説明

包装袋

【課題】開封と再封とを繰り返した後にも、高い再接着強度で再封することのできる包装袋を提供すること
【解決手段】表側フィルム1と裏側フィルム2とを、その三方でヒートシールすると共に、表側フィルム1の上方部に横方向に伸びる折り目lを設け、折り目lより上の内面に、再封用テープ3を設ける。そして、再封用テープ3を、シール層31、粘着剤層32と、剥離保護フィルム33をこの順に積層して構成し、剥離保護フィルム33を剥離除去して露出した粘着剤層32を接着することにより封止し、開封と高い再接着強度の再封とを可能とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、開封と再封とを繰り返して行うことができる包装袋に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の包装袋としては、例えば、包装袋を構成する二枚のフィルムのうち、その一方の内面にテープを接着し、このテープの表面を粘着剤層で構成したものが知られている(特許文献1参照)。この包装袋では、一旦開封したのち、前記粘着剤層を反対側フィルムに接着して再封することができる。しかしながら、開封の際には、フィルムとフィルムの間に指を入れて引き剥がさなければならず、この指が前記粘着剤層に接触して、その剥離状態が均一にならないため、再封に必要な再接着強度が得がたいという欠点があった。
【0003】
また、包装袋を構成するフィルムを表面樹脂層、粘着剤層及びヒートシール性樹脂層の三層で構成し、このフィルムで包装袋を構成したものも知られている(特許文献2参照)。この包装袋では、開封の際に、ヒートシール性樹脂層が破断されると共に、粘着剤層とヒートシール性樹脂層の間で剥離して粘着剤層が露出する。そして、この露出した粘着剤層によって再封することができる。しかしながら、この包装袋においては、再封の際に粘着剤層をこれとは異質のヒートシール性樹脂層に接着させるため、その再接着強度が低いという問題があった。
【特許文献1】特開2004−122374号公報
【特許文献2】特開2004−58568号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、本発明の目的は、開封と再封とを繰り返した後にも、高い再接着強度で再封することのできる包装袋を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
ところで、本発明者は、開封した際の包装袋内面が、いずれの面も、粘着剤層から構成されている場合、高い再接着強度で再封することができ、開封と再封の繰り返しによりその再接着強度は低下するものの、従来より高い状態に維持できることを発見した。本発明は、このような技術的背景に基づいてなされたものである。
【0006】
すなわち、請求項1に係る発明は、互いに重ねあわされ、その三方を密着された表裏のフィルムから成る袋本体と、
この袋の開口部の位置で、前記表裏のフィルムの内面のそれぞれに接着された再封用テープとから成る再封可能な包装袋であって、
前記テープが、表側フィルムまたは裏側フィルムに接着するシール層と、粘着剤層と、剥離保護フィルムとで構成されると共に、
剥離保護フィルムを剥離したときに、前記粘着剤層同士が対面する包装袋である。
【0007】
また、請求項2に係る発明は、前記テープが一枚のテープから成り、折り目を介してその一方が表側フィルムの内面に接着され、他方が裏側フィルムに接着されている請求項1に記載の包装袋である。
【0008】
また、請求項3に係る発明は、互いに重ねあわされ、その三方を密着された表裏のフィルムから成る袋本体と、
この袋の開口部の位置で、前記表側フィルムまたは裏側フィルムの内面に接着された再
封用テープとから成る再封可能な包装袋であって、
前記テープが、表側フィルムまたは裏側フィルムに接着するシール層、粘着剤層、シール性樹脂層、基材フィルムを順に積層して構成されると共に、
開封したときに、前記粘着剤層が凝集剥離する包装袋である。
【0009】
また、請求項4に係る発明は、前記粘着剤層が、スチレン−ブタジエンブロック共重合体の水素添加物を主成分とするものである請求項1〜3のいずれかに記載の包装袋である。
【0010】
また、請求項5に係る発明は、前記粘着剤層が、前記粘着剤層が、非晶質ポリオレフィンを主成分とするものである請求項1〜3のいずれかに記載の包装袋である。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に係る発明においては、表裏のフィルムの内面にそれぞれにテープが接着されており、このテープの剥離保護フィルムを剥離したときに、前記粘着剤層同士が対面するから、再封の際にこの粘着剤層同士を接着させて、高い再接着強度を得ることができる。また、開封と再封の繰り返しによりその再接着強度は低下するものの、比較的高い状態に維持することができる。
【0012】
また、請求項3に係る発明においては、表裏のフィルムのうちいずれか一方のフィルムの内面に再封用テープが接着されており、このテープの基材フィルムを剥離して露出したヒートシール樹脂層を反対側のフィルムにヒートシールすることにより、包装袋を封止することができる。そして、この包装袋を開封するときには、前記テープの粘着剤層が凝集剥離して開封面の両面にこの粘着剤層が露出するから、再封の際に露出した粘着剤層同士を接着させて、高い再接着強度を得ることができる。また、開封と再封の繰り返しによりその再接着強度は低下するものの、比較的高い状態に維持することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
次に、図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。
【0014】
図面の図1は第一の実施形態に係る包装袋の斜視図である。この包装袋は、表側フィルム1と裏側フィルム2とを、その三方でヒートシールして、残る一方を開口部aとしている。図中、bはヒートシール部である。この例では、四方シール袋を例示しているが、もちろん、三方シール袋であってもよい。
【0015】
そして、この包装袋は、上領域の内面に、再封用テープ3を備えている。再封用テープ3は、図2の要部断面図に示すように、シール層31、粘着剤層32と、剥離保護フィルム33をこの順に積層して構成されたもので、折り目lから二つ折りされ、この折り目lを挟む一方の領域が表側フィルム1に接着され、他方の領域が裏側フィルム2に接着されている。そして、この再封用テープ3は、シール層31を、表側フィルム1及び裏側フィルム2にヒートシールすることにより、これら表側フィルム1と裏側フィルム2に、それぞれ、接着されている。なお、前記ヒートシール部bは、この再封用テープ3の下端部すなわち折り目lの位置まで設けられている。
【0016】
そして、この包装袋は、まず表側フィルム1を折り曲げ、次に、剥離保護フィルム33を剥離除去することによって粘着剤層32を露出させ(図3参照)、対面するこれら粘着剤層32同士を接着することで封止することができる。また、開封する際には、これら粘着剤層32と粘着剤層32との境界面から剥離すると共に、粘着剤層32とシール層31とを折り目lから破断して開封する(図4参照)。この封止と再封とは、繰り返して行うことができる。
【0017】
次に、図5は、本発明の第二の実施形態を示す斜視図である。この包装袋は、表側フィルム1と裏側フィルム2とを、その三方でヒートシールして、残る一方を開口部aとしている。図中、bはヒートシール部である。この例では、四方シール袋を例示しているが、もちろん、三方シール袋であってもよい。
【0018】
そして、この包装袋は、上領域の内面に、再封用テープ4を備えている。再封用テープ4は、図6の要部断面図に示すように、表側フィルム1に接着したシール層41、粘着剤層42、シール性樹脂層43、基材フィルム44を順に積層して構成されている。
【0019】
この包装袋は、まず基材フィルム44を剥離除去することによってシール性樹脂層43を露出させ、このシール性樹脂層43を裏側フィルム2にヒートシールすることにより、封止することができる(図7参照)。そして、開封する際には、粘着剤層42を内部破壊して凝集剥離する(図8参照)。この凝集剥離によって、粘着剤層42の一部が裏側フィルム2に転移し、残部が表側フィルム1に残るから、この両表面を圧接することで再封することが可能である。なお、この封止と再封とは、繰り返して行うことができる。
【0020】
粘着剤層32,42としては、例えば、スチレン−ブタジエンブロック共重合体の水素添加物を主成分とするものが好ましく使用できる。例えば、スチレン−ブタジエンブロック共重合体の水素添加物に粘着付与剤を添加した粘着剤である。粘着付与剤としては、天然樹脂ロジン、重合ロジン、水素添加ロジン、グリセルネステルロジン、ペンタエリスリトール等のロジン系樹脂が使用できる。また、テルペン、芳香族変性テルペン、テルペンフェノール、水素添加テルペン等のテルペン系樹脂を粘着付与剤として使用することも可能である。また、脂肪族系石油樹脂、芳香族石油樹脂、水素添加脂環式石油樹脂等の石油樹脂を粘着付与剤として使用することもできる。
【0021】
また、粘着剤層32,42として、スチレン−ブタジエンブロック共重合体の水素添加物に粘着付与剤を添加し、さらに第三成分を添加したものを使用することもできる。例えば、ポリオレフィン等の熱可塑性樹脂、軟化剤、オイル、安定剤、流動パラフィン等である。
【0022】
また、粘着剤層32,42として、非晶質ポリオレフィンを主成分とするものを使用することも可能である。例えば、プロピレン−ブテン−1共重合体等の非晶質ポリプロピレンである。
【0023】
また、シール層31,41やシール性樹脂層43としては、低密度ポリエチレン、エチレン−ブテン−1共重合体等が利用できる。
【0024】
次に、剥離保護フィルム33や基材フィルム44としては、包装袋の封止時まで粘着剤層32を保護できるものであれば任意のフィルムが使用できる。例えば、ポリエチレン等のポリオレフィンフィルム、ポリエステルフィルム、ポリ塩化ビニルフィルムなどである。
【0025】
なお、表側フィルム1及び裏側フィルム2としては任意のプラスチックフィルムが使用できる。例えば、ポリエチレン等のポリオレフィンフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリエステルフィルム、ポリアミドフィルム等である。あるいは、これらプラスチックフィルムに他の層を積層した積層フィルムであっても良い。他の層としては、アルミニウム箔等の金属箔、金属蒸着層、酸化アルミニウム蒸着層等の無機蒸着層、紙などが例示できる。
【実施例】
【0026】
次に、ヒートシール性樹脂層と粘着剤層との接着強度、及び粘着剤層同士の接着強度をの測定試験について、説明する。
【0027】
<試験例1〜4>
剥離保護フィルム33としてポリエステルフィルムを使用した。また、粘着剤としては、次の2種類の粘着剤を使用した。
【0028】
粘着剤1(粘−1)組成;
スチレン−ブタジエンブロック共重合体の水素添加物 50重量%
石油樹脂 20重量%
ポリエチレン 30重量%
粘着剤2(粘−2)組成;
プロピレン−ブテン−1共重合体 95重量%
添加物 5重量%
また、シール層31としては、ポリエチレンを使用した。
【0029】
そして、前記ポリエステルフィルム上に、共押し出しコーティング法を用いて、粘着剤層とシール層を形成してテープとした。
【0030】
そして、剥離保護フィルム33を剥離除去した後、粘着剤層同士を接着し、その接着強度を測定した。次に、粘着剤層同士を一旦接着した後剥離し、再接着してその接着強度を測定した。接着と剥離を繰り返して、4回目の再接着まで、その接着強度を測定した。
【0031】
また、粘着剤層とシール層31とを接着し、その接着強度を測定した。この両者の接着強度についても、接着と剥離を繰り返して、4回目の再接着まで、その接着強度を測定した。
【0032】
なお、接着強度の測定条件は次のとおりである。
測定方法;JIS K7127
測定装置;引張り試験機
試験速度;300mm/min
剥離角度;90度(T型)
この結果を表1に示す。なお、表中、再シール面の「B/B」は粘着剤層同士を接着し、剥離した試験例を示し、「A/B」は粘着剤層とシール層とを接着し、剥離した試験例を示す。また、「初期」は、最初の接着の際の接着強度、「再1」は1度目の再接着、「再2」は1度目の再接着の際の接着強度を示す。「再3」「再4」も同様である。
【0033】
【表1】

<試験例5〜6>
基材フィルムとしてポリエステルフィルムを使用した。また、粘着剤としては、前記粘着剤−1及び粘着剤−2の2種類の粘着剤を使用した。また、シール層41及びシール性樹脂層43として、ポリエチレンを使用した。
【0034】
そして、前記ポリエステルフィルム上に、共押し出しコーティング法を用いて、シール層41、粘着剤42及びシール性樹脂層43をこの順に積層した。
【0035】
そして、粘着剤42を内部破壊して凝集剥離した。この凝集剥離の際に、その接着強度を測定した。次に、粘着剤層同士を一旦接着した後剥離し、再接着してその接着強度を測定した。接着と剥離を繰り返して、4回目の再接着まで、その接着強度を測定した。測定
条件は試験例1〜4の場合と同じである。この結果を表2に示す。
【0036】
【表2】

表1及び表2から分かるように、粘着剤層同士の初期接着強度は、粘着剤層とシール層との間の初期接着強度とほぼ同様であるが、接着と剥離を繰り返した場合、粘着剤層とシール層との間の接着強度は急激に低下するのに対し、粘着剤層同士の接着強度は比較的低下し難い。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の第一の実施形態の包装袋の斜視図。
【図2】本発明の第一の実施形態の包装袋の要部断面図。
【図3】本発明の第一の実施形態の包装袋の使用時を示す要部断面図。
【図4】本発明の第一の実施形態の包装袋の使用時を示す要部断面図。
【図5】本発明の第二の実施形態の包装袋の斜視図。
【図6】本発明の第二の実施形態の包装袋の要部断面図。
【図7】本発明の第二の実施形態の包装袋の使用時を示す要部断面図。
【図8】本発明の第二の実施形態の包装袋の使用時を示す要部断面図。
【符号の説明】
【0038】
1 表側フィルム
2 裏側フィルム
3 再封用テープ
31 シール層
32 粘着剤層
33 剥離保護フィルム
4 再封用テープ
41 シール層
42 粘着剤層
43 シール性樹脂層
44 基材フィルム
a 開口部
b ヒートシール部
l 折り目

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに重ねあわされ、その三方を密着された表裏のフィルムから成る袋本体と、
この袋の開口部の位置で、前記表裏のフィルムの内面のそれぞれに接着された再封用テープとから成る再封可能な包装袋であって、
前記テープが、表側フィルムまたは裏側フィルムに接着するシール層と、粘着剤層と、剥離保護フィルムとで構成されると共に、
剥離保護フィルムを剥離したときに、前記粘着剤層同士が対面する包装袋。
【請求項2】
前記テープが一枚のテープから成り、折り目を介してその一方が表側フィルムの内面に接着され、他方が裏側フィルムに接着されている請求項1に記載の包装袋。
【請求項3】
互いに重ねあわされ、その三方を密着された表裏のフィルムから成る袋本体と、
この袋の開口部の位置で、前記表側フィルムまたは裏側フィルムの内面に接着された再封用テープとから成る再封可能な包装袋であって、
前記テープが、表側フィルムまたは裏側フィルムに接着するシール層、粘着剤層、シール性樹脂層、基材フィルムを順に積層して構成されると共に、
開封したときに、前記粘着剤層が凝集剥離する包装袋。
【請求項4】
前記粘着剤層が、スチレン−ブタジエンブロック共重合体の水素添加物を主成分とするものである請求項1〜3のいずれかに記載の包装袋。
【請求項5】
前記粘着剤層が、非晶質ポリオレフィンを主成分とするものである請求項1〜3のいずれかに記載の包装袋。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−145347(P2007−145347A)
【公開日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−339989(P2005−339989)
【出願日】平成17年11月25日(2005.11.25)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】