説明

化学−機械的平面化処理に使用するためのスラリ組成物

半導体の処理に使用する化学−機械的研磨剤組成物は非球形の形状をもった研磨剤粒子を使用する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願明細書は2003年3月17日付けの出願中の米国特許暫定出願第60/455,216号明細書および2003年10月8日付けの出願中の同第60/509,445号明細書の利益を請求する。これらの特許出願は引用により本明細書に包含される。
【0002】
本発明は化学機械的平面化(プレーナ)処理(chemical−mechanical planarization (CMP) process)のための新規スラリに関する。本発明は,サブミクロン単位で設計される特徴的な形状(feature)を備え高伝導性の連結構造物をもった高速集積回路を高い生産速度で製造するのに応用することができる。
【背景技術】
【0003】
集積回路および他の電子装置の製造においては、導体材料、半導体材料、および誘電体材料の多数の層を基質の上に沈積させ、或いは表面から取り去ることが行なわれる。導体体材料、半導体材料、および誘電材料の薄い層はいくつかの沈積技術によって沈積させることができる。現代の処理工程における共通の沈積方法には、スパッタリング法とも呼ばれる物理蒸着法(PVD)、化学蒸着法(CVD)、プラズマ強化化学蒸着法(PECVD)、また現在における電気メッキ法(ECP)が含まれている。
【0004】
材料の層が順次沈積されまた除去される際、基質の最も外側の表面はその表面を横切る方向において平らではなくなり、平面化(プレーナ化)が必要となる。表面の平面化、即ち表面の「研磨」は、基質の表面から材料を除去して一般的に平らな表面をつくる工程である。望ましくない表面の特徴的な形状および表面の欠陥、例えば粗い表面、凝集した材料、結晶格子の損傷、引っ掻き傷、および汚染された層または材料を除去するのに有用である。平面化はまた形状を埋めるのに使用された過剰の沈積した材料を取り除くことにより基質の上に特徴的な形状をつくり、後で行なわれる金属メッキおよび加工の程度に対して均一な表面を与えるのに有用である。
【0005】
化学−機械的平面化、即ち化学−機械的研磨(CMP)は基質を平面化するのに使用される通常の方法である。CMPでは、基質から材料を選択的に除去するために典型的にはスラリまたは他の流体媒質のような化学組成物が使用される。CMPスラリの設計に関する考察は非特許文献1に記載されている。通常のCMP法では、基質の担体即ち研磨ヘッドは担体アセンブリーの上においてCMP装置の研磨パッドと接触して配置される。担体アセンブリーは基質に対して制御可能な圧力を及ぼし、基質を研磨パッドに圧し付ける。パッドは外部からの駆動力によって基質に対して動かされる。従ってCMP装置は基質と研磨パッドの間で研磨またはこすり合わせ運動を行ない、同時に研磨用の組成物またはスラリを分散させて化学的な作用と機械的な作用の両方を行なう。
【0006】
CMP法に使用される通常のスラリは反応性の溶液中に研磨剤粒子を含んでいる。別法として、研磨用の製品は固定された研磨用の製品、例えば固定された研磨用のパッドであることができ、これは研磨剤粒子を含んでいないCMP組成物またはスラリと共に使用することができる。固定した研磨用の製品は典型的には裏地シートを含んで成り、それに種々の幾何学的形状をした研磨用の複合要素が接着されている。
【0007】
半導体のCMP処理に最も広く使用されている研摩剤はシリカ(SiO),アルミナ(Al),セリア(CeO)、ジルコニア(ZrO)およびチタニア(TiO)でり、これらは特許文献1〜4に記載されているように、煙霧法またはゾル−ゲル法
で製造することができる。最近マンガニア(Mn)(特許文献5)または窒化珪素(SiN)(特許文献6)を含んで成る組成物またはスラリが報告された。
【0008】
特許文献7には任意の市販の粒子状の研摩剤、例えばSiO、Al、ZrO、CeO、SiC、Fe、TiO、Siを含むCMPスラリが記載されている。これらの研磨剤粒子は通常高い純度、大きな表面積、および狭い粒径分布をもち、従って研磨剤として研磨組成物に使用するのに適している。
【0009】
特許文献8には、脱イオン水の中にモンモリロナイト粘土を分散させることによりつくられた研摩用のスラリで半導体のウエハを研磨することが記載されている。このスラリのpHはNaOHおよびKOHのようなアルカリを加えることによって調節される。
【0010】
電気的な処理を行なう速度に対する要求は増え続け、回路の密度および性能を次第に高くすることが必要とされている。現在では、8層またはそれ以上の層の回路パターンをもったチップの製作が望まれている。原理的には、もっと多くの層に対して要求がなされても研磨の性質が変わるものではないが、研磨法からすればもっと厳密な仕様が必要とされる。各層の幅は5μmより狭いことができる。引っ掻きおよびへこみ(dishing)のような欠陥は減少させるか除去しなければならない。技術的な要求をさらに増加させる問題点は300mmのウエハへの移行である。大きなウエハは8インチまたは200mmのウエハに比べ長い長さの範囲に亙って均一性を保つことが困難である。
【0011】
層を付加する他に、個々の経路の間の空間を減少させることにより回路の密度を増加させることができる。Si0の誘電体(ウエハの酸化物)を横切って電気信号の漏れ出しが起こり連結部材を効率的に短絡するので、経路をあまり近づけすぎることはできない。最近の技術的な発展によって非常に小さい高密度のパターンを集積回路の上につくることができるようになったので、分離された構造物に対する需要が大きくなった。
【0012】
特許文献9には、次のような板状ではない形をした研磨材料が記載されている:酸化鉄、チタン酸ストロンチウム、アパタイト、ディオプターゼ、鉄、真鍮、蛍石、水和酸化鉄、およびアズライト。
【特許文献1】米国特許第4,959,113号明細書。
【特許文献2】米国特許第5,354,490号明細書。
【特許文献3】米国特許第5,516,346号明細書。
【特許文献4】国際公開第第97/40,030号パンフレット。
【特許文献5】ヨーロッパ特許第816,457号明細書。
【特許文献6】ヨーロッパ特許第786,504号明細書。
【特許文献7】米国特許第第6,508,952号明細書。
【特許文献8】米国特許第4,549,374号明細書。
【特許文献9】米国特許出願第2003/0129838号(filed December 28, 1999年12月28日出願)。
【非特許文献1】Rajiv K.Singh 等,”Fundamentals of Slurry Design for CMP of Metal and Dielectrics Materials”,MRS Bulletin,752〜760頁(2002年10月)。
【発明の開示】
【0013】
コンピュータおよび電子装置の用途に対する集積回路(IC)の製作には高性能の研磨が必要である。本質的には、ICは無機酸化物のウェーハの上に順次沈積させた多数の薄い層からつくられた装置である。これらの層は酸化物、金属または誘電体材料を含む異なった組成をもっているが、有効に動作する装置を得るためにはそれぞれ狭い許容度および
高い選択性の範囲内で研磨されなければならない。化学−機械研磨(CMP)法は、この目的を達成するための手段である。研磨は、化学薬品の液体のスラリおよび回転する重合体のブラシを用いて表面の特徴的な形状を除去することによって行なわれる。効果的なシステムにおいては、表面のエッチングを行なう化学薬品、表面を保護する化学薬品、スラリ中の研磨剤、および重合体のパッドの物理的な性質の相乗的な効果によって均質で平らな表面が得られる。本発明においては、球形でない形状をした粒子をCMPスラリの中の研磨剤として使用する。
【0014】
本発明の詳細な説明
一般に、CMPスラリ組成物は機械的な作用を及ぼす研磨剤;並びに酸化剤、酸、塩基、錯化剤、表面活性剤、分散剤、および例えば研磨された表面を酸化するような化学反応を行なう他の化学薬品の少なくとも一つを含んでいる。典型的には或る種の有害物質は避けられる。その例には、高い移動度をもった金属イオン、例えばNa、またはウェーハ材料と反応する元素、例えばフッ素(但し後でCMPを洗浄する際にはしばしばHFが使用される)が含まれる。
【0015】
使用できる塩基の本発明を限定しない例には、KOH、NHOH、およびRNOHが含まれる。また次のような酸、例えばHPO、CHCOOH、HCl、HF等で例示できる酸を加えることもできる。H、KIO、HNO、HPO、KFe(CN)、NaCr、KOCl、Fe(NO、NHOH、およびDMSOは補助的な酸化剤としてそのまま使用できる。二価の酸、例えば蓚酸、マロン酸、および琥珀酸は本発明の研磨組成物に対する添加剤として使用することができる。
【0016】
本発明の組成物に添加できるさらに他の適当な酸化合物には、例えば蟻酸、酢酸、プロピオン酸、ブタン酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、乳酸、硝酸、硫酸、マリン酸、酒石酸、グルコン酸、クエン酸、フタル酸、ピロカテコン酸、ピロガロールカルボン酸、没食子酸、タンニン酸、およびこれらの混合物が含まれる。
【0017】
スラリ組成物に添加し得る適当な腐蝕防止剤には、例えばベンゾトリアゾール、6−トリルトリアゾール、1−(2,3−ジカルボキシプロピル)ベンゾトリアゾール、およびこれらの混合物が含まれる。
【0018】
カルボン酸は、これを添加する場合、スラリ組成物に腐蝕防止性を賦与することができる。
【0019】
二酸化珪素に対してタンタルおよびタンタル化合物の選択性を増加させるために、スラリ組成物にフッ素含有化合物を加えることができる。適当なフッ素含有化合物には、例えばフッ化水素、過フッ素酸、アルカリ金属のフッ化物の塩、アルカリ土類金属のフッ化物の塩、フッ化アンモニウム、フッ化テトラメチルアンモニウム、二フッ化アンモニウム、二フッ化エチレンジアンモニウム、三フッ化ジエチレントリアンモニウム、およびこれらの混合物が含まれる。
【0020】
スラリ組成物に加えることができる適当なキレート化剤には、例えばエチレンジアミン四酢酸(EDTA)、N−ヒドロキシエチレンジアミン四酢酸(NEDTA)、ニトリロトリ酢酸(NTA)、ジエチルクレントリアミンペンタ酢酸(DPTA)、エタノールジグリシネート、およびこれらの混合物が含まれる。キレート化剤は金属の表面を軟らかくするのを助け、また特定の組成物の低い所にある特徴的な形状、または表面を保護する助けさえする。保護機構の考えは著しい改善をもたらすことができる。
【0021】
スラリ組成物に加えることができる適当なアミンには、例えばヒドロキシラミンモノエ
タノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジエチレングリコールアミン、N−ヒドロキシルエチルピペラジン、およびこれらの混合物が含まれる。
【0022】
スラリ組成物に加えることができる適当な表面活性剤には例えば当業界の専門家には公知の種々の非イオン性、陰イオン性、陽イオン性、または両性表面活性剤が含まれる。
【0023】
スラリのpHはすべてのスラリ組成物の性能に対して極めて重大である。溶液の酸性度は表面における反応速度、金属錯化剤の生成定数、表面の酸化速度、溶液のイオン強度、スラリ粒子の凝集の大きさ、およびその他の因子を制御することができる。種々の酸、塩基、およびpH緩衝剤の検討はCMPの開発に対する有望な分野である。
【0024】
本発明に従えば、少なくとも一つの寸法(高さ、長さおよび/または幅)が他の寸法よりも実質的に大きい形をした粒子から研磨剤がつくられるCMPスラリが提供される。この用途の目的に対しては、このような形状は「非球形」として記述される。即ち非球形の粒子の形状は板状、シート状、針状、カプセル状、積層状、または少なくとも一つの寸法が他の寸法よりも実質的に大きい他の任意の無数の形であることができる。このような形状は、外観が実質的に丸く、認め得るような細長い表面をもたない球形の粒子と区別される。層状の粘土、例えばカオリン、蛭石、およびモンモリロナイト(剥離可能である)、および粘土の形を保存したこのような粘土の変態、例えば酸で浸出したカオリン、雲母、タルク、グラファイトの薄片、ガラスの薄片、および合成重合体の薄片が本発明のCMPスラリ中の研磨剤として有用である。
【0025】
これらの非球形粒子はスラリの中に主として存在している。本明細書において使用される「非球形粒子」という言葉は、球形の粒子の非球形的な凝集物を包含してはいない。
【0026】
非球形の形状をもった研磨剤粒子は球形の形の従来法のセラミックス酸化物材料に比べて利点をもっていると考えられている。非球形の研磨剤粒子が基質の表面にかける圧力は、球形の粒子におけるような点接触ではなく、或る区域に亙って分布していると思われる。従って、現在使用されているかたいセラミックスの研磨剤によって達成される点接触による場合に比べ、非球形粒子は穏やかな研磨作用を及ぼし、しかも微小な引っ掻き傷、酸化物の損失を減少させ、またへこみや腐蝕を少なくする。
【0027】
本発明の研磨剤粒子は、非球形の形状をもつことの他に、好ましくはCMPに典型的に使用されているシリカまたはアルミナの研摩剤に比べ軟らかい。従って本発明の非球形の研磨剤粒子はMohsのかたさが約1〜6である。参考のために表1に種々の金属および研磨剤粒子のかたさを示す。
【0028】
【表1】

【0029】
Mohsのかたさが約1〜6の非球形の研磨剤はCMPスラリに対して必要な機械的作用を及ぼすほど十分にかたく、しかも同時に引っ掻き傷、へこみ、および過剰研磨のような欠陥を避けることができると考えられている。
【0030】
一般に、非球形粒子の研磨剤はスラリの重量の最高20重量%を含んで成っているが、固体分含量が最高60重量%の研磨剤をつくることもできる。もっと典型的には15重量%より少ない量、さらに好ましくは0.5〜8重量%の固体分含量が使用される。
【0031】
現在の所、非球形の研磨剤としてカオリン粘土の粒子が好適である。水和したカオリンを用いることができるが、カオリンをカ焼した場合、もっと良好な研磨速度が得られることが見出だされた。しかし水和したカオリンの全体的な性能はカ焼したカオリンよりも良好なので、水和したカオリンが好適である。カオリンをカ焼すると強い吸熱反応が起こり、それに伴って脱水が生じてメタカオリンが得られる。カオリンをメタカオリンに変えるのに用いられるよりも強い条件でカ焼されたカオリン粘土、即ちカオリンの特性的な発熱反応を起こさせてカ焼されたカオリン粘土はスピネル形のカ焼されたカオリンを生じ、もっと極端な条件を用いるとムライトを生じる。一般に、1200°Fおよびそれよりも高い温度までの温度で水和カオリンをカ焼すると水和カオリンの脱水が起こってメタカオリンが生じる。1400〜2200°Fのカ焼温度を用いるとその特性的な発熱反応を介してカ焼が行なわれスピネル形のカオリンが生じる。それよりも高い温度、例えば1900°Fではムライトの生成が起こる。これらの任意の形およびすべての形のカオリン粘土を本発明の研摩剤として使用することができる。これらの材料は本発明の譲渡人である米国ニュージャージー州、IselinのEngelhard Corporationから市販されている。
【0032】
典型的には水和カオリンは、粒径分布を変え、着色させる不純物をカオリンから除去する単位操作の組み合わせによって製造される。これらの単位操作はカオリンの水性懸濁液を用いることによって容易に行なわれる。粒径分布を変える単位操作の例は、遠心分離、層間剥離またはミリング装置を用いる方法、および選択的なフロッキュレーションである
。着色させる不純物を除去する単位操作の例は浮遊分離法および磁気分離法である。さらに還元的および/または酸化的な漂白法を用いて着色させる不純物を無色にすることができる。これに加えて、濾過を用いてカオリンから実質的に水を除去した後、固体分が多い濾過生成物のスラリを噴霧乾燥することができる。噴霧乾燥した部分を固体分含量の高い濾過生成物のスラリに戻し、スラリの固体分含量をさらに上げることができる。濾過生成物を分散させないで、フィルターケーキを乾燥し、粉砕して当業界においていわゆる酸乾燥カオリンとよばれるものを得ることができる。さらにまた、熱的または化学的処理によってカオリンを変性することができる。典型的にはカ焼操作の前および後においてカオリンを粉砕する。処理されたカオリンをスラリ化し、上記の単位操作により粒径分布を変えることができる。
【0033】
他の有用な非球形の研磨剤粒子はブルーサイト(水滑石、水酸化マグネシウム)、ヒドロタルサイト、およびナノタルク(nanotalc)である。これらの材料は市販されている。他の有用な非球形の研磨粒子は共通に譲渡された米国特許第6,187,710号明細書に記載されている。この特許は引用により本明細書に包含される。該特許の一具体化例においては、基本的な三層の小板からつくられ、その中央の層は八面体的に酸素で取り囲まれた金属イオンから成り(八面体層)、この層が二つの四面体的に取り囲まれた珪素原子含有層によって取り囲まれ(四面体層)、粘土粒子の寸法は0.1〜1μの間で変化していることを特徴とする粘土鉱物がが記載されている。八面体層の中では最大30%の金属イオンが低原子価のイオンによって置換えられ、四面体層の中では最大15%の珪素イオンが低原子価のイオンによって置換えられている。また該特許の他の具体化例においては、四面体層の中の珪素(ゲルマニウム)を3価のイオンによって置換え得ることが記載されている。八面体層においては、アルミニウム、クロム、鉄(III)、コバルト(III)、マンガン(III)、ガリウム、バナジン、モリブデン、タングステン、インジウム、ロジウム、および/またはスカンジウムが3価のイオンとして存在していることが好ましい。2価のイオンとしてはマグネシウム、亜鉛、ニッケル、コバルト(II)、鉄(II)、マンガン(II)および/またはベリリウムが八面体層の中に存在することが好適である。四面体層の中には4価の成分として珪素および/またはゲルマニウムが存在し、3価の成分として好ましくはアルミニウム、硼素、ガリウム、クロム、鉄(III)、コバルト(III)、および/またはマンガン(III)が存在している。
【0034】
合成に必要な成分、即ち四面体層に対する珪素(ゲルマニウム)の酸化物および八面体層に対する3価/2価/1価のイオンを水性媒質中に存在させ、これを所望のpH(3〜9、好ましくは5〜9)にし、次いでpHを所望の範囲に保ちながら或る時間の間温度を60〜350℃に保つ。反応時間は温度に強く依存し、従って圧力に依存する。温度が高いほど反応時間を短くすることができる。実際には、60〜125℃の低温においては反応時間は5〜25時間程度であり、150℃またはそれ以上の範囲の温度では反応時間は数分ないし約2.5時間程度で十分なことが見出だされている。粘土鉱物の寸法は部分的には反応時間により決定される。
【0035】
このような方法は、成分の種類および所望の結果に依存して種々の方法で行なうことができる。好ましくは、関与する金属の塩化物は殆ど認め得るほど粘土鉱物と反応しないから、一緒に使用されない。この方法のもっと詳細な点については上記米国特許第6,187,710号明細書参照のこと。
【0036】
他の有用な非球形の研磨粒子は、小板状の膨張可能な粘土を他の成分と錯化させることにより変性したものを含んで成っている。膨張可能な粘土システムはスメクタイト粘土、モンモリロナイト、ラポナイト(Laponite)、スティーブンサイト(Stevensite)、および種々の組成、電荷密度、および小板の寸法をもった他の多くの天然粘土および合成粘土を含んでいる。粘土に関する文献では、これらのタイプの層状の材料
は多様なイオン交換法および層間挿入(インターカレーション)法によって変性できることが知られている。また、正に荷電した小板、例えばハイドロタルサイトおよび他の層状の複合水酸化物は負に荷電したスメクタイトの小板と同様なタイプの化学的挙動を行なうことができる。
【0037】
他の成分で錯化することにより変性された膨張可能な粘土の小板の一例は次のとおりである。図1においては、膨張可能な粘土の小板10は該粘土の小板の層の間の空間の中に存在する例えばナトリウムイオンのような荷電した陽イオン12をもっている。膨張可能な粘土の小板10は例えば水酸化酸化アルミニウムの陽イオン(Al13 Keggin
イオン)のような無機クラスター14でイオン交換され、陽イオン12が置換えられている。これらの得られたクラスターの電子密度が高いために層間の相互作用が強くなり、粘土の層は積層化された状態に保たれている。得られた材料はそれ以上変性せずに使用されるか、或いは高温に加熱して三次元の柱状構造にされる。別法として、正に荷電した小板、例えばハイドロタルサイトを例えばMo、W、および他の遷移金属のポリオキソメタレートのような陰イオン性のクラスターでインターカレーションを行なうことができる。
【0038】
他の成分で錯化することにより変性された膨張可能な粘土の小板の一例は次のとおりである。図2においては、膨張可能な粘土の小板10は該粘土の小板の層の間の空間の中に存在する例えばナトリウムイオンのような荷電した陽イオン12をもっている。有機性の陽イオン16、例えば長鎖のアルキルアンモニウムイオンがイオン交換されて、スメクタイトまたは同様な負に荷電された膨張可能な粘土の小板10の層の間の空間の中に入っている。別法として、陰イオン性の有機分子、例えば有機スルフォネートをインターカレーションにより例えばハイドロタルサイトのような正に荷電した小板の層の間の空間の中に挿入することができる。
【0039】
他の有用な非球形の研磨剤粒子は第2の成分で被覆された中心のホストを含んで成っている。中心のホストは上記のような非球形の粒子、即ちアルミナまたは他の金属酸化物粒子のような三次元の粒子であることができる。被膜は中心のホストの上を部分的にまたは完全に被覆していることができる。また粒子はその上に多重被膜を有していることができる。
【0040】
部分的に被覆された小板の一例は次の通りである。図3においては、ホストの非球形の粒子18がそれよりも小さい小板20で部分的に被覆されている。有用な小さい小板の例には、ラポナイトまたは他のスメクタイトの粒子、或いはホストの非球形の粒子18の表面に被覆された有機重合体が含まれる。特定の小さい小板は所望の軟らかさおよび組成をもっているが、小板の大きさが小さすぎるか、或いはこれを分散させる際に問題を生じる可能性がある。これらの小板をもっと望ましいレオロジー特性、分散性等をもったホストの表面上に被覆することにより、もっと効果的な研磨剤を開発することができる。これらのタイプの材料は層と層とを重ねる方法(layer−by−layer technique)を含む種々の方法で合成することができる。
【0041】
部分的に被覆された小板の他の例は次のようなものである。図4には、ホストの非球形の粒子18がそれよりも小さい球形の粒子22で実質的に被覆されている。有用な小さい球形の粒子22の例にはコロイド状シリカのようなコロイド粒子、および酸化水酸化アルミニウムKegginイオンのような分子種が含まれる。これらの小さい球形の粒子22の大きさ、組成、電荷密度、および他の特性は所望の最終特性に合うように調整することができる。これに加えて、後で被覆を行なう際異なった大きさの球形の粒子を表面上に被覆し、異なったレベルの充填度、多孔性、および軟らかさを得ることができる。
【0042】
部分的に被覆された小板の他の例は次のようなものである。図5では、ホストの非球形
の粒子18がそれよりも小さい微結晶24で実質的に被覆されている。有用な微結晶の例には金属酸化物またはシリカの微結晶、または非金属のセラミックス相、例えば金属の炭化物または窒化物が含まれる。このような被膜は小板またはコロイド粒子を加熱して結晶性の酸化物に変えることによってつくることができる。別法として、二酸化チタンを被覆した雲母の真珠様顔料をつくる公知の方法と同様にして、ホストの非球形の粒子18の表面上に所望の相を直接結晶化させることができる。有用な方法の一例は米国特許第4,038,099号明細書に記載されている。この特許の全文は引用により本明細書に包含される。
【0043】
部分的に被覆された小板の他の例は次のようなものである。図6では、ホストの非球形の粒子18が重合体26で実質的に被覆されている。有用な重合体の例には塩化ジアリルジメチルアンモニウム(PDADMACと略す)またポリナトリウムスチレンスルフォネート(PSSと略す)が含まれる。電荷、軟らかさ、等電点、レオロジー特性のような表面の性質は、ホストの非球形の粒子18の表面を重合体26で被覆することにより調節することができる。
【0044】
完全に被覆された小板の一例は次のようなものである。図7では、ホストの非球形の粒子18は炭素28で被覆されている。種々の前駆体、例えば重合体、有機分子などをホストの粒子18の表面に被覆することができる。次に被覆された材料を熱分解して炭素の被膜28をつくる。炭素の被膜は、所望の性質に依存して非常に薄くするか(厚さ数nm)、或いは厚くすることができる。
【0045】
部分的に被覆された小板の他の例は次のようなものである。図8では、ホストの非球形の粒子18は有機官能基30によって部分的に被覆されている。粒子18をカップリング剤、例えば有機シランで処理して粒子の表面に分子を直接取付けることができる。典型的には粒子の表面の反応性の基、例えば水酸基がシランのアルコキシまたハロゲン基と反応する。その結果、特定の官能基をもった有機基が粒子の表面に導入される。
【0046】
非球形の研磨剤の粒子の大きさは使用するタイプに無関係に、市販品に対して使用されている粒径測定法を用いて測定して典型的には約1μ以下である。例えばSedigraph 5100粒径分析器を使用して粒径を分析し、重量%規準で同等な球形の直径を報告した本譲渡人に対する米国特許第4,767,466号を参照されたい。例えばカオリン粒子の大きさはX線沈降法、例えばSedigraph 5100で測定する。カオリンに対する平均粒径は好ましくは約0.01ないし約1μの範囲であり、さらに好ましくは約0.01〜約0.5μの範囲である。
【0047】
非球形の研磨剤は典型的にはCMPスラリをつくる任意の化学的な助剤、例えば酸、塩基、分散剤、酸化剤、錯化剤、表面活性剤および/または不動化剤と組み合わせることができる。非球形の研磨剤を含むスラリは任意のCMP処理に使用することができる。典型的なCMP処理の例は下記に説明する。これらは単に一例に過ぎず、本発明のCMPスラリの使用を特定の処理法またはそこに記載された条件に限定する目的をもつものではない。従って非球形の研磨剤を含む本発明のCMPスラリは、現在公知の、或いは集積回路の複雑性が増大する将来において使用することができる任意のCMP処理に使用することを意図したものである。
【0048】
例えば、酸化物−CMPにおいては、水溶液のpHを調節して小さい粒子を懸濁状態に保ち、また大きな特徴的な形状が研磨剤の作用によって摩砕されて除去されるように珪素のウェーハの表面を軟らかくする。従って、選ばれた化学的挙動に依存してスラリのpHを調節することができる。即ち、pHはの酸性でも塩基性でも良い。図9に描かれているように、ウェーハの表面はアルカリ性の条件下では変化を受けると考えられている。図9
に示されているように、二酸化珪素の上につくられた基質32は化学的な作用(アルカリ性の反応性)および機械的な作用(粒子による摩耗)の組み合わせによって処理される。この状況は酸化物だけの研磨の最も直截的な場合を表している。即ち珪素−酸化物−珪素の結合はアルカリ性の反応によって切断され、表面における個々の水酸化珪素の部分は機械的な研磨作用によって除去される。
【0049】
チップの上に電気回路を配置するためには、図10におけるようにウェーハの表面の上にパターンをエッチングしなければならない。この具体化例においては、基質34がエッチングされて一連の通路36がつくられ、これが誘電体または伝導性の金属成分によって充填される。エッチングされた基質34は表面が均一ではないから、大きな研磨作用を受ける。図示されているように基質34はパターンの密度が低いエッチングされた区域(A)およびパターンの密度が高い区域(B)をもっている。研磨を行なう際表面が除去されると、パターンの密度が高い区域(B)が大きくなる傾向がある。何故なら小さい表面区域に亙ってパッドにより及ぼされる局所的な圧力が分布するからである。パターンの鋭い隅の部分および特徴的な形状の侵食および丸まりのような他の欠陥も最低限度に抑制しなければならない。
【0050】
エッチングされたパターンを含むウェーハがつくられたら、金属層を被覆することができ、これが電気回路になる。図11はこのようなウェーハを示しており、その中にはウェーハの基質38、パターンが付けられた区域即ち通路40、および該パターンが付けられた区域の中に含まれる金属または合金42を含んでいる。使用される金属は通常伝導性の銅/アルミニウム(Cu/Al)合金またはタングステン(W)であり、これらは銅の金属だけの場合よりも温度および酸化に対して抵抗性をもっている。金属層は下方にあるエッチングされた区域を越えて延び出しているから、金属の過剰の部分44を除去するために研磨が必要である。金属の研磨は、酸化物の研磨とは反対に、水溶液中に酸化剤を使用して行なわれ、金属の表面の上に軟らかい酸化物の層をつくり、これをスラリ中の機械的な研磨剤で除去することができる。この場合も、化学的および機械的手段の両方を使用して表面の研磨を行なう。
【0051】
金属のCMPについてはさらに難題が存在する。多重表面の組成物では被覆密度が変化しているが、金属を均一に除去できなければならない。回路のラインの間の電気的な短絡を防ぐためには過剰に付着した金属はすべて除去しなければならない。金属の表面42の若干の部分は、図11においてへこみと呼ばれる溝になった区域40の内部においては金属が過剰に研磨される。図11においてはLSは線の間隔を意味し、LWは線の幅を意味する。LWとLSとの和はピッチである。LWをピッチで割った値はパターンの密度である。へこみを制限する方法は、下方にある金属の区域と結合する錯化剤を加えて保護区域をつくり、スラリの酸化剤により金属がさらに侵食されるのを制限する方法である。明らかに、水性のスラリおよびパッドの組成物は、侵食および保護の過程の間にバランスがとられるように注意深く選ばなければなければならない。
【0052】
個々の経路の間が次第に小さくなってゆく空間から過剰な金属または他の汚染物質を除去することはCMP処理に対してさらに大きな難題である。銅金属は、現在伝導体媒質として使用されているCu/Al合金に比べ固有の抵抗および静電容量が小さい。従って、信号を銅線を通して送るには小さい電圧しか必要とせず、電気信号がこぼれる傾向が減少する。実際、Cuだけを使用した場合、回路の経路を一層近づけることができる。
【0053】
しかし、Cuの使用には欠点がある。Cuは酸化物の表面にうまく接着しない。またCuは全体的な酸化を受け易い。何故なら、WOまたはAlとは異なり、CuOまたはCuOの表面の層はなおOおよびHOを金属の塊の中に透過させ得るからである。さらに、Cu原子は動き易く、SiOのウェーハ材料の中に移動して行き、最終的
には回路中のトランジスターを壊す原因となる。従って、誘電率の低い材料、典型的にはタンタル、窒化タンタル、または窒化チタンから構成された材料の薄い層をウェーハの酸化物と伝導体のCu層との間に配置する。この緩衝層はCuの接着を促進し、塊状のCu金属の酸化を防ぎ、Cuイオンによる塊状の酸化物の汚染を防ぎ、また回路の間の誘電率をさらに低下させる(即ち回路の間の間隔を狭くすることができる)。
【0054】
CMP技術の用途の一つは、半導体のチップまたは珪素のようなウェーハの上につくられる集積回路の中に浅い溝状の絶縁(STI)構造を製造する場合である。STI構造の目的は、或る与えられたパターンをもった層の中において分離した装置要素(例えばトランジスター)を絶縁し、それらの間に電流が漏れることを防ぐことである。
【0055】
STI構造は通常、珪素の基質の上に酸化物の層を熱的に成長させ、次いで熱的に成長した酸化物の層の上に窒化珪素の層を沈積させることによってつくられる。窒化珪素の層を沈積させた後、例えば公知の写真平版用のマスクおよびエッチング工程を使用して、窒化珪素の層および熱的に成長させた酸化物の層を通し、また部分的には珪素の基質を通して浅い溝をつくる。次に二酸化珪素のような誘電体材料を典型的には化学蒸着法を用いて沈積させ、この溝を完全に充填し、窒化珪素の層を被覆する。次に、CMP法を用いて窒化珪素の層を覆った二酸化珪素の層の部分を除去し、製品の全表面を平面化する。窒化珪素の層は下方にある熱的に成長させた酸化物の層および珪素の基質がCMP処理の間露出するのを防ぐ研磨停止材としての機能をもたせる目的をもっている。或る用途においては、例えば製品をHF酸溶液に浸漬することにより後で窒化珪素の層を除去し、STI構造としての役目をする二酸化珪素で充填された溝だけを残す。通常次にさらに処理を行なってポリ珪素ゲート構造(polysilicon gate structure)をつくる。
【0056】
Cuおよびそれに伴う低誘電体緩衝層の使用には、強化された性能をもつ研磨技術が必要である。この新しい技術はCu−CMPと呼ばれるが、原理的には以前の研磨法とあまり異なってはいない。このCMP法は軟らかいCu金属の過剰部分を除去し、しかもCuのへこみ、引っ掻き傷、および低誘電体の緩衝層の除去を制限できなければならない。同時に、回路のパターンの間隔がより狭くなっているから、許容度は一層厳密である。薄く、平らで、欠陥がない層をつくる能力は極めて重要である。
【0057】
当業界において公知にように、半導体構造物の中で相互連結をつくる一つの方法はいわゆる二重食刻法(dual damascene process)である。二重食刻法では、先ず最初に例えば珪素のような単結晶の物体の中につくられた回路の上に誘電体層、典型的には酸化物の層を沈積させて配置する。酸化物の層をエッチングし,回路の要素を相互に連結するためのバイア(via)、および導線のパターンに対応したパターンをもつ溝をつくる。バイアは該構造物の異なった層を電気的に相互に連結するために通すための酸化物の中に開られた孔であり、導線のパターンは酸化物の中の溝によって定義される。次に金属を沈積させて酸化物の層の中の孔を充填する。次いで、研磨により過剰の金属を除去する。この方法を必要な回数だけ繰り返し、必要な相互連結をつくる。このようにして二重食刻構造物は誘電体の層の上方の部分に溝をもっており、また溝の底部の所に至る誘電体層の下部を通るバイアをもっている。この構造物は溝の底部と溝の底部の所にあるバイアの側壁の間で階段をもっている。
【0058】
本発明の研磨剤粒子は、銅が相互連結用の金属層に使用される論理装置(例えばマイクロプロセッサー)または記憶装置(例えばフラッシュ・メモリー)以外の銅のCMPに使用することができる。例えば装置のパッケージの熱的および電気的特性の改善には、平面化する必要がある銅の層を使用することが含まれる。集積回路装置の中の相互連結用の銅の層の構造物およびパッケージの中の銅の層は異なっており、除去すべき層の厚さ、平面
性、へこみ、および欠陥に関する要求は異なっている。またマイクロ−エレクトロメカニカル・システム(Micro−ElectroMechanical Systems(MEMS))はCMPを用いる平面化を必要とする銅の層をもっていることができる。本発明の研磨剤粒子はこの用途に対するCMPスラリにも使用することができる。
【0059】
CMP法に関する概説は”Advances in ChemicalMechanical Planarization,” Rajiv K.Singh および Rajiv Bajaj,MRS Bulletin,2002年,10月,743〜747頁に記載されている。一方CMP法は非常に簡単であるように見え、その理解は主として研磨工程における多数の入力変数によって制限されてきた。このような変数の中には、粒子および化学物質のようなスラリの変数、パッドの変数、工具の変数、例えば抑圧力および直線速度、および基質の変数、例えばパターンの密度が含まれる。この論文はCMPの技術に対する工程変数および新しい用途に関する良い総説であり、この文献は引用により本明細書に包含される。
【実施例】
【0060】
[実施例1]
Engelhard Corporation製のAnsilex 93(R)カ焼カオリンのスラリ(固体分50%)を原料として使用した。このスラリを1トン当たりSharpe Specialty Chemicals製のDefloc 411(アンモニウムポリアクリレート)4ポンドと混合した。この混合物を毎分1.2ガロン(gpm)の割合で2回Netzschによりジルコニアのビーズを用い粉砕した。Netzschの粉砕を行なった後、1トン当たり2ポンドのDefloc 411を再び加え、次いでスラリの状態を破壊しないようにしてこの混合物を噴霧乾燥した。噴霧乾燥した生成物をWaring Blenderの中で再び5分間スラリ化した後、CU5000(遠心分離器)を用い固体分40%において26分間広く開放した状態で脱スライム化を行なった。脱スライム化により粒子状のスラリの超微細部分が除去される。この部分がCMPの用途には重要である。Sedigraph 5100で測定した乾燥したスラリおよび超微細生成物の粒径分布を表2に示す。超微細生成物を数回希釈して画像の品質を改善したSEM(走査電子顕微鏡写真)を図12に示す。SEMは電界放射型電子顕微鏡(Jol
6500F)を用い5kVで得た。
【0061】
【表2】

【0062】
[実施例2]
実施例1の超微細生成物を再スラリ化して固体分含量を4%にした。このスラリをPuradisc 25 GD ガラスフィルター(直径25mm、細孔の大きさ2μ)に通し、大きすぎる粒子を除去した。この研磨剤スラリに一般的なCopper CMPスラリから得られる化学パッケージを加えた。この化学パッケージは酸化剤(過酸化水素)、不動化剤(ベンゾトリアゾール)、錯化/エッチング剤(クエン酸)、および安定剤(TEA,TX−100)を含んでいた。比較のため、市販のアルミナをベースにしたCMPスラリ(Cabot Microelectronics)を使用した。
【0063】
このCMPスラリを、二重食刻法によって銅の相互連結部材およびTaの拡散障壁を取付けた200mmのSiウェーハについて試験した。2psiの抑圧力をもった研磨機(Novellus DPEC 372)を使用してCMPスラリを被覆した。その結果を表3および図13に示す。また表3に使用されている「ピッチ」および「パターン密度」を理解するためには図11を参照のこと。
【0064】
【表3】

【0065】
表3の測定はウェーハの過剰研磨区域から行なった。アルミナのスラリの場合、烈しい過剰研磨のためにへこみおよび侵食の測定ができなかった。
[実施例3]
Engelhard社製の水和カオリン噴霧乾燥生成物を原料として使用した。この噴霧乾燥した生成物を実験室においてWaring Blender中で5分間再スラリ化して固体分を40%にした後、CU5000遠心分離器を用い広く開放した状態において固体分40%で15分間脱スライム化した(2400rpm)。脱スライム化の段階から得られる固体分5%の上澄液を構成する水和カオリンの超微細部分をWhatman濾斗(直径25mm、細孔の大きさ2μ)を通して濾過し、CMP組成物に使用する研磨剤スラリにした(試料A)。Sedigraph 5100で測定した原料の噴霧乾燥生成物および超微細生成物の粒径分布を表4に示す。
【0066】
【表4】

【0067】
超微細水和カオリン(試料A)を数回希釈して画像の品質を改善したSEMを図12に示す。SEMは電界放射型電子顕微鏡(Jol 6500F)を用い10kVで得た。
【0068】
他の試料(試料B)を異なった原料供給物PSD材料からつくり、CU5000遠心分離器を用い広く開放した状態において固体分40%で15分間脱スライム化し(2400rpm)、超微細分をさらに32分間2400rpmで脱スライム化し、超微細部分をWhatman濾斗(直径25mm、細孔の大きさ2μ)を通して濾過した。Sedigraph 5100で測定した原料の噴霧乾燥生成物および超微細生成物の粒径分布を表5に示す。
【0069】
【表5】

【0070】
[実施例4および対照例AおよびB]
実施例2の化学パッケージを実施例3で得られた超微細水和カオリンスラリ(試料A)に加え、Cuの平面化のためのCMP組成物(実施例4)をつくった。煙霧シリカのスラリおよびアルミナのスラリを用いて同じ化学パッケージから他のCMP組成物をつくった。使用した煙霧シリカはDegussaのAerosil 200(主平均粒径12nm、Microtracで測定した凝集物の平均の大きさ170nm)(対照例A)であった。アルミナの粒子はα形であり、Polishing Solutions Inc.から得た(対照例B)。金属の平面化のための市販のCMPスラリ中ではこの専売品のアルミナ粒子が使用されている。
【0071】
CMPスラリを被覆しない200mmのテトラヒドロオルトシリケート(以後「TEOS」と呼ぶ)のシリカ・ウェーハ、並びに銅またはタンタルのいずれかで被覆したウェーハに対して試験し、パターンが付けられたウェーハ上の銅を除去するための研磨時間を定める助けとするために研磨速度を決定し、また表面の滑らかさ、および銅/タンタルおよ
び銅/シリカの間の選択性を決定した。次いで二重食刻法により銅の相互連結部材およびタンタルの拡散障壁を取付けた200mmのSiウェーハ(パターンが付けられたウェーハ)に対してCMPスラリを試験し、侵食およびへこみを評価した。侵食は70%のパターン密度で測定し、へこみは300μのピッチの銅線で測定した。へこみおよび侵食の測定は研磨したおよび過剰研磨した(研磨したウェーハよりも20%余分の時間をかけて研磨した)ウェーハの両方について行ない、過剰研磨に対する望ましくない特徴をもった形状の感度を決定した。
【0072】
試験はIPEC−372 M 試験機(Polishing Solutions Inc.,Phoenix,米国、アリゾナ州)を用い、抑圧力5psi、プラテンの速度60rpmで行なった。WIWNUはウェーハ内部における不均一性を表す。
【0073】
【表6】

【0074】
明らかに、超微細水和カオリンをベースにしたCMPスラリでは、煙霧シリカまたはアルミナに比べ、所望の高い選択性と均一性が得られた。超微細水和カオリンを用いた場合の銅材料除去速度は煙霧シリカと同等であるが、アルミナを用いた場合よりも低かった。Cuの平面化に用いるスラリで得られる期待される結果はTa層の所で研磨を止めることであるから、研磨速度よりもCu/Taの選択性の方が重要である。水和カオリン組成物を用いた場合平面化の速度が遅いことは、シリカまたはアルミナをベースにしたCMP組成物に比べ、良好なTa/TEOS選択性が得られる利点によって相殺される。
【0075】
パターンが付けられたウェーハ
研磨が適切なもの:銅を除去したばかりの時に、ウェーハを視察によって評価した。
【0076】
過剰研磨したもの:銅を除去するのに必要な時間よりも20%余分に研磨した新しくパターンが付けられたウェーハ。
【0077】
【表7】

【0078】
超微細水和カオリンをベースにしたCMPスラリでは、シリカおよびアルミナに比べて、侵食性が著しく低く、過剰研磨に対する感度を全く示さなかった。このことは、超微細水和カオリンのスラリで得られる銅/タンタルおよびタンタル/TEOSに対する高い選択性および除去速度と矛盾しない。即ち、超微細水和カオリンのスラリを使用した場合、シリカおよびアルミナに比べて低い侵食性が得られ、酸化物および金属の損失ガラス低くなる。
【0079】
へこみはすべての研磨剤と同様であり、研磨剤の機械的作用に比べて組成物中での化学的挙動の役割が大きいことを示している。
[実施例5および対照例CおよびD]
本実施例においては、実施例4における超微細水和カオリン(試料B)および煙霧シリカをベースにしたCMP組成物を使用したが、化学パッケージからTX100およびTEAを除き、スラリのpHを5から4に低下させた(対照例C)点が異なっている。これに加えて、Cabot Microelectronics製のアルミナをベースにした市販のスラリ(CCMP)も使用した(対照例D)。
【0080】
被覆しない200mmのTEOSのシリカ・ウェーハ、並びに銅またはタンタルのいずれかで被覆したウェーハに対してCMPスラリを試験し、パターンが付けられたウェーハ上の銅を除去するための研磨時間を定める助けとするために研磨速度を決定し、また表面の滑らかさ、および銅/タンタルおよび銅/シリカの間の選択性を決定した。次いで二重食刻法により銅の相互連結部材およびタンタルの拡散障壁を取付けた200mmのSiウェーハ(パターンが付けられたウェーハ)に対してCMPスラリを試験し、侵食およびへこみを評価した。侵食は70%のパターン密度で測定し、へこみは150μの幅の銅線で測定した。へこみおよび侵食の測定は研磨したおよび過剰研磨した(研磨したウェーハよりも20%余分の時間をかけて研磨した)ウェーハの両方について行ない、過剰研磨に対する感度を決定した。
【0081】
試験は実施例4と同じ試験機を用い、抑圧力2psi、プラテンの速度90rpmで行なった。
【0082】
【表8】

【0083】
明らかに、超微細水和カオリンAをベースにしたCMPスラリは、市販のスラリと比べた場合、材料の除去速度を改善し、選択性および均一性を劇的に改善する。シリカと比べた場合、除去速度は僅かに低いが、この因子はCu/TEOS選択性が劇的に増加することに比べて遥かに重要性が低い。非常に高い選択性は、超微細水和カオリンを用いた場合TEOSに対する除去速度が極端に低く、その結果侵食性が低くなり、酸化物に対し、従って金属に対する損失が殆ど起こらないことによるものである。このことは設計において半導体回路の設計者が通常補償しなければならないことである。
【0084】
パターンが付けられたウェーハ
研磨が適切なもの:銅を除去したばかりの時に、ウェーハを視察によって評価した。
【0085】
過剰研磨したもの:銅を除去するのに必要な時間よりも20%余分に研磨した新しくパターンが付けられたウェーハ。
【0086】
【表9】

【0087】
超微細水和カオリンをベースにしたCMPスラリでは、シリカによる侵食が約10%、市販のCCMPスラリによる侵食が50%の結果が得られた。市販のスラリはシリカおよび水和カオリンの試料の両方に比べてへこみは良好であり、組成物の化学的挙動を最適化することの重要性を示している。
【図面の簡単な説明】
【0088】
【図1】本発明の1種の変性された非球形の粒子の一例。
【図2】本発明の他の変性された非球形の粒子の一例。
【図3】本発明の部分的に被覆された非球形の粒子の一例。
【図4】本発明の他の部分的に被覆されたた非球形の粒子の一例。
【図5】本発明の他の部分的に被覆されたた非球形の粒子の一例。
【図6】本発明の他の部分的に被覆されたた非球形の粒子の一例。
【図7】本発明の完全に被覆されたた非球形の粒子の一例。
【図8】本発明の他の部分的に被覆されたた非球形の粒子の一例。
【図9】二酸化珪素層からライダーを除去するためにCMPを使用する図。
【図10】エッチングされた半導体ウェーハを研磨する図。
【図11】金属を含むエッチングされたウェーハを研磨する図。
【図12】実施例1でつくられた超微細研磨剤粒子の走査顕微鏡写真(SEM)。
【図13】研磨剤として酸化アルミニウムを含むCMPスラリおよびカ焼したカオリン粒子を含むCMPスラリを使用した際の銅の除去速度を比較したグラフ。
【図14】実施例3でつくられた超微細研磨剤粒子(試料A)の走査顕微鏡写真(SEM)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
非球形の形状をもった一次研磨剤粒子を含んで成ることを特徴とする化学−機械的平面化用研磨剤スラリ。
【請求項2】
非球形の形状をもつ該研磨剤粒子は雲母、タルク、層状粘土、グラファイトの薄片、ガラスの薄片、および合成重合体の薄片から成る群から選ばれることを特徴とする請求項1記載のスラリ。
【請求項3】
非球形の形状をもつ該研磨剤粒子は層状粘土を含んで成ることを特徴とする請求項2記載のスラリ。
【請求項4】
該粘土粒子は少なくとも1200°Fの温度においてカ焼されていることを特徴とする請求項3記載のスラリ。
【請求項5】
該スラリは最高約20重量%の該研磨剤粒子を含んで成っていることを特徴とする請求項1記載のスラリ。
【請求項6】
該スラリは約0.5〜約8重量%の該研磨剤粒子を含んで成っていることを特徴とする請求項5記載のスラリ。
【請求項7】
該研磨剤粒子は約1μより小さい平均直径をもっていることを特徴とする請求項1記載のスラリ。
【請求項8】
該研磨剤粒子は約0.01〜約0.5μの平均直径をもっていることを特徴とする請求項7記載のスラリ。
【請求項9】
該研磨剤粒子はMohsのかたさが約1〜約6の範囲であることを特徴とする請求項1記載のスラリ。
【請求項10】
該非球形の研磨剤粒子は変性されているか、または少なくとも部分的に被覆されていることを特徴とする請求項1記載のスラリ。

【公表番号】特表2007−525815(P2007−525815A)
【公表日】平成19年9月6日(2007.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−507090(P2006−507090)
【出願日】平成16年3月11日(2004.3.11)
【国際出願番号】PCT/US2004/007468
【国際公開番号】WO2004/083328
【国際公開日】平成16年9月30日(2004.9.30)
【出願人】(591044371)エンゲルハード・コーポレーシヨン (43)
【氏名又は名称原語表記】ENGELHARD CORPORATION
【Fターム(参考)】