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包装体の製造方法
説明

包装体の製造方法

【課題】硫黄化合物を含有する内容物の酸化劣化が長期間防止されるための酸素ガスバリア性と、当該内容物から発生するレトルト臭を吸収する機能を有する包装材料に硫黄化合物を含有する内容物が包装された包装体の製造方法を提供する。
【解決手段】硫黄化合物を含有する内容物が包装材料で包装された包装体の製造方法であって、
酸素ガスバリア性材料の表面に亜鉛化合物を含むコーティング剤を塗布して乾燥させることにより、前記酸素ガスバリア性材料の表面に前記亜鉛化合物を含むコーティング層が設けられており、かつ、20℃、80%相対湿度(RH)で測定される酸素ガス透過度が3cm(STP)/m・24hr・atm以下である包装材料を得る工程、及び、
前記内容物から発生するレトルト臭を吸収することができるように、前記亜鉛化合物を含むコーティング層を前記酸素ガスバリア性材料よりも前記内容物側に配置して前記内容物を包装する工程
を含む、包装体の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、魚介類等の肉製品、卵製品、米飯類のような硫黄化合物を含む内容物が加熱処理されるときに発生する不快なレトルト臭を抑制する包装材料に硫黄化合物を含有する内容物が包装された包装体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
魚介類等の肉製品、卵製品及び米飯類に含まれるタンパク質を構成するアミノ酸に占める含硫アミノ酸(シスチン及びメチオニン)の割合は高い。魚介類等の肉製品、卵製品又は米飯類がボイル処理又はレトルト処理されると、不快なレトルト臭が発生する。なお、レトルト臭という表現は、レトルト食品(100℃以上の温度で加圧、加熱殺菌を施して常温流通を可能にした食品)に特有の臭いを指すが、本明細書では、100℃未満のボイル処理やスチーム加熱処理を施した食品もしばしば認められる同様の臭いを含めてレトルト臭と表現する。レトルト臭は、タンパク質を構成する含硫アミノ酸の加水分解によって発生する硫化水素、メチルメルカプタン、エチルメルカプタン等の硫黄化合物;アンモニア、トリメチルアミン等のアミン類による生臭さ;脂質の酸化によって発生する揮発性カルボニル化合物による酸化臭に由来する。
【0003】
レトルト臭の抑制は、食品への添加剤の配合及び/又は食品の調理方法により、一般的に行われる。かまぼこへのキシロース、グルコース等の還元糖の添加、かまぼこの低温での加熱による、かまぼこのレトルト臭の抑制が検討された(例えば、非特許文献1参照)。胡椒、オニオン等の香辛料によるマスキングもレトルト臭を抑制する。しかし、食品への添加剤の配合及び/又は食品の調理方法によるレトルト臭の抑制は、食品の風味を犠牲にする。
【0004】
そこで、包装材料によるレトルト臭の抑制が検討された。
(1)ポリオレフィンと酸化亜鉛が溶融混練されて得られるポリオレフィンフィルム層を有する積層袋(例えば、特許文献1参照)
(2)亜鉛系アイオノマー樹脂又は亜鉛系アイオノマー樹脂を含有する熱可塑性樹脂からなるフィルム(例えば、特許文献2参照)
(3)水酸化亜鉛と酸化亜鉛の複合体からなる固体塩基系吸着剤とトリポリリン酸二水素アルミニウムが併用された酸性・塩基性ガス両用吸着剤が樹脂に練り込まれて得られた樹脂フィルム(例えば、特許文献3参照)
更に、脱臭機能を有する樹脂フィルムが検討された。
【0005】
(4)チタン、アルミニウム、マグネシウム、カルシウム、珪素から選ばれる一種以上の元素と亜鉛が主成分とされる酸化物凝集体粒子からなる脱臭剤が含有される脱臭性熱可塑性樹脂フィルム(例えば、特許文献4参照)
(5)二酸化チタンと酸化亜鉛との混成体及び水成分を含む白色微粉末脱臭剤を含有し、活性種存在雰囲気下に曝され、表面がエッチングされ、微粉末脱臭剤の一部が露出されている脱臭プラスチックフィルム(例えば、特許文献5参照)
(6)活性白土と塩基性物質及び/又は中性物質(例えば、酸化亜鉛)が共存されたポリオレフィン樹脂が溶融成形されて得られるシートが延伸加工された通気性脱臭フィルム(例えば、特許文献6参照)
食品用包装材料は、食品の酸化を防止するために、酸素ガスバリア性を有している必要がある。しかしながら、上記(1)〜(6)の材料の酸素ガスバリア性は検討されていない。更に、上記(1)の積層袋ポリオレフィンフィルム層が食品と接触する場合、亜鉛イオンが食品に溶解し得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特公平5−41508号公報
【特許文献2】特開2005−75360号公報
【特許文献3】特開平1−297142号公報
【特許文献4】特開平2−95436号公報
【特許文献5】特開平1−280462号公報
【特許文献6】特開平6−296672号公報
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】徳永俊夫、「魚肉 ソーセージ」、昭和57年2月20日、No.212、p15−35
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明が解決しようとする課題は、硫黄化合物を含有する内容物の酸化劣化が長期間防止されるための酸素ガスバリア性と、当該内容物から発生するレトルト臭を吸収する機能を有する包装材料に硫黄化合物を含有する内容物が包装された包装体の製造方法の提供である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、硫黄化合物を含有する内容物が包装材料で包装された包装体の製造方法であって、
酸素ガスバリア性材料の表面に亜鉛化合物を含むコーティング剤を塗布して乾燥させることにより、前記酸素ガスバリア性材料の表面に前記亜鉛化合物を含むコーティング層が設けられており、かつ、20℃、80%相対湿度(RH)で測定される酸素ガス透過度が3cm(STP)/m・24hr・atm以下である包装材料を得る工程、及び、
前記内容物から発生するレトルト臭を吸収することができるように、前記亜鉛化合物を含むコーティング層を前記酸素ガスバリア性材料よりも前記内容物側に配置して前記内容物を包装する工程
を含む、包装体の製造方法である。
本発明の好ましい実施態様では、上記硫黄化合物を含有する内容物が食品であり、含硫アミノ酸比率が食品の可食部100gあたり200mg以上である。
本発明の好ましい実施態様では、前記内容物を包装する工程の後に80℃以上で加熱処理をする工程をさらに含む。
【発明の効果】
【0010】
本発明の包装体の製造方法において、本発明に係る包装材料は、高い酸素ガスバリア性を有しており、硫黄化合物を含有する内容物の酸化劣化を長期間防止する。更に、本発明に係る包装材料は、当該内容物から発生するレトルト臭を吸収する機能を有している。硫黄化合物を含有する内容物が本発明に係る包装材料で包装され、当該包装体が80℃以上で加熱処理される場合、本発明に係る包装材料が有するレトルト臭を吸収する機能は特に顕著に現れる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
硫黄化合物を含有する内容物
本発明の包装材料で包装される、硫黄化合物を含有する内容物は特に限定されない。主としてタンパク質を構成成分とする食品(ペットフードも含まれる)が、硫黄化合物を含有する内容物として挙げられる。硫黄化合物を含有する内容物の具体例は、牛肉、鶏肉、豚肉、魚介肉、卵、穀類、米飯、豆類、乳製品、これらの加工品である。
【0012】
本発明の包装材料は、当該食品の可食部100gあたり、含硫アミノ酸が200mg以上である食品に対して有効である。含硫アミノ酸が300mg以上である食品に対してはさらに有効であり、500mg以上である食品に対しては特に有効である。ここでいう含硫アミノ酸はメチオニンとシスチンの合計量を示し、食品試料を酸またはアルカリで加水分解した後にアミノ酸自動分析装置や高速液体クロマトグラフ法によって求めることができる。また、女子栄養大学出版部発行の「五訂増補 食品成分表2007」p276−293に各種食品の含硫アミノ酸含有量(可食部100gあたり)が記載されており、本データを引用してもよい。
【0013】
包装材料
本発明の包装材料は、内容物から発生するレトルト臭を吸収する亜鉛化合物と、内容物の酸化劣化を防止する酸素ガスバリア性材料を含む。本発明の包装材料は、亜鉛化合物と酸素ガスバリア性材料が一体化された包装材料aであってよく、包装材料aと汎用樹脂が積層された包装材料bであってもよい。汎用樹脂の具体例は、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリエチレンである。積層方法の具体例は、ドライラミネーション法、ウェットラミネーション法、押出ラミネーション法である。包装材料bのヒートシール性、強度、ボイル・レトルト適性及び印刷性は優れている。なお、亜鉛化合物が後述するコーティングによって酸素ガスバリア性材料と一体化する場合、レトルト臭を効率的に吸収するためにはコーティング層は酸素ガスバリア性材料よりも内容物側に配置されることが好ましい。
【0014】
本発明の包装材料の20℃、80%相対湿度(RH)で測定される好ましい酸素ガス透過度は3cm(STP)/m・24hr・atm以下である。当該酸素ガス透過度のより好ましい範囲は2cm(STP)/m・24hr・atm以下であり、当該酸素ガス透過度の更に好ましい範囲は1cm(STP)/m・24hr・atm以下である。なお、(STP)は酸素の体積を規定するための標準状態(0℃、1気圧)を意味する。酸素ガス透過度が小さい本発明の包装材料は、ボイル又はレトルト加熱処理及び保存中の内容物の酸化劣化を抑制し、内容物の外観及び風味を維持し、かつ内容物の賞味期間を長期化する。
【0015】
酸素ガスバリア性材料
本発明の包装材料が含む酸素ガスバリア性材料の具体例は、アルミニウム箔等の金属箔、樹脂フィルムa、AlOx、SiOx等の無機物が蒸着された樹脂フィルムb、ポリカルボン酸系重合体がコーティングされたフィルムcである。樹脂フィルムa及びbは、未延伸フィルム、1軸延伸フィルム又は2軸延伸フィルムである。樹脂フィルムaを構成する樹脂の具体例は、エチレン−ビニルアルコール共重合体、塩化ビニリデン−塩化ビニル共重合体、ポリグリコール酸、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミドである。樹脂フィルムbを構成する樹脂の具体例は、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリプロピレンである。樹脂フィルムa及びbの少なくとも片方の面にはコロナ処理、プラズマ処理、紫外線処理等の物理的処理が施されていてもよい。
【0016】
フィルムcの基材フィルムは、特に限定されない。基材フィルムの具体例は、金属類、紙類、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂(金属が蒸着された熱可塑性樹脂を含む)である。好ましい基材フィルムは、熱可塑性樹脂(金属が蒸着された熱可塑性樹脂を含む)である。熱可塑性樹脂(金属が蒸着された熱可塑性樹脂を含む)の具体例は、ポリエチレンテレフタレート;ナイロン6、ナイロン66、ナイロン12、ナイロン6・66共重合体などのポリアミド;低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物、ポリプロピレン、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸塩共重合体、エチレン−エチルアクリレート共重合体などのポリオレフィン;ポリ塩化ビニル;ポリ塩化ビニリデン;ポリフェニレンサルファイドである。好ましい熱可塑性樹脂(金属が蒸着された熱可塑性樹脂を含む)の具体例は、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン6、ポリプロピレンである。これらの樹脂の未延伸フィルム、1軸延伸フィルム又は2軸延伸フィルムを基材フィルムとして用いることができる。また、基材フィルムの厚さは特に限定されないが、好ましい厚さは1〜1000μmの範囲である。更に好ましい厚さは1〜200μm、最も好ましい厚さは1〜50μmの範囲である。また、基材フィルムの少なくとも片方の面にはコロナ処理、プラズマ処理、紫外線処理等の物理的処理が施されていてもよい。
【0017】
ポリカルボン酸系重合体とは、分子内に2個以上のカルボキシル基を有する重合体のことである。ポリカルボン酸系重合体の具体例は、α、β−モノエチレン性不飽和カルボン酸の単独重合体;少なくとも2種類のα、β−モノエチレン性不飽和カルボン酸の共重合体;α、β−モノエチレン性不飽和カルボン酸と他のエチレン性不飽和単量体の共重合体;アルギン酸、カルボキシメチルセルロース、ペクチン等の分子内にカルボキシル基を有する酸性多糖類である。これらのポリカルボン酸系重合体は、それぞれ単独で、又は少なくとも2種を混合して用いられる。
【0018】
α、β−モノエチレン性不飽和カルボン酸の具体例は、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマール酸、クロトン酸である。
α、β−モノエチレン性不飽和カルボン酸と共重合可能なエチレン性不飽和単量体の具体例は、エチレン、プロピレン、酢酸ビニル等の飽和カルボン酸ビニルエステル類、アルキルアクリレート類、アルキルメタクリレート類、アルキルイタコネート類、アクリロニトリル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、スチレンである。
【0019】
ポリカルボン酸系重合体が、α、β−モノエチレン性不飽和カルボン酸と酢酸ビニル等の飽和カルボン酸ビニルエステル類との共重合体の場合には、ポリカルボン酸系重合体はケン化され、飽和カルボン酸ビニルエステル部分がビニルアルコールに変換される。
【0020】
ポリカルボン酸系重合体が、α、β−モノエチレン性不飽和カルボン酸とその他のエチレン性不飽和単量体との共重合体である場合には、ガスバリア性、耐水性の観点から、α、β−モノエチレン性不飽和カルボン酸の共重合割合は60モル%以上、より好ましくは80モル%以上、更に好ましくは90モル%以上、最も好ましくは100モル%である。
【0021】
ポリカルボン酸系重合体が、α、β−モノエチレン性不飽和カルボン酸のみからなる重合体の場合には、当該重合体は、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマール酸、クロトン酸からなる群から選ばれる少なくとも1種の重合性単量体の重合によって得られる。当該重合体は、好ましくは、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸から選ばれる少なくとも1種の単量体の重合によって得られる。当該重合体は、より好ましくは、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリマレイン酸及び/又はそれらの混合物の重合によって得られる。
【0022】
ポリカルボン酸系重合体が酸性多糖類の場合には、モノマー成分としてアルギン酸が好ましく用いられる。ポリカルボン酸系重合体の数平均分子量は、特に限定されない。好ましい数平均分子量は、コーティング性の観点から2,000〜10,000,000の範囲であり、更に好ましい数平均分子量は5,000〜1,000,000である。他の重合体が、本発明の包装材料の酸素ガスバリア性を損なわない範囲で、ポリカルボン酸系重合体に混合され得る。
ポリカルボン酸系重合体を含む樹脂層が、ポリカルボン酸系重合体とポリアルコール類の混合物からなるものであってもよい。
【0023】
ポリアルコール類は、分子内に2個以上の水酸基を有する低分子化合物からアルコール系重合体を含む。ポリアルコール類は、ポリビニルアルコール(PVA)、糖類および澱粉類を含む。前記分子内に2個以上の水酸基を有する低分子量化合物の具体例は、グリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、ペンタエリトリトール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールである。PVAのケン化度は95%以上、好ましくは98%以上であり、PVAの平均重合度は300〜1500である。ポリカルボン酸系重合体との相溶性の観点から、ビニルアルコールを主成分とするビニルアルコール−ポリ(メタ)アクリル酸共重合体が、ポリアルコール類として用いられる。単糖類、オリゴ糖類および多糖類が、糖類として使用される。これらの糖類は、特開平7−165942号公報に記載のソルビトール、マンニトール、ズルシトール、キシリトール、エリトリトール等の糖アルコール、糖アルコールの置換体、糖アルコールの誘導体を包含する。好ましい糖類は、水、アルコール、あるいは水とアルコールの混合溶剤に溶解する。澱粉類は、前記多糖類に含まれる。澱粉類の具体例は、小麦澱粉、トウモロコシ澱粉、馬鈴薯澱粉、タピオカ澱粉、米澱粉、甘藷澱粉、サゴ澱粉などの生澱粉(未変性澱粉)、各種の加工澱粉である。加工澱粉の具体例は、物理的変性澱粉、酵素変性澱粉、化学変性澱粉、澱粉類にモノマーをグラフト重合したグラフト澱粉である。これらの澱粉類の中でも、馬鈴薯澱粉が酸で加水分解された水可溶性加工澱粉、澱粉の末端基(アルデヒド基)が水酸基に置換された糖アルコールが好ましい。澱粉類は、含水物であってもよい。これらの澱粉類は、それぞれ単独で、或いは2種以上を組み合わせて使用される。
【0024】
ポリカルボン酸系重合体とポリアルコール類との混合比(質量比)は、高湿度条件下でも優れた酸素ガスバリア性を有する成形物を得るという観点から、好ましくは99:1〜20:80、さらに好ましくは95:5〜40:60、最も好ましくは95:5〜50:50である。
【0025】
ポリカルボン酸系重合体と溶媒を含むコーティング液1、又は、ポリカルボン酸系重合体、ポリアルコール類と溶媒を含むコーティング液2が基材フィルム上にコーティングされ、次いで、溶媒が蒸発乾燥される。上記工程により、基材フィルム上にポリカルボン酸系重合体を含む樹脂層が形成される。ポリカルボン酸系重合体と溶媒を含むコーティング液1が基材フィルム上にコーティングされる方法は、単量体を含むコーティング液が基材フィルム上にコーティングされて紫外線又は電子線が照射されて重合が行われポリカルボン酸系重合体を含む層が形成される方法、単量体が基材上に蒸着されると同時に電子線が照射されて重合が行われポリカルボン酸系重合体を含む層が形成される方法が含まれる。
【0026】
ポリカルボン酸系重合体と溶媒を含むコーティング液1は、ポリカルボン酸系重合体が溶媒に溶解又は分散されて調製される。溶媒はポリカルボン酸系重合体を均一に溶解又は分散できるものであれば特に限定されない。溶媒の具体例は、水、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、ジメチルスルフォキシド、ジメチルフォルムアミド、ジメチルアセトアミドである。非水系溶媒又は非水系溶媒と水の混合物が、溶媒として好ましく使用される。当該コーティング液中のポリカルボン酸系重合体の好ましい濃度は0.1〜50質量%である。
【0027】
ポリカルボン酸系重合体、ポリアルコール類と溶媒を含むコーティング液2を得る方法は特に限定されない。コーティング液2を得る方法の具体例は、各成分が溶媒に溶解される方法、各成分の溶液が混合される方法、ポリアルコール類溶液中でカルボキシル基を含有するモノマーが重合され、所望により重合後にアルカリで中和される方法である。溶媒の具体例は、水、アルコール、水とアルコールの混合物である。当該コーティング液中の好ましい固形分濃度は1〜30質量%である。
【0028】
他の重合体、柔軟剤、可塑剤(分子内に2個以上の水酸基を有する低分子化合物は除く)、安定剤、アンチブロッキング剤、粘着剤、モンモリロナイト等の無機層状化合物等が、本発明の包装材料の酸素ガスバリア性が損なわれない範囲で、上記コーティング液1及び2に適宜添加されてよい。
【0029】
1価及び/又は2価の金属を含む化合物が、本発明の包装材料の酸素ガスバリア性の観点から、コーティング液1に添加され得る。1価及び/又は2価の金属の具体例は、ナトリウム、カリウム、亜鉛、カルシウム、マグネシウム、銅である。1価及び/又は2価の金属を含む化合物の具体例は、水酸化ナトリウム、酸化亜鉛、水酸化カルシウム、酸化カルシウムである。1価及び/又は2価の金属を含む化合物の好ましい添加量は、ポリカルボン酸系重合体のカルボキシル基の0〜70モル%の範囲である。1価及び/又は2価の金属を含む化合物の更に好ましい添加量は、ポリカルボン酸系重合体のカルボキシル基の0〜50モル%の範囲である。
【0030】
ポリカルボン酸系重合体とポリアルコール類を含む樹脂層の酸素ガスバリア性の向上のため、基材フィルム上にコーティングされたコーティング液2が乾燥されて得られた被膜は熱処理され得る。熱処理条件の緩和のため、コーティング液2調製の際に、水に可溶な、アルカリ金属化合物や無機酸または有機酸の金属塩が適宜添加される。金属の具体例は、リチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属である。無機酸または有機酸の金属塩の具体例は、塩化リチウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、臭化ナトリウム、ホスフィン酸ナトリウム(次亜リン酸ナトリウム)、亜リン酸水素二ナトリウム、リン酸二ナトリウム、アスコルビン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、次亜硫酸ナトリウムである。これらの例示された金属塩の中で、好ましくは、ホスフィン酸ナトリウム(次亜リン酸ナトリウム)、ホスフィン酸カルシウム(次亜リン酸カルシウム)等のホスフィン酸金属塩(次亜リン酸金属塩)が使用される。無機酸および有機酸の金属塩の添加量は、コーティング液中の固形分100質量部に対して、好ましくは0.1〜40質量部、さらに好ましくは1〜30質量部である。また、アルカリ金属化合物の具体例は、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムである。アルカリ金属化合物の添加量は、ポリカルボン酸系重合体のカルボキシル基の0〜30モル%の範囲内である。
【0031】
コーティング液1又は2は、基材フィルム上に、エアーナイフコーター、キスロールコーター、メタリングバーコーター、グラビアロールコーター、リバースロールコーター、デイップコーター、ダイコーター、スプレー等の装置、あるいは、それらを組み合わせた装置によりコーティングされる。次いで、コーティング液1又は2に含まれている溶媒が、アーチドライヤー、ストレートバスドライヤー、タワードライヤー、フローティングドライヤー、ドラムドライヤー、赤外線ドライヤーなどの装置、あるいは、それらを組み合わせた装置による熱風の吹き付け、赤外線照射、自然乾燥、オーブン中での乾燥などの乾燥手段により蒸発させられる。その結果、基材フィルム上にポリカルボン酸系重合体からなる皮膜が形成される。
【0032】
基材フィルム上にコーティング液1又は2がコーティングされる際、基材フィルムとポリカルボン酸系重合体を含む樹脂層又は多価金属化合物を含む層(多価金属化合物含有層)との接着性の向上のため、予め接着剤が基材フィルム上にコーティングされる。接着剤は特に限定されない。接着剤の具体例は、ドライラミネート、アンカーコート、プライマーとして用いられている、溶媒に可溶なアルキッド樹脂、メラミン樹脂、アクリル樹脂、硝化綿、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、アミノ樹脂、フッ素樹脂、エポキシ樹脂等の樹脂を含む接着剤である。
ポリカルボン酸系重合体を含む樹脂層の厚みは10μm以下であり、好ましくは5μm以下、更に好ましくは1μm以下である。
【0033】
亜鉛化合物
亜鉛化合物の具体例は、亜鉛の酸化物、水酸化物、炭酸塩、有機酸塩、無機酸塩である。特に好ましい亜鉛化合物の具体例は、酸化亜鉛、水酸化亜鉛、炭酸亜鉛、酢酸亜鉛、リン酸亜鉛である。亜鉛の毒性は低く、亜鉛がレトルト臭の原因となる硫化水素と反応して生成する硫化亜鉛(白色)は包装体の外観にほとんど影響を与えない。
【0034】
亜鉛化合物の好ましい形態は粒子である。コーティング適性及び溶媒への分散性の観点から、亜鉛化合物粒子の好ましい平均粒径は5μm以下であり、より好ましい平均粒径は1μm以下であり、最も好ましい平均粒径は0.1μm以下である。
【0035】
亜鉛化合物の好ましい含有量は、酸素ガスバリア性材料1m当たり亜鉛として32.7mg以上である。亜鉛化合物の含有量が、酸素ガスバリア性材料1m当たり亜鉛として32.7mgより少ない場合、硫化水素が亜鉛化合物に吸収される効果は認められるが、当該効果が官能的に認知され難い。亜鉛化合物のより好ましい含有量は、酸素ガスバリア性材料1m当たり亜鉛として65.4mg以上であり、亜鉛化合物の更に好ましい含有量は、酸素ガスバリア性材料1m当たり亜鉛として131mg以上であり、亜鉛化合物の最も好ましい含有量は、酸素ガスバリア性材料1m当たり亜鉛として196mg以上である。亜鉛化合物の含有量が増大するほどレトルト臭の吸収効果も大きくなるが、内容物の風味が損なわれ得る。例えば、ニンニク調味製品等の含硫化合物に由来する風味が重要な食品が、亜鉛化合物が多量に含まれる包装材料で包装される場合、当該食品の風味が損なわれる。従って、亜鉛化合物の含有量は、本発明の包装材料で包装される内容物により適宜調節される必要がある。
【0036】
亜鉛化合物が酸素ガスバリア性材料に含有される方法は特に限定されない。当該方法の1つは、酸素ガスバリア性材料への亜鉛化合物のコーティングである。コーティングに使用されるコーティング剤は、亜鉛化合物と溶媒又は分散媒体を含む。当該溶媒又は分散媒体の具体例は、水、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、n−プロピルアルコール、n−ブチルアルコール、n−ペンチルアルコール、ジメチルスルフォキシド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、トルエン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、酢酸ブチルである。コーティング適性や製造性の観点から、好ましい溶媒又は分散媒体は、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、トルエン、酢酸エチル、水である。これらの溶媒又は分散媒体は単独で使用されてもよく、2種以上の溶媒又は分散媒体が混合されて使用されてもよい。
【0037】
樹脂、界面活性剤、柔軟剤、安定剤、膜形成剤、アンチブロッキング剤、粘着剤等の添加物が、溶媒又は分散媒体に適宜添加されていてもよい。
コーティング適性及び製膜性の観点から、溶媒又は分散媒体に添加される樹脂の具体例は、アルキッド樹脂、メラミン樹脂、アクリル樹脂、硝化綿、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、アミノ樹脂、フッ素樹脂、エポキシ樹脂等の塗料用樹脂である。
【0038】
亜鉛化合物の分散性の観点から、分散剤が溶媒又は分散媒体に添加される。分散剤の具体例は、アクリルアミド、アクリル酸、アクリル酸エステル、アクリル酸中和物、アクリロニトリル、アジピン酸、アジピン酸エステル、アジピン酸中和物、アゼライン酸、アビエチン酸、アミノドデカン酸、アラキジン酸、アリルアミン、アルギニン、アルギニン酸、アルブミン、アンモニア、イタコン酸、イタコン酸エステル、イタコン酸中和物、エチレンオキサイド、エチレングリコール、エチレンジアミン、オレイン酸、カオリン、カゼイン、カプリル酸、カプロラクタム、キサンタンガム、クエン酸、グリシン、クリストバライト、グリセリン、グリセリンエステル、グルコース、クロトン酸、ケイ酸、サッカロース、サリチル酸、シクロヘプテン、シュウ酸、スターチ、ステアリン酸、セバシン酸、セルロース、セレシン、ソルビタン脂肪酸エステル(ソルビタンオレエート、ソルビタンステアレート、ソルビタンパーミレート、ソルビタンベヘネート、ソルビタンラウレート)、ソルビトール、ソルビン酸、タルク、デキストリン、テレフタル酸、ドロマイト、ニトロセルロース、尿素、バーミキュライト、パルチミン酸、ピネン、フタル酸、フマル酸、プロピオン酸、プロピレングリコール、ヘキサメチレンジアミン、ペクチン、ベヘン酸、ベンジルアルコール、ベンゾイン酸、ベンゾイン酸エステル、ベンゾグアナミン、ペンタエリスリトール、ベントナイト、ホウ酸、ポリジメチルシロキサン、ポリビニルアルコール、マイカ、マレイン酸、マレイン酸エステル、マレイン酸中和物、マロン酸、マンニトール、ミリスチン酸、メタクリル酸、メチルセルロース、ヤシ油、ユージノール、酪酸、リグノセルロース、リジン、リンゴ酸、リン酸、レシチン、ロジン、ワックス、これらの重合体、これらの共重合体である。
【0039】
コーティング適性の観点から、溶媒又は分散媒体に対する亜鉛化合物の含有量は、1〜50質量%の範囲である。
亜鉛化合物を含有するコーティング膜の厚さは、0.1〜10μmである。当該コーティング膜の厚さが0.1μmより薄い場合、当該コーティング膜の厚さが安定に維持されない。当該コーティング膜の厚さが10μmより厚い場合、当該コーティング膜の生産性が低くなり、更に、当該コーティング膜が凝集破壊されやすくなる。当該コーティング膜のより好ましい厚さは0.1〜2μmであり、当該コーティング膜の更に好ましい厚さは0.1〜1μmである。
【0040】
亜鉛化合物を含有するコーティング剤のコーティング法は特に限定されない。コーティング剤のコーティング装置の具体例は、エアーナイフコーター、ダイレクトグラビアコーター、グラビアオフセット、アークグラビアコーター、トップフィードリバースコーター、ボトムフィードリバースコーター及びノズルフィードリバースコーター等のリバースロールコーター;5本ロールコーター、リップコーター、バーコーター、バーリバースコーター、ダイコーターである。
【0041】
亜鉛化合物を含有するコーティング剤がコーティングされた後の乾燥方法は特に限定されない。当該乾燥方法の具体例は、自然乾燥、オーブン中での乾燥、コーター付属の乾燥機による乾燥である。乾燥機の具体例は、アーチドライヤー、フローティングドライヤー、ドラムドライヤー、赤外線ドライヤーである。乾燥条件も特に限定されない。オーブン中での乾燥における好ましい乾燥温度は、40〜350℃であり、より好ましい乾燥温度は45〜325℃であり、更に好ましい乾燥温度は50〜300℃である。好ましい乾燥時間は0.5秒〜10分間であり、より好ましい乾燥時間は1秒〜5分間であり、更に好ましい乾燥時間は1秒〜1分間である。
【0042】
包装体
硫黄化合物を含有する内容物が本発明の包装材料により包装され、本発明の包装体が得られる。本発明の包装体が80℃以上で加熱処理されると、硫黄化合物を含有する内容物中の含硫化合物が加水分解され、硫化水素、メルカプタン類等のレトルト臭の原因となる成分が発生しやすくなり、当該成分と酸素ガスバリア性材料に含有されている亜鉛化合物が大きな反応速度で反応する。従って、本発明の包装体が80℃以上で加熱処理される場合、レトルト臭の抑制効果が顕著に現れる。本発明の包装体が100℃以上で加圧加熱(レトルト)処理される場合、レトルト臭の抑制効果が更に顕著に現れる。
【0043】
包装体の加熱処理の有無は、包装材料からの硫黄の検出により判定される。本発明者は、包装材料の厚み方向の断面切片を調製し、透過型電子顕微鏡−エネルギー分散型蛍光X線分析装置(TEM−EDX)により、レトルト処理された包装体の包装材料から硫黄を検出した。また、別の方法として、包装材料を硝酸で分解した後、プラズマ発光分析(ICP)を行うことによっても硫黄を検出した。
【実施例】
【0044】
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されない。以下、評価方法について説明する。
1.酸素ガス透過度
包装材料の酸素ガス透過度は、Modern Control社製酸素透過試験器OXTRANTM2/20により、20℃、80%相対湿度(RH)の条件で、ASTM F1927−98(2004)の規定に従って測定された。測定値は、単位cm(STP)/m・24hr・atmで表記される。ここで(STP)は酸素の体積を規定するための標準状態(0℃、1気圧)を意味する。
【0045】
2.かまぼこの臭い評価
かまぼこ原料(配合:魚すり身55質量%、卵白2.0質量%、水35.3質量%、食塩1.4質量%、ポリリン酸ナトリウム0.3質量%、コーンスターチ6.0質量%)30gが、実施例1〜7及び比較例1〜3のそれぞれで作製された多層フィルムのポリプロピレンフィルムがヒートシールされて得られた袋に充填され、内寸8cm×10cmになるように密封包装が行われた。包装体は、120℃、缶内圧力2kg/cmで40分間、(株)日阪製作所製貯湯式レトルト殺菌装置(フレーバーエース)を用いてレトルト加熱処理された。5人のパネラーが包装体を開封して臭いの評価を行った。5人のパネラーから得られた評点の平均点が求められ、4点以上であれば問題なしとされた。評価基準は以下のとおりである。
5:わずかに臭い(レトルト臭または酸化臭)が感じられるが問題なし、4:やや臭いが感じられるが問題なし、3:臭いがやや強く問題あり、2:臭いがかなり強く問題あり、1:臭いが非常に強く問題あり。
【0046】
3.L−システイン水溶液が加熱処理されたときの硫化水素濃度
濃度0.3g/LのL−システイン水溶液30ml(和光純薬工業(株)製 L−システイン使用)が、実施例1〜7及び比較例1〜3のそれぞれで作製された多層フィルムのポリプロピレンフィルムがヒートシールされて得られた袋に充填され、内寸8cm×10cmになるように密封包装が行われた。包装体は、120℃、缶内圧力2kg/cmで60分間、レトルト加熱処理された。包装体が開封され、L−システイン水溶液中の硫化水素濃度がメチレンブルー法で定量された。メチレンブルー法は、硫化水素とp−アミノジメチルアニリンが塩化第二鉄の存在下で定量的にメチレンブルーを生成する反応を利用する。メチレンブルーの量は吸光光度計による検量線法で測定された(矢野美穂、「メチレンブルー吸光光度法を用いた温泉水中硫化水素の定量」、兵庫県立健康環境科学研究センター水質環境部参照)。
【0047】
4.レトルトツナのレトルト後色調
冷凍キハダマグロロイン背肉が(株)クレハ製クレハロンVS−20パウチに入れられ、真空包装された後、80℃で20時間ボイル処理された。ボイル処理された背肉は、十分冷却され、皮及び血合いが除かれ、普通肉部分が分離されてフレーク状にされた。フレーク状普通肉20gが、実施例1〜7及び比較例1〜3のそれぞれで作製された多層フィルムのポリプロピレンフィルムがヒートシールされて得られた袋に充填され、内寸8cm×8cmになるように真空包装が行われた。包装体は、120℃、缶内圧力2kg/cmで30分間、レトルト加熱処理された。包装体が開封され、レトルト処理されたツナの赤みの指標であるa値が日本電色工業(株)製Spectro Color Meter SE2000(測定色孔直径;10mm)により測定された。評価基準は以下のとおりである。
a値が9以上:良好、7以上9未満:問題なし、7未満:変色が認められる(問題あり)。
【0048】
5.含硫アミノ酸比率が異なる各種食品の臭いの評価
実施例8〜16に示した食品のそれぞれ20gずつが、実施例5及び比較例1のそれぞれで作製された多層フィルムのポリプロピレンフィルムがヒートシールされて得られた袋に充填され、内寸8cm×8cmになるようにドイツムルチバック社製真空包装機を用いて真空包装された。また、実施例17はうずら卵3個が、実施例18は皮付きえだ豆4個が、上記と同様の方法で真空包装された。包装体は、(株)日阪製作所製貯湯式レトルト殺菌装置(フレーバーエース)にて、120℃、缶内圧力2kg/cmで30分間レトルト加熱処理され、常温で一晩保管された。その後、5人のパネラーがサンプルを開封して臭いの評価を行った。臭いの評価は、比較例1の包装材料を用いた包装体に対して、実施例5の包装材料を用いた包装体がレトルト臭の強さにおいてどのような位置付けにあるかを採点することによって行われた。すなわち、実施例5の包装体は比較例1の包装体に対して、−2:レトルト臭が大変強い(非常に劣る)、−1:強い(劣る)、0:同等、+1:弱い(優れる)、+2:大変弱い(非常に優れる)という点数基準によって評価が行われた。5人のパネラーから得られた評点の平均点が求められ、+1以上の場合に、比較例1に代表される従来の包装体よりもレトルト臭が効果的に抑制され優れていると判断した。なお、実施例8〜19の各内容物における含硫アミノ酸比率は、女子栄養大学出版部発行の「五訂増補 食品成分表2007」p276−293より引用した。
【0049】
実施例1
ポリアクリル酸(東亞合成(株)製アロンA−10H、分子量 200,000)5質量部が水100質量部にて希釈された。希釈液が、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ(株)製ルミラーP60、厚さ12μm)のコロナ処理面にメイヤーバーにより塗工され、次いで、90℃で30秒間乾燥され、約0.3μmの厚みのポリアクリル酸膜がポリエチレンテレフタレートフィルム上に形成された。
その後、酸化亜鉛微粒子のトルエン分散液(住友大阪セメント(株)製酸化亜鉛分散塗料ZR133)が、ポリアクリル酸膜上にメイヤーバーにより塗工され、90℃で30秒間乾燥され、約0.5μmの厚みのコーティング膜が形成された。この際、酸化亜鉛としてのコーティング量は、基材1mあたり約280mgとなるように調整された。
その後、ポリエステル系接着剤(三井化学ポリウレタン(株)製タケラックA−620、硬化剤:三井化学ポリウレタン(株)製タケネートA−65)が、酸化亜鉛が塗工されたフィルム表面に塗工された後、厚さ15μmの二軸延伸ナイロンフィルム(ユニチカ(株)製エンブレムONUM−RT)がラミネートされ、さらに、厚さ60μmの未延伸ポリプロピレンフィルム(東レフィルム加工(株)製トレファンZK93KM)が、上記ポリエステル系接着剤を介してナイロンフィルム上にラミネートされ、多層フィルムが作製された。
【0050】
実施例2
ポリアクリル酸(東亞合成(株)製アロンA−10H、分子量200,000)
5質量部が、水100質量部で希釈された。その後、ポリアクリル酸のカルボキシル基の量に対してアルカリ金属化合物として0.10化学当量の水酸化ナトリウム(粒子状、粒子径5mm)と、0.30化学当量の酸化亜鉛(粒子状、平均粒子径5μm以下)が、ポリアクリル酸水溶液に加えられた。水酸化ナトリウム及び酸化亜鉛が加えられたポリアクリル酸水溶液は、室温で2日間攪拌され、コーティング液が調製された。当該コーティング液が、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ(株)製ルミラーP60、厚さ12μm)のコロナ処理面にメイヤーバーにて塗工され、90℃で30秒間乾燥され、約0.3μmの厚みのポリアクリル酸膜が形成された。
その後、ポリエステル系接着剤(三井化学ポリウレタン(株)製タケラックA−620、硬化剤:三井化学ポリウレタン(株)製タケネートA−65)が、水酸化ナトリウム及び酸化亜鉛が加えられたポリアクリル酸膜上に塗工された後、厚さ15μmの二軸延伸ナイロンフィルム(ユニチカ(株)製エンブレムONUM−RT)がラミネートされ、さらに、厚さ60μmの未延伸ポリプロピレンフィルム(東レフィルム加工(株)製トレファンZK93KM)が、上記ポリエステル系接着剤を介してナイロンフィルム上にラミネートされ、多層フィルムが作製された。
【0051】
実施例3
ポリアクリル酸(東亞合成(株)製アロンA−10H、分子量200,000)
5質量部が、水100質量部で希釈された。その後、ポリアクリル酸のカルボキシル基の量に対してアルカリ金属化合物として0.10化学当量の水酸化ナトリウム(粒子状、粒子径5mm)と、0.30化学当量の酸化亜鉛(粒子状、平均粒子径5μm以下)が、ポリアクリル酸水溶液に加えられた。水酸化ナトリウム及び酸化亜鉛が加えられたポリアクリル酸水溶液は、室温で2日間攪拌され、コーティング液が調製された。当該コーティング液が、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ(株)製ルミラーP60、厚さ12μm)のコロナ処理面にメイヤーバーにて塗工され、90℃で30秒間乾燥され、約0.3μmの厚みのポリアクリル酸膜が形成された。
その後、実施例1と同様の方法により、酸化亜鉛微粒子のトルエン分散液が塗工され、多層フィルムが作製された。
【0052】
実施例4
ポリアクリル酸(東亞合成(株)製アロンA−10H、分子量200,000)
5質量部が、水100質量部で希釈された。その後、ポリアクリル酸のカルボキシル基の量に対してアルカリ金属化合物として0.10化学当量の水酸化ナトリウム(粒子状、粒子径5mm)と、0.30化学当量の酸化亜鉛(粒子状、平均粒子径5μm以下)が、ポリアクリル酸水溶液に加えられた。水酸化ナトリウム及び酸化亜鉛が加えられたポリアクリル酸水溶液は、室温で2日間攪拌され、コーティング液が調製された。
ポリエステル系接着剤(三井化学ポリウレタン(株)製タケラックA−620、硬化剤:三井化学ポリウレタン(株)製タケネートA−65)が、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ(株)製ルミラーP60、厚さ12μm)のコロナ処理面に、厚み約0.1μmとなるようにメイヤーバーにて塗工され、90℃で30秒間乾燥され、アンカーコート層が形成された。そして、上記コーティング液が、上該アンカーコート層の表面に塗工され、90℃で30秒間乾燥され、約0.3μmの厚みのポリアクリル酸膜が形成された。その後、実施例1と同様の方法により、酸化亜鉛微粒子のトルエン分散液が塗工され、多層フィルムが作製された。なお、試作した該多層フィルムの厚み方向の断面切片を調製し、透過型電子顕微鏡(TEM)により観察したところ、ポリアクリル酸膜上に塗工された酸化亜鉛微粒子およびその凝集物が認められ、それらの粒径は0.1μm以下であった。
【0053】
実施例5
ポリアクリル酸(東亞合成(株)製アロンA−10H、分子量200,000)
5質量部が、水100質量部で希釈された。その後、ポリアクリル酸のカルボキシル基の量に対してアルカリ金属化合物として0.10化学当量の水酸化ナトリウム(粒子状、粒子径5mm)と、0.30化学当量の酸化亜鉛(粒子状、平均粒子径5μm以下)が、ポリアクリル酸水溶液に加えられた。水酸化ナトリウム及び酸化亜鉛が加えられたポリアクリル酸水溶液は、室温で2日間攪拌され、コーティング液が調製された。
ポリエステル系接着剤(三井化学ポリウレタン(株)製タケラックA−620、硬化剤:三井化学ポリウレタン(株)製タケネートA−65)が、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ(株)製ルミラーP60、厚さ12μm)のコロナ処理面に、厚み約0.1μmとなるようにグラビアコーターにて塗工され、90℃で30秒間乾燥され、アンカーコート層が形成された。そして、上記コーティング液が、上該アンカーコート層の表面に塗工され、90℃で30秒間乾燥され、約0.4μmの厚みのポリアクリル酸膜が形成された。その後、酸化亜鉛微粒子のトルエン分散液(住友大阪セメント(株)製酸化亜鉛分散塗料K035A)がポリアクリル酸膜上に塗工され、乾燥されて、約0.5μmの厚みのコーティング膜が形成された。得られた積層体は、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム/アンカーコート層(0.1g/m)/ポリアクリル酸層(0.5g/m)/酸化亜鉛層(酸化亜鉛として0.5g/m)という構造を有していた。なお、各層の乾燥塗布量が( )に示されている。
【0054】
その後、ポリエステル系接着剤(三井化学ポリウレタン(株)製タケラックA−620、硬化剤:三井化学ポリウレタン(株)製タケネートA−65)が、酸化亜鉛が塗工されたフィルム表面に塗工された後、厚さ15μmの二軸延伸ナイロンフィルム(ユニチカ(株)製エンブレムONUM−RT)がラミネートされ、さらに、厚さ60μmの未延伸ポリプロピレンフィルム(東レフィルム加工(株)製トレファンZK93KM)が、上記ポリエステル系接着剤を介してナイロンフィルム上にラミネートされ、多層フィルムが作製された。なお、試作した該多層フィルムの厚み方向の断面切片を調製し、透過型電子顕微鏡(TEM)により観察したところ、ポリアクリル酸膜上に塗工された酸化亜鉛微粒子およびその凝集物が認められ、それらの粒径は0.3μm以下であった。
【0055】
実施例6
ポリエステル系接着剤(三井化学ポリウレタン(株)製、タケラックA−620、硬化剤:タケネートA−65)が、厚さ7μmのレトルトパウチラミネート用アルミニウム(Al)箔膜の表面に、厚み約0.1μmとなるようにメイヤーバーにより塗工され、90℃で30秒間乾燥されて、アンカーコート層が形成された。酸化亜鉛微粒子トルエン分散液(住友大阪セメント(株)製酸化亜
鉛分散塗料ZR133)が、アンカーコート層の表面にメイヤーバーにより塗工され、90℃で30秒間乾燥されて、約0.5μmの厚みのコーティング膜が形成された。酸化亜鉛微粒子トルエン分散液のコーティング量は、基材1mあたり酸化亜鉛として約280mgとなるように調整された。
【0056】
その後、ポリエステル系接着剤(三井化学ポリウレタン(株)製タケラックA−620、硬化剤:三井化学ポリウレタン(株)製タケネートA−65)が、酸化亜鉛が塗工されたフィルム表面に塗工された後、厚さ15μmの二軸延伸ナイロンフィルム(ユニチカ(株)製エンブレムONUM−RT)がラミネートされ、さらに、厚さ60μmの未延伸ポリプロピレンフィルム(東レフィルム加工(株)製トレファンZK93KM)が、上記ポリエステル系接着剤を介してナイロンフィルム上にラミネートされ、多層フィルムが作製された。
【0057】
実施例7
AlOx蒸着PET(凸版印刷(株)製GL−AEH)が、Al箔膜に代わって使用される以外、実施例6と同じ操作が行われ、多層フィルムが作製された。なお、ポリエステル系接着剤の塗工、酸化亜鉛微粒子トルエン分散液のコーティングはAlOx蒸着面に対して施された。
【0058】
比較例1
二軸延伸ナイロンフィルム(ユニチカ(株)製エンブレムONUM−RT、厚さ15μm)が、厚さ7μmのレトルトパウチラミネート用Al箔膜の表面にラミネートされ、さらに、ポリエステル系接着剤(三井化学ポリウレタン(株)製タケラックA−620、硬化剤:三井化学ポリウレタン(株)製タケネートA−65)を介して、厚さ60μmの未延伸ポリプロピレンフィルム(東レフィルム加工(株)製トレファンZK93KM)がナイロンフィルム上にラミネートされ、多層フィルムが作製された。
【0059】
比較例2
AlOx蒸着PET(凸版印刷(株)製GL−AEH)が、レトルトパウチラミネート用Al箔膜に代わって使用される以外、比較例1と同じ操作が行われ、多層フィルムが作製された。
【0060】
比較例3
二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ(株)製ルミラーP60、厚さ12μm)が、レトルトパウチラミネート用Al箔膜に代わって使用される以外、実施例6と同じ操作が行われ、多層フィルムが作製された。
実施例1〜7及び比較例1〜3で作製された多層フィルムからなる包装材料の評価が表1に示されている。
【0061】
【表1】

【0062】
表1に示されるとおり、亜鉛化合物を含有する酸素ガスバリア性材料から構成され、かつ20℃、80%相対湿度(RH)で測定される酸素ガス透過度が3cm(STP)/m・24hr・atm以下である包装材料(実施例1〜実施例7)は、かまぼこの臭い(レトルト臭または酸化臭)を問題ないレベルに抑え、レトルトツナの赤みを良好に保持できた。一方、上記の要件を満たしていない包装材料(比較例1〜比較例3)は、かまぼこの臭いを問題ないレベルに抑えられなかった、またはレトルトツナの赤みを良好に保持できなかったという問題を有していた。
【0063】
比較例1及び2の包装材料に充填されたL−システイン溶液中の硫化水素濃度は、実施例1〜7の包装材料に充填されたL−システイン溶液中の硫化水素濃度の3倍以上であり、上記かまぼこの官能評価結果が裏付けられた。比較例3の包装材料に充填されたL−システイン溶液中の硫化水素濃度は、亜鉛化合物コーティングの効果により、実施例1〜7の包装材料に充填されたL−システイン溶液中の硫化水素濃度と同等レベルであった。しかし、比較例3の包装材料の酸素ガス透過度が大きいため、酸化に由来すると考えられる異臭及びレトルトツナの変色が認められ、比較例3の包装材料は実用上問題を有していた。
【0064】
実施例8
実施例5の多層フィルムで「米飯」(含硫アミノ酸比率 可食部100gあたり330mg)を包装した。すなわち、精白米10gと水10cc(一袋あたり)を試料とした。
【0065】
実施例9
実施例5の多層フィルムで「油揚げ」(含硫アミノ酸比率 可食部100gあたり550mg)を包装した。すなわち、市販の油揚げを1cm角に細切りしたものを試料とした。
【0066】
実施例10
実施例5の多層フィルムで「生さけ」(含硫アミノ酸比率 可食部100gあたり860mg)を包装した。すなわち、市販の生鮭フィレーの背肉をミートチョッパー(3mm目)で挽いたものを試料とした。
【0067】
実施例11
実施例5の多層フィルムで「キハダ(マグロ)」(含硫アミノ酸比率 可食部100gあたり950mg)を包装した。すなわち、市販のキハダのサクをミートチョッパー(3mm目)で挽いたものを試料とした。
【0068】
実施例12
実施例5の多層フィルムで「あさり剥き身」(含硫アミノ酸比率 可食部100gあたり290mg)を包装した。すなわち、市販の活あさりの殻を外して身を取り出し試料とした。
【0069】
実施例13
実施例5の多層フィルムで「ずわいがに足剥き身」(含硫アミノ酸比率 可食部100gあたり460mg)を包装した。すなわち、市販の冷凍ズワイガニポーション(未加熱)の足から身を取り出し試料とした。
【0070】
実施例14
実施例5の多層フィルムで「牛挽き肉」(含硫アミノ酸比率 可食部100gあたり660mg)を包装した。すなわち、市販の牛挽き肉をそのまま試料とした。
【0071】
実施例15
実施例5の多層フィルムで「とり挽き肉」(含硫アミノ酸比率 可食部100gあたり700mg)を包装した。すなわち、市販のとり挽き肉をそのまま試料とした。
【0072】
実施例16
実施例5の多層フィルムで「豚挽き肉」(含硫アミノ酸比率 可食部100gあたり680mg)を包装した。すなわち、市販の豚挽き肉をそのまま試料とした。
【0073】
実施例17
実施例5の多層フィルムで「うずら卵」(含硫アミノ酸比率 可食部100gあたり770mg)を包装した。すなわち、市販のうずら卵をボイルして殻を剥いだもの3個(一袋あたり)を試料とした。
【0074】
実施例18
実施例5の多層フィルムで「えだ豆」(含硫アミノ酸比率 可食部100gあたり370mg)を包装した。すなわち、市販の皮付きえだ豆(未加工)4個(一袋あたり)を試料とした。
実施例8〜18の結果が表2に示されている。
【0075】
【表2】

【0076】
硫黄化合物を含有し、含硫アミノ酸比率が食品の可食部100gあたり200mg以上である食品が、本発明の包装材料で包装された実施例8〜18の包装体は、比較例1に代表される従来の包装体よりもレトルト臭が効果的に抑制され優れていることがわかった。
【産業上の利用可能性】
【0077】
本発明の包装体の製造方法において、本発明に係る包装材料は、硫黄化合物を含有する内容物から発生するレトルト臭を吸収する機能を有する。硫黄化合物を含有する内容物が本発明に係る包装材料で包装され、当該包装体が80℃以上で加熱処理される場合、上記機能が特に顕著に現れる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
硫黄化合物を含有する内容物が包装材料で包装された包装体の製造方法であって、
酸素ガスバリア性材料の表面に亜鉛化合物を含むコーティング剤を塗布して乾燥させることにより、前記酸素ガスバリア性材料の表面に前記亜鉛化合物を含むコーティング層が設けられており、かつ、20℃、80%相対湿度(RH)で測定される酸素ガス透過度が3cm(STP)/m・24hr・atm以下である包装材料を得る工程、及び、
前記内容物から発生するレトルト臭を吸収することができるように、前記亜鉛化合物を含むコーティング層を前記酸素ガスバリア性材料よりも前記内容物側に配置して前記内容物を包装する工程
を含む、包装体の製造方法。
【請求項2】
硫黄化合物を含有する内容物が食品であり、含硫アミノ酸比率が食品の可食部100gあたり200mg以上である、請求項1に記載された包装体の製造方法。
【請求項3】
前記内容物を包装する工程の後に80℃以上で加熱処理をする工程をさらに含む、請求項1又は2に記載された包装体の製造方法。

【公開番号】特開2013−18551(P2013−18551A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−192898(P2012−192898)
【出願日】平成24年9月3日(2012.9.3)
【分割の表示】特願2007−98116(P2007−98116)の分割
【原出願日】平成19年4月4日(2007.4.4)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】