説明

包装機におけるシール用ロール圧着装置

【課題】包装材を圧着する圧力が調整可能で、且つ包装材のセンターシールの包装不良の検出を行うことを可能にする包装機におけるシール用ロール圧着装置を提供する。
【解決手段】包装材にシールを施すべき部分を挟んで二つの圧着ローラ31,32が対向配置される。サーボモータ33は、運動変換機構であるリンク57を介して、一方の圧着ローラ31を開閉駆動する。他方の圧着ローラ32は、第2ローラ支持体としての固定フレーム50に回転自在に支持されている。包装材の移送に伴って、圧着ローラ31,32は、制御部により駆動されるサーボモータ33によって開閉動作がされる。圧着ローラ31,32の閉じ動作中に、サーボモータ33における回転量の変動又はトルクの変動に基づいて、圧着ローラ31,32間の隙間が拡大することを検出することによって、圧着ローラ31,32間における異物の噛込み又は包装材の異常が検出される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、包装機におけるシール用ロール圧着装置、特に、ウェブ状包装材の加熱された両側端縁部を圧着してセンターシールを施す圧着ローラを備えるシール用ロール圧着装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、包装機の一種類として横型製袋充填包装機が知られている。横型製袋充填包装機は、製袋器により略筒状に曲成されて水平に移送される包装材であるフィルム中に、供給コンベヤにより物品を所定間隔毎に順次受渡し供給すると共に、物品が供給された曲成フィルムにおける長手方向端縁部の重合わせ部分にセンターシール装置によってセンターシールを施して筒状フィルムとし、更に筒状フィルムの物品を挟む前後に夫々エンドシール装置によってエンドシール・切断を施して、所謂、ピロー包装体を製造している。
【0003】
横型製袋充填包装機のセンターシール装置としては、ヒータを内蔵した略直方体形状の一対のヒータバーを、重ね合わされたフィルムの長手方向端縁部を挟むように配置したバーヒータに構成されたものがある。両ヒータバー間には、各ヒータバーとフィルムの重合わせ部分とが軽く接触する程度の隙間を保つことにより、当該隙間を通過するフィルムの長手方向端縁部の重合わせ部分をヒータバーからの熱によって軟化させ、軟化された当該重合わせ部分をバーヒータの次段に配置した圧着ローラによって挟圧することにより、重合わせ部分が圧着されてセンターシールが施される(特許文献1)。
【0004】
上記の圧着ローラは、互いに対して開閉可能な一対の金属製のロールにて構成されており、閉じた状態では互いに接触し、開いた状態では互いに離間する。閉じた状態にあってはスプリング等の付勢手段により密着するようになっている。これは、前段のバーヒータにより加熱され軟化した状態にあるフィルムにおける長手方向端縁部の重合わせ部分を挟圧しシールを施すためである。また、圧着ローラは、フィルムの送り機能を備えておらず、それゆえ、駆動装置によって回転駆動される形式ではなく、フィルムの走行に合わせて回転されるのみである。
【0005】
また、上記の圧着ローラは、加熱手段を持たないので、包装機のメンテナンスやフィルムのセットの際以外は閉じた状態に置かれる。これは、包装機の停止中であるとき、或いは包装機が運転中であっても空袋防止機能(包装すべき物品の供給が一次的に欠品となり空の袋包装体が製造されるのを防止する機能)が動作中等であってフィルムの搬送が停止された状態にあるときに、圧着ローラが重合わせ部分を挟圧した状態であっても、熱によりフィルムを傷めることがないからである。
【0006】
圧着ローラは、上記のように、閉じた状態であることが多いので、その開閉機構は手動により行われる構造が一般的である。また、シールするための圧力は、フィルムの厚みなどの条件により異なるので、複数種類のフィルムの中から選択して使用する場合、使用する前に圧力の調整が必要である。図5に示すように、従来のローラ圧着装置60は、多種フィルムに対応可能な包装機であると、圧着ローラ61,62がそれぞれローラ支持体63,64に回転自在に支持されており、ローラ支持体63,64は、固定のスライド軸65上を摺動可能である。スライド軸65には、ローラ支持体63,64が互いに離れる方向に移動することを制限するストッパ66a,66bが設けられている。圧着ローラ61,62を包装材Ftに対して圧着方向に押すため、ローラ支持体63,64をそれぞれ付勢するスプリング67,68が設けられており、圧力調整ネジ69,70のねじ込み量を調節することなどにより、ローラ支持体63,63をスライド軸65上で摺動させて、スプリング67,68のばね力の強さを調整可能である。なお、図5に示す圧力調整可能なローラ圧着装置60においては、開閉レバー71を操作して、開閉カム72を回動させることにより、圧着ローラ61,62はその支持体63,64とともにスライド軸65に沿って互いに離間する方向に移動し、圧着ローラ61,62間の隙間を広くすることができる構造になっている。図5においては、(a)がローラの圧着状態を、(b)がローラの開き状態を示している。
【0007】
横型製袋充填包装機によって包装される製品が、クッキーや菓子のような食べ物である場合、供給コンベヤにより搬送中に製品カスが生じることがある。その製品カスなどの異物が、包装材が重合わされたセンターシール部位に挟まった場合には、異物検出が行われることが求められる。センターシール部位における異物検出については、別の方式のセンターシール装置(ヒータ内蔵回転シーラ方式)においてサーボモータを使用し検出する方法が提案されている。即ち、このセンターシール装置は、ヒータを内蔵しており且つ表面にシール目を付けるための複数の溝を有する二つのロールを備えており、当該ロールを回転駆動しながらロールによりフィルムの長手方向端縁部の重合わせ部分を挟圧・加熱することで、フィルムを搬送しつつセンターシールを施す方式である。シール目のついたロールを回転駆動させる駆動装置としてサーボモータを使用しており、正常な包装動作時のサーボモータの駆動電流について基準データを作成し記憶しておき、以後、サーボモータの駆動電流の監視をし、基準データと比較することでセンターシール部位における異物検出を行っている(特許文献2)。また、特許文献2には、ロールの開閉駆動をサーボモータで行っており、このサーボモータの機能を用いてシール圧力の制御と、異物のカミ込みも監視できるとの示唆がなされている。これにより、上記ヒータを内蔵しシール目の付いたロールを回転駆動する方式のセンターシール装置においては、センターシール部位における異物検出に対して一定の成果が出ている。
【0008】
しかしながら、バーヒータと圧着ローラによるセンターシール方式を採用したセンターシール装置においては、回転駆動し且つフィルムを搬送する駆動装置が存在せず、特許文献2で示される方法は採用できない。したがって、バーヒータと圧着ローラによるセンターシール方式のセンターシール装置の場合、別に変位センサ等の検出手段を付加することにより、圧着ローラの挙動を監視する方法を取らねばならず、構成の複雑化やコストの上昇を招いていた。また、特許文献2で示唆されているヒータ内蔵回転シーラ方式では、ロールの開閉をサーボモータで行うことによりシール圧力の制御と異物のカミ込みの検出を行っているが、圧力制御と検出の精度はロール表面にシール目があるためシール目同士の噛み合い精度に左右される。そのため、サーボモータに指令した設定シール圧と実際にローラによってセンターシール部位に掛かる圧力が一致せず、機械毎に異なるという難点がある。また、異物検出についても、同様の理由で硬さや厚みのある物は検出可能であるが、微小な製品カスなどは検出できないという難点がある。
【0009】
更に、センターシール装置における包装不良は、異物の侵入によるカミ込みに起因するものに限らず、フィルムの搬送状態(蛇行)や筒状フィルム内における製品の挙動に起因するシール不良もある。後者の場合として、フィルムの長手方向端縁部の重合わせ部分のズレが発生することにより、一時的に挟圧しているローラから重合しているフィルム縁部の片方又は両方が離脱してしまうことが挙げられる。この場合、フィルム一枚分の微小な厚みの違いを検出しなければならず、従来の方法では困難であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】実公平5−18129号公報
【特許文献2】特開2009−126533号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
そこで、センターシールのために包装材を圧着する圧力が調整可能で、且つ包装材のセンターシールの包装不良の検出を行うことを可能にする点で解決すべき課題がある。
この発明の目的は、上記課題を解決することであり、加熱された包装材の重合わせ部分を圧着する圧着ローラを備える形式の製袋充填包装機のセンターシール装置であって、圧着ローラの包装材に対する圧力調整が、操作部から設定可能であるとともに、製品兼用(包装材の種類や物品替え)がある場合でも圧力調整作業をすることなく且つ機械毎にばらつくことなく設定可能であって、更に、包装材のセンターシール部位に侵入した微小な製品カスのカミ込みやフィルムの重合わせ部分のずれに起因したセンターシールの包装不良を、別途のセンサなどの検出手段を要することなく確実に検出ことができるシール用ロール圧着装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の課題を解決するため、この発明による包装機におけるシール用ロール圧着装置は、包装材にシールを施すべき部分を挟んで対向配置される二つの圧着ローラ、前記圧着ローラを開閉駆動する駆動源としてのサーボモータ、前記サーボモータの回転出力を前記圧着ローラの開閉動作に変換する運動変換機構、及び前記包装材の移送に応じて前記圧着ローラに前記開閉動作をさせるため、前記サーボモータの回転を制御する制御部を備え、前記制御部は、前記サーボモータにおける回転量の変動又はトルクの変動に基づいて前記圧着ローラの閉じ動作中に前記圧着ローラ間の隙間が拡大することを検出することによって、前記圧着ローラ間において異物の噛込み又は包装材の異常を検出することを特徴としている。
【0013】
この包装機におけるシール用ロール圧着装置によれば、包装材にシールを施すべき部分を挟んでいる圧着ローラの閉じ動作中に、サーボモータにおける回転量の変動又はトルクの変動を検出することによって、圧着ローラ間の隙間が拡大することが検出され、それにより、別途のセンサを用いることなく、圧着ローラ間において異物の噛込み又は包装材の異常を検出することができる。
【0014】
この包装機におけるシール用ロール圧着装置において、前記運動変換機構は、前記圧着ローラが前記閉じ動作において占める閉じ位置と前記圧着ローラが開く所定の開き位置との間に対応する前記サーボモータの所定回転範囲の出力を、一方のみの前記圧着ローラを開く片側開閉に変換し、前記制御部は、前記圧着ローラの当該片側開閉において前記異物の噛込みの検出を行うことができる。片側の圧着ローラの開きを検出することで、サーボモータが監視する回転量の変動又はトルクの変動を大きく検出することができ、検出精度を向上させることができる。
また、前記包装材の移送は前記シールを施すべき部分を挟んで移送する紙引きローラによって行われており、前記制御部は、前記紙引きローラの開閉に連動して前記圧着ローラを開閉させることができる。紙引きローラは、包装材の包装機へのセット作業等のときに開かれるが、そうしたとき以外は閉じたままである。
また、前記運動変換機構は、前記一方の圧着ローラを支持し且つ前記包装機の固定フレームにスライド可能に取り付けられている第1ローラ支持体、他方の前記圧着ローラを支持し且つ前記包装機の固定フレームに取り付けられている第2ローラ支持体、及び前記サーボモータの回転出力部と前記第1ローラ支持体との間を連結するリンク機構を備えることができる。サーボモータの回転出力がリンク機構を介して第1ローラ支持体に伝達され、第1ローラ支持体が固定フレームに対してスライドするので、第1ローラ支持体によって支持される一方の圧着ローラが他方の圧着ローラに対して開閉する。
また、前記圧着ローラは、滑らかな圧着用の円筒周面を備えることができる。圧着ローラの表面にシール目等の凹凸を設けないことで、包装材の変形に起因する検出精度の低下を回避することができる。
更に、この包装機におけるシール用ロール圧着装置は、略筒状に曲成された帯状包装材の両側縁部を重ね合わせた重合わせ部分にセンターシールを施すことで筒状包装材が形成され、前記筒状包装材の内部に包装をすべき製品が充填され、前記製品の前後で前記筒状包装材にエンドシールを施すことでピロー包装を行う横型製袋充填包装機又は縦型製袋充填包装機において、前記圧着ローラを、加熱された前記重合わせ部分を圧着して前記センターシールを形成するために、前記重合わせ部分が間に通される二つの圧着ローラとするように適用することができる。
【発明の効果】
【0015】
この発明による包装機におけるシール用ロール圧着装置は、上記のように構成されているので、圧着ローラを開閉駆動するサーボモータのトルクを制御することで、圧着ローラが包装材を挟む挟圧圧力を操作部から設定でき、製品兼用がある場合でも、圧力調整作業をすることなく挟圧圧力の変更が可能で、なお且つ微小な製品カスやフィルムのセンターシール部のずれによる包装不良を、別途検出手段を付加することなく開閉機構の工夫とサーボモータの機能を利用することにより、高い異物検出精度で行うことができる。また、圧着ローラの開きを片側開閉とすることで、サーボモータにおける変位量を大きくすることができる。
本発明は、また、フィルム搬送のための駆動源を持たないセンターシール方式であるところの、バーヒータと圧着ローラとを備えたセンターシール装置のシール用圧着装置に関しており、シール圧力調整及び包装不良検出を精度良く行うことができる。圧着ローラ自体においても、シール目がない、或いはロール径を小さくして慣性力を小さくしてあるので、異物侵入や包装材異常の時の応答が良いという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】この発明によるシール用ロール圧着装置が適用された横型製袋充填包装機の一例を示す側面図である。
【図2】図1に示す横型製袋充填包装機の平面図である。
【図3】図1及び図2に示す横型製袋充填包装機の圧着ローラ部を示す詳細図である。
【図4】図3に示す圧着ローラ部において、圧着ローラが開いた状態を示す図である。
【図5】従来のローラ圧着装置の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、添付した図面に基づいて、この発明による包装機におけるシール用ロール圧着装置の実施例を説明する。図1はこの発明によるシール用ロール圧着装置が適用された横型製袋充填包装機の一例を示す側面図、図2は図1に示す横型製袋充填包装機の平面図である。
【0018】
図1及び図2に示す横型製袋充填包装機1は、包装フィルムの上流側において、ウェブ状包装フィルムFwを巻き取ったフィルムロールFrを回転可能に装填・支持されるフィルム供給源2と、フィルム供給源2のフィルムロールFrからウェブ状包装フィルムFwを繰り出す紙送りローラ3とを備えている。紙送りローラ3は、ウェブ状包装フィルムFwを挟み込んで送り出す駆動側ローラ3aと従動側ローラ3bを備えており、紙送りローラ3の駆動側ロール3aは、サーボモータ4によってベルト伝動装置4aのような適宜の伝動機構を介して駆動される。紙送りローラ3から繰り出されたウェブ状包装フィルムFwは、製筒器(フォーマ)5によって、側縁部分を互いに引き寄せて略筒状になるまで曲成される。
【0019】
製筒器5を通過する際に略筒状に曲成されたウェブ状包装フィルムFwは、製筒器5を通過した後、センターシール装置6を通過し、その際に重合わせ部分としての両側縁部分にセンターシールが施されることにより、筒状包装フィルムFtに成形される。センターシール装置6でセンターシールが施された筒状包装フィルムFtは、センターシール装置6の後流に配設されているエンドシーラ7によって、製品間においてエンドシールが施されることによりピロー包装体Bpが連続して製造される。エンドシーラ7には、エンドシールされた領域において、包装フィルムを切断してピロー包装体Bpを個々に分離するカッタ7aを組み込むことができる。横型製袋充填包装機1においては、製筒器5によって曲成されたウェブ状包装フィルムFw内に製品Pを送り込むため、送込みコンベア8が組み合わされる。
【0020】
センターシール装置6は、図示の例では、包装フィルムの送り上流側から紙引きローラ部10、加熱用のバーヒータ部20、圧着ローラ部30及び目付ローラ部40を備えている。紙引きローラ部10は、略筒状に曲成されたウェブ状包装フィルムFwの重ね合わされた両側縁部分Fe,Feを周面間に挟み込む一対のローラ11,12を備えている。ローラ11,12は、紙引き用サーボモータ13からの駆動力の供給を受けて、互いに逆方向に同期した速度で回転される。したがって、ウェブ状包装フィルムFwは、その両側縁部Fe,Feがローラ11,12の周面間に挟み込まれて、紙引きローラ部10の後流側の直後に配設されている加熱用のバーヒータ部20に送られる。
【0021】
加熱用のバーヒータ部20は、ウェブ状包装フィルムFwの両側縁部Fe,Feが間を通過するように、両側縁部Fe,Feが送られる方向に沿って細長い直方体状の一対のヒータバー21,22を備えている。バーヒータ部20は、また、一対のヒータバー21,22を互いに接近させる、又は互いに離間させるための開閉用サーボモータ23を備えている。ヒータバー21,22内には、図示しない発熱手段が埋設されており、昇温されたヒータブロック21,22の対向する表面から輻射熱が発せられて、ヒータブロック21,22間の隙間を通過するウェブ状包装フィルムFwの両側縁部Fe,Feを加熱する。開閉サーボモータ23が駆動することによってバーヒータ部20が開閉され、これによって、例えば包装フィルムの種類、材質、厚さ等に応じてヒータブロック21,22間の隙間量の調整を容易に行うことができる。
【0022】
バーヒータ部20の後流側直後には、本発明におけるシール用ローラ圧着装置としての圧着ローラ部30が配設されている。圧着ローラ部30は、バーヒータ部20によって加熱されたウェブ状包装フィルムFwの両側縁部Fe,Feを挟み込むように周面を互いに対向させて配置された圧着ローラ31,32を備えている。圧着ローラ部30においては、バーヒータ部20によって加熱されたウェブ状包装フィルムFwの両側縁部Fe,Feを圧着ローラ31,32が挟み込んで圧着する。曲成された包装フィルムFwは、両側縁部Fe,Feに圧着によってヒートシールが施されて、このシール部分がセンターシールとなって筒状包装フィルムFtに成形される。圧着ローラ部30は駆動手段を備えていないので、圧着ローラ31,32は動力で以て回転駆動されるものではなく、ウェブ状包装フィルムFwの両側縁部Fe,Feに圧着されていることにより包装フィルムの送りに追従して回転するのみである。圧着ローラ31,32の周面は、目付のない滑らかな形状を有している。圧着ローラ30は、圧着ローラ31,32を互いに接近させる又は互いに離間させるための開閉用サーボモータ33を備えており、開閉用サーボモータ33の駆動により、圧着ローラ31,32の開閉動作が制御され、また圧着ローラ31,32による両側縁部Fe,Feの圧接力の付加に用いられる。
【0023】
圧着ローラ部30の後流側直後に目付ローラ部40が配設されている。目付ローラ部40は、筒状包装フィルムFtのヒートシールが施された両側縁部分Fe,Feを周面間に挟み込む一対の目付けローラ41,42と、目付けローラ41,42を駆動するための駆動用サーボモータ43とを備えている。目付けローラ41,42は、駆動用サーボモータ43からの駆動力の供給を受けて、互いに逆方向に同期した速度で回転され、包装フィルムを搬送する。目付けローラ41,42の回転速度は、紙引きローラ部10の紙引き用サーボモータ13に出力に同期させることが基本であるが、比率を変えることも可能である。目付けローラ41,42の周表面には、シール目のような周状の溝が形成されていて、間にヒートシールが施された両側縁部分Fe,Feを挟んで互いに噛み合っている。一般的なフィルムであれば、シール直後であるので挟圧するだけでシール目が付くが、厚手の包装フィルムのような目が付きにくいフィルムの場合には、ヒータを内蔵して加熱することも可能である。目付ローラ40の後流側にエンドシーラ7が配設されている。
【0024】
包装機は、包装フィルムと物品Pの送りから包装フィルムによる物品Pの包装までの包装動作に合わせて各部を制御するため、紙送りロール3のサーボモータ4、送込みコンベア8を駆動するモータ(図示せず)、紙引きローラ部10の紙引き用サーボモータ13、包装材の移送に応じてヒータバー21,22に開閉動作をさせるための開閉用サーボモータ23、圧着ローラ部30の開閉用サーボモータ33、目付ローラ部40の駆動用サーボモータ43、及びエンドシーラ7の運転をそれぞれ制御する制御部9を備えている。バーヒータ部20においては、制御部9は開閉用サーボモータ23の運転を制御することにより、開閉用サーボモータ23の回転出力がヒータバー21,22の開閉動作に変換され、ヒータバー21,22が包装材の重合わせ部分に近接したときに、当該重合わせ部分に、ヒータバー21,22からシールのための熱が加えられる。ヒータバー21,22は、包装材の種類、材質、厚さ等に応じて、開閉用サーボモータ23の回転出力による開閉位置、即ち、間に挟む包装材の重合わせ部分に対する近接程度が調整される。
【0025】
バーヒータ部20においては、付言すると、ヒータバー21,22は、搬送されるフィルムの重合わせ部分を挟む形で配置されている。ヒータバー21,22を互いに接近・離間させるために両ヒータバー21,22を開閉するアクチュエータとして、開閉用サーボモータ23が設けられている。開閉用サーボモータ23は、フィルム搬送中は、ヒータバー21,22を一定の隙間を保って接近させており、フィルムの重合わせ部分が当該隙間を通過するのを許容している。フィルムの搬送が停止しているときは、開閉用サーボモータ23は、フィルムの重合わせ部分がヒータバー21,22からの熱で過熱されないように、ヒータバー21,22を離間させる。
【0026】
センターシール装置6、特に圧着ローラ部30への異物噛込み検出を開閉用サーボモータ33によって行うことができる。即ち、圧着ローラ31,32間に異物が侵入すると、圧着ローラ31,32間が異物によって広げられる。このときの圧着ローラ31(32)の動きは、開閉用サーボモータ33における偏移量(出力回転軸の回転に関連付けられたパルス)又はトルクの変化として検出することができる。これにより、別途変位センサを用意しなくても、開閉用サーボモータ33が示す挙動によって、センターシール装置6、特に圧着ローラ部30への異物噛込み検出を行うことができる。なお、圧着ローラ31,32が開いているときに、その開き隙間以上の大きさを持つ異物が侵入したときも、同様に検出することができる。また、包装フィルムが圧着ローラ31,32間から逸脱したフィルム異常の場合も、同様に開閉用サーボモータ33によって、圧着ローラ31,32間の隙間の減少を検出することで、検出可能である。
【0027】
上記したように、圧着ローラ部30においては、圧着ローラ31,32の開閉が開閉用サーボモータ33の作動により行われる。図3は、図1及び図2に示す横型製袋充填包装機の圧着ローラ部を示す詳細図であって、(a)は圧着ローラ部の平面図、(b)はその正面図、そして(c)はその側面図である。図4は、図3に示す圧着ローラ部の正面図において、圧着ローラが開いた状態を示す図である。ただし、図3においては、包装フィルムの流れ方向を、図1、図2に示される方向とは逆に示してあるが、圧着ローラ部30の周囲の各部のレイアウトに応じて適宜選択できる事項である。
【0028】
図3に示すように、右側圧着ローラ32は、その回転軸線位置が第2ローラ支持体である固定フレーム50に対して不動に配設されており、左側圧着ローラ31は、固定フレーム50に対してスライド可能に配設されている。開閉用サーボモータ33は、固定フレーム50に固定された取付け板52に取り付けられている。固定フレーム50には少なくとも二本の互いに平行なスライド軸53,53が取り付けられており、スライド軸53,53に対して第1ローラ支持体としてのスライド部材54が摺動自在に設けられている。スライド軸53,53の軸線方向は、平面図(a)で圧着ローラ31,32の両回転軸線を結ぶ方向であって当該両回転軸線と直交する方向である。また、左側圧着ローラ31は、その回転軸がスライド部材54において回転自在に支持されている。一方のスライド軸53の端部には、スライド部材54の最大スライド位置を規制するストッパ55が設けられている。
【0029】
開閉用サーボモータ33の回転出力軸56は、運動変換機構51であるリンク57を介してスライド部材54に連結されている。リンク57は、回転出力軸56に固定されたリンクアーム58aと、リンクアーム58aに枢軸59aによって回動可能に連結されたリンクアーム58bとを備えており、リンクアーム58bは枢軸59bによってスライド部材54に回動可能に連結されている。開閉用サーボモータ33を回転させることにより、スライド部材54がリンク57を介してスライド軸53,53上を摺動するので、スライド部材54に設けられている左側圧着ローラ31が包装フィルムの流れ方向に対して直角に進退し、開閉動作を行う。これにより、圧着ローラ31,32の開閉が自動化されるとともに、開閉用サーボモータ33のトルクを制御することで、センターシール装置6において圧着ローラ31,32の閉じ状態での包装フィルムの両側縁部Fe,Feを挟圧する圧力の調整を容易に行うことができる。
【0030】
圧着ローラ31,32の開閉の条件は、紙引きローラ部10のローラ11,12の開閉に連動する。即ち、紙引きローラ部10のローラ11,12が開かれると、当該動作に連動して、開閉用サーボモータ33を回転させ、左側圧着ローラ31を開き位置まで移動させる。また、紙引きローラ部10のローラ11,12が閉じられると、当該動作に連動して、開閉用サーボモータ33を逆回転させ、左側圧着ローラ31を閉じ位置まで移動させる。左側圧着ローラ31が閉じ位置まで移動すると、開閉用サーボモータ33について設定されたトルクを保つ。包装フィルムが搬送状態にあるときは、開閉用サーボモータ33の状態を常に監視する。圧着ローラ31,32は、紙引き用のローラ11,12と同様、ヒータを内蔵していないので、フィルムのセット作業時以外では、閉じたままにすることができる。
【0031】
本発明によれば、センターシール装置6への異物の侵入(圧着ローラ31,32間での異物カミ込み)の検出は、圧着ローラ部30の左側圧着ローラ31の開閉を行う開閉用サーボモータ33により行われる。即ち、異物がセンターシール装置6に侵入し、圧着ローラ31,32間に入り込むと、圧着ローラ31,32間の間隔が侵入した異物により押し広げられる。このとき、右側圧着ローラ32は固定フレーム50に支持されているので、左側圧着ローラ31が開く動作をし、この動作は運動変換機構51であるリンク57を介して開閉用サーボモータ33に伝達され、開閉用サーボモータ33の回転出力軸56には回転量(パルス変化)又はトルクの変化が生じる。開閉用サーボモータ33の回転出力軸56の回転量とトルクを監視し、その変化を設定基準に基づいて判断することで、センターシール装置6への異物の侵入、即ち、圧着ローラ31,32間での異物カミ込みを、別途変位センサを用意することなく、検出することができる。
【0032】
本発明では、異物カミ込を確実に検出できる工夫として、次の技術的事項を採用している。即ち、
(1)一方のローラ(右側圧着ローラ32)を固定し、片側のローラ(右側圧着ローラ31)のみの開閉としているので、開閉用サーボモータ33において、異物が侵入したときの回転出力軸56の変化量(回転偏移量)が大きく取れる。したがって、検出精度が高く、微小な製品カスのカミ込みや、包装フィルムの圧着ローラ31,32からの離脱などの包装不良に起因する微小な変化をも検出することができる。
(2)圧着ローラ31の径を最小限に抑えてあるので、慣性力が小さく、微小な製品カスのカミ込みやフィルムの圧着ロールからの離脱などの包装不良に起因する微小な変化に対してもレスポンス(スライド軸53方向の移動)が速いので検出精度が高い。
(3)圧着ローラ31,32にはシール目を設けないで(シール目は別途後段に目付ローラ43を設けてある)、金属製のフラットな圧着面を備えている。圧着ローラ31,32同士を包装フィルムに接触させているので、包装フィルムの挟圧時の弾性変形がなく、シール目があるときのようにシール目同士の噛み合い精度に左右されることがないので、微小な製品力スや厚さの薄い包装フィルムの逸脱等についても、検出精度を高くした検出ができる。なお、検出精度は多少低下するが、圧着ロールの片側がゴムローラでも可能である。
【符号の説明】
【0033】
1 横型製袋充填包装機 2 フィルム供給源
3 紙送りロール
3a 駆動側ローラ 3b 従動側ローラ
4 サーボモータ 4a ベルト伝動装置
5 製筒器 6 センターシール装置
7 エンドシーラ 7a カッタ
8 送込みコンベア 9 制御部
10 紙引きローラ部
11,12 ローラ 13 紙引き用サーボモータ
20 バーヒータ部
21,22 ヒータバー 23 開閉用サーボモータ
30 圧着ローラ部
31,32 圧着ローラ 33 開閉用サーボモータ
40 目付ローラ部
41,42 目付けローラ 43 駆動用サーボモータ
50 固定フレーム 51 運動変換機構
52 取付け板 53,53 スライド軸
54 スライド部材 55 ストッパ
56 回転出力軸 57 リンク
58a,58b リンクアーム
59a,59b 枢軸
Fr フィルムロール Fw ウェブ状包装フィルム
Ft 筒状包装フィルム Fe,Fe 両側縁部
P 製品 Bp ピロー包装体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
包装材にシールを施すべき部分を挟んで対向配置される二つの圧着ローラ、前記圧着ローラを開閉駆動する駆動源としてのサーボモータ、前記サーボモータの回転出力を前記圧着ローラの開閉動作に変換する運動変換機構、及び前記包装材の移送に応じて前記圧着ローラに前記開閉動作をさせるため、前記サーボモータの回転を制御する制御部を備え、
前記制御部は、前記サーボモータにおける回転量の変動又はトルクの変動に基づいて前記圧着ローラの閉じ動作中に前記圧着ローラ間の隙間が拡大することを検出することによって、前記圧着ローラ間において異物の噛込み又は包装材の異常を検出することを特徴とする包装機におけるシール用ロール圧着装置。
【請求項2】
前記運動変換機構は、前記圧着ローラが前記閉じ動作において占める閉じ位置と前記圧着ローラが開く所定の開き位置との間に対応する前記サーボモータの所定回転範囲の出力を、一方のみの前記圧着ローラを開く片側開閉に変換し、前記制御部は、前記圧着ローラの当該片側開閉において前記異物の噛込みの検出を行うことを特徴とする請求項1に記載の包装機におけるシール用ロール圧着装置。
【請求項3】
前記包装材の移送は前記シールを施すべき部分を挟んで移送する紙引きローラによって行われており、前記制御部は、前記紙引きローラの開閉に連動して前記圧着ローラを開閉させることを特徴とする請求項2に記載の包装機におけるシール用ロール圧着装置。
【請求項4】
前記運動変換機構は、前記一方の圧着ローラを支持し且つ前記包装機の固定フレームにスライド可能に取り付けられている第1ローラ支持体、他方の前記圧着ローラを支持し且つ前記包装機の固定フレームに取り付けられている第2ローラ支持体、及び前記サーボモータの回転出力部と前記第1ローラ支持体との間を連結するリンク機構を備えていることを特徴とする請求項3に記載の包装機におけるシール用ロール圧着装置。
【請求項5】
前記圧着ローラは、滑らかな圧着用の円筒周面を備えていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の包装機におけるシール用ロール圧着装置。
【請求項6】
略筒状に曲成された帯状包装材の両側縁部を重ね合わせた重合わせ部分にセンターシールを施すことで筒状包装材が形成され、前記筒状包装材の内部に包装をすべき製品が充填され、前記製品の前後で前記筒状包装材にエンドシールを施すことでピロー包装を行う横型製袋充填包装機又は縦型製袋充填包装機において、前記圧着ローラを、加熱された前記重合わせ部分を圧着して前記センターシールを形成するために、前記重合わせ部分が間に通される二つの圧着ローラとするように適用されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の包装機におけるシール用ロール圧着装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−71760(P2013−71760A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−213052(P2011−213052)
【出願日】平成23年9月28日(2011.9.28)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第3項適用申請有り 博覧会名:FOOMA JAPAN 2011(国際食品工業展) 主催者名:社団法人 日本食品機械工業会 開催日 :平成23年6月7日(火)〜6月10日(金)
【出願人】(000148162)株式会社川島製作所 (90)
【Fターム(参考)】