説明

動作を制御された処置台及びその使用方法

処置台は股関節形成術及び膝関節形成術に必要な機能性を小規模な医療施設でも許容可能なコストで提供する。この処置台は患者の肢のポジショニングの間に牽引を保持する摺動機構を使用する。この処置台は正確な膝のポジショニングのために股関節形成アタッチメントを利用することもでき、これには例えば処置台のスパーに取り付けられた摺動アセンブリを使用する。処置台には側方傾斜とトレンデレンブルグ運動との両方のための一対のアクチュエータを含めることができ、これは従来の処置台から複雑さを低減させる。この処置台には取り外し自在な電源/制御モジュールを含めることもでき、これは損傷した部品の迅速且つ容易な交換を可能とする。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
発明の技術分野
本発明は処置台及び医療支援に関し、特に、股関節置換手術、膝代替手術などの処置中に患者を支援するのに有益な処置台及び医療支援に関する。
【0002】
発明の背景
外科における最近の発展は、より小さく及び/又は僅かな切開を用いて、従来の処置における筋肉組織の分離や切断を必要としない低侵襲的処置に焦点をあてている。例えば、低侵襲的股関節置換手術は患者の肢の前方で侵入を利用する。この侵入点で、施術者は従来の処置のように多数の切開又は長さ数十インチの複数の切開をなすのではなく、長さ約4インチ(約10cm)のただ一つの切開をなしながら、股関節置換手術を実行できる。更に、肢の中の筋肉は、これらの処置における分離や切断で損なわれることがないので、はるかに速い回復時間がもたらされる。これらの処置は依然として寛骨臼へのアクセスを必要としており、補綴の挿入の前に寛骨臼に穴を広げなければならない。 更に、大腿部の適切な操作とポジショニングは前進人工股関節置換手術外科を実行するのに不可欠である。
【0003】
詳細な説明
本発明の様々な実施形態よるシステム及び方法は、股関節及び膝関節形成処置などのための既存の処置台及び支援構造体における能力不足を克服できる。本願の譲受人は、そのような処置のための処置台の分野で既に長足の進歩を遂げており、Union City(カリフォルニア)のOSIから入手可能なPROfx(登録商標)整形外科用処置台などの処置台を生産している。そのような台100の説明図を図1に示す。そのような手術を受ける患者102は、外科手術のために通常は麻酔をかけられて処置台100に乗せられる。患者の背中は処置台のプラットホーム部分104に乗せられ、患者の肢106,108は処置台のスパー(spar)110,112上に乗せられる。各スパーはそれぞれが、患者の肢を収容する牽引システム114(左肢のために見えない)を有しており、その肢を所定位置に保持する。この牽引システムは患者の肢に所望量の力を加える設定機構116を持つことができる。患者の臀部118はプラットホーム部分104とスパー110,112との間のピボット継手に隣接して置かれ、患者の肢が前進股関節手術のためなど処置に適切な位置へ移動させることを可能にする。この図においては、患者は右肢106に関連している臀部の手術のために位置させられている。牽引システムによる牽引を確実にするために牽引ブーツ120,122を使用できる。 大腿部支持フック126を上げ下ろしするために手動処置台ジャッキ124を使用でき、傾斜ブラケット部材128によりジャッキに接続されている。ジャッキ124の上げ下ろしは回動又は回転シャフト130を介して実行でき、その動きは方向矢印132によって示されている。 また、傾斜ブラケット128はジャッキ124に対して回転でき、外科処置を実行している施術者が、位置の内外へフックを回動させて、右肢106の中の大腿部に対する支持体128の位置決めの完全な調節を与えて、フックの端部は処置期間中に大腿部を収容して支えるために形状付けられている。適切なフックは係属中の米国特許出願第10/930,809号(発明の名称”Surgical Support for Femur”Jeal M.Matta,2004年9月1日出願、2006年3月23日に米国公報第2006,0064103号として公開)に説明されており、これは参照により本明細書に組み込まれている。フック及び対応する部品が処置台の各側面にあることができ、これは各肢について一つであって、患者のどちらの側面でも手術を可能にするためである。
【0004】
手術中に、施術者は支持フック126の基部を傾斜ブラケット128上の適切な開口に配置することができる。ブラケットには基部を収容するための多くの開口があり、フックの収容端部を、支持すべき大腿部から適切な距離に位置させるようにしてある。患者に切開をなした後の適切な時間に、適切な側のフック126を患者の股関節部で傷における位置へ揺動させることができ、大腿部を支持するように置くことができる。施術者(又は助手)は、ジャッキ24を適切な角度へ調整して大腿部を支持して、施術者が患者の人工股関節交換を実行するために寛骨臼及び臀部の他の部分への制約のないアクセスを得ることができるようにする。大腿部の支持がもはや必要でなくなると、フックを含む支持体はジャッキを用いて下げて、患者の創傷から揺動させて、方向矢印134で示すように、ジャッキ124に対するブラケット128の回動により外側へ動かすことができる。手術が進行して終了すると、フック128は取り外すか、またはこの位置へ残すことができる。
【0005】
このような処置台は極端な柔軟性を提供するが、これは比較的高いコスト(部分的には柔軟性と機能性の額に起因している)がかかる特定のユーザーにとっては不都合である。このようなコストは、全ての機能性が必要若しくは期待される外傷センターにとっては許容できるかもしれないが、このコストは股関節交換及び/又は膝関節交換だけをしている医師にとって過度であろう。従って、股関節/膝関節形成に必要な機能性を与え、より妥当な価格をもたらす処置台を提供するのは望ましいことである。また、更に使い勝手のよい経験を与えるために、図1の処置台に機能性を構築することも望ましいことである。
【0006】
これらの幾多の要求を満足するように試みると、図2及び図3は一つの実施形態による処置台200を示す。例示的な処置台の特徴は、OSI、Inc(30031 Ahern Ave.,Union City、CA 94587)から入手可能なhana(登録商標)股関節及び膝関節形成処置台に見ることができる。 この処置台は、股関節及び膝関節形成術に必要な機能性を提供すると共に、より小さな患者治療センターにも許容できる費用で生産できる。一つの実施形態では、処置台は堅固な安定性及び良好な剛性を与えて、450Ibまで患者を支持することができる。この処置台は、容易な患者搬送のためにロープロファイルを持つことができ、約28インチ(約70cm)の高さにまで下げるか、又は48インチ(約120cm)の高さまで上げることができる。肢を位置させる独特な能力によれば、処置台は施術者にただ一つの切開(骨盤か大腿骨からの筋肉の分離のない前方のアプローチ)で股関節交換を可能とさせる。処置台は大腿骨コンポーネント配置のための股関節の過進展、外転、内転、及び外旋を可能とし、これは多くの従来の処置台では不可能な位置の選択を含んでいる。側部及び後部の軟組織への撹乱がないことは、施術後の臀部の迅速な安定性を与える。このような処置台は、整形外科的外傷及び最少の侵襲的整形外科処置にとって理想的である。この処置台には遠隔制御器ユニット(例えばハンドペンダントなど)及び補助制御器を含めて、処置中に最大の使い勝手の良さを与えることができる。これらの制御器は広範囲な操作性に備えており、下肢の関節で施術者を支援する。
【0007】
上述したように、このような処置台は、施術者がただ一つの切開だけを必要とする最少量の侵襲的な前方アプローチを用いることを可能とする。 そのようなアプローチは、筋肉の切断を必要としないが、自然な劈開で筋肉を分離する。全体の外科処置が数時間程度でなせるので、患者は大抵は数時間後に歩けるようになり、翌日には帰宅することができる。処置台は充分な大腿部支持を与え、肢を牽引及び外転させるので、大腿部が全く良好に安定し、施術者に大腿骨コンポーネントに切開をなすことを可能にさせる。
【0008】
図に見られるように、処置台200は、(図3に示すような)患者の背中を受けるプラットホーム部分202、及び患者の肢を置くためのスパー204,206を含む。プラットホーム及びスパーなどの処置台の部分は、炭素繊維材料などの放射線透過性材料から形成できる。一つの実施形態では、35インチ(約87.5cm)の放射線透過性カンチレバー先端と放射線透過性肢スパーとを組み合わせると、そのような構造は患者の頭部からつま先まで連続して撮像するための広範囲な撮像能力を与える。この処置台はエックス線撮像について制約のないCアームアクセスも可能とする。炭素繊維先端と炭素繊維放射線透過性肢スパーは、牽引を維持しながら、患者の肢、臀部及び骨盤についての遮るもののない画像形成をなすように配置することができる。また、スパーには撮像期間中に影を防ぐ目的で、断面台形状を持たせることもできる。
【0009】
プラットホーム202とスパー204,206との両方は、図4に最もよく示されるプレート203によって支持される。図3は膝関節形成のための処置台200の上に載せられている患者300を示す。参照符号は単純化のために図面の間の適切なところに示してある。一つの実施形態におけるスパー204、206は球状空間ポジショニングシステムを利用しており、これはスパーの複雑な運動に備えるボールジョイント型ピボット継手205を有している。図2ではスパー204についてのジョイント205のみが見えるが、同様なジョイント205がスパー206についても設けられている。各スパーは牽引システム208,210を有し、これは患者の肢を受けて、その肢を所望の位置に保持する。 牽引システムは患者の肢へ所望量の力を加えるための牽引設定機構212を持つことができる。 牽引システムの一つに取り付けられたそれぞれの牽引ブーツ214、216により各肢を受けることができ、患者の位置、操作、及び牽引の正確な調整を可能とする。それぞれの牽引設定機構は、プラットホーム部分202に対してそれぞれのブーツを向かわせるか或いは離間させるように指向させて、肢の長さを調整して適切な支持力を与える。
【0010】
患者の臀部は、プラットホーム部分202とスパー204,206との間のピボット継手205に隣接して配置して、患者の肢を施術者にとって適切な位置へ動かすことを可能とする。各スパーは、施術者か助手に容易に各スパーを配置させるハンドル218と、解除機構220とを含み、その解除機構はスパーの移動を可能とするように解放し、またスパーを所定位置に係止するように締め付ける。スパーは肢位置の水平(即ち、内転と外転)と垂直との両方の調整を可能とし、これは部分的には、各スパー204,206をベース部分222へ接続するボールジョイント(図示しない)などの回転継手により可能である。
【0011】
スパーはベース部分222から片持ち梁状に離れており、これは処置台を上下させる当技術分野で公知のデバイスを含む。図4を参照すると、一つの実施形態ではベース222におけるカラム508は、プラットホーム202を支持するプレート203へ他の部品(後述する)を介して接続される。カラム508は、電機式アクチュエータを介して上下動を与えるようにベアリング及びスライダー機構で作動し、施術者がスパー204,206を含む処置台の作業部全体を上昇及び/又は下降させることを可能とする。施術者が必要に応じて処置台の位置を調整できるようにフットペダル224を設けることができる。フットペダルを線形アクチュエータと共に使用する方法は当技術分野ではよく知られており、ここでは詳細には説明しない。図4に示されているように、ベース部分には、必要に応じてベース部分の高さを調整できる多数の入れ子部材400,402,404,406を含めることができ、これは例えば施術者がフット・ペダルを起動するか、或いはベース部分上の制御パネルにより調整できる。この制御パネルはベースステーションに固定できるか、或いは遠隔制御機構として作動するように取り外し自在にすることができる。
【0012】
プラットホーム202を支持するプレート203は、処置台の両側に位置する一対のアクチュエータ(図ではその一方は見えない)によりベース222へ接続されている。アクチュエータ500は両方向への側方傾斜のみならずトレンデレンブルグ運動及び逆トレンデレンブルグ運動を与えるのに使用できる。図示の実施形態においては、各アクチュエータは図4に示すタイプのモータ駆動拡張自在部材であるが、代替的には、必要に応じてギヤ又はレバーアセンブリとすることもできる。各拡張自在部材501はベースハウジング233(これはベース222(図2)の上段400内に装着されている)の内室の一端に取り付けられており、その他端では、プレート203から懸架する支持体503へ接続されている。各アクチュエータ500は二つの直交軸の周りで(好ましくは図示のように部材501と支持体503との間のカップリングにおいて)揺動自在であり、処置台の動作中のアクチュエータの拘束を防止する。図4を再度参照すると、運動の付加的な自由度が、ハウジング部分223をプレート203へ接続する自在継手により与えられる。自在継手は、処置台の縦軸を横切る揺動軸を有するピボット504、処置台の縦軸に平行な旋回軸を有するピボット506から形成される。処置台が側方傾斜すると、プレート203はピポット505の周りで揺動する。処置台がトレンデレンブルグ位へ移動すると、プレート203はピボット505の軸の周りで揺動する。
【0013】
アクチュエータ500の配置構成には、プラットホームの必要な傾斜を達成するために必要なのは一対のモータ(各アクチュエータについて一つずつ)のみであるという利点がある。処置台の側方傾斜は、他方のアクチュエータを延伸させることなく(又は短い距離だけ他方のアクチュエータを延伸させることによって)、一方のアクチュエータを延伸させることにより達成される。これらのアクチュエータは、トレンデレンブルグ位及び逆トレンデレンブルグ位のために同時に長くされたり短くされたりする。従来技術の処置台は側方傾斜のために、一対のモータ、トレンデレンブルグ運動のための個別の対、及び処置台を昇降させるための付加的なモータを必要とするところ、ここに説明した実施形態による処置台は3個のみのモータ(処置台を上昇及び下降させるために一つ、各アククチュエータについて一つ)を必要とする。なお、従来の処置台は5つのモータを必要としていた。使用したモータ及びアクチュエータは、公知の適宜なデバイス、或いは可動部材の位置を駆動するために当技術分野で用いられているもの、例えば医療用処置台のスパーなどとすることができる。
【0014】
処置台は、患者を通常の処置について望ましい特定の体位に患者を配置するためにアクチュエータを駆動するようにプログラムされたコントローラと、処置台の所望の向きへの押しボタン移動を可能とするキーパッド408(図2)又は指示パネルとを含むことが好ましい。例えば、施術者は、トレンデレンブルグボタン又は左傾斜又は右傾斜ボタンを起動して、それに従って処置台のソフトウェアにアクチュエータを駆動させることができる。アクチュエータ500の移動はハードウェア又はソフトウェア、或いはそれらの組み合わせにより制御できる。施術者又は助手は適宜な入力デバイス、例えばジョイスティック、一連の制御ボタンを通じて、或いは音声起動を通じて入力を与えることができる。処置台はゼロ関数復帰も持つことができる。
【0015】
図5A乃至図5Dは、ベース222に対するプラットホーム202及びスパー204,206の位置の例を図解する。例えば、図5Aに示すように、処置台はプラットホーム202とスパー204との両方と共に床面に対して平行に位置させてもよく、或いは、処置台をトレンデレンブルグ位へ位置させるのにアクチュエータ500(図4)を使用して、図5Bに示すように、プラットホームとスパーとの両方と共に床面に対して同じ角度にしてもよい。プラットホーム202の位置にかかわらず、床面に対するスパーの角度は、図5Cに示して上述したようなボールジョイント205を用いてプラットホーム角度202とは個別に調整してもよい。更に、ボールジョイント205は外転及び/又は図5Dに示すようにスパー位置を外転させるように調整してもよく、或いは複数のスパーをそれらの長手軸の周りに回動させるように調整してもよい。
【0016】
図2及び図6は様々な実施の態様に従って用いることができる大腿部支持を図解する。例えば大腿部支持フック600,602は各大腿を支持するように処置台200の何れの側にも配置することができる。これらフックは、傾斜ブラケット604を介して適宜な垂直ポジショニングシステム又はパワーリフト、例えば電動ジャッキ608へ取り付けることができる。このような施術者によって制御された大腿部パワーリフトは、改良された外科的アクセスのために股関節の過伸展を可能とする。適切な配置は、大腿骨が臀部の寛骨臼へのアクセスを妨げることなく、施術者が人工股関節置換手術をなすことを可能とする。垂直ポジショニングシステムは、処置台へ取り付けるか、又は処置台に対して固定された位置に置かれるように設計されたベース部分を含むことができる。図1に関連して説明した形式の手動ジャッキを用いてもよいが、電動ジャッキを使用する利点は、施術者が例えば遠隔制御デバイスの使用により直接にジャッキを制御できることであり、これは従来のシステムにおける施術者とジャッキについてのクランクを回している助手との間の潜在的な意思疎通の問題を回避できる。
【0017】
電動ジャッキ(これはベース制御ユニット、遠隔制御ユニット、又はフットペダルを介して施術者により制御できる)は、適切な大腿部支持フックを昇降させるのに用いることができる。各傾斜ブラケット604は各ジャッキ608に関して回動できるので、手術を施す施術者はフックを所定位置の内外へ回動させることができ、大腿部に対する支持体の完全な制御が与えられる。電動ジャッキ及び制御機構は、直線運動の制御量を与えるために当技術分野で公知若しくは用いられている適宜なデバイスを含むことができる。図6の実施形態に見られるように、ジャッキには回転駆動モータ614によって制御された入れ子式部材612を含めることができる。 代替的な実施形態では、ブラケットのフックの位置及び/又はブラケットの回転は摺動機構により実行でき、或いは電動デバイスの使用により自動化できる。これらの調整は施術者及び/又は助手に利用可能な適宜な制御機構をにより達成できる。
【0018】
フック又は支持機構の動作は、例えば適宜な力フィードバック技術を有するコンピュータ制御によって自動化できるが、適切な配置を確実にして負傷を防止するためには施術者がフックをそれが所定位置に置かれるように保持して探ることが依然として望ましい(そのようにすることが必要な場合もある)。各患者は体重や体型が異なるのみならず、特有の大きさの筋肉張力を持つので自動化は困難である。施術者にフックを支持させると、大腿骨破粋のおそれを低減することができる。更に、電動化されている処置台のあらゆる部分には停電などのために冗長度を持たせねばならず、これは処置台を複雑にさせるので、ひいてはコストを増大させる。クランクを有するギアボックスは、電動化部品を下降又は調整するのに適切な場所に用いることができる。
【0019】
操作においては、施術者は支持フック600の基部部分を傾斜ブラケット604上の適宜な開口に配置することができる。ブラケットには基部部分を受けるための多くの開口があり、支持される大腿部からしかるべき距離にフックの収容端部を位置させるようにしてある。患者に切開をなした後の的確な時間に、適宜な側のフック600を患者の股関節部で傷内の位置へ揺動させることができ、大腿部を支持するように位置させることができる。次に、施術者(又は助手)は、上述のようにフットペダル又は制御機構を操作することにより、電動ジャッキ608に大腿部を適宜に傾けて支持させて、施術者が患者に人工股関節交換を実行するために寛骨臼及び臀部の他の部分への制約のないアクセスを得ることができるようにする。
【0020】
上述のようにスパー(及びひいては患者の肢)の移動中には、処置台のボールジョイント及び患者の臀部のオフセット及び非偏心特性に起因して、牽引を維持することが必要である。これを達成する一つの方法は、スパーと各牽引システムとの間に位置するギアボックスを使用することであり、そのギア比はスパーの移動量が牽引システムの位置をスパーに沿って側方へ調整して適切な牽引量が保持されるようにしてある。牽引は例えば電動デバイスを用いてコンピュータ制御により自動化を維持することができる。包含されたギアボックスは、従来の設計におけるピンチ点を廃することができる。
【0021】
より単純で軽量な試みを図7に示す。この試みでは、各スパー204、206は摺動機構を含んでおり、これはレール700と、牽引システム208、210について対応する一方を指示する摺動機構又はキャリッジ702からなることができる。図3に関連して説明したように、牽引ブーツ216(図7には図示しない)は、対応する牽引システムに取り付けられる。キャリッジ702は解除機構704を含むことができ、これは摺動機構をレールに沿って所定位置で解除自在に締結させるのに用いて、解除機構の緩みが、牽引システムにスパーの移動につれてスパーに沿って長手方向へ摺動させることを可能とする。スパーが所定位置にあるならば、解除機構を締め付けて牽引システムを所定位置に保持することができる。かくして牽引は必要とあれば牽引調整機構により調整することができる。これは掛け布の下で位置を変える必要が無いので、従来の処置台を越える利点である。
【0022】
様々な処置台実施形態による処置台は、膝関節完全交換を含む膝の処置に適応する完全に機能的な膝の屈曲システムを備えることもできる。このような膝ポジショニングアタッチメント706の一つが図7に示されており、これは図3に示すように患者の肢(図3の右肢参照)をポジショニングする能力がある。この膝ポジショニングアタッチメントは、関連する牽引システム208,210上の収容部材708へ接続された細長いレールとすることができる。膝ポジショニング機構は患者の足を収容して支持するフットプレート712を含んでいる。フットプレートは支持部材716を介してスライダーアセンブリ714へ接続されている。スライダーアセンブリ714の張力ノブ718を解除することにより、足の角度と位置を調整するためにスライダーアセンブリを膝ポジショニングアタッチメントのレールに沿って側方へ移動させることができる。牽引システムと組み合わせて、患者の膝の曲げ角を調整するために、足の位置への調節器を使用することができる。上述のように、調節器は膝手術の間に適切なアクセスと位置合わせを与えるのに必要であろう。張力ノブを有するスライダーアセンブリについて説明したが、患者の足の位置と向きを調整するためには幾多の他の機構及びデバイスが存在しており、それらは様々な実施形態の範囲内で使用できることに留意されたい。
【0023】
従来技術のデバイスに比べて、このような膝ポジショニング機構には多くの利点がある。外科用掛け布の上で動いて係止する能力は、迅速且つ容易に膝の屈曲角度を変える能力を無菌環境へ与える。この機構はステンレス鋼のように現場で上記殺菌又は加圧殺菌できる材料から形成できる。従来の処置台で使用されるブーツは、(容易には)殺菌可能ではなかった。アタッチメントも既存の処置台に容易に差し込める。そのようなアタッチメントは、膝角度を制御して必要に応じて全てを並べさせるために容易な調整を可能とする。脛骨と大腿骨の一部を除去するためには、処置中には何度も膝の位置を変える必要があろう。従って摺動特性は重要な作動機構となる。或る既存の処置台は一般的な外科用処置台にフットプレートを使用し、これは個別のフットプレート位置を与えるブラケットを使用する。これらの処置台におけるポストは上昇させることができ、異なるノッチへ置かれるが、これは(肢を持ち上げる必要があるので)一層困難であり、位置合わせの僅かな選択肢を与えるのみであり、患者が負傷するおそれを増大させる。本明細書の様々な実施形態のおける膝調節機構も電動化することができ、必要とあれば自動化できる。膝調節機構は回転制御も与え、これは三つの平面の何れにおいても他の二つの平面における位置を妨げることなく個別の運動を可能とする。
【0024】
ここに説明した様々な実施形態も図8乃至図10に示すような取り外し自在の制御モジュール800を含むことができる。制御モジュール800は保持スクリュー814などの適宜なデバイスにより処置台のベース222に取り付けることができる。制御モジュール800には、その内部部品を保護するためにカバーピース802を含めることができる。制御モジュールには交換式主要部分804を含めることもでき、これは適宜な電源部品、制御回路系、回路基板、プロセッサ、メモリ、メディアデバイス、又は制御及び/又は操作のために医療用処置台と共に使用できる他の適宜な部品を包含することができる。この モジュールはAC又はバッテリー操作を可能とする電源部品を含むことができる。制御モジュールも制御パネル408/806を含むことができ、これは交換式主要部分804の一部とすることができ、ベース部分222へ取り外し自在に取り付けることができるか、或いはベースに恒久的に固定できる。ベース部分には制御モジュール800を支持するために収容部品808を含めることができる。一つの実施形態では、制御パネルと主要部分とを個別に交換することができる。交換式主要部分は、制御モジュールの部品を処置台の適切な部品に接続するのに必要な適宜なポート又はコネクタ810を含むことができる。この設計は 電源、回路、ソフトウェアに係る問題を解決するために単独のモジュールを抜き出して交換することができるので有益である。これには、従来のシステムではパネルを取り外して、故障点検して、個々の部品のフックを外することが必要であり、これには相当な時間を要するので、外科処置中には好ましくない。取り外し自在制御モジュールは処置中に故障点検する必要性なく、迅速且つ容易な交換を可能とする。制御モジュールも、故障点検ハードウェア及び/又はソフトウェアを含むことができ、またサービス又は現在の運転条件の必要性に応じて連続監視システム(これはユーザーにLED又は表示パネルを通じて警報を与えることができる)を含めることができる。ソフトウェアも施術者が選択できるオプションを複雑な運動に提供でき、センサ又はフィードバックデバイスと組み合わせた予防モジュールを提供できるので、処置台の操作により引き起こされる過剰な動作又は力に起因する負傷が防止される。
【0025】
上記に特定した実施形態についての幾多の変形例は当業者には上述の説明を斟酌すれば明白であることに留意されたい。従って本発明は、本明細書に図示して説明した本発明の特定の実施形態及び方法によって限定されるものではない。 むしろ、本発明の要旨は添付の請求項及びその均等物によって規定されるべきものである。 上述に参照した全ての特許、特許出願、刊行物は、優先権の目的によるものも含めて、参照により本明細書に完全に組み込まれている。
【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5A】

【図5B】

【図5C】

【図5D】

【図6】

【図7】

【図8】

【図9】

【図10】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
関節形成術のための手術台であって、
ベースと、
このベースへ連結された患者用プラットホームと、
このプラットホームの垂直な位置を調整するように操作可能な第1のモータと、
各々がアクチュエータに関連して動作可能であり、前記プラットホームの側方傾斜及びトレンデレンブルグ傾斜との両方を調節するように動作可能な第2及び第3のモータとを備える手術台。
【請求項2】
請求項1の手術台において、
前記プラットホームと前記ベースとのうちの一方に回転自在に接続された一対のスパーを更に備え、各スパーは患者の肢の位置を調節するように動作可能である手術台。
【請求項3】
関節形成術のための手術台であって、
患者用プラットホームと、
このプラットホームを支持するベースと、
このベースと前記プラットホームとのうちの少なくとも一方に回転自在に接続された少なくとも一つのスパーと、
このスパーに接続された牽引システムとを備え、その牽引システムは患者の肢における牽引を維持するように患者の肢に取り付け可能であると共に、前記ベースに対する前記スパーの回転運動の間に前記スパーの長手軸に対して摺動自在である手術台。
【請求項4】
請求項3の手術台において、前記牽引システムは前記スパーにおける前記牽引システムの長手方向位置を係止する係止部材を含む手術台。
【請求項5】
請求項3の手術台において、関節形成術のために、
前記スパーに取り外し自在に接続された膝ポジショニングを更に備え、この膝ポジショニングアタッチメントは患者の足を係合させるように動作可能であると共に、患者の各肢における膝の角度を調節する可動支持部材を有する手術台。
【請求項6】
請求項5の手術台において、前記膝ポジショニングアタッチメントが前記牽引システムに対して取り外し自在に接続されている手術台。
【請求項7】
請求項5の手術台において、前記膝ポジショニングアタッチメントが殺菌可能である手術台。
【請求項8】
請求項5の手術台において、前記膝ポジショニングアタッチメントがステンレス鋼から形成されている手術台。
【請求項9】
請求項5の手術台において、前記可動支持部材が前記スパーに対して長手方向に摺動自在である手術台。
【請求項10】
関節形成術のための手術台であって、
患者を支持するプラットホームと、
このプラットホームを支持するベースであり、前記プラットホームの位置を制御するための少なくとも一つのモータを含むベースと、
このベースに取り外し自在に接続された制御モジュールであり、電源部品と前記プラットホームの位置を制御する制御部品との少なくとも一つを含むと共に、この制御モジュールの保守のために前記ベースから取り外し自在な制御モジュールとを備える手術台。
【請求項11】
請求項10の手術台において、前記プラットホームと前記ベースとのうちの一方に回転自在に接続された一対のスパーを更に備え、各スパーは患者の肢の位置を調節するように動作可能である手術台。
【請求項12】
関節形成術のための手術台であって、
患者を支持するプラットホームと、
このプラットホームを支持し、且つ該プラットホームの位置の調節を可能とするベースと、
前記プラットホームに回転自在に接続された一対のスパーであり、その各々は患者の肢の位置を調節するように動作可能であるスパーと、
前記プラットホームへ接続された大腿支持デバイスとを備え、その大腿支持デバイスは、この大腿支持デバイスの支持部材の実質的に垂直な位置を調整するように動作可能な電動リフト機構を含む手術台。
【請求項13】
請求項12の手術台において、前記支持部材が大腿支持フックである手術台。
【請求項14】
請求項12の手術台において、前記大腿支持デバイスを制御する制御機構を更に含む手術台。
【請求項15】
請求項14の手術台において、前記制御機構がフットペダルを含む手術台。

【公表番号】特表2009−504262(P2009−504262A)
【公表日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−526187(P2008−526187)
【出願日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【国際出願番号】PCT/US2006/031154
【国際公開番号】WO2007/021806
【国際公開日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【出願人】(501301330)ミズホ・オーソペディック・システムズ・インク (1)
【Fターム(参考)】