説明

化学物質含有霧放出装置

【課題】 香料、医薬品、殺菌剤、殺虫剤など生活の中で使用する化学物質を霧に含有して放出する装置に関する。課題は、嗅覚刺激が柔らかい香料含有霧を、視覚的にも美しく放出する。霧に含有して放出する化学物質の種類を高速に切り替える。ファン等の気流発生手段を省略し、小型、経済的で使い易い構成にする。
【解決手段】 超音波、又は、静電気エネルギーを用いた液体霧化手段と、霧を放出する通路と、当該通路付近に設けられた加熱手段と、霧に化学物質を含有する手段とから構成される。化学物質含有物には多数の霧通過穴が設けられ、霧が当該霧通過穴を通過する際に化学物質含有物に水分を補給するように構成される。液体霧化手段、加熱手段などは、霧微粒子が再結合して拡大しないように制御される。霧は1/f揺らぎを伴って帯状に上昇する。化学物質含有物には記憶手段を装着でき、音響や映像と連動できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主として、香料、医薬品、殺菌剤など生活の中で使用する化学物質を霧または気体に含有して放出する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
以下では、化学物質として香料を霧または気体に含有して放出する装置について、従来の問題点を説明する。
【0003】
従来の香り発生器は、大きく自然揮発式と強制拡散式に分けられる。自然揮発式としては、例えば、特開平08−164194、実開平05−021950、特開平01−181871に開示されているように、液体香料の入った瓶にロープを入れ、ロープの先端を瓶から少し出し、ロープに染み込んだ液体香料を空気中で自然に気化させる方式が良く知られている。
【0004】
構造は簡単だが、空気に触れる面積が限られると気化量が少なく、嗅覚刺激が弱い、周囲に香りが広がり難いという問題がある。また、瓶を倒すと液がロープを伝ってこぼれると言う問題もある。更に、多くの製品が、使用できる液体香料は1種類に限られ、香料を切り替えて使うことは難しい。
【0005】
一方、強制拡散式としては、例えば、実開平05−048946、特開平08−332420に開示されているように、霧吹きの原理を利用した香り発生装置が良く知られている。管の一方を液体香料に浸し、管の先端を細くして横から空気を吹き付ける。当該管先端の気圧は下がるため、液体香料は管の先端まで上昇し、吹き飛ばされて霧状になる。その霧を容器の中で循環させ、大きな粒子を落下させて排除した後、微粒子を容器から放出する。
【0006】
この方式では、香料発生量は多く強い香りを感じるが、霧吹き機構が複雑なため、小型に製造することは難しく、製造コストも高くなりやすい。また、容器が汚れた際には、洗浄が面倒である。液体香料溜めには通常1種類の液体香料しか入らないため、香りの切り替えは難しい。空気の吹き付けにはエアーポンプを使用するが、ポンプは振動と音を伴うため静寂ではない等の問題がある。
【0007】
また、高い濃度の香料を使用すると刺激が強いため、長時間の使用、または、短い時間に繰り返しの使用は抵抗感がある。
【0008】
霧の粒子径は10ミクロンを超えるものが多く、落下して周囲が香料で汚染されることがある。濃度の高い香料は粘性があるため、付着すると取れにくく清掃が面倒である。
【0009】
強制拡散式には、香料含有液体を加熱して蒸発させる装置もある。しかし、加熱温度が低い場合、視認できる霧は発生しにくく、高い温度の場合、多くの霧が発生するが、粒子径が大きく落下して周囲を汚染しやすい、霧の動きは速く美的印象は得られないなどの問題がある。
【0010】
霧の動きに視覚的な癒し効果を期待するには、速い動き成分よりも遅い動き成分を多くし、全体としてはゆっくりとした動きの中に、速く揺れる成分が含まれるように、即ち、1/f揺らぎを生じるようにすべきであるが、液体を加熱して蒸発させる方法では難しい。
【0011】
最近、強制拡散式として、液体を超音波で霧化する方式が注目されている(例えば、特開2003−245580)。香料含有液体を用いると、霧と共に香りが放出されるので、魅力的な商品になるが、従来の多くの超音波霧化方式では少量の液体を霧化できないという問題がある。香り提示では、多くの香料含有液体を霧化する必要は少ないため、使いきれなかった香料含有液体が無駄になることが多い。
【0012】
また一般に、発生した霧は羽車などの気流発生手段で放出されるが、霧の動きは速く乱れるため、美的印象は少なく視覚的な癒し効果が得られないという問題がある。更に、気流発生手段を用いて放出しても、霧は周辺に落下しやすく香料付着による汚染の問題、装置の複雑化、大型化の問題がある。
【0013】
霧化対象液体を少なくする課題については、特許第3547132号に超音波伝播媒体と切り離して霧化対象液体を容器に入れて保持する方法が開示されている。しかし、香りの高速な切り替えは難しい。また、空中に飛散した霧を美しく放出する手段、霧を周囲に落下させない手段は開示されていない。
【0014】
霧を美しく放出する課題については、特許第3675203号に、空気砲を用い霧を環状固まりとして放出する装置が開示されている。しかし、装置の構造は複雑、大型であり、香料が内部に付着しやすい問題がある。また、環状霧の放出間隔や速度を変えることはできるが、それ以外の霧の放出モードは開示されていない。
【0015】
強制拡散式の霧発生装置に共通する問題として、所定の方向に霧を放出するためには、羽車や空気ポンプなどの気圧発生装置が不可欠であった。
【0016】
また、液体香料を使用するものが多いが、液体は漏出し易いため、保守が面倒な問題がある。
【0017】
更に、従来、香りとともに映像や音楽を提示して雰囲気を演出する装置はあるが、香りとこれら情報メディアとを連結するための簡便な手段がないため、操作が面倒と言う問題があった。
【0018】
以上整理すると、霧に香料を含有して放出する実用的な装置を開発するためには、a)霧に含有する香料を少量にする、または、量を制御できるようにする、b)発生した霧を周囲に落下させず、簡単な機構で美しく放出する、c)香料の切り替えを高速に行う、d)小形、経済的な装置構成にする、e)香料の取り扱いを容易にする、メンテナンス性を良くする、f)視聴覚メディアと連結し雰囲気を演出する、などが課題であるが、これらの特性を満たす霧放出装置はまだ実現されていない
【0019】
【特許文献1】特開平08−164194
【特許文献2】実開平05−021950
【特許文献3】特開平01−181871
【特許文献4】実開平05−048946
【特許文献5】特開平08−332420
【特許文献6】特開2003−245580
【特許文献7】特許第3547132号
【特許文献8】特許第3675203号
【特許文献9】特開2004−159875
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
本発明は、霧に化学物質(香料、医薬品、殺菌剤、殺虫剤など)を含有して放出する装置において、(1)必要なだけの少量の化学物質を効率よく霧に含有させて放出する、嗅覚刺激が柔らかい香料含有霧を放出する、(2)視覚的に美しい霧を放出し、周囲を汚染しない、(2)霧に含有して放出する化学物質の種類を容易にかつ高速に切り替える、(3)ファンなどの気流発生手段を省略し小型で経済的な装置構成とする、(4)メンテナンスが容易で使い易い、(5)他のメディアと連動させ心理効果を高める、などを実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0021】
<手段1>
本発明に係わる請求項1に記載の化学物質含有霧放出装置は、例えば、図1、図4、図6、図9、図10、図12に対応付けて説明すると、液体霧化手段(05)と、霧を放出する通路(27、または、29、または、T3)と、当該通路付近に設けられた加熱手段(HT1、または、HT3、または、HT4)と、霧に化学物質を含有する手段(07、または、071)とから構成され、当該霧に化学物質を含有する手段には多数の霧通過穴(Air3)が設けられ、霧が当該霧通過穴を通過する際に当該化学物質含有物に水分を補給するように構成され、前記液体霧化手段、または、前記加熱手段、または、前記霧放出通路に気圧を加える手段は、霧微粒子が再結合して拡大しないように制御されることを特徴とする。
【0022】
前記手段1において、化学物質含有手段(図6の071、または、図10の07)は、板厚方向に多くの空気穴(Air3)が形成された化学物質吸蔵機構(95)と、当該機構を包むように設けられた空気穴が形成されたカバー板(93、94)で構成できる。当該化学物質吸蔵機構には、液体化学物質、または、ジェル状化学物質を吸蔵できる。
【0023】
当該化学物質吸蔵機構は、30番から120番程度の網目素材、または、多孔質素材を用いて構成できる。
【0024】
<手段2>
本発明に係わる請求項1に記載の化学物質含有霧放出装置は、例えば、図5、図7、図8、図11に対応付けて説明すると、液体霧化手段(05)と、霧を放出する通路(27)と、当該通路付近に設けられた加熱手段(HT1、または、HT2、または、HT3、または、HT4)と、霧に化学物質を含有する手段(11(12)、または、15、または、16)とから構成され、当該霧に化学物質を含有する手段はゲル状物質で構成され、前記液体霧化手段、または、前記加熱手段、または、前記霧放出通路に気圧を加える手段は、霧微粒子が再結合して拡大しない程度に制御されることを特徴とする。
【0025】
前記手段1、または、手段2において、液体霧化手段(05)は、超音波エネルギー、または、静電気エネルギーを用い、粒子径が1μmから10μmの範囲の霧を多く含むように設定される霧化手段であることが望ましい。
【0026】
前記手段1、または、手段2において、前記化学物質としては、香料、医薬品、殺菌剤などを用いることができる。
【0027】
前記手段1、または、手段2において、前記気圧を加える手段は、超音波進行波、静電気力、空気砲、羽車などを用いることができる。
【0028】
前記手段1、または、手段2において、前記化学物質含有手段は、前記加熱手段によって30度から60度の温度範囲に加熱されるのが効果的であり、35度から45度の温度範囲が一層望ましい。
【0029】
前記手段1、または、手段2において、前記霧微粒子が再結合して拡大しないとは、前記空気穴(Air3)で結露が生じ、目詰まりを生じないように気流を作る制御を意味する。
【0030】
前記手段2において、前記ゲル状物質は、図5に示すように、霧が通過する空気穴を設けることができる。また、図7に示すように、前記霧放出通路の一部を構成することができる。
【0031】
<手段3>
本発明に係わる請求項3に記載の化学物質含有霧放出装置は、例えば、図1、図4、図5、図9、図10、図12に対応付けて説明すると、前記手段1、または、手段2において、前記加熱手段(HT1、または、HT3、または、HT4)は、霧を放出する通路(27、または、29、または、T3)の上部に連結するように設けられ、前記化学物質含有手段(07、または、12)は、複数の化学物質含有領域を持ち、当該領域は当該加熱手段によって選択的に加熱されることを特徴とする。
【0032】
<手段4>
本発明に係わる請求項4に記載の霧放出装置は、例えば、図1、図4、図5、図9、図10、図11、図12に対応付けて説明すると、前記手段1から手段3において、前記加熱手段(HT1、HT3)は、霧が放出される方向に多数の空気穴(Air2)を有する熱拡散材(89)と、当該熱拡散材を温める耐湿発熱体(YAS)とから成り、霧放出通路(27、または、29、または、T3)に連結するように設けられ、当該通路に熱上昇気流を発生させることを特徴とする。
【0033】
前記手段4において、耐湿発熱体(YAS)は、図1に示すように棒状を成し、前記空気穴と平行に設けることができる。
【0034】
<手段5>
本発明に係わる請求項5に記載の化学物質含有霧放出装置は、例えば、図1、図4、図5、図6、図7、図9、図10、図11、図12に対応付けて説明すると、前記手段1から手段4において、前記液体霧化手段(05)、または、前記加熱手段(HT1、または、HT3、または、HT4)、または、前記霧放出通路に気圧を加える手段は、放出される霧の動きの周波数成分が、当該周波数fの逆数に概ね比例した頻度で現れるように制御されることを特徴とする。
【0035】
<手段6>
本発明に係わる請求項6に記載の霧放出装置は、例えば、図1、図4、図9、図12に対応付けて説明すると、液体霧化手段と、霧を放出する通路と、当該通路付近に設けられた加熱手段と、当該霧に化学物質を含有する手段(07)とから構成され、当該液体霧化手段(05)は、液体を局所的に霧化する手段であって、当該霧を放出する通路(27、または、29、または、T3)は、当該霧を取り込み、当該霧化エネルギーを用いて霧を搬送する霧搬送筒で構成され、当該加熱手段(HT1、または、HT3)は、当該霧搬送筒の上部を温め、筒内に上昇気流を発生させる手段であることを特徴とする。
【0036】
前記手段6において、前記化学物質含有手段(07)、は当該加熱手段(HT1、または、HT3)に隣接するように設けることができる。
【0037】
前記手段6において、図4、図12に示すように、前記霧搬送筒(27、または、T3)の下部と霧化対象液体の液面(Suf)との空間に気圧を発生させる手段(70、または、74)を用いてもよい。気圧発生手段としては、空気砲、羽車などが使用できる。
【0038】
<手段7>
本発明に係わる請求項7に記載の霧放出装置は、例えば、図1、図9に対応付けて説明すると、前記手段6において、前記液体を局所的に霧化する手段(05)は、超音波振動子(40)と、当該超音波振動子の振動面を満たすように設けられた超音波伝播媒体または霧化対象液体(Liq1)と、当該超音波伝播媒体または霧化対象液体の中に設けられ、当該霧化対象液体の界面付近に超音波を集束させて当該液体を霧化するための超音波集束反射機構(25)とから構成され、前記霧搬送筒(27、または、29)は、当該超音波の集束によって局所的に飛散する液体(AK1C)を取り囲むように、かつ、当該筒下部から空気が入るように、かつ、当該液体の飛散とともに発生する散乱超音波を進行波に変換する超音波反射管によって構成されることを特徴とする。
【0039】
前記手段7において、液体を霧化するための超音波集束反射機構(25)は、超音波凹面鏡レンズを用いることが望ましい。
【0040】
<手段8>
本発明に係わる請求項8に記載の化学物質含有霧放出装置は、例えば、図12に対応付けて説明すると、前記手段6において、前記液体を局所的に霧化する手段(05)は、液体を噴射させるための液体噴射管(T1)と、当該管の先端に高電圧を印加するための噴射電極(T11)と、当該噴射管から放出される帯電液体微粒子を受け入れ搬送するための霧搬送筒(T3)と、当該霧搬送筒の下部に設けられた対向電極(T31)とから構成されることを特徴とする。
【0041】
前記手段8において、図12に示すように、霧搬送筒内(T3)に上向き電界を形成する調整電極(T32)を設けることができる。
【0042】
<手段9>
本発明に係わる請求項9に記載の霧発生装置は、図1、図4、図5、図10、図12に対応付けて説明すると、前記手段1、または、手段2、または、手段6において、前記霧に化学物質を含有する手段(07、12)に、当該化学物質に関する情報を読み書きするための記憶手段(02a、02b、02c、02d、02e、02f)が装着されていることを特徴とする。
【0043】
前記手段9において、前記記憶手段は集積回路で構成できる。また、前記液体に関する情報には、液体の成分情報、ゲル化情報、当該液体を霧化または気化する手段を駆動制御するための情報、映像、音響など他のメディア情報と連動させるための情報を含むことができる。
【発明の効果】
【0044】
<手段1、手段3、手段4に係る効果>
図1、図4、図6、図9、図10、図12に示すように、本発明では、従来の液体を加熱して蒸発させる方法と異なり、超音波霧化手段、静電霧化手段などを用いて、液体を室温で霧化し、当該霧を霧放出通路(27、または、29、または、T3)上部に設けた加熱手段(HT1、HT2、HT3、HT4)によって温め、上昇気流によって放出する。従って、霧の発生と霧の加熱を独立に制御することができる
【0045】
霧の粒子径、霧化量、または、霧の温度を制御することにより、霧の状態を様々に変化させることができる。例えば、白い色のまま放出する、気化を促進させ透明にして放出する、激しく放出する、緩やかに放出するなどである。
【0046】
霧放出通路に熱上昇気流を発生させ、霧を当該上昇気流に乗せて放出すると、あたかも線香の煙のように見える。これは、低い周波数成分が多く、高い周波数成分が少ないためで、霧の動きが周波数fの逆数に比例した頻度で現れるためである。霧が線香の煙のように変化しながら立ち上る様子は、美しく、視覚的な癒し効果がある。商品的価値は高い
【0047】
このような霧を放出させるためには、前記加熱手段(HT1、HT3)は、比較的低い温度で加熱する、かつ、前記化学物質含有物(07、071)の空気通過穴が、霧によって目詰まりを起こすことを防止する、即ち、霧が過飽和状態になり、霧微粒子が再結合して拡大するのを防止する必要がある。
【0048】
このためには、発生させる霧の粒子径を1〜10ミクロンに設定し、当該化学物質含有物の液体吸蔵機構を30番から120番程度の網目素材で構成し、前記加熱手段によって、当該液体吸蔵機構を30度から60度の温度範囲に加熱した場合に効果は大きい。なお、液体を単純に加熱することによって発生する水蒸気では、このような効果はない。
【0049】
図1、図4、図6、図9、図10、図12に示すように、化学物質含有物(07、または、071)に多数の霧通過穴(Air3)を設け、霧が当該霧通過穴を通過する際に当該化学物質含有物に水分を補給するように構成すると、当該化学物質は、その濃度が薄められながら少しずつ気化(消費)される。従って、当該化学物質を含有する霧(mb)または気体を長時間にわたり放出することができる
【0050】
濃度が高い化学物質を必要な量だけ使用できるため、化学物質の補充回数は少なくて済む。化学物質は無駄なく使用されるため、経済的である
【0051】
当該mbは、適度に湿り気がある香りなので、刺激が少なく柔らかいと感じる。この香りが長時間放出されるので、快適な香り空間が作られる
【0052】
図1に示すように、化学物質含有物(07)の分割された複数の領域に様々な化学物質(a、b、c、d、e、f)を蓄えておき、これを回転し加熱手段(HT3)の上部に任意の領域を選択的に配置することにより、霧(m)に様々な化学物質を含有することができる。また、放出する化学物質を高速に切り替えることができる。操作は簡単である
【0053】
当該化学物質含有物(07)は取り外しが容易なため、通常の使用において、洗浄または取り替えは容易である。洗浄は高圧水流を通すことによって簡単に実施できる。
【0054】
ここで、手段1、手段3、手段4に係る効果に関して、従来例と比較し特徴を補足説明する。特開2004−159875には、本発明者らによる液体吸蔵機構を用いた芳香装置が開示されている。香料を含有させた当該吸蔵機構を加熱し、香料を気化し気流発生手段で放出する。様々な香りを提示できる機能は、本発明と類似している。
【0055】
しかし、当該先例は、液体吸蔵機構に主に加熱した空気を当てるため、液体香料は短時間で気化し消費される。また、液体吸蔵機構に蓄積された液体香料は、熱によって乾燥しやすく当該吸蔵機構の中に付着して固まることがある。
【0056】
また、加湿器の水蒸気の出る部分に液体吸蔵機構をつけて使用する概念が示されているが、液体吸蔵機構を霧放出通路の上部に当該通路を横断するように設け、通常の加湿器の霧を通過させようとすると、粒子径が大きいため、液体吸蔵機構の空気穴は過飽和になりやすく、当該空気穴は目詰まりを起こす問題がある。このような問題、解決する手段、その効果などは開示されていない。
【0057】
本発明では、前記のように、超音波式霧化手段または静電式霧化手段によって発生される粒子径の小さな霧(1〜10ミクロン)を用いる、当該霧化とは独立に制御できる加熱手段を用い、帯のような熱上昇気流を発生させるように加熱する(30度から60度の温度範囲)、霧放出通路に気圧を加えるなどにより、霧微粒子の再結合を防止して放出する。従って、前記文献のような液体吸蔵機構の目詰まりの問題は起こらず、美しい霧が放出される
【0058】
また、霧が化学物質含有物に水分を補給するように作用するため、当該化学物質は、その濃度が薄められながら少しずつ消費される。実験の結果、先例のように湿り気のない乾いた上昇気流を使う場合に比べて、2〜5倍程度の時間香りが継続する結果が得られた。また、当該化学物質含有物は常に霧で湿り気が与えられる状態で使用されるので、化学物質が内部に強力に付着することは少なく、洗浄は水洗いなどで比較的容易である。メンテナンス性ははるかによい
【0059】
また、当該先例では、香りが気体として放出されるため、見えないのに対し、本発明では、化学物質含有霧が美しい帯の形状で放出されるため、視覚的な癒し効果がある
【0060】
背景技術で述べたように、従来の超音波霧化手段、静電霧化手段で発生する霧は、温度が低いため、一般的には、放出後落下しやすく、湿度が高い部屋では結露を生じることがある。化学物質を含有する霧は、周辺に落下すると、べた付き汚染の原因になる。本発明では、霧を加熱手段で生じる上昇気流によって、空中高く放出して気化するため、周辺を汚染することはない
【0061】
<手段2に係る効果>
前記化学物質含有物をゲル状物質で構成すると、液の漏出がないため、様々な形状に加工することができる。図5に示すように、ゲル状化学物質含有物(11)に空気穴(Air5)を設けると、加熱した際、当該化学物質は気化しやすなる。当該空気穴に霧(m)を温めて通過させると、気化した化学物質(香料)は、当該霧に混入して放出される。
【0062】
この際、当該空気穴(Air5)付近のゲル状化学物質(Gb)には、水分が供給されるため、適度な湿度を保ちながら気化される。その結果、ゲル状化学物質は、良い香りを長く放出し続ける
【0063】
図7に示すように、筒型に加工して霧放出通路を形成することができる。内部を加熱し、熱上昇気流を発生させると、化学物質は気化しやすく、霧に含有しやすい。その他、前記手段1から手段5で述べた効果と同様な効果がある。
【0064】
<手段4、手段5に係る効果>
図1、図4、図5、図9、図10、図11、図12に示すように、前記加熱手段(HT1、HT3)が、霧が放出される方向に多数の空気穴(Air2)を有する熱拡散材(89)と、耐湿発熱体(YAS)とから構成され、霧放出通路に連結するように設けられると、当該熱拡散材が温められるため、多数の空気穴には一様に上昇気流が発生する。従って、当該空気穴(Air2)は、霧の放出方向を揃えるとともに、効率よく霧を上昇させることができる。視覚的に美しい霧を発生させる効果がある
【0065】
また、熱は熱拡散材(89)の上に設けた化学物質含有物(07、または、12)の選択された所定領域に一様に伝わるため、化学物質(b、または、Gb)は、効率良く気化して、霧(m)に含有しやすい
【0066】
<手段6、手段7に係る効果>
図1、図9に示すように、前記液体霧化手段(05)が、超音波振動子(40)と、超音波集束反射機構(25)と、超音波反射管として作用する霧搬送筒(27、または、29)とから構成されるため、霧は超音波反射管内を伝播する超音波の圧力によって筒上部まで搬送され、更に、当該霧搬送筒の上部に設けた加熱手段(HT1、または、HT3)により作り出される熱上昇気流によって放出される。従って、ファンなどの従来の気流発生手段を省略できる。部品点数が少なく、小形化、経済化に効果がある
【0067】
霧は、発生から放出まで一方向に流れるため、化学物質の切り替えは高速で極めて明確である。また、霧が周囲に落下することはないので、化学物質が周囲を汚染することはない
【0068】
霧は、霧放出筒(80)から上方に放出されるが、当該霧の動きは前記加熱手段の温度で制御することができる。視覚的に美しい様々な動きを作ることができる。霧を一筋の帯のように立ち登らせると、その動きには、1/f揺らぎが発生し、癒し効果がある
【0069】
<手段8に係る効果>
図12に示すように、前記液体霧化手段(05)は、静電霧化手段で構成され、当該霧は、加熱手段(HT3)による熱上昇気流によって放出されるため、視覚的に美しい霧の流れが得られる。霧が周囲に落下することはないので、化学物質が周囲を汚染することはない
【0070】
化学物質含有物(07)を加熱手段(HT3、または、HT4)の上部に配置することにより、霧に含有して放出する化学物質の種類を容易にかつ高速に切り替えることができる
【0071】
霧は、静電気力によって筒内を上方に向かって進行するため、気流発生手段(70、74)は省略できる。小形化、経済化に効果がある
【0072】
以上のように、本発明では、化学物質を香料にした場合、嗅覚刺激は柔らかく快適である、視覚的に美しく、周囲を汚染することがなく、香りの切り替えが可能で、癒し効果が高い、小形で経済的な嗅覚提示装置を実現できる
【0073】
<手段9に係る効果>
図1、図4、図5、図10、図12に示すように、化学物質含有物(07、または、12)に当該化学物質に関する情報を読み書きするための記憶手段(02a、02b、02c、02d、02e、02f)を装着すると、この情報を利用者に表示できるため、当該化学物質含有物の各領域に化学物質を補充する際、当該物質の種類を間違えることが少ない。利用者の操作は簡単である
【0074】
また、化学物質の種類に応じて最適な条件で駆動することができる。つまり、化学物質の種類に合わせて、加熱温度や霧化量、気流量を自動的に調整できる。更に、香りの放出に合わせて、映像や音響提示を連動させることができる。これによって、香りなど化学物質の作用(癒し効果)を更に高めることができる
【実施例1】
【0075】
図1は、本発明の第1の実施例で、超音波で発生させた水の霧を筒型加熱手段HT3で温め、平板状の化学物質含有物07に通すことで、霧に様々な化学物質a、bを含有させて、帯状の霧Sm、または、環状霧Lmとして放出する霧放出装置である。図2は、当該装置の部品構成を示す分解図である。
【0076】
図1(A)は装置の縦断面図、(B)は07の平面図、(C)は筒型加熱手段HT3の縦断面図、(D)はHT3の横断面図である。(C)は、(D)の二点鎖線Secでの切断面を示す。主な構成要素を説明する。図1において、05は液体霧化手段、HT3は筒型加熱手段、07は霧を放出する通路に設けられた平板型の化学物質含有物、80は霧放出筒、04は上部筐体、06は下部筐体である。
【0077】
前記構成要素の詳細と動作を説明する。液体霧化手段05において、40は超音波振動子、41は超音波振動子取り付け部および駆動回路、Con1は超音波振動子駆動制御装置、19は超音波振動子の振動面を満たすように液体を入れる容器である。01は19に液体を注入する容器で、水Wが入っている。Wは注入ノズル011によって19内に供給される。19内のLiq1(W)は、超音波伝播媒体であり、かつ、霧化対象液体である。Liq1(W)は一定の水位に保たれている。25は凹面鏡レンズで構成される超音波集束反射機構である。27は超音波反射管で構成された霧搬送筒である。
【0078】
超音波振動子40は、強誘電体セラミックスを用いた圧電板素子で構成され、1メガヘルツ以上、望ましくは2〜3メガヘルツの高い周波数で駆動される。
【0079】
40が1MHz以上の高周波で駆動されると、超音波はLiq1内を伝播し、凹面鏡レンズ25で反射し液面Suf近くに集束する。液面は押し上げられ、小さな液柱ができ、AK1C付近において局所的に飛散する。超音波を集束しているため、小さな空間から大量の霧が同図の上部に向けて発生する特徴がある。当該霧の発生と同時に、超音波もAK1Cの小さい空間から上部に強い指向性をもって散乱する。
【0080】
霧搬送筒27は、AK1Cから上を囲むように設けられている。27の下部は、飛散液体を筒内に取り込むように広がっている。また、当該下部は液面から少し上に位置し、下部から空気が筒内に取り込まれる構造になっている。28は、27を支持するケースであり、当該ケースには、27の下部へ空気を送る空気穴Air1が設けられている。28は下部筐体06に勘合するように設けられる。
【0081】
27に取り込まれた飛散液体には、霧mと霧にならなかった滴状液体AK2がある。超音波振動子40が1MHz以上の高周波で駆動される場合、霧mは、10ミクロン以下の微小粒子になる。具体的には、2.4MHzで駆動されると3ミクロン径程度の粒子が大量に発生する。超音波振動子を薄く製造し、高周波駆動すると、1ミクロン程度の霧を発生させることができる。
【0082】
霧搬送筒27は、超音波反射管として、前記小さな空間AK1Cから上方に散乱する超音波を反射させ上方に進行波を作るように作用する。AK1Cで散乱する超音波は、前記のように上方に強い指向性を持つため、筒内で強い進行波となる。27の太さは、5mmから20mm程度の範囲が望ましい。細すぎると、飛散液体を取り込むことができない、太すぎると進行波のエネルギー密度は低くなるためである。
【0083】
発生した霧mは当該進行波によって上方への圧力を受ける。前記空気穴Airが開いていると、一点鎖線のよう気流ができ、霧は上方へ搬送される。
【0084】
超音波エネルギーは当該筒27に集められるため、滴状液体AK2は当該超音波によって高速に振動し霧化が促進される。つまり、27によって発生する霧の量は大幅に増えると共に、平均的な粒子径が小さくなる。
【0085】
また、27は、滴状液体AK2を落下させ回収するガイドとしても作用する。霧化されなかった液体は、27の内壁を伝って19内に回収される。
【0086】
霧搬送筒27を上昇する霧は、加熱手段HT3を通り、化学物質含有物07の化学物質含有領域YSを通り、霧放出筒80を通り放出される。YSには液体吸蔵板95が設けられ、化学物質(香料b)が吸蔵されているため、霧mがYSを通過する際に、気化したbがmに混入し、化学物質含有霧mbとなって、帯のような美しい姿Smで放出される。
【0087】
Con1は、超音波振動子40の動作出力、動作間隔、タイミングなどを制御できる。Con2は、筒型加熱手段HT3の制御装置で、加熱温度によって上昇気流の量、液体香料bの気化量が制御できる。
【0088】
これらを制御することによって、当該霧の上昇形態は、霧の動きが周波数fの逆数に概ね比例した頻度で現れるように、つまり、1/f揺らぎを作るようになる。線香の煙を想起させるような動きで、視覚的な癒し効果がある。
【0089】
以上のように、27は霧を搬送する空気の流れを作るため、従来の超音波式霧化装置で必要不可欠な羽車などの気流発生手段は省略できる。超音波進行波による霧の放出は静かで姿は美しい。なお、霧を強く放出する場合には、羽車(ファン)を併用できるのは当然である。
【0090】
次に、加熱手段HT3の構成について説明する。図1(C)(D)において、YASは耐湿発熱体を示す。YASの中には、発熱体であるニクロム線NCが収められており、NCの周囲には熱拡散充填材NC2が詰められている。SUSはステンレス製の密閉容器であり、湿気が中に入ることはない。NC1は配線、Con2は加熱手段制御装置である。YASへの駆動電流を制御することができる。
【0091】
HT3は筒型を成す。YASは耐湿構造になっているため、当該筒の中心に設けることができる。YASの周囲には、熱拡散材89が設けられている。89には多くの空気穴Air2が設けられている。Air2は、空気抵抗を小さくすると共に、霧に熱を伝播し易く設計する。
【0092】
また、加熱手段HT3は、超音波反射管27の上部に、霧放出経路を横断するように設けられている。発熱体YASの熱は熱拡散材89に伝わり、霧放出筒内が一様に温められ、空気穴Air2の周辺も温められ、Air2内に熱上昇気流が発生する。
【0093】
次に、化学物質含有物を集積した機構07について説明する。図1(B)において、円盤型の台座には、6個の円領域が設けられ、各領域には液体化学物質を吸蔵する機構95がはめ込まれている。95が化学物質含有物である。
【0094】
台座は例えばステンレスなどの板を切削して製造できる。化学物質吸蔵機構95は、網状素材、または、多孔質素材で構成できる。当該素材の板厚方向に多くの空気穴が形成され空気が通過しやすいものを用いる。網状素材の場合は、30番から120番程度の網目素材を数枚積層して構成できる。また、95に空気穴を形成してもよい。
【0095】
95には、液体の他、ジェル状の化学物質を蓄えることができる。同図のa、b、c、d、e、fは液体香料を示す。YSは、化学物質含有領域または区画を分離する液体仕切り手段である。MMは回転軸で、HT3の上部に任意の化学物質含有領域を選択して配置することができる。
【0096】
95は取り外しが可能である。取り外して水で洗浄する、または、使い捨てにすることができる。また、95に吸蔵される液体、または、ジェルには表面張力、粘性力が働くため、垂れて、HT3、霧搬送筒内を汚染することはない。
【0097】
95に網目素材、または、多孔質素材を用い、霧を通過させた場合、一般に目詰まりを起こしやすい問題があるが、本発明では、霧の径を1〜10ミクロン程度に小さく制御すること、27内に超音波進行波を発生させ霧に上方への圧力を加えて放出すること、当該素材の加熱温度を制御することによって、目詰まりは生じない。数日のランニング試験でも何の問題も起きなかった。
【0098】
07は全体を、同図には示していない領域選択ケースを用いて覆い、一部の領域(区画)を選択的に露出し、他の領域を遮蔽できる。これによって、加熱手段上部の領域の化学物質のみを気化して、霧に含有させることができる。
【0099】
当該実施例では、化学物質が混入される場所が霧搬送筒27、または、加熱手段HT3の上部であり、霧の流れが一方向であるため、MMを回転した場合、化学物質の切り替えは極めて高速である。当然、操作は簡単である。また、霧搬送筒の径が太くないので、YSで囲まれる化学物質含有領域は小さくでき、07の中に集積できる。従って、小形な装置で、多様な化学物質を霧に含有させることができる。気化した化学物質が付着する場所は、霧放出筒80の内部のみであり、清掃は容易である。
【0100】
07の化学物質含有領域(区画)には、香料、医薬品、抗菌剤、殺虫剤などの領域の他、空の領域を設けることができる。また、回転軸の駆動をコンピュータ制御にすることもできる。1日の生活パターンに合わせて様々な化学物質を霧に含有して放出する、または、水の霧を放出するようにプログラムすることができる。霧が放出される際には、大量のマイナスイオンが発生する。
【0101】
芳香器への応用では、香料が適度な湿り気を持って提示されるため、嗅覚刺激は柔らかく快適である。変化に富んだ香り、視覚的な面白さが相まって魅力的な商品になる。
【0102】
同図(B)において、07の各領域、または、化学物質吸蔵機構95には、化学物質の種類、性質、使用方法、関連情報などを記録するための集積記憶回路02a、02b、02c、02d、02e、02fが設けられている。また、同図(A)の上部筐体04の右上には、当該集積記憶回路に給電すると共に当該集積記憶回路との間で信号を送受できる回路03が設けられている。
【0103】
07を回転する際に、これらの集積記憶回路と前記給電兼信号送受回路03を対向させると、03は、前記記憶情報を読み取り、この情報を同図には示していない処理装置に送信する。処理装置は、予め設定したプログラムに従って、Con1、Con2に指示命令を与え、霧の放出を演出することができる。
【0104】
また、霧の放出に合わせて、同図には示していない別の装置を用いて映像や音響を提示することができる。香料の嗅覚印象に関連する視覚情報または聴覚情報を提示すると、霧の動きの美しさ、香りの心理的、生理的作用と相まって癒しや、活性など目的とする効果は高まる。
【0105】
図3は、前記実施例において、化学物質含有物(07)の空気穴密度と加熱温度が霧放出に与える影響について調査した結果である。同図(A)は、実験環境、(B)は実験結果である。
【0106】
加熱手段HT3に通電しない場合、07のメッシュ密度が30番から120番の範囲において、数分でメッシュに結露が生じ、目詰まりを起こした。
【0107】
通電した場合、結露は生じにくくなるが、07を加熱する温度が30度以下の場合、または、07とHT3との間に隙間を開けた場合、30番から120番のメッシュ範囲において、数分から10分程度で目詰まりを起こした。
【0108】
07とHT3との間に隙間を設けず、HT3の熱が07に効率よく伝達される状況において、即ち、熱上昇気流が07の空気穴を通過する状況において、加熱温度を30度程度にすると、07が、30番から80番のメッシュ密度の場合、霧は霧放出筒80の先端から真っ直ぐに立ち上る。また、加熱温度を60度程度にすると、07が30番から120番のメッシュ密度の場合、霧は霧放出筒80の先端から真っ直ぐに立ち上る。
【0109】
加熱温度を更に上げた場合、例えば、90度に加熱すると、霧は激しく揺れながら立ち上る。
【0110】
第1の実施例では、超音波で発生させた霧を、筒の中で発生させた進行波で上昇させ、加熱手段HT3による上昇気流で放出するが、この実験から、目詰まりを起こさず、美しく上昇させるためには、メッシュ密度と加熱手段の構成が重要なことが分る。
【0111】
加熱手段は、液体吸蔵機構が摂氏30度から60度の温度範囲になるように設定し、また、当該機構のメッシュ密度は、30番から120番の範囲が望ましい。
【実施例2】
【0112】
図4は、本発明の第2の実施例で、小形液体容器20に入れた化学物質含有液体Liq2(W)を超音波で霧化し、筒型加熱手段HT3で温め、板状の化学物質含有物07に通すことで、当該霧に様々な化学物質を含有させ、帯状の霧(Sm)、または、環状霧(Lm)として放出する霧放出装置である。図1と比較して異なる点を中心に説明する。
【0113】
液体霧化手段05には、少量の霧化対象液体を保持する小形液体容器20が設けられている。20は底部に窪みを持ち、窪み部には超音波通過膜23が設けられている。同図には示していない液量調整機構によって、20の中には霧化対象液体であるLiq2(W)が所定量入っている。また、Liq1は、水の他、油、液体樹脂などを使用することができる。
【0114】
23の素材としては、超音波の減衰を避けるため、Lig1と音響インピーダンスが近い物質が望ましい。シリコンゴム、塩化ビニール樹脂などが使用できる。また、薄い膜であれば、素材の音響インピーダンスが合わなくて使用することができる。例えば、ステンレス膜、ガラス膜、紙などが使用できる。
【0115】
実験の結果、硬度の高いガラスや金属の場合0.2mm以下の厚さ、硬度が低い樹脂やゴムの場合0.5mm以下の厚さが適している。
【0116】
20は、23がLiq1に接触するように、下部筐体06に脱着可能に取り付けられている。20の中には、霧化対象液体Liq2として、純水、または、ミネラル水(W)が入っている。
【0117】
40から出た超音波は、凹面鏡レンズ25で反射され、23を通過し、Liq2の液面(Suf)付近に集束される。Liq2(W)は局所的に飛散し、霧mと滴状液体AK2が霧搬送筒27に取り込まれる。27の中には、超音波の進行波が生じているため、霧mは上方へ押し上げられ、霧搬送筒27の上部にまで達する。27の上部には加熱手段HT3があり、熱上昇気流を発生させるため、霧mは当該気流によって化学物質吸蔵機構95を通過し、霧放出筒80を通過し放出される。
【0118】
ここで、小形液体容器20を設ける効果について説明する。20は、液体が超音波通過膜23の上に溜まるように設計されるため、液層は浅くできる。液体は同図には示していない液体槽から供給できる。また、霧化されなかった滴状液体AK2は、27の内壁を伝って20に戻るため、20の面積は27の下部が収まる程度に小さくできる。液層が浅く、面積が小さいため、20の霧化対象液体Liq2は少量でよい。
【0119】
Liq2が少量である第1の利点は、短い時間で消費させることができることである。完全に消費させ20内が空になっても、超音波振動子40はLiq1に満たされているため、空焚きになることはない。20が空になった後、20に別な液体を入れ霧化することができる。
【0120】
第2の利点は、カプセル化が可能である。複数の小形液体容器に異なる香料液体を入れておき、取り替えて霧化することができる。また、当該カプセルには、当該液体に関する情報を記憶する集積記憶回路を設けることができる。図1で説明した場合と同様に、当該情報に基づいて霧化を制御する、視聴覚情報を提示するなどが可能である。
【0121】
Liq2としては、純水、ミネラル水、香料含有液体、医薬品、酒類、抗菌剤含有水などが使用できる。例えば、Liq2として、ミネラルウォータ、抗菌剤含有水、純水など、美容や健康に効果がある霧化対象液体を用い、当該霧を森林系の香料を含有した95に通すと森林欲と似た効果が得られる。
【0122】
本実施例では、瞬間気圧発生手段(空気砲)74を設け、霧放出の演出効果を高めるように構成している。以下詳細に述べる。
【0123】
74は、気圧発生用ケース28に取り付けられている。75は空気圧縮用錐形膜、77は75をMove方向に動作させる駆動ソレノイド、Con3は74の制御装置である。
【0124】
また、28には、空気穴Air1を開閉する機構AirSTが設けられている。AirSTが動作し空気穴Air1が閉じた状態で空気砲74が動作すると、27の下部と霧化対象液体Liq2の液面Sufとの間の気圧が上昇するため、27の下部から上部に向かう気流が発生し、27の中の霧は、上方に押し出され、霧放出筒80の開口部83から固まりLmとして放出される。
【0125】
図4の構成で、美しい環状霧Lmを発生させるためには、加熱手段HT3と液体吸蔵機構95の空気穴を大きくし、穴の数を増やし、空気の通過する面積を大きくして、空気抵抗を小さくすること、および、霧放出筒80の先端開口部83を細くすることが重要である。
【0126】
80の先端を当該筒の腹部80aに比べて断面積が2/3〜1/10程度になるように細くするとともに、先端角度αを20度から80度の範囲に設定すると、霧が筒を出るときの流速が中心部と周辺部で差が大きくなるため、気流は、開口部83の円周に添って当該円周と直交する方向に渦を作り、安定した環状霧を作り易い。実験では5m程度の距離を飛行させることができた。また、環状霧にならない残留霧の発生も少なくできるため、化学物質を周辺に拡散させずに、所定の場所に効率よく搬送できる。
【0127】
霧放出筒80は、曲がった形状をなし、霧搬送筒27に対して回転可能に取り付けられている。従って、80を回転すると、開口部を様々な方向に向けることができる。
【0128】
Con1は、前記のように、超音波振動子40の動作出力、動作間隔、タイミングなどを制御できる。Con3は、空気砲74の動作出力、動作間隔、タイミングなどを制御できる。また、AirSTには同図には示していない駆動制御装置Con4を設けることができる。
【0129】
これら制御装置を連携させると、更に美しい環状霧を作ることができる。例えば、空気穴Air1を開いた状態にして、超音波振動子40を動作させ、霧を27の中に導き、筒内に十分な霧が溜まった状態で、40を停止し、AirSTを動作させて空気穴Air1を閉じ、空気砲74を動作させると、筒に溜まった霧を確実に放出できる。霧の流れは筒を上昇する方向以外にないので、霧が残留して悪影響を起こすことが少ない。化学物質含有霧を放出する場合、その切り替えは明確である。
【0130】
なお、瞬間気圧発生手段74を動作する際に、空気穴Air1を閉じる例を示したが、空気穴が小さい場合には、74の動作時に27の下部とLiq2の液面との間の気圧は十分に上昇するため、空気穴Air1は常に開放しておいてもよい。
【0131】
また、空気穴Air1を開けた状態にし、超音波振動子40を連続動作させ、霧を超音波進行波で押し上げ、更に、加熱手段HT3によって発生する熱上昇気流によって搬送すると、同図Smで示すように、帯状の霧になる。当該霧の放出形態は、霧の動きが周波数fの逆数に概ね比例した頻度で現れるように、つまり、1/f揺らぎを作るようになる。ゆっくりした動きに中に速い動きが混ざり、視覚的な癒し効果がある。
【0132】
このように、Con1〜Con4の制御の組み合わせを変えることによって、様々な霧を演出することができる。
【0133】
また、27には、霧の濃度を検出するホトカプラを設けてもよい。47はLED、48はフォトトランジスタで、両者でフォトカプラを構成している。LED47の出力を一定とすると、前記フォトカプラの間を霧が通過する際、霧の量が増えると光が遮られるため、フォトトランジスタ48の出力は低下する。つまり、霧の量を検出することができる。
【0134】
霧の濃度が所定値になったところで、AirSTによって空気穴Air1を閉じ、瞬間気圧発生手段74を動作すると、更に、美しい環状霧を放出できる。
【実施例3】
【0135】
図5は、本発明の第3の実施例で、ゲル状の化学物質含有物を集積実装した機構12を用いて、霧に様々な化学物質を含有させて放出する霧放出装置である。同図(A)は縦断面図、(B)は当該機構12の上面図、(C)はゲル状の化学物質含有物を12に実装する機構、(D)は12の分割領域を選択するケース14の上面図である。図1と比較して異なる点を中心に説明する。
【0136】
12には、6個の穴が設けられ、当該穴にはゲル状化学物質含有物Ga、Gb、Gc、Gd、Ge、Gfが脱着可能に実装されている。当該ゲル状化学物質含有物には多数の空気穴Air5が設けられている。ケース14は、12の上面を覆うように設けられ、ゲル状の化学物質含有物を選択する領域には空気穴Air6が設けられている。
【0137】
霧mは、霧搬送筒27を上昇し、HT3で加熱され、Gbの空気穴Air5を通過し、Air6を通過して放出される。GbはHT3で温められると、化学物質bが気化して放出されるため、霧mにはbが混入し、化学物質含有霧mbとなって放出される。
【実施例4】
【0138】
図6は、本発明の第4の実施例で、耐湿発熱体YASと筒形の液体吸蔵式化学物質含有物071を用い、霧に化学物質を含有して放出する霧放出装置である。同図(A)は縦断面図、(B)は上面図である。図4と比較して異なる点を中心に説明する。
【0139】
29は、曲線状霧搬送筒である。AK1Cで局所的に飛散した液体は、当該搬送筒内に導かれる。当該霧搬送筒は超音波反射管であり、筒内には進行波が作られる。霧mは当該進行波によって29の上端部に向かって押し出される。
【0140】
筒を曲げることによって、霧にならない滴状液体AK2を筒の内壁に衝突させて落とし易い。図1、図4のように直線状の霧搬送筒を用いると、滴状液体を進行波で霧化して加熱手段に導く、または、滴状液体を落下させるために、ある程度の筒の長さが必要であるが、曲線状霧搬送筒を用いると、短い長さの筒で加熱手段に導くことができる。
【0141】
霧搬送筒29の上部には、筒内部加熱式の筒型加熱手段HT4と、筒形の化学物質含有物071が設けられている。HT4の中心部には耐湿発熱体YASが設けられている。87はYASを支持するための機構で、空気穴Air4が設けられている。
【0142】
化学物質含有物071は、網目機構で構成される液体吸蔵板95と、空気穴Air3を有するカバー板93、94で構成され、YASを囲むように取り付けられている。95には、液体香料aが吸蔵されている。液体吸蔵板95には、同図には示していない液体補充機構を設けてもよい。
【0143】
ニクロム線NCに通電しYASを加熱し、その熱を071に伝えると、aは気化し、霧mに混入する。香料含有霧maは一点鎖線Fgに示すように上昇する。
【実施例5】
【0144】
図7は、本発明の第5の実施例で、耐湿発熱体YASと筒形のゲル状化学物質含有物15を用い、霧に化学物質を含有して放出する霧放出装置である。同図(A)は縦断面図、(B)は上面図である。図1と比較して異なる点を中心に説明する。
【0145】
15は、金属、ガラス、樹脂などで構成された筒の内面にゲル状化学物質(香料Ga)が塗布されている。当該香料は、棒状の耐湿発熱体YASの輻射熱によって気化し、筒内に放出される。15内には、熱上昇気流が発生している。
【0146】
霧mは、超音波進行波によって霧搬送筒27内を上昇し、Air4を通過し、当該熱上昇気流によって搬送される。この際、気化した香料は、霧に混入し、香料含有霧maとなって放出される。また、霧の一部はGaに付着し、水分を供給するように作用する。水分が供給されながら少しずつ気化するため、柔らかいと感じる香りが長時間持続する。
【実施例6】
【0147】
図8は、本発明の第6の実施例で、棒状の化学物質含有物16と、霧放出筒80を外側から温める加熱手段HT2を用いた霧放出装置である。同図(A)は縦断面図、(B)は上面図である。図1と比較して異なる点を中心に説明する。
【0148】
霧搬送筒27の上部には、筒型加熱手段HT2と、香料cを含有する多孔質素材16が設けられている。HT2は霧放出筒80の外側を発熱体YASで囲むようにして構成される。YASは、ニクロム線NC、熱拡散充填材NC2などで構成されるが円筒形を成す。
【0149】
本発明では、霧搬送筒27に、進行波が発生しやすい5mmから20mm径程度の比較的細い超音波反射管を用いるため、YASによって外側から温めても筒内の化学物質含有物16を温めることができる。
【0150】
NCに通電しYASを加熱し、その熱で80内を温めると多孔質素材16も温まり、香料cが気化して霧に混入する。香料含有霧mcは一点鎖線に示すように上昇する。16には、樹木系香料を磨り潰し粘着剤を用いて固め、表面に多数の穴を開けて製造できる。樹木系香料としては、白檀、沈香などを用いることができる。また、16はゲル化した香料でもよい。
【実施例7】
【0151】
図9は、本発明の第7の実施例で、超音波を用いて、少量の化学物質含有液体Liq2を切り替えて霧化し、板型加熱手段HT1で温めて、化学物質含有物集積機構07に通すことで、当該霧に様々な化学物質を含有させて放出する霧放出装置である。同図(A)は縦断面図、同図(B)は07の断面を上から見た図、同図(C)は分割領域選択ケース08の上面図である。
【0152】
液体霧化手段05は、図4で示した装置と類似している。ただし、本実施例では、霧搬送筒29に曲線状の超音波反射管を用い、複数の液体霧化手段05を、同図には示していないが、軸91の回りに6個配置している。
【0153】
図9(A)において、小形液体容器20には水Wが入っている。Wは液体容器01から供給される。小形液体容器20bには香料bを含有する霧化対象液体Wbが入っている。Wbは液体容器01bから供給される。23、23bは、窪みを持つ超音波通過膜である。29bは、Liq2(Wb)から飛散した液体を上方に導く曲線霧搬送筒である。
【0154】
25、25bは、回転軸91の回りに配置された凹面反射鏡レンズである。同軸の回りには、同図には示していないが、6個配置されている。
【0155】
超音波振動子40は支持棒90に1個取り付けられ、回転軸91の回りに回転する。霧搬送筒29の上部には、板型加熱手段HT1が回転軸91に取り付けられている。HT1は、40と連動して回転する。
【0156】
更に、HT1の上部には、図1と類似の化学物質含有機構が設けられている。当該機構は、化学物質含有物集積機構07と分割領域選択ケース08とから成る。08は07を入れる容器になっており、1つの領域に空気穴Air6が設けてある。08Aは当該ケース本体、08Bは蓋である。当該蓋を外し、07を入れ蓋をして使用する。回転軸MMを回すと、07は当該ケースの中で回転する。
【0157】
図1の実施例の場合、07の1つの領域の化学物質を気化している場合であっても、加熱手段の熱が隣の領域に伝わり、複数領域の化学物質が混じる場合がある。図9の領域選択ケース08はこの問題を解決するためのものである。同図では、選択された領域以外は遮断されているので、化学物質(香料)が混じることはなく、図1に比較してより鮮明な香りの切り替えができる。
【0158】
動作を説明する。08Aは回転軸91に接続されており、超音波振動子40、加熱手段HT1と共に回転する。また、07は、MMを回すことによって、08とは独立に回転する。
【0159】
図9(A)において、小型液体容器20には水Wが入っており、水の霧mが一点鎖線の経路で流れている。HT1の上に位置する07の一つの領域には、同図(B)に示すように、香料bが吸蔵されているため、bを含有する水の霧mbが放出されている。
【0160】
ここで、回転軸91を回転すると、超音波振動子40、加熱手段HT1、および、分割領域選択ケース08が回転する。ここで、07は91の回転では回転しないものとする。超音波は、別な霧化対象液体Liq2を霧化し、当該霧が07の別な領域を通過する。
【0161】
例えば、図9(A)の状態から回転軸91を180度回転すると、超音波は小型液体容器20bのLiq2(Wb)を霧化するため、霧mbが発生する。この霧mbが07の香料aを吸蔵している領域を通過するため、空気放出筒の開口部83からは香料aと香料bを含有する霧または気体が放出される。
【0162】
回転軸91と07の回転軸MMを別々に回転させると、6個の小型液体容器の香料含有液体の一つから放出される香りと、07に吸蔵されている6種類の香料含有液体の一つから放出される香りを任意に調合できるため、水の霧を除いても30種類の香りを切り替えて放出することができる。
【0163】
図10は、前記第7の実施例において、化学物質含有物集積機構07と板型加熱手段HT1の構造を説明する図である。同図(A)は07の縦断面構造、同図(B)は加熱手段HT1の概観図である。
【0164】
07において、95は網状素材、または、多孔質素材からなる液体吸蔵板で、液体注入口96から滴下された液体化学物質a、b、c、dを表面張力の力で、内部に保持している。液体注入口96は、液体仕切り板YSによって仕切られた領域(区画)に2つずつある。液体はどちらから注入しても良い。毛細管現象によって領域内の95全体に広がる。
【0165】
93、94は、当該液体吸蔵板95を挟むように設けられた多数の空気穴を有するカバー板である。空気穴は内側(液体吸蔵板側)が大きく、外側が小さく構成されている。このような構造によって、液体は外側に漏れることはなく、また、利用者は07を素手で触っても、液体が付着することはない。取り扱いは極めて容易である。
【0166】
同図(B)に示す加熱手段HT1において、素材には、熱に強いガラス、石材、陶器などを用い、当該素材に溝を掘り、ニクロム線NCなどを実装する。Air2は、直径が1mmから3mm程度の空気通過穴で、上昇気流の抵抗にならないように出来るだけ多く設ける。
【0167】
加熱手段としては、空気を通過させることができ、07の選択領域を摂氏30度から60度の範囲に温めることができるものであれば良い。
【0168】
超音波振動子などによって発生した霧mは、HT1を通過する際に温められ、更に微小な粒子になる。07の中で、液体化学物質は温められ気化する。当該気化した化学物質は、当該霧mに混ざりながら(mbで示す)、一点鎖線Fgに示すように上昇する。
【0169】
化学物質(香料)を加熱する温度が、30度以下では、気化量は少なく、上昇気流も十分ではない。30度以上、望ましくは35度以上に加熱すると美しい気流を発生し、香料は効率良く気化して良い香を発する。一方、60度以上では、気流は激しくなり、物が燃えているような動きに見える。また、香料は温度により変質するものがある。従って、化学物質含有物は30度から60度の範囲で加熱されるのが望ましい。
【0170】
化学物質の種類を切り替える際は、回転軸MMを回転させればよい。化学物質含有物07は、薄い構造とし、熱伝導度の高いものを用いる。回転軸MMを回すと直ぐに別な化学物質の霧に切り替わる。
【0171】
また、前記発生した霧mの一部は、化学物質含有物07に湿り気を与えるように作用する。従って、化学物質はその濃度が少しずつ薄められながら、長時間に渡って気化する。
【0172】
化学物質が香料の場合、水分を含んで放出されると刺激の少ない柔らかいと感じる香りになり、長時間放出されるので快適な空間が作られる。実験の結果、湿り気のない図6のような上昇気流を使う場合に比べて、2〜5倍程度香りが長く継続する。
【0173】
香料が少なくなったところで香料を補充する必要があるが、香料は無駄なく効率よく消費されるため、この補充回数は少なくて済む。
【0174】
47はLED、48はフォトトランジスタで、両者でフォトカプラを構成している。bmは光線を示す。当該フォトカプラは、霧の発生量を制御するために用いることができる。
【0175】
超音波を用いた霧発生装置は、一般に超音波振動子に加える電流と霧発生量が線形ではなく、可変抵抗器などで電流を制御して霧発生量を調整する場合、操作は面倒である。霧の発生量を目で見ながら微妙な調整が必要である。前記フォトカプラはこの問題を解決するためのものである。
【0176】
LED47の出力を一定とすると、前記フォトカプラの間を霧が通過する際、霧の量が増えると光が遮られるため、フォトトランジスタ48の出力は低下する。つまり、霧の量を検出することができる。
【0177】
従って、霧の量と超音波振動子への電流供給量との関係を予め測定し、校正表を作成しておくと、霧の量を選択するボタンを設定することができる。例えば、5段階程度のボタンレベルを設定しておくと、利用者は当該レベルを選択することにより、所望の霧量を得ることができる。
【0178】
次に、集積記憶回路02について説明する。液体吸蔵板95への化学物質(香料)の補充に際して、6個の分割領域の液体香料の種類は集積記憶回路02に記憶されており、給電兼信号送受回路03で読み取り、利用者表示部46に表示される。従って、利用者は間違いなく所定の香料を補充することができる。
【0179】
集積記憶回路02を用いる他の効果は、95に吸蔵されている化学物質の種類が分るので、霧を発生させる手段05は、当該種類に応じて駆動方法を制御することができる。例えば、化学物質の種類、濃度に応じて、加熱する温度を変化させる、霧の発生量を変化させるなどである。
【0180】
図10(A)の加熱手段HT1は、支点99の回りに回転可能である。図9(A)を分解する際は、霧放出筒80を外し、07と08の一体機構を持ち上げて取り外し、HT1を上方左側に回転し、霧搬送筒29の機構部を外し、液体容器01と小形液体容器20を外すことができる。分解が容易なためメンテナンス性は良い。清潔に使用できる構造は実用上極めて重要である。
【0181】
図11は、前記第7の実施例において、07の代用となる化学物質含有物17を説明する図である。17は、多穴形成固形香料、または、ゲル状香料含有物である。eは香料を示す。同図(A)は霧mに香料を含有する機構部の断面図、同図(B)は17の概観図である。meは香料eを含有する霧を示す。
【0182】
多穴形成固形香料17は、樹木系香料を磨り潰し粘着剤を用いて板状にし、板面に多数の穴を開けて製造することができる。樹木系香料としては、白檀、沈香などを用いることができる。線香の製造に類似しているが、霧が通過し易いように多くの空気通過穴Airを設ける点が特徴である。
【0183】
ゲル状香料含有物17は、液体香料に凝固剤を入れ、金型に流し込んで製造することができる。
【実施例8】
【0184】
図12は、本発明の第8の実施例で、静電霧化方式で発生させた霧mを、筒型加熱手段HT3で温め、化学物質含有物集積機構07に通すことで、当該霧に様々な化学物質(a、b)を含有させて放出する霧放出装置である。図1と比較しすると霧化方式が異なる。異なる点を中心に説明する。
【0185】
同図において、01は水Wの容器で、Wは注入ノズル011によって容器21に供給されている。毛細管型液体噴射管T1の下端は、容器21に蓄積された霧化対象液体Liq1(水W)の中にある。毛細管現象によって、当該液体は当該管の上部に達しているものとする。T1の上部は噴射電極T11を構成している。当該電極には、直流電源EE1により、高電圧が印加される。Gは接地、Swはスイッチである。
【0186】
T3は、前記噴射管T1から放出される微粒子を受け入れ当該微粒子の飛散方向を揃えて搬送するための霧搬送筒で、下部には、対向電極T31が設けられている。T31はリング形状をなし、霧搬送筒を取り囲むように設けられている。T11とT31との間には、強い電界E1を発生させることができる。前記液体噴射管の液体を帯電させると当該管先端の液体は、当該電界の力で引きちぎられ微粒子mになる、つまり霧化して当該霧搬送管T3の中に入る。
【0187】
霧搬送筒T3の腹部、または、上部には、霧mを当該筒の軸方向に搬送するための調整電極T32が設けられている。EE2は直流電源である。E2は、T31とT32との間に生じる電界である。霧は、当該電界E2によって霧搬送筒上部に搬送される。
【0188】
ここで、前記霧化の際、粒子径の大きな滴状液体AK2も発生するが、当該滴状液体は、筒の壁に衝突して落下し、前記香料含有液体溜に回収される。
【0189】
霧搬送筒T3の上部には、筒型加熱手段HT3が接続されている。HT3の上部には、化学物質含有物07が設けられている。07に吸蔵された香料bは当該加熱によって気化し、霧mに混入し、香料含有霧mbとなって霧放出筒80から放出される。熱上昇気流による霧は、帯状に上昇する。霧の一部が07に水分を供給するのは、図1の実施例と同様である。
【0190】
化学物質含有物07の回転軸MMを回すと、様々な化学物質含有霧を高速に切り替えて放出できる。
【0191】
図12では、気流に変化を付けるために、気流発生手段を併用できることを示している。70は、羽車(ファン)式気流発生手段である。Air4は空気を取り込む空気穴である。気流は一点鎖線のように流れる。70を用いることによって、霧を高く上昇させる、または、激しく上昇させるなどが可能である。
【0192】
また、70の代わりに空気砲74を用いてもよい。T3の下部と液面Sufとの間、即ち、気圧発生用ケース28内の気圧を瞬間的に高めると、T3内には上昇気流が発生し、霧放出筒の開口部83から環状霧Lmが放出される。
【0193】
本発明は、上記各実施形態に限定されるものではなく、実施段階において、その要旨を逸脱しない範囲で種々に変更することが可能である。また、上記実施形態は、種々の段階の発明が含まれており、適宜な組み合わせにより実施してもよい。更に、上記各実施例の構成要素は、その目的を踏まえて適宜省略する、または、周知慣用技術で補うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0194】
(1)高機能芳香発生装置;少量の香料で大きな嗅覚刺激が得られるので高級自然香料(天然香料)を使用できる。複数種類の香りを切り替えて提示することで高い癒し効果が得られる。また、香料含有霧を空中に美しく放出できるので、視覚的な癒し効果が得られる。また、霧の放出にあわせて音響や音楽を発生させる、あるいは、映像を提示すると、癒し効果は更に高い。
【0195】
当該芳香発生装置は、ストレス解消や苦痛緩和の要求が高い病院の待合室、ホテルの客室、集中力を高めたい子供の勉強部屋、汗臭さを解消したいスポーツ練習場、安らかな眠りを誘発させたい寝室、特別な顧客にサービスする航空会社、銀行などのロビー、会議室などに最適である。また、パチンコ店など空気の汚れた場所で爽快感を演出する際にも効果的である。
【0196】
(2)電子式香炉;発生した霧が加熱手段によって温められると、霧は細い線、または、環状固まりとなって立ち上る。この様子は、美しく癒し効果がある。当該電子式香炉は、火を使わないので安全で、嗅覚特性も優れている。装置の外側を木工彫刻、磁器彫刻で装飾を施すと、高級な電子式香炉になる。
【0197】
また、化学物質含有物07、または、分割領域選択ケース08に金、プラチナなどの貴金属を使用すると更にリッチな感覚の電子香炉になる。貴金属は腐食し難いので香り特性がよい。
【0198】
(3)感染症予防空気清浄装置;天然香料には免疫力を高め、ウイルスを撃退する作用のあるものがある。これらを霧として放出することにより、感染症予防として利用できる。例えば、風邪の予防には、ヒノキ、レモン、ハーブ系の香りが効果的である。花粉症にはユーカリ、ペパーミントなどが効果的である。次亜塩素酸ナトリウムは殺菌作用あるので、水に溶かし噴霧することで感染症予防になる。病院や老人ホームなど身体的弱者の生活空間に適している。また、霧化の際に大量のマイナスイオンが発生するので森林浴と同様なリフレッシュ効果がある。エアコンやファンヒータに連動させることも可能である。
【0199】
(4)訪問客向け雰囲気演出装置;本発明は、香料含有霧を高速に発生できる特徴がある。店舗の入り口などで入店客が居ることを検出して、直ぐに香りを発生し、良い雰囲気を演出できる。また、家庭の玄関用芳香装置としても最適である。電源を入れると直ぐに香料含有霧が発生するため、ドアホンと連動させ、お客の訪問を検知した後、香りを発生する用途にも対応できる。必要な時間帯に集中して香りを発生できるため、香料の効率的な使用が可能で経済的である。
【0200】
(5)香り発生トイレ;本装置をトイレの便器に連動させることもできる。使用者が便器に接近した際、これを検出して香りを発生する。本発明は高速に香りを発生、または、切り替えることができるので、便器を使用中のみ爽やかな香りを発生させることができる。また、使用者毎に好みの香りを発生することもできる。例えば、化学物質含有物集積機構07の1つの液体吸蔵領域に匂いを分解する薬品を入れておき消臭のための霧発生を行い、その後に香り発生動作を行うことができる。クリアで良い香りになる。
【0201】
(6)香り発生時計;複数の香りを時刻に対応させ、時報として利用できる。例えば、朝は、ベルガモット、レモン、ペパーミント、コーヒーなど爽やかな目覚めの良い香り、昼間は、グレープフルーツ、シダーウッドなど集中力を高めるリフレッシュな香り、夜は、ラベンダー、ローズウッド、スイートオレンジなどのリラックスな香りを放出することができる。また、短い時間で部屋の香りを切り替えると、香りが複雑に混ざり、素敵な芳香空間を作る。
【0202】
(7)自動車の運転支援装置;運転支援用の芳香器として利用できる。例えば、運転中に疲労を感じた場合には、リフレッシュ作用のある柑橘系の香料を提示し、渋滞などで、いらいら感が増した場合には、リラックス作用のあるラベンダーなどを提示できる。居眠りを検出する装置と組み合わせると、香りを提示して、注意喚起することができる。
【0203】
(8)防災警報装置;地震、津波、テロなどによって大きな災害が予想される場合、危険を知らせる警報として香りを使用できる。テレビやラジオ放送で危険を知らせる特殊信号を送信する。受信端末は当該信号を受信すると、本発明を応用した香り発生装置を制御して、視聴者に注意を喚起する香りを提示できる。異変を確実に知らせる手段として効果的である。また、危険な場所への立ち入りを制限するために、人が当該場所に近づいたことをセンサで検知し、当該場所に所定の香りを放出することができる。
【0204】
(9)映像や音楽に匂いを付ける嗅覚提示装置;香を高速でクリアに切り替えることが可能なので、映画や音楽などに同期して香り提示できる。コンテンツの場面変化に合わせて適切な香りが提示されると臨場感が向上する。また香り通信、インターネットを用いた電子商取引での商品紹介にも利用できる。
【0205】
(10)医療用霧発生装置;医薬品を吸蔵した化学物質含有物07を用いると、当該医薬品を肺から摂取することができる。即効性がある。錠剤を胃から吸収できない、点滴も適用できない患者などには最適である。気管支系の病気治療に適している。
【0206】
(11)嗅覚検査装置;純水の霧に僅かな嗅覚物質を含有して提示することによって、人の嗅覚力を測る検査装置として利用できる。
【0207】
(12)香り教育装置;香りを取り入れた情操教育が行われている。本発明では、子供に多くの香りを高速に切り替えて、映像や音響と共に提示することができる。五感を刺激するので、情操教育に適している。
【0208】
(13)殺虫剤噴霧装置;化学物質含有物集積機構07の各領域に殺虫剤と香料を吸蔵し、切り替えて使用できる。殺虫剤のみを使用し長時間気化させた場合、薬剤が体質に合わないなど健康上の副作用を気にする人もいるが、殺虫剤と香料を切り替えて使用すると、必要最小限の殺虫剤で済むとともに、香によって気分転換が図れて快適である。
【図面の簡単な説明】
【0209】
【図1】本発明の第1の実施例で、超音波で発生させた霧(m)を筒型加熱手段(HT3)で温め、板状の液体吸蔵式化学物質含有物(07)に通すことで当該霧に様々な化学物質(b)を含有させて、帯状の霧(Sm)として放出する霧放出装置である。
【図2】当該実施例において、部品構成を示す分解図である。
【図3】前記実施例において、化学物質含有物(07)の空気穴密度と加熱温度が霧放出に与える影響について実験した結果である。
【図4】本発明の第2の実施例で、小形液体容器(20)に入れた純水またはミネラル水(Liq2(W))を超音波で霧化し、筒型加熱手段(HT3)で温め、板状の液体吸蔵式化学物質含有物(07)に通すことで当該霧に様々な化学物質(b)を含有させて、環状霧(Lm)、または、帯状の霧(Sm)として放出する霧放出装置である。
【図5】本発明の第3の実施例で、ゲル状の化学物質含有物を集積実装した機構(12)を用いて、霧に様々な化学物質を含有させて放出する霧放出装置である。
【図6】本発明の第4の実施例で、耐湿発熱体(YAS)と筒形の液体吸蔵式化学物質含有物(071)を用い、超音波で発生させた霧(m)を温め、当該霧に化学物質を含有して放出する霧放出装置である。
【図7】本発明の第5の実施例で、耐湿発熱体(YAS)と筒形のゲル状化学物質含有物(15)を用い、超音波で発生させた霧(m)を温め、当該霧に化学物質を含有して放出する霧放出装置である。
【図8】本発明の第6の実施例で、棒状の化学物質含有物(16)と、霧放出筒(80)を外側から温める加熱手段(HT2)を用いた霧放出装置である。
【図9】本発明の第7の実施例で、超音波を用いて、少量の化学物質含有液体(Liq2)を切り替えて霧化し、当該霧を板型加熱手段(HT1)で温めて、化学物質含有物集積機構(07)を通すことで当該霧に様々な化学物質を含有させて放出する霧放出装置である。
【図10】前記第7の実施例において、液体吸蔵式化学物質含有物を集積した機構(07)と板型加熱手段(HT1)の構造を説明する図である。
【図11】前記第7の実施例において、07の代用となる化学物質含有物(17)を説明する図である。
【図12】本発明の第8の実施例で、静電霧化方式で発生させた霧(m)を筒型加熱手段(HT3)で温め、板状の化学物質含有物(07)を通すことで当該霧に様々な化学物質(a、b)を含有させて放出する霧放出装置である。
【符号の説明】
【0210】
01、01b・・・液体容器
011・・・・注入ノズル
02a、02b、02c、02d、02e、02f・・集積記憶回路
03・・・・・集積記憶回路への給電兼信号送受回路
04・・・・・上部筐体
05・・・・・液体霧化手段
06・・・・・下部筐体
07・・・・・液体吸蔵式化学物質含有物(板型)を集積した機構
071・・・・液体吸蔵式化学物質含有物(筒型)
08・・・・・分割領域選択ケース
08A・・・・分割領域選択ケース下部
08B・・・・分割領域選択ケースの蓋
12・・・・・ゲル状の化学物質含有物を集積して実装する機構
13・・・・・ゲル状の化学物質含有物を実装する機構
14・・・・・分割領域選択ケース
15・・・・・ゲル状の化学物質含有物(筒型)
16・・・・・化学物質cを含有する多孔質素材、または、ゲル状素材
17・・・・・多穴形成固形香料、または、ゲル状香料含有物
19・・・・・超音波振動子の振動面を満たすように液体を入れる容器
20、20b・超音波通過膜付き小型液体容器
21・・・・・霧化対象液体容器
23、23b・・・超音波通過膜
25、25b・・・超音波集束反射機構(超音波凹面鏡レンズ)
27・・・・・霧搬送筒(超音波反射管)
28・・・・・気圧発生用ケース
29、29b・曲線状霧搬送筒(超音波反射管)
40・・・・・超音波振動子
41・・・・・超音波振動子取り付け部および駆動回路
47・・・・・LED
48・・・・・フォトトランジスタ
70・・・・・ファン式気流発生手段
74・・・・・瞬間気圧発生手段(空気砲)
75・・・・・空気圧縮用錐形膜
77・・・・・駆動ソレノイド
80・・・・・霧放出筒
83・・・・・霧または気体の放出開口部
87・・・・・空気穴付き支持機構
89・・・・・熱拡散材
90・・・・・超音波振動子支持棒
91・・・・・回転軸
93、94・・カバー板
95・・・・・液体吸蔵機構
96・・・・・液体注入口
99・・・・・回転支点
a、b、c、d、e、f・・化学物質(香料)
Air1・・・霧搬送筒27の下部へ空気を送る空気穴
Air2・・・加熱手段の熱拡散材に設けた空気穴
Air3・・・化学物質吸蔵板とカバー板に開けた空気穴
Air4・・・空気穴
Air5・・・ゲル状化学物質に開けた空気穴
Air6・・・分割領域選択ケースに設けた空気穴
AirST・・空気穴開閉機構
AK1C・・・液体飛散部分
AK2・・・・滴状飛散液体
bm・・・・・光線
Con1・・・液体霧化手段の制御装置(超音波振動子駆動制御装置)
Con2・・・加熱手段の制御装置
Con3・・・瞬間気圧発生手段の制御装置
E1、E2・・電界
EE1、EE2・・・直流電源
Fg・・・・・霧または気体の放出経路
G・・・・・・接地
Ga、Gb、Gc、Gd、Ge、Gf・・・ゲル状の化学物質含有物
HT1・・・・板型加熱手段
HT2・・・・筒型加熱手段(筒外側加熱式)
HT3・・・・筒型加熱手段(熱拡散材を用いた筒内部加熱式)
HT4・・・・筒型加熱手段(筒内部加熱式)
Liq1・・・超音波伝播媒体、または、霧化対象液体
Liq2・・・霧化対象液体
Lm・・・・・霧の固まり、または、環状霧
m・・・・・・水の霧
ma・・・・・化学物質(香料)aを含有する霧
mb・・・・・化学物質(香料)bを含有する霧
mc・・・・・化学物質(香料)cを含有する霧
me・・・・・化学物質(香料)eを含有する霧
MM・・・・・回転軸
NC・・・・・ニクロム線
NC1・・・・配線
NC2・・・・熱拡散充填材
Sec・・・・切断面
Sm・・・・・帯状の霧
Suf・・・・霧化対象液面
Sw・・・・・スイッチ
SUS・・・・ステンレス
T1・・・・・液体噴射管
T11・・・・噴射電極
T3・・・・・霧搬送筒
T31・・・・対向電極
T32・・・・調整電極
W・・・・・・水
Wb・・・・・化学物質bを含有する液体
YAS・・・・耐湿発熱体
YS・・・・・液体仕切り手段(化学物質を含有する領域または区画)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体霧化手段と、霧を放出する通路と、当該通路付近に設けられた加熱手段と、霧に化学物質を含有する手段とから構成され、
当該霧に化学物質を含有する手段には多数の霧通過穴が設けられ、霧が当該霧通過穴を通過する際に当該化学物質含有手段に水分を補給するように構成され、
前記液体霧化手段、または、前記加熱手段、または、前記霧放出通路に気圧を加える手段は、霧微粒子が再結合して拡大しないように制御されることを特徴とする化学物質含有霧放出装置
【請求項2】
液体霧化手段と、霧を放出する通路と、当該通路付近に設けられた加熱手段と、霧に化学物質を含有する手段とから構成され、
当該霧に化学物質を含有する手段はゲル状物質で構成され、
前記液体霧化手段、または、前記加熱手段、または、前記霧放出通路に気圧を加える手段は、霧微粒子が再結合して拡大しない程度に制御されることを特徴とする化学物質含有霧放出装置
【請求項3】
請求項1から請求項2において、前記加熱手段は、霧を放出する通路の上部に連結するように設けられ、前記化学物質含有手段は、複数の化学物質含有領域を持ち、当該領域は当該加熱手段によって選択的に加熱されることを特徴とする化学物質含有霧放出装置
【請求項4】
請求項1から請求項3において、前記加熱手段は、霧が放出される方向に多数の空気穴を有する熱拡散材と、当該熱拡散材を温める耐湿発熱体とから成り、霧放出通路に連結するように設けられ、当該通路に熱上昇気流を発生させることを特徴とする化学物質含有霧放出装置
【請求項5】
請求項1から請求項4において、前記液体霧化手段、または、前記加熱手段、または、前記霧放出通路に気圧を加える手段は、放出される霧の動きの周波数成分が、当該周波数fの逆数に概ね比例した頻度で現れるように制御されることを特徴とする化学物質含有霧放出装置
【請求項6】
液体霧化手段と、霧を放出する通路と、当該通路付近に設けられた加熱手段と、当該霧に化学物質を含有する手段とから構成され、
当該液体霧化手段は、液体を局所的に霧化する手段であって、当該霧を放出する通路は、当該霧を取り込み、当該霧化エネルギーを用いて霧を搬送する霧搬送筒で構成され、当該加熱手段は、当該霧搬送筒の上部を温め、筒内に上昇気流を発生させる手段であることを特徴とする化学物質含有霧放出装置
【請求項7】
請求項6において、前記液体を局所的に霧化する手段は、超音波振動子と、当該超音波振動子の振動面を満たすように設けられた超音波伝播媒体または霧化対象液体と、当該超音波伝播媒体または霧化対象液体の中に設けられ、当該霧化対象液体の界面付近に超音波を集束させて当該液体を霧化するための超音波集束反射機構とから構成され、
前記霧搬送筒は、当該超音波の集束によって局所的に飛散する液体を取り囲むように、かつ、当該筒下部から空気が入るように、かつ、当該液体の飛散とともに発生する散乱超音波を進行波に変換する超音波反射管によって構成されることを特徴とする化学物質含有霧放出装置
【請求項8】
請求項6において、前記液体を局所的に霧化する手段は、液体を噴射させるための液体噴射管と、当該管の先端に高電圧を印加するための噴射電極と、当該噴射管から放出される帯電液体微粒子を受け入れ搬送するための霧搬送筒と、当該霧搬送筒の下部に設けられた対向電極とから構成されることを特徴とする化学物質含有霧放出装置
【請求項9】
請求項1、または、請求項2、または、請求項6において、前記霧に化学物質を含有する手段に、当該化学物質に関する情報を読み書きするための記憶手段が装着されていることを特徴とする化学物質含有霧放出装置

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate


【公開番号】特開2007−181653(P2007−181653A)
【公開日】平成19年7月19日(2007.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−220887(P2006−220887)
【出願日】平成18年8月14日(2006.8.14)
【出願人】(301006231)
【Fターム(参考)】