説明

化学療法誘発神経障害の治療に寄与するための方法および医薬製剤

本発明は、化学療法誘発神経障害の治療に寄与するための、レテプリニム懸濁液を使用する方法および医薬製剤を開示する。本発明による一実施形態は、レテプリニム(SPI−082)を患者に投与して、それにより化学療法誘発神経障害の治療に寄与することを含む方法を含む。本発明による別の一実施形態は、レテプリニム(SPI−082)を患者に投与して、それによりシスプラチン誘発神経障害の治療に寄与することを含む方法を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、化学療法誘発(例えば、シスプラチン誘発)神経障害の治療に寄与するための方法および医薬製剤に関する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
化学療法剤は、癌治療にきわめて重要であるが、その一方、それらの使用は、神経障害などの、身体感覚の少なくとも部分的喪失を生じ得る副作用により制限されることがある。そのような化学療法剤の1つの例はシスプラチンであり、それは膀胱、精巣および卵巣の腫瘍を含む数種類の癌の治療に広範に使用されている(非特許文献1)。シスプラチンは癌の治療において有益な効果を提供することができるが、その一方、投与され得る総用量は、末梢神経系におけるその毒性効果により制限される(非特許文献2)。具体的に、シスプラチンで治療された患者の病理学的検討は、身体の種々の部分における感覚の喪失を生じ得る、大きな感覚神経線維の選択的損傷または喪失を明らかにしている(非特許文献3)。この神経損傷からの回復は一定せず、多くのシスプラチンで治療された癌生存者が持続的な神経損傷および感覚喪失に苦しんでいる(非特許文献4)。
【0003】
種々の薬剤が、臨床試験において、シスプラチン誘発神経損傷に対して神経保護剤として潜在的な活性を示している。これらの薬剤の幾つかは、成長因子活性のあるACTH4−9フラグメント(ORG2766)(非特許文献5)、およびチオール類アミホスチン(非特許文献6)およびグルタチオン(非特許文献7)を含む。前臨床試験において、神経成長因子などの化合物(非特許文献8)、ニューロトロフィン−3(非特許文献9)およびグルタメート(非特許文献10)は、シスプラチンに起因する神経損傷の防止に役立つことができることを示した。これらの薬剤の全てが、シスプラチン誘発神経損傷の防止に役立つ潜在能力を示したが、この機能を達成することができる追加の薬剤に対する必要性が残る。本発明はそのような薬剤を提供する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】Williamsら、(1979年)、Br.Med.J.第1巻、1689〜1691頁
【非特許文献2】Mollman、(1990年)N.Engl.J.Med 第322巻、126〜127頁
【非特許文献3】Thompsonら、(1984年)Cancer 第54巻、1269〜1275頁
【非特許文献4】Cavalettiら、(1994年)Anticancer Res 第14巻、1287〜1292頁
【非特許文献5】Gerritsenら、(1990年)N.Engl.J.Med.第322巻、89〜94頁
【非特許文献6】Kempら、(1996年) J. Clin.Oncol.第14巻、2101〜2112頁
【非特許文献7】Pirovanoら、(1992年)Tumori 第78巻、253〜257頁
【非特許文献8】Apfelら、(1992年)Ann.Neurol.第31巻、76〜80頁
【非特許文献9】Gaoら、(1995年)Ann.Neurol.第38巻(1)、30〜37頁
【非特許文献10】Boyleら、(1999年)J.Neuro−Oncol. 第41巻、107〜116頁
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
(発明の要旨)
本発明は、レテプリニム(leteprinim)(レテプリニムの塩および酸を含む任意のその種々の形態で)を含む組成物および癌患者における化学療法誘発(例えばシスプラチン誘発)神経損傷の防止に寄与するそれらの使用に関する。本発明は、化学療法誘発神経障害を緩和するのに役立つレテプリニムおよびレテプリニム製剤を投与する方法も提供する。したがって、本発明は、化学療法誘発(例えばシスプラチン誘発)神経損傷の防止に寄与するために使用することができる方法および医薬製剤を包含する。
【0006】
具体的に、本発明による一実施形態は、レテプリニム(SPI−082)を患者に投与して、それにより化学療法誘発神経障害の治療に寄与することを含む方法を含む。本発明による別の一実施形態は、レテプリニム(SPI−082)を患者に投与して、それによりシスプラチン誘発神経障害の治療に寄与することを含む方法を含む。本発明による他の方法は、化学療法剤(例えばシスプラチン)を投与して癌の治療に寄与することおよびレテプリニムを投与してそれにより化学療法剤誘発(例えばシスプラチン誘発)神経障害の治療に寄与することを含む。本発明による他の方法は、シスプラチンを投与して癌の治療に寄与することおよびレテプリニムを投与してそれによりシスプラチン誘発神経障害の治療に寄与することを含む。
【0007】
本発明により、レテプリニム投与は、化学療法剤(例えばシスプラチン)による治療開始に先立ってもよく、またはレテプリニム投与は化学療法剤(例えばシスプラチン)による治療開始後に開始してもよい。ある実施形態において、レテプリニムは、限定されないが、週基準で1日1回未満(すなわち1週間(7日)当たり6回まで)、より好ましくは週に2回(すなわち1週間(7日)当たり2回)投与することができる。化学療法剤は、限定されないが、任意の有効量からその毒性量まで投与することができる。例えば、シスプラチンは、週に2回投与することができる。レテプリニムおよび化学療法剤(例えばシスプラチン)投与も実質上同時に行うことができる。投与が実質上同時に行われるとき、レテプリニムおよび化学療法剤(例えばシスプラチン)は、別の医薬製剤の一部または同一医薬製剤の一部にすることができる。レテプリニムの適当な用量としては、約25mg/kgから約100mg/kg、例えば約50mg/kgが挙げられるが、これに限定されない。一実施形態において、レテプリニムおよび、場合により、他の有効な薬剤を、懸濁液として、場合により、緩衝された懸濁液として製剤することができる。
【0008】
本発明の実施形態は、化学療法剤誘発(例えばシスプラチン誘発)神経障害の治療に寄与する医薬製剤の投与を指示する使用説明書付で販売されるレテプリニムを含む医薬製剤も含む。ある実施形態において、使用説明書は、上記の方法の1つまたは複数の様式でのレテプリニムの投与を指示するであろう。そのような使用説明書付の医薬製剤は、レテプリニムを唯一の有効成分として含むことができ、または少なくとも1つの他の有効な薬剤(例えばシスプラチンのような化学療法剤)をさらに含むことができる。これらの医薬製剤は、他の活性なまたは不活性な成分も含むことができる。
【0009】
本発明による医薬製剤は、化学療法剤(例えばシスプラチン)およびレテプリニムを含むことができ、ここで医薬製剤中の化学療法剤は癌の治療に寄与することを意図され、およびレテプリニムはシスプラチン誘発神経障害の治療に寄与することを意図されている。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】シスプラチン誘発の体重変化に対するレテプリニムの効果を示す。
【図2】ホットプレートパラダイム(hot plate paradigm)で測定したシスプラチン誘発の感覚性知覚変化に対するレテプリニムの効果を示す。
【図3】H波の振幅のシスプラチン誘発変化に対するレテプリニムの効果を示す。
【図4】H波の潜時のシスプラチン誘発変化に対するレテプリニムの効果を示す。
【図5】感覚神経伝導速度(SNCV)のシスプラチン誘発変化に対するレテプリニムの効果を示す。
【図6】軸索直径のシスプラチン誘発変化に対するレテプリニムの効果を示す。
【図7】g比のシスプラチン誘発変化に対するレテプリニムの効果を示す。
【図8】シスプラチン投与後の、変性した線維と変性していない線維との比率の変化に対するレテプリニムの効果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
1.定義
使用説明書:本明細書で使用する用語「使用説明書」は、医薬製剤に添付する、医薬製剤を投与する方法の説明を提供する資料を意味するものとする。この使用説明書は、一般に医薬製剤に対する「表示」と見なされる。使用説明書は、限定されないが、紙の挿入物、CD−ROMまたは医薬製剤に関する情報を含むウェブサイトへの案内を含む多くの形態をとり得る。
【0012】
プロドラッグ:本明細書で使用する用語「プロドラッグ」は、in vivoで、本発明における有用な化合物に、例えば加水分解により、急速に転換する化合物を意味するものとする。プロドラッグの詳細な論議は、Higuchiら、Prodrugs as Novel Delivery Systems、the A.C.S.D. Symposium Series 第14巻で、およびRoche(編)、Bioreversible Carriers in Drug Design、American Pharmaceutical Association and Pergamon Press、1987年で提供されている。
【0013】
実質上同時に:本明細書で使用する用語「実質上同時に」は、2種の医薬製剤(すなわち、レテプリニムおよびシスプラチン)が同時に投与されることを意味するものとする。この定義により、「同時に」は、厳密に同時に、ならびに約10分以内に、を含めて解釈すべきである。
【0014】
治療する、治療および、の治療に対して寄与すること:本明細書で使用する用語「治療する」、「治療」および、「の治療に対して寄与すること」は、シスプラチン投与後の神経損傷の進行を防止すること、阻止すること、遅延させること、または一部もしくは完全に回復させることを意味するものとする。癌に関して、これらの用語は、固形腫瘍を含む癌の進行もしくは成長を防止すること、遅延させること、またはそれらを縮小もしくは除去することを含む。したがって、これらの用語は内科的治療および/または予防的投与の両方を、適宜含む。
【0015】
本明細書で使用する用語「週に2回」は、医薬製剤が7日間の間に2回投与されることを意味する。一般的には、これらの投与は、7日間にわたって均等に間隔をおかれるであろうが、この特徴は必要なわけではなくて、2回の投与は、7日間にわたって任意の間隔で行うことができる。
【0016】
本明細書で使用する用語「レテプリニム」は、N−4−カルボキシフェニル−3−(6−オキソヒドロプリン−9−イル)プロパンアミドおよびその種々の形態(例えばレテプリニム酸およびレテプリニム塩の形態)を指す。レテプリニムは、AIT−082、SPI−082、およびSPI−205としても知られている。
【0017】
本発明のレテプリニム組成物および方法は、何らかの化学療法剤の投与と少なくとも部分的に関連する末梢神経障害を治療するために使用することができる。例示的化学療法剤のクラスには、ポドフィロトキシン、テルペノイド(例えばタキサンおよびビンカアルカロイド)、代謝拮抗物質、アントラサイクリン、アルキル化剤(例えばプラチン)、および他の抗腫瘍剤が含まれるが、これらに限定されない。ビンカアルカロイドは、特にビンクリスチン、ビンブラスチン、ビノレルビン、およびビンデシンを含む。他の例示的化学療法剤は、エトポシド、テニポシド、シスプラチン、カルボプラチン、オキサリプラチン、パクリタキサル、ドセタキセル、スラミン、アルトレタミン、クロラムブシル、シタラビン、ダカルバジン、ドセタキセル、エトポシド、フルダラビン、メスナと併用するイホスファミド、タモキシフェン、テニポキシド、およびチオグアニンが含まれるが、これらに限定されない。腫瘍崩壊性薬物の投与に関連する末梢神経障害は、C. M. Haskell、「Cancer Treatment」(5.sup.th Ed.、W.B. Saunders、Philadelphia、2001年) 第10章、104〜214頁に記載されている。一実施形態において、本発明は、ビンカアルカロイド(例えばビンクリスチン)、タキサン(例えばパクリタキセル/タキソール(登録商標)またはアルキル化剤(例えばシスプラチン)の投与に関連する薬物誘発末梢神経障害を治療することに関する。他の実施形態において、本発明は、シスプラチンの投与に関連する薬物誘発末梢神経障害を治療することを対象とする。
【0018】
シスプラチンは、多くの一般的な、そして治療に抵抗性の腫瘍の治療に広く使用されている抗腫瘍剤である。シスプラチンは、細胞分裂を阻害するDNA合成阻害剤としてのその効果のために抗癌剤として有用である。現在、神経障害(すなわち神経損傷)は、用量制限毒性として認識されており、症状は約300mg/mを超える積算投与後に発症する。シスプラチン神経障害は、主に大径線維感覚ニューロンに作用し、一般的に感覚神経のシグナルの振幅の減少を伴い、深刻な感覚運動失調をもたらす。この神経障害は、シスプラチン治療中止後も進行し得る。本発明は、レテプリニムが、シスプラチン誘発神経損傷の治療または防止に寄与し得ることを示す。
【0019】
関与する個々の被験体の特定の必要性に依存して、本発明のレテプリニム組成物は、効果的な治療を提供するために、種々の用量および投与計画で投与することができる。選択されたレテプリニム組成物の有効量を構成するものは、化学療法化合物の活性、患者の生理、患者の疾患または状態、ならびにレテプリニムおよび/または化学療法剤の投与方法/頻度/様式を含む(しかし、これらに限定されない)要因に基づいて変化するであろう。最初に、用量および投与計画は特定の患者のための最適用量を決定するために調節することができる。
【0020】
化学療法誘発神経障害を緩和するのに有効な最小レテプリニム投薬濃度(患者の体重に対する薬物重量)は、約25mg/kg、約30mg/kg、約35mg/kg、約40mg/kg、または約45mg/kgである。化学療法剤誘発神経障害を緩和するのに有効な最大投薬濃度は、約100mg/kg、75mg/kg、約65mg/kg、約60mg/kg、または約55mg/kgである。化学療法剤誘発(例えばシスプラチン誘発)神経障害を緩和するのに有効な投薬濃度の1例は、約50mg/kgである。レテプリニム組成物は、一週間(7日)を基準にして1週に1日当たり1回未満(例えば、週当たり3回から6回)、または週に2回投与してよい。投与計画にかかわらず、投与間の時間間隔は、均等である必要はないが、均等であってもよい。
【0021】
レテプリニム組成物は、経口経路、局所的経路、経皮的経路、腹腔内経路、皮下経路、または静脈内経路を含む多くの異なる経路を使用して、投与することができる。有効量の化合物は、脳脊髄液中に注射により、または脳への直接注入により投与することもできる。一実施形態において、投与様式は皮下投与である。
【0022】
本発明の方法は、患者(例えば治療が必要な哺乳動物)に投与されるレテプリニムを、単独でまたは製剤としてのいずれかで使用して実行することができる。さらに、レテプリニムは、不活性固体希釈剤、水溶液または無毒性有機溶媒などの薬学的に許容される賦形剤および担体物質と組み合わせることができる。所望であれば、これらの製剤は、有効成分の有効性を増大させる、防腐剤および安定剤等、ならびに湿潤剤または乳化剤などの少量の補助物質、ならびにpH緩衝剤等を含有することもできる。薬学的に許容される担体は、当該分野において一般的に公知であるもの(ヒト血清アルブミン、イオン交換体、デキストロース、アルミナ、レシチン、リン酸塩などの緩衝物質、グリシン、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、および硫酸プロタミン、塩化ナトリウムまたは塩化カリウムなどの塩または電解質を含むが、これらに限定されない)から選択することができる。他の担体も使用することができる。液体組成物は、水に加えてまたは水以外のいずれかで液相を含むこともできる。そのような追加の液相の例は、グリセリン、綿実油などの植物油、オレイン酸エチルなどの有機エステル、および水油エマルションである。一実施形態において、レテプリニム製剤は、場合により緩衝された疎水性懸濁液であってもよい。他の実施形態において、レテプリニム製剤は、場合により緩衝された脂質懸濁液であってもよい。製剤は、従来の緩衝剤(例えば、酸または塩)で緩衝させることができる。他の実施形態において、製剤は、例えば、レテプリニムの塩またはレテプリニムの酸の形態(例えばレテプリニムのカリウム塩の形態)で緩衝されている。さらに他の実施形態において、レテプリニム製剤は、レテプリニムのカリウム塩の形態で緩衝された脂質懸濁液である。
【0023】
材料および方法
1.動物
10週齢の雌Dark Agoutiラット(Janvier,Le Genest−St−Isle、フランス)を、5つの実験群:(a)皮下の(s.c.)レテプリニム酸懸濁液プラセボ治療を受ける対照群(n=17);(b)s.c.レテプリニム塩(0.9%NaCl)プラセボ治療を受ける対照群(n=17);(c)シスプラチン単独治療群(n=17);(d)50mg/kg/日s.c.レテプリニム酸懸濁液治療を受けるシスプラチン治療群(n=17);および(e)50mg/kg/日s.c.レテプリニムK塩溶液治療を受けるシスプラチン治療群(n=17)に、ランダムに配分した。動物は、ケージ当たり2匹入れて、制御された温度(21〜22°C)の室内に維持し、逆転明暗サイクル(12時間/12時間)で、食物および水を自由に摂れるようにして飼育した。全ての実験は、研究所のガイドラインにしたがって実施した。
【0024】
2.シスプラチン神経障害の誘発、薬理治療およびモニタリングならびに試験スケジュール
神経障害は、週2回4週間の、1回の注射当たり2mg/kgの用量で、0.1mg/mlシスプラチン溶液(Sigma,L’Isle d’Abeau Chesnes、フランス)の腹腔内(i.p.)注射により誘発された。レテプリニム治療は、シスプラチン投与の第1日から試験の終了(第7週)まで毎日実施した。シスプラチンおよびレテプリニムK塩は、0.9%NaCl(生理食塩水)の滅菌溶液に溶解させた。レテプリニム酸懸濁液およびそのプラセボ形態は、5%グルコース溶液中で調製した。レテプリニム酸懸濁液およびそのプラセボならびにレテプリニムK塩溶液は、毎日新しく調製した。体重および生存率を毎日記録した。ホットプレートおよび筋電図(EMG)試験を週に1回実施した。組織学的分析のため、第5週に各群5匹の動物から坐骨神経を収集した。
【0025】
3.感覚試験:ホットプレート
ラットを、52°Cに加熱した加熱プレート(Medite OTS 40、 Microm、Francheville、Rhone、フランス)上のガラスシリンダー(高さ17cm、直径:21cm)内に1匹ずつ入れた。動物の行動、特に足舐めおよび順応跳躍(熱さを逃れるための跳躍)を観察して記録した。熱痛を感じるのに要した時間(足舐めおよび跳躍により証拠付けられる)は、熱感受性に関係しており、熱感受性が低下すると増大する傾向がある。
【0026】
4.筋電図
電気生理学的記録は、Neuromatic 2000M筋電計(EMG)(Dantec,Les Ulis、フランス)を使用して実施した。ラットは、60mg/kgのケタミン塩酸塩(Imalgene 500、 Rhone Merieux、 Lyon、フランス)および4mg/kgのヒアリン(Rompum 2%、Bayer Pharma、 Kiel、ドイツ)のi.p.注射により麻酔した。正常体温は、加熱ランプで30°Cに維持して、尾の表面に設置した接触温度計(Quick,Bioblock Scientific,Illkirch、フランス)により制御した。
【0027】
H波反射を、坐骨神経を刺激した後の後足の足蹠筋で記録した。基準電極およびアース針をラットの腰背部に付けた。坐骨神経を単回の0.2msのパルスにより超最大強度で刺激した。H波の振幅(mV)および潜時(latency)を記録した。
【0028】
感覚神経伝導速度(SNCV)も記録した。尾部皮膚電極を次のように設置した:基準針は尾部付け根に挿入し、陽極針は尾の先端に向かって、基準電極から30mm離して設置した。アース針電極は、陽極と基準針の間に挿入した。尾側神経を一連の20回のパルス(0.2ms間)により12.8mAの強度で刺激した。速度はm/sで表した。
【0029】
5.形態計測分析
試験が終了時に、シスプラチン誘発の組織学的変化に対する50mg/kgレテプリニムの効果を評価する目的で、群当たり5匹の動物を病理学的分析用に充てた。これらの動物は、100mg/kgのイマルゲン(Imalgene)500のi.p.注射により麻酔した。坐骨神経の5mmの区間を病理学的検査のために切除した。組織は、リン酸塩緩衝溶液中4%のグルタルアルデヒド(Sigma,L’Isled’Abeau−Chesnes、フランス)溶液(pH=7.4)で一晩固定して、30%スクロース中で使用するまで+4°Cに維持した。神経の試料を、リン酸塩緩衝溶液中の1%四酸化オスミウム(Sigma,L’Isled’Abeau−Chesnes、フランス)溶液中で2時間かけて後固定し、アルコール系列溶液で脱水して、エポンに包埋させた。次に包埋させた組織を+70°Cに3日間置いて組織ワックス(tissue wax)を重合させた。ミクロトームで1.5μmの横断切片を切り、1%トルイジンブルー溶液(Sigma,L’Isle d’Abeau−Chesnes、フランス)で2分間染色し、脱水してオイキットで封入した。
【0030】
各坐骨神経試料の1切片を、光学顕微鏡(Nikon、Tokyo、日本)を使用して検査した。分析は、半自動化ディジタル画像解析ソフトウェア(Biocom、フランス)を使用して、切片の表面全体について実施した。各線維について、軸索のサイズおよびミエリンサイズが自動的に計算されて表面積(μm)で報告された。これら2つのパラメーターを、ミエリン鞘の相対的な厚さを示す、各線維のg比(軸索直径/線維直径)の相当面積(すなわち[A/(A+M)]0.5、A=軸索面積、M=ミエリン面積)を計算するために使用した。ミエリンの太さはg比に反比例する。
【0031】
次に、変性した線維数を、作業者が手作業で計数した。軸索のないミエリン化線維、冗長なミエリン、および線維軸索直径に比較して厚過ぎる鞘を示す線維は、変性過程を受けている線維と見なした。
【0032】
6.データ分析
実験過程を通じて、体重を変動の2方向分析(ANOVA)により比較した。行動的、電気生理学的、および組織学的データは、個々の各時点についてANOVAにより、続いて事後検定としてフィッシャーの保護最小有意差(PLSD)試験により分析した。有意性のレベルはp<0.05に設定した。結果は、平均値±平均値の標準誤差(s.e.m.)として表される。
【0033】
結果
1.体重
試験の間中進行する体重増加を示す対照ラットと対照的に、シスプラチンを投与された全ての動物は、シスプラチン投与の翌日には早くも著しい体重減少を示した(p≦0.001、2方向ANOVA)(図1を参照されたい)。最も著しい体重減少は、シスプラチン投与の第3週後および第4週後の間に観察された。シスプラチン治療の中止後、ラットは、進行性の体重増加を示したが、対照のレベルより下(約20%)にとどまった。これらの結果により、レテプリニム酸またはレテプリニムK塩による治療は、成長抑止の出現を防止しないが、シスプラチン単独の治療群に比較して改善された(シスプラチン単独治療群より約10%高い)成長プロファイルを伴ったことが立証された。
【0034】
2.感覚試験:ホットプレート
図2は、第2週以後、シスプラチン単独治療群からのラットは、対照群に比較して、潜時スコアの閾値の有意の増加が証明されたことを示す。(p≦0.05、フィッシャーのPLSD検定)。最も重篤な機能不全は、第4週(シスプラチン投与の最後の週)に観察され、時間スコアは対照群より約30%高かった。試験が終了しても、シスプラチン単独治療群からの動物は、対照動物の動作レベルには回復しなかった。
【0035】
図2でも見られるように、レテプリニム酸による、またはレテプリニムK塩による治療は、シスプラチン治療ラットのホットプレート動作を有意に改善した(p≦0.05、フィッシャーのPLSD検定)。有意の効果が第3週から第7週まで観察された。最も重篤なシスプラチン機能不全が観察された第4週に、レテプリニム酸またはレテプリニムK塩により治療されたシスプラチン治療ラットは、対照より約15%だけ高い時間スコアを示した。試験の終了時に(第7週)、レテプリニム酸またはレテプリニムK塩を投与されたシスプラチン治療ラットの動作は、対照ラットの動作と同程度であった。これらの結果は、レテプリニムはシスプラチン治療に伴う病態の防止に寄与し得ることを立証している。
【0036】
3.電気生理学的測定
a.H波の振幅
図3に示すように、シスプラチン単独治療群において、シスプラチン投与開始後早くも第1週に、H波の振幅の有意の減少が観察された。H波振幅の最も重大な減少は第4週に起こり、その減少レベルは対照レベルの45%を超えた。回復は、シスプラチン治療中止後(シスプラチン終了時点)に始まり、および第7週で完了した(試験の終了時)。
【0037】
レテプリニム酸により、またはレテプリニムK塩により治療されたシスプラチンラットは、シスプラチン単独治療群と比較すると、改善されたH波の挙動を示した。これらの相違は、第2週で早くも明らかであった。H波振幅の減少がシスプラチン単独治療群において最大になる第4週に、レテプリニムを投与されたシスプラチンラットは、対照値より20%低だけ低いH波振幅を示した。第5週までに、レテプリニムにより治療されたシスプラチンラットは、対照ラットのH波スコアにまで回復した。これらの結果は、レテプリニムは、またはシスプラチン投与に伴う生理的変化を防止または軽減することに役立ち得ることも立証している。
【0038】
b.H波の潜時
図4は、対照ラットと比較した、シスプラチン単独治療群における第2週から始まるH波待ち時間の有意の延長を示す(p≦0.05、フィッシャーの検定)。最も重大な変化は第4週に観察され、潜時スコアは約12%延長した。シスプラチン単独治療ラットは、この測定では第7週までに完全に回復した。
【0039】
レテプリニム酸によるまたはレテプリニムK塩による治療は、有意にシスプラチン誘発H波潜時の変化を減衰させた(p≦0.05、フィッシャーの検定)。シスプラチン単独治療群では変化が最大になる第4週に、レテプリニム治療を受けたシスプラチン群では、待ち時間スコアのわずか約4%の延長(対照値と比較して)が観察された。
【0040】
c.感覚神経伝導速度
進行性のSNCV低下は、シスプラチン群において観察され、第1週に早くも始まった(p≦0.05、フィッシャーの検定)(図5)。最も重篤な機能不全は、第4週に観察され、スコアは対照値より約15%下であった。回復は第5週には始まったが、動作は対照のレベルには戻らなかった。
【0041】
レテプリニムによる治療は、シスプラチン治療ラットのSNCV性能を有意に改善した。シスプラチン単独治療群においてSNCV機能不全が最大になった第4週に、レテプリニムを投与されたシスプラチンラットの機能不全は、対照値よりせいぜい7%下回るのみであった。第7週に、レテプリニムで治療したシスプラチンラットの挙動は対照ラットとほぼ同等であった。
【0042】
4.形態計測分析
a.軸索直径
シスプラチン単独で治療されたラットから採取した神経線維の軸索直径は、他の群のものを僅かに超えていたが、群間に統計的な差はなかった(p>0.05、ANOVA)(図6)。レテプリニムによる治療は、シスプラチン治療ラットの軸索サイズを有意には改変しなかった。
【0043】
b.ミエリン厚さ
神経線維のミエリン鞘の厚さに関して、群間に統計的な差はなかった(p>0.05、ANOVA)(図7)。
【0044】
c.変性した線維のパーセンテージ
図8に示すように、シスプラチン単独治療群の坐骨神経中の変性した線維の比率は、対照ラットのものを有意に超えていた(p≦0.05、フィッシャーの検定)。さらに、レテプリニムによる治療は、シスプラチン治療ラットの坐骨神経中の変性した線維の比率を有意に減少させた。
【0045】
記載した結果は、化学療法剤(この場合、シスプラチン)投与が、H波シグナル(減少した振幅および延長された待ち時間)およびSNCVの両方の変化ならびに熱に対する遅れた反応性により示される顕著な神経機能不全を誘発することを示す。感覚神経障害のこれらの兆候は、軸索変性の特徴を示す坐骨神経線維の比率の有意の増加を示す組織学的結果により裏付けられたが、これらの冒された線維の性質(感覚または運動)は特定されなかった。
【0046】
記載した結果は、レテプリニムによる治療は、化学療法剤誘発(この場合、シスプラチン誘発)神経機能不全を顕著に減衰させることができ、そしてこの障害からの回復を促進することができることをさらに立証した。これらの改善は、検討したパラメーター(H波振幅および待ち時間、SNCVおよび軸索変性)の大部分において明らかであり、また、ホットプレート試験で観察された改善と良好な相関関係にあるようである。
【0047】
組織学的結果は、シスプラチン単独治療群の軸索直径が僅かに増大したことを示した。これは、発育中のラット脳におけるシスプラチン投与の結果として観察される現象である軸索の変性を表している可能性がある(Rzeskiら、(2004年) Ann. Neurol.第56巻、351〜360頁)。レテプリニム治療は、この軸索の腫脹を完全に防止したようである。要約すると、記載した結果は、レテプリニムによる毎日の治療が、シスプラチン関連の感覚神経障害を改善することができることを示す。
【0048】
記載した有効成分を含有する医薬製剤は、ヒトまたは他の哺乳動物に投与するために適している。通常、医薬製剤は滅菌されており、そして毒性、癌原性または変異原性のある化合物(これらは、投与されたときに副作用を引き起こし得る)を含まない。この医薬製剤の投与は、化学療法剤投与の開始前、その最中またはその後に実施することができる。
【0049】
本発明の方法は、上記の有効成分を使用して、または生理学的に許容されるその塩、誘導体、プロドラッグ、もしくはその溶媒和物を使用して達成することができる。有効成分は、ニートな化合物として、または化合物の一方または両方を含む医薬製剤として投与することができる。
【0050】
医薬製剤は、有効成分が有効量で投与されてそれらの意図された目的を達成するものを含む。より具体的に、「治療有効量」は、固形腫瘍の発生を防止し、除去し、進行を遅延させ、またはサイズを減少させるために有効な量を意味する。治療有効量の決定は、当業者には、特に本明細書で提供された詳細な開示に照らして十分可能なことである。
【0051】
「治療有効用量」は、所望の効果を達成する結果をもたらす有効成分の量のことである。そのような有効成分の毒性および治療有効性は、細胞培養または実験動物における標準的薬学的手順により、例えばLD50(集団の50%に致死的な用量)およびED50(集団の50%に治療的に有効な用量)を測定することにより決定することができる。毒性と治療効果との用量比が治療指数であり、LD50とED50との比として表される。高い治療指数が好ましい。得られたデータは、ヒトで使用するための用量範囲の製剤化に使用することができる。有効成分の用量は、好ましくは、毒性が殆どないかまたは全くない、ED50を含む循環濃度の範囲内にある。用量は、この範囲内で、使用される剤形および利用される投与経路に依存して変化し得る。
【0052】
的確な製剤および投与量は、患者の状態を考慮して個々の医師により決定される。投与量および間隔は、治療または予防効果を維持するために十分な有効成分のレベルを提供するように、個別に調節することができる。
【0053】
投与される医薬製剤の量は、治療される被験体、被験体の体重、疾患の重症度、投与の様式および処方する医師の判断に依存してよい。
【0054】
有効成分は、単独で、または意図される投与経路および標準的慣行を考慮して選択される製薬用担体との混合物として投与することができる。したがって、本発明により使用するための医薬製剤は、有効成分を薬学的に使用され得る製剤に加工することを容易にする賦形剤および補助剤を含む1種または複数の生理学的に許容される担体を使用する従来様式で製剤化することができる。
【0055】
治療的有効量の有効成分が投与されるとき、製剤は、発熱物質を含まない、非経口的に許容される水溶液の形態にすることができる。pH、等張性、安定性等を十分考慮をした、そのような非経口的に許容される溶液の製剤は、当該分野の範囲内である。静脈内注射用の好ましい製剤は、典型的には、等張性媒体を含むであろうが、この特性は必要なわけではない。
【0056】
獣医学用途では、有効成分は、通常の獣医学慣行にしたがって適切に許容される製剤として投与される。獣医は、特定の動物にとって最も適切な用量投与計画を容易に決定することができる。
【0057】
本明細書中に具体的に記載した以外に実施することができる、実施形態の種々の適用および改変は、本発明の範囲および趣旨から逸脱することなく行いかつ使用することができる。上記の記載は、例示であることを意図されたもので、限定するものではない。本発明の範囲は、請求項によってのみ決定されるべきである。
【0058】
本明細書中で使用した用語および表現は、説明の用語として使用したものであって、限定ではなく、かつそのような用語および表現の使用には、示されたおよび説明された特徴と同等なものまたはその一部を排除する意図はなく、種々の改変は本発明の請求された範囲内で可能であることが認識される。その上、本発明の任意の実施形態の任意の1つまたは複数の特徴は、本発明の範囲から逸脱せずに、本発明の任意の他の実施形態の1つまたは複数の他の特徴と組み合わせることができる。
【0059】
特に断らない限り、本明細書および請求項で使用した成分の量、分子量、反応条件などの性質を表す全ての数は、全ての場合「約」という用語により修飾されていると理解されるべきである。したがって、反対のことが指示されていない限り、本明細書および添付の請求項で述べた数的パラメーターは、本発明により得ようと努める所望の性質に依存して変化してよい近似値である。控えめに言っても、および請求項の範囲と同等の原則の応用を制限する試みとしてではなく、少なくとも各数的パラメーターは、報告された有効数字の数に照らしておよび通常の四捨五入技法により解釈すべきである。本発明の広い範囲を表す数的範囲およびパラメーターは近似値であるにも拘わらず、具体的な例で示した数値は可能な限り正確に報告されている。しかしながら、任意の数値は、それらそれぞれの試験の測定で見出される標準偏差から必然的に生ずるある程度の誤差を本質的に含む。
【0060】
本発明を説明する文脈で(特に添付の請求項の文脈で)使用される、「a」および「an」および「the」という用語および同様な指示は、本明細書中で他に指示されない限り、または文脈に明確に矛盾しない限り、単数および複数の両方を含むと解釈すべきである。本明細書において値の範囲を挙げることは、範囲内に入る各個々の値に個々に言及する簡便な方法として役立てることを単に意図するものである。本明細書中で特に断らない限り、各個々の値は、それが恰も本明細書中で個々に挙げられたように本明細書中に組み込まれている。本明細書で記載された全ての方法は、本明細書中で他に指示されない限り、または文脈に明確に矛盾しない限り、任意の順で実施することができる。本明細書で提供した如何なる例および全ての例または例示的言語(例えば「など」)の使用は、単に本発明をより明らかにすることだけを意図したもので、本発明のそれ以外に請求されている範囲に限定を課すものではない。本明細書中の如何なる言語も、本発明の実施にとって本質的な如何なる請求されていない要素を表示すると解釈されるべきではない。
【0061】
本明細書で開示された本発明の代替要素の群または実施形態は、限定と解釈されるべきでない。各群の構成要素は、個々にまたは群の他の構成要素もしくは本明細書で見出される要素との任意の組合せで参照および請求することができる。群の1つまたは複数の構成要素は、利点および/または特許性の理由で、群に含まれるかまたは群から削除されることが可能であることが予想される。何らかのそのような包含または削除が行われたとき、その場合、明細書は、改変されてその結果添付された請求項で使用された全てのマーカッシュ形式の群の書かれた記述を満たす群を含むと見なされる。
【0062】
本発明者らに知られた本発明を実施するために最良の様式を含む、本発明のある実施形態が、本明細書に記載されている。いうまでもなく、これらのある実施形態に対する変形は、前述の記載を読めば、当業者には明らかになるであろう。本発明者は、当業者がそのような変形を適宜使用することを予想しており、本発明者らは本発明が本明細書に具体的に記載された以外の方法で実施されることを意図している。したがって、本発明は、本明細書に添付した請求項に挙げた主題の、適用できる法により許される全ての改変および同等物を含む。その上に、上記の要素の、その全ての可能な変形での任意の組合せは、本明細書中で特に断らない限り、または文脈で明確に矛盾しない限り本発明により包含される。
【0063】
さらに加えて、本明細書を通じて、多数の特許および印刷された刊行物が参照された。上記の引用された参照文献および印刷刊行物の各々は、それらの全体が参考として本明細書に個々に組み込まれる。
【0064】
最後に、本明細書で開示した本発明の実施形態は本発明の原理を例示するものであることが理解されるべきである。利用することができる他の改変は、本発明の範囲内である。したがって、限定するものではないが、例として、本発明の別の形態が本明細書の教示にしたがって利用され得る。したがって、本発明は、示されたおよび説明された通りのことに限定されることはない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レテプリニム懸濁液をそれを必要とする患者に投与する工程であって、該工程により、化学療法誘発神経障害の治療に寄与する、工程
を含む方法。
【請求項2】
前記レテプリニム投与が化学療法剤による治療の開始に先立つか;該レテプリニム投与が該化学療法剤による治療の開始後に開始されるか;または、該レテプリニム投与および該化学療法剤投与が実質上同時に行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記レテプリニムが1週間当たり6回または6回未満投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記レテプリニムが1週間当たり2回投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記レテプリニム投与および前記化学療法剤投与が実質上同時に行われる、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記レテプリニムおよび前記化学療法剤が同一医薬製剤の一部である、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記レテプリニム投与が約100mg/kg未満の用量で行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記レテプリニム投与が約50mg/kgの用量で行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記化学療法剤が、ポドフィロトキシン、テルペノイド、代謝拮抗剤、アントラサイクリン、アルキル化剤、他の抗腫瘍剤、およびそれらの組合せから選択される、請求項2に記載の方法。
【請求項10】
前記化学療法剤が、ビンクリスチン、ビンブラスチン、ビノレルビン、ビンデシン、エトポシド、テニポシド、シスプラチン、カルボプラチン、オキサリプラチン、パクリタキセル、ドセタキセル、スラミン、アルトレタミン、クロラムブシル、シタラビン、ダカルバジン、ドセタキセル、エトポシド、フルダラビン、メスナ併用イホスファミド、タモキシフェン、テニポシド、チオグアニン、およびそれらの組合せから選択される、請求項2に記載の方法。
【請求項11】
前記化学療法剤が、ビンカアルカロイド、タキサン、アルキル化剤、およびそれらの組合せから選択される、請求項2に記載の方法。
【請求項12】
前記化学療法剤が、ビンクリスチン,パクリタキセル,シスプラチン,およびそれらの組合せから選択される、請求項2に記載の方法。
【請求項13】
前記化学療法剤がシスプラチンである、請求項2に記載の方法。
【請求項14】
前記シスプラチンが1週間に2回投与される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
レテプリニム懸濁液を含む、化学療法誘発神経障害の治療に寄与する医薬製剤。
【請求項16】
前記レテプリニムが約100mg/kg未満の用量を含む、請求項15に記載の医薬製剤。
【請求項17】
前記レテプリニムが約50mg/kgの用量を含む、請求項15に記載の医薬製剤。
【請求項18】
懸濁液の形態である、請求項15に記載の医薬製剤。
【請求項19】
レテプリニム懸濁液をそれを必要とする患者に投与する工程であって、該工程によって、シスプラチン誘発神経障害の治療に寄与する、工程
を含む方法。
【請求項20】
シスプラチンを癌の治療に寄与するために投与する工程、および
レテプリニム懸濁液をそれを必要とする患者に投与する工程であって、該工程によって、シスプラチン誘発神経障害の治療に寄与する、工程
を含む方法。
【請求項21】
前記レテプリニム投与がシスプラチンによる治療の開始に先立つか、または該レテプリニム投与がシスプラチンによる治療の開始後に開始される、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
前記レテプリニムが毎日投与される、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
前記シスプラチンが1週間に2回投与される、請求項20に記載の方法。
【請求項24】
前記レテプリニムが毎日投与され、かつ前記シスプラチンが1週間に2回投与される、請求項20に記載の方法。
【請求項25】
前記レテプリニム投与および前記シスプラチン投与が実質上同時に行われる、請求項20に記載の方法。
【請求項26】
前記レテプリニムおよび前記シスプラチンが同一医薬製剤の一部である、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記レテプリニム投与が約100mg/kg未満の用量で行われる、請求項19に記載の方法。
【請求項28】
前記レテプリニム投与が約50mg/kgの用量で行われる、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
レテプリニム懸濁液を含む医薬製剤であって、該医薬製剤は、シスプラチン誘発神経障害の治療に寄与するために、該レテプリニム懸濁液を必要とする患者への該医薬製剤の投与を指示する使用説明書を伴って販売される、医薬製剤。
【請求項30】
前記使用説明書が、前記医薬製剤の投与をシスプラチンによる治療の開始に先立って行うこと、または該医薬製剤の投与をシスプラチンによる治療の開始後に開始することを指示する、請求項29に記載の医薬製剤。
【請求項31】
シスプラチン治療および前記医薬製剤の投与の両方を開始したとき、前記使用説明書が、該医薬製剤を毎日投与することを指示する、請求項29に記載の医薬製剤。
【請求項32】
シスプラチン治療および前記医薬製剤の投与の両方を開始したとき、前記使用説明書が、該シスプラチンを1週間に2回投与することを指示する、請求項29に記載の医薬製剤。
【請求項33】
シスプラチン治療および前記医薬製剤投与の両方を開始したとき、前記使用説明書が、該医薬製剤を毎日投与すること、および該シスプラチンを1週間に2回投与することを指示する、請求項29に記載の医薬製剤。
【請求項34】
シスプラチン治療および前記医薬製剤投与の両方を開始したとき、前記使用説明書が、該医薬製剤の投与および該シスプラチン治療を実質上同時に行うことを指示する、請求項29に記載の医薬製剤。
【請求項35】
前記医薬製剤がシスプラチンをさらに含む、請求項34に記載の医薬製剤。
【請求項36】
前記使用説明書が、前記医薬製剤の投与は約100mg/kg未満のレテプリニム用量を送達する量で行うことを指示する、請求項29に記載の医薬製剤。
【請求項37】
前記使用説明書が、前記医薬製剤の投与は約50mg/kgのレテプリニム用量を送達する量で行うことを指示する、請求項29に記載の医薬製剤。
【請求項38】
シスプラチンおよびレテプリニムを含む医薬製剤であって、該医薬製剤中の該シスプラチンは、癌の治療に寄与することを意図され、該レテプリニムはシスプラチン誘発神経障害の治療に寄与することを意図される、医薬製剤。
【請求項39】
皮下投与される、請求項15に記載の医薬製剤。
【請求項40】
前記レテプリニムが皮下投与される、請求項1、19、または20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項41】
前記レテプリニムが酸の形態のレテプリニムを含む、請求項15に記載の医薬製剤。
【請求項42】
前記レテプリニムが酸の形態のレテプリニムを含む、請求項1、19、または20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項43】
前記レテプリニムが塩の形態のレテプリニムを含む、請求項15に記載の医薬製剤。
【請求項44】
前記レテプリニムが塩の形態のレテプリニムを含む、請求項1、19、または20のいずれか一項に記載の方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公表番号】特表2009−545619(P2009−545619A)
【公表日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−523049(P2009−523049)
【出願日】平成19年8月1日(2007.8.1)
【国際出願番号】PCT/US2007/075008
【国際公開番号】WO2008/017000
【国際公開日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【出願人】(506311677)スペクトラム ファーマシューティカルズ インコーポレイテッド (8)
【Fターム(参考)】