて信号を検知したタッチスイッチ17が、当該タッチスイッチ10の反時計回り方向に配列されていることから、制御回路31は、円周操作部18が反時計回り方向に操作されたと判断し(判断手段に相当)、調理における設定対象の内容を減少させる。
【0025】
さらに、制御回路31は、複数のタッチスイッチのうち何れか1つのタッチスイッチ(例えば、タッチスイッチ10)から信号が入力された後、他のタッチスイッチ(例えば、タッチスイッチ11あるいはタッチスイッチ17)から信号が入力されるまでの時間(移動時間)を検知し(時間検知手段に相当)、この検知結果に応じて、調理における設定対象の内容の変化量(増加量及び減少量)を変更するようになっている。
【0026】
例えば調理における設定対象として調理時間の内容(設定値)を変更する場合において、円周操作部18がタッチスイッチ10から時計回り方向に操作されると、制御回路31は、タッチスイッチ10から信号が入力された後、タッチスイッチ11から信号が入力されるまでの移動時間を検知する。そして、図6に示すように、検知された移動時間が0.3秒以上であれば、制御回路31は、増加量を1ポイント(調理時間10秒相当)に変更する。また、検知された移動時間が0.2〜0.3秒であれば、制御回路31は、増加量を2ポイント(調理時間1分相当)に変更し、0.2秒以下であれば、増加量を3ポイント(調理時間5分相当)に変更する。すなわち、円周操作部18が速く操作されるほど、調理における設定対象の内容の変化量が多くなり、ゆっくり操作されるほど、変化量が少なくなるように設定されている。
【0027】
尚、円周操作部18がタッチスイッチ10から反時計回り方向に操作されると、制御回路31は、検知された移動時間に応じて、調理における設定対象の内容の減少量を変更する。例えば、検知された移動時間が0.3秒以上であれば、減少量を1ポイントに変更する。
【0028】
円周操作部18を操作した後、使用者が確定キー19を接触操作すると、制御回路31は、上記円周操作部18の操作により変更された後の設定対象の内容を確定し、以降の調理を変更後の内容に従って実行する。
【0029】
ところで、長時間(例えば15分)の調理を行う場合には、調理時間を十数分(例えば13分)までは大雑把に変更し、残りの数分(1〜2分程度)を微調整して設定することが一般的である。本実施形態では、制御回路31は、まず、円周操作部18が素早く時計回り方向に操作されることに応じて、調理時間を13分まで増加させる。その後、補助キー27が接触操作されると、調理時間を1分単位で増加させる。この場合、補助キー27が所定時間(例えば0.5秒)連続して接触操作されたことを条件に、制御回路31は、調理時間を所定量(例えば1分)ずつ増加させるようになっている。一方、補助キー28が接触操作されると、制御回路31は、設定対象を所定量ずつ減少させるようになっている。
【0030】
以上に説明したように本実施形態によれば、調理における設定対象の内容を手動により変更するための操作部6を、円周方向に配設され静電容量の変化に応じて動作する複数のタッチスイッチ10〜17と、これら複数のタッチスイッチ10〜17を操作するために円周方向に形成された円周操作部18とから構成し、扉4の前面から突出した部分を不要とした。しかも、このような静電容量式のタッチスイッチで複数のタッチスイッチ10〜17を構成したことにより、光を透過させるための透過部を設ける必要がなくデザイン上の制約もない。
【0031】
また、使用者が操作部6を操作する際に円周操作部18を円周方向に移動しながら接触すると、操作部6の操作方向が制御回路31により判断され、判断された操作方向に応じて設定対象の内容が変更される。従って、使用者は円周操作部18を円周方向になぞるという直感的で容易な操作により、調理における設定対象の内容を手動により変更することができる。
【0032】
円周操作部18を、複数のタッチスイッチ10〜17の検知範囲内に設けたので、使用者が当該円周操作部18をなぞって入力操作する際に、使用者の指等が当該円周操作部18から多少ずれたとしても入力が受け付けられる。そのため、使用者は違和感なく操作することができ操作性が損なわれにくくなる。
【0033】
円周操作部18の内周部及び外周部に凸部23,24を設けたので、使用者が操作する際に当該凸部23,24がガイドとなり、操作性を向上することができる。また、当該凸部23,24により操作部6における操作部位が明確になる。この場合、凸部23,24が操作パネル5の前面に突出した状態となるが、その突出量が微小(本実施形態では0.5mm程度)であることから、例えば扉4を開いたときに当該凸部23,24が設置台との間で障害物等により押しつぶされたとしても、操作パネル5や操作部6の故障や破損のおそれは少ない。
【0034】
複数のタッチスイッチ10〜17のうち、何れかのタッチスイッチから他のタッチスイッチが操作されるまでの移動時間に応じて、設定対象の内容の変化量を変更するようにした。この場合、移動時間が短い場合に変化量を多くするように設定しておけば、例えば設定対象の内容を最大限に変更したい場合には、円周操作部18を素早く操作することで設定対象の内容を大きく変更することができ、使用者の操作量を減らすことができる。
【0035】
円周操作部18の内側に、変更後の設定対象の内容を確定するための確定キー19を設けたので、円周操作部18の近傍にある確定キー19により変更後の設定対象の内容を確定することができ、操作性を向上することができる。また、回動可能な操作つまみの中央に確定キーを設けた構成に比べ構造が簡単である。
【0036】
設定対象の内容を所定量ずつ変更するための補助キー27,28を設けたので、設定対象の内容の微調整を当該補助キー27,28の接触操作により行うことができる。所定量ずつ変更する微調整は、円周操作部18の円周方向の操作によりリニアに調整するよりも、当該補助キー27,28の接触操作により所定量ずつ段階的に調整するほうが、押圧操作に類似した直感的な操作感を得ることができ、操作性を向上することができる。
【0037】
補助キー27,28が所定時間操作されたことを条件に、設定対象の内容を所定量ずつ変更するように構成したので、使用者は設定対象の内容が目標に達するまで補助キー27,28を押圧し続ければよく、操作が直感的で容易となる。
【0038】
尚、本実施形態では、タッチスイッチ10を基準として操作部6が操作された場合について説明したが、その他のタッチスイッチ11〜17を基準として操作部6が操作された場合も同様の作用、効果を得ることができる。また、調理における設定対象は調理時間に限られるものではなく、調理温度の設定や調理メニューを順序付けした順列の選択も同様に行うことができる。
【0039】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について図7を参照して説明する。尚、上述した第1の実施形態と同一の部分については説明を省略し、異なる部分についてのみ説明する。
本実施形態の操作部6には、上述の第1の実施形態で示した複数のタッチスイッチ10〜17の一部(この場合、タッチスイッチ10,17)に代わり、兼用スイッチ51,52が設けられている。これら兼用スイッチ51,52は、第1の実施形態で示したタッチスイッチ10,17を補助キー27,28として兼用したものである。
【0040】
この場合、制御回路31は、兼用スイッチ51(52)から他のタッチスイッチが操作されるまでの移動時間が0.5秒以下であれば、当該兼用スイッチ51(52)から入力される信号をタッチスイッチの信号として処理し、設定対象の内容を操作方向及び移動時間に応じて変更する。一方、移動時間が0.5秒以上であれば、当該兼用スイッチ51(52)から入力される信号を補助キーの信号として処理し、設定対象の内容を所定量ずつ変更する。
本実施形態によれば、複数のタッチスイッチ10〜17の一部を補助キーとして兼用したので、補助キーを新たに設ける必要がなく、構造を簡単にすることができる。
【0041】
(その他の実施形態)
本発明は、上述した各実施形態にのみ限定されるものではなく、次のように変形または拡張できる。
調理における設定対象の内容の変化量は、図6に示したものに限られず適宜変更することができる。
【0042】
タッチスイッチの数は8個に限られるものではなく、8個より多く設けてもよいし少なく設けてもよい。
確定キー19や補助キー27,28を、静電容量式のタッチスイッチで構成するのではなく、例えば操作パネル5の前面から突出しない平板状の押しボタンで構成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の第1の実施形態を示すものであり、電子レンジの概略的な正面図
【図2】操作部およびその周辺の正面図
【図3】タッチスイッチの断面図
【図4】電子レンジの電気的構成を示すブロック図
【図5】タッチスイッチから入力される信号の例を示す図
【図6】移動時間、調理における設定対象の内容の変化量及び調理時間の変化量の関係を示す図
【図7】本発明の第2の実施形態を示す図2相当図
【符号の説明】
【0044】
図面中、1は電子レンジ(加熱調理器)、6は操作部(操作手段)、10〜17はタッチスイッチ、18は円周操作部、19は確定キー、23,24は凸部、27,28は補助キー、31は制御回路(判断手段、時間検知手段)、51,52は兼用スイッチ(タッチスイッチ、補助キー)を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
調理における設定対象の内容を手動により変更するための操作手段を備えた加熱調理器において、
前記操作手段を、円周方向に配設され静電容量の変化に応じて動作する複数のタッチスイッチと、これら複数のタッチスイッチを操作するために円周方向に形成された円周操作部とから構成するとともに、
使用者が前記円周操作部を円周方向に移動しながら接触することに応じて前記複数のタッチスイッチから入力される信号を検知し、この検知結果に基づいて前記操作手段の操作方向を判断する判断手段を備え、
前記判断手段により判断された前記操作手段の操作方向に応じて前記設定対象の内容を変更するように構成されていることを特徴とする加熱調理器。
【請求項2】
前記円周操作部を、前記複数のタッチスイッチの検知範囲内に設けたことを特徴とする請求項1記載の加熱調理器。
【請求項3】
前記円周操作部の内周部及び外周部に凸部を設けたことを特徴とする請求項1または2に記載の加熱調理器。
【請求項4】
前記複数のタッチスイッチのうち何れか1つのタッチスイッチから信号が入力された後、他のタッチスイッチから信号が入力されるまでの時間を検知する時間検知手段を備え、
前記時間検知手段による検知結果に応じて、前記設定対象の内容の変化量を変更するように構成されていることを特徴とする請求項1ないし3の何れかに記載の加熱調理器。
【請求項5】
前記円周操作部の内側に、変更後の前記設定対象の内容を確定するための確定キーを設けたことを特徴とする請求項1ないし4の何れかに記載の加熱調理器。
【請求項6】
前記設定対象の内容を所定量ずつ変更するための補助キーを設けたことを特徴とする請求項1ないし5の何れかに記載の加熱調理器。
【請求項7】
前記補助キーが所定時間操作されたことを条件に、前記設定対象の内容を所定量ずつ変更するように構成されていることを特徴とする請求項6記載の加熱調理器。
【請求項8】
前記複数のタッチスイッチの一部を前記補助キーとして兼用したことを特徴とする請求項6または7に記載の加熱調理器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−139019(P2009−139019A)
【公開日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−315756(P2007−315756)
【出願日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(502285664)東芝コンシューマエレクトロニクス・ホールディングス株式会社 (2,480)
【出願人】(503376518)東芝ホームアプライアンス株式会社 (2,436)
【Fターム(参考)】