説明

動力伝達装置及びそのバックラッシ適正化方法

【課題】外部側インターフェースでの回転ガタ量B4を規定値内に納め、バキ音を抑制しながら、スプライン部で充分な強度を得る。
【解決手段】外側回転部材3、内側回転部材5、外側クラッチ部材7、内側クラッチ部材9によって回転部材3,5を断続可能な摩擦クラッチ11と、摩擦クラッチ11を押圧可能なプレッシャーリング13と、スラスト力を付与するカム機構と、スラスト力を発生させるパイロットクラッチとを備えた動力伝達装置1において、内側回転部材5とプレッシャーリング13間の回転ガタ量をB1、内側回転部材5と内側クラッチ部材9間の回転ガタ量をB2、外側回転部材3と外側クラッチ部材7間の回転ガタ量をB3、摩擦クラッチ11が締結状態のとき、第1動力伝達部材と第2動力伝達部材間の回転ガタ量の合計をB4としたとき、B4>(B2+B3)>B1が成り立つように、B1、B2、B3、B4の値をそれぞれ設定した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バックラッシを適正値に調整した動力伝達装置と、そのバックラッシ適正化方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に「駆動力伝達装置」が記載されている。
【0003】
この駆動力伝達装置は、外側回転部材であるアウターケースと内側回転部材である中空シャフトとにそれぞれアウタープレートとインナープレートがスプライン連結されたメインクラッチと、パイロットクラッチと、アーマチャを吸引してパイロットクラッチを締結する電磁石と、パイロットクラッチが締結されるとアウターケースと中空シャフト間の差動トルクを受けて作動し、中空シャフトにスプライン連結されているプレッシャーリングを押圧してメインクラッチを締結するカム機構とを備えており、カップリングとしてパッケージ化(ユニット化)されている。このような動力伝達装置は、例えば、4輪駆動車に用いられており、車両の組み付けラインで、アウターケースには前後輪の一方の動力伝達部材がスプライン連結され、中空シャフトには他方の動力伝達部材がスプライン連結される。
【0004】
このようにパッケージ化された動力伝達装置では、外側回転部材と内側回転部材及び一方と他方の動力伝達部材間の各スプライン部(外部側動力伝達部材に対するインターフェース)に回転ガタ量B4(バックラッシ:回転方向隙間)が許容量として規定される。
【0005】
また、外側回転部材とアウタープレートとを連結しているスプライン部での回転ガタ量B3と、内側回転部材とインナープレートとを連結しているスプライン部での回転ガタ量B2は、いずれも、なるべく小さいことが望ましい。
【0006】
また、上記の4輪駆動車がメインクラッチを締結した状態で走行している場合、直進走行中はアウターケースと中空シャフトの一方が先行回転しているが、旋回を始めると、後輪側と前輪側の間に生じる旋回半径の差によって、アウターケースと中空シャフトの他方が一方を追い越して先行回転しようとし、このときアウターケースと中空シャフトからカム機構に掛かるトルクの方向が逆転する。アウターケースと中空シャフトのこのような逆転は、4輪駆動車の旋回走行時だけでなく、前輪駆動ベースの4輪駆動車、あるいは、後輪駆動ベースの4輪駆動車を前進走行から後進走行に、また、後進走行から前進走行に切り替えたときなどでも生じ、これに伴って“バキ音”と云われる騒音が発生する。この騒音は外側回転部材と内側回転部材が逆転する際にカム機構に残存しているトルク(籠もりトルク:髭トルク)に起因し、上記の外側回転部材とアウタープレート及び内側回転部材とインナープレートとを連結する各スプライン部での回転ガタ量B3、B2と、内側回転部材とプレッシャーリングとを連結しているスプライン部での回転ガタ量B1などが関与していると考えられている。
【特許文献1】特開2002−48157号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
スプライン部においては、必要な強度(伝達可能トルク)を得るために歯厚はなるべく厚い方が好ましく、また、歯厚を厚くすると回転ガタ量は小さくなるが、回転ガタ量を余り小さくすると、スプライン部を高い精度で加工しなければならず、管理コストが上昇する上に、組み付けが困難になるから、スプライン部の歯厚と回転ガタ量は適度にバランスさせる必要がある。
【0008】
そこで、この発明は、外部側インターフェースでの回転ガタ量B4を規定値(許容値)内に納め、バキ音を抑制しながら、スプライン部で充分な強度が得られる動力伝達装置と、その回転ガタ量(バックラッシ)を適正化する方法の提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1の動力伝達装置は、第1動力伝達部材と係合する外側回転部材と、前記外側回転部材と同軸に配置され、第2動力伝達部材と係合する内側回転部材と、前記外側回転部材と回転方向に係合し、軸方向に相対移動可能な外側クラッチ部材と、前記内側回転部材と回転方向に係合し、軸方向に相対移動可能な内側クラッチ部材とからなり、両回転部材間を断続可能な摩擦クラッチと、前記内側回転部材と回転方向に係合し、軸方向に相対移動して前記摩擦クラッチを押圧可能なプレッシャーリングと、このプレッシャーリングにスラスト力を付与するカム機構と、このカム機構を作動させてスラスト力を発生させるパイロットクラッチ機構とを備えた動力伝達装置であって、前記内側回転部材と前記プレッシャーリングの係合部のバックラッシをB1、前記内側回転部材と前記内側クラッチ部材の係合部のバックラッシをB2、前記外側回転部材と前記外側クラッチ部材の係合部のバックラッシをB3、前記摩擦クラッチが締結状態のとき、第1動力伝達部材と第2動力伝達部材との間のバックラッシ合計をB4としたとき、B4>(B2+B3)>B1が成り立つように、B1、B2、B3、B4の値がそれぞれ設定されていることを特徴とする。
【0010】
請求項2の動力伝達装置は、請求項1に記載された発明であって、(B4−B3)>B2>B1が成り立つように、B1、B2、B3、B4の値がそれぞれ設定されていることを特徴とする。
【0011】
請求項3の動力伝達装置は、請求項1に記載された発明であって、(B4−B2)>B3>B1が成り立つように、B1、B2、B3、B4の値がそれぞれ設定されていることを特徴とする。
【0012】
請求項4の動力伝達装置は、請求項1に記載された発明であって、B2>B1及びB3>B1が成り立たないとき、B4>(B2+B3)>B1が成り立つように、B1、B2、B3、B4の値がそれぞれ設定されていることを特徴とする。
【0013】
請求項5に記載された動力伝達装置のバックラッシ適正化方法は、外側回転部材と、前記外側回転部材と同軸に配置された内側回転部材と、前記外側回転部材と回転方向に係合し、軸方向に相対移動可能な外側クラッチ部材と、前記内側回転部材と回転方向に係合し、軸方向に相対移動可能な内側クラッチ部材とからなり、両回転部材間を断続可能な摩擦クラッチと、前記内側回転部材と回転方向に係合し、軸方向に相対移動して前記摩擦クラッチを押圧可能なプレッシャーリングと、このプレッシャーリングにスラスト力を付与するカム機構と、このカム機構を作動させてスラスト力を発生させるパイロットクラッチ機構とを備えた動力伝達装置のバックラッシ適正化方法であって、前記内側回転部材と前記プレッシャーリングの係合部のバックラッシをB1、前記内側回転部材と前記内側クラッチ部材の係合部のバックラッシをB2、前記外側回転部材と前記外側クラッチ部材の係合部のバックラッシをB3、前記摩擦クラッチが係合状態のときの前記外側回転部材と内側回転部材との間のバックラッシ合計をB4としたとき、B4>(B2+B3)>B1が成り立つように、B1、B2、B3、B4の値をそれぞれ設定することを特徴とする。
【0014】
請求項6に記載された動力伝達装置のバックラッシ適正化方法は、請求項5の発明であって、(B4−B3)>B2>B1が成り立つように、B1、B2、B3、B4の値をそれぞれ設定することを特徴とする。
【0015】
請求項7に記載された動力伝達装置のバックラッシ適正化方法は、請求項5の発明であって、(B4−B2)>B3>B1が成り立つように、B1、B2、B3、B4の値をそれぞれ設定することを特徴とする。
【0016】
請求項8に記載された動力伝達装置のバックラッシ適正化方法は、請求項5の発明であって、B2>B1及びB3>B1が成り立たないとき、B4>(B2+B3)>B1が成り立つように、B1、B2、B3、B4の値をそれぞれ設定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
請求項1の動力伝達装置は、内側回転部材とプレッシャーリング間の係合部(スプライン部)の回転ガタ量(バックラッシ:回転方向隙間)をB1、内側回転部材と内側クラッチ部材間の係合部の回転ガタ量をB2、外側回転部材と外側クラッチ部材間の係合部の回転ガタ量をB3、摩擦クラッチが締結状態のときの第1動力伝達部材と第2動力伝達部材間との間の合計した回転ガタ量をB4としたとき、B4>(B2+B3)>B1が成り立つようにB1、B2、B3、B4の値を設定したので、外部側動力伝達部材とのインターフェースでの回転ガタ量B4を規定値(要求値)に設定することによって車両組み付け側からの要求に対応すると共に、動力伝達装置内部の回転ガタ量(B1、B2、B3)を外部インターフェース側の回転ガタ量B4より小さく規制することにより、係合部でのガタ詰めによる衝撃、騒音、摩耗を低減させ、耐久性を向上させている。
【0018】
また、請求項1の動力伝達装置によれば、B2とB3は、これらの合計がB4より小さくB1より大きい範囲で、一方を大きくし他方をそれだけ小さくするようにして、それぞれの値を種々変えることが可能であり、外側回転部材と外側クラッチ部材及び内側回転部材と内側クラッチ部材は、各スプライン部に所定の強度と伝達トルクが得られる歯厚を与えながら、回転ガタ量B3、B2を大き過ぎず小さ過ぎない適正な値に設定することができる。
【0019】
請求項2の動力伝達装置の(B4−B3)>B2>B1は、請求項1のB4>(B2+B3)>B1のB3を左辺に移項したものであり、従って、請求項1の構成と同等の効果が得られる。
【0020】
また、内側回転部材と内側クラッチ部材との間の回転ガタ量B2を、内側回転部材とプレッシャーリング間の回転ガタ量B1より大きく設定したので、内側回転部材と内側クラッチ部材間でB2のガタ詰めが終了する時点がそれだけ遅延されると共に、内側回転部材とプレッシャーリング間でB1のガタ詰め終了が促進されることにより、カム機構においてカムスラスト力低下の開始時点が速くなる。従って、外側回転部材と外側クラッチ部材間でB3のガタ詰めが終了した時点では、摩擦クラッチ(メインクラッチ)に残留するトルクが大幅に低減されており、バキ音もそれだけ低減される。
【0021】
請求項3の動力伝達装置の(B4−B2)>B3>B1は、請求項1のB4>(B2+B3)のB2を左辺に移項したものであり、従って、請求項1の構成と同等の効果が得られる。
【0022】
また、外側回転部材と外側クラッチ部材間の回転ガタ量B3を、内側回転部材とプレッシャーリング間の回転ガタ量B1より大きく設定したので、外側回転部材と外側クラッチ部材間でB3のガタ詰めが終了する時点がそれだけ遅延されると共に、内側回転部材とプレッシャーリング間でB1のガタ詰め終了が促進され、カム機構においてカムスラスト力低下の開始時点が速くなる。従って、外側回転部材と外側クラッチ部材間でB3のガタ詰めが終了した時点では、摩擦クラッチ(メインクラッチ)に残留するトルクが大幅に低減されており、バキ音もそれだけ低減される。
【0023】
また、本発明の動力伝達装置は、大径の外側回転部材でガタ詰めを行うので、スプライン部の寸法管理がそれだけ容易になり、製作コストと管理コストとが低減されると共に、単位面積当たりの伝達荷重が小さくなって経時的な寸法変化が抑制され、バキ音の低減効果が高く保たれる。
【0024】
請求項4の動力伝達装置は、B2>B1及びB3>B1が成り立たない場合でも、B4>(B2+B3)>B1が成り立つように各回転ガタ量を設定したので、請求項1と同様に、車両組み付け側からの規定に対応できると共に、内部側回転ガタ量(B1、B2、B3)を外部インターフェース側の回転ガタ量B4より小さく規制したことによって、バキ音が低減されると共に、ガタ詰めによる衝撃、騒音、摩耗が低減され、耐久性が向上する。
【0025】
請求項5の方法によって回転ガタ量(バックラッシ)を適正化したことによって、動力伝達装置は請求項1の構成と同等の効果が得られる。
【0026】
請求項6の方法によって回転ガタ量を適正化したことによって、動力伝達装置は請求項2の構成と同等の効果が得られる。
【0027】
請求項7の方法によって回転ガタ量を適正化したことによって、動力伝達装置は請求項3の構成と同等の効果が得られる。
【0028】
請求項8の方法によって回転ガタ量を適正化したことによって、動力伝達装置は請求項4の構成と同等の効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
<第1実施例>
図1〜図5によって動力伝達装置1(本発明の第1実施例)及びそのバックラッシ適正化方法の説明をする。図1は動力伝達装置1の横断面図、図2は図1のZ矢視図、図3はZ方向から見た図1のX−X断面図とY−Y断面図、図4は動力伝達装置1を用いた4輪駆動車のスケルトン機構図、図5は動力伝達装置1の各回転ガタ量のガタ詰めを示すタイムチャートである。
【0030】
[動力伝達装置1の特徴]
動力伝達装置1は、第1動力伝達部材117と係合するハウジング3(外側回転部材)と、ハウジング3と同軸に配置され、第2動力伝達部材131とスプライン部27にて係合するハブ5(内側回転部材)と、ハウジング3と回転方向にスプライン連結し、軸方向に相対移動可能なアウタープレート7(外側クラッチ部材)と、ハブ5と回転方向にスプライン連結し、軸方向に相対移動可能なインナープレート9(内側クラッチ部材)とからなっている。
【0031】
また、本実施形態の動力伝達装置1は、ハウジング3とハブ5を断続可能な多板式のメインクラッチ11(摩擦クラッチ)と、ハブ5と回転方向にスプライン連結し、軸方向に相対移動してメインクラッチ11を押圧可能なプレッシャーリング13と、プレッシャーリング13にスラスト力を付与するボールカム15(カム機構)と、ボールカム15を作動させてスラスト力を発生させるパイロットクラッチ17とを備えている。
【0032】
さらに、本実施形態の動力伝達装置1は、ハブ5とプレッシャーリング13間のスプライン部19(係合部)の回転ガタ量(バックラッシ:回転方向隙間)をB1、ハブ5とインナープレート9間のスプライン部21(係合部)の回転ガタ量をB2、ハウジング3とアウタープレート7間のスプライン部23(係合部)の回転ガタ量をB3、メインクラッチ11が締結状態のときに、第1動力伝達部材117から第2動力伝達部材131に至る経路(すなわち、第1動力伝達部材117と第2動力伝達部材131との間)における回転ガタの合計をB4としたとき、B4>(B2+B3)>B1…(式1)が成り立つように、B1、B2、B3、B4の値がそれぞれ設定され、(B4−B2)>B3>B1…(式2)が成り立つように、B1、B2、B3、B4の値がそれぞれ設定されている。なお、第1動力伝達部材117と第2動力伝達部材131との間のガタ量B4は、本実施形態においてスプライン部25,スプライン部27それぞれのガタに加えて、スプライン部21とスプライン23それぞれのガタを合計したガタ量から定められたものである。しかしながら、このガタ量B4は第1動力伝達部材117と第2動力伝達部材131との相対回転ガタであることが規定され、これらの部材間を連結する各構成部材は実施形態のものに限られるわけではない。
【0033】
また、(B4−B2)>B3>B1…(式3)が成り立つように、B1、B2、B3、B4の値をそれぞれ設定することも可能であり、また、B2>B1及びB3>B1が成り立たないときは、B4>(B2+B3)>B1…(式4)が成り立つように、B1、B2、B3、B4の値をそれぞれ設定することもできる。
【0034】
なお、B4は第1動力伝達部材117と第2動力伝達部材131との間であらかじめ設定された許容回転ガタに相当するものであり、車両の駆動系路において、本願発明の動力伝達装置が回転方向に許されるべく与えられた回転ガタである。
【0035】
また、下記の「メインクラッチ11が締結状態のときに、」という語句については、アウタープレート7とインナープレート9との摺動面が摺動せずに一体回転すると見なした状態を示すごとく定義された語句である。
【0036】
図4のように、動力伝達装置1は前輪駆動ベースの4輪駆動車に用いられており、エンジン101の駆動力はトランスミッション103を介しフロントデフ105から左右の前輪107,109に配分され、さらに、トランスファ111からプロペラシャフト113とフランジ115,117を介して動力伝達装置1に伝達され、動力伝達装置1が連結されていると、駆動力は方向変換歯車組119とリヤデフ121を介し左右の後輪123,125に配分されて車両は4輪駆動状態になり、動力伝達装置1の連結が解除されると、方向変換歯車組119以下が切り離されて車両は前輪駆動の2輪駆動状態になる。また、動力伝達装置1はリヤデフ121と共にデフキャリヤ127に収容されている。
【0037】
動力伝達装置1は、上記のハウジング3と、ハブ5と、メインクラッチ11と、プレッシャーリング13と、ボールカム15と、パイロットクラッチ17などに加えて、アーマチャ29と、これを吸引してパイロットクラッチ17を締結させる電磁石31と、カムリング33などを備えており、ボールカム15のカム面はプレッシャーリング13とカムリング33にそれぞれ設けられている。
【0038】
ハウジング3は、一体に形成された軸部35及び円筒部材37と磁性体のロータ39とで構成されている。軸部35は両面シール型のボールベアリング41によってデフキャリヤ127の前側開口部に支持されている。スプライン部25は軸部35に設けられており、スプライン部25にはフランジ117(第1動力伝達部材)が連結され、このフランジ117はプロペラシャフト113側のフランジ115に連結されている。また、ロータ39は円筒部材37の後側開口部に螺着され、ダブルナット機能で固定されている。
【0039】
ハブ5は、ボールベアリング43によって前部を円筒部材37に支持され、滑り軸受45によって後部をロータ39に支持されており、スプライン部27には、方向変換歯車組119の一側ギアであるベベルギア129と一体のドライブピニオンシャフト131(第2動力伝達部材)が連結されている。
【0040】
上記のように、ハブ5とプレッシャーリング13はスプライン部19で連結され、メインクラッチ11のインナープレート9とハブ5はスプライン部21で連結され、メインクラッチ11のアウタープレート7と円筒部材37はスプライン部23で連結され、パイロットクラッチ17のアウタープレートはスプライン部23で円筒部材37に連結され、インナープレートはカムリング33の外周に設けられたスプライン部47に連結されている。
【0041】
アーマチャ29はプレッシャーリング13とパイロットクラッチ17の間に配置され、電磁石31は両側シール型のボールベアリング49によってロータ39に支持されており、電力コード51とソケット53とを介して車載のバッテリー側に接続されている。また、ロータ39とカムリング33との間にはボールカム15の噛み合い反力を受けるスラストベアリング55が配置され、ハブ5とプレッシャーリング13との間にはプレッシャーリング13をメインクラッチ11の締結解除方向に付勢するリターンスプリングが配置され、ハブ5とローラ39との間には、内部に封入されたオイルの漏れを防止するXリング57が配置されている。
【0042】
電磁石31が励磁されるとアーマチャ29が吸引され、パイロットクラッチ17を押圧して締結させ、ハウジング3とハブ5間の差動トルクを受けてボールカム15が作動し、発生したカムスラスト力によってプレッシャーリング13がメインクラッチ11を押圧し締結させて動力伝達装置1を連結し、車両を4輪駆動状態にする。電磁石31の励磁を停止すると、パイロットクラッチ17の締結が解除されてボールカム15のカムスラスト力が消失し、リターンスプリングの付勢力によりプレッシャーリング13が押し戻されてメインクラッチ11の締結と動力伝達装置1の連結が解除され、車両は前輪駆動状態になる。
【0043】
また、この4輪駆動車を前進走行から後進走行に切り替えると、ハウジング3とハブ5が反転し、これに伴ってハブ5のハウジング3に対する位相が変わり、ボールカム15に掛かるトルクの方向が逆転する。
【0044】
また、メインクラッチ11が締結されているときに、上述したようにフランジ117とドライブピニオンシャフト131間の回転ガタ量を合計した値B4は、カップリングとしてパッケージ化された動力伝達装置1の場合、車両の組み付け側から要求される外部インターフェースに対する規定値に設定されており、動力伝達装置1では、B4>(B2+B3)>B1…(式1)の範囲内から、特に、(B4−B2)>B3>B1…(式2)が成り立つように、B1、B2、B3、B4の値が設定されており、このように、内部側の回転ガタ量(B2+B3)がB4より小さく設定され、さらに、ハブ5とプレッシャーリング13間のスプライン部19の回転ガタ量B1がハウジング3とアウタープレート7間のスプライン部23の回転ガタ量B3より小さく設定されている。
【0045】
また、(B4−B2)>B3>B1…(式3)が成り立つように、B1、B2、B3、B4の値をそれぞれ設定することも可能であり、
また、B2>B1及びB3>B1が成り立たないときは、B4>(B2+B3)>B1…(式4)が成り立つように、B1、B2、B3、B4の値をそれぞれ設定することもできる。
【0046】
ここで、各ガタ量は設定上、回転角度や隙間長さ寸法などで表示されるが以下の説明ではこれらの単位を省略し、無次元化した数値のみを用いて明瞭に説明する。
【0047】
例えば、B4を1.0、B2を0.5、B3を0.3、B1を0.4と設定すれば、(1.0−0.3)>0.5>0.4→→1.0>0.8>0.4となって(式1)と(式2)を満足する。
【0048】
さらに、B2を0.3、B3を0.5と設定すれば、(1.0−0.3)>0.5>0.4→→1.0>0.8>0.4となって(式3)を満足し、
さらに、B1が0.4でB2=B3=0.3と設定した場合は、B2>B1とB3>B1のいずれも成立しないが、1.0>(0.3+0.3)>0.4となって(式4)を満足する。
【0049】
動力伝達装置1は、各スプライン部での回転ガタ量B1、B2、B3、B4を上記のように設定し、特に、B3>B1に設定したことによって下記のような効果を得ている。
【0050】
以下、この効果を図5のタイムチャートで説明する。
【0051】
タイムチャート(1)はB4の変化を示し、タイムチャート(3)は電磁石31によるアーマチャ29の吸引力が一定であり、メインクラッチ11が締結状態にあることを示している。ハウジング3がハブ5より先行回転している状態からハブ5がハウジング3より先行回転する状態に切り替わる状況で、タイムチャート(2)のようにハブ5のハウジング3に対する回転角の位相が変わると、タイムチャート(4)のようにハブ5とインナープレート9間のスプライン部21での回転ガタ量B2のガタ詰めが時点aから始まって時点bで終了すると共に、タイムチャート(6)のようにハブ5とプレッシャーリング13のスプライン部19での回転ガタ量B1のガタ詰めが時点eから始まって時点fで終了する。また、上記回転ガタ量B2のガタ詰めが時点bで終了すると同時に、タイムチャート(5)のようにハウジング3とアウタープレート7のスプライン部23での回転ガタ量B3のガタ詰めが時点cから始まって時点dで終了する。その間、タイムチャート(1)のように、時点aでのハブ5のガタ詰め開始に伴ってB4のガタ詰めが時点rで始まり、時点dでB3のガタ詰めが終了した後、時点sで終了する。
【0052】
さらに、タイムチャート(6)での回転ガタ量B1のガタ詰めが時点fで終了すると、タイムチャート(7)のようにプレッシャーリング13に形成されているカム面が反転を開始し、ボールカム15が作動状態である時点gから中立位置の時点hへ移行し、ボールカム15が再び作動を開始する時点iを経て作動状態の時点jまで移行する。タイムチャート(8)はボールカム15で生じるカムスラスト力Fの経時変化を示しており、タイムチャート(7)で中立状態への移行を開始する時点gに対応した時点kでカムスラスト力Fが低下を開始し、タイムチャート(7)の時点h(中立位置)に対応した時点lでカムスラスト力Fが零(0)になる。タイムチャート(9)はメインクラッチ11に生じているトルクの経時変化を示しており、タイムチャート(5)で回転ガタ量B3のガタ詰めが終了した時点dでトルクpが残留する。
【0053】
上記のようにB3>B1に設定した動力伝達装置1では、プレッシャーリング13側の回転ガタ量B1を小さく設定したことによってタイムチャート(6)のようにガタ詰め終了時点fへの到達が促進され、タイムチャート(7)のようにカム面(プレッシャーリング13)の反転が促進され、これに伴い、タイムチャート(8)のようにボールカム15のカムスラスト力Fの低下開始時点kが促進される。さらに、タイムチャート(5)のように回転ガタ量B3を大きく設定したことによってガタ詰め終了が時点d’から時点dまで遅延され、その結果、タイムチャート(8)においてボールカム15のカムスラスト力が時点d’に対応するF2から時点dに対応するF1まで小さくなり、タイムチャート(9)において、時点dに対応する上記の残留トルクpは、回転ガタ量をB3>B1のように適正化しない場合の(時点d’に対応する)残留トルクmに較べて大幅に低減され、従って、バキ音が大幅に低減される。
【0054】
なお、本発明において、回転ガタ量とは、各係合部における回転方向のガタ量であり、その隙間寸法は、相対回転する2部材のうち一方に対して他方を回転方向に当接させたときの2部材間に存在する隙間寸法であるか、または、相対回転部材の一方を固定し他方を回転させたときの回転ガタ角度と、係合部の係合半径とを用いて算出して得られた隙間寸法、あるいは、係合部に用いるそれぞれのスプライン諸元に基づいて得られる隙間寸法などであり、回転ガタ量の設定と測定は容易に実施できる。
【0055】
[動力伝達装置1の効果]
外部側インターフェースである回転ガタ量B4を規定値(許容値)に設定することによって車両組み付け側からの要求に対応すると共に、動力伝達装置1内部の回転ガタ量(B3+B2)、B1を外部側の回転ガタ量B4より小さく規制したことにより、回転ガタ部B3、B2、B1でのガタ詰めによる衝撃、騒音、摩耗が低減し、耐久性が向上する。
【0056】
また、B2とB3は、これらの合計がB4より小さくB1より大きい範囲で、一方を大きくし他方をそれだけ小さくするようにして、それぞれの値を種々設定することが可能であり、ハウジング3とアウタープレート7及びハブ5とインナープレート9は、所定の強度と伝達トルクが得られる歯厚を各スプライン部23,21にそれぞれ与えながら、回転ガタ量B3、B2を大き過ぎず小さ過ぎない適正な値に設定することができる。
【0057】
また、ハウジング3とアウタープレート7間の回転ガタ量B3をハブ5とプレッシャーリング13間の回転ガタ量B1より大きく設定したことによって、上記のように回転ガタ量B3のガタ詰めが終了する時点dがそれだけ遅延されると共に、回転ガタ量B1のガタ詰め終了時点fが促進されることによってボールカム15のカムスラスト力Fの低下開始が速くなり、時点dでメインクラッチ11に残留するトルクがmからpへ低減され、バキ音も低減される。
【0058】
また、ハウジング3の大径のスプライン部23でガタ詰めを行う動力伝達装置1では、スプライン部23の寸法管理がそれだけ容易になって製作コストと管理コストが低減されると共に、単位面積当たりの伝達荷重が小さくなり、経時的な寸法変化が抑制されてバキ音の低減効果が高く保たれる。
【0059】
なお、動力伝達部材1では、(B2+B3)/2>B1に設定することも可能であり、この場合、ハブ5とプレッシャーリング13間のスプライン部19での回転ガタ量B1をB2、B3に対してこのように小さくしたことによってカム面の回転角度変化に伴うカムスラスト力Fの低下開始がさらに促進され、ハブ5とインナープレート9及びハウジング3とアウタープレート7で回転ガタ量B2、B3のガタ詰めがそれぞれ終了したときにはメインクラッチ11の残留トルクが大きく低減しており、バキ音もそれだけ低減される。
【0060】
また、小径のスプライン部21より係合面積が広い大径のスプライン部23での回転ガタ量B3を大きく設定したことにより、ハウジング3とアウタープレート7間の係合面圧が軽減され、単位面積当たりの伝達荷重が小さくなるから、設定された回転ガタ量B3の経時的な変化が抑制され、バキ音の低減効果が高く保たれる。
【0061】
<第2実施例>
本発明の第2実施例は、動力伝達装置1において(B4−B3)>B2>B1が成り立つようにB1、B2、B3、B4の値を設定したものである。
【0062】
図6のタイムチャートで、そのバキ音低減効果を説明する。
【0063】
ハウジング3がハブ5より先行回転している状態からハブ5がハウジング3より先行回転する状態に切り替わる状況で、タイムチャート(2)のようにハブ5のハウジング3に対する回転角の位相が変わると、タイムチャート(4)のようにハブ5とインナープレート9間のスプライン部21での回転ガタ量B2のガタ詰めが時点aから始まって時点bで終了し、タイムチャート(6)のようにハブ5とプレッシャーリング13のスプライン部19での回転ガタ量B1のガタ詰めが時点eから始まって時点fで終了する。また、上記回転ガタ量B2のガタ詰めが時点bで終了すると同時に、タイムチャート(5)のようにハウジング3とアウタープレート7のスプライン部23での回転ガタ量B3のガタ詰めが時点cから始まって時点dで終了する。その間、タイムチャート(1)のように、時点aでのハブ5のガタ詰め開始に伴ってB4のガタ詰めが時点rで始まり、時点dでB3のガタ詰めが終了した後、時点sで終了する。
【0064】
さらに、タイムチャート(6)での回転ガタ量B1のガタ詰めが時点fで終了すると、タイムチャート(7)のようにプレッシャーリング13に形成されているカム面が反転を開始し、ボールカム15が作動状態である時点gから中立位置の時点hへ移行し、ボールカム15が再び作動を開始する時点iを経て作動状態の時点jまで移行し、タイムチャート(8)のように、タイムチャート(7)で中立状態への移行を開始する時点gに対応した時点kでカムスラスト力Fが低下を開始し、タイムチャート(7)の時点h(中立位置)に対応した時点lでカムスラスト力Fが零(0)になり、タイムチャート(9)のように、タイムチャート(5)で回転ガタ量B3のガタ詰めが終了した時点dでトルクnが残留する。
【0065】
上記のように、B2>B1に設定した第2実施例の動力伝達装置1では、プレッシャーリング13側の回転ガタ量B1を小さく設定したことによってタイムチャート(6)のようにガタ詰めの終了時点fへの到達が促進され、タイムチャート(7)のようにカム面(プレッシャーリング13)の反転が促進され、タイムチャート(8)のようにボールカム15のカムスラスト力Fの低下開始が時点k’から時点kまで促進される。その結果、タイムチャート(8)において、ボールカム15のカムスラスト力が、k’〜lのグラフと時点dとに対応するF2から、k〜lのグラフと時点dとに対応するF1まで小さくなり、タイムチャート(9)においてF1に対応する上記残留トルクnは、回転ガタ量をB2>B1のように適正化しない場合(F2に対応する)の残留トルクmに較べて低減され、バキ音もそれだけ低減される。
【0066】
[その他の態様]
本願発明の動力伝達装置は、車両における駆動力伝達系路において入力側と出力側との間に配置されるなら、例えばトランスファーの動力分岐部や、差動装置の作動制限部、駆動源としてのエンジンやモータの出力クラッチ部、車軸上の断続部など種々の搭載可能箇所に配置することができる。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本発明の動力伝達装置は、デファレンシャル装置の差動制限機構に用いてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】動力伝達装置1の横断面図である。
【図2】図1のZ矢視図である。
【図3】Z方向から見た図1のX−X断面図とY−Y断面図である。
【図4】動力伝達装置1を用いた4輪駆動車のスケルトン機構図である。
【図5】第1実施例において各回転ガタ量のガタ詰めを示すタイムチャートである。
【図6】第2実施例において各回転ガタ量のガタ詰めを示すタイムチャートである。
【符号の説明】
【0069】
1 動力伝達装置
3 ハウジング(外側回転部材)
5 ハブ(内側回転部材)
7 アウタープレート(外側クラッチ部材)
9 インナープレート(内側クラッチ部材)
11 メインクラッチ(摩擦クラッチ)
13 プレッシャーリング
15 ボールカム(カム機構)
17 パイロットクラッチ
19 ハブ5とプレッシャーリング13間のスプライン部19(係合部)
21 ハブ5とインナープレート9間のスプライン部(係合部)
23 ハウジング3とアウタープレート7間のスプライン部(係合部)
25 軸部35とフランジ117間のスプライン部(係合部)
27 ハブ5とドライブピニオンシャフト131間のスプライン部(係合部)
117 フランジ(第1動力伝達部材)
131 ドライブピニオンシャフト(第2動力伝達部材)
B1 ハブ5とプレッシャーリング13間の回転ガタ量
B2 ハブ5とインナープレート9間の回転ガタ量
B3 ハウジング3とアウタープレート7間の回転ガタ量
B4 軸部35とフランジ117間の回転ガタ量と、ハブ5とドライブピニオンシャフト131間の回転ガタ量との合計

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1動力伝達部材と係合する外側回転部材と、前記外側回転部材と同軸に配置され、第2動力伝達部材と係合する内側回転部材と、前記外側回転部材と回転方向に係合し、軸方向に相対移動可能な外側クラッチ部材と、前記内側回転部材と回転方向に係合し、軸方向に相対移動可能な内側クラッチ部材とからなり、両回転部材間を断続可能な摩擦クラッチと、前記内側回転部材と回転方向に係合し、軸方向に相対移動して前記摩擦クラッチを押圧可能なプレッシャーリングと、このプレッシャーリングにスラスト力を付与するカム機構と、このカム機構を作動させてスラスト力を発生させるパイロットクラッチ機構とを備えた動力伝達装置であって、
前記内側回転部材と前記プレッシャーリングの係合部のバックラッシをB1、前記内側回転部材と前記内側クラッチ部材の係合部のバックラッシをB2、前記外側回転部材と前記外側クラッチ部材の係合部のバックラッシをB3、前記摩擦クラッチが締結状態のとき、第1動力伝達部材と前記第2動力伝達部材との間のバックラッシをB4としたとき、
B4>(B2+B3)>B1が成り立つように、B1、B2、B3、B4の値がそれぞれ設定されていることを特徴とする動力伝達装置。
【請求項2】
請求項1に記載された動力伝達装置であって、
(B4−B3)>B2>B1が成り立つように、B1、B2、B3、B4の値がそれぞれ設定されていることを特徴とする動力伝達装置。
【請求項3】
請求項1に記載された動力伝達装置であって、
(B4−B2)>B3>B1が成り立つように、B1、B2、B3、B4の値がそれぞれ設定されていることを特徴とする動力伝達装置。
【請求項4】
請求項1に記載された動力伝達装置であって、
B2>B1及びB3>B1が成り立たないとき、B4>(B2+B3)>B1が成り立つように、B1、B2、B3、B4の値がそれぞれ設定されていることを特徴とする動力伝達装置。
【請求項5】
外側回転部材と、前記外側回転部材と同軸に配置された内側回転部材と、前記外側回転部材と回転方向に係合し、軸方向に相対移動可能な外側クラッチ部材と、前記内側回転部材と回転方向に係合し、軸方向に相対移動可能な内側クラッチ部材とからなり、両回転部材間を断続可能な摩擦クラッチと、前記内側回転部材と回転方向に係合し、軸方向に相対移動して前記摩擦クラッチを押圧可能なプレッシャーリングと、このプレッシャーリングにスラスト力を付与するカム機構と、このカム機構を作動させてスラスト力を発生させるパイロットクラッチ機構とを備えた動力伝達装置のバックラッシ適正化方法であって、
前記内側回転部材と前記プレッシャーリングの係合部のバックラッシをB1、前記内側回転部材と前記内側クラッチ部材の係合部のバックラッシをB2、前記外側回転部材と前記外側クラッチ部材の係合部のバックラッシをB3、前記摩擦クラッチが係合状態のときの前記外側回転部材と内側回転部材との間のバックラッシ合計をB4としたとき、
B4>(B2+B3)>B1が成り立つように、B1、B2、B3、B4の値をそれぞれ設定することを特徴とする動力伝達装置のバックラッシ方法。
【請求項6】
請求項5に記載された動力伝達装置のバックラッシ適正化方法であって、
(B4−B3)>B2>B1が成り立つように、B1、B2、B3、B4の値をそれぞれ設定することを特徴とする動力伝達装置のバックラッシ適正化方法。
【請求項7】
請求項5に記載された動力伝達装置のバックラッシ適正化方法であって、
(B4−B2)>B3>B1が成り立つように、B1、B2、B3、B4の値をそれぞれ設定することを特徴とする動力伝達装置のバックラッシ適正化方法。
【請求項8】
請求項5に記載された動力伝達装置のバックラッシ適正化方法であって、
B2>B1及びB3>B1が成り立たないとき、B4>(B2+B3)>B1が成り立つように、B1、B2、B3、B4の値をそれぞれ設定することを特徴とする動力伝達装置のバックラッシ適正化方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−144799(P2010−144799A)
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−321267(P2008−321267)
【出願日】平成20年12月17日(2008.12.17)
【出願人】(000225050)GKNドライブラインジャパン株式会社 (409)
【Fターム(参考)】