説明

化学化合物

本発明は、ピリド[4,3−d]ピリミジン−5(6H)−オン誘導体に関する。具体的には、本発明は、R、R、R、およびRが以下に定義される、式Iの化合物に関する。本発明の化合物はPDK1の阻害剤であり、癌、より詳細には、乳癌、結腸癌、および肺癌などの構成的活性型ACGキナーゼにより特徴づけられる疾患の治療に有用でありうる。したがって、本発明はまた、本発明の化合物を含んでなる医薬組成物に関する。本発明はまた、PDK1活性を阻害する方法およびそれに関連する疾患の治療方法であって、本発明の化合物または本発明の化合物を含んでなる医薬組成物を適用する方法に関する。


【発明の詳細な説明】
【関連出願の参照】
【0001】
本願は、2008年8月12日に出願した米国仮出願第61/088113号に基づく優先権を享受する。
【技術分野】
【0002】
本発明は、セリン/スレオニンキナーゼ、PDK1の活性の阻害剤であるピリド[4,3−d]ピリミジン−5(6H)−オン誘導体に関する。本発明はまた、上記化合物を含んでなる医薬組成物および癌の治療において上記化合物を用いる方法に関する。
【背景技術】
【0003】
ホスホイノシチド−3キナーゼ(PI−3K)経路の活性化は、遺伝子発現、細胞周期の進行、細胞成長、および分化などの重要な細胞機能を制御する最も重要な機構の1つである(Dygas and Baranska, Acta Biochim. Pol. 48:541-549 (2001))。サイトゾル中のAKTおよび他のPI−3K下流キナーゼの修飾は、AKT活性化ループのリン酸化および活性化に重要なキナーゼとして元々同定されたセリン/スレオニンキナーゼである、3−ホスホイノシチド依存性キナーゼ1(PDK1)により媒介される。
【0004】
PDK1の基質には、AKT/PKB、p70S6K、環状AMP−依存性プロテインキナーゼ、プロテインキナーゼC、血清・グルココルチコイド誘導性キナーゼ(SGK)、p90リボソームプロテインキナーゼ(RSK)、p21−活性化キナーゼ−1(PAK1)PRK1/2など、AGCファミリーのプロテインキナーゼの多くがある(cAMP−依存性、cGMP−依存性、およびプロテインキナーゼC)(Wick and Liu, Curr. Drug Targets Immune Endocr. Metabol. Disord. 1:209-221 (2001); Mora et al., Semin. Cell Dev. Biol. 15:161-170 (2004))。しかし、PDK1(−/−)およびPDK1(−/+)マウスを使用した最近のインビボ研究により、PDK1の最も生理学的に関連する基質がAKT、p70S6K、およびRSKであることが示された(Lawlor et al EMBO J. 21:3728-3738 (2002); Williams et al., Curr. Biol. 10:439-448 (2000))。これらの重要なPDK1基質の活性化は、グルコース取込みの増加、タンパク質合成、アポトーシス促進タンパク質の阻害につながる。
【0005】
AKTの制御は、PDK1のPI3K依存性活性化の最も研究されている例である。PI3Kまたは優性阻害型AKT変異体の特定の阻害剤は、成長因子またはサイトカインの生存促進活性を破壊する。PI3Kの阻害剤(LY294002またはワートマニン)が、上流のキナーゼによるAKTの活性化を遮断することが先に記載されている。さらに、構成的活性型PI3KまたはAKT変異体の導入は、細胞が通常アポトーシス細胞死を起こす条件下で細胞生存を促進する(Kulik et al., Mol. Cell Biol. 17(3):1595-1606 (1997); Dudek et al, Science 275(5300):661-665 (1997))。
【0006】
ヒトの腫瘍中のAKTレベルの分析は、AKTが、数多くの卵巣癌(Cheung et al., Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 89:9267-9271 (1992))および膵臓癌(Cheung et al., Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 93:3636-3641 (1996))で過剰発現されていることを明らかにした。また、AKTは、乳癌および前立腺癌の細胞系でも過剰発現していることが見いだされた(Nakatani et al. J. Biol. Chem. 274:21528-21532 (1999))。
【0007】
数多くの癌が、PI3Kの産物である、ホスファチジルイノシトール3,4,5−トリホスフェート(PIP3)の細胞レベルを上昇させる、遺伝子中の突然変異を有する。PIP3のレベルを上昇させる最もよく見られる突然変異の1つは、PIP3 3−ホスファターゼPTEN遺伝子にある(Leslie and Downes, Cell Signal. 14:285-295 (2002); Cantley, Science 296:1655-1657 (2002))。PIP3のレベル上昇はAKTおよびp70S6Kキナーゼの過剰活性化をもたらし、それがこれらの細胞の制御されない増殖および生存増加の主な推進力として機能していると考えられる。PTENの生殖細胞系突然変異は、カウデン病などのヒトの癌症候群の原因である(Liaw et al., Nature Genetics 16:64-67 (1997))。PTENはヒトの腫瘍中で高いパーセンテージで欠失し、機能性PTENのない腫瘍細胞系は活性化された高レベルのAKTを示す(Li et al. supra, Guldberg et al., Cancer Research 57:3660-3663 (1997), Risinger et al., Cancer Research 57:4736-4738 (1997))。
【0008】
セカンドメッセンジャー調節性セリン/スレオニンプロテインキナーゼのAKT/PKBサブファミリーの3メンバーが同定され、AKT1、AKT2、およびAKT3と称されている。これらのアイソフォームは、特に触媒ドメインをコードする領域において相同である。AKTは、PI3Kシグナル伝達に応答して起こるリン酸化事象により活性化される。PI3Kは、膜イノシトールリン脂質をリン酸化し、セカンドメッセンジャーであるホスファチジルイノシトール3,4,5−トリホスフェート(PIP3)およびホスファチジルイノシトール3,4−ジホスフェートが生じるが、これらはAKTのPHドメインに結合することが示されている。AKT活性化の現在のモデルは、PIP3による膜への酵素の補充を提案している。PDK1もPHドメインを有し、AKTとPDK1との膜での同時局在が、PDK1および恐らく他のキナーゼによるAKT修飾および活性化を可能にすると仮定されている(Hemmings, Science 275:628-630 (1997); Hemmings, Science 276:534 (1997); Downward, Science 279:673-674(1998))。
【0009】
AKT1のリン酸化は、2つの調節部位、すなわち触媒ドメイン活性化ループ中のPDK1によるThr308およびカルボキシ末端近傍のSer473(最も可能性が高いのはTORC2 mTOR複合体による)で起こる(Alessi et al., EMBO J. 15:6541-6551 (1996); Meier et al., J. Biol. Chem. 272:30491-30497 (1997))。
【0010】
PDK1の重要なPI3K非依存性の生理的基質、p90リボソームプロテインS6キナーゼ(RSK)は、チロシン受容体誘導性造血形質転換を促進することが最近示唆された(Kang et al., Cancer Cell 12:201-214 (2007))。PDK1は、そのアミノ末端キナーゼドメインをERK依存的にリン酸化してRSKを活性化する(Cohen et al., Nature Chem. Biol. 3(3):156-160 (2007))。
【0011】
また、最近の研究は、細胞の運動性および移動など腫瘍形成および転移の間に重要であるかもしれないPDK1の追加的な役割を明らかにした(Primo et al., J. Cell Biol. 176(7):1035-1047 (2007); Pinner and Sahai, Nature Cell Biol. 10(2):127-137 (2008))。
【0012】
まとめると、これらの観察は、PDK1の阻害剤が、構成的活性型AGCキナーゼを有する(しかしそれに限定されない)癌細胞の治療に有用である可能性を示している。
【発明の概要】
【0013】
本発明は、ピリドロ[4,3−d]ピリミジン−5(6H)−オン誘導体に関する。具体的には、本発明は、R、R、R、およびRが以下で定義される式Iの化合物に関する。
【0014】
【化1】

【0015】
本発明の化合物はPDK1の阻害剤であり、癌、より具体的には乳癌、結腸癌、および肺癌などの構成的活性型ACGキナーゼにより特徴づけられる疾患の治療に有用でありうる。したがって、本発明はさらに、本発明の化合物を含んでなる医薬組成物に関する。本発明は、PDK1活性の阻害する方法およびそれに関連する疾患を治療方法であって、本発明の化合物または本発明の化合物を含んでなる医薬組成物を用いる方法に関する。
【発明の具体的説明】
【0016】
本発明は、式Iの化合物に関する:
【0017】
【化2】

【0018】
(上記式中、
は、アリール、−CH−アリール、またはヘテルアリールであり、それぞれは所望により1〜3つのRにより置換されており、
は、H、所望により1もしくは2つのRにより置換されているC−Cアルキル、所望により1〜3つのRにより置換されているC−Cシクロアルキル、または所望により1〜3つのRにより置換されているヘテロシクロアルキルであり、かつ、Rは、H、C−Cアルキル、またはフェニルであり、あるいは
およびRは、それらが結合している窒素原子とともに結合して、追加のN、S、またはO原子を1つ含みかつ所望により1つのOH、オキソ、アリール、または−NRにより置換されている1〜3つのC−Cアルキル基により所望により置換されている飽和4〜7員ヘテロシクロアルキルを形成し、
は、H、ハロ、C−Cアルキル、C−Cハロアルキル、シアノ、C−Cアルコキシ、所望によりNR、1〜3つのRにより置換されているアリール、所望により1〜3つのRにより置換されているヘテルアリールであり、
各Rは、ハロ、CN、C−Cアルコキシ、ヘテルアリール、−S(O)、−S(O)NR、−NRS(O)、−NRC(O)R、−C(O)NR、−NRC(O)NR、および所望により−NRにより置換されているC−Cアルキルからなる群から独立に選択され、
各Rは、OH、−NR、−NRC(O)R、1,1−シクロプロパンジカルボキサミド、ヘテルアリール、ヘテロシクロアルキル、および、所望によりS(O)NHにより置換されているアリールからなる群から独立に選択され、
各Rは、OH、C−Cアルコキシ、−NR、および、所望により−NRにより置換されているC−Cアルキルからなる群から独立に選択され、
各Rは、H、ヘテロシクロアルキル、および、所望により1つの−NHまたはNHCHにより置換されているC−Cアルキルからなる群から独立に選択され、
各Rは独立に、HまたはC−Cアルキルである)。
【0019】
本発明の一態様によれば、Rは所望により置換されているアリールであり、好適には、所望により1〜3つのR基により置換されているフェニルである。具体的には、Rは、所望により1〜3つのR基により置換されているフェニルであって、Rが、フルオロ、CN、−S(O)、−S(O)NR、−NRC(O)R、および所望により−NRにより置換されているC−Cアルキルであるものである。好適には、Rは、所望により1〜3つのRにより置換されている−CH−フェニルである。好適には、Rは、所望により1〜3つのRにより置換されているピラゾリルまたはインダゾリルである。
【0020】
本発明の他の態様によれば、Rは、H、所望により1もしくは2つのRにより置換されているC−Cアルキル、所望により1から3のRにより置換されているC−Cシクロアルキル、または、所望により1〜3つのRにより置換されているヘテロシクロアルキルであり、Rは、H、C−Cアルキル、またはフェニルである。好適には、Rは、所望により1もしくは2つのRにより置換されているC−Cアルキルである。他の態様によれば、Rは、ピロリジニル、ピペリジニル、シクロヘキシル、またはシクロプロピルであり、そのそれぞれは所望により1〜3つのRにより置換されており、Rは、H、C−Cアルキル、またはフェニルである。
【0021】
本発明の他の態様によれば、Rは、H、メチル、またはブロモである。
【0022】
本発明の例には以下のものが包含される:
2−[(3−アミノプロピル)アミノ]−4−[(3−メチルフェニル)アミノ]ピリド[4,3−d]ピリミジン−5(6H)−オン;
2−[(3−アミノプロピル)アミノ]−4−[(フェニルメチル)アミノ]ピリド[4,3−d]ピリミジン−5(6H)−オン;
2−[(3−アミノプロピル)アミノ]−4−(フェニルアミノ)ピリド[4,3−d]ピリミジン−5(6H)−オン;
2−[(3−アミノプロピル)アミノ]−4−[(2−フルオロフェニル)アミノ]ピリド[4,3−d]ピリミジン−5(6H)−オン;
2−[(3−アミノプロピル)アミノ]−8−メチル−4−[(3−メチルフェニル)アミノ]ピリド[4,3−d]ピリミジン−5(6H)−オン;
2−[(3−アミノプロピル)アミノ]−4−{[4−(メチルスルホニル)フェニル]アミノ}ピリド[4,3−d]ピリミジン−5(6H)−オン;
2−[(3−アミノプロピル)アミノ]−4−{[3−(メチルスルホニル)フェニル]アミノ}ピリド[4,3−d]ピリミジン−5(6H)−オン;
2−[(3−アミノプロピル)アミノ]−4−{[3−(3−アミノプロピル)フェニル]アミノ}ピリド[4,3−d]ピリミジン−5(6H)−オン;
4−{[3−(2−アミノエチル)フェニル]アミノ}−2−[(3−アミノプロピル)アミノ]ピリド[4,3−d]ピリミジン−5(6H)−オン;
4−{[4−(2−アミノエチル)フェニル]アミノ}−2−[(3−アミノプロピル)アミノ]ピリド[4,3−d]ピリミジン−5(6H)−オン;
2−[(3−アミノプロピル)アミノ]−8−メチル−4−[(3−メチルフェニル)アミノ]ピリド[4,3−d]ピリミジン−5(6H)−オン;
4−(1H−ピラゾル−4−イルアミノ)−2−[(3R)−3−ピロリジニルアミノ]ピリド[4,3−d]ピリミジン−5(6H)−オン;
2−[(3−アミノプロピル)アミノ]−4−[(2−メチルフェニル)アミノ]ピリド[4,3−d]ピリミジン−5(6H)−オン;
2−[(3−アミノプロピル)アミノ]−4−[(2,2−ジオキシド−1,3−ジヒドロ−2−ベンゾチエン−5−イル)アミノ]ピリド[4,3−d]ピリミジン−5(6H)−オン;
N−[3−({2−[(3−アミノプロピル)アミノ]−5−オキソ−5,6−ジヒドロピリド[4,3−d]ピリミジン−4−イル}アミノ)フェニル]−1−ピロリジンカルボキサミド;
N−{3−[(2−{[2−(1H−イミダゾル−4−イル)エチル]アミノ}−5−オキソ−5,6−ジヒドロピリド[4,3−d]ピリミジン−4−イル)アミノ]フェニル}−1−ピロリジンカルボキサミド;
N−[3−({5−オキソ−2−[(3R)−3−ピロリジニルアミノ]−5,6−ジヒドロピリド[4,3−d]ピリミジン−4−イル}アミノ)フェニル]−1−ピロリジンカルボキサミド;
N−[4−({2−[(3−アミノプロピル)アミノ]−5−オキソ−5,6−ジヒドロピリド[4,3−d]ピリミジン−4−イル}アミノ)フェニル]−1−ピロリジンカルボキサミド;
3−({2−[(3−アミノプロピル)アミノ]−5−オキソ−5,6−ジヒドロピリド[4,3−d]ピリミジン−4−イル}アミノ)−N−エチルベンゼンスルホンアミド;
2−[(3−アミノプロピル)アミノ]−4−(1H−インダゾル−6−イルアミノ)ピリド[4,3−d]ピリミジン−5(6H)−オン;
2−[(3−アミノプロピル)アミノ]−4−(1H−インダゾル−5−イルアミノ)ピリド[4,3−d]ピリミジン−5(6H)−オン;
4−({2−[(3−アミノプロピル)アミノ]−5−オキソ−5,6−ジヒドロピリド[4,3−d]ピリミジン−4−イル}アミノ)ベンゾニトリル;
2−[(3−アミノプロピル)アミノ]−8−ブロモ−4−[(3−メチルフェニル)アミノ]ピリド[4,3−d]ピリミジン−5(6H)−オン;
【0023】
2−{[3−(ジメチルアミノ)プロピル]アミノ}−4−[(3−メチルフェニル)アミノ]ピリド[4,3−d]ピリミジン−5(6H)−オン;
2−[[3−(ジメチルアミノ)プロピル](メチル)アミノ]−4−[(3−メチルフェニル)アミノ]ピリド[4,3−d]ピリミジン−5(6H)−オン;
2−{[3−(メチルアミノ)プロピル]アミノ}−4−[(3−メチルフェニル)アミノ]ピリド[4,3−d]ピリミジン−5(6H)−オン;
4−[(3−メチルフェニル)アミノ]−2−{[3−(4−モルホリニル)プロピル]アミノ}ピリド[4,3−d]ピリミジン−5(6H)−オン;
4−[(3−メチルフェニル)アミノ]−2−{[2−(4−ピリジニル)エチル]アミノ}ピリド[4,3−d]ピリミジン−5(6H)−オン;
4−[(3−メチルフェニル)アミノ]−2−[(1−メチル−4−ピペリジニル)アミノ]ピリド[4,3−d]ピリミジン−5(6H)−オン;
4−[2−({4−[(3−メチルフェニル)アミノ]−5−オキソ−5,6−ジヒドロピリド[4,3−d]ピリミジン−2−イル}アミノ)エチル]ベンゼンスルホンアミド;
2−{[2−(1H−イミダゾル−2−イル)エチル]アミノ}−4−[(3−メチルフェニル)アミノ]ピリド[4,3−d]ピリミジン−5(6H)−オン;
2−[(4−アミノシクロヘキシル)アミノ]−4−[(3−メチルフェニル)アミノ]ピリド[4,3−d]ピリミジン−5(6H)−オン;
2−[(3−アミノシクロヘキシル)アミノ]−4−[(3−メチルフェニル)アミノ]ピリド[4,3−d]ピリミジン−5(6H)−オン;
2−[(3−アミノ−2,2−ジメチルプロピル)アミノ]−4−[(3−メチルフェニル)アミノ]ピリド[4,3−d]ピリミジン−5(6H)−オン;
4−[(3−メチルフェニル)アミノ]−2−{[3−(2−オキソ−1−ピロリジニル)プロピル]アミノ}ピリド[4,3−d]ピリミジン−5(6H)−オン;
2−[(2−アミノ−2−メチルプロピル)アミノ]−4−[(3−メチルフェニル)アミノ]ピリド[4,3−d]ピリミジン−5(6H)−オン;
2−(メチルアミノ)−4−[(3−メチルフェニル)アミノ]ピリド[4,3−d]ピリミジン−5(6H)−オン;
2−アミノ−4−[(3−メチルフェニル)アミノ]ピリド[4,3−d]ピリミジン−5(6H)−オン;
2−[(3−アミノ−2−ヒドロキシプロピル)アミノ]−4−[(3−メチルフェニル)アミノ]ピリド[4,3−d]ピリミジン−5(6H)−オン;
2−(シクロプロピルアミノ)−4−[(3−メチルフェニル)アミノ]ピリド[4,3−d]ピリミジン−5(6H)−オン;
4−[(3−メチルフェニル)アミノ]−2−(4−ピペリジニルアミノ)ピリド[4,3−d]ピリミジン−5(6H)−オン;
4−[(3−メチルフェニル)アミノ]−2−{[2−(1−ピペラジニル)エチル]アミノ}ピリド[4,3−d]ピリミジン−5(6H)−オン;
4−[(3−メチルフェニル)アミノ]−2−[(4−ピペリジニルメチル)アミノ]ピリド[4,3−d]ピリミジン−5(6H)−オン;
4−[(3−メチルフェニル)アミノ]−2−[(3S)−3−ピロリジニルアミノ]ピリド[4,3−d]ピリミジン−5(6H)−オン;
4−[(3−メチルフェニル)アミノ]−2−[(3R)−3−ピペリジニルアミノ]ピリド[4,3−d]ピリミジン−5(6H)−オン;
2−[4−(アミノメチル)−1−ピペリジニル]−4−[(3−メチルフェニル)アミノ]ピリド[4,3−d]ピリミジン−5(6H)−オン;
【0024】
2−[(3R)−3−アミノ−1−ピロリジニル]−4−[(3−メチルフェニル)アミノ]ピリド[4,3−d]ピリミジン−5(6H)−オン;
2−[(3S)−3−アミノ−1−ピロリジニル]−4−[(3−メチルフェニル)アミノ]ピリド[4,3−d]ピリミジン−5(6H)−オン;
4−[(3−メチルフェニル)アミノ]−2−[(3R)−3−ピロリジニルアミノ]ピリド[4,3−d]ピリミジン−5(6H)−オン;
4−[(3−メチルフェニル)アミノ]−2−[(3R)−3−ピペリジニルアミノ]ピリド[4,3−d]ピリミジン−5(6H)−オン;
−[3−({4−[(3−メチルフェニル)アミノ]−5−オキソ−5,6−ジヒドロピリド[4,3−d]ピリミジン−2−イル}アミノ)プロピル]−1,1−シクロプロパンジカルボキサミド;
(4R)−N−[3−({4−[(3−メチルフェニル)アミノ]−5−オキソ−5,6−ジヒドロピリド[4,3−d]ピリミジン−2−イル}アミノ)プロピル]−2−オキソ−1,3−チアゾリジン−4−カルボキサミド;
−メチル−N−[3−({4−[(3−メチルフェニル)アミノ]−5−オキソ−5,6−ジヒドロピリド[4,3−d]ピリミジン−2−イル}アミノ)プロピル]グリシンアミド;および
N−[3−({4−[(3−メチルフェニル)アミノ]−5−オキソ−5,6−ジヒドロピリド[4,3−d]ピリミジン−2−イル}アミノ)プロピル]−L−プロリンアミド。
【0025】
当業者は、式Iの化合物の薬学的に許容可能な塩が製造できることを認識するだろう。実際に、本発明の特定の態様によれば、式Iの化合物の薬学的に許容可能な塩は、そのような塩が分子に高い安定性または溶解度を与えて剤形への製剤を容易にするため、それぞれの遊離塩基よりも好ましいことがある。したがって、本発明はさらに、式Iの化合物の薬学的に許容可能な塩に関する。
【0026】
式Iの化合物は、1つ以上の不斉中心(キラル中心とも呼ばれる)を含むことがあり、そのため、個々のエナンチオマー、ジアステレオマー、もしくは他の立体異性体、またはそれらの混合物として存在することがある。キラル炭素原子などのキラル中心は、アルキル基などの置換基中に存在することもある。式Iまたは本明細書に説明される化学構造中に存在するキラル中心の立体化学が明示されない場合、該構造は個々の立体異性体の全ておよびそれらの混合物の全てを包含するものとする。したがって、1つ以上のキラル中心を含む式Iの化合物を、ラセミ混合物としても、エナンチオ濃縮された混合物としても、エナンチオマー的に純粋な個々の立体異性体としても使用できる。
【0027】
1つ以上の不斉中心を含む式Iの化合物の個々の立体異性体は、当業者に公知の方法により分割できる。例えば、そのような分割は、(1)ジアステレオ異性体塩、錯体、もしくは他の誘導体の形成により、(2)立体異性体特異的試薬との選択的反応により、例えば酵素的な酸化または還元により;または(3)キラル環境中での、例えばキラルリガンドが結合したシリカなどのキラル担体で、もしくはキラル溶媒の存在下での気体−液体もしくは液体クロマトグラフィーにより実施できる。当業者は、所望の立体異性体が上述の分離手順の1つにより別の化学物質に転化される場合、所望の形態を遊離するさらなる工程が必要であることを認識するだろう。別法としては、光学活性な試薬、基質、触媒、もしくは溶媒を使用する不斉合成により、または不斉変換により1つのエナンチオマーを他のものに転化することによって、特定の立体異性体を合成できる。
【0028】
式Iの化合物は、二重結合または幾何学的な非対称性の他の中心を含むこともある。式Iまたは本明細書に説明される化学構造中に存在する幾何学的な非対称性の中心の立体化学が明示されない場合、該構造は、トランス(E)幾何異性体、シス(Z)幾何異性体、およびそれらの混合物の全てを包含するものとする。同様に、互変異性体は平衡状態であろうと、1つの形態が優勢に存在しようと、そのような互変異性体の全てがやはり式Iに含まれる。
【0029】
式Iの化合物またはその薬学的に許容可能な塩は、固体で存在することも、液体で存在することもある。固体状態である場合、本発明の化合物は、結晶形もしくは非結晶形またはそれらの混合物としても存在することがある。結晶形にある本発明の化合物では、溶媒分子が結晶化の間に結晶格子に取り込まれる薬学的に許容可能な溶媒和物が形成されうることを、当業者は認識するだろう。溶媒和物は、エタノール、イソプロパノール、DMSO、酢酸、エタノールアミン、および酢酸エチルなどの非水性溶媒を含むことがあり、または結晶格子中に取り込まれた溶媒として水を含むこともある。水が結晶格子中に取り込まれた溶媒である溶媒和物は、典型的には「水和物」と称される。水和物には、化学量論的な水和物ならびに変動する量の水を含む組成物も含まれる。本発明はそのような溶媒和物を全て含む。
【0030】
当業者は、種々の溶媒和物を含む結晶形で存在する式Iの特定の化合物またはその薬学的に許容可能な塩が多形性(すなわち、異なる結晶構造で存在する能力)を示しうることをさらに認識するだろう。このような異なる結晶形は典型的には「多形体」として知られている。本発明はそのような多形体を全て含む。多形体は、化学組成が同じだが、充填、幾何的な配置、および結晶固体状態の他の記述的性質が異なる。したがって、多形体は、形状、密度、硬さ、変形能力、安定性、および溶解性などの物性が異なることがある。多形体は、典型的には、融点、IRスペクトル、およびX線粉末回折パターンが異なり、それを同定に利用することができる。当業者は、例えば、化合物製造に使用される反応条件または試薬を変更または調整することにより、異なる多形体が製造可能なことを認識するだろう。例えば、温度、圧力、または溶媒の変化は多形体を生み出すことがある。さらに、ある多形体がある条件下で自然に他の多形体に転化することがある。
【0031】
「アルキル」は、明示された数のメンバー原子を有する飽和炭化水素鎖を意味する。例えば、C−Cアルキルは、1から6のメンバー原子を有するアルキル基を意味する。アルキル基は、本明細書に定義された1つ以上の置換基により所望により置換されていてよい。アルキル基は直鎖のことも分岐鎖のこともある。代表的な分岐アルキル基は、1つ、2つ、または3つの分岐を有する。アルキルには、メチル、エチル、プロピル(n−プロピルおよびイソプロピル)、ブチル(n−ブチル、イソブチル、およびt−ブチル)、ペンチル(n−ペンチル、イソペンチル、およびネオペンチル)、およびヘキシルがある。
【0032】
「アルコキシ」は、C−Cアルキルが本明細書に定義されたとおりの−O−C−Cアルキル基を意味する。そのような基の例には、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペントキシ、およびヘキソキシがある。
【0033】
「アリールおよびAr」は、芳香族炭化水素環を意味する。アリール基は単環系または二環系である。単環アリール環はフェニルを意味する。二環アリール環はナフチルおよび5、6、または7つのメンバー原子を有するシクロアルキルまたはシクロアルケニル環にフェニルが縮合している環を意味する。アリール基は、本明細書に定義される1つ以上の置換基により所望により置換されていてよい。
【0034】
「シクロアルキル」は、明示された数のメンバー原子を有する飽和の炭化水素環を意味する。シクロアルキル基は単環系である。例えば、C−Cシクロアルキルは、3から6のメンバー原子を有するシクロアルキル基を意味する。シクロアルキル基は、本明細書に定義される1つ以上の置換基により所望により置換されていてよい。シクロアルキルには、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、およびシクロヘキシルがある。
【0035】
「ハロ」は、ハロゲン基、フルオロ、クロロ、ブロモ、およびヨードを意味する。
【0036】
「ハロアルキル」は、アルキル基内のメンバー原子に結合している少なくとも1つの水素原子がハロに置換されているアルキル基を意味する。ハロアルキルには、モノフルオロメチル、ジフルオロエチル、およびトリフルオロメチルがある。
【0037】
「ヘテルアリール」は、環の中のメンバー原子として1から4つのヘテロ原子を含む芳香環を意味する。2つ以上のヘテロ原子を含むヘテルアリール基は、異なるヘテロ原子を含むことがある。ヘテルアリール基は、本明細書に定義される1つ以上の置換基により所望により置換されていてよい。ヘテルアリール基は、単環系または縮合、スピロ、もしくは架橋二環系である。単環ヘテルアリール環は、5または6つのメンバー原子を有する。二環ヘテルアリール環は、7から11のメンバー原子を有する。二環ヘテルアリール環には、フェニルと単環ヘテロシクロアルキル環とが結合して縮合、スピロ、もしくは架橋二環系を形成している環および単環ヘテルアリール環と単環シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクロアルキル、もしくはヘテルアリール環とが結合して縮合、スピロ、もしくは架橋二環系を形成している環がある。ヘテルアリールには、ピロリル、ピラゾリル、イミダゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、フラニル、フラザニル、チエニル、トリアゾリル、ピリジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、ピラジニル、トリアジニル、テトラジニル、インドリル、イソインドリル、インドリジニル、インダゾリル、プリニル、キノリニル、イソキノリニル、キノキサリニル、キナゾリニル、プテリジニル、シンノリニル、ベンゾイミダゾリル、ベノピラニル(benopyranyl)、ベンゾオキサゾリル、ベンゾフラニル、イソベンゾフラニル、ベンゾチアゾリル、ベンゾチエニル、フロピリジニル、およびナプチリジニル(napthyridinyl)がある。
【0038】
「ヘテロ原子」は、窒素、硫黄、または酸素原子を意味する。
【0039】
「ヘテロシクロアルキル」は、環の中のメンバー原子として1から4つのヘテロ原子を含む飽和または不飽和の環を意味する。しかし、ヘテロシクロアルキル環は芳香族ではない。2つ以上のヘテロ原子を含むヘテロシクロアルキル基は、異なるヘテロ原子を含むことがある。ヘテロシクロアルキル基は、本明細書に定義される1つ以上の置換基により所望により置換されていてよい。ヘテロシクロアルキル基は、4から7つのメンバー原子を有する単環系である。特定の態様によれば、ヘテロシクロアルキルは飽和している。他の態様によれば、ヘテロシクロアルキルは不飽和であるが芳香族ではない。ヘテロシクロアルキルには、ピロリジニル、テトラヒドロフラニル、ジヒドロフラニル、ピラニル、テトラヒドロピラニル、ジヒドロピラニル、テトラヒドロチエニル、ピラゾリジニル、オキサゾリジニル、チアゾリジニル、ピペリジニル、ホモピペリジニル、ピペラジニル、モルホリニル、チアモルホリニル、1,3−ジオキソラニル、1,3−ジオキサニル、1,4−ジオキサニル、1,3−オキサチオラニル、1,3−オキサチアニル、1,3−ジチアニル、およびアゼチジニルがある。
【0040】
「所望により置換されている」は、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクロアルキル、またはヘテルアリールなどの基が、非置換でも、本明細書に定義される1つ以上の置換基により置換されてもよいことを示す。ある基に関連する「置換されている」は基の中のメンバー原子に結合している水素原子が置換されていることを示す。「置換されている」という用語が、そのような置換が置換される原子および置換基の許容される原子価に従い、置換が安定な化合物(すなわち、転位、環化、または脱離などの変換を自然に起こさないもの)を生み出すという暗黙の条件を含むことを理解されたい。特定の態様によれば、置換が原子の許容される原子価に従う限り、単一の原子が2つ以上の置換基により置換されることがある。好適な置換基は、置換されている基または所望により置換されている基のそれぞれに対し、本明細書に定義される。
【0041】
「薬学的に許容可能な」は、健全な医学的判断の範囲内で、過度の毒性、刺激、または他の問題もしくは合併症がなく、ヒトおよび動物の組織との接触に使用するのに好適であり、妥当な利益/リスク比と釣り合う化合物、物質、組成物、および剤形を意味する。
【0042】
本明細書では、プロセス、スキーム、および実施例に使用される記号および慣行は、現代の科学文献、例えばthe Journal of the American Chemical Societyまたはthe Journal of Biological Chemistryに使用されるものと一致している。標準的な1文字または3文字略語が、特記されない限りL配置にあると想定されるアミノ酸残基を示すのに一般的に使用される。特記されない限り、出発物質は全て製造業者から入手し、さらに精製することなく使用した。具体的には、以下の略語を実施例および明細書全体で使用した。
Ac(アセチル);
ATP(アデノシン三リン酸);
BBDM(tert−ブトキシビス(ジメチルアミノ)メタン);
BOC(tert−ブチルオキシカルボニル);
BSA(ウシ血清アルブミン);
CHCN(アセトニトリル);
DCM(ジクロロメタン);
DIEA(N,N−ジイソプロピルエチルアミン);
DIPEA(ジイソプロピルエチルアミン);
DMA(ジメチルアセトアミド);
DMF(N,N−ジメチルホルムアミド);
DMSO(ジメチルスルホキシド);
EDC(1−[3−ジメチルアミノ)プロピル]−3−エチルカルボジイミド塩酸塩);
EDTA(エチレンジアミン四酢酸);
EtOAc(酢酸エチル);
HATU(O−(7アザベンゾベンゾトリアゾル−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート);
HEPES(4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジンエタンスルホン酸);
HOAc(酢酸);
HOBT(1−ヒドロキシベンゾトリアゾール);
HPLC(高速液体クロマトグラフィー);
LHMDS(リチウムヘキサメチルジシラジド)
mCPBA(メタクロロ過安息香酸);
MeOH(メタノール);
NBS(N−ブロモスクシンイミド);
TFA(トリフルオロ酢酸);および
THF(テトラヒドロフラン)。
【0043】
化合物製造
式Iの化合物は従来の有機合成を利用して製造される。好適な合成経路は以下の一般反応スキームに示される。
【0044】
本明細書に記載される置換基が本明細書に記載される合成方法と適合しない場合、そのような置換基を反応条件に対し安定な好適な保護基により保護できることを、当業者は認識するだろう。保護基を反応シーケンス中の好適な時点で除去して、所望の中間体または標的化合物を与えることができる。好適な保護基およびそのような好適な保護基を利用する種々の置換基の保護・脱保護の方法は当分野に周知である:そのような例は、T. Greene and P. Wuts, Protecting Groups in Chemical Synthesis (3rd ed.), John Wiley & Sons, NY (1999)に見いだすことができる。いくつかの場合、利用される反応条件下で反応性であるように置換基が具体的に選択されることがある。そのような状況下では、反応条件により、選択された置換基が、中間体化合物として有用であるか、または標的化合物中の所望の置換基である他の置換基に転化する。
【0045】
【化3】

【0046】
条件:a)S−メチルイソチオウロニウムサルフェート、EtN、EtOH、還流;b)NBS、過酸化ベンゾイル、KCO、CCl;c)POCl;d)ArNH、DIEA、DMF、70℃;e)NaOH、EtOH/HO;f)HATU、DIEA、NHOH;g)LHMDS、DMF、125℃;h)DMF−DMA、110℃;次いでHOAc、還流;i)mCPBA;アミン(RNHまたはRNH)
【0047】
一般式Aの置換ジアルキルメチレンマロナートを、還流下エタノール中で適切な塩基の存在下でS−メチルイソチオウロニウムサルフェートと反応させて、Bを与えることができる。化合物Bを、還流している四塩化炭素または他の溶媒(例えばジオキサン)中で適切な塩基の存在下で過酸化ベンゾイルと反応させて、フェノールCに転化できる。化合物Cを還流下でPOClで処理するとクロロピリミジンDが生じ、それを50℃から120℃の温度でDMF中で塩基の存在下適切なアニリンとカップリングさせる。ピリミジンエステルEを、二段階のシーケンスでアミドに転化する(加水分解およびアミド形成)。100℃から140℃の温度でDMF中でアミドGをリチウムヘキサメチルジシラジドと反応させると、ピリド[4,3−d]ピリミジン−5(6H)−オン誘導体Hを与える。別法としては、化合物Gを80℃から120℃の温度でDMF中でDMF−DMAと反応させ、次いで生じたエナミンを酢酸中で還流して、化合物Hを製造できる。化合物Hのスルフィドを酸化剤(すなわち、mCPBA、H−TFA)により酸化し、次いで適切なアミンによりスルホンを置換し脱保護すると、所望のピリミドピリドンアナログIが得られる。
【0048】
【化4】

【0049】
条件:a)酢酸、90℃から140℃;b)S−メチルイソチオウロニウムサルフェート、NaOMe、CHOH;c)CuCl、亜硝酸tert−ブチル、MgSO、アセトニトリル、80℃;d)ArNH、DIEA、DMF、75℃;またはArNH、濃HCl、イソプロパノール、還流;またはTsOH、1,4−ジオキサン、90℃;e)DMF−DMAまたはtert−ブトキシビス(ジメチルアミノ)メタン(BBDM)、DMF、110℃;f)33%HBr/HOAc;g)6NのHCl(水溶液)/HOAc、80℃;h)mCPBA、DMF;次いでアミン(RNH);i)mCPBA、DMF、Boc−保護アミン;j)TFA、CHCl
【0050】
スキーム2に示されるとおり、マロノニトリル(J)とオルト酢酸トリエチル(K)とを縮合し、得られた(1−エトキシエチリデン)マロノニトリル(L)とs−メチルイソチオウレアヘミサルフェート塩とをメタノール中で反応させて、4−アミノ−6−メチル−2−(メチルチオ)−5−ピリミジンカルボニトリル(M)を製造できる。
【0051】
化合物Mは、ジアゾ化試薬およびハロゲン化第二銅、例えば、tert−ブチルニトリルおよび塩化第二銅の存在下でアミノ官能基を反応させてハロゲン化して、Nを与えることができる。化合物Nをアニリンまたはヘテルアリールアミンと反応させて、適切な塩基(例えば、N,N−ジイソプロピルエチルアミン)の存在下、65℃から120℃の温度でDMF中、還流しているイソプロパノール中の濃塩化水素酸の存在下で、または90℃の1,4−ジオキサン中のTsOHの存在下のいずれかで化合物Oを与える。化合物Oを、90℃から120℃の温度のDMF中でDMF−DMAまたはtert−ブトキシビス(ジメチルアミノ)メタン(BBDM)により処理すると、エナミンPを与える。Pを33%HBrの酢酸溶液と反応させると、臭素化された化合物Qが生じるが、酢酸中6N塩酸を利用し60℃から100℃の温度でRに加水分解する。スルフィドRを好適な試薬、例えば、mCPBAまたはH/TFAにより酸化し、生じたスルホンを適切なアミンで置換し、脱保護(必要な場合)すると、RがHである所望のピリド[4,3−d]ピリミジン−5(6H)−オン誘導体Iが得られる。
【0052】
使用の方法
式Iの化合物およびその薬学的に許容可能な塩はPDK1の阻害剤である。これらの化合物は、基礎をなす病状が構成的活性型ACGキナーゼに起因する(しかしそれに限定されない)病態、例えば、癌、より詳細には乳癌、結腸癌、および肺癌などの治療に有用な可能性がある。構成的活性型ACGキナーゼとは、1種以上のACGキナーゼが、生理学的な需要または濃度にかかわらず一定の速度で産生されることを意味する。したがって、他の態様において、本発明はそのような病態を治療する方法に関する。
【0053】
好適には、本発明は、炎症性乳癌、乳管癌、および小葉癌を含む乳癌を治療し、またはその重症度を低減する方法に関する。
【0054】
好適には、本発明は、結腸癌を治療し、またはその重症度を低減する方法に関する。
【0055】
好適には、本発明は、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、扁平上皮癌、腺癌、および大細胞癌を含む肺癌を治療し、またはその重症度を低減する方法に関する。
【0056】
好適には、本発明は、脳(グリオーマ)癌、神経膠芽腫、ウィルムス腫瘍、ユーイング肉腫、横紋筋肉腫、脳室上衣腫、髄芽細胞腫、頭頸部癌、腎臓癌、肝臓癌、メラノーマ、卵巣癌、膵臓癌、前立腺癌、肉腫、骨肉腫、骨の巨細胞腫、甲状腺癌、リンパ芽球性T細胞白血病、慢性骨髄性白血病、慢性リンパ性白血病、ヘアリー細胞白血病、急性リンパ芽球性白血病、急性骨髄性白血病、慢性好中球性白血病、急性リンパ芽球性T細胞白血病、形質細胞腫、大細胞型免疫芽球性白血病、マントル細胞白血病、多発性骨髄腫、巨核芽球性白血病、多発性骨髄腫、急性巨核芽球性白血病、前骨髄球性白血病、赤白血病、悪性リンパ腫、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、リンパ芽球性T細胞リンパ腫、バーキットリンパ腫、濾胞性リンパ腫、神経芽細胞腫、膀胱癌、尿路上皮癌、外陰癌、子宮頸癌、子宮体癌、腎臓癌、中皮腫、食道癌、唾液腺癌、肝細胞癌、胃癌、鼻咽頭癌、頬癌、口腔癌、GIST(消化管間質腫瘍)、および精巣癌からなる群から選択される癌を治療し、またはその重症度を低減する方法に関する。
【0057】
本発明の治療方法は、安全で有効な量の式Iの化合物またはその薬学的に許容可能な塩を、その必要のある患者に投与する工程を含んでなる。
【0058】
本発明は、医薬療法、特に癌の療法に使用するための式Iの化合物またはその薬学的に許容可能な塩も提供する。したがって、さらなる態様において、本発明は、構成的活性型ACGキナーゼにより特徴づけられる、癌などの疾患を治療するための医薬の製造における、式Iの化合物またはその薬学的に許容可能な塩の使用に関する。
【0059】
本明細書では、病態に関連する「治療」とは、(1)病態もしくは病態の1つ以上の生物学的発現を改善または予防し、(2)(a)病態に通じるか、もしくはその原因である生物学的カスケードにおける1つ以上の点または(b)病態の1つ以上の生物学的発現に干渉し、(3)病態に関連する1つ以上の症状または作用を緩和し、または(4)病態もしくは病態の1つ以上の生物学的発現の進行を遅らせることを意味する。
【0060】
先に示されたとおり、病態の「治療」には病態の予防を含む。当業者は、「予防」が絶対的な用語でないことを認識するだろう。医学において、「予防」は、病態もしくはその生物学的発現の可能性もしくは重症度を実質的に少なくするための、またはそのような病態もしくはその生物学的発現の発症を遅延するための薬剤の予防投与を意味すると理解される。
【0061】
本明細書では、「患者」はヒトまたは他の動物を意味する。
【0062】
式Iの化合物またはその薬学的に許容可能な塩は、全身投与を含む任意の好適な投与経路により投与できる。全身投与には、経口投与および非経口投与がある。非経口投与は、経腸以外の投与経路、経皮、または吸入を意味し、典型的には注射または注入による。非経口投与には、静脈内、筋肉内、および皮下の注射もしくは注入がある。
【0063】
式Iの化合物またはその薬学的に許容可能な塩は、一度でも、複数の投与量がある期間にわたり様々な間隔で投与される投薬レジメンに従っても投与できる。例えば、投与量を、1日あたり1回、2回、3回、または4回投与できる。投与量は、所望の治療効果が得られるまで、または所望の治療効果を維持するために無期限に投与できる。本発明の化合物の好適な投薬レジメンは、その化合物の薬物動態学的性質、例えば、吸収、分布、および半減期などに依存するが、当業者により決定できる。さらに、本発明の化合物の好適な投薬レジメンは、そのようなレジメンが投与される期間も含めて、治療される病態、治療される病態の重症度、治療される患者の年齢および体調、治療される患者の病歴、同時療法の性質、望まれる治療効果、ならびに当業者の知識および専門技術内にある同様な因子に依存する。投薬レジメンに対する個々の患者の反応を考慮し、または時間が経過して個々の患者のニーズが変化するとともに、好適な投薬レジメンが調整を必要とすることは当業者にはさらに理解されるだろう。
【0064】
さらに、式Iの化合物またはその薬学的に許容可能な塩はプロドラッグとして投与してもよい。本明細書では、本発明の化合物の「プロドラッグ」は、患者に投与されると、最後にはインビボで本発明の化合物を遊離させる、化合物の機能的誘導体である。プロドラッグとして本発明の化合物を投与すると、当業者は以下の1つ以上のことを実行できる:(a)インビボでの化合物の作用発現の変更;(b)インビボでの化合物の作用持続期間の変更;(c)インビボでの化合物の輸送または分布の変更;(d)インビボでの化合物の溶解度の変更;および(e)副作用または化合物で直面する他の困難の克服または克服。プロドラッグの製造に使用される典型的な機能的誘導体には、インビボで化学的または酵素的に分解する化合物の修飾が含まれる。そのような修飾には、ホスフェート、アミド、エステル、チオエステル、カーボネート、およびカルバマートの製造が含まれ、当業者に周知である。
【0065】
式Iの化合物およびその薬学的に許容可能な塩は、癌の治療に有用であると知られている少なくとも1種の他の有効成分と同時投与してもよい。
【0066】
本明細書では、「同時投与」という用語は、本明細書で記載されるPDK1阻害剤および、化学療法および放射線治療を含む、癌の治療に有用であると知られているさらなる有効成分または複数の有効成分の同時の投与または任意の方法の別々な連続な投与のいずれかを意味する。本明細書でのさらなる有効成分または複数の有効成分という用語は、癌の治療を必要とする患者に投与されると有利な性質を示すと知られているか、またはそのような性質を示す任意の化合物または治療薬がある。好ましくは、投与が同時でない場合、複数の化合物は、互いに時間的に近接して投与される。さらに、複数の化合物が同じ剤形で投与されるかどうかは問題でなく、例えば、ある化合物を注射により投与し、他の化合物を経口投与することができる。
【0067】
典型的には、治療されつつある感受性のある腫瘍に対する活性を有する任意の抗新生物剤を、本発明における癌の治療中に同時投与してよい。そのような薬剤の例は、Cancer Principles and Practice of Oncology by V.T. Devita and S. Hellman (editors), 6th edition (February 15, 2001), Lippincott Williams & Wilkins Publishersに見いだすことができる。当業者ならば、薬剤の具体的な特性および関与する癌に基いて、どのような薬剤の組み合わせが有用であるか認識できるだろう。本発明に有用な典型的な抗新生物剤には、抗微小管剤、例えばジテルペノイドおよびビンカアルカロイド;白金配位錯体;アルキル化剤、例えば、ナイトロジェンマスタード、オキサアザホスホリン、アルキルスルホナート、ニトロソウレア、およびトリアゼン;抗生剤、例えば、アントラサイクリン、アクチノマイシン、およびブレオマイシン;トポイソメラーゼII阻害剤、例えばエピポドフィロトキシン;代謝拮抗剤、例えばプリンおよびピリミジンのアナログならびに抗葉酸化合物;トポイソメラーゼI阻害剤、例えばカンプトテシン;ホルモンおよびホルモンアナログ;シグナル伝達経路阻害剤;非受容体型チロシンキナーゼ血管新生阻害剤;免疫療法剤;アポトーシス促進剤;および細胞周期シグナル伝達阻害剤があるが、これらに限定されない。
【0068】
本発明のPDK1阻害化合物と組み合わせて使用するか、または同時投与されるさらなる有効成分または複数の有効成分(抗新生物剤)の例は、化学療法剤である。
【0069】
抗微小管剤または抗有糸分裂剤は、細胞周期のM期または有糸分裂期の間の腫瘍細胞の微小管に対して活性のある細胞周期特異性薬剤である。抗微小管剤の例にはジテルペノイドおよびビンカアルカノイドがあるが、これらに限定されない。
【0070】
ジテルペノイドは、天然源から誘導されるが、細胞周期のG/M期で作用する周期特異性抗癌剤である。ジテルペノイドは、微小管のβチューブリンサブユニットとの結合によりこのタンパク質を安定化させると考えられている。タンパク質の脱重合が阻害され、有糸分裂が停止し、細胞死が続くようである。ジテルペノイドの例には、パクリタキセルおよびそのアナログドセタキセルがある。
【0071】
パクリタキセルは、5β,20−エポキシ−1,2α,4,7β,10β,13α−ヘキサ−ヒドロキシタキサ−11−エン−9−オン4,10−ジアセタート2−ベンゾアート(2R,3S)−N−ベンゾイル−3−フェニルイソセリンとの13−エステルであり、タイヘイヨウイチイ、タキサス・ブレビフォリアから単離された天然ジテルペン生成物であり、注射液TAXOL(登録商標)として市販されている。テルペンのタキサンファミリーの一員である。パクリタキセルは、1971年に最初にWani et al.J. Am. Chem, Soc., 93:2325. 1971により単離されたが、Waniらはその構造を化学的方法およびX線結晶法により特性化した。その活性の1機構は、パクリタキセルがチューブリンに結合し、それにより癌細胞の成長を阻害する能力に関連している。Schiff et al., Proc. Natl, Acad, Sci. USA, 77:1561-1565 (1980); Schiff et al., Nature, 277:665-667 (1979); Kumar, J. Biol, Chem, 256: 10435-10441 (1981)。数種のパクリタキセル誘導体の合成および抗癌活性の総説には、D. G. I. Kingston et al., Studies in Organic Chemistry vol. 26, entitled "New trends in Natural Products Chemistry 1986", Attaur-Rahman, P.W. Le Quesne, Eds. (Elsevier, Amsterdam, 1986) pp 219-235を参照されたい。
【0072】
パクリタキセルは、米国で難治性卵巣癌(Markman et al., Yale Journal of Biology and Medicine, 64:583, 1991; McGuire et al., Ann. lntem, Med., 111:273,1989)の治療における臨床使用および乳癌(Holmes et al., J. Nat. Cancer Inst., 83:1797,1991.)の治療に認可された。パクリタキセルは、皮膚の新生物(Einzig et. al., Proc. Am. Soc. Clin. Oncol., 20:46)および頭頸部癌(Forastire et. al., Sem. Oncol., 20:56, 1990)の治療の潜在的な候補薬である。この化合物は、多発性嚢胞腎(Woo et. al., Nature, 368:750. 1994)、肺癌、およびマラリアの治療にも潜在能力を示す。パクリタキセルにより患者を治療すると、閾濃度(50nM)を超える投薬の期間に関連した骨髄抑制(複数の細胞系譜、Ignoff, R.J. et. al, Cancer Chemotherapy Pocket Guide, 1998)が起こる(Kearns, C.M. et. al., Seminars in Oncology, 3(6) p.16-23, 1995)。
【0073】
ドセタキセルは、(2R,3S)−N−カルボキシ−3−フェニルイソセリン、N−tert−ブチルエステル、5β−20−エポキシ−1,2α、4,7β、10β、13α−ヘキサヒドロキシタキサ−11−エン−9−オンとの13−エステル、4−アセタート2−ベンゾアート三水和物であり、TAXOTERE(登録商標)注射液として市販されている。ドセタキセルは乳癌の治療に適応される。ドセタキセルは、ヨーロッパイチイの針状葉から抽出される天然前駆体10−デアセチル−バッカチンIIIを利用して製造される、パクリタキセル(その項参照)の半合成誘導体である。ドセタキセルの用量規制毒性は好中球減少症である。
【0074】
ビンカアルカロイドは、ツルニチニチソウから誘導される周期特異性抗新生物剤である。ビンカアルカロイドは、チューブリンとの特異的な結合により、細胞周期のM期(有糸分裂)で作用する。その結果、結合されたチューブリン分子は重合して微小管になることができない。有糸分裂は中期で停止しその後細胞死が起こると考えられている。ビンカアルカロイドの例には、ビンブラスチン、ビンクリスチン、およびビノレルビンがある。
【0075】
ビンブラスチン、ビンカロイコブラスチンサルフェートは、注射液としてVELBAN(登録商標)で市販されている。種々の固形癌の第2選択療法として適応される可能性もあるが、主に精巣癌およびホジキン病を含む種々のリンパ腫;リンパ性および組織球性リンパ腫の治療に適応される。骨髄抑制が、ビンブラスチンの用量規制副作用である。
【0076】
ビンクリスチン、ビンカロイコブラスチン、22−オキソ−、サルフェートは、注射液ONCOVIN(登録商標)で市販されている。ビンクリスチンは、急性白血病の治療に適応され、ホジキンおよび非ホジキン悪性リンパ腫の治療レジメンにも効用がある。脱毛および神経作用がビンクリスチンの最もよく見られる副作用であり、程度は低いが骨髄抑制および胃腸粘膜炎作用が起こる。
【0077】
ビノレルビン、3’,4’−ジデヒドロ−4’−デオキシ−C’−ノルビンカロイコブラスチン[R−(R,R)−2,3−ジヒドロキシブタンジオアート(1:2)(塩)]は、ビノレルビン酒石酸塩(NAVELBINE(登録商標))の注射液として市販されているが、半合成のビンカアルカロイドである。ビノレルビンは、種々の固形腫瘍、特に非小細胞肺癌、進行性乳癌、およびホルモン不応性前立腺癌の治療に、単剤として、またはシスプラチンなどの他の化学療法剤と組み合わせて適応される。骨髄抑制がビノレルビンの最もよく見られる用量規制副作用である。
【0078】
白金配位錯体は、細胞周期非特異性抗癌剤であり、DNAと相互作用する。白金錯体は腫瘍細胞に入り、アクア化を起こし、DNAと鎖内および鎖間架橋を形成し、腫瘍に有害な生物学的作用を起こす。白金配位錯体の例には、シスプラチンおよびカルボプラチンがあるが、これらに限定されない。
【0079】
シスプラチン、シス−ジアンミンジクロロ白金は、注射液としてPLATINOL(登録商標)で市販されている。シスプラチンは、転移性の精巣癌および卵巣癌ならびに進行性膀胱癌の治療に主に適応される。シスプラチンの主な用量規制副作用は腎毒性であるが、これは水分補給および利尿により制御可能であり、さらに聴覚毒性がある。
【0080】
カルボプラチン、白金ジアンミン[1,1−シクロブタン−ジカルボキシラート(2−)−O,O’]は、注射液としてPARAPLATIN(登録商標)として市販されている。カルボプラチンは主に進行性卵巣癌の第1選択および第2選択治療として適応される。骨髄抑制がカルボプラチンの用量規制毒性である。
【0081】
アルキル化剤は、細胞周期非特異性抗癌剤であり、強力な求電子剤である。典型的には、アルキル化剤は、リン酸塩、アミノ、スルフヒドリル、ヒドロキシル、カルボキシル、およびイミダゾール基などのDNA分子の求核性部分を通してアルキル化によりDNAに共有結合を形成する。そのようなアルキル化は核酸機能を破壊し、細胞死に導く。アルキル化剤の例には、ナイトロジェンマスタード、例えばシクロホスファミド、メルファラン、およびクロラムブシル;アルキルスルホナート、例えばブスルファン;ニトロソウレア、例えばカルムスチン;およびトリアゼン、例えばダカルバジンなどがあるが、これらに限定されない。
【0082】
シクロホスファミド、2−[ビス(2−クロロエチル)アミノ]テトラヒドロ−2H−1,3,2−オキサザホスホリン2−オキシド一水和物は、注射液または錠剤としてCYTOXAN(登録商標)で市販されている。シクロホスファミドは、悪性リンパ腫、多発性骨髄腫、および白血病の治療に、単剤として、または他の化学療法剤と組み合わせて適応される。脱毛、悪心、嘔吐、および白血球減少症がシクロホスファミドの最もよく見られる用量規制副作用である。
【0083】
メルファラン、4−[ビス(2−クロロエチル)アミノ]−L−フェニルアラニンは、注射液または錠剤としてALKERAN(登録商標)で市販されている。メルファランは、多発性骨髄腫および切除不可能な卵巣の上皮癌の待期療法に適応される。骨髄抑制がメルファランの最もよく見られる用量規制副作用である。
【0084】
クロラムブシル、4−[ビス(2−クロロエチル)アミノ]ベンゼンブタン酸は、LEUKERAN(登録商標)錠剤として市販されている。クロラムブシルは、慢性リンパ性白血病ならびに悪性リンパ腫、例えばリンパ肉腫、巨大濾胞性リンパ腫、およびホジキン病などの待期治療に適応される。骨髄抑制が、クロラムブシルの最もよく見られる用量規制副作用である。
【0085】
ブスルファン、1,4−ブタンジオールジメタンスルホナートは、MYLERAN(登録商標)錠剤として市販されている。ブスルファンは、慢性骨髄性白血病の待期治療に適応される。骨髄抑制がブスルファンの最もよく見られる用量規制副作用である。
【0086】
カルムスチン、1,3−[ビス(2−クロロエチル)−1−ニトロソウレアは、凍結乾燥された物質のシングルバイアルとして、BiCNU(登録商標)で市販されている。カルムスチンは、脳腫瘍、多発性骨髄腫、ホジキン病、および非ホジキンリンパ腫に、単剤として、または他の薬剤と組み合わせて、待期治療のために適応される。遅延性の骨髄抑制がカルムスチンの最もよく見られる用量規制副作用である。
【0087】
ダカルバジン、5−(3,3−ジメチル−1−トリアゼノ)−イミダゾール−4−カルボキサミドは、物質のシングルバイアルとしてDTIC-Dome(登録商標)で市販されている。ダカルバシンは、転移性悪性メラノーマの治療に適応され、ホジキン病の第2選択治療に他の薬剤と組み合わせて適応される。悪心、嘔吐、および食欲不振がダカルバジンの最もよく見られる用量規制副作用である。
【0088】
抗生物質抗新生物剤(antibiotic anti-neoplastics)は細胞周期非特異性薬剤であり、DNAと結合またはDNAに挿入する。典型的には、そのような作用は、安定なDNA錯体または鎖の崩壊を起こし、核酸の通常の機能を妨害し細胞死に導く。抗生物質抗新生物剤の例には、ダクチノマイシンなどのアクチノマイシン、ダウノルビシンおよびドキソルビシンなどのアントラサイクリン;ならびにブレオマイシンがあるが、これらに限定されない。
【0089】
ダクチノマイシンは、アクチノマイシンDとしても知られ、COSMEGEN(登録商標)として注射用形態で市販されている。ダクチノマイシンは、ウィルムス腫瘍および横紋筋肉腫の治療に適応される。悪心、嘔吐、および食欲不振がダクチノマイシンの用量規制副作用である。
【0090】
ダウノルビシン、(8S−シス−)−8−アセチル−10−[(3−アミノ−2,3,6−トリデオキシ−α−L−リキソ−ヘキソピラノシル)オキシ]−7,8,9,10−テトラヒドロ−6,8,11−トリヒドロキシ−1−メトキシ−5,12ナフタセンジオン塩酸塩は、DAUNOXOME(登録商標)としてリポソーム注射用形態で、またはCERUBIDINE(登録商標)として注射液で市販されている。ダウノルビシンは、急性非リンパ性白血病および進行性HIV関連カポジ肉腫の治療における寛解導入に適応される。骨髄抑制がダウノルビシンの最もよく見られる用量規制副作用である。
【0091】
ドキソルビシン、(8S,10S)−10−[(3−アミノ−2,3,6−トリデオキシ−α−L−リキソ−ヘキソピラノシル)オキシ]−8−グリコロイル、7,8,9,10−テトラヒドロ−6,8,11−トリヒドロキシ−1−メトキシ−5,12ナフタセンジオン塩酸塩は、RUBEX(登録商標)またはADRIAMYCIN RDF(登録商標)として注射用形態で市販されている。ドキソルビシンは、急性リンパ芽球性白血病および急性骨髄性白血病の治療に主に適応されるが、数種の固形癌およびリンパ腫の治療にも有用な成分である。骨髄抑制がドキソルビシンの最もよく見られる用量規制副作用である。
【0092】
ブレオマイシンは、ストレプトマイセス・ベルチシルス(Streptomyces verticillus)の株から単離された細胞毒性グリコペプチド抗生物質の混合物であり、BLENOXANE(登録商標)として市販されている。ブレオマイシンは、扁平上皮癌、リンパ腫、および精巣癌の待期治療に、単剤として、または他の薬剤と組み合わせて適応される。肺毒性および皮膚毒性が、ブレオマイシンの最もよく見られる用量規制副作用である。
【0093】
トポイソメラーゼII阻害剤には、エピポドフィロトキシンがあるが、これに限定されない。
【0094】
エピポドフィロトキシンは、マンドレークから誘導された周期特異性抗新生物剤である。エピポドフィロトキシンは、典型的には、トポイソメラーゼIIとDNAとの三元複合体を形成して細胞周期のS期およびG期にある細胞に影響を与え、DNA鎖の切断を起こす。鎖の切断が蓄積し、その後細胞死が起こる。エピポドフィロトキシンの例には、エトポシドおよびテニポシドがあるが、これらに限定されない。
【0095】
エトポシド、4’−デメチル−エピポドフィロトキシン9[4,6−0−(R)−エチリデン−β−D−グルコピラノシド]は、VePESID(登録商標)として注射液またはカプセルで市販され、VP-16としても一般に知られている。エトポシドは、精巣癌および非小細胞肺癌の治療に、単剤として、または他の化学療法剤と組み合わせて適応される。骨髄抑制がエトポシドの最もよく見られる用量規制副作用である。血小板減少症よりも白血球減少症の発生が重症になる傾向がある。
【0096】
テニポシド、4’−デメチル−エピポドフィロトキシン9[4,6−0−(R)−テニリデン−β−D−グルコピラノシド]は、VUMON(登録商標)として注射液で市販され、VM-26としても一般的に知られている。テニポシドは、小児の急性白血病の治療において、単剤として、または他の化学療法剤と組み合わせて適応される。骨髄抑制がテニポシドの最もよく見られる用量規制副作用である。テニポシドは白血球減少症と血小板減少症の両方を起こしうる。
【0097】
代謝拮抗性抗新生物剤(antimetabolite neoplastic agents)は、DNA合成の阻害またはプリンもしくはピリミジン塩基合成を阻害し、それによりDNA合成を制限する、細胞周期のS期(DNA合成)で作用する周期特異性抗新生物剤である。したがって、S期は進行せず、細胞死が起こる。代謝拮抗性抗新生物剤の例には、フロオロウラシル、メトトレキサート、シタラビン、メカプトプリン(mecaptopurine)、チオグアニン、およびゲムシタビンがあるが、これらに限定されない。
【0098】
5−フルオロウラシル、5−フロオロ−2,4−(1H,3H)ピリミジンジオンは、フルオロウラシルとして市販されている。5−フルオロウラシルを投与すると、チミジレート合成が阻害され、RNAおよびDNAの両方に取り込まれる。その結果典型的には細胞死が起こる。5−フルオロウラシルは、乳癌、結腸癌、直腸癌、胃癌、および膵臓癌の治療に、単剤として、または他の化学療法剤と組み合わせて適応される。骨髄抑制および粘膜炎が5−フルオロウラシルの用量規制副作用である。他のフルオロピリミジンアナログには、5−フルオロデオキシウリジン(フロクスウリジン)および5−フルオロデオキシウリジンモノホスフェートがある。
【0099】
シタラビン、4−アミノ−1−β−D−アラビノフラノシル−2(1H)−ピリミジノンは、CYTOSAR-U(登録商標)として市販されており、Ara-Cとしても一般的に知られている。シタラビンは、成長しているDNA鎖へのシタラビンの末端取込みによってDNA鎖伸長を阻害することによりS期での細胞周期特異性を示すと考えられている。シタラビンは、急性白血病の治療に、単剤として、または他の化学療法剤と組み合わせて適応される。他のシチジンアナログには、5−アザシチジンおよび2’,2’−ジフルオロデオキシシチジン(ゲムシタビン)がある。シタラビンは白血球減少症、血小板減少症、および粘膜炎を起こす。
【0100】
メルカプトプリン、1,7−ジヒドロ−6H−プリン−6−チオン一水和物は、PURINETHOL(登録商標)として市販されている。メルカプトプリンは、まだ不特定の機構によってDNA合成を阻害することにより、S期での細胞周期特異性を示す。メルカプトプリンは、急性白血病の治療に、単剤として、または他の化学療法剤と組み合わせて適応される。骨髄抑制および胃腸粘膜炎が、高投与量でのメルカプトプリンの予測される副作用である。有用なメルカプトプリンアナログはアザチオプリンである。
【0101】
チオグアニン、2−アミノ−1,7−ジヒドロ−6H−プリン−6−チオンは、TABLOID(登録商標)として市販されている。チオグアニンは、まだ不特定の機構によってDNA合成を阻害することにより、S期での細胞周期特異性を示す。チオグアニンは、急性白血病の治療に、単剤として、または他の化学療法剤と組み合わせて適応される。白血球減少症、血小板減少症、および貧血を含む骨髄抑制が、チオグアニン投与の最もよく見られる用量規制副作用である。しかし、胃腸の副作用も起こり、用量規制的になることがある。他のプリンアナログには、ペントスタチン、エリスロヒドロキシノニルアデニン、フルダラビンホスフェート、およびクラドリビンがある。
【0102】
ゲムシタビン、2’−デオキシ−2’,2’−ジフルオロシチジン一塩酸塩(β異性体)は、GEMZAR(登録商標)として市販されている。ゲムシタビンは、S期で、G1/S境界を通る細胞の進行阻害により細胞周期特異性を示す。ゲムシタビンは、局所進行性非小細胞肺癌の治療にシスプラチンと組み合わせて、局所進行性膵臓癌の治療に単独で適応される。白血球減少症、血小板減少症、および貧血を含む骨髄抑制が、ゲムシタビン投与の最もよく見られる用量規制副作用である。
【0103】
メトトレキサート、N−[4[[(2,4−ジアミノ−6−プテリジニル)メチル]メチルアミノ]ベンゾイル]−L−グルタミン酸は、メトトレキサートナトリウムとして市販されている。メトトレキサートは、プリンヌクレオチドおよびチミジレートの合成に必要なジヒドロ葉酸レダクターゼの阻害によってDNA合成、修復、および/または複製を阻害することにより、S期で特異的に細胞周期効果を示す。メトトレキサートは、絨毛癌、髄膜白血病、非ホジキンリンパ腫、ならびに乳房、頭部、頸部、卵巣、および膀胱の癌の治療に、単剤として、または他の化学療法剤と組み合わせて適応される。骨髄抑制(白血球減少症、血小板減少症、および貧血)および粘膜炎が、メトトレキサート投与の予測される副作用である。
【0104】
カンプトテシンおよびカンプトテシン誘導体を含むカンプトテシンは、トポイソメラーゼI阻害剤として利用可能であるか、または開発中である。カンプトテシン細胞毒性活性は、そのトポイソメラーゼI阻害剤活性と関連していると考えられている。カンプトテシンの例には、イリノテカン、トポテカン、および以下に記載される7−(4−メチルピペラジノ−メチレン)−10,11−エチレンジオキシ−20−カンプトテシンの種々の光学形態があるが、これらに限定されない。
【0105】
イリノテカンHCl、(4S)−4,11−ジエチル−4−ヒドロキシ−9−[(4−ピペリジノピペリジノ)カルボニルオキシ]−1H−ピラノ[3’,4’,6,7]インドリジノ[1,2−b]キノリン−3,14(4H,12H)−ジオン塩酸塩は、注射液CAMPTOSAR(登録商標)として市販されている。
【0106】
イリノテカンは、その活性代謝物SN−38とともにトポイソメラーゼI−DNA複合体に結合するカンプトテシンの誘導体である。トポイソメラーゼI:DNA:イリノテカンまたはSN−38三元複合体と複製酵素の相互作用により起こる修復できない二重鎖切断の結果として細胞毒性が起こると考えられる。イリノテカンは、結腸または直腸の転移性癌の治療に適応される。イリノテカンHClの用量規制副作用は、好中球減少症を含む骨髄抑制および下痢を含む消化管作用である。
【0107】
トポテカンHCl、(S)−10−[(ジメチルアミノ)メチル]−4−エチル−4,9−ジヒドロキシ−1H−ピラノ[3’,4’,6,7]インドリジノ[1,2−b]キノリン−3,14−(4H,12H)−ジオン一塩酸塩は、注射液HYCAMTIN(登録商標)として市販されている。トポテカンは、トポイソメラーゼI−DNA複合体に結合しDNA分子のねじり歪みに応答するトポイソメラーゼIにより起こされる一本鎖切断の再連結を防ぐカンプトテシンの誘導体である。トポテカンは、転位性卵巣癌および小細胞肺癌の第2選択治療に適応される。トポテカンHClの用量規制副作用は、骨髄抑制、主に好中球減少症である。
【0108】
現在開発中であり、ラセミ混合物(R,S)形態ならびにRおよびSのエナンチオマーを含む、以下の式Aのカンプトテシン誘導体も興味深い:
【0109】
【化5】

【0110】
これは、化学名、7−(4−メチルピペラジノ−メチレン)−10,11−エチレンジオキシ−20(R,S)−カンプトテシン(ラセミ混合物)または7−(4−メチルピペラジノ−メチレン)−10,11−エチレンジオキシ−20(R)−カンプトテシン(Rエナンチオマー)もしくは7−(4−メチルピペラジノ−メチレン)−10,11−エチレンジオキシ−20(S)−カンプトテシン(Sエナンチオマー)により知られる。そのような化合物ならびに関連する化合物は、その製造方法も含めて、米国特許第6,063,923号;同第5,342,947号;同第5,559,235号;同第5,491,237号および係属中の1997年11月24日出願の米国特許出願第08/977,217号に記載されている。
【0111】
ホルモンおよびホルモンアナログも、ホルモン(複数可)と癌の成長および/または成長の欠如に関連がある癌の治療に有用な化合物である。癌治療に有用なホルモンおよびホルモンアナログの例には、小児の悪性リンパ腫および急性白血病の治療に有用なプレドニゾンおよびプレドニゾロンなどのアドレノコルチコステロイド;副腎皮質癌およびエストロゲン受容体を含むホルモン依存性乳癌の治療に有用なアナストロゾール、レトラゾール(letrazole)、ボラゾール(vorazole)、およびエキセメスタンなどのアミノグルテチミドおよび他のアロマターゼ阻害剤;ホルモン依存性乳癌および子宮体癌の治療に有用な酢酸メゲストロールなどのプロゲストリン(progestrin);前立腺癌および良性前立腺肥大の治療に有用な、フルタミド、ニルタミド、ビカルタミド、酢酸シプロテロンなどのエストロゲン、アンドロゲン、および抗アンドロゲン剤ならびにフィナステリドおよびデュタステライドなどの5α−レダクターゼ;ホルモン依存性乳癌および他の感受性のある癌の治療に有用な、タモキシフェン、トレミフェン、ラロキシフェン、ドロロキシフェン、イオドキシフェンなどの抗エストロゲン剤ならびに米国特許第5,681,835号、同第5,877,219号および同第6,207,716号に記載されるものなど、選択的エストロゲン受容体調節剤(SERMS);前立腺癌の治療のための、黄体形成ホルモン(LH)および/または卵胞刺激ホルモン(FSH)の放出を刺激するゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH)およびそのアナログ、例えば、酢酸ゴセレリンおよびリュープロリドなどのLHRH作用剤および拮抗剤があるが、これらに限定されない。
【0112】
シグナル伝達経路阻害剤は、細胞内の変化を引き起こす化学プロセスを遮断または阻害する阻害剤である。本明細書では、この変化は細胞増殖または分化である。本発明に有用なシグナル伝達阻害剤には、受容体型チロシンキナーゼ、非受容体型チロシンキナーゼ、SH2/SH3ドメイン遮断剤(domain blockers)、セリン/スレオニンキナーゼ、ホスホチジルイノシトール−3−キナーゼ、ミオイノシトールシグナル伝達、およびRas癌遺伝子の阻害剤がある。
【0113】
数種のプロテインチロシンキナーゼは細胞成長の制御に関与する種々のタンパク質中の特定のチロシン残基のリン酸化を触媒する。そのようなプロテインチロシンキナーゼは、受容体型または非受容体型キナーゼに大まかに分類できる。
【0114】
受容体型チロシンキナーゼは、細胞外リガンド結合ドメイン、貫膜ドメイン、およびチロシンキナーゼドメインを有する膜貫通型タンパク質である。受容体型チロシンキナーゼは細胞成長の制御に関わり、一般的に成長因子受容体と称される。これらのキナーゼの多くの不適切または制御されない活性化、すなわち、例えば過剰発現または突然変異による異常なキナーゼ成長因子受容体活性は、制御されない細胞成長を起こすことが示されている。したがって、そのようなキナーゼの異常な活性は悪性の組織成長に関連がある。そのため、そのようなキナーゼの阻害剤は、癌治療の方法を提供できるかもしれない。成長因子受容体には、例えば上皮成長因子受容体(EGFr)、血小板由来成長因子受容体(PDGFr)、erbB2、erbB4、血管内皮細胞成長因子受容体(VEGFr)、免疫グロブリン様および表皮成長因子相同ドメインを持つチロシンキナーゼ(TIE−2)、インスリン成長因子−I(IGFI)受容体、マクロファージコロニー刺激因子(cfms)、BTK、ckit、cmet、繊維芽細胞成長因子(FGF)受容体、Trk受容体(TrkA、TrkB、およびTrkC)、エフリン(eph)受容体、およびRET癌原遺伝子がある。成長因子受容体のいくつかの阻害剤が開発中であり、リガンド拮抗剤、抗体、チロシンキナーゼ阻害剤、およびアンチセンスオリゴヌクレオチドがある。成長因子受容体および成長因子受容体機能を阻害する薬剤は、例えば、Kath, John C., Exp. Opin. Ther. Patents (2000) 10(6):803-818; Shawver et al DDT Vol 2, No. 2 February 1997; and Lofts, F. J. et al, "Growth factor receptors as targets", New Molecular Targets for Cancer Chemotherapy, ed. Workman, Paul and Kerr, David, CRC press 1994, Londonに記載されている。
【0115】
成長因子受容体型キナーゼでないチロシンキナーゼは、非受容体型チロシンキナーゼと呼ばれる。本発明に使用するための非受容体型チロシンキナーゼは、抗癌剤の標的または可能性のある標的であり、cSrc、Lck、Fyn、Yes、Jak、cAbl、FAK(焦点接着キナーゼ)、ブルトン型チロシンキナーゼ、およびBcr−Ablがある。そのような非受容体型キナーゼおよび非受容体型チロシンキナーゼ機能を阻害する薬剤は、Sinh, S. and Corey, S.J., (1999) Journal of Hematotherapy and Stem Cell Research 8 (5): 465-80; and Bolen, J.B., Brugge, J.S., (1997) Annual review of Immunology. 15: 371-404に記載されている。
【0116】
SH2/SH3ドメイン遮断剤は、PI3−Kp85サブユニット、Srcファミリーキナーゼ、アダプター分子(Shc、Crk、Nck、Grb2)、およびRas−GAPを含む、種々の酵素またはアダプタータンパク質におけるSH2またはSH3ドメイン結合を妨害する薬剤である。抗癌剤の標的としてのSH2/SH3ドメインは、Smithgall, T.E. (1995), Journal of Pharmacological and Toxicological Methods. 34(3) 125-32に記載されている。
【0117】
Rafキナーゼ(rafk)、マイトジェンまたは細胞外制御キナーゼ(MEK)、および細胞外制御キナーゼ(ERK);およびPKC(α、β、γ、ε、μ、λ、ι、ζ)の阻害剤を含むプロテインキナーゼCファミリーのメンバー遮断剤を含むPMAPキナーゼカスケード遮断剤を含むセリン/スレオニンキナーゼの阻害剤。IkBキナーゼファミリー(IKKa、IKKb)、PKBファミリーキナーゼ、aktキナーゼファミリーメンバー、およびTGFβ受容体キナーゼ。そのようなセリン/スレオニンキナーゼおよびその阻害剤は、Yamamoto, T., Taya, S., Kaibuchi, K., (1999), Journal of Biochemistry. 126 (5) 799-803; Brodt, P, Samani, A., and Navab, R. (2000), Biochemical Pharmacology, 60. 1101-1107; Massague, J., Weis-Garcia, F. (1996) Cancer Surveys. 27:41-64; Philip, P.A., and Harris, A.L. (1995), Cancer Treatment and Research. 78: 3-27, Lackey, K. et al Bioorganic and Medicinal Chemistry Letters, (10), 2000, 223-226; U.S. Patent No. 6,268,391; and Martinez-Iacaci, L., et al, Int. J. Cancer (2000), 88(1), 44-52に記載されている。
【0118】
PI3−キナーゼ、ATM、DNA−PK、およびKuの遮断剤を含む、ホスホチジルイノシトール−3キナーゼファミリーメンバーの阻害剤も本発明に有用なことがある。そのようなキナーゼは、Abraham, R.T. (1996), Current Opinion in Immunology. 8 (3) 412-8; Canman, C.E., Lim, D.S. (1998), Oncogene 17 (25) 3301-3308; Jackson, S.P. (1997), International Journal of Biochemistry and Cell Biology. 29 (7):935-8; and Zhong, H. et al, Cancer res, (2000) 60(6), 1541-1545に記載されている。
【0119】
ホスホリパーゼC遮断剤およびミオイノシトールアナログなどのミオイノシトールシグナル伝達阻害剤も本発明に重要なことがある。そのようなシグナル伝達阻害剤は、Powis, G., and Kozikowski A., (1994) New Molecular Targets for Cancer Chemotherapy ed., Paul Workman and David Kerr, CRC press 1994, Londonに記載されている。
【0120】
シグナル伝達経路阻害剤の他の群は、Ras癌原遺伝子の阻害剤である。そのような阻害剤には、ファルネシルトランスフェラーゼ、ゲラニル−ゲラニルトランスフェラーゼ、およびCAAXプロテアーゼの阻害剤、ならびにアンチセンスオリゴヌクレオチド、リボザイム、免疫療法がある。そのような阻害剤は、野生型変異体rasを含む細胞中でrasの活性化を遮断し、抗増殖剤として作用することが示されている。Ras癌原遺伝子の阻害は、Scharovsky, O.G., Rozados, V.R., Gervasoni, S.I. Matar, P. (2000), Journal of Biomedical Science. 7(4) 292-8; Ashby, M.N. (1998), Current Opinion in Lipidology. 9 (2) 99-102; and BioChim. Biophys. Acta, (19899) 1423(3):19-30に議論されている。
【0121】
上述のとおり、受容体型キナーゼリガンド結合に対する抗体拮抗剤もシグナル伝達阻害剤として作用することがある。この群のシグナル伝達経路阻害剤には、受容体型チロシンキナーゼの細胞外リガンド結合ドメインに対するヒト化抗体の使用がある。例えば、Imclone C225 EGFR特異性抗体 (Green, M.C. et al, Monoclonal Antibody Therapy for Solid Tumors, Cancer Treat. Rev., (2000), 26(4), 269-286参照); Herceptin(登録商標)erbB2抗体(Tyrosine Kinase Signalling in Breast cancer: erbB Family Receptor Tyrosine Kniases, Breast cancer Res., 2000, 2(3), 176-183参照);および2CB VEGFR2特異性抗体(Brekken, R.A. et al, Selective Inhibition of VEGFR2 Activity by a monoclonal Anti-VEGF antibody blocks tumor growth in mice, Cancer Res. (2000) 60, 5117-5124参照)。
【0122】
非受容体型キナーゼ血管新生阻害剤も本発明に有用なことがある。血管新生関連VEGFRおよびTIE2の阻害剤は、シグナル伝達阻害剤に関連して先に議論されている(両受容体とも受容体型チロシンキナーゼである)。erbB2およびEGFRの阻害剤は血管新生、主にVEGF発現を阻害すると示されているので、血管新生は一般的にerbB2/EGFRシグナル伝達に関連している。したがって、非受容体型チロシンキナーゼ阻害剤は、本発明の化合物と組み合わせて使用できる。例えば、VEGFR(受容体型チロシンキナーゼ)を認識しないがリガンドに結合する抗VEGF抗体;血管新生を阻害するであろうインテグリン(αv、β3)の小分子阻害剤;エンドスタチンおよびアンジオスタチン(非受容体型チロシンキナーゼ)も、開示される化合物と組み合わせて有用であることが分かるかもしれない(Bruns CJ et al (2000), Cancer Res., 60: 2926-2935; Schreiber AB, Winkler ME, and Derynck R. (1986), Science, 232: 1250-1253; Yen L et al. (2000), Oncogene 19: 3460-3469参照)。
【0123】
免疫療法レジメンに使用される薬剤も、式(I)の化合物と組み合わせて有用なことがある。免疫反応を生むための免疫学的戦略が数多くある。これらの戦略は一般的に腫瘍ワクチン接種の範囲内にある。免疫学的アプローチの効能は、小分子阻害剤を利用するシグナル伝達経路の阻害と組み合わせて大きく向上することがある。erB2/EGFRに対する免疫学的/腫瘍ワクチンアプローチの議論は、Reilly RT et al. (2000), Cancer Res. 60: 3569-3576; and Chen Y, Hu D, Eling DJ, Robbins J, and Kipps TJ. (1998), Cancer Res. 58: 1965-1971に見いだされる。
【0124】
アポトーシス促進レジメンに使用される薬剤(例えば、bcl−2アンチセンスオリゴヌクレオチド)も、本発明と組み合わせて使用してよい。Bcl−2ファミリーのメンバーのタンパク質はアポトーシスを遮断する。したがって、bcl−2のアップレギュレーションは、化学療法抵抗性に関連している。研究によれば、上皮成長因子(EGF)は、bcl−2ファミリーの抗アポトーシスメンバー(すなわち、mcl−1)を刺激していることが示された。したがって、腫瘍中のbcl−2の発現をダウンレギュレーションするように計画された戦略は臨床的有用性を示し、現在II/III相試験中であり、すなわち、GentaのG3139 bcl−2アンチセンスオリゴヌクレオチドである。bcl−2に対しアンチセンスオリゴヌクレオチド戦略を使用するそのようなアポトーシス促進戦略は、Water JS et al. (2000), J. Clin. Oncol. 18: 1812-1823; and Kitada S et al. (1994), Antisense Res. Dev. 4: 71-79に記載されている。
【0125】
細胞周期シグナル伝達阻害剤は、細胞周期の制御に関与する分子を阻害する。サイクリン依存性キナーゼ(CDK)と呼ばれるプロテインキナーゼのファミリーおよびサイクリンと称されるプロテインファミリーとのその相互作用は、真核細胞周期の進行を制御する。異なるサイクリン/CDK複合体の配位活性化および不活性化が、細胞周期の正常な進行に必要である。細胞周期シグナル伝達の阻害剤がいくつか開発中である。例えば、CDK2、CDK4、およびCDK6などのサイクリン依存性キナーゼおよびその阻害剤の例が、例えば、Rosania et al, Exp. Opin. Ther. Patents (2000) 10(2):215-230に記載されている。
【0126】
組成物
式Iの化合物またはその薬学的に許容可能な塩は、必ずではないが通常は、患者への投与前に医薬組成物に製剤される。したがって、他の態様において、本発明は、式Iの化合物またはその薬学的に許容可能な塩および1種以上の薬学的に許容可能な賦形剤を含んでなる医薬組成物に関する。
【0127】
本発明の医薬組成物は、安全で有効な量の式Iの化合物またはその薬学的に許容可能な塩を取り出し、散剤またはシロップなどで患者に与えることのできるバルク形態で製造および包装してよい。別法としては、本発明の医薬組成物は、物理的に個別な各単位が、安全で有効な量の式Iの化合物またはその薬学的に許容可能な塩を含む、単位剤形(unit dosage form)に製造および包装してもよい。単位剤形に製造される場合、本発明の医薬組成物は、典型的には、例えば、0.5mgから1g、または1mgから700mg、または5mgから100mgの本発明の化合物を含むことがある。
【0128】
本発明の医薬組成物は、典型的には、式Iの化合物またはその薬学的に許容可能な塩を1種含む。しかし、特定の態様によれば、本発明の医薬組成物は、2種以上の式Iの化合物を含む。例えば、特定の態様によれば、本発明の医薬組成物は、2種の式Iの化合物を含む。さらに、本発明の医薬組成物は、1種以上の追加の薬剤活性化合物を任意にさらに含んでなることがある。
【0129】
本明細書では、「薬学的に許容可能な賦形剤」は、医薬組成物に形態または堅さを与えるのに関与する薬学的に許容可能な物質、組成物、またはビヒクルを意味する。各賦形剤は、患者に投与される場合の本発明の化合物の効力を実質的に低下させるだろう相互作用および薬剤的に許容できない医薬組成物を作り出すだろう相互作用が避けられるように、混合される場合に医薬組成物の他の成分と適合性がなくてはならない。さらに、各賦形剤は、もちろん、薬学的に許容可能なように十分に高純度でなくてはならない。
【0130】
式Iの化合物またはその薬学的に許容可能な塩および薬学的に許容可能な賦形剤または複数の賦形剤は、典型的には、所望の投与経路による患者への投与に適合された剤形に製剤される。例えば、剤形には、(1)錠剤、カプセル、カプレット、丸薬、トローチ、散剤、シロップ、エリキシル、懸濁液、溶液、乳液、サシェ、およびカシェなどの経口投与;(2)滅菌溶液、懸濁液、および再構成用パウダーなどの非経口投与に適合されたものがある。
【0131】
薬学的に許容可能な好適な賦形剤は、選択される特定の剤形により変わるだろう。さらに、薬学的に許容可能な好適な賦形剤は、組成物中で果たす特定の機能に対して選択してもよい。例えば、ある薬学的に許容可能な賦形剤は、均一な剤形の製造を容易にする能力で選択できる。ある薬学的に許容可能な賦形剤は、安定な剤形の製造を容易にする能力で選択できる。ある薬学的に許容可能な賦形剤は、患者に投与されると、1つの器官または体のある部分から、他の器官または体の他の部分への本発明の化合物または複数の化合物の運送または輸送を容易にする能力で選択できる。ある薬学的に許容可能な賦形剤は、患者のコンプライアンスを高める能力で選択できる。
【0132】
薬学的に許容可能な好適な賦形剤には、以下の種類の賦形剤がある:希釈剤、充填剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、流動促進剤、顆粒化剤、コーティング剤、湿潤剤、溶媒、共溶媒、懸濁剤、乳化剤、甘味料、着香料、風味マスキング剤、着色料、固化防止剤、保湿剤、キレート剤、可塑剤、粘度増化剤、酸化防止剤、保存剤、安定剤、界面活性剤、および緩衝剤。当業者は、ある薬学的に許容可能な賦形剤が2つ以上の機能を果たすことがあり、製剤中の賦形剤の量および製剤中の他の成分により、代わりとなる機能を果たしうることを認識するだろう。
【0133】
当業者は、本発明での使用に好適な量で薬学的に許容可能な好適な賦形剤を選択できるような、当分野の知識および技術を有する。さらに、薬学的に許容可能な賦形剤を記載し、薬学的に許容可能な好適な賦形剤を選択するのに有用な、当業者が利用できる数多くの情報源がある。その例には、Remington's Pharmaceutical Sciences (Mack Publishing Company)、The Handbook of Pharmaceutical Additives (Gower Publishing Limited)、and The Handbook of Pharmaceutical Excipients (the American Pharmaceutical Association and the Pharmaceutical Press)がある。
【0134】
本発明の医薬組成物は、当業者に公知の技術および方法を利用して製造される。当分野に通常利用される方法のいくつかは、Remington’s Pharmaceutical Sciences (Mack Publishing Company)に記載されている。
【0135】
一態様において、本発明は、安全で有効な量の式Iの化合物またはその薬学的に許容可能な塩および希釈剤または充填剤を含んでなる、錠剤またはカプセルなどの固体経口剤形に関する。好適な希釈剤および充填剤には、ラクトース、スクロース、デキストロース、マンニトール、ソルビトール、スターチ(例えば、コーンスターチ、ポテトスターチ、およびα化デンプン)、セルロースおよびその誘導体(例えばミクロクリスタリンセルロース)、硫酸カルシウム、および二塩基性リン酸カルシウムがある。経口固体剤形はさらに結合剤を含んでもよい。好適な結合剤には、スターチ(例えば、コーンスターチ、ポテトスターチ、およびα化デンプン)、ゼラチン、アラビアゴム、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸、トラガカント、グアーガム、ポビドン、ならびにセルロースおよびその誘導体(例えばミクロクリスタリンセルロース)がある。経口固体剤形はさらに崩壊剤を含んでよい。好適な崩壊剤には、クロスポビドン、デンプングリコール酸ナトリウム、クロスカルメロース、アルギン酸、およびカルボキシメチルセルロースナトリウムがある。経口固体剤形はさらに滑沢剤を含んでよい。好適な滑沢剤には、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、およびタルクがある。
【0136】
適切な場合、経口投与用の投与量単位製剤(dosage unit formulations)はマイクロカプセル化することができる。組成物は、例えば、ポリマー、ワックスなどに顆粒状物質をコーティングまたは埋め込んで、放出を延長または持続するように製造できる。
【0137】
本発明の化合物は、標的設定可能な薬剤キャリア(targetable drug carriers)としての可溶性ポリマーと組み合わせることもできる。そのようなポリマーには、ポリビニルピロリドン、ピランコポリマー、ポリヒドロキシプロピルメタクリルアミド−フェノール、ポリヒドロキシエチルアスパルトアミドフェノール、またはパルミトイル基で置換されているポリエチレンオキシドポリリジンがある。さらに、本発明の化合物は、薬剤の持続放出を達成するのに有用なある種の生分解性ポリマーと組み合わせてもよく、例えば、ポリ乳酸、ポリイプシロンカプロラクトン、ポリヒドロキシ酪酸、ポリオルトエステル、ポリアセタール、ポリジヒドロピラン、ポリシアノアクリラート、およびヒドロゲルの架橋もしくは両親媒性ブロックコポリマーがある。
【0138】
他の態様において、本発明は液体経口剤形に関する。溶液、シロップ、およびエリキシルなどの経口液体は、ある量が所定量の本発明の化合物を含むように、投与量単位形態で製造できる。シロップは、本発明の化合物を好適に味付けされた水溶液に溶かして製造でき、エリキシルは、非毒性のアルコール性ビヒクルの使用により製造される。懸濁液は、本発明の化合物を非毒性のビヒクルに懸濁させて製剤できる。エトキシ化イソステアリルアルコールおよびポリオキシエチレンソルビトールエーテルなどの安定剤および乳化剤、保存剤、着香調味料、例えば、ペパーミントオイルまたは天然の甘味料またはサッカリンもしくは他の人工甘味料なども加えることもできる。
【0139】
他の薬学的に許容可能な賦形剤を懸濁液または溶液に加えてよい。本発明の化合物は、無機酸、例えば、塩化水素酸、硝酸、硫酸、および/またはリン酸;有機酸、例えば、アスコルビン酸、クエン酸、酢酸、および酒石酸;錯化剤、例えばEDTAまたはクエン酸およびその塩;酸化防止剤、例えばビタミンEまたはアスコルビン酸などの酸化防止剤の添加により安定化できる。これらを、単独または組み合わせて使用し、本発明の化合物を安定化できる。ベンズアルコニウムクロライドまたは安息香酸およびその塩などの保存剤を加えてよい。界面活性剤は、特に懸濁液の物理的安定性を高めるために添加されることがある。界面活性剤には、レシチン、ジオクチルスルホコハク酸二ナトリウム、オレイン酸、およびソルビタンエステルがある。
【0140】
本発明の他の態様は、式Iの化合物またはその薬学的に許容可能な塩を含んでなる非経口投与用の医薬組成物に関する。非経口投与用の医薬組成物には、酸化防止剤、緩衝剤、静菌剤、および意図される受容者の血液と製剤とを等張にする溶質を含むことがある水性および非水性の滅菌注射液;ならびに懸濁剤および増粘剤を含むことのある水性および非水性の滅菌懸濁液がある。組成物は、例えば、密栓アンプルおよびバイアルなどの単位用量または多用量容器に呈することができ、使用の直前に、例えば注射用水などの滅菌液体キャリアを添加するだけでよいフリーズドライ(凍結乾燥)状態で貯蔵することもできる。即座の注射液および懸濁液を、滅菌パウダー、顆粒、および錠剤から製造できる。
【実施例】
【0141】
以下の実施例は本発明を説明する。これらの実施例は本発明の範囲を限定するものではなく、当業者が本発明の化合物、組成物、および方法を製造および利用するための手引きを与えるものである。本発明の特定の態様が記載されるが、当業者は、本発明の精神および範囲を逸脱せずに種々の変更および改良が実施可能であることを認識するだろう。
【0142】
装置
LC−MS:
装置
LC:島津10A(コントローラ、ポンプ、およびUV検出器)
UV:島津10A(214nm)
ELS:Sedere Sedex 75C
MS:PE Sciex Single Quadrupole 100LC、150EX、またはWaters ZQ
極性(ポジティブ);モード(プロファイル);スキャン時間(0.33秒);ステップ(0.2m/z);キャピラリーV(5500);コーンV(25−45)
オートサンプラー:CTC Leap;3μLループ;デフォルト注入体積2μL(デフォルト)
カラム:Thermo Hypersil Gold(C18、20×2.1mm、1.9μ粒径)
ヒーター:Phenomenex 45℃
溶媒A:HO、0.02%TFA
溶媒B:MeCN、0.018%TFA
勾配:時間(分)流量(mL/分)溶媒B
停止
HPLC条件:
溶媒A:0.1%TFA/H
溶媒B:0.1%TFA/CHCN
カラム:
Luna 5u C18(2) 100A AXIA 50×30mm 5ミクロン分取カラム
Luna 5u C18(2) 100A AXIA 50×21.20mm 5ミクロン分取カラム
UV検出254nm
【0143】
中間体1
エチル4−メチル−2−(メチルチオ)−6−オキソ−1,4,5,6−テトラヒドロ−5−ピリミジンカルボキシラート
【0144】
【化6】

【0145】
丸底フラスコに、S−メチルイソチオウロニウムサルフェート(14.0g、100.6mmol)、ジエチルエチリデンマロナート(18.7g、100.6mmol)、トリエチルアミン(20.4g、201.2mmol)、およびエタノール(200mL)を入れた。フラスコに還流冷却器を取付け、反応を20時間還流加熱した。反応を室温に冷却し、エタノールを真空下で除去した。残渣を酢酸エチル(200mL)に溶かし、溶液を水、塩水で洗浄し、MgSOで乾燥し、濾過し、蒸発させると、生成物(12.2g、収率87%)を与えた。
MS:M(C14)=230.29、(M+H)=231.0。
H NMR(400MHz,CDCl)δppm 1.07−1.36(m,6H),2.23−2.46(m,3H),2.98−3.38(m,1H),3.90−4.45(m,3H)8.61(br.s,1H)。
【0146】
中間体2
エチル4−メチル−2−(メチルチオ)−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−5−ピリミジンカルボキシラート
【0147】
【化7】

【0148】
丸底フラスコに、エチル4−メチル−2−(メチルチオ)−6−オキソ−1,4,5,6−テトラヒドロ−5−ピリミジンカルボキシラート(11.2g、48.7mmol)、N−ブロモスクシンイミド(8.67g、48.7mmol)、過酸化ベンゾイル(0.65g、2.7mmol)、炭酸カリウム(67g、487mmol)、および四塩化炭素(700mL)を入れた。反応を45分間還流加熱し、室温に冷却した。反応を水(500mL)でクエンチし、塩化メチレンで洗浄した。水相を、濃HClの滴下により酸性化し、塩化メチレンで抽出した。抽出物をMgSOで乾燥し、濾過し、真空下で蒸発させると、生成物を与えた(8.2g、収率78%)。
MS:M(C12)=228.27,(M+H)=228.9。
H NMR(400MHz,CDCl)δ ppm 1.43(t,J=7.2Hz,3H)2.58(s,3H)2.59(s,3H)4.44(q,J=7.1Hz,2H)12.46(br.s.,1H)
【0149】
中間体3
エチル4−クロロ−6−メチル−2−(メチルチオ)−5−ピリミジンカルボキシラート
【0150】
【化8】

【0151】
丸底フラスコに、エチル4−メチル−2−(メチルチオ)−6−オキソ−1,6−ジヒドロ−5−ピリミジンカルボキシラート(6g)およびオキシ塩化リン(30mL)を入れ、3時間還流加熱した。真空下でオキシ塩化リンを除去した。残渣をクロマトグラフ(シリカゲル、塩化メチレンで溶離)にかけると生成物を与えた(5.73g、収率87%)。
MS:M(C11Cl)=246.72,(M+H)=246.8。
H NMR(400MHz,CDCl)δ ppm 1.41(t,J=7.2Hz,3H),2.50(s,3H),2.57(s,3H),4.44(q,J=7.2Hz,2H)。
【0152】
中間体4
エチル4−メチル−6−[(3−メチルフェニル)アミノ]−2−(メチルチオ)−5−ピリミジンカルボキシラート
【0153】
【化9】

【0154】
丸底フラスコに、エチル4−メチル−6−[(3−メチルフェニル)アミノ]−2−(メチルチオ)−5−ピリミジンカルボキシラート(2.5g、10.13mmol)、ジイソプロピルエチルアミン(2.88g、22.3mmol)、3−メチルアニリン(1.19g、11.14mmol)、およびジメチルホルムアミド(40mL)を入れた。反応を70℃で攪拌しながら一晩加熱した。溶媒を真空下で留去した。残渣を酢酸エチル(100mL)に溶かし、溶液を、水、塩水で洗浄し、MgSOで乾燥させ、濾過し、蒸発させた。この物質をクロマトグラフ(シリカゲル、ヘキサンから塩化メチレンへの勾配で溶離)にかけると生成物を与えた(2.83g、収率75%)。
MS:M(C1619)=317.41,(M+H)=318.1。
H NMR(400MHz,CDCl)δ ppm 1.43(t,J=7.2Hz,3H),2.36(s,3H),2.52(s,3H),2.64(s,3H),4.40(q,J=7.07Hz,2H),6.94(d,J=7.3Hz,1H),7.19−7.32(m,1H),7.41−7.57(m,2H),10.57(br.s,1H)。
【0155】
中間体5
4−メチル−6−[(3−メチルフェニル)アミノ]−2−(メチルチオ)−5−ピリミジンカルボン酸
【0156】
【化10】

【0157】
100mlの丸底フラスコに、エチル4−メチル−6−[(3−メチルフェニル)アミノ]−2−(メチルチオ)−5−ピリミジンカルボキシラート(2.83g、8.92mmol)、水酸化ナトリウム(5mLの水に溶解)(0.53g、13.4mmol)、エタノール(25mL)、および水(25mL)を加えた。反応を2時間還流しながら攪拌した。室温まで冷却し、真空下で濃縮した。残渣を水(100mL)で処理し、酢酸を滴下して酸性化した。次いで、酢酸エチル(500mL)を加え、混合物を10分間攪拌した。有機相を分離した。水相を酢酸エチル(2×)で抽出し、有機抽出物を合わせ、水、塩水で洗浄し、MgSOで乾燥させた。溶媒を真空下で除去すると生成物を与えた(2.6g)。
【0158】
別な精製方法:水相を酢酸で酸性化した後、沈殿した生成物を濾過により除き、真空オーブン中で乾燥させた。
MS:M(C1415)=289.36,(M+H)=289.7。
H NMR(400MHz,DMSO−d)δ ppm 1.92(s,3H),2.31(s,3H),2.47(s,3H),6.93(d,J=7.3Hz,1H),7.24(t,J=7.8Hz,1H),7.42(s,1H),7.50(s,1H),10.69(s,1H),11.32−14.57(m,1H)。
【0159】
中間体6
4−メチル−6−[(3−メチルフェニル)アミノ]−2−(メチルチオ)−5−ピリミジンカルボキサミド
【0160】
【化11】

【0161】
4−メチル−6−[(3−メチルフェニル)アミノ]−2−(メチルチオ)−5−ピリミジンカルボン酸(1.71g、5.90mmol)をDMF(40mL)に溶かした溶液に、o−(7−アザベンゾトリアゾル−1−イル)−N,N,N,N−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(4.88g、12.8mmol)およびジイソプロピルエチルアミン(3.83g、29.6mmol)を加えた。反応混合物を10分間攪拌してから、水酸化アンモニウム(28%の7.2ml)を加えた。混合物をさらに20分間攪拌し、DMFを真空下で除去した。残渣を酢酸エチルと水との間で分配した。不溶性の生成物を濾過により集め、真空下で乾燥させた(0.54g)。有機相を分離し、1NのNaOH、水で洗浄し、MgSOで乾燥させた。溶媒を真空下で除去すると追加の生成物(1.03g)を与えたので、先に得られた沈殿生成物と合わせた(全体で1.27g、収率74%)。
MS:M(C1416)=288.37,(M+H)=288.7。
H NMR(400MHz,DMSO−d)δ ppm 2.29(s,3H),2.39(s,3H),2.46(s,3H),6.88(d,J=7.6Hz,1H),7.21(t,J=7.8Hz,1H),7.41(d,J=7.8Hz,1H),7.48(s,1H),7.88(br.s,1H),7.99(br.s,1H),9.16(s,1H)。
【0162】
中間体7
4−[(3−メチルフェニル)アミノ]−2−(メチルチオ)ピリド[4,3−d]ピリミジン−5(6H)−オン
【0163】
【化12】

【0164】
丸底フラスコに、4−[(3−メチルフェニル)アミノ]−2−(メチルチオ)ピリド[4,3−d]ピリミジン−5(6H)−オン(1.61g、5.58mmol)およびDMF(100mL)を加えた。リチウムヘキサメチルジシラザンをTHFに溶かした溶液(1M、33.4mL)を加え、反応を125℃で一晩攪拌した。およそ20mLのTHFを留去し、温度を125℃にした。反応混合物を氷水浴で冷却し、飽和NHCl水溶液を滴下してクエンチした。混合物を真空下で濃縮し、次いで固体物質を酢酸エチルと水との間で分配した。相を分離し、水相を酢酸エチル(2×)で抽出した。有機抽出物を合わせ、水、塩水で洗浄し、MgSOで乾燥させた。溶媒を真空下で除去し、残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、ヘキサン/酢酸エチル勾配で溶離)にかけると、粗生成物を与えた(1.2g)。次いで、酢酸エチルから再結晶させると、純粋な生成物を合わせた(0.52g、収率30%)。
MS:M(C1514)=298.37,(M+H)=299.0。
H NMR(400MHz,DMSO−d)δ ppm 2.33(s,3H),2.54(s,3H),6.33(dd,J=7.2,1.1Hz,1H)6.96(d,J=7.6Hz,1H),7.28(t,J=7.7Hz,1H),7.55−7.66(m,3H),11.92−11.97(m,1H),11.99(s,1H)。
【0165】
実施例1
2−[(3−アミノプロピル)アミノ]−4−[(3−メチルフェニル)アミノ]ピリド[4,3−d]ピリミジン−5(6H)−オン
【0166】
【化13】

【0167】
4−[(3−メチルフェニル)アミノ]−2−(メチルチオ)ピリド[4,3−d]ピリミジン−5(6H)−オン(0.52g、1.74mmol)をDMF(30mL)に溶かした溶液に、m−クロロ過安息香酸(0.81g、純度70%−77%)を加え、反応混合物を一晩攪拌した。1,3−ジアミノプロパン(1.29g、17.4mmol)を加え、反応を1時間攪拌し、次いでDMFを真空下で除去した。残渣をメタノールに溶かし、SCXカートリッジ(15gのシリカ結合プロピルスルホン酸)の上に加え、クロロ安息香酸が全て出てくるまでメタノールで溶離した。次いで、メタノール中2NのNHで溶離して、生成物を出した。生成物を含むフラクションを濃縮し、逆相HPLCにより精製した。
MS:M(C1720O)=324.39,(M+H)=325.0。
H NMR(400MHz,DMSO−d)δ ppm 1.55−1.78(m,2H,2.32(s,3H),2.57−2.70(m,1H),2.91−3.09(m,1H),5.85−6.26(m,1H),6.56−7.89(m,7H),11.43−12.15(m,1H)。
【0168】
以下の2−[(3−アミノプロピル)アミノ]−4−[(置換)アミノ]ピリド[4,3−d]ピリミジン−5(6H)−オンは、エチル4−クロロ−6−メチル−2−(メチルチオ)−5−ピリミジンカルボキシラートおよび適切なアニリンから、実施例1に記載されたものと類似の合成経路に従い製造した。
【0169】
【化14】

【0170】
【表1】

【0171】
実施例5
2−[(3−アミノプロピル)アミノ]−8−メチル−4−[(3−メチルフェニル)アミノ]ピリド[4,3−d]ピリミジン−5(6H)−オン
【0172】
【化15】

【0173】
この化合物は、ジエチルプロピリデンプロパンジオアートから実施例1に記載されたものと類似の合成経路に従い製造した。
【0174】
MS:M(C1822O)=338.41,(M+1)=339.0。
HNMR(400mHz,DMSO−d)δ ppm 9.10(1H,m),7.87(3H,m),7.75(1H,d,J=8.0Hz),7.61(1H,s),7.55(1H,d,J=8.0Hz),7.34(1H,m),7.08(1H,d,J=8.0Hz),3.55(2H,m),2.90(2H,m),2.36(3H,s),2.14(3H,s),1.94(2H,m)。
【0175】
中間体8
4−メチル−2−(メチルチオ)−6−{[4−(メチルチオ)フェニル]アミノ}−5−ピリミジンカルボキサミド
【0176】
【化16】

【0177】
この化合物は、エチル4−クロロ−6−メチル−2−(メチルチオ)−5−ピリミジンカルボキシラートおよび4−(メチルチオ)アニリンから、中間体6に記載されたものと類似の手順を利用して製造した。
MS:(C1416OS)=320.44,(M+H)=320.8。
H NMR(400MHz,DMSO−d)δ ppm 2.38(s,3H),2.44(s,3H),2.69(s,3H),7.09−7.33(m,2H),7.50−7.66(m,2H),7.85(br.s,1H),8.00(br.s,1H),9.15(br.s,1H)。
【0178】
中間体9
5−[(E)−2−(ジメチルアミノ)エテニル]−7−(メチルチオ)−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−ピリミド[4,5−d]ピリミジン−4(1H)−オン
【0179】
【化17】

【0180】
4−メチル−2−(メチルチオ)−6−{[4−(メチルチオ)フェニル]アミノ}−5−ピリミジンカルボキサミドベンズアミド(0.50g、1.57mmol)をDMF(20ml)に溶かした溶液に、ジメチルホルムアミド−ジメチルアセタール(0.56g、4.7mmol)を加え、反応混合物を85℃で1.5時間攪拌した。それを室温に冷却し、DMFを真空下で除去した。残渣をクロマトグラフ(シリカゲル、ヘキサンから酢酸エチルへの勾配、次いで塩化メチレン中10%のメタノールで溶離)にかけると、生成物を与えた(0.43g、収率72%)。
MS:M(C1819)=385.51,(M+H)=385.9。
H NMR(400MHz,DMSO−d)δ ppm 2.27(s,3H),2.53(s,3H),2.97(s,3H),3.23(s,3H),7.04(d,J=12.4Hz,1H),7.39(m,2H),7.46(m,2H),8.28−8.38(m,2H)。
【0181】
中間体10
2−(メチルチオ)−4−{[4−(メチルチオ)フェニル]アミノ}ピリド[4,3−d]ピリミジン−5(6H)−オン
【0182】
【化18】

【0183】
丸底フラスコに、5−[(E)−2−(ジメチルアミノ)エテニル]−7−(メチルチオ)−1−[4−(メチルチオ)フェニル]ピリミド[4,5−d]ピリミジン−4(1H)−オン(0.43g、1.30mmol)および酢酸(50mL)を加えた。反応を還流しながら18時間攪拌し、酢酸を真空下で除去した。塩化メチレン(20mL)を残渣に加え、生成物を濾過により回収した(0.27g、収率75%)。
MS:M(C1514)=330.43,(M+H)=330.8。
H NMR(400MHz,DMSO−d)δ ppm 2.48(s,3H),2.52(s,3H),5.99−6.47(m,1H),7.04−7.41(m,2H),7.54−7.64(m,1H),7.69−7.79(m,2H),11.62−12.13(m,1H)。
【0184】
実施例6
2−[(3−アミノプロピル)アミノ]−4−{[4−(メチルスルホニル)フェニル]アミノ}ピリド[4,3−d]ピリミジン−5(6H)−オン
【0185】
【化19】

【0186】
2−(メチルチオ)−4−{[4−(メチルチオ)フェニル]アミノ}ピリド[4,3−d]ピリミジン−5(6H)−オン(0.27g、0.817mmol)をDMF(10mL)に溶かした溶液に、メタ−クロロ過安息香酸(0.77g、3.43mmol)を加え、反応混合物を室温で18時間攪拌した。1,3−ジアミノプロパン(10当量)を加え、混合物を2時間攪拌した。DMFを真空下で除去した。残渣をメタノールに溶かし、SCXカートリッジ(15グラムのシリカ結合プロピルスルホン酸)の上に加えた。それを、クロロ安息香酸が全て出てくるまでメタノールで溶離し、次いでメタノール中2NのNHで生成物を出した。生成物を含むフラクションを合わせ、濃縮した。残渣を逆相HPLCで精製すると、生成物を与えた(0.34g)。
MS:M(C1720S)=388.45,(M+H)=389.1。
H NMR(400MHz,DMSO−d)δ ppm1.75−1.97(m,2H),2.82−2.97(m,2H),3.22(s,3H),3.35−3.53(m,2H),6.15−6.31(m,1H),7.40−7.62(m,1H),7.63−7.77(m,3H),7.82−8.16(m,4H),11.57−11.94(m,1H),12.29−12.59(m,1H)。
【0187】
実施例7
2−[(3−アミノプロピル)アミノ]−4−{[3−(メチルスルホニル)フェニル]アミノ}ピリド[4,3−d]ピリミジン−5(6H)−オン
【0188】
【化20】

【0189】
この化合物は、実施例6に記載のものと類似の合成経路を利用し、中間体3および3−(メチルチオ)アニリンから製造した。
【0190】
MS:(C1720S)=388.45,(M+1)=388.9。
H NMR(400MHz,DMSO−d)δ ppm 1.72−1.97(m,2H),2.80−2.97(m,2H),3.26(s,3H),3.37−3.59(m,2H),6.17−6.33(m,1H),7.58−7.86(m,7H),8.86−8.97(m,1H),11.48−12.14(m,1H),12.37−12.63(m,1H)。
【0191】
中間体11
エチル4−({3−[3−({[(1,1−ジメチルエチル)オキシ]カルボニル}アミノ)プロピル]フェニル}アミノ)−6−メチル−2−(メチルチオ)−5−ピリミジンカルボキシラート
【0192】
【化21】

1,1−ジメチルエチル[3−(3−アミノフェニル)プロピル]カルバマート(390mg、1.558mmol)をDMF(5mL)に溶かした溶液に、エチル4−クロロ−6−メチル−2−(メチルチオ)−5−ピリミジンカルボキシラート(307mg、1.246mmol)およびDIEA(0.298mL、1.714mmol)を加え、反応混合物を75℃で一晩攪拌した。次いで反応を濃縮し、残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、ヘキサン中0%から50%のEtOAc勾配)を利用して精製すると、生成物を与えた(210mg、収率29%)。
MS:M(C2332S)=460.59,(M+H)=461.6。
【0193】
H NMR(400MHz,CDOD)δ ppm 1.44−1.47(m,12H),1.77−1.85(m,3H),2.52(s,3H),2.62(s,3H),2.65(d,J=8.6Hz,2H),3.09(t,J=7.0Hz,2H),4.45(q,J=7.2Hz,2H),4.64(br.s.,1H),7.01(d,J=7.6Hz,1H),7.28(t,J=7.8Hz,1H),7.42(d,J=1.3Hz,1H),7.55−7.58(m,1H)。
【0194】
中間体12
1,1−ジメチルエチル[3−(3−{[5−(アミノカルボニル)−6−メチル−2−(メチルチオ)−4−ピリミジニル]アミノ}フェニル)プロピル]カルバマート
【0195】
【化22】

【0196】
この化合物は、中間体6に記載されたものと類似の合成経路を利用して、エチル4−({3−[3−({[(1,1−ジメチルエチル)オキシ]カルボニル}アミノ)プロピル]フェニル}アミノ)−6−メチル−2−(メチルチオ)−5−ピリミジンカルボキシラートから製造した。
MS:M(C2129S)=431.55,(M+H)=432.0。
H NMR(400MHz,CDCl)δ ppm 1.40(s,9H),1.78(quin,J=7.4Hz,2H),2.49(s,3H),2.51(s,3H),2.61(d,J=7.6Hz,2H),3.06−3.13(m,2H),3.36(dt,J=3.3,1.6Hz,1H),6.93(d,J=7.6Hz,1H),7.22(t,J=7.8Hz,1H),7.41(d,J=7.8Hz,2H),9.47−9.50(m,1H)。
【0197】
中間体13
1,1−ジメチルエチル[3−(3−{[2−(メチルチオ)−5−オキソ−5,6−ジヒドロピリド[4,3−d]ピリミジン−4−イル]アミノ}フェニル)プロピル]カルバマート
【0198】
【化23】

【0199】
1,1−ジメチルエチル[3−(3−{[5−(アミノカルボニル)−6−メチル−2−(メチルチオ)−4−ピリミジニル]アミノ}フェニル)プロピル]カルバマート(100mg、0.232mmol)をDMF(2mL)に溶かし、DMF−DMA(0.093mL、0.695mmol)を加えた。溶液を80℃で2時間攪拌した。溶媒を除き、酢酸(1mL)を加え、混合物を攪拌しながら90℃で一晩加熱した。次いで、反応を減圧下で濃縮し、逆相HPLC(Gilson、Trilutionソフトウェア使用、phenomenex Luna 5u C18(2) 100A、AXIA.50×30.00mm 5ミクロン、7.3分の運転、47ml/分:35%ACN/HO、0.1%TFAから65%ACN/HO、0.1%TFA、254nmでのUV検出)を利用して精製すると、生成物を与えた(10mg)。
MS:M(C2227S)=441.55(M+H)=442.1。
H NMR(400MHz,CDOD)δ ppm 1.46(s,9H),1.83(d,J=7.6Hz,2H),2.03(d,J=7.8Hz,1H),2.69(s,3H),2.79(t,J=7.8Hz,1H),2.98(d,J=7.6Hz,1H)3.09(t,J=6.9Hz,2H),6.40−6.44(m,1H),7.16(d,J=7.8Hz,1H),7.38(t,J=7.7Hz,2H),7.56(s,1H),7.63−7.74(m,2H),7.76(d,J=7.3Hz,1H)。
【0200】
中間体14
1,1−ジメチルエチル(3−{3−[(2−{[3−({[(1,1−ジメチルエチル)オキシ]カルボニル}アミノ)プロピル]アミノ}−5−オキソ−5,6−ジヒドロピリド[4,3−d]ピリミジン−4−イル)アミノ]フェニル}プロピル)カルバマート
【0201】
【化24】

【0202】
1,1−ジメチルエチル[3−(3−{[2−(メチルチオ)−5−オキソ−5,6−ジヒドロピリド[4,3−d]ピリミジン−4−イル]アミノ}フェニル)プロピル]カルバマート(19mg、0.043mmol)をDMF(1mL)に溶かし、m−CPBA(27.3mg、0.108mmol)を加えた。反応混合物を2時間攪拌し、1,1−ジメチルエチル(3−アミノプロピル)カルバマート(60.0mg、0.344mmol)を加えた。反応混合物を一晩攪拌した。それを次いで濃縮し、残渣を逆相HPLC(Gilson、Trilutionソフトウェア使用、phenomenex Luna 5u C18(2) 100A、AXIA.50×30.00mm 5ミクロン、7.3分の運転、47ml/分:25%ACN/HO、0.1%TFAから65%ACN/HO、0.1%TFA、254nmでのUV検出)を利用して精製すると、生成物を与えた(39mg)。
MS:M(C2941)=567.68,(M+H)=568.5。
H NMR(400MHz,CDCl)δ ppm 1.40−1.56(m,18H),1.85(br.s,2H),2.28(br.s,4H),2.67(br.s.,2H),3.17(d,J=6.8Hz,3H),3.60(m,2H),5.10(m,1H),6.24(m,1H),6.54(m,1H),6.78−6.94(m,1H),7.02(s,1H),7.44(m,1H),7.61(m,1H),9.96(d,J=6.3Hz,1H),10.80(br.s.,1H),12.06(br.s.,1H)。
【0203】
実施例8
2−[(3−アミノプロピル)アミノ]−4−{[3−(3−アミノプロピル)フェニル]アミノ}ピリド[4,3−d]ピリミジン−5(6H)−オン
【0204】
【化25】

【0205】
TFA(0.5mL、6.49mmol)およびジクロロメタン(0.5mL)の事前に混合した溶液に、1,1−ジメチルエチル(3−{3−[(2−{[3−({[(1,1−ジメチルエチル)オキシ]カルボニル}アミノ)プロピル]アミノ}−5−オキソ−5,6−ジヒドロピリド[4,3−d]ピリミジン−4−イル)アミノ]フェニル}プロピル)カルバマート(39mg、0.069mmol)を加え、混合物を30分間攪拌した。次いで、それを濃縮し、生成物を凍結乾燥させた(30mg、白色固体)。
MS:M(C1925O)=367.45(M+H)=368.0。
H NMR(400MHz,DMSO−d)δ ppm 1.80−1.93(m,4H),2.65−2.70(m,2H),2.76−2.88(m,4H),3.50(br.s,4H),6.33(br.s,1H),6.97(br.s,1H),7.07(d,J=7.6Hz,1H),7.29−7.36(m,1H),7.39(t,J=7.8Hz,1H),7.47(s,1H),7.83(d,J=7.6Hz,1H),7.95(s,1H),8.02−8.07(m,1H),12.04(br.s,1H),12.35(br.s,1H)。
【0206】
中間体15
エチル4−({3−[2−(1,3−ジオキソ−1,3−ジヒドロ−2H−イソインドル−2−イル)エチル]フェニル}アミノ)−6−メチル−2−(メチルチオ)−5−ピリミジンカルボキシラート
【0207】
【化26】

【0208】
この化合物は、中間体11に記載されたものと類似の合成経路に従い、2−[2−(3−アミノフェニル)エチル]−1H−イソインドール−1,3(2H)−ジオンおよびエチル4−クロロ−6−メチル−2−(メチルチオ)−5−ピリミジンカルボキシラートから製造した。
MS:M(C2524S)=476.55,(M+H)=476.8。
H NMR(400MHz,CDCl)δ ppm 1.42(t,J=7.4Hz,3H),2.57(s,3H),2.97−3.02(m,2H),3.11(dd,J=7.3,4.8Hz,2H),3.93(dd,J=9.7,6.2Hz,2H),4.44(q,J=7.2Hz,2H),7.08(d,J=7.6Hz,1H),7.28−7.32(m,1H),7.45(d,J=8.3Hz,1H),7.63(s,1H),7.72(d,J=8.3Hz,2H),7.84(dd,J=5.6,3.0Hz,2H),10.80(br.s.,1H)。
【0209】
中間体16
4−({3−[2−(1,3−ジオキソ−1,3−ジヒドロ−2H−イソインドル−2−イル)エチル]フェニル}アミノ)−6−メチル−2−(メチルチオ)−5−ピリミジンカルボキサミド
【0210】
【化27】

【0211】
この化合物は、中間体6に記載のものと類似の合成経路を利用して、エチル4−({3−[2−(1,3−ジオキソ−1,3−ジヒドロ−2H−イソインドル−2−イル)エチル]フェニル}アミノ)−6−メチル−2−(メチルチオ)−5−ピリミジンカルボキシラートから製造した。
MS:M(C2321S)=447.51(M+H)=448.1。
H NMR(400MHz,DMSO−d)δ ppm 2.39(s,3H),2.48(s,3H),2.90(t,J=7.6Hz,2H),3.80(d,J=7.8Hz,2H),6.90(d,J=7.6Hz,1H),7.22(t,J=7.8Hz,1H),7.43(d,J=1.5Hz,1H),7.62(s,1H),7.80−7.88(m,5H),8.00(s,1H),9.22(s,1H)。
【0212】
中間体17
2−[2−(3−{[2−(メチルチオ)−5−オキソ−5,6−ジヒドロピリド[4,3−d]ピリミジン−4−イル]アミノ}フェニル)エチル]−1H−イソインドール−1,3(2H)−ジオン
【0213】
【化28】

【0214】
N−[2−(3−{[5−(アミノカルボニル)−6−メチル−2−(メチルチオ)−4−ピリミジニル]アミノ}フェニル)エチル]−1,2−ベンゼンジカルボキサミド(100mg、0.215mmol)をDMF(1mL)に溶かし、DMF−DMA(0.144mL、1.076mmol)を加えた。溶液を80℃で2時間攪拌した。次いで、溶媒を除き、酢酸(1mL)を加え、混合物を90℃で一晩攪拌した。反応混合物を減圧下で濃縮し、残渣を逆相HPLC(Gilson、Trilutionソフトウェア使用、phenomenex Luna 5u C18(2) 100A、AXIA.50×30.00mm 5ミクロン、7.3分の運転、47ml/分:28%ACN/HO、0.1%TFAから50%ACN/HO、0.1%TFA、254nmでのUV検出)を利用して精製し、生成物を与えた(38mg)。
MS:M(C2419S)=457.50,(M+H)=458.1。
H NMR(400MHz,DMSO−d)δ ppm 2.56(s,3H),2.95(t,J=7.3Hz,2H),3.84(t,J=7.3Hz,2H),6.34(dd,J=7.2,1.14Hz,1H),6.97(d,J=7.8Hz,1H),7.29(t,J=7.8Hz,1H),7.59(t,J=6.7Hz,2H),7.75(s,1H),7.83(m,4H),11.96(d,J=6.1Hz,1H),12.01(s,1H)。
【0215】
中間体18
1,1−ジメチルエチル(3−{[4−({3−[2−(1,3−ジオキソ−1,3−ジヒドロ−2H−イソインドル−2−イル)エチル]フェニル}アミノ)−5−オキソ−5,6−ジヒドロピリド[4,3−d]ピリミジン−2−イル]アミノ}プロピル)カルバマート
【0216】
【化29】

【0217】
2−[2−(3−{[2−(メチルチオ)−5−オキソ−5,6−ジヒドロピリド[4,3−d]ピリミジン−4−イル]アミノ}フェニル)エチル]−1H−イソインドール−1,3(2H)−ジオン(38mg、0.083mmol)をDMF(1mL)に溶かし、m−CPBA(52.7mg、0.208mmol)を加えた。反応混合物を一晩攪拌し、1,1−ジメチルエチル(3−アミノプロピル)カルバマート(116mg、0.664mmol)を加えた。混合物を1時間攪拌し、濃縮した。残渣を逆相HPLC(Gilson、Trilutionソフトウェア使用、phenomenex Luna 5u C18(2) 100A、AXIA.50×30.00mm 5ミクロン、7.3分の運転、47ml/分:30%ACN/HO、0.1%TFAから55%ACN/HO、0.1%TFA、254nmでのUV検出)を利用して精製し、生成物を与えた(24mg)。
MS:M(C3133)=583.64,(M+H)=584.1。
H NMR(400MHz,DMSO−d)δ ppm 1.32(s,9H),1.73(br.s.,2H),2.97(s,4H),3.44(br.s.,2H),3.57(br.s.,2H),3.85(br.s.,2H),6.35(m,1H),6.86(m,1H),7.04(m,1H),7.34(t,1H),7.46(s,1H),7.61(d,1H),7.72−7.75(m,1H),7.84(m,4H),12.37(s,1H)。
【0218】
中間体19
1,1−ジメチルエチル{3−[(4−{[3−(2−アミノエチル)フェニル]アミノ}−5−オキソ−5,6−ジヒドロピリド[4,3−d]ピリミジン−2−イル)アミノ]プロピル}カルバマート
【0219】
【化30】

【0220】
1,1−ジメチルエチル(3−{[4−({3−[2−(1,3−ジオキソ−1,3−ジヒドロ−2H−イソインドル−2−イル)エチル]フェニル}アミノ)−5−オキソ−5,6−ジヒドロピリド[4,3−d]ピリミジン−2−イル]アミノ}プロピル)カルバマート(24mg、0.041mmol)をエタノール(2mL)に溶かし、ヒドラジン(30μl、0.956mmol)を加えた。反応を90℃で3時間攪拌した。反応混合物を濃縮し、残渣を逆相HPLC(Gilson、Trilutionソフトウェア使用、phenomenex Luna 5u C18(2) 100A、AXIA.50×30.00mm 5ミクロン、7.3分の運転、47ml/分:10%ACN/HO、0.1%TFAから40%ACN/HO、0.1%TFA、254nmでのUV検出)を利用して精製すると、生成物を与えた(11mg)。
MS:M(C2331)=453.54,(M+1)=454.0。
【0221】
実施例9
4−{[3−(2−アミノエチル)フェニル]アミノ}−2−[(3−アミノプロピル)アミノ]ピリド[4,3−d]ピリミジン−5(6H)−オン
【0222】
【化31】

【0223】
TFA(0.5mL、6.49mmol)およびジクロロメタン(0.5mL)の事前に混合した溶液に、1,1−ジメチルエチル{3−[(4−{[3−(2−アミノエチル)フェニル]アミノ}−5−オキソ−5,6−ジヒドロピリド[4,3−d]ピリミジン−2−イル)アミノ]プロピル}カルバマート(11mg、0.024mmol)を加え、反応混合物を30分間攪拌した。それを濃縮し、生成物を凍結乾燥させた(4mg、白色固体)。
MS:M(C1823O)=353.43,(M+H)=354.2。
H NMR(400MHz,DMSO−d)δ ppm 1.84−1.95(m,2H),2.83−2.95(m,4H),3.02−3.16(m,2H),3.40−3.55(m,2H),6.39(d,J=6.8Hz,1H),7.16(d,J=8.1Hz,1H),7.45(t,J=8.0Hz,2H),7.74−7.92(m,6H),9.03(br.s.,1H),12.43(s,1H),12.49(br.s,1H)。
【0224】
実施例10
4−{[4−(2−アミノエチル)フェニル]アミノ}−2−[(3−アミノプロピル)アミノ]ピリド[4,3−d]ピリミジン−5(6H)−オン
【0225】
【化32】

【0226】
この化合物は、実施例9に記載されたものと類似の合成経路として手順に従い、中間体3および2−[2−(4−アミノフェニル)エチル]−1H−イソインドール−1,3(2H)−ジオンから製造した。
MS:M(C1823O)=353.43,(M+1)=354.1。
H NMR(400MHz,DMSO−d)δ ppm 2.88(d,J=8.6Hz,4H),2.98−3.12(m,2H),3.36−3.57(m,2H),6.19−6.39(m,1H),7.34(s,2H),7.64−8.10(m,8H),11.49−12.51(m,2H)。
【0227】
実施例11
2−[(3−アミノプロピル)アミノ]−8−メチル−4−[(3−メチルフェニル)アミノ]ピリド[4,3−d]ピリミジン−5(6H)−オン
【0228】
【化33】

【0229】
この化合物は、実施例1に記載されたものと類似の合成経路に従い、ジエチルプロピリデンプロパンジオアートから製造した。
MS:M(C1822O)=338.41,(M+1)=339.0。
HNMR(400mHz,DMSO−d)δ ppm 9.10(1H,m),7.87(3H,m),7.75(1H,d,J=8.0Hz),7.61(1H,s),7.55(1H,d,J=8.0Hz),7.34(1H,m),7.08(1H,d,J=8.0Hz),3.55(2H,m),2.90(2H,m),2.36(3H,s),2.14(3H,s),1.94(2H,m)。
【0230】
中間体20
[1−(メチルオキシ)エチリデン]プロパンジニトリル
【0231】
【化34】

【0232】
空気攪拌器、温度計、および蒸留冷却器を備えた100mLのフラスコに、マロノニトリル(9.1g、0.138mol、オルト酢酸トリエチル(26.8g、0.165mol)および氷酢酸(0.4mL)を連続して加え、混合物を攪拌し、反応中に形成されるエタノールが留去され始めるまで穏やかに加熱した(90℃)。エタノールが全て留去されると、反応温度をゆっくりと90℃から140℃に30分間上げ、反応の終了を確実にした。反応混合物を45℃まで放冷すると凝固した。得られた固体の塊をヘキサン下(20mL)で粉砕し、ヘキサンをデカンテーションして除いた。固体をエタノール(50mL)で洗浄すると、無色の結晶を与えた。エタノール溶液を濃縮し、室温に放冷した。次いで、結晶を濾過し、エタノールで洗浄し、真空下で乾燥させた(12.3g、収率65.9%)。
H NMR(300MHz,DMSO),δ4.42(2H,q,J=15.8,6.8Hz),2.44(3H,s),1.32(3H,t,J=6.9Hz)。
【0233】
中間体21
4−アミノ−6−メチル−2−(メチルチオ)−5−ピリミジンカルボニトリル
【0234】
【化35】

【0235】
(1−エトキシエチリデン)マロノニトリル(25g、0.184mol)およびs−メチルイソチオウレアヘミ硫酸塩(38.3g、0.275mol)をMeOH(800mL)に加えた混合物に、0℃のNaOMe(9.9g、0.184mol)を加えた。混合物を室温まで温め、一晩攪拌した。水(1L)を反応混合物に加え、さらに30分間攪拌した。得られた沈澱物を濾過し、溶離する水が無色になるまで水で洗浄した。白色(または黄色)固体を真空下で乾燥させた(26.1g、収率78.8%)。
【0236】
MS:M(CS)=180.23,(M+1)=181.1。
【0237】
H NMR(300MHz,DMSO),δ 7.75(2H,br.s),2.43(3H,s),2.36(3H,s)。
【0238】
中間体22
4−クロロ−6−メチル−2−(メチルチオ)−5−ピリミジンカルボニトリル
【0239】
【化36】

【0240】
4−アミノ−6−メチル−2−(メチルチオ)ピリミジン−5−カルボニトリル(50g、0.278mol)を、塩化銅(II)無水物(44.7g、0.334mol)、tert−ブチルニトリル(51.6mL、0.500mol)およびMgSO(10mg)を80℃のアセトニトリル(800mL)に加えた混合物に攪拌しながら加えた。3時間後、混合物を室温に冷却し、濾過した。濾液を濃縮し、残渣を酢酸エチルに溶かし、水、塩水で洗浄し、MgSOで乾燥させ、濃縮した。粗物質のカラムクロマトグラフィー(PE/EtOAc=3:1、次いで3:2)を行うと、所望の生成物を白色固体として与えた(33g、収率59%)。
【0241】
MS:M(CSCl)=199.66,(M+1)=200.1。
【0242】
H NMR(300MHz,DMSO)δ 2.69(3H,s),2.61(3H,s)。
【0243】
中間体23
4−メチル−6−[(3−メチルフェニル)アミノ]−2−(メチルチオ)−5−ピリミジンカルボニトリル
【0244】
【化37】

【0245】
4−クロロ−6−メチル−2−(メチルチオ)−5−ピリミジンカルボニトリル(500mg、2.51mmol)をDMF(6mL)に溶かした溶液に、3−メチルアニリン(322mg、3.01mmol)およびジイソプロピルエチルアミン(712mg、5.52mmol)を加え、反応混合物を70℃で1.5時間攪拌した。混合物を冷却し、濃縮し、残渣をEtOAc(30mL)に溶かし、水(10mL)で洗浄した。酢酸エチル抽出物をNaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、ヘキサン/EtOAc、0から100%)を使用して精製すると、生成物を与えた(650mg、収率96%)。
MS:M(C1414S)=270.36,(M+1)=270.8。
HNMR(400mHz,DMSO−d)δ ppm 7.43(1H,m),7.27(1H,m),7.10(1H,s),7.01(1H,d,J=8.0Hz),2.55(3H,s),2.52(3H,s),2.38(3H,s)。
【0246】
中間体24
4−[(E)−2−(ジメチルアミノ)エテニル]−6−[(3−メチルフェニル)アミノ]−2−(メチルチオ)−5−ピリミジンカルボニトリル
【0247】
【化38】

【0248】
4−メチル−6−[(3−メチルフェニル)アミノ]−2−(メチルチオ)−5−ピリミジンカルボニトリル(1.32g、4.89mmol)をDMF(8mL)に溶かした溶液に、DMFジメチルアセチル(1.16g、9.75mmol)を加え、反応混合物を110℃で1.5時間攪拌した。混合物を濃縮し、残渣をEtOAc(30mL)に溶かした。溶液を水で洗浄し、有機層を集めた。水層をEtOAc(2×)で抽出した。合わせた抽出物をNaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮すると、粗エナミン生成物を与えた(1.47g)。MS:M(C1719S)=325.44,(M+1)=326.1。
【0249】
中間体25
5−ブロモ−N−(3−メチルフェニル)−2−(メチルチオ)ピリド[4,3−d]ピリミジン−4−アミン
【0250】
【化39】

【0251】
粗4−[(E)−2−(ジメチルアミノ)エテニル]−6−[(3−メチルフェニル)アミノ]−2−(メチルチオ)−5−ピリミジンカルボニトリル(1.47g)を酢酸(5mL)に溶かし、33%HBrの氷酢酸溶液(10mL)を加えた。反応混合物を室温で20分間攪拌した。次いで、混合物を減圧下で濃縮すると、ブロモピリジンをHBr塩として与えた。
MS:M(C1513BrNS)=361.27,(M+1)=360.7,362.7。
HNMR(400mHz,DMSO−d)δ ppm 8.31(1H,d,J=4Hz),7.55(1H,m),7.42(2H,m),7.31(1H,m),7.05(1H,d,J=4Hz),2.56(3H,s),2.41(3H,s)。
【0252】
中間体26
4−[(3−メチルフェニル)アミノ]−2−(メチルチオ)ピリド[4,3−d]ピリミジン−5(6H)−オン
【0253】
【化40】

【0254】
粗中間体25を酢酸(10mL)および6Nの塩酸(15mL)に溶かし、反応混合物を80℃で1.5時間攪拌した。混合物を冷却し、減圧下で濃縮した。残渣を飽和NaHCOでゆっくりと処理し、固体を濾過により集めた。水溶液をCHCl(5×)で抽出し、NaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮した。合わせた固体生成物を高真空下でさらに乾燥させると、粗生成物を与えた(1.48g、純度84%)。
MS:M(C1514OS)=298.37,(M+1)=298.9。
HNMR(400mHz,DMSO−d)δ ppm 7.60(3H,m),7.28(1H,t,J=8.0Hz),6.96(1H,d,J=8.0Hz),6.34(1H,d,J=8.0Hz),2.54(3H,s),2.33(3H,s)。
【0255】
中間体27
1,1−ジメチルエチル[3−({4−[(3−メチルフェニル)アミノ]−5−オキソ−5,6−ジヒドロピリド[4,3−d]ピリミジン−2−イル}アミノ)プロピル]カルバマート
【0256】
【化41】

【0257】
4−[(3−メチルフェニル)アミノ]−2−(メチルチオ)ピリド[4,3−d]ピリミジン−5(6H)−オン(420mg、1.41mmol)をDMF(6mL)に溶かした溶液に、mCPBA(582mg、3.38)を加え、反応混合物を一晩攪拌した。1,1−ジメチルエチル(3−アミノプロピル)カルバマート(1.00g、8.06mmol)を加え、混合物を1時間攪拌した。反応を飽和NaHCOでクエンチし、酢酸エチル(3×15mL)で抽出した。抽出物をMgSOで乾燥させ、濾過し、濃縮した。逆相HPLCを利用して残渣を精製すると、生成物を与えた(301mg)。
HPLC条件:Gilson、Trilutionソフトウェア使用、phenomenex Luna 5u C18(2) 100A、AXIA、50×30.00mm 5ミクロン、7.3分の運転(47mL/分、23%ACN/HO、0.1%TFAから53%ACN/HO、0.1%TFA)、UV検出254nm。
MS:M(C2228)=424.50,(M+1)=425.1。
HNMR(400mHz,DMSO−d)δ ppm 7.88(1H, s), 7.72 (1H, d, J = 8.0 Hz), 7.62 (1H, m), 7.41 (1H, d, J = 8.0 Hz), 6.35 (1H, d, J = 8.0 Hz), 4.54 (2H, s), 4.48 (2H, s), 2.53 (3H, s)。
【0258】
実施例1
2−[(3−アミノプロピル)アミノ]−4−[(3−メチルフェニル)アミノ]ピリド[4,3−d]ピリミジン−5(6H)−オン
【0259】
【化42】

【0260】
1,1−ジメチルエチル[3−({4−[(3−メチルフェニル)アミノ]−5−オキソ−5,6−ジヒドロピリド[4,3−d]ピリミジン−2−イル}アミノ)プロピル]カルバマート(245mg、0.577mmol)をジクロロメタン(3mL)に溶かし、TFA(1mL)を加えた。反応混合物を1時間攪拌し、濃縮した。残渣を高真空下でさらに乾燥させると、生成物をTFA塩として与えた(250mg)。
【0261】
中間体28
1−(フェニルスルホニル)−1H−ピラゾル−4−アミン
【0262】
【化43】

【0263】
4−ニトロ−1−(フェニルスルホニル)−1H−ピラゾール(21.0g、82.9mmol)をメタノール(300mL)に溶かした溶液に、Pd/C(10%wt、4.0g)を加え、混合物を12時間室温でH雰囲気下で攪拌した。濾過の後、濾液を減圧下で濃縮した。得られた残渣を石油エーテルで洗浄し、乾燥させると、白色固体として生成物を与えた(15.0g、収率81.1%)。
MS:M(CS)=223.26,(M+1)=224.0。
【0264】
中間体29
4−メチル−2−(メチルチオ)−6−{[1−(フェニルスルホニル)−1H−ピラゾル−4−イル]アミノ}−5−ピリミジンカルボニトリル
【0265】
【化44】

【0266】
中間体30
4−メチル−2−(メチルチオ)−6−(1H−ピラゾル−4−イルアミノ)−5−ピリミジンカルボニトリル
【0267】
【化45】

【0268】
4−クロロ−6−メチル−2−(メチルチオ)ピリミジン−5−カルボニトリル(6.45g、32.2mmol)および1−(フェニルスルホニル)−1H−ピラゾル−4−アミン(7.2g、32.2mmol)を1,4−ジオキサン(150mL)に溶かした溶液に、4−メチルベンゼンスルホン酸(3.06g、16.1mmol)を加えた。反応混合物を一晩90℃で攪拌した。室温に冷却後、沈澱物を濾過し、飽和NaHCO溶液、次いで水で洗浄し、乾燥させ、石油および混合溶媒(石油エーテル:酢酸エチル=4:1)で連続して洗浄すると、4−メチル−2−(メチルチオ)−6−(1H−ピラゾル−4−イルアミノ)−5−ピリミジンカルボニトリル(中間体30、3.6g)を色の薄い固体として与えた。MS:M(C1010S)=246.30,(M+1)=247.1;HNMR(300mHz,DMSO−d)δ ppm 12.69(1H,s),9.87(1H,s),7.97(1H,s),3.33(3H,m),2.42(3H,s)。有機溶離液を減圧下で濃縮し、残渣を上記と同じ方法で処理すると、4−メチル−2−(メチルチオ)−6−{[1−(フェニルスルホニル)−1H−ピラゾル−4−イル]アミノ}−5−ピリミジンカルボニトリル(中間体29、4.26g、収率34.4%)を黄色固体として与えた。MS:M(C1614)=386.46,(M+1)=387.1;HNMR(300mHz,DMSO−d)δ ppm 10.22(1H,s),8.68(1H,s),8.14(1H,s),7.96(2H,d,J=7.5Hz),7.80(1H,m),7.68(2H,m),2.50(3H,s),2.49(3H,s)。
【0269】
中間体31
4−[(E)−2−(ジメチルアミノ)エテニル]−2−(メチルチオ)−6−{[1−(フェニルスルホニル)−1H−ピラゾル−4−イル]アミノ}−5−ピリミジンカルボニトリル
【0270】
【化46】

【0271】
中間体29(4.16g、10.8mmol)をDMF(100mL)に溶かした溶液に、tert−ブトキシ−N,N,N’,N’−テトラメチルメタンジアミン(BBDM、5.63g、32.3mmol)を加えた。混合物を100℃で16時間攪拌した。室温に冷却した後、混合物を氷水(800mL)に注ぎ、濾過し、固体を水、石油、および混合溶媒(石油:酢酸エチル=3:1)で連続して洗浄し、乾燥させると、4.2gの生成物を黄色固体として与えた。収率64.3%。
MS:M(C1919)=441.54,(M+1)=442.2。
【0272】
中間体32
2−(メチルチオ)−4−(1H−ピラゾル−4−イルアミノ)ピリド[4,3−d]ピリミジン−5(6H)−オン
【0273】
【化47】

【0274】
中間体31(4.2g、6.94mmol)を酢酸(50mL)に加えた懸濁液に、HBr(酢酸中33%、25mL)をゆっくりと(約10分かけて)加え、反応混合物を40℃で3時間攪拌した。次いで、水(20mL)を加え、混合物を80℃でさらに2時間攪拌した。それを、冷却し、濾過し、固体を飽和NaHCO溶液で処理し、水で洗浄して、乾燥させた。次いで、固体を石油エーテル(3×20mL)および酢酸エチル(2×15mL)で洗浄し、乾燥させると、所望の生成物を薄黄色固体として与えた(0.8g、収率42.1%)。
【0275】
MS:M(C1110OS)=274.31,(M+1)=275.1。
【0276】
HNMR(300mHz,DMSO−d)δ ppm 12.78(1H,s),11.89(1H,s),11.62(1H,s),8.12(1H,broad s),7.87(1H,broad s),7.54(1H,m),6.29(1H,d,J=5.4Hz),2.49(3H,s)。
【0277】
実施例12
4−(1H−ピラゾル−4−イルアミノ)−2−[(3R)−3−ピロリジニルアミノ]ピリド[4,3−d]ピリミジン−5(6H)−オン
【0278】
【化48】

【0279】
この化合物は、実施例1(スキーム2)に記載されたものと類似のmCPBA/(R)−3−アミノ−1−N−Boc−ピロリジンおよびTFAシーケンスを利用し、中間体32から製造した。
MS:M(C1416O)=312.34,(M+1)=313.1。
HNMR(400MHz,DMSO−d)δ ppm 1.95−2.07(m,1H),2.17−2.30(m,1H),3.14−3.41(m,2H),3.43−3.54(m,1H),4.47−4.74(m,2H),6.17−6.30(m,1H),7.40−7.71(m,1H),7.97−8.16(m,2H),8.69−8.94(m,2H),11.44−12.17(m,2H)。
【0280】
中間体33
4−[(2−メチルフェニル)アミノ]−2−(メチルチオ)ピリド[4,3−d]ピリミジン−5(6H)−オン
【0281】
【化49】

【0282】
この化合物は、中間体26に記載されたものと類似の手順に従い、4−クロロ−6−メチル−2−(メチルチオ)−5−ピリミジンカルボニトリルおよび2−メチルアニリンから製造した。
MS:M(C1514OS)=298.37,(M+1)=299.0。
HNMR(400mHz,DMSO−d)δ ppm 11.91(1H,s),11.83(1H,s),8.28(1H,d,J=8.0Hz),7.60(1H,d,J=8.0Hz),7.28(1H,t,J=8.0Hz),7.07(1H,t,J=8.0Hz),6.34(1H,J=8.0Hz),2.49(3H,s),2.34(3H,s)。
【0283】
実施例13
2−[(3−アミノプロピル)アミノ]−4−[(2−メチルフェニル)アミノ]ピリド[4,3−d]ピリミジン−5(6H)−オン
【0284】
【化50】

【0285】
この化合物は、実施例1(スキーム2)に記載されたものと類似の手順で(mCPBA/1,1−ジメチルエチル(3−アミノプロピル)カルバマートおよびTFA)、4−[(2−メチルフェニル)アミノ]−2−(メチルチオ)ピリド[4,3−d]ピリミジン−5(6H)−オンから製造した。
MS:M(C1720O)=324.39,(M+1)=325.2。
HNMR(400mHz,DMSO−d)δ ppm 8.20(1H,m),7.73(4H,m),7.15−7.38(3H,m),6.35(1H,d,J=8.0Hz),3.41(2H,m),2.83(2H,m),2.36(3H,s),1.83(2H,m)。
【0286】
中間体34
4−[(2,2−ジオキシド−1,3−ジヒドロ−2−ベンゾチエン−5−イル)アミノ]−6−メチル−2−(メチルチオ)−5−ピリミジンカルボニトリル
【0287】
【化51】

【0288】
この化合物は、中間体23に記載されたものと類似の手順に従い、4−クロロ−6−メチル−2−(メチルチオ)−5−ピリミジンカルボニトリルおよび(2,2−ジオキシド−1,3−ジヒドロ−2−ベンゾチエン−5−イル)アミンから製造した。
MS:M(C1514)=346.43,(M+1)=347.0。
HNMR(400MHz,DMSO−d)δ ppm 9.89(1H,s),7.61(1H,s),7.55(1H,dd,J=8.0,4.0Hz),7.36(1H,d,J=8.0Hz),4.50(2H,s),4.47(2H,s),2.46(3H,s),2.49(3H,s)。
【0289】
中間体35
4−[(2,2−ジオキシド−1,3−ジヒドロ−2−ベンゾチエン−5−イル)アミノ]−2−(メチルチオ)ピリド[4,3−d]ピリミジン−5(6H)−オン
【0290】
【化52】

【0291】
この化合物は、中間体26に記載された手順を利用して、4−[(2,2−ジオキシド−1,3−ジヒドロ−2−ベンゾチエン−5−イル)アミノ]−6−メチル−2−(メチルチオ)−5−ピリミジンカルボニトリルから製造した。逆相HPLCを使用して生成物を精製した。HPLC条件:Gilson、Trilutionソフトウェア使用、phenomenex Luna 5u C18(2) 100A、AXIA、50×30.00mm 5ミクロン、7.3分の運転(47mL/分、14%ACN/HO、0.1%TFAから44%ACN/HO、0.1%TFA)、UV検出254nm。
MS:M(C1614)=373.44,(M+1)=374.7。
HNMR(400mHz,DMSO−d)δ ppm 7.88(1H, s), 7.72 (1H, d, J = 8.0 Hz), 7.62 (1H, m), 7.41 (1H, d, J = 8.0 Hz), 6.35 (1H, d, J = 4.0 Hz), 4.54 (2H, s), 4.48 (2H,s), 2.53 (3H,s)。
【0292】
実施例14
2−[(3−アミノプロピル)アミノ]−4−[(2,2−ジオキシド−1,3−ジヒドロ−2−ベンゾチエン−5−イル)アミノ]ピリド[4,3−d]ピリミジン−5(6H)−オン
【0293】
【化53】

【0294】
この化合物は、実施例1(スキーム2)に記載されたものと類似のmCPBA/1,1−ジメチルエチル(3−アミノプロピル)カルバマートおよびTFAシーケンスを利用して、4−[(2,2−ジオキシド−1,3−ジヒドロ−2−ベンゾチエン−5−イル)アミノ]−2−(メチルチオ)ピリド[4,3−d]ピリミジン−5(6H)−オンから製造した。
MS:M(C1820S)=400.46,(M+1)=400.7。
HNMR(400mHz,DMSO−d)δ ppm 7.30−8.00(4H,m),6.24(1H,m),4.40−4.60(4H,m),3.42(2H,bs),2.88(2H,m),1.85(2H,m)。
【0295】
中間体36
N−(3−{[5−シアノ−6−メチル−2−(メチルチオ)−4−ピリミジニル]アミノ}フェニル)−1−ピロリジンカルボキサミド
【0296】
【化54】

【0297】
この化合物は、中間体23に記載されたものと類似の手順を利用して、4−クロロ−6−メチル−2−(メチルチオ)−5−ピリミジンカルボニトリルおよびN−(3−アミノフェニル)−1−ピロリジンカルボキサミドから製造した。
MS:M(C1820OS)=368.46,(M+1)=368.7。
HNMR(400mHz,DMSO−d)δ ppm 9.73(1H,m),8.13(1H,s),7.82(1H,s),7.28(1H,d,J=8.0Hz),7.18(1H,t,J=8.0Hz),7.10(1H,d,J=8.0Hz),3.36(5H,m),2.44(3H,s),2.39(3H,s),1.85(4H,m)。
【0298】
中間体37
N−(3−{[2−(メチルチオ)−5−オキソ−5,6−ジヒドロピリド[4,3−d]ピリミジン−4−イル]アミノ}フェニル)−1−ピロリジンカルボキサミド
【0299】
【化55】

【0300】
この化合物は、中間体26に記載のものと類似の手順を利用して、N−(3−{[5−シアノ−6−メチル−2−(メチルチオ)−4−ピリミジニル]アミノ}フェニル)−1−ピロリジンカルボキサミドから製造した。逆相HPLCを使用して生成物を精製した。HPLC条件:Gilson、Trilutionソフトウェア使用、phenomenex Luna 5u C18(2) 100A、AXIA、50×30.00mm 5ミクロン、7.3分の運転(47mL/分、14%ACN/HO、0.1%TFAから44%ACN/HO、0.1%TFA)、UV検出254nm。
MS:M(C1920S)=396.47,(M+1)=397.7。
HNMR(400mHz,DMSO−d)δ ppm 8.19(1H,s),7.82(1H,s),7.59(2H,m),7.26(2H,m),6.34(1H,d,J=4.0Hz),3.37(4H,m),2.54(3H,s),1.86(4H,m)。
【0301】
実施例15
N−[3−({2−[(3−アミノプロピル)アミノ]−5−オキソ−5,6−ジヒドロピリド[4,3−d]ピリミジン−4−イル}アミノ)フェニル]−1−ピロリジンカルボキサミド
【0302】
【化56】

【0303】
この化合物は、実施例1(スキーム2)に記載されたものと類似のmCPBA/1,1−ジメチルエチル(3−アミノプロピル)カルバマートおよびTFAシーケンスを利用して、N−(3−{[2−(メチルチオ)−5−オキソ−5,6−ジヒドロピリド[4,3−d]ピリミジン−4−イル]アミノ}フェニル)−1−ピロリジンカルボキサミドから製造した。
MS:M(C2126)=422.49,(M+1)=423.4。
HNMR(400mHz,DMSO−d)δ ppm 8.27 (1H, s), 8.21 (1H, s), 7.73 (4H, m), 7.29(3H,m),6.34(1H,d,J=8.0Hz),3.62(2H,m),3.38(4H,m),2.89(2H,m),1.87(6H,m)。
【0304】
実施例16
N−{3−[(2−{[2−(1H−イミダゾル−4−イル)エチル]アミノ}−5−オキソ−5,6−ジヒドロピリド[4,3−d]ピリミジン−4−イル)アミノ]フェニル}−1−ピロリジンカルボキサミド
【0305】
【化57】

【0306】
N−(3−{[2−(メチルチオ)−5−オキソ−5,6−ジヒドロピリド[4,3−d]ピリミジン−4−イル]アミノ}フェニル)−1−ピロリジンカルボキサミド(80mg、0.26mmol)をDMF(3mL)に溶かした溶液に、m−CPBA(102mg、0.59mmol)を加え、反応混合物を一晩攪拌した。ヒスタミン(230mg、2.08mmol)を加え、反応混合物を5時間攪拌した。次いで、それを濃縮し、残渣を逆相HPLC精製にかけると、生成物を与えた(75mg)。
【0307】
HPLC条件:Gilson、Trilutionソフトウェア使用、phenomenex Luna 5u C18(2) 100A、AXIA、50×30.00mm 5ミクロン、7.3分の運転(47mL/分、3%ACN/HO、0.1%TFAから33%ACN/HO、0.1%TFA)、UV検出254nm。
MS:M(C2325)=459.51,m/z(M+1)460.1。
【0308】
HNMR(400mHz,DMSO−d)δ ppm 8.96(1H,m),7.20−8.50(5H,m)),6.30(1H,m),3.78(2H,m),3.36(4H,m),2.98(2H,m),1.86(4H,m)。
【0309】
実施例17
N−[3−({5−オキソ−2−[(3R)−3−ピロリジニルアミノ]−5,6−ジヒドロピリド[4,3−d]ピリミジン−4−イル}アミノ)フェニル]−1−ピロリジンカルボキサミド
【0310】
【化58】

【0311】
この化合物は、実施例1(スキーム2)に記載されたものと類似のm−CPBA/1,1−ジメチルエチル(3−アミノプロピル)カルバマートおよびTFAシーケンスを利用して、N−(3−{[2−(メチルチオ)−5−オキソ−5,6−ジヒドロピリド[4,3−d]ピリミジン−4−イル]アミノ}フェニル)−1−ピロリジンカルボキサミドから製造した。
MS:M(C2226)=434.50,(M+1)=435.2。
HNMR(400mHz,DMSO−d)δ ppm 7.20−8.50(6H,m),6.23(1H,m),3.10−3.80(9H,m),2.20−2.40(2H,m),1.86(4H,m)。
【0312】
中間体38
N−(4−{[5−シアノ−6−メチル−2−(メチルチオ)−4−ピリミジニル]アミノ}フェニル)−1−ピロリジンカルボキサミド
【0313】
【化59】

【0314】
この化合物は、中間体23に記載されたものと類似の手順に従い、4−クロロ−6−メチル−2−(メチルチオ)−5−ピリミジンカルボニトリルおよびN−(4−アミノフェニル)−1−ピロリジンカルボキサミドから製造した。
MS:M(C1820OS)=368.36,m/z(M+1)=369.0。
HNMR(400mHz,DMSO−d)δ ppm 9.64(1H,s),8.13(1H,s),7.48(2H,d,J=8.0Hz),7.37(2H,d,J=8.0Hz),3.36(4H,m),2.43(3H,s),2.37(3H,s),1.85(4H,m)。
【0315】
中間体39
N−(4−{[2−(メチルチオ)−5−オキソ−5,6−ジヒドロピリド[4,3−d]ピリミジン−4−イル]アミノ}フェニル)−1−ピロリジンカルボキサミド
【0316】
【化60】

【0317】
この化合物は、中間体26に記載されたものと類似の手順を利用して、N−(4−{[5−シアノ−6−メチル−2−(メチルチオ)−4−ピリミジニル]アミノ}フェニル)−1−ピロリジンカルボキサミドから製造した。
MS:M(C1920S)=396.47,m/z(M+1)=397.1および398.1。
HNMR(400mHz,DMSO−d)δ ppm 8.16(1H,s),7.61(2H,d,J=8.0Hz),7.54(1H,d,J=8.0Hz),6.32(1H,d,J=8.0Hz),3.37(4H,m),1.85(4H,m)。
【0318】
実施例18
N−[4−({2−[(3−アミノプロピル)アミノ]−5−オキソ−5,6−ジヒドロピリド[4,3−d]ピリミジン−4−イル}アミノ)フェニル]−1−ピロリジンカルボキサミド
【0319】
【化61】

【0320】
この化合物は、実施例1(スキーム2)に記載されたmCPBA/1,1−ジメチルエチル(3−アミノプロピル)カルバマートおよびTFAシーケンスを利用して、N−(4−{[2−(メチルチオ)−5−オキソ−5,6−ジヒドロピリド[4,3−d]ピリミジン−4−イル]アミノ}フェニル)−1−ピロリジンカルボキサミドから製造した。
MS:M(C2126)=422.49,m/z(M+1)=423.0。
HNMR(400mHz,DMSO−d)δ ppm 8.25(1H,s),7.50−7.80(8H,m),6.32(1H,d,J=8.0Hz),3.47(2H,m),3.37(4H,m),2.87(2H,m),1.86(6H,m)。
【0321】
以下の2−[(3−アミノプロピル)アミノ]−4−[(置換)アミノ]ピリド[4,3−d]ピリミジン−5(6H)−オンは、4−クロロ−6−メチル−2−(メチルチオ)−5−ピリミジンカルボニトリルおよび適切なアニリンから、実施例1(スキーム2)に記載されたのと同じ合成経路に従い製造した。
【0322】
【化62】

【0323】
【表2】

【0324】
中間体40
8−ブロモ−4−[(3−メチルフェニル)アミノ]−2−(メチルチオ)ピリド[4,3−d]ピリミジン−5(6H)−オン
【0325】
【化63】

【0326】
4−[(3−メチルフェニル)アミノ]−2−(メチルチオ)ピリド[4,3−d]ピリミジン−5(6H)−オン(500mg、1.676mmol)をN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)(8mL)に溶かし、NBS(298mg、1.676mmol)を加えた。反応混合物を室温で2時間攪拌した。それを水(12mL)でクエンチし、EtOAc(5mL)を加えた。混合物を濾過して沈澱物を集め、高真空下でさらに乾燥させると、470mgの粗生成物を与えた(LC−MSによる純度83%)。
MS:M(C1513BrNOS)=377.26,(M+1)=377.2および379.2。
HNMR(400mHz,DMSO−d)δ ppm 12.31(1H,d,J=4.0Hz),12.04(1H,s),8.01(1H,d,J=4.0Hz),7.61(1H,s),7.58(1H,d,J=8.0Hz),7.30(1H,t,J=8.0Hz),6.98(1H,d,J=8.0Hz),2.58(3H,s),2.33(3H,s)。
【0327】
実施例23
2−[(3−アミノプロピル)アミノ]−8−ブロモ−4−[(3−メチルフェニル)アミノ]ピリド[4,3−d]ピリミジン−5(6H)−オン
【0328】
【化64】

【0329】
この生成物は、実施例1(スキーム2)に記載されたものと類似のmCPBA/1,1−ジメチルエチル(3−アミノプロピル)カルバマートおよびTFAシーケンスを利用して、8−ブロモ−4−[(3−メチルフェニル)アミノ]−2−(メチルチオ)ピリド[4,3−d]ピリミジン−5(6H)−オンかた製造した。逆相HPLCを使用して精製した。
【0330】
MS:M(C1719BrNO)=403.28,(M+1)=402.7および404.9。
【0331】
HNMR(400mHz,DMSO−d)δ ppm 7.60−7.80(6H,m),7.55(1H,m),7.26(1H,m),6.95(1H,m),3.47(2H,m),2.87(2H,m),2.34(3H,s),1.88(2H,m)。
【0332】
中間体41
4−[(3−メチルフェニル)アミノ]−2−(メチルスルホニル)ピリド[4,3−d]ピリミジン−5(6H)−オン
【0333】
【化65】

【0334】
4−[(3−メチルフェニル)アミノ]−2−(メチルチオ)ピリド[4,3−d]ピリミジン−5(6H)−オン(0.500g、1.6mmol)を20mLのN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)に溶かした溶液を、マグネティックスターバーを備えた40mLのシンチレーションバイアルに入れた。m−CPBA(0.723g、4.19mmol)をDMF(5mL)に溶かした溶液を5分かけて滴下して加え、反応混合物を室温で4時間攪拌した。LC−MS分析により、出発物質は全て所望のスルホン中間体に転化したことが明らかになった。この粗スルホンDMF溶液を、実験セクションに記載されたものと類似の手順に従い、最終的な生成物形成を続けた。
MS:M(C1514S)=330.36,(M+H)=330.7。
【0335】
実施例24
2−{[3−(ジメチルアミノ)プロピル]アミノ}−4−[(3−メチルフェニル)アミノ]ピリド[4,3−d]ピリミジン−5(6H)−オン
【0336】
【化66】

【0337】
中間体41(50mg、0.17mmol)をDMFに加えたものを、N,N−ジメチル−1,3−プロパンジアミン(1.7mmol)およびマグネティックスターバーを含む20mLシンチレーションバイアルに加えた。反応混合物を1時間攪拌し、次いでDMFを真空下で除去した。残渣をメタノールに溶かし、SCXカートリッジの上に加えた。それを、クロロ安息香酸が全て出てくるまでメタノールで溶離し、次いでメタノール中2NのNHで生成物を出した。生成物を含むフラクションを濃縮し、アセトニトリル、水、トリフルオロ酢酸で溶離しPhenomenex Luna 5u C18カラムを利用する逆相HPLCにより精製すると、生成物をTFA塩として与えた。
MS:M(C1622O)=352,(M+H)=353。
H NMR(400MHz,DMSO−d)δ ppm 1.93−2.06(m,2H),2.36(s,3H),2.76(d,J=4.29Hz,6H),3.11(m,2H),3.50(q,J=6.1Hz,2H),6.36(d,J=7.1Hz,1H),7.08(d,J=7.3Hz,1H),7.36(t,J=7.8Hz,1H),7.59(d,J=8.34Hz,2H),7.83(t,J=6.7Hz,1H),9.39(br.s.,1H),12.39(s,1H),12.56(d,J=5.8Hz,1H)。
【0338】
以下の4−[(3−メチルフェニル)アミノ]−2−{[アミノ置換}ピリド[4,3−d]ピリミジン−5(6H)−オン化合物は、実施例24の手順に従い、4−[(3−メチルフェニル)アミノ]−2−(メチルスルホニル)ピリド[4,3−d]ピリミジン−5(6H)−オン(中間体41)および対応するアミンから製造した。
【0339】
【化67】

【0340】
【表3】

【0341】
実施例28
4−[(3−メチルフェニル)アミノ]−2−{[2−(4−ピリジニル)エチル]アミノ}ピリド[4,3−d]ピリミジン−5(6H)−オン
【0342】
【化68】

【0343】
中間体41(70mg、0.212mmol)をDMFに加えたものを、2−(4−ピリジニル)エタンアミン(259mg、2.1mmol)およびマグティックスターバーを含む20mLシンチレーションバイアルに加えた。反応混合物を1時間攪拌し、DMFを真空下で除去した。残渣を、アセトニトリル、水、トリフルオロ酢酸で溶離しPhenomenex Luna 5u C18カラムを利用する逆相HPLCにより精製すると、生成物をTFA塩として与えた。
MS:M(C2120O)=372.43(M+H)=373.0。
H NMR(400MHz,DMSO−d)δ ppm 2.30(s,3H),2.34(s,1H),3.10(t,J=6.8Hz,2H),3.74(q,J=6.6Hz,2H),6.34(d,J=6.8Hz,1H),7.07(d,J=7.6Hz,1H),7.32(t,J=8.2Hz,1H),7.53−7.58(m,2H),7.65(d,J=6.1Hz,2H),7.77(t,J=6.8Hz,1H),8.68(d,J=6.3Hz,2H),8.74(d,J=6.1Hz,1H),12.31(s,1H)。
【0344】
以下の4−[(3−メチルフェニル)アミノ]−2−{[アミノ置換}ピリド[4,3−d]ピリミジン−5(6H)−オン化合物を、実施例28に記載されたものと類似の手順に従い、4−[(3−メチルフェニル)アミノ]−2−(メチルスルホニル)ピリド[4,3−d]ピリミジン−5(6H)−オンおよび対応するアミンから製造した。
【0345】
【化69】

【0346】
【表4】



【0347】
以下の化合物は、実施例1(スキーム2)に記載されたものと類似のmCPBA/1,1−ジメチルエチル(3−アミノプロピル)カルバマートおよびTFAシーケンスを利用して、4−[(3−メチルフェニル)アミノ]−2−(メチルスルホニル)ピリド[4,3−d]ピリミジン−5(6H)−オンから製造した。
【0348】
【化70】

【0349】
【表5】



【0350】
実施例51
−[3−({4−[(3−メチルフェニル)アミノ]−5−オキソ−5,6−ジヒドロピリド[4,3−d]ピリミジン−2−イル}アミノ)プロピル]−1,1−シクロプロパンジカルボキサミド
【0351】
【化71】

【0352】
2−[(3−アミノプロピル)アミノ]−4−[(3−メチルフェニル)アミノ]ピリド[4,3−d]ピリミジン−5(6H)−オン(60mg、0.137mmol)をDMF(1mL)に溶かした溶液に、1−(アミノカルボニル)シクロプロパンカルボン酸(19.44mg、0.151mmol)、EDC(31.5mg、0.164mmol)、HOBT(41.9mg、0.274mmol)、4−メチルモルホリン(0.075mL、0.684mmol)を加え、反応混合物を2時間攪拌した。反応を水(2mL)でクエンチし、EtOAc(3×5mL)で抽出した。抽出物をNaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮した。逆相HPLCを利用して残渣を精製すると、35mgの純粋な生成物を与えた。
HPLC条件:Gilson、Trilutionソフトウェア使用、phenomenex Luna 5u C18(2) 100A、AXIA、50×30.00mm 5ミクロン、7.3分の運転(47mL/分、10%ACN/HO、0.1%TFAから40%ACN/HO、0.1% TFA)UV検出254nm。
MS:M(C2225)=435.49,(M+1)=436.2。
HNMR(400mHz,DMSO−d)δ ppm 7.00−7.90(1H,m),6.37(1H,d,J=4.0Hz),3.41(2H,m),3.21(2H,m),2.35(3H,s),1.77(2H,m)。
【0353】
実施例52
(4R)−N−[3−({4−[(3−メチルフェニル)アミノ]−5−オキソ−5,6−ジヒドロピリド[4,3−d]ピリミジン−2−イル}アミノ)プロピル]−2−オキソ−1,3−チアゾリジン−4−カルボキサミド(N4534−5)
【0354】
【化72】

【0355】
この化合物は、実施例51に記載されたものと類似の手順を利用して、2−[(3−アミノプロピル)アミノ]−4−[(3−メチルフェニル)アミノ]ピリド[4,3−d]ピリミジン−5(6H)−オンおよび(4R)−N−(3−アミノプロピル)−2−オキソ−1,3−チアゾリジン−4−カルボキサミドから製造した。
MS:M(C2123S)=453.52,(M+1)=454.0。
HNMR(400mHz,DMSO−d)δ ppm 8.29(1H,m),8.20(1H,m),7.76(1H,m),7.64(1H,s),7.57(1H,m),7.32(1H,m),7.05(1H,m),6.35(1H,d,J=8.0Hz),2.45(1H,m),3.63(1H,m),3.44(2H,m),3.34(1H,m),3.20(2H,m),2.36(3H,s),1.77(2H,m)。
【0356】
中間体42
1,1−ジメチルエチルメチル(2−{[3−({4−[(3−メチルフェニル)アミノ]−5−オキソ−5,6−ジヒドロピリド[4,3−d]ピリミジン−2−イル}アミノ)プロピル]アミノ}−2−オキソエチル)カルバマート
【0357】
【化73】

【0358】
2−[(3−アミノプロピル)アミノ]−4−[(3−メチルフェニル)アミノ]ピリド[4,3−d]ピリミジン−5(6H)−オン(50mg、0.114mmol)をN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)(1.5mL)に溶かした溶液に、N−{[(1,1−ジメチルエチル)オキシ]カルボニル}−N−メチルグリシン(25.9mg、0.137mmol)、1H−1,2,3−ベンゾトリアゾール−1−オール水和物(34.9mg、0.228mmol)、4−メチルモルホリン(57.7mg、0.570mmol)、およびN−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]−N’−エチルカルボジイミド塩酸塩(28.4mg、0.148mmol)を加え、反応混合物を2.5時間攪拌した。次いで、それを濃縮し、残渣を逆相HPLC精製にかけると、33mgの標題化合物を与えた。
MS;M(C2533)=495.58,(M+1)=496.4。
HNMR(400mHz,DMSO−d)δ ppm 7.97(1H,m),7.76(1H,m),7.64(1H,s),7.56(1H,m),7.34(1H,t,J=8.0Hz),7.04(1H,d,J=4.0Hz),6.36(1H,d,J=8.0Hz),3.73(2H,m),3.42(2H,m),3.17(2H,m),2.78(3H,dJ=8.0Hz),2.35(3H,s),1.74(2H,m),1.30−1.39(9H,m)。
【0359】
実施例53
−メチル−N−[3−({4−[(3−メチルフェニル)アミノ]−5−オキソ−5,6−ジヒドロピリド[4,3−d]ピリミジン−2−イル}アミノ)プロピル]グリシンアミド
【0360】
【化74】

【0361】
1,1−ジメチルエチルメチル(2−{[3−({4−[(3−メチルフェニル)アミノ]−5−オキソ−5,6−ジヒドロピリド[4,3−d]ピリミジン−2−イル}アミノ)プロピル]アミノ}−2−オキソエチル)カルバマート(30mg、0.061mmol)をジクロロメタン(DCM)(1mL)に溶かした溶液に、TFA(0.5mL、6.49mmol)を加え、反応混合物を1.5時間攪拌した。それを濃縮し、残渣を高真空下でさらに乾燥させると、30mgの純粋な生成物を与えた。
MS:M(C2025)=395.46,(M+1)=396.1。
HNMR(400mHz,DMSO−d)δ ppm 8.69(2H,m),8.49(1H,m),7.80(1H,m),7.65(1H,s),7.59(1H,d,J=8.0Hz),7.35(1H,t,J=8.0Hz),7.07(1H,d,J=8.0Hz),6.37(1H,d,J=4.0Hz),3.66(2H,m),3.47(2H,m),3.24(2H,m),2.54(3H,m),2.37(3H,s),1.79(2H,m)。
【0362】
実施例54
N−[3−({4−[(3−メチルフェニル)アミノ]−5−オキソ−5,6−ジヒドロピリド[4,3−d]ピリミジン−2−イル}アミノ)プロピル]−L−プロリンアミド
【0363】
【化75】

【0364】
この化合物は、実施例53に記載されたものと類似の手順に従い、2−[(3−アミノプロピル)アミノ]−4−[(3−メチルフェニル)アミノ]ピリド[4,3−d]ピリミジン−5(6H)−オンから製造した。
MS:M(C2222)=421.50,(M+1)=422.1。
HNMR 4 mHz,DMSO−d)δ ppm 7.50−7.80(4H,m),7.34(1H,t,J=8.0Hz),6.90−7.20(2H,m),6.32(1H,d,J=6.0Hz),4.08(2H,m),3.45(2H,m),3.22(4H,m),2.36(3H,s),2.24(1H,m),1.82(5H,m)。
【0365】
生物学的活性
PDK1酵素アッセイ
LEADseekerPDK1アッセイ
被験化合物を100%DMSOに1mMで溶かし、384ウェルプレートの適切なカラムに分注した。用量反応曲線を得るために、100%DMSOでの3倍希釈をプレートにわたって実施し、被験化合物それぞれに11の濃度を生み出した。各プレートは、用量反応のため32の被験化合物を、単一の濃度測定のために352の被験化合物を収めることができる。アッセイプレートには、384ウェルプレートの適切なウェルに0.1μLの化合物が含まれていた。2つのカラムには0.1μLの100%DMSOのみが含まれていた。これらのカラムは、高および低対照値を決定するために使用した。アッセイを始める前に、低対照ウェルに0.5MのEDTAを加えた(10μLの反応体積に対し1.5μL/ウェル)。25mMのMOPS、pH 7.5、0.1mg/mLのBSA、50mMのKCl、0.5mMのCHAPS、5mMのDTT、および10nMのPDK1を含む酵素溶液を、アッセイプレートの各ウェルへの5μLの添加直前に製造した。アッセイプレートを室温で30分間インキュベートした。
【0366】
25mMのMOPS、pH 7.5、20mMのMgCl、50mMのKCl、0.1mg/mLのBSA、0.5mMのCHAPS、5mMのDTT、2μMのATP(冷)、6uCi/mLの33P−ATP、および0.7μMのAKT1ビオチン化タンパク質を含む基質溶液を製造し、一般的に酵素と化合物との30分間のプレインキュベートの間、室温に静置した。チューブを穏やかに反転させて両溶液を混合してから、アッセイプレートに分配した。
【0367】
基質溶液を各ウェルに5μLでアッセイプレートに加え、酵素反応を室温で3時間進行させた。酵素反応中の試薬の最終濃度は、25mMのMOPS、pH 7.5、10mMのMgCl、50mMのKCl、0.1mg/mLのBSA、0.5mMのCHAPS、1μMのATP(冷)、3uCi/mLの33P−ATP、5mMのDTT、0.35μMのAKT1ビオチン化タンパク質、および5nMのPDK1である。PBSおよびEDTAを2gの乾燥ビーズに加えPBS中50mMのEDTA400mLを作ることにより製造した5mg/mLのLEADseekerビーズ溶液を10μL加えて、反応を停止した。
【0368】
ビーズを、室温で少なくとも4〜5時間、好ましくは一晩、各ウェル中で沈殿させた。プレートへのビーズ添加後数日はシグナルが安定であった。プレートに蓋をして光への曝露を制限した。各ウェルからのシグナルを、発光モードでViewlux(商標)ultraHTSマイクロプレートイメージャー(PerkinElmer)で測定した。固体から製造したてのDTTが必要である。新鮮な放射性ATPが最もよいシグナル対バックグラウンド比を生みだす。
【0369】
PDK1をバキュロウイルス発現システムから発生させ、ニッケルおよび脱塩カラム(GRITS#24652)を利用して80%に精製されたヒトヒスチジンタグ付き全長タンパク質を生み出した。AKT1はバキュロウイルス発現システムから発生させ、ニッケルおよびQ Sepharoseカラム(GRITS#29020)を使用して90%に精製したヒトタンパク質(aa136−480)を生み出した。このタンパク質を精製後ビオチン化した。
【0370】
結果:実施例1、2、12−13、21、25、27、30、51−52、および54は、LeadSeekerPDK1アッセイで試験しなかった。残りの実施例はLeadSeekerPDK1アッセイで試験し、これらの実施例はPDK1の阻害剤であることが分かった。PDK1酵素活性の50%を阻害するのに要する化合物の濃度(IC50)は、LeadSeekerPDK1アッセイにおいて、0.003μMから10μMであった。
【0371】
放射能標識インビトロキナーゼフィルター結合アッセイ
PDK1を、キナーゼアッセイバッファ(25mMのMOPS、pH 7.5;0.5mMのCHAPS;10mMのMgCl;50mMのKCl;1mMのDTT;0.1mg/mlのBSA)中で化合物のタイトレーションをしながら、96ウェル低タンパク質結合プレート(Costar 3884)中で室温で1時間プレインキュベート(1nM)した。2μMのΔ−PH AKT1(aa136−480)および5μMのATP(0.03mCi/mlのγ33P ATPを含む)を含む8倍濃縮基質プレミックスを加えて、反応を開始した。4時間室温でインキュベートした後、同体積の1%HPOを加えて反応を停止させた。10分間インキュベートしたあと、クエンチされた反応を、0.5%HPOに事前に浸漬しておいたホスホセルロースフィルタープレート(Millipore MAPH)に移した。試料を濾過し、0.5%HPOで洗浄し、乾燥させた。
【0372】
50μl/ウェルMicroscint 20を加えた後、プレートをMicrobetaシンチレーションカウンター(PerkinElmer)で読み取った。
【0373】
PDK1−AKT結合インビトロキナーゼアッセイ
結合アッセイは、sox−AKTペプチド基質(Invitrogen)を利用する連続蛍光強度アッセイにおいて、Δ−PH−AKT1(aa136−480)の活性のPDK1依存性増加を測定した。
【0374】
PDK1(600pM)を、化合物のタイトレーションをしながら、キナーゼアッセイバッファ中で1時間室温で、黒色96ウェルハーフエリアプレート中でプレインキュベートした。20nMのΔ−PH−AKT1、10μMのATP、および20μMのsoxペプチドを含む同体積の基質プレミックスを加えることにより、反応を開始した。Fura2 380励起フィルターおよびCFP 486発光フィルターの付いたLance/Delfiaミラーを使用してEnVision Multi Label Plate Reader(PerkinElmer)で蛍光を測定した。進行曲線から6時間のエンドポイントを使用して、阻害剤タイトレーションにわたるIC50曲線を生み出した。
【0375】
細胞アッセイ
第1日
10,000細胞/ウェルを、正午前に透明な平底96ウェルプレートに播種した(最終体積は105μlであった)。最後のカラムの最後の4ウェルには培地のみ与えた。プレートを37℃のインキュベーターに一晩おいた。
【0376】
化合物プレートを、ポリプロピレン丸底96ウェルプレートに製造した。プレートあたり8化合物、それぞれに11ポイントのタイトレーション(3倍連続希釈)、最後のカラムにはDMSOを与えた(細胞に対する最終濃度0.15%)。15μlのストック化合物を最初のウェルに置き、10μlのDMSOを残りに入れた。最初のウェルから5μlをとり、次に移して混合し、希釈をプレート全体で続けた(最後のカラムを除く)。ホイルの蓋をプレートにかぶせ、4℃においた。
【0377】
第2日
溶解バッファ、阻害剤(4℃/−20℃)および化合物プレート(4℃)をベンチトップで解凍した。1×のTris洗浄バッファ(WB)を作成して、プレートウォッシャーのリサーバーに充填し、ベンチサプライを満たし、遠心機の電源を入れて冷した。
MSDプレートをブロッキング溶液中でブロックした。3%ブロッキング溶液20mlを1つのプレートに用意し(20mlのWB中600mgのブロッカーA)、ウェルあたり150μlを加え、プレートを室温で少なくとも1時間インキュベートした。ウェルあたり300μlの生育培地(RPMI、10%FBS)を、各化合物プレートに加えた(化合物の682倍希釈)。5μlの化合物希釈液を二連プレートの各ウェルに加えた(最終体積110μl)。プレートを37℃のインキュベーターに30分間おいた。10mlのMSD溶解バッファに対し、200μlのプロテアーゼ阻害剤溶液およびそれぞれ100μlのホスファターゼ阻害剤IおよびIIを加えた。インキュベーション後プレートを取り出し、培地をプレートウォッシャーで吸引し、プレートを冷PBSで1回洗浄し、ウェルあたり80μlのMSD溶解バッファを加えた。プレートを4℃の振盪器上で30分以上インキュベートし、冷えた遠心機で2500rpmで10分間スピンさせた。
【0378】
AKT二連アッセイ
プレートを、プレートウォッシャー中で200μl/ウェルの洗浄バッファで4回洗浄した。ウェルあたり60μlの溶解物を加え、プレートを振盪器上で室温で1時間インキュベートした。インキュベーションの間、検出抗体を製造した(3ml/プレート;2mlの洗浄バッファおよび1mlのブロック溶液、10nMの抗体を含む)。洗浄工程を上記のとおり繰り返した。ウェルあたり25μlの抗体を加え、プレートを振盪器上で室温で1時間インキュベートした。洗浄工程を上記のとおり繰り返した。ウェルあたり150μlの1×読み取りバッファを加え(4倍ストックを水で希釈、20ml/プレート)、プレートをすぐに読み取った。
【0379】
細胞成長/死アッセイ
BT474、HCC1954、T−47D(ヒトの乳癌)およびPC−3(ヒトの前立腺癌)癌細胞を、10%ウシ胎児血清を含むRPMI−1640中で、37℃の5%COインキュベーターで培養した。アッセイ設定の2から3日前に、アッセイ用の採取の時点でおよそ70〜80%コンフルエンスになるような密度で、細胞をT75フラスコ(Falcon #353136)に分けた。0.25%トリプシン−EDTA(Sigma #4049)を使用して細胞を採取した。細胞の計数は、トリパンブルー排除染色を利用して細胞懸濁液に対して実施した。次いで、細胞を384ウェル黒色平底ポリスチレン(Greiner #781086)に、1,000細胞/ウェルでウェルあたり48μlの培地に播種した。プレートを全て、5%CO、37℃に一晩おき、被験化合物を翌日に加えた。0日(t=0)測定のため、1つのプレートをCellTiter−Glo(Promega #G7573)で処理し、上述のとおり読み取った。被験化合物を、透明底ポリプロピレン384ウェルプレート(Greiner#781280)に、連続2倍希釈して製造した。これらの希釈液の4μlを105μlの培地に加え、溶液を混合後、これらの希釈液の2μlを細胞プレートの各ウェルに加えた。全てのウェル中のDMSOの最終濃度は0.15%であった。細胞を37℃、5%COで72時間インキュベートした。化合物とともに72時間インキュベートした後、各プレートを展開し読み取った。CellTiter−Glo試薬を、ウェル中の細胞培養体積と同じ体積でアッセイプレートに加えた。プレートをおよそ2分間振盪し、室温でおよそ30分間インキュベートし、化学発光シグナルをAnalyst GT(Molecular Devices)リーダーで読み取った。結果を、t=0のパーセントとして表し、化合物濃度に対してプロットした。細胞成長阻害の測定は、XLfitソフトウェアを使用して4または6パラメータカーブフィットにより用量反応をフィッティングし、Y最低をt=0としY最高をDMSO対照として細胞成長の50%を阻害する濃度(gIC50)を測定して、各化合物に行った。バックグラウンド補正のため、細胞のないウェル由来の値を、全ての試料から差し引いた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iの化合物またはその薬学的に許容可能な塩:
【化1】

(上記式中、
は、アリール、−CH−アリール、またはヘテルアリールであり、それぞれは1〜3つのRにより所望により置換されており、
は、H、所望により1もしくは2つのRにより置換されているC−Cアルキル、所望により1〜3つのRにより置換されているC−Cシクロアルキル、または、所望により1〜3つのRにより置換されているヘテロシクロアルキルであり、かつ、Rは、H、C−Cアルキル、またはフェニルであり、あるいは
およびRは、それらが結合している窒素原子とともに結合して、追加のN、S、またはO原子を1つ含んでいてもよくかつ所望により1つのOH、オキソ、アリール、または−NRにより置換されている1〜3つのC−Cアルキル基により所望により置換されている飽和4〜7員ヘテロシクロアルキルを形成し、
は、H、ハロ、C−Cアルキル、C−Cハロアルキル、シアノ、C−Cアルコキシ、NR、所望により1〜3つのRにより置換されているアリール、所望により1〜3つのRにより置換されているヘテルアリールであり、
各Rは、ハロ、CN、C−Cアルコキシ、ヘテルアリール、−S(O)、−S(O)NR、−NRS(O)、−NRC(O)R、−C(O)NR、−NRC(O)NR、および、所望により−NRにより置換されているC−Cアルキルからなる群から独立に選択され、
各Rは、OH、−NR、−NRC(O)R、1,1−シクロプロパンジカルボキサミド、ヘテルアリール、ヘテロシクロアルキル、および、所望によりS(O)NHにより置換されているアリールからなる群から独立に選択され、
各Rは、OH、C−Cアルコキシ、−NR、および、所望により−NRにより置換されているC−Cアルキルからなる群から独立に選択され、
各Rは、H、ヘテロシクロアルキル、および、所望により1つの−NHまたはNHCHにより置換されているC−Cアルキルからなる群から独立に選択され、
各Rは独立に、HまたはC−Cアルキルである)。
【請求項2】
が、H、所望により1もしくは2つのRにより置換されているC−Cアルキル、所望により1から3のRにより置換されているC−Cシクロアルキル、または、所望により1〜3つのRにより置換されているヘテロシクロアルキルであり、かつ、Rが、H、C−Cアルキル、またはフェニルである、請求項1に記載の化合物またはその薬学的に許容可能な塩。
【請求項3】
が、所望により1〜3つのRにより置換されているフェニルである、請求項2に記載の化合物またはその薬学的に許容可能な塩。
【請求項4】
が、所望により1〜3つのRにより置換されている−CH−フェニルである、請求項2に記載の化合物またはその薬学的に許容可能な塩。
【請求項5】
が、所望により1〜3つのRにより置換されているピラゾリルまたはインダゾリルである、請求項2に記載の化合物またはその薬学的に許容可能な塩。
【請求項6】
が、所望により−NRにより置換されているC−Cアルキルであり、かつ、RがHである、請求項2〜5のいずれか一項に記載の化合物またはその薬学的に許容可能な塩。
【請求項7】
が、ピロリジニル、ピペリジニル、シクロヘキシル、またはシクロプロピルであり、そのそれぞれが所望により1〜3つのRにより置換されており、かつ、Rが、H、C−Cアルキル、またはフェニルである、請求項2〜5のいずれか一項に記載の化合物またはその薬学的に許容可能な塩。
【請求項8】
が、H、メチル、またはブロモである、請求項6に記載の化合物またはその薬学的に許容可能な塩。
【請求項9】
請求項1に記載の化合物またはその薬学的に許容可能な塩と、1種以上の薬学的に許容可能な賦形剤とを混合して含んでなる、医薬組成物。
【請求項10】
請求項1に記載の化合物またはその薬学的に許容可能な塩を、それを必要のとするヒトに投与することを含んでなる、癌を治療する方法。

【公表番号】特表2012−500204(P2012−500204A)
【公表日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−523130(P2011−523130)
【出願日】平成21年8月12日(2009.8.12)
【国際出願番号】PCT/US2009/053504
【国際公開番号】WO2010/019637
【国際公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【出願人】(591002957)グラクソスミスクライン・リミテッド・ライアビリティ・カンパニー (341)
【氏名又は名称原語表記】GlaxoSmithKline LLC
【Fターム(参考)】