説明

化学的機械研磨用組成物、その製造方法、及びその使用方法

本発明は、研磨粒子と、約0.01重量%〜水への溶解限度量の一般式(I)で表される化合物とを含む水性CMPスラリー組成物を提供する。
【化1】


(式中、R、R、R、R、及びRの1種のみが水酸基(−OH)であり、R、R、R、R、及びRの1種のみがメトキシ基(−OCH)であり、水酸基(−OH)でもメトキシ基(−OCH)でもないR、R、R、R、及びRのうち3種が、水素原子(−H)である。)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化学的機械研磨(「CMP」)用組成物、その製造方法、及びその使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
CMPは、産業革命以前の時代に起源を有する技術である。半導体チップ製造業者間では、回路パターン層形成時に半導体チップ表面を平坦化する技術として、近年、CMPが選択されている。CMPは周知の技術であり、通常、研磨パッドと、化学試薬及び研磨粒子を含有する研磨スラリー組成物とを用いて行われる。研磨粒子が機械研削機能を有するのに対し、化学試薬は、研磨する層表面上の1種以上の物質と化学的に反応する機能を有する。
【0003】
一例として、CMP技術は、半導体チップ上、もしくはシリコンなどのウェハ上に形成される集積回路中のシャロートレンチアイソレーション(STI:shallow trench isolation)構造の作製に使用される。STI構造は、任意のパターン層中の個々のデバイス素子(例えば、トランジスタ)を分離させ、それらの間に漏電電流が生じるのを防ぐことを目的としている。近年の技術的進歩により、集積回路上の超小型で高密度な回路パターンの作製が容易となり、それによって、分離構造にはより高い要求がつきつけられている。
【0004】
STI構造は、通常、次のようにして作製される。シリコン基板上に酸化物層を熱成長させ、次いで、熱成長した酸化物層の上に窒化ケイ素層を堆積させる。窒化ケイ素層堆積後、例えば、周知のフォトリソグラフィマスキング及びエッチング処理により、窒化ケイ素層及び熱成長酸化物層を貫通し、シリコン基板に一部達する浅い溝を形成する。その後、通常、化学蒸着工程により、二酸化ケイ素などの誘電体の層を堆積し、溝を完全に埋め、窒化ケイ素層を覆う。次に、CMP処理により、窒化ケイ素層の上層にある、もしくは窒化ケイ素層の表面を被覆している二酸化ケイ素層部を除去し、且つ対象物の表面全体を平坦化する。窒化ケイ素層は、CMP処理中にその下層の熱成長酸化物層及びシリコン基板が露出するのを防ぐよう、研磨阻止としての役割を意図されたものである。用途によっては、その後、例えば、高温のリン酸溶液に対象物を浸すことによって窒化ケイ素層を除去し、二酸化ケイ素で埋められた溝のみを残してSTI構造とすることもある。通常、その後にさらなる処理を行い、ポリシリコンゲート構造を形成させる。
【0005】
シリコン半導体基板上にSTI構造を作製するCMP工程の際、阻止層として使用される窒化ケイ素に優先して二酸化ケイ素を選択的に除去できる研磨剤を用いることが、非常に有利となることは、容易に理解されるであろう。CMPによって窒化ケイ素が除去される速度がゼロであるのに対し、窒化ケイ素阻止層を覆う二酸化ケイ素がCMPによって除去される速度が非常に速いことが理想的であり、それにより、高い製造処理能力が可能となる。「選択性」という用語は、CMP処理中の、同一研磨剤による、窒化ケイ素除去速度に対する二酸化ケイ素除去速度の割合を示すのに用いられている。選択性は、二酸化ケイ素膜の除去速度(通常、オングストローム(Å)/分で表される)を、窒化ケイ素膜の除去速度で割って求められる。
【0006】
溝充填物質である二酸化ケイ素の除去速度は、パッド圧を上げたり、スラリー中でより大きな研磨粒子を用いるなどして研磨条件を変えることでかなり速められることが知られている。しかし、これらの研磨条件は、窒化ケイ素除去速度を増大させる傾向にもあり、それにより、最終的な窒化ケイ素層厚の均一性に影響を与えたり、最終産物において、引っかき傷などのその他の問題を生じることがある。したがって、CMPスラリー組成物においては、適度な二酸化ケイ素除去速度を増進させつつ、同時に、窒化ケイ素除去速度を阻害もしくは抑制することが重要である。しかし、ある用途においては、度を越えないように前記を行う必要もある。超低速の窒化ケイ素除去速度とあいまって、CMPスラリーの選択性が非常に高い場合、溝中の二酸化ケイ素の「ディッシング」といった、その他の問題が生じることがあり、ひとたび窒化ケイ素阻止層が除去されると、トポグラフィ(topography)が著しく変化することとなる。したがって、CMPスラリー組成物が、STI処理において有益となるためには、これら要因の均衡がとれるものである必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
これまで、ポリアクリル酸塩および特定のアミノ酸をCMPスラリー組成物に添加することにより、窒化ケイ素に優先する、二酸化ケイ素の高度に選択的な研磨が行われてきた。これらの添加剤を用いた従来のCMPスラリー組成物の多くは、添加される添加剤が多くなるにつれ、二酸化ケイ素及び窒化ケイ素両者の除去速度が減速している。二酸化ケイ素の除去速度が超低速である場合、前記は問題となり、結果として、シャロートレンチアイソレーション(STI)構造の製造処理能力が低下する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、研磨粒子と、一般式Iで表される化合物とを含む水性CMPスラリー組成物を提供する。
【化1】

(式中、R、R、R、R、及びRの1種のみが水酸基(−OH)であり、R、R、R、R、及びRの1種のみがメトキシ基(−OCH)であり、水酸基(−OH)でもメトキシ基(−OCH)でもないR、R、R、R、及びRのうち3種が、水素原子(−H)である)。本発明で使用される現在最も好適な研磨粒子は、酸化セリウム(本願では「セリア(ceria)」と称することがある。)であり、本発明で使用される、一般式Iで表される現在最も好適な化合物は、バニリン酸である。バニリン酸により、二酸化ケイ素の除去速度が著しく増大する。
【0009】
また、本発明は、CMPにより対象物表面から二酸化ケイ素を除去する方法を提供するものであり、該方法は、
(1)研磨パッドと前記対象物の間に、研磨粒子と一般式Iで表される化合物とを含む水性CMPスラリー組成物を供給する段階、及び
(2)前記研磨パッド及び前記対象物を、その間に配置された前記CMPスラリー組成物とともに押圧しつつ、前記研磨パッドと前記対象物を互いに相対的に動かし、前記対象物表面から二酸化ケイ素を除去する段階を含む。本発明の好適な実施形態において、前記CMPスラリー組成物は、さらに、窒化ケイ素除去速度を抑制する添加剤(例えば、プロリン)を含む。
【0010】
以下、本発明の前記及びその他の特徴をより詳細に説明し、特に請求の範囲に挙げる。下記の説明では、本発明の実例となる複数の実施態様を詳細に記載するが、これらは本発明の原理が使用される様々な方法の一部を示しているにすぎない。
【発明を実施するための形態】
【0011】
一実施形態において、本発明は、CMPスラリー組成物を提供すると共に、半導体装置作製時の化学的機械研磨において、窒化ケイ素よりも二酸化ケイ素の除去を促進する方法も提供する。「二酸化ケイ素」という用語は、主にSiO構造を有する任意の堆積物を意味し、該堆積物は、熱成長二酸化ケイ素やテトラエトキシシラン(「TEOS」)などの任意の手段によって堆積もしくは形成されてもよいが、これに限られるものでない。
【0012】
本発明にかかるCMPスラリー組成物は、二酸化ケイ素の除去もしくは平坦化が必要とされる様々な用途において用いることができ、例えば、STI構造の作製、層間誘電体(ILD:Inter−level Dielectric)の研磨、及び微小電気機械素子(MEMS)装置の製造において使用可能である。
【0013】
本発明にかかるCMPスラリー組成物は、研磨粒子と、一般式Iで表される化合物との水分散液を含む。
【化2】

【0014】
式中、R、R、R、R、及びRの1種のみが水酸基(−OH)であり、R、R、R、R、及びRの1種のみがメトキシ基(−OCH)であり、水酸基(−OH)でもメトキシ基(−OCH)でもないR、R、R、R、及びRのうち3種が、水素原子(−H)である。前記組成物中、一般式Iで表される化合物の量は、好適には約0.01重量%〜その水への溶解限度量であり、もっとも好適には、前記スラリー組成物の約0.05重量%である。一般式Iで表される化合物は、研磨の際の二酸化ケイ素除去速度を速める働きをする。
【0015】
一般式Iで表される現在最も好適な化合物は、下記のような構造を有するバニリン酸である。
【化3】

【0016】
通常、バニリン酸の水への溶解限度量は、前記スラリーの約0.12重量%である。一般式Iで表されるその他の化合物も、研磨の際の二酸化ケイ素除去速度を増大させる可能性があると思われる。前記のような化合物には、イソバニリン酸、及び2−ヒドロキシ−X−メトキシ安息香酸(Xは、3、4、5、もしくは6である)が挙げられるが、これらに限定されるものでない。特性、入手性、及び毒性のなさからして、バニリン酸が現在最も好適である。バニリン酸は固体であり、水に溶解させなければならない。出願人は、バニリン酸添加の前に、イソプロピルアルコールなどの溶解促進剤を水に添加しておくことにより、バニリン酸の水への溶解速度が速められることを見出した。イソプロピルアルコールの量は、好適には、スラリー組成物全体の約0.15重量%である。
【0017】
本発明にかかるCMPスラリー組成物で用いられる研磨粒子は、機械研削の働きをする。本発明で使用される、現在最も好適な研磨粒子は、セリアである。しかし、その他の研磨剤を追加して、もしくは代替として使用してもよい。その他の研磨剤としては、例えば、アルミナ、シリカ、酸化銅、酸化鉄、酸化ニッケル、酸化マンガン、炭化ケイ素、窒化ケイ素、酸化スズ、チタニア、炭化チタン、酸化タングステン、イットリア、ジルコニア、及びそれらの組み合わせが挙げられる。
【0018】
前記の好適なセリア研磨粒子の平均径(二次粒径)は、好適には、約20nm〜約1000nmの範囲であり、最大径は約10,000nm未満である。研磨粒子の平均径が非常に小さい場合、前記CMPスラリー組成物の研磨速度は、許容し難いほど遅くなる。研磨粒子の平均径が非常に大きい場合は、研磨対象物の表面上に、許容し難い引っかき傷が生じる。現在のところ、平均径が約100nm〜500nm未満の範囲内であるセリアからなる研磨粒子が、最適であると考えられる。
【0019】
研磨に先立ち、前記研磨粒子を、バラバラの粒子として水中に分散させてスラリーを形成させ、該スラリーを、研磨パッドと対象物表面の間に配置させることができる。もしくは、最初に前記研磨粒子を研磨パッドに接着させ、対象物表面研磨の際に、前記研磨パッドから前記研磨粒子を分離させることで、前記CMPスラリー組成物を、本来の場で(in situ)形成させることもできる。研磨に先立って研磨粒子を分散させて水性CMPスラリー組成物を形成させる場合、前記研磨粒子は、該CMPスラリー組成物の約1.0重量%〜約8.0重量%、より好適には約2.0重量%〜約4.0重量%、もしくは3.0重量%の量にて、前記CMPスラリー組成物中に存在することが好ましい。
【0020】
本発明にかかるCMPスラリー組成物は、pH約2.8〜約6の範囲に渡って、速い二酸化ケイ素除去速度を示す。前記CMPスラリー組成物のpHは、硝酸などのpH調整化合物を用いて、約3.0〜約4.5の範囲内に調整されることが好ましい。当然のことながら、前記CMPスラリー組成物のpHは、酸及び/又は塩基の添加により調整される。前記CMPスラリー組成物のpHを下げるのに現時点で好適な酸は硝酸であり、また、前記CMPスラリー組成物のpHを上げるのに好適な塩基は、水酸化アンモニウム及び水酸化テトラメチルアンモニウムである。当然のことながら、pH調整剤の選択は重要でなく、本発明の実施にあたっては、その他の酸及び塩基を用いることができる。前記CMPスラリー組成物は、任意の界面活性剤、pH緩衝剤、消泡剤、分散剤、及び殺生物剤(以上は全て周知のものである)を含有してもよい。
【0021】
上述の通り、本発明にかかるCMPスラリー組成物は、様々な用途において、二酸化ケイ素を除去及び/又は平坦化するために用いることができる。ILDやMEMS用途で用いる場合、本発明にかかるCMPスラリー組成物は、基本的には、セリア研磨粒子(好適には約3.0重量%)と、一般式Iで表される化合物(好適にはバニリン酸約0.05重量%)と、イソプロピルアルコール(好適には約0.15重量%)と、硝酸(前記CMPスラリー組成物のpHを約3.0〜約4.5に下げるのに必要とされる量)と、殺生物剤との水分散液からなることが好ましい。STI用途で用いる(すなわち、窒化ケイ素も存在する)場合、本発明にかかるCMPスラリー組成物は、基本的に、セリア研磨粒子(好適には約3.0重量%)と、一般式Iで表される化合物(好適にはバニリン酸約0.05重量%)と、プロリン(好適には約2重量%)と、イソプロピルアルコール(好適には約0.15重量%)と、硝酸(前記CMPスラリー組成物のpHを約3.0〜約4.5に下げるのに必要とされる量)と、殺生物剤との水分散液からなることが好ましい。当然のことながら、プロリンを含むCMPスラリー組成物を、ILDやMEMS用途において使用することもできる。Srinivasan等による米国再発行特許番号6,491,843C1で教示されているように、あるCMPスラリー組成物では、プロリンにより、二酸化ケイ素除去速度に比べて、窒化ケイ素除去速度が抑制される。本願記載の濃度で使用した場合、バニリン酸は、プロリンによる窒化ケイ素抑制に悪影響を与えることはなく、二酸化ケイ素除去速度を増大させる。前記のようなCMPスラリー組成物中に存在するプロリンの量は、好適には約0.1重量%〜約10重量%、より好適には約0.6重量%〜約4.0重量%である。
【0022】
したがって、本願発明は、二酸化ケイ素を除去する方法(例えば、ILDやMEMS処理において)を提供すると共に、窒化ケイ素に優先して二酸化ケイ素を除去する方法(例えば、STI処理において)も提供する。両方法には、研磨パッドと対象物表面の間に、前述のCMPスラリー組成物を供給する段階と、前記研磨パッド及び前記対象物表面を、その間に配置された前記CMPスラリー組成物とともに押圧しつつ、前記研磨パッドと前記対象物表面を互いに相対的に動かし、前記対象物表面から二酸化ケイ素を除去する段階とが含まれる。前記対象物表面に窒化ケイ素が存在する場合、二酸化ケイ素の除去速度は、1000オングストローム(Å)/分を超え、且つ前記対象物表面からの窒化ケイ素除去速度より少なくとも25倍速いことが好ましい。
【0023】
したがって、本発明のCMPスラリー組成物及び方法は、半導体チップ作製の際、凸凹したウェハを平坦化するために用いることができる。前記のような用途において、本CMPスラリー組成物及び方法は、除去速度、選択性、フィールド酸化物のディッシング、及び最小欠陥要件(minimal defectivity requirements)を満たす点で、従来のCMPスラリー組成物及び方法を上回る利点をもたらす。また、本CMPスラリー組成物は、例えば、ガラス研磨、有機ポリマーベースの眼科用基材(ophthalmic substrates)の研磨、及び金属研磨などの、その他の研磨用途においても有用であり得る。
【0024】
以下の実施例は、本発明を例示することのみを目的とするものであり、特許請求の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。
【実施例1】
【0025】
下記表1に示された成分(重量%)を脱イオン水に分散させ、水性CMPスラリー組成物A1〜A8を調製した。
【0026】
【表1】

【0027】
各CMPスラリー組成物で使用した「CeO」は、Dmean二次粒径130nmの焼成酸化セリウムである。CMPスラリー組成物A1及びA5は、バニリン酸を含有しない対照群である。
【0028】
CMPスラリー組成物A1〜A8をそれぞれ用い、ブランケットテトラエトキシシラン(「TEOS」)膜を60秒間研磨した。研磨装置は、いずれも、Applied Materials Mirraシステムを使用した。全てのテストランにおいて、研磨条件は次の通りであった:膜圧力3.0psi、リテーニングリング圧力3.5psi、内管圧力3.0psi、ヘッドスピード93rpm、及びテーブルスピード87rpm。前記CMPスラリー組成物の流速は、いずれも150ml/分であった。研磨パッドは、いずれも、Suba IVバッキングを備えた、Rohm&Haas社のIC1000(k溝)パッドを使用した。TEOS除去速度(「RR」;オングストローム(Å)/分)を表1に示す。
【0029】
表1は、酸化セリウム濃度とバニリン酸濃度に応じた、60秒間の研磨後のブランケットTEOS膜研磨速度の効果を示している。バニリン酸が存在しない場合、2%もしくは4%の酸化セリウム(Dmean=0.13μm)を含有する処方では、TEOSの除去速度は、それぞれ、おおよそ2600オングストローム(Å)/分、もしくはおおそよ2750オングストローム(Å)/分である。バニリン酸が存在する場合、TEOS除去速度は、2.5倍も速く、4%のセリアを用いた場合、7400オングストローム(Å)/分という速い除去速度を示している。したがって、バニリン酸は、二酸化ケイ素除去速度を増大させる役割を果たしている。
【実施例2】
【0030】
下記表2に示された成分(重量%)を脱イオン水に分散させ、水性CMPスラリー組成物B1及びB2を調製した。
【0031】
【表2】

【0032】
各スラリー組成物で使用した「CeO」は、実施例1で用いたものと同一である。CMPスラリー組成物B1は、バニリン酸を含有しない対照群である。
【0033】
CMPスラリー組成物B1及びB2をそれぞれ用い、実施例1に記載の装置及び研磨条件にて、ブランケットTEOS膜を60秒間研磨した。TEOS除去速度(オングストローム(Å)/分)を表2に示す。プロリンの存在が、バニリン酸の存在により増大したTEOS除去速度に大きな影響を与えていないことがわかる。
【0034】
付加的な利点及び変更は当業者にとって容易であろう。よって、その広範な態様において本発明はここに示され記載される特定の詳細や例示された実施例に限定されるものではない。従って、添付の請求項及びその均等物により定義される発明の概念全般の精神あるいは範囲から逸脱せずに、多様な変更を行ってよい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1.0重量%〜8.0重量%の、平均径20nm〜1000nmのセリア研磨粒子と、
0.01重量%〜水への溶解限度量の、下記一般式Iで表される化合物と、
水性CMPスラリー組成物のpHを2.8〜6に調整するのに十分な量の酸と、
任意による、プロリン、溶解促進剤、界面活性剤、pH緩衝剤、消泡剤、分散剤、及び殺生物剤からなる群から選択される1種以上と、
から基本的になる水性CMPスラリー組成物。
【化1】

(式中、R、R、R、R、及びRの1種のみが水酸基(−OH)であり、R、R、R、R、及びRの1種のみがメトキシ基(−OCH)であり、水酸基(−OH)でもメトキシ基(−OCH)でもないR、R、R、R、及びRのうち3種が、水素原子(−H)である。)
【請求項2】
請求項1の水性CMPスラリー組成物であり、前記一般式Iで表される化合物が、バニリン酸であることを特徴とする組成物。
【請求項3】
請求項1の水性CMPスラリー組成物であり、0.6重量%〜4.0重量%のプロリンが存在することを特徴とする組成物。
【請求項4】
請求項1の水性CMPスラリー組成物であり、前記のCMPスラリー組成物のpHを調整するために使用される酸が、硝酸であることを特徴とする組成物。
【請求項5】
請求項1の水性CMPスラリー組成物であり、前記溶解促進剤が、イソプロピルアルコールであることを特徴とする組成物。
【請求項6】
請求項1の水性CMPスラリー組成物であり、前記のCMPスラリー組成物のpHが、3.0〜4.5であることを特徴とする組成物。
【請求項7】
請求項1の水性CMPスラリー組成物であり、前記セリア研磨粒子の最大径が、10,000nm未満であることを特徴とする組成物。
【請求項8】
請求項7の水性CMPスラリー組成物であり、前記セリア研磨粒子の平均径が、100nm〜150nmであることを特徴とする組成物。
【請求項9】
化学的機械研磨によって対象物表面から二酸化ケイ素を除去する方法であり、該方法は、
(i)研磨パッドと前記対象物表面との間に、
(a)1.0重量%〜8.0重量%の、平均径20nm〜1000nmのセリア研磨粒子と、
(b)0.01重量%〜水への溶解限度量の、下記一般式Iで表される化合物と、
(c)水性CMPスラリー組成物のpHを2.8〜6に調整するのに十分な量の酸と、
を含む水性CMPスラリー組成物を供給する段階、及び
(ii)前記研磨パッド及び前記対象物表面を、その間に配置された前記CMPスラリー組成物とともに押圧しつつ、前記研磨パッドと前記対象物表面を互いに相対的に動かし、前記表面から二酸化ケイ素を削り取る段階を含むことを特徴とする方法。
【化2】

(式中、R、R、R、R、及びRの1種のみが水酸基(−OH)であり、R、R、R、R、及びRの1種のみがメトキシ基(−OCH)であり、水酸基(−OH)でもメトキシ基(−OCH)でもないR、R、R、R、及びRのうち3種が、水素原子(−H)である。)
【請求項10】
請求項9の方法であり、化学的機械研磨に先立ち、前記セリア研磨粒子が水中に分散していることを特徴とする方法。
【請求項11】
請求項9の方法であり、最初に、前記セリア研磨粒子を研磨パッドに接着させておき、その後、化学的機械研磨の際に水中に分散させることを特徴とする方法。
【請求項12】
請求項9の方法であり、前記一般式Iで表される化合物が、バニリン酸であることを特徴とする方法。
【請求項13】
請求項9の方法であり、ILDもしくはMEMS処理において、前記二酸化ケイ素が前記対象物表面から除去されることを特徴とする方法。
【請求項14】
請求項9の方法であり、前記水性CMPスラリー組成物が、さらに、0.6重量%〜4.0重量%のプロリンを含むことを特徴とする方法。
【請求項15】
請求項14の方法であり、STI処理において、窒化ケイ素に優先して前記二酸化ケイ素が前記対象物表面から除去されることを特徴とする方法。
【請求項16】
請求項9の方法であり、前記CMPスラリー組成物のpHを調整するために使用される酸が、硝酸であることを特徴とする方法。
【請求項17】
請求項9の方法であり、前記CMPスラリー組成物が、さらに、溶解促進剤を含むことを特徴とする方法。
【請求項18】
請求項17の方法であり、前記溶解促進剤が、イソプロピルアルコールであることを特徴とする方法。
【請求項19】
請求項9の方法であり、前記セリア研磨粒子の最大径が、10,000nm未満であることを特徴とする方法。
【請求項20】
請求項19の方法であり、前記セリア研磨粒子の平均径が、100nm〜150nmであることを特徴とする方法。

【公表番号】特表2012−502501(P2012−502501A)
【公表日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−526902(P2011−526902)
【出願日】平成21年8月25日(2009.8.25)
【国際出願番号】PCT/US2009/054824
【国際公開番号】WO2010/030499
【国際公開日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【出願人】(503468695)フエロ コーポレーション (26)
【Fターム(参考)】