説明

化粧品用油剤、及びこれを配合する化粧品

【課題】体温付近で直ちに溶融する事で、容易に皮膚表面に保護膜を形成させ、皮膚表面からの水分蒸散を(角質水分の減少)抑制すると共に、油性感を抑えた化粧品用油剤に関するものであり、またこれを配合する化粧品を提供する。
【解決手段】水酸基価から算出した平均重合度nが2〜15のポリグリセリン、炭素数6〜24の脂肪酸、及び植物油脂またはグリセリンの、エステル化反応により得られるエステル化反応生成物を含有する化粧品用油剤であって、前記脂肪酸中の、常温で液体である脂肪酸の含有量が、常温で固体である脂肪酸1.0モルに対して、3.0モル以下の範囲であり、前記脂肪酸が、前記ポリグリセリン及びグリセリンの1.0モルに対して、(n+2)×0.60モル以上であることを特徴とする化粧品用油剤、及び、これを配合した化粧品。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、体温付近で直ちに溶融する事で、容易に皮膚や口唇及び毛髪表面に保護膜を形成し、皮膚や口唇及び毛髪表面からの水分蒸散(角質水分及び毛髪内水分の減少)を抑制すると共に、油性感を抑えた化粧品用油剤に関するものであり、またこれを配合する化粧品、特にスキンケア化粧品、口唇化粧料等のメーキャップ化粧品、ボディケア化粧品、ヘアケア化粧品等の化粧品に関する。
【背景技術】
【0002】
化粧品用油剤は、主に皮膚や口唇及び毛髪の保護作用や水分保持効果、またクリーム・乳液等の乳化物の稠度の調整(濃厚感を出すことによるリッチ感の付与)を目的に配合され、化粧品の分野では広範囲に使用されている。中でも、体温付近で直ちに溶融する低融点油剤は製剤の保形性(クリームの硬さ保持、乳液の粘度保持)と共に、それを配合した化粧品を皮膚や口唇及び毛髪に塗布した場合、直ちに体温で溶融し、セタノールやステアリルアルコール等の高級アルコール、蜜蝋、キャンデリラロウ等のロウ類や水添の硬化油等の高融点油剤に比べ、ノビが重くなる事がなく、更には油性感も少ない事から、好まれており、化粧品の分野では広く使用されていた。例えば、ワセリンやラノリン等は、上記機能を有しているだけでなく、皮膚や口唇及び毛髪へ塗布した場合の親和性や付着性、化粧品へのリッチ感付与効果等が優れている事から、スキンケア化粧品、メーキャップ化粧品、ボディケア化粧品、ヘアケア化粧品等、幅広い分野で使用されてきた。しかし、ワセリンを含む石油系の油剤は、通気性が悪い為皮膚呼吸を妨げ、皮膚に対して悪影響を及ぼす懸念があると言われている、またその使用感は油性感が比較的強く、好ましいものではなかった。一方ラノリンは、通気性が良好な油剤であることが知られており、化粧品のみならず軟膏類等、幅広い分野で使用されてきた。しかし、動物由来の油脂に特徴的な色、及び臭いの問題や、その他最近の世界的な動物愛護や自然保護の風潮から、ラノリンの使用が敬遠されているのが実情である。これら以外の低融点油剤としては、馬油、カカオ脂やシア脂等も挙げられるが、天然物である為、品質が一定せず、また長時間の内に酸敗する等の性質があるので、化粧品用として直接使用されることは殆ど無い油剤である。こうした背景から、低融点の化粧品用油剤の開発が行われている。例えば、特許文献1に記載されている組成物は、低融点であり、安全性や使用面の点が良好であると報告されているが、油剤として必要な、角質や毛髪の水分保持に関する記載はなく、化粧品用油剤としては満足できるものとは言えない。従って、それを用いたスキンケア化粧品、メーキャップ化粧品、ボディケア化粧品、ヘアケア化粧品等の化粧品は皮膚や口唇及び毛髪の保護作用や水分保持効果において十分な効果が発揮できない懸念がある。
【0003】
また、唇の構造は皮膚とは異なり、皮脂膜や角質層が極めて薄い為、水分蒸発速度が速く角質水分量も少ない。この事から、口紅、リップクリーム、リップスティック、リップグロス、リップバーム等の口唇化粧料は、油性原料を中心に構成され、リップケア効果を高めている。具体的には、液状油と固形ワックスを主成分とした製剤から成るものである。しかしながら、唇に塗布した場合、違和感(強いベタつき感や油性感等)が強く、使用感の面において以前より改良が望まれていた。これに対応すべく、製剤中に水を配合した口紅等の口唇化粧料等が市販されている。しかし、これらは水の配合量が少なく、使用感において十分には改良されていない。その他、揮発油を使用した乳化物を調製し、その揮発油を除去した後、水を高濃度に配合する技術があるが、得られる口唇化粧料は、保存安定性が劣り、保存中にヒビやワレを起こしたり、使用面や艶が悪い等の問題点があった。更には、ソルビタンモノステアレート等の親油性の界面活性剤を用いた口唇化粧料が、上記問題点を解決する方法として報告されている(特許文献2参照)。しかしながら、このものは経時的に製品にヒビ、ワレ等が発生するものであり、且つ塗布時のノビが重く、また塗布後の強いベタつき感や油性感等、使用面上での問題があった。このような背景から、唇に軽く塗布出来、塗布後の強いベタつき感や油性感等を抑え使用感が良好であると共に、経時安定性及びリップケア効果(高い角質水分量の保持効果)に優れた口唇化粧料の開発が望まれていた。
【特許文献1】特許第3515522号公報
【特許文献2】特許第2665473号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、体温付近で直ちに溶融する事で、容易に皮膚や口唇及び毛髪表面に保護膜を形成し、その表面からの水分蒸散(角質水分及び毛髪内水分の減少)を抑制すると共に、油性感を抑えた化粧品用油剤に関するものであり、またこれを配合する化粧品、特にスキンケア化粧品、口唇化粧料等のメーキャップ化粧品、ボディケア化粧品、ヘアケア化粧品等の化粧品を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討した結果、特定のポリグリセリン、特定の脂肪酸、及び植物油脂から成るエステル化反応生成物を含有する化粧品用油剤、又はグリセリンと特定のポリグリセリンの混合物、及び特定の脂肪酸から成るエステル化反応生成物を含有する化粧品用油剤、並びにこの化粧品用油剤を配合する化粧品が、上記課題を解決し得ることを見出だし、本発明を完成するに至った。
【0006】
本発明は、水酸基価から算出した平均重合度nが2〜15のポリグリセリンからなる成分(1)、炭素数6〜24の脂肪酸からなる成分(2)、及び植物油脂からなる成分(3)の、エステル化反応により得られるエステル化反応生成物を含有する化粧品用油剤であって、
前記脂肪酸中の、常温で液体である脂肪酸の含有量が、常温で固体である脂肪酸1.0モルに対して、3.0モル以下の範囲であり、
前記成分(2)が、前記成分(1)の1.0モルに対して、(n+2)×0.60モル以上であり、
前記成分(3)の含有量が、前記成分(2)の1.0モルに対して、2.0モル以下の範囲であることを特徴とする化粧品用油剤(請求項1)を提供する。
【0007】
請求項1の化粧品用油剤における前記成分(3)の含有量は、前記成分(2)の1.0モルに対して、0.5モル以上、2.0モル以下の範囲が好ましい(請求項2)。前記成分(3)の含有量は、より好ましくは、前記成分(2)の0.8モル以上、1.2モル以下の範囲である。または、成分(1)の1.0モルに対する成分(2)の含有量をoモル、成分(3)の含有量をpモルとしたとき、[o+3p]/[(n+2)+3p]が0.8以上となる範囲がより好ましい。請求項1の化粧品用油剤は、前記成分(1)、成分(2)、及び成分(3)の他に、例えば、植物油脂以外のグリセリンエステルを含んでいても良い。
【0008】
成分(1)のポリグリセリンとしては、水酸基価から算出した平均重合度nが4〜10のポリグリセリンが好ましい(請求項3)。より好ましくは、水酸基価から算出した平均重合度nが5〜7のポリグリセリンである。
【0009】
尚、前記化粧品用油剤において、脂肪酸中の、常温で液体である脂肪酸の含有量は、常温で固体である脂肪酸1.0モルに対して、3.0モル以下の範囲であるが、常温で液体である脂肪酸が含まれていなくてもよい。ここ及び以下の記載において、常温とは約30℃を意味する。また、成分(3)の植物油脂は、植物から得られた油脂であれば特に限定されないが、好ましくは凝固点10℃以下のものを言う。
【0010】
本発明は、また、グリセリン及び水酸基価から算出した平均重合度が2〜15のポリグリセリンからなる成分(1)、及び炭素数6〜24の脂肪酸からなる成分(2)の、エステル化反応により得られるエステル化反応生成物を含有する化粧品用油剤であって、
前記脂肪酸中の、常温で液体である脂肪酸の含有量が、常温で固体である脂肪酸1.0モルに対して、3.0モル以下の範囲であり、
水酸基価から算出した成分(1)中の平均重合度をnとしたとき、前記成分(2)が、前記成分(1)の1.0モルに対して、(n+2)×0.60モル以上であることを特徴とする化粧品用油剤(請求項4)を提供する。
【0011】
水酸基価から算出した成分(1)中の平均重合度n(即ち、水酸基価から算出した平均水酸基数−2)としては、1.1以上、2.5以下が好ましい。また、成分(1)中のグリセリンの含有量は70モル%以上が好ましい。従って、水酸基価から算出した成分(1)中の平均重合度nが、1.1以上、2.5以下で、且つ成分(1)中のグリセリンの含有量が70モル%以上である場合が特に好ましい(請求項5)。また、成分(1)中のグリセリンの含有量は、より好ましくは80モル%以上である。平均重合度nは、より好ましくは1.4以上、1.9以下である。なおここで、成分(1)中に含まれるポリグリセリンの平均重合度としては、4〜10が好ましく、5〜7がより好ましい。
【0012】
前記請求項4の化粧品用油剤において、前記脂肪酸中の、常温で液体である脂肪酸の含有量は、常温で固体である脂肪酸1.0モルに対して、1.0モル以上、3.0モル以下の範囲が好ましい(請求項6)。より好ましくは、1.8〜2.5モルの範囲である。
【0013】
また、前記請求項4の化粧品用油剤において、成分(2)は、成分(1)の1.0モルに対して、(n+2)×0.80モル以上が好ましい。成分(1)と成分(2)のエステル化反応の方法としては、グリセリンとポリグリセリンの混合物を、成分(2)によりエステル化してもよいし、成分(2)によるグリセリンのエステル化物とポリグリセリンのエステル化物を混合する方法でも良い。
【0014】
本発明は、さらに前記の化粧品用油剤の用途として、前記の化粧品用油剤を配合する化粧品(請求項7)を提供する。特にその好ましい用途して、前記の化粧品用油剤を配合する皮膚化粧料(請求項8)、及び前記の化粧品用油剤、及び常温で固体の油性原料を含有する口唇化粧料(請求項9)を提供する。
【発明の効果】
【0015】
本発明の化粧品用油剤は、体温付近で直ちに溶融し、容易に皮膚や口唇及び毛髪表面に保護膜を形成し、その表面からの水分蒸散(角質水分及び毛髪内水分の減少)を抑制すると共に、油性感を抑えた化粧品用油剤であり、これを配合することで、エモリエント性に優れ、且つ油性感やベタツキの無い使用感に優れたスキンケア化粧品、メーキャップ化粧品、ボディケア化粧品、ヘアケア化粧品等の化粧品を提供出来る。又、本発明の口唇化粧料は、唇に軽く塗布出来、塗布後の強いベタつき感や油性感等を抑え使用感が良好であるとともに、経時安定性及びリップケア効果(高い角質水分量の保持効果)に優れる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0017】
本発明における成分(1)を構成するポリグリセリンは、グリセリンを原料とし、脱水縮合反応して得ることができるポリグリセリンであり、例えばペンタグリセリン、ヘキサグリセリンの事を指す。
【0018】
成分(1)としては、ポリグリセリンとグリセリンとを併用する事が好ましい(請求項4の態様)。但し、成分(3)の植物油脂は骨格が脂肪酸のグリセリンエステルである為、これを用いる場合(請求項1の態様)は、グリセリンを用いなくても良い。平均重合度が15を超えるとエステル化反応が困難となり好ましくない。又、上記以外の多価アルコール、例えばプロピレングリコールや、ジプロピレングリコール等の2価の多価アルコールを用いた場合、皮膚や口唇及び毛髪表面に保護膜を形成させ、その表面からの水分蒸散(角質水分及び毛髪内水分の減少)を抑制する効果が得られない、またソルビトールの様な6価の多価アルコールを用いた場合には、本発明の効果である体温溶融性が損なわれ好ましくない。従って、成分(1)には、グリセリン、ポリグリセリン以外の多価アルコールが含まないことが好ましいが、本発明の範囲を損なわない範囲で少量含まれていてもよい。
【0019】
前記平均重合度nとは、水酸基価から算出したものであり、以下の(i)式により算出する。また、(i)式中の水酸基価は「基準油脂物性試験法」(日本油化学協会制定)に準拠し測定する。具体的には、試料1gを無水酢酸・ピリジン溶液によりアセチル化する時、水酸基と結合した酢酸を中和するのに要する水酸化カリウム(KOH)のmg数で表され、以下の(ii)式で求められる。
平均重合度=(112.2×103−18×水酸基価)/(74×水酸基価−56.1×103) (i)
水酸基価=(a−b)×28.05/試料の採取量(g) (ii)
a:空試験による0.5N水酸化カリウム溶液の消費量(ml)
b:本試験による0.5N水酸化カリウム溶液の消費量(ml)
【0020】
また、成分(2)に用いる、常温で固体である脂肪酸及び/又は常温で液体である脂肪酸については特に限定はなく、例えば、常温で固体である脂肪酸としては、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸等が挙げられ、常温で液体である脂肪酸としては、カプリル酸、カプリン酸、エチルヘキサン酸、イソノナン酸、イソパルミチン酸、イソステアリン酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、エルカ酸等が挙げられ、これらの一種又は二種以上を用いる。上記脂肪酸から成る、成分(2)の炭素数6〜24の脂肪酸の内、常温で固体である脂肪酸1.0モルに対する、常温で液体である脂肪酸が3.0モル以下の範囲である脂肪酸を用いると、融点が30〜45℃となり体温溶融性が発現しやすいので好ましい。更に、2.5モル以下の範囲である脂肪酸を用いる事が好ましい。さらに常温で固体である脂肪酸1.0モルに対する、常温で液体である脂肪酸が3.0モルを超える場合に得られる化粧品用油剤を配合した化粧品は、角質水分及び毛髪内水分の保持効果が損なわれ、目的のものが得られず好ましくない。また、特に口唇化粧料等のメーキャップ化粧品に配合した場合は、常温で固体の油性原料との相溶性が悪くなり、化粧料が調製不可となったり、調製出来ても製剤の経時安定性が悪くなる。
【0021】
前記成分(2)が、成分(1)の1モルに対して、(n+2)×0.60モルに満たないものでは、残存する水酸基数が増え油剤としての機能が失われ、角質水分及び毛髪内水分の保持効果が損なわれ、目的のものが得られず好ましくない。また、特に口唇化粧料等のメーキャップ化粧品に配合した場合は、常温で固体の油性原料との相溶性が悪くなり、化粧料が調製不可となり、調製出来ても製剤の経時安定性が悪くなる。
【0022】
次に、成分(3)である植物油脂としては、凝固点が10℃以下で化粧品原料として用いられているものであれば、特に限定はない。化粧品グレードのものを使用すれば、得られる化粧品用油剤の色相や臭気が良くなり好ましい。例えば、オリブ油、マカデミアナッツ油、ヒマワリ油、紅花油、アボガド油、サザンカ油、茶油、ツバキ油、ヒマシ油、ヘーゼルナッツ油、メドゥフォーム油、ラッカセイ油、パーシック油、月見草油、ブドウ種子油、ローズヒップ油、ククイナッツ油、アルモンド油、ゴマ油、コムギ胚芽油、トウモロコシ油、綿実油、ヤシ油、パーム油、パーム核油等が挙げられ、これらの一種又は二種以上を用いる。中でも、マカデミアナッツ油は、皮脂に多く含まれるパルミトレイン酸を多く含んでいる植物油脂である為、皮膚や口唇及び毛髪塗布時における使用感が良好(シルキーで、ベタツキ感や油性感が少ない)となり好ましい。
【0023】
また、成分(3)は、植物油脂の鹸化価から分子量を算出し、それを以て1モルとした時、成分(2)に対するモル比が2.0以下、好ましくは0.5以上、2.0以下、より好ましくは0.8以上、1.2以下の範囲で用いる。成分(3)のモル比が2.0を超えて得られた化粧品用油剤は、体温(37℃付近)よりも低い温度で溶融する為、これを用いた化粧料は、本発明の効果である皮膚や口唇及び毛髪表面からの水分蒸散(角質水分及び毛髪内水分の減少)抑制効果が損なわれ好ましくない。
【0024】
本発明の化粧品用油剤の融点は30〜45℃が好ましく、37〜43℃のものが更に好ましい。
【0025】
本発明の化粧品用油剤の水酸基価(前記のポリグリセリンの水酸基価と同様に、「基準油脂物性試験法」(日本油化学協会制定)に準拠し測定する。)は、45mg/g以下が好ましく、40mg/g以下が更に好ましい。水酸基価が45mg/gを超える場合は、残存する水酸基数が増え油剤としての機能が失われ、角質水分量の保持効果が損なわれ、目的のものが得られない場合がある。また、常温で固体の油性原料との相溶性が悪くなることがあり、特に口唇化粧料等のメーキャップ化粧品は調製不可となったり、調製出来ても製剤の経時安定性が悪くなる場合がある。尚、水酸基価は「基準油脂分析試験法」(日本油化学協会制定)に準拠し測定する。
【0026】
本発明の化粧品用油剤の分子量は、800〜1200の範囲が好ましい。800未満の場合は、本発明の効果である皮膚や口唇及び毛髪表面からの水分蒸散(角質水分及び毛髪内水分の減少)抑制効果が損なわれる場合がある。逆に、1200を超える場合は、塗布時のノビが重く、且つ塗布後の強いベタつき感がある等、使用面上での問題が生じる場合がある。
【0027】
本発明における化粧品用油剤の製造方法は、以下の方法で行うことが出来る。成分(1)、成分(2)及び成分(3)の各成分を、上記条件を満たす様に仕込み、水酸化ナトリウム等のアルカリ触媒を加えた後、常圧もしくは減圧下において、常法に従ってエステル化反応を行う。
【0028】
本発明の化粧品用油剤を配合する化粧品には、本発明の効果を損なわない範囲で通常化粧品に配合される成分、例えば流動パラフィン、流動イソパラフィン、ワセリン、スクワラン、パラフィン、プリスタン、α−オレフィンオリゴマー、セレシン、マイクロクリスタリンワックス、ポリエチレン等の炭化水素類、アボガド油、アマニン油、アルモンド油、オリブ油、カカオ脂、カロツト油、キューカンバー油、ククイナッツ油、グレープシード油、ゴマ油、小麦胚芽油、コメヌカ油、サフラワー油、シア脂、ダイズ油、茶油、月見草油、ツバキ油、トウモロコシ油、ナタネ油、パーシック油、ハトムギ油、パーム油、パーム核油、ヒマシ油、硬化ヒマシ油、ヒマワリ油、ヘーゼルナッツ油、マカデミアナッツ油、メドウフォーム油、綿実油、モクロウ、ヤシ油、ラッカセイ油、ローズヒップ油、ツバキ油、サザンカ油、ナタネ油、ハトムギ油、ホホバ油、水添ホホバ油、ヤシ硬化油、チョウジ油、ラベンダー油、ローズマリー油、テレビン油、ユーカリ油等の植物油脂類、オレンジラフィー油、牛脂、馬油、タートル油、ミンク油、卵黄油、ラノリン等の動物油類、ミツロウ、鯨ロウ、カルナウバロウ、キャンデリラロウ、モンタンロウ、ライスワックス、ラノリンワックス、セラック等が挙げられる。また、炭化水素系のワックス類としては、例えば、固形パラフィン、セレシン、オゾケライト、エチレン・プロピレンコポリマー、ポリエチレンワックス、フィッシャートロプシュワックス、イボタロウ、モクロウ等のロウ類、アラキドン酸、イソステアリン酸、ウンデシレン酸、エルカ酸、オレイン酸、ステアリン酸、セバシン酸、パルミチン酸、ベヘニン酸、ミリスチン酸、ラウリン酸、ラノリン脂肪酸、リノール酸、リノレン酸、カプリン酸、カプリル酸、ヒドロキシステアリン酸、サフラワー油脂肪酸、コメヌカ脂肪酸、トール油脂肪酸、ヤシ脂肪酸等の脂肪酸類、イソステアリルアルコール、オレイルアルコール、オクチルドデカノール、オクチルアルコール、デシルアルコール、アラキルアルコール、ヘキシルデカノール、キミルアルコール、β−グルカン、コレステロール、シトステロール、ジヒドロコレステロール、ステアリルアルコール、セタノール、セトステアリルアルコール、セラキルアルコール、バチルアルコール、フィトステロール、ヘキシルデカノール、ベヘニルアルコール、ラウリルアルコール、ラノリンアルコール、ミリスチルアルコール等の高級アルコール類、アボカド油脂肪酸エチル、アジピン酸ジオクチル、アジピン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジイソブチル、アジピン酸ジ2−ヘキシルデシル、アジピン酸ジヘプチルウンデシル、酢酸ラノリン、安息香酸アルキル、イソステアリルグリセリル、イソステアリン酸ヘキシルデシル、イソステアリン酸イソプロピル、イソステアリン酸オクチルドデシル、イソステアリン酸イソセチル、イソステアリン酸イソステアリル、イソステアリン酸グリセリル、イソステアリン酸コレステリル、イソステアリン酸バチル、イソステアリン酸フィトステリル、オクタン酸アルキル、エチレングリコール脂肪酸エステル、エルカ酸オクチルドデシル、オクタン酸ペンタエリスリット、オクタン酸セチル、オクタン酸イソセチル、オクタン酸セテアリル、オクタン酸ステアリル、オクタン酸イソステアリル、オレイン酸エチル、オレイン酸オレイル、ジオレイン酸エチレングリコール、トリオレイン酸グリセリル、オレイン酸オクチルドデシル、オレイン酸デシル、カプリン酸セチル、カプリル酸セチル、トリカプリル酸グリセリル、エチルヘキサン酸セチル、エルカ酸オクチルドデシル、エチルヘキサン酸セトステアリル、ジカプリル酸プロピレングリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、ジオクタン酸ネオペンチルグリコール、ジオクタン酸エチレングリコール、ジカプリン酸プロピレングリコール、ジグリセリンイソパルミチン酸エステルセバシン酸縮合物、ジステアリン酸グリコール、(ヒドロキシステアリン酸/イソステアリン酸)ジペンタエリルリチル、ネオデカン酸ヘキシルデシル、ステアリン酸ヘキシルデシル、ステアリン酸コレステリル、ステアリン酸イソセチル、ステアリン酸ステアリル、ステアリン酸バチル、ステアリン酸ブチル、セチルイソオクタネート、セバシン酸ジイソプロピル、セバシン酸ジエチル、ダイマー酸ジイソプロピル、炭酸ジアルキル、ヒドロキシ脂肪酸コレステリル、イソステアリン酸ペンタエリスリチル、テトラオクタン酸ペンタエリスリチル、トリイソステアリン酸グリセリル、ジイソステアリン酸ジグリセリル、トリイソステアリン酸ジグリセリル、テトライソステアリン酸ジグリセリル、ノナイソステアリン酸デカグリセリル、デカイソステアリン酸デカグリセリル、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、トリオクタノイン、トリオクタン酸トリメチロールプロパン、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、ジメチルオクタン酸オクチルドデシル、イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸イソデシル、イソノナン酸トリデシル、ジペラルゴン酸プロピレングリコール、ペラルゴン酸オクチル、イソペラルゴン酸オクチル、トリ(カプリル・カプリン酸)グリセリル、トリミリスチン酸グリセリル、乳酸セチル、乳酸ミリスチル、乳酸ラウリル、乳酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソステアリル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸オクチル、パルミチン酸セチル、パルミチン酸イソセチル、イソパルミチン酸オクチル、ヒドロキシステアリン酸コレステリル、ヒドロキシステアリン酸2−エチルヘキシル、ミリスチン酸イソトリデシル、ミリスチン酸イソセチル、ミリスチン酸イソステアリル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、ミリスチン酸ミリスチル、ラウリン酸ヘキシル、ラウリン酸イソステアリル、ラノリン脂肪酸イソプロピル、ラノリン脂肪酸コレステリル、リノール酸トコフェロール、リシノール酸オクチルドデシル、リンゴ酸ジイソステアリル、コハク酸ポリプロピレングリコールオリゴエステル、コハク酸ジ2−エチルヘキシル、ヘプタン酸ステアリル等のエステル油類、エリスリトール、グリセリン、キシリトール、ジグリセリン、ジプロピレングリコール、ソルビット、トレハロース、1,3−ブチレングリコール、プロピレングリコール、1,2−ペンタンジオール、ポリエチレングリコール、ポリオキシエチレングリセリン、ポリプロピレン、ポリオキシプロピレングリセリルエーテル、ポリオキシプロピレンジグリセリルエーテル、ポリオキシプロピレンブチルエーテル、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブチルエーテル、ポリオキシエチレンメチルグルコシド、ポリグリセリン、マルチトール、マンニトール等の多価アルコール類、ヒアルロン酸ナトリウム、アセチルヒアルロン酸ナトリウム、コンドロイチン硫酸ナトリウム等のムコ多糖類、アラビアガム、カルボキシビニルポリマー、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコール、エチルセルロース、グアーヒドロキシプロピルトリモニウムクロリド、カラギーナン、カラヤガム、カルボキシメチルセルローススナトリウム、カンテン、キサンタンガム、グアーガム、クインスシードガム、合成ケイ酸ナトリウム・マグネシウム、(ビニルピロリドン/VA)コポリマー、ジェランガム、シクロデキストリン、ジメチルジステアリルアンモニウムヘクトライト、セルロース誘導体、タマリンドガム、デキストリン脂肪酸エステル、デンプン類、デンプンリン酸Na、トラガントガム、ヒドロキシエチルセルロース、ペクチン、ポリアクリル酸アミド、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、ローカストビーンガム、ロジン酸ペンタエリスリット、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、酢酸ビニル・ビニルピロリドン共重合体、酢酸ビニル・クロトン酸共重合体、ビニルメチルエーテル・マレイン酸ブチル共重合体、クロトン酸・酢酸ビニル・ネオデカン酸ビニル共重合体、ビニルピロリドン・スチレン共重合体、アクリル酸アルキル共重合体、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリアクリル酸アルキル、アクリル酸アミド・スチレン共重合体、アクリル酸・アクリル酸アミド・アクリル酸エチル共重合体、アクリル酸オクチルアミド・アクリル酸ヒドロキシプロピル・メタクリル酸ブチルアミノエチル共重合体、アクリル樹脂アルカノールアミン液、アクリル酸ヒドロキシエチル・アクリル酸メトキシエチル共重合体、カチオン化セルロース、カチオン化グアーガム、メタクリロイルエチルジメチルジメチルベタイン・塩化メタクリロイルエチルトリメチルアンモニウム・メタクリル酸メトキシポリエチレングリコール共重合体等の増粘・被膜形成剤類、メチルポリシロキサン、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、環状シリコーンオイル等のシリコーン油類、トリメチルシロキシケイ酸、架橋型メチルポリシロキサン等のシリコーン被膜形成剤、アミノプロピルジメチコン、アルキルメチコン、(ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマー、(ステアロキシメチコン/ジメチコン)コポリマー、(ジメチルシロキサン/メチルセチルオキシシロキサン)コポリマー、シメチコン、ステアリルジメチコン、セチルジメチコンシリコン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、ジフェニルジメチコン、フェニルトリメチコン、ポリエーテル変性オルガノポリシロキサン、ポリオキシアルキレンアルキルメチルポリシロキサン・メチルポリシロキサン共重合体、アルコキシ変性ポリシロキサン等のシリコーン誘導体類、フッ素変性オルガノポリシロキサン、パーフルオロデカン、パーフルオロオクタン、パーフルオロポリエーテル等のフッ素系油、デキストリン脂肪酸エステル、蔗糖脂肪酸エステル、デンプン脂肪酸エステル、12−ヒドロキシステアリン酸、イソステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸カルシウム等の油性ゲル化剤、アルキル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、N−アシルアミノ酸塩、アルキルエーテルカルボン酸塩、脂肪酸石鹸、アルキルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩、N−アシルタウリン塩等のアニオン性界面活性剤類、酢酸ベタイン型両性活性剤、イミダゾリン型両性活性剤、アルキルアミドプロピルベタイン型両性活性剤、アルキルヒドロキシスルホベタイン型両性活性剤、アルキルカルボキシメチルヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン型両性活性剤、アルキルジメチルアミンオキサイド等の両性活性剤類、プロピレングリコール脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンルビット脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンラノリン、ポリオキシエチレンラノリンアルコール、ポリオキシエチレンソルビットミツロウ、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンステロール、ポリオキシエチレン水素添加ステロール、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、アルキルグリセリルエーテル、アルキルポリグリコシド、アルキルアルカノールアミド等の非イオン性界面活性剤、アルキルアンモニウム塩、アミドアミン等のカチオン性界面活性剤、水素添加大豆リン脂質、水酸化大豆リン脂質等のレシチン誘導体類、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化セリウム、硫酸バリウム等の白色無機顔料、酸化鉄、カーボンブラック、酸化クロム、水酸化クロム、紺青、群青等の有色無機顔料、タルク、白雲母、金雲母、紅雲母、黒雲母、合成雲母、絹雲母(セリサイト)、合成セリサイト、カオリン、炭化珪素、ベントナイト、スメクタイト、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、酸化アンチモン、珪ソウ土、無水ケイ酸、ケイ酸アルミニウム、メタケイ酸アルミニウムマグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸バリウム、ケイ酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ヒドロキシアパタイト、窒化ホウ素等の白色体質
粉体、二酸化チタン被覆雲母、二酸化チタン被覆オキシ塩化ビスマス、酸化鉄雲母チタン、紺青処理雲母チタン、カルミン処理雲母チタン、オキシ塩化ビスマス、魚鱗箔等の光揮性粉体、ポリアミド系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリアクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、フッ素系樹脂、セルロース系樹脂、ポリスチレン系樹脂、スチレン−アクリル共重合体等のコポリマー樹脂、ポリプロピレン系樹脂、シリコーン樹脂、ウレタン樹脂等の有機高分子樹脂粉末、ステアリン酸亜鉛、N−アシルリジン等の有機低分子性粉体、でんぷん、シルク粉末、セルロース粉末等の天然有機粉体、赤色201号、赤色202号、赤色226号、赤色228号、橙色203号、橙色204号、青色404号、黄色401号等の有機顔料粉体、赤色3号、赤色104号、赤色106号、橙色205号、黄色4号、黄色5号、緑色3号、青色1号等のジルコニウム、バリウム又はアルミニウムレーキ等の有機顔料粉体あるいは更にアルミニウム粉、金粉、銀粉等の金属粉体、微粒子酸化チタン被覆雲母チタン、微粒子酸化亜鉛被覆雲母チタン、硫酸バリウム被覆雲母チタン、酸化チタン含有二酸化珪素、酸化亜鉛含有二酸化珪素、酸化チタン被覆ガラス末等の複合粉体、ポリエチレンテレフタレート・アルミニウム・エポキシ積層末、ポリエチレンテレフタレート・ポリオレフィン積層フィルム末、ポリエチレンテレフタレート・ポリメチルメタクリレート積層フィルム末のラメ剤、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類、エデト酸塩、ヒドロキシエタンジホフホン酸塩、ポリリン酸塩、グルコン酸等のキレート剤類、安息香酸塩、感光素、パラベン類、フェノキシエタノール、サリチル酸、ソルビン酸、イソプロピルメチルフェノール等の防腐剤類、アルブチン、エラグ酸、コウジ酸、アスコルビン酸塩誘導体等の美白剤、ビタミン類、紫外線吸収剤類、アミノ酸類、グリチルリチン酸誘導体類、植物エキス類、香料、精油、pH調整剤等を配合する事が出来る。
【0029】
以下、実施例及び比較例により本発明を具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例により限定されるものではない。
【0030】
<実施例1>
化粧品用油剤は以下のように合成した。
ヘキサグリセリン(尚、ヘキサグリセリンの平均重合度6であり、これは水酸基価から算出した値であり、以下の(i)式により算出する。また、(i)式中の水酸基価は「基準油脂物性試験法」(日本油化学協会制定)に準拠し測定する。具体的には、試料1gを無水酢酸・ピリジン溶液によりアセチル化する時、水酸基と結合した酢酸を中和するのに要する水酸化カリウム(KOH)のmg数で表され、以下の(ii)式で求められる。
平均重合度=(112.2×103−18×水酸基価)/(74×水酸基価−56.1×103) (i)
水酸基価=(a−b)×28.05/試料の採取量(g) (ii)
a:空試験による0.5N水酸化カリウム溶液の消費量(ml)
b:本試験による0.5N水酸化カリウム溶液の消費量(ml)、以下に示す、平均重合度も、上述と同様な方法により、水酸基価を求め、上式を用い算出した。)26.2gとベヘン酸106.8g、マカデミアナッツ油272.6gを反応容器に入れ、0.4gの水酸化ナトリウムを加えた後、窒素気流下において240℃、7時間の条件下で反応を行い、化粧品用油剤400.0gを得た。(水酸基価:19.7mg/g、分子量:1067)尚、分子量は各原料の仕込み量より、理論分子量を算出した値である(以下の実施例及び比較例も同様に算出)。
【0031】
<実施例2>
グリセリン30.5gとヘキサグリセリン25.0g(左記グリセリンとヘキサグリセリンとの混合物の平均重合度1.7)、イソステアリン酸234.9g、ベヘン酸131.4gを反応容器に入れ、0.4gの水酸化ナトリウムを加えた後、窒素気流下において240℃、9時間の条件下で反応を行い、化粧品用油剤400.0gを得た。(水酸基価:30.3mg/g、分子量:1037)
【0032】
<実施例3>
グリセリン30.7gとヘキサグリセリン25.1g(左記グリセリンとヘキサグリセリンとの混合物の平均重合度1.7)、オレイン酸253.9g、ベヘン酸112.3gとを反応容器に入れ、0.4gの水酸化ナトリウムを加えた後、窒素気流下において240℃、9時間の条件下で反応を行い化粧品用油剤400.0gを得た。(水酸基価:28.9mg/g、分子量:1030)
【0033】
<実施例4>
ヘキサグリセリン36.5g(平均重合度6)とベヘン酸193.7gを反応容器に入れ、0.2gの水酸化ナトリウムを加えた後、窒素気流下において240℃、7時間の条件下で反応を行い、ベヘン酸ヘキサグリセリルを200.0g得た。そのエステルとマカデミアナッツ油200.0gを混合し、化粧品用油剤400.0gを得た。
【0034】
<実施例5>
グリセリン22.8gとイソステアリン酸95.1g、ベヘン酸114.1gを反応容器に入れ、0.2gの水酸化ナトリウムを加えた後、窒素気流下において240℃、7時間の条件下で反応を行い、イソステアリン酸、ベヘン酸の混合脂肪酸グリセリルを200.0g得た。また、ヘキサグリセリン39.4g(平均重合度6)とイソステアリン酸87.1g、ベヘン酸104.5gを先の反応と同様にエステル化反応し、イソステアリン酸、ベヘン酸の混合脂肪酸ヘキサグリセリルを200.0g得た。これら2種のエステルを混合し、化粧品用油剤(エステル同士の混合物)400.0gを得た。
【0035】
<比較例1>
ヘキサグリセリン9.8g(平均重合度6)とベヘン酸43.3g、マカデミアナッツ油272.6gを反応容器に入れ、0.3gの水酸化ナトリウムを加えた後、窒素気流下において240℃、9時間の条件下で反応を行い、化粧品用油剤323.5gを得た。(水酸基価:7.4mg/g、分子量:953)
【0036】
<比較例2>
グリセリン47.3gとヘキサグリセリン38.7g(左記グリセリンとヘキサグリセリンとの混合物の平均重合度1.7)、イソステアリン酸214.1g、ベヘン酸119.8gを反応容器に入れ、0.4gの水酸化ナトリウムを加えた後、窒素気流下において240℃、9時間の条件下で反応を行い、化粧品用油剤400.0gを得た。(水酸基価:155.4mg/g、分子量:669)
【0037】
<比較例3>
プロピレングリコール32.0gとヘキサグリセリン31.6g(左記プロピレングリコールとヘキサグリセリンとの混合物の平均重合度0.8)、イソステアリン酸229.0g、ベヘン酸128.7gを反応容器に入れ、0.4gの水酸化ナトリウムを加えた後、窒素気流下において240℃、9時間の条件下で反応を行い、化粧品用油剤400.0gを得た。(水酸基価:28.8mg/g、分子量:818)
【0038】
(評価方法)
(融点)
実施例、比較例で得た化粧品用油剤の融点を測定した。尚、測定方法は粧原基一般試験法融点測定法、第1法(透明融点)に従い測定した。その結果を表1に示す。
【0039】
(角質水分蒸散量及び使用感1)
実施例、比較例で得た化粧品用油剤を皮膚に塗布した場合のその皮膚の角質水分蒸散量を測定した。尚、健常女性パネラー20名の上腕内側部4×4cmの範囲に対し、0.03gを均一に塗布し、塗布前の経皮水分蒸散量(TEWL)及び、塗布6時間後の経皮水分蒸散量をTewameter(Courage+Khazaka社製)にて測定した。同時に塗布後の使用感(油性感・ベタツキ)について、スクワランを対照品とし、以下の評点に従い評価した。尚、パネラーの中で、最も多かった評点を表1に示す。
(評 点)
○:スクワランと同等である。
△:スクワランよりやや悪い。
×:スクワランより悪い。
【0040】
(色相及び臭気)
実施例、比較例で得た化粧品用油剤を、健常女性パネラー20名により、色相及び臭気について以下の評点に従い官能評価した。尚、パネラーの中で、最も多かった評点を表1に示す。
(評 点)
○:色や臭気が殆ど無い。
△:僅かに色や臭気がある。
×:外観が黄色や褐色を呈し、不快な臭気が強い。
【0041】
【表1】

【0042】
表1に示したとおり、実施例1〜5の化粧品用油剤は、透明融点が37〜43℃の範囲であった、また角質水分量の保持効果、使用感及び色・臭気が共に良好であった。中でも実施例1〜3の化粧品用油剤は、特に良好であったが、実施例4〜5の化粧品用油剤も、実施例1〜3の化粧品用油剤に比べると僅かに劣るものの良好であった。これに対し、比較例1〜3の化粧品用油剤は、角質水分量の保持効果、使用感及び色・臭気の何れかにおいて不十分な結果であった。
【0043】
(角質水分蒸散量及び使用感2)
実施例、比較例で得た化粧品用油剤を用いて、以下に示す処方のクリーム状皮膚化粧料を調製した。そのクリーム状皮膚化粧料を皮膚に塗布した場合の角質水分蒸散量を測定した。尚、健常女性パネラー20名の上腕内側部4×4cmの範囲に対し、0.03gを均一に塗布し、塗布前の経皮水分蒸散量(TEWL)及び、塗布6時間後の経皮水分蒸散量を上記と同様な方法にて測定した。同時に塗布後の使用感(油性感・ベタツキ)について、上記同一処方でエステル化反応生成物をスクワランに代替し調製したクリーム状皮膚化粧料を対照品とし、以下の評点に従い評価した。尚、パネラーの中で、最も多かった評点を表2に示す。
【0044】
(処 方)
A相 (重量%)
実施例1〜5又は比較例1〜3の化粧品用油剤 3.00
トリ−2エチルヘキサン酸グリセリル 10.00
B相
2%−アクリル酸・メタクリル酸
アルキル共重合体水溶液 20.00
10%−水酸化カリウム水溶液 0.70
精製水 66.30
【0045】
B相を80℃にて溶解し、これに80℃に加温したA相を徐々に添加していき乳化した。乳化後、35℃まで冷却してクリーム状の皮膚化粧料を得た。
(評 点)
○:スクワラン代替品と同等である。
△:スクワラン代替品よりやや悪い。
×:スクワラン代替品より悪い。
【0046】
【表2】

【0047】
表2に示したとおり、実施例1〜3の化粧品用油剤を配合したクリーム状皮膚化粧料は、角質水分量の保持効果及び使用感が共に良好であった。また、実施例4〜5の化粧品用油剤も、実施例1〜3の化粧品用油剤に比べると、塗布6時間後の経皮水分蒸散量、又は使用感が僅かに劣るものの、良好であった。これに対し、比較例1〜3の化粧品用油剤を配合したクリーム状皮膚化粧料は、角質水分量の保持効果が不十分な結果であり、使用感が不十分な結果のものもあった。
【0048】
(角質水分量及び使用感3)
実施例、比較例で得た化粧品用油剤を用いて、以下に示す処方の口紅を調製した。その口紅を塗布した場合の角質水分量を測定した。尚、健常女性パネラー20名の唇に対し、0.03gを均一に塗布し、塗布直後の角質水分量及び、塗布6時間後の角質水分量を同様の方法にて測定した。同時に塗布時のノビの軽さ及び塗布後の使用感(ベタツキ・油性感)を官能評価した。尚、各評価項目を5点満点とし、20名の平均点を算出し、以下の基準により評価した。その結果を表3に示す。
【0049】
(処 方) 口 紅
A相 (重量%)
実施例1〜5又は比較例1〜3の化粧品用油剤 37.50
重質流動イソパラフィン(4000mPa・s) 14.00
セレシン 4.00
マイクロクリスタリンワックス 3.00
ワセリン(500000mPa・s) 25.00
精製水 15.00
B相
赤色104号 0.50
黄色4号 1.00
【0050】
A相を80℃にて加温して均一溶解した後、冷却しロールミルで均一に練る。これにB相を添加し脱泡後、型に流し込み急冷して口紅を得た。
(評価基準)
◎:4.5点以上(非常に良好である)
○:4.0点以上4.5点未満(良好である)
△:3.0点以上4.0点未満(やや悪い)
×:3.0点未満(悪い)
【0051】
(経時安定性評価)
上記口紅を、50℃の恒温槽にて1ヶ月暴露し、その時の経時安定性について以下の基準により評価した。その結果も表1に示す。
○:調製直後品と差がない。
△:調製直後品と比べ、僅かにヒビやワレがある。
×:調製直後品と比べ、ヒビやワレがある。
【0052】
【表3】

【0053】
表3に示したとおり、実施例1〜3の化粧品用油剤を配合した口紅は、角質水分量の保持効果、使用性及び経時安定性が共に良好であった。また、実施例4〜5の化粧品用油剤も、実施例1〜3の化粧品用油剤に比べると僅かに劣るものの良好であった。これに対し、比較例1〜3の化粧品用油剤を配合した口紅は、角質水分量の保持効果、使用性若しくは、経時安定性の何れかにおいて不十分な結果であった。
【0054】
(官能評価)
20名の健常女性パネラーに下記調製の化粧品を使用してもらい、配合実施例11と配合比較例7のミルキーローション、配合実施例12と配合比較例8のエモリエントクリーム、配合実施例13と配合比較例9のファンデーション、配合実施例14と配合比較例10のヘアワックスを直接比較し、「ノビ」、「エモリエント性」、「使用感」について官能評価した。その結果を表4に示す。また、配合実施例15と配合比較例11のリップスティック、配合実施例16と配合比較例12のリップクリームは、角質水分量保持効果、官能評価及び経時安定性評価を実施した。その結果を表5に示す。尚、各評価項目を5点満点とし、20名の平均点を算出し、以下の基準により評価した。
【0055】
(評価基準)
◎:4.5点以上(非常に良好である)
○:4.0点以上4.5点未満(良好である)
△:3.0点以上4.0点未満(やや悪い)
×:3.0点未満(悪い)
【0056】
配合実施例11 ミルキーローション
A相 (重量%)
実施例1の化粧品用油剤 2.50
モノオレイン酸デカグリセリル 1.00
B相
1%−カルボキシビニルポリマー 5.00
10%−水酸化カリウム水溶液 1.00
1,3−ブチレングリコール 5.00
グリセリン 2.00
精製水 83.50
A相を80℃にて溶解し、これに80℃に加温したB相を徐々に添加していき乳化した。乳化後、35℃まで冷却してミルキーローションを得た。
【0057】
配合実施例12 エモリエントクリーム
A相 (重量%)
実施例2の化粧品用油剤 5.00

スクワラン 7.50
モノミリスチン酸デカグリセリル 2.00
ステアリン酸 3.50
モノステアリン酸グリセリン 2.00
トリ−2エチルヘキサン酸グリセリル 5.00
B相
グリセリン 7.00
10%−水酸化カリウム水溶液 1.00
精製水 67.00
A相を80℃にて溶解し、これに80℃に加温したB相を徐々に添加していき乳化した。乳化後、35℃まで冷却してエモリエントクリームを得た。
【0058】
配合実施例13 油性ファンデーション(スティックタイプ)
A相 (重量%)
実施例3の化粧品用油剤 15.00
固形パラフィン 7.50
マイクロクリスタリンワックス 7.00
リンゴ酸ジイソステアリル 5.00
オレイン酸フィトステリル 5.00
精製水 10.00
B相
カオリン 23.00
酸化チタン 23.00
ベンガラ 1.00
黄酸化鉄 3.00
黒酸化鉄 0.50
A相を85℃にて加温して均一溶解した後、これに予め混合粉砕したB相を攪拌しながら添加し、コロイドミルで磨砕分散する。脱気後70℃で型に流し込み急冷して、油性ファンデーションを得た。
【0059】
配合実施例14 ヘアワックス
A相 (重量%)
実施例1の化粧品用油剤 10.00
ホホバワックス 3.00
ワセリン 3.00
スクワラン 2.00
セチルアルコール 1.50
自己乳化型モノステアリン酸グリセリン 2.00
B相
ジグリセリン 5.00
モノミリスチン酸デカグリセリル 2.00
2%アクリル酸・メタクリル酸アルキル
共重合体水溶液 18.00
2%カルボキシビニルポリマー水溶液 5.00
10%水酸化カリウム水溶液 1.80
精製水 46.70
【0060】
A相及びB相を80℃にて溶解し、B相にA相を徐々に添加していき乳化した。乳化後、35℃まで冷却してヘアワックスを得た。
【0061】
配合実施例15 リップスティック
(重量%)
実施例1の化粧品用油剤 15.00
ホホバワックス 3.00
キャンデリラワックス 3.00
ワセリン 3.00
スクワラン 72.50
セチルアルコール 2.00
自己乳化型モノステアリン酸グリセリン 1.50
全成分を80℃にて溶解混合し、35℃まで冷却してリップスティックを得た。
【0062】
配合実施例16 リップクリーム
(重量%)
実施例2の化粧品用油剤 60.50
カルナウバロウ 5.00
キャンデリラロウ 10.00
高重合度ジメチルポリシロキサン(10000mPa・s) 9.50
精製水 15.00
全成分を85℃にて加温して均一溶解した後、ディスパーミキサーで分散する。脱気後、70℃で型に流し込み急冷して、リップクリームを得た。
【0063】
配合比較例7 ミルキーローション
A相 (重量%)
比較例1の化粧品用油剤 2.50
モノオレイン酸デカグリセリル 1.00
B相
1%−カルボキシビニルポリマー 5.00
10%−水酸化カリウム水溶液 1.00
1,3−ブチレングリコール 5.00
グリセリン 2.00
精製水 83.50
A相を80℃にて溶解し、これに80℃に加温したB相を徐々に添加していき乳化した。乳化後、35℃まで冷却してミルキーローションを得た。
【0064】
配合比較例8 エモリエントクリーム
A相 (重量%)
比較例2の化粧品用油剤 5.00
スクワラン 7.50
モノミリスチン酸デカグリセリル 2.00
ステアリン酸 3.50
モノステアリン酸グリセリン 2.00
トリ−2エチルヘキサン酸グリセリル 5.00
B相
グリセリン 7.00
10%−水酸化カリウム水溶液 1.00
精製水 67.00
A相を80℃にて溶解し、これに80℃に加温したB相を徐々に添加していき乳化した。乳化後、35℃まで冷却してエモリエントクリームを得た。
【0065】
配合比較例9 油性ファンデーション(スティックタイプ)
A相 (重量%)
比較例3の化粧品用油剤 15.00
固形パラフィン 7.50
マイクロクリスタリンワックス 7.00
リンゴ酸ジイソステアリル 5.00
オレイン酸フィトステリル 5.00
精製水 10.00
B相
カオリン 23.00
酸化チタン 23.00
ベンガラ 1.00
黄酸化鉄 3.00
黒酸化鉄 0.50
A相を85℃にて加温して均一溶解した後、これに予め混合粉砕したB相を攪拌しながら添加し、コロイドミルで磨砕分散する。脱気後70℃で型に流し込み急冷して、油性ファンデーションを得た。
【0066】
配合比較例10 ヘアワックス
A相 (重量%)
ラノリン 10.00
ホホバワックス 3.00
ワセリン 3.00
スクワラン 2.00
セチルアルコール 1.50
自己乳化型モノステアリン酸グリセリン 2.00
B相
ジグリセリン 5.00
モノミリスチン酸デカグリセリル 2.00
2%アクリル酸・メタクリル酸アルキル
共重合体水溶液 18.00
2%カルボキシビニルポリマー水溶液 5.00
10%水酸化カリウム水溶液 1.80
精製水 46.70
A相及びB相を80℃にて溶解し、B相にA相を徐々に添加していき乳化した。乳化後、35℃まで冷却してヘアワックスを得た。
【0067】
配合比較例11 リップスティック
(重量%)
比較例1の化粧品用油剤 15.00
ホホバワックス 3.00
キャンデリラワックス 3.00
ワセリン 3.00
スクワラン 72.50
セチルアルコール 2.00
自己乳化型モノステアリン酸グリセリン 1.50
全成分を80℃にて溶解混合し、35℃まで冷却してリップスティックを得た。
【0068】
配合比較例12 リップクリーム
(重量%)
比較例2の化粧品用油剤 60.50
カルナウバロウ 5.00
キャンデリラロウ 10.00
高重合度ジメチルポリシロキサン(10000mPa・s) 9.50
精製水 15.00
全成分を85℃にて加温して均一溶解した後、ディスパーミキサーで分散する。脱気後、70℃で型に流し込み急冷して、リップクリームを得た。
【0069】
【表4】

【0070】
配合実施例11〜14の化粧品は、配合比較例7〜10のものに比べ「ノビ」、「エモリエント性」、「使用感」について優れていることが確認された。
【0071】
【表5】

【0072】
表5に示したとおり、配合実施例15〜16に示した口唇化粧料は、角質水分量保持効果、官能面及び経時安定性共に良好な結果であった。一方、配合比較例11〜12の口唇化粧料は、角質水分量の保持効果、使用感若しくは、経時安定性の何れかにおいて不十分な結果であった。
【0073】
<実施例6>
テトラグリセリン23.9g(平均重合度4)とベヘン酸107.5g、マカデミアナッツ油274.3gを反応容器に入れ、0.4gの水酸化ナトリウムを加えた後、窒素気流下において240℃、7時間の条件下で反応を行い、化粧品用油剤400.0gを得た。(水酸基価:19.9mg/g、分子量:1009)
【0074】
<実施例7>
デカグリセリン28.5g(平均重合度10)とベヘン酸106.1g、マカデミアナッツ油270.9gを反応容器に入れ、0.4gの水酸化ナトリウムを加えた後、窒素気流下において240℃、7時間の条件下で反応を行い、化粧品用油剤400.0gを得た。(水酸基価:19.6mg/g、分子量:1031)
【0075】
<実施例8>
グリセリン27.4g、テトラグリセリン27.9g(左記グリセリンとテトラグリセリンとの混合物の平均重合度1.7)、イソステアリン酸235.1g、ベヘン酸131.5gを反応容器に入れ、0.4gの水酸化ナトリウムを加えた後、窒素気流下において240℃、9時間の条件下で反応を行い、化粧品用油剤400.0gを得た。(水酸基価:30.3mg/g、分子量:1036)
【0076】
<実施例9>
グリセリン32.6g、デカグリセリン23.4g(左記グリセリンとデカサグリセリンとの混合物の平均重合度1.7)、イソステアリン酸234.6g、ベヘン酸131.2gを反応容器に入れ、0.4gの水酸化ナトリウムを加えた後、窒素気流下において240℃、9時間の条件下で反応を行い、化粧品用油剤400.0gを得た。(水酸基価:30.3mg/g、分子量:1038)
【0077】
実施例6〜9で得た化粧品用油剤について、実施例1〜5で得た化粧品用油剤と同様にして、融点、角層水分蒸散量、使用感1、色相及び臭気を評価し、その結果を表6に示した。
【0078】
【表6】

【0079】
表6に示したとおり、実施例6〜9では、ヘキサグリセリンの代わりにテトラグリセリン、デカグリセリンを用いたが、得られた化粧品用油剤は、透明融点が37〜41℃の範囲であり、また角質水分量の保持効果、使用感及び色・臭気が共に良好であり、ヘキサグリセリンを用いた場合(実施例1〜5)と同等、又はそれに近い効果が得られた。
【産業上の利用可能性】
【0080】
本発明の化粧品用油剤は、洗顔クリーム、化粧水、パック、マッサージクリーム、ミルキーローション、乳液、クリーム、エッセンス(美容液)等のスキンケア化粧品、固形ファンデーション、乳化型ファンデーション、リキッドファンデーション、油性ファンデーション、粉おしろい、ほほ紅、アイシャドー、アイライナー、マスカラ、口紅、リップクリーム、リップスティック、リップグロス、リップバーム等のメーキャップ化粧品、石鹸、液体洗浄料、入浴剤、日焼け止めクリーム、サンオイル、デオドラントスプレー、ボディローション、ボディクリーム、ハンドクリーム等のボディケア化粧品、シャンプー、リンス、ヘアトリートメント、ヘアムース、ヘアカラー、ヘアブリーチ、育毛剤、ヘアクリーム、ヘアワックス、ヘアセット剤等のヘアケア化粧品等、幅広い用途に利用が可能なものである。また、本発明の化粧品用油剤を化粧品に配合することにより、容易に皮膚や口唇及び毛髪表面に保護膜を形成させ、皮膚や口唇及び毛髪表面からの水分蒸散(角質水分及び毛髪内水分の減少)を抑制すると共に、油性感を抑えた化粧品用油剤に関するものであり、またこれを配合するスキンケア化粧品、メーキャップ化粧品、ボディケア化粧品、ヘアケア化粧品等の化粧品が得られる。



【特許請求の範囲】
【請求項1】
水酸基価から算出した平均重合度nが2〜15のポリグリセリンからなる成分(1)、炭素数6〜24の脂肪酸からなる成分(2)、及び植物油脂からなる成分(3)の、エステル化反応により得られるエステル化反応生成物を含有する化粧品用油剤であって、
前記脂肪酸中の、常温で液体である脂肪酸の含有量が、常温で固体である脂肪酸1.0モルに対して、3.0モル以下の範囲であり、
前記成分(2)が、前記成分(1)の1.0モルに対して、(n+2)×0.60モル以上であり、
前記成分(3)の含有量が、前記成分(2)の1.0モルに対して、2.0モル以下の範囲であることを特徴とする化粧品用油剤。
【請求項2】
前記成分(3)の含有量が、前記成分(2)の1.0モルに対して、0.5モル以上、2.0モル以下の範囲であることを特徴とする請求項1に記載の化粧品用油剤。
【請求項3】
成分(1)のポリグリセリンが、水酸基価から算出した平均重合度nが4〜10のポリグリセリンであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の化粧品用油剤。
【請求項4】
グリセリン及び水酸基価から算出した平均重合度が2〜15のポリグリセリンからなる成分(1)、及び炭素数6〜24の脂肪酸からなる成分(2)の、エステル化反応により得られるエステル化反応生成物を含有する化粧品用油剤であって、
前記脂肪酸中の、常温で液体である脂肪酸の含有量が、常温で固体である脂肪酸1.0モルに対して、3.0モル以下の範囲であり、
水酸基価から算出した成分(1)中の平均重合度をnとしたとき、前記成分(2)が、前記成分(1)の1.0モルに対して、(n+2)×0.60モル以上であることを特徴とする化粧品用油剤。
【請求項5】
水酸基価から算出した成分(1)中の平均重合度nが、1.1以上、2.5以下であり、成分(1)中のグリセリンの含有量が70モル%以上であることを特徴とする請求項4に記載の化粧品用油剤。
【請求項6】
前記脂肪酸中の、常温で液体である脂肪酸の含有量が、常温で固体である脂肪酸1.0モルに対して、1.0モル以上、3.0モル以下の範囲であることを特徴とする請求項4または請求項5に記載の化粧品用油剤。
【請求項7】
請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の化粧品用油剤を配合する化粧品。
【請求項8】
請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の化粧品用油剤を配合する皮膚化粧料。
【請求項9】
請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の化粧品用油剤、及び常温で固体の油性原料を含有する口唇化粧料。



【公開番号】特開2008−137986(P2008−137986A)
【公開日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−39315(P2007−39315)
【出願日】平成19年2月20日(2007.2.20)
【出願人】(390028897)阪本薬品工業株式会社 (140)
【Fターム(参考)】