説明

動物有害生物の防除方法

殺虫的に有効な量の式1
【化1】


[式中、
1は、ハロゲン、C1〜C3ハロアルキルまたはC1〜C3ハロアルコキシであり、
2は、H、ハロゲン、C1〜C3アルキル、C1〜C3ハロアルキルまたはシアノであり、
3は、H、ハロゲン、C1〜C3ハロアルキルまたはC1〜C3ハロアルコキシであり、
4は、ハロゲン、C1〜C3アルキル、C1〜C3ハロアルキルまたはC1〜C3ハロアルコキシであり、
5は、H、CH3、C2〜C4アルキルカルボニル、C2〜C4ハロアルキルカルボニル、C2〜C5アルコキシカルボニルまたはCH2O(C1〜C3アルキル)であり、
6は、C1〜C6アルキル、C1〜C6ハロアルキル、C3〜C6シクロアルキルまたはC3〜C6ハロシクロアルキル(各基は1個のR7で置換されている)であるか、あるいはR6は(CH2mQであり、そして
Q、R7、R8aおよびR8bは、本開示において定義した通りである]
の化合物によって動物を経口的または注射により処置することを含む、寄生性無脊椎有害生物から動物を保護するための方法が開示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、寄生性有害生物および寄生性有害生物の寄生から動物を保護するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
動物衛生における動物寄生虫の防除は、特に食品生産およびコンパニオン動物の分野で不可欠である。既存の処置および寄生虫防除方法は、多くの現在の市販の寄生虫駆除剤(parasiticide)への耐性が高まりつつあるために効果が損なわれている。従って、動物寄生虫を防除するためにより有効な方法の発見が必須である。さらに、人間または周辺環境の可能性のある汚染を防止するために、動物に農薬を経口的または非経口的に適用するための方法を発見することは有利である。
【0003】
特許文献1には、式i
【化1】

(式中、特にA1、A2およびA3はそれぞれ独立してCまたはNであり、Gはベンゼン環であり、WはOまたはSであり、そしてXはハロゲンまたはC1〜C6ハロアルキルである)のイソオキサゾリン誘導体が殺虫剤として開示されている。
【0004】
本発明の方法は、この公報には開示されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】PCT特許公報国際公開第05/085216号パンフレット
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、殺虫的に有効な量の式1
【化2】

の化合物(全ての幾何および立体異性体を含む)、そのN−オキシドまたはその塩を動物に経口的または非経口的に投与することを含む、寄生性無脊椎有害生物から動物を保護するための方法に関し、式中、
1は、ハロゲン、C1〜C3ハロアルキルまたはC1〜C3ハロアルコキシであり、
2は、H、ハロゲン、C1〜C3アルキル、C1〜C3ハロアルキルまたはシアノであり、
3は、H、ハロゲン、C1〜C3ハロアルキルまたはC1〜C3ハロアルコキシであり、
4は、ハロゲン、C1〜C3アルキル、C1〜C3ハロアルキルまたはC1〜C3ハロアルコキシであり、
5は、H、CH3、C2〜C4アルキルカルボニル、C2〜C4ハロアルキルカルボニル、C2〜C5アルコキシカルボニルまたはCH2O(C1〜C3アルキル)であり、
6は、C1〜C6アルキル、C1〜C6ハロアルキル、C3〜C6シクロアルキルまたはC3〜C6ハロシクロアルキル(各基は1個のR7で置換されている)であるか、あるいはR6は(CH2mQであり、
Qは、環員として炭素原子および1個のOまたはS(O)nを含有する4員〜6員飽和環であり、1個または2個のR8aおよび1個のR8bによって場合により置換されていてもよく、
7は、OR9、S(O)n10またはC(O)NR1112であるか、あるいはR7は、1個または2個のR15によって場合によりそれぞれ置換されていてもよいピリジンまたはチアゾールであり、
8aはそれぞれ独立して、ハロゲン、シアノまたはC1〜C2アルキルであり、
8bは、OR9、S(O)n10またはC(O)NR1112であり、
9は、H、CHO、C2〜C4アルキルカルボニル、C2〜C4ハロアルキルカルボニルまたはC2〜C5アルコキシカルボニルであるか、あるいはR9は、1個のR13によって場合によりそれぞれ置換されていてもよいC1〜C4アルキルまたはC1〜C4ハロアルキルであるか、あるいはR9は、1個または2個のR15によって場合によりそれぞれ置換されていてもよいピリジンまたはチアゾールであり、
10は、1個のR13によって場合によりそれぞれ置換されていてもよいC1〜C4アルキルまたはC1〜C4ハロアルキルであるか、あるいはR10は、1個または2個のR15によって場合によりそれぞれ置換されていてもよいピリジンまたはチアゾールであり、
11は、H、CHO、C1〜C4アルキル、C1〜C4ハロアルキル、CH2O(C1〜C3アルキル)、C2〜C4アルキルカルボニル、C2〜C4ハロアルキルカルボニルまたはC2〜C5アルコキシカルボニルであり、
12は、1個のR13によって場合によりそれぞれ置換されていてもよいC1〜C4アルキル、C1〜C4ハロアルキルまたはC3〜C6シクロアルキルであるか、あるいはR12は、H、C3〜C6アルケニル、C3〜C6ハロアルケニル、C3〜C6アルキニルまたはOR14であり、
13は、シアノ、C3〜C6シクロアルキル、C3〜C6ハロシクロアルキル、OH、OR14またはS(O)n16であるか、あるいはR13は、1個または2個のR15によって場合によりそれぞれ置換されていてもよいピリジンまたはチアゾールであり、
14は、C1〜C4アルキルまたはC1〜C4ハロアルキルであり、
15はそれぞれ独立して、ハロゲン、シアノ、C1〜C3アルキル、C1〜C3ハロアルキルまたはC1〜C3ハロアルコキシであり、
16は、C1〜C4アルキルまたはC1〜C4ハロアルキルであり、
mは0または1であり、そして
nは0、1または2である。
【0007】
また本発明は、寄生性無脊椎有害生物またはその環境が、生物学的に有効な量の式1の化合物、そのN−オキシドまたはその塩と、界面活性剤、固体希釈剤および液体希釈剤からなる群から選択される少なくとも1つの追加の成分とを含む組成物と接触される上記方法にも関し、前記組成物は、場合により、生物学的に有効な量の少なくとも1つの追加の生物学的に活性な化合物または薬剤をさらに含む。
【0008】
本発明はさらに、殺虫的に有効な量の式1の化合物、そのN−オキシドまたはその塩(例えば、本明細書中に記載される組成物として)を動物に投与することを含む、外部および/または内部寄生虫を処置、予防、阻害および/または殺傷するための方法を提供する。また本発明は、殺虫的に有効な量の式1の化合物、そのN−オキシドまたはその塩(例えば、本明細書中に記載される組成物として)が、動物が居住する環境(例えば、ストールまたはブランケット)に投与される上記方法にも関する。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書で使用される場合、「含む」、「含んでいる」、「包含する」、「包含している」、「有する」、「有している」、「含有する」または「含有している」という用語、もしくはこれらの他の任意の変化形は、非排他的な包含を網羅することが意図される。例えば、要素のリストを含む組成物、混合物、プロセス、方法、物品、または装置は、必ずしもこれらの要素だけに限定されるのではなく、明確に記載されていない、あるいはこのような組成物、混合物、プロセス、方法、物品、または装置に固有の他の要素も含み得る。さらに、反対に明確に記載されない限り、「または」は包括的なまたはを指し、排他的なまたはを指さない。例えば、条件AまたはBは、以下のいずれか1つによって満たされる:Aが真であり(または存在し)Bが偽である(または存在しない)、Aが偽であり(または存在せず)Bが真である(または存在する)、そしてAおよびBが両方とも真である(または存在する)。
【0010】
また、本発明の要素または成分に先立つ不定冠詞「a」および「an」は、要素または成分の例(すなわち、発生)の数に関して非限定的であることが意図される。そのため、「a」または「an」は1つまたは少なくとも1つを含むように読み取られるべきであり、要素または成分の単数の語形は、数が明らかに単数を意味しない限りは複数も含む。
【0011】
本開示において言及される場合、「有害生物」、「無脊椎有害生物」および「寄生性無脊椎有害生物」という用語は、有害生物として経済的に重要な節足動物、腹足類および線虫を含む。「節足動物」という用語は、昆虫、ダニ、クモ、サソリ、ムカデ、ヤスデ、ダンゴムシおよびコムカデ(symphylan)を含む。「腹足類」という用語は、カタツムリ、ナメクジおよび他の柄眼目を含む。「線虫」という用語は、回虫、犬糸状虫、および植物食性の線虫(線虫綱)、吸虫(吸虫綱)、鉤頭動物門、ならびに条虫(条虫綱)などの蠕虫類の全てを含む。
【0012】
本開示との関連では、「無脊椎有害生物の防除」は、無脊椎有害生物の発育の阻害(死亡、摂食の低下、および/または交尾の妨害を含む)を意味し、関連の表現は同様に定義される。「殺虫的な」および「殺虫的に」という用語は、有害生物からの動物の保護を提供するための有害生物における観測可能な効果を指す。殺虫的な効果は、通常、標的の寄生性無脊椎有害生物の発生または活動を低下させることに関する。有害生物におけるこのような効果としては、壊死、死亡、成長の遅延、可動性の低下または宿主動物の内外に留まる能力の減少、摂食の減少および生殖の阻害が挙げられる。寄生性無脊椎有害生物におけるこれらの効果は、動物の寄生虫の寄生または感染の防除(予防、低下または排除を含む)を提供する。
【0013】
寄生虫の「寄生」は、人間または動物に危険をもたらす多数の寄生虫の存在を指す。寄生は、環境(例えば、人間または動物の住居、寝具、および周囲の道具または構造物)中、農作物または他の種類の植物上、もしくは動物の皮膚または毛皮上に存在し得る。寄生が動物の内部(例えば、血液または他の内部組織中)である場合、他に記載されない限り、寄生という用語は、この用語が当該技術分野において一般に理解されるように「感染」という用語と同義であることも意図される。
【0014】
上記の詳説において、単独もしくは「ハロアルキル」などの複合語において使用される「アルキル」という用語は、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、もしくは種々のブチル、ペンチルまたはヘキシル異性体などの直鎖または分枝状アルキルを含む。「アルケニル」は、エテニル、1−プロペニル、2−プロペニル、ならびに種々のブテニル、ペンテニルおよびヘキセニル異性体などの直鎖または分枝状アルケンを含む。また「アルケニル」は、1,2−プロパジエニルおよび2,4−ヘキサジエニルなどのポリエンも含む。「アルキニル」は、エチニル、1−プロピニル、2−プロピニルならびに種々のブチニル、ペンチニルおよびヘキシニル異性体などの直鎖または分枝状アルキンを含む。また「アルキニル」は、2,5−ヘキサジイニルなどの多数の三重結合で構成される部分も含むことができる。
【0015】
「シクロアルキル」としては、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチルおよびシクロヘキシルが挙げられる。「シクロプロピルメチル」という用語は、メチル部分におけるシクロプロピル置換を示す。
【0016】
単独でまたは「ハロアルキル」などの複合語における、もしくは「ハロゲンによって置換されたアルキル」などの記載において使用される場合の「ハロゲン」という用語は、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素を含む。さらに、「ハロアルキル」などの複合語において使用される場合、あるいは「ハロゲンによって置換されたアルキル」などの記載において使用される場合、前記アルキルは、同一でも異なっていてもよいハロゲン原子によって部分的または完全に置換され得る。「ハロアルキル」または「ハロゲンによって置換されたアルキル」の例としては、CF3、CH2Cl、CH2CF3およびCCl2CF3が挙げられる。「ハロシクロアルキル」、「ハロアルコキシ」、「ハロアルケニル」などの用語は、「ハロアルキル」という用語と同様に定義される。「ハロアルコキシ」の例としては、OCF3、OCH2CCl3、OCH2CH2CHF2およびOCH2CF3が挙げられる。「ハロアルケニル」の例としては、CH2CH=C(Cl)2およびCH2CH=CHCH2CF3が挙げられる。
【0017】
「アルキルカルボニル」は、C(O)部分に結合した直鎖または分枝状アルキル部分を示す。本明細書において使用される化学的な略語C(O)は、カルボニル部分を表す。「アルキルカルボニル」の例としては、C(O)CH3、C(O)CH2CH2CH3およびC(O)CH(CH32が挙げられる。
【0018】
置換基内の炭素原子の総数は、接頭辞「Ci〜Cj」によって示され、ここで、iおよびjは1〜6の数である。例えば、C1〜C3アルキルは、メチルからプロピルまでを示す。
【0019】
基が、水素であり得る置換基、例えばR5またはR11を含有する場合、そしてこの置換基が水素と見なされる場合、これは、前記基が置換されていないことと同等であると認識される。
【0020】
「環員」という用語は、「発明の概要」における置換基Qの定義で使用されるように、環の骨格を形成する原子または他の部分(例えば、OまたはS(O)n)を指す。Qの例としては、
【化3】

が挙げられる。
【0021】
式1の化合物は、1つまたは複数の立体異性体として存在することができる。様々な立体異性体は、エナンチオマー、ジアステレオマーおよびアトロプ異性体を含む。当業者は、1つの立体異性体が他の立体異性体に対して濃縮されたとき、または他の立体異性体から分離されたときにより活性であり得る、および/または有益な効果を示し得ることを認識するであろう。さらに、当業者は、前記立体異性体を分離、濃縮、および/または選択的に調製する方法を知っている。式1の化合物は、立体異性体の混合物、個々の立体異性体として、あるいは光学的に活性な形態で存在し得る。例えば、式1の可能性のある2つのエナンチオマーは、アスタリスク(*)で示されるイソオキサゾリンのキラル中心を含む式1aおよび式1bで表される。同様に、その他のキラル中心は、例えばR1、R6、R9およびR11において可能である。
【化4】

【0022】
本明細書に描かれる分子描写は、立体化学を描写するための標準的な慣例に従う。立体配置を示すために、図の平面から上方向に観察者に向かう結合は実線のくさびで示され、くさびの幅広端部は、図の平面から観察者に向かって上方向にある原子に結合される。図の平面の下方向に観察者から離れた結合は点線のくさびで示され、くさびの幅狭端部は、観察者から離れた原子に結合される。一定幅の線は実線または破線のくさびで示される結合に対して反対または中立の方向を有する結合を示し、また一定幅の線は分子または分子の一部の中の結合を描写し、特定の立体配置が指定されることは意図されない。
【0023】
生物学的により活性なエナンチオマーは式1aであると考えられる。式1aはキラル炭素において(S)配置を有し、式1bはキラル炭素において(R)配置を有する。
【0024】
本発明の方法は、式1aおよび1bのラセミ混合物、例えば等量のエナンチオマーを含む。さらに、本発明の方法は、ラセミ混合物に比べて式1のエナンチオマーが濃縮された化合物を含む。また、式1の化合物の本質的に純粋なエナンチオマー、例えば式1aおよび式1bも含まれる。
【0025】
エナンチオマー濃縮される場合、一方のエナンチオマーは他方よりも多い量で存在し、濃縮の程度は、(2x−1)・100%で定義されるエナンチオマー過剰率(「ee」)という語句によって定義することができ、ここでxは混合物中の主要なエナンチオマーのモル分率である(例えば、20%のeeは60:40比のエナンチオマーに相当する)。
【0026】
好ましくは、式1の組成物は、少なくとも50%のエナンチオマー過剰率、より好ましくは少なくとも75%のエナンチオマー過剰率、さらにより好ましくは少なくとも90%のエナンチオマー過剰率、そして最も好ましくは少なくとも94%のエナンチオマー過剰率のより活性な異性体を有する。特に注目すべきは、より活性な異性体のエナンチオマー的に純粋な実施形態である。
【0027】
式1の化合物は、付加的なキラル中心を含むことができる。本発明の方法は、これらの付加的なキラル中心において、ラセミ混合物ならびに濃縮されたおよび本質的に純粋な立体配置を含む。式1の化合物は、式1のアミド結合の回りの結合が制限されているために、1つまたは複数の配座異性体として存在し得る。本発明の方法は、配座異性体の混合物を含む。さらに、本発明の方法は、一方の配座異性体が他方に対して濃縮された化合物を含む。
【0028】
「発明の概要」に記載される本発明の実施形態としては以下に記載されるものが挙げられる。以下の実施形態において、「式1の化合物」への言及は、実施形態においてさらに定義されない限りは「発明の概要」で指定される置換基の定義を含む。
【0029】
実施形態1. 殺虫的に有効な化合物が、式1
【化5】

(式中、R1は、ハロゲン、C1〜C3ハロアルキルまたはC1〜C3ハロアルコキシであり、
2は、H、ハロゲン、C1〜C3アルキル、C1〜C3ハロアルキルまたはシアノであり、R3は、H、ハロゲン、C1〜C3ハロアルキルまたはC1〜C3ハロアルコキシであり、
4は、ハロゲン、C1〜C3アルキル、C1〜C3ハロアルキルまたはC1〜C3ハロアルコキシであり、
5は、H、CH3、C2〜C4アルキルカルボニル、C2〜C4ハロアルキルカルボニル、C2〜C5アルコキシカルボニルまたはCH2O(C1〜C3アルキル)であり、
6は、C1〜C6アルキル、C1〜C6ハロアルキル、C3〜C6シクロアルキルまたはC3〜C6ハロシクロアルキル(各基は1個のR7で置換されている)であるか、あるいはR6は(CH2mQであり、
Qは、環員として炭素原子および1個のOまたはS(O)nを含有する4員〜6員飽和環であり、1個または2個のR8aおよび1個のR8bによって場合により置換されていてもよく、
7は、OR9、S(O)n10またはC(O)NR1112であるか、あるいはR7は、1個または2個のR15によって場合によりそれぞれ置換されていてもよいピリジンまたはチアゾールであり、
8aはそれぞれ独立して、ハロゲン、シアノまたはC1〜C2アルキルであり、
8bは、OR9、S(O)n10またはC(O)NR1112であり、
9は、H、CHO、C2〜C4アルキルカルボニル、C2〜C4ハロアルキルカルボニル
またはC2〜C5アルコキシカルボニルであるか、あるいはR9は、1個のR13によって場合によりそれぞれ置換されていてもよいC1〜C4アルキルまたはC1〜C4ハロアルキルであるか、あるいはR9は、1個または2個のR15によって場合によりそれぞれ置換されていてもよいピリジンまたはチアゾールであり、
10は、1個のR13によって場合によりそれぞれ置換されていてもよいC1〜C4アルキルまたはC1〜C4ハロアルキルであるか、あるいはR10は、1個または2個のR15によって場合によりそれぞれ置換されていてもよいピリジンまたはチアゾールであり、
11は、H、CHO、C1〜C4アルキル、C1〜C4ハロアルキル、CH2O(C1〜C3アルキル)、C2〜C4アルキルカルボニル、C2〜C4ハロアルキルカルボニルまたはC2〜C5アルコキシカルボニルであり、
12は、1個のR13によって場合によりそれぞれ置換されていてもよいC1〜C4アルキル、C1〜C4ハロアルキルまたはC3〜C6シクロアルキルであるか、あるいはR12は、H、C3〜C6アルケニル、C3〜C6ハロアルケニル、C3〜C6アルキニルまたはOR14であり、
13は、シアノ、C3〜C6シクロアルキル、C3〜C6ハロシクロアルキル、OH、OR14またはS(O)n16であるか、あるいはR13は、1個または2個のR15によって場合によりそれぞれ置換されていてもよいピリジンまたはチアゾールであり、
14は、C1〜C4アルキルまたはC1〜C4ハロアルキルであり、
15はそれぞれ独立して、ハロゲン、シアノ、C1〜C3アルキル、C1〜C3ハロアルキルまたはC1〜C3ハロアルコキシであり、
16は、C1〜C4アルキルまたはC1〜C4ハロアルキルであり、
mは0または1であり、そして
nは0、1または2である)
のイソオキサゾリン(全ての幾何および立体異性体を含む)、そのN−オキシドまたはその塩から選択される「発明の概要」に記載される方法と、
【0030】
実施形態2. R1がCl、Br、CF3、OCF3またはOCH2CF3である実施形態1の方法と、
【0031】
実施形態3. R1がCl、BrまたはCF3である実施形態2の方法と、
【0032】
実施形態4. R1がClである実施形態3の方法と、
【0033】
実施形態5. R1がBrである実施形態3の方法と、
【0034】
実施形態6. R1がCF3である実施形態3の方法と、
【0035】
実施形態7. R2がH、FまたはClである実施形態1の方法と、
【0036】
実施形態8. R2がHである実施形態7の方法と、
【0037】
実施形態9. R2がFである実施形態7の方法と、
【0038】
実施形態10. R2がClである実施形態7の方法と、
【0039】
実施形態11. R3がH、F、Cl、BrまたはCF3である実施形態1の方法と、
【0040】
実施形態12. R3がH、Cl、BrまたはCF3である実施形態11の方法と、
【0041】
実施形態13. R3がCl、BrまたはCF3である実施形態12の方法と、
【0042】
実施形態14. R3がHである実施形態11の方法と、
【0043】
実施形態15. R3がClである実施形態11の方法と、
【0044】
実施形態16. R3がBrである実施形態11の方法と、
【0045】
実施形態17. R3がCF3である実施形態11の方法と、
【0046】
実施形態18. R4がハロゲンまたはC1〜C3アルキルである実施形態1の方法と、
【0047】
実施形態19. R4がハロゲンまたはメチルである実施形態18の方法と、
【0048】
実施形態20. R4がハロゲンである実施形態19の方法と、
【0049】
実施形態21. R4がClである実施形態20の方法と、
【0050】
実施形態22. R4がメチルである実施形態19の方法と、
【0051】
実施形態23. R5がHである実施形態1の方法と、
【0052】
実施形態24. R6がハロゲンまたはC1〜C6アルキルである実施形態1の方法と、
【0053】
実施形態25. R6が、1個のR7によって置換されたC1〜C6アルキルである実施形態1の方法と、
【0054】
実施形態26. R7が、OR9、S(O)n10またはC(O)NR1112である実施形態1の方法と、
【0055】
実施形態27. R7がOR9である実施形態26の方法と、
【0056】
実施形態28. R7がS(O)n10である実施形態26の方法と、
【0057】
実施形態29. R7がC(O)NR1112である実施形態26の方法と、
【0058】
実施形態30. R9がHまたはC1〜C4アルキルである実施形態1の方法と、
【0059】
実施形態31. R9がHまたはメチルである実施形態30の方法と、
【0060】
実施形態32. R9がHである実施形態31の方法と、
【0061】
実施形態33. R9がメチルである実施形態31の方法と、
【0062】
実施形態34. R10がC1〜C4アルキルである実施形態1の方法と、
【0063】
実施形態35. R11がHである実施形態1の方法と、
【0064】
実施形態36. R12が、1個のR13によって場合によりそれぞれ置換されていてもよいC1〜C4アルキルまたはC1〜C4ハロアルキルである実施形態1の方法と、
【0065】
実施形態37. R12がC1〜C4アルキルまたはC1〜C4ハロアルキルである実施形態1の方法と、
【0066】
実施形態38. R12がC1〜C4ハロアルキルである実施形態37の方法と、
【0067】
実施形態38a. R12がシクロプロピルまたはシクロプロピルメチルである実施形態1の方法と、
【0068】
実施形態39. R13がシアノ、OH、OR14またはS(O)n16である実施形態1の方法と、
【0069】
実施形態40. R13がシアノである実施形態39の方法と、
【0070】
実施形態41. R13がOHである実施形態39の方法と、
【0071】
実施形態42. R13がOR14である実施形態39の方法と、
【0072】
実施形態43. R13がS(O)n16である実施形態39の方法と、
【0073】
実施形態44. 殺虫的に有効な量の式1の化合物が経口投与される実施形態1の方法と、
【0074】
実施形態45. 殺虫的に有効な量の式1の化合物が非経口投与される実施形態1の方法と、
【0075】
実施形態46. 殺虫的に有効な量の式1の化合物が注射により投与される実施形態45の方法と、
【0076】
実施形態47. 保護すべき動物が脊椎動物である実施形態1の方法と、
【0077】
実施形態48. 保護すべき脊椎動物が哺乳類、鳥類または魚類である実施形態47の方法と、
【0078】
実施形態49. 保護すべき脊椎動物が哺乳類である実施形態48の方法と、
【0079】
実施形態50. 保護すべき脊椎動物が鳥類である実施形態48の方法と、
【0080】
実施形態51. 保護すべき脊椎動物が魚類である実施形態48の方法と、
【0081】
実施形態52. 保護すべき哺乳類が人間である実施形態49の方法と、
【0082】
実施形態53. 保護すべき哺乳類が家畜である実施形態49の方法と、
【0083】
実施形態54. 保護すべき哺乳類がイヌ科の動物である実施形態49の方法と、
【0084】
実施形態55. 保護すべき哺乳類がネコ科の動物である実施形態49の方法と、
【0085】
実施形態56. 寄生性無脊椎有害生物が外部寄生虫である実施形態1の方法と、
【0086】
実施形態57. 寄生性無脊椎有害生物が内部寄生虫である実施形態1の方法と、
【0087】
実施形態58. 寄生性無脊椎有害生物が蠕虫である実施形態1の方法と、
【0088】
実施形態59. 寄生性無脊椎有害生物が節足動物である実施形態1の方法と、
【0089】
実施形態60. 寄生性無脊椎有害生物が、ハエ、蚊、ダニ、マダニ、シラミ、ノミ、カメムシ類(true bug)またはウジである実施形態1の方法と、
【0090】
実施形態61. 寄生性無脊椎有害生物が、ハエ、蚊、ダニ、マダニ、シラミ、ノミ、トコジラミ、サシガメまたはウジである実施形態1の方法と、
【0091】
実施形態62. 寄生性無脊椎有害生物が、ハエまたはウジである実施形態61の方法と、
【0092】
実施形態63. 寄生性無脊椎有害生物が蚊である実施形態61の方法と、
【0093】
実施形態64. 寄生性無脊椎有害生物がマダニまたはダニである実施形態61の方法と、
【0094】
実施形態65. 寄生性無脊椎有害生物がシラミである実施形態61の方法と、
【0095】
実施形態66. 寄生性無脊椎有害生物がノミである実施形態61の方法と、
【0096】
実施形態67. 寄生性無脊椎有害生物がカメムシ類である実施形態61の方法と、
【0097】
実施形態68. 寄生性無脊椎有害生物がトコジラミまたはサシガメである実施形態61の方法と、
【0098】
実施形態69. 保護すべき動物がネコまたはイヌであり、寄生性無脊椎有害生物がノミ、マダニまたはダニである実施形態61の方法と、
【0099】
実施形態70. 寄生虫駆除的に有効な量の式1の化合物が、年2回経口投与される実施形態44の方法と、
【0100】
実施形態71. 寄生虫駆除的に有効な量の式1の化合物が、月1回経口投与される実施形態44の方法と、
【0101】
実施形態72. 寄生虫駆除的に有効な量の式1の化合物が、月2回経口投与される実施形態44の方法。
【0102】
上記の実施形態1〜72および本明細書中で記載されるその他の実施形態を含む本発明の実施形態はどのような形でも組み合わせることができる。
【0103】
実施形態1〜43の組み合わせは、
実施形態A.
1がCl、BrまたはCF3であり、
2がH、FまたはClであり、そして
3がH、Cl、BrまたはCF3である
実施形態1の方法と、
【0104】
実施形態B.
1およびR3がClであり、そして
2がHである
実施形態Aの方法と、
【0105】
実施形態C.
1およびR3がBrであり、そして
2がHである
実施形態Aの方法と、
【0106】
実施形態D.
1およびR3がCF3であり、そして
2がHである
実施形態Aの方法と、
【0107】
実施形態E.
1、R2およびR3がClである
実施形態Aの方法と、
【0108】
実施形態F.
1およびR3がClであり、そして
2がFである
実施形態Aの方法と、
【0109】
実施形態G.
1がCF3であり、そして
2およびR3がHである
実施形態Aの方法と、
【0110】
実施形態H.
4がメチルであり、そして
5がHである
実施形態Aの方法と、
【0111】
実施形態I.
5がHであり、
6が、1個のR7によって置換されたC1〜C6アルキルであり、そして
7が、OR9、S(O)n10またはC(O)NR1112である
実施形態Aの方法と、
【0112】
実施形態J.
7がC(O)NR1112であり、そして
12が、1個のR13によって場合によりそれぞれ置換されていてもよいC1〜C4アルキルまたはC1〜C4ハロアルキルである
実施形態Aの方法と、
【0113】
実施形態K.
4がClまたはCH3であり、
5がHであり、
6が、1個のR7によって置換されたC1〜C6アルキルであり、そして
7が、OR9、S(O)n10またはC(O)NR1112である
実施形態Aの方法と、
【0114】
実施形態L.
1が、Cl、Br、CF3、OCF3またはOCH2CF3であり、
2がHであり、そして
3がH、F、Cl、BrまたはCF3である
実施形態Kの方法と、
【0115】
実施形態M.
4がCH3であり、そして
7がC(O)NR1112である
実施形態Lの方法と、
【0116】
実施形態N.
1がCF3であり、そして
3がCl、BrまたはCF3である
実施形態Mの方法と、
【0117】
実施形態O.
11がHであり、そして
12が、C1〜C4アルキルまたはC1〜C4ハロアルキルである
実施形態Mの方法と、
【0118】
実施形態P.
11がHであり、そして
12がシクロプロピルまたはシクロプロピルメチルである
実施形態Mの方法とによって例示される。
【0119】
特定の実施形態としては、式1の化合物が以下のものからなる群から選択される実施形態1の方法が挙げられる。
4−[5−(3,5−ジクロロフェニル)−4,5−ジヒドロ−5−(トリフルオロメチル)−3−イソオキサゾリル]−2−メチル−N−(2−ピリジニルメチル)ベンズアミド、
4−[5−(3,5−ジクロロフェニル)−4,5−ジヒドロ−5−(トリフルオロメチル)−3−イソオキサゾリル]−2−メチル−N−[2−オキソ−2−[(2,2,2−トリフルオロエチル)アミノ]エチル]ベンズアミド、
4−[5−(3,5−ジクロロフェニル)−4,5−ジヒドロ−5−(トリフルオロメチル)−3−イソオキサゾリル]−2−メチル−N−[2−(メチルチオ)エチル]ベンズアミド、
4−[5−(3,5−ジクロロフェニル)−4,5−ジヒドロ−5−(トリフルオロメチル)−3−イソオキサゾリル]−2−メチル−N−[2−(メチルスルフィニル)エチル]ベンズアミド、
4−[5−(3,5−ジクロロフェニル)−4,5−ジヒドロ−5−(トリフルオロメチル)−3−イソオキサゾリル]−2−メチル−N−[2−(メチルスルホニル)エチル]ベンズアミド、および
4−[5−(3,5−ジクロロフェニル)−4,5−ジヒドロ−5−(トリフルオロメチル)−3−イソオキサゾリル]−2−メチル−N−[1−メチル−3−(メチルチオ)プロピル]ベンズアミド。
【0120】
さらに特定の実施形態としては、式1の化合物が表AおよびBから選択される実施形態1の方法が挙げられる。以下の略語は、表Aにおいて使用される:c−Prはシクロプロピルを意味する。
【0121】
【表1】

【0122】
【表2】

【0123】
【表3】

【0124】
【表4】

【0125】
式1もしくは実施形態1〜43または実施形態A〜Pのいずれかの化合物は、化合物の経口または非経口投与によって、動物を寄生性無脊椎有害生物から保護するために使用することができる。
【0126】
従って、本発明は、動物用薬剤、あるいはより特別には、動物用寄生虫駆除剤として使用するために式1もしくは実施形態1〜43または実施形態A〜Pのいずれかの化合物(およびこれらを含有する組成物)を含むと理解される。保護すべき動物は、実施形態47〜55のいずれかにおいて定義されるとおりである。寄生性無脊椎有害生物は、実施形態56〜68のいずれかにおいて定義されるとおりである。薬剤は、経口または非経口の投薬形態であり得る。
【0127】
また本発明は、動物を寄生性無脊椎有害生物から保護するための薬剤の製造における、式1もしくは実施形態1〜43または実施形態A〜Pのいずれかの化合物の使用も含むと理解される。保護すべき動物は、実施形態47〜55のいずれかにおいて定義されるとおりである。寄生性無脊椎有害生物は、実施形態56〜68のいずれかにおいて定義されるとおりである。薬剤は、経口または非経の投薬形態であり得る。
【0128】
また本発明は、動物を寄生性無脊椎有害生物から保護するための薬剤の製造において使用するための式1もしくは実施形態1〜43または実施形態A〜Pのいずれかの化合物も含むと理解される。保護すべき動物は、実施形態47〜55のいずれかにおいて定義されるとおりである。寄生性無脊椎有害生物は、実施形態56〜68のいずれかにおいて定義されるとおりである。薬剤は、経口または非経口の投薬形態であり得る。
【0129】
また本発明は、動物を寄生性無脊椎有害生物から保護するために包装および提供される式1もしくは実施形態1〜43または実施形態A〜Pのいずれかの化合物も含むと理解される。保護すべき動物は、実施形態47〜55のいずれかにおいて定義されるとおりである。寄生性無脊椎有害生物は、実施形態56〜68のいずれかにおいて定義されるとおりである。本発明の化合物は、経口または非経口の投薬形態として包装および提供され得る。
【0130】
また本発明は、請求項1の化合物が少なくとも1つの薬学的または獣医学的に許容可能なキャリアと混合されることを特徴とする、動物を寄生性無脊椎有害生物から保護するための組成物の製造方法も含むと理解される。保護すべき動物は、実施形態47〜55のいずれかにおいて定義されるとおりである。寄生性無脊椎有害生物は、実施形態56〜68のいずれかにおいて定義されるとおりである。本発明の組成物は、経口または非経口の投薬形態として包装および提供され得る。
【0131】
式1のイソオキサゾリンは、PCT特許公報国際公開第2005/085216号パンフレットに記載されるように調製することができる。
【0132】
当業者は全てのピリジン複素環がN−オキシド形成できるとは限らないことを認識し、当業者はN−オキシドを形成することができるピリジン複素環を理解するであろう。ピリジン複素環のN−オキシドの調製のための合成方法は当業者には非常によく知られており、過酢酸およびm−クロロ過安息香酸(MCPBA)などのペルオキシ酸、過酸化水素、t−ブチルヒドロペルオキシドなどのアルキルヒドロペルオキシド、過ホウ酸ナトリウム、およびジメチルジオキシランなどのジオキシランによるヘテロ環の酸化が含まれる。N−オキシドの調製のためのこれらの方法は、文献に広く記載および概説されており、例えば、T.L.GilchristのComprehensive Organic Synthesis、第7巻、748−750頁、S.V.Ley編、Pergamon Pressと、M.TislerおよびB.StanovnikのComprehensive Heterocyclic Chemistry、第3巻、18−20頁、A.J.BoultonおよびA.McKillop編、Pergamon Pressと、M.R.GrimmettおよびB.R.T.KeeneのAdvances in Heterocyclic Chemistry、第43巻、149−161頁、A.R.Katritzky編、Academic Pressと、M.TislerおよびB.StanovnikのAdvances in Heterocyclic Chemistry、第9巻、285−291頁、A.R.KatritzkyおよびA.J.Boulton編、Academic Pressと、G.W.H.CheesemanおよびE.S.G.WerstiukのAdvances in Heterocyclic Chemistry、第22巻、390−392頁、A.R.KatritzkyおよびA.J.Boulton編、Academic Pressとが参照される。
【0133】
環境および生理学的条件下で、化合物の塩はその対応する非塩形態と平衡状態にあるので、塩が非塩形態の生物学的効用を共有することは、当業者により認められている。従って、無脊椎有害生物および動物寄生虫を防除するために式1の化合物の様々な種類の塩が有用である。式1の化合物の塩は、臭化水素酸、塩酸、硝酸、リン酸、硫酸、酢酸、酪酸、フマル酸、乳酸、マレイン酸、マロン酸、シュウ酸、プロピオン酸、サリチル酸、酒石酸、4−トルエンスルホン酸または吉草酸などの無機または有機酸との酸付加塩を含む。従って、本発明の方法は、式1、そのN−オキシドおよびその塩から選択される化合物を含む。
【0134】
当該技術分野において既知の方法と共にPCT特許公報国際公開第2005/085216号パンフレットに記載される手順によって、以下の表1〜4の化合物を調製することができる。これらの表は、本発明の方法において有用な式1の化合物の実例となる特定の化合物を開示する。以下の略語は以下の表において使用される:Meはメチルを意味し、Etはエチルを意味し、n−PrはCH2CH2CH3を意味し、i−PrはCH(CH32を意味し、c−Prはシクロプロピルを意味し、i−BuはCH2CH(CH32を意味し、s−BuはCH(CH3)CH2CH3を意味し、t−BuはC(CH33を意味し、S(O)はスルフィニルを意味し、S(O)2はスルホニルを意味し、そしてC(O)はカルボニルを意味する。
【0135】
【表5】

【0136】
【表6】

【0137】
【表7】

【0138】
【表8】

【0139】
【表9】

【0140】
【表10】

【0141】
【表11】

【0142】
【表12】

【0143】
【表13】

【0144】
【表14】

【0145】
【表15】

【0146】
【表16】

【0147】
【表17】

【0148】
【表18】

【0149】
【表19】

【0150】
【表20】

【0151】
【表21】

【0152】
【表22】

【0153】
【表23】

【0154】
【表24】

【0155】
【表25】

【0156】
【表26】

【0157】
【表27】

【0158】
【表28】

【0159】
【表29】

【0160】
【表30】

【0161】
【表31】

【0162】
【表32】

【0163】
【表33】

【0164】
【表34】

【0165】
【表35】

【0166】
【表36】

【0167】
【表37】

【0168】
【表38】

【0169】
【表39】

【0170】
【表40】

【0171】
【表41】

【0172】
【表42】

【0173】
【表43】

【0174】
【表44】

【0175】
【表45】

【0176】
【表46】

【0177】
【表47】

【0178】
【表48】

【0179】
【表49】

【0180】
【表50】

【0181】
【表51】

【0182】
【表52】

【0183】
【表53】

【0184】
【表54】

【0185】
【表55】

【0186】
【表56】

【0187】
【表57】

【0188】
【表58】

【0189】
【表59】

【0190】
【表60】

【0191】
【表61】

【0192】
【表62】

【0193】
【表63】

【0194】
【表64】

【0195】
式1の化合物の組成物は、製剤助剤(そのいくつかは、固体希釈剤、液体希釈剤または界面活性剤の役割も果たすと考えることができる)として当業者に知られている製剤助剤および添加剤を含有してもよい。このような製剤助剤および添加剤は、pH(緩衝剤)、処理中の発泡(ポリオルガノシロキサンのような消泡剤)、活性成分の沈降(懸濁化剤)、粘度(チキソトロピー増粘剤)、容器内微生物の成長(抗菌剤)、生成物の凍結(凍結防止剤)、色(染料/顔料分散体)、ウォッシュオフ(wash−off)(塗膜形成剤またはスティッカー)、蒸発(蒸発遅延剤)、および他の製剤の特性を制御することができる。塗膜形成剤としては、例えば、ポリ酢酸ビニル、ポリ酢酸ビニルコポリマー、ポリビニルピロリドン−酢酸ビニルコポリマー、ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコールコポリマーおよびワックスが挙げられる。製剤助剤および添加剤の例としては、McCutcheon、2巻:Functional Materials、annual International and North American editions、McCutcheon’s Division、The Manufacturing Confectioner Publishing Co.刊行と、国際公開第03/024222パンフレットとに記載されるものが挙げられる。
【0196】
注目すべきは、式1の化合物と、少なくとも1つの他の寄生性無脊椎有害生物防除活性成分との組み合わせを用いる本発明の方法である。特に注目すべきは、他の寄生性無脊椎有害生物防除活性成分が式1の化合物とは異なる作用部位を有する方法である。特定の場合には、耐性を管理するために、同様の防除範囲であるが異なる作用部位を有する少なくとも1つの他の寄生性無脊椎有害生物防除活性成分との組み合わせが特に有利であろう。従って、本発明の方法において有用な式1の化合物を含む組成物は、さらに、同様の防除範囲であるが異なる作用部位を有する生物学的に有効な量の少なくとも1つの追加の寄生性無脊椎有害生物防除活性成分を含むことができる。
【0197】
式1の化合物は他の補助剤がなくても適用され得るが、ほとんどの場合、適切なキャリア、希釈剤、および界面活性剤と共に1つまたは複数の活性成分を含む製剤が適用され、場合により、予期される最終用途次第で食品と組み合わせて適用されるであろう。1つの適用方法は、式1の化合物の水分散液または精製油溶液を噴霧することを含む。スプレー油、スプレー油濃縮物、スプレッダスティッカー(spreader sticker)、補助剤、他の溶媒、およびピペロニルブトキシドなどの相乗剤との組み合わせは、化合物の効力を高めることが多い。このようなスプレーは、ポンプによるか、あるいは加圧容器(例えば、加圧エアロゾルスプレー缶)から放出することによって、缶、ボトルまたは他の容器などの噴霧容器から適用され得る。このような噴霧組成物は、様々な形態(例えば、スプレー、ミスト、フォーム、フュームまたは霧)をとることができる。従って、このような噴霧組成物は、場合によっては、さらに噴射剤、発泡剤なども含むことができる。注目すべきは、生物学的に有効な量の式1の化合物または組成物およびキャリアを含む噴霧組成物である。このような噴霧組成物の1つの実施形態は、生物学的に有効な量の式1の化合物または組成物および噴射剤を含む。代表的な噴射剤としては、メタン、エタン、プロパン、ブタン、イソブタン、ブテン、ペンタン、イソペンタン、ネオペンタン、ペンテン、ヒドロフルオロカーボン、クロロフルオロカーボン、ジメチルエーテル、および前述のものの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。注目すべきは、蚊、ブユ、サシバエ、メクラアブ、アブ、大形のハチ(wasp)、イエロージャケット、スズメバチ、マダニ、クモ、アリ、ブヨなどからなる(単独または組み合わせを含む)群から選択される少なくとも1種の寄生性無脊椎有害生物を防除するために使用される噴霧組成物(および噴霧容器から分配されるこのような噴霧組成物を用いる方法)である。
【0198】
動物寄生虫の防除は、宿主動物の体の表面(例えば、肩、腋窩、腹部、大腿の内側部分)に寄生する外部寄生虫の防除と、宿主動物の体の内部(例えば、胃、腸、肺、静脈、皮下、リンパ組織)に寄生する内部寄生虫の防除とを含む。外部寄生虫または疾患を伝染する有害生物としては、例えば、ツツガムシ、マダニ、シラミ、蚊、ハエ、ダニおよびノミが挙げられる。内部寄生虫としては、犬糸状虫、鉤虫および蠕虫が挙げられる。式1の化合物および組成物は、特に、外部寄生虫と闘うために適している。式1の化合物および組成物は、動物における寄生虫による寄生または感染の全身性および/または非全身性の防除に適する。
【0199】
式1の化合物および組成物は、野生動物、家畜および農作業用動物を含む動物対象に寄生する寄生性無脊椎有害生物と闘うために適している。家畜とは、食品または繊維などの製品を製造するため、あるいはその労働のために農業環境で意図的に飼育される家畜化された単数または複数の動物を指すために使用される用語であり、家畜の例としては、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ウマ、ブタ、ロバ、ラクダ、水牛、ウサギ、雌鳥、シチメンチョウ、アヒルおよびガチョウ(例えば、食肉、乳、バター、卵、毛皮、皮革、羽毛および/または羊毛のために飼育される)が挙げられる。寄生虫と闘うことによって、致死率および性能低下(食肉、乳、羊毛、皮、卵などに関して)が低減されるので、式1の化合物を含む組成物の適用によって、より経済的で簡単な動物の飼育が可能になる。
【0200】
式1の化合物および組成物は、特に、コンパニオン動物およびペット(例えば、イヌ、ネコ、ペット鳥および観賞魚)、研究および実験動物(例えば、ハムスター、モルモット、ラットおよびマウス)、ならびに動物園、野生生息環境および/またはサーカスのため/において飼育される動物に寄生する寄生性無脊椎有害生物と闘うために適している。
【0201】
本発明の実施形態では、動物は好ましくは脊椎動物あり、より好ましくは哺乳類、鳥類または魚類である。特定の実施形態では、動物対象は哺乳類(人間などの類人猿を含む)である。その他の哺乳類対象には、霊長類(例えば、サル)、ウシ亜科の動物(例えば、ウシまたは乳牛)、ブタ類(例えば、イノシシまたはブタ)、ヒツジ類(例えば、ヤギまたはヒツジ)、ウマ科の動物(例えば、ウマ)、イヌ科の動物(例えば、イヌ)、ネコ科の動物(例えば、飼いネコ)、ラクダ、シカ、ロバ、水牛、レイヨウ、ウサギ、および齧歯類(例えば、モルモット、リス、ラット、マウス、スナネズミ、およびハムスター)が含まれる。鳥類には、ガンカモ科(ハクチョウ、アヒルおよびガチョウ)、ハト科(例えば、ハト(doveおよびpigeon))、キジ科(例えば、ヤマウズラ、ライチョウおよびシチメンチョウ)、テシエニダエ(Thesienidae)(例えば、家畜のニワトリ)、オウム類(例えば、インコ、コンゴウインコおよびオウム)、狩猟鳥類、および走鳥類(例えば、ダチョウ)が含まれる。
【0202】
式1の化合物によって処置または保護される鳥類は、商業的または非商業的な鳥類飼養に関連し得る。これらには、特にペットまたはコレクター市場のために飼育された、ハクチョウ、ガチョウ、およびアヒルなどのガンカモ科、ハトおよび家畜のハトなどのハト科、ヤマウズラ、ライチョウおよびシチメンチョウなどのキジ科、家畜のニワトリなどのテシエニダエ(Thesienidae)、ならびにインコ、コンゴウインコおよびオウムなどのオウム類が含まれる。
【0203】
本発明のために、「魚類」という用語は、魚類のテレオスチ(Teleosti)群、すなわち真骨魚類を制限なしに含むと理解されるべきである。サケ目(サケ科(Salmonidae family)を含む)およびスズキ目(サンフィッシュ科(Centrarchidae family)を含む)はいずれも、テレオスチ(Teleosti)群内に含有される。潜在的な魚類レシピエントの例としては、特に、サケ科、ハタ科(Serranidae)、タイ科(Sparidae)、カワスズメ科(Cichlidae)、およびサンフィッシュ科が挙げられる。
【0204】
寄生虫の感染または寄生の処置または予防において本発明の方法が安全および有効である有袋類(カンガルーなど)、爬虫類(飼育カメなど)、および他の経済的に重要な家畜を含むその他の動物も、本発明の方法によって利益を得ると考えられる。
【0205】
殺虫的に有効な量の式1の化合物を保護すべき動物に投与することによって防除される寄生性無脊椎有害生物の例としては、外部寄生虫(節足動物、ダニ目など)および内部寄生虫(蠕虫類、例えば、線虫、吸虫、条虫、鈎頭虫など)が挙げられる。
【0206】
蠕虫病として一般に記載されている疾患または疾患群は、蠕虫類として知られる寄生虫による動物宿主の感染によるものである。「蠕虫類」という用語は、線虫、吸虫、条虫および鈎頭虫を含むことを意味する。蠕虫病は、ブタ、ヒツジ、ウマ、ウシ、ヤギ、イヌ、ネコおよび家禽などの家畜化された動物に関する一般的で深刻な経済的問題である。
【0207】
蠕虫類の中で線虫として記載される虫の群は、様々な動物種において、広範囲に及ぶそして時には深刻な感染を引き起こす。本発明の化合物および本発明の方法によって処置されると考えられる線虫としては、以下の属:アカントケイロネマ属(Acanthocheilonema)、アエルロストロンギルス属(Aelurostrongylus)、アンシロストーマ属(Ancylostoma)、アンギオストロンギルス属(Angiostrongylus)、アスカリディア属(Ascaridia)、アスカリス属(Ascaris)、ブルギア属(Brugia)、ブノストマム属(Bunostomum)、キャピラリア属(Capillaria)、チャベルチア属(Chabertia)、クーペリア属(Cooperia)、クレノソマ属(Crenosoma)、ディクチオカウルス属(Dictyocaulus)、ジオクトフィーマ属(Dioctophyme)、ディペタロネマ属(Dipetalonema)、ジフィロボスリウム属(Diphyllobothrium)、ディロフィラリア属(Dirofilaria)、ドラクンクルス属(Dracunculus)、エンテロビウス属(Enterobius)、フィラロイデス属(Filaroides)、ヘモンクス属(Haemonchus)、ヘテラキス属(Heterakis)、ラゴキラスカリス属(Lagochilascaris)、ロア属(Loa)、マンソネラ属(Mansonella)、ムエレリウス属(Muellerius)、ネカトール属(Necator)、ネマトジルス属(Nematodirus)、エソファゴストマム属(Oesophagostomum)、オステルタギア属(Ostertagia)、オキシウリス属(Oxyuris)、パラフィラリア属(Parafilaria)、パラスカリス属(Parascaris)、フィサロプテラ属(Physaloptera)、プロトストロンギルス(Protostrongylus)、セタリア属(Setaria)、スピロセルカ属(Spirocerca)、ステファノフィラリア属(Stephanofilaria)、ストロンギロイデス属(Strongyloides)、ストロンギルス属(Strongylus)、テラジア属(Thelazia)、トキサスカリス属(Toxascaris)、トキソカラ属(Toxocara)、トリキネラ属(Trichinella)、トリコネマ属(Trichonema)、トリコストロンギルス属(Trichostrongylus)、トリチュリス属(Trichuris)、ウンシナリア属(Uncinaria)およびウケレリア属(Wuchereria)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0208】
上記のうち、上述した動物に感染する最も一般的な線虫の属は、ヘモンクス属(Haemonchus)、トリコストロンギルス属(Trichostrongylus)、オステルタギア属(Ostertagia)、ネマトジルス属(Nematodirus)、クーペリア属(Cooperia)、アスカリス属(Ascaris)、ブノストマム属(Bunostomum)、エソファゴストマム属(Oesophagostomum)、チャベルチア属(Chabertia)、トリチュリス属(Trichuris)、ストロンギルス属(Strongylus)、トリコネマ属(Trichonema)、ディクチオカウルス属(Dictyocaulus)、キャピラリア属(Capillaria)、ヘテラキス属(Heterakis)、トキソカラ属(Toxocara)、アスカリディア属(Ascaridia)、オキシウリス属(Oxyuris)、アンシロストーマ属(Ancylostoma)、ウンシナリア属(Uncinaria)、トキサスカリス属(Toxascaris)およびパラスカリス属(Parascaris)である。ネマトジルス属(Nematodirus)、クーペリア属(Cooperia)およびエソファゴストマム属(Oesophagostomum)などのこれらのうちのいくつかは主に腸管を攻撃するが、ヘモンクス属(Haemonchus)およびオステルタギア属(Ostertagia)などの他のものは胃においてより優勢であり、ディクチオカウルス属(Dictyocaulus)などの他のものは、肺において見られる。さらに他の寄生虫は、心臓および血管などの他の組織、皮下ならびにリンパ組織などに住みつくこともある。
【0209】
本発明の化合物および本発明の方法によって処置されると考えられる吸虫としては、以下の属:アラリア属(Alaria)、ファシオラ属(Fasciola)、ナノフィエツス属(Nanophyetus)、オピストルキス属(Opisthorchis)、パラゴニムス属(Paragonimus)およびシストソーマ属(Schistosoma)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0210】
本発明の化合物および本発明の方法によって処置されると考えられる条虫としては、以下の属:ジフィロボスリウム属(Diphyllobothrium)、ジプリジウム属(Diplydium)、スピロメトラ属(Spirometra)およびテニア属(Taenia)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0211】
人間の消化管の寄生虫の最も一般的な属は、アンシロストーマ属(Ancylostoma)、ネカトール属(Necator)、アスカリス属(Ascaris)、ストロンギロイデス属(Strongyloides)、トリキネラ属(Trichinella)、キャピラリア属(Capillaria)、トリチュリス属(Trichuris)およびエンテロビウス属(Enterobius)である。血液または消化管の外側の他の組織および器官内において見られるその他の医学的に重要な属の寄生虫は、ウケレリア属(Wuchereria)、ブルギア属(Brugia)、オンコセルカ属(Onchocerca)およびロア属(Loa)、ならびにドラクンクルス属(Dracunculus)などの糸状虫、そして腸内虫のストロンギロイデス属(Strongyloides)およびトリキネラ属(Trichinella)の腸外段階である。
【0212】
多数の他の蠕虫属および種は当該技術分野に知られており、これらも式1の化合物によって処置されると考えられる。これらは、「Textbook of Veterinary Clinical Parasitology、第1巻、Helminths」、E.J.L.Soulsby、F.A.Davis Co.(Philadelphia、Pa.)、「Helminths,Arthropods and Protozoa(MonnigのVeterinary Helminthology and Entomologyの第6版)」、E.J.L.Soulsby、The Williams and Wilkins Co.(Baltimore、Md.)において詳細に列挙されている。
【0213】
式1の化合物は、多数の動物外部寄生虫(例えば、哺乳類および鳥類の節足動物外部寄生虫)に対して有効である。
【0214】
昆虫およびダニ目の有害生物としては、例えば、ハエおよび蚊などの刺咬昆虫、ダニ、マダニ、シラミ、ノミ、カメムシ類(true bug)、寄生性ウジなどが挙げられる。
【0215】
成虫のハエとしては、例えば、ノサシバエまたはHaematobia irritans、アブまたはTabanus spp.、サシバエまたはStomoxys calcitrans、ブユまたはSimulium spp.、メクラアブまたはChrysops spp.、シラミバエまたはMelophagus ovinus、およびツェツェバエまたはGlossina spp.が挙げられる。寄生性のハエウジとしては、例えば、ヒツジバエ(Oestrus ovisおよびCuterebra spp.)、クロバエまたはPhaenicia spp.、ラセンウジバエまたはCochliomyia hominivorax、ウシバエまたはHypoderma spp.、ウマのフリースワーム(fleeceworm)およびGastrophilusが挙げられる。蚊としては、例えば、Culex spp.、Anopheles spp.およびAedes spp.が挙げられる。
【0216】
ダニとしては、Mesostigmata spp.、例えば、ワクモ(chicken mite)、Dermanyssus gallinaeなどの中気門類ダニ(Mesostigmatid)と、Sarcoptidae spp.、例えばSarcoptes scabieiなどのヒゼンダニと、Chorioptes bovisおよびPsoroptes ovisを含むPsoroptidae spp.などの疥癬ダニ(mange mite)と、Trombiculidae spp.例えば、North American chigger、Trombicula alfreddugesiなどのツツガムシとが挙げられる。
【0217】
マダニとしては、例えば、Argasidae spp.例えばArgas spp.およびOrnithodoros spp.を含む軟らかい体のマダニと、Ixodidae spp.、例えば、Rhipicephalus sanguineus、Dermacentor variabilis、Dermacentor andersoni、Amblyomma americanum、Ixodes scapularisおよび他のRhipicephalus spp.(前述のBoophilus属を含む)を含む硬い体のマダニとが挙げられる。
【0218】
シラミとしては、例えば、吸血シラミ(例えば、Menopon spp.およびBovicola spp.)と、ハジラミ(例えば、Haematopinus spp.、Linognathus spp.およびSolenopotes spp.)とが挙げられる。
【0219】
ノミとしては、例えば、Ctenocephalides spp.(イヌノミ(Ctenocephalides canis)およびネコノミ(Ctenocephalides felis)など)と、Xenopsylla spp.(ケオプスマウスノミ(Xenopsylla cheopis)など)と、Pulex spp.(ヒトノミ(Pulex irritans)など)とが挙げられる。
【0220】
カメムシ類としては、例えば、トコジラミ科または例えば一般的なトコジラミ(Cimex lectularius)と、サシガメ(kissing bugとしても知られているtriatomid bug)を含むTriatominae spp.と、例えば、Rhodnius prolixusおよびTriatoma spp.とが挙げられる。
【0221】
一般に、ハエ、ノミ、シラミ、蚊、ブヨ、ダニ、マダニおよび蠕虫は、家畜およびコンパニオン動物の分野で非常に多大な損失を引き起こす。また節足動物寄生虫は人間にとっても有害物であり、人間および動物において疾患を引き起こす生物体を媒介し得る。
【0222】
多数の他の寄生性無脊椎有害生物は当該技術分野において知られており、これらも式1の化合物によって処置されると考えられる。これらは、「Medical and Veterinary Entomology」、D.S.Kettle、John Wiley & Sons(New YorkおよびToronto)、「Control of Arthropod Pests of Livestock:A Review of Technology」、R.O.Drummand、J.E.George、およびS.E.Kunz、CRC Press(Boca Raton、Fla.)において詳細に列挙されている。
【0223】
特に、式1の化合物は、サシバエ(Stomoxys calcitrans)と、Ixodes spp.、Boophilus spp.、Rhipicephalus spp.、Amblyomma spp.、Dermacentor spp.、Hyalomma spp.およびHaemaphysalis spp.などのマダニと、ネコノミ(Ctenocephalides felis)およびイヌノミ(Ctenocephalides canis)などのノミとを含む外部寄生虫に対して特に有効である。
【0224】
式1の化合物は、ノサシバエ(Haematobia(Lyperosia)irritans)、ブユ(Simulium spp.)、ツェツェバエ(Glossina spp.)、ヘッドフライ(head fly)(Hydrotaea irritans)、フェイスフライ(face fly)(Musca autumnalis)、イエバエ(Musca domestica)、スイートフライ(sweat fly)(Morellia simplex)、アブ(horese fly)(Tabanus spp.)、Hypoderma bovis、Hypoderma lineatum、Lucilia sericata、ヒツジクロバエ(Lucilia cuprina)、クロバエ(Calliphora spp.)、Protophormia spp.、ヒツジバエ(Oestrus ovis)、ユスリカ(Culicoides spp.)、Hippobosca equine、Gastrophilus intestinalis、Gastrophilus haemorrhoidalisおよびGastrophilus nasalisなどのハエと、Bovicola(Damalinia)bovis、Bovicola equi、Haematopinus asini、Felicola subrostratus、Heterodoxus spiniger、Lignonathus setosusおよびTrichodectes canisなどのシラミと、Melophagus ovinusなどのヒツジシラミバエと、Psoroptes spp.、Sarcoptes scabei、Chorioptes bovis、Demodex equi、Cheyletiella spp.、Notoedres cati、Trombicula spp.およびミミダニ(Otodectes cyanotis)などのダニとを含む外部寄生虫に対しても有効であり得る。
【0225】
その他の生物学的に活性な化合物または薬剤は式1の化合物と同時に投与されてもよいし、異なる時間に投与されてもよい。このような化合物は、例えば、本発明の方法のための式1の組成物において有用な補助剤であり得る。以下に言及されるように、このような生物学的に活性な化合物は、式1の組成物中に含まれてもよい。本発明において使用するためのこのような生物学的に活性な化合物には、有機リン農薬が含まれる。この種類の農薬は殺虫剤として非常に広い活性を有し、特定の場合には駆虫活性を有する。有機リン農薬としては、例えば、ジクロトホス、テルブホス、ジメトエート、ジアジノン、ジスルホトン、トリクロルホン、アジンホス−メチル、クロルピリホス、マラチオン、オキシデメトン−メチル、メタミドホス、アセフェート、エチルパラチオン、メチルパラチオン、メビンホス、ホレート、カルボフェンチオンおよびホサロンが挙げられる。本発明の方法のための式1の化合物の組成物は、例えば、カルバリル、カルボフラン、アルジカルブ、モリネート、メトミル、カルボフランなどを含むカルバメートタイプの農薬、ならびに有機塩素系の農薬との組み合わせも含むと考えられる。式1の化合物の組成物はさらに、忌避剤、ピレトリン(およびその合成変化形、例えば、アレトリン、レスメトリン、ペルメトリン、トラロメトリン)、およびニコチン(ダニ駆除剤として使用されることが多い)を含む生物農薬との組み合わせも含むと考えられる。考えられるその他の組み合わせは、バチルス・チューリンゲンシス(Bacillus thuringiensis)、クロルベンジレート、ホルムアミジン(例えば、アミトラズ)、銅化合物(例えば、水酸化銅および第二銅・オキシクロリド・スルファート(cupric oxychloride sulfate)、シフルトリン、シペルメトリン、ジコホール、エンドスルファン、エスフェンバレレート、フェンバレレート、ラムダ−シハロトリン、メトキシクロルおよび硫黄を含む種々雑多な農薬との組み合わせである。
【0226】
注目すべきは、例えば、アベルメクチン(例えば、イベルメクチン、モキシデクチン、ミルベマイシン)、ベンゾイミダゾール(例えば、アルベンダゾール、トリクラベンダゾール)、サリチルアニリド(例えば、クロサンテル、オキシクロザニド)、置換フェノール(例えば、ニトロキシニル)、ピリミジン(例えば、ピランテル)、イミダゾチアゾール(例えば、レバミソール)およびプラジカンテルなどの技術分野で既知の駆虫剤から選択される追加の生物学的に活性な化合物または薬剤である。
【0227】
本発明の方法のための式1の組成物において有用であるその他の生物学的に活性な化合物または薬剤は、ジフルベンズロン、トリフルムロン、フルアズロン、シロマジン、メトプレンなどの昆虫成長調節剤(IGR)および幼若ホルモン擬態(JHA)から選択することができ、それによって、動物対象に対して、そして動物対象の環境において、寄生虫(卵を含む昆虫の発育の全ての段階において)の初期防除および持続的な防除が提供される。
【0228】
注目すべきは、抗寄生虫化合物のアベルメクチン類から選択される、本発明の方法のための式1の組成物において有用である生物学的に活性な化合物または薬剤である。上記のように、アベルメクチン類の化合物には、哺乳類において広い範囲の内部寄生虫および外部寄生虫に対して有用であることが知られている非常に強力な抗寄生虫剤が含まれる。
【0229】
本発明の範囲内で使用するために好ましい化合物は、イベルメクチンである。イベルメクチンはアベルメクチンの半合成誘導体であり、通常、少なくとも80%の22,23−ジヒドロアベルメクチンB1aおよび20%未満の22,23−ジヒドロアベルメクチンB1bの混合物として製造される。イベルメクチンは、米国特許第4,199,569号明細書に開示されている。
【0230】
アバメクチンは、米国特許第4,310,519号明細書においてアベルメクチンB1a/B1bとして開示されているアベルメクチンである。アバメクチンは、少なくとも80%のアベルメクチンB1aおよび20%以下のアベルメクチンB1bを含有する。
【0231】
別の好ましいアベルメクチンは、25−シクロヘキシル−アベルメクチンB1としても知られているドラメクチンである。ドラメクチンの構造および調製は、米国特許第5,089,480号明細書に開示されている。
【0232】
別の好ましいアベルメクチンはモキシデクチンである。LL−F28249アルファとしても知られているモキシデクチンは、米国特許第4,916,154号明細書から分かる。
【0233】
別の好ましいアベルメクチンはセラメクチンである。セラメクチンは、25−シクロヘキシル−25−デ(1−メチルプロピル)−5−デオキシ−22,23−ジヒドロ−5−(ヒドロキシイミノ)−アベルメクチンB1単糖である。
【0234】
ミルベマイシン、またはB41は、ストレプトミセス属(Streptomyces)のミルベマイシン産生菌株の発酵ブロスから単離される物質である。微生物、発酵条件および単離手順は、米国特許第3,950,360号明細書および米国特許第3,984,564号明細書に記載されている。
【0235】
米国特許第5,288,710号明細書および米国特許第5,399,717号明細書に記載されるように調製することができるエマメクチン(4”−デオキシ−4”−エピ−メチルアミノアベルメクチンB1)は、2つの同族体、4”−デオキシ−4”−エピ−メチルアミノアベルメクチンB1aおよび4”−デオキシ−4”−エピ−メチルアミノアベルメクチンB1bの混合物である。好ましくは、エマメクチンの塩が使用される。本発明において使用され得るエマメクチンの塩の非限定的な例としては、米国特許第5,288,710号明細書において記載される塩、例えば、安息香酸、置換安息香酸、ベンゼンスルホン酸、クエン酸、リン酸、酒石酸、マレイン酸などから誘導される塩が挙げられる。最も好ましくは、本発明で使用されるエマメクチン塩は安息香酸エマメクチンである。
【0236】
エプリノメクチンは、4”−エピ−アセチルアミノ−4”−デオキシ−アベルメクチンB1として化学的に知られている。エプリノメクチンは、全てのウシの種類および年齢群において使用するために特別に開発された。これは、内部寄生虫および外部寄生虫の両方に対して広範な活性を示す最初のアベルメクチンであったが、食肉および乳中に残される残留物も最低限であった。これは、局所的に送達される場合に非常に強力であるという追加の利点も有する。
【0237】
本発明の方法のための式1の組成物は、場合により、以下の抗寄生虫化合物のうちの1つまたは複数のものの組み合わせを含んでもよい:米国特許出願公開第2005/0182059A1号明細書により記載されるイミダゾ[1,2−b]ピリダジン化合物、米国特許第7,361,689号明細書により記載される1−(4−モノおよびジ−ハロメチルスルホニルフェニル)−2−アシルアミノ−3−フルオロプロパノール化合物、米国特許第7,312,248号明細書により記載されるトリフルオロメタンスルホンアニリドオキシムエーテル誘導体、ならびにPCT特許出願公報国際公開第2006/135648号パンフレットにより記載されるn−[(フェニルオキシ)フェニル]−1,1,1−トリフルオロメタンスルホンアミドおよびn−[(フェニルスルファニル)フェニル]−1,1,1−トリフルオロメタン−スルホンアミド誘導体。
【0238】
式1の組成物はさらに殺吸虫剤を含んでもよい。適切な殺吸虫剤としては、例えば、トリクラベンダゾール、フェンベンダゾール、アルベンダゾール、クロルスロンおよびオキシベンダゾールが挙げられる。上記の組み合わせがさらに、抗生物質、抗寄生虫剤のおよび抗吸虫活性化合物の組み合わせも含み得ることは認識されるであろう。
【0239】
上記の組み合わせに加えて、本発明の方法のために本明細書中に記載されるような式1の組成物を、微量元素、抗炎症剤、抗感染剤、ホルモン、消毒剤および殺菌剤を含む皮膚用調製物、ならびに疾患の予防のためのワクチンおよび抗血清などの免疫生物剤(immunobiologicals)などの他の動物健康改善剤と共に提供することも考えられる。
【0240】
例えば、このような抗感染剤には、本発明の方法を用いる処置中に、例えば結合された組成物および/または別々の投薬形態で、場合により同時投与されてもよい1つまたは複数の抗生物質が含まれる。このために適切な技術分野で既知の抗生物質には、例えば、本明細書において以下で記載されるものが含まれる。
【0241】
1つの有用な抗生物質は、D−(threo)−1−(4−メチルスルホニルフェニル)−2−ジクロロアセトアミド−3−フルオロ−1−プロパノールとしても知られているフロルフェニコールである。別の好ましい抗生物質化合物は、D−(threo)−1−(4−メチルスルホニルフェニル)−2−ジフルオロアセトアミド−3−フルオロ−1−プロパノールである。別の有用な抗生物質はチアンフェニコールである。これらの抗生物質化合物の製造方法、およびこのような方法において有用な中間体は、米国特許第4,31,857号明細書、米国特許第4,582,918号明細書、米国特許第4,973,750号明細書、米国特許第4,876,352号明細書、米国特許第5,227,494号明細書、米国特許第4,743,700号明細書、米国特許第5,567,844号明細書、米国特許第5,105,009号明細書、米国特許第5,382,673号明細書、米国特許第5,352,832号明細書、および米国特許第5,663,361号明細書に記載されている。その他のフロルフェニコール類似体および/またはプロドラッグが開示されており、このような類似体も本発明の組成物および方法において使用することができる(例えば、米国特許第7,041,670号明細書および米国特許第7,153,842号明細書を参照)。
【0242】
別の有用な抗生物質化合物はチルミコシンである。チルミコシンは、20−ジヒドロ−20−デオキシ−20−(cis−3,5−ジメチルピペリジン−1−イル)−デスマイコシンであると化学的に定義されるマクロライド抗生物質であり、米国特許第4,820,695号明細書に開示されている。
【0243】
本発明で使用するための別の有用な抗生物質はツラスロマイシンである。ツラスロマイシンは、米国特許第6,825,327号明細書に記載される手順に従って調製することができる。
【0244】
本発明で使用するためのさらなる抗生物質としては、例えば、セフチオフル、セフキノムなどのセファロスポリンが挙げられる。本発明の製剤中のセファロスポリンの濃度は、場合により、約1mg/mL〜500mg/mLの間で変わり得る。
【0245】
別の有用な抗生物質としては、例えば、エンロフロキサシン、ダノフロキサシン、ジフロキサシン、オルビフロキサシンおよびマルボフロキサシンなどのフルオロキノロンが挙げられる。エンロフロキサシンの場合、約100mg/mLの濃度で投与され得る。ダノフロキサシンは、約180mg/mLの濃度で存在し得る。
【0246】
その他の有用なマクロライド抗生物質には、ケトライド類、またはより特別にはアザライド類からの化合物が含まれる。このような化合物は、例えば、米国特許第6,514,945号明細書、米国特許第6,472,371号明細書、米国特許第6,270,768号明細書、米国特許第6,437,151号明細書、米国特許第6,271,255号明細書、米国特許第6,239,12号明細書、米国特許第5,958,888号明細書、米国特許第6,339,063号明細書、および米国特許第6,054,434明細書に記載されている。
【0247】
その他の有用な抗生物質としてはテトラサイクリン、特にクロルテトラサイクリンおよびオキシテトラサイクリンが挙げられる。他の抗生物質は、ペニシリン系、例えば、ペニシリン、アンピシリン、アモキシシリンなどのβ−ラクタム、もしくはアモキシシリンとクラブラン酸または他のベータラクタマーゼ阻害剤との組み合わせを含み得る。
【0248】
本発明の処置は、例えば錠剤、カプセル、飲料、水薬調製物、顆粒、ペースト、ボーラス(boli)、フィードスルー(feed−through)手順、または坐薬の形態での経腸投与による、あるいは例えば注射(筋肉内、皮下、静脈内、腹腔内を含む)または移植などの非経口投与による、あるいは経鼻投与によるなどの従来の手段による。
【0249】
式1の化合物は、制御放出形態、例えば皮下または経口的に投与される遅延放出製剤において投与することができる。
【0250】
通常、本発明に従う寄生虫駆除組成物は、式1の化合物、そのN−オキシドまたはその塩と、意図される投与経路(例えば、経口投与または注射などの非経口投与)に関して標準的技法に従って選択される賦形剤および助剤を含む1つまたは複数の薬学的または獣医学的に許容可能なキャリアとの混合物を含む。さらに、適切なキャリアは、pHに対する安定性および含水量などの考慮を含む、組成物中の1つまたは複数の活性成分との適合性に基づいて選択される。従って、注目すべきは、寄生的に有効な量の式1の化合物および少なくとも1つのキャリアを含む、動物を寄生性無脊椎有害生物から保護するための組成物である。
【0251】
静脈内、筋肉内および皮下注射を含む非経口投与のために、式1の化合物は、油性または水性媒体中の懸濁液、溶液、または乳液に配合され、懸濁化剤、安定剤および/または分散剤などの補助剤を含有することができる。式1の化合物は、ボーラス注射または持続注入のために配合されてもよい。注射のための医薬品組成物には、好ましくは、医薬品製剤の技術分野において知られているような他の賦形剤または助剤を含有する生理学的に適合性の緩衝液中の活性成分の水溶性形態(例えば、活性化合物の塩)の水溶液が含まれる。さらに、活性化合物の懸濁液は、親油性媒体中で調製することができる。適切な親油性媒体には、ゴマ油などの脂肪油、オレイン酸エチルおよびトリグリセリドなどの合成脂肪酸エステル、またはリポソームなどの物質が含まれる。水性の注射用懸濁液は、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ソルビトール、またはデキストランなどの、懸濁液の粘度を増大させる物質を含有し得る。注射のための製剤は、単位剤形、例えば、アンプルまたは多用量の容器内で提供され得る。あるいは、活性成分は、使用前に適切な媒体、例えば、パイロジェンを含まない無菌水と共に構成するために粉末形態であってもよい。
【0252】
上記で記載した製剤に加えて、式1の化合物は、デポー調製物としても配合され得る。このような長時間作用の製剤は、移植(例えば、皮下または筋肉内)によって、あるいは筋肉内または皮下注射によって投与され得る。式1の化合物は、適切な高分子または疎水性材料(例えば、薬理学的に許容可能な油を有する乳液中)と共に、イオン交換樹脂と共に、あるいは難溶性塩など(限定されない)の難溶性の誘導体として、この投与経路のために配合され得る。
【0253】
吸入による投与のために、式1の化合物は、加圧パックまたはネブライザーと、例えば、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタンまたは二酸化炭素など(限定されない)の適切な噴射剤とを用いて、エアロゾルスプレーの形態で送達することができる。加圧エアロゾルの場合、投薬単位は、計量された量を送達するためのバルブを提供することによって制御することができる。吸入器または注入器において使用するための例えばゼラチンのカプセルおよびカートリッジは、化合物と、ラクトースまたはデンプンなどの適切な粉末基剤との粉末ミックスを含有して配合され得る。
【0254】
式1の化合物は、経口投与および摂取からの全身的な有効性を提供する、驚くほど有利な薬物動態学的特性および薬力学的特性を有することが分かった。従って、保護すべき動物による摂取の後、血流中の式1の化合物の寄生虫駆除的に有効な濃度は、処置された動物をノミ、マダニおよびシラミなどの吸血有害生物から保護する。従って、注目すべきは、経口投与のための形態(すなわち、寄生虫駆除的に有効な量の式1の化合物に加えて、経口投与に適したバインダーおよび充填剤、ならびに飼料濃縮キャリアから選択される1つまたは複数のキャリアを含む)における、動物を寄生性無脊椎有害生物から保護するための組成物である。
【0255】
溶液(最も容易に利用できる吸収形態)、乳液、懸濁液、ペースト、ゲル、カプセル、錠剤、ボーラス、粉末、顆粒、ルーメン−リテンション(rumen−retention)および飼料/水/リック(lick)ブロックの形態における経口投与のために、式1の化合物は、糖および糖誘導体(例えば、ラクトース、スクロース、マンニトール、ソルビトール)、デンプン(例えば、トウモロコシデンプン、小麦デンプン、米デンプン、ジャガイモデンプン)、セルロースおよび誘導体(例えば、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、エチルヒドロキシセルロース)、タンパク質誘導体(例えば、ゼイン、ゼラチン)、および合成ポリマー(例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン)などの、経口投与組成物に適切であることが当該技術分野において既知のバインダー/充填剤と共に配合することができる。所望される場合には、潤滑剤(例えばステアリン酸マグネシウム)、崩壊剤(例えば、架橋ポリビニルピロリジノン、寒天、アルギン酸)および染料または顔料を添加することができる。ペーストおよびゲルは、組成物と口腔との接触を保持して、容易に排出されないことを助けるための接着剤(例えば、アカシア、アルギン酸、ベントナイト、セルロース、キサンタンガム、コロイド状ケイ酸マグネシウムアルミニウム)も含有することが多い。
【0256】
好ましい実施形態は、咀嚼可能なおよび/または食用の製品(例えばチュアブルトリート(chewable treat)または食用錠剤)に配合された本発明の方法の組成物である。このような製品は、理想的には、式1の化合物の経口投与を容易にするために、保護すべき動物が好む味覚、組織および/または芳香を有するであろう。
【0257】
寄生虫駆除組成物が飼料濃縮物の形態である場合、キャリアは、通常、高性能飼料、飼料穀類またはタンパク質濃縮物から選択される。このような飼料濃縮物含有組成物は、寄生虫駆除活性成分に加えて、動物の健康または成長を促進する、屠殺用動物からの食肉の品質を改善する、あるいは他の面で畜産に有用な添加剤を含むことができる。これらの添加剤は、例えば、ビタミン、抗生物質、化学療法剤、静菌薬、静菌剤、抗コクシジウム剤およびホルモンを含むことができる。
【0258】
式1の化合物は、例えばココアバターまたは他のグリセリドなどの従来の坐薬基剤を用いて、坐薬または停留浣腸などの直腸組成物に配合されてもよい。
【0259】
本発明の方法のための製剤は、BHT(ブチル化ヒドロキシトルエン)などの酸化防止剤を含んでもよい。酸化防止剤は、一般に、0.1〜5%(wt/vol)の量で存在する。製剤のいくつかは、特にスピノサドが含まれる場合、活性剤を溶解させるためにオレイン酸などの可溶化剤を必要とする。これらのポアオン(pour−on)製剤において使用される一般的な展着剤には、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、飽和C12〜C18脂肪アルコールのカプリル酸/カプリン酸エステル、オレイン酸、オレイルエステル、オレイン酸エチル、トリグリセリド、シリコーン油およびジプロピレングリコールメチルエーテルが含まれる。本発明の方法のためのポアオン製剤は、既知の技術に従って調製される。ポアオンが溶液である場合、寄生虫駆除剤/殺虫剤は、必要であれば加熱および攪拌を用いてキャリアまたは媒体と混合される。補助的または追加の成分は活性剤およびキャリアの混合物に添加することもできるし、あるいはキャリアを添加する前に活性剤と混合することもできる。乳液または懸濁液の形態のポアオン製剤は、既知の技術を用いて同様に調製される。
【0260】
比較的疎水性の医薬品化合物のための他の送達系を用いることができる。リポソームおよび乳液は、疎水性薬物の送達媒体またはキャリアのよく知られた例である。さらに、必要であればジメチルスルホキシドなどの有機溶媒も使用することができる。
【0261】
有効な寄生性無脊椎有害生物の防除のために必要とされる適用量(すなわち、「殺虫的に有効な量」)は、防除すべき寄生性無脊椎有害生物の種、有害生物のライフサイクル、ライフステージ、その大きさ、場所、時期、宿主の作物または動物、摂食行動、交配行動、環境湿度、温度などの因子に依存し得る。当業者は、所望される寄生性無脊椎有害生物の防除レベルに必要な殺虫的に有効な量を容易に決定することができる。
【0262】
一般に、獣医学的使用のためには、式1の化合物または組成物は、寄生性無脊椎有害生物から保護すべき動物、特に恒温動物に、殺虫的に有効な量で投与される。殺虫的に有効な量は、標的の寄生性無脊椎有害生物の発生または活動を低減する観測可能な効果を達成するために必要とされる活性成分の量である。当業者は、殺虫的に有効な用量が、本発明の方法のために有用な種々の化合物および組成物、所望の殺虫効果および持続期間、標的の寄生性無脊椎有害生物の種、保護すべき動物、適用モードなどに対して変化し、特定の結果を達成するために必要とされる量は簡単な実験によって決定され得ることを認識するであろう。
【0263】
動物への経口または非経口投与のためには、適切な間隔で投与される本発明の化合物の用量は通常動物の体重1kg当たり約0.01mg〜約100mgの範囲であり、好ましくは動物の体重1kg当たり約0.01mg〜約30mgの範囲である。
【0264】
本発明の化合物の動物への投与のために適切な間隔は、ほぼ毎日からほぼ年1回までの範囲である。注目すべきは、ほぼ毎週からほぼ6ヶ月に1回までの範囲の投与間隔である。特に注目すべきは、毎月の投与間隔(すなわち、化合物を毎月1回動物に投与する)である。
【0265】
以下の試験は、特定の有害生物に対する式1の化合物の防除効力を実証する。「防除効力」は、著しく低下した摂食を引き起こす寄生性無脊椎有害生物の発育の阻害(死亡も含む)を表す。しかしながら、化合物によって提供される有害生物の防除による保護はこれらの種に限定されない。化合物の説明については索引表AおよびBを参照されたい。
【0266】
【表65】

【0267】
【表66】

【0268】
索引表Aに記載される化合物の調製方法は、PCT特許公報国際公開第2005/085216号パンフレットに開示されている。式1の化合物の調製方法を教示するために必要な範囲で(および本明細書における開示と矛盾しない範囲でのみ)、この特許公報は参照によって本明細書中に援用される。
【実施例】
【0269】
本発明の生物学的な実施例
試験A
ネコノミ(Ctenocephalides felis)の防除を評価するために、CD−1(登録商標)マウス(約30g、オス、Charles River Laboratories(Wilmington、MA)から入手)に、プロピレングリコール/グリセロールホルマール(60:40)中に可溶化された10mg/kgの量の試験化合物を経口投与した。試験化合物の経口投与の2時間後、約8〜16匹の成虫ノミを各マウスに適用した。次に、マウスへのノミの適用の48時間後の死亡率についてノミを評価した。
【0270】
試験した化合物のうち、以下の化合物は、少なくとも50%の死亡率をもたらした:1、2、3および4。
【0271】
試験B
ネコノミ(Ctenocephalides felis)の防除を評価するために、CD−1(登録商標)マウス(約30g、オス、Charles River Laboratories(Wilmington、MA)から入手)に、プロピレングリコール/グリセロールホルマール(60:40)中に可溶化された10mg/kgの量の試験化合物を経口投与した。試験化合物の経口投与の24時間後、約8〜16匹の成虫ノミを各マウスに適用した。次に、マウスへのノミの適用の48時間後の死亡率についてノミを評価した。
【0272】
試験した化合物のうち、以下の化合物は、少なくとも20%の死亡率をもたらした:1、2および3。以下の化合物は、少なくとも50%の死亡率をもたらした:2および3。
【0273】
試験C
ネコノミ(Ctenocephalides felis)の防除を評価するために、CD−1(登録商標)マウス(約30g、オス、Charles River Laboratories(Wilmington、MA)から入手)に、プロピレングリコール/グリセロールホルマール(60:40)中に可溶化された10mg/kgの量の試験化合物を皮下投与した。試験化合物の経口投与の2時間後、約8〜16匹の成虫ノミを各マウスに適用した。次に、マウスへのノミの適用の48時間後の死亡率についてノミを評価した。
【0274】
試験した化合物のうち、以下の化合物は、少なくとも20%の死亡率をもたらした:1、2および3。以下の化合物は、少なくとも50%の死亡率をもたらした:1および3。
【0275】
試験D
ネコノミ(Ctenocephalides felis)の防除を評価するために、試験化合物をプロピレングリコール/グリセロールホルマール(60:40)中に可溶化させ、次にウシの血液中に希釈して、30ppmの最終試験率にした。処置し血液を管に入れ、管の底部を膜で被覆した。約10匹の成虫ネコノミに、膜を通して、処置した血液を摂取させた。次に、72時間後の死亡率について成虫ノミを評価した。
【0276】
試験した化合物のうち、以下の化合物は、少なくとも50%の死亡率をもたらした:1、2、3、5、6、7、8、9および10。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
殺虫的に有効な量の式1
【化1】

[式中、
1は、ハロゲン、C1〜C3ハロアルキルまたはC1〜C3ハロアルコキシであり、
2は、H、ハロゲン、C1〜C3アルキル、C1〜C3ハロアルキルまたはシアノであり、
3は、H、ハロゲン、C1〜C3ハロアルキルまたはC1〜C3ハロアルコキシであり、
4は、ハロゲン、C1〜C3アルキル、C1〜C3ハロアルキルまたはC1〜C3ハロアルコキシであり、
5は、H、CH3、C2〜C4アルキルカルボニル、C2〜C4ハロアルキルカルボニル、C2〜C5アルコキシカルボニルまたはCH2O(C1〜C3アルキル)であり、
6は、C1〜C6アルキル、C1〜C6ハロアルキル、C3〜C6シクロアルキルもしくはC3〜C6ハロシクロアルキル(各基は1個のR7で置換されている)であるか、またはR6は(CH2mQであり、
Qは、環員として炭素原子および1個のOまたはS(O)nを含有する4員〜6員飽和環であり、場合により1個または2個のR8aおよび1個のR8bによって置換されていてもよく、
7は、OR9、S(O)n10もしくはC(O)NR1112であるか、またはR7は、場合により1個もしくは2個のR15によってそれぞれ置換されていてもよいピリジンもしくはチアゾールであり、
8aはそれぞれ独立して、ハロゲン、シアノまたはC1〜C2アルキルであり、
8bは、OR9、S(O)n10またはC(O)NR1112であり、
9は、H、CHO、C2〜C4アルキルカルボニル、C2〜C4ハロアルキルカルボニルもしくはC2〜C5アルコキシカルボニルであるか、またはR9は、場合により1個のR13によってそれぞれ置換されていてもよいC1〜C4アルキルもしくはC1〜C4ハロアルキルであるか、またはR9は、場合により1個もしくは2個のR15によってそれぞれ置換されていてもよいピリジンもしくはチアゾールであり、
10は、場合により1個のR13によってそれぞれ置換されていてもよいC1〜C4アルキルもしくはC1〜C4ハロアルキルであるか、またはR10は、場合により1個もしくは2個のR15によってそれぞれ置換されていてもよいピリジンもしくはチアゾールであり、
11は、H、CHO、C1〜C4アルキル、C1〜C4ハロアルキル、CH2O(C1〜C3アルキル)、C2〜C4アルキルカルボニル、C2〜C4ハロアルキルカルボニルまたはC2〜C5アルコキシカルボニルであり、
12は、場合により1個のR13によってそれぞれ置換されていてもよいC1〜C4アルキル、C1〜C4ハロアルキルもしくはC3〜C6シクロアルキルであるか、またはR12は、H、C3〜C6アルケニル、C3〜C6ハロアルケニル、C3〜C6アルキニルもしくはOR14であり、
13は、シアノ、C3〜C6シクロアルキル、C3〜C6ハロシクロアルキル、OH、OR14もしくはS(O)n16であるか、またはR13は、場合により1個もしくは2個のR15によってそれぞれ置換されていてもよいピリジンもしくはチアゾールであり、
14は、C1〜C4アルキルまたはC1〜C4ハロアルキルであり、
15はそれぞれ独立して、ハロゲン、シアノ、C1〜C3アルキル、C1〜C3ハロアルキルまたはC1〜C3ハロアルコキシであり、
16は、C1〜C4アルキルまたはC1〜C4ハロアルキルであり、
mは0または1であり、そして
nは0、1または2である]
の化合物、そのN−オキシドまたはその塩を動物に経口的または非経口的に投与することを含む、寄生性無脊椎有害生物から動物を保護するための方法。
【請求項2】
4がClまたはCH3であり、
5がHであり、
6が、1個のR7により置換されたC1〜C6アルキルであり、そして
7が、OR9、S(O)n10またはC(O)NR1112である
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
1がCl、Br、CF3、OCF3またはOCH2CF3であり、
2がHであり、そして
3がH、F、Cl、BrまたはCF3である
請求項2に記載の方法。
【請求項4】
4がCH3であり、そして
7がC(O)NR1112である
請求項3に記載の方法。
【請求項5】
1がCF3であり、そして
3がCl、BrまたはCF3である
請求項4に記載の方法。
【請求項6】
11がHであり、そして
12がC1〜C4アルキルまたはC1〜C4ハロアルキルである
請求項4に記載の方法。
【請求項7】
11がHであり、そして
12がシクロプロピルまたはシクロプロピルメチルである
請求項4に記載の方法。
【請求項8】
殺虫的に有効な量の式1の化合物が経口投与される請求項1に記載の方法。
【請求項9】
殺虫的に有効な量の式1の化合物が非経口投与される請求項1に記載の方法。
【請求項10】
殺虫的に有効な量の式1の化合物が注射により投与される請求項9に記載の方法。
【請求項11】
保護すべき動物が哺乳類である請求項1に記載の方法。
【請求項12】
保護すべき哺乳類が家畜である請求項11に記載の方法。
【請求項13】
保護すべき哺乳類がイヌ科の動物である請求項11に記載の方法。
【請求項14】
保護すべき哺乳類がネコ科の動物である請求項11に記載の方法。
【請求項15】
寄生性無脊椎有害生物が外部寄生生物である請求項1に記載の方法。
【請求項16】
寄生性無脊椎有害生物が節足動物である請求項1に記載の方法。
【請求項17】
寄生性無脊椎有害生物が、ハエ、蚊、ダニ、マダニ、シラミ、ノミ、カメムシ目またはウジである請求項1に記載の方法。
【請求項18】
保護すべき動物がネコまたはイヌであり、寄生性無脊椎有害生物がノミ、マダニまたはダニである請求項17に記載の方法。

【公表番号】特表2010−531893(P2010−531893A)
【公表日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−515096(P2010−515096)
【出願日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【国際出願番号】PCT/US2008/068268
【国際公開番号】WO2009/003075
【国際公開日】平成20年12月31日(2008.12.31)
【出願人】(390023674)イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー (2,692)
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
【Fターム(参考)】