説明

化粧用貼付材パッケージ

【課題】保管期間が長くなっても、ビタミンCの酸化、加水分解を十分抑制して満足な品質を維持できる化粧用貼付材パッケージを提供する。
【解決手段】脱酸素剤と一緒に、又は、脱酸素剤及び乾燥剤と一緒に、非通気性の外袋100に収納されて密封される化粧用貼付材パッケージPであって、実質的に水を含まない粘着性のセグメント化ポリウレタンゲルにビタミンCを含有させた化粧用貼付材1を収容する貼付材収容凹部2bが形成されたトレー2と、このトレー2に被着されるトレー蓋3とからなり、かつ、パッケージ外部と貼付材収容凹部2bとの通気を保つ通気部5が形成された構成の化粧用貼付材パッケージPとする。貼付材収容凹部2bの雰囲気が通気部5によって外袋100内の実質的に無酸素、無水の雰囲気に保たれるため、ビタミンCの酸化や加水分解が殆ど生じなくなり、満足な品質を維持できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビタミンCが含有された化粧用貼付材を収容する化粧用貼付材パッケージであって、脱酸素剤と一緒に、又は、脱酸素剤及び乾燥剤と一緒に、非通気性の外袋に収納されて密封される化粧用貼付材パッケージに関する。
【背景技術】
【0002】
代表的な水溶性ビタミンであるビタミンCや、代表的な脂溶性ビタミンであるビタミンEは、美白作用、色素沈着抑制、皮膚の老化抑制、肌荒れ防止などの効能を有することが知られている。このようなビタミンをヒドロゲルの基材に含有させた化粧用貼付材として、ポリアクリル酸及び/又はポリアクリル酸塩と水と架橋剤とを必須成分とするアクリル系の架橋型含水ゲルよりなる基材に、ビタミンその他の美肌成分を含有させたシート状パック剤が知られている(特許文献1参照)。また、ゼラチンや寒天などの天然のヒドロゲルに美肌成分を含有させたものもある。
【0003】
上記のシート状パック剤は、水溶性ビタミンを含水ゲルの基材に相溶させて含有させることができるけれども、容易に酸化され加水分解される水溶性のビタミンC(アスコルビン酸)を含有させると、ゲル分解で生じた酸性化合物により侵されて劣化や着色を生じるという問題があった。また、含水ゲルよりなる基材は含水量によって粘着力が大きく変化し、含水量が減少すると粘着力が大幅に低下するという問題もあった。
【0004】
そこで、本出願人は、実質的に水分を含まない粘着性のセグメント化ポリウレタンゲルにビタミンCを含有させた化粧用貼付材をトレーの収容凹部に収容し、貯水部を備えたカバー体をトレーに被着してなる化粧用貼付材パッケージを先に提案した(特願2003−337330)。この化粧用貼付材パッケージは、化粧用貼付材のセグメント化ポリウレタンゲルが無水ゲルであるため、このゲルに含まれるビタミンCが保管中に加水分解されて変質、劣化することが殆どなく、しかも、使用直前に蓋体の貯水部を破ると水が化粧用貼付材のセグメント化ポリウレタンゲルに浸透してビタミンCを溶解するため、この化粧用貼付材をトレーの収容凹部から取り出して顔面に貼付すると、溶解したビタミンCが皮膚に移行して速やかに吸収され、美白作用、色素沈着抑制、抗酸化作用などのビタミンCの効能を発揮し得るものである。
【0005】
けれども、上記の化粧用貼付材パッケージは、保管期間が長くなると、セグメント化ポリウレタンゲルに浸透する空気中の酸素によってビタミンC(L−アスコルビン酸)の一部が酸化されてデヒドロアスコルビン酸となり、このデヒドロアスコルビン酸が加水分解されやすい構造であるため、浸透する空気中の水分によって容易に加水分解されて失活するという不都合を生じることがあった。
【0006】
なお、化粧液又は薬液を使用直前に含浸用基材に含浸させるタイプの化粧用或いは医療用の貼付材としては、化粧液と含浸用シートを仕切シール部で分離して一つの包装袋に封入しておき、使用直前に仕切シール部を破壊して化粧液を含浸用シートに含浸させるようにしたもの(引用文献2参照)や、薬液を入れたブリスターと含浸用基材を重ねて粘着シートに設けておき、使用直前にブリスターを破って薬液を含浸用基材に含浸させるようにしたもの(引用文献3参照)等が知られている。
【特許文献1】特開昭58−180408号公報
【特許文献2】特開2004−1807号公報
【特許文献3】特開平9−124468号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は上記に鑑みてなされたものであって、保管期間が長くなっても、化粧用貼付材のセグメント化ポリウレタンゲルに含有されたビタミンCの酸化、加水分解を十分抑制して満足な品質を維持できる化粧用貼付材パッケージを提供することを主たる解決課題としている。そして、このパッケージの取扱い性を向上させることも解決課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明の化粧用貼付材パッケージは、脱酸素剤と一緒に、又は、脱酸素剤及び乾燥剤と一緒に、非通気性の外袋に収納されて密封される化粧用貼付材パッケージであって、実質的に水を含まない粘着性のセグメント化ポリウレタンゲルにビタミンCを含有させた化粧用貼付材を収容する貼付材収容凹部が形成されたトレーと、このトレーに被着されるトレー蓋とからなり、かつ、パッケージ外部と貼付材収容凹部との通気を保つ通気部が形成されていることを特徴とするものである。ここに「実質的に水を含まない」とは、水が1重量%以下と極く微量含まれている状態をいい、好ましくは0.5重量%以下、更に好ましくは0.3重量%以下の状態をいう。
【0009】
本発明の化粧用貼付材パッケージにおいては、トレー蓋が貯水部を備え、この貯水部に外力を加えると貯水部の底面が開放して貯水部の水がトレーの貼付材収容凹部に供給されるように構成することが好ましく、この貯水部の水には保湿剤が含有されていることが好ましい。また、トレーに二つの貼付材収容凹部を堤部を挟んで形成し、この堤部に双方の貼付材収容凹部を連通する連通溝部を形成すると共に、この連通溝部の真上にトレー蓋の貯水部を位置させて貯水部の両側部を堤部で支持させることも好ましい。更に、通気部をトレーの周縁部とトレー蓋の周縁部との重ね合わせ部分に形成すること、重ね合わせるトレーの周縁部とトレー蓋の周縁部のいずれか一方が他方よりも外側へ部分的にはみ出していること、トレーに被係合部を形成すると共に該被係合部に係合してトレー蓋の方向を決める係合部をトレー蓋に形成することも好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明の化粧用貼付材パッケージは、化粧用貼付材のセグメント化ポリウレタンゲルが実質的に水分を含まない無水ゲルであるため、ビタミンCを乾燥状態で安定して含有保持できることに加えて、脱酸素剤と一緒に、又は、脱酸素剤及び乾燥剤と一緒に、非通気性の外袋に収納、密封されて保管されるため、このパッケージは外袋内の実質的に無酸素、又は、無酸素かつ無水の雰囲気中で保管されることになり、しかも、このパッケージの化粧用貼付材を収容する貼付材収容凹部は、通気部によって外袋内の上記雰囲気と同じ無酸素、又は、無酸素かつ無水の雰囲気に保たれるので、この貼付材収容凹部に収容された化粧用貼付材のセグメント化ポリウレタンゲルに含まれるビタミンC(L−アスコルビン酸)は、実質的に酸化や加水分解が生じない。従って、保管期間が長い場合でも初期の品質が保持され、ビタミンCが酸化や加水分解により失活することは皆無に等しくなるので、使用する直前に化粧用貼付材のセグメント化ポリウレタンゲルに水を吸収させてビタミンCを溶解し、これを顔面の皮膚等に貼付して使用すれば、溶解したビタミンCが皮膚へ移行してすみやかに吸収され、美白作用、色素沈着抑制、抗酸化作用などのビタミンCの効能を発揮することができる。そして、化粧用貼付材のセグメント化ポリウレタンゲルは、従来のヒドロゲルのように含水率の変化によって粘着力が大きく変化することがなく、一定した適度の粘着力を有するので、化粧用貼付材が皮膚から脱落する心配もない。
【0011】
また、トレー蓋が貯水部を備え、この貯水部に外力を加えると貯水部の底面が開放して貯水部の水がトレーの貼付材収容凹部に供給されるように構成した本発明の化粧用貼付材パッケージは、使用直前に貯水部を指で押して外力を加えるだけで、貼付材収容凹部に収容された化粧用貼付材のセグメント化ポリウレタンゲルに適量の水を吸収させることができるので、別途、適量の水を準備してセグメント化ポリウレタンゲルに注ぐ必要がなくなり、取扱い性が向上する。特に、トレーに二つの貼付材収容凹部を堤部を挟んで形成し、この堤部に双方の貼付材収容凹部を連通する連通溝部を形成すると共に、この連通溝部の真上にトレー蓋の貯水部を位置させて貯水部の両側部を堤部で支持させた化粧用貼付材パッケージは、貯水部に外力を加えて底面を開放すると、貯水部の水が連通溝部を通って双方の貼付材収容凹部に収容された化粧用貼付材のセグメント化ポリウレタンゲルに同時に均等に吸収される利点があり、しかも、貯水部の両側部が堤部で支持されているので、貯水部を指で押すときに貯水部の沈み込みがなくなり、貯水部の底面を容易かつ確実に開放できるようになる。そして、貯水部の水に保湿剤が含有されている化粧用貼付材パッケージは、上記のように貯水部の底面を開放して保湿剤入りの水を吸収させた化粧貼付材を顔面の皮膚等に貼付すると、保湿剤も皮膚に移行するため、保湿剤のモイスチャー効果によって皮膚に潤いを与えることが可能となる。保湿剤を化粧用貼付材のセグメント化ポリウレタンゲルに含有させる場合は、保持される水分によってビタミンCの加水分解を生じる虞れがあるが、保湿剤をビタミンCと分離して貯水部の水に含有させると、その虞れがなく、長期に亘って初期の品質を維持することができる。
【0012】
更に、通気部をトレーの周縁部とトレー蓋の周縁部との重ね合わせ部分に形成した化粧用貼付材パッケージは、例えば周縁部以外の部分に通気部となる孔を設けるような場合に比べて、通気部が目立ちにくくなり、しかも、通気部の横幅を拡げて開口面積を大きくすることができ、穿孔による強度低下を生じることもないといった利点がある。そして、重ね合わせるトレーの周縁部とトレー蓋の周縁部のいずれか一方が他方よりも外側へ部分的にはみ出している化粧用貼付材パッケージは、そのはみ出した部分をめくり代として指でつまんで簡単にトレーとトレー蓋を分離できるので、取扱い性が向上する。また、トレーに被係合部を形成すると共に、該被係合部に係合してトレー蓋の方向を決める係合部をトレー蓋に形成した化粧用貼付材パッケージは、トレー蓋を常に一定の方向にしてトレーに被着でき、トレー蓋の方向を間違えることがないといった利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、図面を参照して本発明の具体的な実施形態を詳述する。
【0014】
図1は脱酸素剤及び乾燥剤と一緒に非通気性の外袋に収納されて密封された本発明の一実施形態に係る化粧用貼付材パッケージを示す平面図、図2は図1のA−A線拡大断面図、図3は図1のB−B線拡大断面図、図4は外袋から取り出した同化粧用貼付材パッケージの平面図、図5の(a)は同化粧用貼付材パッケージのトレーの平面図、図5の(b)は同化粧用貼付材パッケージのトレー蓋の平面図、図6は図4のC−C線拡大分解断面図、図7の(a)は図5のD−D線拡大断面図、図7の(b)は図5のE−E線拡大断面図、図7の(c)は図5のF−F線拡大断面図、図7の(d)は図5のG−G線拡大断面図、図7の(e)は図5のH−H線拡大断面図、図8は同化粧用貼付材パッケージの貯水部を指で押さえたところを示す拡大断面図である。
【0015】
この化粧用貼付材パッケージP(以下、単にパッケージPと記す)は、図1〜図3に示すように、非通気性の外袋100の内部に脱酸素剤101及び乾燥剤102と一緒に収納されて密封されるものであって、図3に示すように、実質的に水を含まない粘着性のセグメント化ポリウレタンゲルにビタミンCを含有させた化粧用貼付材1と、この化粧用貼付材1を収容するトレー2と、このトレー2に被着されるトレー蓋3などの主要部材で構成されている。乾燥剤102は省略可能であり、脱酸素剤101とパッケージPを外袋100に収納して密封してもよい。
【0016】
外袋100は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン、ポリ塩化ビニルなどの非通気性の熱可塑性合成樹脂フィルムや、該フィルムにアルミニウム等の金属又は金属箔を蒸着又はラミネートした蒸着フィルム又はラミネートフィルム、或いは、上記の熱可塑性合成樹脂フィルムにポリ塩化ビニリデン、エチレン−ビニルアルコール共重合体などの他の合成樹脂やシリカなどの無機物をコート又はラミネートした複合フィルムなどからなるもので、その周囲が熱溶着されて密封されている。この外袋100に収納される脱酸素剤101としては、例えば鉄系脱酸素剤や有機系脱酸素剤などが好ましく使用され、その中でも水分含有量の少ないものがより好ましく使用される。具体例としては、三菱ガス化学(株)製の商品名「エージレス」や、(株)ニッテツ・ファイン・プロダクツ製の商品名「サンソカット」などの脱酸素剤が挙げられる。また、乾燥剤102としては、例えばシリカゲル、塩化カルシウムなどが好ましく使用される。これらの脱酸素剤101や乾燥剤102はいずれも、図2に示すように通気性又は小孔の開いた小袋101a,102aに包まれ、パッケージPのトレー蓋3の凹部に載置されて外袋100に収容されている。そのため、外袋100の内部は、実質的に無酸素、無水の雰囲気に保たれている。
【0017】
パッケージPのトレー2及びトレー蓋3は、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネートなどの熱可塑性樹脂からなる成形品であって、トレー2は図5の(a)に示すように四隅にアール(R)を設けた正方形の平面形状を有しており、堤部2aを挟んで両側に化粧用貼付材1,1を収容する二つの貼付材収容凹部2b,2bが対称に形成されている。これらの貼付材収容凹部2b,2bは、顔面の目の下側から目尻に至る部分に貼付する所謂、目元パック用の一組の化粧用貼付材1,1を収容するのに適した平面形状とされている。そして、上記の堤部2aは、図7の(a)に示すように、トレー2の周縁部2cより一段低く形成されており、図5の(a),図7の(a)に示すように、この堤部2aの中央には、双方の貼付材収容凹部2b,2bを連通する連通溝部2dが形成されている。
【0018】
また、図5の(a)、図7の(a)(b)(c)に示すように、トレー2の周縁部2cには、浅い凹溝部2e,2eが堤部2aを挟んで対向するように形成されている。これらの凹溝部2e,2eは、トレー蓋3の周縁部3aをトレー2の周縁部2cに重ね合わせてトレー蓋3をトレー2に被着したときに、貼付材収容凹部2b,2bとパッケージ外部との通気を保つ通気部を形成するものである。
【0019】
更に、堤部2a両端のトレー側壁面には、図5の(a)、図7の(a)(c)に示すように、内側に突出する半筒状の被係合部2f,2fが形成されている。これらの被係合部2f,2fは、後述するようにトレー蓋3をトレー2に被着するときにトレー蓋3の方向を正しく決めるものである。
【0020】
一方、トレー蓋3は、図5(b)に示すように四隅にアール(R)を設けた正方形の平面形状(一辺の長さは前記トレー2と同じである)を有するもので、図5の(b)、図7の(d)(e)に示すように、周縁部3aの内側部分、即ち、前記トレー2の堤部2aと貼付材収容凹部2b,2bを覆う部分が凹状に形成されており、その中央部に貯水部3cが設けられている。そして、このトレー蓋3の側壁面における前記トレー2の被係合部2f,2fに対応する箇所には、内側に突出する半筒状の係合部3b,3bが形成されており、トレー蓋3をトレー2に被着するときに、この係合部3b,3bが前記トレー2の被係合部2f,2fに係合して、トレー蓋3の方向を縦横間違いなく決めることができるようになっている。
【0021】
トレー蓋3の貯水部3cは、図5の(b)に示すような長円形の平面形状を有するもので、図7の(d)(e)に示すようにトレー蓋3の中央部を凸曲して形成されたものであり、この貯水部3cの上面には下端の尖ったV字形の突起3dが下向きに突設されている。そして、この貯水部3cには、トレー2の貼付材収容凹部2b,2bへ供給する適量の水4が注入され、貯水部3cの裏面を覆うようにラミネートされた被覆膜3eによって水4がこぼれないように密封されている。この被覆膜3eは、上方からV字形の突起3dを突きさすと簡単に裂けて開放する引裂き強度の弱い金属箔(例えば厚さ5〜50μm程度のアルミニウム箔等)や、金属蒸着フィルム(例えば厚さ10〜50μm程度のアルミニウム蒸着フィルム等)などから成るものである。
【0022】
この貯水部3cの水4には、適量(1〜10質量%程度)の保湿剤を含有させることが好ましい。後述する化粧用貼付材のセグメント化ポリウレタンゲルにビタミンCと一緒に保湿剤を含有させる場合は、保湿剤が保持する水分によってビタミンCが加水分解することになるが、上記のように保湿剤をビタミンCと分離して貯水部3cの水4に含有させると、保湿剤の水分によるビタミンCの加水分解の心配がなく、しかも、後述するように貯水部3cの底面を開放して保湿剤入りの水4を吸収させた化粧貼付材1を顔面の皮膚等に貼付したときに、ビタミンCと共に保湿剤も皮膚に移行するため、保湿剤のモイスチャー効果によって皮膚に潤いを与えることが可能となる。保湿剤としては、例えばグリセリン、ソルビトール、ポリエチレングリコールなどの多価アルコール類、L−グルタミン酸、ケラチン、レシチンなどの生体系保湿成分、アロエエキス、海藻エキス、牛脾臓抽出エキス、ポリグルタミン酸(納豆エキス)などの動植物抽出成分などが使用される。本発明で言う保湿剤の更に好ましいものには、セグメント化ポリウレタンゲルに貯水部から水がビタミンCを表層に点在させたゲル表面に行きわたったときに水の量によって該ゲルの表面の粘着性(特にタックネス)が減少あるいは消失されるので、それを補う意味で本質的に強い親水性の粘稠性の高分子物質を水に溶解してゼリー状となる物質である粘着性を有する保湿剤が挙げられる。そのような物質を例示すると、天然高分子では、天然ガムとしてアカシアガムアラビック、キサンタンガム、カラヤガム、ゼラチン、水溶性コラーゲン、ローカストビーンガム、アラビアゴム、カラギーナン、カンテンなどが代表的であり、改質天然ポリマーでは、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロースなどの各種のセルロースエステル、ヒドロキシプロピルグアーガム、セルロースガムなどが代表的であり、合成ポリマーでは、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリグリセリン、ポリアルギン酸(ソーダ)、ポリアクリル酸ソーダ、アクリル酸/アクリル酸アルキル(C10〜30)コポリマー、アクリル酸Naクロスポリマー、カルボマー(カルボキシビニルポリマー)、カルボマーNa、(カルボキシビニルポリマーNa),ポリアクリルアミドなどが代表的であり、その他では、カルメロースNa、ミリスタミドDEAなどがあり、これらの水溶性ゼリーを形成する物質を単体あるいは混合して用いるのがよい。
【0023】
上記の保湿剤を貯水部3cの水4に含有させる場合は、雑菌の繁殖を抑えるために防腐剤を加えることが望ましい。防腐剤としては、メチルパラベンなどのパラ安息香酸エステル類、フェノキシエタノール、ユーカリ油、デヒドロ酢酸塩などが使用される。更に、この貯水部3cの水4には、香料、可溶化剤(ステアリン酸、オレイン酸ポリオキシエチレンソルビットなど)、着色剤、安定化剤などを適宜加えることも好ましい。
【0024】
上記の保湿剤、防腐剤、香料、可溶化剤、着色剤、安定化剤は、本発明のパッケージ以外のパッケージ、例えば、通気部が存在しない点を除いて本実施形態のパッケージPと実質同様に構成された密閉タイプの化粧用貼付材パッケージであって、脱酸素剤や乾燥剤と一緒に非通気性の外袋に収納されないパッケージの貯水部に含有させても有効であり、このようなパッケージは、ビタミンCの加水分解を防止して、ビタミンCと保湿剤の双方の効能を皮膚に与えることができる。
【0025】
図5の(b)に示すように、このパッケージPのトレー蓋3は、その周縁部3aの左上コーナー3f及び右下コーナー3gのアールが右上コーナー3h及び左下コーナー3iのアールよりも大きくなっているのに対し、図5の(a)に示すように、このパッケージPのトレー2は、その左上コーナー2g及び右下コーナー2hのアールが右上コーナー2i及び左下コーナー2jのアールよりも小さくなっている。そのため、図4に示すようにトレー蓋3をトレー2に被着して双方の周縁部3a,2cを重ね合わせると、トレー2のアールの小さい左上コーナー2g及び右下コーナー2hが、トレー蓋3のアールの大きい左上コーナー3f及び右下コーナー3gから外側にはみ出すと共に、トレー蓋3のアールの小さい右上コーナー3h及び左下コーナー3iが、トレー2のアールの大きい右上コーナー2i及び左下コーナー2jから外側にはみ出すことになる。従って、四隅のコーナーにおいて部分的にはみ出した上記のコーナー2g,2h,3h,3iのいずれかをめくり代として指でつまんで簡単にトレー2とトレー蓋3を分離できるため、パッケージPの開操作がし易くなり、取扱い性が向上する。
【0026】
上記のトレー蓋3をトレー2に被着すると、図3に示すように、トレー周縁部に形成された前述の浅い凹溝部2e,2eによって、トレー2の周縁部とトレー蓋3の周縁部との重ね合わせ部分に、貼付材収容凹部2b,2bとパッケージ外部との通気を保つ通気部5,5が形成されることになる。そのため、貼付材収容凹部2b,2bは通気部5,5によって外袋100内の雰囲気、即ち、脱酸素剤101及び乾燥剤102の作用で実質的に無酸素、無水とされた雰囲気に保たれることになる。このように周縁部の重ね合わせ部分に通気部5,5を形成すると、それ以外の部分、例えばトレー蓋3の周縁部3a内側の凹状に形成された部分に通気部となる孔を設ける場合に比べて、通気部が目立ちにくくなり、穿孔による強度低下を生じることもなく、通気部5,5の横幅(浅い凹溝部2e,2eの横幅)を拡げて開口面積を大きくすることが可能となる。
【0027】
また、上記のようにトレー蓋3をトレー2に被着すると、図2、図4に示すように、トレー2の連通溝部2dの真上にトレー蓋3の貯水部3cが位置して、貯水部3cの両側部が堤部2aで支持されることになる。そのため、図8に示すように、貯水部3cを指で押して貯水部3c底面の被覆膜3eをV字形の突起3dで突き破ると、貯水部3cの水4を連通溝部2dから双方の貼付材収容凹部2b,2bに均等に供給でき、しかも、堤部2aで支持された貯水部3cは指で押す際に沈み込むことがないので、被覆膜3eを突起3dで容易かつ確実に突き破ることができるようになる。
【0028】
トレー2の貼付材収容凹部2b,2bの底には、図3、図6に示すように合成樹脂製のネット6,6が敷設され、その上に化粧用貼付材1,1が重ねられて収容されている。このネット6,6は、使用時にトレー蓋3の貯水部3cから貼付材収容凹部2b,2bに流入した水が化粧用貼付材1,1の裏面に回り込んで裏面から化粧用貼付材1,1のセグメント化ポリウレタンゲルに均等に浸透、吸収されるようにすること、及び、後述するように化粧用貼付材1のセグメント化ポリウレタンゲルにビタミンCの水溶液を滴下、吸収させる際に、ポリウレタンゲルの該滴下面全体にビタミンCの水溶液を拡げて均等に吸収できるようにすること、を目的として設けられるものである。従って、水やビタミンCの水溶液との馴染みがよくビタミンCを吸収しない合成樹脂製ネット、例えば、太さ100〜300μm程度のナイロン樹脂のモノフィラメントを交差させて製網した30〜100メッシュ程度の網目を有するネットが好ましく使用される。撚糸で製網したネットは、撚糸の糸間にビタミンCが取り込まれる恐れがあるので、この恐れのないモノフィラメントで製網したネットが特に好ましく使用される。
【0029】
化粧用貼付材1は、粘着性のセグメント化ポリウレタンゲルにビタミンCを含有させたものであって、この実施形態では顔面の目の下側から目尻に至る部分に貼付ける目元パック用とするために、図5に仮想線で示すような湾曲した平面形状に形成されている。その厚さは特に制限されないが、好ましい厚さは0.5〜2.0mm程度である。0.5mmより薄い場合は、ビタミンCの含有量が少なくなるので美顔効果が不十分になる心配があり、一方、2.0mmより厚くしてもそれに見合った効果が得られず、材料の無駄使いとなる。また、このセグメント化ポリウレタンゲルの表層部に不織布(不図示)を埋入してもよく、その場合は腰のある丈夫な化粧用貼付材1を形成できる利点がある。さらに、このセグメント化ポリウレタンゲルの表層部に、不織布と合成樹脂フィルムとをラミネートしたシートを粘着してもよく、その場合は腰があり且つ表面のベタツキのない化粧用貼付材1を形成できる利点がある。不織布としては、目付重量10〜60g/m程度のポリオレフィン、ポリアクリル、ポリエステル等の樹脂繊維からなる不織布が好適に使用され、また、合成樹脂フィルムとしては、ポリビニルアルコール、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ウレタンなどで形成された、厚みが50μm以下のフィルムが好適に使用される。
【0030】
化粧用貼付材1のセグメント化ポリウレタンゲルは、セグメントの大半ないし全てが常温で液状である実質的に水分を含まない粘着性のゲルであって、具体的には、親水性のエチレンオキサイド(EO)のセグメントと疎水性のプロピレンオキサイド(PO)のセグメントを有するか、又は、親水性のエチレンオキサイド(EO)と疎水性のプロピレンオキサイド(PO)との共重合体よりなるセグメントを有するものである。
【0031】
ビタミンCは、その水溶液を上記の化粧用貼付材1のセグメント化ポリウレタンゲルに吸収させた後、減圧乾燥することによって、実質的に水を含まないセグメント化ポリウレタンゲルの親水性のEOのセグメント部分、又は、共重合体セグメントのEO部分に親和して含有保持されており、しかも、この化粧用貼付材1を収容する貼付材収容凹部2bは、通気部5によって外袋100内の雰囲気と同じ実質的に無酸素、無水の雰囲気に保たれているため、この化粧用貼付材1のセグメント化ポリウレタンゲルに含まれるビタミンCは実質的に酸化も加水分解も生じることなく長期間安定してゲル中に含有保持され、酸性物質によりポリウレタンゲルが劣化して黄色に着色することもない。なお、ビタミンCは、水とエタノール等のアルコールとの混合溶媒に溶解してポリウレタンゲルに吸収させてもよく、このようにすると表面張力が低下して溌じかれにくくなるので、吸収性が良くなる利点がある。また、場合によっては、他のビタミンをビタミンCと一緒にセグメント化ポリウレタンゲルに含有、保持させてもよい。
【0032】
セグメント化ポリウレタンゲルのEOセグメントとPOセグメントのモル比率は50〜90:50〜10であることが望ましく、EOセグメントのモル比率が上記範囲よりも低くなると、ポリウレタンゲルの疎水性が強くなって、使用時に水に溶解させたビタミンCが皮膚側に移行、放出する効率が低くなる。また、EOセグメントのモル比率が上記範囲よりも高くなると、ポリウレタンゲルの総合的な粘着力が低下したり、水との親和性が高くなりすぎて、ビタミンCの全放出率がかえって低下する。同様に、共重合体セグメントのEOとPOのモル比率も50〜90:50〜10とすることが望ましい。
【0033】
化粧用貼付材1のセグメント化ポリウレタンゲルについてもう少し詳しく説明すると、このゲルは、下記構造式A〜Dで示されるポリオール成分と、下記構造式E〜Iで示されるポリイソシアネート成分をそれぞれ単独又は混合して使用し、双方の成分の−OH基と−NCO基をウレタン結合させることによって得られる、所謂、三次元貫入型(Interpenetrated Network)のセグメント化ポリウレタンである。
【0034】
【化1】

式中、R,Rはアルキル化合物、脂環式化合物、芳香族化合物のいずれかであり、AOはアルキレンオキサイドのセグメントである。
【0035】
【化2】

式中、AOはアルキレンオキサイドのセグメントであり、lは1または4の整数である。
【0036】
【化3】

AOはアルキレンオキサイドのセグメントである。
【0037】
【化4】

AOはアルキレンオキサイドのセグメントであり、Rは水素原子もしくはアルキル化合物、脂環式化合物、芳香族化合物のいずれかである。
【0038】
【化5】

Rはアルキル基、脂環式化合物、芳香族化合物のいずれかであり、AOはアルキレンオキサイドのセグメントである。
【0039】
【化6】

Rはアルキル基、脂環式化合物、芳香族化合物のいずれかであり、AOはアルキレンオキサイドのセグメントである。
【0040】
【化7】

Rはアルキル基、脂環式化合物、芳香族化合物のいずれかであり、AOはアルキレンオキサイドのセグメントであり、lは1または4の整数である。
【0041】
【化8】

Rはアルキル基、脂環式化合物、芳香族化合物のいずれかであり、AOはアルキレンオキサイドのセグメントである。
【0042】
【化9】

Rはアルキル基、脂環式化合物、芳香族化合物のいずれかであり、AOはアルキレンオキサイドのセグメントである。
【0043】
構造式Aはポリエーテルポリオールとジイソシアネートの反応物であるポリウレタンポリオールプレポリマーであって、両末端成分がポリエーテルポリオールからなり、末端は−OH基である。ここで使用されるジイソシアネート化合物は、後に記載するポリウレタンポリイソシアネートのプレポリマーの中のそれと同じものであり、例えばフェニレンジイソシアネート、2,4−トルイレンジイソシアネート(TDI)、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、ナフタリン−1,5−ジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)、テトラメチレンジイソシアネート(TMDI)、リジンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート(XDI)、水添加TDI、水素化MDI、ジシクロヘキシルジメチルメタン−p,p′−ジイソシアネート、ジエチルフマレートジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート(IPDI)などが任意に使用できる。
【0044】
構造式Bはグリセロール(l=1)またはソルビトール(l=4)にポリエーテルポリオールを付加したものであり、また、構造式Cはトリメチロールプロパンにポリエーテルを付加したものである。同様に下記の構造式Jの1,2,6−ヘキサントリオール、構造式Kのトリメチロールエタン、構造式Lのペンタエリスリット、構造式Mのポリグリセリン(n=2〜30の整数)やその部分エステルなどの多価アルコールとポリエーテルポリオールの付加物も使用できる。
【0045】
【化10】

【0046】
【化11】

【0047】
【化12】

【0048】
【化13】

【0049】
構造式Dはアルキレンオキサイドのセグメントを有するポリエーテルポリオールであり、両末端が−OH基の場合と、片末端がアルキル基、芳香族基などで封鎖されている場合があり、市販品として容易に入手できる。
【0050】
次に、構造式E〜Iに掲げたポリイソシアネートプレポリマーについて説明すると、構造式Eはトリメチロールプロパンにジイソシアネートを反応して得られるトリイソシアネートの2分子をAOの1分子で2量化したもので、4官能であるテトライソシアネートである。そして、トリメチロールプロパンの代わりにグリセロールを用いたものが構造式Fである。この種のテトライソシアネートは、AOの2分子または3分子でトリイソシアネートが2量化され易いので反応を微妙に調節する必要がある。そのため未反応のトリイソシアネートが混在するが、ポリオールと反応した場合にセグメントポリウレタン分子の大きさのバラツキが生じ粘着性をコントロールするのに都合の良い方に作用することもある。
【0051】
構造式Gは構造式Bのポリオールにジイソシアネートを反応させたものである。また、構造式Hは同様に構造式Cのポリオールにジイソシアネートを反応させたものであり、3官能である。構造式Iはポリエーテルポリオールとジイソシアネートの反応物で2官能である。
【0052】
上記の構造式A〜I中のAOで表記されるアルキレンオキサイドのセグメントは、具体的には親水性のエチレンオキサイド(EO)のセグメント、疎水性のプロピレンオキサイド(PO)のセグメント、または、エチレンオキサイド(EO)とプロピレンオキサイド(PO)との共重合体のセグメント、のいずれかである。共重合体のセグメントは、例えば、下記の構造式Nで表されるブロック共重合体や、−(PO−EO−EO−PO)−,−(PO−PO−EO)−,−(EO−EO−PO)−,−(EO−PO−EO−PO)−等の交互共重合体(mは1以上の正数)や、EOとPOとのランダムな共重合体などのいずれであってもよい。
【0053】
【化14】

【0054】
これらのEOセグメント、POセグメント、EO−PO共重合体セグメントのいずれかであるAOセグメントは、常温で優れた粘着特性を有し且つビタミンCとの良好な親和性をもつポリウレタンゲルを得るためには、その大半ないし全てが常温で液状であることが必要であり、そのためには分子量が規制される。EOセグメントのMWは150〜1000が適当であり、好ましくは300〜800である。POセグメントは分子量が数万でも液体であり、使用できる分子量の範囲は広い。しかし、末端基の比率が小さいほど反応確率が低くなり、また、あまりに長いセグメントの場合は、ポリウレタンゲルが流動性に富み、保形性に乏しくなるので、大略200〜数千の範囲が好ましい。
【0055】
一方、EO−PO共重合体セグメントは、EOとPOの比率や配列によりその流動性(柔らかさ)、粘着性、およびビタミンCとの親和性が左右される。すなわち、ブロック共重合体においてPOのモル分率が高い場合には分子量が高くても液状であるが、POのモル分率が低い場合でも、EOの分子量が低ければ液状となる。しかし、既述したようにPOセグメントの分子量が高ければ保形性などの問題が生じるため、60〜8000、好ましくは800〜6000の分子量を有する常温で液状のEO−PO共重合体が使用される。
【0056】
次に、ポリオール成分とポリイソシアネート成分の官能数と反応比について説明する。良好な粘着性と充分なビタミンCとの親和性を発現するポリウレタンゲルは、三次元網目鎖構造の比較的嵩高い分子構造を有し、かつ、自由に運動可能なセグメント長や、直鎖(linear)の自由な末端分子を多く有していることが重要である。ポリオールとポリイソシアネートは各々が単一化合物であれば一方が2官能で、他方が3官能以上の組合わせとするか、互いに3官能以上の組合わせとするのが良い。但し、官能数が3以上のもの同士を反応させる場合は、網目鎖濃度が高すぎるので、よほど長いセグメントが存在しないと、弾性が粘性を上回って好ましい粘着性は得られ難く、ビタミンCとの親和性や保有性(放出性)をコントロールし難い。それゆえ、双方の成分の好ましい官能数は大略2〜4の組合わせであり、この場合であれば、粘着性やビタミンCとの親和性を微調整することができる。
【0057】
ポリオールとポリイソシアネートの各々のプレポリマーの反応比は、末端の官能基の比率、即ちOH/NCOの価によって規制できる。未反応の−NCOが残ると後反応が生じるので、OH/NCOは1以上でなければならないが、1≦OH/NCO≦5で良好な粘着性を有するポリウレタンゲルが得られる。OH/NCOが1以上5以下の状態では嵩高い分子の集まりにおいて末端にOH基を有する直鎖セグメントが尾(tail)を出して自由に運動している状態であると想像でき、5に近いほどフリーの尾が長くて多い状態である。そして、このものは粘着性を発現するに適した大きさとなって集合している。
【0058】
ポリウレタンゲルを構成するポリオールとポリイソシアネートの分子量の範囲は、AOやイソシアネートの種類、分子形状およびAOがホモポリマーであるかコポリマーであるか等によって広い範囲で変わるが、ポリウレタンポリオールプレポリマーで大略1400〜10000、ポリオールで大略150〜6000、ポリウレタンポリイソシアネートプレポリマーは大略500〜10000である。好ましくは各々大略1000〜8500、大略300〜3000、大略1000〜6000の範囲で選択できる。
【0059】
化粧用貼付材1のセグメント化ポリウレタンゲルは、上記のポリオール成分とポリイソシアネート成分を上記の反応比で反応させたものであって、前述の分子量の規制された親水性のEOセグメントと疎水性のPOセグメントを有するか、又は、EO−PO共重合体のセグメントを有しており、既述したように、EOとPOのモル比率を50〜90:50〜10にしてビタミンCとの親和性や放出効率を高めたものである。
【0060】
以上のような構成の化粧用貼付材パッケージPは、図1〜図3に示すように、
非通気性の外袋100の内部に脱酸素剤101及び乾燥剤102と一緒に収納、密封されて保管され、既述したようにビタミンCは実質的に酸化も加水分解も生じることなく長期間安定して化粧用貼付材1のポリウレタンゲル中に含有保持される。そして、使用の際(顔面の目元パックを行う際)には、外袋100を切開してパッケージPを取出し、図8に示すように指先でトレー蓋3の貯水部3cを上から押して外力を加える。すると、貯水部3cの突起3dが貯水部底面の被覆膜3eを突き破り、その裂け目から貯水部3cの水4がトレー2の連結溝部2dを通って双方の貼付材収容凹部2b,2bへ流入する。流入した水4は化粧用貼付材1,1の裏面側に回り込み、ネット6,6に沿って均一に裏面全面に拡がり、裏面から均等に化粧用貼付材1,1のポリウレタンゲル中に浸透して吸収される。このため、ポリウレタンゲル中に含有されているビタミンCは、吸収された水に溶解する。従って、トレー蓋3を除去してトレー2の貼付材収容凹部2b,2bから取り出した化粧用貼付材1,1を、そのポリウレタンゲルの粘着力で顔面の目元に貼付すると、水に溶解したビタミンCがポリウレタンゲルから皮膚へ移行してすみやかに吸収され、美白作用、色素沈着抑制、抗酸化作用などのビタミンCの効能が発揮される。そして、貯水部3cの水4に保湿剤が含有されている場合は、保湿剤もビタミンCと共に皮膚に移行し、モイスチャー効果によって皮膚に潤いが与えられる。
【0061】
図10の(A)はビタミンCを乾燥したセグメント化ポリウレタンゲルに含有させた状態を示す模式図、図10(B)はセグメント化ポリウレタンゲルに水を吸収させて膨潤させた状態を示す模式図である。尚、図中、AOセグメントは、EOセグメント、POセグメント、EOとPOとの共重合体セグメントのいずれかである。
【0062】
図10(A)に示すように、水を殆ど含まない乾燥状態では、ポリウレタンゲルのAOセグメントの間にビタミンCが分散していて、ビタミンCが移行したりせず、また、分解などを生じることなく長期間その状態を保つ。そして、これに水を加えると、図10(B)に示すように、水分子がAOセグメントの間に入り込んでゲルが膨潤すると共に、この入り込んだ水にビタミンCが溶解する。従って、この状態のポリウレタンゲルよりなる化粧用貼付材を顔面に貼付すると、水と共にビタミンCが顔面の皮膚に移行、浸透する。
【0063】
次に、図9を参照して、上記の化粧用貼付材パッケージPの製造方法の一例を説明する。
【0064】
まず、図9(a)に示すように、離型フィルム10の上に型枠11を載せ、その型枠内の二箇所に前述のポリオール成分とポリイソシアネート成分との混合物12,12を流延する。そして、加熱により混合物12,12を反応させてセグメント化ポリウレタンを得、図9(b)に示すように、得られたセグメント化ポリウレタン13の上にネット2を重ねて、図9(c)に示すように上方からビタミンCの水溶液14,14を滴下する。このようにネット6,6の上からビタミンCの水溶液14,14を滴下すると、ネット6,6に沿ってビタミンCの水溶液14,14がポリウレタンゲル13,13の上面全体に拡がり、均等に吸収される。吸収が終わると、図9(d)に示すように型枠を除去して、減圧乾燥により水分を除去して化粧用貼付材1,1を得る。
【0065】
次いで、図9(e)に示すようにトレー2を化粧用貼付材1,1とネット6,6の上から被せ、図9(f)に示すようにトレー2を反転させて化粧用貼付材1,1とネット6,6をトレー1の貼付材収容凹部にそれぞれ収容する。そして、図9(g)に示すように、貯水部3cに水4を入れて被覆膜3eで密封したトレー蓋3をトレー2の上に被着して、化粧用貼付材パッケージPを得る。
【0066】
以上説明した実施形態のパッケージでは、貼付材収容凹部2b,2bの底面が平坦面とされているが、貼付材収容凹部2b,2bの底面に細かい凹凸を形成することによって、前記ネット6,6を省略して化粧用貼付材1,1のみを収容凹部2b,2bに収容しても、貯水部3cから収容凹部2b,2bに流入した水6が底面の凹凸の隙間(谷間)を通って化粧用貼付材1,1の裏面全体に回り込み、化粧用貼付材1,1の裏面から均等吸収されるようにしてもよい。また、場合によっては、貼付材収容凹部2bの数を増減してもよい。
【0067】
次に、本発明の化粧用貼付材パッケージについて、保存安定性とビタミンC放出特性を測定した実験について説明する。
【0068】
[実験1]
(化粧用貼付材パッケージの作製)
離型フィルムとしてポリエチレンテレフタレートフィルムを使用し、その上に型枠を載置して、目付重量が37g/mのポリエステル不織布を該型枠と略同一の形状に切抜いた不織布片を該型枠の内側に敷設した。下記の表1に示す構造式番号に対応する構造と分子量とアルキレンオキサイドのセグメントを有するポリオール、ポリイソシアネートおよび触媒を表1に示す割合で混合して混合液を調製し、この混合液を型枠内の不織布片の上に流延して、加熱温度65℃で一昼夜反応させることにより、下面表層部に不織布片が積層された厚さ1.2mm、体積1.2cmのセグメント化ポリウレタンゲルを形成した。そして、このセグメント化ポリウレタンゲルの上にナイロンネット(モノフィラメントの直径:0.2mm、網目の大きさ:50メッシュ)を重ね、その上から、ビタミンCの14%水/エタノール溶液(ビタミンC:水:エタノールは重量比で1:3:3)を滴下し、ポリウレタンゲルにビタミンCを含有させた後、型枠を除去し、減圧乾燥して水及びエタノールを除去することにより、ポリウレタンゲルにビタミンCを5重量%含有する化粧用貼付材を得た。
【0069】
ポリエチレンテレフタレートで成形したトレー(周縁部に通気部となる浅い凹溝部を有し且つ中央に貼付材収容凹部を有するトレー)を上記の化粧用貼付材とナイロンネットの上に被せてトレイを反転させることにより、化粧用貼付材とナイロンネットをトレーの収容凹部に収容し、このトレーの上に、1.0mlの水を貯水部に入れて底面をアルミニウム箔で密封したトレー蓋を重ねて被着することにより、化粧用貼付材パッケージを作製した。そして、この化粧用貼付材パッケージを、脱酸素剤及び乾燥剤と共に、アルミニウム蒸着ポリエチレンテレフタレートフィルムよりなる非通気性の外袋に収納して密封した。
【0070】
【表1】

【0071】
(保存安定性)
上記の外袋に脱酸素剤及び乾燥剤と共に収納、密封した化粧用貼付材パッケージを40℃にて1ヶ月間保存した後、外袋を切開して化粧用貼付材パッケージを取り出し、トレー蓋を除去してパッケージから化粧用貼付材を取り出した。この化粧用貼付材のポリウレタンゲルを目視することによって色相の変化を観察すると共に、ポリウレタンゲルを指先で触ることによって粘着性の変化を調べた。そして、高速液体クロマトグラフ法に基づいてビタミンC含量の変化を測定した。
【0072】
その結果、色相は試験開始時と変化なく、粘着性も変化なかった。また、ビタミンCの残存含量は、L−アルスコルビン酸と同様に生体活性を示すところのデヒドロアスコルビン酸を含めると試験開始時の98.5%であった。更に、上記と同じ40℃で2ケ月および6ケ月保存した後のポリウレタンゲルの色相変化を観察したところ、色相はいずれも試験開始時と変化がなかった。
【0073】
[ビタミンC放出特性]
また、上記パッケージのトレー蓋の貯水部を指で押し破り、トレーの貼付材収容凹部に流入した水が化粧用貼付材のポリウレタンゲルに浸透、吸収されるまで放置した。この化粧用貼付材を10人の顔面に1時間貼り付け、回収した化粧用貼付材のポリウレタンゲルに残存するビタミンC含量を測定し、未使用の化粧用貼付材のビタミンC含量との差からビタミンCの放出率を求めて、化粧用貼付材のビタミンC放出特性を調べた。ポリウレタンゲル中のビタミンC含量の定量は、貼付材のポリウレタンゲルを細かく切断し、分析にかけてビタミンCが壊れにくい組成の溶液でポリウレタンゲルを膨潤させてビタミンCを抽出して行った。その結果、10人の顔面に1時間貼り付けた後のビタミンCの放出率は、平均で21.6%であった。
【0074】
[実験2]
実験1で作製した化粧用貼付材パッケージを、乾燥剤を省略して、脱酸素剤と一緒にアルミニウム蒸着ポリエチレンテレフタレートフィルムよりなる非通気性の外袋に収納して密封し、実験1と同様に40℃で1ヶ月間保存した後、実験1と同様の方法で化粧用貼付材のポリウレタンゲルの色相の変化と、粘着性の変化と、ビタミンC含量の変化を測定した。その結果、色相も粘着性も試験開始時と変化なく、また、ビタミンCの残存含量は、L−アルスコルビン酸と同様に生体活性を示すところのデヒドロアスコルビン酸を含めて試験開始時の97.7%であった。更に、上記と同じ40℃の温度で2ケ月および6ケ月保存した後のポリウレタンゲルの色相変化を観察したところ、2ケ月後のポリウレタンゲルは極くわずかに着色し、6ケ月後のポリウレタンゲルはわずかに着色していた。
【0075】
[比較実験1]
実験1で得た化粧用貼付材をナイロンネットと共に、実験1で用いたトレーの貼付材収容凹部に収容し、アルミニウム箔をトレーにラミネートして貼付材収容凹部を密封した。そして、このトレーを実験1と同様に40℃で1ケ月間保存した後、トレーから化粧用貼付材を取り出し、実験1と同様の方法で、ポリウレタンゲルの色相の変化、粘着性の変化を調べると共に、ビタミンC含量の変化を測定した。その結果、色相と粘着性については、いずれも試験開始時と変化はなかったが、ビタミンCの残存含量は、L−アルスコルビン酸と同様に生体活性を示すところのデヒドロアスコルビン酸を含めて試験開始時の96.5%であり、実験1に比べて若干低下していた。更に、40℃の温度で2ケ月および6ケ月保存した後のポリウレタンゲルの色相変化を観察したところ、2ケ月後のポリウレタンゲルはわずかに着色し、6ケ月後のポリウレタンゲルは薄黄色に着色していた。
【0076】
[比較実験2]
実験1で得た化粧用貼付材をナイロンネットと共に、実験1で用いたトレーの貼付材収容凹部に収容し、収容凹部を密封しないでそのまま40℃で1ケ月間保存した後、トレーから化粧用貼付材を取り出し、実験1と同様の方法で、ポリウレタンゲルの色相の変化、粘着性の変化を調べると共に、ビタミンC含量の変化を測定した。その結果、粘着性は試験開始時と同じであったが、色相は黄色く変色しており、ビタミンCの残存含量は、L−アルスコルビン酸と同様に生体活性を示すところのデヒドロアスコルビン酸を含めても試験開始時の25%であり、実験1,2に比べてかなり低下していた。
【0077】
上記の実験1,2、比較実験1,2を対比すると、無水のポリウレタンゲルにビタミンCを含有させていても、比較実験2のように貼付材収容凹部を密閉しない場合は、ポリウレタンゲルが水分及び酸素を吸収して、ビタミンCの加水分解や酸化がかなり進行するのに対し、比較実験1のように貼付材収容凹部を密閉した場合は、水分及び酸素の吸収が減少し、ビタミンCの加水分解や酸化が大幅に抑制されることが分かる。特に、実験1のように、通気部を有するパッケージの貼付材収容凹部に化粧用貼付材を収容して脱酸素剤及び乾燥剤と共に非通気性の外袋に収納、密閉した場合は、パッケージ内の貼付材収容凹部の雰囲気がパッケージの通気部によって外袋内の実質的に無酸素、無水の雰囲気に保たれるため、ビタミンCの加水分解や酸化が殆ど生じなくなってビタミンCの残存量が98.5%と極めて高くなり、保存安定性に優れることが分かる。そして、実験1の結果から、ビタミンCの放出特性も良好であることが分かる。また、実験2のように、乾燥剤を省略して、脱酸素剤と一緒に化粧用貼付材を非通気性の外袋に収納、密閉した場合は、乾燥剤によって外袋内の水分が吸収されないため、その分だけビタミンCが加水分解し、6ケ月の長期間の保存でポリウレタンゲルにわずかな着色が見られるようになるが、それでも脱酸素剤によって酸化が防止されるため、ビタミンCの減少は僅かであり、97.7%という高い残存量を維持して充分な保存安定性を発揮することが分かる。
【0078】
[実験3]
(化粧用貼付材パッケージの作製)
下記の表2に示す構造式番号に対応する構造と分子量とアルキレンオキサイドのセグメントを有するポリオール、ポリイソシアネートおよび触媒を表2に示す割合で混合した混合液を使用し、その加熱温度を60℃に変更した以外は、実験1と同様にして化粧用貼付材パッケージを作製した。そして、この化粧用貼付材パッケージを実験1と同様に、脱酸素剤及び乾燥剤と共に非通気性の外袋に収納して密封した。
【0079】
【表2】

【0080】
(保存安定性)
上記の外袋に脱酸素剤及び乾燥剤と共に収納、密封した化粧用貼付材パッケージについて、実験1と同様にして保存安定性を調べた。その結果、ポリウレタンゲルの色相は試験開始時と変化なく、粘着性も変化なかった。また、ビタミンCの残存含量は、同様の生体活性を示すところのデヒドロアスコルビン酸を含めると、試験開始時の98.2%であった。
【0081】
[ビタミンC放出特性]
上記パッケージのトレー蓋の貯水部を指で押し破り、水を吸収させた化粧用貼付材を10人の顔面に1時間貼り付けて、実験1と同様の方法でビタミンCの放出率を求めた。その結果、ビタミンCの放出率は、平均で11%であった。
【0082】
[比較実験3]
実験3で得た化粧用貼付材をナイロンネットと共に、実験1で用いたトレーの貼付材収容凹部に収容し、比較実験1と同様にアルミニウム箔をトレーにラミネートして貼付材収容凹部を密封した。そして、このトレーを実験1と同様に40℃で1ケ月間保存した後、トレーから化粧用貼付材を取り出し、実験1と同様の方法で、ポリウレタンゲルの色相の変化、粘着性の変化を調べると共に、ビタミンC含量の変化を測定した。その結果、色相と粘着性については、いずれも試験開始時と変化はなかったが、ビタミンCの残存含量は、L−アルスコルビン酸と同様に生体活性を示すところのデヒドロアスコルビン酸を含めて試験開始時の96.0%であり、実験3に比べて若干低下していた。
【0083】
[比較実験4]
実験3で得た化粧用貼付材をナイロンネットと共に、実験1で用いたトレーの貼付材収容凹部に収容し、比較実験2と同様に収容凹部を密封しないでそのまま40℃で1ケ月間保存した後、トレーから化粧用貼付材を取り出し、実験1と同様の方法で、ポリウレタンゲルの色相の変化、粘着性の変化を調べると共に、ビタミンC含量の変化を測定した。その結果、粘着性は試験開始時と同じであったが、色相は黄色く変色しており、ビタミンCの残存含量は、L−アルスコルビン酸と同様に生体活性を示すところのデヒドロアスコルビン酸を含めても試験開始時の22%であり、実験3に比べてかなり低下していた。
【0084】
上記の実験3、比較実験3,4を対比すると、実験3のように、通気部を有するパッケージの貼付材収容凹部に化粧用貼付材を収容して脱酸素剤及び乾燥剤と共に非通気性の外袋に収納、密閉したものは、パッケージ内の貼付材収容凹部の雰囲気がパッケージの通気部によって外袋内の実質的に無酸素、無水の雰囲気に保たれるため、ビタミンCの加水分解や酸化が十分抑制されてビタミンCの残存量が98.2%と極めて高くなり、優れた保存安定性を有しているのに対し、比較実験4のように貼付材収容凹部を密閉しないものや、比較実験3のように貼付材収容凹部を密閉しただけのものは、ビタミンCの加水分解や酸化の抑制が不十分でビタミンCの残存量が低下し、実験3に比べると保存安定性が良くないことが分かる。
【0085】
[比較実験5]
市販のポリアクリル酸ゲルの原料を用いてポリアクリル酸ゲルを造り、このゲルに、実験1で用いたビタミンCの14%水/エタノール溶液を滴下、吸収させたところ、数日間内に経時的にポリアクリル酸ゲルは黄色く着色し、化粧用貼付材に適したものは得られなかった。
【0086】
このアクリル酸ゲルを用いた比較実験5と、前記の無水のポリウレタンゲルを用いた実験1,2,3及び比較実験1,2,3,4を比較すると、無水のポリウレタンゲルがビタミンCの保存安定性の良い担持体としてどれほど適したものであるかが分かる。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】脱酸素剤及び乾燥剤と一緒に非通気性の外袋に収納されて密封された本発明の一実施形態に係る化粧用貼付材パッケージを示す平面図である。
【図2】図1のA−A線拡大断面図である。
【図3】図1のB−B線拡大断面図である。
【図4】外袋から取り出した同化粧用貼付材パッケージの平面図である。
【図5】(a)は同化粧用貼付材パッケージのトレーの平面図、(b)は同化粧用貼付材パッケージのトレー蓋の平面図である。
【図6】図4のC−C線拡大分解断面図である。
【図7】(a)は図5のD−D線拡大断面図、(b)は図5のE−E線拡大断面図、(c)は図5のF−F線拡大断面図、(d)は図5のG−G線拡大断面図、(e)は図5のH−H線拡大断面図である。
【図8】同化粧用貼付材パッケージの貯水部を指で押さえたところを示す拡大断面図である。
【図9】同化粧用貼付材パッケージの製造方法の一例を示す説明図である。
【図10】(A)はビタミンCを乾燥したセグメント化ポリウレタンゲルに含有させた状態を示す模式図、(B)はこのビタミンCを含有させたセグメント化ポリウレタンゲルに水を含ませて膨潤させた状態を示す模式図である。
【符号の説明】
【0088】
P 化粧用貼付材パッケージ
1 化粧用貼付材
2 トレー
2a 堤部
2b 貼付材収容凹部
2c トレーの周縁部
2d 連通溝部
2e 通気部となる浅い凹溝部
2f 被係合部
2g,2h トレーのアールの小さいコーナー
2i,2j トレーのアールの大きいコーナー
3 トレー蓋
3a トレー蓋の周縁部
3b 係合部
3c 貯水部
3d 突起
3f,3g トレー蓋のアールの大きいコーナー
3h,3i トレー蓋のアールの小さいコーナー
4 水
5 通気部
100 非通気性の外袋
101 脱酸素剤
102 乾燥剤

【特許請求の範囲】
【請求項1】
脱酸素剤と一緒に、又は、脱酸素剤及び乾燥剤と一緒に、非通気性の外袋に収納されて密封される化粧用貼付材パッケージであって、実質的に水を含まない粘着性のセグメント化ポリウレタンゲルにビタミンCを含有させた化粧用貼付材を収容する貼付材収容凹部が形成されたトレーと、このトレーに被着されるトレー蓋とからなり、かつ、パッケージ外部と貼付材収容凹部との通気を保つ通気部が形成されていることを特徴とする化粧用貼付材パッケージ。
【請求項2】
トレー蓋が貯水部を備え、この貯水部に外力を加えると貯水部の底面が開放して貯水部の水がトレーの化粧材収容凹部に供給されるようにしたことを特徴とする請求項1に記載の化粧用貼付材パッケージ。
【請求項3】
貯水部の水に保湿剤が含有されていることを特徴とする請求項2に記載の化粧用貼付材パッケージ。
【請求項4】
トレーに二つの化粧材収容凹部が堤部を挟んで形成され、この堤部に双方の化粧材収容凹部を連通する連通溝部が形成されると共に、この連通溝部の真上にトレー蓋の貯水部が位置して貯水部の両側部が堤部で支持されていることを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の化粧用貼付材パッケージ。
【請求項5】
通気部が、トレーの周縁部とトレー蓋の周縁部との重ね合わせ部分に形成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の化粧用貼付材パッケージ。
【請求項6】
重ね合わされるトレーの周縁部とトレー蓋の周縁部のいずれか一方が他方よりも外側へ部分的にはみ出していることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の化粧用貼付材パッケージ。
【請求項7】
トレーに被係合部が形成され、この被係合部に係合してトレー蓋の方向を決める係合部がトレー蓋に形成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の化粧用貼付材パッケージ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−68085(P2006−68085A)
【公開日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−252146(P2004−252146)
【出願日】平成16年8月31日(2004.8.31)
【出願人】(000108719)タキロン株式会社 (421)
【Fターム(参考)】