説明

加硫可能なゴム組成物

【課題】一層の軽量化を可能とするゴム組成物を提供すること。
【解決手段】エチレン・α‐オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム(A)とポリオレフィン樹脂(B)と発泡剤(C)とを含む加硫可能なゴム組成物であって、エチレン・α‐オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム(A)中に、ポリオレフィン樹脂(B)が溶融状態でミクロ分散しており、ポリオレフィン樹脂(B)の平均分散粒径が2μm以下であり、ポリオレフィン樹脂(B)の配合量がエチレン・α‐オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム(A)100質量部に対し5〜15質量部であり、発泡剤(C)の配合量がエチレン・α‐オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム(A)100質量部に対し2〜6質量部であり、比重が1.05〜1.15であり、125℃におけるムーニー粘度(Vm)が25〜55である、加硫可能なゴム組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加硫可能なゴム組成物及びその用途に関する。
【背景技術】
【0002】
ガソリンの高騰および温室ガス排出制限のため、車両の燃費向上が大きな課題となっている。その方策のひとつに車両の軽量化があり、ウェザーストリップ部品にも軽量化が強く要望されている。ウェザーストリップ部品のようなゴム製品を軽量化するための手段としては、ゴム成分よりも比重の大きな補強材(カーボンブラック、シリカ等)や無機充填材(タルク、クレー、炭酸カルシウム等)といった添加剤の配合量を少なくして、ゴム製品を低比重化することが採用されている。また、ウェザーストリップのソリッドゴムを適用している箇所を発泡化させることが採用されている。ここで、発泡剤としては、アゾ化合物、ニトロソ化合物、スルホニルヒドラジド化合物、アジド化合物等の化学発泡剤、無機発泡剤、及び熱膨張カプセルなどが使用されている。熱膨張カプセルとしては、例えば低沸点炭化水素を殻壁内に内包したものが知られている(特許文献1)。
【0003】
一方、加硫可能なゴム組成物としてはエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴムを主材とした組成物が知られており、例えば、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)にオレフィン系樹脂を微分散させたゴム組成物が知られている(特許文献2、3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−112244号公報
【特許文献2】特許第4088429号公報
【特許文献3】特開2008−111137号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、化学発泡剤は、発泡・加硫時に発生するガス量が多いために、ウェザーストリップの芯金との間に大きな気泡を抱くという問題点がある。また熱膨張カプセルの場合は、殻壁がアクリル系樹脂材料であることが多く、エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴムが主材の場合に相溶性が悪い。したがって低比重化を狙い熱膨張カプセルを多量に配合すると著しい強度の低下、圧縮永久歪の悪化につながる。
このように、比重の低減にも制約があり、加硫後の比重が0.90程度にとどまっているのが現状である。
本発明はかかる問題に鑑みてなされたものであり、より一層の軽量化を可能とするゴム組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、鋭意検討の結果、下記の構成により上記課題を達成することができた。 即ち、本発明は以下の通りである。
<1> エチレン・α‐オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム(A)とポリオレフィン樹脂(B)と発泡剤(C)とを含む加硫可能なゴム組成物であって、
エチレン・α‐オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム(A)中に、ポリオレフィン樹脂(B)が溶融状態でミクロ分散しており、ポリオレフィン樹脂(B)の平均分散粒径が2μm以下であり、
ポリオレフィン樹脂(B)の配合量がエチレン・α‐オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム(A)100質量部に対し5〜15質量部であり、
発泡剤(C)の配合量がエチレン・α‐オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム(A)100質量部に対し2〜6質量部であり、
比重が1.05〜1.15であり、
125℃におけるムーニー粘度(Vm)が25〜55である、加硫可能なゴム組成物。<2> 発泡剤(C)が熱膨張性カプセルを含む、上記<1>に記載のゴム組成物。
<3> 熱膨張性カプセルの膨張前の平均粒子径が3〜20μmである、上記<2>に記載のゴム組成物。
<4> 加硫後の比重が0.5〜0.8であり、硬度が35〜65、引張り強度が3.5〜7MPa、伸びが100〜500%、70℃72時間における圧縮永久歪が30〜50%である、上記<1>〜<3>のいずれか1に記載のゴム組成物。
<5> 上記<1>〜<4>のいずれか1に記載のゴム組成物を加硫して得られる、比重が0.5〜0.8であるゴム製品。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、組成、粘度、および微分散されるオレフィン系樹脂の配合量を絶妙とすることにより、一層の軽量化が可能なゴム組成物を提供することができる。また、本発明によれば、低比重化を目的として比重の大きな補強材や無機充填材の配合量を低減しても、ロール作業性や押出し加工性の良好なゴム組成物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
【0009】
<エチレン・α‐オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム(A)>
本発明のゴム組成物に含まれるエチレン・α‐オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム(A)(以下単に「共重合体ゴム(A)」とも略記する。)は、エチレン、α−オレフィン及び非共役ポリエンがランダムに共重合したポリマーである。
【0010】
前記α−オレフィンとしては、例えば炭素数3〜12のα−オレフィンを挙げることができ、具体的にはプロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、3−メチル−1−ブテン、1−ヘキセン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、3−エチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセン、1−ウンデセン等を挙げることができる。これらのα−オレフィンは、単独で、あるいは2種以上組み合わせて用いられる。
【0011】
また、前記非共役ポリエンとしては、環状あるいは鎖状の非共役ポリエンを用いることができる。例えば1,4−ペンタジエン、1,4−ヘキサジエン、1,5−ヘキサジエン、1,7−オクタジエン、1,9−デカジエン、3,6−ジメチル−1,7−オクタジエン、4,5−ジメチル−1,7−オクタジエン、5−メチル−1,8−ノナジエン、ジシクロペンタジエン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−ビニル−2−ノルボルネン、2,5−ノルボルナジエン等を挙げることができる。これらの非共役ポリエンは、単独で又は2種以上混合して用いることができる。
【0012】
<ポリオレフィン樹脂(B)>
本発明で用いられるポリオレフィン樹脂(B)は、熱可塑性樹脂であり、具体的には、高密度ポリエチレン(HDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)等のエチレン単独重合体又はエチレンと炭素数3〜20、好ましくは炭素数3〜8のα−オレフィンとからなる結晶性エチレン・α−オレフィン共重合体;プロピレン単独重合体、プロピレンブロック共重合体、プロピレンランダム共重合体などのポリプロピレン;プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテンなどの炭素数3〜20、好ましくは炭素数3〜8のα−オレフィンの結晶性単独重合体又は共重合体などが挙げられる。これらのポリオレフィンの融点は250℃以下である。中でも、ポリエチレン、ポリプロピレンが好ましく、特にポリエチレンが好ましい。
【0013】
本発明においては、ポリオレフィン樹脂(B)の配合量は、エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体(A)100質量部に対し5〜15質量部、好ましくは8〜12質量部である。ポリオレフィン樹脂(B)の配合量をかかる範囲とすることで、比重の大きな補強材や無機充填材の配合量を低減しても、ロール作業性や押出し加工性を良好に維持することができる。
【0014】
本発明においては、ポリオレフィン樹脂(B)はエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム(A)中に溶融状態でミクロ分散している。ミクロ分散とは、エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体(A)中にポリオレフィン樹脂(B)が均一に細かく分散していることをいう。また、ミクロ分散したポリオレフィン樹脂(B)(電子顕微鏡写真から求めた)平均分散粒径は、通常2μm以下である。
【0015】
ポリオレフィン樹脂(B)をエチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム(A)中に溶融状態でミクロ分散させ、その平均分散粒径を2μm以下とする方法としては、例えば、エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム(A)とポリオレフィン樹脂(B)とを、特許第4088429号公報に記載される方法で混合する方法が挙げられる。
例えば、ゴム混練機として通常使用されるバンバリーミキサー、インターナルミキサー、ニーダー、オープンロールなどを用いて、必要に応じて補強剤、充填剤、可塑剤などのその他の成分と一緒に、当該ポリオレフィン樹脂(B)の融点以上の温度で混練する方法が挙げられる。この場合、ポリオレフィン樹脂(B)の混練不良物が異物となる可能性が高いので、混練温度80〜250℃、混練時間1〜20分、好ましくは1〜10分、混練・混合比エネルギー0.001〜10Kw・h/kgの条件で混練を行うことが好ましい。
また、別の好ましい混練方法として、予め、前記共重合体ゴム(A)と有機溶媒とからなるゴム混合物に前記ポリオレフィン樹脂(B)を添加し、混練、脱溶媒することにより、当該ポリオレフィン樹脂(B)を前記共重合体ゴム(A)中に均一に分散させた混練物を調製した後、これに、補強材、充填材、可塑剤、発泡剤(C)などの添加剤を配合して混練する方法が挙げられる。
【0016】
<発泡剤(C)>
本発明のゴム組成物は、発泡剤(C)として熱膨張性カプセルを含むことが好ましい。これにより、発生ガス量を低減でき、芯金とゴムの間の異常発泡を防止できる。
熱膨張カプセルとしては、殻壁と、殻壁内に内包されるガス又はガス化材料とを備えるものが好ましい。殻壁を構成する材料としては、熱可塑性高分子が好ましく、例えば、アクリロニトリルなどのアクリル系樹脂、スチレン系ポリマー、アクリロニトリル/塩化ビニリデン共重合物、シリコーン樹脂、ウレタン樹脂、アミド樹脂等が挙げられる。また、ガス又はガス化材料としては、室温で液状の低沸点炭化水素が好ましく、例えば、イソブタン、ノルマルブタン、ノルマルペンタン、イソペンタン等が挙げられる。
【0017】
また、熱膨張カプセルの膨張前の物性は下記に示すものが好ましい。
平均粒子径は、好ましくは3〜30μm、より好ましくは3〜20μm、更に好ましくは5〜15μmである。平均粒子径が上記範囲内であれば、加硫後のゴム物性や外観の観点から好ましい。
また、発泡開始温度は、好ましくは80〜150℃、より好ましくは90〜150℃で、更に好ましくは110〜150℃である。発泡開始温度が上記範囲内であれば、ゴムの混練作業性、加硫ゴムの表面外観の観点から好ましい。
そして、最大膨張温度は、好ましくは110〜180℃、より好ましくは130〜150℃である。最大膨張温度が上記範囲内であれば、ゴムの混練作業性、加硫ゴムの表面外観の観点から好ましい。
【0018】
発泡剤(C)は、熱膨張カプセル以外のその他の発泡剤を併用してもよい。その他の発泡剤としては、例えば、化学発泡剤および無機発泡剤が好ましい。化学発泡剤としては、例えば、アゾ化合物、ニトロソ化合物、スルホニルヒドラジド化合物、アジド化合物等が挙げられる。無機発泡剤としては、例えば炭酸水素ナトリウムが挙げられる。また、熱膨張カプセルとその他の発泡剤の質量比は、5:5〜10:0であることが好ましい。
【0019】
本発明において、発泡剤(C)の配合量は、エチレン・α‐オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム(A)100質量部に対し2〜6質量部、好ましくは3〜5質量部である。発泡剤(C)の配合量をかかる範囲とすることで、ゴムの物性、特に圧縮永久歪の悪化を防止できるため好ましい。ゴム製品の低比重化を狙い、発泡剤(C)を、特に殻壁にアクリル系樹脂材料を使用した熱膨張カプセルを多量に配合すると、ゴム主材であるEPDMゴムとの相溶性が悪くなり、その結果、ゴム製品の強度や圧縮永久歪の悪化につながる。しかし、本発明のゴム組成物は、発泡剤(C)の配合量を少なくしても低比重化を実現することができる。
【0020】
<その他添加剤>
本発明のゴム組成物には、エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム(A)、ポリオレフィン樹脂(B)及び発泡剤(C)の他に、必要に応じて可塑剤(軟化剤)、加硫剤、加硫促進剤、加硫促進助剤、加工助剤、補強材、無機充填材等のその他添加剤を含めることができる。
【0021】
可塑剤(軟化剤)としては、通常ゴムに使用される可塑剤が用いられる。具体的には、植物油系軟化剤、鉱物油系軟化剤、合成可塑剤などが挙げられる。中でも、鉱物油系軟化剤が好ましく用いられる。また、可塑剤の配合量は、共重合体ゴム(A)100質量部に対して50〜150質量部が好ましい。
【0022】
加硫剤としては、例えば硫黄、有機含硫黄化合物、塩化硫黄が挙げられる。また、加硫剤の配合量は、共重合体ゴム(A)100質量部に対して1〜3質量部が好ましい。
【0023】
加硫剤を使用するときは、加硫促進剤や加硫促進助剤を併用することが好ましい。加硫促進剤としては、具体的には、チオウレア類、チアゾール類、スルフェンアミド類、チウウム類、ジチオカルバミン酸塩類、等が挙げられる。また、加硫促進剤の配合量は、共重合体ゴム(A)100質量部に対して2〜15質量部が好ましい。加硫促進助剤としては、例えば酸化亜鉛(亜鉛華)等が挙げられる。加硫促進助剤の配合量は、共重合体ゴム(A)100質量部に対して3〜7質量部が好ましい。
【0024】
加工助剤としては、例えばポリエチレングリコール、ステアリン酸等が挙げられる。加工助剤の配合量は、共重合体ゴム(A)100質量部に対して1〜5質量部が好ましい。
【0025】
補強材としては、例えばカーボンブラック、シリカ等が挙げられる。補強材の配合量は、共重合体ゴム(A)100質量部に対して80〜130質量部が好ましい。
【0026】
無機充填材としては、例えばタルク、クレー、炭酸カルシウム等が挙げられる。無機充填材の配合量は、共重合体ゴム(A)100質量部に対して0〜50質量部が好ましい。
【0027】
<ゴム組成物の物性>
本発明の加硫可能なゴム組成物は、比重が1.05〜1.15、好ましくは1.08〜1.13である。加硫前の比重が上記範囲であれば、ゴム混練作業性、発泡剤量の低減の観点から好ましい。
また、本発明のゴム組成物は、125℃におけるムーニー粘度(Vm)が25〜55、好ましくは30〜50、より好ましくは40〜50である。ムーニー粘度(Vm)が25未満では、形状保持性が悪化するおそれがある。また55を超えると所望の比重を得るために発泡剤量が多く必要となり、加硫ゴムの物性の悪化が顕著となる。また、上記範囲のムーニー粘度(Vm)において、本発明のゴム組成物は量産に適している。ムーニー粘度は、JIS K6301(2009年)に準拠した値である。さらにまた、125℃におけるムーニー粘度が25〜40において、ゴム組成物の製造量によらず本発明のゴム組成物を得ることができる。なお、125℃におけるムーニー粘度は、補強材(特にカーボンブラック)や無機充填材と軟化剤量を増減させる、又はポリマーの粘度を変化させることにより調節することができる。
【0028】
また、本発明のゴム組成物は、加硫後の物性として次の特徴を有する。すなわち、比重が0.5〜0.8、好ましくは0.65〜0.75であり、硬度が35〜65、引張り強度が3.5〜7MPa、伸びが100〜500%、70℃72時間における圧縮永久歪が30〜50%である。
なお上記比重は、JIS K6268 A法(2009年)に、硬度(ムーニースコーチ)は、JIS K6301(2009年)に、引張り強度はJIS K6251(2009年)に、伸びはJIS K6251(2009年)に、圧縮永久歪はJIS K6262(2009年)に、それぞれ準拠した値である。
【0029】
<ゴム組成物の製造方法>
本発明の加硫可能なゴム組成物は、例えば次のような方法で調製することができる。
まず、例えば、予め、エチレン・α‐オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム(A)100質量部に対して、本発明の配合量範囲のポリオレフィン樹脂(B)を、ポリオレフィン樹脂(B)の融点以上の温度で溶融ブレンドし、ポリオレフィン樹脂(B)が共重合体ゴム(A)中に2μm以下の平均粒径で分散しているポリマーアロイを調製する。
また、次のように調製してもよい。まずエチレン・α‐オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム(A)100質量部に対し、ポリオレフィン樹脂(B)を本発明の配合量範囲を超えて含むようにした以外は上記と同様にブレンドして得られたポリマーアロイを準備する。かかる樹脂アロイとしては、例えば、三井化学(株)製エプタロイを用いることができる。ここに、エチレン・α‐オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム(A)を追加して、ポリオレフィン樹脂(B)の配合量を本発明の範囲となるように調製する。このとき、後から追加する共重合体ゴム(A)は、ポリオレフィン樹脂(B)と予めブレンドされた共重合体ゴム(A)と同一グレードのものでも、異なる別のグレードのものでもよい。
【0030】
次に、必要に応じて、上述したその他添加剤のうちカーボンブラック、軟化剤、加工助剤を配合して、バンバリーミキサーのようなミキサー類により混練する。混練時間は約3〜6分間が好ましい。その後、オープンロールのようなロール類を使用して、発泡剤(C)、加硫剤、加硫促進剤を追加混合し、ロール温度20〜30℃で8〜15分間混練した後、分出しすることによりゴム組成物を得る。
【0031】
<ゴム製品>
上記により得られた本発明の加硫可能なゴム組成物を加硫することにより、本発明のゴム製品を得ることができる。加硫条件は特に限定されず、例えば、加硫温度250℃、加硫時間5分とすることができる。
本発明のゴム製品は、比重が0.5〜0.8、好ましくは0.65〜0.75、硬度が35〜65、引張り強度が3.5〜7MPa、伸びが100〜500%、70℃72時間における圧縮永久歪が30〜50%である。
【実施例】
【0032】
以下、本発明を実施例および比較例によりさらに説明するが、本発明はこれらの例に制限されるものではない。
<実施例1−1〜1−7、比較例1−1〜1−3、参考例1−1〜1−2>
非共役ポリエンとして5−エチリデン−2−ノルボルネン(ENB)を用いた、エチレン・プロピレン・5−エチリデン−2−ノルボルネンランダム共重合体ゴム(A1)100質量部に対し、ポリエチレン樹脂(B)を20質量部配合し、共重合体ゴム(A1)中に、ポリエチレン樹脂(B)が溶融状態でミクロ分散しており、ポリエチレン樹脂(B)の平均分散粒径が2μm以下であるポリマーアロイ(三井化学(株)製エプタロイ)を準備した。このポリマーアロイに、(A1)及び(B)以外の各成分を表2に示す配合割合に従って混合し、ゴム組成物を調製した。ついで各ゴム組成物を、平板状に押出し、250℃で5分間加硫処理することにより架橋させ、試験片を得た。
【0033】
<実施例2−1〜2−9、比較例2−1>
実施例1−1等で使用したポリマーアロイ(三井化学(株)製エプタロイ)に、(A1)及び(B)以外の各成分を表3に示す配合割合に従って混合し、ゴム組成物を調製した。ついで各ゴム組成物を、平板状に押出し、250℃で5分間加硫処理することにより架橋させ、試験片を得た。本実施例では、実施例1−1の約60倍量を製造でき、混合時及び押出し加工時の各工程におけるゴム組成物の温度が実施例1−1よりも約10℃以上高くなる量産機によりゴム組成物を調製した。
【0034】
表2及び表3におけるエチレン・α‐オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム(A2)〜(A4)の構成を下記表1に示す。
【0035】
【表1】

【0036】
また、発泡剤(C)としては、下記(C1)〜(C3)を用いた。
熱膨張カプセル(C1):松本油脂製薬(株)製 F−46K、粒子径8〜14μm、発泡開始温度90〜100℃、最大膨張温度130〜140℃
熱膨張カプセル(C2):松本油脂製薬(株)製 F−77、粒子径20〜30μm、発泡開始温度110〜120℃、最大膨張温度160〜170℃
OBSH(C3):p,p’−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)
また、表2及び表3中、カーボンブラックN550は、旭カーボン(株)製カーボンブラック旭60Gであり、加硫促進剤とはチアゾール類、チウウム類、ジチオカルバミン酸塩類等の混合物である。
【0037】
実施例1−1〜1−7及び比較例1−1〜1−3、参考例1−1〜1−2の各試験片について、下記物性について評価した。
・比重(JIS K6268 A法(2009年)に準拠して測定した)
・引張り強度(JIS K6251(2009年)に準拠して3号ダンベル測定した)
・伸び(JIS K6251(2009年)に準拠して3号ダンベル測定した)
・70℃72時間における圧縮永久歪(JIS K6262(2009年)に準拠して測定した)
・ムーニー粘度(Vm)(JIS K6301(2009年)に準拠して測定した)
・ムーニースコーチ(硬度)(JIS K6301(2009年)に準拠して測定した)
・ロール作業性(ロール作業におけるバギング等の異常発生の有無について評価した。○:バギング等の異常発生なし、△:作業に支障の無い程度の異常発生あり、×:作業に支障のある程度の異常発生あり。一般に、バギング等の異常発生なしとは量産可能と予想されるレベル、作業に支障の無い程度の異常発生とは、手間をかければ作業手順を乱すことなく、安定したサイクルによる量産が可能であると予想されるレベル、作業に支障のある程度の異常発生とは作業手順が守れず,安定したサイクルの量産が不可能と予想されるレベルである。)
・押出性(ASTM D2230(2007年)に準拠して、ガーベダイによる押出成形物のエッジ部分の外観(鋭利性と連続性)について評価した。○:異常なし、×:異常あり(鋭利性に乏しい又は途切れ途切れな押出状態など)。一般に、異常ありとは量産不可能と予想されるレベルである。)
・異常気泡(○:芯金との間に異常気泡なし、△:稀に異常気泡の発生あり、×:異常気泡が多発。一般に、稀に異常気泡の発生ありとは製造条件を調整することで量産可能になると予想されるレベル、異常気泡が多発とは製造条件を調整しても量産不可能と予想されるレベルである。)
・表面外観(○:異常なし、×:外観面には使用できないレベル)
結果を下記表2に示す。
【0038】
【表2】

【0039】
実施例2−1〜2−9及び比較例2−1の各試験片について、下記物性について評価した。
・比重(JIS K6268 A法(2009年)に準拠して測定した)
・引張り強度(JIS K6251(2009年)に準拠して3号ダンベル測定した)
・伸び(JIS K6251(2009年)に準拠して3号ダンベル測定した)
・70℃72時間における圧縮永久歪(JIS K6262(2009年)に準拠して測定した)
・ムーニー粘度(Vm)(JIS K6301(2009年)に準拠して測定した)
・ムーニースコーチ(硬度)(JIS K6301(2009年)に準拠して測定した)
・ロール作業性(ロール作業におけるバギング等の異常発生の有無について評価した。○:バギング等の異常発生なし、△:作業に支障の無い程度の異常発生あり、×:作業に支障のある程度の異常発生あり。一般に、バギング等の異常発生なしとは量産可能なレベル、作業に支障の無い程度の異常発生とは量産可能であるが困難なレベル、作業に支障のある程度の異常発生とは量産不可能なレベルである。)
・押出性(ASTM D2230(2007年)に準拠して、ガーベダイによる押出成形物のエッジ部分の外観(鋭利性と連続性)について評価した。○:異常なし、×:異常あり(鋭利性に乏しい又は途切れ途切れな押出状態など)一般に、異常ありとは量産不可能なレベルである。)
・異常気泡(○:芯金との間に異常気泡なし、△:稀に異常気泡の発生あり、×:異常気泡が多発。一般に、稀に異常気泡の発生ありとは量産可能なレベル、異常気泡が多発とは量産不可能なレベルである。)
・表面外観(○:異常なし、×:外観面には使用できないレベル)
結果を下記表3に示す。
【0040】
【表3】

【0041】
表2及び表3の結果より、実施例のゴム組成物は、比重に代表される各種物性に優れていることが分かる。実施例1−1等に比してムーニー粘度が高い実施例2−2〜実施例2−9のゴム組成物も実施例1−1と同様に、比重に代表される各種物性に優れていることが分かる。
【0042】
これに対し、発泡剤(C)の配合量が本発明の範囲より少ない比較例1−1のゴム組成物は、加硫前後の比重が所望の範囲とならなかった。発泡剤(C)の配合量が本発明の範囲を超えた比較例1−2のゴム組成物は、十分な圧縮永久歪を得られなかった。また、ポリオレフィン(B)の配合量が本発明の範囲を逸脱した比較例1−3及び比較例2−1のゴム組成物は、十分なロール作業性および押出性が得られなかった。また、参考例1−1〜1−2のゴム組成物も、十分なロール作業性および押出性が得られなかった。
【産業上の利用可能性】
【0043】
比重が改善された本発明のゴム組成物は、特に車両用部材の製造に好適に用いられ得る。このような車両用部材としては、例えばグラスラン、サンルーフウェザーストリップ、ルーフサイドウェザーストリップ、ドアーアウターウェザーストリップ、ドリップウェザーストリップ、トランクリッドウェザーストリップ、サイドモール、フラッシュマウントモール、オープニングトリムウェザーストリップ、電装品用各種パッキン等が挙げられる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エチレン・α‐オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム(A)とポリオレフィン樹脂(B)と発泡剤(C)とを含む加硫可能なゴム組成物であって、
エチレン・α‐オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム(A)中に、ポリオレフィン樹脂(B)が溶融状態でミクロ分散しており、ポリオレフィン樹脂(B)の平均分散粒径が2μm以下であり、
ポリオレフィン樹脂(B)の配合量がエチレン・α‐オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム(A)100質量部に対し5〜15質量部であり、
発泡剤(C)の配合量がエチレン・α‐オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム(A)100質量部に対し2〜6質量部であり、
比重が1.05〜1.15であり、
125℃におけるムーニー粘度(Vm)が25〜55である、加硫可能なゴム組成物。
【請求項2】
発泡剤(C)が熱膨張性カプセルを含む、請求項1に記載のゴム組成物。
【請求項3】
熱膨張性カプセルの膨張前の平均粒子径が3〜20μmである、請求項2に記載のゴム組成物。
【請求項4】
加硫後の比重が0.5〜0.8であり、硬度が35〜65、引張り強度が3.5〜7MPa、伸びが100〜500%、70℃72時間における圧縮永久歪が30〜50%である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のゴム組成物。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載のゴム組成物を加硫して得られる、比重が0.5〜0.8であるゴム製品。

【公開番号】特開2011−16978(P2011−16978A)
【公開日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−103579(P2010−103579)
【出願日】平成22年4月28日(2010.4.28)
【出願人】(000196107)西川ゴム工業株式会社 (454)
【Fターム(参考)】