説明

化粧料

【課題】十分な保存安定性、高い皮膚安全性、優れた官能特性を持つ化粧料の提供。
【解決手段】下記一般式(1)


(式中、m+2は整数2から10、nは整数8から22、Xは対イオンである)で表されるスルホン化物の塩を含有することを特徴とする化粧料は、皮膚等に対して低刺激で好ましい感触、優れた官能特性を与え、すぐれた洗浄力、起泡力を有し、皮膚、頭髪用化粧料の乳化剤、コンディショニング剤として使用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は十分な保存安定性、高い皮膚安全性、優れた官能特性を持つ化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、(イ)高級アルコールの硫酸エステル塩、ポリオキシエチレン付加アルキル硫酸エステル塩、N−アシルグルタミン酸塩等の陰イオン界面活性剤、特定の構造のジェミニ型(2鎖2親水基含有)陰イオン界面活性剤が化粧料に用いられている。しかし、これらは十分な保存安定性、皮膚安全性、優れた官能特性を持つとは言えず、その改良が望まれていた(特許文献1)。
【特許文献1】特許第3878154号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
かかる背景にあって本発明の目的は、十分な保存安定性、高い皮膚安全性、優れた官能特性を持つ化粧料を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明者は鋭意研究を行った結果、後記一般式(1)で表されるスルホン化物の塩を含有する界面活性剤組成物が、上記要求を満足することを見出した。
【0005】
すなわち本発明の請求項1は、下記一般式(1)
【化1】

(式中、m+2は整数2から10、nは整数8から22、Xは対イオンである)で表されるスルホン化物の塩を含有することを特徴とする化粧料である。
【発明の効果】
【0006】
本発明の化粧料は、皮膚等に対して低刺激で好ましい感触、優れた官能特性を与え、すぐれた洗浄力、起泡力を有し、皮膚、頭髪用化粧料の乳化剤、コンディショニング剤として使用することもできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明の界面活性剤組成物を構成するスルホン化物の一般式(1)におけるm+2は、2から10が選択され、好ましくは4である。nは8から22が選択され、混合物でもよい。好ましくは10から16である。対イオンはナトリウムイオン、カリウムイオン、リチウムイオン、アンモニウムイオン、トリエタノールアンモニウムイオン、ジエタノールアンモニウムイオンなどの無機陽イオン又は有機アンモニウムイオンである。
【0008】
一般式(1)のスルホン化物は、例えば、下記の反応式に従って製造することができる。
【化2】

【0009】
炭素原子数が2から10のα,ω型ジカルボン酸と亜硫酸ガスを有機溶媒中1〜30時間攪拌した後、水を加えてさらに1〜10時間攪拌して(a)を得る。その酸クロリド(b)をアルカリの存在下、nが8から22が選択される、長鎖アルキルアミン(又は混合物)と共に有機溶媒中で1〜20時間攪拌し、目的物(1)を得る。本発明では、反応生成物を未精製のまま使用することができるが、必要に応じて溶媒抽出法、再結晶法、カラムクロマトグラフ法により精製して用いる。
【0010】
本発明に係るスルホン化物の塩の含有量は、化粧料(組成物)の総量を基準にして0.01から50重量%が好ましい。
【0011】
本発明の化粧料は、必要に応じてアルキルフェノールのエチレンオキシド付加物、長鎖アルコールのエチレンオキシド付加物、ポリオキシプロピレングリコールのエチレンオキシド付加物、高級脂肪酸モノグリセリルエステル、高級脂肪酸ポリグリセリルエステル、プロピレングリコールの脂肪酸エステル、ソルビトールの脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン付加ソルビトールの脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン付加脂肪酸、アルカノールアミド、ポリオキシエチレン付加シリコーン、アルキルポリグリコシド等の非イオン界面活性剤、N−アルキルベタイン、アミンオキシド、スルホベタイン等の両性界面活性剤、高級脂肪酸塩、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩、リグニンスルホン酸塩、N−アシルアリキルタウリン塩、α−オレフィンスルホン酸塩、スルホコハク酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、アルキル硫酸塩、ポリオキシエチレン付加直鎖アルコール硫酸塩、ポリオキシエチレン付加直鎖アルコールリン酸塩等の陰イオン界面活性剤、長鎖第4級アンモニウム塩等の陽イオン界面活性剤を含むことができる。また本発明の化粧料は、乳化助剤、ワックス、液状油、保湿剤、香料、パール化剤、着色剤、顔料、殺菌剤、増粘剤、二価金属イオン捕捉剤、アルカリ剤、無機塩、再汚染防止剤、蛍光塗料、ケーキング防止剤、防腐剤、エタノール等を本発明の目的を達成する範囲で配合することができる。
【0012】
本発明の化粧料として、スキンクリーム、スキンミルク、洗顔クリーム、液状洗顔料、ボディシャンプー、シャンプー、クレンジングローション、メイク落とし化粧料など基礎化粧料、メイクアップ化粧料、頭髪化粧料が例示される。
次に実施例で詳細に説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されない。
【実施例】
【0013】
実施例に記載の保存安定性試験、ヒト皮膚クローズパッチテスト、感触(使用時の官能テスト)の試験方法を次に示す。
【0014】
(1)保存安定性試験:試験試料を45℃の恒温槽に入れ、1年間間放置後の乳化状態、外観を観察し、異常が認められない場合(乳化状態が均一で均質なエマルションを形成している場合)は「良好」とし、異常が認められる場合(油が分離した場合、粒子が粗大になった場合)は「不良」、良好と不良の中間を「やや良」とした。
(2)ヒト皮膚パッチテスト:被験者50名の前腕屈曲部の皮膚に試料0.5gを直径1.0cmの円型のリント布のついたパッチテスト用絆創膏を用いて24時間閉塞貼布した後、次の判定基準に従い各試料について被験者の皮膚の状態を評価した。皮膚刺激性が低い(平均値0.5未満):○、皮膚刺激性が中程度(平均値0.5以上、1.0未満):△、皮膚刺激性が強い(平均値1.0以上):×
(3)感触(保湿性):被験者女子20名によって30日間朝夕塗布して官能テストを実施し、保湿性についてテストした。評価は保湿性については「しっとりする」と回答した人数で示した。
【0015】
実施例1から4で配合される本発明に係るスルホン化物は、一般式(1)において、mが12、nが2であるスルホン化物のNa塩(A1)、mが12、nが4であるスルホン化物のNa塩(A2)、mが14、nが2であるスルホン化物のNa塩(A3)である。
比較例1から4で配合される陰イオン界面活性剤は、ポリオキシエチレン(3モル付加)ドデシル硫酸Na(B1)、N−ラウロイルグルタミン酸トリエタノールアンモニウム塩(B2)、オレイン酸ドデシルのスルホン化によって得られたスルホン基と水酸基を含有する陰イオン界面活性剤(特願2007−158035号の発明物、B3)である。比較例4で配合される陰イオン界面活性剤(特許第3878154号の発明物、B4)は、(CH[NCO(C1123CONa]である。
【0016】
実施例1〜4、比較例1〜4(スキンミルク)
表1に記載の界面活性剤を表2に記載の原料と共に配合して実施例及び比較例のスキンミルクを調製し、諸特性を評価した。
【表1】

【0017】
(1)組成
【表2】

【0018】
(1)調製方法:成分(a)と成分(b)をそれぞれ温度80℃にて均一に溶解し、(a)を攪拌しながら成分(b)を注入して乳化分散した後、攪拌しながら温度を30℃まで冷却して調製する。
(2)特性:実施例、比較例に係る前記諸特性を試験した結果を表1に記載する。この結果から、実施例1〜4のスキンミルクは、皮膚安全性、保存安定性及び使用時の官能特性に優れていることは明らかである。
【0019】
実施例5(クリームファンデーション)
(1)組成 (1)セトステアリルアルコール 1.0
(2)ホホバ油 15.0
(3)モノステアリルグリセリン 2.0
(4)モノラウリン酸プロピレングリコール 3.0
(5)A1(本発明に係る陰イオン界面活性剤) 1.0
(6)プロピレングリコール 4.0
(7)メチルパラベン 0.1
(8)香料 0.1
(9)精製水 全成分の残余
(10)酸化チタン 8.0
(11)タルク 4.0
(12)酸化鉄 0.5
(2)調製方法:油相成分(1)、(2)、(3)、(4)と水相成分(5)、(6)、(7)、(8)と(9)、顔料成分(10)(11)(12)を常法によって混合してクリームファンデーションを得た。
(3)特性:得られたクリームファンデーションは、保存安定性、皮膚安全性及び使用時の官能特性に優れていた。
【0020】
実施例6(化粧水)
(1)組成 (1)A1(本発明に係る陰イオン界面活性剤) 1.0
(2)グリセリン 4.0
(3)1,3−ブチレングリコール 4.0
(4)エタノール 7.0
(5)メチルパラベン 0.5
(6)クエン酸 0.01
(7)クエン酸Na 0.1
(8)香料 0.05
(9)精製水 84.24
(2)調製方法:上記成分を常法によって混合し、化粧水を得た。
(3)特性:得られた化粧水は、皮膚安全性、保存安定性及び使用時の官能特性に優れていた。
【0021】
実施例7(シャンプー)
(1)組成 (1)A1(本発明に係る陰イオン界面活性剤) 15.0
(2)ラウロイルジエタノールアミド 3.0
(3)ヒドロキシエチルセルロース 0.1
(4)安息香酸ナトリウム 0.3
(5)色素 適量
(6)香料 適量
(7)クエン酸 適量
(8)精製水 全成分の残余
(2)調製方法:上記成分を常法によって混合し、シャンプーを得た。
(3)特性:得られたシャンプーは、皮膚安全性、保存安定性及び使用時の官能特性に優れていた。
【0022】
実施例8(ボディシャンプー)
(1)組成 (1)A1(本発明に係る陰イオン界面活性剤) 17.0
(2)ポリオキシエチレン(E03)ラウリルグルコシド 3.0
(3)ラウリルジメチルアミンオキシド 3.0
(4)グリセリン 4.0
(5)ショ糖脂肪酸エステル 1.0
(6)クエン酸 適量
(7)精製水 全成分の残余
(2)調製方法:上記成分を常法によって混合し、ボディシャンプーを得た。
(3)特性:得られたボディシャンプーは、皮膚安全性、保存安定性及び使用時の官能特性に優れていた。
【0023】
以上記載の如く、本発明の化粧料は、保存安定性に優れ、皮膚や頭髪に対して低刺激であり、しかも保湿性にすぐれ、好ましい感触を与えて使用時の官能特性に優れる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)
【化1】

(式中、m+2は整数2から10、nは整数8から22、Xは対イオンである)で表されるスルホン化物の塩を含有することを特徴とする化粧料。

【公開番号】特開2009−191059(P2009−191059A)
【公開日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−66809(P2008−66809)
【出願日】平成20年2月18日(2008.2.18)
【出願人】(504080098)
【Fターム(参考)】