説明

動的伝送路の終端

【課題】ガンニングトランシーバーロジック(GTL)は、信号電波の反射を避けるために、信号路の各端に対称的かつ並列に終端抵抗を用いる。
【解決手段】システムは、伝送路から受信した低レベル信号の検出と、検出された低レベル信号に応答する、終端回路の伝送路からの切断を含んでよい。いくつかの側面においては、次に、ストローブ信号の遷移を検出し、検出した遷移に応答して終端回路を伝送路へと接続する。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
ガンニングトランシーバーロジック(GTL)は、通常電子回路のバックプレーンバスを駆動するのに使用される論理信号伝達の一形式に関連する。GTLは、トランジスタ‐トランジスタロジック(TTL)又は相補型酸化金属半導体(CMOS)ロジックにおいて用いられるよりは小さい電圧振幅を用いる。更に、GTLは、信号電波の反射を避けるために、信号路の各端に対称的かつ並列に抵抗終端を用いる。
【0002】
図1は、受信器11及び送信器12を含む従来のGTLシステム10を示す。受信器11及び送信器12はバス13を介して接続され、各々、バス13が示す抵抗と実質的に等しい抵抗14によりバス13を終端している。点線の矢は、送信器12が「0」を送信した場合に存在するDC電流路を示す。この電流のDC値は、いくつかの設計においては13mAと測定され、各GTL I/Oピンに存在する。このような電力流出は、特に移動体システムにとっては不適切であることが多い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0003】
図2は、いくつかの実施形態に従うシステム200のブロック図である。システム200は、データ受信を行ういかなる電子システムの素子をも備えてよい。いくつかの実施形態においては、システム200は、移動体計算プラットフォーム内のGTLトランシーバーの素子である。
【0004】
システム200は、受信器210、及び当該受信器210がデータを受信する伝送路220を含んでいる。いくつかの実施形態においては、受信器210は、並列に信号伝送するよう配置された2又はそれより多くの伝送路からデータを受信する。双方向伝送を支持する実施形態においては、受信器210は、当該受信器210がデータを受信する伝送路を介してデータを送信する送信器と連動して動作してよい。
【0005】
受信器210は、終端回路215、検出器217、及びデバイス219を含む。終端回路215は、伝送路220を終端する。信号反射を低減するために、終端回路215のインピーダンスを伝送路220のインピーダンスと実質的に等しくしてよい。
【0006】
検出器217は、伝送路220から受信する低レベル信号を検出するよう動作してよい。また、デバイス219は、受信した低レベル信号が検出されたことに応答して伝送路220から終端回路215を切断してよい。前出のいくつかの実施形態に従って、電力消費が改善されたGTLシステムを提供してよい。
【0007】
図3は、いくつかの実施形態に従うプロセス300を示す。プロセス300を、ハードウェア、ソフトウェア、又はファームウェアをいかようにも組み合わせて実行してよい。いくつかの実施形態においては、図2のシステム200がプロセス300を実行する。
【0008】
まず、伝送路から受信した低レベル信号が310において検出される。図2の例を参照すると、受信器210の検出器217が310において伝送路220からの低レベル信号を検出してよい。次に、検出された信号に応答して、320において終端回路が伝送路から切断される。上述したように、デバイス219が320において終端回路215を伝送路220から切断するよう動作してよい。
【0009】
図4は、いくつかの実施形態に従うシステム400の概略図である。システム410は、トランシーバー410、伝送路420、及び従来のGTLトランシーバー430を備えている。いくつかの実施形態によると、トランシーバー410及びトランシーバー430の一方がマイクロプロセッサの素子であり、他方がチップセットの素子である。
【0010】
トランシーバー410は、終端回路411、検出器412、デバイス413、検出器414、遅延素子415、及びシュミットトリガ416を備える。トランシーバー410の上記の各素子は、いくつかの実施形態に従って、プロセス200を実施するよう動作してよい。いくつかの実施形態においては、検出器412は、2/3(Vtt)未満の大きさを有する信号を伝送路420から検出したときに、高レベル信号を出力する。そのため、シュミットトリガ416は信号をデバイス413に送信して、終端回路411を伝送路420から切断させる。
【0011】
いくつかの実施形態によると、検出器414はストローブ信号の遷移を検出する。ストローブ信号は、検出器414により受信されるデータ信号と同様に、伝送路420を介して受信される入力信号であるため、トランシーバー410及びGTLトランシーバー430の両方に存在する。検出された遷移に応答して、デバイス413は、オンダイ終端(ODT)オフ信号により終端回路411を伝送路420へと接続する。遅延素子415に関連する遅延期間を経た後にこの接続が行われてもよい。
【0012】
図5は、いくつかの実施形態に従うプロセス500のフロー図である。図2のシステム200及び図4のトランシーバー410を含むがそれらに限定されないハードウェア、ソフトウェア、又はファームウェアをいかようにも組み合わせることにより、プロセス500を実行してよい。
【0013】
510において、伝送路からデータが受信される。520において、低レベル信号が伝送路から受信されたかが判定される。図4を参照すると、検出器412が510においてデータを受信してよく、また、520において受信データの大きさが2/3(Vtt)より大きい場合に低レベル信号を出力してよい。520において伝送路420から低レベル信号が受信されたと判定されるまで、フローは510と520との間を循環する。このような判定がなされると、検出器が高レベル信号を出力する。
【0014】
520における検出に応答して、530において終端回路が伝送路から切断される。再度トランシーバー410に戻ると、シュミットトリガ416及びデバイス413が530において終端回路411を伝送路220から切断するよう動作してよい。このような切断は、伝送路420と終端回路411との間に開路を形成することによってよい。
【0015】
図6は、いくつかの実施形態に従うプロセス500を示すタイミング図である。図示の通り、時点0と時点Aとの間においては、フローが510と520との間を循環している。この間、低レベル信号が検出されず、ODTオフ信号が低レベルである(即ち、終端回路411が伝送路420に接続されている)。時点Aにおいて低レベル信号が検出され、それに応答してODT信号が高レベルになり、終端回路411が伝送路420から切断される。
【0016】
プロセス500に戻ると、フローは、ストローブ信号の遷移が検出されるまで540で停滞する。遷移が検出されると(たとえば、検出器414により)、550においてフローは自動時間調整される遅延期間(たとえば、遅延素子415に関連する)を待機し、その後560へと進む。560において、終端回路は伝送路へと接続される。その後フローは510へと戻り、正しく終端された伝送路からデータを受信する。
【0017】
図6においては、ストローブ信号の遷移が時点Bに示されている。次に、自動時間調整される550における遅延期間が時点Bから時点Cにかけて起こる。時点Cにおいて、ODTオフ信号が低レベルとなり、終端回路が伝送路へと接続される。図6においては、更に、時点Aから時点Cまでの事象が時点Dから時点Fにかけて繰り返されている。
【0018】
図7は、いくつかの実施形態に従うシステム700の概略図である。システム700のトランシーバー710及びトランシーバー730は、各々、上述の側面のいくつかを実現している。この点に関し、トランシーバー710及びトランシーバー730の各々は、プロセス200及び/又はプロセス500を実施してよい。
【0019】
トランシーバー710は終端回路711及びスイッチ713を含み、トランシーバー730は終端回路731及びスイッチ733を含む。終端回路711及び終端回路731は各々、伝送路720を終端し、スイッチ713及び733は伝送路720と終端回路711又は731との間にそれぞれ配置される。従って、スイッチ713及び733は、伝送路720から受信される低レベル信号が検出されたことに応答して終端回路711及び731を伝送路720から切断するよう動作してよい。
【0020】
図8は、いくつかの実施形態に従うシステム800のブロック図を示す。システム800は、図2の受信器210を備えたマイクロプロセッサ810を含む。いくつかの実施形態によると、マイクロプロセッサ810はオフダイキャッシュ820と通信する。
【0021】
マイクロプロセッサ810は、ホストバス及びチップセット830を介してその他の素子と通信してよい。この点に関し、チップセット830は受信器210へとデータを送信してよく、受信器210は当該データに上述のように応答してよい。チップセット630は、メモリ840とも通信する。メモリ840は、シングルデータレートRAM(Single Data Rate Random Access Memory)、ダブルデータレートRAM(Double Data Rate Random Access Memory)、又はプログラマブルROM(Programmable Read Only Memory)等の、データを格納するためのいかなる種類のメモリであってもよい。グラフィックスコントローラ850、ネットワークインターフェースコントローラ(NIC)860等のその他の機能ユニットは、適切なバス、又はポートを介してマイクロプロセッサ810と通信してよい。
【0022】
本明細書に記載したいくつかの実施形態は、専ら説明の目的で示されている。いくつかの実施形態は、本明細書に記載した要素の現在又は今後知られるいかなる変形をも含んでよい。それゆえ、多様な変形や改良によりその他の実施形態が実施し得ることが当業者には本説明から認識されよう。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】いくつかの実施形態に従う従来のGTLシステムのブロック図である。
【0024】
【図2】いくつかの実施形態に従う装置のブロック図である。
【0025】
【図3】いくつかの実施形態に従うプロセスの図である。
【0026】
【図4】いくつかの実施形態に従う装置の概略図である。
【0027】
【図5】いくつかの実施形態に従うプロセスの図である。
【0028】
【図6】いくつかの実施形態に従うタイミング図である。
【0029】
【図7】いくつかの実施形態に従う装置の概略図である。
【0030】
【図8】いくつかの実施形態に従うシステムのブロック図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つの伝送路から受信した1つの低レベル信号を検出することと、
検出された前記低レベル信号に応答して、前記伝送路から1つの終端回路を切断することと
を含む1つの方法。
【請求項2】
前記低レベル信号は、1つのガンニングトランシーバーロジック受信器において受信されることを特徴とする、請求項1に記載の1つの方法。
【請求項3】
前記終端回路は、前記伝送路の1つのインピーダンスと実質的に等しい1つのインピーダンスを示すことを特徴とする、請求項1に記載の1つの方法。
【請求項4】
前記終端を切断することは、前記伝送路と前記終端回路との間に配置される1つのスイッチを開くことを含む、請求項1に記載の1つの方法。
【請求項5】
1つのストローブ信号の1つの遷移を検出することと、
検出された前記遷移に応答して、前記終端回路を前記伝送路へと接続することと
を更に含む、請求項1に記載の1つの方法。
【請求項6】
前記遷移を検出した後、自動時間調整される1つの遅延期間を待機することを更に含み、
前記終端回路は、前記待機することの後、前記伝送路へと接続されることを特徴とする、
請求項5に記載の1つの方法。
【請求項7】
1つの伝送路から受信した1つの低レベル信号を検出する1つの検出器と、
前記伝送路を終端する1つの終端回路と、
前記低レベル信号の検出に応答して、前記終端回路を前記伝送路から切断する1つのデバイスと
を含む1つの装置。
【請求項8】
前記装置は、ガンニングトランシーバーロジック受信器を備えることを特徴とする、請求項7に記載の1つの装置。
【請求項9】
前記終端回路の1つのインピーダンスは、前記伝送路の1つのインピーダンスと実質的に等しいことを特徴とする、請求項7に記載の1つの装置。
【請求項10】
前記デバイスは、前記伝送路と前記終端回路との間に配置される1つのスイッチを備えることを特徴とする、請求項7に記載の1つの装置。
【請求項11】
1つのストローブ信号の1つの遷移を検出する1つの第2検出器を更に含み、
前記デバイスは、検出された前記遷移に応答して、前記終端回路を前記伝送路へと接続することを特徴とする、
請求項7に記載の1つの装置。
【請求項12】
1つの遅延期間と関連する1つの遅延素子を更に含み、
前記デバイスは、前記遅延期間の後、前記終端回路を前記伝送路へと接続することを特徴とする、
請求項11に記載の1つの装置。
【請求項13】
1つの伝送路から受信した1つの低レベル信号を検出する1つの検出器と、
前記伝送路を終端する1つの終端回路と、
前記低レベル信号の検出に応答して、前記終端回路を前記伝送路から切断する1つのデバイスと
を含む1つのマイクロプロセッサと、
前記伝送路に接続された1つのメモリコントローラと
を含む1つのシステム。
【請求項14】
前記デバイスは、前記伝送路と前記終端回路との間に配置される1つのスイッチを備えることを特徴とする、請求項13に記載の1つのシステム。
【請求項15】
前記マイクロプロセッサは、1つのストローブ信号の1つの遷移を検出する1つの第2検出器を更に含み、
前記デバイスは、検出された前記遷移に応答して前記終端回路を前記伝送路へと接続することを特徴とする、
請求項13に記載の1つのシステム。
【請求項16】
前記マイクロプロセッサは、1つの遅延期間と関連する1つの遅延素子を更に含み、
前記デバイスは、前記遅延期間の後、前記終端回路を前記伝送路へと接続することを特徴とする、
請求項15に記載の1つのシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−72693(P2008−72693A)
【公開日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2007−170260(P2007−170260)
【出願日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【出願人】(591003943)インテル・コーポレーション (1,101)
【Fターム(参考)】