説明

動体検出装置および照明装置

【課題】検知エリアの照度が低い場合でも人体の検出を確実に行う。
【解決手段】動体検出装置2は、所定のエリアAに入った動体を検出する検出手段8と、少なくとも所定のエリアA内に放射光を照射する光源9と、検出手段8が動体を検出したときに光源9を点灯させる点灯制御装置10と、所定のエリアAの輝度分布を画像として出力するイメージセンサ11と、前記画像に基づいて、検出手段8で検出された動体が予め設定された検出目的物であるか否かを判断し、当該判断結果を出力する画像処理装置12を具備している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人体などの動体を検出するイメージセンサを備える動体検出装置およびこの動体検出装置を具備する照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
防犯などを目的として、外部からの侵入者を検出する人体検出装置が実用化されている。従来、この種の人体検出装置は、例えば焦電型の赤外線センサを用いたものが提案されていたが、これに加えて、可視光イメージセンサを用いた人体検知装置が提案されている(例えば特許文献1参照。)。この従来技術の人体検知装置は、可視光イメージセンサによって検出された可視光の画像において動体の大きさが所定の大きさ以上となり、かつ赤外線センサによって検出される赤外線の量または赤外線の変化量が所定の値以上となった場合、その動体が人体であると判定するものである。これにより、動体検出センサや赤外線センサが単独で備えられた人体検知装置と比べて誤検出を確実に低減できるというものである。
【0003】
また、可視光イメージセンサおよび赤外線イメージセンサを有する画像読取装置が提案されている(特許文献2参照。)。この従来技術の画像読取装置は、可視光イメージセンサおよび赤外線イメージセンサが物体からの反射光をその強度に応じた出力データとして検出するものであり、各イメージセンサより得られた各出力データを画素毎に相互に対応させる画像処理装置により、可視光イメージおよび赤外線イメージから構成される画像データを得ることにより、可視光線データでは背景画像と区別が困難な人物や動物、植物の画像についても、赤外線イメージでのデータを使用してエッジを抽出することにより、背景画像から容易に切り出し処理を行うことを可能とするものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−155177号公報(第3頁、第1図)
【特許文献2】特開平11−144031号公報(第4頁、第1図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の人体検知装置は、その可視光イメージセンサが検知エリアの可視光の画像を検出するので、検知エリアの照度が低い場合や夜間においては、可視光の画像が確実に検出できないことがあり、これにより、人体の検出が確実にできないという欠点を有する。
【0006】
また、特許文献2の画像読取装置は、例えば人物のみを検出する場合には、背景画像から切り出し処理された人物や動物、植物の画像から、例えば画像処理装置においてさらに人物の画像を取り出す必要があるという欠点を有する。また、赤外線イメージセンサは、非常に高価であるという欠点を有する。
【0007】
本発明は、安価であって、夜間であっても確実に検出目的物を検出可能な動体検出装置およびこの動体検出装置を具備する照明装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の動体検出装置の発明は、所定のエリアに入った動体を検出する検出手段と;少なくとも前記所定のエリア内に放射光を照射する光源と;前記検出手段が動体を検出したときに、前記光源を点灯させる点灯制御装置と;前記所定のエリアからの光を受光する受光部を有し、この受光部が受光した光に基づいて前記所定のエリアの輝度分布を画像として出力するイメージセンサと;このイメージセンサから出力された前記画像に基づいて、前記検出手段で検出された動体が予め設定された検出目的物であるか否かを判断し、当該判断結果を出力する画像処理装置と;を具備していることを特徴とする。
【0009】
本発明および以下の各発明において、特に言及しない限り、各構成は以下による。
【0010】
動体は、人体や動物の他、動くまたは動かされる物体であってもよい。
【0011】
検出手段は、動体から放射されまたは反射される赤外線を検出する赤外線センサ、赤外線などの光線の遮断を検出する対向式センサ、足などによって押圧される圧力を検出する圧力センサや足などによる押圧によってオンするフットスイッチ等のスイッチ類など、所定のエリアへの動体の入りを検出するものであればよい。
【0012】
光源は、例えば発光ダイオード(LED)素子や有機エレクトロルミネッセンス(EL)素子とすることができる。光源は、1個または複数個のいずれであってもよい。
【0013】
「光源が少なくとも所定のエリア内に放射光を照射する」とは、光源の放射光が所定のエリアの内側または所定のエリアの内側を含み所定のエリアの外側まで照射するように、光源が造営物や取付け部材などに取り付けられることを意味する。
【0014】
点灯制御装置は、光源に電力(電流)を供給して光源を点灯せるように形成されていてもよく、光源を点灯させる点灯装置(電源装置)を点灯制御するように形成されていてもよい。
【0015】
「受光部が所定のエリアからの光を受光する」とは、受光部が可視光などを受光するように形成されており、受光部が所定のエリアの方向を向くように、イメージセンサが造営物や取付け部材などに取り付けられていることを意味する。
【0016】
本発明によれば、所定のエリアに動体が入ると、光源が点灯され、光源から放射された放射光が所定のエリアを照明する。所定のエリアは、例え夜間であっても、または照度が低い場合であっても、動体を検出可能な照度に照明される。これにより、動体の輝度が所定のエリアの輝度分布に出現する。そして、少なくとも光源が点灯している期間の所定のエリアから放射されまたは反射される光は、イメージセンサの受光部により受光される。
【0017】
イメージセンサは、受光部が受光した光に基づいて、所定のエリアの輝度分布を画像として出力する。画像処理装置は、当該所定のエリアの輝度分布に出現している動体の輝度から所定のエリアに入った動体が予め設定された検出目的物であるか否かを判断し、当該判断結果を出力する。これにより、所定のエリアに入った動体のうち、予め設定された検出目的物が検出される。
【0018】
請求項2に記載の動体検出装置の発明は、請求項1記載の動体検出装置の発明において、前記光源は、近赤外光を放射することを特徴とする。
【0019】
イメージセンサは、その受光部が近赤外光ないし可視光を検出するように形成される。
【0020】
本発明によれば、近赤外光は、例え夜間であっても人に目視されにくいので、所定のエリアに入った人に知られることなく、所定のエリアが光源の放射光により照明される。
【0021】
請求項3に記載の照明装置の発明は、請求項1または2記載の動体検出装置と;可視光を放射する主光源が配設された照明器具と;前記動体検出装置から出力された判断結果に応じて、前記主光源の点灯状態を制御する制御装置と;を具備していることを特徴とする。
【0022】
主光源は、発光ダイオード(LED)素子、有機エレクトロルミネッセンス(EL)素子、蛍光ランプや高輝度放電ランプなどの放電ランプや電球など、可視光を放射するものであればよい。
【0023】
「主光源の点灯状態」とは、主光源の点灯、消灯または調光を意味する。
【0024】
照明器具は、所定のエリアを照明するように、造営物や取付け部材などに設けられていてもよく、他のエリアを照明するように設けられていてもよい。
【0025】
制御装置は、動体検出装置から出力された判断結果に応じて、例えば主光源を消灯から点灯させるものであってもよく、主光源を点灯から消灯させるものであってもよい。
【0026】
本発明によれば、所定のエリアに予め設定された検出目的物が入ると、照明器具の主光源の点灯状態が制御される照明装置が提供される。
【発明の効果】
【0027】
請求項1の発明によれば、所定のエリアに動体が入ったときに、所定のエリアが光源から放射される放射光により照明されるので、例え所定のエリアの照度が低い場合や夜間の場合であっても、動体を少なくとも前記放射光により照明することができて、イメージセンサが出力する画像に動体の輝度画像を出現させることができ、これにより、画像処理装置において予め設定された検出目的物を確実に判断することができて、所定のエリアに入った予め設定された検出目的物を確実に検出することができる。
【0028】
請求項2の発明によれば、光源は近赤外光を放射するので、検出目的物が人の場合には、例え夜間であっても人に知られることなく、光源により所定のエリアを所定の時間に亘って照明することができる。
【0029】
請求項3の発明によれば、動体検出装置が所定のエリアに入った予め設定された検出目的物を検出したときに、照明器具の主光源の点灯状態が変化するので、所定のエリアに予め設定された検出目的物が入ったことを報知させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の実施例1を示す照明装置の概略ブロック図。
【図2】同じく、照明器具の概略横断面図。
【図3】同じく、動体検出装置を示し、(a)は概略横断面図、(b)は概略下面図。
【図4】同じく、所定のエリアおよび動体の検出エリアを示す説明図。
【図5】本発明の実施例2を示す照明装置の概略ブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明の一実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0032】
本発明において、所定のエリアに入る動体は、検出手段およびイメージセンサにより検出される。そして、検出手段が所定のエリアに入った動体を検出すると、光源から放射された放射光が所定のエリア内に照射される。これにより、例え夜間であっても、所定のエリアの輝度分布には、動体の輝度が出現する。
【0033】
イメージセンサは、所定のエリアの輝度分布を画像として出力する。そして、画像処理装置は、動体の輝度画像から所定のエリアに入った動体が予め設定された検出目的物であるか否かを判断し、当該判断結果を出力する。
【実施例1】
【0034】
図1ないし図4は、本発明の実施例1を示し、図1は照明装置の概略ブロック図、図2は照明器具の概略横断面図、図3は動体検出装置を示し、図3(a)は概略横断面図、図3(b)は概略下面図、図4は所定のエリアおよび動体の検出エリアを示す説明図である。
【0035】
図1において、照明装置1は、動体検出装置2、照明器具3および制御装置4を有して構成されている。動体検出装置2は、所定のエリアに入った(侵入した)予め設定された検出目的物例えば人体を検出する。照明器具3は、配設された主光源5の点灯により、所定のエリアを含む大面積の領域を照明する。そして、制御装置4は、例えば照明器具3に内蔵され、動体検出装置2が予め設定された検出目的物(人体)を検出したときに、照明器具3の主光源5の点灯状態を制御するものであり、例えば消灯から点灯させる。
【0036】
照明器具3は、図2に示すように、地上に立設された柱状のポール6の頂上側において、図示しない取付けバンドにより取り付けられている。また、動体検出装置2は、照明器具3よりも地上側において、ポール6に設けられた架台7に取り付けられている。架台7は、図示しない取付けバンドまたはネジによりポール6に取り付けられている。そして、ポール6に近い地上面に所定のエリアが設けられており、動体検出装置2は、当該所定のエリアを向くようにして、架台7に図示しないネジにより取り付けられている。
【0037】
動体検出装置2は、図1に示すように、検出手段としての焦電型の赤外線センサ8、光源としての発光ダイオード(LED)素子9、点灯制御装置10、イメージセンサとしての可視光イメージセンサ11、画像処理装置12および電源部13を有して構成されている。
【0038】
そして、動体検出装置2は、図3(a)に示すように、赤外線センサ8、発光ダイオード素子9および可視光イメージセンサ11が下面に図示しない開口を有するセンサユニット14に収納され、点灯制御装置10、画像処理装置12および電源部13が装置ユニット15に収納されている。センサユニット14および装置ユニット15は、金属製のケース16に収納されている。ケース16は、防錆処理されており、
その外形は、下部側が直方体状に形成され、上部側が蒲鉾状に形成されている。
【0039】
ケース16は、その一端側16aの下面に長方形の開口17が形成されている。この開口17には、透光板18が嵌め込まれて、図示しない接着材により固着されている。透光板18は、赤外線ないし可視光を透過する強化ガラスやプラスチック材からなっている。そして、センサユニット14は、その下面の図示しない開口が透光板18(開口17)に正対するようにして、ケース16の一端側16aの内部に配設され、図示しない取付け部材により固定されている。赤外線センサ8、発光ダイオード素子9および可視光イメージセンサ11は、透光板18側に露出している。
【0040】
装置ユニット15は、ケース16の他端側16bの内部に配設され、図示しない取付け部材により固定されている。そして、ケース16は、その一端側16aの透光板18(開口17)が所定のエリアを向くようにして、その他端側16bが図2に示す架台7に取り付けられている。
【0041】
赤外線センサ8は、所定のエリアから放射されまたは反射される赤外線を受光(受信)するように形成されている。当該赤外線は、ケース16の透光板18を透過して、赤外線センサ8に受光される。ここで、赤外線センサ8は、図4に示すように、所定のエリアAよりも幾分内側からの赤外線を受光するように、動体検出装置2が地上面に対して設けられている。すなわち、赤外線センサ8の検出エリアCは、所定のエリアAよりも幾分小さい領域となっている。
【0042】
そして、赤外線センサ8は、所定のエリアAからの赤外線の受光量の変化が所定値以上であると、所定のエリアAに動体が存在するものとして、動体の検出信号を出力するように形成されている。すなわち、所定のエリアAに動体が入る(侵入する)と、動体から放射される赤外線および動体により反射される赤外線により、所定のエリアAから放射されまたは反射される赤外線量が変化し、赤外線センサ8の受光量が所定値以上変化する。これにより、赤外線センサ8は、所定のエリアAに入った動体を検出する。そして、赤外線センサ8は、図1に示すように、その検出信号を点灯制御装置10および画像処理装置12に出力する。
【0043】
発光ダイオード素子9は、近赤外光を放射するLEDベアチップからなり、図3に示すように、複数個が基板19に実装されている。発光ダイオード素子9および基板19は、LEDモジュール20に形成されている。発光ダイオード素子9から放射された近赤外光は、ケース16の透光板18を透過して所定のエリアAに照射される。そして、発光ダイオード素子9は、複数個からなるので、その照射エリアBは、図4に示すように、所定のエリアAの内側を含み、所定のエリアAよりも大きい領域となっている。そして、近赤外光は、例え夜間であっても人に目視されにくいので、発光ダイオード素子9の照射エリアBは、所定のエリアAに入った人に知られることなく照明される。
【0044】
発光ダイオード素子9は、点灯制御装置10により点灯制御される。点灯制御装置10は、図1に示すように、電源部13から直流電源が供給されている。そして、赤外線センサ8から出力された動体の検出信号を入力すると、発光ダイオード素子9に、所定の時間例えば1秒に亘って、定電流を供給するように形成されている。発光ダイオード素子9は、所定の時間(1秒)に亘って点灯し、近赤外光を放射する。
【0045】
可視光イメージセンサ11は、図3に示すように、略長方形体に形成され、ケース16の透光板18に正対する下面側に受光部11aが設けられている。この受光部11aは、近赤外光ないし可視光を受光するように形成されている。すなわち、透光板18は、所定のエリアAを向いているので、受光部11aは、所定のエリアAから放射されまたは反射されて、透光板18を透過した近赤外光ないし可視光を受光する。また、受光部11aは、図4に示すように、所定のエリアAから放射されまたは反射された近赤外光ないし可視光のうち、赤外線センサ8の検出エリアCよりも幾分小さい検出エリアDからの近赤外光ないし可視光を受光する。
【0046】
そして、可視光イメージセンサ11は、受光部11aが受光した近赤外光ないし可視光に基づいて、所定のエリアAの輝度分布を演算生成し、当該輝度分布を画像として出力するように形成されている。ここで、所定のエリアAに動体が入っていると、所定のエリアAの輝度分布に動体の輝度が出現し、前記輝度分布の画像に動体の輝度画像が出現するものである。前記輝度分布の画像は、図1に示すように、画像処理装置12に出力される。
【0047】
画像処理装置12は、図示しないマイコン、ROM、RAMや記憶部などを有して形成され、電源部13から直流電源が供給されて動作している。そして、赤外線センサ8が所定のエリアA(検出エリアC)に入った動体を検出し、その検出信号が入力されると、可視光イメージセンサ11に動作電源を供給するように形成されている。当該動作電源は、設定時間例えば2秒に亘って供給される。
【0048】
そして、画像処理装置12は、マイコンにおいて、可視光イメージセンサ11から出力された所定のエリアA(検出エリアD)の輝度分布の画像に基づいて、所定のエリアAに入った動体が予め設定された検出目的物例えば人体であるか否かを判断する。すなわち、所定のエリアAの輝度分布の画像に出現している動体の輝度画像(輝度形状)と、予め設定された検出目的物の画像(形状)とを比較して、所定のエリアAの動体が予め設定された検出目的物と一致し、類似し、または予め設定された検出目的物に対して変形しているなどと判定すると、所定のエリアAに入った動体が予め設定された検出目的物であると判断するものである。ここで、予め設定された検出目的物(人体)は、その画像形状、動作状態や熱量などが画像データとして予め記憶部に記憶されている。
【0049】
こうして、画像処理装置12は、所定のエリア8内における予め設定された検出目的物(人体)の有無を判断し、当該判断結果として、予め設定された検出目的物の有無信号を制御装置4に出力するように形成されている。例えば、予め設定された検出目的物の有り信号として、DC5Vを出力し、予め設定された検出目的物の無し信号として、DC0Vを出力する。ここで、画像処理装置12は、前記有り信号を一定時間例えば1分に亘って出力するように形成されている。すなわち、所定のエリアAから予め設定された検出目的物が出て、所定のエリアA内に予め設定された検出目的物が存在しなくなっても、その時点から一定時間(1分)に亘って有り信号を出力する。
【0050】
電源部13は、商用交流電源Vsに接続されており、交流電圧を直流電源に変換して、当該直流電源を点灯制御装置10および画像処理装置12に供給するように形成されている。また、赤外線センサ8に動作電源を常時供給している。
【0051】
動体検出装置2は、上述のように構成され、所定のエリアAに動体が入ると、所定のエリアA内における予め設定された検出目的物(人体)の有無信号を出力する。そして、予め設定された検出目的物の有無信号により、照明器具3の主光源5の点灯状態を制御するものである。
【0052】
照明器具3は、制御装置4および主光源5を配設している。主光源5は、例えば、可視光例えば白色光を放射する発光ダイオード(LED)素子からなっている。そして、制御装置4は、商用交流電源Vsに接続されている。
【0053】
制御装置4は、動体検出装置2の画像処理装置12から予め設定された検出目的物(人体)の有り信号(DC5V)が出力されると、交流電圧を直流電圧に変換し、主光源5に定電流を供給する。また、画像処理装置12から予め設定された検出目的物の有り信号(DC5V)が出力されなくなり、無し信号(DC0V)が出力されると、主光源5への定電流の供給を停止する。
【0054】
主光源5は、制御装置4から定電流が供給されると点灯し、定電流が供給されなくなると消灯する。制御装置4は、主光源5を点灯制御する点灯装置として機能している。こうして、制御装置4は、動体検出装置2から出力された判断結果としての予め設定された検出目的物の有無信号に応じて、主光源5の点灯状態を制御するように形成されている。
【0055】
制御装置4は、図2に示すように、照明器具3の略三角筒状に形成された器具本体21の内部に配設されている。また、主光源5は、LEDモジュール22に形成され、器具本体21の図中、正面側および背面側に配設されている。LEDモジュール22などは、器具本体21に取り付けられた略蒲鉾状のグローブ23により覆われている。器具本体21およびグローブ23間には、図示しない防水パッキンが介在している。グローブ23は、例えば透明のアクリルからなっている。
【0056】
そして、器具本体21には、継ぎ金具24が一体的に形成されている。継ぎ金具24は、ポール6に取り付けられた取付金具25に取付ボルト26,26により固定されている。こうして、照明器具3は、ポール6に取り付けられている。
【0057】
次に、本発明の実施例1の作用について述べる。
【0058】
動体検出装置2の赤外線センサ8は、常時、電源部13から動作電源が供給されて動作しているので、所定のエリアAに動体例えば人体が入ると、当該動体を検出し、その検出信号を点灯制御装置10および画像処理装置12に出力する。
【0059】
点灯制御装置10は、前記検出信号に応じて、発光ダイオード素子9を所定の時間(例えば1秒)に亘って点灯させる。発光ダイオード素子9は、近赤外光を放射し、所定のエリアAを照明する。
【0060】
例えば、夜間の場合または所定のエリアAの照度が低い場合には、所定のエリアAの輝度と、所定のエリアAに入った動体の輝度との差が小さく、所定のエリアAの輝度分布に動体の輝度が出現しにくい。ここで、夜間の場合または所定のエリアAの照度が低い場合であっても、発光ダイオード素子9から放射された近赤外光により所定のエリアAが照明されると、動体が近赤外光を局所的に多く反射するので、所定のエリアAの輝度分布に動体の輝度が出現するようになる。
【0061】
また、画像処理装置12は、赤外線センサ8から出力された検出信号を入力すると、可視光イメージセンサ11に制御電源を供給し、可視光イメージセンサ11を設定時間例えば2秒に亘って動作させる。
【0062】
可視光イメージセンサ11は、発光ダイオード素子9が点灯している期間を含み、所定のエリアAから放射されまたは反射される近赤外光ないし可視光を受光部11aにおいて受光する。そして、当該受光した近赤外光ないし可視光に基づいて、所定のエリアAの輝度分布を演算生成し、画像として画像処理装置12に出力する。ここで、所定のエリアAの輝度分布の画像には、所定のエリアAに入った動体の輝度画像が出現している。
【0063】
なお、赤外線センサ8は、所定のエリアA内を移動する動体を継続的に検出するものであり、その都度、動体の検出信号を出力するものである。そして、点灯制御装置10および画像処理装置12は、動体の検出信号が入力される度に、上記の制御を行うものである。
【0064】
画像処理装置12は、所定のエリアAの輝度分布の画像に出現している動体の輝度画像と、記憶部に記憶している予め設定された検出目的物の画像データを比較する。そして、所定のエリアAに入った動体が予め設定された検出目的物(人体)であると判断すると、予め設定された検出目的物の有り信号(DC5V)を制御装置4に出力し、所定のエリアAに入った動体が予め設定された検出目的物(人体)と異なると判断すると、予め設定された検出目的物の無し信号(DC0V)を出力する。これにより、動体検出装置2は、所定のエリアAに入った動体のうち、検出する目的の人体である予め設定された検出目的物のみを検出することができる。
【0065】
そして、制御装置4は、予め設定された検出目的物の有り信号に応じて、一定時間(例えば1分)に亘って主光源5を点灯
させる。主光源5から放射された可視光(白色光)は、所定のエリアAを含む地上面の大領域を照明する。これにより、予め設定された検出目的物が所定のエリアAに入ったことが、動体本人および外部者に報知される。
【0066】
上述したように、動体検出装置2は、所定のエリアAに動体が入ったときに、所定のエリアAを発光ダイオード素子8から放射される近赤外光により照明するので、例え所定のエリアAの照度が低い場合や夜間の場合であっても、動体を少なくとも近赤外光により照明することができて、可視光イメージセンサ11が出力する所定エリアAの輝度分布の画像に動体の輝度画像を出現させることができ、これにより、画像処理装置12において予め設定された検出目的物(人体)を確実に判断することができて、所定のエリアAに入った予め設定された検出目的物(人体)を確実に検出することができる。そして、動体検出装置2は、高価な赤外線イメージセンサを用いないので、安価に形成することができる。
【0067】
また、可視光イメージセンサ11は、所定のエリアAに動体が入らない限り画像処理装置12から動作電源が供給されないので、所定のエリアAに動体が入らない期間に亘って電力消費が無く、これにより、動体検出装置2の省電力を図ることができる。
【0068】
また、発光ダイオード素子9から放射される近赤外光は、例え夜間であっても人に目視されにくいので、所定のエリアAに人が入ると、当人に知られることなく、所定のエリアAを所定の時間に亘って照明することができる。
【0069】
そして、照明装置1は、動体検出装置2が所定のエリアAに入った予め設定された検出目的物(人体)を検出したときに、照明器具3の主光源5の点灯状態が変化するので、所定のエリアAに予め設定された検出目的物(人体)が入ったことを動体本人および外部者に容易に報知することができる。
【0070】
なお、光源としての発光ダイオード素子9は、可視光を放射するように形成されてもよい。この場合、点灯制御装置10は、発光ダイオード素子9を瞬時点灯(例えば0.1秒)させると、所定のエリアAに入った人に知られることなく、所定のエリアAを照明することができる。
【実施例2】
【0071】
図5は、本発明の実施例2を示す照明装置の概略ブロック図である。なお、図1と同一部分には、同一符号を付して説明は省略する。
【0072】
図5に示す照明装置1Aは、図1に示す照明装置1において、照明器具3Aおよび報知音発生装置27が設けられたものである。そして、制御装置4Aは、照明器具3Aおよび報知音発生装置27への商用交流電源Vsをオンオフするように構成されたものである。
【0073】
照明器具3Aは、主光源5およびこの主光源5を点灯制御する点灯装置28を配設している。点灯装置28は、商用交流電源Vsの交流電圧を直流電圧に変換し、主光源5に定電流を供給するように形成されている。主光源5は、商用交流電源Vsが点灯装置28に供給されると点灯し、商用交流電源Vsが遮断されると消灯する。
【0074】
報知音発生装置27は、例えばブザーやチャイムなどであり、所望の場所に設置される。そして、報知音発生装置27は、商用交流電源Vsが供給されると、所定の音声を発生し、商用交流電源Vsが遮断されると、音声を発生しないものである。
【0075】
制御装置4Aは、制御部29および開閉器30を有して構成されている。制御部29は、動体検出装置2の画像処理装置12に接続され、画像処理装置12から出力された判断結果としての予め設定された検出目的物の有無信号を入力する。開閉器30は、その常開接点30a,30aが商用交流電源Vsと、照明器具3Aおよび報知音発生装置27との間に設けられている。
【0076】
制御部29は、動体検出装置2から予め設定された検出目的物の無し信号(例えばDC0V)が出力されると、常開接点30a,30aが開路するように開閉器30を制御する。これにより、照明器具3Aおよび報知音発生装置27は、それぞれ商用交流電源Vsから遮断される。
【0077】
そして、制御部29は、動体検出装置2から予め設定された検出目的物の有り信号(DC5V)が出力されると、常開接点30a,30aが閉路するように開閉器30を制御する。これにより、照明器具3Aおよび報知音発生装置27は、それぞれ商用交流電源Vsに接続される。照明器具3Aは、主光源5から放射された可視光(白色光)を出射し、所定のエリアAを含む大領域を照明する。報知音発生装置27は、音声を発生し、所定のエリアAに予め設定された検出目的物(例えば人体)が入ったことを報知する。
【0078】
照明装置1Aは、報知音発生装置27を具備し、所定のエリアAに予め設定された検出目的物(人体)が入ったことを報知するので、防犯用や来客用として使用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0079】
本発明は、建物や敷地などの所定のエリアに入る人体等を検出し、警報や照明などを発生させる防犯制御システム、照明器具を制御する照明制御システムや空調設備を制御する空調制御システムなど、または所定のエリアを通過する車両や物品等を検出し、情報を知らせる交通制御システム、物流制御システムや製造制御システムなどに利用することができる。
【符号の説明】
【0080】
1,1A…照明装置、 2…動体検出装置、 3,3A…照明器具、 4,4A…制御装置、 8…検出手段としての赤外線センサ、 9…光源としての発光ダイオード(LED)素子、 10…点灯制御装置、 11…イメージセンサとしての可視光イメージセンサ、 12…画像処理装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定のエリアに入った動体を検出する検出手段と; 少なくとも前記所定のエリア内に放射光を照射する光源と; 前記検出手段が動体を検出したときに、前記光源を点灯させる点灯制御装置と; 前記所定のエリアからの光を受光する受光部を有し、この受光部が受光した光に基づいて前記所定のエリアの輝度分布を画像として出力するイメージセンサと; このイメージセンサから出力された前記画像に基づいて、前記検出手段で検出された動体が予め設定された検出目的物であるか否かを判断し、当該判断結果を出力する画像処理装置と;を具備していることを特徴とする動体検出装置。
【請求項2】
前記光源は、近赤外光を放射することを特徴とする請求項1記載の動体検出装置。
【請求項3】
請求項1または2記載の動体検出装置と; 可視光を放射する主光源が配設された照明器具と; 前記動体検出装置から出力された判断結果に応じて、前記主光源の点灯状態を制御する制御装置と;を具備していることを特徴とする照明装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−44246(P2011−44246A)
【公開日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−189904(P2009−189904)
【出願日】平成21年8月19日(2009.8.19)
【出願人】(000003757)東芝ライテック株式会社 (2,710)
【Fターム(参考)】