説明

化学増幅型ポジ型レジスト組成物及びハロエステル誘導体とその製法

【課題】ArFエキシマレーザーリソグラフィに適し、特に、ラインエッジラフネスが良好であり、リフロー工程においてパターンをより微細化できる化学増幅型ポジ型レジスト組成物の提供。
【解決手段】式(I)の繰り返し単位と、


式(IV)と(V)の一つ以上の繰り返し単位など


を有する樹脂及び酸発生剤を含む化学増幅型ポジ型レジスト組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体の微細加工に用いられる化学増幅型ポジ型レジスト組成物及び該組成物の成分樹脂の原料となるハロエステル誘導体とその製法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体の微細加工には、通常、レジスト組成物を用いたリソグラフィプロセスが採用されており、リソグラフィにおいては、レイリー(Rayleigh)の回折限界の式で表されるように、原理的には露光波長が短いほど解像度を上げることが可能である。半導体の製造に用いられるリソグラフィ用露光光源は、波長436nmのg線、波長365nmのi線、波長248nmのKrFエキシマレーザー、波長193nmのArFエキシマレーザーと、年々短波長になってきており、次世代の露光光源として、波長157nmのF2エキシマレーザーが有望視され、その後は波長13nm以下の軟X線(EUV)が光源として提案されている。
【0003】
エキシマレーザー等の短い波長を用いたリソグラフィプロセスでは、線幅が狭くなるにつれて、レジストの性能面においては、解像度、感度、パターン形状等諸性能に対する改良が課題であり、特に、ラインエッジラフネス(パターン表面の荒さ、パターンのうねりを意味する。以下、LERということがある。)が重要な課題となっている。(例えば、非特許文献1参照)
一方、プロセス面においては、レジストの塗布、露光、現像によりパターンを形成した後、高温ベークにより、レジストを膨潤させることによって、谷の幅やホールの径を狭めて、パターンの微細化を行う工程(以下、リフロー工程ということがある。)を追加する技術が存在する(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−213603号公報(第1〜3頁)
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Proc. of SPIE Vol.5038(2003) p.689〜698
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
微細加工技術のさらなる進歩に伴い、従来の化学増幅型レジスト組成物をさらに上回る性能、例えば、解像度、感度、パターン形状、ラインエッジラフネスがより良好であることが要望されている。さらに、前述のリフロー工程に適したレジスト組成物が要望される場合がある。
本発明の目的は、ArFエキシマレーザーリソグラフィに適した、解像度、感度、パターン形状などの性能に加えて、特に、ラインエッジラフネスが良好であるレジスト組成物、さらには、リフロー工程においてパターンをより微細化できる化学増幅型ポジ型レジスト組成物を提供することにある。
また、本発明の目的は、前記の組成物の成分である樹脂の原料とその製法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、鋭意検討を加えた結果、特定の繰り返し単位を導入した樹脂を用いることによって上記課題の解決を図った。すなわち、繰り返し単位に連結基を導入し、ノルボルナンラクトン基が主鎖から離れたところに存在する(メタ)アクリル酸エステル誘導体を導入した樹脂と酸発生剤とを含有する化学増幅型ポジ型レジスト組成物が、解像度などの各種のレジスト性能が良好であることを見出した。さらに比較実施例で明らかなように、特開2001−188346号公報に記載の酸解離性アクリル酸エステル誘導体とノルボルナンラクトン基が主鎖から離れたところに存在する(メタ)アクリル酸エステル誘導体の二元系樹脂を用いたレジスト組成物では、レジスト性能が十分ではないことも本発明者らは見出し、レジスト組成物に用いる樹脂を特定の(メタ)アクリル酸エステル誘導体を三つ以上含む樹脂にすることによって、さらに解像度などの各種のレジスト性能が良好であるとともに、ラインエッジラフネスが良好であり、また、リフロー工程での適用も可能であるレジスト組成物となることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明は、〔1〕下記式(IV)で示される繰り返し単位と式(V)で示される繰り返し単位からなる群から選ばれた少なくとも一つの繰り返し単位と、

(式中、X3、X4は、互いに独立に、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数1〜4のペルフルオロアルキル基を示す。
3、Z4は、互いに独立に、炭素数1〜12の2価の炭化水素基を示す。
3、n4は、互いに独立に、0〜3の整数を示す。
2、R3は、互いに独立に、水酸基又はヒドロキシメチル基を示す。
Gは、−(CO)O−又は−O−を示す。
4は、炭素数1〜4のアルキル又は炭素数1〜4のアルコキシ基を示す。
p、sは、互いに独立に、0〜2の整数を示す。)
式(I)で示される繰り返し単位と、

(式中、Xは、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数1〜4のペルフルオロアルキル基を示す。
Zは、炭素数1〜12の2価の炭化水素基を示す。
Rは、炭素数1〜6のアルキル基を示す。mは0〜2の整数を表す。)
式(II)で示される繰り返し単位とを有する樹脂及び酸発生剤を含む化学増幅型ポジ型レジスト組成物に係るものである。


(式中、X1は、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数1〜4のペルフルオロアルキル基を示す。
1は、炭素数1〜12の2価の炭化水素基を示す。
1は、0〜3の整数を示す。
1は、炭素数1〜6のアルキル基又は炭素数3〜12のシクロアルキル基を示す。
Yは、記載の炭素原子とともに脂環式炭化水素基を完成するのに必要な複数の原子を示す。)
【0009】
更に、本発明は、〔2〕樹脂が更に下記式(III)で示される繰り返し単位を有する〔1〕に記載の組成物に係るものである。


(式中、X2は、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数1〜4のペルフルオロアルキル基を示す。
2は、炭素数1〜12の2価の炭化水素基を示す。
2は、0〜3の整数を示す。
Aは、炭素数1〜12の炭化水素基を示す。)
ただし、(III)は、該(III)で示される繰り返し単位を有する樹脂が(II)で示される繰り返し単位も有する場合、(II)とは異なる繰り返し単位を示す。
【0010】
また、本発明は、〔3〕式(XXI)で示されるハロエステル誘導体に係るものである。


(式中、W1は、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子を示す。Z55は、炭素数1〜12の2価の炭化水素基を示す。R55は、炭素数1〜6のアルキル基を示す。m1は0〜2の整数を表す。)
【0011】
また、本発明は、〔4〕式(XX)で示されるアルコール誘導体と


(式中、R55は、炭素数1〜6のアルキル基を示す。m1は0〜2の整数を表す。)
式(XXII)で示されるハロカルボン酸ハライドとを脱酸剤の存在下に、反応させる〔3〕に記載のハロエステル誘導体の製造法に係るものである。


(式中、W1、W2は、互いに独立に、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子を示す。Z55は、炭素数1〜12の2価の炭化水素基を示す。)
【発明の効果】
【0012】
本発明の化学増幅型ポジ型レジスト組成物は、ArFエキシマレーザーリソグラフィに適しており、解像度、感度、パターン形状などが良好であることに加えて、特に、ラインエッジラフネスが良好であり、さらには、リフロー工程においてパターンをより微細化することが可能である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の化学増幅型ポジ型レジスト組成物は、前記の式(IV)で示される繰り返し単位と式(V)で示される繰り返し単位からなる群から選ばれた少なくとも一つの繰り返し単位と、式(I)で示される繰り返し単位と、式(II)で示される繰り返し単位とを有する樹脂及び酸発生剤を含むことを特徴とする。
該樹脂においては、酸不安定基を含む式(II)で示される繰り返し単位を複数種類含んでもよく、その他の繰り返し単位も、それぞれ複数種類含んでもよい。
なお、式(II)において、Yは、式(II)に記載の炭素原子とともに脂環式炭化水素基を完成するのに必要な複数の原子であり、複数の原子からなる2価の基を示す。
【0014】
本発明の〔1〕又は〔2〕に記載の化学増幅型ポジ型レジスト組成物として、好ましくは、
式(IV)で示される繰り返し単位において、Z3が、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基又はテトラメチレン基を示し、n3が、0〜1の整数を示し、pが、0〜1の整数を示し、
式(V)で示される繰り返し単位において、Z4が、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基又はテトラメチレン基を示し、n4が、0〜1の整数を示し、R4が、メチル基、エチル基、メトキシ基又はエトキシ基を示し、sが、0〜1の整数を示し、
式(I)で示される繰り返し単位において、Zが、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基又はテトラメチレン基を示し、mが、0を示し、
式(II)で示される繰り返し単位において、Z1が、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基又はテトラメチレン基を示し、n1が、0〜1の整数を示す樹脂を含む組成物が挙げられる。
【0015】
本発明の〔1〕又は〔2〕に記載の化学増幅型ポジ型レジスト組成物として、更に好ましくは、
式(IV)で示される繰り返し単位が、下記式(XIV)で示される繰り返し単位であり、

(式中、X10は、水素原子、メチル基、トリフルオロメチル基を示す。
10は、0〜1の整数を示す。
p’は、0〜1の整数を示す。)
式(V)で示される繰り返し単位が、下記式(XV)で示される繰り返し単位であり、

(式中、X11は、水素原子、メチル基、トリフルオロメチル基を示す。
Gは、−(CO)O−又は−O−を示す。n11は、0〜1の整数を示す。)
式(I)で示される繰り返し単位において、Zが、メチレン基を示し、mが、0を示し、
式(II)で示される繰り返し単位において、Z1が、メチレン基を示し、n1が、0〜1の整数を示し、Yが、記載の炭素原子とともにアダマンタン骨格を完成するか、又は記載の炭素原子とともにノルボルナン骨格を完成するか、又はテトラメチレン基もしくはペンタメチレン基を示す樹脂を含む組成物が挙げられる。
【0016】
本発明の〔1〕又は〔2〕に記載の化学増幅型ポジ型レジスト組成物として、特に好ましくは、
式(IV)で示される繰り返し単位が、下記式(XVIII)で示される繰り返し単位であり、
式(V)で示される繰り返し単位が、下記式(XL)で示される繰り返し単位であり、

(式中、X12、X13は、互いに独立に、水素原子又はメチル基を示す。
q’は、0〜1の整数を示す。)
式(I)で示される繰り返し単位が、下記式(XI)で示される繰り返し単位であり、



(X6は、水素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基を示す。)
式(II)で示される繰り返し単位が、下記式(XVII)で示される繰り返し単位である樹脂を含む組成物が挙げられる。


(式中、X90は、水素原子又はメチル基を示す。R90は、メチル基、エチル又はイソプロピル基を示す。
90は、記載の炭素原子とともにアダマンタン骨格を完成するか、又はテトラメチレン基もしくはペンタメチレン基を示す。)
【0017】
また、本発明の〔2〕に記載の化学増幅型ポジ型レジスト組成物として、好ましくは、式(III)で示される繰り返し単位において、X2が、水素原子、メチル基、又はトリフルオロメチル基を示し、
2が、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基又はテトラメチレン基を示し、
2が、0〜1の整数を示し、
Aが、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数5〜12の脂環式炭化水素基又は炭素数6〜12の芳香族炭化水素基を示す樹脂を含む組成物が挙げられる。
【0018】
本発明の〔2〕に記載の化学増幅型ポジ型レジスト組成物として、更に好ましくは、
式(III)で示される繰り返し単位において、X2が、水素原子、メチル基、又はトリフルオロメチル基を示し、Z2が、メチレン基を示し、
2が、0〜1の整数を示し、
Aが、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、t-ブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ノルボルニル基、アダマンチル基、デカヒドロ−1,4:5,8−ジメタノナフチル基、又は置換されたシクロアルキルとして、メチルシクロペンチル基、エチルシクロペンチル基、メチルシクロヘキシル基、エチルシクロヘキシル基、メチルアダマンチル基、エチルアダマンチル基、イソプロピルアダマンチル基、ブチルアダマンチル基、さらに酸素原子で置換されたヒドロキシエチル基、ヘキサヒドロ−3,5−メタノ−2H−シクロペンタ[b]フラン−2−オン−6−イル基を示す樹脂を含む組成物が挙げられるが、好ましくは、Aがヘテロ原子を含まない置換基を示す樹脂を含む組成物が挙げられる。
【0019】
式(IV)で示される繰り返し単位としては、下記のものが例示されるが、これらに限定されるものではない。

【0020】

【0021】
式(IV)で示される繰り返し単位に導くモノマーである式(XXV)で示される(メタ)アクリル酸誘導体は、下記に示した反応式により、式(XXVII)と式(XXX)を縮合させて中間体を得た後、更に脱酸剤の存在下、式(XXXI)と反応させることによって得ることができる。



(式中、W1とW2は、互いに独立に、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子を表わす。n33は、0〜2の整数を表し、n33=n3−1である。式中のその他の記号は、これまでに定義した内容と同じである。)
【0022】
式(XXX)で示される化合物としては、これらに限定されるものではないが、以下に例示することができる。

【0023】
式(XXVII)で示されるアルコール誘導体と式(XXX)で示される酸ハライド誘導体との反応は、例えば、トルエン、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドなどの不活性溶媒中で行われ、反応温度は、一般に−30℃〜200℃、好ましくは、0℃〜100℃である。
反応は、脱酸剤を添加することが好ましく、脱酸剤として例えば、トリエチルアミン、ピリジン等の有機塩基、又は炭酸カリウム、水酸化ナトリウムのような無機塩基、又はこれらの混合物が用いられる。
式(XXVII)で示されるアルコール誘導体1モルに対して、式(XXX)で示される酸ハライド誘導体は、当量から2倍量、好ましくは、当量から1.5倍量であり、脱酸剤は、当量から5倍量、好ましくは、当量から3倍量である。
反応には、テトラブチルアンモニウムブロミドのような相間移動触媒を添加することも可能である。
得られた縮合物中間体は、通常の後処理によって取り出すことができる。この中間体は、クロマトグラフィー、再結晶、又は蒸留によって精製することも可能である。
【0024】
得られた縮合物中間体は、さらに、式(XXXI)で示される(メタ)アクリル酸誘導体と脱酸剤存在下に反応させて、目的物である式(XXV)の化合物に導くことができる。
本反応は、例えば、トルエン、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドなどの不活性溶媒中で行われ、反応温度は、一般に−30℃〜200℃、好ましくは、0℃〜100℃である。
反応は、脱酸剤を添加することが好ましく、例えば、トリエチルアミン、ピリジン等の有機塩基、又は炭酸カリウム、水酸化ナトリウムのような無機塩基、又はこれらの混合物が用いられる。
縮合物中間体1モルに対して、式(XXXI)で示される酸誘導体は、当量から2倍量、好ましくは、当量から1.5倍量であり、脱酸剤は、当量から5倍量、好ましくは、当量から3倍量である。
反応には、テトラブチルアンモニウムブロミドのような相間移動触媒を添加することも可能である。
得られた式(XXV)で示される化合物は、通常の後処理によって取り出すことができる。
この式(XXV)で示される化合物は、クロマトグラフィー、再結晶、又は蒸留によって精製することも可能である。
【0025】
また、下記に示した反応式により、式(XXVI)と式(XXVII)を酸触媒下にエステル化反応させることによっても得ることができる。

(式中の記号は、これまでに定義した内容と同じである。)
【0026】
式(XXVI)で示される化合物としては、これらに限定されるものではないが、以下に例示することができる。

【0027】

【0028】
式(XXVII)で示される化合物としては、これらに限定されるものではないが、以下に例示することができる。

【0029】
式(XXVI)で示される(メタ)アクリル酸誘導体と式(XXVII)で示されるアルコール誘導体との脱水によるエステル化反応は、例えば、トルエン、ジクロロエタン、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドなどの不活性溶媒中で行われ、反応温度は、一般に−30℃〜200℃、好ましくは、0℃〜150℃である。
共沸脱水反応を行う場合は、酸触媒を添加することが好ましく、例えば、硫酸のような無機酸、又はp−トルエンスルホン酸、トリフルオロ酢酸、トリフルオロメタンスルホン酸のような有機酸、又はナフィオンのような酸触媒樹脂、又はこれらの混合物が用いられる。また、式(XXVI)で示される(メタ)アクリル酸誘導体を酸触媒兼反応剤兼溶媒として用いても良い。
式(XXVII)で示されるアルコール誘導体1モルに対して、式(XXVI)で示される(メタ)アクリル酸誘導体は、一般に当量から大過剰、好ましくは、当量から1.5倍量であり、酸触媒は、一般に触媒量から等量、好ましくは、触媒量から0.5倍量である。脱水エステル化反応に、酸触媒を使用せずに、ジシクロヘキシルカルボジイミドのような脱水剤を用いることも可能である。一級水酸基と二級水酸基が共存する時は、一級水酸基を、例えば、シリル基のような保護基で不活性化する方が好ましい。
得られた式(XXVII)で示されるエステル化合物は、通常の後処理によって取り出すことができ、クロマトグラフィー、再結晶、又は蒸留によって精製することも可能である。
【0030】
式(V)で示される繰り返し単位としては、これらに限定されるものではないが、以下に例示することができる。

【0031】

【0032】

【0033】
式(V)で示される繰り返し単位に導く式(XXXIV)で示される(メタ)アクリル酸誘導体は、下記に示した反応式により、式(XXXII)と式(XXXIII)を塩基存在下に縮合反応させることによって得ることができる。
【0034】


(式中、W3は、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子を示す。式中のその他の記号は、これまでに定義した内容と同じである。)
【0035】
式(XXXII)で示される化合物としては、これらに限定されるものではないが、以下に例示することができる。

【0036】

【0037】

【0038】
式(XXXIII)で示される化合物としては、これらに限定されるものではないが、以下に例示することができる。

【0039】
式(XXXII)で示される化合物と式(XXXIII)で示される化合物との反応は、例えば、トルエン、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドなどの不活性溶媒中で行われ、反応温度は、−30℃〜200℃、好ましくは、0℃〜150℃である。反応は脱酸剤を添加することが好ましく、例えば、トリエチルアミン、ピリジン等の有機塩基、又は水素化ナトリウム、炭酸カリウム、水酸化ナトリウムのような無機塩基、又はこれらの混合物が用いられる。
式(XXXIII)で示されるラクトン誘導体1モルに対して、式(XXXII)で示される化合物は、当量から2倍量、好ましくは、当量から1.5倍量であり、脱酸剤は、当量から5倍量、好ましくは、当量から3倍量である。
反応には、テトラブチルアンモニウムブロミドのような相間移動触媒を添加することも可能である。得られた縮合物は、通常の後処理によって取り出すことができる。この縮合物は、クロマトグラフィー、再結晶、又は蒸留によって精製することも可能である。
【0040】
式(I)で示される繰り返し単位としては、下記のものが例示されるが、これらに限定されるものではない。

【0041】

【0042】

【0043】
式(I)で示される繰り返し単位に導くモノマーである式(XIX)で示される(メタ)アクリル酸誘導体は、下記に示した反応式により、式(XX)で示されるアルコール誘導体と式(XXII)で示されるハロカルボン酸ハライドとを縮合させて、本発明の式(XXI)で示されるハロエステル誘導体を得た後、更に脱酸剤の存在下、式(XVIII)と反応させることによって得ることができる。


(式中、X55は、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数1〜4のペルフルオロアルキル基を示す。
55は、炭素数1〜12の2価の炭化水素基を示す。
55は、炭素数1〜6のアルキル基を示す。m1は0〜2の整数を表す。)



(式中の記号は、これまでに定義した内容と同じである。)
【0044】
本発明の式(XXI)で示されるハロエステル誘導体としては、樹脂の原料として、W1として塩素原子又は臭素原子が好ましく、Z55としてメチレン基、エチレン基又はトリメチレン基が好ましく、R55としてメチル基、エチル基又はイソプロピル基が好ましく、m1として0が好ましい。
該ハロエステル誘導体としては、樹脂の原料として、W1として塩素原子が更に好ましく、Z55としてメチレン基又はエチレン基が更に好ましく、R55としてメチル基又はエチル基が更に好ましく、m1として0が更に好ましい。
【0045】
上記の式(XIX)で示される(メタ)アクリル酸誘導体として、具体的には以下の化合物が挙げられる。


【0046】

【0047】

【0048】
前述の式(XIX)で示される(メタ)アクリル酸誘導体として、レジスト原料としては、X55として水素原子、メチル基、トリフルオロメチル基が好ましく、Z55としてメチレン基、エチレン基、トリメチレン基又はテトラメチレン基が好ましく、R55として、メチル基、エチル基又はイソプロピル基が好ましく、m1として、0が好ましい。
【0049】
該(メタ)アクリル酸誘導体として、レジスト原料としては、X55として水素原子又はメチル基が更に好ましく、Z55としてメチレン基、エチレン基又はトリメチレン基が更に好ましく、R55として、メチル基又はエチル基が更に好ましく、m1として、0が好ましい。
【0050】
これらの(メタ)アクリル酸誘導体およびその前駆体は、前記の合成方法により得られる。
上記の式(XIX)で示される(メタ)アクリル酸誘導体として、特に好ましくは式(XV’)で示される(メタ)アクリル酸誘導体が挙げられる。


(式中、Xは、これまでに定義した内容と同じである。)
【0051】
該式(XV’)で示される(メタ)アクリル酸誘導体は、例えば式(XVI)で示されるハロエステル誘導体を、脱酸剤の存在下に(メタ)アクリル酸と反応させることにより得られる。


(式中、W1は、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子を示す。)
【0052】
式(XX)で示されるアルコール誘導体としては、下記の化合物が例示されるが、これらに限定されるものではない。

【0053】
式(XX)で示されるアルコール誘導体については、レジスト原料として、R55として、メチル基、エチル基又はイソプロピル基が好ましく、m1として、0が好ましい。
該アルコール誘導体については、レジスト原料として、R55として、メチル基又はエチル基が更に好ましく、m1として、0が更に好ましい。
【0054】
式(XXII)で示されるハロアルキルカルボン酸ハライドとしては、下記の化合物が例示されるが、これらに限定されるものではない。

【0055】
式(XXII)で示されるハロアルキルカルボン酸ハライドについては、レジスト原料として、W1又はW2として、塩素原子又は臭素原子が好ましく、Z55として、メチレン基、エチレン基又はトリメチレン基が好ましい。
該ハロアルキルカルボン酸ハライドについては、レジスト原料として、W1又はW2として、塩素原子が更に好ましく、Z55として、メチレン基又はエチレン基が更に好ましい。
【0056】
式(XXI)で示されるハロエステル誘導体としては、下記の化合物が例示されるが、これらに限定されるものではない。

【0057】

【0058】
前述の式(XXI)で示されるハロエステル誘導体としては、W1として塩素原子、臭素原子が好ましく、Z55としてメチレン基、エチレン基又はトリメチレン基が好まく、m1は0が好ましい。
該式(XXI)で示されるハロエステル誘導体としては、W1として塩素原子が更に好ましく、Z55としてメチレン基又はエチレン基が更に好ましく、m1は0が更に好ましい。
【0059】
これらの中で、更に好ましくは式(XVI)で示されるハロエステル誘導体が挙げられる。


(式中、W1は、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子を示す。)
【0060】
該式(XVI)で示されるハロエステル誘導体は、例えば式(LII)で示されるアルコール誘導体と


式(LXVIII)で示されるハロカルボン酸ハライドとを脱酸剤の存在下に、反応させることにより得られる。

(式中、W1、W2は、互いに独立に、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子を示す。)
【0061】
式(XXIII)で示されるカルボン酸としては、アクリル酸、メタクリル酸、α-トリフルオロメチルメタクリル酸などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
式(XX)で示されるアルコール誘導体と式(XXII)で示される酸ハライド誘導体との反応は、例えば、トルエン、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドなどの不活性溶媒中で行われ、反応温度は、−30℃〜200℃、好ましくは、0℃〜100℃である。
反応は、脱酸剤を添加することが好ましく、脱酸剤として例えば、トリエチルアミン、ピリジン等の有機塩基、又は炭酸カリウム、水酸化ナトリウムのような無機塩基、又はこれらの混合物が用いられる。
式(XX)で示されるアルコール誘導体1モルに対して、式(XXII)で示される酸ハライド誘導体は、当量から2倍量、好ましくは、当量から1.5倍量であり、脱酸剤は、当量から5倍量、好ましくは、当量から3倍量である。
反応には、テトラブチルアンモニウムブロミドのような相間移動触媒を添加することも可能である。
得られた式(XXI)で示される縮合物は、通常の後処理によって取り出すことができる。
この縮合物は、クロマトグラフィー、再結晶、又は蒸留によって精製することも可能である。
【0062】
式(XXI)で示される縮合物は、さらに、式(XXIII)で示される(メタ)アクリル酸誘導体と脱酸剤存在下に反応させて、目的物である式(XIX)の化合物に導くことができる。
本反応は、例えば、トルエン、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドなどの不活性溶媒中で行われ、反応温度は、−30℃〜200℃、好ましくは、0℃〜100℃である。
反応は、脱酸剤を添加することが好ましく、例えば、トリエチルアミン、ピリジン等の有機塩基、又は炭酸カリウム、水酸化ナトリウムのような無機塩基、又はこれらの混合物が用いられる。
中間体の式(XXI)で示される縮合化合物1モルに対して、式(LXVIII)で示される酸誘導体は、当量から2倍量、好ましくは、当量から1.5倍量であり、脱酸剤は、当量から5倍量、好ましくは、当量から3倍量である。
反応には、テトラブチルアンモニウムブロミドのような相間移動触媒を添加することも可能である。
得られた式(XIX)で示される化合物は、通常の後処理によって取り出すことができる。
この式(XIX)で示される化合物は、クロマトグラフィー、再結晶、又は蒸留によって精製することも可能である。
【0063】
式(II)で示される繰り返し単位としては、下記のものが例示されるが、これらに限定されるものではない。

【0064】

【0065】

【0066】

【0067】

【0068】

【0069】

【0070】

【0071】
式(II)で示される繰り返し単位に導く(メタ)アクリル酸誘導体(XXVIII)は、下記に示した反応式によって、式(I)で示される繰り返し単位に導く(メタ)アクリル酸誘導体の合成反応と同様な反応によって、式(XXIX)で示されるアルコール化合物から得ることができる。また、式(XXIX)で示されるアルコール化合物と例えばメタクリル酸クロリドのような酸ハライドとを、下記と同様に脱酸剤の存在下に、反応させて合成することもできる。


(式中、X1は、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数1〜4のペルフルオロアルキル基を示す。
Yは、記載の炭素原子とともに脂環式炭化水素基を完成するのに必要な複数個の原子を示す。W1とW2は、互いに独立に、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子を表わす。
1は、炭素数1〜12の2価の炭化水素基を示す。
1は、0〜3の整数を示す。
1は、炭素数1〜6のアルキル基又は炭素数3〜12のシクロアルキル基を示す。
11は0〜2の整数を表し、n11=n1−1である。)
【0072】
式(XXIX)で示されるアルコール化合物としては、下記のものが例示されるが、これらに限定されるものではない。

【0073】

【0074】

【0075】
式(LX)で示される酸ハロゲン化物としては、下記の化合物が例示されるが、これらに限定されるものではない。

【0076】
式(LXI)で示されるカルボン酸としては、アクリル酸、メタクリル酸、α-トリフルオロメチルメタクリル酸などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
式(XXIX)で示されるアルコール誘導体と式(LX)で示される酸ハロゲン化物との反応は、例えば、トルエン、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドなどの不活性溶媒中で行われ、反応温度は、一般に−30℃〜200℃、好ましくは、0℃〜100℃である。
反応は、脱酸剤を添加することが好ましく、脱酸剤として例えば、トリエチルアミン、ピリジン等の有機塩基、又は炭酸カリウム、水酸化ナトリウムのような無機塩基、又はこれらの混合物が用いられる。
式(XXIX)で示されるアルコール誘導体1モルに対して、式(LX)で示される酸ハロゲン化物は、一般に当量から2倍量、好ましくは、当量から1.5倍量であり、脱酸剤は、当量から5倍量、好ましくは、当量から3倍量である。
反応には、テトラブチルアンモニウムブロミドのような相間移動触媒を添加することも可能である。
得られた縮合物は、通常の後処理によって取り出すことができる。この縮合物は、クロマトグラフィー、再結晶、又は蒸留によって精製することも可能である。
【0077】
縮合物は、さらに、式(LXI)で示される(メタ)アクリル酸誘導体と、脱酸剤の存在下に反応させて、目的物の式(XXII)の化合物に導くことができる。
本反応は、例えば、トルエン、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドなどの不活性溶媒中で行われ、反応温度は、一般に−30℃〜200℃、好ましくは、0℃〜100℃である。
反応は脱酸剤を添加することが好ましく、例えば、トリエチルアミン、ピリジン等の有機塩基あるいは、炭酸カリウム、水酸化ナトリウムのような無機塩基あるいは、これらの混合物が用いられる。
中間体の縮合化合物1モルに対して、式(LXI)の(メタ)アクリル酸誘導体は、一般に当量から2倍量、好ましくは、当量から1.5倍量であり、脱酸剤は、当量から5倍量、好ましくは、当量から3倍量である。
反応には、テトラブチルアンモニウムブロミドのような相間移動触媒を添加することも可能である。
得られた式(XXII)の化合物は、通常の後処理によって取り出すことができる。この式(XXII)の化合物は、クロマトグラフィー、再結晶、又は蒸留によって精製することも可能である。
【0078】
式(III)で示される繰り返し単位としては、下記のものが例示されるが、これらに限定されるものではない。

【0079】
該式(III)で示される繰り返し単位として、X2が、水素原子、メチル基、又はトリフルオロメチル基を示し、
2が、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基又はテトラメチレン基を示し、
2が、0〜1の整数を示し、
Aが、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数5〜12の脂環式炭化水素基又は炭素数6〜12の芳香族炭化水素基を示す繰り返し単位が好ましい。
【0080】
該式(III)で示される繰り返し単位において、X2が、水素原子、メチル基、又はトリフルオロメチル基を示し、Z2が、メチレン基を示し、
2が、0〜1の整数を示し、
Aが、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、t-ブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ノルボルニル基、アダマンチル基又はデカヒドロ−1,4:5,8−ジメタノナフチル基を示す繰り返し単位が更に好ましい。
【0081】
式(III)で示される繰り返し単位に導く(メタ)アクリル酸誘導体は、式(I)で示される繰り返し単位に導く(メタ)アクリル酸誘導体の合成反応と同様な反応によって得ることができる。
【0082】
上記の方法等によって得たモノマーは、共重合することによって、樹脂化することができる。
この共重合は常法に従って行うことができる。例えば、所要の各モノマーを有機溶媒に溶解し、2,2′−アゾビスイソブチロニトリルやジメチル 2,2′−アゾビス(2−メチルプロピオネート)のようなアゾ化合物などの重合開始剤の存在下で重合反応を行うことにより、本発明で特定する共重合樹脂を得ることができる。反応終了後は、再沈澱などの方法により精製するのが有利である。
【0083】
本発明のレジスト組成物における酸発生剤は、その物質自体に、あるいはその物質を含むレジスト組成物に、光や電子線などの放射線を作用させることにより、その物質が分解して酸を発生するものである。酸発生剤から発生する酸が前記樹脂に作用して、その樹脂中に存在する酸の作用で解裂する基を解裂させることになる。このような酸発生剤には、例えば、オニウム塩化合物、有機ハロゲン化合物、スルホン化合物、スルホネート化合物などが包含される。具体的には、次のような化合物を挙げることができる。
【0084】
ジフェニルヨードニウム トリフルオロメタンスルホネート、
4−メトキシフェニルフェニルヨードニウム ヘキサフルオロアンチモネート、
4−メトキシフェニルフェニルヨードニウム トリフルオロメタンスルホネート、
ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウム テトラフルオロボレート、
ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウム ヘキサフルオロホスフェート、
ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウム ヘキサフルオロアンチモネート、
ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウム トリフルオロメタンスルホネート、
【0085】
トリフェニルスルホニウム ヘキサフルオロホスフェート、
トリフェニルスルホニウム ヘキサフルオロアンチモネート、
トリフェニルスルホニウム トリフルオロメタンスルホネート、
トリフェニルスルホニウム アダマンタンメトキシカルボニルジフルオロメタンスルホネート
トリフェニルスルホニウム 1−(3−ヒドロキシメチルアダマンタン)メトキシカルボニルジフルオロメタンスルホネート
トリフェニルスルホニウム 1−(ヘキサヒドロ−2−オキソ−3,5−メタノ−2H−シクロペンタ[b]フラン−6−イルオキシカルボニル)ジフルオロメタンスルホネート トリフェニルスルホニウム 4−オキソ−1−アダマンチルオキシカルボニルジフルオロメタンスルホネート

4−メトキシフェニルジフェニルスルホニウム ヘキサフルオロアンチモネート、
4−メトキシフェニルジフェニルスルホニウム トリフルオロメタンスルホネート、
p−トリルジフェニルスルホニウム トリフルオロメタンスルホネート、
p−トリルジフェニルスルホニウム パーフルオロオクタンスルホネート、
2,4,6−トリメチルフェニルジフェニルスルホニウム トリフルオロメタンスルホネート、
4−tert−ブチルフェニルジフェニルスルホニウム トリフルオロメタンスルホネート、
4−フェニルチオフェニルジフェニルスルホニウム ヘキサフルオロホスフェート、
4−フェニルチオフェニルジフェニルスルホニウム ヘキサフルオロアンチモネート、 1−(2−ナフトイルメチル)チオラニウム ヘキサフルオロアンチモネート、
1−(2−ナフトイルメチル)チオラニウム トリフルオロメタンスルホネート、
4−ヒドロキシ−1−ナフチルジメチルスルホニウム ヘキサフルオロアンチモネート、
4−ヒドロキシ−1−ナフチルジメチルスルホニウム トリフルオロメタンスルホネート、
【0086】
2−メチル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、
2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、
2−フェニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、
2−(4−クロロフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、
2−(4−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、
2−(4−メトキシ−1−ナフチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、
2−(ベンゾ[d][1,3]ジオキソラン−5−イル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、
2−(4−メトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、
2−(3,4,5−トリメトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、
2−(3,4−ジメトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、
2−(2,4−ジメトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、
2−(2−メトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、
2−(4−ブトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、
2−(4−ペンチルオキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、
【0087】
1−ベンゾイル−1−フェニルメチル p−トルエンスルホネート(通称ベンゾイントシレート)、
2−ベンゾイル−2−ヒドロキシ−2−フェニルエチル p−トルエンスルホネート(通称α−メチロールベンゾイントシレート)、
1,2,3−ベンゼントリイル トリスメタンスルホネート、
2,6−ジニトロベンジル p−トルエンスルホネート、2−ニトロベンジル p−トルエンスルホネート、4−ニトロベンジル p−トルエンスルホネート、
【0088】
ジフェニル ジスルホン、
ジ−p−トリル ジスルホン、
ビス(フェニルスルホニル)ジアゾメタン、
ビス(4−クロロフェニルスルホニル)ジアゾメタン、
ビス(p−トリルスルホニル)ジアゾメタン、
ビス(4−tert−ブチルフェニルスルホニル)ジアゾメタン、
ビス(2,4−キシリルスルホニル)ジアゾメタン、
ビス(シクロヘキシルスルホニル)ジアゾメタン、
(ベンゾイル)(フェニルスルホニル)ジアゾメタン、
【0089】
N−(フェニルスルホニルオキシ)スクシンイミド、
N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)スクシンイミド、
N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)フタルイミド、
N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボキシイミド、
N−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)ナフタルイミド、
N−(10−カンファースルホニルオキシ)ナフタルイミドなど。
【0090】
また、本発明の化学増幅型のレジスト組成物においては、塩基性化合物、特に塩基性含窒素有機化合物、例えばアミン類を、クエンチャーとして添加することにより、露光後の引き置きに伴う酸の失活による性能劣化を改良できる。クエンチャーに用いられる塩基性化合物の具体的な例としては、以下の各式で示されるようなものが挙げられる。
【0091】

【0092】

【0093】

【0094】

【0095】

【0096】
式中、R61、R62及びR67は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基又はアリール基を表す。該アルキルは、好ましくは1〜6個程度の炭素原子を有し、該シクロアルキル基は好ましくは5〜10個程度の炭素原子を有し、該アリール基は、好ましくは6〜10個程度の炭素原子を有する。更に、該アルキル基、シクロアルキル基又はアリール基上の水素原子の少なくとも1個は、それぞれ独立に、ヒドロキシル基、アミノ基、又は1〜6個の炭素数を有するアルコキシ基で置換されていてもよい。該アミノ基上の水素原子の少なくとも1個は、それぞれ独立に1〜4個の炭素数を有するアルキル基で置換されていてもよい。
【0097】
63、R64及びR65は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基又はアルコキシ基を表す。該アルキル基は、好ましくは1〜6個程度の炭素原子を有し、該シクロアルキル基は、好ましくは5〜10個程度の炭素原子を有し、該アリール基は、好ましくは6〜10個程度の炭素原子を有し、該アルコキシ基は、好ましくは1〜6個の炭素原子を有する。
更に、該アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、又はアルコキシ基上の水素原子の少なくとも1個は、それぞれ独立に、ヒドロキシル基、アミノ基、又は1〜6個程度の炭素原子を有するアルコキシ基で置換されていてもよい。該アミノ基上の水素原子の少なくとも1個は、1〜4個の炭素原子を有するアルキル基で置換されていてもよい。
【0098】
66は、アルキル基又はシクロアルキル基を表す。該アルキル基は、好ましくは1〜6個程度の炭素原子を有し、該シクロアルキル基は、好ましくは5〜10個程度の炭素原子を有する。更に該アルキル基又はシクロアルキル基上の水素原子の少なくとも1個は、それぞれ独立に、ヒドロキシル基、アミノ基、1〜6個の炭素原子を有するアルコキシ基、で置換されていてもよい。該アミノ基上の水素原子の少なくとも1個は、1〜4個の炭素原子を有するアルキル基で置換されていてもよい。
【0099】
67、R68、R69及びR70は、それぞれ独立にアルキル基、シクロアルキル基又はアリール基を表す。該アルキル基は、好ましくは1〜6個程度の炭素原子を有し、該シクロアルキル基は、好ましくは5〜10個程度の炭素原子を有し、該アリール基は、好ましくは6〜10個程度の炭素原子を有する。更に、該アルキル基、シクロアルキル基又はアリール基上の水素原子の少なくとも1個は、それぞれ独立に、ヒドロキシル基、アミノ基、1〜6個の炭素原子を有するアルコキシ基で置換されていてもよい。該アミノ基上の水素原子の少なくとも1個は、1〜4個の炭素原子を有するアルキル基で置換されていてもよい。
【0100】
Aは、アルキレン基、カルボニル基、イミノ基、スルフィド基又はジスルフィド基を表す。該アルキレン基は、好ましくは2〜6程度の炭素原子を有する。
また、R61〜R70において、直鎖構造と分岐構造の両方をとり得るものについては、そのいずれでもよい。
【0101】
このような化合物として、具体的には、ヘキシルアミン、ヘプチルアミン、オクチルアミン、ノニルアミン、デシルアミン、アニリン、2−,3−又は4−メチルアニリン、4−ニトロアニリン、1−又は2−ナフチルアミン、エチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、4,4′−ジアミノ−1,2−ジフェニルエタン、4,4′−ジアミノ−3,3′−ジメチルジフェニルメタン、4,4′−ジアミノ−3,3′−ジエチルジフェニルメタン、ジブチルアミン、ジペンチルアミン、ジヘキシルアミン、ジヘプチルアミン、ジオクチルアミン、ジノニルアミン、ジデシルアミン、N−メチルアニリン、ピペリジン、ジフェニルアミン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、トリペンチルアミン、トリヘキシルアミン、トリヘプチルアミン、トリオクチルアミン、トリノニルアミン、トリデシルアミン、メチルジブチルアミン、メチルジペンチルアミン、メチルジヘキシルアミン、メチルジシクロヘキシルアミン、メチルジヘプチルアミン、メチルジオクチルアミン、メチルジノニルアミン、メチルジデシルアミン、エチルジブチルアミン、エチルジペンチルアミン、エチルジヘキシルアミン、エチルジヘプチルアミン、エチルジオクチルアミン、エチルジノニルアミン、エチルジデシルアミン、ジシクロヘキシルメチルアミン、トリス〔2−(2−メトキシエトキシ)エチル〕アミン、トリイソプロパノールアミン、N,N−ジメチルアニリン、2,6−イソプロピルアニリン、イミダゾール、ピリジン、4−メチルピリジン、4−メチルイミダゾール、ビピリジン、2,2′−ジピリジルアミン、ジ−2−ピリジルケトン、1,2−ジ(2−ピリジル)エタン、1,2−ジ(4−ピリジル)エタン、1,3−ジ(4−ピリジル)プロパン、1,2−ビス(2−ピリジル)エチレン、1,2−ビス(4−ピリジル)エチレン、1,2−ビス(4−ピリジルオキシ)エタン、4,4′−ジピリジルスルフィド、4,4′−ジピリジルジスルフィド、1,2−ビス(4−ピリジル)エチレン、2,2′−ジピコリルアミン、3,3′−ジピコリルアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトライソプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、テトラ−n−ヘキシルアンモニウムヒドロキシド、テトラ−n−オクチルアンモニウムヒドロキシド、フェニルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、3−トリフルオロメチルフェニルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、(2−ヒドロキシエチル)トリメチルアンモニウムヒドロキシド(通称:コリン)などを挙げることができる。
【0102】
さらには、特開平11−52575号公報に開示されているような、ピペリジン骨格を有するヒンダードアミン化合物をクエンチャーとすることもできる。
【0103】
本発明のレジスト組成物は、樹脂と酸発生剤の合計重量に対して、樹脂を80〜99.9重量%、そして酸発生剤を0.1〜20重量%の範囲で含有するのが好ましい。また、クェンチャーとしての塩基性化合物を用いる場合は、該樹脂100重量部に対して、0.001〜1重量部、さらには0.01〜0.3重量部の範囲で含有するのが好ましい。この組成物はまた、必要に応じて、増感剤、溶解抑止剤、他の樹脂、界面活性剤、安定剤、染料など、各種の添加物を少量含有することもできる。
【0104】
本発明のレジスト組成物は通常、上記の各成分が溶剤に溶解された状態でレジスト液となり、シリコンウェハーなどの基体上に塗布される。ここで用いる溶剤は、各成分を溶解し、適当な乾燥速度を有し、溶剤が蒸発した後に均一で平滑な塗膜を与えるものであればよく、この分野で一般に用いられている溶剤が使用しうる。例えば、エチルセロソルブアセテート、メチルセロソルブアセテート及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートのようなグリコールエーテルエステル類、ジエチレングリコールジメチルエーテルのようなエーテル類、乳酸エチル、酢酸ブチル、酢酸アミル及びピルビン酸エチルのようなエステル類、アセトン、メチルイソブチルケトン、2−ヘプタノン及びシクロヘキサノンのようなケトン類、γ−ブチロラクトンのような環状エステル類などを挙げることができる。これらの溶剤は、それぞれ単独で、又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0105】
基体上に塗布され、乾燥されたレジスト膜には、パターニングのための露光処理が施され、次いで脱保護基反応を促進するための加熱処理を行った後、アルカリ現像液で現像される。ここで用いるアルカリ現像液は、この分野で用いられる各種のアルカリ性水溶液であることができるが、一般には、テトラメチルアンモニウムヒドロキシドや(2−ヒドロキシエチル)トリメチルアンモニウムヒドロキシド(通称コリン)の水溶液が用いられることが多い。
【0106】
上記において、本発明の実施の形態について説明を行なったが、上記に開示された本発明の実施の形態は、あくまで例示であって、本発明の範囲はこれらの実施の形態に限定されない。本発明の範囲は、特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲の記載と均等の意味及び範囲内でのすべての変更を含むものである。
【実施例】
【0107】
次に実施例を挙げて、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によってなんら限定されるものではない。例中、含有量ないし使用量を表す%および部は、特記ないかぎり重量基準である。また重量平均分子量は、ポリスチレンを標準品として、ゲルパーミュエーションクロマトグラフィーにより求めた値である。
【0108】
樹脂合成例1:樹脂R1の合成
温度計、還流管を装着した4つ口フラスコに1,4−ジオキサン82.46部を仕込み、窒素ガスで30分間バブリングを行った。窒素シール下で87℃まで昇温した後、下記の図で示されるモノマーA 23.04部、B 22.98部、D 14.52部、H 4.37部、K 38.23部、アゾビスイソブチロニトリル1.82部、1,4−ジオキサン110.29部を混合した溶液を、87℃を保ったまま2時間かけて滴下した。滴下終了後87℃で6時間保温した。その後反応液をメタノール857部、イオン交換水214部の混合液中へ攪拌しながら注ぎ、析出した樹脂を濾取した。濾物をメタノール386部に投入し攪拌後濾過を行った。得られた濾過物をメタノールに投入、攪拌、濾過の操作を、更に2回行った。その後減圧乾燥を行い55.2部の樹脂を得た。この樹脂をR1とする。収率:66.9%、Mw:7757、Mw/Mn:1.78。
【0109】
樹脂合成例2〜15
仕込みモノマーのみを変えて、樹脂合成例1と同様の操作を行い、表1に示す樹脂を合成した。
樹脂合成で使用した樹脂のモノマー(A〜L)を下記に示す。




合成例16
仕込み原料としてモノマーA(25.81g)、モノマーC(14.38g)、アゾビスイソブチロニトリル 2.3g、テトラヒドロフラン 40.2gをフラスコに仕込み、窒素雰囲気下65℃で6時間重合した。重合終了後室温まで冷却しテトラヒドロフラン 40.2gを加え均一に希釈し、2−プロパノール418gとn−ヘキサン105gの混合溶液中に注ぎ、沈殿した樹脂をろ過して、少量のn−ヘキサンで洗浄したのち、真空乾燥して、白色樹脂を得た。この樹脂はモノマーAおよびモノマーCの各繰返し単位の含有率がそれぞれ39.4モル%および60.6モル%からなる共重合体であった。
【0110】
〔表1〕
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
合成例 樹脂 仕込みモノマーモル比 Mw Mw/Mn
1 R1 A/B/D/H/K=20/25/20/5/30 7757 1.78
2 R2 A/B/J =50/40/10 9321 1.82
3 R3 A/B/D/H/G=25/35/10/10/20 8047 1.80
4 R4 A/C/H/K =15/50/20/15 8593 1.74
5 R5 A/B/D/I/K=18/32/18/9/23 7281 1.68
6 R6 A/C/E/G/H=10/40/10/15/25 9205 1.79
7 R7 A/C/E/H =25/40/10/25 10233 1.83
8 R8 A/B/D/H/K=20/25/20/5/30 7779 1.78
9 R9 A/B/D/I/K=20/35/10/10/25 6568 1.66
10 R10 A/B/H/L =12.5/50/12.5/25 8590 1.74
11 R11 B/D/F/H/K=25/20/20/5/30 8200 1.53
12 R12 C/H/K =50/25/25 9721 1.53
13 R13 B/G/J =30/60/10 10800 1.82
14 R14 A/M/H/K =12/60/16/12 7468 1.92
15 R15 G/M/H =20/60/20 8247 1.53
16 R16 A/C =39/61 10151 2.13
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上記の表1の樹脂組成においては、モノマーAは一般式(I)、モノマーB、CとMは一般式(II)、モノマーD、E、FとGは一般式(III)、モノマーH、IとJは一般式(IV)、モノマーKとLは一般式(V)の例である。
【0111】
次にモノマーの合成例を述べるが、これらに限定されるものではない。
モノマー合成例1: モノマーAの合成

【0112】
メタアクリル酸(61.6g)と炭酸カリウム(134.8g)をジメチルホルムアミド(DMF 622g)に懸濁した溶液に、5−クロロアセトキシ−6−ヒドロキシ−2−ノルボルナンカルボン酸γ―ラクトン(150g)をDMF(976.5g)に溶解して室温で滴下した。反応溶液にヨウ化カリウム(45g)を添加して、さらに室温で4.5時間攪拌した。反応溶液を水で希釈して、酢酸エチルで抽出した。有機層を水洗、硫酸マグネシウムで乾燥、活性炭で脱色して濃縮して、モノマーの結晶を146.5g得た(収率 80.4%)
融点 74.0〜77.0℃
NMR 1.55〜2.16(4H、m) 1.98(3H、s) 2.40〜2.59(2H、m) 3.22(1H、m) 4.55(1H、m) 4.66(1H、m) 4.68(2H、s) 5.69(1H、m) 6.22(1H、m)
FD−MS m/z 280(M+)
【0113】
モノマーAの中間体(5−クロロアセトキシ−6−ヒドロキシ−2−ノルボルナンカルボン酸 γ―ラクトン)の合成例


5,6−ジヒドロキシ−2−ノルボルナンカルボン酸 γ―ラクトン(145.0g)とピリジン(89.3g)のテトラヒドロフラン(THF 435g)溶液に、クロロアセチルクロリド(159.3g)のTHF(159g)溶液を30℃で一時間かけて滴下した。室温で14時間攪拌した後、反応液を酢酸エチルで希釈し、10%炭酸カリウムで中性とし、析出した結晶をろ過し、水洗した。得られた粗結晶をクロロホルムに溶解して、硫酸マグネシウムで乾燥、活性炭で脱色して濃縮して、5−クロロアセトキシ−6−ヒドロキシ−2−ノルボルナンカルボン酸γ―ラクトンの結晶を155.8g得た(収率 71.9%)
融点 147.0〜149.0℃
NMR 1.62(2H、m) 1.86(1H、m) 2.02(1H、m) 2.45(1H、m) 2.50(1H、m) 3.21(1H、m) 4.39(2H、s) 4.54(1H、s) 4.58(1H、m)
FD−MS m/z 230(M+)
【0114】
次に、表1に示す各樹脂のほか、以下に示す酸発生剤及びクェンチャーを用いてレジスト組成物を調製し、評価した例を掲げる。
【0115】
<酸発生剤>
S1:(4−メチルフェニル)ジフェニルスルホニウム パーフルオロブタンスルホナート
S2:1−(2−オキソ−2−フェニルエチル)テトラヒドロチオフェニウム パーフルオロブタンスルホナ−ト
<クェンチャー>
Q1:2,6−ジイソプロピルアニリン
<溶剤>
Y1:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
51.5部
2−ヘプタノン 35部
γ−ブチロラクトン 3.5部
Y2:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
51.5部
シクロヘキサノン 35部
γ−ブチロラクトン 3.5部
【0116】
実施例1〜7及び比較例1〜3
以下の各成分を混合して溶解し、さらに孔径0.2μmのフッ素樹脂製フィルターで濾過して、レジスト液を調製した。
【0117】
樹脂(種類及び量は表2記載)
酸発生剤(種類及び量は表2記載)
クェンチャー(種類及び量は表2記載)
溶剤(種類は表2記載)
【0118】
以下の各成分を混合して溶解し、さらに孔径0.2μmのフッ素樹脂製フィルターで濾過して、レジスト液を調製した。
【0119】
シリコンウェハーにBrewer社製の有機反射防止膜用組成物である“ARC−29A−8”を塗布して215℃、60秒の条件でベークすることによって厚さ 780Åの有機反射防止膜を形成させ、次いでこの上に、上記のレジスト液を乾燥後の膜厚が0.25μmとなるようにスピンコートした。レジスト液塗布後は、ダイレクトホットプレート上にて、表2の「PB」の欄に示す温度で60秒間プリベークした。こうしてレジスト膜を形成したそれぞれのウェハーに、ArFエキシマステッパー〔(株)ニコン製の“NSR ArF”、NA=0.55、σ=0.6〕を用い、露光量を段階的に変化させてラインアンドスペースパターンを露光した。
露光後は、ホットプレート上にて表2の「PEB」の欄に示す温度で60秒間ポストエキスポジャーベークを行い、さらに2.38重量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液で60秒間のパドル現像を行った。
リフロー工程は、現像の後、ホットプレート上にて165℃の温度で60秒間のベークを行った。
有機反射防止膜基板上のもので現像後およびリフロー工程前後のダークフィールドパターンを走査型電子顕微鏡で観察し、その結果を表3に示した。なお、ここでいうダークフィールドパターンとは、外側にガラス面(透光部)をベースとしてライン状にクロム層(遮光層)が形成されたレチクルを介した露光及び現像によって得られ、したがって露光現像後は、ラインアンドスペースパターンの周囲のレジスト層が除去されるパターンである。
【0120】
実効感度: 0.16μmのラインアンドスペースパターンが1:1となる露光量で表示した。
解像度: 実効感度の露光量で分離するラインアンドスペースパターンの最小寸法で表示した。
ラインエッジラフネス: ラインエッジラフネス非常に良好なものを◎、良好なものを〇、良くないものを×で表記する。
リフロー:リフロー工程の前後で、形状が大きく変化するものを○、TOP形状しか変化せず、全体的な変化が見られないものを△、全く変化が見られないものを×で表記する。
【0121】
〔表2〕
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例No. 樹脂 酸発生剤 クェンチャー 溶剤 PB PEB
実施例1 R1/10部 S1/0.325部 Q1/0.0325部 Y1 110℃ 115℃
S2/0.2部
実施例2 R2/10部 S1/0.325部 Q1/0.0325部 Y1 110℃ 115℃
S2/0.2部
実施例3 R3/10部 S1/0.325部 Q1/0.0325部 Y1 110℃ 115℃
S2/0.2部
実施例4 R4/10部 S1/0.325部 Q1/0.0325部 Y1 120℃ 125℃
S2/0.2部
実施例5 R5/10部 S1/0.325部 Q1/0.0325部 Y1 110℃ 115℃
S2/0.2部
実施例6 R6/10部 S1/0.325部 Q1/0.0325部 Y1 120℃ 125℃
S2/0.2部
実施例7 R7/10部 S1/0.325部 Q1/0.0325部 Y1 120℃ 125℃
S2/0.2部
実施例8 R14/10部 S1/0.325部 Q1/0.0325部 Y1 110℃ 100℃
S2/0.2部
比較例1 R11/10部 S1/0.325部 Q1/0.0325部 Y1 110℃ 115℃
S2/0.2部
比較例2 R12/10部 S1/0.325部 Q1/0.0325部 Y1 120℃ 125℃
S2/0.2部
比較例3 R13/10部 S1/0.325部 Q1/0.0325部 Y1 110℃ 115℃
S2/0.2部
比較例4 R15/10部 S1/0.325部 Q1/0.0325部 Y1 110℃ 100℃
S2/0.2部
比較例5 R16/10部 S1/0.325部 Q1/0.0325部 Y2 130℃ 130℃
S2/0.2部
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【0122】
〔表3〕
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例No. 実効感度 現像後の解像度 ラインエッジラフネス リフロー
(mJ/cm2) (μm)
実施例1 50 0.155 ◎ ○
実施例2 57.5 0.155 ○ ○
実施例3 52.5 0.15 ○ ○
実施例4 67.5 0.15 △ △
実施例5 45 0.155 ○ ○
実施例6 75 0.15 ○ △
実施例7 57.5 0.155 ○ △
実施例8 55 0.155 ○ ○
比較例1 45 0.155 △ △
比較例2 100 0.17 × ×
比較例3 50 0.15 × ○
比較例4 100 0.165 × ×
比較例5 0.2μmラインアンドスペースが解像せず。
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表3から明らかなように、連結基を導入し、主鎖から離れたところに存在する(メタ)アクリル酸エステル誘導体を導入した樹脂と酸発生剤とを含有する化学増幅型ポジ型レジスト組成物であるところの実施例1〜7のレジストは、比較例1〜3のレジストに比べて、感度、解像度が同等以上の性能を示しつつ、ラインエッジラフネスが優れ、かつ、リフロー工程にも適用可能である結果を示した。
【産業上の利用可能性】
【0123】
本発明の化学増幅型ポジ型レジスト組成物は、ArFやKrFなどのエキシマレーザーリソグラフィ、特にArFのエキシマレーザーリソグラフィに適しており、それによって高い性能のレジストパターンを与える。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(XXI)で示されるハロエステル誘導体。


(式中、W1は、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子を示す。Z55は、炭素数1〜12の2価の炭化水素基を示す。R55は、炭素数1〜6のアルキルを示す。m1は0〜2の整数を表す。)
【請求項2】
式(XX)で示されるアルコール誘導体と


(式中、R55は、炭素数1〜6のアルキルを示す。m1は0〜2の整数を表す。)
式(XXII)で示されるハロカルボン酸ハライドとを脱酸剤の存在下に、反応させることを特徴とする請求項1に記載のハロエステル誘導体の製造法。



(式中、W1、W2は、互いに独立に、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子を示す。Z55は、炭素数1〜12の2価の炭化水素基を示す。)

【公開番号】特開2011−16799(P2011−16799A)
【公開日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−152781(P2010−152781)
【出願日】平成22年7月5日(2010.7.5)
【分割の表示】特願2005−138226(P2005−138226)の分割
【原出願日】平成17年5月11日(2005.5.11)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】