説明

加熱調理器

【課題】電波漏洩を抑制するチョークキャビティの組立て精度を向上でき、かつ錆びにくく構成できる加熱調理器を提供する。
【解決手段】ヒータ取付け孔周縁の凹部25a外側に当接する基板部とこの基板部と一体に形成されヒータ取付け孔の凹部25a外側に位置するアルゴンランプヒータ12aが挿入されたチョークパイプと、基板部を凹部25a側壁に圧着固定するチョークパイプ押え部と、凹部25a外側にチョークパイプを覆うように取り付けられた金属カバーとを有し、チョークキャビティは、金属カバーとチョークパイプとチョークパイプ押え部とにより形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばオーブン電子レンジのように、高周波電波を加熱室に供給して食品を誘電加熱するとともに、アルゴンランプヒータ等発熱線(フィラメント)を備えた管状のヒータにより食品を加熱する加熱調理器とこの加熱調理器の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の加熱調理器は、マグネトロンのような高周波電波発生装置から供給される高周波電波で被誘電物である食品を誘電加熱するとともに、必要に応じて管状ヒータで輻射加熱するものであった。この管状ヒータとしては、耐熱性のあるガラス管内にコイル状フィラメントが配設されたセラミック系ヒータ(ミラクロンヒータ)や、直線状発熱線が配設されたアルゴンランプヒータなどが用いられている。
【0003】
また、加熱調理器本体内に、被加熱物(食品)を加熱料理する加熱室を設け、この加熱室内天面壁または側面壁を貫通して管状ヒータを設けた場合、この管状ヒータから、加熱室外へ高周波電波が漏洩する恐れがあるため、管状のヒータ端部のコネクタ部周囲にチョークキャビティを設け、電波漏洩を抑制しているものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
図7は、従来の加熱調理器を示す要部断面図である。これは、管状ヒータが加熱室壁を貫通し加熱室外方へ突出する部分にチョークパイプを設け、このパイプの長さを調節して、減衰効果を得ているものである。
【0005】
また、管状ヒータとしてガラス管内にコイル状発熱線が配設されたミラクロンヒータを用いる場合は、加熱室壁を貫通する部分のミラクロンヒータの発熱線をコイル状部分となるように配置することにより、高周波電波の漏洩防止のためチョークキャビティを不必要にできる(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開昭55−4830号公報
【特許文献2】特開平2−17333号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前記従来の構成では、管状ヒータとして、直線状フィラメントが配設されたアルゴンランプヒータを用いる場合がある。これは、ミラクロンヒータが被加熱物に比較的吸収されにくい遠赤外線を放射するのに対し、アルゴンランプヒータは、被加熱物に比較的吸収され易い近赤外線を放射するからである。アルゴンランプヒータを用いる場合は、電波漏洩を抑制するチョークキャビティを加熱室壁貫通部に、設けなければならない。
【0007】
チョークキャビティを設けるためには、例えば特許文献1に記載のように、加熱室壁の外面に、基板と一体に設けたチョークパイプを取り付ける。ここで、チョークパイプと基板とを一体に形成するため、メッキ鋼板を絞り加工により成型する際、メッキ鋼板を伸張する方向に強い力を加えると、メッキ鋼板のメッキが剥げることがあり、メッキが剥げると、この部分から錆び易くなるという課題を有していた。
【0008】
本発明は前記従来の課題を解決するもので、電波漏洩を抑制するチョークキャビティの組立て精度を向上できる加熱調理器を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記従来の課題を解決するために、本発明の加熱調理器は、被加熱物を収納する加熱室と、前記加熱室に高周波電波を供給する高周波発生装置と、前記加熱室内天面に形成した凹部と、前記凹部側壁に形成されたヒータ取付け孔と、前記ヒータ取付け孔を貫通して設けた管状のヒータと、前記凹部外側でかつ前記管状のヒータの端部周囲に設けられたチョークキャビティとを備え、前記ヒータ取付け孔の前記凹部外側に位置する前記ヒータが挿入されたチョークパイプと、このチョークパイプと一体に形成され前記ヒータ取付け孔周縁の前記凹部外側に固定される基板部と、前記基板部を前記凹部側壁に押圧するチョークパイプ押え部と、前記凹部外側に前記チョークパイプを覆うように取り付けられた金属カバーとを有し、前記チョークキャビティは、前記金属カバーと前記チョークパイプと前記チョーク押え部とにより形成されたものである。
【0010】
これによって、チョークキャビティを精度よく組立てることができるとともに、管状のヒータを通す孔の中心線を一致させた精度良い位置決めをして取付けることができ、生産性が向上し、かつ電波漏れを低減することができることとなる。
【発明の効果】
【0011】
本発明の加熱調理器は、精度良く位置決めして、チョークキャビティを取付けることができ、生産性が向上し、かつ電波漏れを低減することが可能な加熱調理器を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
第1の発明は、被加熱物を収納する加熱室と、前記加熱室に高周波電波を供給する高周波発生装置と、前記加熱室内天面に形成した凹部と、前記凹部側壁に形成されたヒータ取付け孔と、前記ヒータ取付け孔を貫通して設けた管状のヒータと、前記凹部外側でかつ前記管状のヒータの端部周囲に設けられたチョークキャビティとを備え、前記ヒータ取付け孔の前記凹部外側に位置する前記ヒータが挿入されたチョークパイプと、このチョークパイプと一体に形成され前記ヒータ取付け孔周縁の前記凹部外側に当接する基板部と、前記基板部を前記凹部側壁に圧着固定するチョークパイプ押え部と、前記凹部外側に前記チョークパイプを覆うように取り付けられた金属カバーとを有し、前記チョークキャビティは、前記金属カバーと前記チョークパイプと前記チョークパイプ押え部とにより形成することにより、チョークキャビティを精度よく組立てることができるとともに、管状のヒータを通す孔の中心線を一致させた精度良い位置決めをして取付けることができ、生産性が向上し、かつ電波漏れを低減することができる。
【0013】
第2の発明は、管状のヒータはフィラメントが直線状のアルゴンランプヒータであり、前記フィラメントの管内位置決め手段を設けたことにより、ガラス管の透明度を失う失透現象がほとんど発生しないので、ガラス管が割れることがなく、調理性能に関する信頼性を向上することができる。
【0014】
第3の発明は、管状のヒータはフィラメントを備え、前記フィラメントの管内位置決め手段は、管状ヒータ内でかつヒータ取付け孔部分に位置していることにより、電波漏れを低減することができる。
【0015】
第4の発明は、チョークパイプのパイプ長さは高周波発生装置で発生する高周波電波波長の約4分の1としていることにより、電波漏れを低減することができる。
【0016】
第5の発明は、チョークパイプは曲げ加工で形成されたことにより、メッキ鋼板を使用した場合でもメッキを剥げにくくでき、その結果錆びにくくできる。
【0017】
第6の発明は、チョークパイプは側壁にスリットをパイプの長手方向に形成されたことにより、チョークキャビティ方向への電波の流れを整えることができ、チョークキャビティの入り口から約4分の1波長位置のチョークキャビティ奥面からの反射波と、突出孔経由の加熱室からの電波の進行波との相殺作用を促進させることができるので、電波漏れを低減できることとなる。
【0018】
以下、本発明の実施の形態の加熱調理器について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0019】
(実施の形態1)
図1は本発明の加熱調理器の管状ヒータの1つであるアルゴンランプヒータの取付け部分のチョークキャビティを示す断面図、図2は図1のチョークキャビティ構造を示す分解斜視図、図3は本発明の加熱調理器の管状ヒータの1つであるミラクロンヒータの取付け部分を示す断面図、図4は本発明の加熱調理器の加熱室の平面図、図5は本発明の加熱調理器の側面断面図、図6は本発明の加熱調理器の正面断面図である。
【0020】
同図において、加熱調理器10は、被加熱物を収納する加熱室11と、加熱室11内の上面に設けられた管状のヒータ12と、加熱室11の背面に設けられた循環ファンヒータ14と、前面の開口に下端部を回動自在に軸支された開閉扉15と、底部に設けられた高周波を発生させるマグネトロン16(高周波発生装置)と、加熱室11内に蒸気を発生させる蒸気発生手段50とを備えている。
【0021】
この加熱調理器10は、二つのアンテナ43,43を回転させる方式であり、被加熱物である食品51を置く加熱室11の底壁11aよりも下側から高周波電波を供給する高周波発生装置を有しており、高周波発生装置であるマグネトロン16を加熱室11に正面から向かって右側に設けた例である。マグネトロン16から発生した高周波電波を加熱室11内に導く導波管42と、高周波電波を加熱室11へ放射する回転アンテナ43を設けている。
【0022】
また、図4に示すように、加熱室11の背面の仕切板11cの後方には、連通路18と循環ファン13と循環ファンヒータ14を有しており、循環ファン13によって加熱室11内の空気を吸入孔18aから吸い込んで循環ファンヒータ14により加熱し、仕切板11cに設けられている排出孔18bから加熱された空気を加熱室11内に送ることができるようになっている。
【0023】
[管状のヒータ]
また、加熱室11内の天面11bには、前後方向に2つ凹部25a,25bが形成されており、前面開口側の凹部25a内にはアルゴンランプヒータ12aとミラクロンヒータ12bとが、前面扉側にミラクロンヒータ12b、背面側にアルゴンランプヒータ12aの配置順で収納されている。そして、加熱室11の背面側凹部25b内にはミラクロンヒータ12bが、1本収納されている。
【0024】
管状ヒータ12は、加熱室11内に置かれた食品51を加熱するものであり、この各管状ヒータ12と、マグネトロン16とを制御手段20で制御し、管状ヒータ12が、水蒸気に吸収されにくい波長の赤外線を輻射して、加熱室11内に存在する水蒸気を透過して食品51に当て調理を行う構成としている。
【0025】
図1に示すように、アルゴンランプヒータ12aは、管部23aの両端部を封止部19で封止することで、管部23aの内部にアルゴンガスが封入されたヒータである。アルゴンランプヒータ12aは、管部23aの両端部を封止部19で封止することで、ミラクロ
ンヒータ12bと比較して、全長が長く形成されている。
【0026】
このアルゴンランプヒータ12aは、ミラクロンヒータ12bと同様に、管部23aに結晶化ガラス管が用いられ、端子部23bの絶縁体としてヒータ碍子23cが用いられている。
【0027】
発熱線(フィラメント)23dは、管部23a内に直線状に設けられ、所定の間隔で管内に複数個配置された巻き線状のサポートリング34(管内位置決め手段)により、結晶化ガラス管から非接触に位置決めされ支持されている。
【0028】
図3に示すように、ミラクロンヒータ12bは、管部17aに結晶化ガラス管が用いられ、端子部17bの絶縁体としてヒータ碍子17cが用いられている。
【0029】
また、図3および図4に示すように、加熱調理器10は、加熱室11の上部にヒータ12(すなわち、アルゴンランプヒータ12a、ミラクロンヒータ12b)の熱を加熱室11に反射させる反射板21と、反射板21からの熱を遮断する断熱板22と、断熱板22の外側にヒータ12を支えるヒータ支持板24とを備えている。
【0030】
オーブン上板26の上平面部には、反射板21が設置されている。そして、左右の壁部21aには、アルゴンランプヒータ12a用の突出孔21bが形成されるとともに、ミラクロンヒータ12b用の突出孔21cが形成され、アルゴンランプヒータ12a、ミラクロンヒータ12bは、加熱室11の天面11bの2つ凹部25a、25b内に加熱室11の正面から見て左右方向に架設されている。
【0031】
オーブン上板26は、オーブン側壁部27の頂部に設けられている。
【0032】
アルゴンランプヒータ12aはフィラメント23dを備え、フィラメント23dのサポートリング34のうち両端に位置するサポートリング34は、アルゴンランプヒータ12a内でかつ突出孔21bに対向していることにより、電波漏れを低減することができる。
【0033】
[ヒータガード]
ヒータガード35は、加熱室11内天面11bと同一材料、耐黒変性を有する溶融アルミニウムめっき鋼板で、形成されている。すなわち、耐黒変性を有する溶融アルミニウムめっき鋼板を折り曲げ、さらに端面が見えないようにU字状に曲げている。
【0034】
ヒータガード35の加熱室11内天面11bへの固定は、ヒータガード35の両端部に形成した脚部をカシメて加熱室11内天面11bへ圧着している。
【0035】
正面から見て略U字状のヒータガード35は、ミラクロンヒータ12bの後側及びアルゴンランプヒータ12aの前後に設けられている。このヒータガード35の下端は、天面11bより上方に位置させており、調理時に食品51を出し入れする際に被加熱物をヒータガード35に当たりにくくしている。
【0036】
また、ヒータガード35の長手方向の寸法は、マグネトロン16から発生する高周波電波の周波数λとすると、n・(λ/4)(ただし、n=1,2,3・・・)、つまりヒータガード35の長手方向の寸法は、高周波電波の周波数の整数倍に設定している。例えば、高周波電波の周波数が2450MHzであれば、約31mmの整数倍に設定している。
【0037】
このようにすることにより、ヒータガード35と加熱室11内天面11bとを同一材料である耐黒変性を有する溶融アルミニウムめっき鋼板とすることにより、異種金属間で発
生する電蝕現象の発生を防止し、ヒータガード35と加熱室11内天面11bとが、錆びるのを防止できる。
【0038】
また、ヒータガード35の加熱室11内天面11bへの固定は、ヒータガード35の両端部に形成した脚部をカシメて加熱室11内天面11bへ圧着することにより、ビスナットでの固定に比べ、材料費や組立工数の低減を図ることができる。
【0039】
また、ヒータガード35の製造を、溶融アルミニウムめっき鋼板を折り曲げ、さらに端面が見えないようU字状に曲げることにより、加熱調理器10の使用者がヒータガード35端面で怪我をするのを防止し、万一端面で錆が発生した場合でも、錆が見え不衛生な印象を使用者に与えることがない。さらに、従来のパイプで形成されていた場合に比べ、強度を向上することができる。
【0040】
また、ヒータガード35の長手方向の寸法を(λ/4)の整数倍に設定することにより、アルゴンランプヒータ12aに加熱室11内の電界が集中してしまい、スパークが発生するという異常事態を防止できる。
【0041】
[チョークキャビティ]
次に、アルゴンランプヒータ12a、ミラクロンヒータ12bの取付けについて、説明する。
【0042】
加熱室11の天面11bに形成された前面開口側の凹部25aの左右側壁には突出孔21b(ヒータ取付け孔)が1対、また凹部25a、25bの左右側壁には突出孔21cが2対、それぞれ側壁を貫通しバーリング加工されて形成されている。
【0043】
また、チョークキャビティの外郭となるカバー部29(金属カバー)には、カバー部突出孔22bが設けられ、カバー部29は、凹部25aの外側から突出孔21bを覆うように、反射板21の凹部上部と加熱室11天面11bとにカシメて固定されている。
【0044】
断熱板22は、オーブン上板26の上平面部に設置されるとともに、反射板21の外側に配設され、反射板21の熱を断熱する部材である。
【0045】
そして、凹部25a内に収納されたアルゴンランプヒータ12aは、その両端の管部23aを突出孔21a、カバー部突出孔22bにそれぞれ非接触で挿入している。また、凹部25a、25b内に収納されたミラクロンヒータ12bは、それぞれその両端の管部17aを突出孔21c、断熱板突出孔22cに非接触で挿入している。
【0046】
チョークパイプ36は、1枚の鋼板を十文字状に切断しパイプ状に曲げ加工して、形成している。十文字状鋼板の4つの端部は、直角に折り曲げて、基板部36aを形成し、チョークパイプ押え部37の孔37aをチョークパイプ36が貫通した状態で、チョークパイプ押え部37にチョークパイプ36の基板部36aが、4点スポット溶接されている。
【0047】
また、十文字状鋼板を曲げ加工してパイプ状に成形すると、パイプ壁に4本のパイプ長手方向にスリット39が存在することとなる。
【0048】
チョークパイプ押え部37は、中央に孔37aが設けられ、この孔37aの周縁部はチョークパイプ36の基板部36aを収納すべく、曲げ加工により空間が形成され、基板部36aを介して、チョークパイプ36を反射板21の壁部21aに押圧している。そして、チョークパイプ押え部37は、端部を2点ずつ2ヵ所、計4点反射板21の壁部21aにカシメて圧着固定している。
【0049】
突出孔21bのバーリング加工された突出部は、チョークパイプ36内に挿入されチョークパイプ36を係止している。
【0050】
以上のように、アルゴンランプヒータ12aとカバー部29のカバー部突出孔22bとの隙間からの高周波電波漏れは、チョークパイプ36、チョークパイプ押え部37及びカバー部29により形成されたチョークキャビティ38により、チョークキャビティ38を精度よく組立てることができるとともに、管状のヒータを通す孔の中心線を一致させた精度よい位置決めをして取付けることができ、生産性が向上し、かつ電波漏れを低減することができる。
【0051】
また、フィラメント23dのサポートリング34(管内位置決め手段)を設けたことにより、ガラス管の透明度を失う失透現象がほとんど発生しないので、ガラス管が割れることがなく、調理性能に関する信頼性を向上することができる。
【0052】
また、アルゴンランプヒータ12aはフィラメント23dを備え、フィラメント23dのサポートリングは、アルゴンランプヒータ12a内でかつ突出孔21b(ヒータ取付け孔)部分に位置していることにより、電波漏れを低減することができる。
【0053】
また、チョークパイプ36のパイプ長さはマグネトロン(高周波発生装置)で発生する高周波電波波長の約4分の1としていることにより、電波漏れを低減することができる。
【0054】
また、チョークパイプ36は曲げ加工で形成されたことにより、メッキ鋼板を使用した場合でもメッキを剥げにくくでき、その結果錆びにくくできる。
【0055】
さらにまた、チョークパイプ36は側壁にかつチョークパイプ36の長手方向にスリット39を形成したことにより、チョークキャビティ38方向への電波の流れを整えることができ、チョークキャビティ38の入り口から約4分の1波長位置のチョークキャビティ38奥面からの反射波と、突出孔21b経由の加熱室11からの電波の進行波との相殺作用を促進させることができるので、電波漏れを低減できることとなる。
【0056】
[ヒータ吊り下げ構造]
アルゴンランプヒータ12a用のカバー部突出孔22bは、断熱板22の左右の壁部22aに設けられたカバー部29に形成されている。
【0057】
アルゴンランプヒータ12a用のカバー部突出孔22bは、アルゴンランプヒータ12aの管部23aを非接触状態に貫通させる孔である。
【0058】
断熱板突出孔22cは、ミラクロンヒータ12bの管部17aを非接触状態に貫通させる孔である。
【0059】
ヒータ支持板24は、断熱板22の上面のうち、左右の側部22dにビス28で取り付けられ、管状のヒータ12(アルゴンランプヒータ12a、ミラクロンヒータ12b)を固定する(吊下げるように支える)部材である。
【0060】
なお、左右の側部22dに取り付けられたヒータ支持板24は左右対称の部材であり、以下、右側部22dに取り付けられたヒータ支持板24について説明して、左側部22dに取り付けられたヒータ支持板24の説明を省略する。
【0061】
アルゴンランプヒータ12aは、ミラクロンヒータ12bと比較して全長が長く形成さ
れている。よって、中央突部33は前後の突部32と比較して大きく突出されている。
【0062】
さらに、ヒータ支持板24にバネ性を持たせることで、衝撃や振動を受けた場合に、ヒータ支持板24を弾性変形させて衝撃や振動を吸収することができる。
【0063】
ここで、ヒータ支持板24のバネ性の大小は、前後の突部32や中央突部33の長さ寸法と幅寸法、板厚寸法等で調整することが可能である。
【0064】
すなわち、前後の突部32や中央突部33の長さ寸法を短く、幅寸法を長く、板厚寸法を厚くすればバネ性は小さくなる。
【0065】
アルゴンランプヒータ12aの封止部19は衝撃、振動に弱いため、中央突部33を長くしてバネ性を大きくしている。
【0066】
よって、アルゴンランプヒータ12aにかかる衝撃、振動を中央突部33で良好に吸収することが可能である。
【0067】
図3に示すように、前突部32は、先端部に下方に折り曲げられた折曲片32aを備え、折曲片32aに碍子保持孔32bが形成されている。碍子保持孔32bは、ミラクロンヒータ12bのヒータ碍子17cを保持する孔である。
【0068】
すなわち、碍子保持孔32bにミラクロンヒータ12bのヒータ碍子17cが差し込まれることで(挿入されることで)、ヒータ碍子17cがヒータ支持板24(前突部32)に保持されている(固定されている)。
【0069】
ヒータ碍子17cがヒータ支持板24に保持されることで、ミラクロンヒータ12bはヒータ支持板24に吊下げた状態に保持されている。
【0070】
この状態において、ミラクロンヒータ12bは、反射板バーリング部21cおよび断熱板バーリング部22cに管部17aが非接触状態に貫通されている。
【0071】
なお、後突部32は、前突部32と同じ形状なので、前突部32の説明で後突部32の説明を兼ねる。
【0072】
図1に示すように、中央突部33は、先端部に下方に折り曲げられた折曲片33aを備え、折曲片33aに碍子保持孔33bが形成されている。
【0073】
碍子保持孔33bは、アルゴンランプヒータ12aのヒータ碍子18cを保持する孔である。
【0074】
すなわち、碍子保持孔33bにアルゴンランプヒータ12aのヒータ碍子18cが差し込まれることで(挿入されることで)、ヒータ碍子18cがヒータ支持板24に保持されている(固定されている)。
【0075】
ヒータ碍子18cがヒータ支持板24に保持されることで、アルゴンランプヒータ12aはヒータ支持板24に吊下げた状態に保持されている。
【0076】
この状態において、アルゴンランプヒータ12aは、チョークパイプ21bおよび断熱板バーリング部22bに管部18aが非接触状態に貫通されている。
【0077】
以上説明したように、ヒータ支持板24が断熱板22にビス28で取り付けられ、ヒータ支持板24にアルゴンランプヒータ12aおよびミラクロンヒータ12bが保持されている。
【0078】
よって、アルゴンランプヒータ12aおよびミラクロンヒータ12bは、ヒータ支持板24に吊下げるように取付けられている。
【0079】
これにより、衝撃や振動を受けた場合に、ヒータ支持板24を反射板21や断熱板22に同期させて、反射板21や断熱板22に対して一体に移動(動作)させることができる。
【0080】
したがって、ミラクロンヒータ12bの管部17aが反射板バーリング部21cや断熱板バーリング部22cに当たることを防ぐとともに、アルゴンランプヒータ12aの管部18aが、反射板バーリング部21bや断熱板バーリング部22bに当たることを防いで、アルゴンランプヒータ12aやミラクロンヒータ12bに悪影響を与えることを防止できる。
【0081】
また、ヒータ支持板24にバネ性を持たせることで、衝撃や振動を受けた場合に、ヒータ支持板24を弾性変形させて衝撃や振動を吸収することができる。
【0082】
よって、アルゴンランプヒータ12aやミラクロンヒータ12bに衝撃や振動を伝えないようにして、アルゴンランプヒータ12aやミラクロンヒータ12bに悪影響が及ぶことを一層良好に防ぐことができる。
【0083】
さらに、ヒータ支持板24の中央突部33を長くしてバネ性を大きくしている。よって、アルゴンランプヒータ12aに作用する衝撃、振動を効率よく抑えて、アルゴンランプヒータ12aの封止部19を良好に保護することが可能になる。
【0084】
加えて、ヒータ支持板24にバネ性を持たせることで、ねじれ方向の衝撃、振動をもバネ性で吸収できる。
【0085】
よって、ミラクロンヒータ12bを保持する前後の突部32と、アルゴンランプヒータ12aを保持する中央突部33とを一体に形成しても、アルゴンランプヒータ12aやミラクロンヒータ12bに作用する衝撃や振動を抑えることができる。
【0086】
これにより、突部32や中央突部33をそれぞれ独立した部材で形成する必要がないので部品点数が削減される。
【0087】
なお、本発明の加熱調理器10は、前述した実施形態に限定されるものでなく、適宜な変形,改良等が可能である。
【0088】
例えば、ヒータ支持板24は一体式になっているが個々のヒータごとに別々にヒータ支持板24を取り付けることもできる。
【産業上の利用可能性】
【0089】
本発明は、被加熱物を収容する加熱室と、この加熱室に高周波電波を供給する高周波発生装置と、加熱室の天面に管状ヒータを備え、被加熱物を誘電加熱及びヒータ加熱可能な加熱調理器への適用に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0090】
【図1】本発明の加熱調理器の管状ヒータの1つであるアルゴンランプヒータの取付け部分のチョークキャビティを示す図4のB−B線における側面断面図
【図2】図1のチョークキャビティ構造を示す分解斜視図
【図3】本発明の加熱調理器の管状ヒータの1つであるミラクロンヒータの取付け部分を示す図4のA−A線における断面図
【図4】本発明の加熱調理器の加熱室の平面図
【図5】本発明の加熱調理器の側面断面図
【図6】本発明の加熱調理器の正面断面図
【図7】従来の加熱調理器を示す断面図
【符号の説明】
【0091】
10 加熱調理器
11 加熱室
12 管状ヒータ
12a アルゴンランプヒータ
12b ミラクロンヒータ
16 マグネトロン(高周波発生装置)
17a 管部
17b 端子部
17c ヒータ碍子
20 制御手段
21 反射板
21a 壁部
21b 突出孔(ヒータ取付け孔)
21c 突出孔
22 断熱板
22a 壁部
22b カバー部突出孔
22c 断熱板突出孔
22d 側部
23a 管部
23b 端子部
23c ヒータ碍子
23d フィラメント
24 ヒータ支持板
25a 凹部
25b 凹部
29 カバー部(金属カバー)
32 突部
32a 折曲片
32b 碍子保持孔
33 中央突部
33a 折曲片
33b 碍子保持孔
34 サポートリング(管内位置決め手段)
35 ヒータガード
36 チョークパイプ
36a 基板部
37 チョークパイプ押え部
37a 孔
38 チョークキャビティ
42 導波管
43 アンテナ
50 蒸気発生手段
51 食品(被加熱物)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被加熱物を収納する加熱室と、前記加熱室に高周波電波を供給する高周波発生装置と、前記加熱室内天面に形成した凹部と、前記凹部側壁に形成されたヒータ取付け孔と、前記ヒータ取付け孔を貫通して設けた管状のヒータと、前記凹部外側でかつ前記管状のヒータの端部周囲に設けられたチョークキャビティとを備え、
前記ヒータ取付け孔の前記凹部外側に位置する前記ヒータが挿入されたチョークパイプと、このチョークパイプと一体に形成され前記ヒータ取付け孔周縁の前記凹部外側に固定される基板部と、前記基板部を前記凹部側壁に押圧するチョークパイプ押え部と、前記凹部外側に前記チョークパイプを覆うように取り付けられた金属カバーとを有し、前記チョークキャビティは、前記金属カバーと前記チョークパイプと前記チョーク押え部とにより形成された加熱調理器。
【請求項2】
管状のヒータはフィラメントが直線状のアルゴンランプヒータであり、前記フィラメントの管内位置決め手段を設けたことを特徴とする請求項1に記載の加熱調理器。
【請求項3】
管状のヒータは、フィラメントと前記フィラメントの管内位置決め手段とを備え、前記管内位置決め手段は、前記管状のヒータ内でかつヒータ取付け孔部分に位置していることを特徴とする請求項1に記載の加熱調理器。
【請求項4】
チョークパイプのパイプ長さは高周波発生装置で発生する高周波電波波長の約4分の1としている請求項1から3のいずれか1項に記載の加熱調理器。
【請求項5】
チョークパイプは曲げ加工で形成された請求項1に記載の加熱調理器。
【請求項6】
チョークパイプは側壁にスリットがパイプ長手方向に形成された請求項1または5に記載の加熱調理器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−48441(P2010−48441A)
【公開日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−211351(P2008−211351)
【出願日】平成20年8月20日(2008.8.20)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】