化粧パネルの躯体固定構造および躯体固定方法
【課題】壁面に、下地材に化粧材を積層してなる化粧パネルを一体的に設けるにあたり、作業性よく、かつ、容易に取り付けられるように構成する。
【解決手段】壁面Wに、下地材5に化粧材6を積層してなる化粧パネル4を一体的に設けるにあたり、下地材5の互いに対向する一対の端縁部に、壁面Wに向けて折曲する第一折曲片5b、5cを形成する一方、化粧材6の互いに対向する一対の端縁部に、壁面Wに向けて折曲する第一連結片6b、6cを形成し、一対の第一連結片6b、6cの弾性変形に基づいて化粧材6を下地材5に外嵌固定させる構成とする。
【解決手段】壁面Wに、下地材5に化粧材6を積層してなる化粧パネル4を一体的に設けるにあたり、下地材5の互いに対向する一対の端縁部に、壁面Wに向けて折曲する第一折曲片5b、5cを形成する一方、化粧材6の互いに対向する一対の端縁部に、壁面Wに向けて折曲する第一連結片6b、6cを形成し、一対の第一連結片6b、6cの弾性変形に基づいて化粧材6を下地材5に外嵌固定させる構成とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築物の側面、特に、開口部に開閉自在に設けられるドアの側部に設けられるエントランスユニット等を構成する化粧パネルの躯体固定構造および躯体固定方法の技術分野に属するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、建築物の壁面、特に、集合住宅のようにスペースの限られた玄関周辺の壁面に、玄関ドアに用いられる化粧材と同様の化粧材を用いて構成したエントランスユニットを設け、該エントランスユニットに、照明、ネームプレート、インターホン、新聞受け等の玄関回りに必要な部材装置を各種組み込んで機能性を高めるとともに、意匠的にも優れるようにしたものが提唱されている。前記エントランスユニットを設ける場合、化粧材を用いて構成したユニットを工場にて組み立て、このものを壁面に固定する構成とするのが簡便であるが、このようにした場合、エントランスユニットを壁面に固定するための固定具が化粧材の外部に露出するという問題がある。
【0003】
これを改善するため、壁面に当接する基材と、該基材の四周を囲繞するドア枠とを備えた取り付け枠を壁面に一体的に設け、該取り付け枠に対して、化粧材に下地材を一体化して構成した化粧パネルを固定する一方、化粧パネルと基材とのあいだの隙間に、インターホンの本体等、必要な部材を内装するように構成し、壁面固定用の固定具が外部に露出しないようにしたものが提唱されている。
【特許文献1】特開2003−64950号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかるに、前記従来のものは、化粧材に強度が不足することから、化粧材に下地材を一体化した化粧パネルを用いており、このような化粧パネルは、予め接着剤等の一体化手段を用いて一体化したものに形成しておかなければならず、作業数が増加するという問題がある。しかも、このものでは、取り付け枠、化粧パネルとを設置現場に移送し、該現場にて、予め取り付け枠を取り付けたうえで、該取り付け枠に対し化粧パネルを取り付ける作業が必要となるため、部品点数が多く、作業工程数が増加してしまうばかりでなく、低コスト化を図ることが難しいという問題があり、ここに本発明の解決すべき課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記の如き実情に鑑みこれらの課題を解決することを目的として創作されたものであって、請求項1の発明は、壁面に、下地材に化粧材を積層してなる化粧パネルを一体的に設けるにあたり、下地材の互いに対向する一対の端縁部のうち少なくとも一方の端縁部に、壁面に向けて折曲する折曲片を形成する一方、化粧材の前記折曲片に対向する端縁部に、壁面に向けて折曲する連結片を形成し、連結片の弾性変形に基づいて化粧材を下地材に外嵌固定させるように構成した化粧パネルの躯体固定構造である。
請求項2の発明は、下地材は、裏面に固定した支持ブラケットを、下地材に開設した貫通孔を介して挿通した螺子により壁面に固定されている請求項1に記載の化粧パネルの躯体固定構造である。
請求項3の発明は、下地材の折曲片が形成される端縁部には、該端縁部における一対の端部のうちの少なくとも一方の端部に、折曲片とともに切り欠いた切り欠き部を形成した請求項1または2の何れか一項に記載の化粧パネルの躯体固定構造である。
請求項4の発明は、化粧材の連結片は、化粧材端縁よりも内側に偏寄して形成されている請求項1乃至3の何れか一項に記載の化粧パネルの躯体固定構造である。
請求項5の発明は、化粧材の連結片には、下地材折曲片との当接で連結片を弾性変形させる膨出部が形成されている請求項1乃至4の何れか一項に記載の化粧パネルの躯体固定構造である。
請求項6の発明は、下地材の折曲片を、下地材本体部とのあいだに鋭角を形成するよう傾斜状に折曲し、膨出部は、傾斜状の折曲片に係止して抜け止めされるように構成されている請求項1乃至5の何れか一項に記載の化粧パネルの躯体固定構造である。
請求項7の発明は、下地材に外嵌する化粧材は、建築物の躯体開口部に開閉自在に設けられるドア体の一側部に配される上下方向長尺状のエントランスユニットを構成するものとし、下地材折曲片と化粧材連結片とは、それぞれの長手方向端縁部となる左右端縁部の少なくとも一方に形成されている請求項1乃至6の何れか一項に記載の化粧パネルの躯体固定構造である。
請求項8発明は、下地材の折曲片が形成されない他方の対向端縁部には、下地材の取り付け位置の位置決めをする位置決め片が形成されている請求項1乃至7の何れか一項に記載の化粧パネルの躯体固定構造である。
請求項9の発明は、下地材に形成された位置決め片は、ドア枠に突き当てられている請求項7または8に記載の化粧パネルの躯体固定構造である。
請求項10の発明は、壁面に、下地材に化粧材を積層してなる化粧パネルを一体的に設けるにあたり、互いに対向する一対の端縁部のうち少なくとも一方の端縁部に壁面に向けて折曲する折曲片が形成された下地材を、予め壁面に固定し、その後、前記折曲片に対向する端縁部に壁面に向けて折曲する連結片が形成された化粧材を、連結片の弾性変形に基づいて下地材に外嵌固定するようにした化粧パネルの躯体固定方法である。
【発明の効果】
【0006】
請求項1の発明とすることにより、予め下地材と化粧材とを積層状態に一体化しておく必要がなくなり、直接設置現場でこれらを一体化しつつ設置することができて、簡単に取り付けることができて、作業性が向上する。
請求項2の発明とすることにより、取り付け枠を設けないにもかかわらず、化粧材を壁面に固定するのに必要な螺子が外部に露出することがなく、意匠性に優れる。
請求項3の発明とすることにより、化粧材連結片と下地材折曲片とを強固に一体化できるものでありながら、化粧材を下地材に外嵌させる作業を円滑、かつ、容易に行える。
請求項4の発明とすることにより、意匠性が優れるうえ、外嵌作業が容易になる。
請求項5、6の発明とすることにより、化粧材を下地材に抜け止め状に外嵌させることができる。
請求項7、8、9の発明とすることにより、玄関ドアに対して正確な位置決めをした状態で取り付けることができる。
請求項10の発明とすることにより、予め下地材と化粧材とを積層状態に一体化する必要がなくなり、しかも、直接設置現場でこれらを一体化しつつ設置することができて、作業性が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
つぎに、本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。
図面において、1は集合住宅の玄関開口部に設けられる玄関ドア(開閉用ドア)であって、該玄関ドア1は、躯体を構成する壁面Wに形成した開口部に一体的に設けられるドア枠(四周枠)2に対して開閉するよう構成されている。前記ドア枠2は、上下枠部2a、2b、左右枠部2c、2dとを備えて構成されており、上下枠部2a、2bの右端部に配した回動支軸1aを玄関ドア1の右端縁部に一体的に連結することにより、玄関ドア1は、右端縁部位を基準として表裏方向(屋内外方向)に揺動して、開口部(玄関)の開閉をするように構成されている。
ここで、玄関ドア1は、金属製板材からなる表裏一対の面板1b、1cと、これら面板1b、1c間に介装される断熱性材からなるコア材1dとを備えて構成されていること等は、従来、汎用される構成となっている。
【0008】
そして、図1に示すように、ドア枠2を構成する左枠部2cの左側に隣接する壁面Wに、本発明が実施された上下方向長尺状のエントランスユニット3が設けられている。
本発明が実施されたエントランスユニット3は、玄関ドア1の上下方向長さと略同じ長さに形成され、玄関ドア1の表面板(屋外側面板)1bと略面一状に位置して配される化粧パネル4を、直接壁面Wに取り付けることにより構成されている。しかも、前記化粧パネル4は、壁面Wと対向状に配される裏面側の下地材5と、玄関ドア1の表面板1bと同様の金属製板材からなる表面側の化粧材6とが一体的に積層された積層構造となっていて、パネル面の強度が確保されるように構成されるが、本発明が実施された化粧パネル4は、設置現場において下地材5と化粧材6とを組み込む構成となっていて、予め下地材5と化粧材6とを一体的に積層構造としたものを用意する必要がなく、設置現場で作業性良く取り付けることができるように構成されている。
【0009】
前記下地材5は、化粧材6よりも板厚の厚い金属製板材を用いて形成されており、化粧パネル4のパネル面を構成する本体部5aを備え、該本体部5aの左右の両端縁部(本実施の形態では、左右両端部に形成されているが、一方であってもよい)に、壁面W(裏面)側に向けて折曲する一対の第一折曲片(本発明の折曲片)5b、5cがそれぞれ形成されている。前記各第一折曲片5b、5cは、それぞれ下地材5の本体部5aとのあいだになす角度が鋭角となるよう、表裏方向に対して傾斜する状態で折り返し状に折曲形成されており、第一折曲片5b、5cの折曲基端部に鋭角部5d、5eが下地材5の左右の端縁となるように形成されている。
【0010】
また、下地材5の上下の両端縁部(折曲片5b、5cが形成されない互いに対向する一対の端縁部)には、壁面W側に向けて直角状に折曲された一対の第二折曲片5f、5gが形成され、これら第二折曲片5f、5gの折曲先端縁部には、互いに近接する側に向けて折り返され、壁面Wに固定するとき壁面Wに突き当てられる第三折曲片5h、5iがそれぞれ形成されている。そして、これら上下の第二、第三折曲片5f、5g、5h、5iの玄関ドア1側に位置する右端部には、鋭角部5eよりも玄関ドア1側に突出する上下の位置決め片5j、5kがそれぞれ形成されており、後述するように、これら上下の位置決め片5j、5kをドア枠2の左枠体2cに突き当てることで、下地材5のドア枠2に対する位置決めがなされ、下地材5を壁面Wに対して位置決めした状態で固定することができるように設定されている。
さらに、下地材5は、上下端縁部における左右端縁部、即ち、四つのコーナー部において、鋭角部5d、5e、および、第一、第二、第三折曲片5b、5c、5f、5g、5h、5iに至る部位を切り落とす状態で切り欠き部5mが形成されているとともに、本体部5aの左右方向両端部には、躯体固定用の一対の貫通孔5nが上下方向複数箇所に位置して開設されている。
【0011】
一方、化粧材6は、下地材本体部5aに積層する本体部6aと、該本体部6aの左右両端縁部に、壁面W(裏面)側に向けて折曲する一対の第一連結片6b、6cがそれぞれ形成されている。ここで、化粧材6の本体部6aの左右幅は、下地材本体部5aの左右幅よりも幅広に形成されている。
そして、玄関ドア1側である右端側に形成される第一連結片6cは、本体部6aの右端縁を内側に折り返した先端縁から壁面W(裏面)に向けて形成されており、これによって、右端側の第一連結片6cが本体部6a右端縁よりも内側に偏寄して延出しており、後述するように、化粧パネル4(化粧材本体部6a)をドア枠2の左側に隣接させたとき、右端側の第一連結片6cとドア枠2の左枠部2cとのあいだに間隙が形成されるように設定されている。さらに、これら一対の第一連結片6b、6cは、本体部6aに対して90度の角度を存するように折曲されており、該折曲先端部を内側に折り返すことにより、互いに近接する方向(内側)に膨出する膨出部6d、6eが形成されている。これら膨出部6d、6eは、本実施の形態では、最も内側に突出する膨出頂部6f、6gを折り山とする折曲片で形成されており、膨出頂部6f、6gの形成位置は、化粧材6を下地材5に外嵌し、化粧材本体部6aを下地材5の本体部5aに当接させる積層状態としたとき、鋭角部5d、5eの先端側、即ち、第一折曲片5b、5cの先端側部位に対向し、これによって、化粧材6を下地材5に外嵌させたとき、化粧材本体部5aと第一連結片5b、5cとのなす角度が略90度になるように形成されている。
また、これら左右の膨出部6d、6e同士の対向間隔H1は、下地材5の左右の鋭角部5d、5eにより設定される下地材5の左右幅H2よりも狭い(H1<H2)長さとなるように設定されている。因みに、連結片6b、6cの対向間隔H3は、下地材5の左右幅H2と略同長さ(H3=H2)となるように設定されている。
さらに、化粧材6の上下端縁部(連結片6b、6cが形成されない互いに対向する一対の端縁部)には、壁面W側に向けて直角状に折曲された第二連結片6h、6iがそれぞれ形成されている。これら第二連結片6h、6iの対向間隔は、下地材5の上下の第二折曲片5f、5gに外嵌可能な長さに設定されている。
【0012】
そして、下地材5は、下地材5に開設された貫通孔5n形成部位に対向して壁面W側の面(裏面)に固定される支持ブラケット7を介して壁面Wに固定されるが、前記支持ブラケット7は、下地材5の左右幅よりも短く設定された躯体取り付け片部7aと、該躯体取り付け片部7aの左右両端部からそれぞれ表面側(下地材本体部5a側)に突出する一対の脚片部7bと、該各脚片部7bの先端縁部から互いに対向する側に向けて折曲形成された一対の下地材取り付け片部7cとを備えて構成されている。そして、支持ブラケット7は、下地材取り付け片部7cを下地材5の裏面にあてがい、下地材5の表面側から螺合する螺子7dにより下地材5の裏面に固定されるように設定されている。この取り付け状態とすることにより、支持ブラケット7は、躯体取り付け片部7aと下地材本体部5aとのあいだに脚片部7bの長さに相当する空隙部が形成されるように設定されている。
また、支持ブラケット7の躯体取り付け片部7aには、下地材貫通孔5nに対して表裏方向に連通し、該貫通孔5nよりは小径な左右方向長孔状の貫通孔7eが開設されている。尚、脚片部7bの表裏方向長さは、上下の第二折曲片5f、5gの表裏方向長さと同じ長さで、第一折曲片5b、5cの表裏方向長さよりは長くなるように寸法設定されている。
【0013】
そして、支持ブラケット7が固定された下地材5は、支持ブラケット7の躯体取り付け片部7aを、玄関ドア1のドア枠2の左側に位置する壁面Wに突き当て、下地材本体部5aに開設された貫通孔5nから挿通した螺子8を、躯体取り付け片部7aに開設された貫通孔7eの孔縁に緊締することにより、壁面Wに固定されるように設定されている。このとき、下地材5は、上下の第二、第三折曲片5f、5g、5h、5iに一体形成された上下の位置決め片5j、5kの右端縁を、ドア枠2の上下の左端面に突き当てることにより、下地材5の左右方向の位置決めができるように設定されている。また、下地材5の上下方向の位置決めは、下地材本体部5aの上端縁を上枠部2aの上端縁部に位置合せすることでなされるように設定されている。
また、下地材5の壁面Wへの取り付け状態において、下地材本体部5aと壁面Wとのあいだに支持ブラケット脚片部7bの表裏長さに相当する空隙部が形成されている。
【0014】
続いて、壁面Wに固定された下地材5に化粧材6を組み込むことでエントランスユニット3の化粧パネル4が構成されるが、化粧材6は、下地材本体部5aの表面側に本体部6aを対向せしめ、上下の第二連結片6h、6iの先端部を上下の第二折曲片5f、5gの外側にあてがうとともに、左右何れか一方となる第一連結片6bまたは6c(本実施の形態では左端側とする)の膨出部6d先端を左端側の鋭角部5dにあてがう状態にセットする。
この状態から、本体部6aの左端側部位を下地材5側に押し付けることにより、膨出部6dの、該膨出部6d先端から膨出頂部6fに至る傾斜面6jが下地材第一折曲片5bにガイドされる状態で、第一連結片6bが弾性変形しつつ、第一折曲片5b先端側に押し込まれるように設定されている。そして、前記押し込み操作によって膨出部6dが鋭角部5dを乗り越えることにより、膨出部6dの膨出頂部6fから本体部6a側に至る傾斜面6kが、第一折曲片5bの傾斜状の折曲先端部に弾圧状に密着する嵌め込み状態となるように設定されている。
ここで、下地材5は、本体部5aの四つのコーナー部において切り欠き部5mが形成されて鋭角部5dが切り落とされている。このため、左端側第一連結片6bを、左端側第一折曲片5bに嵌め込む作業を行う場合に、該切り欠き部5mにおいて化粧材第一連結片6bは弾性変形することなく、下地材第一折曲片5bに外嵌させることができ、そしてこの切り欠き部5mにおいて、第一連結片6bの姿勢を第一折曲片5bに対して傾斜した姿勢として、第一連結片6bを、切り欠き部5mに隣接する第一折曲片5bに斜めに突き当てて軽外嵌状態とすることにより、該部位から第一連結片6bを弾性変形させながら第一折曲片5bに押し込む作業を円滑、かつ、容易に行うことができるようにしている。因みに、化粧材6と下地材5とは、嵌め込み作業が容易である一方で、化粧材6が下地材5から脱落しないように装着することが要求される。このため、本実施の形態では、切り欠き部5mを第一折曲片5bの上下端部に形成することにより、上下方向一方から他端に向けて嵌め込み作業を実施することにより、嵌め込み作業が円滑、かつ、容易になり、しかも、切り欠き量を可及的に少なくすることができる。これによって、化粧材6を下地材5に対して円滑、かつ、容易に嵌め込むことができるものでありながら、化粧材6が下地材5から脱落しないようにできる。
【0015】
続いて、化粧材6の右端側第一連結片6cを下地材5の右端側第一折曲片5cに嵌め込むが、この場合に、前記左端側と同様に、上下方向一方端部から前記手順により嵌め込むことにより、膨出部6eの、該膨出部6e先端から膨出頂部6gに至る傾斜面6jが右端側第一折曲片5cにガイドされる状態で右端側第一連結片6cを弾性変形させつつ、第一折曲片5b先端側に押し込まれ、膨出部6fが鋭角部5eを乗り越えることにより、膨出部6eの膨出頂部6gから本体部6a側に至る傾斜面6kが、第一折曲片5cの傾斜状の折曲先端部に弾圧状に密着する嵌め込み状態となるように設定され、この状態となると、下地材5と化粧材6の本体部5a、6a同士、上下の第二折曲片5f、5gと上下の第二連結片6h、6i同士がそれぞれ密着状態となるように設定されている。このように、エントランスユニット3の化粧パネル4は、壁面Wに予め固定された下地材5に、化粧材6を、第一連結片6b、6cの弾性変形に基づいて強制的に押し込むことにより外嵌され、これによって、化粧パネル4の壁面Wへの取り付けがなされるように設定されている。尚、この取り付け状態において、第一連結片6b、6cは、前述したように、鋭角状に折曲する第一折曲片5b、5cに沿って嵌着されることで壁面Wに対し直交状態となるように設定されており、これによって、意匠性を高められるようにしている。
このとき、玄関ドア1側となる右端側第一連結片6cは、前述したように、本体部6a内側の裏面側部位から延出するように折曲されていて、本体部6aの右端縁が第一連結片6cよりも右端側に突出する突出部6mとなっている。このように突出部6mを形成して、右端側第一連結片6cと左枠部2cとのあいだに間隙を形成することにより、右端側第一折曲片5cに右端側第一連結片6cを外嵌させるときに、第一連結片6cの弾性変形を前記間隙において行うことができ、外嵌負荷を低減させることができて作業効率がアップし、しかも、前記間隙を突出部6mにより塞ぐことができるので、意匠性を損なうことがないように構成されている。
因みに、化粧パネル4の壁面Wへの組み込み状態において、化粧材本体部6aと玄関ドア1の表面板1bとが略面一状となるように設定されている。
【0016】
そして、前記化粧パネル4のパネル面には、下地材本体部5a、化粧材本体部6aに予め適宜形状に設定された開口を開設しておくことにより、照明灯取り付け用開口4a、ネームプレート取り付け用開口4b、インターホン取り付け用開口4c、新聞受け用開口4dがそれぞれ開設されており、これら開口4a、4b、4c、4dに照明灯9、ネームプレート10、インターホン11、新聞受け12からなる部材装置を適宜取り付けることによりエントランスユニット3が構成されている。
ここで、図8(A)、(B)、(C)にネームプレート用開口4b、図8(D)、(E)、(F)にインターホン用開口4cの図面を示すが、ネームプレート10、インターホン11を化粧パネル4に固定するためのフック孔4eは、下地材5と化粧材6とを貫通する状態で形成され、かつ、化粧材6側に開設されるフック孔は、上方に貫通操作が円滑になるよう大径部が形成され、下方に確実な止め付けが可能な小径部が形成される構成となっており、これによって、ネームプレート10、インターホン11を簡単な操作で確実に固定できるようにしている。そして、これら各部材は、壁面Wと化粧パネル4とのあいだに形成される隙間を利用して壁面Wに対して面一状となるように取り付けられている。
【0017】
叙述の如く構成された本形態において、下地材5と化粧材6とを積層状に組み込むことで構成される化粧パネル4を壁面Wに固定するにあたり、躯体壁面W固定用の支持ブラケット7が取り付けられた下地材5を予め躯体壁面Wに固定し、続いて、化粧材6に形成された一対の第一連結片6b、6cを弾性変形させることにより、下地材5に形成された一対の第一折曲片5b、5cに外嵌させることで下地材5に対して化粧材6が抜け止め状に一体化され、化粧パネル4の躯体壁面Wへの取り付けができる。これによって、予め化粧パネル4を下地材5と化粧材6とを積層状態に一体化しておく必要がなくなり、直接設置現場でこれらを一体化しつつ化粧パネル4を設置することができ、簡単な作業で取り付けが可能となって、作業性の向上を果すことができる。そのうえ、下地材5と化粧材6とを一体化したとき、第一連結片6b、6cが弾圧状に第一折曲片5b、5cに外嵌した状態となるので、格別一体化手段を用いることなく抜け止め状に外嵌させることができ、作業工程数の削減を果すことができる。
【0018】
そのうえ、このものでは、予め下地材5を支持ブラケット7を用いて壁面Wに固定し、該壁面Wに固定された下地材5に対して化粧材6を外嵌させる構成としたので、予め壁面に取り付け枠を設ける必要のない構成でありながら、壁面Wとの固定に必要な螺子7d、8が化粧材6により覆われて、化粧パネル4表面に露出することがなく、意匠性の高い化粧パネル4とすることができる。
【0019】
また、このものでは、下地材5の第一折曲片5b、5cの上下端部を切り落とす状態で切り欠き部が形成されているため、該部位においては化粧材6の第一連結片6b、6cを弾性変形させることなく下地材5に化粧材6を外嵌させることができ、該嵌め込んだ部位から第一折曲片5b、5c側に第一連結片6b、6cを順次押し込む作業を行うことで、第一連結片6b、6cを第一折曲片5b、5cに容易、かつ、円滑に嵌め込むことができ、化粧材6と下地材5とを強固に一体化することができるものでありながら、これらの嵌め込み作業を容易、かつ、円滑に行うことができる。
【0020】
しかも、このものでは、化粧材6の第一連結片6b、6cのうち、玄関ドア1に近接する第一連結片6cは、本体部6aの内側に偏寄して形成されているので、意匠性が損なわれることを回避しながら、第一折曲片5cへの外嵌作業が容易にできる。
【0021】
さらに、このものでは、第一連結片6b、6cにそれぞれ膨出部6f、6gが形成されており、該膨出部6f、6gを第一折曲片5b、5cに押し込むことにより、第一連結片6b、6cが強制的に弾性変形して外嵌させることができるうえ、該外嵌状態となると、膨出部6f、6gが下地材5からの抜け止めをすることができる。
【0022】
そのうえ、このものでは、化粧パネル4が玄関ドア1の側部に隣接して配設される構成であるが、化粧パネル4は、下地材5の第二、第三折曲片5f、5g、5h、5iに延設した上下の位置決め片5j、5kを玄関ドア1のドア枠2に対して突き当てることにより、左右方向の取り付け位置の位置決めを行うことができ、玄関ドア1に対して正確な位置決めをすることができる。
【0023】
尚、本発明は前記実施の形態に限定されないことは勿論であって、図9に示す第二の実施の形態のようにすることもできる。
第二の実施の形態の化粧パネル13は、前記第一の実施の形態と同様の基本構成となった下地材14と化粧材15とを備えて構成されるが、化粧パネル13は、玄関ドア1の上部に位置する壁面W(欄間部位)に固定されている。
そして、この場合に、下地材14は、上下の端縁部に第一折曲片14aが形成され、左右の端縁部にそれぞれ第二、第三折曲片14b、14cが折曲形成されている。一方、化粧材15は、上下の端縁部に第一連結片15aが形成され、左右の端縁部にそれぞれ第二連結片15bが折曲形成されている。そして、このものでも、下地材14の壁面Wに支持ブラケット16を予め固定し、該支持ブラケット16を躯体に固定した後、下地材第一折曲片14aに、化粧材第一連結片15aを弾性変形させながら外嵌せしめ、第一連結片15a先端の膨出部15cを第一折曲片14aに抜け止め状に係止させる一方、第二折曲片14bに化粧材第二連結片15bを外嵌させることで、化粧材15を下地材14に一体化するように構成されている。このようにすることにより、化粧パネル13の壁面Wへの固定が容易で、作業性良く化粧パネル13を取り付けることができるうえ、化粧材15の本体部15dと玄関ドア1の表面板1bとを簡単な構成で面一状態とすることができ、しかも、化粧材本体部15dと玄関ドア1の表面板1bとを同様の板材で構成することにより、意匠性の優れた玄関回りとすることができる。尚、このものにおいて、化粧材の第二連結片15bのうち、左側の第二連結片15bを本体部15c側に偏寄して形成することにより、化粧パネル13の右方に化粧材15の突出部15eが形成されて、左枠部2cに形成された段差部を塞ぐことができるようにしている。
【0024】
さらに、図10に示す第三の実施の形態のように構成することができる。
このものは、L字形の壁面Wに複数の化粧パネル17が固定されているものであり、各化粧パネル17は、左右方向に複数分割され、上下方向長尺形状に形成されており、各化粧パネル17は、予め支持ブラケット18が取り付けられた下地材19を壁面Wに固定した後、化粧材20を外嵌させる構成となっている。このものでは、化粧材20の左右方向一方の端縁部に折り返し部20aを形成したもの、段差部20bを形成したものを適宜隣接せしめ、折り返し部20aと段差部20aとをオーバーラップさせて隣接する化粧パネル17同士のあいだから壁面Wが露出しないように配慮されている。尚、本実施の形態の下地材19は、化粧材20に段差部20bを形成するために折曲片19aに段差部19bが形成されたものがある。
【0025】
尚、図11に、下地材の折曲片と化粧材の連結片との他例についての側面図を示す。
これらは何れのものも、化粧材の連結片が弾性変形することにより下地材の折曲片に外嵌する構成であり、図11(A)のものは、化粧材21の左側端縁部に形成される連結片21aの先端部に抜け止め片21bを形成し、該抜け止め辺21bを下地材22の直角状に折り返し状に折曲する折曲片22aに係止するまで押し込むことで抜け止めがなされる構成となっている。尚、このものの場合、予め、化粧材21の連結片21aを弾性変形させることなく下地材22に外嵌せしめたうえ、前記第一の実施の形態と同じ構成の右側端縁部の連結片を折曲片に対して弾性変形を伴って外嵌させる構成とすることもできる。
また、図11(B)のものは、化粧材23の連結片23aに形成された折り返し片23bを、下地材24の折曲片24aに形成した折り返し片24bに押し込んで外嵌することで抜け止めされている。
図11(C)のものは、化粧材25の連結片25aに形成された折り返し片25bを、下地材26の折曲片26aに形成した折り返し片26bに押し込んで内嵌させることにより抜け止めされている。
図11(D)のものは、化粧材27の連結片27aと下地材28の折曲片28cとを円弧状に形成し、連結片27aを折曲片28cに押し込んで外嵌させることにより、これらの曲率に基づいて抜け止めがなされている。尚、このものでは、右端縁部において化粧材27を下地材28に外嵌させた後、左端縁部において弾性変形を伴う外嵌をさせる構成となっており、このようにすることにより、化粧材27と下地材28とは、対向する端縁部同士の一方にのみ、連結片、折曲片を設ける構成とすることができる。
図11(E)のものは、化粧材29の連結片29aの先端に形成した折り返し片29bを、下地材30の折曲片30aに形成した折り返し片30bに沿って押し込み、化粧材29側の折り返し片29b先端を下地材30側の折り返し片30b先端面に突き当てることにより抜け止めされている。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】玄関ドアとエントランスユニットとの正面図である。
【図2】玄関ドアとエントランスユニットとの平面断面図である。
【図3】図3(A)、(B)はそれぞれ玄関ドア部の側面断面図、エントランスユニット部の側面断面図である。
【図4】エントランスユニットの正面図である。
【図5】図5(A)、(B)、(C)はそれぞれ下地材の平面断面図、化粧材の平面断面図、下地材に化粧材を外嵌させた平面断面図である。
【図6】図6(A)、(B)はそれぞれ下地材に支持ブラケットを固定した状態を説明する正面図、X−X平面断面図である。
【図7】図7(A)、(B)、(C)はそれぞれ下地材の正面図、下地材に支持ブラケット、化粧材を組み込んだ状態の正面図、下地材に支持ブラケット、化粧材を組み込んだ状態の側面断面図である。
【図8】図8(A)、(B)、(C)、(D)、(E)、(F)はそれぞれエントランスパネルのネームプレート部の正面図、図8(A)のX−X断面図、背面図、インターホン部の正面図、図8(D)のX−X断面図、背面図である。
【図9】図9(A)、(B)はそれぞれ第二の実施の形態の化粧パネル取り付け状態を説明する側面断面図、平面断面図である。
【図10】第三の実施の形態の化粧パネル取り付け状態を説明する平面断面図である。
【図11】図11(A)、(B)、(C)、(D)、(E)はそれぞれ下地材と化粧材との嵌合状態を説明する平面図である。
【符号の説明】
【0027】
1 玄関ドア
2 ドア枠
3 エントランスユニット
4 化粧パネル
5 本体部
5a 本体部
5b 第一折曲片
5d 鋭角部
5f 第二折曲片
5h 第三折曲片
5j 位置決め片
6 化粧材
6a 本体部
6b 第一連結片
6d 膨出部
6f 膨出頂部
6h 第二連結片
7 支持ブラケット
8 螺子
9 照明灯
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築物の側面、特に、開口部に開閉自在に設けられるドアの側部に設けられるエントランスユニット等を構成する化粧パネルの躯体固定構造および躯体固定方法の技術分野に属するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、建築物の壁面、特に、集合住宅のようにスペースの限られた玄関周辺の壁面に、玄関ドアに用いられる化粧材と同様の化粧材を用いて構成したエントランスユニットを設け、該エントランスユニットに、照明、ネームプレート、インターホン、新聞受け等の玄関回りに必要な部材装置を各種組み込んで機能性を高めるとともに、意匠的にも優れるようにしたものが提唱されている。前記エントランスユニットを設ける場合、化粧材を用いて構成したユニットを工場にて組み立て、このものを壁面に固定する構成とするのが簡便であるが、このようにした場合、エントランスユニットを壁面に固定するための固定具が化粧材の外部に露出するという問題がある。
【0003】
これを改善するため、壁面に当接する基材と、該基材の四周を囲繞するドア枠とを備えた取り付け枠を壁面に一体的に設け、該取り付け枠に対して、化粧材に下地材を一体化して構成した化粧パネルを固定する一方、化粧パネルと基材とのあいだの隙間に、インターホンの本体等、必要な部材を内装するように構成し、壁面固定用の固定具が外部に露出しないようにしたものが提唱されている。
【特許文献1】特開2003−64950号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかるに、前記従来のものは、化粧材に強度が不足することから、化粧材に下地材を一体化した化粧パネルを用いており、このような化粧パネルは、予め接着剤等の一体化手段を用いて一体化したものに形成しておかなければならず、作業数が増加するという問題がある。しかも、このものでは、取り付け枠、化粧パネルとを設置現場に移送し、該現場にて、予め取り付け枠を取り付けたうえで、該取り付け枠に対し化粧パネルを取り付ける作業が必要となるため、部品点数が多く、作業工程数が増加してしまうばかりでなく、低コスト化を図ることが難しいという問題があり、ここに本発明の解決すべき課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記の如き実情に鑑みこれらの課題を解決することを目的として創作されたものであって、請求項1の発明は、壁面に、下地材に化粧材を積層してなる化粧パネルを一体的に設けるにあたり、下地材の互いに対向する一対の端縁部のうち少なくとも一方の端縁部に、壁面に向けて折曲する折曲片を形成する一方、化粧材の前記折曲片に対向する端縁部に、壁面に向けて折曲する連結片を形成し、連結片の弾性変形に基づいて化粧材を下地材に外嵌固定させるように構成した化粧パネルの躯体固定構造である。
請求項2の発明は、下地材は、裏面に固定した支持ブラケットを、下地材に開設した貫通孔を介して挿通した螺子により壁面に固定されている請求項1に記載の化粧パネルの躯体固定構造である。
請求項3の発明は、下地材の折曲片が形成される端縁部には、該端縁部における一対の端部のうちの少なくとも一方の端部に、折曲片とともに切り欠いた切り欠き部を形成した請求項1または2の何れか一項に記載の化粧パネルの躯体固定構造である。
請求項4の発明は、化粧材の連結片は、化粧材端縁よりも内側に偏寄して形成されている請求項1乃至3の何れか一項に記載の化粧パネルの躯体固定構造である。
請求項5の発明は、化粧材の連結片には、下地材折曲片との当接で連結片を弾性変形させる膨出部が形成されている請求項1乃至4の何れか一項に記載の化粧パネルの躯体固定構造である。
請求項6の発明は、下地材の折曲片を、下地材本体部とのあいだに鋭角を形成するよう傾斜状に折曲し、膨出部は、傾斜状の折曲片に係止して抜け止めされるように構成されている請求項1乃至5の何れか一項に記載の化粧パネルの躯体固定構造である。
請求項7の発明は、下地材に外嵌する化粧材は、建築物の躯体開口部に開閉自在に設けられるドア体の一側部に配される上下方向長尺状のエントランスユニットを構成するものとし、下地材折曲片と化粧材連結片とは、それぞれの長手方向端縁部となる左右端縁部の少なくとも一方に形成されている請求項1乃至6の何れか一項に記載の化粧パネルの躯体固定構造である。
請求項8発明は、下地材の折曲片が形成されない他方の対向端縁部には、下地材の取り付け位置の位置決めをする位置決め片が形成されている請求項1乃至7の何れか一項に記載の化粧パネルの躯体固定構造である。
請求項9の発明は、下地材に形成された位置決め片は、ドア枠に突き当てられている請求項7または8に記載の化粧パネルの躯体固定構造である。
請求項10の発明は、壁面に、下地材に化粧材を積層してなる化粧パネルを一体的に設けるにあたり、互いに対向する一対の端縁部のうち少なくとも一方の端縁部に壁面に向けて折曲する折曲片が形成された下地材を、予め壁面に固定し、その後、前記折曲片に対向する端縁部に壁面に向けて折曲する連結片が形成された化粧材を、連結片の弾性変形に基づいて下地材に外嵌固定するようにした化粧パネルの躯体固定方法である。
【発明の効果】
【0006】
請求項1の発明とすることにより、予め下地材と化粧材とを積層状態に一体化しておく必要がなくなり、直接設置現場でこれらを一体化しつつ設置することができて、簡単に取り付けることができて、作業性が向上する。
請求項2の発明とすることにより、取り付け枠を設けないにもかかわらず、化粧材を壁面に固定するのに必要な螺子が外部に露出することがなく、意匠性に優れる。
請求項3の発明とすることにより、化粧材連結片と下地材折曲片とを強固に一体化できるものでありながら、化粧材を下地材に外嵌させる作業を円滑、かつ、容易に行える。
請求項4の発明とすることにより、意匠性が優れるうえ、外嵌作業が容易になる。
請求項5、6の発明とすることにより、化粧材を下地材に抜け止め状に外嵌させることができる。
請求項7、8、9の発明とすることにより、玄関ドアに対して正確な位置決めをした状態で取り付けることができる。
請求項10の発明とすることにより、予め下地材と化粧材とを積層状態に一体化する必要がなくなり、しかも、直接設置現場でこれらを一体化しつつ設置することができて、作業性が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
つぎに、本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。
図面において、1は集合住宅の玄関開口部に設けられる玄関ドア(開閉用ドア)であって、該玄関ドア1は、躯体を構成する壁面Wに形成した開口部に一体的に設けられるドア枠(四周枠)2に対して開閉するよう構成されている。前記ドア枠2は、上下枠部2a、2b、左右枠部2c、2dとを備えて構成されており、上下枠部2a、2bの右端部に配した回動支軸1aを玄関ドア1の右端縁部に一体的に連結することにより、玄関ドア1は、右端縁部位を基準として表裏方向(屋内外方向)に揺動して、開口部(玄関)の開閉をするように構成されている。
ここで、玄関ドア1は、金属製板材からなる表裏一対の面板1b、1cと、これら面板1b、1c間に介装される断熱性材からなるコア材1dとを備えて構成されていること等は、従来、汎用される構成となっている。
【0008】
そして、図1に示すように、ドア枠2を構成する左枠部2cの左側に隣接する壁面Wに、本発明が実施された上下方向長尺状のエントランスユニット3が設けられている。
本発明が実施されたエントランスユニット3は、玄関ドア1の上下方向長さと略同じ長さに形成され、玄関ドア1の表面板(屋外側面板)1bと略面一状に位置して配される化粧パネル4を、直接壁面Wに取り付けることにより構成されている。しかも、前記化粧パネル4は、壁面Wと対向状に配される裏面側の下地材5と、玄関ドア1の表面板1bと同様の金属製板材からなる表面側の化粧材6とが一体的に積層された積層構造となっていて、パネル面の強度が確保されるように構成されるが、本発明が実施された化粧パネル4は、設置現場において下地材5と化粧材6とを組み込む構成となっていて、予め下地材5と化粧材6とを一体的に積層構造としたものを用意する必要がなく、設置現場で作業性良く取り付けることができるように構成されている。
【0009】
前記下地材5は、化粧材6よりも板厚の厚い金属製板材を用いて形成されており、化粧パネル4のパネル面を構成する本体部5aを備え、該本体部5aの左右の両端縁部(本実施の形態では、左右両端部に形成されているが、一方であってもよい)に、壁面W(裏面)側に向けて折曲する一対の第一折曲片(本発明の折曲片)5b、5cがそれぞれ形成されている。前記各第一折曲片5b、5cは、それぞれ下地材5の本体部5aとのあいだになす角度が鋭角となるよう、表裏方向に対して傾斜する状態で折り返し状に折曲形成されており、第一折曲片5b、5cの折曲基端部に鋭角部5d、5eが下地材5の左右の端縁となるように形成されている。
【0010】
また、下地材5の上下の両端縁部(折曲片5b、5cが形成されない互いに対向する一対の端縁部)には、壁面W側に向けて直角状に折曲された一対の第二折曲片5f、5gが形成され、これら第二折曲片5f、5gの折曲先端縁部には、互いに近接する側に向けて折り返され、壁面Wに固定するとき壁面Wに突き当てられる第三折曲片5h、5iがそれぞれ形成されている。そして、これら上下の第二、第三折曲片5f、5g、5h、5iの玄関ドア1側に位置する右端部には、鋭角部5eよりも玄関ドア1側に突出する上下の位置決め片5j、5kがそれぞれ形成されており、後述するように、これら上下の位置決め片5j、5kをドア枠2の左枠体2cに突き当てることで、下地材5のドア枠2に対する位置決めがなされ、下地材5を壁面Wに対して位置決めした状態で固定することができるように設定されている。
さらに、下地材5は、上下端縁部における左右端縁部、即ち、四つのコーナー部において、鋭角部5d、5e、および、第一、第二、第三折曲片5b、5c、5f、5g、5h、5iに至る部位を切り落とす状態で切り欠き部5mが形成されているとともに、本体部5aの左右方向両端部には、躯体固定用の一対の貫通孔5nが上下方向複数箇所に位置して開設されている。
【0011】
一方、化粧材6は、下地材本体部5aに積層する本体部6aと、該本体部6aの左右両端縁部に、壁面W(裏面)側に向けて折曲する一対の第一連結片6b、6cがそれぞれ形成されている。ここで、化粧材6の本体部6aの左右幅は、下地材本体部5aの左右幅よりも幅広に形成されている。
そして、玄関ドア1側である右端側に形成される第一連結片6cは、本体部6aの右端縁を内側に折り返した先端縁から壁面W(裏面)に向けて形成されており、これによって、右端側の第一連結片6cが本体部6a右端縁よりも内側に偏寄して延出しており、後述するように、化粧パネル4(化粧材本体部6a)をドア枠2の左側に隣接させたとき、右端側の第一連結片6cとドア枠2の左枠部2cとのあいだに間隙が形成されるように設定されている。さらに、これら一対の第一連結片6b、6cは、本体部6aに対して90度の角度を存するように折曲されており、該折曲先端部を内側に折り返すことにより、互いに近接する方向(内側)に膨出する膨出部6d、6eが形成されている。これら膨出部6d、6eは、本実施の形態では、最も内側に突出する膨出頂部6f、6gを折り山とする折曲片で形成されており、膨出頂部6f、6gの形成位置は、化粧材6を下地材5に外嵌し、化粧材本体部6aを下地材5の本体部5aに当接させる積層状態としたとき、鋭角部5d、5eの先端側、即ち、第一折曲片5b、5cの先端側部位に対向し、これによって、化粧材6を下地材5に外嵌させたとき、化粧材本体部5aと第一連結片5b、5cとのなす角度が略90度になるように形成されている。
また、これら左右の膨出部6d、6e同士の対向間隔H1は、下地材5の左右の鋭角部5d、5eにより設定される下地材5の左右幅H2よりも狭い(H1<H2)長さとなるように設定されている。因みに、連結片6b、6cの対向間隔H3は、下地材5の左右幅H2と略同長さ(H3=H2)となるように設定されている。
さらに、化粧材6の上下端縁部(連結片6b、6cが形成されない互いに対向する一対の端縁部)には、壁面W側に向けて直角状に折曲された第二連結片6h、6iがそれぞれ形成されている。これら第二連結片6h、6iの対向間隔は、下地材5の上下の第二折曲片5f、5gに外嵌可能な長さに設定されている。
【0012】
そして、下地材5は、下地材5に開設された貫通孔5n形成部位に対向して壁面W側の面(裏面)に固定される支持ブラケット7を介して壁面Wに固定されるが、前記支持ブラケット7は、下地材5の左右幅よりも短く設定された躯体取り付け片部7aと、該躯体取り付け片部7aの左右両端部からそれぞれ表面側(下地材本体部5a側)に突出する一対の脚片部7bと、該各脚片部7bの先端縁部から互いに対向する側に向けて折曲形成された一対の下地材取り付け片部7cとを備えて構成されている。そして、支持ブラケット7は、下地材取り付け片部7cを下地材5の裏面にあてがい、下地材5の表面側から螺合する螺子7dにより下地材5の裏面に固定されるように設定されている。この取り付け状態とすることにより、支持ブラケット7は、躯体取り付け片部7aと下地材本体部5aとのあいだに脚片部7bの長さに相当する空隙部が形成されるように設定されている。
また、支持ブラケット7の躯体取り付け片部7aには、下地材貫通孔5nに対して表裏方向に連通し、該貫通孔5nよりは小径な左右方向長孔状の貫通孔7eが開設されている。尚、脚片部7bの表裏方向長さは、上下の第二折曲片5f、5gの表裏方向長さと同じ長さで、第一折曲片5b、5cの表裏方向長さよりは長くなるように寸法設定されている。
【0013】
そして、支持ブラケット7が固定された下地材5は、支持ブラケット7の躯体取り付け片部7aを、玄関ドア1のドア枠2の左側に位置する壁面Wに突き当て、下地材本体部5aに開設された貫通孔5nから挿通した螺子8を、躯体取り付け片部7aに開設された貫通孔7eの孔縁に緊締することにより、壁面Wに固定されるように設定されている。このとき、下地材5は、上下の第二、第三折曲片5f、5g、5h、5iに一体形成された上下の位置決め片5j、5kの右端縁を、ドア枠2の上下の左端面に突き当てることにより、下地材5の左右方向の位置決めができるように設定されている。また、下地材5の上下方向の位置決めは、下地材本体部5aの上端縁を上枠部2aの上端縁部に位置合せすることでなされるように設定されている。
また、下地材5の壁面Wへの取り付け状態において、下地材本体部5aと壁面Wとのあいだに支持ブラケット脚片部7bの表裏長さに相当する空隙部が形成されている。
【0014】
続いて、壁面Wに固定された下地材5に化粧材6を組み込むことでエントランスユニット3の化粧パネル4が構成されるが、化粧材6は、下地材本体部5aの表面側に本体部6aを対向せしめ、上下の第二連結片6h、6iの先端部を上下の第二折曲片5f、5gの外側にあてがうとともに、左右何れか一方となる第一連結片6bまたは6c(本実施の形態では左端側とする)の膨出部6d先端を左端側の鋭角部5dにあてがう状態にセットする。
この状態から、本体部6aの左端側部位を下地材5側に押し付けることにより、膨出部6dの、該膨出部6d先端から膨出頂部6fに至る傾斜面6jが下地材第一折曲片5bにガイドされる状態で、第一連結片6bが弾性変形しつつ、第一折曲片5b先端側に押し込まれるように設定されている。そして、前記押し込み操作によって膨出部6dが鋭角部5dを乗り越えることにより、膨出部6dの膨出頂部6fから本体部6a側に至る傾斜面6kが、第一折曲片5bの傾斜状の折曲先端部に弾圧状に密着する嵌め込み状態となるように設定されている。
ここで、下地材5は、本体部5aの四つのコーナー部において切り欠き部5mが形成されて鋭角部5dが切り落とされている。このため、左端側第一連結片6bを、左端側第一折曲片5bに嵌め込む作業を行う場合に、該切り欠き部5mにおいて化粧材第一連結片6bは弾性変形することなく、下地材第一折曲片5bに外嵌させることができ、そしてこの切り欠き部5mにおいて、第一連結片6bの姿勢を第一折曲片5bに対して傾斜した姿勢として、第一連結片6bを、切り欠き部5mに隣接する第一折曲片5bに斜めに突き当てて軽外嵌状態とすることにより、該部位から第一連結片6bを弾性変形させながら第一折曲片5bに押し込む作業を円滑、かつ、容易に行うことができるようにしている。因みに、化粧材6と下地材5とは、嵌め込み作業が容易である一方で、化粧材6が下地材5から脱落しないように装着することが要求される。このため、本実施の形態では、切り欠き部5mを第一折曲片5bの上下端部に形成することにより、上下方向一方から他端に向けて嵌め込み作業を実施することにより、嵌め込み作業が円滑、かつ、容易になり、しかも、切り欠き量を可及的に少なくすることができる。これによって、化粧材6を下地材5に対して円滑、かつ、容易に嵌め込むことができるものでありながら、化粧材6が下地材5から脱落しないようにできる。
【0015】
続いて、化粧材6の右端側第一連結片6cを下地材5の右端側第一折曲片5cに嵌め込むが、この場合に、前記左端側と同様に、上下方向一方端部から前記手順により嵌め込むことにより、膨出部6eの、該膨出部6e先端から膨出頂部6gに至る傾斜面6jが右端側第一折曲片5cにガイドされる状態で右端側第一連結片6cを弾性変形させつつ、第一折曲片5b先端側に押し込まれ、膨出部6fが鋭角部5eを乗り越えることにより、膨出部6eの膨出頂部6gから本体部6a側に至る傾斜面6kが、第一折曲片5cの傾斜状の折曲先端部に弾圧状に密着する嵌め込み状態となるように設定され、この状態となると、下地材5と化粧材6の本体部5a、6a同士、上下の第二折曲片5f、5gと上下の第二連結片6h、6i同士がそれぞれ密着状態となるように設定されている。このように、エントランスユニット3の化粧パネル4は、壁面Wに予め固定された下地材5に、化粧材6を、第一連結片6b、6cの弾性変形に基づいて強制的に押し込むことにより外嵌され、これによって、化粧パネル4の壁面Wへの取り付けがなされるように設定されている。尚、この取り付け状態において、第一連結片6b、6cは、前述したように、鋭角状に折曲する第一折曲片5b、5cに沿って嵌着されることで壁面Wに対し直交状態となるように設定されており、これによって、意匠性を高められるようにしている。
このとき、玄関ドア1側となる右端側第一連結片6cは、前述したように、本体部6a内側の裏面側部位から延出するように折曲されていて、本体部6aの右端縁が第一連結片6cよりも右端側に突出する突出部6mとなっている。このように突出部6mを形成して、右端側第一連結片6cと左枠部2cとのあいだに間隙を形成することにより、右端側第一折曲片5cに右端側第一連結片6cを外嵌させるときに、第一連結片6cの弾性変形を前記間隙において行うことができ、外嵌負荷を低減させることができて作業効率がアップし、しかも、前記間隙を突出部6mにより塞ぐことができるので、意匠性を損なうことがないように構成されている。
因みに、化粧パネル4の壁面Wへの組み込み状態において、化粧材本体部6aと玄関ドア1の表面板1bとが略面一状となるように設定されている。
【0016】
そして、前記化粧パネル4のパネル面には、下地材本体部5a、化粧材本体部6aに予め適宜形状に設定された開口を開設しておくことにより、照明灯取り付け用開口4a、ネームプレート取り付け用開口4b、インターホン取り付け用開口4c、新聞受け用開口4dがそれぞれ開設されており、これら開口4a、4b、4c、4dに照明灯9、ネームプレート10、インターホン11、新聞受け12からなる部材装置を適宜取り付けることによりエントランスユニット3が構成されている。
ここで、図8(A)、(B)、(C)にネームプレート用開口4b、図8(D)、(E)、(F)にインターホン用開口4cの図面を示すが、ネームプレート10、インターホン11を化粧パネル4に固定するためのフック孔4eは、下地材5と化粧材6とを貫通する状態で形成され、かつ、化粧材6側に開設されるフック孔は、上方に貫通操作が円滑になるよう大径部が形成され、下方に確実な止め付けが可能な小径部が形成される構成となっており、これによって、ネームプレート10、インターホン11を簡単な操作で確実に固定できるようにしている。そして、これら各部材は、壁面Wと化粧パネル4とのあいだに形成される隙間を利用して壁面Wに対して面一状となるように取り付けられている。
【0017】
叙述の如く構成された本形態において、下地材5と化粧材6とを積層状に組み込むことで構成される化粧パネル4を壁面Wに固定するにあたり、躯体壁面W固定用の支持ブラケット7が取り付けられた下地材5を予め躯体壁面Wに固定し、続いて、化粧材6に形成された一対の第一連結片6b、6cを弾性変形させることにより、下地材5に形成された一対の第一折曲片5b、5cに外嵌させることで下地材5に対して化粧材6が抜け止め状に一体化され、化粧パネル4の躯体壁面Wへの取り付けができる。これによって、予め化粧パネル4を下地材5と化粧材6とを積層状態に一体化しておく必要がなくなり、直接設置現場でこれらを一体化しつつ化粧パネル4を設置することができ、簡単な作業で取り付けが可能となって、作業性の向上を果すことができる。そのうえ、下地材5と化粧材6とを一体化したとき、第一連結片6b、6cが弾圧状に第一折曲片5b、5cに外嵌した状態となるので、格別一体化手段を用いることなく抜け止め状に外嵌させることができ、作業工程数の削減を果すことができる。
【0018】
そのうえ、このものでは、予め下地材5を支持ブラケット7を用いて壁面Wに固定し、該壁面Wに固定された下地材5に対して化粧材6を外嵌させる構成としたので、予め壁面に取り付け枠を設ける必要のない構成でありながら、壁面Wとの固定に必要な螺子7d、8が化粧材6により覆われて、化粧パネル4表面に露出することがなく、意匠性の高い化粧パネル4とすることができる。
【0019】
また、このものでは、下地材5の第一折曲片5b、5cの上下端部を切り落とす状態で切り欠き部が形成されているため、該部位においては化粧材6の第一連結片6b、6cを弾性変形させることなく下地材5に化粧材6を外嵌させることができ、該嵌め込んだ部位から第一折曲片5b、5c側に第一連結片6b、6cを順次押し込む作業を行うことで、第一連結片6b、6cを第一折曲片5b、5cに容易、かつ、円滑に嵌め込むことができ、化粧材6と下地材5とを強固に一体化することができるものでありながら、これらの嵌め込み作業を容易、かつ、円滑に行うことができる。
【0020】
しかも、このものでは、化粧材6の第一連結片6b、6cのうち、玄関ドア1に近接する第一連結片6cは、本体部6aの内側に偏寄して形成されているので、意匠性が損なわれることを回避しながら、第一折曲片5cへの外嵌作業が容易にできる。
【0021】
さらに、このものでは、第一連結片6b、6cにそれぞれ膨出部6f、6gが形成されており、該膨出部6f、6gを第一折曲片5b、5cに押し込むことにより、第一連結片6b、6cが強制的に弾性変形して外嵌させることができるうえ、該外嵌状態となると、膨出部6f、6gが下地材5からの抜け止めをすることができる。
【0022】
そのうえ、このものでは、化粧パネル4が玄関ドア1の側部に隣接して配設される構成であるが、化粧パネル4は、下地材5の第二、第三折曲片5f、5g、5h、5iに延設した上下の位置決め片5j、5kを玄関ドア1のドア枠2に対して突き当てることにより、左右方向の取り付け位置の位置決めを行うことができ、玄関ドア1に対して正確な位置決めをすることができる。
【0023】
尚、本発明は前記実施の形態に限定されないことは勿論であって、図9に示す第二の実施の形態のようにすることもできる。
第二の実施の形態の化粧パネル13は、前記第一の実施の形態と同様の基本構成となった下地材14と化粧材15とを備えて構成されるが、化粧パネル13は、玄関ドア1の上部に位置する壁面W(欄間部位)に固定されている。
そして、この場合に、下地材14は、上下の端縁部に第一折曲片14aが形成され、左右の端縁部にそれぞれ第二、第三折曲片14b、14cが折曲形成されている。一方、化粧材15は、上下の端縁部に第一連結片15aが形成され、左右の端縁部にそれぞれ第二連結片15bが折曲形成されている。そして、このものでも、下地材14の壁面Wに支持ブラケット16を予め固定し、該支持ブラケット16を躯体に固定した後、下地材第一折曲片14aに、化粧材第一連結片15aを弾性変形させながら外嵌せしめ、第一連結片15a先端の膨出部15cを第一折曲片14aに抜け止め状に係止させる一方、第二折曲片14bに化粧材第二連結片15bを外嵌させることで、化粧材15を下地材14に一体化するように構成されている。このようにすることにより、化粧パネル13の壁面Wへの固定が容易で、作業性良く化粧パネル13を取り付けることができるうえ、化粧材15の本体部15dと玄関ドア1の表面板1bとを簡単な構成で面一状態とすることができ、しかも、化粧材本体部15dと玄関ドア1の表面板1bとを同様の板材で構成することにより、意匠性の優れた玄関回りとすることができる。尚、このものにおいて、化粧材の第二連結片15bのうち、左側の第二連結片15bを本体部15c側に偏寄して形成することにより、化粧パネル13の右方に化粧材15の突出部15eが形成されて、左枠部2cに形成された段差部を塞ぐことができるようにしている。
【0024】
さらに、図10に示す第三の実施の形態のように構成することができる。
このものは、L字形の壁面Wに複数の化粧パネル17が固定されているものであり、各化粧パネル17は、左右方向に複数分割され、上下方向長尺形状に形成されており、各化粧パネル17は、予め支持ブラケット18が取り付けられた下地材19を壁面Wに固定した後、化粧材20を外嵌させる構成となっている。このものでは、化粧材20の左右方向一方の端縁部に折り返し部20aを形成したもの、段差部20bを形成したものを適宜隣接せしめ、折り返し部20aと段差部20aとをオーバーラップさせて隣接する化粧パネル17同士のあいだから壁面Wが露出しないように配慮されている。尚、本実施の形態の下地材19は、化粧材20に段差部20bを形成するために折曲片19aに段差部19bが形成されたものがある。
【0025】
尚、図11に、下地材の折曲片と化粧材の連結片との他例についての側面図を示す。
これらは何れのものも、化粧材の連結片が弾性変形することにより下地材の折曲片に外嵌する構成であり、図11(A)のものは、化粧材21の左側端縁部に形成される連結片21aの先端部に抜け止め片21bを形成し、該抜け止め辺21bを下地材22の直角状に折り返し状に折曲する折曲片22aに係止するまで押し込むことで抜け止めがなされる構成となっている。尚、このものの場合、予め、化粧材21の連結片21aを弾性変形させることなく下地材22に外嵌せしめたうえ、前記第一の実施の形態と同じ構成の右側端縁部の連結片を折曲片に対して弾性変形を伴って外嵌させる構成とすることもできる。
また、図11(B)のものは、化粧材23の連結片23aに形成された折り返し片23bを、下地材24の折曲片24aに形成した折り返し片24bに押し込んで外嵌することで抜け止めされている。
図11(C)のものは、化粧材25の連結片25aに形成された折り返し片25bを、下地材26の折曲片26aに形成した折り返し片26bに押し込んで内嵌させることにより抜け止めされている。
図11(D)のものは、化粧材27の連結片27aと下地材28の折曲片28cとを円弧状に形成し、連結片27aを折曲片28cに押し込んで外嵌させることにより、これらの曲率に基づいて抜け止めがなされている。尚、このものでは、右端縁部において化粧材27を下地材28に外嵌させた後、左端縁部において弾性変形を伴う外嵌をさせる構成となっており、このようにすることにより、化粧材27と下地材28とは、対向する端縁部同士の一方にのみ、連結片、折曲片を設ける構成とすることができる。
図11(E)のものは、化粧材29の連結片29aの先端に形成した折り返し片29bを、下地材30の折曲片30aに形成した折り返し片30bに沿って押し込み、化粧材29側の折り返し片29b先端を下地材30側の折り返し片30b先端面に突き当てることにより抜け止めされている。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】玄関ドアとエントランスユニットとの正面図である。
【図2】玄関ドアとエントランスユニットとの平面断面図である。
【図3】図3(A)、(B)はそれぞれ玄関ドア部の側面断面図、エントランスユニット部の側面断面図である。
【図4】エントランスユニットの正面図である。
【図5】図5(A)、(B)、(C)はそれぞれ下地材の平面断面図、化粧材の平面断面図、下地材に化粧材を外嵌させた平面断面図である。
【図6】図6(A)、(B)はそれぞれ下地材に支持ブラケットを固定した状態を説明する正面図、X−X平面断面図である。
【図7】図7(A)、(B)、(C)はそれぞれ下地材の正面図、下地材に支持ブラケット、化粧材を組み込んだ状態の正面図、下地材に支持ブラケット、化粧材を組み込んだ状態の側面断面図である。
【図8】図8(A)、(B)、(C)、(D)、(E)、(F)はそれぞれエントランスパネルのネームプレート部の正面図、図8(A)のX−X断面図、背面図、インターホン部の正面図、図8(D)のX−X断面図、背面図である。
【図9】図9(A)、(B)はそれぞれ第二の実施の形態の化粧パネル取り付け状態を説明する側面断面図、平面断面図である。
【図10】第三の実施の形態の化粧パネル取り付け状態を説明する平面断面図である。
【図11】図11(A)、(B)、(C)、(D)、(E)はそれぞれ下地材と化粧材との嵌合状態を説明する平面図である。
【符号の説明】
【0027】
1 玄関ドア
2 ドア枠
3 エントランスユニット
4 化粧パネル
5 本体部
5a 本体部
5b 第一折曲片
5d 鋭角部
5f 第二折曲片
5h 第三折曲片
5j 位置決め片
6 化粧材
6a 本体部
6b 第一連結片
6d 膨出部
6f 膨出頂部
6h 第二連結片
7 支持ブラケット
8 螺子
9 照明灯
【特許請求の範囲】
【請求項1】
壁面に、下地材に化粧材を積層してなる化粧パネルを一体的に設けるにあたり、下地材の互いに対向する一対の端縁部のうち少なくとも一方の端縁部に、壁面に向けて折曲する折曲片を形成する一方、化粧材の前記折曲片に対向する端縁部に、壁面に向けて折曲する連結片を形成し、連結片の弾性変形に基づいて化粧材を下地材に外嵌固定させるように構成した化粧パネルの躯体固定構造。
【請求項2】
下地材は、裏面に固定した支持ブラケットを、下地材に開設した貫通孔を介して挿通した螺子により壁面に固定されている請求項1に記載の化粧パネルの躯体固定構造。
【請求項3】
下地材の折曲片が形成される端縁部には、該端縁部における一対の端部のうちの少なくとも一方の端部に、折曲片とともに切り欠いた切り欠き部を形成した請求項1または2の何れか一項に記載の化粧パネルの躯体固定構造。
【請求項4】
化粧材の連結片は、化粧材端縁よりも内側に偏寄して形成されている請求項1乃至3の何れか一項に記載の化粧パネルの躯体固定構造。
【請求項5】
化粧材の連結片には、下地材折曲片との当接で連結片を弾性変形させる膨出部が形成されている請求項1乃至4の何れか一項に記載の化粧パネルの躯体固定構造。
【請求項6】
下地材の折曲片を、下地材本体部とのあいだに鋭角を形成するよう傾斜状に折曲し、膨出部は、傾斜状の折曲片に係止して抜け止めされるように構成されている請求項1乃至5の何れか一項に記載の化粧パネルの躯体固定構造。
【請求項7】
下地材に外嵌する化粧材は、建築物の躯体開口部に開閉自在に設けられるドア体の一側部に配される上下方向長尺状のエントランスユニットを構成するものとし、下地材折曲片と化粧材連結片とは、それぞれの長手方向端縁部となる左右端縁部の少なくとも一方に形成されている請求項1乃至6の何れか一項に記載の化粧パネルの躯体固定構造。
【請求項8】
下地材の折曲片が形成されない他方の対向端縁部には、下地材の取り付け位置の位置決めをする位置決め片が形成されている請求項1乃至7の何れか一項に記載の化粧パネルの躯体固定構造。
【請求項9】
下地材に形成された位置決め片は、ドア枠に突き当てられている請求項7または8の何れか一項に記載の化粧パネルの躯体固定構造。
【請求項10】
壁面に、下地材に化粧材を積層してなる化粧パネルを一体的に設けるにあたり、互いに対向する一対の端縁部のうち少なくとも一方の端縁部に壁面に向けて折曲する折曲片が形成された下地材を、予め壁面に固定し、その後、前記折曲片に対向する端縁部に壁面に向けて折曲する連結片が形成された化粧材を、連結片の弾性変形に基づいて下地材に外嵌固定するようにした化粧パネルの躯体固定方法。
【請求項1】
壁面に、下地材に化粧材を積層してなる化粧パネルを一体的に設けるにあたり、下地材の互いに対向する一対の端縁部のうち少なくとも一方の端縁部に、壁面に向けて折曲する折曲片を形成する一方、化粧材の前記折曲片に対向する端縁部に、壁面に向けて折曲する連結片を形成し、連結片の弾性変形に基づいて化粧材を下地材に外嵌固定させるように構成した化粧パネルの躯体固定構造。
【請求項2】
下地材は、裏面に固定した支持ブラケットを、下地材に開設した貫通孔を介して挿通した螺子により壁面に固定されている請求項1に記載の化粧パネルの躯体固定構造。
【請求項3】
下地材の折曲片が形成される端縁部には、該端縁部における一対の端部のうちの少なくとも一方の端部に、折曲片とともに切り欠いた切り欠き部を形成した請求項1または2の何れか一項に記載の化粧パネルの躯体固定構造。
【請求項4】
化粧材の連結片は、化粧材端縁よりも内側に偏寄して形成されている請求項1乃至3の何れか一項に記載の化粧パネルの躯体固定構造。
【請求項5】
化粧材の連結片には、下地材折曲片との当接で連結片を弾性変形させる膨出部が形成されている請求項1乃至4の何れか一項に記載の化粧パネルの躯体固定構造。
【請求項6】
下地材の折曲片を、下地材本体部とのあいだに鋭角を形成するよう傾斜状に折曲し、膨出部は、傾斜状の折曲片に係止して抜け止めされるように構成されている請求項1乃至5の何れか一項に記載の化粧パネルの躯体固定構造。
【請求項7】
下地材に外嵌する化粧材は、建築物の躯体開口部に開閉自在に設けられるドア体の一側部に配される上下方向長尺状のエントランスユニットを構成するものとし、下地材折曲片と化粧材連結片とは、それぞれの長手方向端縁部となる左右端縁部の少なくとも一方に形成されている請求項1乃至6の何れか一項に記載の化粧パネルの躯体固定構造。
【請求項8】
下地材の折曲片が形成されない他方の対向端縁部には、下地材の取り付け位置の位置決めをする位置決め片が形成されている請求項1乃至7の何れか一項に記載の化粧パネルの躯体固定構造。
【請求項9】
下地材に形成された位置決め片は、ドア枠に突き当てられている請求項7または8の何れか一項に記載の化粧パネルの躯体固定構造。
【請求項10】
壁面に、下地材に化粧材を積層してなる化粧パネルを一体的に設けるにあたり、互いに対向する一対の端縁部のうち少なくとも一方の端縁部に壁面に向けて折曲する折曲片が形成された下地材を、予め壁面に固定し、その後、前記折曲片に対向する端縁部に壁面に向けて折曲する連結片が形成された化粧材を、連結片の弾性変形に基づいて下地材に外嵌固定するようにした化粧パネルの躯体固定方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2007−191868(P2007−191868A)
【公開日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−8689(P2006−8689)
【出願日】平成18年1月17日(2006.1.17)
【出願人】(000177302)三和シヤッター工業株式会社 (173)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年1月17日(2006.1.17)
【出願人】(000177302)三和シヤッター工業株式会社 (173)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]