説明

加熱調理器

【課題】ガス燃焼式の加熱手段の燃焼が不安定になることを回避させた状態で燃焼状態の切り換えを行うことが可能となる加熱調理器を提供する。
【解決手段】ガス燃焼式の加熱手段2の燃焼状態を互いに異なる複数の燃焼状態に切り換え自在な燃焼状態切換手段NKと、複数の燃焼状態のうちのいずれかの燃焼状態を目標燃焼状態として指令する手動操作式の指令手段と、その指令手段の指令に基づいて指令される目標燃焼状態に切り換えるように燃焼状態切換手段NKを制御する燃焼制御手段101とが備えられ、燃焼制御手段101が、指令手段により目標燃焼状態が指令されたときには、その後において新たに目標燃焼状態が指令されることなく、目標燃焼状態の指令がされてからの経過時間が設定待機時間を経過すると、指令された目標燃焼状態に切り換えるべく燃焼状態切換手段NKを制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被加熱物を加熱するガス燃焼式の加熱手段と、前記加熱手段の燃焼状態を複数の異なる燃焼状態に切り換え自在な燃焼状態切換手段と、前記複数の異なる燃焼状態のうちのいずれかの燃焼状態を目標燃焼状態として指令する手動操作式の指令手段と、その指令手段の指令に基づいて指令される目標燃焼状態に切り換えるように前記燃焼状態切換手段を制御する燃焼制御手段とが備えられている加熱調理器に関する。
【背景技術】
【0002】
かかる加熱調理器の一例としてグリル装置があり、このグリル装置が、グリル庫の上部に設けられた上部側燃焼部としての上バーナとグリル庫の下部に設けられた下部側燃焼部としての下バーナとをガス燃焼式の加熱手段として備えて、次のように構成されたものがあった。
すなわち、前記上バーナ及び下バーナの燃焼状態を複数の異なる燃焼状態に切り換え自在な前記燃焼状態切換手段が備えられ、手動操作式の指令手段の指令にて目標燃焼状態が指令されると、前記燃焼制御手段が、指令手段にて指令される目標燃焼状態になるように、直ちに上バーナ及び下バーナの燃焼状態を切り換えるように燃焼状態切換手段を制御するように構成されたものがあった(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
尚、上記特許文献1では、前記燃焼状態切換手段が、例えば、上バーナ及び下バーナが共に火力強である燃焼状態、上バーナが火力強及び下バーナが火力弱である燃焼状態、上バーナが火力弱及び下バーナが火力強である燃焼状態、上バーナ及び下バーナが共に火力弱である燃焼状態の夫々に切り換え自在に構成され、前記指令手段が、手動操作式の操作具としての火力切替スイッチと、その火力切替スイッチにより切換指令が指令されるごとに複数の燃焼状態のうちの一つを予め設定された選択順序に沿って目標燃焼状態として選択して指令する指令処理手段とで構成されている。説明を加えると、特許文献1では詳細な内容について記載していないが、運転を制御する制御部を利用して前記燃焼制御手段及び前記指令処理手段が構成され、燃焼状態の切り換わりの形態として、前記火力切替スイッチを操作する毎に、上バーナ及び下バーナが共に火力強である燃焼状態、上バーナが火力強及び下バーナが火力弱である燃焼状態、上バーナが火力弱及び下バーナが火力強である燃焼状態、上バーナ及び下バーナが共に火力弱である燃焼状態に順次切り換わるようになっていた。
【0004】
【特許文献1】特開2005−102848号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記加熱調理器においては、使用者が被調理物の加熱調理を行う際に、前記指令手段の指令により前記ガス燃焼式の加熱手段の燃焼状態の切り換えを行うことになるが、例えば、一旦所定の燃焼状態が指令されたのちに調理の状況等に応じて別の燃焼状態が指令されるような場合や、操作誤りによって希望する燃焼状態とは異なる燃焼状態が指令された後に希望する燃焼状態が指令されるような場合等において、短い時間間隔で繰り返し燃焼状態の切り換えが指令手段によって指令されることがある。
【0006】
特に、上記したように、手動操作式の操作具としての火力切替スイッチにより切換指令が指令されるごとに、加熱手段としての上バーナ及び下バーナが共に火力強である燃焼状態、上バーナが火力強及び下バーナが火力弱である燃焼状態、上バーナが火力弱及び下バーナが火力強である燃焼状態、及び、上バーナ及び下バーナが共に火力弱である燃焼状態の夫々に順次切り換わる構成のものであれば、現在の設定状態が上下共に火力強である燃焼状態であるときに、上下共に火力弱である燃焼状態に切り換えを希望するときに、使用者は、前記火力切替スイッチを3回繰り返し操作して燃焼状態を順に切り換えて希望する燃焼状態にさせることになるので、このような場合には、短い時間間隔で繰り返し燃焼状態の切り換えが指令されるおそれが大きいものであった。
【0007】
しかし、上記従来構成では、指令手段にて燃焼状態が指令されると、燃焼制御手段が直ちに前記ガス燃焼式の加熱手段の燃焼状態を切り換えるように燃焼状態切換手段を制御する構成であるから、指令手段により短い時間間隔で繰り返し燃焼状態の切り換えが指令されると、それに対応して直ちに燃焼状態の切り換えを実行するように燃焼状態切換手段の切り換え操作が行われることになる。その結果、前記燃焼状態切換手段の無駄な切り換え操作が短時間の間に繰り返し行われることがあり、ガス燃焼式の加熱手段に対する燃焼用ガスの供給状態が短時間の間で頻繁に変化することに起因して、加熱手段の燃焼が不安定になるおそれがある等の不利な面があった。
【0008】
本発明の目的は、ガス燃焼式の加熱手段の燃焼が不安定になることを回避させた状態で燃焼状態の切り換えを行うことが可能となる加熱調理器を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る加熱調理器は、被加熱物を加熱するガス燃焼式の加熱手段と、前記加熱手段の燃焼状態を互いに異なる複数の燃焼状態に切り換え自在な燃焼状態切換手段と、前記複数の燃焼状態のうちのいずれかの燃焼状態を目標燃焼状態として指令する手動操作式の指令手段と、その指令手段の指令に基づいて指令される目標燃焼状態に切り換えるように前記燃焼状態切換手段を制御する燃焼制御手段とが備えられているものであって、その第1特徴構成は、前記燃焼制御手段が、前記指令手段により前記目標燃焼状態が指令されたときには、その後において新たに前記目標燃焼状態が指令されることなく、前記目標燃焼状態の指令がされてからの経過時間が設定待機時間を経過すると、指令された前記目標燃焼状態に切り換えるべく前記燃焼状態切換手段を制御するように構成されている点にある。
【0010】
第1特徴構成によれば、前記燃焼制御手段は、前記指令手段により前記目標燃焼状態が指令されたときには、直ちに指令された前記目標燃焼状態に切り換えるべく前記燃焼状態切換手段を制御するのではなく、前記指令手段により前記目標燃焼状態が指令されたときに、その後において新たに目標燃焼状態が指令されることなく目標燃焼状態の指令がされてからの経過時間が設定待機時間を経過すると指令された前記目標燃焼状態に切り換えるべく前記燃焼状態切換手段を制御するようにしたので、前記指令手段により前記目標燃焼状態が指令されたのちに、前記指令手段により前記目標燃焼状態が指令されることが前記設定待機時間よりも短い短時間の間に再度行われることがあっても、前記経過時間が前記設定待機時間を経過するまでの間は前記燃焼状態切換手段が切り換えを行わないのである。
【0011】
その結果、前記指令手段により前記目標燃焼状態が指令されることが前記設定待機時間よりも短い短時間の間に再度行われることがあっても、前記ガス燃焼式の加熱手段に対するガス供給状態が短時間の間で頻繁に変化することを回避して、前記ガス燃焼式の加熱手段の燃焼が不安定になるおそれを回避することが可能となる。
【0012】
従って、ガス燃焼式の加熱手段の燃焼が不安定になることを回避させた状態で燃焼状態の切り換えを行うことが可能となる加熱調理器を提供できるに至った。
【0013】
本発明の第2特徴構成は、第1特徴構成に加えて、前記燃焼制御手段が、前記指令手段にて前記目標燃焼状態が指令されたのち、前記設定待機時間を経過するまでに新たに前記目標燃焼状態が指令されたときには、その新たな指令を前記指令手段にて前記目標燃焼状態が指令されたときとして、その後において新たに前記目標燃焼状態が指令されることなく、前記目標燃焼状態の指令がされてからの経過時間が設定待機時間を経過すると、指令された前記目標燃焼状態に切り換えるべく前記燃焼状態切換手段を制御するように構成されている点にある。
【0014】
第2特徴構成によれば、前記燃焼制御手段は、前記指令手段にて前記目標燃焼状態が指令されたのち、前記設定待機時間を経過するまでの間において新たに前記目標燃焼状態が指令されると、前回に指令された目標燃焼状態に代えてその新たな指令を前記指令手段にて指令された前記目標燃焼状態とする。又、このような前記設定待機時間を経過するまでの間において新たに前記目標燃焼状態が指令されることが繰り返し行われると、その都度、指令手段にて指令される新たな指令を前記目標燃焼状態とするのである。そして、前記指令手段にて前記新たな指令が指令された後において、さらに新たに前記目標燃焼状態が指令されることなく前記経過時間が前記設定待機時間を経過すると、前記新たな指令にて指令された前記目標燃焼状態に切り換えるべく前記燃焼状態切換手段を制御することになる。
【0015】
つまり、前記指令手段が手動操作にて前記設定待機時間よりも短い短時間の間隔をあけて繰り返し操作されて目標燃焼状態が指令されるような場合には、加熱手段の実際の燃焼状態は、指令手段にて目標燃焼状態が指令されるときにその都度切り換わるのではなく、繰り返し操作されたうちで最後に指令された目標燃焼状態に切り換えるべく前記燃焼状態切換手段を制御することになる。この最後に指令された目標燃焼状態というのは、使用者が希望する燃焼状態に対応するものである。
【0016】
従って、第2特徴構成によれば、使用者が指令手段を手動で操作して短時間の間で繰り返し指令を行うような場合であっても、頻繁に燃焼状態を切り換えることを回避しながら、使用者が希望する燃焼状態に切り換えることが可能であり、使い勝手のよい加熱調理器を提供できるに至った。
【0017】
本発明の第3特徴構成は、第1特徴構成又は第2特徴構成に加えて、前記指令手段が、前記目標燃焼状態の切換指令を指令するための手動操作式の指令操作具と、その指令操作具により切換指令が指令されるごとに前記複数の燃焼状態のうちの一つを予め設定された選択順序に沿って前記目標燃焼状態として選択して指令する指令処理手段とを備えて構成され、前記複数の燃焼状態のうちで前記目標燃焼状態として選択された燃焼状態がいずれであるかを表示する表示手段が設けられている点にある。
【0018】
第3特徴構成によれば、前記指令手段は、手動操作式の指令操作具により切換指令が指令されるごとに複数の燃焼状態のうちの一つを予め設定された選択順序に沿って目標燃焼状態として選択して指令することになる。又、表示手段にて複数の燃焼状態のうちで目標燃焼状態として選択された燃焼状態がいずれであるかを表示するようにしたので、使用者は、現在はどの燃焼状態が目標燃焼状態として選択されているのかを認識することができ、指令操作具を操作して指令するにあたり、希望する燃焼状態を的確に且つ容易に選択して指令することが可能となる。
【0019】
ところで、複数の燃焼状態のうちの一つを目標燃焼状態として選択して指令するにあたり、手動操作式の指令操作具を複数の燃焼状態に対応させて複数設ける構成とすることも考えられるが、このように構成すると部品点数が多くなり構成が複雑でコスト高になる不利があるが、上記構成では、1つの指令操作具にて目標燃焼状態を指令することができるので構成を簡素化することが可能となる。
【0020】
従って、第3特徴構成によれば、希望する燃焼状態を的確に且つ容易に選択して指令することが可能なものでありながら、一つの指令操作具にて選択的に指令することができ、複数の指令操作具を備えるものに比べて構成を簡素化することが可能となる加熱調理器を提供できるに至った。
【0021】
本発明の第4特徴構成は、第3特徴構成に加えて、前記表示手段が、前記指令手段にて目標燃焼状態が指令されたのち前記設定待機時間が経過するまでであるか、前記設定待機時間が経過したのちであるかを示す経過情報を表示するように構成されている点にある。
【0022】
第4特徴構成によれば、前記表示手段が前記経過情報を表示するように構成されているので、使用者は、その表示手段に表示される前記経過情報を目視することで、前記指令手段にて目標燃焼状態が指令されたのち前記設定待機時間が経過するまでの状態であるのか設定待機時間が経過したのちであるのかを認識することができるので、使用者は希望する燃焼状態になるように指令することを行い易いものにできる。
【0023】
従って、第4特徴構成によれば、使用者が希望する燃焼状態になるように指令することを行い易いものにすることが可能となる加熱調理器を提供できるに至った。
【0024】
本発明の第5特徴構成は、第1特徴構成〜第4特徴構成のいずれかに加えて、前記燃焼状態切換手段が、前記複数の燃焼状態に対応する複数の操作位置の夫々に移動操作自在な移動操作体と、その移動操作体を移動操作するアクチュエータとを備えて構成され、前記燃焼制御手段が、最も前記移動操作体の移動量が少ない移動操作経路又は最も前記移動操作体を移動操作するときの仕事量が少ない移動操作経路にて前記移動操作体を移動操作前の操作位置から前記目標燃焼状態に対応する操作位置に移動操作させるように、前記アクチュエータを制御するように構成されている点にある。
【0025】
第5特徴構成によれば、前記燃焼状態切換手段は、アクチュエータにより移動操作体を複数の燃焼状態に対応する複数の操作位置の夫々に移動操作することにより、加熱手段の燃焼状態を切り換えることができる。そして、燃焼制御手段は、移動操作前の操作位置から前記目標燃焼状態に対応する操作位置に移動操作させるにあたり、最も移動操作体の移動量が少ない移動操作経路又は最も移動操作体を移動操作するときの仕事量が少ない移動操作経路にて移動操作体を移動操作させるようにアクチュエータを制御するので、極力短時間で燃焼状態を切り換えることができ、又、少ない仕事量で燃焼状態を切り換えることができ、それだけアクチュエータを作動させるための電力消費量を少ないものに抑制することが可能となる。特に、この種の加熱調理器では電源として電池を用いる場合があるが、このような場合には電池の寿命を長くすることが可能となり、使い勝手がよいものとなる。
【0026】
従って、第5特徴構成によれば、電力消費量を抑制しながら加熱手段の燃焼状態の切り換えを行うことができ、使い勝手のよい加熱調理器を提供できるに至った。
【0027】
本発明の第6特徴構成は、第1特徴構成〜第5特徴構成のいずれかに加えて、前記加熱手段の燃焼の停止を指令する燃焼停止指令手段が備えられ、前記燃焼制御手段が、前記燃焼停止指令手段により前記加熱手段の燃焼の停止が指令されると、直ちに燃焼を停止するように前記燃焼状態切換手段を制御するように構成されている点にある。
【0028】
第6特徴構成によれば、前記燃焼制御手段は、燃焼停止指令手段により加熱手段の燃焼の停止が指令されると、直ちに燃焼を停止するように燃焼状態切換手段を制御するから、燃焼の停止が指令された後に燃焼が無駄に継続することがなく、無駄な燃料消費を抑制することができる。
【0029】
従って、第6特徴構成によれば、無駄な燃料消費を抑制することにより、使い勝手のよい加熱調理器を提供できるに至った。
【0030】
本発明の第7特徴構成は、第1特徴構成〜第6特徴構成のいずれかに加えて、前記加熱手段がグリル庫の上部に設けられた上部側燃焼部と前記グリル庫の下部に設けられた下部側燃焼部とからなる点にある。
【0031】
第7特徴構成は、前記加熱手段がグリル庫の上部に設けられた上部側燃焼部と前記グリル庫の下部に設けられた下部側燃焼部とからなるものであるが、このように加熱手段がグリル庫に設けられる加熱調理器では、グリル庫の内部は装置外部から目視し難いので、指令手段の操作により燃焼状態の切り換えを指令した場合に、加熱手段の燃焼状態が装置外部から確認し難いものとなる。
【0032】
このような加熱調理器にあっては、加熱手段の燃焼状態が装置外部から確認し難いので、使用者が指令手段を繰り返し指令操作するおそれが大きいものとなるが、このように指令手段を繰り返し指令操作することがあっても、上述したようにガス燃焼式の加熱手段の燃焼が不安定になることを回避させた状態で燃焼状態の切り換えを行うことが可能となることから、使用者にとって使い勝手のよいものとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
〔第1実施形態〕
以下、本発明に係る加熱調理器の第1実施形態をガスコンロに適用した実施形態について図面に基づいて説明する。
このガスコンロは、図1に示すように、コンロバーナ1と、ガス燃焼式の加熱手段の一例としてのグリルバーナ2を備えるグリル部3とからなるビルトインタイプのガスコンロにて構成され、グリル部3の燃焼排ガスを排気するためのグリル排気口4が形成され、トッププレート5にてガスコンロ上面が覆われる構成となっている。前記コンロバーナ1は、標準バーナ1aと、小バーナ1bと、高火力バーナ1cとの3つのバーナにて構成され、トッププレート5の上部に、標準バーナ1a、小バーナ1b及び高火力バーナ1cに対する被加熱物(鍋など)を受け止め支持するための五徳6が載置支持されている。
【0034】
前記グリル部3は、図3及び図4に示すように、前面部が開口した箱状に形成されたグリル庫7内に、魚などの被調理物を載置させる載置部としての焼き網8を設けて構成されている。そして、グリルバーナ2は、グリル庫7の焼き網8よりも上方側の天井に備えられる上側燃焼部としての上バーナ2aと、上バーナ2aと形態が異なりグリル庫7の下部であって且つ焼き網8よりも下方側に配置される下側燃焼部としての左右一対の下バーナ2b,2cとから構成されている。
ちなみに、図3は、グリル部3の縦断側面図を示し、図4は、グリル部3の縦断正面図を示している。
【0035】
前記上バーナ2aは、グリル庫7の天井に沿う平面状の輻射式バーナにて構成され、左右一対の下バーナ2b,2cの夫々は、グリル庫7の横側端部に配置されてグリル庫7の前後幅方向に沿う長尺状のブンゼン式バーナにて構成されている。
【0036】
前記グリル庫7の後方側には、グリルバーナ2の燃焼排ガスを機外に排気させる排気路9が上方側に延びる状態で配設され、その排気路9にてグリルバーナ2の燃焼排ガスをグリル排気口4に導くように構成されている。ちなみに、グリルバーナ2の二次空気は、グリル庫7の側面部や底面部及び前面部に設けられた空気孔37から取り入れるように構成されている。
【0037】
そして、焼き網8の下方には、魚などの被調理物からの油などを受け止める汁受皿10が設けられ、汁受皿10は、図示はしないが、グリル庫7の側壁部に設けられたガイドの案内により、焼き網8を載置した状態で、グリル庫7に対して、収納移動可能で且つ取り出し移動可能に構成されている。また、汁受皿10の前面部には、汁受皿10をグリル庫7内に収納したときにグリル庫7の前面部を閉塞する把手付きの扉部11が設けられ、使用者は、扉部11を開閉させることにより、汁受皿10と焼き網8を一体的に、グリル庫7に対して収納移動並びに取り出し移動可能に構成されている。
【0038】
また、図1に示すように、ガスコンロ前側面には、コンロバーナ1とグリルバーナ2との点火および消火や火力調節と各種の設定とを指令する手動操作部Sが設けられ、図2に示すように、マイクロコンピュータを備えて各種の制御を実行するように構成された制御部Hが設けられている。そして、制御部Hは、手動操作部Sにて指令された指令情報に基づいて、コンロバーナ1及びグリルバーナ2の燃焼状態等を制御するように構成されている。また、ガスコンロ前側面には、自動復帰型の押し操作式の電源スイッチ25が設けられている。
【0039】
前記手動操作部Sは、図1に示すように、コンロバーナ1、つまり、標準バーナ1a、小バーナ1b及び高火力バーナ1cの夫々に対して各別に点火・消火や火力調節を指令するための3つの加熱状態調節部12、グリルバーナ2の作動状態の切り換えを指令するグリル用の設定入力パネル13、及び、調理の設定を指令する設定入力操作部14を備えて構成されている。
【0040】
前記グリル用の設定入力パネル13の構成について説明する。つまり、図5に示すように、押し操作式のスイッチにて構成されて押し操作される毎にグリルバーナ2の点火及び消火を指令する燃焼停止状態指令手段としての点消火スイッチ15、グリルバーナ2が燃焼すると点灯し消火すると消灯する燃焼ランプ16、消火タイマーの時間を増減設定するためのタイマー設定スイッチ17、設定されるタイマー時間を表示するタイマー表示部18、上バーナ2aと下バーナ2b,2cの加熱量を切り替えるための切換指令を指令する押し操作式の手動操作具としての火力切替スイッチ19、上バーナ2aと下バーナ2b,2c夫々の燃焼状態を表示する火力表示部20、調理される被加熱物についてのメニューの違いに応じて燃焼状態を切り替えるメニュー切替スイッチ21、焼き加減を調整する焼き加減調整スイッチ22、自動調理運転を取り消す為のとりけしスイッチ23等が設けられている。
【0041】
前記火力表示部20は、上バーナ2aが弱火力であることを示す上火用の弱表示部20a、上バーナ2aが強火力であることを示す上火用の強表示部20b、下バーナが弱火力であることを示す下火用の弱表示部20c、下バーナが強火力であることを示す下火用の強表示部20dを備えており、上火用の弱表示部20a及び下火用の弱表示部は20cは、夫々1個の表示ランプにて構成され、上火用の強表示部20b及び下火用の強表示部20dは夫々2個の表示ランプにて構成される。
【0042】
図2に示すように、前記標準バーナ1a、小バーナ1b及び高火力バーナ1cの夫々には、点火作動を実行する点火装置としての点火プラグ26及び着火状態を検出するための熱電対27が設けられ、図2〜図4に示すように、グリルバーナ2における上バーナ2a及び左右一対の下バーナ2b,2cの夫々には、点火作動を実行する点火装置としての点火プラグ26及び着火状態を検出するための熱電対27が設けられている。
【0043】
左右一対の下バーナ2b,2cに対する点火プラグ26と熱電対27とは、図3に示すように、下バーナ2b,2cの後端位置に対応する箇所に配設され、点火プラグ26は、箱状の点火ボックス38内に配設されている。また、左右一対の下バーナ2b,2cに対する点火プラグ26と熱電対27との配設箇所よりも後方側には、上温度センサ39と下温度センサ40とが設けられている。
【0044】
そして、このガスコンロでは、グリルバーナ2の燃焼状態を互いに異なる複数の燃焼状態に切り換え自在な燃焼状態切換手段NKと、複数の燃焼状態のうちのいずれかの燃焼状態を目標燃焼状態として指令する手動操作式の指令手段SRと、その指令手段SRの指令に基づいて指令される目標燃焼状態に切り換えるように前記燃焼状態切換手段NKを制御する燃焼制御手段101とが備えられている。
【0045】
先ず、前記コンロバーナ1及び前記グリルバーナ2へのガス供給構成について説明する。図2に示すように、元ガス供給路29には元ガス電磁弁30が設けられ、この元ガス供給路29から、標準バーナ用分岐路29a、小バーナ用分岐路29b、高火力バーナ用分岐路29c、グリル上バーナ用分岐路29d、グリル下バーナ用分岐路29eの5系統に分岐されている。そして、それら5系統の各分岐路29a〜29eの夫々には、ガス量を調整して各バーナの加熱量を調整する流量制御弁35と、その開度位置を検出する位置センサ36とが設けられている。尚、流量制御弁35は、調整流量を零にする遮蔽状態にも切り換え可能に構成されている。又、グリル上バーナ用分岐路29d及びグリル下バーナ用分岐路29eよりも上流側には、供給されるガス圧を設定値に調整するガスガバナGが備えられ、元ガス供給路29からの供給ガス圧が変動することがあっても、グリルバーナ2に供給するガス量を設定値に調整できるようになっている。
【0046】
前記5個の流量制御弁35のうち、グリル上バーナ用分岐路29d及びグリル下バーナ用分岐路29eに備えられる上バーナ用流量制御弁35gと下バーナ用流量制御弁35gの構成について説明する。
【0047】
それら2個のグリル用の流量制御弁35gは夫々同じ構成となっており、図7に示すように、アクチュエータACとしてのステッピングモータ41と、このステッピングモータ41の回転操作をスライド移動操作に変更させるネジ送り式の移動操作機構42と、ガス通過用の挿通孔43が形成された移動操作体Dの一例としてのスライド閉子44と、大小2個のガス通過用の調整孔45を形成した流量調整板46等を備えて構成され、前記スライド閉子44と流量調整板46とによってガス量を変更可能な流量調整部47が構成されている。そして、ガス流路を遮蔽する状態でスライド閉子44と流量調整板46とがバネ48によって圧接される状態で相対的にスライド自在に設けられ、ステッピングモータ41を駆動することでスライド閉子44をスライド移動させて、ガス流量大(火力強)の状態とガス流量小(火力弱)の状態との強弱の2段階に変更調整自在であり、又、スライド閉子44は遮蔽位置にも切り換え自在に構成されている(図8参照)。尚、前記スライド閉子44のスライド移動量はスライド移動検出センサ49によって検出される構成となっている。
【0048】
そして、図8(イ)〜(ホ)に示すように、2個のグリル用の流量制御弁35gを各別に操作することで、上バーナ2a及び下バーナ2b,2cの火力を、複数の燃焼状態として、「上火:強/下火:強」、「上火:強/下火:弱」、「上火:弱/下火:強」、「上火:弱/下火:弱」、「上火:遮断/下火:遮断」の夫々に切り換え自在に構成されている。従って、2個のグリル用の流量制御弁35gにより、上バーナ2a及び下バーナ2b,2cの燃焼状態を互いに異なる複数の燃焼状態に切り換え自在な燃焼状態切換手段NKが構成される。
【0049】
上バーナ2a及び下バーナ2b,2cの火力の切替は、前記火力切替スイッチ19の操作に基づいて、制御部Hが2個のグリル用の流量制御弁35gを制御することにより行われる構成となっている。つまり、制御部Hは、電源スイッチ25がオン操作されて運転が開始されると、上バーナ2a及び下バーナ2b,2cの火力として「上火:強/下火:強」を初期設定するように構成され、火力切替スイッチ19が押し操作される毎に、制御部Hが、「上火:強/下火:弱」、「上火:弱/下火:強」、「上火:弱/下火:弱」の順で切り換わるように目標燃焼状態として指令するようになっており、且つ、指令される燃焼状態になるように2個のグリル用の流量制御弁35gを制御するように構成されている。
【0050】
従って、制御部Hを利用して、指令操作具としての火力切替スイッチ19が操作されて切換指令が指令されるごとに複数の燃焼状態のうちの一つを予め設定された選択順序に沿って目標燃焼状態として選択して指令する指令処理手段100が構成され、又、制御部Hを利用して、指令される目標燃焼状態に切り換えるように燃焼状態切換手段NKとしての2個のグリル用の流量制御弁35gを制御する燃焼制御手段101が構成されている。そして、火力切替スイッチ19と制御部Hにて構成される指令処理手段100とにより、複数の燃焼状態のうちのいずれかの燃焼状態を目標燃焼状態として指令する手動操作式の指令手段SRが構成されている。
【0051】
そして、前記燃焼制御手段101は、指令手段SRにより目標燃焼状態が指令されたときには、その後において新たに前記目標燃焼状態が指令されることなく、前記目標燃焼状態の指令がされてからの経過時間が設定待機時間を経過すると、指令された前記目標燃焼状態に切り換えるべく2個のグリル用の流量制御弁35gを制御するように構成されている。さらに、指令手段SRにて前記目標燃焼状態が指令されたのち、前記設定待機時間を経過するまでに新たに前記目標燃焼状態が指令されたときには、その新たな指令を前記指令手段SRにて前記目標燃焼状態が指令されたときとして、その後において新たに前記目標燃焼状態が指令されることなく、前記目標燃焼状態の指令がされてからの経過時間が設定待機時間を経過すると、指令された前記目標燃焼状態に切り換えるべく2個のグリル用の流量制御弁35gを制御するように構成されている。又、制御部Hは、燃焼停止指令手段としての点消火スイッチ15によりグリルバーナ2の燃焼の停止が指令されると、直ちに燃焼を停止するように2個のグリル用の流量制御弁35gを制御するように構成されている。
【0052】
そして、前記複数の燃焼状態のうちで前記目標燃焼状態として選択された燃焼状態がいずれであるかを表示する表示手段102が設けられ、この表示手段102が、前記指令手段SRにて目標燃焼状態が指令されたのち前記設定待機時間が経過するまでであるか、前記設定待機時間が経過したのちであるかを示す経過情報を表示するように構成されている。
【0053】
説明を加えると、前記火力表示部20が複数の燃焼状態のうちで目標燃焼状態として選択された燃焼状態がいずれであるかを表示することが可能なように構成され、制御部Hは、前記指令手段SRの指令情報に基づいて、前記指令手段SRにて目標燃焼状態が指令されたのち前記設定待機時間が経過するまでであるか、前記設定待機時間が経過したのちであるかを示す経過情報を表示させるように火力表示部20の表示状態を制御するように構成されている。従って、前記火力表示部20と制御部Hの表示用制御処理構成により、前記表示手段102が構成されている。
【0054】
尚、詳述はしないが、前記標準バーナ1a、小バーナ1b及び高火力バーナ1cの夫々に対する流量制御弁35は、調整孔の個数を多くさせて火力を5段階以上に切り換え可能に構成されており、前記制御部Hは、加熱状態調節部12による指令に基づいてコンロバーナ1の燃焼状態を制御するように構成されている。
【0055】
以下、前記制御部Hによるグリル用の設定入力パネル13の指令に基づくグリルバーナ2の燃焼制御動作について、フローチャートに基づいて説明する。
図9及び図10に示すように、前記制御部Hは、電源スイッチ25がオン操作された後にグリル用の設定入力パネル13における点消火スイッチ15がオン操作されて点火が指令されると(ステップ1)、グリルバーナ2に対する点火処理を実行する(ステップ2)。具体的には、点火プラグ26による点火動作を開始させた後に、元ガス電磁弁30を開弁させ且つ各グリル用の流量制御弁35gを夫々流量大側に切り換えてグリルバーナ2に着火させ、熱電対27により着火が確認されると点火プラグ26の点火動作を停止して燃焼ランプ16を点灯させる。
このように運転開始時には、グリルバーナ2の火力は、上バーナ2a及び下バーナ2b,2cの加熱量が共に強火力になるように前記グリル用の流量制御弁35gが夫々操作されて初期設定されることになる。
【0056】
前記点火処理において処理を開始してから設定時間経過しても上バーナ2a及び下バーナ2b,2cに対応して設けられた熱電対27により着火が確認されなければ、不着火エラーとして報知処理し且つ元ガス電磁弁30及び各グリル用の流量制御弁35を閉弁して上バーナ2a及び下バーナ2b,2cの夫々について消火処理する(ステップ3,4,5)。このときの報知処理としては、タイマー表示部18に「11」を5回だけ点滅表示させ、且つ、ブザーBZを1秒間ずつ間欠的に3回だけ鳴動させる。この報知処理により使用者は不着火エラーであると認識することができる。
【0057】
前記熱電対27により上バーナ2a及び下バーナ2b,2cの夫々に着火したことが確認されると、消火タイマーの動作を開始する(ステップ6)。この消火タイマーとしては予め標準的な調理時間として8分が初期設定されており、タイマー表示部18にその設定時間「08」が表示される。又、火力表示部20には、火力の初期設定状態である「上火:強/下火:強」に設定されていることが表示される。すなわち、上火用の強表示部20b及び下火用の強表示部20dが点灯状態となる。
【0058】
次に、火力切替スイッチ19が操作されてグリルバーナ2の火力切替が指令されると、そのときに設定されている状態から1段階変化させた切替火力を目標燃焼状態として仮決定することになる(ステップ7,8)。説明を加えると、上述したように使用開始時には、「上火:強/下火:強」が初期設定されているが、その状態から火力切替スイッチ19が1回操作されると、図6に示すように、「上火:強/下火:弱」が設定される。さらに火力切替スイッチ19が操作されると、操作される毎に順次、「上火:弱/下火:強」、「上火:弱/下火:弱」が設定され、さらに操作すると元に戻り、「上火:強/下火:強」が設定されることになる。
但し、このときは、指令された切替火力を目標燃焼状態として仮決定するだけで実際の流量制御弁35gの切り換え操作は行わない。
【0059】
又、1段階変化させた切替火力を目標燃焼状態として仮決定したときは、その仮決定した切替火力に対応する表示状態で火力表示部20にて点滅表示する(ステップ9)。例えば、「上火:強/下火:弱」が仮決定されたときは、上火用の強表示部20b及び下火用の弱表示部20cが夫々点滅表示し、「上火:弱/下火:弱」が仮決定されたときは、上火用の弱表示部20a及び下火用の弱表示部20cが夫々点滅表示することになる。このときの表示状態が、前記指令手段SRにて目標燃焼状態が指令されたのち前記設定待機時間が経過するまでの経過情報を表示する状態に対応する。
【0060】
前記火力切替スイッチ19が操作されてから設定待機時間(例えば、約1秒間)経過するまでの間に再度、火力切替スイッチ19が操作されると、そのときに設定されている切替火力からさらに1段階変化させた切替火力を新たな目標燃焼状態として仮決定するとともに、その仮決定した切替火力に対応する表示状態で火力表示部20にて点滅表示することになる(ステップ10,11,8,9)。又、このように火力切替スイッチ19が操作されてから設定待機時間経過するまでの間に火力切替スイッチ19が操作されることが繰り返し行われると、スイッチ操作が行われる毎に上述した如く順次、切替火力が変更され、変更された切替火力を新たな目標燃焼状態として仮決定し且つ火力表示部20にて点滅表示することになる。
【0061】
前記火力切替スイッチ19が操作されない状態が設定待機時間以上継続すると、そのときに仮決定されている目標燃焼状態である切替火力を実行すべき切替火力として確定して、その切替火力になるように前記グリル用の流量制御弁35gを制御して火力調整操作を実行する(ステップ12)。又、実行すべき切替火力が確定したときは、その確定した切替火力に対応する表示状態にて火力表示部20における対応するものを点灯表示する(ステップ13)。例えば、実行すべき切替火力として「上火:弱/下火:弱」が確定したときは、上火用の弱表示部20a及び下火用の弱表示部20cを夫々点灯表示することになる。この点灯表示状態が、前記設定待機時間が経過したのちであることを示す経過情報を表示する状態に対応する。
【0062】
このように火力切替スイッチ19の操作に基づいて使用者が希望する燃焼状態に切り換えられると、その燃焼状態での加熱調理が行われるが、その加熱調理の途中で、タイマー時間の変更指令があればその指令された内容に従ってタイマー時間を変更設定し併せてタイマー表示部18の表示状態を変更する(ステップ14,15)。
【0063】
そして、加熱調理の途中で、前記熱電対27の出力が設定値よりも低下して上バーナ2a又は下バーナ2b,2cが断火したことを検知すると、断火エラーとして報知処理し且つ上述したような消火処理を実行する(ステップ16,17,18)。このときの報知処理としては、タイマー表示部18に「12」を5回だけ点滅表示させ、且つ、ブザーBZを1秒間ずつ間欠的に3回だけ鳴動させる。この報知処理により使用者は断火エラーであると認識することができる。
【0064】
又、前記各温度センサ39、40の検出情報に基づいて、グリル庫7内の温度や排ガス温度が予め設定されている高温を超えて異常高温になっているか否かを判別し、異常高温状態であると判別すると、異常高温エラーとして報知処理し且つ消火処理する(ステップ19,20,18)。このときの報知処理としては、タイマー表示部18に「02」を10回だけ点滅表示させ、且つ、ブザーBZを3秒間鳴動させる。この報知処理により使用者は異常高温状態であると認識することができる。
【0065】
そして、設定されているタイマー時間が経過してタイマーがカウントアップすると、タイマーアップ状態として報知処理し且つ消火処理する(ステップ21,22,18)。このときの報知処理としては、タイマー表示部18に「00」を5回だけ点滅表示させ、且つ、ブザーBZを1秒間ずつ間欠的に3回だけ鳴動させる。この報知処理により使用者はタイマー運転が終了したことを認識することができる。又、タイマーがカウントアップするまでに、点消火スイッチ15がオン操作されて燃焼停止が指令されると、この場合には、時間遅れの無い状態で直ちに2個のグリル用の流量制御弁35gを制御することにより、グリルバーナ2に対する消火処理を実行する(ステップ23,18)。
【0066】
〔第2実施形態〕
以下、本発明に係る加熱調理器の第2実施形態を説明する。この第2実施形態は、前記燃焼状態切換手段NKの構成及び前記制御部Hによる燃焼状態切換手段NKを制御するための制御構成が異なる他は第1実施形態の構成と同じであるから、異なる構成についてのみ説明し、同じ構成については説明は省略する。
【0067】
図11及び図12に示すように、前記燃焼状態切換手段NKが、アクチュエータACとしてのステッピングモータ41と、このステッピングモータ41の回転操作をスライド移動操作に変更させるネジ送り式の移動操作機構42と、ガス通過用の挿通孔43が形成された移動操作体Dとしてのスライド閉子44aと、ガス通過用の調整孔45を形成した流量調整板46a,46b等を備えて構成される点では、上記第1実施形態と同じであるが、この第2実施形態では、前記スライド閉子44aが、上バーナ用の流量調整板46aと下バーナ用の流量調整板46bとの夫々に対して一体的に作用する1個のもので構成され、このスライド閉子44aを移動操作させるための、ステッピングモータ41及びネジ送り式の移動操作機構42も夫々1個のもので構成されている。
【0068】
そして、上バーナ用の流量調整板46a及び下バーナ用の流量調整板46bには、夫々、4つの燃焼状態に対応する4つのガス通過用の調整孔45がスライド閉子44aのスライド方向に沿って並ぶ状態で形成され、スライド閉子44aに形成された上バーナガス通過用の挿通孔43aと下バーナガス通過用の挿通孔43aとを夫々、上バーナ用の流量調整板46a及び下バーナ用の流量調整板46bに対応する状態で位置させて、スライド閉子44aをスライド操作させて、前記4つの燃焼状態に切り換えることができるように構成されている。つまり、この実施形態では、アクチュエータACとしての1つのステッピングモータ41によって上バーナ2a及び下バーナ2b,2cの燃焼状態を切り換えることができるようになっている。
【0069】
つまり、1個のスライド閉子44aを移動操作させることにより、図12(イ)〜(ホ)に示すように、上バーナ及び下バーナの火力を、複数の燃焼状態として、「上火:強/下火:強」、「上火:強/下火:弱」、「上火:弱/下火:強」、「上火:弱/下火:弱」、「上火:遮断/下火:遮断」の夫々に切り換え自在に構成されている。
【0070】
そして、前記制御部Hは、指令手段SRにて指令される目標燃焼状態に対応する操作位置に移動するように1個のスライド閉子44aを移動操作させるようにステッピングモータ41を制御するのである。
【0071】
このように構成することで、スライド閉子、ステッピングモータ、ネジ送り式の移動操作機構等を複数設ける構成に比べて構成が簡素なものとなり、ステッピングモータを駆動するための電力消費も少ないものに抑制できる。
【0072】
〔第3実施形態〕
以下、本発明に係る加熱調理器の第3実施形態を説明する。この第3実施形態は、前記燃焼状態切換手段NKの構成及び前記制御部Hによる燃焼状態切換手段NKを制御するための制御構成が異なる他は第1実施形態の構成と同じであるから、異なる構成についてのみ説明し、同じ構成については説明は省略する。
【0073】
この実施形態では、前記燃焼状態切換手段NKとして、図13及び図14に示すように、固定状態の外筒50と、その外筒50に相対回動自在に内嵌される移動操作体Dとしての内筒51と、この内筒51を正逆方向に回動自在なアクチュエータACとしての電動モータ52とを備えたロータリー式の流量調整弁53を用いる構成となっている。
【0074】
説明を加えると、この流量調整弁53は、前記外筒50に、その軸芯方向に並ぶ状態で上バーナ及び下バーナ用の一対の大径のガス通過用の挿通孔54が形成され、前記内筒51に、ガス通過用の調整孔55が形成され、その内筒51を回動させることにより、複数の燃焼状態として、「上火:強/下火:強」、「上火:強/下火:弱」、「上火:弱/下火:強」、「上火:弱/下火:弱」の夫々に切り換え自在に構成されるものである。
【0075】
すなわち、前記内筒51には、図14に示すように、外筒50の上バーナ用のガス通過用の挿通孔54に対応する軸芯方向の位置であって周方向に互いに90度ずつ位置を異ならせた位置に、調整孔55として、大径孔55a、大径孔55b、小径孔55c、小径孔55dを時計周りにその順序で形成し、外筒51の下バーナ用のガス通過用の挿通孔54に対応する軸芯方向の位置であって周方向に互いに90度ずつ位置を異ならせた位置に、調整孔55として、大径孔55e、小径孔55f、大径孔55g、小径孔55hを時計周りでその順序で形成してあり、図15に示すように、「上火:強/下火:強」となる基準の位置を0度として、内筒51の回動角度を正転方向に、0度、90度、180度、270度を順に切り換えることで、順に「上火:強/下火:強」、「上火:強/下火:弱」、「上火:弱/下火:強」、「上火:弱/下火:弱」の夫々に切り換わる構成となっている。
【0076】
そして、この実施形態において、前記燃焼制御手段101を構成する制御部Hは、最も内筒51の移動量が少ない移動操作経路又は最も内筒51を移動操作するときの仕事量が少ない移動操作経路にて内筒51を移動操作前の操作位置から前記目標燃焼状態に対応する操作位置に移動操作させるように、前記電動モータ52を制御するように構成されている。尚、内筒51の操作位置は図示しない位置センサにより検出するようにしている。
【0077】
つまり、移動操作前の燃焼状態が「上火:強/下火:強」であり、目標燃焼状態が「上火:弱/下火:弱」である場合、電動モータ52を正転方向に回動させて、0度から90度、180度、270度に順に切り換えるのではなく、電動モータ52を逆転方向に回動させて「上火:弱/下火:弱」に切り換えるのである。このとき電動モータ52にて内筒51を操作させる角度は90度になる。この移動操作経路が最も内筒51の移動量が少ない移動操作経路に対応する。
【0078】
又、移動操作前が「上火:強/下火:弱」であり、目標燃焼状態が「上火:弱/下火:弱」である場合には、正転方向に回動させても逆転方向に回動させてもいずれの場合も、内筒51を180度回動させる必要があるが、逆転方向に回動させて「上火:強/下火:強」の状態を通過させる方が、正転方向に回動させて「上火:弱/下火:強」の状態を通過する場合に比べて、外筒50と内筒51の摺動面積が少ないものとなり、内筒51を回動させるときの仕事量が少ないものになる。つまり、このときは逆転方向への移動が最も内筒51を移動操作するときの仕事量が少ない移動操作経路となる。一方、移動操作前が「上火:弱/下火:弱」であり、目標燃焼状態が「上火:強/下火:弱」である場合には、正転方向への移動が最も内筒51を移動操作するときの仕事量が少ない移動操作経路となる。
【0079】
〔別実施形態〕
以下、別実施形態を列記する。
【0080】
(1)上記実施形態では、前記指令手段が、前記手動操作式の指令操作具と、その指令操作具により切換指令が指令されるごとに複数の燃焼状態のうちの一つを予め設定された選択順序に沿って目標燃焼状態として選択して指令する指令処理手段とを備えて構成されるものを例示したが、このような構成に代えて、手動操作式の指令操作具を複数の燃焼状態に対応させて複数設ける構成として、操作された指令操作具に対応する燃焼状態を目標燃焼状態として選択して指令する構成としてもよい。
【0081】
(2)上記実施形態では、前記燃焼状態切換手段が、前記複数の燃焼状態に対応する複数の操作位置の夫々に移動操作自在な移動操作体と、その移動操作体を移動操作するアクチュエータとを備えて構成されるものを例示したが、このような構成に代えて、複数の燃焼状態に対応させて複数のガス供給路を開閉自在な電磁弁を備えて、指令手段による切換指令に対応していずれかの電磁弁を切り換え操作する構成としてもよい。
【0082】
(3)上記実施形態では、前記指令手段にて前記目標燃焼状態が指令されたのち、前記設定待機時間を経過するまでに新たに前記目標燃焼状態が指令されたときには、その新たな指令を前記指令手段にて前記目標燃焼状態が指令されたときとして、その後において新たに前記目標燃焼状態が指令されることなく、前記目標燃焼状態の指令がされてからの経過時間が設定待機時間を経過すると、指令された前記目標燃焼状態に切り換えるべく前記燃焼状態切換手段を制御するように構成されるものを例示したが、このような構成に代えて、次のように構成してもよい。
【0083】
すなわち、前記指令手段にて一旦、前記目標燃焼状態が指令されると、前記設定待機時間を経過するまでは、新たに前記目標燃焼状態が指令されてもそれを受け付けず、前記設定待機時間を経過したのちに、最初に指令された目標燃焼状態になるように燃焼状態切換手段を制御する構成としてもよい。
【0084】
(4)上記実施形態では、前記加熱手段の燃焼の停止を指令する燃焼停止指令手段が、前記指令手段とは別に備えられる構成としたが、このような構成に代えて、前記指令手段にて前記加熱手段の燃焼の停止を指令することができるようにして、前記指令手段が前記燃焼停止指令手段を兼用する構成としてもよい。
【0085】
(5)上記実施形態では、前記加熱手段として、グリル庫の上部に設けられた上部側燃焼部としての上バーナ及びグリル庫の下部に設けられた下部側燃焼部としての下バーナを例示したが、本発明はこのような構成に限らず、前記加熱手段としてコンロバーナに適用する構成としてもよく、又、本発明は、ガスコンロに限らず、ガスオーブン等の種々の加熱調理器に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】加熱調理器の斜視図
【図2】加熱調理器の概略構成を示すブロック図
【図3】グリル部の縦断側面図
【図4】グリル部の縦断正面図
【図5】グリル用の設定入力パネルの正面図
【図6】火力の切り換え状態を示す図
【図7】流量制御弁の構成を示す断面図
【図8】流量制御弁の切換状態を示す平面図
【図9】制御動作のフローチャート
【図10】制御動作のフローチャート
【図11】別実施形態の流量制御弁の構成を示す断面図
【図12】別実施形態の流量制御弁の切換状態を示す平面図
【図13】別実施形態の流量制御弁の構成を示す断面図
【図14】別実施形態の流量制御弁の構成を示す分解斜視図
【図15】別実施形態の流量制御弁の切換状態を示す図
【符号の説明】
【0087】
2 加熱手段
2a 上部側燃焼部
2b,2c 下部側燃焼部
7 グリル庫
15 燃焼停止指令手段
19 指令操作具
100 指令処理手段
101 燃焼制御手段
102 表示手段
D 移動操作体
NK 燃焼状態切換手段
SR 指令手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被加熱物を加熱するガス燃焼式の加熱手段と、前記加熱手段の燃焼状態を互いに異なる複数の燃焼状態に切り換え自在な燃焼状態切換手段と、前記複数の燃焼状態のうちのいずれかの燃焼状態を目標燃焼状態として指令する手動操作式の指令手段と、その指令手段の指令に基づいて指令される目標燃焼状態に切り換えるように前記燃焼状態切換手段を制御する燃焼制御手段とが備えられている加熱調理器であって、
前記燃焼制御手段が、
前記指令手段により前記目標燃焼状態が指令されたときには、その後において新たに前記目標燃焼状態が指令されることなく、前記目標燃焼状態の指令がされてからの経過時間が設定待機時間を経過すると、指令された前記目標燃焼状態に切り換えるべく前記燃焼状態切換手段を制御するように構成されている加熱調理器。
【請求項2】
前記燃焼制御手段が、
前記指令手段にて前記目標燃焼状態が指令されたのち、前記設定待機時間を経過するまでに新たに前記目標燃焼状態が指令されたときには、その新たな指令を前記指令手段にて前記目標燃焼状態が指令されたときとして、その後において新たに前記目標燃焼状態が指令されることなく、前記目標燃焼状態の指令がされてからの経過時間が設定待機時間を経過すると、指令された前記目標燃焼状態に切り換えるべく前記燃焼状態切換手段を制御するように構成されている請求項1記載の加熱調理器。
【請求項3】
前記指令手段が、
前記目標燃焼状態の切換指令を指令するための手動操作式の指令操作具と、その指令操作具により切換指令が指令されるごとに前記複数の燃焼状態のうちの一つを予め設定された選択順序に沿って前記目標燃焼状態として選択して指令する指令処理手段とを備えて構成され、
前記複数の燃焼状態のうちで前記目標燃焼状態として選択された燃焼状態がいずれであるかを表示する表示手段が設けられている請求項1又は2記載の加熱調理器。
【請求項4】
前記表示手段が、前記指令手段にて目標燃焼状態が指令されたのち前記設定待機時間が経過するまでであるか、前記設定待機時間が経過したのちであるかを示す経過情報を表示するように構成されている請求項3記載の加熱調理器。
【請求項5】
前記燃焼状態切換手段が、前記複数の燃焼状態に対応する複数の操作位置の夫々に移動操作自在な移動操作体と、その移動操作体を移動操作するアクチュエータとを備えて構成され、
前記燃焼制御手段が、最も前記移動操作体の移動量が少ない移動操作経路又は最も前記移動操作体を移動操作するときの仕事量が少ない移動操作経路にて前記移動操作体を移動操作前の操作位置から前記目標燃焼状態に対応する操作位置に移動操作させるように、前記アクチュエータを制御するように構成されている請求項1〜4のいずれか1項に記載の加熱調理器。
【請求項6】
前記加熱手段の燃焼の停止を指令する燃焼停止指令手段が備えられ、
前記燃焼制御手段が、前記燃焼停止指令手段により前記加熱手段の燃焼の停止が指令されると、直ちに燃焼を停止するように前記燃焼状態切換手段を制御するように構成されている請求項1〜5のいずれか1項に記載の加熱調理器。
【請求項7】
前記加熱手段がグリル庫の上部に設けられた上部側燃焼部と前記グリル庫の下部に設けられた下部側燃焼部とからなる請求項1〜6のいずれか1項に記載の加熱調理器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2009−2632(P2009−2632A)
【公開日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−166408(P2007−166408)
【出願日】平成19年6月25日(2007.6.25)
【出願人】(301066992)株式会社ハーマンプロ (145)
【Fターム(参考)】