説明

効果顔料が添加された粉末状の被覆材料、その製造方法及びその使用

(A)少なくとも1種の小板状の効果顔料が小板状の粒子の表面に対して完全に又はほぼ完全に平行に配向されて含有する、薄膜の直径D対膜厚dの比D:d=100:1〜10:1を有する小板状の粒子と、(B)小板状の効果顔料を含有ない、透過性の、寸法安定性の、小板状ではない粒子又は薄膜の直径D対膜厚dの比D:d<10:1を有する小板状の粒子とからなる、粉末状の被覆材料、その製造方法及びその使用。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規の、効果顔料が添加された粉末状の被覆材料に関する。更に、本発明は、効果顔料が添加された粉末状の被覆材料の新規の製造方法に関する。更に、本発明は、着色する及び/又は効果付与する被覆の製造のための、新規の、効果顔料が添加された粉末状の被覆材料の使用に関する。
【0002】
効果付与する被覆の光学的特性、例えば輝き、明度及び色彩変化(Farbflop)は、硬化した被覆中でのその表面に対して小板状の効果顔料の平行な配向の程度に依存する。液状被覆材料は、小板状の効果顔料が乾燥及び硬化時に、生じる被覆の表面に対して平行に配向することができるように調製される。粉末状の被覆材料、特に粉末塗料の場合にはこれは不可能である、それというのもこの粉末状の被覆材料が硬化、特に熱硬化の際に、液状被覆材料のように低粘度の期間を経ることがないためである。粉末状の被覆材料又は粉末塗料は、公知のようにほぼ球形の寸法安定性の粒子又は樹脂粒子からなり、前記粒子は硬化時に、特に熱硬化時に融合するが、互いに完全には混じり合わない。効果付与する粉末塗料、特にメタリック効果付与する粉末塗料を、通常適用されるボンディング法(Bonding-Verfahren)により製造する場合に、小板状の効果顔料は寸法安定性の粒子又は樹脂粒子の表面上に均一に固定される。従って、この小板状の効果顔料は粉末塗料の適用の後に、全ての方向にランダムに配向されて存在する。このランダムな配向分布は、前記粉末塗料から製造された被覆中にも存在する。従って、もしそうだとしても、小板状の効果顔料の被覆の表面に対する平行な配向は極めてわずかな程度であるにすぎない。この理由から、効果顔料が添加された粉末塗料から製造されている被覆は、同様の効果顔料が添加された液状の被覆材料から製造されている被覆と同様の輝き、明度及び色彩変化は得られない。
【0003】
粉末状の被覆材料又は粉末塗料は、液状の特に有機溶剤を含有する被覆材料と比較して、適用及び硬化の際に揮発性の有機化合物が放出されないか又は極めてわずかな量が放出されるだけであるという決定的な利点を有している。更に、粉末塗装の際に生じる粉末状のスプレーしぶきは極めて容易に捕集できかつ再使用できる。従って、小板状の効果顔料を粉末塗料中に混入し、それにより前記小板状の硬化顔料の被覆の表面に対して平行な配向の程度を改善する試みは行われていた。
【0004】
ドイツ国特許出願DE 100 18 581 A1からは、小板状のアルミニウム効果顔料の混入及び配向を非イオン性界面活性剤と共にペースト化することより改善できることは公知である。
【0005】
ドイツ国特許出願DE 100 27 294 A1は、特に広範囲な粒度分布を有する小板状のアルミニウム効果顔料を使用することにより混入及び配向を改善することを提案している。
【0006】
ドイツ国特許出願DE 100 27 270 A1によると、周知のように被覆材料からなる低粘度液状層中に浮遊するリーフィング−アルミニウム効果顔料の使用により、表面に対する平行な配向を改善できる。
【0007】
ドイツ国特許出願DE 100 27 267 A1には、粉末塗料の結合剤の融点又は溶融範囲よりも少なくとも10℃下回る融点又は溶融範囲を有するオリゴマー又はポリマー中に小板状の効果顔料を埋め込むことにより、前記小板状の効果顔料の混入及び配向を改善することが提案されている。この埋込により生じる粒子が小板状であるかどうか及び前記小板状の効果顔料が完全に又はほとんど完全に表面に対して平行に配向して含まれているかどうかは、前記DE 100 27 267 A1からは明らかになっていない。
【0008】
ドイツ国特許出願DE 100 58 860 A1及びDE 101 20 770 A1からは、結合剤溶液中の小板状の効果顔料の分散液を粒子又は粉末塗料の流動層中に吹き込むことにより、小板状の効果顔料を透過性の寸法安定性の粒子又は粉末塗料上に適用することは公知である。
【0009】
この公知の措置により、小板状の効果顔料の混入及び配向の明らかな改善が生じるため、この該当する被覆は改善された光学特性を有しかつ時として更に自動車品質を達成でき(これについては欧州特許EP 0 352 298 B1、第15頁、42行〜第17頁40行も参照)かつ高級車の上塗塗装のために適している。しかしながらこの品質水準は全ての場合により確実でかつより再現可能に達成されないため、粉末状の被覆材料又は粉末塗料中の小板状の効果顔料の混入及び配向を更に改善しなければならない。
【0010】
米国特許US 5,059,245 A1及びUS 5,171,363 A1からは、OVP中で存在する順序でシートの表面上に干渉層を製造することにより、特に著しい色彩変化を示す小板状の干渉顔料(いわゆるOVP、optically variable pigments)を製造することは公知である。引き続き前記シートを剥がし、それによりOVPの分散物を生じさせる。これは分散物の形でインキ及び液状被覆材料中に混入することができる。粉末状の被覆材料又は粉末塗料中への混入のためにこれは適していない。
【0011】
本発明の課題は、先行技術の欠点をもはや有しておらず、容易にかつ極めて良好に再現可能に製造され、かつ優れた光学特性、特に高い輝き、高い明度及び特に強い色彩変化を有する被覆を提供し、前記被覆中で効果顔料、特に小板状の効果顔料は特に高い程度で被覆の表面に対して平行な配向を示す、新規の、効果顔料、特に小板状の効果顔料が添加された粉末状の被覆材料、特に粉末塗料を見出すことであった。
【0012】
従って、
(A) 少なくとも1種の小板状の効果顔料を小板状の粒子の表面に対して完全に又はほぼ完全に平行に配向されて含有する、薄膜の直径D対膜厚dの比D:d=100:1〜10:1を有する小板状の粒子と、
(B) 小板状の効果顔料を含有ない、透過性の、寸法安定性の、小板状ではない粒子又は薄膜の直径D対膜厚dの比D:d<10:1を有する小板状の粒子とからなる、新規の粉末状の被覆材料が見出され、この被覆材料を以後「本発明による被覆材料」と表す。
【0013】
更に、
(I) 少なくとも1種の小板状の効果顔料を、少なくとも1種のポリマー及び/又はオリゴマーの結合剤の水溶液又は有機溶液中に分散させ、かつ
(II) 生じた分散液(I)を
(II.1) 前記効果顔料の配向を一定の優先方向で生じさせる配向させる適用方法を用いて、一時的な支持体上に適用するか又は
(II.2) 前記効果顔料の配向を一定の優先方向で生じさせない配向させない適用方法を用いて、一時的な支持体上に存在する透過性の、配向させる適用方法によって製造された層上に適用し、かつ
(III) 生じた層(II.1)又は(II.2)を乾燥させるか又は乾燥させてかつ硬化させ、
(IV) 生じた層(III)を単独で又は光学的に透過性の層と一緒に、小板状の剥離片の形で一時的な支持体から剥がし、
(V) 生じた小板状の剥離片(IV)を粉砕しかつ分級して、小板状の粒子(A)を生じさせ、かつ
(VI) 前記小板状の粒子(A)を粒子(B)と混合する、本発明による被覆材料の新規製造方法が見出された。
【0014】
以後、本発明による被覆材料の前記の新規製造方法を「本発明による方法」と表す。
【0015】
他の本発明の対象は発明の詳細な説明から明らかである。
【0016】
先行技術を考慮して、本発明の根底をなす課題は本発明による被覆材料及び本発明による方法を用い解決できることは意外でありかつ当業者に予想できなかった。特に、本発明による被覆材料は特に簡単にかつ極めて良好に再現可能に製造され、かつ優れた光学特性を有する、特に高い輝き、高い明度及び特に強い色彩変化を有する本発明による被覆が提供され、前記被覆中で効果顔料、特に小板状の効果顔料は特に高い程度で本発明による被覆の表面に対して平行な配向を有することは意外であった。特に、本発明による被覆は自動車品質を有し、従って自動車の、特に高級車の塗装のために適していることは意外であった。
【0017】
本発明による被覆材料は両方の成分(A)及び(B)からなる。
【0018】
成分(A)は、薄膜の直径D対膜厚dの比D:d=100:1〜10:1、特に80:1〜20:1を示す小板状の粒子(A)であり、前記粒子は少なくとも1種の小板状の効果顔料を、前記小板状の粒子の表面に対して完全に又はほぼ完全に平行な配向で含有する。
【0019】
効果顔料の数及び種類は、調節されるべき光学的な効果に依存する。この光学的な効果は、メタリック効果、パール光沢効果又は極めて強い色彩変化、例えば赤色から青色への、又は緑色から金色への色彩変化であることができる。前記光学的な効果は互いに組み合わせることもできる。
【0020】
有利に、前記小板状の効果顔料は、アルミニウム顔料、金青銅、火炎により着色された青銅、酸化鉄−アルミニウム顔料、フィッシュシルバー、塩基性炭酸鉛、オキシ塩化ビスマス、金属酸化物−雲母顔料、強い色彩変化を示す干渉顔料(OVP)、微粉砕された二酸化チタン、小板状の黒鉛、小板状の酸化鉄及び液晶顔料からなるグループから選択される。この効果顔料は常用でかつ公知であり、例えばRoempp-Online, Georg Thieme Verlag, Stuttgart, New York 2002, 「Effektpigmente」に記載されているか又は特許出願及び特許のDE 36 36 156 A1, DE 37 18 446 A1, DE 37 19 804 A1, DE 39 30 601 A1, EP 0 068 311 A1, EP 0 264 843 A1, EP 0 265 820 A1, EP 0 283 852 A1, EP 0 293 746 A1, EP 0 417 567 A1, US 4,828,826 A1, US 5,244,649 A1, US 5,059,245 A1又はUS 5,171,363 A1に記載されている。
【0021】
レーザー回折法を用いて測定された小板状の効果顔料の粒子径は、同様に極めて広範囲に可変である。有利に、前記粒子径は微粉塵、つまり<5μmの粒子径の粒子を含まないか又は極めてわずかな割合で含むだけである。有利に前記の効果顔料は>100μmの粒度の粒子を多くても10%含有する。特にその平均粒子径は5〜50μmである。平均粒子径とは、レーザー回折法により測定された50%平均値であると解釈され、つまり粒子の50%は平均値以下の粒子直径を有しかつ粒子の50%は平均値以上の粒子直径を有する。
【0022】
有利に、小板状の粒子(A)の粒子径は、薄膜方向で50〜300μm、有利に60〜250μm、特に80〜200μmである。有利に、小板状の粒子(A)は1〜50μm、特に1〜20μmの厚さである。
【0023】
小板状の粒子(A)の小板状の効果顔料の含有量は極めて広範囲に可変であり、特に調節すべき効果顔料の分散性及び隠蔽力及び光学的効果の強度に依存する。有利に、この含有量はそれぞれ(A)に対して0.1〜60質量%、有利に1〜50質量%、特に1〜40質量%である。
【0024】
前記小板状の粒子(A)は、少なくとも1種の、特に透過性の、特に透明のオリゴマー及び/又はポリマーの結合剤を含有する。「ポリマー」及び「オリゴマー」の特性の意味については、ドイツ国特許出願DE 100 27 270 A1、第5頁、段落[0065]を参照する。
【0025】
有利に、前記結合剤は、
− 物理的、熱的、化学線により又は熱と化学線とにより硬化可能な、熱可塑性のホモポリマーの重付加樹脂及び重縮合樹脂;
− 物理的、熱的、化学線により又は熱と化学線とにより硬化可能な、熱可塑性、ランダム、交互及び/又はブロック状の構造の、線状、分枝状及び/又は櫛状の構造の、コポリマーの重付加樹脂及び重縮合樹脂;
− 物理的、熱的、化学線により又は熱と化学線とにより硬化可能な、熱可塑性の、エチレン性不飽和モノマーのホモポリマー及び
− 物理的、熱的、化学線により又は熱と化学線とにより硬化可能な、ランダム、交互及び/又はブロック状の構造の、線状、分枝状及び/又は櫛状の構造のエチレン性不飽和モノマーのコポリマー
からなるグループから選択される。
【0026】
この場合、化学線とは、本明細書において電磁線、例えば近赤外線(NIR)、可視光線、UV線、X線又はガンマ線、特にUV線及び粒子線、例えば電子線、ベータ線、陽子線、中性子線及びアルファ線、特に電子線であると解釈される。
【0027】
適当な熱的及び/又は化学線により硬化可能な結合剤は常用かつ公知であり、例えばドイツ国特許出願DE 100 27 270 A1、第5頁、段落[0067]〜第10頁、段落[0100]に記載されている。
【0028】
適当な物理的に硬化可能な結合剤は、同様に常用かつ公知であり、例えばドイツ国特許出願DE 101 20 770 A1、第11欄、段落[0082]〜第13欄、段落[0095]に記載されている。
【0029】
もちろん、それぞれ使用された小板状の効果顔料と不所望な相互作用、特に分解反応を起こさない結合剤を常に選択する。
【0030】
結合剤が次に記載する粒子(B)の結合剤と相容性である場合が有利である。更に、結合剤が粒子(B)の結合剤と同様の屈折率を有する場合が有利である。更に、前記結合剤が、粒子(B)の結合剤の融点又は溶融範囲を少なくとも10℃下回る融点又は溶融範囲を有する場合が有利である(これについてドイツ国特許出願DE 100 27 267 A1、第4頁、段落[0034]〜[0036]、[0040]及び[0041]参照)。特に、前記結合剤の最低成膜温度が少なくとも0℃、有利に少なくとも10、特に有利に少なくとも15、更に特に有利に少なくとも20、殊に少なくとも25℃である場合が有利である。前記最低成膜温度は、結合剤の水性分散液をブレードでガラスプレート上に塗布するか又は微細に分散された結合剤粉末をガラスプレート上に適用しかつ勾配炉で加熱することにより測定できる。粉末状の層が成膜する温度を、最低成膜温度と表す。補足的に、Roempp Lexikon Lacke und Druckfarben, Georg Thieme Verlag, Stuttgart, New York, 1998, 「Mindestfilmbildetemperatur」、第391頁を参照する。
【0031】
前記小板状の粒子(A)は、さらに少なくとも1種の添加物を通常量及び公知量で含有することができる。有利に、前記添加物は、粉末塗料の通常及び公知の成分からなるグループから選択される。この種の適当な添加物の例は、ドイツ国特許出願DE 100 27 270 A1、第4頁、段落[0046]〜[0050]、第5頁、段落[0053]及び第11頁、段落[0103]〜第12頁、段落[0107]に記載されているような架橋剤、添加剤及び着色顔料、充填剤及び着色剤である。
【0032】
前記小板状の粒子(A)は、さらに少なくとも1つの、特に透過性の、特に光学的に透明な、配向させる適用方法により製造可能な層を有することができる。配向させる適用方法の例は、流延塗布、ブレード塗布、ローラ塗布又は押出被覆法である。有利に、前記の透過性の層は、1〜30μm、特に1〜20μmの厚さである。
【0033】
有利に、粒子(A)の前記の透過性の層の厚さ及び小板状の効果顔料を含有する層の厚さは、全体の膜厚が50μm、特に20μmを上回らないように選択される。
【0034】
前記の透過性の層は、前記のオリゴマー及び/又はポリA−の結合剤の少なくとも1種を含有するか、又は前記結合剤からなる。更に、前記層は、不透明顔料の他に前記した添加物を含有することができる。前記層は、それ自体で、物理的、熱的、化学線により及び熱と化学線とにより、特に物理的に硬化することができる。
【0035】
前記小板状の粒子(A)はもしくは小板状の効果顔料が埋め込まれているマトリックスは、物理的、熱的、化学線により又は熱と化学線とにより硬化することができる。これは物理的に硬化されているのが有利である。
【0036】
本発明による被覆材料は、更に成分(B)からなる。
【0037】
成分(B)は、小板状の効果顔料を含有しない、透過性の、特に光学的に透明な、寸法安定性の、小板状でない粒子であるか、又は薄膜の直径D対膜厚dの比D:d<10:1、特に<5:1の小板状の粒子である。
【0038】
「寸法安定性」とは、前記の透過性の寸法安定性の粒子が、粉末被覆材料、特に粉末塗料の適用下で通常かつ公知の貯蔵条件下で、もしそうではあっても、わずかにアグロメレーションする及び/又はより小さな粒子に分解する及び剪断力の影響下でもほぼ当初の形状で維持されることを意味する。
【0039】
有利に、透過性の寸法安定性の粒子(B)はほぼ球形又は球形である。
【0040】
「ほぼ球形」とは、該当する透過性の寸法安定性の粒子(B)が、程度に差はあるが規則的な丸い形態を有し、例えば立方体の形、卵形又は円柱形であることを意味する。この場合、前記粒子は不規則な表面を有していることもできる。この種の透過性の寸法安定性の粒子(B)は、特に、粉末塗料の製造の際に通常実施されるような粉砕装置中で粗大な粒子の粉砕の際に生じる。
【0041】
「球形」とは、該当する透過性の寸法安定性の粒子(B)が、ほとんど平滑な表面を有する丸い形態を有することを意味する。この種の透過性の寸法安定性の粒子(B)は、特に前記粒子(B)の製造の際に、分散法を用いて製造される(例えば、欧州特許EP 0 960 152 B1参照)。
【0042】
前記寸法安定性の粒子(B)の粒子径は広範囲に可変であり、特に本発明による被覆材料の使用目的に依存する。有利に、前記に定義されたような平均粒径は、20〜500μm、特に20〜250μm、特に20〜100μmである。例えば欧州特許EP 0 666 779 B1又はEP 0 960 152 B1に記載されたように、狭い粒子径分布に調節するのが特に有利である。
【0043】
前記の透過性の寸法安定性の粒子(B)は、物理的、熱的、化学線により又は熱と化学線とにより硬化可能である(これについてドイツ国特許出願DE 100 27 270 A1、第5頁、段落[0060]〜[0063]参照)。前記粒子は物理的又は熱的に硬化可能であるのが有利である。前記粒子は、例えばドイツ国特許出願DE 100 27 270 A1、第5頁、段落[0064]〜第12頁、段落[0107]に記載されたような材料組成を有することができる。前記粒子は、ドイツ国特許出願DE 100 27 270 A1、第4頁、段落[0046]〜[0050]及び第5頁、段落[0053]に記載された顔料、充填剤及び着色剤を、これらが被覆されていない場合には含有することもできる。
【0044】
小板状の粒子(A)対透過性の、特に光学的に透明の寸法安定性の粒子(B)の混合比は極めて広範囲に可変であり、特に本発明による被覆材料から製造される本発明による被覆が有するべき小板状の効果顔料の含有量に依存する。前記混合比は有利に1:1〜1:10、特に1:1.5〜1:5である。
【0045】
本発明による被覆材料は、多様な方法を用いて製造することができる。前記被覆材料は本発明による方法を用いて製造するのが有利である。
【0046】
本発明による方法の場合に、方法工程(I)において、前記した小板状の効果顔料を、少なくとも1種の前記したポリマー及び/又はオリゴマーの結合剤の少なくとも1種の水溶液及び/又は有機溶液中に分散させる。
【0047】
適当な有機溶剤の例は、D. Stoye及びW. Freitag (編者), 》Paints, Coatings and Solvents《, Second, Completely Revised Edition, Wiley-VCH, Weinheim, New York, 1998, 》14.9. Solvent Groups《, 327 - 373頁から公知である。
【0048】
生じた分散液(I)の成分と有害な相互作用を示さず、特に前記効果顔料を損傷せず、結合剤に対して並びに場合により存在する分散液(I)の他の成分、例えば前記した添加剤、例えば熱硬化可能な結合剤用の常用かつ公知の架橋剤に対して高い溶解能を有し並びに実際の乾燥条件下で容易に蒸発する有機溶剤を使用するのが有利である。従って、当業者は適当な溶剤を、容易にその公知の溶解能及び反応性に基づき選択できる。特に良好に適した有機溶剤の例は、ドイツ国特許出願DE 100 57 165 A1、第6頁、段落[0056]に記載されている。
【0049】
分散液(I)の固体含有量は極めて広範囲に可変であり、かつ特に水中及び/又は有機溶剤中での結合剤の可溶性並びにそれぞれ使用された効果顔料の分散性に依存する。効果顔料/結合剤−比も極めて広範囲に可変であり、かつ特にそれぞれ使用された効果顔料についての結合剤の分散性に依存する。分散液(I)の固体含有量は、分散液(I)に対してそれぞれ10〜60質量%、特に10〜40質量%であるのが有利である。有利に、顔料/結合剤−比は、1:100〜1:1、特に1:50〜1:2である。有利に、分散液(I)の効果顔料の含有量は、分散液(I)に対してそれぞれ1〜30質量%、特に1〜20質量%であるのが有利である。
【0050】
本発明による方法において、分散液(I)を方法工程(II)で第1の変法(II.1)において、前記効果顔料の配向を一定の優先方向で生じさせる配向させる適用方法を用いて一時的な支持体上に適用する。適当な配向させる適用方法は前記されている。
【0051】
第2の変法(II.1)において、前記効果顔料の配向を一定の優先方向で生じさせない配向させない適用方法を用いて、一時的な支持体上に存在する透過性の、特に光学的に透明な、配向させる適用方法によって製造された層上に適用される。
【0052】
配向させない適用方法の例は、スプレー塗布法である。
【0053】
有利に、一時的な支持体はプラスチック、金属又はガラスから構成されている。有利に、前記一時的な支持体は付着防止特性を有する平滑な表面を有する。
【0054】
前記の透過性の、配向させる適用方法によって塗布された層は、多様な材料組成を有することができる。例えば、前記の透過性の層は、前記したオリゴマー及びポリマーの結合剤からなることもできる。しかしながら、前記の透過性の層は、例えばドイツ国特許出願DE 100 27 270 A1、第5頁、段落[0064]〜第12頁、段落[0107]に記載されたような粉末塗料の材料組成を有することもできるが、前記の透過性の層は不透明な顔料を含有していないだけである。前記の透過性の層は、物理的、熱的、化学線による又は熱と化学線とにより硬化可能である。前記の透過性の層は有利に1〜30μmの厚さである。
【0055】
有利に、方法工程(II)において変法(II.1)の場合に、層(II.1)はウェットフィルム膜厚で適用され、方法工程(III)において、前記層(II.1)の乾燥により又は乾燥及び硬化により、有利に前記した硬化法を用いて、特に乾燥及び物理的な硬化により、1〜50μm、特に1〜20μmのドライフィルム膜厚を生じさせる。
【0056】
有利に、方法工程(II)において変法(II.2)の場合に、層(II.2)はウェットフィルム膜厚で適用され、方法工程(III)において、前記層(II.2)の乾燥により又は乾燥及び硬化により、有利に前記した硬化法を用いて、特に乾燥及び物理的な硬化により、1〜49μm、特に1〜20μmのドライフィルム膜厚を生じさせる。有利に、層(II.2)のドライフィルム膜厚は、透過性の層と合わせて2〜50μm、特に2〜20μmの全体膜厚が生じるように選択される。
【0057】
本発明による方法の方法工程(IV)において、方法工程(III)で得られた層(III)をそれ自体単独で[変法(II.1)]又は透過性の、特に光学的に透明の被覆と一緒に[変法(II.2)]、一時的な支持体から剥離させる。有利に、この剥離は超音波又は機械的作用により、特に強い液体噴流の作用によって行われ、その際、使用される液体は前記層(III)を再び溶解させないことに留意すべきである。前記層(III)を一時的な支持体から剥離させる際に、小板状の剥離片(IV)が生じる。
【0058】
方法工程(V)において、小板状の剥離片(IV)を粉砕し、その粒子径に応じて分級する。このために、粉末状の被覆材料の分野において常用及び公知の粉砕装置及び分級装置を使用することができる。生じた小板状の粒子(A)は、一般にその中に含まれる小板状の効果顔料の粒子径よりも大きな粒子径を有する。小板状の粒子(A)中に含まれる小板状の効果顔料は、前記粒子(A)の表面に対して完全に又はほぼ完全に平行に配向されている。
【0059】
本発明による被覆材料の製造のために、小板状の粒子(A)は本発明による方法の方法工程(VI)において前記された透過性の、特に光学的に透明の寸法安定性の粉末状の粒子(B)と混合される。前記の混合比を適用するのが有利である。方法的に(A)と(B)との混合について特殊性はなく、粉末状の材料の乾式混合のために常用かつ公知の方法及び装置が適用される。
【0060】
前記の本発明による方法は、特に簡単でかつ優れた再現性で本発明による被覆材料を提供する。
【0061】
前記の本発明による被覆材料は、例えばBASF Lacke + Farben AG社の製品情報の「Pulverlacke」、1990、又はBASF Coatings AG社の社内文書の「Pulverlacke, Pulverlacke fuer industrielle Anwendungen」、2000年1月に記載されているような粉末塗装にとって常用かつ公知の適法方法を用いて更に良好に加工される。前記被覆材料の適用後に、前記被覆材料は、例えばドイツ国特許出願DE 100 27 270 A1、第15頁、段落[0140]〜[0148]に記載されているように、簡単な方法で、物理的、熱的、化学線により又は熱と化学線とにより、特に物理的又は熱的に硬化させることができる。
【0062】
特に、本発明による被覆材料は、基材上に着色及び/又は効果付与する被覆を、特に単層又は多層塗装を製造するために特に適している。
【0063】
本発明による被覆材料の全く特別な利点は、前記の被覆材料が、基材、例えば、飛行機、船舶、筋力により駆動する車両及び自動車を含めた移動手段のボディ、並びにその一部、屋内及び屋外領域の建築物並びにその一部、家具、窓、ドア、工業的な小部品、コイル、コンテナ、パッケージ、白物、シート、光学部材、電子工学部材、機械的部材又はガラス中空品の被覆にとって特別であることである。
【0064】
本発明による被覆材料の有利な特性のために、本発明による被覆は優れた光学特性、特に輝き、明度及び色彩変化を有する。前記の本発明による被覆は自動車品質を示し、従って高級車の塗装のためにも使用できる。
【0065】
実施例及び比較例
実施例1
小板状の粒子(A)の製造
小板状のアルミニウム効果顔料(Toyal社のAlphate(R) 7670 NS;固体含有量で計算)20質量部を、商品名Plexiglas(R) Formmasse 8N glasklar (Roehm GmbH & Co. KG社)のポリメチルメタクリラート80質量部とアセトン320質量部とからなる溶液中に、ディソルバー中で10分間に注意深く分散させた。この得られた分散液を、精密塗布装置中で、計量供給装置を用いてポリエチレンテレフタラートからなる基材上に適用した。この場合、基材/注入定規の間隙を60μmに設定した。適用された層を装置中で80℃で乾燥させた。30m/分の被覆速度で5±0.2μmの厚さdの層が得られた。前記層中で、小板状のアルミニウム顔料は表面に対して完全に平行に配向されていた。
【0066】
前記層を、強いウォータージェットを用いて連続運転装置中で剥離させた。水と小板状の剥離片とからなる生じた混合物を吸引濾過し、80℃で12時間乾燥させた。引き続き、前記の小板状の剥離片をカットミル中で粉砕し、薄膜の直径D90〜180μmの小板状の粒子(A)を更に使用するために分離した。
【0067】
実施例2
成分(A)と(B)とからなる被覆材料の製造
実施例1の小板状の粒子(B)32.5質量部を、メタクリラートコポリマーをベースとする市販の粉末塗料67.5質量部と乾式で混合した。生じた被覆材料は効果付与する塗装の製造のために適していた。
【0068】
実施例3及び比較例V1
効果付与する塗装の製造
実施例3について、実施例2の被覆材料を使用した。
【0069】
比較例V1について、常用かつ公知の標準ボンディング法により製造された、アルミニウム効果顔料が添加された粉末塗料(Benda-Lutz社のStabil(R) 7608)を使用した。
【0070】
前記被覆材料は、それぞれ同量のアルミニウム効果顔料を含有していた。前記被覆材料を静電気により試験板上に適用し、焼き付けて、それぞれ同じ膜厚が生じた。明度L*は、光源D65/TL及び84/Aを使用して測定器Byk(R) Colorviewを用いて測定し、CIELABにより評価した。実施例3の被覆の場合には明度L* 71.5が生じ、この明度は、比較例V1の被覆の明度L* 57よりも著しく高かった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A) 少なくとも1種の小板状の効果顔料が小板状の粒子の表面に対して完全に又はほぼ完全に平行に配向されて含有する、薄膜の直径D対膜厚dの比D:d=100:1〜10:1を有する小板状の粒子と、
(B) 小板状の効果顔料を含有ない、透過性の、寸法安定性の、小板状ではない粒子又は薄膜の直径D対膜厚dの比D:d<10:1を有する小板状の粒子とからなる、
粉末状の被覆材料。
【請求項2】
(A)対(B)の混合比は1:1〜1:10であることを特徴とする、請求項1記載の被覆材料。
【請求項3】
小板状の粒子(A)の粒子径は薄膜方向で50〜300μmであることを特徴とする、請求項1又は2記載の被覆材料。
【請求項4】
小板状の粒子(A)は1〜50μmの厚さであることを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項記載の被覆材料。
【請求項5】
小板状の効果顔料は、アルミニウム顔料、金青銅、火炎により着色された青銅、酸化鉄−アルミニウム顔料、フィッシュシルバー、塩基性炭酸鉛、オキシ塩化ビスマス、金属酸化物−雲母顔料、強い色彩変化を示す干渉顔料、微粉砕された二酸化チタン、小板状の黒鉛、小板状の酸化鉄及び液晶顔料からなるグループから選択されることを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項記載の被覆材料。
【請求項6】
小板状の粒子(A)は少なくとも1種のオリゴマー及び/又はポリマーの結合剤を含有することを特徴とする、請求項1記載の被覆材料。
【請求項7】
オリゴマー及び/又はポリマーの結合剤は、
− 物理的、熱的、化学線により又は熱と化学線とにより硬化可能な、熱可塑性のホモポリマーの重付加樹脂及び重縮合樹脂;
− 物理的、熱的、化学線により又は熱と化学線とにより硬化可能な、熱可塑性、ランダム、交互及び/又はブロック状の構造の、線状、分枝状及び/又は櫛状の構造の、コポリマーの重付加樹脂及び重縮合樹脂;
− 物理的、熱的、化学線により又は熱と化学線とにより硬化可能な、熱可塑性の、エチレン性不飽和モノマーのホモポリマー及び
− 物理的、熱的、化学線により又は熱と化学線とにより硬化可能な、ランダム、交互及び/又はブロック状の構造の、線状、分枝状及び/又は櫛状の構造の、エチレン性不飽和モノマーのコポリマー
からなるグループから選択されることを特徴とする、請求項6記載の被覆材料。
【請求項8】
粒子(A)は少なくとも1種の添加物を含有することを特徴とする、請求項1から7までのいずれか1項記載の被覆材料。
【請求項9】
粒子(A)は少なくとも1種の透過性の、配向させる適用方法により製造可能な層を含むことを特徴とする、請求項1から8までのいずれか1項記載の被覆材料。
【請求項10】
透過性の、配向させる適用方法により製造可能な透過性の層が1〜30μmの厚さであることを特徴とする、請求項9記載の被覆材料。
【請求項11】
透過性の、配向させる適用方法により製造可能な透過性の層が、オリゴマー及び/又はポリマーの結合剤を含有するか又は前記結合剤からなることを特徴とする、請求項9又は10記載の被覆材料。
【請求項12】
粒子(B)がほぼ球形又は球形であることを特徴とする、請求項1から11までのいずれか1項記載の被覆材料。
【請求項13】
粒子(B)は光学的に澄明であることを特徴とする、請求項1から12までのいずれか1項記載の被覆材料。
【請求項14】
粒子(B)は物理的、熱的、化学線により及び熱的と化学線とにより硬化可能であることを特徴とする、請求項1から13までのいずれか1項記載の被覆材料。
【請求項15】
粒子(B)が20〜500μmの平均粒子径を有することを特徴とする、請求項1から14までのいずれか1項記載の被覆材料。
【請求項16】
(I) 少なくとも1種の小板状の効果顔料を、少なくとも1種のポリマー及び/又はオリゴマーの結合剤の水溶液又は有機溶液中に分散させ、かつ
(II) 生じた分散液(I)を
(II.1) 前記効果顔料の配向を一定の優先方向で生じさせる配向させる適用方法を用いて、一時的な支持体上に適用するか又は
(II.2) 前記効果顔料の配向を一定の優先方向で生じさせない配向させない適用方法を用いて、一時的な支持体上に存在する透過性の、配向させる適用方法によって製造された層上に適用し、かつ
(III) 生じた層(II.1)又は(II.2)を乾燥させるか又は乾燥させてかつ硬化させ、
(IV) 生じた層(III)を単独で又は透過性の層と一緒に、小板状の剥離片の形で一時的な支持体から剥がし、
(V) 生じた小板状の剥離片(IV)を粉砕しかつ分級して、小板状の粒子(A)を生じさせ、
(VI) 前記小板状の粒子(A)を粒子(B)と混合する、
ことを特徴とする、請求項1から15までのいずれか1項記載の粉末状の被覆材料の製造方法。
【請求項17】
配向させる適用方法は、流延塗布、ブレード塗布、ローラ塗布又は押出被覆法であることを特徴とする、請求項16記載の方法。
【請求項18】
配向させない適用方法は、スプレー塗布法であることを特徴とする、請求項16又は17記載の方法。
【請求項19】
乾燥された又は乾燥及び硬化された層(II.1)のドライフィルム膜厚が1〜50μmであり、かつ乾燥された又は乾燥及び硬化された層(II.2)のドライフィルム膜厚が1〜49μmであることを特徴とする、請求項16から18までのいずれか1項記載の方法。
【請求項20】
一時的な支持体上に存在する透過性の、配向させる適用方法により製造された層の厚さは1〜30μmであることを特徴とする、請求項16から19までのいずれか1項記載の方法。
【請求項21】
一時的な支持体は、プラスチック、金属又はガラスから構成されていることを特徴とする、請求項16から20までのいずれか1項記載の方法。
【請求項22】
層(III)を乾燥させかつ物理的に硬化させることを特徴とする、請求項16から21までのいずれか1項記載の方法。
【請求項23】
小板状の剥離片(IV)を一時的な支持体から機械的に剥離させることを特徴とする、請求項16から22までのいずれか1項記載の方法。
【請求項24】
機械的な剥離を、液体噴流の吹き付けによるか又は超音波により実施することを特徴とする、請求項16から23までのいずれか1項記載の方法。
【請求項25】
基材上に着色する及び/又は効果付与する被覆を製造するための、請求項1から15までのいずれか1項記載の粉末状の被覆材料及び請求項16から24までのいずれか1項記載の方法を用いて製造された粉末状の被覆材料の使用。
【請求項26】
被覆が単層塗装又は多層塗装であることを特徴とする、請求項25記載の使用。
【請求項27】
基材が、移動手段のボディ又はその一部、建築物、家具、窓、ドア、工業的な小部品、コイル、コンテナ、パッケージ、白物、シート、光学部材、電子工学部材、機械的部材又はガラス中空品であることを特徴とする、請求項25又は26記載の使用。

【公表番号】特表2007−505962(P2007−505962A)
【公表日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−526646(P2006−526646)
【出願日】平成16年9月8日(2004.9.8)
【国際出願番号】PCT/EP2004/052307
【国際公開番号】WO2005/028573
【国際公開日】平成17年3月31日(2005.3.31)
【出願人】(390008981)ビーエーエスエフ コーティングス アクチェンゲゼルシャフト (155)
【氏名又は名称原語表記】BASF Coatings AG
【住所又は居所原語表記】Glasuritstrasse 1, D−48165 Muenster,Germany
【Fターム(参考)】