説明

化粧料の製造法

【課題】保存安定性に優れた化粧料の製造法を提供する。
【解決手段】次の成分(A)、(B)、(C)及び(D):
(A)硫酸基、スルホ基若しくはリン酸残基を有する未中和の界面活性剤、炭素数12〜22のアルキル基を有するポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸、又は炭素数12〜22の高級脂肪酸、
(B)セラミド類、
(C)成分(A)の中和剤、
(D)水
を含有する化粧料の製造法であって、成分(A)及び(B)を加熱溶解し、これに成分(C)及び(D)を含む水相を撹拌しながら加え、更に撹拌しながら室温にすることを特徴とする化粧料の製造法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、安定性に優れた化粧料の製造法に関する。
【背景技術】
【0002】
α−ゲルは、水和型の結晶構造であり、ラメラ構造を有する。皮膚最外層の角層に存在する角層細胞間脂質も、その大半がこのα−ゲル構造をとっており、皮膚に対して、外部からの物質の侵入、内部からの水分蒸散を抑制すると同時に、そのもの自身が水分を保持することで、皮膚の柔軟性やなめらかな外観を保つ機能を有している。皮膚中において、角層は、水分を結合水の形で約33%保持しており、角層細胞間脂質は、うち約13%の結合水(ここで、結合水とは、構成分子に束縛された水と定義する)を保持していることが報告されている(非特許文献1)。このようなα−ゲルを外用で補った場合には、角層細胞間脂質と同様、乾燥時において、水分を多く含有でき、潤い感を持続できることが期待される。
【0003】
しかしながら、α−ゲルは準安定相であり、セラミドは、長面方向(二分子膜に垂直な方向)に強い水素結合を持つため、短時間で、最安定相であるγ−結晶相へと変化してしまう。そこで、耐温度保存安定性に優れたα−ゲルを得るためには、セラミド以外の両親媒性固体脂成分を組み合わせて、イオン性の界面活性剤で乳化する方法がとられているが、この方法では、固体脂成分の組成が限定され、かつ界面活性剤を多く使用しなければ、安定性に優れたα−ゲルが得られない。これに対し、スフィンゴシン類を使用してセラミドを乳化する方法もある(特許文献1)が、配合できる油剤やセラミドの量が限定される場合があった。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】芋川玄繭,油化学,44,10,51−66(1995)
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−171229号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、界面活性剤を多量に用いることなく、セラミド類の結晶化が抑制され、安定性に優れたα−ゲル構造を有する化粧料の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、特定のイオン性官能基を有する未中和の界面活性剤等とセラミド類を含む油相に、中和剤を含む水相を加えて混合することにより、セラミド類の結晶化が抑制され、保存安定性に優れたα−ゲル構造を有する化粧料が得られることを見出した。
【0008】
本発明は、次の成分(A)、(B)、(C)及び(D):
(A)硫酸基、スルホ基若しくはリン酸残基を有する未中和の界面活性剤、炭素数12〜22のアルキル基を有するポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸、又は炭素数12〜22の高級脂肪酸、
(B)セラミド類、
(C)成分(A)の中和剤、
(D)水
を含有する化粧料の製造法であって、成分(A)及び(B)を加熱溶解し、これに成分(C)及び(D)を含む水相を撹拌しながら加え、更に撹拌しながら室温にすることを特徴とする化粧料の製造法を提供するものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、界面活性剤を多量に用いることなく、セラミド類の結晶化が抑制され、耐温度保存安定性に優れた化粧料を製造することができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明で用いる成分(A)は、硫酸基、スルホ基若しくはリン酸残基を有する未中和の界面活性剤、炭素数12〜22のアルキル基を有するポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸、又は炭素数12〜22の高級脂肪酸である。
硫酸基を有する未中和の界面活性剤としては、アルキル硫酸、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸等が挙げられ、スルホ基を有する界面活性剤としては、N−アシル−N−メチルタウリン、アルキルスルホン酸、アルファオレフィンスルホン酸、高級脂肪酸エステルスルホン酸、アルキルスルホンコハク酸などが挙げられ、リン酸残基を有する未中和の界面活性剤としては、アルキルリン酸、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸等が挙げられる。これらの界面活性剤におけるアルキル基としては、炭素数12〜22、特に炭素数12〜14のものが好ましい。
また、高級脂肪酸は、炭素数12〜22のものであり、特に炭素数12〜16のものが好ましい。
【0011】
成分(A)として、より具体的には、ラウリル硫酸、ポリオキシエチレン(2)ラウリルエーテル硫酸、N−ステアロイル−N−メチルタウリン、ラウリルスルホン酸、ポリオキシエチレンラウリルエーテルリン酸、ポリオキシエチレンラウリルエーテル酢酸、ポリオキシエチレンミリスチルエーテル酢酸、ラウリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸等が挙げられる。
これらのうち、硫酸基やリン酸基を有するものが好ましく、硫酸基を有するものがより好ましい。
【0012】
成分(A)は、1種以上を用いることができ、全組成中に0.01〜10質量%、特に0.1〜5質量%、更に0.2〜2質量%含有されるのが、成分(B)の構造化や、感触の点から好ましい。
【0013】
本発明で用いる成分(B)はセラミド類である。セラミド類としては、一般式(1)で表わされるものが挙げられる。
【0014】
【化1】

【0015】
(式中、R1はヒドロキシル基、カルボニル基若しくはアミノ基が置換していてもよい、炭素数4〜30の直鎖、分岐鎖若しくは環状の飽和若しくは不飽和の炭化水素基又は水素原子を示し;Zはメチレン基、メチン基又は酸素原子を示し;X1、X2及びX3は各々独立して水素原子、ヒドロキシル基又はアセトキシ基を示し、X4は水素原子、アセチル基又はグリセリル基を示すか、隣接する酸素原子と一緒になってオキソ基を形成し(但し、Zがメチン基のとき、X1とX2のいずれか一方が水素原子であり、他方は存在しない。X4がオキソ基を形成するとき、X3は存在しない。);R2及びR3は各々独立して水素原子、ヒドロキシル基、ヒドロキシメチル基又はアセトキシメチル基を示し;R4はヒドロキシル基、カルボニル基又はアミノ基が置換していてもよい、主鎖にエーテル結合、エステル結合又はアミド結合を有していてもよい炭素数5〜60の直鎖、分岐鎖又は環状の飽和又は不飽和の炭化水素基を示し;R5は水素原子を示すか、ヒドロキシル基、ヒドロキシアルコキシ基、アルコキシ基及びアセトキシ基から選ばれる置換基を有していてもよい、総炭素数1〜30の直鎖又は分岐鎖の飽和又は不飽和の炭化水素基を示し(但し、R1が水素原子、Zが酸素原子のときR5は総炭素数10〜30の炭化水素基であり、R1が炭化水素基のときR5は総炭素数1〜8の炭化水素基である);破線部は不飽和結合であってもよいことを示す)
【0016】
式中、R1は、ヒドロキシル基、カルボニル基若しくはアミノ基が置換していてもよい、炭素数4〜30の、好ましくはヒドロキシル基が置換していてもよい炭素数7〜22の直鎖、分岐鎖若しくは環状の飽和若しくは不飽和の炭化水素基又は水素原子である。
Zはメチレン基、メチン基又は酸素原子のいずれかを示す。
【0017】
1、X2及びX3は、各々独立して水素原子、ヒドロキシル基又はアセトキシ基を示す。特にX1、X2及びX3のうち0〜1個がヒドロキシル基で、残余が水素原子であるのが好ましい。Zがメチン基のとき、X1とX2のいずれか一方のみが水素原子であり、他方は存在しない。また、X4は水素原子かグリセリル基であるのが好ましい。
2及びR3は、水素原子、ヒドロキシル基、ヒドロキシメチル基又はアセトキシメチル基を示し、好ましいR2は水素原子又はヒドロキシメチル基であり、好ましいR3は水素原子である。
【0018】
4は、ヒドロキシル基、カルボキシ基又はアミノ基が置換していてもよい、主鎖にエーテル結合、エステル結合又はアミド結合を有していてもよい炭素数5〜60の直鎖、分岐鎖又は環状の飽和又は不飽和の炭化水素基を示す。好ましくは、ヒドロキシル基又はアミノ基が置換していてもよい炭素数5〜35の直鎖、分岐鎖又は環状の飽和又は不飽和の炭化水素基、又は該炭化水素基のω位に、ヒドロキシル基が置換してもよい炭素数8〜22の直鎖、分岐又は環状の飽和又は不飽和の脂肪酸がエステル結合又はアミド結合したものが挙げられる。結合する脂肪酸としては、イソステアリン酸、12−ヒドロキシステアリン酸又はリノール酸が好ましい。
【0019】
5は、水素原子を示すか、ヒドロキシル基、ヒドロキシアルコキシ基、アルコキシ基及びアセトキシ基から選ばれる置換基を有していてもよい総炭素数1〜30の直鎖又は分岐鎖の飽和又は不飽和の炭化水素基である。R1が水素原子、Zが酸素原子のときR5は総炭素数10〜30の炭化水素基である。また、R1が炭化水素基のときR5は総炭素数1〜8の炭化水素基である。特に、水素原子あるいは、ヒドロキシル基及びヒドロキシアルコキシ基、アルコキシ基から選ばれる1〜3個が置換していてもよい総炭素数1〜8の炭化水素基が好ましい。ここで、ヒドロキシアルコキシ基及びアルコキシ基としては炭素数1〜7のものが好ましい。
【0020】
一般式(1)で表わされるセラミド類としては、特に次の一般式(2)又は(3)で表わされるセラミド類であることが好ましい。
(I)一般式(2)で表わされる天然由来のセラミド類又は同構造の合成物及びその誘導体(以下、天然型セラミドと記載する。)。
【0021】
【化2】

【0022】
(式中、R11はヒドロキシル基が置換していてもよい炭素数7〜19の直鎖、分岐鎖又は環状の飽和又は不飽和の炭化水素基を示し;Z1はメチレン基又はメチン基を示し;X5、X6、及びX7は各々独立して水素原子、ヒドロキシル基又はアセトキシ基を示し;X8は水素原子を示すか、隣接する酸素原子と一緒になってオキソ基を形成し(但し、Z1がメチン基のとき、X5とX6のいずれか一方が水素原子であり、他方は存在しない。X8がオキソ基を形成するとき、X7は存在しない。);R12はヒドロキシメチル基又はアセトキシメチル基を示し;R13は水素原子を示すか、炭素数1〜4のアルキル基を示し;R14はヒドロキシル基が置換していてもよい炭素数5〜30の直鎖、分岐鎖又は環状の飽和又は不飽和の炭化水素基であるか、又は該アルキル基のω末端に、ヒドロキシル基が置換していてもよい炭素数8〜22の直鎖又は分岐鎖の飽和又は不飽和の脂肪酸がエステル結合したものを示し;破線部は不飽和結合であってもよいことを示す。)
【0023】
好ましくは、R11が炭素数7〜19、更に好ましくは炭素数13〜15の直鎖アルキル基;R14がヒドロキシル基が置換しても良い炭素数9〜27の直鎖アルキル基又はリノール酸がエステル結合した炭素数9〜27の直鎖アルキル基である化合物が挙げられる。また、X8は水素原子を示すか、酸素原子とともにオキソ基を形成するのが好ましい。特に、R14としては、トリコシル、1−ヒドロキシペンタデシル、1−ヒドロキシトリコシル、ヘプタデシル、1−ヒドロキシウンデシル、ω位にリノール酸がエステル結合したノナコシル基が好ましい。
【0024】
天然型セラミドの具体的な例示として、スフィンゴシン、ジヒドロスフィンゴシン、フィトスフィンゴシン又はスフィンガジエニンがアミド化されたセラミドType1〜7(例えば、J. Lipid Res., 24:759(1983)の図2、及びJ. Lipid. Res.,35:2069(1994)の図4記載のブタ及びヒトのセラミド類)が挙げられる。
【0025】
更にこれらのN−アルキル体(例えばN−メチル体)も含まれる。
これらのセラミドは天然型(D(−)体)の光学活性体を用いても、非天然型(L(+)体)の光学活性体を用いても、更に天然型と非天然型の混合物を用いてもよい。上記化合物の相対立体配置は、天然型の立体配置のものでも、それ以外の非天然型の立体配置のものでも良く、また、これらの混合物によるものでもよい。特にCERAMIDE1、CERAMIDE2、CERAMIDE3、CERAMIDE5、CERAMIDE6IIの化合物(以上、INCI、8th Edition)及び次式で表わされるものが好ましい。
【0026】
【化3】

【0027】
これらは天然からの抽出物及び合成物のいずれでもよく、市販のものを用いることができる。
このような天然型セラミドの市販のものとしては、Ceramide I、Ceramide III、Ceramide IIIA、Ceramide IIIB、Ceramide IIIC、Ceramide VI(以上、コスモファーム社)、Ceramide TIC-001(高砂香料社)、CERAMIDE II(Quest International社)、DS-Ceramide VI、DS-CLA-Phytoceramide、C6-Phytoceramide、DS-ceramide Y3S(DOOSAN社)、CERAMIDE2(セダーマ社)が挙げられる。
【0028】
【化4】

【0029】
(II)一般式(3)で表わされる擬似型セラミド。
【0030】
【化5】

【0031】
(式中、R15は、ヒドロキシル基が置換していてもよい炭素数10〜22の直鎖、分岐鎖若しくは環状の飽和若しくは不飽和の炭化水素基又は水素原子を示し;X9は水素原子、アセチル基又はグリセリル基を示し;R16はヒドロキシル基又はアミノ基が置換していてもよい炭素数5〜22の直鎖、分岐鎖又は環状の飽和又は不飽和の炭化水素基であるか、又は該炭化水素基のω末端に、ヒドロキシル基が置換していてもよい炭素数8〜22の直鎖又は分岐鎖の飽和又は不飽和の脂肪酸がエステル結合したものを示し;R17は水素原子を示すか、ヒドロキシル基、ヒドロキシアルコキシ基、アルコキシ基又はアセトキシ基が置換していてもよい総炭素数1〜30のアルキル基を示す。)
【0032】
16としては、特にノニル、トリデシル、ペンタデシル、ω位にリノール酸がエステル結合したウンデシル基、ω位にリノール酸がエステル結合したペンタデシル基、ω位に12−ヒドロキシステアリン酸がエステル結合したペンタデシル基、ω位にメチル分岐イソステアリン酸がアミド結合したウンデシル基が好ましい。
【0033】
17は、R15が水素原子の場合は、ヒドロキシル基、ヒドロキシアルコキシ基、アルコキシ基又はアセトキシ基が置換していてもよい総炭素数10〜30の、好ましくは総炭素数12〜20のアルキル基であり、R15がヒドロキシル基が置換していてもよい炭素数10〜22の直鎖、分岐鎖又は環状の飽和又は不飽和の炭化水素基である場合には、水素原子を示すか、ヒドロキシル基、ヒドロキシアルコキシ基、アルコキシ基又はアセトキシ基が置換していてもよい総炭素数1〜8のアルキル基を示すものが好ましい。R17のヒドロキシアルコキシ基又はアルコキシ基としては炭素数1〜7のものが好ましい。
【0034】
一般式(3)としては、R15がヘキサデシル基、X9が水素原子、R16がペンタデシル基、R17がヒドロキシエチル基のもの;R15がヘキサデシル基、X9が水素原子、R16がノニル基、R17がヒドロキシエチル基のもの;又はR15がヘキサデシル基、X9がグリセリル基、R16がトリデシル基、R17が3−メトキシプロピル基の擬似型セラミド類が好ましく、一般式(3)のR15がヘキサデシル基、X9が水素原子、R16がペンタデシル基、R17がヒドロキシエチル基のもの(N−(ヘキサデシロキシヒドロキシプロピル)−N−ヒドロキシエチルヘキサデカナミド)が、特に好ましい。
【0035】
【化6】

【0036】
成分(B)のセラミド類は、1種以上を用いることができ、全組成中に0.001〜10質量%、特に0.01〜7質量%、更に0.1〜5質量%含有されるのが、セラミドを十分に皮膚へ浸透させられるので好ましい。
【0037】
成分(C)の中和剤としては、成分(A)を中和できるものであれば特に制限されず、アルカリ金属水酸化物、有機アミン、塩基性アミノ酸などが挙げられる。より具体的には、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物;トリエタノールアミン、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール等の有機アミン;L−アルギニン等の塩基性アミノ酸などが挙げられる。これらのうち、アルカリ金属水酸化物、有機アミンが好ましい。
【0038】
成分(C)の中和剤は、1種以上を用いることができ、全組成中に0.005〜5質量%、特に0.05〜2.5質量%、更に0.1〜1質量%含有されるのが、成分(A)を十分に中和できる点で好ましい。なお、成分(A)と(C)との関係において、モル比が10:5〜10:15、更には10:8〜10:12の関係にあるとき、成分(A)を十分に中和でき、化粧料の乳化安定性の観点から好ましい。
【0039】
成分(D)は化粧料の溶媒になる水である。成分(D)は、各成分の残部となるが、具体的には、全組成中に20〜99.9質量%、特に40〜95質量%、更に50〜90質量%含有されるのが好ましい。
【0040】
本発明で製造される化粧料は、更に、(E)炭素数14〜22の高級アルコール及びステロール類から選ばれる1種以上の化合物を含有することができる。
成分(E)のうち、高級アルコールは、炭素数14〜22、好ましくは炭素数16〜18のもので、例えば、ミリスチルアルコール、セタノール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、オレイルアルコール等が挙げられる。
これらのうち、直鎖アルキル基を有するものが好ましく、特に、セタノール、ステアリルアルコールが好ましい。
【0041】
また、ステロール類としては、コレステロール及びフィトステロールが挙げられる。フィトステロールは、β−シトステロール、カンペステロール、スティグマステロール、ブラシカステロール等の植物ステロールの総称であり、その組成は特に限定されるものではない。
【0042】
成分(E)は、1種以上を用いることができ、全組成中に0.001〜10質量%、特に0.05〜7質量%、更に0.1〜3質量%含有されるのが、耐温度保存安定性が高まるので好ましい。製造の際、成分(E)は、成分(A)、(B)とともに混合され、溶解されることが好ましい。
【0043】
本発明で製造される化粧料は、更に、(F)一般式(4):
【0044】
【化7】

【0045】
(式中、Z1は、ポリグリセリン、ソルビタン、ソルビトール又はショ糖を示す構造であって、2個以上のヒドロキシ基を有し、Y1は、エステル結合又はエーテル結合を示すか、又は、式中、Z1がグリセリンを示す構造であって、2個以上のヒドロキシ基を有し、Y1は、エーテル結合を示し、Rは、炭素数14〜22の炭化水素基を示し、nは1〜4の数を示す)
で表される化合物を含有することができる。
【0046】
式中、Rで示される炭素数14〜22の炭化水素基としては、直鎖炭化水素基が好ましく、例えば、ミリスチル基、パルミチル基、ステアリル基、ベヘニル基等の直鎖アルキル基;パルミトイル基、オレイル基等が挙げられる。
一般式(4)で表される化合物としては、ポリグリセリンモノ脂肪酸エステル、ポリグリセリンジ脂肪酸エステル、ソルビタンモノ脂肪酸エステル、ソルビタンジ脂肪酸エステル、ソルビトールモノ脂肪酸エステル、ソルビタンジ脂肪酸エステル、ショ糖モノ脂肪酸エステル、グリセリンモノアルキルエーテル等が挙げられる。
【0047】
より具体的には、ジグリセリンジステアリン酸エステル、モノパルミチン酸ソルビタン、モノイソステアリン酸ソリビタン、ジステアリン酸ソルビタン、ソルビトールモノパルミチン酸エステル、ショ糖ラウリン酸エステル、ショ糖オレイン酸エステル、グリセリンステアリルエーテル、グリセリンパルミチルエーテル、グリセリンイソステアリルエーテルなどが挙げられる。これらは、20℃で、液体、固体いずれでも良いが、固体であるのが、安定性の点から好ましい。
成分(F)としては、特に、グリセリンモノアルキルエーテルが好ましい。
【0048】
成分(F)は、1種以上を用いることができ、全組成中に0.001〜10質量%、特に0.05〜7質量%、更に1〜5質量%含有されるのが、耐温度保存安定性が高まるので好ましい。製造の際、成分(F)は、成分(A)、(B)とともに混合され、溶解されることが好ましい。
【0049】
本発明で製造される化粧料には、更に、多価アルコールを加えると、保存安定性がより増強され好ましい。多価アルコールとしては、例えばグリセリン、ソルビトール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、ポリオキシエチレンメチルグルコシド、ポリエチレングリコール等が挙げられる。特に、グリセリン、1,3−ブタンジオール、ポリオキシエチレンメチルグルコシド、ポリエチレングリコールが好ましい。
多価アルコールは1種以上を用いることができ、全組成中に50質量%以下、特に0.01〜20質量%含有されるのが好ましい。多価アルコールは、製造時、成分(A)及び(B)の混合物、又は、成分(C)及び(D)の混合物のいずれに混合しても良い。
【0050】
本発明においては、成分(A)及び(B)を含む油相成分を加熱溶解し、これに、成分(C)及び(D)を含む水相を撹拌しながら加え、乳化した後、更に撹拌しながら室温にすることにより、セラミド類がα−ゲル構造を有する乳化物が製造される。成分(E)、(F)は、先に示したように、成分(A)、(B)と共に混合し、加熱溶解することが好ましい。また、室温にするには、空冷、水冷など種々の冷却方法を用いることができる。
成分(D)の水は、成分(A)、(B)の混合物と混合し、乳化するときに全量を加えてもよいし、そのとき一部のみ加えて、その後室温まで冷却されるときに残部を加えてもよい。
【0051】
本発明においては、製造の際、使用する成分(A)及び(B)が液状となる観点から、70℃以上、特に80℃以上が好ましく、乳化温度は、作業の容易性から100℃以下、特に95℃以下で行うのが好ましい。
【0052】
従来、セラミド類の乳化では、中和された界面活性剤とセラミドを混合し、水を加えて乳化する方法、水に溶解した中和された界面活性剤とセラミドとを混合して乳化する一般的乳化方法が知られている。本発明では、セラミド類と未中和の界面活性剤とを混合溶解し、この後、中和剤を溶解させた水と混合させることが特徴である。これまでの方法では、長期の保存によって、セラミド類の結晶化が進み、セラミド結晶の分散物として、市場に供給されていた。そのため、肌に塗布した際、セラミドの浸透性が低く、セラミドの有する機能が十分に得られないという問題があった。しかし、本発明のような製造方法をとることによって、セラミドの結晶化が抑制され、α−ゲル構造を形成維持することができる。この結果、セラミド類の肌浸透性が向上し、より効果の高い化粧料を得ることができる。
【0053】
更に、本発明においては、成分(E)、(F)を加えることにより、セラミド類の結晶化抑制を高めることができる。製造時、成分(A)及び(B)と成分(E)又は成分(F)を混合することにより、成分(B)の配向分散性が高まるため、成分(B)の結晶としての析出をより抑制できるものと考えられる。特に、成分(E)の高級アルコールが分岐鎖を有する場合、成分(F)のアルキル鎖長が分岐鎖を有する場合、運動性の高いα−ゲル構造を形成するので、肌への浸透性がより高くなると考えられる。更に、本発明においては、多価アルコールを含むことにより、成分(B)の結晶化をより抑制することができ、また、肌への浸透性も向上させることができる。
【0054】
本発明においては、特に、成分(B)、(C)、(E)、(F)において、
(E):(F)=95:5〜5:95、
(C)/((B)+(E)+(F))が0.05〜0.75、
(F)/((B)+(E)+(F))が0.05〜0.5、
(B)/((B)+(E)+(F))が0.05〜0.75
である場合に、長期保存での安定性や、使用感により優れた化粧料を得ることができる。
【0055】
本発明で得られる化粧料は、乳化組成物で、α−ゲル(α型結晶)であり、結晶(γ型結晶)の析出が抑制される。α−ゲルは、X線による構造解析により、確認することができる。α型構造は六方晶系のことであり、親油基が親水基層の面に対して直角に配向しており、Bragg角21〜23°付近に鋭い一本の回折ピークが現れるのが特徴である。
【0056】
乳化に際して撹拌は、プロペラ等で20〜1000r/min、特に200〜1000r/min、更に200〜800r/minで行うのが好ましい。また、この撹拌の後にホモミキサーで1500〜10000r/min、特に4500〜9000r/minの撹拌を加えるのが好ましい。乳化時間は、1〜20分、特に5〜20分間であるのが好ましい。加熱温度下で乳化を行った場合は、0.1〜20℃/min、更に好ましくは0.1〜10℃/min、特に0.1〜5℃/minの降温速度で常温まで冷却するのが好ましい。
【0057】
このようにして製造された化粧料は、透明、半透明又は白濁した状態となる。ここで透明、半透明とは積分球光電散乱光度計により測定した濁度(カオリン標準:精製カオリン1ng/1リットル水の濁りを濁度1ppmとする。)が1〜1500ppmのものをいう。また、乳化物の油滴の平均粒子径は、3nm〜200μmで、外観、用途に応じて適宜製造されるが、乳化物の外観や安定性の点で5nm〜50μm、特に5nm〜10μmであるのが好ましい。平均粒子径は、動的光散乱式粒径分布測定装置(HORIBA LB-500)又はレーザー回折/散乱式粒度分布測定装置(HORIBA LA-920)で測定される。
【0058】
本発明で製造された化粧料は、半透明化粧水、半透明乳液、保湿美容液、美白美容液、保湿乳液、保湿クリーム等として適用することができる。
【0059】
更に、本発明で製造される化粧料は、フッ素系油剤又はシリコーンを加えると、乳化安定性及び使用感が向上するので好ましい。フッ素系油剤又はシリコーンは、成分(A)、(B)と混合されることが好ましい。
フッ素系油剤としては、次の一般式(5)
【0060】
【化8】

【0061】
(式中、R21は炭素数2〜30の直鎖又は分岐鎖のアルキル基を示し、kは1又は2の整数を、Rfは末端炭素原子に水素原子を有していてもよい炭素数3〜20の直鎖又は分岐鎖のフッ化炭素基を示す)
で表わされる化合物が挙げられる。
【0062】
21は、炭素数6〜18のアルキル基であるのが好ましく、特にヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基が好ましい。Rfで表わされる基としては、炭素数6〜12の鎖長を持つフッ素置換アルキル基が好ましい。
フッ素系油剤は1種以上を用いることができ、全組成中に50質量%以下、特に0.01〜10質量%含有するのが好ましい。
【0063】
また、シリコーンとしては、環状ジメチルポリシロキサン、鎖状ジメチルポリシロキサン、高分子ジメチルシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン等の他、アミノ変性シリコーン、カルボキシ変性シリコーン、アルキル変性シリコーン、ポリエーテル変性シリコーン、アルコール変性シリコーン、フッ素変性シリコーン等の変性シリコーンが挙げられる。
シリコーンは1種以上を用いることができ、全組成中に50質量%以下、特に0.01〜10質量%含有するのが好ましい。
【0064】
上記成分のほか、必要に応じて、通常の化粧料に使用される成分を適宜用いることができる。例えば、グリシンベタイン、キシリトール、トレハロース、尿素、中性アミノ酸、塩基性アミノ酸等の保湿剤;キサンタンガム、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルグアガム等の水溶性増粘剤;スクワラン、流動パラフィン、イソノナン酸イソトリデシル、イソステアリン酸コレステリル等の油剤;アラントイン、酢酸トコフェロール等の薬効剤;塩化ジメチルジステアリルアンモニウム等のカチオン性界面活性剤;ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンアルキルエーテル等の非イオン界面活性剤;セルロースパウダー、ナイロンパウダー、架橋型シリコーン末、架橋型メチルポリシロキサン、多孔質セルロースパウダー、多孔質ナイロンパウダー等の有機粉体;無水シリカ、酸化亜鉛、酸化チタン等の無機粉体;メントール、カンファー等の清涼剤などの他、植物エキス、pH緩衝剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、防腐剤、香料、殺菌剤、色素などが挙げられる。
【実施例】
【0065】
実施例1
100mL乳化槽に、ステアリン酸(融点69℃)0.3g、擬似型セラミド(N−(ヘキサデシロキシヒドロキシプロピル)−N−ヒドロキシエチルヘキサデカナミド)(融点70℃)4.0gを加え、80℃にて加熱溶解後、80℃、300r/minで10分間撹拌した。次いで、L−アルギニン0.18gと水95.52gの混合溶液を、乳化槽の温度を80℃で維持し、撹拌しながら、1分間かけて投入し、乳化した。撹拌下、1℃/minの降温速度で25℃迄冷却し、化粧料を製造した。
【0066】
実施例2
100mL乳化槽に、ポリオキシエチレン(4)ラウリルエーテル酢酸(融点69℃)0.42g、擬似型セラミド(N−(ヘキサデシロキシヒドロキシプロピル)−N−ヒドロキシエチルヘキサデカナミド)(融点70℃)4.0gを加え、80℃にて加熱溶解後、80℃、300r/minで10分間撹拌した。次いで、L−アルギニン0.18gと水95.4gの混合溶液を、乳化槽の温度を80℃で維持し、撹拌しながら、1分間かけて投入し、乳化した。更に、ホモミキサーで80℃、9000r/minで5分間撹拌した後、撹拌下、1℃/minの降温速度で25℃迄冷却し、化粧料を製造した。
【0067】
実施例3
100mL乳化槽に、モノセチルリン酸(融点50℃)0.5g、セラミド類(Ceramide TIC-001)(融点100℃)4.0g、セチルアルコール(融点50℃)1.0gを加え、95℃にて加熱溶解後、90℃、300r/minで10分間撹拌した。次いで、水酸化ナトリウム0.15gと水94.35gの混合溶液を、乳化槽の温度を90℃で維持し、撹拌しながら、1分間かけて投入し、乳化した。更に、ホモミキサーで90℃、9000r/minで5分間撹拌した後、撹拌下、1℃/minの降温速度で25℃迄冷却し、化粧料を製造した。
【0068】
実施例4
100mL乳化槽に、モノセチルリン酸0.34g、擬似型セラミド(N−(ヘキサデシロキシヒドロキシプロピル)−N−ヒドロキシエチルヘキサデカナミド)(融点70℃)4.0g、グリセリン10.0g、水2.0gを加え、80℃にて加熱溶解後、80℃、300r/minで10分間撹拌した。次いで、L−アルギニン0.37gと水83.29gの混合溶液を、乳化槽の温度を80℃で維持し、撹拌しながら、1分間かけて投入し、乳化した。撹拌下、1℃/minの降温速度で25℃迄冷却し、化粧料を製造した。
【0069】
実施例5
100mL乳化槽に、ポリオキエチレン(2)ラウリル硫酸0.5g、擬似型セラミド(N−(ヘキサデシロキシヒドロキシプロピル)−N−ヒドロキシエチルヘキサデカナミド)(融点70℃)4.0g、ジメチルポリシロキサン5.0gを加え、80℃にて加熱溶解後、80℃、300r/minで10分間撹拌した。次いで、水酸化ナトリウム0.065g、グリセリン10.0gと水80.435gの混合溶液を、乳化槽の温度を80℃で維持し、撹拌しながら、1分間かけて投入し、乳化した。撹拌下、1℃/minの降温速度で25℃迄冷却し、化粧料を製造した。
【0070】
実施例6
100mL乳化槽に、N−ステアロイル−N−メチルタウリン0.5g、擬似型セラミド(N−(ヘキサデシロキシヒドロキシプロピル)−N−ヒドロキシエチルヘキサデカナミド)(融点70℃)4.0g、グリセリン10.0gを加え、80℃にて加熱溶解後、80℃、300r/minで10分間撹拌した、次いで、L−アルギニン0.21gと水81.29gの混合溶液を、乳化槽の温度を80℃で維持し、撹拌しながら、1分間かけて投入し、乳化した。その後、ジメチルポリシロキサン3.0g、スクワラン1.0gを加え、1℃/minの降温速度で25℃迄冷却し、化粧料を製造した。
【0071】
実施例7
100mL乳化槽に、パルミチン酸(融点63℃)0.2g、擬似型セラミド(N−(ヘキサデシロキシヒドロキシプロピル)−N−ヒドロキシエチルヘキサデカナミド)(融点70℃)2.0g、グリセリン10.0gを加え、80℃にて加熱溶解後、80℃、300r/minで10分間撹拌した。次いで、L−アルギニン0.13gと水77.47gの混合溶液を、乳化槽の温度を80℃で維持し、撹拌しながら、1分間かけて投入し、乳化した。1℃/minの降温速度で25℃迄冷却し、その後、カルボキシビニルポリマー0.2gと水10gの混合溶液を加え、化粧料を製造した。
【0072】
実施例8
100mL乳化槽に、モノセチルリン酸(融点69℃)0.5g、擬似型セラミド(N−(ヘキサデシロキシヒドロキシプロピル)−N−ヒドロキシエチルヘキサデカナミド)(融点70℃)4.0g、セチルアルコール(融点50℃)1.5g、モノセチルグリセリルエーテル(融点60℃)1.5g、グリセリン10.0g、ジメチルポリシロキサン5.0g、スクワラン3.0g、オリーブ油2.0gを加え、80℃にて加熱溶解後、80℃、300r/minで10分間撹拌した。次いで、L−アルギニン0.61g、キサンタンガム0.2gと水71.69gの混合溶液を、乳化槽の温度を80℃で維持し、撹拌しながら、1分間かけて投入し、乳化した。撹拌下、1℃/minの降温速度で25℃迄冷却し、化粧料を製造した。
【0073】
実施例1〜8で得られた化粧料はいずれも、α−ゲル構造が確認され、乳化物としても、室温3ヶ月間安定なものであった。
【0074】
比較例1
100mL乳化槽に、ステアリン酸(融点69℃)0.3g、L−アルギニン0.18ggと水95.52gの混合溶液を加え、80℃にて加熱溶解後、80℃、300r/minで10分間撹拌した。次いで、乳化槽の温度を80℃で維持し、撹拌しながら、擬似型セラミド(i)(融点70℃)4.0gを加えた。撹拌下、1℃/minの降温速度で25℃迄冷却し、化粧料を製造した。
【0075】
比較例2
100mL乳化槽に、擬似型セラミド(N−(ヘキサデシロキシヒドロキシプロピル)−N−ヒドロキシエチルヘキサデカナミド)4.0gを加え、80℃にて加熱溶解後、80℃、300r/minで10分間撹拌した。次いで、L−アルギニン0.18gと水95.52gの混合溶液を、乳化槽の温度を80℃で維持し、撹拌しながら、1分間かけて投入し、最後にポリオキシエチレン(4)ラウリルエーテル酢酸(融点69℃)0.3gを加え、乳化した。撹拌下、1℃/minの降温速度で25℃迄冷却し、化粧料を製造した。
【0076】
比較例3
100mL乳化槽に、擬似型セラミド(N−(ヘキサデシロキシヒドロキシプロピル)−N−ヒドロキシエチルヘキサデカナミド)(融点70℃)4.0gを加え、80℃にて加熱溶解後、モノセチルリン酸0.34g、L−アルギニン0.37gと水95.29gの混合溶液を、乳化槽の温度を80℃で維持し、撹拌しながら、1分間かけて投入し、80℃,300r/minで10分間撹拌した。撹拌下、1℃/minの降温速度で25℃迄冷却し、化粧料を製造した。
【0077】
比較例4
100mL乳化槽に、擬似型セラミド(N−(ヘキサデシロキシヒドロキシプロピル)−N−ヒドロキシエチルヘキサデカナミド)(融点70℃)4.0g、ジメチルポリシロキサン5.0g、スクワラン3.0g、オリーブ油2.0gを加え、80℃にて加熱溶解後、N−ステアロイル−N−メチルタウリン0.5g、L−アルギニン0.21gと水85.29gの混合溶液を、乳化槽の温度を80℃で維持し、撹拌しながら、1分間かけて投入し、80℃、300r/minで10分間撹拌した。撹拌下、1℃/minの降温速度で25℃迄冷却し、化粧料を製造した。
【0078】
比較例1〜4で得られた化粧料はいずれも、α−ゲル構造が確認できず、乳化物としても、不安定であり、結晶の析出、粘度の低下が確認された。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の成分(A)、(B)、(C)及び(D):
(A)硫酸基、スルホ基若しくはリン酸残基を有する未中和の界面活性剤、炭素数12〜22のアルキル基を有するポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸、又は炭素数12〜22の高級脂肪酸、
(B)セラミド類、
(C)成分(A)の中和剤、
(D)水
を含有する化粧料の製造法であって、成分(A)及び(B)を加熱溶解し、これに成分(C)及び(D)を含む水相を撹拌しながら加え、更に撹拌しながら室温にすることを特徴とする化粧料の製造法。
【請求項2】
更に、成分(E)炭素数14〜22の高級アルコール及びステロール類から選ばれる1種以上の化合物を、成分(A)及び(B)と混合し、加熱溶解する請求項1記載の製造法。
【請求項3】
更に、(F)一般式(4):
【化1】

(式中、Z1は、ポリグリセリン、ソルビタン、ソルビトール又はショ糖を示す構造であって、2個以上のヒドロキシ基を有し、Y1は、エステル結合又はエーテル結合を示すか、又は、式中、Z1がグリセリンを示す構造であって、2個以上のヒドロキシ基を有し、Y1は、エーテル結合を示し、Rは、炭素数14〜22の炭化水素基を示し、nは1〜4の数を示す)
で表される化合物を、成分(A)及び(B)と混合し、加熱溶解する請求項1又は2記載の製造法。
【請求項4】
更に、成分(B)、(C)、(E)、(F)において、
(E):(F)=95:5〜5:95、
(C)/((B)+(E)+(F))が0.05〜0.75、
(F)/((B)+(E)+(F))が0.05〜0.5、
(B)/((B)+(E)+(F))が0.05〜0.75
である請求項1〜3のいずれか1項記載の化粧料の製造法。

【公開番号】特開2011−16768(P2011−16768A)
【公開日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−163522(P2009−163522)
【出願日】平成21年7月10日(2009.7.10)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】