説明

動画再生システム

【課題】視聴者の視線の近傍を高品質とし視線から遠い部分を低画質とする動画再生処理を、予め元の動画に対してデータ加工できる部分と、リアルタイムに実施する部分とに分けることでリアルタイムの処理負荷を削減するとともに、動画をネットワーク転送する場合には、さらにその負荷を削減する技術を提供する。
【解決手段】表示画面全体に表示される低品質な低フレームレート動画と、表示画面を複数の領域に分割した高品質な高フレームレート動画と、に基づき動画を再生する動画再生システムであって、視聴者が視聴している表示画面における視線位置を測定する視線位置測定手段と、取得した視線位置に基づき、高フレームレート動画を選択し、低フレームレート動画の視線位置に合成する高品質画像を作成する高品質画像作成手段と、低フレームレート動画における視線位置に、生成された高品質画像を合成して動画を書き換える動画書き換え手段と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は視聴者の視線に基づき、低画質、低フレームレートを、視聴者が疑似的に高品質、高フレームレートと体感するよう再生する動画再生システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、視聴者が指定した動画を再生するシステムにおいて、動画のネットワーク転送負荷を削減するため予め圧縮した動画を用いる技術が提供されている。しかし、これらのあらかじめ圧縮した動画を用いた動画再生システムでは、動画の品質は圧縮した時点で決定している。
【0003】
特許文献1は、画面表示部を視聴する視聴者の視線を追跡し、その視線データに基づいて視聴者の視線の近傍の画像は低圧縮率とし、視聴者の視線から遠い部分ほど高圧縮率とすることで、全体としては高圧縮率の画像を生成しネットワーク転送負荷を削減する。また視聴者の視線近傍である画像は低圧縮であるため画質も良く、視聴者としては体感画質を下げることがない画像圧縮通信装置に関する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−9253号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の圧縮処理は、動画再生時に視聴者の視線を追跡しながら実施するため、視線位置を考慮した上の画像圧縮という負荷が高い処理をリアルタイムに処理する必要がある。
【0006】
本発明は、視聴者の視線の近傍を高品質とし視線から遠い部分を低画質とする動画再生処理を、予め元の動画に対してデータ加工できる部分と、リアルタイムに実施する部分とに分けることでリアルタイムの処理負荷を削減するとともに、動画をネットワーク転送する場合には、さらにその負荷を削減する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、表示画面全体に表示される低品質な低フレームレート動画と、前記表示画面を複数の領域に分割した高品質な高フレームレート動画と、に基づき動画を再生する動画再生システムであって、視聴者が視聴している前記表示画面における視線位置を測定する視線位置測定手段と、前記視線位置測定手段により取得した視線位置に基づき、前記高フレームレート動画を選択し、前記低フレームレート動画の前記視線位置に合成する高品質画像を作成する高品質画像作成手段と、前記低フレームレート動画における前記視線位置に、前記高品質画像作成手段により生成された高品質画像を合成して動画を書き換える動画書き換え手段と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
予め動画に対し、低品質で低フレームレートの全体動画と、高品質で高フレームレート部分動画を生成し、また前記2つの動画を合成する方法も簡易化することでリアルタイムな動画再生処理の負荷を削減することが可能となる。また、データサイズの小さい低フレームレートの全体動画と、高品質ではあるものの視聴者の視線近傍に限定されるため、やはりサイズが小さい高フレームレートな部分動画から生成した高品質画像を使用することでネットワーク転送の負荷も削減し、視聴者の視線近傍は十分な画質を得ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施形態に関わる動画再生装置、動画管理サーバのシステム構成の一例を示す図である。
【図2】動画再生装置、動画管理サーバの各ハード構成の一例を示すブロック図である。
【図3】動画再生システムの機能ブロックの一例を示す図である。
【図4】視聴者の視線位置情報に基づき、動画を再生するシステム構成とデータの流れを説明するための概念図である。
【図5】元動画から低フレームレート動画と高フレームレート動画を生成し、再度合成して動画再生する概念を説明する図である。
【図6】表示装置の表示面(従って動画の再生領域ともなる)全画面を小領域に分割する概念図である。
【図7】元動画から低フレームレート動画と高フレームレート動画を生成する生成する説明図である。
【図8】動画再生装置における動画管理サーバとの協調動作部分および動画再生処理部分の概要を示す図である。
【図9】動画再生装置と動画管理サーバの各プログラムが高品質画像を生成し、動画再生部に受け渡す処理の協調動作部分のフローチャートである。
【図10】低フレームレート動画を、動画再生部に受け渡す処理のフローチャートである。
【図11】低フレームレート動画と高品質画像に基づき、動画再生する処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して詳細に説明する。
【0011】
図1は、本発明の実施形態に関わる動画再生装置、動画管理サーバのシステム構成の一例を示す図である。動画再生装置101、動画管理サーバ102は、ネットワーク103を介して相互に接続される。
【0012】
ユーザは、例えば動画再生装置101から動画管理サーバ102にアクセスし、サーバに格納されている動画を選択して、動画再生装置101側にて視聴を開始することが可能である。
【0013】
また、図1では、動画再生装置101、動画管理サーバ102を2台の装置として構成しているが、1台の装置の中に構成されていてもよい。
【0014】
図2は、動画再生装置101、動画管理サーバ102の各ハード構成の一例を示すブロック図である。ディスプレイ装置201と、入力デバイス202と、CPU203と、RAM204と、ROM205と、外部記憶装置206と、ネットワーク・インタフェース207とを備える。
【0015】
CPU203は、ROM205に記憶された制御プログラムを読み出して実行すると共に、情報処理装置を制御する。RAM204は、データ等を一時記憶するためのバッファやワークエリア等として機能し、またOSを含む各種プログラムを実行する作業領域として使用される。
【0016】
外部記憶装置206はハードディスクドライブ等の記憶装置であり、OSやファイル管理システムのプログラムを含む各種プログラム及び各種データの短期的、永続的な記憶装置として使用される。
【0017】
入力デバイス202は、キーボード、マウス等に代表されるユーザ入力機器であり、ディスプレイ装置201は情報処理装置の処理結果等を表示するための機器である。バス208は、上述した各部を互いに接続するシステムバスである。なお、動画管理サーバ102においては、ディスプレイ装置201および入力デバイス202は、必須なものではない。
【0018】
図3は、動画再生システムの機能ブロックの一例を示す図である。
【0019】
元動画データ301は、本発明においては、それ自体を視聴者が再生するものではなく、再生時に使用するデータである低品質な低フレームレート動画304と、高フレームレート動画306を生成するための元データである。
【0020】
低フレームレート動画生成手段303は、元動画データ301に基づき、低フレームレート動画304を生成する。すなわち低フレームレート動画生成手段303は、元動画データ301に基づき、いわゆるコマ落とし、高圧縮率の動画への変換などの処理を施して低フレームレート動画304を生成するものである。低フレームレート動画304は、画質が劣化する替わりに、データサイズが小さくなるため、ネットワーク伝送などの負荷が軽減する効果がある。
【0021】
高フレームレート動画生成手段305は、視聴者の視線が注視している部分だけの小領域の動画データを予め作成しておくものである。高フレームレート動画生成手段305は、元動画データ301をどのように小領域(すなわち如何なる部分領域)に分割するかを指定する情報である画面分割情報302に基づき、元動画データ301の画質を損なわずに、複数の小領域に分割した高フレームレート動画306を生成する。
【0022】
視線位置測定手段307は、視聴者が動画を選択し視聴を開始すると、視聴者が表示装置のどの位置を注視しているのかを測定する。
【0023】
高品質画像作成手段308は、前記決定された高フレームレート動画から、再生されている低フレームレート動画304に合成するための高品質画像を作成する。
【0024】
高品質画像作成手段308は、視線位置予測手段309を構成要素として含んでいてもよい。その場合、過去の視線位置から次の視線の位置を予測し、前記高フレームレート動画(複数の小領域に分割されている動画)のうち、どの動画を使用するか決定する。
【0025】
低フレームレート動画取得手段310は、低フレームレート動画304を取得する。
【0026】
動画書き換え手段311は、低フレームレート動画取得手段310で取得された低フレームレート動画304を再生し、また視線に応じた部分に高品質画像作成手段308で作成された高品質な部分画像を合成する。
【0027】
図4は、視聴者の視線位置情報に基づき、動画を再生するシステム構成とデータの流れを説明するための概念図である。
【0028】
動画再生装置の表示画面405(以下、表示画面405と略)は、視聴者410が指定した動画を再生する。視聴者410は、表示画面405の小領域408を注視している。すなわち、視聴者の視線409が小領域408に向いている。
【0029】
視聴者の視線を感知する方法は多々あるが、例えば図4では、カメラ406とカメラ407が、視聴者410の顔、目の動きなどを捉え、検出する。
【0030】
カメラ406とカメラ407により検出した視聴者410の視線位置の情報402は、動画管理サーバ401に送信される。
【0031】
一方、動画管理サーバ401から表示画面405へは、低フレームレート動画404が送信される。低フレームレート動画404は、コマ落としや高圧縮率のデータであり、低品質の画像である。しかし、視聴者の視線409が指している位置、すなわち小領域408のためには、動画管理サーバ401から表示画面405へ、高品質画像403が送信され、合成される。
【0032】
そのため、視聴者410にとって体感的に、高品質の動画を視聴しているようになる。以上が、図4による本発明の概念的な説明である。
【0033】
図5は、元動画から低フレームレート動画と高フレームレート動画を生成し、再度合成して動画再生する概念を説明する図である。
【0034】
元動画データ501は、表示画面全体が高品質な画像であり、図5の例では7コマ分のデータから構成されている。これに対して、低フレームレート動画502は、1コマおきにコマ落としした動画データとして構成する。
【0035】
ここで、動画のフォーマットは問わない。さらにコマ落としにおいても、もともと全てのコマにおいて全画面のデータを記録している形式の動画であれば、画面単位でコマ落とししても良い。特定の画面は全画面のデータを持っているが、それ以降、幾つかのコマでは前の画面からの差分のみを記録している場合には、コマ落としする部分の複数の差分を全て合わせた1つの差分データとして記録しても良い。また、本例では1コマおきにコマ落とししているが、実際には、より大きくコマ落としの間隔を空けてもよいし、前のコマとの比較において、画像が変化する比率が高い場合(例えば映画のシーンにおいて背景が変わる場合)には、連続したコマでもコマ落としせずに記録しても良い。
【0036】
また、実際にはコマ落としの手法を使わなくても良い。例えば、圧縮率を変更してデータサイズを小さくする替わりに画像の品質が劣化する方法を選択し、コマ落としはしなくても良い。あるいは他の任意の動画データサイズ削減方法を組み合わせて用いても良い。いずれにしても図5では、コマ落としを例としているが、コマ落としすること自体が目的ではなく、動画品質が劣化しても良いので、動画データサイズを小さくする。
【0037】
低フレームレート動画502は、動画再生時にリアルタイムに作成するのではなく、低フレームレート動画生成手段303により予め用意しておく。
【0038】
一方、小領域画像503の説明のために、先に図6を説明する。
【0039】
図6は、表示装置の表示面(従って動画の再生領域ともなる)全画面を小領域に分割する概念図であり、例として表示画面601全体(図4の表示画面405全体)を、横8個×縦6個の領域に分割したものである。それぞれの領域は、2次元インデックス、すなわちVの1つめのインデックスとして横方向、2つめのインデックスとして縦方向を表現する。
【0040】
例えば左上は“V1,1”(小領域602)、左下は“V6,1”(小領域603)、右上は“V1,8”(小領域604)、右下は“V6,8”(小領域605)となり、一般的には“Vx,y”として表現する。
【0041】
図6では、画面を48個に分割したことで、高フレームレート動画生成手段305により、小領域“Vx,y”の48個分の動画が生成される。領域は小さいが、画質はもとのままである。
【0042】
図6の例では、小領域“Vx,y”を矩形として表しているが、実際には全てのしょう領域で表示画面全体を覆っていれば形は自由である。例えば、円として構成され、重なり部分があってもよい。人間の視野の特徴を考慮して、より見えやすい方向の面積が広い(例えば楕円形である、視線の上方よりも下方が広い)などを考慮して、任意の形状を考えて良い。
【0043】
説明を図5の小領域画像503に戻す。小領域画像503に点線の矩形で記載されている(1)〜(7)は、実在はしないが元動画データ501の(1)〜(7)が本来あるべき位置を示している。
【0044】
さらに点線の矩形内の実線の矩形は、視聴者の視線位置情報から決定された動画、すなわち前述の図6のいずれかの“Vx,y”(小領域606)のいずれかから、低フレームレート動画に合成する画像を切り出したものである。ここでの画像は、“Vx,y”(小領域606)から静止画を抽出したものでもよいし、短時間の(視聴者の視線が同一の小領域に留まっていることを想定できるほど短時間の)動画を抽出したものであってもよい。
【0045】
図5の合成動画504において、実線で示されている大きい矩形は低フレームレート動画をそのまま再生したものである。従って、図では7コマあるように記載しているが、連続して同じ番号のコマが使用されている(例では、(1)、(3)、(5)がそれぞれ2回ずつ使用されている)。
【0046】
一方、合成動画504の実線で示されている小さい矩形は、前述した通り、“Vx,y”(小領域606)から抽出した静止画または短時間の動画である。すなわち合成動画504は、低フレームレート動画502と小領域画像503を合成したものである。小矩形の位置は、視聴者の視線の位置に伴って移動する。
【0047】
なお同時に使用する小領域は必ずしも1つに限定しなくても良い。小領域“Vx,y”への分割時に表示画面全体における相対的なサイズが決定してしまうため、表示画面のサイズや視聴者との距離、視線の動きの速さなどを考慮し、複数の小領域“Vx,y”を動的に低フレームレート動画502と合成してもよい。
【0048】
図7は、元動画から低フレームレート動画と高フレームレート動画を生成する説明図である。
【0049】
動画再生の準備段階で、低フレームレート動画生成手段702は、元動画データ701に基づき低フレームレート動画304を生成する。
【0050】
また、同様に高フレームレート動画生成手段705は、図5,図6で説明したように元動画データ701に基づき小領域に分割した高フレームレート動画706を生成する。
【0051】
この場合、例えば図6のように矩形に分割するのであれば縦、横幾つに分割するかを画面分割情報704により指定する。あるいは図6で必ずしも矩形ではなくとも良いと説明したが、この場合は、画面分割情報704は分割の形状やサイズを指定するものであっても良い。
【0052】
図8は、動画再生装置101における動画管理サーバとの協調動作部分および動画再生処理部分の概要を示す図である。
【0053】
非同期始点801と非同期終点802は、視聴者が動画を指定し、動画再生を開始してから動終了するまで、後述する3つのプログラム部分を非同期に繰り返し制御する。3つの部分とは、低フレームレート動画受信部803、高品質画像受信部805、動画再生処理部807である。
【0054】
低フレームレート動画受信部803は、低フレームレート動画804を動画管理サーバ102から受信し、動画再生処理部807に受け渡す。動画管理サーバ102が低フレームレート動画804を送信し、動画再生装置101の低フレームレート動画受信部803が受信する部分の処理の詳細は、図9にて説明する。
【0055】
高品質画像受信部805は、高品質画像806を動画管理サーバ102から受信し、また動画再生処理部807に受け渡す。動画管理サーバ102が高品質画像806を送信し、動画再生装置101の高品質画像受信部805が受信する部分の処理の詳細は、図10にて説明する。
【0056】
低フレームレート動画804と高品質画像806を受け取った動画再生処理部807は、前記動画および画像を合成し、動画再生を継続する。動画再生処理部807の詳細は、図11にて説明する。
【0057】
図9は、動画再生装置と動画管理サーバの各プログラムが高品質画像を生成し、動画再生部に受け渡す処理の協調動作部分のフローチャートである。
【0058】
ステップS901からステップS905までは、動画を再生するクライアント側である動画再生装置(図1の101)で実行される処理のフローチャート、ステップS906からステップS909は動画管理サーバ(図1の102)で実行される処理のフローチャートである。
【0059】
ステップS901では、例えば図4のカメラ406、カメラ407により視聴者の視線位置を測定する。ステップS902(視線位置情報送信手段)では、ステップS901で測定した視聴者の視線位置を、動画管理サーバ側に送信する。
【0060】
ステップS906(視線位置情報受信手段)では、動画再生装置から送信された視聴者の視線位置を動画管理サーバ側で受信する。
【0061】
ステップS907では、前記受信した視聴者の視線位置情報に基づき、小領域に分割された動画群921(小領域動画1〜n)のうちいずれの小領域動画kを合成するかを決定する。さらに再生中の動画再生時刻を考慮し、前記小領域動画kから適切な時刻の静止画あるいは短時間の(視聴者の視線が同一の小領域に留まっていることを想定できるほど短時間の)動画を抽出する。
【0062】
ここで、前記小領域動画kは1つでなくてもよい。視聴者の視線位置を適切に覆うために複数個を選択しても良い。
【0063】
また、前記小領域動画kを選択する際に前記受信した視聴者の視線位置情報に一致する位置を含む領域のものを選択しても良い。他の手段としては、例えば、ステップS907で抽出される静止画像または動画が、動画再生装置側で実際に再生されるまでの時間を考慮した上で、受信した視線位置情報から、前記時間経過後の視線位置を予測し、前記小領域動画kを選択しても良い。
【0064】
ステップS908では、動画管理サーバから動画再生装置に送信する高品質画像があるか判断する。本ステップはなくてもよいが、例えば、視聴者が不在になっていると判定された場合など視線位置情報が得られない場合、あるいは前記動画再生時刻の関係上、送信が不要な場合に、“NO”と判定するように構成しても良い。ステップS908で“YES”と判定した場合には、ステップS909に進む。
【0065】
ステップS909(高品質画像送信手段)では、動画管理サーバから動画再生装置にステップS907で作成した高品質画像922を送信し、動画再生装置においてステップS903より、前記高品質画像を受信する。
【0066】
ステップS904では、ステップS903において動画管理サーバから受信した高品質画像があるかどうかを判定する。ステップS901からステップS905までが動画再生装置において、またステップS906からステップS909までが動画管理サーバにおいて、非同期に動作している場合には、ステップS903において前記高品質画像を受信できない場合がある。このためステップS904における判定が必要になるが、送受信において同期をとるのであれば、ステップS904の判定は不要である。
【0067】
ステップS904で高品質動画を受信していないと判定された場合には、本フローチャートを終了する。ただし図8の説明で述べたように、本フローチャートは非同期に繰り返し呼び出されているため、動画再生が完了するまでは再度実行される。
【0068】
一方、ステップS904で高品質動画を受信していると判定された場合には、ステップS905に進む。
【0069】
ステップS905では、ステップS903にて受信した前記高品質画像を図8の動画再生処理部807へ受け渡す。以上で図9の説明を完了する。
【0070】
図10は、低フレームレート動画を、動画再生部に受け渡す処理のフローチャートである。
【0071】
ステップS1001からステップS1005までは、動画管理サーバ(図1の102)で実行される処理のフローチャート、ステップS1006からステップS1008は動画を再生するクライアント側である動画再生装置(図1の101)で実行される処理のフローチャートである。
【0072】
低フレームレート動画1011は、ステップS1001からステップS1005までのループで、継続して動画再生装置101に送信される。一方、低フレームレート動画1011を受信する動画再生装置においては、ステップS1006からステップS1008が、前述の通り非同期処理(図8の801、802)において繰り返されている。
【0073】
ステップS1002では、低フレームレート動画1011から動画再生に適した時刻に対応する部分データを取り出す。
【0074】
ステップS1003では、動画管理サーバから動画再生装置に送信する低フレームレート動画があるか判断する。本ステップはなくてもよいが、例えば、動画再生装置側で指定された閾値の範囲で動画をバッファリングする構成になっている場合、バッファリングしているデータサイズが閾値を超えていれば前記ステップS1002で送信する部分動画を取り出さず、その場合、ステップS1003で“NO”と判定するように構成しても良い。ステップS1003で“YES”と判定した場合には、ステップS1004に進む。
【0075】
ステップS1004(低フレームレート動画送信手段)では、動画管理サーバから動画再生装置にステップS1002で取り出した低フレームレート動画1012(低フレームレート動画1011の部分データ)を送信し、動画再生装置においてステップS1006より、前述の低フレームレート動画1012を受信する。
【0076】
ステップS1007では、ステップS1006において動画管理サーバから受信した低フレームレート動画があるかどうかを判定する。ステップS1006からステップS1008までが動画再生装置において、またステップS1001からステップS1005までが動画管理サーバにおいて、非同期に動作している場合には、ステップS1006において前記低フレームレート動画を受信できない場合がある。このためステップS1007における判定が必要になるが、送受信において同期をとるのであれば、ステップS1007の判定は不要である。
【0077】
ステップS1007で低フレームレート動画を受信していないと判定された場合には、本フローチャートを終了する。ただし図8の説明で述べたように、本フローチャートは非同期に繰り返し呼び出されているため、動画再生が完了するまでは再度実行される。
【0078】
一方、ステップS1007で低フレームレート動画を受信していると判定された場合には、ステップS1008に進む。
【0079】
ステップS1008では、ステップS1006にて受信した前記低フレームレート動画を図8の動画再生処理部807へ受け渡す。以上で図10の説明を完了する。
【0080】
図11は、低フレームレート動画と高品質画像に基づき、動画再生する処理のフローチャートである。
【0081】
本フローチャートは、動画再生装置にて実行している図8の動画再生処理部807に対応する。
【0082】
ステップS1101では、低フレームレート動画1111(図8の804、図10の1013と同じ)を、低フレームレート動画受信部(図8の803)から受け取る。
【0083】
ステップS1102では、高品質画像1112(図8の806、図9の923と同じ)を、高品質画像受信部(図8の805)から受け取る。
【0084】
ステップS1103では、ステップS1101で低フレームレート動画1111またはステップS1102で高品質画像1112を受け取った場合には、“YES”と判定され、ステップS1104に進む。“NO”の場合には、本処理を完了する(ただし図8の801、802により動画再生が終了するまで本フローチャートは再度呼び出される)。
【0085】
ステップS1104では、受け取ったデータがある場合に、動画を書き換える。実際には、低フレームレート動画と高品質画像を合成して、ビデオメモリに転送しても良いし、別々にビデオメモリに転送しても良い。この部分はハードウェアの構成に依存する。
【0086】
また、本フローチャートは図8の801、802により動画再生が終了するまで繰り返されるので、ステップS1104の動画書き換えも繰り返され、これにより連続的な動画再生が実現する。以上により図11の説明を完了する。
【0087】
なお、図8〜図11のフローチャートにおいては、動画再生装置101と動画管理サーバ102があり、また図8において低フレームレート動画受信部803、高品質画像受信部805の構成があることを想定している。
【0088】
しかしながら、これは、ネットワークによりデータ転送のタイムラグが発生し、遅延を回避するためのバッファリングを構成に含むためのものであり、必ずしもこの様に分割することは必然ではない。
【0089】
例えば、ネットワークのデータ転送速度が転送されるデータサイズと比して十分であることが保証されている場合には、動画再生処理部807のフローチャート中に、低フレームレート動画受信部803、高品質画像受信部805の処理を含んでも良い。
【0090】
またクライアント/サーバ型ではなく、例えばコンシューマ向け個人用ゲーム機器(ネットワーク接続を想定していない場合)での使用であれば、図9〜図11のフローチャートが1つのものとして実現されていても良い。すなわち、1つのプログラムで低フレームレート動画を取得し、また視聴者の視線情報を処理して高品質動画を作成し、動画書き換えを実行しても良い。
【0091】
また、本発明の目的は、以下の処理を実行することによって達成される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードを記録した記憶媒体を、システム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)が記憶媒体に格納されたプログラムコードを読み出す処理である。
【0092】
この場合、記憶媒体から読み出されたプログラムコード自体が前述した実施の形態の機能を実現することになり、そのプログラムコード及び該プログラムコードを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。
【0093】
また、プログラムコードを供給するための記憶媒体としては、次のものを用いることができる。例えば、フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、CD−R、CD−RW、DVD−ROM、DVD−RAM、DVD−RW、DVD+RW、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROM等である。または、プログラムコードを、ネットワークを介してダウンロードしてもよい。
【0094】
また、コンピュータが読み出したプログラムコードを実行することにより、上記実施の形態の機能が実現される場合も本発明に含まれる。加えて、そのプログラムコードの指示に基づき、コンピュータ上で稼動しているOS(オペレーティングシステム)等が実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される場合も含まれる。
【0095】
更に、前述した実施形態の機能が以下の処理によって実現される場合も本発明に含まれる。即ち、記憶媒体から読み出されたプログラムコードが、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書き込まれる。その後、そのプログラムコードの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPU等が実際の処理の一部または全部を行う場合である。
【0096】
また、コンピュータが読み出したプログラムコードを実行することにより、前述した各実施の形態の機能が実現される場合も本発明に含まれる。加えて、そのプログラムコードの指示に基づき、コンピュータ上で稼働しているOSなどが実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した実施の形態の機能が実現する場合も含まれる。
【0097】
この場合、上記プログラムは、該プログラムを記憶した記憶媒体から直接、またはインターネット、商用ネットワーク、若しくはローカルエリアネットワーク等に接続された不図示の他のコンピュータやデータベースなどからダウンロードすることにより供給される。
【0098】
上記プログラムの形態は、オブジェクトコード、インタプリタにより実行されるプログラムコード、OS(オペレーティングシステム)に供給されるスクリプトデータ等の形態から成ってもよい。
【符号の説明】
【0099】
101 動画再生装置
102 クライアントPC
103 ネットワーク
201 ディスプレイ装置
202 入力デバイス
203 CPU
204 RAM
205 ROM
206 外部記憶装置
207 ネットワーク・インタフェース
208 バス
301 元動画データ
302 画面分割情報
303 低フレームレート動画生成手段
304 低フレームレート動画
305 高フレームレート動画生成手段
306 高フレームレート動画
307 視線位置測定手段
308 高品質画像作成手段
309 視線位置予測手段
310 低フレームレート動画取得手段
311 動画書き換え手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示画面全体に表示される低品質な低フレームレート動画と、前記表示画面を複数の領域に分割した高品質な高フレームレート動画と、に基づき動画を再生する動画再生システムであって、
視聴者が視聴している前記表示画面における視線位置を測定する視線位置測定手段と、
前記視線位置測定手段により取得した視線位置に基づき、前記高フレームレート動画を選択し、前記低フレームレート動画の前記視線位置に合成する高品質画像を作成する高品質画像作成手段と、
前記低フレームレート動画における前記視線位置に、前記高品質画像作成手段により生成された高品質画像を合成して動画を書き換える動画書き換え手段と、
を有することを特徴とする動画再生システム。
【請求項2】
高品質画像作成手段は、
前記視線位置測定手段により取得した過去の視線位置に基づき、次の視線位置を予測して前記高フレームレート動画を選択し、前記低フレームレート動画の前記視線位置に合成する高品質画像を作成することを特徴とする請求項1に記載の動画再生システム。
【請求項3】
動画データから前記低フレームレート動画を生成する低フレームレート動画生成手段と、
前記表示画面を如何なる部分領域に分割にするかを指定する画面分割情報に基づき、前記動画データから前記高フレームレート動画を生成する高フレームレート動画生成手段と、
を有することを特徴とする請求項1または請求項2のいずれか1に記載の動画再生システム。
【請求項4】
表示画面全体に表示される低品質な低フレームレート動画と、前記表示画面を複数の領域に分割した高品質な高フレームレート動画と、に基づき動画を再生する動画再生装置であって、
視聴者が視聴している前記表示画面における視線位置を測定する視線位置測定手段と、
前記視線位置測定手段により取得された視線位置情報を動画管理サーバに送信する視線位置情報送信手段と、
前記動画管理サーバから前記低フレームレート動画を受信する低フレームレート動画受信手段と、
前記視線位置情報送信手段により前記動画管理サーバに送信した前記視線位置情報に基づき生成された高品質画像を、前記動画管理サーバから受信する高品質画像受信手段と、
前記低フレームレート動画受信手段により受信された前記低フレームレート動画における前記視線位置に、前記高品質画像受信手段により受信された前記高品質画像を合成して動画を書き換える動画書き換え手段と、
を有することを特徴とする動画再生装置。
【請求項5】
表示画面全体に表示される低品質な低フレームレート動画と、前記表示画面を複数の領域に分割した高品質な高フレームレート動画と、に基づき再生する動画を管理する動画管理サーバであって、
動画再生装置が測定した視聴者の視線位置を視線位置情報受信手段と、
前記低フレームレート動画を前記動画再生装置に送信する低フレームレート動画送信手段と、
前記視線位置情報受信手段により取得した視線位置に基づき、前記高フレームレート動画を選択し、前記低フレームレート動画の前記視線位置に合成する高品質画像を作成する高品質画像作成手段と、
前記高品質画像作成手段により生成された前記高品質画像を、前記動画再生装置に送信する高品質画像送信手段と、
を有することを特徴とする動画管理サーバ。
【請求項6】
表示画面全体に表示される低品質な低フレームレート動画と、前記表示画面を複数の領域に分割した高品質な高フレームレート動画と、に基づき動画を再生する動画再生方法であって、
視線位置測定手段が、視聴者が視聴している前記表示画面における視線位置を測定する視線位置測定工程と、
高品質画像作成手段が、前記視線位置測定工程により取得した視線位置に基づき、前記高フレームレート動画を選択し、前記低フレームレート動画の前記視線位置に合成する高品質画像を作成する高品質画像作成工程と、
動画書き換え手段が、前記低フレームレート動画における前記視線位置に、前記高品質画像作成工程により生成された高品質画像を合成して動画を書き換える動画書き換え工程と、を有することを特徴とする動画再生方法。
【請求項7】
コンピュータを、表示画面全体に表示される低品質な低フレームレート動画と、前記表示画面を複数の領域に分割した高品質な高フレームレート動画と、に基づき動画を再生する動画再生システムとして機能させるプログラムであって、
視聴者が視聴している前記表示画面における視線位置を測定する視線位置測定手段と、
前記視線位置測定手段により取得した視線位置に基づき、前記高フレームレート動画を選択し、前記低フレームレート動画の前記視線位置に合成する高品質画像を作成する高品質画像作成手段と、
前記低フレームレート動画における前記視線位置に、前記高品質画像作成手段により生成された高品質画像を合成して動画を書き換える動画書き換え手段と、
を有することを特徴とする動画再生システムとして機能させるためのプログラム。
【請求項8】
請求項7に記載されたプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−124784(P2012−124784A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−275012(P2010−275012)
【出願日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【出願人】(390002761)キヤノンマーケティングジャパン株式会社 (656)
【出願人】(312000206)キヤノンMJアイティグループホールディングス株式会社 (259)
【出願人】(301015956)キヤノンソフトウェア株式会社 (364)
【Fターム(参考)】