包装用熱収縮性複合フィルム
【課題】 熱収縮により被包装物を包装した際に、表裏面を多数の小形湾曲突部からなる皺状の凹凸粗面にして被包装物を積載した場合における滑り方向に対して強固な係止力を発揮させ、安定した積載状態を保持すると共に全面的に緩衝作用を奏して外力等から被包装物を保護し得る包装用熱収縮性複合フィルムを提供する。
【解決手段】 フラットヤーンを経糸と緯糸とに使用して形成した網状フィルム1にフラットヤーンよりも熱収縮率の大きい熱収縮性フィルム2を積層接着してなり、この熱収縮性フィルム2の熱収縮により上記フラットヤーンとの収縮率の差で経糸と緯糸とを熱収縮性フィルム2から部分的に剥離させてフィルム面から膨出した無数の小形湾曲突部11を発生させ、この小形湾曲突部11の係止力によって滑りを防止すると共に弾性的に圧縮変形可能にして緩衝性を発揮させるように構成している。
【解決手段】 フラットヤーンを経糸と緯糸とに使用して形成した網状フィルム1にフラットヤーンよりも熱収縮率の大きい熱収縮性フィルム2を積層接着してなり、この熱収縮性フィルム2の熱収縮により上記フラットヤーンとの収縮率の差で経糸と緯糸とを熱収縮性フィルム2から部分的に剥離させてフィルム面から膨出した無数の小形湾曲突部11を発生させ、この小形湾曲突部11の係止力によって滑りを防止すると共に弾性的に圧縮変形可能にして緩衝性を発揮させるように構成している。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種物品の包装用フィルムとして使用に適した熱収縮性複合フィルムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
物品の包装手段の一つとして従来から、熱収縮性フィルムを使用した加熱収縮包装方法が広く採用されているが、比較的薄肉の熱収縮性フィルムによって物品を包装した場合、物品に角部や突起部を有していると、熱収縮による包装時にその角部や突起部によって熱収縮性フィルムが破れる虞れがあり、また、包装後においても、物品が落下による衝撃等を受けると熱収縮したフィルムが破損し、包装機能が著しく低下したりなくなってしまうといった問題点が生じる。
【0003】
このため、この熱収縮性フィルムからなる包装材料の破断強度の改善策として、例えば特許文献1に記載されているように、一軸延伸したポリオレフィンテープ又は糸を経方向に、また、緯方向には上記テープ又は糸と同程度に一軸延伸し且つ熱処理により収縮率を適宜低下させたポリオレフィンテープ又は糸を用いて、これらの糸をクロスシート状に交織してなる収縮包装用基材が開発され、具体的には、上記一軸延伸したポリオレフィンテープからなる経糸の110℃における熱収縮率が15%であり、緯糸の110℃における熱収縮率が0.8%であることが開示されている。
【0004】
また、特許文献2には、100℃における繊維軸方向の収縮率が50%以上の一軸延伸した熱収縮性フラットヤーンを複数条、経方向及び緯方向に並列させてその交差部を耐熱性接着剤によって接着することにより網状フィルムを形成し、この網状フィルムに、該網状フィルムの面内方向の収縮率に略等しい面内方向の収縮率を有するオレフィン系樹脂からなる熱収縮性フィルムを積層、接着してなる包装用フィルムが開示されている。
【0005】
【特許文献1】特開昭58−11667号公報
【特許文献2】特開2001−336057号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1に記載の収縮包装用基材によれば、一軸延伸したポリオレフィンテープ又は糸をクロスシート状に交織しているので、引裂強度や引張強度、耐磨耗性が向上するが、その熱収縮率は、通常、これらの分野で使用される熱収縮性フィルムに比して大幅に低いので、被包装物にぴったりと緊張させた状態となるように収縮、被着させることができなくなる虞れがある。
【0007】
一方、特許文献2に記載の包装用フィルムによれば、網状フィルムを形成する経糸と緯糸とに熱収縮率が50%以上の一軸延伸した熱収縮性フラットヤーンを用いているので、被包装物に緊張させた状態で収縮、被着させることができ、その上、この網状フィルムに該網状フィルムの面内方向の収縮率に略等しい面内方向の収縮率を有する熱収縮性フィルムを積層、接着しているので、この熱収縮性フィルムが網状フィルムと一体に熱収縮して被包装物の表面全面に緊張させた状態で密着させることができ、被包装物全体を被覆、保護することができる。
【0008】
しかしながら、この包装用フィルムにおいても、従来から広く使用されている上述した熱収縮性フィルムのみからなる包装用フィルムと同様に、該包装フィルム全面を被包装物の表面に密着した状態となるように収縮、包装するように構成しているため、包装した表面全面が平滑な面となり、複数個の被包装物を積み重ね合ねた場合などにおいては、その平坦な面が滑り面となって荷崩れが生じ易くなるといった問題点がある。さらに、包装用フィルムが全面的に被包装物の表面に密着していると、緩衝作用などは全く行われず、外部からの衝撃力が該包装フィルムを介して直接的に被包装物に伝達して被包装物が損傷を受けるといった問題点があった。
【0009】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、熱収縮性フィルムと同等の大きな熱収縮性を有していると共に引裂強度や引張強度、耐磨耗性等の強度に優れ、また、被包装物を積み重ねた場合においては滑り方向に対して強固な係止力を発揮して安定した積層状態を保持することができ、さらに、全面的に緩衝作用を発揮して被包装物を外力等から保護することができる包装用熱収縮性複合フィルムを提供するにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明の包装用熱収縮性複合フィルムは、請求項1に記載したように、複数条のフラットヤーンを交差させると共にその交差部を接着することによって形成された網状フィルムにこの網状フィルムよりも熱収縮率の大きい熱収縮性フィルムを積層、接着してなり、該熱収縮性フィルムの熱収縮力により熱収縮性フィルムと網状フィルムとの接着部分に部分剥離を生じさせるように構成している。
【0011】
このように構成した包装用熱収縮性複合フィルムにおいて、請求項2に係る発明は、上記網状フィルムと熱収縮性フィルムとの接着力を熱収縮性フィルムの熱収縮力よりも小さくして、熱収縮性フィルムの熱収縮時に網状フィルムのフラットヤーンの一部を熱収縮性フィルムから凸状に膨出、剥離させるように構成していることを特徴とする。
【0012】
さらに、請求項3に係る発明は、複数条のフラットヤーンを経糸と緯糸として小間隔毎に縦横に並設すると共にその交差部を耐熱性接着剤によって接着することにより、経糸と緯糸とで囲まれた全ての空間部の面積が網状フィルム全体の面積の15〜70%となるように上記網状フィルムを形成していることを特徴とする。
【0013】
なお、包装用熱収縮性複合フィルムは、網状フィルムの片面のみに熱収縮性フィルムを積層、接着することによって形成しておいてもよく、或いは、請求項4に記載したように、網状フィルムの両面に熱収縮性フィルムを熱接着又は耐熱接着剤によって一体に積層、接着してなる三層構造のフイルムに形成しておいてもよい。
【0014】
また、上記網状フィルムに代えて請求項5に記載したように、フラットヤーンからなる経糸と緯糸とをそれぞれ経方向、緯方向に間隔を存して平織りしてなるクロス状フィルムを使用し、このクロス状フィルムの少なくとも片面に上記熱収縮性フィルムを重ね合わせて一体に接着することにより包装用熱収縮性複合フィルムを構成しておいてもよい。
【0015】
上記熱収縮性フィルムは、請求項6に記載したように、2軸延伸されたポリオレフィン系樹脂からなるフィルムであることが好ましく、網状フィルム又はクロス状フィルムを形成するフラットヤーンとしては、請求項7に記載したように、一軸延伸し且つ熱処理により収縮率を低下させたオレフィン系樹脂からなるフラットヤーンを使用することが好ましい。
【発明の効果】
【0016】
本発明の包装用熱収縮性複合フィルムによれば、複数条のフラットヤーンを経方向、緯方向に配してその交差部を接着してなる網状フィルムを熱収縮性フィルムに積層、接着しているので、この網状フィルムによって熱収縮性フィルムを補強して引張強度や引裂強度に優れた包装用熱収縮性複合フィルムを提供できるのは勿論、網状フィルムと熱収縮性フィルムとの接着力を熱収縮性フィルムの熱収縮力よりも小さくして、熱収縮性フィルムの熱収縮時に網状フィルムのフラットヤーンの一部を熱収縮性フィルムから凸状に膨出、剥離させるように構成しているので、熱収縮性フィルムからの網状フィルムの一部剥離によって、熱収縮性フィルムの有する大きな熱収縮性を十分に発揮させることができ、従って、網状フィルムの存在にもかかわらず、この熱収縮性フィルムを被包装物の表面全面に確実に緊張させた状態で密着させることができて被包装物を被覆、保護することができる。
【0017】
さらに、熱収縮性フィルムよりも網状フィルムのフラットヤーンの熱収縮率が小さいので、両者の熱収縮率の差によって熱収縮性フィルムがフラットヤーンから部分的に剥離しながら収縮してその剥離したフラットヤーン部分を該熱収縮性フィルムの収縮により熱収縮性フィルムの面から立ち上がる方向に凸状に湾曲させながら膨出させ、フラットヤーンに長さ方向に小間隔毎に該凸状膨出部からなる小形湾曲突部を皺寄せ状に多数発生させることができると共に、これらの小形湾曲突部の発生によって熱収縮性フィルムの収縮量を吸収して、熱収縮性フィルムを充分に収縮させることができる。従って、この包装用熱収縮性複合フィルムによって包装された被包装物を積み重ねた際には、下側の被包装物を被覆している熱収縮した複合フィルムと上側の被包装物を被覆している熱収縮した複合フィルムとがこれらの複合フィルムに生じている上記無数の小形湾曲凸部同士の係合、係止によって滑りによる荷崩れを防止した安定した積み重ね状態を保持することができる。
【0018】
その上、熱収縮によって網状フィルムのフラットヤーンに生じているこれらの小形湾曲突部はその両端を熱収縮性フィルムに接着、支持させているので、その両端間の熱収縮性フィルム部分が小形湾曲突部をアーチ部とする弦部としての作用を行って、この小形湾曲突部の頂面部に押圧力等の圧力が作用した時に、その圧力の水平分力を該弦部としての熱収縮性フィルム部分の耐引張強度によって弾性的に支持させることができ、従って、全ての小形湾曲突部がクッション機能を発揮して被包装物を包装した複合フィルムが全面的に緩衝作用を奏して被包装物を外力から保護することができる。
【0019】
なお、熱収縮時に、熱収縮性フィルムから網状フィルムを皺寄せ状に部分的に剥離させるように構成するには、請求項2に記載したように、網状フィルムと熱収縮性フィルムとの接着力(剥離抵抗)を熱収縮性フィルムの熱収縮力よりも小さくしておけばよく、熱収縮性フィルムが収縮して物品の表面にタイトに圧着する間に、網状フィルムを形成しているフラットヤーンが全長に亘って皺状に部分剥離しながら熱収縮性フィルムと一体的に長さ方向に収縮し、熱収縮性フィルムの熱収縮を確実に許容することができる。
【0020】
また、請求項3に係る発明によれば、複数条のフラットヤーンを経糸と緯糸として小間隔毎に縦横に並設すると共にその交差部を耐熱性接着剤によって接着することにより、経糸と緯糸とで囲まれた全ての空間部、即ち、網目の面積が網状フィルム全体の面積の15〜70%となるように上記網状フィルムを形成しているので、熱収縮性フィルムの収縮力を阻害することなく効果的に行わせて物品を全面的に緊張状態に包装することができると共にその包装強度を低下させることなく十分な強度に保持することができる。
【0021】
さらに、請求項4に記載したように、上記網状フィルムの両面に該網状フィルムよりも熱収縮率が大きい熱収縮性フィルムを熱接着又は耐熱接着剤によって一体に積層、接着して三層構造の包装用熱収縮性フィルムを構成してもよく、このように構成した包装用熱収縮性フィルムによれば、破断強度等の強度が一層、増大して優れた包装機能を奏するばかりでなく、熱収縮性フィルムを熱収縮させて物品を包装した際に、上記同様に、網状フィルムを構成しているフラットヤーンが、熱収縮性フィルムから部分的に剥離しながら皺寄せ状に収縮して長さ方向に無数の小形湾曲突部を生じさせることができ、包装表面全面をこの小形湾曲突部による凹凸粗面に形成して被包装物を積み重ねた際における積み重ね面の摩擦力を滑りによる荷崩れを防止した安定した積み重ね状態を保持することができると共に、小形湾曲突部がクッション機能を発揮して被包装物を外力から保護することができる。
【0022】
なお、上記熱収縮性フィルムと網状フィルムとからなる包装用熱収縮性複合フィルムにおいて、網状フィルムに代えて請求項5に記載したように、フラットヤーンからなる経糸と緯糸とをそれぞれ経方向、緯方向に間隔を存して平織りしてなるクロス状フィルムを使用しても本発明を満足させることができる。
【0023】
また、上記熱収縮性フィルムとしては、特に限定されないが、収縮率が50%以上の2軸延伸されたポリオレフィン系樹脂からなるものが好ましい。一方、網状フィルム又はクロス状フィルムを形成するフラットヤーンとしては、一軸延伸し且つ熱処理により収縮率が0〜10%程度に低下させたオレフィン系樹脂からなるものが好ましい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
次に、本発明の具体的な実施の形態を図面について説明すると、図1は包装用熱収縮性複合フィルムAの一部切欠簡略斜視図、図2はそのX−X線における簡略縦断面図であって、包装用熱収縮性複合フィルムAは、一軸延伸した樹脂テープからなるフラットヤーンを経糸1aと緯糸1bとしてそれぞれ複数条、一定間隔毎に並設すると共に並設した経糸1aに緯糸1bを直交に交差させて網状に配列した状態に重ね合わせ、その交差部を耐熱性接着剤で接着することによって形成してなる網状フィルム1と、この網状フィルム1の片面に積層、接着した熱収縮性フィルム2とからなり、この熱収縮性フィルム2は二軸延伸したフィルムであって、上記網状フィルム1を形成しているフラットヤーンからなる経糸1aと緯糸1bの長さ方向の熱収縮率よりも大きい熱収縮率を有し、その延伸方向を経糸1aと緯糸1bの長さ方向に向けた状態にして網状フィルム2に積層、接着している。
【0025】
上記網状フィルム1を形成したフラットヤーンは、特に限定されないが、例えば、オレフィン系樹脂からなるものが好ましく、このようなオレフィン系樹脂としては高密度ポリエチレン、アイソタクチックポリプロピレン等のオレフィンの単独重合体、エチレンとその他のα−オレフィンとの共重合体からなる直鎖低密度ポリエチレン等のオレフィン同士の共重合体、オレフィンを主体とし、酢酸ビニル等とこれと共重合可能な他のモノマーとの共重合体が挙げられる。
【0026】
このフラットヤーン1は熱処理によって上記熱収縮性フィルム2よりも熱収縮率を低下させてあり、好ましくはその熱収縮率は0〜20%、より好ましくは0〜10%としている一方、熱収縮性フィルム2の熱収縮率は50%以上としている。
【0027】
なお、フラットヤーン及び熱収縮性フィルムの熱収縮率は、収縮前の長さをL1、収縮後の長さをL2としたときに下記式により算出される値である。
収縮率(%)=100×(L1−L2)/L1
【0028】
また、このフラットヤーンの繊度は、このフラットヤーンを経糸1aと緯糸1bとに用いて構成した上記網状フィルム1の性状、被包装物の種類、形状、包装形態等によって設定されるが、余り小さいと網状フィルム1の強度が低下すると共に加工性が悪くなり、余り大きいと、網状フィルム1の網目が詰まり過ぎる場合が生じるので、好ましくは200〜2000デニール、より好ましくは400〜1200デニールである。さらに、このフラットヤーンの幅は、余り狭いと網状フィルム1の強度が低下すると共に加工性が悪くなり、余り広いと網状フィルム1の網目が詰まり過ぎて上記熱収縮性フィルム2の収縮の妨げになるので、好ましくは1〜20mm、より好ましくは1〜15mmの幅に形成している。
【0029】
さらに、上記網状フィルム1を構成している隣接するフラットヤーン間の間隔は、経糸緯糸共に略等間隔であることが好ましく、且つ、経糸1aと緯糸1bとによって囲まれた網目からなる全ての空間部の面積が網状フィルム全体の面積の15〜70%、好ましくは20〜60%であることが望ましい。この空間部が15%よりも小さいと、空間部よりも面積が大きい網状フィルム1と熱収縮性フィルム部分との接着部分の収縮抵抗が、その空間部の熱収縮性フィルム部分の収縮に大きく作用して包装用熱収縮性複合フィルムA全体の収縮率が低下すると共に収縮ムラが発生する虞れがあり、また、空間部が70%を超えると、包装強度の低下をきたす虞れがある。具体的には、直鎖状低密度ポリエチレンからなる幅5mm、2000デニールのフラットヤーンを間隔が10mmとなるように経糸1aと緯糸1bとを並列させて重ね合わせて空間部の面積が45%となるように網状フィルム1を形成している。
【0030】
一方、熱収縮性フィルム2については、特に限定されないが、望ましくはポリオレフィン系樹脂からなり、その製法や収縮方法についても公知のフィルムを使用している。また、この熱収縮性フィルム2の厚みは、余り薄いと破損し易いので、又、包装強度等を考慮して10μm〜0.5mm程度に形成されている。具体的な実施例としては、厚みが20μmのポリオレフィン樹脂からなる2軸延伸熱収縮性フィルムを使用している。
【0031】
網状フィルム1を形成している経糸1aと緯糸1bとの交差部の接着や、網状フィルム1と熱収縮性フィルム2との接着を行う接着剤としては、収縮包装時の加熱に耐え得る接着強度を有するものであって、熱収縮性フィルム2の収縮力によって網状フィルム1と熱収縮性フィルム2との接着面を部分的に剥離させる程度の剥離抵抗を有する耐熱性接着剤であればよく、例えば、ウレタン系接着剤、エポキシ系接着剤、フェノール系接着剤等を使用することができる。また、網状フィルム1と熱収縮性フィルム2とを公知の加熱ラミネート法による熱接着(融着)によって行ってもよい。要するに、網状フィルム1と熱収縮性フィルム2との接着力を熱収縮性フィルム2の熱収縮力よりも小さくして、網状フィルム1のフラットヤーンよりも収縮率が大きい熱収縮性フィルム2の熱収縮によって、この熱収縮性フィルム2から網状フィルムのフラットヤーン(経糸1aと緯糸1b)の一部が部分的に凸状に膨出、剥離させながら、熱収縮性フィルム2を熱収縮させるように構成しておけばよい。
【0032】
このように構成した包装用熱収縮性複合フィルムAは、使用前においては網状フィルム1とこの網状フィルム1の経糸1aと緯糸1bとに熱収縮性フィルム2がその重ね合わせ部分を接着剤によって一体に接着して網状フィルム1と熱収縮性フィルム2との2層からなる表裏面が平滑な形態を有している。なお、図においては、理解を容易にするために、網状フィルム1や熱収縮性フィルム2を実際よりも肉厚に図示している。
【0033】
この包装用熱収縮性複合フィルムAによって図3に示すように、被包装物Bを包んで加熱すると、熱収縮性フィルム2が網状フィルム1の経糸1aと緯糸1bとの長さ方向である二軸方向に熱収縮して被包装物Bの表面を緊張した状態で包み込もうとする。この際、フラットヤーンからなる網状フィルム1の経糸1aと緯糸1bとの長さ方向の熱収縮率が、熱収縮性フィルム2の熱収縮率に比べて極めて小さく且つ熱収縮性フィルム2の初期の熱収縮力が網状フィルムとこの熱収縮性フィルム2との接着力よりも大きいので、図4、図5に示すように、経糸1aと緯糸1bに接着している該熱収縮性フィルム2の接着部分がこれらの経糸1aと緯糸1bの長さ方向にずれるように収縮して接着力に抗して網状フィルム1から部分的な剥離が生じる。
【0034】
このような剥離は、経糸1aと緯糸1bとが交差している部分においては、熱収縮性フィルム2の二軸方向の収縮力が経方向と緯方向とに均等に作用するが、この交差部間の経糸部分においては、熱収縮性フィルムの収縮力が該経糸部分の幅方向(緯方向)よりも長さ方向(経方向)に大きく作用するため、この経糸部分の両端の交差部を互いに引き寄せるように熱収縮性フィルム2が経糸1aの長さ方向に収縮し、経糸1aとの収縮差によって該経糸1aから部分的に剥離することになる。同様に交差部間の緯糸部分においては、熱収縮性フィルム2の収縮力が該緯糸1bの幅方向(経方向)よりも長さ方向(緯方向)に大きく作用して、この緯糸部分の両端の交差部を互いに引き寄せるように熱収縮性フィルム2が緯糸1bの長さ方向に収縮し、緯糸1bとの収縮差によって該緯糸1bから部分的に剥離する。
【0035】
さらに、熱収縮性フィルム2から剥離した交差部間の経糸部分及び緯糸部分は、熱収縮性フィルム2の収縮によって長さ方向に圧縮作用を受けて、熱収縮性フィルム2の面から立ち上がる方向に凸状に湾曲しながら膨出して両端が熱収縮性フィルム2に接着している小形の湾曲突部11となり、この小形湾曲突部11が、隣接する経糸1aと緯糸1bとの交差部間の経糸部分と緯糸部分とにそれぞれ少なくとも1個、発生すると共に経糸1aと緯糸1bとの長さ方向に小間隔毎に多数の小形湾曲突部11が皺寄せ状ないしは波状に形成された状態となる。
【0036】
このように、包装用熱収縮性複合フィルムAの熱収縮性フィルム2を熱収縮させて被包装物Bを包装すると、該熱収縮性フィルム2を被包装物Bに接するように包装している場合には、上記経糸1aと緯糸1bとに生じている多数の小形湾曲突部11がその底部を熱収縮性フィルム2を介して被包装物Bに押当させ、頂部を熱収縮性フィルム2から突出させた状態となり、網状フィルム1を被包装物B側に向けて包装している場合には、多数の小形湾曲突部11の頂部が被包装物Bの表面に押当した状態となる。
【0037】
そして、この包装用熱収縮性複合フィルムAの熱収縮によって包装された被包装物Bを積み重ねた場合には、下側の被包装物を被覆している熱収縮した複合フィルム(以下、この熱収縮した複合フィルムを包装フィルムという)と上側の被包装物を被覆している包装フィルムとがこれらの包装フィルムに生じている上記無数の小形湾曲凸部11、11同士が係合、係止してフィルム面、即ち、水平方向に対する摩擦係止力が大きくなり、この摩擦係止力によって両者の重ね合わせ面に滑りが発生するのを防止して荷崩れの生じ難い安定した積み重ね形態を形成することができる。一方、外観を重視する場合には、網状フィルム1を被包装物B側に向けて包装することができる。この場合、該熱収縮性フィルム2を被包装物Bに接するように包装した場合ほどの摩擦係止力はないものの、熱収縮性フィルム2表面には凹凸が形成されていることから、荷崩れの生じ難い安定した積み重ね形態を形成することができる。
【0038】
さらに、包装フィルムの経糸1a、緯糸1bに生じている上記小形湾曲突部11は、図6に示すように、その両端部を経糸1aと緯糸1bとの交差部間における包装フィルム部分に接着していて、この接着部12、12を支点としてフィルム面から凸円弧状に湾曲した状態で起立しているので、これらの接着部12、12間のフィルム部分が小形湾曲突部11をアーチ部とする弦部13としての作用を奏して、小形湾曲突部11の頂部に、例えば、被包装物Bの積み重ねによる上載荷重等の押圧力Pが作用した場合、その押圧力の水平分力が上記弦部13に該弦部13を伸長させようとする方向に作用し、この弦部13を形成している熱収縮したフィルム部分が弾性的に伸長しながらその水平分力を吸収すると共に小形湾曲突部11がフィルム面に向かって弾性的に変形しながら緩衝作用を行い、被包装物Bを保護することができるものである。
【0039】
なお、経糸1aと緯糸1bとによって囲まれた矩形状の網目が小さくて一辺の長さが短いと、熱収縮性フィルム2が熱収縮した時に、平行に配列している隣接する経糸1a、1a同士、或いは、緯糸1b、1b同士の対向端面が接合して熱収縮を阻害するので、上述したようにその厚みからなる全ての空間部の面積が網状フィルム全体の面積の15〜70%、好ましくは20〜60%としている。
【0040】
以上の実施例においては、包装用熱収縮性複合フィルムAとして網状フィルム1の片面のみに熱収縮性フィルム2を積層、接着した構造のものを説明したが、図7、図8に示すように、網状フィルム1の表裏両面に熱収縮性フィルム2、2を積層、接着した構造であってもよい。その他の構成については、上記実施例と同じであるので、同一部分に同一符号を付して詳細な説明を省略する。
【0041】
このように、網状フィルム1の両面に該網状フィルム1よりも熱収縮率の大きい熱収縮性フィルム2、2を積層、接着してなる三層構造の包装用熱収縮性複合フィルムA'によって被包装物を包装して熱収縮させると、上記実施例で示した包装用熱収縮性複合フィルムAと同様に、熱収縮性フィルム2が網状フィルム1の経糸1aと緯糸1bとの長さ方向である二軸方向に熱収縮して被包装物Bの表面を緊張した状態で包み込む一方、経糸1aと緯糸1bとの隣接する交差部間において、熱収縮率の差によって経糸部分と緯糸部分とが、熱収縮性フィルム2から部分的に剥離し、その結果、両端が熱収縮性フィルム2に接着し且つその接着部分から凸状に湾曲してなる小形湾曲突部11を形成する。
【0042】
この小形湾曲突部11が図9、図10に示すように、経糸1aと緯糸1bとに、長さ方向に小間隔毎に全長に亘って多数、皺寄せ状ないしは波状に形成され、この小形湾曲突部11を被覆している熱収縮性フィルム部分が表裏面から該小形湾曲突部11と一体的に凸状に突出した状態となる。この突出部11' が被包装物を包装している該包装フィルム全面に設けられるので、被包装物を積み重ねた場合には、下側の被包装物を被覆している包装フィルムと上側の被包装物を被覆している包装フィルムとがこれらの多数の小形湾曲凸部11によって形成された突出部11’、11’同士の係合、係止によって滑りが発生するのを防止し、荷崩れの生じ難い安定した積み重ね形態を形成することができることになる。
【0043】
さらに、これら小形湾曲突部11は、上述したように、その両端部を経糸1aと緯糸1bとの交差部間における包装フィルム部分に接着していて、この接着部12、12を支点としてフィルム面から凸円弧状に湾曲した状態で起立しているので、これらの接着部12、12間のフィルム部分が小形湾曲突部11をアーチ部とする弦部13としての役目を行って緩衝作用を発揮し、被包装物Bを保護することができるものである。
【0044】
なお、以上のいずれの実施例においても、網状フィルム1として一定間隔毎に並設した経糸1aと一定間隔毎に並設した緯糸1bとを交差させてその交差部を接着剤により接着してなる構造のものを使用しているが、この網状フィルム1に代えて図11に示すように、上記フラットヤーンからなる経糸1aと緯糸1bとにより平織してなるクロス状フイルム1’を使用してもよい。この場合、経糸1aと緯糸1bとは、それぞれ上記網状フィルム1の場合と同様に、一定間隔毎に並設されていてこれらの経糸1aと緯糸1bとで囲まれた空間部の面積がクロス状フイルム1’全体の面積の15〜70%となるよう平織されている。
【0045】
そして、このように構成したクロス状フィルム1’の少なくとも片面にクロス状フィルム1’のフラットヤーンよりなる経糸1aと緯糸1bの熱収縮率よりも大きい上記熱収縮性フィルム2を接着剤により、又は、熱接着(融着)により積層、接着して包装用熱収縮性複合フィルムを構成している。なお、この包装用熱収縮性複合フィルムの使用時における作用効果については上記実施例と同様である。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】包装用熱収縮性複合フィルムの一部切欠簡略斜視図。
【図2】そのX−X線における簡略縦断面図。
【図3】包装した状態の簡略斜視図。
【図4】熱収縮させた状態の簡略縦断面図。
【図5】その一部分の拡大斜視図。
【図6】作用を説明するための縦断面図。
【図7】別な実施例を示す一部切欠簡略斜視図。
【図8】そのX’−X’線にる簡略縦断面図。
【図9】熱収縮させた状態の簡略縦断面図。
【図10】その一部分の拡大斜視図。
【図11】網状フィルムに代えてクロス状フィルムを使用した包装用熱収縮性複合フィルムの一部切欠簡略斜視図。
【符号の説明】
【0047】
A 包装用熱収縮性複合フィルム
1 網状フィルム
1a 経糸
1b 緯糸
2 熱収縮性フィルム
11 小形湾曲突部
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種物品の包装用フィルムとして使用に適した熱収縮性複合フィルムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
物品の包装手段の一つとして従来から、熱収縮性フィルムを使用した加熱収縮包装方法が広く採用されているが、比較的薄肉の熱収縮性フィルムによって物品を包装した場合、物品に角部や突起部を有していると、熱収縮による包装時にその角部や突起部によって熱収縮性フィルムが破れる虞れがあり、また、包装後においても、物品が落下による衝撃等を受けると熱収縮したフィルムが破損し、包装機能が著しく低下したりなくなってしまうといった問題点が生じる。
【0003】
このため、この熱収縮性フィルムからなる包装材料の破断強度の改善策として、例えば特許文献1に記載されているように、一軸延伸したポリオレフィンテープ又は糸を経方向に、また、緯方向には上記テープ又は糸と同程度に一軸延伸し且つ熱処理により収縮率を適宜低下させたポリオレフィンテープ又は糸を用いて、これらの糸をクロスシート状に交織してなる収縮包装用基材が開発され、具体的には、上記一軸延伸したポリオレフィンテープからなる経糸の110℃における熱収縮率が15%であり、緯糸の110℃における熱収縮率が0.8%であることが開示されている。
【0004】
また、特許文献2には、100℃における繊維軸方向の収縮率が50%以上の一軸延伸した熱収縮性フラットヤーンを複数条、経方向及び緯方向に並列させてその交差部を耐熱性接着剤によって接着することにより網状フィルムを形成し、この網状フィルムに、該網状フィルムの面内方向の収縮率に略等しい面内方向の収縮率を有するオレフィン系樹脂からなる熱収縮性フィルムを積層、接着してなる包装用フィルムが開示されている。
【0005】
【特許文献1】特開昭58−11667号公報
【特許文献2】特開2001−336057号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1に記載の収縮包装用基材によれば、一軸延伸したポリオレフィンテープ又は糸をクロスシート状に交織しているので、引裂強度や引張強度、耐磨耗性が向上するが、その熱収縮率は、通常、これらの分野で使用される熱収縮性フィルムに比して大幅に低いので、被包装物にぴったりと緊張させた状態となるように収縮、被着させることができなくなる虞れがある。
【0007】
一方、特許文献2に記載の包装用フィルムによれば、網状フィルムを形成する経糸と緯糸とに熱収縮率が50%以上の一軸延伸した熱収縮性フラットヤーンを用いているので、被包装物に緊張させた状態で収縮、被着させることができ、その上、この網状フィルムに該網状フィルムの面内方向の収縮率に略等しい面内方向の収縮率を有する熱収縮性フィルムを積層、接着しているので、この熱収縮性フィルムが網状フィルムと一体に熱収縮して被包装物の表面全面に緊張させた状態で密着させることができ、被包装物全体を被覆、保護することができる。
【0008】
しかしながら、この包装用フィルムにおいても、従来から広く使用されている上述した熱収縮性フィルムのみからなる包装用フィルムと同様に、該包装フィルム全面を被包装物の表面に密着した状態となるように収縮、包装するように構成しているため、包装した表面全面が平滑な面となり、複数個の被包装物を積み重ね合ねた場合などにおいては、その平坦な面が滑り面となって荷崩れが生じ易くなるといった問題点がある。さらに、包装用フィルムが全面的に被包装物の表面に密着していると、緩衝作用などは全く行われず、外部からの衝撃力が該包装フィルムを介して直接的に被包装物に伝達して被包装物が損傷を受けるといった問題点があった。
【0009】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、熱収縮性フィルムと同等の大きな熱収縮性を有していると共に引裂強度や引張強度、耐磨耗性等の強度に優れ、また、被包装物を積み重ねた場合においては滑り方向に対して強固な係止力を発揮して安定した積層状態を保持することができ、さらに、全面的に緩衝作用を発揮して被包装物を外力等から保護することができる包装用熱収縮性複合フィルムを提供するにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明の包装用熱収縮性複合フィルムは、請求項1に記載したように、複数条のフラットヤーンを交差させると共にその交差部を接着することによって形成された網状フィルムにこの網状フィルムよりも熱収縮率の大きい熱収縮性フィルムを積層、接着してなり、該熱収縮性フィルムの熱収縮力により熱収縮性フィルムと網状フィルムとの接着部分に部分剥離を生じさせるように構成している。
【0011】
このように構成した包装用熱収縮性複合フィルムにおいて、請求項2に係る発明は、上記網状フィルムと熱収縮性フィルムとの接着力を熱収縮性フィルムの熱収縮力よりも小さくして、熱収縮性フィルムの熱収縮時に網状フィルムのフラットヤーンの一部を熱収縮性フィルムから凸状に膨出、剥離させるように構成していることを特徴とする。
【0012】
さらに、請求項3に係る発明は、複数条のフラットヤーンを経糸と緯糸として小間隔毎に縦横に並設すると共にその交差部を耐熱性接着剤によって接着することにより、経糸と緯糸とで囲まれた全ての空間部の面積が網状フィルム全体の面積の15〜70%となるように上記網状フィルムを形成していることを特徴とする。
【0013】
なお、包装用熱収縮性複合フィルムは、網状フィルムの片面のみに熱収縮性フィルムを積層、接着することによって形成しておいてもよく、或いは、請求項4に記載したように、網状フィルムの両面に熱収縮性フィルムを熱接着又は耐熱接着剤によって一体に積層、接着してなる三層構造のフイルムに形成しておいてもよい。
【0014】
また、上記網状フィルムに代えて請求項5に記載したように、フラットヤーンからなる経糸と緯糸とをそれぞれ経方向、緯方向に間隔を存して平織りしてなるクロス状フィルムを使用し、このクロス状フィルムの少なくとも片面に上記熱収縮性フィルムを重ね合わせて一体に接着することにより包装用熱収縮性複合フィルムを構成しておいてもよい。
【0015】
上記熱収縮性フィルムは、請求項6に記載したように、2軸延伸されたポリオレフィン系樹脂からなるフィルムであることが好ましく、網状フィルム又はクロス状フィルムを形成するフラットヤーンとしては、請求項7に記載したように、一軸延伸し且つ熱処理により収縮率を低下させたオレフィン系樹脂からなるフラットヤーンを使用することが好ましい。
【発明の効果】
【0016】
本発明の包装用熱収縮性複合フィルムによれば、複数条のフラットヤーンを経方向、緯方向に配してその交差部を接着してなる網状フィルムを熱収縮性フィルムに積層、接着しているので、この網状フィルムによって熱収縮性フィルムを補強して引張強度や引裂強度に優れた包装用熱収縮性複合フィルムを提供できるのは勿論、網状フィルムと熱収縮性フィルムとの接着力を熱収縮性フィルムの熱収縮力よりも小さくして、熱収縮性フィルムの熱収縮時に網状フィルムのフラットヤーンの一部を熱収縮性フィルムから凸状に膨出、剥離させるように構成しているので、熱収縮性フィルムからの網状フィルムの一部剥離によって、熱収縮性フィルムの有する大きな熱収縮性を十分に発揮させることができ、従って、網状フィルムの存在にもかかわらず、この熱収縮性フィルムを被包装物の表面全面に確実に緊張させた状態で密着させることができて被包装物を被覆、保護することができる。
【0017】
さらに、熱収縮性フィルムよりも網状フィルムのフラットヤーンの熱収縮率が小さいので、両者の熱収縮率の差によって熱収縮性フィルムがフラットヤーンから部分的に剥離しながら収縮してその剥離したフラットヤーン部分を該熱収縮性フィルムの収縮により熱収縮性フィルムの面から立ち上がる方向に凸状に湾曲させながら膨出させ、フラットヤーンに長さ方向に小間隔毎に該凸状膨出部からなる小形湾曲突部を皺寄せ状に多数発生させることができると共に、これらの小形湾曲突部の発生によって熱収縮性フィルムの収縮量を吸収して、熱収縮性フィルムを充分に収縮させることができる。従って、この包装用熱収縮性複合フィルムによって包装された被包装物を積み重ねた際には、下側の被包装物を被覆している熱収縮した複合フィルムと上側の被包装物を被覆している熱収縮した複合フィルムとがこれらの複合フィルムに生じている上記無数の小形湾曲凸部同士の係合、係止によって滑りによる荷崩れを防止した安定した積み重ね状態を保持することができる。
【0018】
その上、熱収縮によって網状フィルムのフラットヤーンに生じているこれらの小形湾曲突部はその両端を熱収縮性フィルムに接着、支持させているので、その両端間の熱収縮性フィルム部分が小形湾曲突部をアーチ部とする弦部としての作用を行って、この小形湾曲突部の頂面部に押圧力等の圧力が作用した時に、その圧力の水平分力を該弦部としての熱収縮性フィルム部分の耐引張強度によって弾性的に支持させることができ、従って、全ての小形湾曲突部がクッション機能を発揮して被包装物を包装した複合フィルムが全面的に緩衝作用を奏して被包装物を外力から保護することができる。
【0019】
なお、熱収縮時に、熱収縮性フィルムから網状フィルムを皺寄せ状に部分的に剥離させるように構成するには、請求項2に記載したように、網状フィルムと熱収縮性フィルムとの接着力(剥離抵抗)を熱収縮性フィルムの熱収縮力よりも小さくしておけばよく、熱収縮性フィルムが収縮して物品の表面にタイトに圧着する間に、網状フィルムを形成しているフラットヤーンが全長に亘って皺状に部分剥離しながら熱収縮性フィルムと一体的に長さ方向に収縮し、熱収縮性フィルムの熱収縮を確実に許容することができる。
【0020】
また、請求項3に係る発明によれば、複数条のフラットヤーンを経糸と緯糸として小間隔毎に縦横に並設すると共にその交差部を耐熱性接着剤によって接着することにより、経糸と緯糸とで囲まれた全ての空間部、即ち、網目の面積が網状フィルム全体の面積の15〜70%となるように上記網状フィルムを形成しているので、熱収縮性フィルムの収縮力を阻害することなく効果的に行わせて物品を全面的に緊張状態に包装することができると共にその包装強度を低下させることなく十分な強度に保持することができる。
【0021】
さらに、請求項4に記載したように、上記網状フィルムの両面に該網状フィルムよりも熱収縮率が大きい熱収縮性フィルムを熱接着又は耐熱接着剤によって一体に積層、接着して三層構造の包装用熱収縮性フィルムを構成してもよく、このように構成した包装用熱収縮性フィルムによれば、破断強度等の強度が一層、増大して優れた包装機能を奏するばかりでなく、熱収縮性フィルムを熱収縮させて物品を包装した際に、上記同様に、網状フィルムを構成しているフラットヤーンが、熱収縮性フィルムから部分的に剥離しながら皺寄せ状に収縮して長さ方向に無数の小形湾曲突部を生じさせることができ、包装表面全面をこの小形湾曲突部による凹凸粗面に形成して被包装物を積み重ねた際における積み重ね面の摩擦力を滑りによる荷崩れを防止した安定した積み重ね状態を保持することができると共に、小形湾曲突部がクッション機能を発揮して被包装物を外力から保護することができる。
【0022】
なお、上記熱収縮性フィルムと網状フィルムとからなる包装用熱収縮性複合フィルムにおいて、網状フィルムに代えて請求項5に記載したように、フラットヤーンからなる経糸と緯糸とをそれぞれ経方向、緯方向に間隔を存して平織りしてなるクロス状フィルムを使用しても本発明を満足させることができる。
【0023】
また、上記熱収縮性フィルムとしては、特に限定されないが、収縮率が50%以上の2軸延伸されたポリオレフィン系樹脂からなるものが好ましい。一方、網状フィルム又はクロス状フィルムを形成するフラットヤーンとしては、一軸延伸し且つ熱処理により収縮率が0〜10%程度に低下させたオレフィン系樹脂からなるものが好ましい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
次に、本発明の具体的な実施の形態を図面について説明すると、図1は包装用熱収縮性複合フィルムAの一部切欠簡略斜視図、図2はそのX−X線における簡略縦断面図であって、包装用熱収縮性複合フィルムAは、一軸延伸した樹脂テープからなるフラットヤーンを経糸1aと緯糸1bとしてそれぞれ複数条、一定間隔毎に並設すると共に並設した経糸1aに緯糸1bを直交に交差させて網状に配列した状態に重ね合わせ、その交差部を耐熱性接着剤で接着することによって形成してなる網状フィルム1と、この網状フィルム1の片面に積層、接着した熱収縮性フィルム2とからなり、この熱収縮性フィルム2は二軸延伸したフィルムであって、上記網状フィルム1を形成しているフラットヤーンからなる経糸1aと緯糸1bの長さ方向の熱収縮率よりも大きい熱収縮率を有し、その延伸方向を経糸1aと緯糸1bの長さ方向に向けた状態にして網状フィルム2に積層、接着している。
【0025】
上記網状フィルム1を形成したフラットヤーンは、特に限定されないが、例えば、オレフィン系樹脂からなるものが好ましく、このようなオレフィン系樹脂としては高密度ポリエチレン、アイソタクチックポリプロピレン等のオレフィンの単独重合体、エチレンとその他のα−オレフィンとの共重合体からなる直鎖低密度ポリエチレン等のオレフィン同士の共重合体、オレフィンを主体とし、酢酸ビニル等とこれと共重合可能な他のモノマーとの共重合体が挙げられる。
【0026】
このフラットヤーン1は熱処理によって上記熱収縮性フィルム2よりも熱収縮率を低下させてあり、好ましくはその熱収縮率は0〜20%、より好ましくは0〜10%としている一方、熱収縮性フィルム2の熱収縮率は50%以上としている。
【0027】
なお、フラットヤーン及び熱収縮性フィルムの熱収縮率は、収縮前の長さをL1、収縮後の長さをL2としたときに下記式により算出される値である。
収縮率(%)=100×(L1−L2)/L1
【0028】
また、このフラットヤーンの繊度は、このフラットヤーンを経糸1aと緯糸1bとに用いて構成した上記網状フィルム1の性状、被包装物の種類、形状、包装形態等によって設定されるが、余り小さいと網状フィルム1の強度が低下すると共に加工性が悪くなり、余り大きいと、網状フィルム1の網目が詰まり過ぎる場合が生じるので、好ましくは200〜2000デニール、より好ましくは400〜1200デニールである。さらに、このフラットヤーンの幅は、余り狭いと網状フィルム1の強度が低下すると共に加工性が悪くなり、余り広いと網状フィルム1の網目が詰まり過ぎて上記熱収縮性フィルム2の収縮の妨げになるので、好ましくは1〜20mm、より好ましくは1〜15mmの幅に形成している。
【0029】
さらに、上記網状フィルム1を構成している隣接するフラットヤーン間の間隔は、経糸緯糸共に略等間隔であることが好ましく、且つ、経糸1aと緯糸1bとによって囲まれた網目からなる全ての空間部の面積が網状フィルム全体の面積の15〜70%、好ましくは20〜60%であることが望ましい。この空間部が15%よりも小さいと、空間部よりも面積が大きい網状フィルム1と熱収縮性フィルム部分との接着部分の収縮抵抗が、その空間部の熱収縮性フィルム部分の収縮に大きく作用して包装用熱収縮性複合フィルムA全体の収縮率が低下すると共に収縮ムラが発生する虞れがあり、また、空間部が70%を超えると、包装強度の低下をきたす虞れがある。具体的には、直鎖状低密度ポリエチレンからなる幅5mm、2000デニールのフラットヤーンを間隔が10mmとなるように経糸1aと緯糸1bとを並列させて重ね合わせて空間部の面積が45%となるように網状フィルム1を形成している。
【0030】
一方、熱収縮性フィルム2については、特に限定されないが、望ましくはポリオレフィン系樹脂からなり、その製法や収縮方法についても公知のフィルムを使用している。また、この熱収縮性フィルム2の厚みは、余り薄いと破損し易いので、又、包装強度等を考慮して10μm〜0.5mm程度に形成されている。具体的な実施例としては、厚みが20μmのポリオレフィン樹脂からなる2軸延伸熱収縮性フィルムを使用している。
【0031】
網状フィルム1を形成している経糸1aと緯糸1bとの交差部の接着や、網状フィルム1と熱収縮性フィルム2との接着を行う接着剤としては、収縮包装時の加熱に耐え得る接着強度を有するものであって、熱収縮性フィルム2の収縮力によって網状フィルム1と熱収縮性フィルム2との接着面を部分的に剥離させる程度の剥離抵抗を有する耐熱性接着剤であればよく、例えば、ウレタン系接着剤、エポキシ系接着剤、フェノール系接着剤等を使用することができる。また、網状フィルム1と熱収縮性フィルム2とを公知の加熱ラミネート法による熱接着(融着)によって行ってもよい。要するに、網状フィルム1と熱収縮性フィルム2との接着力を熱収縮性フィルム2の熱収縮力よりも小さくして、網状フィルム1のフラットヤーンよりも収縮率が大きい熱収縮性フィルム2の熱収縮によって、この熱収縮性フィルム2から網状フィルムのフラットヤーン(経糸1aと緯糸1b)の一部が部分的に凸状に膨出、剥離させながら、熱収縮性フィルム2を熱収縮させるように構成しておけばよい。
【0032】
このように構成した包装用熱収縮性複合フィルムAは、使用前においては網状フィルム1とこの網状フィルム1の経糸1aと緯糸1bとに熱収縮性フィルム2がその重ね合わせ部分を接着剤によって一体に接着して網状フィルム1と熱収縮性フィルム2との2層からなる表裏面が平滑な形態を有している。なお、図においては、理解を容易にするために、網状フィルム1や熱収縮性フィルム2を実際よりも肉厚に図示している。
【0033】
この包装用熱収縮性複合フィルムAによって図3に示すように、被包装物Bを包んで加熱すると、熱収縮性フィルム2が網状フィルム1の経糸1aと緯糸1bとの長さ方向である二軸方向に熱収縮して被包装物Bの表面を緊張した状態で包み込もうとする。この際、フラットヤーンからなる網状フィルム1の経糸1aと緯糸1bとの長さ方向の熱収縮率が、熱収縮性フィルム2の熱収縮率に比べて極めて小さく且つ熱収縮性フィルム2の初期の熱収縮力が網状フィルムとこの熱収縮性フィルム2との接着力よりも大きいので、図4、図5に示すように、経糸1aと緯糸1bに接着している該熱収縮性フィルム2の接着部分がこれらの経糸1aと緯糸1bの長さ方向にずれるように収縮して接着力に抗して網状フィルム1から部分的な剥離が生じる。
【0034】
このような剥離は、経糸1aと緯糸1bとが交差している部分においては、熱収縮性フィルム2の二軸方向の収縮力が経方向と緯方向とに均等に作用するが、この交差部間の経糸部分においては、熱収縮性フィルムの収縮力が該経糸部分の幅方向(緯方向)よりも長さ方向(経方向)に大きく作用するため、この経糸部分の両端の交差部を互いに引き寄せるように熱収縮性フィルム2が経糸1aの長さ方向に収縮し、経糸1aとの収縮差によって該経糸1aから部分的に剥離することになる。同様に交差部間の緯糸部分においては、熱収縮性フィルム2の収縮力が該緯糸1bの幅方向(経方向)よりも長さ方向(緯方向)に大きく作用して、この緯糸部分の両端の交差部を互いに引き寄せるように熱収縮性フィルム2が緯糸1bの長さ方向に収縮し、緯糸1bとの収縮差によって該緯糸1bから部分的に剥離する。
【0035】
さらに、熱収縮性フィルム2から剥離した交差部間の経糸部分及び緯糸部分は、熱収縮性フィルム2の収縮によって長さ方向に圧縮作用を受けて、熱収縮性フィルム2の面から立ち上がる方向に凸状に湾曲しながら膨出して両端が熱収縮性フィルム2に接着している小形の湾曲突部11となり、この小形湾曲突部11が、隣接する経糸1aと緯糸1bとの交差部間の経糸部分と緯糸部分とにそれぞれ少なくとも1個、発生すると共に経糸1aと緯糸1bとの長さ方向に小間隔毎に多数の小形湾曲突部11が皺寄せ状ないしは波状に形成された状態となる。
【0036】
このように、包装用熱収縮性複合フィルムAの熱収縮性フィルム2を熱収縮させて被包装物Bを包装すると、該熱収縮性フィルム2を被包装物Bに接するように包装している場合には、上記経糸1aと緯糸1bとに生じている多数の小形湾曲突部11がその底部を熱収縮性フィルム2を介して被包装物Bに押当させ、頂部を熱収縮性フィルム2から突出させた状態となり、網状フィルム1を被包装物B側に向けて包装している場合には、多数の小形湾曲突部11の頂部が被包装物Bの表面に押当した状態となる。
【0037】
そして、この包装用熱収縮性複合フィルムAの熱収縮によって包装された被包装物Bを積み重ねた場合には、下側の被包装物を被覆している熱収縮した複合フィルム(以下、この熱収縮した複合フィルムを包装フィルムという)と上側の被包装物を被覆している包装フィルムとがこれらの包装フィルムに生じている上記無数の小形湾曲凸部11、11同士が係合、係止してフィルム面、即ち、水平方向に対する摩擦係止力が大きくなり、この摩擦係止力によって両者の重ね合わせ面に滑りが発生するのを防止して荷崩れの生じ難い安定した積み重ね形態を形成することができる。一方、外観を重視する場合には、網状フィルム1を被包装物B側に向けて包装することができる。この場合、該熱収縮性フィルム2を被包装物Bに接するように包装した場合ほどの摩擦係止力はないものの、熱収縮性フィルム2表面には凹凸が形成されていることから、荷崩れの生じ難い安定した積み重ね形態を形成することができる。
【0038】
さらに、包装フィルムの経糸1a、緯糸1bに生じている上記小形湾曲突部11は、図6に示すように、その両端部を経糸1aと緯糸1bとの交差部間における包装フィルム部分に接着していて、この接着部12、12を支点としてフィルム面から凸円弧状に湾曲した状態で起立しているので、これらの接着部12、12間のフィルム部分が小形湾曲突部11をアーチ部とする弦部13としての作用を奏して、小形湾曲突部11の頂部に、例えば、被包装物Bの積み重ねによる上載荷重等の押圧力Pが作用した場合、その押圧力の水平分力が上記弦部13に該弦部13を伸長させようとする方向に作用し、この弦部13を形成している熱収縮したフィルム部分が弾性的に伸長しながらその水平分力を吸収すると共に小形湾曲突部11がフィルム面に向かって弾性的に変形しながら緩衝作用を行い、被包装物Bを保護することができるものである。
【0039】
なお、経糸1aと緯糸1bとによって囲まれた矩形状の網目が小さくて一辺の長さが短いと、熱収縮性フィルム2が熱収縮した時に、平行に配列している隣接する経糸1a、1a同士、或いは、緯糸1b、1b同士の対向端面が接合して熱収縮を阻害するので、上述したようにその厚みからなる全ての空間部の面積が網状フィルム全体の面積の15〜70%、好ましくは20〜60%としている。
【0040】
以上の実施例においては、包装用熱収縮性複合フィルムAとして網状フィルム1の片面のみに熱収縮性フィルム2を積層、接着した構造のものを説明したが、図7、図8に示すように、網状フィルム1の表裏両面に熱収縮性フィルム2、2を積層、接着した構造であってもよい。その他の構成については、上記実施例と同じであるので、同一部分に同一符号を付して詳細な説明を省略する。
【0041】
このように、網状フィルム1の両面に該網状フィルム1よりも熱収縮率の大きい熱収縮性フィルム2、2を積層、接着してなる三層構造の包装用熱収縮性複合フィルムA'によって被包装物を包装して熱収縮させると、上記実施例で示した包装用熱収縮性複合フィルムAと同様に、熱収縮性フィルム2が網状フィルム1の経糸1aと緯糸1bとの長さ方向である二軸方向に熱収縮して被包装物Bの表面を緊張した状態で包み込む一方、経糸1aと緯糸1bとの隣接する交差部間において、熱収縮率の差によって経糸部分と緯糸部分とが、熱収縮性フィルム2から部分的に剥離し、その結果、両端が熱収縮性フィルム2に接着し且つその接着部分から凸状に湾曲してなる小形湾曲突部11を形成する。
【0042】
この小形湾曲突部11が図9、図10に示すように、経糸1aと緯糸1bとに、長さ方向に小間隔毎に全長に亘って多数、皺寄せ状ないしは波状に形成され、この小形湾曲突部11を被覆している熱収縮性フィルム部分が表裏面から該小形湾曲突部11と一体的に凸状に突出した状態となる。この突出部11' が被包装物を包装している該包装フィルム全面に設けられるので、被包装物を積み重ねた場合には、下側の被包装物を被覆している包装フィルムと上側の被包装物を被覆している包装フィルムとがこれらの多数の小形湾曲凸部11によって形成された突出部11’、11’同士の係合、係止によって滑りが発生するのを防止し、荷崩れの生じ難い安定した積み重ね形態を形成することができることになる。
【0043】
さらに、これら小形湾曲突部11は、上述したように、その両端部を経糸1aと緯糸1bとの交差部間における包装フィルム部分に接着していて、この接着部12、12を支点としてフィルム面から凸円弧状に湾曲した状態で起立しているので、これらの接着部12、12間のフィルム部分が小形湾曲突部11をアーチ部とする弦部13としての役目を行って緩衝作用を発揮し、被包装物Bを保護することができるものである。
【0044】
なお、以上のいずれの実施例においても、網状フィルム1として一定間隔毎に並設した経糸1aと一定間隔毎に並設した緯糸1bとを交差させてその交差部を接着剤により接着してなる構造のものを使用しているが、この網状フィルム1に代えて図11に示すように、上記フラットヤーンからなる経糸1aと緯糸1bとにより平織してなるクロス状フイルム1’を使用してもよい。この場合、経糸1aと緯糸1bとは、それぞれ上記網状フィルム1の場合と同様に、一定間隔毎に並設されていてこれらの経糸1aと緯糸1bとで囲まれた空間部の面積がクロス状フイルム1’全体の面積の15〜70%となるよう平織されている。
【0045】
そして、このように構成したクロス状フィルム1’の少なくとも片面にクロス状フィルム1’のフラットヤーンよりなる経糸1aと緯糸1bの熱収縮率よりも大きい上記熱収縮性フィルム2を接着剤により、又は、熱接着(融着)により積層、接着して包装用熱収縮性複合フィルムを構成している。なお、この包装用熱収縮性複合フィルムの使用時における作用効果については上記実施例と同様である。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】包装用熱収縮性複合フィルムの一部切欠簡略斜視図。
【図2】そのX−X線における簡略縦断面図。
【図3】包装した状態の簡略斜視図。
【図4】熱収縮させた状態の簡略縦断面図。
【図5】その一部分の拡大斜視図。
【図6】作用を説明するための縦断面図。
【図7】別な実施例を示す一部切欠簡略斜視図。
【図8】そのX’−X’線にる簡略縦断面図。
【図9】熱収縮させた状態の簡略縦断面図。
【図10】その一部分の拡大斜視図。
【図11】網状フィルムに代えてクロス状フィルムを使用した包装用熱収縮性複合フィルムの一部切欠簡略斜視図。
【符号の説明】
【0047】
A 包装用熱収縮性複合フィルム
1 網状フィルム
1a 経糸
1b 緯糸
2 熱収縮性フィルム
11 小形湾曲突部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数条のフラットヤーンを交差させると共にその交差部を接着することによって形成された網状フィルムにこの網状フィルムよりも熱収縮率の大きい熱収縮性フィルムを積層、接着してなり、該熱収縮性フィルムの熱収縮力により熱収縮性フィルムと網状フィルムとの接着部分に部分剥離を生じさせるように構成していることを特徴とする包装用熱収縮性複合フィルム。
【請求項2】
網状フィルムと熱収縮性フィルムとの接着力を熱収縮性フィルムの熱収縮力よりも小さくして、熱収縮性フィルムの熱収縮時に網状フィルムのフラットヤーンの一部を熱収縮性フィルムから凸状に膨出、剥離させるように構成していることを特徴とする包装用熱収縮性複合フィルム。
【請求項3】
網状フィルムは、複数条のフラットヤーンを経糸と緯糸として小間隔毎に縦横に並設してその交差部を耐熱性接着剤によって接着してなると共に、経糸と緯糸とで囲まれた全ての空間部の面積が網状フィルム全体の面積の15〜70%となるように形成されていることを特徴とする請求項1に記載の包装用熱収縮性複合フィルム。
【請求項4】
網状フィルムの両面に熱収縮性フィルムを熱接着又は耐熱接着剤によって一体に積層、接着していることを特徴とする請求項1、請求項2又は請求項3に記載の包装用熱収縮性複合フィルム。
【請求項5】
網状フィルムに代えて、フラットヤーンからなる経糸と緯糸とをそれぞれ経方向、緯方向に間隔を存して平織りしてなるクロス状フィルムを使用していることを特徴とする請求項1項隔を存して請求項1ないし請求項4のうち、いずれか1項に記載の包装用熱収縮性複合フィルム。
【請求項6】
熱収縮性フィルムは、2軸延伸されたポリオレフィン系樹脂からなることを特徴とする請求項1、請求項2又は請求項4に記載の包装用熱収縮性複合フィルム。
【請求項7】
網状フィルム又はクロス状フィルムを形成するフラットヤーンは、一軸延伸し且つ熱処理により収縮率を低下させたオレフィン系樹脂からなることを特徴とする請求項1ないし請求項5のうち、いずれか一項に記載の包装用熱収縮性複合フィルム。
【請求項1】
複数条のフラットヤーンを交差させると共にその交差部を接着することによって形成された網状フィルムにこの網状フィルムよりも熱収縮率の大きい熱収縮性フィルムを積層、接着してなり、該熱収縮性フィルムの熱収縮力により熱収縮性フィルムと網状フィルムとの接着部分に部分剥離を生じさせるように構成していることを特徴とする包装用熱収縮性複合フィルム。
【請求項2】
網状フィルムと熱収縮性フィルムとの接着力を熱収縮性フィルムの熱収縮力よりも小さくして、熱収縮性フィルムの熱収縮時に網状フィルムのフラットヤーンの一部を熱収縮性フィルムから凸状に膨出、剥離させるように構成していることを特徴とする包装用熱収縮性複合フィルム。
【請求項3】
網状フィルムは、複数条のフラットヤーンを経糸と緯糸として小間隔毎に縦横に並設してその交差部を耐熱性接着剤によって接着してなると共に、経糸と緯糸とで囲まれた全ての空間部の面積が網状フィルム全体の面積の15〜70%となるように形成されていることを特徴とする請求項1に記載の包装用熱収縮性複合フィルム。
【請求項4】
網状フィルムの両面に熱収縮性フィルムを熱接着又は耐熱接着剤によって一体に積層、接着していることを特徴とする請求項1、請求項2又は請求項3に記載の包装用熱収縮性複合フィルム。
【請求項5】
網状フィルムに代えて、フラットヤーンからなる経糸と緯糸とをそれぞれ経方向、緯方向に間隔を存して平織りしてなるクロス状フィルムを使用していることを特徴とする請求項1項隔を存して請求項1ないし請求項4のうち、いずれか1項に記載の包装用熱収縮性複合フィルム。
【請求項6】
熱収縮性フィルムは、2軸延伸されたポリオレフィン系樹脂からなることを特徴とする請求項1、請求項2又は請求項4に記載の包装用熱収縮性複合フィルム。
【請求項7】
網状フィルム又はクロス状フィルムを形成するフラットヤーンは、一軸延伸し且つ熱処理により収縮率を低下させたオレフィン系樹脂からなることを特徴とする請求項1ないし請求項5のうち、いずれか一項に記載の包装用熱収縮性複合フィルム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
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【図6】
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【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2009−227315(P2009−227315A)
【公開日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−76230(P2008−76230)
【出願日】平成20年3月24日(2008.3.24)
【出願人】(596111276)積水フイルム株式会社 (133)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年3月24日(2008.3.24)
【出願人】(596111276)積水フイルム株式会社 (133)
【Fターム(参考)】
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