説明

化粧料入り塗布容器

【課題】化粧料を目的部位に集中的に塗布でき、薬効成分の経皮吸収性を向上させて、浸透実感、効能および使用感を高くできる化粧料入り塗布容器を提供する。
【解決手段】本発明の化粧料入り塗布容器は、塗布容器1に化粧料が充填された化粧料入り塗布容器において、塗布容器1は、化粧料が収容される容器本体10と、容器本体10の上端に取り付けられ、容器本体10を倒立した際に前記化粧料を注出する注出部20と、注出部20を囲うように立設された刷毛束30とを具備し、刷毛束30は、その先端が注出部20の先端よりも先方に位置し、且つ注出部20の側面20aの上端に接触しており、前記化粧料は、その薬効成分または機能成分と、エステル化合物または多価アルコールからなる液状の経皮吸収促進剤と、炭素数2〜4の1価の低級アルコールとを含有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塗布容器に化粧料が充填された化粧料入り塗布容器に関する。
【背景技術】
【0002】
育毛有効成分、美白有効成分、シワ改善有効成分等の薬効成分と低級アルコール等の溶剤とを含む化粧料は、通常、皮膚への塗布が可能になっている塗布容器に充填されている。
化粧料入り塗布容器としては、例えば、特許文献1に、化粧料が充填された容器と、化粧料を塗布する塗布具とを具備し、塗布具が、多数の刷毛が立設された凹曲面状の支持部と、該支持部の中央にて立設され、化粧料を注出する注出口が上面に形成された注出筒とを備え、刷毛が中央に向かって傾斜しているものが開示されている。
化粧料入り塗布容器においては、液ダレせず、薬効成分の浸透実感および効能を高くするものが要求されている。しかしながら、特許文献1に記載の化粧料入り塗布容器を用いた場合には、目的部位以外の部位にも化粧料が付着しやすく、目的部位への集中的な塗布が困難であるため、薬効成分の浸透実感や効能が不充分であった。
【0003】
一方、化粧料の改良により、薬効成分の経皮吸収性を向上させる提案もなされている。例えば、特許文献2には、育毛成分とヒドロキシプロピルセルロースと低級アルコールとを含有するものが提案されている。
しかしながら、特許文献2に記載の化粧料は、薬効成分の経皮吸収性が充分とはいえず、薬効成分の浸透実感および効能が不充分であった。
また、育毛有効成分、美白有効成分、シワ改善有効成分を含む化粧料は、前頭部の生え際、おでこ、顔面等の非水平面に塗布されるため、粘度が低いと、塗布後に流れ落ちやすく、目的部分への集中的な塗布が困難であった。そのため、無駄になる化粧料が多く、不経済であった。化粧料の粘度を高くすれば、流れ落ちることを防止できるものの、塗布部分のべたつきやツッパリ感が生じ、使用感が低下することがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4108384号公報
【特許文献2】特開平5−58850号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、化粧料を目的部位に集中的に塗布でき、薬効成分の経皮吸収性を向上させて、浸透実感、効能および使用感を高くできる化粧料入り塗布容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、以下の態様を有する。
[1]塗布容器に化粧料が充填された化粧料入り塗布容器において、前記塗布容器は、化粧料が収容される容器本体と、該容器本体の上端に取り付けられ、容器本体を倒立した際に前記化粧料を注出する注出部と、該注出部を囲うように立設された刷毛束とを具備し、前記刷毛束は、その先端が前記注出部の先端よりも先方に位置し、且つ前記注出部の側面の上端に接触しており、前記化粧料は、その薬効成分または機能成分と、エステル化合物または多価アルコールからなる液状の経皮吸収促進剤と、炭素数2〜4の1価の低級アルコールとを含有することを特徴とする化粧料入り塗布容器。
[2]前記刷毛束を構成する用毛は、先端に向かって漸次細くなることを特徴とする[1]に記載の化粧料入り塗布容器。
[3]前記刷毛束を構成する用毛は、ポリブチレンテレフタレートまたはポリエチレンテレフタレートからなることを特徴とする[1]または[2]に記載の化粧料入り塗布容器。
[4]薬効成分は、下記(a)〜(c)成分のいずれかからなることを特徴とする[1]〜[3]のいずれか1項に記載の化粧料入り塗布容器。
(a)β−グリチルレチン酸、セファランチン、センブリエキス、ヒノキチオール、ヨウ化ニンニクエキス、ビオチン、アラントイン、塩酸ピリドキシン、dl−α−トコフェロール、酢酸dl−α−トコフェロール、トランス−3,4’−ジメチル−3−ヒドロキシフラバノン、アデノシン、ミノキシジル、ペンタデカン酸グリセリド、6−ベンジルアミノプリン、ニコチン酸、ニコチン酸アミド、D−パントテン酸カルシウム、D−パントテニルアルコール、アセチルパントテニルエチルエーテル、エストラジオール、エチニルエストラジオール、塩化カプロニウム、塩酸ジフェンヒドラミン、感光素301、カンフル、ノニル酸バニリルアミド、ノナン酸バニリルアミド、モノニトログアヤコール、γ−アミノ酪酸、アロエ抽出物、イチョウ抽出物、オウゴン抽出物、オーキシン、オトギリソウ抽出物、海藻抽出物、カンタリスチンキ、クララエキス、ウシヘマチン、ショウキョウチンキ、デュークエキス、トウキンセンカ抽出物、冬虫夏草抽出物、ヒドロコルチゾン、及びプラセンタ抽出物よりなる群から選ばれる1種以上の育毛有効成分
(b)エラグ酸、コウジ酸、アルブチン、ビタミンCおよびその誘導体よりなる群から選ばれる1種以上の美白有効成分
(c)レチノール、コラーゲン、ヒアルロン酸、イノシトール、フィチン酸およびこれらの誘導体よりなる群から選ばれる1種以上のシワ改善有効成分
【発明の効果】
【0007】
本発明の化粧料入り塗布容器によれば、化粧料を目的部位に集中的に塗布でき、薬効成分または機能成分(以下、「薬効成分」および「機能成分」のことを「薬効成分等」という。)の経皮吸収性を向上させて、浸透実感、効能および使用感を高くできる。
本発明の化粧料入り塗布容器においては、刷毛束を構成する用毛がポリブチレンテレフタレートまたはポリエチレンテレフタレートからなると、浸透実感、効能および使用感をより高くできる。
また、本発明の化粧料入り塗布容器においては、刷毛束を構成する用毛がポリブチレンテレフタレートまたはポリエチレンテレフタレートからなると、浸透実感、効能および使用感をより高くできる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の化粧料入り塗布容器の一実施形態で使用される塗布容器を示す断面図である。
【図2】図1に示す塗布容器の使用方法を説明する縦断面図である。
【図3】図1に示す塗布容器の使用方法を説明する縦断面図である。
【図4】塗布容器の他の実施形態を示す縦断面図である。
【図5】塗布容器の他の実施形態を示す縦断面図である。
【図6】塗布容器の他の実施形態を示す縦断面図である。
【図7】塗布容器Cを示す縦断面図である。
【図8】塗布容器Dを示す縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の化粧料入り塗布容器は、塗布容器に、経皮吸収促進剤と薬効成分等と低級アルコールとを含有する化粧料が充填されたものである。
(塗布容器)
本発明で使用される塗布容器の一実施形態について説明する。
図1に、本実施形態の塗布容器の縦断面図を示す。本実施形態の塗布容器1は、化粧料が充填される容器本体10と、容器本体10の上端に取り付けられた注出部20と、注出部20を囲うように立設された刷毛束30と、刷毛束30が植毛された植毛部40とを具備する。
【0010】
(容器本体)
本実施形態で使用される容器本体10は、化粧料が収容されるものであり、胴部11と、胴部11より上に配置された頸部12とを有する。頸部12の上端は開口しており、また、注出部20の取り付けが可能になっている。
容器本体10の材質としては、例えば、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート等の合成樹脂を用いることができる。
【0011】
(注出部)
本実施形態における注出部20は、容器本体10の頸部12の上端に取り付けられた外径一定の円筒体である。注出部20の上面20bには、容器本体10を倒立した際に容器本体10から化粧料を注出させる注出口21が形成されている。
注出部20の材質としては、容器本体10と同様の合成樹脂が挙げられる。
【0012】
注出部20は、注出口21を下に向けた際に、所定時のみ化粧料を注出させる弁機構50を備える。
本実施形態における弁機構50は、一端が注出口21とされ、容器本体10の内部と注出部20の外部とを連通させる略直線状の化粧料注出用貫通孔51と、化粧料注出用貫通孔51に挿入され、化粧料注出用貫通孔51の長手方向に沿って移動可能な可動ロッド52とを有する。
【0013】
化粧料注出用貫通孔51は、長手方向に垂直な断面が円形状の孔であり、容器本体10側の第1の孔51aと、注出部20の上部側の第2の孔51bと、第1の孔51aおよび第2の孔51bの間に形成され、第1の孔51aおよび第2の孔51bよりも孔径が大きい第3の孔51cとから構成されている。第1の孔51aと第2の孔51bの孔径は同等になっている。
各孔の孔径は、注出量に応じて適宜選択されるが、例えば、第1の孔51aおよび第2の孔51bの孔径は1.5〜2.5mmとされ、第3の孔51cの孔径は2.5〜4.5mmとされる。
各孔の長さについては、例えば、第1の孔51aの長さは5〜10mmとされ、第2の孔51bの長さは7〜15mmとされ、第3の孔51cの長さは3〜8mmとされる。
【0014】
可動ロッド52は、少なくとも第2の孔51bの内部に配置された円柱状のロッド本体部52aと、第3の孔51cの内部に配置された円柱状の拡径部52bとから構成されている。
ロッド本体部52aは、第2の孔51bよりも長く、且つ、外径が第2の孔51bの孔径よりも小さいものである。
拡径部52bは、外径が第1の孔51aおよび第2の孔51bの孔径よりも大きく、且つ、第3の孔51cの孔径よりも小さいものである。
拡径部52bの外径は第1の孔51aおよび第2の孔51bの孔径よりも1〜2mm大きいことが好ましい。拡径部52bの外径が第1の孔51aおよび第2の孔51bの孔径よりも1mm以上大きければ、拡径部52bによって第1の孔51aおよび第2の孔51bを確実に塞ぐことができる。しかし、拡径部52bの外径が第1の孔51aおよび第2の孔51bの孔径よりも2mmを超えて大きくても、第1の孔51aおよび第2の孔51bを塞ぐ効果が向上することはなく、無益である。
拡径部52bの外周面と第3の孔51cの内周面との間隔は0.5〜1mmであることが好ましい。拡径部52bの外周面と第3の孔51cの内周面との間隔が0.5mm以上であれば、拡径部52bの外周面と第3の孔51cの内周面との間に化粧料を充分に通すことができ、拡径部52bの外周面と第3の孔51cの内周面との間隔が1mm以下であれば、化粧料の過剰な注出を防止できる。
【0015】
(刷毛束)
刷毛束30は、多数本の用毛が束ねられたものであり、その先端が注出部20の先端である上面20bよりも先方に位置している。また、本実施形態では、刷毛束30は注出部20の側面20aに接触している。したがって、刷毛束30は注出部20の側面20aの上端に接触している。通常、用毛は平線を用いて植毛穴に植毛されている。
【0016】
本実施形態では、刷毛束30を構成する刷毛として、先端に向かって漸次細くなる毛が用いられている。以下、「先端に向かって漸次細くなる毛」のことを「テーパー毛」という。テーパー毛はコシを有しているため、充分に皮膚をマッサージできると共に、先端が毛穴の内部に容易に進入し、毛穴汚れを除去し、皮膚表面をマッサージできる。これにより、皮膚や毛穴への化粧料の供給を促進でき、しかも液ダレ防止性および浸透実感をより向上させることができる。
テーパー毛の最先端部の太さは10〜30μmであることが好ましく、15〜25μmであることがより好ましい。テーパー毛の最先端部の太さが30μm以下であれば、皮膚を擦った際の毛穴汚れ除去効果がより高くなる。特に、頭皮を擦った場合には、テーパー毛の先端が毛穴の内部に容易に入り込んで頭皮の毛穴汚れを良好に除去し、毛穴に化粧料を充分に浸透させることができる。テーパー毛の最先端部の太さが10μm以上であれば、刷毛束30を擦った際のマッサージ効果が高くなる。
また、テーパー毛のテーパーの程度は、テーパー毛の先端側にて長手方向の長さ3mmに対して外径が110〜170μmの範囲で変化することが好ましい。テーパー毛の先端側にて長手方向の長さ3mmに対して外径が110μm以上変化すれば、先端部を細くしつつ根元部を太くできる。しかし、テーパー毛の先端側にて長手方向の長さ3mmに対して外径が170μmを超える範囲で変化すると、根元部が太くなりすぎて、刷毛として機能しにくい傾向にある。
【0017】
用毛の長さは、刷毛束30の先端が、注出部20の上面20bよりも3〜7mm先方に位置する長さであることが好ましい。刷毛束30の先端が注出部20の上面20bよりも3mm以上先方に位置すれば、注出部20が皮膚に接触することを充分に防止できる。一方、刷毛束30の先端が、7mm以下の範囲で上面20bより先方に位置すれば、刷毛束30で皮膚を充分に擦ることができる。
刷毛束30を構成する用毛は、植毛穴面積に対する用毛の断面積の総和の割合(パッキングファクター(PF)、下記式参照)が70〜90%の範囲で植毛穴に植毛されていることが好ましい。
パッキングファクターPF(%)=用毛断面積×植毛本数×2÷(植毛穴面積−平線占有面積)×100
なお、平線占有面積とは、平面視において、植毛穴上の平線の面積のことである。
植毛穴面積に対する用毛の断面積の総和の割合が70%以上であれば、皮膚を充分に擦ることができ、また、刷毛束30に化粧料を充分に吸収させることができ、90%以下であれば、用毛が適度にばらけるため、刷掃性が向上する。
【0018】
用毛の材質としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリプロピレン、ポリエチレン等の合成樹脂が挙げられる。これらのうち、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートは、親水性および親油性の両方の性質を有する両親媒性の性質を有することから、油分と水分の両方を含む化粧料との親和性が高い。そのため、ポリエチレンテレフタレートまたはポリブチレンテレフタレートからなる用毛は化粧料が付着しやすく、化粧料に含まれる薬効成分等を効率的に頭皮から毛根部にまたは表皮から皮下組織に供給できる。また、ポリエチレンテレフタレートまたはポリブチレンテレフタレートからなる用毛は、特に低級アルコール製剤と水の混合液からなる化粧料を強く保持するため、刷毛束30に付着した化粧料は下降しにくくなっており、液ダレ防止性がより高くなっている。
【0019】
(植毛部)
本実施形態例における植毛部40は、注出部20の側面20aより外側且つ容器本体10側に、注出部20と同心円状に設けられている。植毛部40は、刷毛束30が植毛された植毛面41を有している。
植毛部40の材質は、注出部20と同じであってもよいし、異なってもよい。
本実施形態例においては、植毛面41の外側の縁部には、刷毛束30の下部を囲うように、注出部20よりも低い液ダレ防止壁42が立設されている。このように設けられた液ダレ防止壁42により、注出口21を斜め上に向けた際に、刷毛束30に沿って流下した化粧料を堰き止めることができるため、液ダレを防止できるようになっている。
液ダレ防止壁42の高さは0.5〜2mmであることが好ましく、1〜1.5mmであることがより好ましい。液ダレ防止壁42の高さは0.5mm以上であれば、注出口21を斜め上に向けた際の液ダレをより防止でき、2mm以下であれば、刷毛束30を動きやすくでき、刷毛束30としての機能をより発揮できる。
【0020】
(化粧料)
本発明における化粧料は、その薬効成分または機能成分と経皮吸収促進剤と低級アルコールとを含有する。また、必要に応じて、水、清涼感付与剤、ポリフェノール、殺菌剤、シリコーン化合物、香料、その他の添加剤が含まれてもよい。
【0021】
[経皮吸収促進剤]
経皮吸収促進剤は、エステル化合物または多価アルコールからなる液状化合物であり、薬効成分等の経皮吸収性を向上させるものである。ここで、液状とは、少なくとも0〜50℃の範囲にて液状であることを意味する。
経皮吸収促進剤においては、経皮吸収性がより高い点では、エステル化合物が好ましい。
【0022】
エステル化合物は、有機カルボン酸とアルコールとのエステルであり、脂肪酸プロピレングリコールエステル、オレイン酸エステル、α−ヒドロキシ酸エステルが挙げられる。
脂肪酸プロピレングリコールエステルは、脂肪酸とプロピレングリコールとのエステルである。ここで、脂肪酸は、飽和脂肪酸であってもよいし、1つ以上の二重結合を有する不飽和脂肪酸であってもよい。脂肪酸の炭素鎖の炭素数は、好ましくは6〜22、より好ましくは8〜18であり、その炭素鎖は直鎖状であっても分岐鎖状であってもよい。
脂肪酸プロピレングリコールの具体例としては、オクタン酸プロピレングリコール、デカン酸プロピレングリコール、ラウリン酸プロピレングリコール、ミリスチン酸プロピレングリコール、パルミチン酸プロピレングリコール、オレイン酸プロピレングリコール、ステアリン酸プロピレングリコール等が挙げられる。
オレイン酸エステルとしては、オレイン酸エチル、オレイン酸グリセリル、グリセリンモノオレイルエーテル、モノオレイン酸ソルビタン、セスキオレイン酸ソルビタン、トリオレイン酸ソルビタン、テトラオレイン酸ソルビット、ポリオキシエチレンオレイルエーテルおよびこれらの誘導体等が挙げられる。ポリオキシエチレンオレイルエーテルにおいては、エチレンオキシド平均付加モル数が1〜20であることが好ましく、1〜10であることがより好ましく、1〜5であることがさらに好ましい。
α−ヒドロキシ酸エステルとしては、グリコール酸エステル、乳酸エステル(例えば、乳酸オクチルドデシル等)、リンゴ酸エステル、クエン酸エステル挙げられる。
これらエステル化合物は1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
上記エステル化合物の中でも、液ダレ防止性、薬効成分等の浸透実感、薬効成分等の効能の点から、乳酸オクチルドデシル、オレイン酸プロピレングリコール、オレイン酸エチルが好ましい。
【0023】
多価アルコールは、ヒドロキシ基を2つ以上有する化合物である。
多価アルコールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、イソプレングリコール、ソルビトール等が挙げられる。これら多価アルコールは1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
上記多価アルコールの中でも、浸透実感により優れることから、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、イソプレングリコールが好ましく、ポリエチレングリコールがより好ましい。
ポリエチレングリコールは、平均分子量(医薬部外品原料規格2006記載のポリエチレングリコール200の平均分子量試験法を準用)の範囲は200〜1000が好ましく、200〜400がより好ましい。
【0024】
経皮吸収促進剤の配合量は、液ダレ防止、浸透実感の点から、0.01〜10質量%が好ましく、0.05〜5質量%がより好ましい。経皮吸収促進剤の配合量が前記下限値以上であれば、充分に高い経皮吸収促進効果が得られ、浸透実感がより高くなる。しかし、10質量%を超えて配合しても、浸透実感の向上効果は頭打ちになるばかりか、べたつき等が生じて使用感を低下させる場合がある。
【0025】
[薬効成分等]
薬効成分は、生理的な作用により効能を発揮する成分であり、例えば、育毛有効成分、美白有効成分、シワ改善有効成分、除毛有効成分、消毒有効成分、殺菌有効成分、荒れ肌防止有効成分、整肌有効成分、にきび防止有効成分及び美容エッセンス等の有効成分である。これら薬効成分の中でも、本発明の効果がとりわけ発揮されることから、育毛有効成分(a)、美白有効成分(b)及びシワ改善有効成分(c)のいずれかが好ましい。
機能成分としては、物理的な作用により効能を発揮するものであり、例えば、保湿成分、皮膚保護有効成分、日焼け止め有効成分が挙げられる。
【0026】
(a)育毛有効成分としては、β−グリチルレチン酸、セファランチン、センブリエキス、ヒノキチオール、ヨウ化ニンニクエキス、ビオチン、アラントイン、塩酸ピリドキシン、dl−α−トコフェロール、酢酸dl−α−トコフェロール、トランス−3,4’−ジメチル−3−ヒドロキシフラバノン、アデノシン、ミノキシジル、ペンタデカン酸グリセリド、6−ベンジルアミノプリン、ニコチン酸、ニコチン酸アミド、D−パントテン酸カルシウム、D−パントテニルアルコール、アセチルパントテニルエチルエーテル、エストラジオール、エチニルエストラジオール、塩化カプロニウム、塩酸ジフェンヒドラミン、感光素301、カンフル、ノニル酸バニリルアミド、ノナン酸バニリルアミド、モノニトログアヤコール、γ−アミノ酪酸、アロエ抽出物、イチョウ抽出物、オウゴン抽出物、オーキシン、オトギリソウ抽出物、海藻抽出物、カンタリスチンキ、クララエキス、ウシヘマチン、ショウキョウチンキ、デュークエキス、トウキンセンカ抽出物、冬虫夏草抽出物、ヒドロコルチゾン、及びプラセンタ抽出物が挙げられる。これら育毛有効成分は1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記育毛有効成分の中でも、育毛効果が高いことから、β−グリチルレチン酸、酢酸dl−α−トコフェロール、ペンタデカン酸グリセリド、6−ベンジルアミノプリン、ニコチン酸アミドが好ましく、化粧料の液ダレがより防止される点では、ペンタデカン酸グリセリド、6−ベンジルアミノプリン、ニコチン酸アミドがより好ましい。
【0027】
(b)美白有効成分としては、例えば、エラグ酸、コウジ酸、アルブチン、ビタミンCおよびその誘導体が挙げられる。これら美白有効成分は1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。前記美白有効成分の中でも、美白効果が高いことから、エラグ酸、ビタミンC誘導体が好ましい。
(c)シワ改善有効成分としては、例えば、レチノール、コラーゲン、ヒアルロン酸、イノシトール、フィチン酸およびこれらの誘導体が挙げられる。これらシワ改善有効成分は1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。前記シワ改善有効成分の中でも、シワ改善効果が高いことから、レチノール、ヒアルロン酸、フィチン酸が好ましい。
【0028】
薬効成分等の配合量は、薬効成分等の種類によって適宜選択されるが、0.001〜10質量%であることが好ましく、0.005〜5質量%であることがより好ましい。薬効成分等の配合量が前記下限値以上であれば、薬効成分等の効能を充分に高くでき、前記上限値以下であれば、べたつき等の使用感が抑制され、また、低温安定性が高くなる。
【0029】
[低級アルコール]
本発明における低級アルコールは、炭素数2〜4の1価(ヒドロキシ基が1つ)のアルコールであり、経皮吸収促進剤や薬効成分等の溶解、薬効成分等の浸透性向上、防腐のために使用される。
低級アルコールの具体例としては、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、n−プロパノール、n−ブタノール、t−ブタノールが挙げられる。これらの中でも、臭気が少ないことから、エタノールが好ましい。
低級アルコールの配合量は、1.0〜95質量%であることが好ましく、5〜80質量%であることがより好ましい。低級アルコール配合量が前記下限値以上であれば、溶剤としての役割を充分に果たせる上に、薬効成分等の浸透性をより向上させることができ、前記上限値以下であれば、化粧料の乾燥を抑制でき、浸透実感がより高くなる。
【0030】
[清涼感付与剤]
清涼感付与剤は、化粧料を皮膚に塗布した際に、清涼感を付与するものである。
清涼感付与剤としては、l−メントール、メンチルカルボキサミド、メンチルグリセリルエーテル、バニリルブチルエーテル、d−ボルネオール、α−グルコシルヘスペリジン、スピラントール、メンチルラクテート等が挙げられる。これら清涼感付与剤の中でも、l−メントール、メンチルカルボキサミド、メンチルグリセリルエーテル、バニリルブチルエーテルが好ましい。
なお、l−メントールの市販品として1−メントール(合成)、 高砂香料(株)製が、メンチルカルボキサミドの市販品としてWS−3(50%エタノール溶液)、ジボダン(株)製が、メンチルグリセリルエーテルの市販品としてCA−10、高砂香料(株)製が、バニリルブチルエーテルの市販品としてHOT ACT VBE、高砂香料(株)製が、d−ボルネオールの市販品としてボルネオール、柳沢正巳商店(株)製が、α−グルコシルヘスペリジンの市販品としてα−グルコシルヘスペリジン、林原(株)製が、スピラントールの市販品としては スピラントール、高砂香料(株)製が、メンチルラクテートの市販品としては、メンチルラクテート、ジボダン(株)製が挙げられる。
【0031】
清涼感付与剤を配合する場合、その配合量は、0.005〜3質量%であることが好ましく、0.1〜2質量%であることがより好ましい。清涼感付与剤の配合量が前記下限値以上であれば、充分に清涼感を付与でき、前記上限値以下であれば、清涼感が過剰になることを防ぐことができる。
【0032】
[ポリフェノール]
ポリフェノールは、皮膚の酸化を抑制して薬効成分等の機能を補助するものである。
ポリフェノールとしては、ガロタンニン酸、ケブリン酸、ハマメリタンニン、アセルタンニン、没食子酸、バロン酸、ケブール酸、ヘキサヒドロキシジフェン酸、エラグ酸、カフェー酸、p−クマル酸、フェルラ酸、シナピン酸、クロロゲン酸等、これらの塩、これらの誘導体および該誘導体の塩などを挙げることができ、上記誘導体としては、例えば、没食子酸の誘導体であるm−ジ没食子酸、デヒドロジ没食子酸、没食子酸メチルエステル−3−グルコシド、没食子酸メチルエステル−4−グルコシド、没食子酸プロピルエステル−3−グルコシド、没食子酸メチルエステル−3−マルトシド、没食子酸−3−グルコシド、没食子酸−3−マルトシド、没食子酸オクチル−3−マルトシド、没食子酸−3−グルクロニド、没食子酸ガラクツロニド、没食子酸メチルエステル−3,5−ジグルコシド、没食子酸−3,4−ジグルコシド、没食子酸−3,5−ジグルコシド等が挙げられる。これらの中でも、原料供給性、製造容易性などから、没食子酸メチルエステル−3,5−ジグルコシド、没食子酸−3,4−ジグルコシド、没食子酸−3,5−ジグルコシド等の没食子酸二配糖体等が好ましい。前記ポリフェノールは1種単独または2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
ポリフェノールを配合する場合、その配合量は、0.001〜10質量%であることが好ましく、0.01〜3質量%であることがより好ましい。ポリフェノールの配合量が前記下限値以上であれば、充分に皮膚の酸化を抑制できる。しかし、前記上限値を超えて配合しても、皮膚酸化抑制効果は頭打ちになるため、無益である。
【0033】
[殺菌剤]
殺菌剤は、殺菌性を有して薬効成分等の機能を補助するものであり、例えば、イソプロピルメチルフェノール、塩化ベンザルコニウム、塩化セチルピリジニウム、ヒドロキシピリドン誘導体が挙げられ、この中でも、ヒドロキシピリドン誘導体が好ましい。
ヒドロキシピリドン誘導体としては、例えば、ピロクトンオラミン[別名:1−ヒドロキシ−4−メチル−6−(2,4,4−トリメチルペンチル)−2(1H)−ピリドンモノエタノールアミン塩](商品名「オクトピロックス」、クラリアント社製、以下同様)、1−ヒドロキシ−4−メチル−ピリドン、1−ヒドロキシ−4,6−ジメチル−2−ピリドン、1−ヒドロキシ−4−メチル−6−イソブチル−2−ピリドン、1−ヒドロキシ−4−メチル−6−ノニル−2−ピリドン、1−ヒドロキシ−6−ウンデシル−2−ピリドン、1−ヒドロキシ−4−メチル−6−ウンデシル−2−ピリドン、1−ヒドロキシ−4,6−ジウンデシル−2−ピリドン、1−ヒドロキシ−6−トリデシル−2−ピリドン、1−ヒドロキシ−4−メチル−6−トリデシル−2−ピリドン、1−ヒドロキシ−3,4,5−トリメチル−6−トリデシル−2−ピリドン、1−ヒドロキシ−4,6−ジトリデシル−2−ピリドン、1−ヒドロキシ−4−メチル−6−ペンタデシル−2−ピリドン、1−ヒドロキシ−4−メチル−6−ヘプタデシル−2−ピリドン、1−ヒドロキシ−4−メチル−6−ノナデシル−2−ピリドン、1−ヒドロキシ−4−メチル−6−トリコシル−2−ピリドン、1−ヒドロキシ−4−メチル−6−シクロプロピル−2−ピリドン、1−ヒドロキシ−6−シクロペンチル−2−ピリドン、1−ヒドロキシ−4−メチル−6−シクロペンチル−2−ピリドン、1−ヒドロキシ−4−メチル−6−シクロオクチル−2−ピリドン、1−ヒドロキシ−4−メチル−6−ベンジル−2−ピリドン、1−ヒドロキシ−4−メチル−6−フェニル−2−ピリドン等が挙げられる。これらは1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
【0034】
[シリコーン化合物]
シリコーン化合物は、塗布時のすべり性すなわち塗布性を向上させ、また塗布後のベタツキ防止やなめらかさを向上させるためのものである。
シリコーン化合物としては、例えば、ジメチルポリシロキサン(高重合ジメチルポリシロキサン、シリコーンゴムを含む)、メチルフェニルポリシロキサン、ポリエーテル変性シリコーン、ポリアミノ変性シリコーン、べタイン変性シリコーン、アルコール変性シリコーン、フッ素変性シリコーン、エポキシ変性シリコーン、メルカプト変性シリコーン、カルボキシ変性シリコーン、脂肪酸変性シリコーン、シリコーングラフトポリマー、環状シリコーン、アルキル変性シリコーン、トリメチルシリル基末端ジメチルポリシロキサン、シラノール基末端ジメチルポリシロキサン等が挙げられる。これらは1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて使用することができる。前記シリコーン化合物の中でも、ジメチルポリシロキサン、ポリエーテル変性シリコーン、ポリアミノ変性シリコーンが好ましい。
また、シリコーン化合物は界面活性剤により乳化されていてもよい。
【0035】
[香料]
香料としては、公知のものを適宜使用することができ、例えば、特開2003−95895号公報に記載した香料が使用される。
香料を配合する場合、その配合量は0.00001〜50質量%であることが好ましく、0.0001〜30質量%であることがより好ましい。
【0036】
[その他の添加剤]
その他の添加剤としては、非イオン性界面活性剤、アミノ酸類、蛋白加水分解物、金属封鎖剤、増粘剤、油剤、紫外線吸収剤、pH調整剤、酸化防止剤、酸化剤、還元剤、アルカリ剤、色素、抗菌剤、噴射剤等などが挙げられる。
【0037】
[粘度、pH]
化粧料の粘度は特に限定されないが、B型粘度計を用いて25℃で測定した粘度が0.8〜5000mPa・sであることが好ましい。化粧料の粘度が前記下限値以上であれば、前頭部や顔面部に塗布した際の液ダレをより防止でき、前記上限値以下であれば、使用感をより向上させることができる。
化粧料のpHは特に限定されないが、2.5〜10.0であることが好ましく、3.0〜7.0であることがより好ましい。
【0038】
(使用方法)
本実施形態の化粧料入り塗布容器の使用方法の一例について説明する。本使用例は、化粧料を頭皮に塗布する例である。
すなわち、本使用例では、まず、化粧料入り塗布容器を倒立させて注出口21を下向きにし、注出口21を頭皮に近づけ、刷毛束30の先端を頭皮に接触させる。このとき、図2に示すように、ロッド本体部52aの先端側の一部が第2の孔51bから突出すると共に、拡径部52bのロッド本体部52a側の面52dが第3の孔51cの第2の孔51b側の面51eに当接して、第2の孔51bを塞ぐ。そのため、注出口21が下向きになっているにもかかわらず、化粧料は容器本体10から注出しない。
次いで、化粧料入り塗布容器をさらに頭皮に近づけ、図3に示すように、注出口21から突出したロッド本体部52aを頭皮に押し当てて第2の孔51bに少し押し戻す。これにより、拡径部52bを第3の孔51cの第2の孔51b側の面から離し、第2の孔51bと第3の孔51cとを連通させ、化粧料注出用貫通孔51を介して、容器本体10に収容された化粧料を頭皮に注出する。また、化粧料の注出と共に、刷毛束30を頭皮に擦ることによって、頭皮をマッサージして血流を高めると共に毛穴汚れを除去して化粧料を毛穴に浸透しやすくする。
次いで、化粧料入り塗布容器を頭皮から引き離して、頭皮からロッド本体部52aを引き離し、拡径部52bを第3の孔51cの第2の孔51b側の面51eに当接させて、第2の孔51bを塞いで化粧料の注出を停止する。
化粧料の塗布位置を変えつつ、上記のような化粧料の頭皮への注出、刷毛束30による頭皮の擦りを繰り返して、化粧料を頭皮の内部に染みこませる。
【0039】
上記のように注出口21から化粧料を注出させた後には、注出部20の上面20bに化粧料が残留していることが多い。そのため、一時的に化粧料の塗布を中断するため、または、化粧料の塗布を終了するために注出口21を斜め下または横に向けると、注出部20の上面20bに残留していた化粧料が上面20bを伝って下方に流れる。ここで、注出部20の側面20aの上端に刷毛束30が接触する本実施形態の塗布容器1においては、注出口21を斜め下または横に向けた際には、刷毛束30が、上面20bに沿って下方に流れた化粧料を受け止める配置になる。刷毛束30は刷毛同士の間に空隙部を多く有するため、液吸収性に優れる。したがって、上面20bに沿って下方に流れた化粧料を刷毛束30により捕捉し、吸収させて保持することができる。よって、注出口21を斜め下または横に向けた際に化粧料が塗布容器1から垂れ落ちることを防止できる。
さらに、注出口21を斜め上に向けた際にも、上面20bに残留していた化粧料が側面20aを伝って下方に流れるが、本実施形態では、刷毛束30の下部を囲うように液ダレ防止壁42が設けられているため、側面20aを伝って流れた化粧料を液ダレ防止壁42によって堰き止めることができる。したがって、注出口21を斜め上に向けた際にも塗布容器1から化粧料が垂れ落ちることを防止できる。
塗布終了後、注出口21を上に向けると、可動ロッド52が容器本体10側に移動して、図1に示すように、拡径部52bの端面52cが第3の孔51cの第1の孔51a側の面51dに当接するため、第1の孔51aを塞ぎ、容器本体10を密封するようになる。
【0040】
(作用効果)
上記化粧料入り塗布容器では、刷毛束30が注出部20の側面20aの上端に接触していることにより、化粧料が刷毛束30に接した際に付着しやすくなっている。それに加えて、化粧料に経皮吸収促進剤として含まれるエステル化合物または多価アルコールは刷毛束30との親和性が高い。そのため、化粧料を塗布容器1から注出すると共に刷毛束30を頭皮に擦った際には、皮膚に塗布されなかった化粧料が刷毛束30に容易に捕捉され、刷毛束30よりも外側に漏れにくい。これにより、目的部位以外への化粧料の付着を防止でき、目的部位に化粧料を集中的に塗布できる。
このように目的部位に化粧料を集中的に塗布できることに加え、化粧料に含まれる経皮吸収促進剤は薬効成分等の経皮吸収性を向上させて、薬効成分等の浸透実感および効能を高めることができる。しかも、化粧料を高粘度のジェル状等にする必要がなく、低粘度の液体とすることができる。低粘度の液体であれば、皮膚への浸透性がより一層高くなるから、薬効成分等の経皮吸収性をより向上させることができる。また、化粧料の低粘度化により、塗布部分のべたつきやツッパリ感を抑制でき、使用感を向上させることもできる。
上記のように、化粧料が低粘度でも液だれしにくい化粧料入り塗布容器は、前頭部の生え際、おでこ、顔面等の非水平面への塗布に適している。
【0041】
(他の実施形態例)
なお、本発明は、上記実施形態例に限定されない。
例えば、塗布容器において、注出部20は外径が一定の円筒状でなくてもよく、図4に示すように、上端部20d以外の部分は刷毛束30に接触しない円筒状で、上端部20dの側面20aのみが刷毛束30に接触するように外径が大きくされた形状であってもよい。また、注出部20は、図5に示すように、容器本体10側から上に向かって漸次拡径し、上端部20dが刷毛束30に接触するテーパー状であっても構わない。図4,5に示す注出部20においても、注出口21を鉛直方向の下向きに配置して化粧料を皮膚に注出した後に注出口21を斜め下または横に向けた際に、注出部20の上面20bに残留していた化粧料を刷毛束30により捕捉することができるため、液ダレを防止できる。
また、塗布容器は、図6に示すように、植毛部40に液ダレ防止壁42が設けられていなくても構わない。
また、刷毛束30を構成する用毛がテーパー毛でなく、太さが一定のストレート毛であっても構わない。
また、注出部20は、円柱状でなくてもよく、例えば、角柱状(例えば、四角柱状、五角柱状、六角柱状、八角柱状等)であっても構わない。
また、弁機構50は、例えば、特開平10−52321号公報、特許第4108384号公報に記載のものであっても構わない。
【実施例】
【0042】
(塗布容器A)
図1に示すような、容器本体10と注出部20と刷毛束30と植毛部40とを具備し、植毛部40に液ダレ防止壁42が設けられた塗布容器Aを作製した。注出部20の注出口21の開口径は2mmとした。用毛材質はポリブチレンテレフタレート、用毛径は最太部で0.3mm、先端から10mm部分はテーパー形状、PFは80%とした。
【0043】
(塗布容器B)
用毛材質をポリプロピレンとしたこと以外は容器1と同様にした塗布容器Bを作製した。
(塗布容器C)
容器本体10のみからなり、頸部12における開口部12aの開口径を2mmとしたこと以外は実施例1と同様の塗布容器C(図7参照)を作製した。
(塗布容器D)
注出部20の外径を5mmとし、注出部20の側面20aの上面側に刷毛束30が接触しないように配置したこと以外は実施例1と同様の塗布容器D(図8参照)を作製した。
【0044】
(実施例1〜15、比較例1〜4)
表1,2,3に示すように、経皮吸収促進剤と育毛有効成分と低級アルコールと他の成分とを配合して化粧料を調製した。その化粧料を塗布容器A〜Dのいずれかに充填して、化粧料入り塗布容器を得た。
なお、経皮吸収促進剤、育毛有効成分、低級アルコール、その他の成分としては、以下のものを使用した。
[経皮吸収促進剤]
・ポリエチレングリコール(平均分子量:300)
・乳酸オクチルドデシル
・オレイン酸プロピレングリコール
・オレイン酸エチル
・ポリオキシエチレンオレイルエーテル(ポリオキシエチレン平均付加モル数:2、表では、「POE(2)オレイルエーテル」と表記する。)
・ポリエチレングリコール(平均分子量:1000)
・プリピレングリコール
[有効成分]
・6−ベンジルアミノプリン
[低級アルコール]
・エタノール
[その他の成分]
・没食子酸ジグルコシド(ポリフェノール)
・l−メントール(清涼感付与剤)
・バニリルブチルエーテル(清涼感付与剤)
・クエン酸(pH調整剤)
・香料
【0045】
【表1】

【0046】
【表2】

【0047】
【表3】

【0048】
得られた各化粧料入り塗布容器について、塗布時の液ダレ防止性、塗布後のべたつき防止性、頭皮への浸透実感、育毛効果を、以下の方法により評価した。評価は専門のパネラー5名で行った。評価結果を表1,2,3に示す。
【0049】
[塗布時の液ダレ防止性]
化粧料入り塗布容器を髪の生え際に塗布した際の液ダレ防止性を官能評価し、下記の基準で点数を付けた。なお、表に示す点数は5人の平均値である。
5:全く液ダレしない。
4:ほとんど液ダレしない。
3:わずかに液ダレするが、問題はない。
2:液ダレする。
1:多量に液ダレする。
【0050】
[塗布後のべたつき防止性]
化粧料入り塗布容器を髪の生え際に塗布し、30分後のべたつきを官能評価し、下記の基準で点数を付けた。なお、表に示す点数は10人の平均値である。
5:べたつかない。
4:ほとんどべたつかない。
3:わずかにべたつくが、問題はない。
2:べたつく。
1:非常にべたつく。
【0051】
[頭皮への浸透実感]
化粧料入り塗布容器を髪の生え際に塗布した際の頭皮への浸透実感を官能評価し、下記の基準で点数を付けた。なお、表に示す点数は10人の平均値である。
5:しっかり浸透した感じがする。
4:浸透した感じがする。
3:わずかであるが浸透した感じがする。
2:浸透した感じが不足している。
1:浸透しない感じがする。
【0052】
[育毛効果]
化粧料入り塗布容器を3ヶ月間連続使用し、抜け毛の増減について評価し、下記の基準で点数を付けた。なお、表に示す点数は10人の平均値である。
5:抜け毛が減り、毛が増えた感じがする。
4:抜け毛が減った気がする。
3:抜け毛が僅かに減った気がする。
2:どちらともいえない
1:変わらない、もしくは抜け毛が増えた感じがする。
【0053】
塗布容器A,Bに、経皮吸収促進剤と育毛有効成分と低級アルコールとを含有する実施例1〜15の化粧料入り塗布容器は、液ダレ防止性、べたつき防止性、浸透実感、育毛効果に優れていた。特に、刷毛束の用毛がポリブチレンテレフタレートからなる実施例1〜8は液ダレ防止性がより高くなる傾向にあった。また、経皮吸収促進剤がエステル化合物を含む実施例2〜5,10〜13は、液ダレ防止性、浸透実感、育毛効果がより高くなる傾向にあった。
これに対し、化粧料が経皮吸収促進剤を含まない比較例1では、浸透実感が低く、育毛効果が発揮されなかった。
ブラシを備えず、容器本体からなる塗布容器Bを用いた比較例2では、液ダレを防止できず、浸透実感も不充分であった。
注出部の側面の上端側に刷毛束が接触していない塗布容器Dを用いた比較例3では、浸透実感が低く、育毛効果が発揮されなかった。
化粧料が低級アルコールを含まない比較例4では、塗布時のベタつき抑制や、浸透実感、育毛効果が不充分であった。
【0054】
(実施例16〜19)
表4に示すように、経皮吸収促進剤と美白有効成分と低級アルコールとを他の成分とを配合して化粧料を調製した。その化粧料を塗布容器Aに充填して、化粧料入り塗布容器を得た。
また、表5に示すように、経皮吸収促進剤とシワ改善有効成分と低級アルコールとを他の成分とを配合して化粧料を調製した。その化粧料を塗布容器Aに充填して、化粧料入り塗布容器を得た。
【0055】
【表4】

【0056】
【表5】

【0057】
得られた各化粧料入り塗布容器について、塗布時の液ダレ防止性、塗布後のべたつき防止性、皮膚への浸透実感を、実施例1〜15および比較例1〜4と同様に評価した。評価結果を表4,5に示す。
また、実施例16,17については、化粧料入り塗布容器を3ヶ月間連続使用して美白効果を評価し、下記の基準で点数を付けた。なお、表に示す点数は5人の平均値である。
実施例18,19については、化粧料入り塗布容器を3ヶ月間連続使用してシワ改善効果を評価し、下記の基準で点数を付けた。なお、表に示す点数は5人の平均値である。
【0058】
[美白効果]
5:シミが減った感じがする。
4:シミが少し減った感じがする。
3:シミが薄くなった感じがする。
2:シミがやや薄くなった感じがする。
1:変わらない、もしくはシミが増えた感じがする。
[シワ改善効果]
5:シワが減った感じがする。
4:シワが少し減った感じがする。
3:シワが薄くなった感じがする。
2:シワがやや薄くなった感じがする。
1:変わらない、もしくはシワが増えた感じがする。
【0059】
塗布容器Aに、経皮吸収促進剤と美白有効成分と低級アルコールとを含有する実施例16,17の化粧料入り塗布容器は、液ダレ防止性、べたつき防止性、浸透実感、美白効果に優れていた。
塗布容器Aに、経皮吸収促進剤とシワ改善有効成分と低級アルコールとを含有する実施例18,19の化粧料入り塗布容器は、液ダレ防止性、べたつき防止性、浸透実感、シワ改善効果に優れていた。
【符号の説明】
【0060】
1 塗布容器
10 容器本体
11 胴部
12 頸部
20 注出部
20a 側面
20b 上面
21 注出口
30 刷毛束
40 植毛部
41 植毛面
42 液ダレ防止壁
50 弁機構
51 化粧料注出用貫通孔
51a 第1の孔
51b 第2の孔
51c 第3の孔
52 可動ロッド
52a ロッド本体部
52b 拡径部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
塗布容器に化粧料が充填された化粧料入り塗布容器において、
前記塗布容器は、化粧料が収容される容器本体と、該容器本体の上端に取り付けられ、容器本体を倒立した際に前記化粧料を注出する注出部と、該注出部を囲うように立設された刷毛束とを具備し、
前記刷毛束は、その先端が前記注出部の先端よりも先方に位置し、且つ前記注出部の側面の上端に接触しており、
前記化粧料は、その薬効成分または機能成分と、エステル化合物または多価アルコールからなる液状の経皮吸収促進剤と、炭素数2〜4の1価の低級アルコールとを含有することを特徴とする化粧料入り塗布容器。
【請求項2】
前記刷毛束を構成する用毛は、先端に向かって漸次細くなることを特徴とする請求項1に記載の化粧料入り塗布容器。
【請求項3】
前記刷毛束を構成する用毛は、ポリブチレンテレフタレートまたはポリエチレンテレフタレートからなることを特徴とする請求項1または2に記載の化粧料入り塗布容器。
【請求項4】
薬効成分は、下記(a)〜(c)成分のいずれかからなることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の化粧料入り塗布容器。
(a)β−グリチルレチン酸、セファランチン、センブリエキス、ヒノキチオール、ヨウ化ニンニクエキス、ビオチン、アラントイン、塩酸ピリドキシン、dl−α−トコフェロール、酢酸dl−α−トコフェロール、トランス−3,4’−ジメチル−3−ヒドロキシフラバノン、アデノシン、ミノキシジル、ペンタデカン酸グリセリド、6−ベンジルアミノプリン、ニコチン酸、ニコチン酸アミド、D−パントテン酸カルシウム、D−パントテニルアルコール、アセチルパントテニルエチルエーテル、エストラジオール、エチニルエストラジオール、塩化カプロニウム、塩酸ジフェンヒドラミン、感光素301、カンフル、ノニル酸バニリルアミド、ノナン酸バニリルアミド、モノニトログアヤコール、γ−アミノ酪酸、アロエ抽出物、イチョウ抽出物、オウゴン抽出物、オーキシン、オトギリソウ抽出物、海藻抽出物、カンタリスチンキ、クララエキス、ウシヘマチン、ショウキョウチンキ、デュークエキス、トウキンセンカ抽出物、冬虫夏草抽出物、ヒドロコルチゾン、及びプラセンタ抽出物よりなる群から選ばれる1種以上の育毛有効成分
(b)エラグ酸、コウジ酸、アルブチン、ビタミンCおよびその誘導体よりなる群から選ばれる1種以上の美白有効成分
(c)レチノール、コラーゲン、ヒアルロン酸、イノシトール、フィチン酸およびこれらの誘導体よりなる群から選ばれる1種以上のシワ改善有効成分

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−85684(P2012−85684A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−232612(P2010−232612)
【出願日】平成22年10月15日(2010.10.15)
【出願人】(000006769)ライオン株式会社 (1,816)
【Fターム(参考)】