説明

包装装置

【課題】縦型包装装置であっても、フイルムを傷つけずに、これまでにない高い充填率を実現することのできる汎用性の高い縦型包装装置を提供することを目的とする。
【解決手段】フイルムロールから繰り出されたフイルムをフォーマで筒状に成形しながらその合わせ目を縦シールし、縦シールされた筒状フイルム内に被包装物を充填してから該筒状フイルムを横シール手段で横シールすることによって、該筒状フイルムの下端部に被包装物が収納された密閉袋を成形するようにした縦型包装装置であって、前記横シール手段の下方に、前記筒状フイルムと接触して被包装物に振動を付与する振動付与手段と、前記被包装物が筒状フイルム内に充填されている間は、前記振動付与手段を前記筒状フイルムに接触させ、前記筒状フイルムが横シールされる直前には、該振動付与手段をそこから退避させる進退手段とを設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、帯状フイルムから袋を成形し、そこに被包装物を充填してから袋の口を密閉するようにした包装装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、スナック菓子類の多くは、一定量に計量された後、包装装置で袋詰にされるが、そうした袋詰商品を帯状フイルムから連続的に製造する装置として、いわゆる縦型包装装置が知られている。
【0003】
この包装装置は、例えば、下記特許文献1に示すように、フイルムロールから繰り出された帯状フイルムを筒状に成形するフォーマと、該フォーマの下方で、筒状に成形されたフイルムを下方に送るプルダウンベルトと、同じく上記フォーマの下方で、筒状フイルムの合わせ目を縦シールする縦シール手段と、縦シールされた筒状フイルムを横シールする横シール手段と、その横シール手段と協働して先行する袋の天の部分と後続する袋の地の部分との境を上下に分離するナイフとを備えたものである。
【0004】
こうした包装装置で製造される袋詰商品の多くは、内容物を保護するために、袋内に不活性ガスを充填して袋を膨らませているが、そうした袋詰商品は、袋の容積に比して内容物の容積がごく僅かしかなく、しかも単価も安いので、倉庫等での収納効率、トラック等による輸送効率、販売店における展示効率等が、他の商品に比して極めて悪いというデメリットがある。
【0005】
それに加え、最近では、地球環境を護るために、フイルムの消費量を減らしたいという要望が強まり、そうした要望から袋詰商品の充填率を高めるために、下記特許文献2乃至4に示すような発明・考案が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平05−077805号公報
【特許文献2】実公昭45−004074号公報
【特許文献3】特開平11−334706号公報
【特許文献4】特開平11−152101号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記特許文献2で開示された考案は、筒状フイルムを膨らませながら、同時にその側面を振動させて、内容物の充填率を高めるようにしたものである。また、上記特許文献3で開示された発明は、筒状フイルムの側面を側方から瞬時に挟んで筒状フイルムを急激に持ち上げ、その反動でもって内容物を袋の底に沈めて充填率を高めるようにしたものである。また、上記特許文献4で開示された発明は、これらとは違って、袋に直接振動板を当て、内容物に振動を付与するようにしたものである。
【0008】
ところが、特許文献2に開示された考案は、袋に収納された内容物の遥か上方の筒状フイルムを揺らすので、袋の内容物に振動が伝わり難く、袋の充填率は殆ど改善されないという問題があった。
【0009】
また、特許文献3に開示された発明は、筒状フイルムが円筒シリンダを出た直後にその側面が左右から挟持されて扁平にされるので、円筒シリンダの出口部分において、筒状フイルムに過度な力が加わり、その部分が局部的に伸びたり傷ついたりするという問題があった。
【0010】
さらに、特許文献2と3に開示されたものは、何れも横シール手段の上方に振動付与装置を組み込む構成であるため、そこにガゼット袋等を成形するための他の付属装置を組み込むことができず、その点で汎用性に欠ける装置になるという問題もあった。
【0011】
これに対し、特許文献4に開示された発明は、横シール手段の下方に振動付与装置を設けるので、上記のような汎用性に欠ける問題は生じないが、その振動付与装置が水平方向に搬送される袋に振動を付与するものであるため、その装置を袋の搬送方向が異なる縦型包装装置には、組み込めないという問題があった。特に、縦型包装装置では、横シール手段から袋を落下させるので、その下方に袋と接触する振動付与装置を設けることは、袋の自由落下を妨げるという問題があった。
【0012】
本発明は、こうした種々の問題を解決することによって、縦型包装装置であっても、フイルムを傷つけずに、これまでにない高い充填率を実現することのできる汎用性の高い縦型包装装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
請求項1の発明は、フイルムロールから繰り出されたフイルムをフォーマで筒状に成形しながらその合わせ目を縦シールし、縦シールされた筒状フイルム内に被包装物を充填してから該筒状フイルムを横シール手段で横シールすることによって、該筒状フイルムの下端部に被包装物が収納された密閉袋を成形するようにした縦型包装装置であって、前記横シール手段の下方に、前記筒状フイルムと接触して被包装物に振動を付与する振動付与手段と、前記被包装物が筒状フイルム内に充填されている間は、前記振動付与手段を前記筒状フイルムに接触させ、前記筒状フイルムが横シールされる直前には、該振動付与手段をそこから退避させる進退手段とを設けたことを特徴とする。
【0014】
上記構成による作用は、次の通りである。被包装物が充填された筒状フイルムは、それが横シールされるまでの間に振動付与手段によって振動が付与されるから、そこに充填された被包装物は、筒状フイルムの下端部に深く沈み込む。続いて、筒状フイルムの下端部に成形された袋は、横シール手段によって横シールされて落下するが、その横シールの直前に、前記振動付与手段が筒状フイルムから離反して干渉しない位置まで後退するので、横シールされて落下する袋は、振動付与手段と接触することなく下方へ落下する。
【0015】
また、請求項2の発明は、請求項1に記載の縦型包装装置において、前記筒状フイルムが被包装物の充填中に下降するものであって、その筒状フイルムの下降運動に合わせて前記振動付与手段と前記進退手段とを下降させる昇降手段を設けたことを特徴とする。
【0016】
したがって、上記構成の下では、被包装物の充填中に筒状フイルムは連続的に下降するが、それに合わせて振動付与手段と進退手段も下降していく。その間に、振動付与手段が筒状フイルムと接触して被包装物に振動を付与するから、そこに充填された被包装物は、筒状フイルムの下端部に深く沈み込む。そして、下端部の袋が横シールされる直前には、進退手段が作動して振動付与手段を筒状フイルムから後退させ、続いて、昇降手段が作動して振動付与手段と進退手段を再び初期位置まで上昇させる。その間に、下端部の袋は横シールされカットされて落下する。
【0017】
また、請求項3の発明は、請求項1又は2に記載の縦型包装装置において、前記横シール手段の下方に、前記振動付与手段が前記筒状フイルムから離反すると、それと入れ替わって前記袋の両側面に接触して該袋に下向きの力を付与する一対の回転ブラシを設けたことを特徴とする。
【0018】
したがって、上記構成の下では、振動付与手段が筒状フイルムの下端部から後退すると、それと入れ替わって横シール手段が下端部の袋を横シールするとともに、一対の回転ブラシも袋の両側面に接触して該袋に下向きの力を付与するから、横シールされてカットされた密閉袋は、横シール手段に付着することなく確実に剥離されて一定方向へ自由落下する。
【0019】
また、請求項4の発明は、請求項1又は2に記載の縦型包装装置において、前記横シール手段が、前記筒状フイルムの両サイドにおいて、互いに内向きに回転する一対の回転アームを備え、その各回転アームの先端に設けられた一対のシールジョーが前記筒状フイルムを境にして互いに面対称なD字形の運動軌跡を描いて前記筒状フイルムを横シールするものであることを特徴とする。
【0020】
したがって、上記構成の下では、一対の回転アームの先端に設けられたそれぞれのシールジョーが、筒状フイルムの両サイドにおいて、互いに内向きに回転しながらD字形の運動軌跡を描き、その直線行程で両サイドのシールジョーが筒状フイルムを両サイドから押圧しながら下降するので、その行程で袋の口が熱溶着によって横シールされる。
【0021】
また、請求項5の発明は、請求項1又は2に記載の縦型包装装置において、前記横シール手段に、前記筒状フイルムの下端部に成形された袋の口をその両サイドから挟んで下方に押し下げるしごき手段が設けられていることを特徴とする。
【0022】
したがって、上記構成の下では、筒状フイルムの下端部に成形された袋が横シールされる前に、該袋の開口部がしごき手段によって下方へしごかれるので、袋に充填された被包装物は、さらに下方へと押し込まれる。
【発明の効果】
【0023】
請求項1に記載の発明によれば、縦型包装装置の横シール手段の下方に、筒状フイルムと接触して、そこに充填された被包装物に直接振動を付与する振動付与手段を設けたので、充填された被包装物を筒状フイルムの下端部に深く沈めることができる。また、この振動付与手段は、筒状フイルムを折り曲げることがないので、前記特許文献3のように、フイルムを伸ばしたり傷つけたりすることがない。また、袋への振動付与が終了すると、振動付与手段を筒状フイルムから後退させるので、密閉された袋を振動付与手段と干渉させずにそのまま自由落下させることができる。さらには、振動付与手段と進退手段とを横シール手段の下方に配置したので、横シール手段の上方に、例えば、筒状フイルムを直方体に成形し、その四隅にヘムシールを施すシール装置を組み込むことができる。これまでは、このようなシール装置と振動付与装置とを同時に縦型包装装置に組み込むことはできなかったが、この発明によってそれが可能となったので、1台の包装装置で種々の包装形態に対応できる等の汎用性の高い装置とすることができる。
【0024】
また、請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明の効果に加えて、被包装物の充填中に、振動付与手段も筒状フイルムと一緒になって下降しながらそれに振動を付与することができるので、筒状フイルムを停止させてから被包装物を充填する場合に比べて、より早い速度で包装装置を運転することができる。
【0025】
また、請求項3に記載の発明によれば、請求項1又は2に記載の発明の効果に加えて、横シール手段の下方に、振動付与手段と入れ替わって前記袋の両側面に接触して該袋に下向きの力を付与する一対の回転ブラシを設けたので、横シールされた袋を横シール手段に付着させずに、そこから確実に剥離して落下させることができる。したがって、袋の落下経路が常に安定するから、その後処理が極めて容易になる。
【0026】
また、請求項4に記載の発明によれば、請求項1又は2に記載の発明の効果に加えて、前記横シール手段を構成する一対のシールジョーを、筒状フイルムの両サイドにおいて、互いに内向きに回転させながら、互いに面対称なD字形の運動軌跡を描かせることができるので、筒状フイルムを連続的に下降させながらこれを横シールすることができる。したがって、間欠運転の包装装置よりも、より高速で運転することができる。
【0027】
また、請求項5に記載の発明によれば、請求項1又は2に記載の発明の効果に加えて、前記横シール手段に、筒状フイルムの下端部に成形された袋の開口部をその両サイドから挟んで下方に押し下げるしごき手段を設けたので、振動付与後においても、袋内の被包装物をさらに押し込んで充填率を高めることができる。したがって、より小さいサイズの袋でありながら、従来品と同程度の内容量に仕上げることができるので、フイルムの消費量をさらに削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の実施形態を示す縦型包装装置の側面視の主要部配置構成図
【図2】上記主要部配置構成の正面図
【図3】横シール手段の運動軌跡を表した側面図
【図4】袋の口をしごく場合の横シール手段の運動軌跡を表した側面図
【図5】振動付与手段と進退手段を背面から見たときの部分断面図
【図6】図5の振動付与手段を袋との接触位置から後退させたときの部分断面図
【図7】振動付与手段と進退手段を上下動させる昇降手段の側面図
【図8】袋の両サイドに位置する一対の回転ブラシの側面図
【図9】本実施形態の縦型包装装置に係る制御系のブロック図
【図10】振動付与手段、進退手段、昇降手段、回転ブラシのそれぞれの動作タイミングを示すタイミングチャート
【図11】被包装物充填直後の主要部の動作状態を示す動作遷移図
【図12】被包装物の充填が少し進んだ状態の動作遷移図
【図13】被包装物充填後のしごき開始直前の主要部の動作状態を示す動作遷移図
【図14】袋の口がしごかれている状態を示す動作遷移図
【図15】横シールが始まった直後の状態を示す動作遷移図
【図16】横シールが終了した時点の状態を示す動作遷移図
【図17】密閉袋が切り離されて落下し始めた直後の状態を示す動作遷移図
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0030】
[最良の実施形態]
図1は、本発明の実施形態に係る縦型包装装置を側面から見たときの主要部の配置構成図であり、図2は、それを正面から見たときの配置構成図である。これらの図において、縦型包装装置100は、フイルムロール10から繰り出された帯状フイルム11を筒状に成形するフォーマ20と、該フォーマ20の下方において、筒状に成形されたフイルム12を下方に送る左右一対の搬送手段30、30と、同じくフォーマ20の下方において、筒状フイルム12の合わせ目を縦シールする縦シール手段40と、縦シールされた筒状フイルム12をその両サイドから挟持して、先行する袋13の天の部分(開口部)14と後続する袋の地の部分(底の部分)15とを同時にシールする前後一対の横シール手段50、50と、横シール手段50、50の下方に配置され、筒状フイルム12の底面と接触してその内容物(被包装物M)に振動を付与する振動付与手段60と、同じく横シール手段50、50の下方に配置され、振動付与手段60を筒状フイルム12に接触させたり離反させたりする進退手段70と、この振動付与手段60と進退手段70とを上下動させる昇降手段80と、同じく横シール手段50,50の下方に配置されて、振動付与手段60が袋13から後退すると、それと入れ替わって袋13の両側面に接触して該袋13に下向きの力を付与する前後一対の回転ブラシ90、90とを備えている。
なお、図1において、矢印A方向を装置の前側、矢印B方向を装置の後側としている。また、図2において、横シール手段50と回転ブラシ90は、一点鎖線でもって省略して示している。
【0031】
帯状フイルム11がフォーマ20に沿って筒状に成形される折返部21には、漏斗22が挿入され、その漏斗22を介して被包装物Mが筒状フイルム12内に充填される。
【0032】
左右の搬送手段30、30は、図2に示すように、筒状フイルム12の両サイドを吸着保持してそれを下方に送るもので、各搬送手段30、30は、筒状フイルム12の側面に接触してこれを吸着する多数の孔を有した無端ベルト31と、該無端ベルト31を巡回させる上下のプーリ32,33と、両プーリ32,33間に設けられて、無端ベルト31に設けられた多数の孔に負圧を作用させる減圧チャンバー34とで構成されている。また、各無端ベルト31,31は、図示しないサーボモータによって互いに内向きに巡回して、筒状フイルム12を設定された速度で下降させる。
【0033】
縦シール手段40は、筒状フイルム12の合わせ目13を連続的に縦シールするもので、フィンシール或いはオーバーラップシールの何れのタイプであってもよいが、この実施形態では、オーバーラップシールとするため、上下一対のプーリ41,42間に無端状の加熱ベルト43を架け渡し、これを図示しないサーボモータによって筒状フイルム12と同速度で走行させるようにしている。
【0034】
前後一対の横シール手段50、50は、筒状フイルム12をその両サイドから挟持して水平方向に横シールするもので、この実施形態では、筒状フイルム12の前後に配置された一対の回転アーム51、51と、各回転アーム51,51の両端に設けられた支持軸52・・52と、各支持軸52・・52に回転自在に取り付けられたシールジョー53・・53とを備えている。また、一方の横シール手段50のシールジョー53、53には、その中央のスリット部分に図示しないナイフが設けられて、先行する袋13の天の部分14と後続する袋の地の部分15との境をカットするようになっている。
【0035】
各回転アーム51、51は、図示しないサーボモータにより、各回転軸54,54を中心にして互いに内向きに回転し、それらの両端に設けられたシールジョー53、53は、図示しない固定カムに案内されて、回転アーム51,51とは逆方向に回動して、筒状フイルム12を横シールするときは、図3に示すように、回転アーム51,51の回転に伴って前後のシールジョー53、53が互いに水平姿勢を保ったまま垂直に下降するようにしている。そのため、各回転アーム51、51のそれぞれの回転軸54、54は、図示しない水平移動機構に連結されて互いに水平方向に近接離反するようにされ、また、各シールジョー53,53は、固定カムによって所定角度範囲内で揺動することにより、横シール可能区間においては、水平姿勢に保持されるようになっている。これにより、各シールジョー53・・53は、図3の一点鎖線で示すようなD字形の運動軌跡を描くことができる。これらの動きを実現させる機構は、出願人の先願に係る特許第3920635号で開示しているので、ここではその説明を省略する。
【0036】
各シールジョー53・・53を支持軸52・・52に固定する取付部材には、しごきプレート55と袋押さえ56とが固定され、しごきプレート55、55で袋13をしごくときは、図4の一点鎖線で示すように、D字形の前半の直線部分で前後のシールジョー53,53が所定幅のギャップを維持しながら下降し、その間に前後のしごきプレート55,55が袋13の口を上から下へとしごいていく。続く後半の直線部分においては、前記ギャップを埋めるべく、前後の回転軸54,54が互いに内側に移動して前後のシールジョー53、53を袋13を介して噛み合わせ、さらに両シールジョー53、53を互いに所定圧で押圧しながら回転アーム51、51が互いに内向きに回転していく。そのため、後半の直線部分では、袋13の口が前後のシールジョー53,53によって所定圧で押圧されながら下降していき、その間に熱溶着されてシールされる。
【0037】
図5は、振動付与手段60と進退手段70を背面から見たときの部分断面図、図6は、振動付与手段60を袋との接触位置から後退させたときの部分断面図である。これらの図において、振動付与手段60は、袋13の底面に接触して内容物に振動を付与するプレート61と、このプレート61をクランク機構62を介して上下動させるモータ63と、該モータ63をブラケット64を介して支持するベース部材65とで構成されている。また、このベース部材65には、リニアガイド66、66が上下方向に取り付けられ、そのリニアガイド66,66にプレート61の底面に取り付けられた垂直ロッド67、67が挿通されて、プレート61が滑らかに上下動するようになっている。また、クランク機構62の連接棒62aの一端は、プレート61の底面にブラケット64aを介して軸支され、他端は、クランクアーム62bの端部に回転自在に軸支されている。また、クランクアーム62aの回転中心は、モータ軸63aに取り付けられている。
これにより、クランクアーム62bがモータ軸63aを中心にして回転すると、連接棒62aの他端が上下動し、それに伴ってプレート61が水平姿勢を保ったまま上下動する。その場合の上下ストロークは、クランクアーム62aの回転半径によって決まるので、クランクアーム62aのモータ軸63aへの取付位置は、調節自在にされている。また、モータ63の回転速度も調節自在にされて、被包装物Mの種類や容量に応じてプレート61の振動強度が調整できるようになっている。
なお、ベース部材65は、平面視が扁平なドーナツ型をしており、その中央のくり貫き部分にクランク機構62が組み込まれている。
【0038】
前記ベース部材65の一端は、第1支持軸69に回転自在に取り付けられ、第1支持軸69は、垂直部材68に水平に取り付けられている。また、このベース部材65と垂直部材68との間には、伸縮する進退手段70が斜めに架け渡され、この進退手段70の伸縮作用によってベース部材65が第1支持軸69を中心として上下に回動し、これにより、ベース部材65に取り付けられた振動付与手段60が、図5に示す水平姿勢と図6に示す垂直姿勢とに切り替え自在とされている。
【0039】
進退手段70は、エアーシリンダで構成され、そのピストンロッド71の先端は、ベース部材65に回転自在に軸支され、シリンダ本体72は、垂直部材68に軸支されて、ピストンロッド71が縮退すると、振動付与手段60は、図6に示すように、第1支持軸69を中心として右回りに回転する。そのため、シリンダ本体72は、揺動するブラケット73の一端に固定され、また、そのブラケット73の他端は、水平な第2支持軸74に回動自在に取り付けられている。また、その第2支持軸74は、垂直部材68に水平に取り付けられている。
前記垂直部材68は、図1、図7に示すように、振動付与手段60の前後に一対設けられ、それらを第1支持軸69と第2支持軸74とで連結する構成である。したがって、一部断面とした図5、図6では、前側の垂直部材68しか示していない。
【0040】
図7は、昇降手段80の一実施形態を示す側面図である。この図において、一方の垂直部材68には、ブロック81が取り付けられ、そのブロック81には、ガイドロッド82を挿通するリニアガイドが取り付けられている。また、このブロック81の背面側には、ブラケット83が取り付けられ、そのブラケット83は、上下方向に往復動するタイミングベルト84に連結されて、タイミングベルト84の往復動により、ブロック81がガイドロッド82に沿って上下動するようになっている。したがって、ブロック81と一体となった垂直部材68は、タイミングベルト84の往復動によって上下動し、その結果、垂直部材68、68間に取り付けられた振動付与手段60と進退手段70も上下動する。
【0041】
前記タイミングベルト84は、上下のプーリ85a,85b間に架け渡され、一方のプーリ85aは、サーボモータ86の回転軸に取り付けられ、他方のプーリ85bは、フレーム87に固定されたブラケット88に回転自在に取り付けられている。また、前記ガイドロッド82は、図2に示すように、左右方向に一対配置され、それらの両端部が上下のフレーム87に固着されている。
【0042】
前記ブラケット83の端には、検出片83aが設けられ、それが近接センサ89の検出位置に到達すると、そこを原点位置として認識するようになっている。また、サーボモータ86の回転軸には、図示しないエンコーダが取り付けられ、そこから出力されるパルスをカウントすることによってブロック81の上下位置が原点位置からの距離として把握できるようになっている。
【0043】
一方、袋13の送り方向長さが変わると、それに応じて袋13と接触する前記プレート61の上下ストロークも変わるので、前記ブロック81の上下動の範囲は、サーボモータ86の制御によって任意に変えられるようになっている。
【0044】
図8は、袋13の両側面に接触して該袋13に下向きの力を付与する前後一対の回転ブラシ90、90の移動機構の側面図である。この図において、各回転ブラシ90、90は、一対のサーボモータ91,91の各回転軸92、92にそれぞれ取り付けられて、互いに内向きに所定速度で回転する。また、各サーボモータ91,91は、ベース部材93,93に取り付けられ、そのベース部材93,93の下部には、上下一対のリニアガイド94、94が取り付けられ、それらのリニアガイド94,94には、ガイドロッド95,95が挿通されて、ベース部材93,93がガイドロッド95、95に沿って移動自在とされている。また、各ベース部材93、93の側面には、エアーシリンダ96のピストンロッド97が連結され、そのピストンロッド97の伸縮により、袋13の両サイドに配置された回転ブラシ90、90が互いに近接離反するようになっている。また、上下のガイドロッド95,95の両端部は、支持板98、98に固定され、その支持板98、98に前記エアーシリンダ96、96がそれぞれ取り付けられている。
前記回転ブラシ90.90は、ポリプロピレン製の細い毛をゴム製パイプの外皮に植毛したもので、これにより袋13を傷つけずに袋との接触面に所定の下向きの力を付与する。
また、この実施形態では、回転ブラシ90の移動をエアーシリンダ96で行っているが、これを回転運動を往復運動に変換する機構に置き換え、その回転運動をサーボモータで制御することによって、回転ブラシ90の移動ストロークを袋サイズに応じて任意に調整できるようにすることもできる。
【0045】
図9は、この実施形態に係る縦型包装装置の制御系ブロック図である。この図において、袋サイズ、しごき距離、運転速度(1分間当りの袋数)、袋に与える振動強度等が操作手段102から入力されると、制御手段101は、その設定条件に適合する筒状フイルム12の送り速度と昇降手段80の上下ストロークとを計算して設定する。例えば、筒状フイルム12を連続的に下降させながら、袋13の口をしごく場合には、袋の送り方向の長さと1分間当りに製造する袋数とから筒状フイルム12の送り速度が求まる。また、筒状フイルム12に被包装物が充填され始めてから、袋13の口がしごきプレート55でしごかれる直前までの時間が振動付与時間となるので、その間に、袋13がどれだけ下降するかを、筒状フイルム12の送り速度から求め、それを昇降手段80の上下ストロークとして設定する。また、その上下ストロークの上限位置は、シールジョー53、53が直線的に下降しながら袋13をシールするときのそのシールジョー53、53の動きと干渉しない位置となる。
【0046】
また、制御手段101は、設定された袋サイズ、しごき距離、運転速度からD字形の運動軌跡の直線距離と、その直線距離を移動するのに必要な回転軸54、54の水平移動距離と、回転アーム51,51の全周にわたる刻々の回転速度とを求めて設定しておく。こうした計算と動作モードの設定が完了し、フイルムの装着も完了すると操作手段102のスタートスイッチを操作して運転を開始する。
【0047】
運転が開始されると、制御手段101は、横シール手段50,50を原点位置に、昇降手段80を上限位置に、即ち、振動付与手段60のプレート61を上限位置に、またそのプレート61の姿勢を垂直姿勢に、さらに回転ブラシ90,90を袋と接触する位置にそれぞれセットしてから計量機Wに排出要求信号を出力する。すると、計量機Wは、一定重量の被包装物を排出して制御手段101に排出完了信号を出力する。排出された被包装物Mは、所定時間後には、漏斗22を通過して筒状フイルム12の下端部に到達するが、制御手段101は、そのタイミングに合わせて搬送手段30、縦シール手段40、横シール手段50,50をそれぞれス動作させ、被包装物Mが袋13に完全に収納されるタイミングでしごき動作が開始されるようにそれぞれの手段30,40,50を制御する。
【0048】
図10は、振動付与手段60、進退手段70、昇降手段80、回転ブラシ90の各動作タイミングを表したタイミングチャートである。また、図11乃至図17は、これらの動作変化を示した動作遷移図である。
【0049】
次に、これらの図に基づいて、横シール手段50、50、振動付与手段60、進退手段70、昇降手段80、回転ブラシ90、90の各動作について説明する。図10は、シール完了直後からの動作タイミングを表しているが、制御手段101が、シール完了直後に排出要求信号を出力する場合は、図10のシール完了直後の状態は、スタート直後の各手段60、70,80,90の初期状態でもある。そして、排出要求信号が計量機Wに出力されると、所定時間後には、計量機Wから排出された被包装物Mが筒状フイルム12の下端部に到達するので、その間に制御手段101は、回転ブラシ90、90を両サイドに離反させ、続いて進退手段70を作動させて、垂直姿勢にあった振動付与手段60のプレート61を水平姿勢に切り替える。そうする間に、図11に示すように、被包装物Mが筒状フイルム12の下端部に到達するので、制御手段101は、振動付与手段60のプレート61を上下動させて袋13に充填された被包装物Mに振動を付与するとともに、下降する筒状フイルム12に合わせて、振動付与手段60と進退手段70を下降させる。同時に横シール手段50、50のシールジョー53,53も互いに内向きに回転して、被包装物Mの充填が完了する頃には、図12に示す状態から図13に示す状態に移行する。
【0050】
そして、被包装物Mの充填が完了し、図14に示すように、しごきプレート55、55が袋13の口を閉じてしごきを開始すると、制御手段101は、図10に示すように、振動付与手段60による上下動と昇降手段80による下降運動を停止し、同時に進退手段70を動作させて振動付与手段60のプレート61を水平姿勢から垂直姿勢に切り替える。同時に離反した回転ブラシ90、90を袋13の両サイドに接近させる。図14は、この状態を示す。
【0051】
続いて、制御手段101は、図10に示すように、回転ブラシ90、90を袋13に接触させて袋13に下向きの力を付与し、同時に昇降手段80を作動させて、下限位置にあった振動付与手段60と進退手段70を上昇させる。その過程で、しごき動作が終了し、続いて一対のシールジョー53、53が袋13の口を両サイドから挟圧して横シールする。図15は、その状態を示す。
【0052】
そして、振動付与手段60と進退手段70が上限位置に到達すると、図10に示すように、昇降手段80を停止させてシールの完了を待つ。図16は、横シールが完了する直前の状態を示す。そして、シールが完了して密封された袋13が落下すると、制御手段101は、再び排出要求信号を計量機Wに出力する。図17は、その状態を示す。
こうして再び排出要求信号が出力されると、図10のシール完了後の動作に戻り、所定時間後には、次の新たな被包装物Mが筒状フイルム12の下端部に到達されて、図11に示すような状態となる。こうして図11乃至図17に示す動作が繰り返される。
【0053】
〔他の実施形態〕
以上の実施形態では、筒状フイルム12を下降させながら横シールしていくようにしているが、これに代えて、筒状フイルム12が止まっているときに横シールし、筒状フイルムを送っているときに、被包装物を充填するような間欠式の包装装置であってもよい。即ち、筒状フイルムを下降させているときに、振動付与手段60と昇降手段80を動作させて、充填された被包装物に振動を付与していくのである。したがって、横シール手段50,50としては、この実施形態と同様な回転式のものだけでなく、水平面内で往復運動するようなものであってもよい。
【0054】
また、この実施形態では、振動付与手段60のプレート61を袋13の底に接触させて袋13の内容物に直接振動を付与するようにしたが、それに限定されるものではなく、例えば、袋13の側面から振動を加えたり、袋の側面と底面の両方から振動を加えたりしてもよい。特に、袋13の内容物の種類や形状、袋サイズ等によって充填率が変わる場合には、種々の振動モードが発揮できるように、上下動に加えて、水平方向にも振動できようにして、それらの選択的駆動によって袋に種々の振動モードが付与されるようにしても良い、また振動強度の調整も同様である。
【0055】
また、この実施形態では、進退手段70でもって振動付与手段60のプレート61を水平姿勢と垂直姿勢とに切り替えているが、これに限定されるものではなく、例えば、上記プレート61を水平面内で回転させることによって側方に逃がす態様であってもよい。
【符号の説明】
【0056】
10 フイルムロール
11 帯状フイルム
12 筒状フイルム
13 袋
20 フォーマ
30 搬送手段
40 縦シール手段
50 横シール手段
51 回転アーム
53 シールジョー
55 しごきプレート(しごき手段)
60 振動付与手段
61 プレート
70 進退手段
80 昇降手段
90 回転ブラシ
100 縦型包装装置
M 被包装物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フイルムロールから繰り出されたフイルムをフォーマで筒状に成形しながらその合わせ目を縦シールし、縦シールされた筒状フイルム内に被包装物を充填してから該筒状フイルムを横シール手段で横シールすることによって、該筒状フイルムの下端部に被包装物が収納された密閉袋を成形するようにした縦型包装装置であって、前記横シール手段の下方に、前記筒状フイルムと接触して被包装物に振動を付与する振動付与手段と、前記被包装物が筒状フイルム内に充填されている間は、前記振動付与手段を前記筒状フイルムに接触させ、前記筒状フイルムが横シールされる直前には、前記振動付与手段をそこから退避させる進退手段とを設けたことを特徴とする縦型包装装置。
【請求項2】
前記筒状フイルムが被包装物の充填中に下降するものであって、その筒状フイルムの下降運動に合わせて前記振動付与手段と前記進退手段とを下降させる昇降手段を設けたことを特徴とする請求項1に記載の縦型包装装置。
【請求項3】
前記横シール手段の下方に、前記振動付与手段が前記筒状フイルムから離反すると、それと入れ替わって前記袋の両側面に接触して該袋に下向きの力を付与する一対の回転ブラシを設けたことを特徴とする請求項1又は2に記載の縦型包装装置。
【請求項4】
前記横シール手段が前記筒状フイルムの両サイドにおいて互いに内向きに回転する一対の回転アームを備え、その各回転アームの先端に設けられた一対のシールジョーが、前記筒状フイルムを境にして面対称のD字形の運動軌跡を描くことを特徴とする請求項1又は2に記載の縦型包装装置。
【請求項5】
前記横シール手段に、前記筒状フイルムの下端部に成形された袋の開口部をその両サイドから挟んで下方に押し下げる、しごき手段が設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の縦型包装装置。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2011−251727(P2011−251727A)
【公開日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−125963(P2010−125963)
【出願日】平成22年6月1日(2010.6.1)
【出願人】(000147833)株式会社イシダ (859)
【Fターム(参考)】