説明

動物繊維における銀染色方法、2−メルカプトエタンスルホン酸塩水溶液を用いた銀染色の制御方法、及びこれらの方法を適用した動物繊維

【課題】簡便で、環境汚染の問題がなく、かつ意匠性の高い繊維製品を得るための、動物繊維の染色方法を提供することを目的とする。
【解決手段】(1)羊毛及び絹等の動物繊維に銀を付着する工程、(2)該動物繊維を水蒸気で加熱する工程、を含む、動物繊維の銀染色方法、または前記(1)工程後、動物繊維に2−メルカプトエタンスルホン酸塩水溶液で処理する工程、を含む動物繊維の銀染色方法並びに得られる動物繊維。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、動物繊維における銀による染色方法、2−メルカプトエタンスルホン酸塩水溶液を用いた銀染色の制御方法、及びこれらの方法を適用した動物繊維に関する。
【背景技術】
【0002】
絹や羊毛などの動物繊維を着色するためには、従来から染料を用いる染色方法が採用されている。動物繊維である絹や羊毛の染色は酸性染料などを用いて行われ、通常、染料を使って浸染や捺染という手法により均一に着色されて製品化される。
このような、有機化合物を用いた染色方法において、染料とともにpH調整剤や均染剤を添加し、繊維を加温して反応させる。このため、染色後の排水については溶液の組成が大きく変化するため、通常再利用は不可能である。また、染色排水が環境汚染問題となる場合もある。
【0003】
また近年、環境衛生の関心の高まりから、抗菌処理されている、衣料品、タオル等の繊維製品が数多く流通されている。この抗菌処理の一つとして銀を用いて抗菌処理する方法が従来から用いられている。
一方、銀は写真の感光剤として用いられるなど、一定の条件下で着色することが知られている。繊維の銀染色方法もいくつか過去に存在し、具体的には絹を硝酸銀と還元剤を用いて着色する方法(特許文献1)や、繊維等の固体表面を貴金属塩水溶液で処理した後、加熱処理を行う方法が知られている(特許文献2)。
【0004】
【特許文献1】特公平5−88672号公報
【特許文献2】特開平2−154063号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のような、特許文献1に記載の絹を硝酸銀と還元剤を用いて着色する方法では、作業工程で多くの薬液を調整して使用する必要があるため、作業が煩雑であったり、満足のいく着色物を得ることができなかったりした。また、特許文献2では、硝酸銀を用いて、ろ紙や綿を染色する方法が開示されているが、動物繊維を用いた方法については具体的な記載はない。
【0006】
さらに、動物繊維を用いた衣服等の繊維製品は高い意匠性を要求され、さまざまなデザインの製品を提供する必要がある。銀染色方法で一定のパターン形成が可能な着色方法が特許文献2に開示されているが、製品の一部のみに銀が付着しているのみで、抗菌性の観点から繊維製品としては十分ではなかった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記状況を踏まえ鋭意検討した結果、動物繊維を銀染色方法で染色する方法であって、かつ十分な抗菌性を動物繊維に付与できる方法を見出した。
具体的に本発明は、
(1)動物繊維に銀を付着する工程、
(2)該動物繊維を水蒸気で加熱する工程、
を含む、動物繊維の銀染色方法である。
【0008】
さらに、本発明者らは、上記銀染色を2−メルカプトエタンスルホン酸塩水溶液で制御可能であることを見出し、この結果、種々のパターンに染色された動物繊維を得ることができる。
具体的には、
(1)動物繊維に銀を付着する工程、
(2)さらに該動物繊維に2−メルカプトエタンスルホン酸塩水溶液で処理する工程、
(3)該動物繊維を水蒸気で加熱する工程、
を含む、動物繊維の銀染色を制御する方法である。
【発明の効果】
【0009】
本発明の染色方法では、用いた銀溶液を再利用することができ有機化合物を用いて染色する方法のように廃液処理の問題がない。また、本発明の染色方法で得られた繊維は上品な茶系色を呈し、上品な風合いの繊維製品を得ることができる。さらに2−メルカプトエタンスルホン酸塩水溶液で発色を制御した部分も抗菌性を示す。これらの方法を組み合わせることで染色を制御して、繊維自体に模様を施すことができる。
この他、動物繊維への水蒸気の接触方法を変えることで人為的に多彩な色相を有するデザイン性の高い繊維製品を得ることもできる。例えば、広げて蒸すと均一、ツイスト状に捻って蒸すと茶色以外に黄色や、灰色など多色が表現される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明は、動物繊維を染色することを特徴とする。
本発明で使用する動物繊維は、動物の体毛から得られる繊維であり、ケラチン等を含むたんぱく質繊維である。以下の実施例に示すように、ナイロンやポリエステル等の化学繊維や綿等のセルロース系の繊維は、本発明による染色方法では染色が不十分である。つまり、本発明による染色方法では、動物繊維を特に染色することに特徴がある。
本発明で使用する動物繊維は、特に限定されないが、具体的には絹及び羊毛、獣毛繊維であるアルパカ、アンゴラ、カシミヤ、モヘアが挙げられる。これらの中でも、羊毛及び絹が好ましい。羊毛は銀が多く付着しやすく、また絹は、一回の水蒸気による加熱操作で多彩な色相の模様を表現できる。
【0011】
本発明の最初の工程で、前記動物繊維に銀を付着する。銀を付着する方法は、繊維表面に銀が付着するものであれば、特に限定されない。具体的には、銀塩水溶液に繊維を浸漬する方法や銀塩水溶液を動物繊維にスプレーする方法などが挙げられる。簡単にかつ均一に銀が繊維に付着でき、また溶液を再利用できるという観点から、銀塩水溶液に動物繊維を浸漬することが好ましい。また、動物繊維を銀塩水溶液に浸漬する時間は、通常5分〜1時間であるが、24時間以上浸漬した状態で繊維を浸漬保存しておくこともできる。浸漬する際の銀塩水溶液の温度は常温で熱エネルギーを必要とせず、浸漬の際に必要となる銀塩水溶液の質量は、浸漬する動物繊維の乾燥重量の20倍から200倍程度が好ましいが、動物繊維が銀塩水溶液に完全に浸漬される量であれば浴比は限定されない。
具体的に銀塩水溶液の濃度は、例えば硝酸銀水溶液を用いた場合に、通常0.5質量%〜20%質量である。
さらに、銀溶液のpHは中性域であることが好ましい。酸性域の溶液を用いると染色が十分でない場合があり、アルカリ域の溶液を用いると作業上、安全性に問題が生じる可能性がある。具体的には、銀溶液のpHは6〜7が好ましく、7が更に好ましい。
硝酸銀以外でも、酢酸銀、塩化銀などの銀溶液の使用も可能である。
【0012】
動物繊維を必要に応じて脱水した後、銀が付着した動物繊維を水蒸気で加熱して発色させる。
具体的な水蒸気による加熱方法として、真空ポンプ等の減圧装置を利用する。加熱装置内を大気圧以下に減圧し、100℃以上の飽和蒸気を制御弁で減圧して生成させた100℃以下の飽和蒸気、すなわち真空蒸気の熱を繊維へ伝熱させる方法が好ましい。この加熱方法は繊維への伝熱方式が潜熱伝熱であるため、均一で非常に迅速な加熱ができる。
この他に、簡易な方法として蒸し器や、従来の繊維製品の仕上げ加工方法に利用されているテンター等の熱処理装置と水蒸気発生装置の組み合わせによる方法も挙げられる。ここで、水蒸気の発生方法は真空蒸気に限定されず、高周波がかけられる装置および圧力容器を用いて高温高圧にできる装置の利用も可能である。その他に、簡易な方法としては沸騰させた温水の水蒸気をステンレス製等の容器内で動物繊維へ噴霧する方法でも可能である。
【0013】
加熱温度は、着色度の高い繊維や色のコントラストが強い繊維着色物を得るという点で、動物繊維の耐熱温度以下かつ高温であるほど好ましい。具体的にはこの加熱温度は50℃〜120℃の範囲で、加熱時間は30分〜60分である。
なお、同一の動物繊維の一部をマスクし、加熱された水蒸気の接触度に強弱をつけることで、発色度に変化が生じ、同一の繊維で多彩な色相の染色が可能となり、より意匠性の高い製品を提供することも可能であり、水蒸気の加熱の強弱によっても同一繊維で色に濃淡のある染色が可能である。
【0014】
本発明では、動物繊維に銀を付着させたのち、これに2−メルカプトエタンスルホン酸塩を塗布した場合に、その塗布部分を水蒸気で加熱しても銀による発色を制御して、その部分は乳白色となり、銀による茶系色と乳白色に染色された動物繊維を得ることができる。その結果得られた動物繊維を用いた繊維製品に多種多様な意匠性を付与することができる。そして、銀による発色が抑えられた部分であっても抗菌性を示し、本発明の染色方法で処理された動物繊維は高い抗菌性を示す。
2−メルカプトエタンスルホン酸塩として、2−メルカプトエタンスルホン酸ナトリウム、2−メルカプトエタンスルホン酸カリウム、2−メルカプトエタンスルホン酸マグネシウムが挙げられる。
この中の2−メルカプトエタンスルホン酸ナトリウムは、泌尿器作用薬として知られており、銀と結合しやすいメルカプト(硫黄)反応基および、繊維と結合するスルホン酸基を有する化合物である。
2−メルカプトエタンスルホン酸塩として、主に2−メルカプトエタンスルホン酸ナトリウムを用い、使用する場合はこの水溶液とする。このときの2−メルカプトエタンスルホン酸ナトリウム水溶液の濃度は、通常0.01〜20g/Lとする。
【0015】
上記の濃度で調製した2−メルカプトエタンスルホン酸ナトリウム水溶液を、銀を付着させ、脱水した動物繊維に塗布する。塗布する方法は、2−メルカプトエタンスルホン酸ナトリウム水溶液に動物繊維の一部を浸漬したり、スプレーや刷毛等を用いたりして動物繊維の一部に塗布する。
このように2−メルカプトエタンスルホン酸塩水溶液で処理した動物繊維を上記と同様に水蒸気で加熱する。
【0016】
本発明により、染色して得られた動物繊維は、ネクタイ地、座布団地、マフラー地、ストール地、インテリア地、婦人服地、夜具地、服裏地、袖裏地、傘地、和装地、その他繊維資材等の繊維製品に使用できる(図1)。
この他、2−メルカプトエタンスルホン酸塩で動物繊維全体を処理して白色系統の繊維を得た場合、これは抗菌性を有することから医療用の介護用途向け繊維製品として使用することも可能である。
【実施例】
【0017】
(実施例1)
かせ状の21中/4本の絹糸1kg、21中/2本の絹糸1kgそれぞれについて、室温下で3質量%硝酸銀溶液30L中に12時間浸漬した。これを引き上げ、水洗・脱水した後、蒸気加熱式真空乾燥機(安島製缶(株)製、真空セット機)で100℃にて40分間蒸気加熱した後、水洗・乾燥して、シルバーグレイに茶系色および部分的に金色に着色された多彩な色相のある絹糸が得られた。使用後の同じ硝酸銀水溶液へ未処理の21中/4本のかせ状の絹糸1kgを同条件で浸漬・乾燥して再び同様に着色された絹糸が得られた。また、硝酸銀水溶液で処理後、水洗を行わない状態で脱水した糸を水蒸気で加熱し、濃色の絹糸が得られた。さらに、この硝酸銀水溶液を希釈して、同様の作業を行い、淡色の絹糸を得た。水蒸気で加熱する際に、かせ糸を広げると均一な茶系統に着色し、かせ糸を捻った状態だと部分的に茶色系統以外の金属光沢的な色合いを含み、斑調に着色した。これらの絹糸について、濃色・中間色・淡色の他未着色の白色を含めて4種類にかせ糸を分類し、たて糸総本数2880本で4配色によるランダムなマルチストライプ状に整経し、よこ糸に水蒸気で加熱して着色させた21中/2本絹糸を用いて製織し、糸1本自体が斑調に着色されて多彩な色相を持ち、かつ、糸の並んだ縞については、基調となる色の濃さが4配色でマルチに配列されたかつてないデザインによる高級感あるストールを得た(図2)。
【0018】
(実施例2)
21中/3本の絹糸を室温下で15%硝酸銀水溶液30L中に12時間浸漬した。これを引き上げ脱水した後に、濃度2g/Lの2−メルカプトエタンスルホン酸ナトリウム水溶液に10分間浸漬した後、かせ糸を捻った状態で蒸気加熱式真空乾燥機(安島製缶(株)製、真空セット機)にセットし、100℃にて40分間水蒸気で加熱した。これらの絹糸は茶系統の着色部と乳白色の部分に加えて金属光沢的な色合いを有した(図3)。
なお、図3では、本発明により得られた斑調に着色した絹糸(実施例1、実施例2)を示す。左側がかせ状の動物繊維を広げて水蒸気で加熱し、均一な茶系統に着色した動物繊維、中央がかせ糸を捻った状態で水蒸気で加熱し、斑調に着色した動物繊維、右側が2-メルカプトエタンスルホン酸ナトリウムにより銀による着色を抑えた動物繊維である。
【0019】
(試験例1)
動物繊維である絹、羊毛とともに、合成繊維であるポリエステル、ナイロン、アクリルおよび半合成繊維であるアセテート、再生繊維であるレーヨン、植物繊維である綿の8種類の繊維が織り込まれた多織布について、硝酸銀濃度をpH7で、0.5、1.5、7.5質量%と変化させ、その溶液中で100℃に加熱し、それぞれの濃度について、繊維の着色度を検討した。結果を以下の表に示す。以下の結果からも分かるように、動物繊維である羊毛または絹は、綿等の非動物繊維よりも有意に着色していることがわかる。
【0020】
【表1】

【0021】
(試験例2)
絹、羊毛、ポリエステル、ナイロンのJIS L 0803準拠の添付白布を濃度1.2質量%硝酸銀溶液に同時に12時間浸漬した。4種類の添付白布を同一の蒸気加熱式真空乾燥機にて100℃で1時間加熱し、それぞれの添付白布を脱水後における着色の度合いをコンピュータカラーマッチングシステム(AUCOLOR-10Aクラボウ(株)用いてトータルK/S値(染色物に光吸収係数/散乱係数)として算出した。水蒸気加熱により、ポリエステルは着色度が低く十分な色合いが出ないが、羊毛は濃い茶色に、絹は茶色に、ナイロンは黄色に着色した。トータルK/Sから羊毛はナイロンの7.4倍でポリエステルの58倍、絹はナイロンの3倍でポリエステルの24倍の着色度の高さを示した。
【0022】
【表2】

【0023】
(試験例3)
本発明品の抗菌効果を以下に示す。
硝酸銀水溶液中で加熱して着色した動物繊維に関し、銀付着量の異なる着色した羊毛の抗菌効果を検討したところ、羊毛への銀付着量に比例した抗菌効果の強さが見られた(図4)。抗菌効果を評価する際には、JIS L1902「繊維製品の抗菌性試験方法」に準拠し、この時、大腸菌数は約4.1×10cfu/mlであった。
また、羊毛に次ぐ着色度を示す絹(かせ状の糸)について、硝酸銀水溶液に浸し、その後、温度100℃で1時間、水蒸気で加熱して絹糸を着色させた。着色させた絹についてランダムに選出した部位から長さ6cm程度の俵状に絹を切り出した。そして、これを抗菌性試験へ供与した。この時、大腸菌数は約2.3×10cfu/mlであった。この結果、着色部について1mm程度のハローと呼ばれる制菌領域(抗菌領域)が出現したことを確認した(図5)。
【0024】
(試験例4)
続いて、2−メルカプトエタンスルホン酸ナトリウムで発色制御された部分の抗菌効果を示す。15%硝酸銀水溶液に浸漬した絹糸(21中/3本)80gのかせ糸の一部を2g/Lメルカプトエタンスルホン酸ナトリウム水溶液を漬けて水蒸気で加熱(100℃×50分)した糸は着色の制御された未着色部と着色部の混ざった斑調のかせ状の糸となった。この斑調糸の未着色部および着色部の色の濃さを示す値をコンピュータカラーマッチングシステム(AUCOLOR-10Aクラボウ(株))を用いて算出したところ未着色部は3、着色部は100であり、色濃度値で約33分の1に制御された。この発色制御された動物繊維についてランダムに選出した7カ所から長さ6cm程度の俵状に動物繊維を切り出し、上記と同様に抗菌性試験へ供与した。抗菌性試験方法は試験例3と同じである。この結果、着色を制御した未着色部に1mm程度のハローと呼ばれる制菌領域(抗菌領域)が出現したことを確認した(図6)。未着色部の7点いずれの動物繊維試験片についても同様の抗菌効果が確認された。
【0025】
次に、発色が制御された部分の銀の付着量について検討した。水蒸気で加熱後の絹糸について、ランダムに選出した6カ所から長さ6cm程度の俵状に動物繊維を切り出し、動物繊維の質量を測定した。次に、それぞれの動物繊維約20 mgを濃硝酸にて湿式灰化した後、蒸留水を加えて希釈した水溶液について誘導結合プラズマ質量分析計(ICP-MS、アジレント・テクノロジー(株)製)および誘導結合プラズマ発光分光計(ICP-AES、HORIBA(株))を用いて銀濃度を測定し、繊維1gあたりの銀付着量値を得た。ICP-MSによる測定では質量数107、および109を用い、ICP-AESによる検出波長は328nmを用いて定量した。ICP測定は3回の平均値とした。測定箇所は、2-メルカプトエタンスルホン酸ナトリウム処理による未着色部位を3カ所、通常処理の着色部位を3カ所行った(図7、図8)。
試験例3および4の銀の付着量の測定は同じ試験方法で行った。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の動物繊維を使用した繊維製品の例を示した図である。
【図2】実施例1の繊維製品を示した図である。
【図3】本発明により得られた斑調に着色した絹糸(実施例1、実施例2)を示す。
【図4】銀で着色された動物繊維の銀の付着量を示す図である。
【図5】本発明によって、銀で着色された動物繊維の抗菌効果を示す図である。
【図6】本発明によって、2-メルカプトエタンスルホン酸ナトリウムにより銀による着色を抑えた動物繊維の抗菌効果を示す図である。
【図7】本発明により染色された動物繊維の着色部および2-メルカプトエタンスルホン酸ナトリウムにより着色が制御された未着色部の銀付着量を示す。
【図8】本発明により、着色部および着色が制御された未着色部を有する動物繊維を示す。左側が着色を抑えた未着色部、右側が着色部である。この未着色部、着色部の銀量は前記図7の結果に対応する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(1)動物繊維に銀を付着する工程、
(2)該動物繊維を水蒸気で加熱する工程、
を含む、動物繊維の銀染色方法。
【請求項2】
(1)動物繊維に銀を付着する工程、
(2)さらに該動物繊維に2−メルカプトエタンスルホン酸塩水溶液で処理する工程、
(3)該動物繊維を水蒸気で加熱する工程、
を含む、動物繊維の銀染色を制御する方法。
【請求項3】
上記(1)の銀は硝酸銀水溶液由来である、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
動物繊維を硝酸銀水溶液に浸漬して銀を付着する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記動物繊維が、絹、羊毛、アルパカ、アンゴラ、カシミヤまたはモヘアのいずれかから選択される、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法を適用した動物繊維。
【請求項7】
請求項6に記載の動物繊維を用いた繊維製品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−47866(P2010−47866A)
【公開日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−212725(P2008−212725)
【出願日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【出願人】(391017849)山梨県 (19)
【Fターム(参考)】